説明

流体送給機構における回転シール機構およびロータリジョイント

【課題】面圧調整機構を必要とせずにシール面圧値の異なる複数種類の流体を送給対象とすることが可能な流体送給機構における回転シール機構およびこの回転シール機構に用いられるロータリジョイントを提供することを目的とする。
【解決手段】流体供給源7a、7bから供給される複数種類の流体を軸心廻りに回転する回転部2aへ固定部2bを介して送給する流体送給機構に用いられるロータリジョイント2において、ハウジング部材13の嵌合孔13bを大径部および小径部を有する段差形状とし、フローティングシート15の固定軸部15bを小径部に嵌合させ、大径部に嵌合する移動シリンダ14を固定軸部15bに対して接離自在にして、第1の流体および第2の流体の流体力がそれぞれ移動シリンダ14および固定軸部15bに個別に作用する構成とする。これにより、対象とする流体に応じた所望のシール面圧値を個別に設定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転部に流体を送給するための流体送給機構における回転シール機構およびこの回転シール機構に用いられるロータリジョイントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
工作機械の主軸など作動時に回転状態にある回転部に冷却用のクーラントなどの流体を送給する流体送給機構において、固定された流体送給配管を回転部の流路と接続する流体継手としてロータリジョイントが用いられる。ロータリジョイントは、回転部と結合されて回転する回転軸と流体送給配管と接続される固定軸とを同軸に配置して軸方向に対向させ、それぞれの対向端面に装着された回転シールのシール面を相互に密着させることにより流体の漏洩を防止する構成となっている。
【0003】
ところで近年、従来一般に用いられていた水系の液体クーラントのほかに、エアを冷却媒体として用いる場合がある。エアを用いることにより、冷却対象に応じた適正な冷却特性が得られること、また使用後の廃液処理などの環境対策が不要で環境負荷を低減することができることなどの利点がある。そして同一装置によって液体クーラントとエアとを使い分ける必要がある場合には、流体継手として用いられるロータリジョイントは、流体としての特性の異なる液体と気体の双方に対して使用可能となるよう考慮がなされたものであることが必要とされる。従来より、このような用途を想定したタイプのロータリジョイントが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に示す例は、回転軸側に設けられた回転シールを固定シールに摺接させて流体の漏洩を防止する面シール部を形成し、固定シールを保持するフローティングシートを流体圧によって回転軸側に押し付けてシール面圧を発生させる構成において、フローティングシートの外周面に段差部を設け、この段差部に流体圧を作用させるようにしている。そして使用される流体が液体クーラントである場合には、この段差部には液体クーラントの圧力に応じた液圧が作用する。これにより、対象とする流体の種類に応じてシール面圧を変更することができ、同一装置によって液体クーラントとエアの使い分けを可能としている。
【特許文献1】特許第3037900号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献例に示す先行技術においては、上述の構成に起因して、シール面圧の変更のための構成において以下に述べるような難点があった。すなわちこの先行技術例では、より高いシール面圧値を必要とする液体クーラントを対象とする場合に、シール面圧を調整するためにフローティングシートの外周面に液体クーラントを導入する構成となっていた。このため、液体クーラント中のスラッジなどの異物がハウジングとフローティングシートとの摺動隙間内に噛込み、動作不良を生じやすいものであった。また、液体クーラントを面圧調整用に別途導く必要があることから、ロータリジョイントの装着時の配管作業が複雑で簡便・容易な取付が難しいという難点があった。このように、従来のシール面圧値の異なる複数種類の流体について使用可能なロータリジョイントを用いた回転シール機構においては、面圧調整機構を必要とすることに起因して動作不良の発生や取付時の作業性などに難点があった。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みなされたものであり、面圧調整機構を必要とせずにシール面圧値の異なる複数種類の流体を送給対象とすることが可能な流体送給機構における回転シール機構およびこの回転シール機構に用いられるロータリジョイントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の流体送給機構における回転シール機構は、軸方向の回転流路が設けられた回転部および軸方向の固定流路が設けられた固定部を同軸配置して成り、複数の流体供給源から供給される複数種類の流体を軸心廻りに回転する前記回転部の回転流路へ前記固定流路を介して選択的に送給する流体送給機構における回転シール機構であって、前記回転部に設けられ側端面に前記回転流路が開口した第1のシール面を有する回転シール部と、前記固定流路が前記軸方向に貫通して形成された固定軸部を有し、一方側の側端面に前記固定流路が開口した第2のシール面を有する固定シール部と、前記固定部の本体を構成するハウジング部材に設けられ前記固定軸部が前記軸方向の移動が許容された状態で嵌合し、第1の流体供給ポートが開孔する嵌合孔と、前記嵌合孔を、前記固定軸部が嵌合する孔径で設けられた小径部およびこの小径部よりも大きい孔径で設けられた大径部に区分する段差部と、前記固定流路と同軸の内部流路が軸方向に貫通して設けられ、前記大径部に軸方向に移動自在に嵌合して前記固定軸部の側端面に接離する移動部材と、前記移動部材の前記接離動作における離隔方向の移動端の位置を規制する位置規制部と、前記嵌合孔に前記固定軸部および前記移動部材が嵌合した状態において、前記小径部の内周面と前記固定軸部の外周面との間の隙間および前記大径部の内周面と前記移動部材の外周面との間の隙間をそれぞれシールする第1の軸シール部および第2の軸シール部と、前記第1の軸シール部および第2の軸シール部の間において前記大径部の内周面に開孔し、前記大径部内において前記固定軸部と前記移動部材との間に形成される空間内に流体を送給する第2の流体供給ポートと、前記第1の流体供給ポートに前記複数種類の流体のうちの第1の流体を選択的に供給するとともに、前記第2の流体供給ポートに前記複数種類の流体のうちの第2の流体を選択的に供給する流体供給手段とを備え、前記第1の流体供給ポートに前記第1の流体を供給して前記移動部材の一方側の側端面に第1の流体の流体圧を作用させて、この移動部材を介して前記固定シール部を前記回転シール部に対して押圧することにより、前記第1のシール面と第2のシール面とを第1の面圧値で相互に密着させて面シール部を形成し、前記第2の流体供給ポートに前記第2の流体を供給して前記固定軸部の側端面に第2の流体の流体圧を作用させて前記固定シール部を前記回転シール部に対して押圧することにより、前記第1のシール面と第2のシール面とを第2の面圧値で相互に密着させて面シール部を形成する。
【0008】
本発明のロータリジョントは、軸方向の回転流路が設けられた回転部および軸方向の固定流路が設けられた固定部を同軸配置して成り、流体供給源から供給される流体を軸心廻りに回転する前記回転部の回転流路へ前記固定流路を介して送給する流体送給機構に用いられるロータリジョイントであって、前記回転部に設けられ側端面に前記回転流路が開口した第1のシール面を有する回転シール部と、前記固定流路が前記軸方向に貫通して形成された固定軸部を有し、一方側の側端面に前記固定流路が開口した第2のシール面を有する固定シール部と、前記固定部の本体を構成するハウジング部材に設けられ前記固定軸部が前記軸方向の移動が許容された状態で嵌合し、第1の流体供給ポートが開孔する嵌合孔と、前記嵌合孔を、前記固定軸部が嵌合する孔径で設けられた小径部およびこの小径部よりも大きい孔径で設けられた大径部に区分する段差部と、前記固定流路と同軸の内部流路が軸方向に貫通して設けられ、前記大径部に軸方向に移動自在に嵌合して前記固定軸部の側端面に接離する移動部材と、前記移動部材の前記接離動作における離隔方向の移動端の位置を規制する位置規制部と、前記嵌合孔に前記固定軸部および前記移動部材が嵌合した状態において前記小径部の内周面と前記固定軸部の外周面との間の隙間および前記大径部の内周面と前記移動部材の外周面との間の隙間をそれぞれシールする第1の軸シール部および第2の軸シール部と、前記第1の軸シール部および第2の軸シール部の間において前記大径部の内周面に開孔し、前記大径部内において前記固定軸部と前記移動部材との間に形成される空間内に流体を送給する第2の流体供給ポートとを備え、前記第1の流体供給ポートへ第1の流体を供給して前記移動部材の一方側の側端面に流体圧を作用させて、この移動部材を介して前記固定シール部を前記回転シール部に対して押圧することにより、前記第1のシール面と第2のシール面とを第1の面圧値で相互に密着させて面シール部を形成し、前記第2の流体供給ポートへ第2の流体を供給して前記固定軸部の側端面に流体圧を作用させて前記固定シール部を前記回転シール部に対して押圧することにより、前記第1のシール面と第2のシール面とを第2の面圧値で相互に密着させて面シール部を形成する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ハウジング部材の嵌合孔を大径部および小径部を有する段差形状とし、固定シール部の固定軸部を小径部に嵌合させ、大径部に嵌合する移動部材を固定軸部に対して接離自在にするとともに、第1の流体および第2の流体の流体力がそれぞれ移動部材および固定軸部に個別に作用する構成とすることにより、移動部材の受圧面積と固定軸部の受圧面積とを個別に設定して、対象とする流体に応じた所望のシール面圧値を個別に設定することができ、したがって面圧調整機構を必要とせずにシール面圧値の異なる複数種類の流体を送給対象とすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態における流体送給機構の構成説明図、図2は本発明の一実施の形態における流体送給機構の回転シール機構に用いられるロータリジョイントの断面図、図3は本発明の一実施の形態におけるロータリジョイントのハウジング部材の構造説明図、図4は本発明の一実施の形態におけるロータリジョイントのフローティングシートおよび移動シリンダの構造説明図、図5,図6は本発明の一実施の形態におけるロータリジョイントの動作説明図である。
【0011】
まず図1を参照して、流体送給機構1の全体構成を説明する。図1において、流体送給機構1は、工作機械のスピンドルなどの回転軸へ流体供給部7から供給される冷却用の流体を送給する機能を有するものであり、軸方向の回転流路が設けられた回転部2aおよび軸方向の固定流路が設けられた固定部2bを同軸配置して成るロータリジョイント2を主体としている。
【0012】
回転部2aはスピンドル軸4の締結孔4aに締結されており、スピンドル軸4は、スピンドルに内蔵されたモータによって回転駆動されてフレーム5に設けられた挿通孔5a内で軸心A廻りに回転するとともに、クランプ/アンクランプシリンダによって軸方向の進退動作を行う。また固定部2bは、円筒ブロック形状のケーシング3に設けられた装着孔3aに嵌合して装着されており、ケーシング3をボルトなどの締結手段(図示省略)によってフレーム5に着脱自在に締結することにより、固定部2bは回転部2aと同軸に配置される。
【0013】
流体供給部7は第1の流体供給源7a、第2の流体供給源7bを備えており、第1の流体供給源7aは第1の流体である液体クーラントを、第2の流体供給源7bは第2の流体であるエアをそれぞれ供給する。ここで、第2の流体供給源7bから供給されるエアは、一般の工場用エア、工場用エアをドライヤによって処理したドライエア、または所定量のオイルミストが混入されたオイルミスト含有エアなど、供給対象に応じて各種の形態のものを選択できるようになっている。
【0014】
流体供給部7から供給される流体は、第1の開閉バルブ6a、第2の開閉バルブ6bを備えた流体供給回路6によって選択的に送給される。すなわち、第1の流体供給源7aは、耐圧配管よりなるクーラント配管8aによって第1の開閉バルブ6aを介してケーシング3の流路孔3bに接続されており、第1の開閉バルブ6aを開閉することにより、第1の流体供給源7aから固定部2bの第1の流体供給ポート(図2に示す流路孔23a参照)へ供給される液体クーラントの送給をオンオフすることができる。また第2の流体供給源7bは、樹脂チューブなどよりなるエア配管8bによって第2の開閉バルブ6bを介して固定部2bに設けられた第2の流体供給ポート9につなぎ込まれており、同様に第2の開閉バルブ6bを開閉することにより、第2の流体供給源7bから固定部2bの第2の流体供給ポート9に供給されるエアの送給をオンオフすることができる。
【0015】
したがって、図1に示す流体供給回路6は、第1の流体供給ポートに複数種類の流体のうちの第1の流体を選択的に供給するとともに、第2の流体供給ポートに複数種類の流体のうちの第2の流体を選択的に供給する流体供給手段となっている。そしてロータリジョイント2および流体供給回路6は、複数の流体供給源から供給される複数種類の流体を、軸心廻りに回転する回転部2aの回転流路へ固定部2bの固定流路を介して選択的に送給する機能を有する回転シール機構を構成する。
【0016】
次に、図2,図3,図4を参照して、ロータリジョイント2の詳細構造を説明する。図2において回転部2aは、軸心部に軸方向に貫通して回転流路10aが設けられ、外面に締結ねじ部10bが設けられたロータ10を主体としている。締結ねじ部10bを締結孔4aに螺合させることによりロータ10はスピンドル軸4にねじ締結され、Oリング12によってねじ締結部が密封される。これにより、回転流路10aはスピンドル軸4の流路孔4bと連通する。
【0017】
ロータ10の右側(固定部2bと対向する側)の側端面には、回転流路10aの開孔面を囲む配置で、円環状の環状凸部10cが形成されている。環状凸部10cの内側に形成された凹部には、第1のシールリング11が固定されている。第1のシールリング11はセラミックなどの耐摩耗性に富む硬質材料を、中央部に開口部11aを有する円環形状に成形したものであり、平滑面に仕上げられた第1のシール面11bを外面側にした状態で環状凸部10cに固定される。そしてこの状態では、回転流路10aは開口部11aと連通して第1のシール面11bに開口する。すなわち第1のシールリング11が固定されたロータ10は、回転部2aに設けられ側端面に回転流路10aが開口した第1のシール面11aを有する回転シール部となっている。
【0018】
次に、ケーシング3に装着される固定部2bの構造を説明する。図2において固定部2bは、フローティングシート15および移動シリンダ14を、ハウジング部材13に装着した構成となっている。ケーシング3の装着面3cには流路孔3bと連通して設けられた装着孔3aが開口しており、装着孔3aには固定部2bの本体を構成する円筒形状のハウジング部材13に設けられた装着凸部13aが嵌合する。そして図3に示すように、等配された複数のボルト20を装着面3cに設けられたねじ孔3dに螺合させることにより、ハウジング部材13はケーシング3にボルト締結され、Oリング16によって装着凸部13aの嵌合部が密封される。
【0019】
ハウジング部材13の中心部には軸方向に貫通する嵌合孔13bが設けられている。嵌合孔13bは、以下に説明する固定軸部15bが嵌合する内径d1で設けられた小径部13b1およびこの小径部13bよりも大きい内径d2で設けられた大径部13b2に、段差部13cによって区分されている。そして小径部13b1、大径部13b2の内周面には、Oリング溝13e、13fが設けられている、Oリング溝13e、13fにはそれぞれOリング21a、22aがセットされて、第1の軸シール部21、第2の軸シール部22を構成する。
【0020】
フローティングシート15は、一方側(図において回転部2aと対向する側)に円板形状のフランジ部15aが設けられ、他方側に固定流路15dが軸方向に貫通して形成された固定軸部15bを有する形状となっている。そして固定軸部15bは、前述のようにハウジング部材13の小径部13b1に軸方向の移動が許容された状態で嵌合する。フランジ部15aの左側(回転部2aと対向する側)の側端面には、固定流路15d(図4参照)の開孔面を囲む配置で、円環状の環状凸部15cが形成されており、環状凸部15cの内側に形成された凹部には第2のシールリング17が固定されている。
【0021】
第2のシールリング17は第1のシールリング11と同様の硬質材料を中央部に開口部17aを有する円環形状に成形したものであり、平滑面に仕上げられた第2のシール面17bを外面側にした状態で環状凸部15cに固定される。そしてこの状態では、固定流路15dは開口部17aと連通して第2のシール面17bに開口する。すなわち第2のシールリング17が固定されたフローティングシート15は、固定流路15dが軸方向に貫通して形成された固定軸部15bを有し、側端面に回転流路15dが開口した第2のシール面17bを有する固定シール部となっている。
【0022】
移動シリンダ14には、固定流路15dと同軸の内部流路14aが軸方向に貫通して設けられており、さらに内部流路14aと同軸で設けられた延長管部14bを有する形態となっている。移動シリンダ14をハウジング部材13に装着して、大径部13b2に軸方向に移動自在に嵌合させた状態では、延長管部14bは固定軸部15bの固定流路15dを挿通して回転流路10aの内部まで到達する。流路孔3bから回転流路10aへ流体を供給する際には、流体は延長管部14bを介して送給される。延長管部14bの機能については後述する。
【0023】
大径部13b2の右端部には、中央部に第1の流体供給ポートである流路孔23aが設けられたストッパーリング23が固着されている。移動シリンダ14が大径部13b2内で軸方向に移動して固定軸部15bの側端面15fと当接・離隔する接離動作において、移動シリンダ14が固定軸部15bから離隔する方向に移動してストッパーリング23に当接することにより、移動シリンダ14の位置が規制される。すなわち、移動シリンダ14は大径部13b2に軸方向に移動自在に嵌合して、固定軸部15bの側端面15fに接離する移動部材となっている。そしてストッパーリング23は、移動シリンダ14の接離動作における離隔方向の移動端の位置を規制する位置規制部として機能する。
【0024】
移動シリンダ14およびフローティングシート15をハウジング部材13に装着して、嵌合孔13bに固定軸部15bおよび移動シリンダ14が嵌合した状態において、第1の軸シール部21は小径部13b1の内周面と固定軸部15bの外周面との間の隙間をシールし、第2の軸シール部22は大径部13b2と移動シリンダ14の外周面との間の隙間をシールする。
【0025】
図4を参照して、フローティングシート15および移動シリンダ14の詳細形状を説明する。フランジ部15aは図3に示すボルト20の位置に対応して等配位置で切欠き部15jが設けられており、フローティングシート15をハウジング部材13に装着した状態で、ハウジング部材13のケーシング3へのボルト締結が可能となっている。また第2のシールリング17の第2のシール面17bには、複数のシール面潤滑用の凹部17cが形成されている。凹部17cは、第2のシール面17bが第1のシール面11bと密着して面シール部を形成した状態において、開口部17a内の流体を第1のシール面11bと第2のシール面17b相互の摺動面に導いて潤滑性を向上させる機能を有している。なお凹部17cは必須ではなく、対象とする流体の特性やシール面圧値、使用回転数などの摺動条件によっては設ける必要がない場合がある。
【0026】
フローティングシート15の固定軸部15bは、小径部13b1(図3参照)の内径d1に対応した外径D1で設けられており、内部には固定流路15dが内径d3で軸方向に貫通して設けられている。固定軸部15bの側端面15fには、移動シリンダ14に装着されるOリング19が当接するシール面となる内テーパ状の面取部15eが形成されている。Oリング19は延長管部14bが側端面14cから延出する基部に装着されており、移動シリンダ14の側端面14cが固定軸部15bの側端面15fと当接した状態において、Oリング19は面取部15eに押し当てられて、固定流路15dを外部に対してシールする。
【0027】
移動シリンダ14は、大径部13b2の内径d2に対応した外径D2で設けられた円筒状部分から、外径D3の延長管部14bを同軸で延出させた構成となっており、内径d4の内部流路14aが円筒状部分および延長管部14bを貫通して設けられている。ここで、延長管部14bの外径D3は、内径d3の固定流路15d内を挿通した状態において、第2の流体であるエアを所定の供給流量で流すのに必要とされるクリアランスC(図6参照)が確保されるような寸法設定となっている。また移動シリンダ14の側端面14dにおいて、外径D2から内径d4の内部流路14aの部分を除いた側面積はA1となっている。そして固定軸部15bの側端面15fにおける側面積、すなわち外径D1の円から内径d3の固定流路15dの部分を除いた側面積はA2となっている。
【0028】
図2に示すハウジング部材13には、図1に示すエア配管8bと接続される第2の流体供給ポート9が設けられており、第2の流体供給ポート9は、第1の軸シール部21および第2の軸シール部22の間において、大径部13b2の内周面に開孔する。そしてこの状態で、第2の流体供給源7bからエア配管8bを介してエアを送給することにより、大径部13b2内において固定軸部15bと移動部材14の側端面14cとの間に形成される空間S(図6参照)には、第2の流体としてのエアが送給される。そして空間S内に供給されたエアの圧力は、受圧面積がA2の側端面15fに作用するとともに、移動シリンダ14の側端面14cに作用して移動シリンダ14をストッパーリング23に対して押し付けて位置を固定する。
【0029】
流路孔3b内に供給対象の流体が送給され、流路孔23aを介して大径部13b2内に流入することにより、この流体圧は移動シリンダ14の右端側の側端面14dに作用する。これにより、移動シリンダ14は大径部13b2内で回転部2a側へスライドし、反対側の側端面14cが固定軸部15bの側端面15fに当接して回転部2a側へ押圧する。これにより、第2のシールリング17は第1のシールリング11に対して押圧される。この押圧力は第2のシール面17bと第1のシール面11bとを相互に密着させ、これにより内部流路14aから軸廻りに回転状態の回転流路10aへ送給される流体の漏洩を防止する面シール部18が形成される。
【0030】
このときOリング19が面取部15eに押し当てられてシールすることにより、固定流路15d内部から流体が第2の流体供給ポート側へ漏出するのを防止する。このフローティングシート15の軸方向のスライドにおいて、フランジ部15aのねじ孔15i(図4)に螺設されたボルト24およびボルト24を外包する円筒カラー25が、ハウジング部材13に軸方向に設けられたガイド孔13g内を摺動することにより、フローティングシート15の軸方向の移動がガイドされるとともに、軸廻りの廻り止めが行われる。
【0031】
ロータリジョイント2の作動状態においては、送給される流体の圧力によるフローティングシート15の進出と、スピンドル軸4の進退動作によって、面シール部18のシール面の接離が行われる。すなわちフローティングシート15が後退して第1のシール面11bと第2のシール面17bとが相互に離隔した状態において、液体クーラントもしくはエアがそれぞれ第1の流体供給ポート、第2の流体供給ポートにそれぞれ送給されることにより、フローティングシート15が前進(矢印a方向)し、第1のシール面11bが第2のシール面17bに当接して面シール部18が形成される(図5,図6における動作説明参照)。
【0032】
そしてスピンドル軸4が固定部2bに対して相対的に前進(矢印d方向)することにより、フローティングシート15は後退(矢印b方向)し、フランジ部15aがハウジング部材13に近接した位置に復帰する。そしてこの状態からスピンドル軸4を相対的に後退(矢印c方向)させることにより、第1のシール面11bと第2のシール面17bとが相互に離隔した状態に戻る。
【0033】
このロータリジョイント2の作動状態における延長管部14bの機能について説明する。本実施の形態に示す回転シール機構においては、上述のように2つのシール面11b、17bを接離させて面シール部18を形成することにより、固定部2bから回転部2aへ流体を送給する際の流体の漏洩を防止するようにしている。このとき、2つのシール面11b、17bが相互に離隔して面シール部18が形成されていない状態においては、固定流路15dに存在する流体は開放状態の第2のシール面17bからそのまま漏出する。そして漏出する流体が液体である場合には、作業機器の汚損や不具合の原因となるため、このような流体の漏出は極力抑制することが望まれる。
【0034】
延長管部14bはこのように2つのシール面が相互に離隔した状態における流体の漏出を極力抑制するために設けられたものである。すなわち、固定流路15d内に内部流路14aを有する延長管部14bを挿通させることにより、流体供給源から大径部13b2内へ送給された流体は、シール面が相互に離隔した状態にあっても、大部分が延長管部14bを介して直接回転流路10aまで導かれる。これにより、2つのシール面が離隔した状態における流体の漏出を大幅に低減することが可能となる。
【0035】
次に、図5,図6を参照して、複数種類の流体を送給する場合におけるロータリジョイント2の動作を説明する。図5、図6は送給される流体がそれぞれ液体クーラント、エアーである場合を示している。まず、供給される流体が第1の流体としての液体クーラントである場合について説明する。
【0036】
図5において、第1の開閉バルブ6aを開にすることにより、大径部13b2内には第1の流体供給源7aから液体クーラント(圧力P1)が、第1の流体供給ポートとしての流路孔23aを介して右端部側から送給される。これにより、移動シリンダ14は右端の側端面14dに作用する流体圧によって回転部2a側へ移動し、反対側の側端面14cが側端面15fに当接することにより、フローティングシート15が回転部2a側へ移動する。
【0037】
そして大径部13b2内へ送給された液体クーラントは内部流路14aを介して回転流路10aへ流通するが、このとき大径部13b2内において圧力P1が常に側端面14dに作用し、側端面14dの受圧面積A1(図4参照)に見合った流体力F(L)が移動シリンダ14を介して固定軸部15bに作用する。そして面シール部18には、流体力F(L)から第1の軸シール部21、第2の軸シール部22による摺動抵抗f1,f2を減じた押圧力F1が作用し、この押圧力F1を第1のシール面11bと第2のシール面17bが接触するシール面積で除した値が、面シール部18のシール面圧値(第1の面圧値)となる。
【0038】
すなわち第1の流体供給ポートとしての流路孔23aに第1の流体である液体クーラントを供給して、移動シリンダ14の一方側の側端面14dに流体圧を作用させて、移動シリンダ14を介して固定シール部であるフローティングシート15を、回転シール部であるロータ10に対して押圧することにより、第1のシール面11bと第2のシール面17bとを第1の面圧値で相互に密着させて、面シール部18を形成する。
【0039】
次に供給される流体が第2の流体としてのエアである場合について説明する。図6において、第2の開閉バルブ6bを開にすることにより、第2の流体供給ポート9には第2の流体供給源7bからエア(圧力P2)が送給される。このとき、予め第1の開閉バルブ6aを閉状態にして、エアが第1の流体供給源7a側へ逆流しないようにしておく。大径部13b2において、固定軸部15bと移動シリンダ14との間の空間S内に、第2の流体供給ポート9を介してエアが送給されることにより、このエア圧が移動シリンダ14の空間S側の側端面14cに作用する。これにより移動シリンダ14は右方向(回転部2aから離れる方向)へ移動し、ストッパーリング23に当接して移動シリンダ14の軸方向の位置が固定される。
【0040】
空間S内に送給されたエアは、延長管部14bの外周面と固定流路15dの内周面との間のクリアランスCを介して回転流路10aへ流通するが、このとき空間S内において圧力P2が側端面15fに作用し、受圧面積A2(図4参照)に見合った流体力F(G)が固定軸部15bに作用する。これにより面シール部18には、流体力F(G)から前述の摺動抵抗f1を減じた押圧力F2が作用する。この場合には押圧力F2を前述のシール面積で除した値がシール面圧値(第2の面圧値)となる。
【0041】
すなわち第2の流体供給ポート9に第2の流体であるエアを供給して固定軸部15bの側端面15fに流体圧を作用させ、固定シール部であるフローティングシート15を、回転シール部であるロータ10に対して押圧することにより、第1のシール面11bと第2のシール面17bとを第2の面圧値で相互に密着させて、面シール部18を形成する。
【0042】
ここでロータリジョイントにおけるシール面圧について説明する。回転摺動面を密着させて流体のシールを行う回転シール機構においては、対象となる流体の特性や供給圧に応じた適正なシール面圧値を設定する必要がある。例えば本実施の形態に示すように比較的高い供給圧(例えば1Mpa〜20Mpa)で供給される液体クーラントが対象である場合には、シール面からのリークを極力防止するため、供給圧とほぼ同レベルの圧力のシール面圧値が設定される。
【0043】
これに対し、低い供給圧(例えば0.1Mpa〜1Mpa)で用いられるエアを対象とする場合には、シール面の摺動による損耗を極力防ぐため、シール面圧を供給圧の半分以下とすることが求められる。これは液体を供給対象とする場合には、シール面に侵入した液体の薄膜が摺動面を潤滑する潤滑膜として作用するのに対し、エアの場合には、オイルミストを混入するなどの潤滑対策が施されている場合を除き、一般にはこのような潤滑作用がないことによる。
【0044】
このように、供給圧や所望のシール面圧値が異なる流体を供給対象とする場合には、供給圧に対するシール面圧値の比を流体に応じて変更する必要がある。ここで、面シール部のシール面積はいずれの流体についても共通であることから、供給圧に対するシール面圧値の比を変更するには、流体圧が作用する受圧面積を流体の種類に応じて異ならせる必要がある。
【0045】
本実施の形態においては、ロータリジョイント2の設計に際して、図5に示す押圧力F1による面シール部18のシール面圧値(第1の面圧値)が、圧力P1の液体クーラントについての適正値となるように、また図6に示す押圧力F2による面シール部18のシール面圧値(第2の面圧値)が、圧力P2のエアについての適正値となるように、各部寸法を設定する。すなわち、所与の設計数値データとしての前述の圧力P1,P2,各流体についての適正なシール面圧値、前述の摺動抵抗f1,f2などに基づき、固定軸部15bの外形寸法D1,移動シリンダ14の外形寸法D2、固定流路の内径寸法d3,内部流路の内径寸法d4などが決定される。
【0046】
換言すれば、本実施の形態に示すロータリジョイント2においては、対象となる複数種類の流体の所望とするシール面圧値に応じて、固定軸部15b、移動シリンダ14の寸法を設定することにより、面圧調整を行うことなくシール面圧値の異なる複数種類の流体を送給対象とすることが可能となっている。このような構成を採用することにより、以下に述べる効果を有する。すなわち、特許文献1に示す先行技術例のように、シール面圧を調整するためにフローティングシートの外周面に液体クーラントを導入する構成においては、液体クーラント中のスラッジなどの異物が摺動隙間内に噛込みやすいという難点がある。これに対し、本実施の形態に示す例では面圧調整を必要としない構成となっていることから、本質的に単一流体を対象とした従来の専用のロータリジョイントと異なるところがない。したがって安定したシール性能が確保され、液体のリークによる工作機械本体へのダメージを防止することができる。
【0047】
なお、本実施の形態においては、流体供給部7から供給される流体が液体クーラントまたはエアのいずれかである場合を示しており、供給される流体としてエアを用いる場合のみ、面圧調整流体としてエアを第2の流体供給ポート9に送給する例を示している。もちろん流体の種類としては液体クーラントまたはエアのみに限定されるものではなく、供給圧と面シール部18に求められる適正なシール面圧値との比が異なる流体を複数種類組み合わせて用いる場合であれば、本発明の適用対象となる。このような流体の種類および組み合わせとしては、例えばエア/純水、エア/真空、エア/スラリ、スラリ/純水などがある。
【0048】
なお上記実施の形態においては、移動シリンダ14に固定流路15dを挿通して回転流路10aまで到達する延長管部14bを設け、液体クーラントを対象とする場合には延長管部14bの内部流路14aを介して回転流路10a側へ送給する構成例を示しているが、延長管部14bは本発明における必須要件ではなく、省略してもよい。但し当然のことながら、離隔した状態のシール面からの流体の漏洩を抑制する効果は得られない。そしてこの場合には、第1の流体供給ポートとしての流路孔23aから送給された液体クーラントは、移動シリンダ14の内部流路14aおよびフローティングシート15の固定流路15dを介して回転流路10aに流入する。また第2の流体供給ポート9から空間S内に送給されたエアは、直接フローティングシート15の固定流路15dに流入して回転流路10aに到達する。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の流体送給機構における回転シール機構およびロータリジョイントは、面圧調整機構を必要とせずにシール面圧値の異なる複数種類の流体を送給対象とすることができるという特徴を有し、工作機械の主軸などの回転部に液体クーラントやエアなど複数種類の流体を送給する用途に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施の形態における流体送給機構の構成説明図
【図2】本発明の一実施の形態における流体送給機構の回転シール機構に用いられるロータリジョイントの断面図
【図3】本発明の一実施の形態におけるロータリジョイントのハウジング部材の構造説明図
【図4】本発明の一実施の形態におけるロータリジョイントのフローティングシートおよび移動シリンダの構造説明図
【図5】本発明の一実施の形態におけるロータリジョイントの動作説明図
【図6】本発明の一実施の形態におけるロータリジョイントの動作説明図
【符号の説明】
【0051】
1 流体送給機構
2 ロータリジョイント
2a 回転部
2b 固定部
3b 第1の流体供給ポート
4 スピンドル軸
6 流体供給手段
7 流体供給部
7a 第1の流体供給源
7b 第2の流体供給源
9 第2の流体供給ポート
10 ロータ
10a 回転流路
11 第1のシールリング
11b 第1のシール面
13 ハウジング部材
13b 嵌合孔
13b1 小径部
13b2 大径部
13c 段差部
14 移動シリンダ
14a 内部流路
14b 延長管部
15 フローティングシート
15a フランジ部
15b 固定軸部
15d 固定流路
17 第2のシールリング
17b 第2のシール面
18 面シール部
21 第1の軸シール部
22 第2の軸シール部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向の回転流路が設けられた回転部および軸方向の固定流路が設けられた固定部を同軸配置して成り、複数の流体供給源から供給される複数種類の流体を軸心廻りに回転する前記回転部の回転流路へ前記固定流路を介して選択的に送給する流体送給機構における回転シール機構であって、
前記回転部に設けられ側端面に前記回転流路が開口した第1のシール面を有する回転シール部と、
前記固定流路が前記軸方向に貫通して形成された固定軸部を有し、一方側の側端面に前記固定流路が開口した第2のシール面を有する固定シール部と、
前記固定部の本体を構成するハウジング部材に設けられ前記固定軸部が前記軸方向の移動が許容された状態で嵌合し、第1の流体供給ポートが開孔する嵌合孔と、
前記嵌合孔を、前記固定軸部が嵌合する孔径で設けられた小径部およびこの小径部よりも大きい孔径で設けられた大径部に区分する段差部と、
前記固定流路と同軸の内部流路が軸方向に貫通して設けられ、前記大径部に軸方向に移動自在に嵌合して前記固定軸部の側端面に接離する移動部材と、
前記移動部材の前記接離動作における離隔方向の移動端の位置を規制する位置規制部と、
前記嵌合孔に前記固定軸部および前記移動部材が嵌合した状態において、前記小径部の内周面と前記固定軸部の外周面との間の隙間および前記大径部の内周面と前記移動部材の外周面との間の隙間をそれぞれシールする第1の軸シール部および第2の軸シール部と、
前記第1の軸シール部および第2の軸シール部の間において前記大径部の内周面に開孔し、前記大径部内において前記固定軸部と前記移動部材との間に形成される空間内に流体を送給する第2の流体供給ポートと、
前記第1の流体供給ポートに前記複数種類の流体のうちの第1の流体を選択的に供給するとともに、前記第2の流体供給ポートに前記複数種類の流体のうちの第2の流体を選択的に供給する流体供給手段とを備え、
前記第1の流体供給ポートに前記第1の流体を供給して前記移動部材の一方側の側端面に第1の流体の流体圧を作用させて、この移動部材を介して前記固定シール部を前記回転シール部に対して押圧することにより、前記第1のシール面と第2のシール面とを第1の面圧値で相互に密着させて面シール部を形成し、
前記第2の流体供給ポートに前記第2の流体を供給して前記固定軸部の側端面に第2の流体の流体圧を作用させて前記固定シール部を前記回転シール部に対して押圧することにより、前記第1のシール面と第2のシール面とを第2の面圧値で相互に密着させて面シール部を形成することを特徴とする流体送給機構における回転シール機構。
【請求項2】
前記移動部材には、前記固定流路を挿通して前記回転流路の内部まで到達する延長管部が前記内部流路と連通して同軸で設けられており、前記第1の流体は前記延長管部を介して送給され、前記第2の流体は前記固定流路の内周面と前記延長管部の外周面との間を介して送給されることを特徴とする請求項1記載の流体送給機構における回転シール機構。
【請求項3】
前記第1の流体は液体クーラントであり、前記第2の流体はエアであることを特徴とする請求項1記載の流体送給機構における回転シール機構。
【請求項4】
軸方向の回転流路が設けられた回転部および軸方向の固定流路が設けられた固定部を同軸配置して成り、流体供給源から供給される流体を軸心廻りに回転する前記回転部の回転流路へ前記固定流路を介して送給する流体送給機構に用いられるロータリジョイントであって、
前記回転部に設けられ側端面に前記回転流路が開口した第1のシール面を有する回転シール部と、
前記固定流路が前記軸方向に貫通して形成された固定軸部を有し、一方側の側端面に前記固定流路が開口した第2のシール面を有する固定シール部と、
前記固定部の本体を構成するハウジング部材に設けられ前記固定軸部が前記軸方向の移動が許容された状態で嵌合し、第1の流体供給ポートが開孔する嵌合孔と、
前記嵌合孔を、前記固定軸部が嵌合する孔径で設けられた小径部およびこの小径部よりも大きい孔径で設けられた大径部に区分する段差部と、
前記固定流路と同軸の内部流路が軸方向に貫通して設けられ、前記大径部に軸方向に移動自在に嵌合して前記固定軸部の側端面に接離する移動部材と、
前記移動部材の前記接離動作における離隔方向の移動端の位置を規制する位置規制部と、
前記嵌合孔に前記固定軸部および前記移動部材が嵌合した状態において前記小径部の内周面と前記固定軸部の外周面との間の隙間および前記大径部の内周面と前記移動部材の外周面との間の隙間をそれぞれシールする第1の軸シール部および第2の軸シール部と、
前記第1の軸シール部および第2の軸シール部の間において前記大径部の内周面に開孔し、前記大径部内において前記固定軸部と前記移動部材との間に形成される空間内に流体を送給する第2の流体供給ポートとを備え、
前記第1の流体供給ポートへ第1の流体を供給して前記移動部材の一方側の側端面に流体圧を作用させて、この移動部材を介して前記固定シール部を前記回転シール部に対して押圧することにより、前記第1のシール面と第2のシール面とを第1の面圧値で相互に密着させて面シール部を形成し、
前記第2の流体供給ポートへ第2の流体を供給して前記固定軸部の側端面に流体圧を作用させて前記固定シール部を前記回転シール部に対して押圧することにより、前記第1のシール面と第2のシール面とを第2の面圧値で相互に密着させて面シール部を形成することを特徴とする流体供給機構に用いられるロータリジョイント。
【請求項5】
前記移動部材には、前記固定流路を挿通して前記回転流路の内部まで到達する延長管部が前記内部流路と連通して同軸で設けられており、前記第1の流体は前記延長管部を介して送給され、前記第2の流体は前記固定流路の内周面と前記延長管部の外周面との間を介して送給されることを特徴とする請求項1記載の流体供給機構における回転シール機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−261405(P2008−261405A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−103936(P2007−103936)
【出願日】平成19年4月11日(2007.4.11)
【出願人】(000179328)リックス株式会社 (33)
【Fターム(参考)】