説明

流体製品の供給のための装置、およびこうした装置を有する流体製品ディスペンサ

本発明は、容積可変の流体製品投与チャンバ(10)であって、チャンバ(10)を容器(20)に通じさせる吸入弁(15、115)が形作られており、当該吸入弁は、シート(115)と移動可能な装置(15)とを有する、という前記チャンバと、移動させることが可能であり、その移動によってチャンバ(10)の容積を変化させる、というピストン(135)であって、戻しスプリング手段(131)と出口弁(131、125)とによって休止位置に保持され、圧力を受けた流体製品は当該出口弁を通ってチャンバ(10)から投与開口部(127)に流れる、という前記ピストンと、を有する流体製品投与本体(1)に関する。前記弁は、弁シート(125)と当該弁シートと接触状態にない時点において密封効果を保ちながら移動させることが可能な弁装置(131)とを有し、戻しスプリングと移動可能な出口弁装置とは弾性伸張によって変形可能な一体構造の部品(131)から形成されている。前記部品(131)はシート(125)と隙間のない形で接触する壁(130)を有し、シート(125)は環状の形を有する。本発明は、部品(131)はシートの内側で隙間のない密封状態で延びている、ということを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体製品の投与のための装置に関し、当該装置は、前記流体製品を流出させるため流体製品容器に設置するためのものである。さらに、本発明は、実質的にこうした投与装置とそれに組み合わされた流体製品容器とから成る流体製品ディスペンサにも関連している。このような種類の投与装置は、香水、化粧品、さらには実に薬品の分野でしばしば使用され、迅速動作型、手動型または繰り返し使用型の流体製品ディスペンサとして働く。
【背景技術】
【0002】
一般的に、投与装置はポンプまたは弁であって、このポンプまたは弁は、容積可変の流体製品投与チャンバを有する。従来技術において、チャンバは吸入弁を有し、当該吸入弁によってチャンバは容器と通じる。さらに、チャンバはピストンを有し、プッシュロッドを押さえれば当該ピストンを移動させることができる。その移動によってチャンバの容積は変化し、それによってチャンバに格納された流体製品に圧力が加わる。一般的に、ピストンは戻しスプリングによって休止位置に保持されている。さらに、圧力をかけられた流体製品は、出口弁によってチャンバから出て、投与開口部に流れることが可能となる。あらゆる弁と同様に、出口弁は弁シートと移動可能な弁装置とを有し、当該弁装置は移動し、そのシートと隙間のない形で接触することができる。チャンバの中の圧力が十分高くなると、移動可能な装置はそのシートから浮いて離れ、それによって圧力を受けた流体製品のための出口路を開く。上述した形態は、ポンプに関する全く従来型のデザインを構成する。
【0003】
従来のデザインからは、弾性素材から作られて、吸入弁、戻しスプリング、そして出口弁を形成する、という1つの部品を用いるポンプ型の投与装置がよく知られている。さらに厳密に言えば、弾性素材で作られた部品には吸入弁および出口弁といった移動可能な装置が形成されており、これら弁はそれぞれのシートと隙間のない形で選択的に接触するためのものとされている。たとえば、特許文書FR―2 674 024号を挙げることができる。この文書において、弾性素材で作られた部分は、中央部分と、周縁部分と、そして中央部分を周縁部分に接続する伸縮可能な弾性接合部分とを有する。中央部分はブッシングの上に載り、当該ブッシングには吸入開口部が形成されている。中央部分には一種の弾性変形可能な舌状突起が形成されており、当該舌状突起は隙間のない形で選択的に吸入開口部の上に載る。舌状突起と穴とが一緒になって吸入弁を形成している。接合部分は戻しスプリングとして働く。周縁部分はプッシュロッドと係合しており、当該プッシュロッドには出口管が形成されている。周縁部分にはさらに周縁リップが形成されており、当該リップはプッシュロッド側の別の周縁部分に押し付けられる。周縁リップは、移動可能な出口弁装置を形成している。従来のデザインに関連するこの文書で説明されたポンプにおいて、弾性変形可能な部分の各部は特定の機能を有する(すなわち、中央部分については吸入弁、連絡部分については戻しスプリング、そして周縁部分については出口弁)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、機能上の投与動作が異なる投与装置について規定することを目的とする。また、本発明は、投与開口部が固定されている、つまり駆動プッシュロッドの動きに影響を受けない、という投与装置を作ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これらの目的を達成するため、本発明は流体製品を投与するための装置であって、流体製品を取り出すため流体製品容器に設置するためのものであり、前記投与装置は容積可変の流体製品投与チャンバを有し、さらに前記投与装置は、チャンバと容器とを流体が流れる形で通じさせることを目的とした吸入弁であって、シートと移動可能な装置とを有する、という前記吸入弁と、プッシュロッドを押さえることで移動させることが可能であり、その移動によって、チャンバの容積を変化させ、チャンバの中に格納された流体製品に圧力を加える、というピストンであって、戻しスプリング手段によって休止位置に保持される、という前記ピストンと、圧力を受けた流体製品がチャンバから出て投与開口部に流れるようにするための出口弁であって、弁シートと移動して前記シートと隙間のない形で接触したり離れたりすることができる移動可能な弁装置とを有し、特徴となるのは、戻しスプリングと移動可能な出口弁装置とは一体構造の部品から形成されていることである、という装置を提供する。効果的な構成として、前記部品は弾性伸張によって変形可能である。さらに、出口弁シートは入り口弁シートに対して固定してもよい。加えて、または変形例として、出口弁シートはプッシュロッドに対して移動可能である、という形にすることもできる。このようにした結果の装置は、固定された投与開口部を備えた投与装置であって、戻しスプリングと出口弁の移動可能な装置との両方が同一のゾーンによって形成されている、という部品を有する。この変形は、伸縮または伸張によって得られる。また、屈曲または圧縮による変形を考えることもできる。
【発明の効果】
【0006】
効果的な構成として、部品は、シートと隙間のない形で接触する壁を有し、前記壁はシートの内側を隙間のない形でスライド移動することとする。
また、本発明の別の特徴によれば、部品は、アンカー手段につながる固定端部1つと移動可能な端部1つとを有し、ピストンは当該移動可能な端部に連結されていることとする。
また、効果的な構成として、ピストンと部品とは単一構造の部品として作られることとする。
また、1つの効果的な実装の形によれば、シートは環状であって、前記部品は前記シートの内側を隙間のない形でスライド移動することとする。
また、1つの実際的な実装の形によれば、部品はスリーブから形成されており、当該スリーブは弾性的に伸縮させることができ、ほぼ筒状で、また、弾性的に内側に変形させることが可能であることとする。
効果的な構成として、スリーブは外壁を有し、当該外壁はスリーブを取り囲む環状の周縁シートと隙間のない形で接触しながらスライド移動するよう作られていることとする。
また、好ましい形態として、スリーブは一体構造の部品として形成されており、また、当該スリーブにはピストンとアンカー手段とがさらに形成されていることとする。
また、効果的な構成として、スリーブは、徐々に伸ばされていくのに従い、徐々に強くなっていく形で圧力を加えながらシートに対して接触することとする。スリーブは、チューブの一部分の形をとり、当該部分はほぼ筒状または先細になっており、その外壁は外部周縁環状シートと接触することになる、という形にしてもよい。
また、本発明は、流体製品容器と上に規定した投与装置とを有する流体製品ディスペンサに関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明に関し、本発明の1つの実施方法の非限定的な例として示す添付図面を参照しながら、さらに詳細に説明する本発明について説明するため用いられ、図1乃至3に示された実施例において、投与装置はポンプである。しかし、以下に説明する本発明の精神は、さらに弁にも適用できる。
本発明の投与装置が組み入れられた流体製品ディスペンサは、実質的に本発明の前記投与装置に結合された容器2から成っている。
【0008】
容器2は容器バレル21から成り、当該バレルは容器の高さの大部分にわたる形で作られており、その横断面は、ほぼ筒状だが必ずしも円形ではない。バレル21の内側には隙間のない形でのスライド移動のための壁が形成されている。ワイパーまたはフォロアーピストン24がバレル21の内側に置かれており、このピストン24はバレル21の内壁と隙間のない形で接触しながらスライド移動するためのものである。バレル21とフォロアーピストン24とは両者で流体製品容器20を構成する。ここで、ピストン24はバレル21の中で移動し、その結果、容器20の動作容積は減少させられるため、この容器の容積は可変ということになる。一般的に、貯蔵器2は下側端部23とネック22が形成された上側端部とを有する。ネックは開口部を有し、当該開口部の断面はバレル21の断面よりしばしば小さい。図1および2に示すのは、最大容積の状態での容器20である。ここで、ピストン24はバレル21の下側端部23に近接する位置にある。必須ではないが、下側端部23には底部25を取り付け、当該底部には効果的な構成として1つまたは複数の穴を開けておく、という形も可能である。これらの穴はピストン24と底部25との間にある空間を外部と接続するために用いられる。流体製品は、ピストン24、バレル21、そしてネック22の間に規定された空間を占めている。流体製品が容器20から取り出されると、ピストン24は吸引力によってネック22の方へ移動し、それによって容器20の有効容積を減少させる。これは従来のピストンシステムであり、空気との接触により劣化する恐れのあるデリケートな流体製品のため用いられることが多い。こうした種類の容器の効果は、まさに、流体製品が絶対に外部の空気と接触しない、という点である。しかし、本発明による投与装置は、自由に変形可能な可撓性サシェット、または実に剛性のあるボトルまたはフラスコの形をとるさらに従来型の貯蔵器など、他の種類の容器と共に用いることもできる。
【0009】
本発明による投与装置1は本体を有し、当該本体はここでは2つの部品、すなわちソケット11とキャップ12とで作られている。本体が、2つの部品で作られているのは、成形を容易にするためである。実際には、本体を一体構造の部品として作る可能性を除外するわけではない。投与装置は、ソケット11とキャップ12とから形成されている本体に加え、弾性素材から作られた部品13、プッシュロッド14、そして移動可能な吸入弁装置15をさらに有する。したがって、投与装置は5つの別個の部品から成る、と言うことができる。
【0010】
ソケット11にはチャンババレル111が形成されており、当該バレルはここでは円筒形をしているが、別の形、すなわち非円形さらには非筒状にすることさえできる。このチャンババレル111は下方向に延び、その先は吸入スリーブ114になっており、当該吸入スリーブは流体製品が入ってくるための通路を構成している。このスリーブ114には入り口弁シート115が形成されている。スリーブ114の内側には移動可能な吸入弁装置15が収められている。この移動可能な装置15は、シート115と協働し、両者でポンプの吸入弁を形成している。図において、移動可能な装置15は花冠が形成されたプラスチック製の部品から形成されており、当該花冠部品はシート115上に隙間のない形で接触する。ここに示すのは、特定の実装の形であり、適用範囲を限定するものではない。このプラスチック製の部品15の代わりに、たとえば金属製の球を用いることも可能である。さらに一般的に言えば、本発明にとって吸入弁の具体的な形は重要ではなく、本発明においてはどんな吸入弁を用いることもできる。チャンババレル111は上方向に延びて、その先は環状のブラケット112となっており、当該ブラケットは径方向外向きに延びている。このブラケット112はそれから下方向に延びて、その先は留めリング113となっている。この留めリング113は、ネック22にかぶせてロックするためのものである。図に示す例において、これはクリック動作であって、リング113には、ネック22に形成された周縁リムに上からクリックでかみ合うように設計されたクリックヘッドまたは戻り止めヘッドが形成されている。ここでもまた、これは実装の1つの特定の形にすぎず、この形態は限定的な意味合いを含まない。実際には、本発明において他の固定手段を用いることもできる。リング113については、チャンババレル111と共に一体構造の部品として作る必要さえない。ねじ留めまたはクリンピングによる装着も考えられる。ソケット11には固定スリーブ116がさらに形成されており、当該スリーブは、リング113の延長部分として上方向に延びている。効果的な構成として、この固定スリーブ116を角度付けされた複数のスリーブ部分のみを備える形とすることで、スロットが形成されている、という形にすることができる。このようにすれば、固定スリーブ116は、スロットによって隔てられたいくつかの角度付けされた部分で成ることになる。ソケット11がネック22に設置されると、チャンババレル111は、少なくとも一部がネック22の開口部の内部まで入り込む。吸入スリーブ114は容器20の内部に置くことができる。このように、容器20に貯蔵された流体製品は、吸入弁が開けられた後(すなわち、移動可能な装置15がそのシート115から持ち上げられた後)、スリーブ114を通ってソケットの内部まで入り込むことができる。
【0011】
キャップ12は、外部スカート121を有し、当該スカートは、効果的な構成としてクリック動作によりリング113にかぶせられるものである。スカートは貯蔵器2の上に載せることができる。スカート121はリング113を取り囲んでいる。スカート121には投与フェルール126が形成されており、当該フェルールには投与開口部127が形成されている。また、スカート121は固定スリーブ116とも接触している。キャップ12は内部ブッシング122を有し、当該ブッシングはスカート121の内部に同心の形で延びている。ブッシング122とスカート121とは、上端でつなぎ合わされている。スカート121とブッシング122との間には環状リングが形成されており、当該環状リングによって投与開口部127に通じる出口チャネル129の一部が形成されている。ブッシング122は下方向に延びて、その先は下側ブラケット128となっている。下側ブラケット128は誘導ブッシング123を支持しており、当該誘導ブッシングは上方向に延びている。そのさらに内側において、下側ブラケット128は支持スリーブ124に接続されている。このスリーブ124は、下側ブラケット128に対して上方向にも下方向にも延びている。支持スリーブ124は縦方向の垂直スロットの形をした切り抜き部分124’を少なくとも1つ有する。このスロット124’は下側ブラケット128のすぐ下まで延びている。支持スリーブ124のうちこのスロット124’の下には、環状ビード125が形成されており、当該環状ビードは径方向内向きに延びている。このビード125は、支持スリーブ124の内壁から突き出した一種の突出部を形成している。支持スリーブ124の端部は、ソケット11に形成されたチャンババレル111の上側端部にはめ込まれている。好ましい構成として、支持スリーブ124とソケット11との間の接触は隙間のない形となっている。下側ブラケット128は環状ブラケット112から間隔をあけて置かれており、その結果、ここでも出口チャネル129の一部が形成されている。この部分129は投与開口部127に直接接続されている。よって、以下のように言える。チャンババレル111の延びた先が支持スリーブ124である、という形にほぼなっており、当該スリーブはスロット124’によって側面出口を提供している。それから当該スロットは出口チャネル129を介して、投与開口部127が形成されたフェルール126まで通じている。
【0012】
弾性素材で作られた部分13はアンカークラウン136、弾性伸縮可能なスリーブ131、そしてピストン135を有する。弾性素材で作られた部分13は一体構造の部品として作られている。アンカークラウン136は支持スリーブ124の頂上部分に上からはめられる。クラウン136にリップを形成し、当該リップはブッシング123とスリーブ124との間で延びている、という形にすることができる。そうして、アンカークラウン136はキャップ12に装着されている。スリーブ131は上側端部132を有し、当該上側端部は、クラウン136と下側端部133とに接続されており、この下側端部はピストン135に接続されている。スリーブ131はスリーブ124およびチャンババレル111の内部に延びており、ピストン135はチャンババレル111の内部に置かれている。スリーブ131は伸縮によって変形する特性を有し、そのため長さまたは高さを大きく変化させることが可能である。さらに、スリーブはまた、径方向内向きおよび外向きに変形する特性を有する。さらにわかりやすく言えば、スリーブは、ほぼ筒状または先細の形をした弾性的に伸縮可能なパイプの一部分にたとえることができる。図に示す場合において、スリーブの形はわずかに先細となっている。実際に、スリーブの上側端部132における断面は、下側端部133における断面よりわずかに大きくなっている。スリーブ131とピストン135とは、チャンババレル111の内側で隙間のない形で接触をする必要はない。実際、ピストンとバレルとの間には隙間が存在してもよい。スリーブ131は支持スリーブ124の内部に延びているため、その外壁130はビード125の周縁部で接触する必要がある。本発明によれば、この接触は隙間のない形となる。したがって、チャンババレル111、ビード125から先に延びるスリーブ124の下側部分、スリーブ131の下側部分、ピストン135、そして移動可能な吸入弁装置15が共に、容積可変の投与チャンバ10を形成している。スリーブ131をさまざまな度合いまで引っ張ると、バレル111の中のピストン135が移動し、投与チャンバ10の内部容積が変化させられる。
【0013】
ピストン135の移動を可能にするため、投与装置はプッシュロッド14を有し、当該プッシュロッドには保持スカート144で縁取られた受け面141が形成されており、前記保持スカートは誘導ブッシング123を囲む形でロックされている。さらに、プッシュロッド14は駆動ロッド142を有し、当該駆動ロッドはピストン135にかぶさる形でロックされている。容易に見て取れるように、プッシュロッド14の受け面141を押さえることによって、ロッド142はスリーブの中に押しやられ、その結果、ピストン135は吸入弁の方へ移動させられる。それから、スリーブは弾性伸長により変形され、その外壁130は外部周縁ビード125に隙間なく接した形でスライド移動する。投与チャンバ10の内部の圧力が特定のしきい値より大きくなった時点で、スリーブは(すでに弾性的に伸びているが)、径方向内向きに変形し、ビード125から浮く形で離れる。それによってできる隙間が圧力を受けた流体製品の出口路となり、当該流体製品はそれからスロット124’、出口チャネル129を通って流れ、投与開口部127に達する。圧力がこのしきい値よりも下になると、スリーブの外壁130はビード125に再び接して隙間のない接触状態に戻る。その時、ビード125は出口弁のシートの機能を果たし、スリーブの外壁は移動可能な出口弁装置の機能を果たし、両者は選択的に隙間のない形で接触状態となる。しかし、留意すべき点として、スリーブはスライド移動しているため、スリーブの外壁130の接触は動的な接触である。実際に、駆動段階の初期において、ピストン135は移動し、スリーブ131を伸ばす。それから外壁130はビード125の上すなわち内側を隙間のない形で接触した状態で移動する。
【0014】
本発明では、単一部品、すなわちスリーブ131が、戻しスプリングと移動可能な出口弁装置との両方の機能を果たすゾーンを形作る(形成する)。または、スリーブがそのゾーンによって形成されている。加えて、スリーブをシートの内側に置くことによって、投与開口部が容器に対して固定されている、というディスペンサを作ることができる。実際に、プッシュロッド14の移動は投与開口部に全く影響を与えない。出口弁シートはスリーブの相対的に幅の狭くなった箇所を形作っており、当該箇所において、スリーブの上側端部と下側端部とを隔てる想像上の直線が横切っている。このように、スリーブの外壁130がシートビード125の上に隙間のない形で接触する、という事態が起こるのは、プッシュロッド14に力が加えられるにつれて次第に大きくなる圧力の力のおかげである。言い換えれば、プッシュロッド14への力が大きくなればなるほど、スリーブはより強くシートに押し付けられる。しかし、投与チャンバ10の内部で圧力が十分に高い数値に達した時点で、このスリーブとシートとの間の接触は絶たれる。その結果、事前圧縮力が生じ、これによってディスペンサの動作は強化される。スリーブ131は、ここでは、ほぼ直線状すなわちまっすぐな形で延びている。しかしながら、出口弁125のシートが、幅の狭くなった部分をより大きく形成しており、その結果スリーブはX形またはY形の形をとっている、という実装方法を考えることも可能である。シートによってスリーブの幅が狭くなればなるほど、出口弁を開けるための力のしきい値は高くなる。
【0015】
ここでは示さないが、1つの実装の形によれば、ディスペンサが、屈曲または圧縮により変形可能な部品を有し、当該部品は1つのゾーンにおいてスプリングと出口弁との両方の機能を果たす、という形にすることもできる。
本発明を用いれば、容易に成形される少数の部品から作られ、製造コストを減少させることが可能である、という投与装置を作ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による流体製品の投与のための装置が備えられた流体製品ディスペンサを休止位置において横から見た垂直断面図である。
【図2】図2と同様の図であり、駆動位置における図である。
【図3】図1のディスペンサ装置の拡大図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体製品を投与するための装置(1)であって、流体製品を取り出すため流体製品容器(20)に設置するためのものであり、前記投与装置は容積可変の流体製品投与チャンバ(10)を有し、さらに前記投与装置は、
チャンバ(10)と容器(20)とを流体が流れる形で通じさせることを目的とした吸入弁(15、115)であって、シート(115)と移動可能な装置(15)とを有する、という前記吸入弁と、
プッシュロッド(14)を押さえることで移動させることが可能であり、その移動によって、チャンバ(10)の容積を変化させ、チャンバの中に格納された流体製品に圧力を加える、というピストン(135)であって、戻しスプリング手段(131)によって休止位置に保持される、という前記ピストン(135)と、
圧力を受けた流体製品がチャンバ(10)から出て投与開口部(127)に流れるようにするための出口弁(131、125)であって、弁シート(125)と移動して前記シートと隙間のない形で接触したり離れたりすることができる移動可能な弁装置(131)とを有し、戻しスプリングと移動可能な出口弁装置とは弾性伸張によって変形可能な一体構造の部品(131)から形成されており、部品(131)はシート(125)と隙間のない形で接触する壁(130)を有し、シート(125)は環状である、という前記出口弁と、を有し、
特徴となるのは、
部品(131)はシートの内側を隙間のない形でスライド移動することである、
という前記装置。
【請求項2】
部品はスリーブ(131)によって形成されており、当該スリーブは弾性的に伸縮させることができ、ほぼ筒状で、また、弾性的に内向きに変形させることが可能であること、
を特徴とする請求項1に記載の投与装置。
【請求項3】
スリーブ(131)は外壁(130)を有し、当該外壁はスリーブを取り囲む環状の周縁シート(125)と隙間のない形で接触しながらスライド移動するよう作られていること、
を特徴とする請求項2に記載の投与装置。
【請求項4】
スリーブ(131)は一体構造の部品(13)として形成されており、また、当該スリーブにはピストン(135)とアンカー手段(136)とが形成されていること、
を特徴とする請求項2または3に記載の投与装置。
【請求項5】
スリーブ(131)は、徐々に伸ばされていくのに従い、徐々に強くなっていく形で圧力を加えながらシート(125)に対して接触すること、
を特徴とする請求項2、3または4に記載の投与装置。
【請求項6】
部品(131)は、アンカー手段(136)につながる固定端部(132)と移動可能な端部(133)とを有し、ピストン(135)は当該移動可能な端部(133)に連結されていること、
を特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の投与装置。
【請求項7】
ピストン(135)と部品(131)とは単一構造の部品として製造されること、
を特徴とする請求項6に記載の投与装置。
【請求項8】
出口弁シート(125)は、吸入弁シート(115)に対して固定されていること、
を特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
出口弁シート(125)は、プッシュロッドに対して移動可能であること、
を特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
投与開口部は、吸入弁シート(115)と容器とに対して固定されていること、
を特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
流体製品容器(20)と請求項1乃至10のいずれかに記載の投与装置(1)とを有すること、
を特徴とする流体製品ディスペンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−522266(P2006−522266A)
【公表日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505712(P2006−505712)
【出願日】平成16年3月11日(2004.3.11)
【国際出願番号】PCT/FR2004/000580
【国際公開番号】WO2004/082356
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(502343252)バルワー エス.アー.エス. (144)
【Fターム(参考)】