説明

流体試料の調製及び分画分配機器、この機器を含む分配システム、及び関連方法

本発明は、流体試料の調製及び分画分配用機器(1)、システム、及び方法に関する。本発明の機器は、本体(2)を含み、本体(2には、機器内で移動する採取部材(10)を受け入れ且つ案内可能な案内手段(3)と、この採取部材(10)によって室内に分配された流体試料のアリコートを、適当な試薬流内で調製するための少なくとも1個の調製室(4,5)とを含む。案内手段(3)は、調製室(4,5)を貫通すると共に、案内手段内における採取部材(10)の所定位置において、室内の流体アリコートを分配するために調製室と連通する。調製室(4,5)は、少なくとも1個の試薬を室内に導入し、試薬をアリコートと混合するための開口(4a,5a)と、このアリコート及びこの試薬によって形成される混合物を、回収及び分析の少なくともいずれかを行う手段(26,27)へ向けて分配するための少なくとも1個の分配機器(4b,5b)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物調剤であれ他のものであれ、流体分析の分野に関する。
本発明の分野は、特に、人間由来であれ動物由来であれ、血液等の生物流体の分析の分野であり、また特に、この分析を自動で行うための血液分析及び設計システム並びに方法である。
【0002】
即ち、本発明は、自動分析のために、血液試料の調製及び分画分配用機器、例えば、このような機器を含む血液試料の採取、調製、及び分画分配用自動システム、及びこのようなシステムを使用する血液試料の調製及び分配方法に関する。
【0003】
本願において、「血液試料」という用語は、患者から得られた血液試料から得られ、抗凝血薬と混合され、且つストッパによって開放又は閉鎖させられる管等の容器に入れられ、また治療を受けておらず、更に汚染されていない所定量の血液を意味するために使用される。従来、このような血液試料は、全血であると言われている。
【0004】
血液試料の分析は、様々なパラメータを測定すると共に、血液の様々な成分要素を計数するのに役立ち、これにより、患者の健康状態に関する情報が得られる。
このパラメータには、特に、赤血球及び白血球、ヘモグロビン、或いは更に血小板の数を含む。
【0005】
この分析は、患者の血液における様々な対象要素の含有量を判定することを可能にする採取及び測定用自動システムを組み入れた自動機器(分析器)を使用して行われる。
血液試料における対象パラメータを測定するために、この試料が所定量の一般的にはアリコートと呼ばれる小さい部分に分画させられることが必要である。これらアリコートは、当初の血液試料から作られたアリコート内で、血液試料のパラメータ値を決定することを可能にする様々な試薬を使用して、調製(実際には混合)され、これは特に、光学測定システムによって行われ、これにより、対象成分全ての分析結果が得られる。
【0006】
分析速度を最適化するために、そしてまた、使用される試薬の量を最小減にするために、分析を行うために必要とされる様々な血液のアリコートが、単一の機会に得られると共に、管に収容された単一の血液試料から得られ、アリコートは、適当な手段によって得られる。
【背景技術】
【0007】
目下、血液試料を多数のアリコートに分画するために、またそれらを、行われる予定のこれら多様な分析に適当な試薬と混合させるために、多様な機器が知られている。
最初に、例えば、本願出願人の出願による特許文献1によって教示されるような、採取弁が知られている。
【0008】
この採取弁は、自動分析器が高速で作動するのを可能にし、またそれらは、最上位機種の機器でのみこれまで使用されている。なぜならば、この弁は、製造及び調整に費用がかかるからである。
【0009】
更に、採取弁は、定期的且つ複雑な維持管理を必要とするという欠点をもたらし、それ故、それらを作動させるのにより費用がかかるようになっている。また、採取弁は、分析を行うのに理論上必要な量よりも多い血液量を必要とするという欠点をもたらす。
【0010】
血液試料を分画するための他のシステムが開発されてきた。一例として、TOA メディカル(TOA Medical)の名義で出願された特許文献2又は特許文献3の文献に関する言及がなされ得る。これら両文献において、血液試料は、開放管から得られ、且つ管ストッパを貫通するシステムは存在しない。血液分画(又はアリコート)は、1個又は複数の混合容器で、(複数の)試薬と混合される。最後に、等分を可能にするのは、弁の可動部分である。
【0011】
デード ベーリング(Dade Behring)により出願された特許文献4に関して言及されてもよく、本文献において、試料は、ストッパによって閉鎖される管から得られる。しかしながら、その文献においてはまた、試料の試薬との混合は、混合容器で行う。また、試料採取針が、混合容器の上方で、水平方向に移動させられる必要がある。
【0012】
血液試料を多数のアリコートに分画させる別の種類のシステムも知られており、本願出願人の名義である特許文献5に記載されている。
本文献に記載される機器は、血液試料が得られる管を貫通すると共に、空気を管に入れる第1突刺し管からなる試料採取部材と、管から血液試料を採取するために、突刺し管内部で同軸上に取り付けられ、次に、管から得られた試料からの様々なアリコートを、異なる分析容器内において、夫々の試薬流に分配する針とを有する。本システムの試料採取部材は、所定量の血液を、分析のために、血液の管から吸入し、次に、適当な試薬と混合されたアリコートを、様々な分析容器に分配するためのシリンジに連結される。この試料採取部材は、血液試料を分析のために得て、次に、夫々の血液アリコートを測定容器各々に分配するべく、血液の管へ入ることができるように、モータ駆動手段によって垂直方向及び水平方向の両方へ移動可能である機器に取り付けられる。従って、システムは、上述の採取弁の欠点を有することなく、多数のアリコートが、単一の血液試料から、極めて正確に分配されることを可能にする。
【0013】
それにも拘わらず、特許文献5に記載される分画分配システムもまた、完全に満足のいくものではない。
先ず、血液試料を管から採取するためであり、また続いて、この試料の様々なアリコートを分析容器へ分配するための試料採取部材の複数方向への移動は、試料採取部材を正確に調整されるように移動させる機械式システムを必要とする。また、所定の変動量を時間と共に正確に観察することを可能にし、これに伴い、試料採取部材は、血液アリコートを分析容器へ分配する時に、試薬をこの容器へ導入するためのオリフィスと相対的に位置決めされる。
【0014】
更に、特に極めて特定の条件下で、同軸突刺し管及び試料採取針を伴う本システムの試料採取部材は、この管の連続する貫通作用の結果として、汚染を被りかねず、その結果、ストッパ又は乾いた血液の小片が、針及び突刺し管内部の間に絡まり、それ故、アリコートの調製が妨げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】仏国特許出願第FR2622692号明細書
【特許文献2】米国特許第5254313号明細書
【特許文献3】欧州特許第0543544号明細書
【特許文献4】国際公開第2005/010488号パンフレッド
【特許文献5】欧州特許出願公開第0913680号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、溶解し、或いは少なくとも希釈することが可能な流体試料、特に血液試料の調製及び分画分配機器を提供することにあり、分画分配機器の問題点は、従来技術において周知である。
【0017】
本発明の別の目的は、これまで周知であったシステムよりも、製造するのにより簡易であると共により安価であり、且つ時間に伴う維持管理をより簡易に行うことができる調製及び分画分配機器を提供することにある。
【0018】
本発明の別の目的は、欧州特許出願公開第0913680号に記載される分配システムによって可能とされる速度よりも速い速度で、作動が行われることを可能にする血液試料分画分配機器を提供することにある。
【0019】
本発明の別の目的は、試料採取部材が汚されるという問題、及び血液試料が分析前に汚染されるという問題を排除することを可能にし、且つ血液試料を希釈すると共に分析するために使用される試薬の量を制限することも可能にする血液試料の調製及び分画分配機器を提供することにもある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
これらの様々な目的を達成するために、本発明は、管に入れられた流体試料、特に血液の調製及び分画分配機器を提案し、この機器は、内部に形成される本体を含むことにおいて特徴付けられ:
・流体試料を採取すると共に、その血液試料を機器内において、YY’軸に沿う移動の間に案内する試料採取部材を受け入れるように構成される案内手段と、案内手段は、機器をYY’軸に沿って貫通する導管によって構成されると共に、この機器の両側に開放しており、導管は、流体試料採取部材を受入れると共に、流体試料採取部材を、その端が流体を入れた管に導入されるまで、機器を通りYY’軸に沿う移動の際に案内するように整形され;
・前記試料採取部材によって室に分配された流体試料のアリコートが、適当な試薬流内で調製されることを可能にする少なくとも1個の調製室とを含み;
・案内手段は、調製室を貫通すると共に、前記流体試料の前記アリコートが、案内手段内の所定の位置にある試料採取部材によって、室に分配されることが可能であるように、調製室と連通しており;
・調製室は、試薬を前記アリコートと混合させるために、少なくとも1個の試薬を室に導入するための導入オリフィスと、前記アリコート及び前記試薬によって形成される混合物を、回収及び分析の少なくともいずれかを行う手段に分配するための少なくとも1個の分配オリフィスとを含む。
【0021】
本発明の機器本体は、有利には、生物学的に不活性な材料、例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ガラス、テフロン(登録商標)、PEEK、又は現実にはステンレス鋼等の単一片として、又は複数片として形成され、また前記案内手段及び前記(複数の)希釈室は、内部に機械加工され、圧入され、或いは熱成形される。
【0022】
本発明の機器は、特に、血液等の流体試料の分画を、例えば複数のアリコートの形態で、完全な作動安全性を伴い、且つ汚染又は閉塞の危険を有することなく、コンパクトに調製及び分配することを可能にする一方で、調製が極めて正確であることを保証する。
【0023】
回収及び分析の少なくともいずれかを行う手段へ分配される前に、流体アリコートは、機器に組み入れられた少なくとも1個の調製室で直接調製され、補助的な反応容器では調
製されない。これにより、アリコートを補助容器で分配するための試料採取部材の様々な移動に関連する安定性の問題が排除される。更に、本発明はまた、分析器の全体寸法を減少させると共に、機器を作動させるために必要とされるモータの数を減少させることを可能にする。これは、機械要素に関連する危険を低減させるのに役立つ。
【0024】
本発明の機器はまた、必要な場合には、好適には1個ずつ積み重なった複数の調製室を有することを可能にし、ひいては、試料採取部材を、機器の案内ダクト内において、数ミリメートルに亘り移動させるだけで、多数の異なる流体試料アリコートが略同時に調製及び分配される点において、モジュラーでもある。
【0025】
本機器はまた、複数のアリコートを、同じ調製室で連続して調製及び分配することを可能にする。
試料採取部材が、管に導入される前に、機器を完全に通過するために、管、即ち分析用の流体を入れた容器が、試料採取部材が機器本体を通る面の反対である本体の面にもたらされることが必要である。典型的には、管は、機器の底面にある案内手段のオリフィスと対向する機器の下にもたらされる一方、試料採取部材は、その上面を通り、機器の案内手段に導入されると共に、流体を管から分析のために吸い上げるために、管を貫通する前に、機器を通過する。
【0026】
従って、この調製及び分配機器は、いかなる可動部品も有さず、それ故、システム全体が極めて頑丈になる。本発明の機器は、試料採取部材、通常は針を、単一軸に沿って案内するのに役立つ。従って、試料採取部材は、流体を採取すると共に、様々な流体アリコートを分配する時に、従来の分画分配機器のように、水平方向に移動することはなく、ひいては、これらのシステムの欠点を回避する。
【0027】
本発明の別の好適な特徴によれば、(複数の)調製室は、機器を通過する導管によって構成されることにより、2個のオリフィス、即ち調製室の導入オフィリス及び分配オリフィス夫々が形成される。
【0028】
従って、試薬との混合は、機器の内部において、(複数の)調製室で直接行うのであって、従来技術で提案されるように、補助容器では行わない。この形態は、機器の全体寸法を減少させると共に、調製されたアリコートが汚染される危険を減少させることを可能にする。
【0029】
更に本発明によれば、(複数の)調製室は、前記案内手段の前記YY’ 軸と好適には
直角な軸に沿って配向される前記導管によって構成される。
この形態は、流体アリコートを迅速に(複数の)調製室内に分配すると共に、それらアリコートをこの(複数の)室で試薬と調製することをより容易にする。
【0030】
別の有利な特徴によれば、機器は、案内手段に導入された前記試料採取部材を洗浄する洗浄器手段を含む。
これら洗浄器手段は、特に、案内手段と列をなして形成されるすすぎ室を含み、すすぎ室は、すすぎ液を導入するための少なくとも1個の手段と、このすすぎ室を排出させると共に、すすぎ液を取り除くための少なくとも1個の手段と連通する。
【0031】
本発明機器の案内ダクトにおける前記試料採取部材の垂直方向への移動の間に、これら洗浄器手段は、特に、最大量の潜在的な汚れを、汚れがストッパの粒子であれ、或いは分析用流体が血液である時には、ストッパ上の乾燥した血液であれ、前記試料採取部材から取り除くように作用する。
【0032】
更に、本発明の機器の特定実施形態において、洗浄器手段はまた、案内手段における前記試料採取部材の移動においての移動の間に、機器の案内手段に導入されたこの試料採取部材の外面をふき取るように、案内手段と列をなして載置される少なくとも1個のワイパガスケットを含む。
【0033】
前記調製室及び試料採取部材の間に密封をもたらすシステムは、調製室各々を物理的に隔離するという目的のために、機器に含まれる。本発明の特定実施形態において、密封システムはOリングであってよい。
【0034】
本発明の別の態様は、流体試料、特に血液を採取し、調製し、且つ分画分配するシステムに関し、システムは、上述されたように、調製及び分画分配機器を含む。
本発明によれば、このようなシステムは、とりわけ、
・流体、特に血液を入れた管のストッパを貫通するのに適当な端部と、空気がこの管に送達されるのを可能にすると共に、管内の流体試料を吸い上げるのに適当な少なくとも1個のオリフィスとを有する試料採取部材、特に針と、オリフィスは、前記試料採取部材の側方に位置させられると共に、前記端部から後退させられており;
・流体試料を吸い上げると共に送出するための少なくとも1個の手段と、この手段は、試料採取部材と連結されており;
・上述された本発明の少なくとも1個の調製及び分配機器と、前記試料採取部材は、その案内手段に挿入されており、前記試料採取部材は、案内手段内でのYY’軸に沿った移動の際に移動可能であり;
・選択された量の少なくとも1個の試薬流体を分配するための少なくとも1個の手段と、この手段は、調製及び分配機器の少なくとも1個の調製室の導入オリフィスに連結されており;
・流体試料アリコート及び所定量の試薬の混合物の収容及び分析の少なくともいずれかを行う少なくとも1個の手段とを含み、この手段は、調製及び分配機器の調製室の分配オリフィスに連結される。
【0035】
従って、流体試料を採取し、調製し、且つ分画分配する本発明のシステムは、「オールインワン」タイプのシステムである。
従って、システムは任意で、おそらく、空気流を大気圧にするべく形成し、アリコートを流体試料から得、且つそれらアリコートを1個又は複数の適当な試薬と調製し、このようにして調製されたアリコートを回収及び分析の少なくともいずれかを行う容器へ分配し、且つ機器を全体として洗浄するために、試料が得られる管のストッパを貫通することが可能である。
【0036】
試薬は、(複数の)調製室において、調製及び分配機器で直接混合される。
加えて、調製機器の洗浄手段は、最大量の潜在的な汚れを、その汚れがストッパ上の乾燥した血液であれ、或いは試料採取部材の端部におけるストッパの粒子であれ、除去するように作用する。
【0037】
複数の調製室を積み重ねることができるので、これらの効果全ては、費用が低減させられることを可能にし、使用に際して多用性をもたらすと共に、最後に、血液アリコートを分配するために、針が容器に接近することが必須ではないので、一体化をより柔軟なものにする。
【0038】
加えて、アリコートの量は、分析要件の関数として変更されてよい。
最後の効果において、試料採取部材の先端が排出物によって汚染されたとしても、流体アリコートを分配するためのオリフィスが、試料採取部材上において側方に載置されるので、その先端は決して、調製室と接触することなく、従って、いかなる汚染も回避される

【0039】
様々な好適な形態において、本発明のシステムは更に、以下の有利な特徴を含む:
・試料採取部材をすすぐために、少なくとも1個のすすぎ流体を分配する手段。この手段は、すすぎ流体を調製及び分配機器のすすぎ室へ導入する手段と、前記すすぎ流体を吸い上げ且つ回収する手段に連結されており、この手段は、前記調製及び分配機器のすすぎ室から、すすぎ流体を排出及び除去するための手段と連結される。
【0040】
流体試料を採取し、調製し、且つ分画分配する本発明の上記システムは、自動分析機における分析のために、流体試料、特に血液の分画分配操作を容易にする。
本システムは、とりわけ、以下の工程を使用して、血液試料の分画分配を行うことを可能にする:
a)管に入れられた流体試料を、システムの試料採取部材に吸い上げる工程。試料採取部材は予め、試料採取部材の端部が、流体を入れた管に導入されるまで、機器を通るYY’軸に沿った移動において、移動するように案内されており;次に
b)試料採取部材のオリフィスが、調製及び分配機器の少なくとも1個の調製室へもたらされるまで、調製及び分配機器の案内手段のYY’軸に沿った移動において、前記試料採取部材を典型的には上方へ移動させる工程。;そして最後に
c)同時に或いは別な状態で、得られた流体試料アリコートを、試料採取部材のオリフィスを介して、また所定量の試薬流体を、調製及び分配機器の調製室へ分配する工程。前記アリコート及び前記所定量の試薬流体は混合され、次に、試薬流体の圧力下で合わせて、調製及び分配機器の分配オリフィスを介して、前記混合物の回収及び分析の少なくともいずれかを行う手段へ排出される。
【0041】
本発明の調製及び分画分配方法はまた、流体試料が管から得られた後、且つ前記アリコートが調製及び分配機器の前記調製室へ分配される前に、流体と接触している試料採取部材が、調製及び分配機器の洗浄器手段を使用して洗浄されることを規定する。これにより、試料採取部材が汚され、ひいては、分析が妨害されることが排除され、或いは少なくとも最小減にされる。
【0042】
最後に、流体試料が得られる管が、減圧状態にある時に、本発明方法は、前記流体試料をストッパによって閉鎖された前記管から採取する前に、この管の内圧は、必要に応じて、前記試料採取部材によって、平衡状態にもたらされることを規定する。
【0043】
本発明の他の特徴及び効果は、非限定的な例証によって為される以下の説明を読んで、且つ添付の図面を参照すると、より良好に現れる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1A】本発明に係る好適な実施形態における調製及び分画分配機器の斜視図。
【図1B】図1Aに示される調製及び分配機器の長手方向中央平面断面図。
【図2】本発明に係る血液試料の採取、調製、及び分画分配システムであって、本システムは図1A及び図1Bに示される調製及び分画分配機器を組み入れた図。
【図3A】本発明方法に係り、図2に示されるシステムにおいて、どのようにして血液試料の採取工程、調製工程、及び分画分配工程が行われるかを示す図。
【図3B】本発明方法に係り、図2に示されるシステムにおいて、どのようにして血液試料の採取工程、調製工程、及び分画分配工程が行われるかを示す図。
【図3C】本発明方法に係り、図2に示されるシステムにおいて、どのようにして血液試料の採取工程、調製工程、及び分画分配工程が行われるかを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0045】
機器、この機器を含むシステム、及びシステムを使用する方法は、とりわけ、血液分析を目的としているが、それらは同様に、あらゆる種類の流体分析における使用にも適している。それにも拘わらず、以下の説明は、血液試料の血液分析の分野における用途にのみ焦点を当てている。
【0046】
最初に、図1A及び図1Bを参照すると、本発明の第1態様において、試料を複数のアリコートに分割すると共に、それらアリコートを様々なパラメータを測定するために調製及び分配することを自動的に行うことを可能にする試料調製及び分画分配機器1が示されている。
【0047】
機器1は、本質的に、本体2を含み、本体2はそのYY’軸上において、機器本体2の上面及び下面に開放する円柱状ダクト3によって、貫通させられている。
開放端ダクト3は、試料を採取するための部材を受け入れると共に、その試料を、機器1のYY’軸に沿った移動において案内するように適応させられる案内手段を構成し、このような部材は、図示されると共に、図2以下を参照して以下に説明される針10であってよい。
【0048】
ダクト3に加えて、機器1の本体2はまた、互いの上に重ねられる調製室4及び5を有し、それら各々は、夫々の軸上で、本体2を貫通するダクトによって形成され、この軸は好適には、互いに平行であると共に、機器1のYY’軸と交差する。
【0049】
両方の調製室4及び5は、機器1の本体2を垂直方向に貫通する垂直方向案内ダクト3と交差し、ひいては、試料採取部材がない状態では、調製室はダクトと連通する。
更に、各調製室4及び5は、その両端において、第1開放オリフィス及び第2開放オリフィスを有し、それらオリフィスは夫々、少なくとも1個の分析試薬を導入するための導入オリフィス4a及び5aと、調製室4,5各々において調製される前記試薬及び血液アリコートから形成される混合物を分配するための分配オリフィス4b,5bとを形成する。
【0050】
針等の試料採取部材が前記案内ダクトに挿入された時に、調製室4及び5各々と案内ダクト3の間の良好は密封を保証するために、機器1は、その本体2に密封ガスケット6を含み、このガスケットは、案内ダクト3及び調製室4及び5各々を相互連結するための開口のいずれか側に載置される。また、密封ガスケットの、少なくとも(複数の)調製室の(複数の)底面に載置されるものが、試料採取部材がない状態で、ガスケットの中心オリフィスが閉じるように、弾性をもたらすならば有用であることが分かる。これは、試料採取針がガスケットにもはや係合させられていない時に、あらゆる流体の下方への損失を回避すると共に、あらゆる可能な汚染を回避する。このガスケットが無いならば、調製室内での混合操作の間に、針が問題になっている調製室のガスケットのオリフィスを閉鎖するように、一連の機器操作があることが必要である。
【0051】
機器1の本体2はまた、案内ダクト3を機器のYY’軸上に延長させるように形成されるすすぎ室7を含み、このすすぎ室は、案内ダクト3に開放すると共に、その上端を介して案内ダクト3と連通するダクトを構成する。
【0052】
すすぎ室7は、その下端において、機器1の本体2の底部を通り形成される供給ダクト8と連通すると共に、その上端において、機器の本体2に同様に形成される排出ダクト9と連通する。
【0053】
これらのダクト8及び9は夫々、機器の案内ダクト3に挿入された試料採取部材が、以下に説明されるように、機器1のYY’軸に沿った移動において移動しつつ、この機器が
作動中である時に、その試料採取部材の端部を洗浄することを目的として、すすぎ液を室へ導入すると共に、そのすすぎ液をそこから抜き取る。
【0054】
加えて、機器1はまた、ガスケットと、また適切な場合には、試料採取部材が室7に入る時に、試料採取部材上に載せられかねないあらゆる汚れを取り除くことを目的として、室7の開放端に、ワイパガスケットとを有する。このワイパガスケットは、調製室を物理的に隔離するために使用される密封ガスケットと同じ性質を有してよいが、他の性質を有するものであっても、同様によい。
【0055】
本発明の調製及び分画分配機器の本体2は、有利には、生物学的に不活性な材料から作られてよい。材料は、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリエチレン、ガラス、ステンレス鋼、テフロン(登録商標)、又はPEEK、又は当該技術分野に属する者には周知の他のあらゆる材料であってよい。
【0056】
更に、本発明の機器1の本体2が、例えば成形によって、単一片として作られることも可能であるが、図1A及び図1Bの実施形態に示されるように、本体2を、互いに組み立てられるのに適当な別個のモジュールから造られるモジュール形態に作ると好適であり、例えばとりわけ、1個又は複数の調製室を作るモジュール2aと、調製室をもたらすために、(複数の)モジュール2aを被覆するモジュール2bと、また内部に形成され、供給及び排出ダクト8及び9を備えたすすぎ室7を有するモジュール2c等であって、モジュール2b及び2cは夫々、モジュール2aの下で、適当な係合又は連結手段によって、とりわけモジュール2a、2b、及び2c各々の係合面に形成されるほぞ及びほぞ穴手段、又はさね及び溝手段によって、係合されると適当であり、アセンブリは、アセンブリねじによって、確実に合わせて保持される。
【0057】
本発明の調製及び分画分配機器の本体2のモジュラー構成は、機器1が、使用される自動分析機のタイプに応じて機能的なモジュール性を有することができるという特定の効果を呈する。
【0058】
とりわけ、モジュラー構成は、モジュール2aの数を増やすと共に、それらを互いに積み重ねることにより、機器1の調製室の数を適応させることを可能にし、各モジュールは、1個の前記室を画定する。
【0059】
加えて、本体のモジュラー構成はまた、機器1を分解されるのに適当であるようにすることにより、維持管理をより容易に行えるようにするという効果をももたらし、ひいては、先ず、モジュール2a,2b,2c各々を定期的に洗浄することを可能にし、また、モジュラー構成の本体において、ガスケットは、機器の長手YY’軸に 形成される案内ダクト3の軸上の円柱状穴ぐりに受入れられるので、機器の密封ガスケット6各々を容易に変更することを可能にする。
【0060】
従って、密封ガスケットが破損した時に、破損したガスケット6を除去すると共に、それを新しいガスケットと取り換えるために、機器のモジュール2a,2b,及び2cを隔離し、次にアセンブリを再度組み立てるのに十分である。
【0061】
機器1の本体2が単一片として作られるならば、次に、密封システムが設けられると共に、単一片2の全て又は一部によって、とりわけ密封システムを作るのに適当である材料から作ることにより、実行され得る。
【0062】
血液試料を調製及び分画分配するための本発明の機器1は、開放していようが、ストッパによって閉鎖されていようが、簡単、安全、且つ迅速に、血液試料を管から採取するこ
とを可能にし、且つ血液試料を極めて少量の複数のアリコートに更に細かく分け、これら様々なアリコートを、調製室4及び5の内部において、選択された量の様々な試薬と調製し、また回収及び分析の少なくともいずれかを行う手段へ混合物を分配することを可能にする。
【0063】
図1A及び図1Bの機器は、本願出願人によって、とりわけ、図2に示されるように、分析される分画液体試料、特に血液試料を採取し、調製し、且つ分配するために、システムS全体の一体部分を形成するように構成された。
【0064】
この採取、調製、及び分画分配システムSは、先ず、上述されると共に、図1A及び図1Bに示され、案内ダクト3に挿入された試料採取部材10を有する機器1を含み、この部材は好適には、機器1のダクト3において、YY’ 軸に沿って挿入される長手状針の
形態をなすと共に、発動機器によって、このダクト3におけるYY’軸に沿った移動において移動可能である。
【0065】
試料採取部材10は、試料採取及び分配オリフィス12が接近して形成される先端第1端11を有し、オリフィス12は、先端から僅かに後退させられており、ひいては、試料採取部材の一方側に配置される。
【0066】
試料採取針10は、単一の側方オリフィス12を有し得るが、管TのストッパBが貫通させられることに起因して生じ兼ねないストッパからの小片の通過を阻止する第1フィルタを構成するように、複数の穴を有してもよい。
【0067】
これらの穴の寸法及び構成は、変更してもよいが、複数の構成を有するように構想することも可能である。しかしながら、(複数の)穴12の(複数の)面積は、調製室の部分よりも決して大きくてはならない。
【0068】
試料採取部材はまた、複数の導管を有してもよく、それら導管の幾つかは、試料を採取するために使用され、また他のものは、必要に応じて、空気を管へ送出するために使用される。同様に、試料採取部材は、複数の試料採取針から作られてもよい。
【0069】
試料採取部材10は、その先端と反対側の端部において、適当な手段によって、血液を吸引及び吐出するための機器13、例えばモータ駆動シリンジ等に連結される。
更に、図2に示されるシステムSはまた、血液を入れた管Tへ空気を供給するための手段を有する。これらの手段は、圧力センサ15に直列に連結される空気連結弁14を含み、圧力センサ15自体は、弁16を介して、試料採取部材10に連結される。
【0070】
有利には、また必要に応じて、これら空気供給手段は、ストッパBによって閉鎖された管Tが、試料が得られる前には、大気圧であることを保証するように作用する。なぜならば、管T内部におけるより高い又はより低い圧力は、管Tでの針10による試料の吸引を妨げるからである。

シリンジ13、空気供給要素14,15及び試料採取針10の間において、試料採取針10及びシリンジ13の間、又は試料採取針10及び空気を管へ供給するための要素14及び15によって構成されるシステムの間に、交互に、且つ所定サイクルの適用において、流通が確立されることを可能にする流体切り替えを行うための弁16が載置される。
【0071】
本図に示されるように、分析用の流体Pを入れた管Tは、調製及び分配機器1の下に、或いは、試料採取部材10が貫通するようにされる機器1の側と反対にある機器1の側面に少なくとも載置される。ここで、管Tは機器1の下面の横に載置され、これは、実際的
な観点から見て、管を機器1の案内手段の下側オリフィスに対向させるように制御するために有利である。別の場合には、より困難ではあるが、管が逆さまに返されるようにすることも、依然として可能であり、更に、試料採取部材は、試料を採取するために、本発明の機器を通り上昇し、そして次に、その試料を調製室へ分配するように下降させられる。
【0072】
機器1の調製室4,5は、試薬導入オリフィ4a及び5a夫々を介して、試薬タンクR1及びR2夫々と流体連結される。このタンクR1及びR2と調製室のオフィリス4a及び5aの間には、例えばモータ駆動シリンジ19及び20の助けを得て、所定量の試薬が各タンクR1,R2から得られると共に、以下に説明されるように、試料採取針によって前記室4及び5へ分配される夫々のアリコートと試薬とを混合するために、調製室4及び5へ導入されることを可能にする弁17,18が配置される。
【0073】
血液アリコート及び試薬の間の混合は、調製室4,5内における試薬流れにおいて、針10からの出口で直接生じる。従って、機器1は、試料及び試薬の間において、より良い混合を可能にする。
【0074】
それら分配オフィリス4b,5bを介して、機器1の調製室4,5は、回収容器及び分析手段21,22の少なくともいずれかと流体連結され、室4,5において形成された混合物は、以下に詳細に説明されるように、それら回収容器及び分析手段21,22の少なくともいずれかへ分配され、各混合物は、前記室において、試料採取部材によって既に載せられた血液アリコート及び試薬の間である。
【0075】
従って、機器を移動させる必要がなく、試薬と混合させられたアリコートは、様々な回収容器及び分析手段21,22の少なくともいずれかへ分配される。試料採取針10は、それらの容器の上方へ移動させられる必要がなく、必要とされることは、試薬と混合された血液を、機器1の希釈室4,5の分配オリフィス4b,5bから容器21,22へ運ぶための夫々のパイプが全てである。
【0076】
システムSはまた、パイプ及び分配ポンプ25を介して、機器1のすすぎ導管8に連結されたすすぎ液タンク23を、パイプ及び吸引ポンプ26を介して、機器1のすすぎ液吸引導管に連結された回収タンク24と共に有する。
【0077】
従って、これらすすぎ手段は、試料採取部材10が、機器1の調製室4,5へ向けて上昇する時に、その試料採取部材10を洗浄することを目的として、タンク23からのすすぎ液を、機器1のすすぎ室7へ導入し、また同時に、導入され、管ストッパの小片と混合された可能性があるすすぎ液を、導管7を介して回収タンク24へ吸い出すことを可能にする。
【0078】
当該技術分野に属する者に周知の方法において、システムS及びシステムSを作る要素の組、特にシステムSの可動要素は、図面には示されていない自動制御ユニットによって駆動及び制御され得る(実際にされる)。この制御ユニットは、特に、システムS及びプログラムされたその構成要素各々の作動を可能にし、またより一般的には、システムSが装備されると共に使用される自動分析器の作動を制御するように作用するデスク及びコンピュータ制御手段を含み得る。
【0079】
本発明の調製及び分画分配機器1の作動、及び採取、調製及び分画分配用であり本機器を組み入れたシステムSの作動は、図3Aから図3Cを参照して、以下に更に詳細に説明される。
【0080】
最初に、図3Aを参照すると、血液試料は、先ず、試料採取針10によって、ストッパ
Bによって閉鎖させられると共に、血液試料Pを入れた管Tから採取される。システムSはまた、ストッパBによって閉鎖されない管Tとの作用も可能であることも分かる。
【0081】
この目的のために、針10は、先端11が管TのストッパBを貫通するまで、機器1の案内ダクト3に沿って、機器1のYY’ 軸に沿う移動において移動させられる。次に、
管Tの内圧が、圧力センサ15を使用して測定される。弁16は、針10のオリフィス12及び圧力センサ15の間の連通を確立する。圧力センサは、管の内部に存在する圧力を判定するために、オリフィス12を介して作用する。管Tが、(よくある状況であるが、開放されておらず、また更に再閉鎖される管で生じるように)減圧状態にあるならば、つりあい弁14が、血液の管Tの内部圧力を再度均衡させるために開放される。
【0082】
大気圧に達すると、弁16は、針10及び空気供給手段14,15の間の流体連通を閉鎖し、且つ針10及びシリンジ13の間の連結を確立する。
次に、試料が針10の(複数の)オリフィス12を介して得られるように、針10が管Tに十分に浸漬されるまで、下降させられる。
【0083】
その後に、分析のために、所定量Vの血液試料を採取するべく、シリンジ13のピストンが作動させられる。
この試料が得られると、針10は機器1内において上昇させられる。次に、この針の端部11は、機器1のすすぎ室7へ貫通し、そこで洗浄される。
【0084】
次に、すすぎ液流を、導管8を介して、且つタンク23から、すすぎ室7へ導入するために、ポンプ25が作動させられる。同時に、ポンプ26もまた、空気及びすすぎ液を室7から、導管9を介して吸い出すために作動させられることにより、試料採取針10に沿って乱流が作り出され、ひいては、試料採取針10が、完全に洗浄させられることが可能とされ、空気及びすすぎ液は、ポンプ26によって吸い出されて、タンク24に収集される。
【0085】
残留性の汚れが針上に留まるならば、第1調製室4の上方に載置されるガスケット6は、残留性の汚れの跡が、試料採取針からふき取られることを可能にする。ガスケット6は、各調製室の間に載置されるガスケットと同一であっても、或いは異なっていてもよいことは分かる。
【0086】
試料採取針10が洗浄されると、次に、図3Bに示されるように、この針のオリフィス12が、機器1の第1調製室4に位置決めされるまで、機器1のダクト3に沿った移動において、再度上昇させられる。
【0087】
次に、シリンジ13は、所定量の第1血液アリコートa1を、調製室4に押し入れる。
アリコートa1が室4に載置されるのと同時に、試薬タンクR1及び調製室4の導入オリフィス4aに連結された弁18が、アリコートa1を試薬と混合するために、シリンジ19によって吸い上げられると共に室4へ押し入れられる所定量の試薬R1を導入するために開放される。
【0088】
混合は、試薬がタンクR1から調製室4へ導入された圧力でおこなわれ、同じ圧力において、次に混合物は、調製室4の分配オフィリス4aを介して、回収及び分析の少なくともいずれかを行う容器21へ分配される。
【0089】
第1アリコートa1が全て分配されると、試料採取針10は、図3Cに示されるように、この針のオリフィス12が、第2調製室5に位置決めされるまで、機器1のダクト3に沿って上昇させられる。
【0090】
次に、第2血液アリコートa2が、調整室5に分配される。更に、シリンジ13のピストンが、アリコットa2を形成するために、所定量の血液を室5に押入れ、また同時に、所定量の試薬を、オリフィス5aを介して室5へ導入するために、分配弁19が開放され、この量は、タンクR2から得られ、試薬は、モータ駆動シリンジ20によって、吸い上げられると共に押出される。
【0091】
次に、アリコートa2が、室5において試薬と混合させられると共に、分配オリフィス5bを介して、回収及び分析の少なくともいずれかを行う第2容器22へ分配される。
その後に、試料採取針10は、ダクト3の下へ、洗浄室7まで下降するように戻され、そこで空にされ、次に、新しい血液試料の採取及び分配の少なくともいずれかを行う新しいサイクルの開始前に、洗浄及び乾燥させられる。
【0092】
従って、本発明の調製及び分画分配機器1、及び本機器を組み入れたシステムSは、単に、針10のオリフィスを本発明の調製及び分画分配機器1の調製及び分配室と整列させることにより、分析用流体を入れた管及び収容及び分析の少なくともいずれかのための容器の間で、針を移動させることなく、流体試料が、多数のアリコートに分画された後に、分配されることを可能にする。
【0093】
最後に、様々な実現方法が、本発明の原則に規定されてよいことが分かる。とりわけ、YY’ 軸は必ずしも垂直でなくてもよく、また分画は、本発明の原則において実現され
てよく、試料採取部材は、本説明で使用されるような垂直方向以外のいくつかの方向に沿った移動において移動する。本発明は、管又は容器が、適切であれば、側方穿孔を受け入れるように適応させられたものであり、機器を貫通する試料採取部材の助けを得て、試料を採取するために、本発明の調製及び分配機器を案内する手段と整列しているシステムに関し、整列軸は垂直、水平、又は任意の角度であることが可能である。調製室が必ずしも液密である必要はないという本発明の特徴が、この構成を可能にする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管(T)に入れられた流体試料、特に血液を調製及び分画分配する機器(1)であって、該機器は本体(2)を含み、該本体は、
・流体試料を採取すると共に、該流体試料を前記機器内において、YY’軸に沿う移動において案内する試料採取部材(10)を受入れるように適応させられる案内手段(3)と、該案内手段は、該機器(1)を前記YY’軸に沿って貫通すると共に、該機器(1)の両側に開放する導管(3)によって構成され、該導管(3)は、前記流体試料採取部材(10)を受入れると共に、該流体試料採取部材(10)を、端部が流体を入れた前記管(T)に導入されるまで、前記機器(1)を通るYY’軸に沿った移動において案内するように整形され、
・前記試料採取部材(10)によって前記室へ分配される流体試料アリコートが、適当な試薬の流れにおいて調製されることを可能にする少なくとも1個の調製室(4,5)とを含み、
・前記案内手段(3)は、前記流体試料の前記アリコートが、前記試料採取部材の前記案内手段内における所定位置において、該試料採取部材(10)によって、前記室へ分配されることが可能であるように、前記調製室(4,5)を通過すると共にそれらと連通し、
・前記室(4,5)は、少なくとも1個の試薬(R1,R2)を前記アリコートと混合させるために、該試薬を前記室へ導入するための導入オリフィス(4a,5a)と、前記アリコート及び前記試薬によって形成された混合物を、回収及び分析の少なくともいずれかを行う手段(26,27)へ分配するための少なくとも1個の分配オリフィス(4b,5b)とを含む
ことを特徴とする機器。
【請求項2】
前記調製室(4,5)は、前記機器を貫通する導管によって構成されることにより、2個のオリフィス、即ち前記調製室の導入オフィリス(4a,5a)及び前記分配オフィリス(4b,5b)夫々を形成することを特徴とする請求項1に係る機器。
【請求項3】
前記調製室(4,5)は、好適には、前記案内手段(3)の前記YY’軸と直角な軸に沿って配向される前記導管によって構成されることを特徴とする請求項2に係る機器。
【請求項4】
前記案内手段(3)に導入された前記試料採取部材(10)を洗浄する洗浄器手段(7,8,9,23,24,25,26)を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に係る機器。
【請求項5】
前記洗浄器手段は、前記案内手段(3)と列をなして形成されるすすぎ室(7)を含み、該すすぎ室は、すすぎ液を導入するための少なくとも1個の手段(8)と、該すすぎ室を排出させると共に該すすぎ液を除去するための少なくとも1個の手段(9)と連通することを特徴とする請求項4に係る機器。
【請求項6】
前記洗浄器手段は、前記案内手段(3)及び前記すすぎ室(7)の少なくともいずれかへの前記試料採取部材の移動の間に、前記機器の前記案内手段(3)に導入された該試料採取部材(10)の外面をふき取るために、該案内手段(3)と列をなして載置される少なくとも1個のワイパガスケットを含むことを特徴とする請求項4又は請求項5に係る機器。
【請求項7】
前記機器はモジュラー構成をもたらし、各モジュールは、少なくとも1個の調製室及び前記案内手段の一部を支持し、且つ各モジュールは、YY’軸の方向へ他のモジュールと積み重ねられるのに適当であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに係る機器。
【請求項8】
流体試料、特に血液の採取、調製、及び分画分配システム(S)であって、
・流体を入れた管(T)のストッパ(B)を貫通するのに適当な端部(11)と、空気が前記管(T)へ送出されることを可能にすると共に、該管内の液体試料を吸い上げるのに適当な少なくとも1個のオリフィス(12)とを有する試料採取部材(10)特に針と、
・前記液体試料を吸い上げると共に送出するための少なくとも1個の手段(13)と、該手段は、前記試料採取部材(10)に連結されており、
・請求項1乃至7のいずれか一項に係る少なくとも1個の調製及び分配機器(1)と、該機器は、前記試料採取部材(10)が挿入される案内手段(3)を含み、該試料採取部材(10)は、前記YY’軸に沿った前記案内手段(3)内の移動において移動可能であり、
・選択された量の少なくとも1個の試薬流体を分配する少なくとも1個の手段(17,18,19,20)と、該手段は、前記調製及び分配機器(1)の少なくとも1個の調製室(4,5)の前記導入オリフィス(4a,5a)と連結され、
・前記流体試料のアリコート(a1,a2)及び所定量の前記試薬の混合物の収容及び分析の少なくともいずれかを行う少なくとも1個の手段(21,22)とを含み、該手段は、前記調製及び分配機器の前記調製室(4,5)の前記分配オフィリス(4b,5b)と連結される
ことを特徴とするシステム。
【請求項9】
前記試料採取部材をすすぐために少なくとも1個のすすぎ液を分配する手段(23,25)を含み、該手段は、すすぎ液を前記調製及び分配機器(1)のすすぎ室(7)へ導入するための前記手段(8)と、該すすぎ液を吸い上げると共に回収する手段(24,26)とに連結されており、前記手段は、前記調製及び分配機器(1)の前記すすぎ室(7)から、該すすぎ液を排出及び除去する手段(9)と連結されることを特徴とする請求項8に係るシステム。
【請求項10】
前記試料採取部材(10)と連通する空気流通手段(14,15)を含むことを特徴とする請求項8又は請求項9に係るシステム。
【請求項11】
請求項8乃至10のいずれか一項に係る分配システム(S)を使用する流体試料、特に血液の調製及び分画分配方法であって、
a)管(T)に入れられた流体試料を、前記システム(S)の前記試料採取部材(10)へ吸い上げる工程と、該試料採取部材(10)は既に、該試料採取部材(10)の端部が、前記流体を入れた管(T)へ導入されるまで、前記機器(1)を通る前記YY’軸に沿った移動において、移動するように案内され、
b)前記試料採取部材(10)の前記オフィリス(2)が、前記調製及び分配機器(1)の少なくとも1個の調製室(4,5)へもたらされるまで、該調製及び分配機器(1)の前記案内手段(3)のYY’軸に沿った移動において、該試料採取部材(10)を移動させる工程と、
c)同時に又は別の状態で、前記試料採取部材(10)のオリフィス(12)を介して得られた前記流体試料のアリコート(a1,a2)と、所定量の試薬流体(R1,R2)とを、前記調製及び分配機器(1)の前記調製室(4,5)へ分配する工程とを含み、該アリコート(a1,a2)及び該所定量の試薬流体は、混合され、次に合わせて、試薬流体の圧力下で、前記調製及び分配機器(1)の分配オフィリス(4b,5b)を介して、前記混合物の回収及び分析の少なくともいずれかを行う手段(21,22)へ排出されることを特徴とする方法。
【請求項12】
前記流体試料が血液の管(T)から得られた後、且つ前記アリコート(a1,a2)が前
記調製及び分配機器(1)の前記調製室(4,5)へ分配される前に、前記流体と接触している前記試料採取部材(10)は、該調製及び分配機器の前記洗浄手段(7,8,9,23,24,25,26)を使用することにより洗浄されることを特徴とする請求項11に係る方法。
【請求項13】
前記流体試料をストッパ(B)によって封鎖された前記管(T)から採取する前に、また適当であれば、該管の内圧は、前記試料採取部材(10)を使用することにより均衡が保たれることを特徴とする請求項11又は請求項12に係る方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【公表番号】特表2010−536014(P2010−536014A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518722(P2010−518722)
【出願日】平成20年7月29日(2008.7.29)
【国際出願番号】PCT/FR2008/051428
【国際公開番号】WO2009/024710
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(508000537)
【氏名又は名称原語表記】HORIBA ABX SAS
【Fターム(参考)】