流体遮断器及び流体供給システム
【課題】 緊急時にガス供給を確実に遮断できると共に、容易に取り扱い得る簡易・安価な構造のガス遮断器を提供する。
【解決手段】 本ガス遮断器3は、機器本体11と、この機器本体に設けられ且つ異常を検知する異常検知手段(振動検知機構12)と、機器本体に形成されたガス流路17を開閉する弁体13と、この弁体をガス流路を開放する位置に保持させると共に、異常検知手段により異常が検知された際に弁体をガス流路を閉鎖する位置に変位させる弁体駆動手段14と、を備える。
【解決手段】 本ガス遮断器3は、機器本体11と、この機器本体に設けられ且つ異常を検知する異常検知手段(振動検知機構12)と、機器本体に形成されたガス流路17を開閉する弁体13と、この弁体をガス流路を開放する位置に保持させると共に、異常検知手段により異常が検知された際に弁体をガス流路を閉鎖する位置に変位させる弁体駆動手段14と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体遮断器及び流体供給システムに関し、さらに詳しくは、緊急時に流体供給を確実に遮断できると共に、容易に取り扱い得る簡易・安価な構造の流体遮断器及びこれを用いた流体供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ガス供給システムとして、例えば、図16及び図17に示すように、ガス容器に連なる配管7Aの途中に手動式の高圧遮断バルブ8Aを設け、作業者がこの高圧遮断バルブ8Aを操作して、ガス供給を遮断し得るものが知られている。なお、図中9Aは、減圧弁を示す。しかし、この従来のシステムでは、緊急時(例えば、地震、火災、装置の異常等)に自動で迅速にガス供給を遮断することが困難であった。
そこで、上記問題を解決する従来のガス供給システムとして、例えば、振動を検知する振動検知手段と、この振動検知手段により振動を検知した際に遮断されるガス遮断手段と、を備えるものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
しかし、上記特許文献1では、上述の振動検知手段とガス遮断手段とが別々に配設されているのでシステム全体として高価なものとなり、しかも施工作業が煩雑なものであった。また、ガス遮断手段としては、通常、電気的に制御される流体供給源からの供給流体によって閉鎖(又は開放)する圧力駆動弁が用いられるが、この場合、流体供給源、及びこの流体供給源を制御する制御装置もシステム内に別々に配設する必要があり、さらにシステム全体として高価でしかも施工作業が煩雑となる。
また、上記特許文献1では、ガス容器の口部に連なる配管の途中に圧力駆動弁を配設しているので、地震や外的付加によってガス容器が倒れてガス容器と圧力駆動弁との間の配管の途中でガス漏れが発生する場合には、圧力駆動弁を遮断しても、圧力駆動弁より上流側の配管が破損し、その破損部位から吹き出るガスを止めることはできない。従って、緊急時における、特に地震対策を踏まえた現実的なガス遮断システムが構築されていないことが現状であった。
【0004】
【特許文献1】特開平10−118205号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上より、本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、緊急時に流体供給を確実に遮断できると共に、容易に取り扱い得る簡易・安価な構造の流体遮断器及びこれを用いた流体供給システムを提供することを目的とする。また、本発明は、緊急時に流体容器の口部より下流側での流体漏れを確実に防止できる流体供給システムを提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の通りである。
1.機器本体と、該機器本体に設けられ且つ異常を検知する異常検知手段と、前記機器本体に形成された流体流路を開閉する弁体と、該弁体を前記流体流路を開放する位置に保持させると共に、前記異常検知手段により異常が検知された際に該弁体を前記流体流路を閉鎖する位置に変位させる弁体駆動手段と、を備えることを特徴とする流体遮断器。
2.前記機器本体に設けられ且つ流体容器の口部に着脱可能に取着される取着部をさらに備える上記1.記載の流体遮断器。
3.前記弁体駆動手段が、前記機器本体に形成された圧力室内に移動自在に設けられ且つ前記弁体に連繋されるピストン部材と、前記圧力室と前記流体流路の上流側とを連絡する連絡路を開閉する連絡路開閉手段と、前記圧力室に連なり該圧力室内に封入された流体を排出するための排出路を開閉する排出路開閉手段と、を有する上記1.又は2.に記載の流体遮断器。
4.前記排出路が、前記圧力室と前記流体流路の下流側とを連絡している上記3.記載の流体遮断器。
5.前記機器本体に設けられ且つ前記弁体による前記流体流路の閉鎖を検知する閉鎖検知手段をさらに備え、該閉鎖検知手段により前記流体流路の閉鎖が検知された際に前記連絡路開閉手段により前記連絡路を閉鎖させるようにした上記3.又は4.に記載の流体遮断器。
6.機器本体と、該機器本体に設けられ且つ流体を貯蔵する流体容器の口部に着脱可能に取着される取着部と、該機器本体に設けられ且つ異常を検知する異常検知手段と、前記機器本体に形成され且つ前記流体容器内の流体が供給される流体流路を開閉する弁体と、該弁体を前記流体流路を開放する位置に保持させると共に、前記異常検知手段により異常が検知された際に該弁体を前記流体流路を閉鎖する位置に変位させる弁体駆動手段と、前記機器本体に設けられ且つ前記弁体による前記流体流路の閉鎖を検知する閉鎖検知手段と、を備え、
前記弁体駆動手段が、前記機器本体に形成された圧力室内に移動自在に設けられ且つ前記弁体に連繋されるピストン部材と、前記圧力室と前記流体流路の上流側とを連絡する連絡路を開閉する連絡路開閉手段と、前記圧力室と前記流体流路の下流側とを連絡する排出路を開閉する排出路開閉手段と、を有し、
前記連絡路及び前記排出路が閉鎖された状態より、前記連絡路開閉手段により前記連絡路を開放させて該連絡路を介して前記流体流路の上流側を流れる流体を前記圧力室内に供給し、前記ピストン部材及び前記弁体を変位させて該弁体で前記流体流路を閉鎖させ、前記閉鎖検知手段により前記流体流路の閉鎖が検知された際に前記連絡路開閉手段により前記連絡路を閉鎖させ、前記連絡路及び前記排出路が閉鎖された状態より、前記排出路開閉手段により前記排出路を開放させて該排出路を介して前記圧力室内に封入された流体を前記流体流路の下流側に排出するようにしたことを特徴とする流体遮断器。
7.前記弁体駆動手段が、前記機器本体に形成された収納室内に設けられ且つ前記弁体に連繋される付勢手段と、該付勢手段によって前記流体流路を閉鎖する方向に付勢される前記弁体を前記流体流路を開放する位置に保持させると共にその保持を解除させ得る保持解除機構と、を有する上記1.又は2.に記載の流体遮断器。
8.前記弁体駆動手段が、前記機器本体に形成された圧力室内に移動自在に設けられ且つ前記弁体に連繋されるピストン部材と、前記圧力室に連なり該圧力室内に流体を供給するための供給路を開閉する供給路開閉手段と、前記圧力室に連なり該圧力室内に封入された流体を排出するための排出路を開閉する排出路開閉手段と、を有する上記1.又は2.に記載の流体遮断器。
9.前記異常検知手段が、前記機器本体に設けられる受け部、及び該受け部に入れられ且つ振動により該受け部から落下し得る落下部材からなる振動検知機構である上記1.乃至8.のいずれか一項に記載の流体遮断器。
10.前記異常検知手段が、前記機器本体に設けられ且つ振動を検知する感震センサである上記1.乃至8.のいずれか一項に記載の流体遮断器。
11.前記異常検知手段が、前記機器本体に設けられる受け部、及び該受け部に入れられ且つ振動により該受け部から落下し得る落下部材からなる振動検知機構と、前記機器本体に設けられ且つ振動を検知する感震センサと、を有する上記1.乃至8.のいずれか一項に記載の流体遮断器。
12.前記機器本体に設けられ且つ前記異常検知手段により検知された異常を報知する異常報知手段をさらに備える上記1.乃至11.のいずれか一項に記載の流体遮断器。
13.流体容器と、該流体容器の口部又は該流体容器に連なる配管に設けられる上記1.乃至12.のいずれか一項に記載の流体遮断器と、を備えることを特徴とする流体供給システム。
14.流体容器と、該流体容器の口部に取着され且つ供給される流体によってその流体流路を開閉する駆動弁と、該駆動弁に流体を供給するための流体供給源と、異常を検知する異常検知手段と、該異常検知手段により異常が検知された際に、前記駆動弁の前記流体流路を開放させるように前記流体供給源を駆動制御する制御手段と、を備えることを特徴とする流体供給システム。
【発明の効果】
【0007】
本発明の流体遮断器によると、通常時には、弁体駆動手段によって、弁体が流体流路を開放する位置に保持されて流体が供給される一方、緊急時には、弁体駆動手段によって、弁体が流体流路を閉鎖する位置に変位されて流体供給が確実に遮断される。また、機器本体に、弁体、異常検知手段、及び弁体駆動手段を一体的に設けたので、容易に取り扱い得る簡易・安価な構造の流体遮断器を提供できる。
また、前記機器本体に設けられ且つ流体容器の口部に着脱可能に取着される取着部をさらに備える場合は、流体容器の口部より下流側での流体漏れを防止できる。
また、前記弁体駆動手段が、ピストン部材と、連絡路開閉手段と、排出路開閉手段と、を有する場合は、流体流路を流れる流体を圧力室内に導くことによって、弁体を変位させて流体流路を開閉できる。
また、前記排出路が、前記圧力室と前記流体流路の下流側とを連絡している場合は、圧力室内に封入された流体を流体流路の下流側に排出でき、その流体の外気への排出を防止できる。
また、閉鎖検知手段をさらに備え、該閉鎖検知手段により前記流体流路の閉鎖が検知された際に前記連絡路開閉手段により前記連絡路を閉鎖させるようにした場合は、流体流路を閉鎖する際の圧力室の内圧の高騰を抑制でき、圧力室の構造の安全性を向上させることができる。
本発明の他の流体遮断器によると、通常時には、弁体駆動手段によって、弁体が流体流路を開放する位置に保持されて流体が供給される一方、緊急時には、弁体駆動手段によって、弁体が流体流路を閉鎖する位置に変位されて流体供給が確実に遮断される。また、機器本体に、弁体、異常検知手段、及び弁体駆動手段を一体的に設けたので、容易に取り扱い得る簡易・安価な構造の流体遮断器を提供できる。また、流体容器の口部に着脱可能に取着される取着部を備えるので、流体容器の口部より下流側での流体漏れを防止できる。また、前記弁体駆動手段が、ピストン部材と、連絡路開閉手段と、排出路開閉手段と、を有するので、連絡路及び排出路が閉鎖された状態より、連絡路開閉手段により連絡路を開放させて連絡路を介して流体流路の上流側を流れる流体を圧力室内に供給し、ピストン部材及び弁体を変位させて弁体で流体流路が閉鎖される。一方、連絡路及び排出路が閉鎖された状態より、排出路開閉手段により排出路を開放させて排出路を介して圧力室内に封入された流体が流体流路の下流側に排出される。これにより、流体流路をより確実且つ迅速に閉鎖することができると共に、流体流路の閉鎖状態を容易に解除することができる。また、圧力室内に封入された流体を流体流路の下流側に排出でき、その流体の外気への排出を防止できる。さらに、閉鎖検知手段を備え、該閉鎖検知手段により前記流体流路の閉鎖が検知された際に前記連絡路開閉手段により前記連絡路を閉鎖させるようにしているので、流体流路を閉鎖する際の圧力室の内圧の高騰を抑制でき、圧力室の構造の安全性を向上させることができる。
また、前記弁体駆動手段が、付勢手段と、保持解除機構と、を有する場合は、機械式に弁体を変位させて流体流路をより確実に開閉できる。
また、前記弁体駆動手段が、ピストン部材と、供給路開閉手段と、排出路開閉手段と、を有する場合は、圧力室内に供給され封入される流体圧力によって、流体流路が開放される一方、圧力室からの封入流体の排出によって、流体流路が閉鎖される。
また、前記異常検知手段が、前記機器本体に設けられる受け部、及び該受け部に入れられ且つ振動により該受け部から落下し得る落下部材からなる振動検知機構である場合は、より簡易・安価な構造とすることができる。
また、前記異常検知手段が、前記機器本体に設けられ且つ振動を検知する感震センサである場合は、流体遮断に関する誤動作を防止できる。
また、前記異常検知手段が、振動検知機構と、感震センサと、を有する場合は、流体遮断に関する誤動作をより確実に防止できる。
また、異常報知手段をさらに備える場合は、異常状態を外部に知らせることができる。
本発明の流体供給システムによると、流体遮断器において、通常時には、弁体駆動手段によって、弁体が流体流路を開放する位置に保持されて流体が供給される一方、緊急時には、弁体駆動手段によって、弁体が流体流路を閉鎖する位置に変位されて流体供給が確実に遮断される。
他の本発明の流体供給システムによると、通常時には、制御手段により流体供給源が制御されて、駆動弁の流体流路が開放されて流体が供給される一方、緊急時には、制御手段により流体供給源が制御されて、駆動弁の流体流路が閉鎖されて流体供給が遮断される。従って、流体容器の口部より下流側での流体漏れを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1に係るガス供給システムを説明するための説明図である。
【図2】上記ガス供給システムを説明するためのブロック図である。
【図3】ガス遮断器の縦断面図である(ガス供給状態を示す。)。
【図4】ガス遮断器の縦断面図である(ガス遮断状態を示す。)。
【図5】連絡路開閉手段及び排出路開閉手段を説明するための模式図である。
【図6】ガス遮断器をガスボンベに取り付ける作用を説明するための説明図である。
【図7】ガス遮断器をガスボンベに取り付ける作用を説明するための説明図である。
【図8】その他の態様のガス遮断器の縦断面図である(ガス供給状態を示す。)。
【図9】その他の態様のガス遮断器の縦断面図である(ガス遮断状態を示す。)。
【図10】更にその他の態様のガス遮断器の縦断面図である(ガス供給状態を示す。)。
【図11】更にその他の態様のガス遮断器の縦断面図である(ガス遮断状態を示す。)。
【図12】本実施例2に係るガス供給システムを説明するための説明図である。
【図13】本実施例2に係るガス供給システムを説明するためのブロック図である。
【図14】異常検知手段の他の態様を説明するための模式図である。
【図15】異常検知手段の更に他の態様を説明するための模式図である。
【図16】従来のガス供給システムを説明するための説明図である。
【図17】従来のガス供給システムを説明するためのブロック図である。
【符号の説明】
【0009】
1,60;ガス供給システム、2;ガスボンベ、3,40,50;ガス遮断器、11,41,51;機器本体、12;振動検知機構、13;弁体、14,42,52,;弁体駆動手段、16;圧力室、17;ガス流路、18;取着部材、23;連絡路、24;排出路、26;受け部材、27;球体、31;ピストン部材、33;操作弁、34;操作弁、43;収納室、44;ガス流路、45;バネ、46;保持解除機構、53;圧力室、55;供給路、56;排出路、57;逆止弁、58;操作弁、61;駆動弁、62;コンプレッサ、63,67,70;感震センサ、64;制御装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
1.流体供給システム
本実施形態1に係る流体供給システムは、以下に述べる流体容器及び流体遮断器を備えて構成されている(図1及び図2参照)。
【0011】
上記「流体容器」は、流体を貯蔵し得る限り、その形状、大きさ、材質等は特に問わない。この流体容器は、通常、容器本体と、この容器本体の開口に取着された手動式の操作弁とを有している。また、この流体容器内に貯蔵される流体(特に、ガス)の種類としては、例えば、可燃性ガス(例えば、プロパンガス、天然ガス、アセチレン、水素ガス等)、毒性ガス(例えば、フッ素、塩素、塩化水素等)、可燃性毒性ガス(例えば、モノシラン、シジラン、ジボラン等)、支燃性ガス(例えば、圧縮酸素、液化酸素、亜酸化窒素ガス等)などを挙げることができる。また、上記流体容器は、例えば、燃料電池用の燃料(例えば、水素、天然ガス、プロパンガス、メタノール等)を貯蔵する容器であることができる。
【0012】
<流体遮断器>
上記「流体遮断器」は、以下に述べる機器本体、異常検知手段、弁体、及び弁体駆動手段を備えて構成される。この流体遮断器は、例えば、後述する取着部、及び被取着部を備えることができる。また、この流体遮断器は、例えば、後述する異常報知手段を備えることができる。また、この流体遮断器は、上記流体容器の口部に取着された状態で、流体容器が転倒した場合でも地面(床面)と接触しない形状を有していることが好ましい。なお、この流体遮断器は、例えば、流体容器の口部に取着されていたり、流体容器に連なる配管の途中に取着されていたりできる。
【0013】
上記「機器本体」の構造、形状、大きさ等は特に問わない。この機器本体には、上記流体容器内の流体が供給される流体流路が形成されている。また、この機器本体には、例えば、後述する圧力室、連絡路、及び排出路が形成されていることができる。また、この機器本体には、例えば、後述する収納室が形成されていることができる。また、この機器本体には、例えば、後述する圧力室、供給路、及び排出路が形成されていることができる。また、この機器本体は、例えば、上述の各室、路が気密にシールされてなる防爆構造を有することができる。
【0014】
上記「異常検知手段」は、機器本体に設けられ且つ各種の異常を検知し得る限り、その検知形態、タイミング等は特に問わない。この異常の種類としては、例えば、地震、火災、ガス漏れ、ガス機器の故障、流体容器(ボンベ等)の転倒又は揺動等を挙げることができる。また、この異常検知手段としては、例えば、(1)機器本体に設けられる受け部、及び受け部に入れられ且つ振動により受け部から落下し得る落下部材からなる振動検知機構である形態、(2)機器本体に設けられ且つ振動を検知する感震センサである形態、(3)上記振動検知機構及び上記感震センサを有する形態等を挙げることができる。ここで、上記感震センサは、例えば、センサ部と、このセンサ部から入力される検知信号に基づいて適宜制御信号を出力する制御部と、これらセンサ部及び制御部の駆動用の電池等の電源と、を有することができる。また、この感震センサは、例えば、振動の回数、大きさ、種類(横揺れ、縦揺れ等)などに応じて振動を検知可能であることができる。これにより、例えば、一度の揺れでは感震センサを作動させないようにすることができ、複数の流体容器が併設された設備において、所定の流体容器を交換する際に、誤って隣りの流体容器を倒したり揺らしたりしても、その流体遮断器を作動(誤作動)させてしまうことを防止できる。また、上記(3)形態の場合には、振動検知機構及び感震センサが共に振動を検知した際に、後述する流体遮断器を作動させるように構成すれば、やはり流体遮断器の誤動作を防止できる。
なお、上記「受け部」の形状、大きさ、材質等は特に問わない。この受け部は、例えば、落下部材が入れられ且つ振動時にその落下部材が落下し得る逆皿状であることができる。また、この受け部は、例えば、落下部材が入れ込まれ且つ振動時にその落下部材が脱け出し得る受け穴を有することができる。また、上記「落下部材」の形状、大きさ、材質等は特に問わない。
【0015】
上記「弁体」は、機器本体に形成された流体流路を開閉し得る限り、その形状、大きさ、材質等は特に問わない。
【0016】
上記「弁体駆動手段」は、弁体を流体流路を開放する位置に保持させると共に、上記異常検知手段により異常が検知された際に弁体を流体流路を閉鎖する位置に変位させ得る限り、その構造、駆動形態等は特に問わない。この弁駆動手段としては、例えば、以下に述べる下記(1)〜(3)形態等を挙げることができる。
【0017】
(1)機器本体に形成された圧力室内に移動自在に設けられ且つ弁体に連繋されるピストン部材と、圧力室と流体流路の上流側とを連絡する連絡路を開閉する連絡路開閉手段と、圧力室に連なり圧力室内に封入された流体を排出するための排出路を開閉する排出路開閉手段と、を有する形態(図3及び図4参照)。
この場合、例えば、連絡路及び排出路が閉鎖された状態で、後述する弁体付勢手段の付勢力等によって、弁体を流体流路を開放する位置に保持させる。また、連絡路及び排出路が閉鎖された状態より、連絡路開閉手段により連絡路を開放させてこの連絡路を介して流体流路の上流側から圧力室内に供給される流体の圧力によって、ピストン部材を変位させて弁体を流体流路を閉鎖する位置に変位させ、さらに、連絡路及び排出路が閉鎖された状態より、排出路開閉手段により排出路を開放させてこの排出路を介して圧力室内から流体を排出するように構成されていることができる。このように供給流体を利用して流体流路を閉鎖する場合、流体流路の圧力とピストン部材の駆動圧力とが同じ圧力であるので、ピストン部材の大きさ、枚数等を必要最小限に設定でき、ひいては流体流路を閉鎖する構造を小型・簡易化できる。また、例えば、上記流体流路が直線状に形成され、上記ピストン部材及び弁体が流体流路と略直交する方向に変位するように構成されていることができる。これにより、より確実且つ迅速に流体流路を閉鎖することができる。
上記連絡路開閉手段の種類、配設箇所、個数等は特に問わない。この連絡路開閉手段としては、例えば、(a)上記振動検知機構を構成する落下部材に連繋部材(例えば、紐、鎖等)を介して連繋される操作部材を有する操作弁である形態、(b)上記感震センサと電気的に接続される電磁弁である形態、(c)上記操作弁及び上記電磁弁を直列に設けてなる形態等を挙げることができる。
上記排出路開閉手段の種類、配設箇所、個数等は特に問わない。この排出路開閉手段としては、例えば、操作部材を有する操作弁、電磁弁、逆止弁等を挙げることができる。
ここで、上記排出路が、圧力室と流体流路の下流側とを連絡していることが好ましい。これにより、圧力室内に供給された流体を流体流路に排出でき、使用する流体が可燃性ガスや毒性ガス等であっても、そのガスが外気(大気)に排出されることを防止できる。
また、前記機器本体に設けられ且つ前記弁体による前記流体流路の閉鎖を検知するための閉鎖検知手段をさらに備え、該閉鎖検知手段により前記流体流路の閉鎖が検知された際に前記連絡路開閉手段が前記連絡路を閉鎖するように構成されていることが好ましい。この閉鎖検知手段は、例えば、弁体及び/又はピストン部材の位置を検出するセンサ(例えば、近接センサ、リミットスイッチ等)であったり、圧力室及び/又は流体流路の内部圧力を検出する圧力センサであったりすることができる。また、上記連絡路開閉手段としては、例えば、(a)上記振動検知機構を構成する落下部材に連繋部材(例えば、紐、鎖等)を介して連繋される操作部材を有する操作弁と、上記閉鎖検知手段に電気的に接続される電磁弁とを直列に設けてなる形態、(b)上記閉鎖検知手段及び上記感震センサに電気的に接続される電磁弁、(c)上記(a)(b)を組み合わせてなる形態等を挙げることができる。
なお、上記「流体流路の上流側(下流側)」とは、流体流路において上記弁体で開閉される部位より上流側(下流側)を意味する。
【0018】
(2)機器本体に形成された収納室内に設けられ且つ弁体に連繋される付勢手段と、付勢手段によって流体流路を閉鎖する方向に付勢される弁体を流体流路を開放する位置に保持させると共にその保持を解除させ得る保持解除機構と、を有する形態(図8及び図9参照)。
ここで、上記保持解除機構は、例えば、上記付勢手段に連繋され且つ機器本体の外方から操作可能な操作レバーと、この操作レバーに係脱可能な係脱具と、を有し、この操作レバーと係脱具との係脱によって、流体流路を開閉するように構成されていることができる。この係脱具としては、例えば、(a)上記振動検知機構を構成する落下部材に連繋部材(例えば、紐、鎖等)を介して連繋される形態、(b)上記感震センサと電気的に接続される電磁弁に連繋される形態、(c)上記落下部材及び上記電磁弁に連繋される形態等を挙げることができる。また、上記「付勢手段」としては、例えば、ゴムやバネ等の弾性部材、緩衝機構等を挙げることができる。また、例えば、上記流体流路が直線状に形成され、上記弁体が流体流路と略直交する方向に変位するように構成されていることができる。これにより、より確実且つ迅速に流体流路を閉鎖することができる。
【0019】
(3)機器本体に形成された圧力室内に移動自在に設けられ且つ弁体に連繋されるピストン部材と、圧力室に連なり圧力室内に流体(例えば、空気等)を供給するための供給路を開閉する供給路開閉手段と、圧力室に連なり圧力室内に封入された流体を排出するための排出路を開閉する排出路開閉手段と、を有する形態(図10及び図11参照)。
この場合、例えば、供給路及び排出路が閉鎖された状態より、供給路開閉手段により供給路を開放させてこの供給路を介して圧力室内に供給される流体圧力よって、ピストン部材を変位させて弁体を流体流路を開放する位置に変位させると共に、供給路及び排出路が閉鎖された状態で、圧力室内に封入された流体圧力によって、弁体を流体流路を開放する位置に保持させ、さらに、供給路及び排出路が閉鎖された状態より、排出路開閉手段により排出路を開放させてこの排出路を介して圧力室内から封入流体を排出するように構成されていることができる。また、例えば、上記流体流路が直線状に形成され、上記ピストン部材及び弁体が流体流路と略直交する方向に変位するように構成されていることができる。これにより、より確実且つ迅速に流体流路を閉鎖することができる。
上記排出路開閉手段の種類、配設箇所、個数等は特に問わない。この排出路開閉手段としては、例えば、(a)上記振動検知機構を構成する落下部材に連繋部材(例えば、紐、鎖等)を介して連繋される操作部材を有する操作弁である形態、(b)上記感震センサと電気的に接続される電磁弁である形態、(c)上記操作弁及び上記電磁弁を直列に設けてなる形態等を挙げることができる。
上記供給路開閉手段の種類、配設箇所、個数等は特に問わない。この供給路開閉手段としては、例えば、逆止弁、操作部材を有する操作弁、電磁弁等を挙げることができる。
なお、上記(1)〜(3)形態の弁体駆動手段は、例えば、弁体を流体流路を開放する方向に付勢するための弁体付勢手段を有することができる。この弁体付勢手段としては、例えば、上記付勢手段と同じ構成のものを挙げることができる。
【0020】
上記「取着部」は、上記機器本体に設けられ且つ流体容器の口部に着脱可能に取着され得る限り、その構造、設置形態等は特に問わない。この取着部は、例えば、流体容器の口部に螺合・解除可能なネジ部を有することができる。なお、上記「口部」としては、例えば、流体容器の開口部、流体容器の開口部に取着された手動式の操作弁のノズル部等を挙げることができる。
上記「被取着部」は、上記機器本体に設けられ且つ配管の一端側に着脱可能に取着され得る限り、その構造、設置形態等は特に問わない。この被取着部は、例えば、配管の一端側に螺合・解除可能なネジ部を有することができる。なお、上記配管の一端側としては、例えば、配管の一端開口部、配管の一端開口部に取着された連結部等を挙げることができる。
【0021】
2.流体供給システム
本実施形態2に係る流体供給システムは、以下に述べる流体容器、駆動弁、流体供給源、異常検知手段、及び制御手段を備えて構成されている(図12及び図13参照)。
上記「流体容器」としては、例えば、上述の実施形態1で説明した流体容器と同じ構成のもの等を挙げることができる。
上記「駆動弁」は、流体容器の口部に取着され且つ供給流体によってその流体流路を開閉し得る限り、その構造、配設形態等は特に問わない。この駆動弁は、例えば、駆動用の流体圧力がない状態でその流体流路を閉鎖するノーマリークローズ式であったり、駆動用の流体圧力がない状態でその流体流路を開放するノーマリーオープン式であったりできる。
上記「流体供給源」は、上記駆動弁に流体を供給可能である限り、その構造、配設形態等は特に問わない。この流体供給源としては、例えば、エアコンプレッサ、流体封入容器(ガス封入ボンベ等)を挙げることができる。
上記「異常検知手段」としては、例えば、上述の実施形態1で説明した異常検知手段と同じ構成のもの等を挙げることができる。
上記「制御手段」は、異常検知手段により異常が検知された際に、駆動弁の流体流路を開放させるように流体供給源を駆動制御し得る限り、その構造、配設形態等は特に問わない。
【実施例】
【0022】
(実施例1)
以下、図面を用いて実施例1により本発明を具体的に説明する。
(1)ガス供給システムの構成
本実施例1に係るガス供給システム1は、図1及び図2に示すように、ガスボンベ2(本発明に係る「流体容器」として例示する。)及びガス遮断器3を備えて構成されている。このガスボンベ2は、支持枠部材5に取着された転倒防止用のチェーン部材6で周囲を囲まれた状態で床面に載置されている。また、このガスボンベ2は、所定のガスが貯蔵されたボンベ本体2aと、このボンベ本体2aの開口部に装着された手動式の操作弁2bと、を有している。この操作弁2bには、上記ガス遮断器3を介して配管7が接続されている。この配管7の途中には、伸縮自在な渦巻き部7aが設けられている。また、この配管7の途中には、渦巻き部7aより下流側に、手動式の操作弁8(高圧遮断弁とも言う。)、及び減圧弁9が順次配設されている。なお、上記配管7の他端側には、適宜ガス機器(図示せず)が接続されているようになっている。
【0023】
上記ガス遮断器3は、図3に示すように、機器本体11、振動検知機構12(本発明に係る「異常検知手段」として例示する。)、弁体13、及び弁体駆動手段14を有している。この機器本体11は、圧力室16が形成された上部本体11aと、ガス流路17が形成された下部本体11bとからなっている。この下部本体11bには、ガス流路17の一端と連なる位置に、円筒状の取着部材18が設けられている。この取着部材18の内周面に形成された雌ネジ18aは、上記操作弁8の円筒状のノズル部19(本発明に係る「口部」として例示する。)の外周面に形成された雄ネジ19aに螺合し得るようになっている(図6及び図7参照)。また、下部本体11bには、ガス流路17の他端と連なる位置に、円柱状の被取着部材20が設けられている(図6及び図7参照)。この被取着部材20は、その外周面に雄ネジ20aが形成され、その中心にガス流路17と連なる連通路20bが形成されている。また、この被取着部材20の雄ネジ20aは、上記配管7の一端側に連結された円筒状の連結部材21の内周面に形成された雌ネジ(図示せず)に螺合されるようになっている(図6及び図7参照)。また、上部本体11a及び下部本体11bには、ガス流路17の上流側と圧力室16とを連絡する連絡路23が形成されている。また、上部本体11a及び下部本体11bには、ガス流路17の下流側と圧力室16とを連絡する排出路24が形成されている。
【0024】
上記振動検知機構12は、下部本体11bの底面に取着される断面L字状の受け部材26と、この受け部材26の水平面部に形成された受け穴26aに入り込み得る球体27と、を有している。そして、この受け穴26aに嵌り込まれた球体27が、地震等でガス遮断器3が振動(傾斜)した際に、受け穴26aから脱して受け部材26から落下するようになっている。この球体27には、紐状の連繋部材28の一端が取着されている。
【0025】
上記弁体13は、ガス流路17を開放する位置と閉鎖する位置との間で変位自在に設けられている。この弁体13は、ガス流路17を閉鎖する状態で、バネ29(本発明に係る「弁体付勢手段」として例示する。)によって、ガス流路17を開放する方向に付勢されている。
【0026】
上記弁体駆動手段14は、ピストン部材31、操作弁33(本発明に係る「連絡路開閉手段」として例示する。)、及び操作弁34(本発明に係る「排出路開閉手段」として例示する。)を有している。このピストン部材31は、円盤状で複数枚(図中3枚)が設定され、圧力室16内で上下動自在に設けられている。各ピストン部材31は、ピストンロッド32を介して上記弁体13に連繋されている。また、上記操作弁33は、図5(a)に示すように、上記連絡路23の途中に配設されている。この操作弁33の操作部材33aには、上記連繋部材28の一端が接続されている。そして、この操作弁33は、球体27が受け部材26に入り込んでいる際には、連絡路23を閉鎖する一方、球体27が受け部材26から落下すると、連繋部材28を介して操作部材33aが下方に向って引っ張られ、連絡路23を開放するようになっている。また、上記操作弁34は、図5(b)に示すように、上記排出路24の途中に配設され、通常、その排出路24を閉鎖しており、操作部材34aを手動操作することによって排出路24を開放するようになっている。
【0027】
(2)ガス供給システムの作用
次に、上記構成のガス供給システム1の作用について説明する。先ず、ボンベ交換等の際に、図6及び図7に示すように、ガス遮断器3の取着部材18を、ガスボンベ2の操作弁2bのノズル部19に螺合させると共に、ガス遮断器3の被取着部材20に、配管7の一端に設けた連結部材21を螺合させる。そして、ガスボンベ2に対して装着状態のガス遮断器3において、図3に示すように、受け部材26の受け穴26aに球体27が入れ込まれ、操作弁33によって連絡路23が閉鎖され且つ操作弁34によって排出路24が閉鎖された状態とされる。さらに、バネ29の付勢力によって、ピストン部材31及び弁体13が上方位置に位置されてガス流路17が開放された状態とされる。従って、この状態より、作業者がガスボンベ2の操作弁2bを開放操作すれば、ガスボンベ2内に貯蔵されたガスは、操作弁2b及びガス遮断器3を通って配管7に流れ、さらに配管7の途中で操作弁8及び減圧弁9を通ってガス機器まで供給されることとなる。
【0028】
そして、このようなガス供給中に地震等が生じ、ガスボンベが傾倒(又は揺動)すると、図4に示すように、受け部材26から球体27が落下して、この球体27に連なる連繋部材28を介して操作弁33の操作部材33aが下方に向って引っ張られる(図5(a)参照)。すると、操作弁33によって連絡路23が開放され、この連絡路23を介してガス流路17の上流側を流れるガスが圧力室16に供給される。その結果、この圧力室16内に供給され封入されるガス圧力によって、ピストン部材31及び弁体13が下方に向って変位され、ガス流路17が閉鎖されてガス供給が遮断されることとなる。
その後、ガス供給を再開する際には、傾倒したガスボンベ2の姿勢を直してから、受け部材26に球体27を入れ込んで、操作弁33によって連絡路23を閉鎖させる。その状態より、操作弁34の操作部材34aを押圧操作して排出路24を開放させると、圧力室16内に封入されたガスがガス流路17の下流側に排出される。そして、バネ29の付勢力によって、ピストン部材31及び弁体13が上方位置まで変位され、ガス流路17が再び開放される。
【0029】
(3)実施例の効果
以上のように、本実施例1のガス遮断器3では、弁体駆動手段14によって、ガス流路17を開閉されるように構成したので、ガス供給を自動で迅速に遮断することができる。そして、ガス遮断器3の機器本体11に、振動検知機構12、弁体13、及び弁体駆動手段14を一体的に設けて構成したので、従来のように、振動検知手段、ガス遮断手段(圧力駆動弁)、圧力駆動源、及び制御装置をシステム内に別々に設けるものに比べて、極めて安価・簡易に構成でき、しかも煩雑な施工作業を必要としないガス供給システムを提供できる。
また、本実施例1では、ガス遮断器3の機器本体11に、ガスボンベ2の操作弁2bのノズル部材19と螺合・解除可能な取着部材18を設けたので、配管7の途中が破損しても、ガスボンベ2の口部より下流側でのガス漏れを確実に防止できる。
また、本実施例1では、ピストン部材31、操作弁33、及び操作弁34を備えて弁体駆動手段14を構成したので、ガス流路17を流れるガスを圧力室16内に導くことによって、ピストン部材31及び弁体13を変位させてガス流路17を開閉することができる。このように供給ガスを利用してガス流路17を閉鎖する場合、ガス流路17の圧力とピストン部材31の駆動圧力とが同じ圧力であるので、ピストン部材31の大きさ、枚数等を必要最小限に設定でき、ひいてはガス流路17を閉鎖する構造を小型・簡易化できる。
また、本実施例1では、圧力室16とガス流路17の下流側とを連絡するように排出路24を構成したので、圧力室16内に封入されたガスをガス流路16の下流側に排出でき、使用するガスが可燃性、毒性ガス等のガスであっても、そのガスの外気(大気)への排出を防止できる。
さらに、本実施例1では、受け部材26と、この受け部材26内に所定の振動で落下するように入れられる球体27とを有する振動検知機構12を採用しているので、ガス遮断器3ひいてはシステム1全体をより簡易・安価な構造とすることができる。
【0030】
(4)ガス遮断器のその他の態様
次に、上記実施例1のガス遮断器3とは別の態様のガス遮断器40,50について説明するが、上述のガス遮断器3と同じ構成部分には、同符号を付けて詳細な説明は省略するものとする。
【0031】
(a)ガス遮断器40
上記ガス遮断器40は、図8及び図9に示すように、機器本体41、振動検知機構12、弁体13、及び弁体駆動手段42を有している。この機器本体41は、収納室43が形成された上部本体41aと、ガス流路17が形成された下部本体41bとからなっている。この下部本体41bにはガス流路17と連なる位置に、取着部材18及び被取着部材20が設けられている。
【0032】
上記弁体駆動手段42は、収納室43に設けられるバネ45(本発明に係る「付勢手段」として例示する。)及び保持解除機構46を有している。このバネ45は、弁体13をガス流路17を閉鎖する方向へ付勢するためのものである。また、この保持解除機構46は、上部本体41aに揺動自在に支持された操作レバー47を有している。この操作レバー47の一端側は、上部本体41aの切欠き部48より外方に突出しており、機器本体41の外方から操作し得るようになっている。この操作レバー47の他端側と、弁体13に連結されたピストンロッド32の上端側とが、上記バネ45によって連繋されている。また、上部本体41aには、操作レバー47の他端側に係脱可能な係脱具49が設けられている。この係脱具49は、操作レバー47の他端側に係脱可能で且つ弾性変形可能な断面L字状の第1止め部材49aと、この第1止め部材49aと係脱可能で且つ上部本体41aに上下動自在に支持される棒状の第2止め部材49bと、を有している。この第2止め部材49bの下端側には、上記振動検知機構12の連繋部材28の一端側が連結されている。
【0033】
上述の構成のガス遮断器40によると、振動検知機構12を構成する受け部材26内に球体27を入れた状態において、上記第1止め部材49a、第2止め部材49b、及び操作レバー47を互いに係合させることによって、バネ45による付勢状態の弁体13をガス流路17を開放する位置に保持させることができる(図8参照)。一方、地震等の発生によりガスボンベ2が傾倒(又は揺動)すると、受け部材26から球体27が落下して、この球体27に連なる連繋部材28を介して第2止め部材49bが下方に向って引っ張られ、第2止め部材49bと第1止め部材49aとの係合が解除される。すると、バネ45の付勢力によって、操作レバー47の他端側と第1止め部材49aとの係合が解除され、その操作レバー47が揺動されると共に、弁体13がガス流路17を閉鎖する位置まで変位される(図9参照)。従って、このガス遮断器40を用いたガス供給システムであっても、上述の実施例1と略同様にして、緊急時にガス供給を自動的に遮断できると共に、極めて安価でしかも煩雑な施工作業を必要としない等の利点がある。
尚、上記保持解除機構46及び係脱具49の構成は、特に限定されず、適宜好適な機構や構造を採用することができる。例えば、上記保持解除機構46は、操作レバー47を係脱具49に係合させる際に機能するラチェット機構(図示せず)を有することができる。
【0034】
(b)ガス遮断器50
上記ガス遮断器50は、図10及び図11に示すように、機器本体51、振動検知機構12、弁体13、及び弁体駆動手段52を有している。この機器本体51は、圧力室53が形成された上部本体51aと、ガス流路17が形成された下部本体51bとからなっている。この下部本体51bにはガス流路17と連なる位置に、取着部材18及び被取着部材20が設けられている。また、上部本体51aには、圧力室53と外気とを連絡する供給路55及び排出路56が形成されている。
上記弁体駆動手段52は、ピストン部材31、逆止弁57(本発明に係る「供給路開閉手段」として例示する。)、及び操作弁58(本発明に係る「排出路開閉手段」として例示する。)を有している。この逆止弁57は、上記供給路55の途中に配設されている。また、上記操作弁58は、上記排出路56の途中に配設されている。この操作弁58の操作部材58aには、上記振動検知機構12を構成する球体27が連繋部材28を介して連繋されている(図5(a)参照;但し、流路方向を示す矢印の向きは逆となる。)。
【0035】
上述の構成のガス遮断器50によると、受け部材26内に球体27が入れられて、操作弁58によって排出路56が閉鎖された状態において、エアコンプレッサ等の流体供給手段によって、供給路55及び逆止弁57を介して圧力室53内に流体が供給され封入される。すると、その圧力室53内の流体圧力によって、ピストン部材31及び弁体13が上方位置に変位され、ガス流路17が開放される(図10参照)。一方、地震等の発生によりガスボンベ2が傾倒(又は揺動)すると、受け部材26から球体27が落下して、この球体27に連なる連繋部材28を介して操作弁58の操作部材58aが下方に向って引っ張られ、排出路56が開放される(図5(a)参照)。すると、この排出路56を介して圧力室53内の流体が外気に排出されて、ピストン部材31及び弁体13が下方位置に変位され、ガス流路17が閉鎖されることとなる(図11参照)。従って、このガス遮断器50を用いたガス供給システムであっても、上述の実施例1と略同様にして、緊急時にガス供給を自動的に遮断できると共に、極めて安価でしかも煩雑な施工作業を必要としない等の利点がある。また、上記ガス遮断器50では、圧力室53に予め封入された流体圧力によって、そのガス流路17を開放させるようにしたので、従来のように、圧力供給源から常時流体を供給するものに比べ、より簡易・安価な構造となる。
【0036】
(実施例2)
以下、図面を用いて実施例2により本発明を具体的に説明する。尚、上記実施例1と同じ構成部分には同符号を付して詳細な説明を省略する。
(1)ガス供給システムの構成
本実施例2に係るガス供給システム60は、図12及び図13に示すように、ガスボンベ2、駆動弁61、コンプレッサ62(本発明に係る「流体供給源」として例示する。)、感震センサ63(本発明に係る「異常検知手段」として例示する。)、及び制御手段64を備えて構成されている。この駆動弁61は、コンプレッサ62からの流体供給によって、そのガス流路を開放すると共に、コンプレッサ62からの流体供給の停止によって、そのガス流路を閉鎖するように構成されている。また、この駆動弁61は、取着部材18及び被取着部材20を有している。この駆動弁61の取着部材18は、ガスボンベ2を構成する操作弁2bのノズル部19に螺合されている。また、この駆動弁61の被取着部材20には、配管7の一端側に設けた連結部材21が連結されている。また、上記制御手段64は、感震センサ63の検知信号に基づいて、コンプレッサ62に駆動・停止指令等を出力するように構成されている。
【0037】
(2)ガス供給システムの作用・効果
次に、上記構成のガス供給システム60の作用について説明する。通常時には、制御手段64によりコンプレッサ62が駆動制御され、このコンプレッサ62から供給される圧縮空気によって、駆動弁61のガス流路が開放される。この状態より、作業者がガスボンベ2の操作弁2bを開放操作すれば、ガスボンベ2内に貯蔵されたガスは、操作弁2b及びガス遮断器3を通って配管7に流れ、さらに配管7途中の操作弁8及び減圧弁9を通ってガス機器まで供給されることとなる。一方、ガス供給中に地震等が生じると、感震センサ63の検知信号が制御手段64に入力され、この制御手段64によりコンプレッサ62が駆動停止され、コンプレッサ62からの圧縮空気の供給が停止されて駆動弁61のガス流路が閉鎖されてガス供給が遮断されることとなる。その結果、配管7の途中が破損しても、ガスボンベ2の口部より下流側でのガス漏れを確実に防止できる。
【0038】
尚、本発明においては、前記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、本実施例1では、本発明に係る異常検知手段として、振動検知機構12を例示したが、これに限定されず、例えば、異常検知手段を感震センサにより構成してもよい。この感震センサを、一度の揺れでは作動させないようにすれば、作業者が誤ってガス容器を傾倒させた際にそのガス遮断器を誤動作させてしまうことを防止できる。具体的には、図14に示すように、ガス遮断器3を、連絡路23の途中に設けられる電磁弁67と感震センサ66とを電気的に接続して構成することができる。また、ガス遮断器50を、排出路56の途中に設けられる電磁弁67と感震センサ66とを電気的に接続して構成することができる。さらに、ガス遮断器40を、その保持解除機構42(図8参照)を電磁弁により駆動可能とし、この電磁弁と感震センサとを電気的に接続して構成することができる。
【0039】
また、例えば、異常検知手段として、感震センサ及び振動検知機構を有する構成としてもよい。この感震センサ及び振動検知機構が共に振動を検知した際に、ガス遮断器を作動させるようにすれば、作業者が誤ってガス容器を傾倒させた際にそのガス遮断器を誤動作させてしまうことを防止できる。具体的には、図15に示すように、ガス遮断器3を、連絡路23の途中に直列状に電磁弁68及び操作弁69を設け、この電磁弁68と感震センサ70とを電気的に接続すると共に、操作弁69の操作部材69aと振動検知機構12の球体27とを連繋部材28を介して連繋して構成することができる。また、ガス遮断器50を、排出路56の途中に電磁弁68及び操作弁69を直列状に設け、この電磁弁68と感震センサ70とを電気的に接続すると共に、操作弁69の操作部材69aと振動検知機構12の球体27とを連繋部材28を介して連繋して構成することができる。さらに、ガス遮断器40を、その保持解除機構46(図8参照)を電磁弁及び操作弁で駆動可能とし、この電磁弁と感震センサとを電気的に接続すると共に、操作弁の操作部材と振動検知機構の球体とを連繋部材を介して連繋して構成することができる。
【0040】
また、本実施例1では、ガスボンベ2を構成する操作弁2bにガス遮断器3,40,50を取着するようにしたが、これに限定されず、例えば、操作弁2bを除き、ガスボンベ2の開口部にガス遮断器3,40,50を直接的に取着するようにしてもよい。さらに、上記配管7の途中に、ガス遮断器3,40,50を配設するようにしてもよい。
また、本実施例1のガス遮断器3では、通常時に、ガス流路17から圧力室16へガスを供給しないことによって、そのガス流路17を開放させると共に、緊急時に、ガス流路17から圧力室16へガスを供給することによって、そのガス流路17を閉鎖させるように構成したが、これに限定されず、例えば、通常時に、ガス流路17から圧力室16へガスを供給することによって、そのガス流路17を開放させると共に、緊急時に、ガス流路17から圧力室16へのガス供給を停止することによって、そのガス流路17を閉鎖させるようにしてもよい。
また、本実施例1のガス遮断器3では、圧力室16とガス流路17の下流側とを連絡する排出路24を例示したが、これに限定されず、例えば、圧力室16と外気とを連絡する排出路としてもよい。
また、本実施例1のガス遮断器3では、本発明に係る連絡路開閉手段として操作弁33を例示したが、これに限定されず、例えば、連絡路開閉手段を、連絡路23の出口側に挿入され且つ連繋部材28の一端側に連結される栓部材により構成するようにしてもよい。
また、本実施例1のガス遮断器3では、バネ29の作用によりピストン部材31及び弁体13を変位させてガス流路17を開放させるようにしたが、これに限定されず、例えば、手動によりピストン部材及び弁体を変位させて適宜位置決め手段によりピストン部材及び弁体を位置決めしてガス流路を開放させるようにしてもよい。
また、本実施例1のガス遮断器50では、供給路55及び排出路56を設けたが、これに限定されず、例えば、流体を供給・排出可能な1本の給排路を設けて構成してもよい。
また、本実施例1のガス遮断器50では、本発明に係る排出路開閉手段として操作弁58を例示したが、これに限定されず、例えば、排出路開閉手段を、排出路56の出口側に挿入され且つ連繋部材28の一端側に連結される栓部材により構成するようにしてもよい。
さらに、本実施例1のガス遮断器50では、本発明に係る供給路開閉手段として逆止弁57を例示したが、これに限定されず、例えば、供給路開閉手段を、手動式操作弁や電磁弁等により構成してもよい。
【0041】
また、本実施例1のガス遮断器3において、図3に仮想線で示すように、圧力室16内に、弁体によりガス流路17が閉鎖された際のピストン31の端部を検知可能な近接スイッチ100(本発明に係る「閉鎖検知手段」として例示する。)を設け、連絡路23の途中に、近接スイッチ100と電気的に接続される電磁弁101(本発明に係る「連絡路開閉手段」として例示する。)を設け、近接スイッチ100によりガス流路17の閉鎖状態が検知された際に電磁弁101により連絡路23を閉鎖させるように構成することもできる。これにより、ガス流路を閉鎖する際の圧力室の内圧の高騰を抑制でき、圧力室の構造の安全性を向上させることができる。なお、上述のように、感震センサ66と電磁弁67とを備える場合(図14参照)、上記近接スイッチ100を電磁弁67に電気的に接続し、1つの電磁弁67により連絡路23を開閉させることもできる。
また、本実施例1のガス遮断器3,40,50において、機器本体の外面に、異常検知手段としての感震センサに電気的に接続される報知ランプ及び/又は報知スピーカを設けるようにしてもよい。これにより、報知ランプを点灯させたり、報知スピーカで音を発生させたりして、外部に異常の発生を報知することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
産業ガス、LPガス、医療ガス、燃料電池用の燃料ガス等の各種ガスを使用するシステムの用途として適用できる。特に、多数のガス容器を併設してなる設備を備えるシステムの用途に好適に適用できる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体遮断器及び流体供給システムに関し、さらに詳しくは、緊急時に流体供給を確実に遮断できると共に、容易に取り扱い得る簡易・安価な構造の流体遮断器及びこれを用いた流体供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ガス供給システムとして、例えば、図16及び図17に示すように、ガス容器に連なる配管7Aの途中に手動式の高圧遮断バルブ8Aを設け、作業者がこの高圧遮断バルブ8Aを操作して、ガス供給を遮断し得るものが知られている。なお、図中9Aは、減圧弁を示す。しかし、この従来のシステムでは、緊急時(例えば、地震、火災、装置の異常等)に自動で迅速にガス供給を遮断することが困難であった。
そこで、上記問題を解決する従来のガス供給システムとして、例えば、振動を検知する振動検知手段と、この振動検知手段により振動を検知した際に遮断されるガス遮断手段と、を備えるものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
しかし、上記特許文献1では、上述の振動検知手段とガス遮断手段とが別々に配設されているのでシステム全体として高価なものとなり、しかも施工作業が煩雑なものであった。また、ガス遮断手段としては、通常、電気的に制御される流体供給源からの供給流体によって閉鎖(又は開放)する圧力駆動弁が用いられるが、この場合、流体供給源、及びこの流体供給源を制御する制御装置もシステム内に別々に配設する必要があり、さらにシステム全体として高価でしかも施工作業が煩雑となる。
また、上記特許文献1では、ガス容器の口部に連なる配管の途中に圧力駆動弁を配設しているので、地震や外的付加によってガス容器が倒れてガス容器と圧力駆動弁との間の配管の途中でガス漏れが発生する場合には、圧力駆動弁を遮断しても、圧力駆動弁より上流側の配管が破損し、その破損部位から吹き出るガスを止めることはできない。従って、緊急時における、特に地震対策を踏まえた現実的なガス遮断システムが構築されていないことが現状であった。
【0004】
【特許文献1】特開平10−118205号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上より、本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、緊急時に流体供給を確実に遮断できると共に、容易に取り扱い得る簡易・安価な構造の流体遮断器及びこれを用いた流体供給システムを提供することを目的とする。また、本発明は、緊急時に流体容器の口部より下流側での流体漏れを確実に防止できる流体供給システムを提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の通りである。
1.機器本体と、該機器本体に設けられ且つ異常を検知する異常検知手段と、前記機器本体に形成された流体流路を開閉する弁体と、該弁体を前記流体流路を開放する位置に保持させると共に、前記異常検知手段により異常が検知された際に該弁体を前記流体流路を閉鎖する位置に変位させる弁体駆動手段と、を備えることを特徴とする流体遮断器。
2.前記機器本体に設けられ且つ流体容器の口部に着脱可能に取着される取着部をさらに備える上記1.記載の流体遮断器。
3.前記弁体駆動手段が、前記機器本体に形成された圧力室内に移動自在に設けられ且つ前記弁体に連繋されるピストン部材と、前記圧力室と前記流体流路の上流側とを連絡する連絡路を開閉する連絡路開閉手段と、前記圧力室に連なり該圧力室内に封入された流体を排出するための排出路を開閉する排出路開閉手段と、を有する上記1.又は2.に記載の流体遮断器。
4.前記排出路が、前記圧力室と前記流体流路の下流側とを連絡している上記3.記載の流体遮断器。
5.前記機器本体に設けられ且つ前記弁体による前記流体流路の閉鎖を検知する閉鎖検知手段をさらに備え、該閉鎖検知手段により前記流体流路の閉鎖が検知された際に前記連絡路開閉手段により前記連絡路を閉鎖させるようにした上記3.又は4.に記載の流体遮断器。
6.機器本体と、該機器本体に設けられ且つ流体を貯蔵する流体容器の口部に着脱可能に取着される取着部と、該機器本体に設けられ且つ異常を検知する異常検知手段と、前記機器本体に形成され且つ前記流体容器内の流体が供給される流体流路を開閉する弁体と、該弁体を前記流体流路を開放する位置に保持させると共に、前記異常検知手段により異常が検知された際に該弁体を前記流体流路を閉鎖する位置に変位させる弁体駆動手段と、前記機器本体に設けられ且つ前記弁体による前記流体流路の閉鎖を検知する閉鎖検知手段と、を備え、
前記弁体駆動手段が、前記機器本体に形成された圧力室内に移動自在に設けられ且つ前記弁体に連繋されるピストン部材と、前記圧力室と前記流体流路の上流側とを連絡する連絡路を開閉する連絡路開閉手段と、前記圧力室と前記流体流路の下流側とを連絡する排出路を開閉する排出路開閉手段と、を有し、
前記連絡路及び前記排出路が閉鎖された状態より、前記連絡路開閉手段により前記連絡路を開放させて該連絡路を介して前記流体流路の上流側を流れる流体を前記圧力室内に供給し、前記ピストン部材及び前記弁体を変位させて該弁体で前記流体流路を閉鎖させ、前記閉鎖検知手段により前記流体流路の閉鎖が検知された際に前記連絡路開閉手段により前記連絡路を閉鎖させ、前記連絡路及び前記排出路が閉鎖された状態より、前記排出路開閉手段により前記排出路を開放させて該排出路を介して前記圧力室内に封入された流体を前記流体流路の下流側に排出するようにしたことを特徴とする流体遮断器。
7.前記弁体駆動手段が、前記機器本体に形成された収納室内に設けられ且つ前記弁体に連繋される付勢手段と、該付勢手段によって前記流体流路を閉鎖する方向に付勢される前記弁体を前記流体流路を開放する位置に保持させると共にその保持を解除させ得る保持解除機構と、を有する上記1.又は2.に記載の流体遮断器。
8.前記弁体駆動手段が、前記機器本体に形成された圧力室内に移動自在に設けられ且つ前記弁体に連繋されるピストン部材と、前記圧力室に連なり該圧力室内に流体を供給するための供給路を開閉する供給路開閉手段と、前記圧力室に連なり該圧力室内に封入された流体を排出するための排出路を開閉する排出路開閉手段と、を有する上記1.又は2.に記載の流体遮断器。
9.前記異常検知手段が、前記機器本体に設けられる受け部、及び該受け部に入れられ且つ振動により該受け部から落下し得る落下部材からなる振動検知機構である上記1.乃至8.のいずれか一項に記載の流体遮断器。
10.前記異常検知手段が、前記機器本体に設けられ且つ振動を検知する感震センサである上記1.乃至8.のいずれか一項に記載の流体遮断器。
11.前記異常検知手段が、前記機器本体に設けられる受け部、及び該受け部に入れられ且つ振動により該受け部から落下し得る落下部材からなる振動検知機構と、前記機器本体に設けられ且つ振動を検知する感震センサと、を有する上記1.乃至8.のいずれか一項に記載の流体遮断器。
12.前記機器本体に設けられ且つ前記異常検知手段により検知された異常を報知する異常報知手段をさらに備える上記1.乃至11.のいずれか一項に記載の流体遮断器。
13.流体容器と、該流体容器の口部又は該流体容器に連なる配管に設けられる上記1.乃至12.のいずれか一項に記載の流体遮断器と、を備えることを特徴とする流体供給システム。
14.流体容器と、該流体容器の口部に取着され且つ供給される流体によってその流体流路を開閉する駆動弁と、該駆動弁に流体を供給するための流体供給源と、異常を検知する異常検知手段と、該異常検知手段により異常が検知された際に、前記駆動弁の前記流体流路を開放させるように前記流体供給源を駆動制御する制御手段と、を備えることを特徴とする流体供給システム。
【発明の効果】
【0007】
本発明の流体遮断器によると、通常時には、弁体駆動手段によって、弁体が流体流路を開放する位置に保持されて流体が供給される一方、緊急時には、弁体駆動手段によって、弁体が流体流路を閉鎖する位置に変位されて流体供給が確実に遮断される。また、機器本体に、弁体、異常検知手段、及び弁体駆動手段を一体的に設けたので、容易に取り扱い得る簡易・安価な構造の流体遮断器を提供できる。
また、前記機器本体に設けられ且つ流体容器の口部に着脱可能に取着される取着部をさらに備える場合は、流体容器の口部より下流側での流体漏れを防止できる。
また、前記弁体駆動手段が、ピストン部材と、連絡路開閉手段と、排出路開閉手段と、を有する場合は、流体流路を流れる流体を圧力室内に導くことによって、弁体を変位させて流体流路を開閉できる。
また、前記排出路が、前記圧力室と前記流体流路の下流側とを連絡している場合は、圧力室内に封入された流体を流体流路の下流側に排出でき、その流体の外気への排出を防止できる。
また、閉鎖検知手段をさらに備え、該閉鎖検知手段により前記流体流路の閉鎖が検知された際に前記連絡路開閉手段により前記連絡路を閉鎖させるようにした場合は、流体流路を閉鎖する際の圧力室の内圧の高騰を抑制でき、圧力室の構造の安全性を向上させることができる。
本発明の他の流体遮断器によると、通常時には、弁体駆動手段によって、弁体が流体流路を開放する位置に保持されて流体が供給される一方、緊急時には、弁体駆動手段によって、弁体が流体流路を閉鎖する位置に変位されて流体供給が確実に遮断される。また、機器本体に、弁体、異常検知手段、及び弁体駆動手段を一体的に設けたので、容易に取り扱い得る簡易・安価な構造の流体遮断器を提供できる。また、流体容器の口部に着脱可能に取着される取着部を備えるので、流体容器の口部より下流側での流体漏れを防止できる。また、前記弁体駆動手段が、ピストン部材と、連絡路開閉手段と、排出路開閉手段と、を有するので、連絡路及び排出路が閉鎖された状態より、連絡路開閉手段により連絡路を開放させて連絡路を介して流体流路の上流側を流れる流体を圧力室内に供給し、ピストン部材及び弁体を変位させて弁体で流体流路が閉鎖される。一方、連絡路及び排出路が閉鎖された状態より、排出路開閉手段により排出路を開放させて排出路を介して圧力室内に封入された流体が流体流路の下流側に排出される。これにより、流体流路をより確実且つ迅速に閉鎖することができると共に、流体流路の閉鎖状態を容易に解除することができる。また、圧力室内に封入された流体を流体流路の下流側に排出でき、その流体の外気への排出を防止できる。さらに、閉鎖検知手段を備え、該閉鎖検知手段により前記流体流路の閉鎖が検知された際に前記連絡路開閉手段により前記連絡路を閉鎖させるようにしているので、流体流路を閉鎖する際の圧力室の内圧の高騰を抑制でき、圧力室の構造の安全性を向上させることができる。
また、前記弁体駆動手段が、付勢手段と、保持解除機構と、を有する場合は、機械式に弁体を変位させて流体流路をより確実に開閉できる。
また、前記弁体駆動手段が、ピストン部材と、供給路開閉手段と、排出路開閉手段と、を有する場合は、圧力室内に供給され封入される流体圧力によって、流体流路が開放される一方、圧力室からの封入流体の排出によって、流体流路が閉鎖される。
また、前記異常検知手段が、前記機器本体に設けられる受け部、及び該受け部に入れられ且つ振動により該受け部から落下し得る落下部材からなる振動検知機構である場合は、より簡易・安価な構造とすることができる。
また、前記異常検知手段が、前記機器本体に設けられ且つ振動を検知する感震センサである場合は、流体遮断に関する誤動作を防止できる。
また、前記異常検知手段が、振動検知機構と、感震センサと、を有する場合は、流体遮断に関する誤動作をより確実に防止できる。
また、異常報知手段をさらに備える場合は、異常状態を外部に知らせることができる。
本発明の流体供給システムによると、流体遮断器において、通常時には、弁体駆動手段によって、弁体が流体流路を開放する位置に保持されて流体が供給される一方、緊急時には、弁体駆動手段によって、弁体が流体流路を閉鎖する位置に変位されて流体供給が確実に遮断される。
他の本発明の流体供給システムによると、通常時には、制御手段により流体供給源が制御されて、駆動弁の流体流路が開放されて流体が供給される一方、緊急時には、制御手段により流体供給源が制御されて、駆動弁の流体流路が閉鎖されて流体供給が遮断される。従って、流体容器の口部より下流側での流体漏れを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1に係るガス供給システムを説明するための説明図である。
【図2】上記ガス供給システムを説明するためのブロック図である。
【図3】ガス遮断器の縦断面図である(ガス供給状態を示す。)。
【図4】ガス遮断器の縦断面図である(ガス遮断状態を示す。)。
【図5】連絡路開閉手段及び排出路開閉手段を説明するための模式図である。
【図6】ガス遮断器をガスボンベに取り付ける作用を説明するための説明図である。
【図7】ガス遮断器をガスボンベに取り付ける作用を説明するための説明図である。
【図8】その他の態様のガス遮断器の縦断面図である(ガス供給状態を示す。)。
【図9】その他の態様のガス遮断器の縦断面図である(ガス遮断状態を示す。)。
【図10】更にその他の態様のガス遮断器の縦断面図である(ガス供給状態を示す。)。
【図11】更にその他の態様のガス遮断器の縦断面図である(ガス遮断状態を示す。)。
【図12】本実施例2に係るガス供給システムを説明するための説明図である。
【図13】本実施例2に係るガス供給システムを説明するためのブロック図である。
【図14】異常検知手段の他の態様を説明するための模式図である。
【図15】異常検知手段の更に他の態様を説明するための模式図である。
【図16】従来のガス供給システムを説明するための説明図である。
【図17】従来のガス供給システムを説明するためのブロック図である。
【符号の説明】
【0009】
1,60;ガス供給システム、2;ガスボンベ、3,40,50;ガス遮断器、11,41,51;機器本体、12;振動検知機構、13;弁体、14,42,52,;弁体駆動手段、16;圧力室、17;ガス流路、18;取着部材、23;連絡路、24;排出路、26;受け部材、27;球体、31;ピストン部材、33;操作弁、34;操作弁、43;収納室、44;ガス流路、45;バネ、46;保持解除機構、53;圧力室、55;供給路、56;排出路、57;逆止弁、58;操作弁、61;駆動弁、62;コンプレッサ、63,67,70;感震センサ、64;制御装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
1.流体供給システム
本実施形態1に係る流体供給システムは、以下に述べる流体容器及び流体遮断器を備えて構成されている(図1及び図2参照)。
【0011】
上記「流体容器」は、流体を貯蔵し得る限り、その形状、大きさ、材質等は特に問わない。この流体容器は、通常、容器本体と、この容器本体の開口に取着された手動式の操作弁とを有している。また、この流体容器内に貯蔵される流体(特に、ガス)の種類としては、例えば、可燃性ガス(例えば、プロパンガス、天然ガス、アセチレン、水素ガス等)、毒性ガス(例えば、フッ素、塩素、塩化水素等)、可燃性毒性ガス(例えば、モノシラン、シジラン、ジボラン等)、支燃性ガス(例えば、圧縮酸素、液化酸素、亜酸化窒素ガス等)などを挙げることができる。また、上記流体容器は、例えば、燃料電池用の燃料(例えば、水素、天然ガス、プロパンガス、メタノール等)を貯蔵する容器であることができる。
【0012】
<流体遮断器>
上記「流体遮断器」は、以下に述べる機器本体、異常検知手段、弁体、及び弁体駆動手段を備えて構成される。この流体遮断器は、例えば、後述する取着部、及び被取着部を備えることができる。また、この流体遮断器は、例えば、後述する異常報知手段を備えることができる。また、この流体遮断器は、上記流体容器の口部に取着された状態で、流体容器が転倒した場合でも地面(床面)と接触しない形状を有していることが好ましい。なお、この流体遮断器は、例えば、流体容器の口部に取着されていたり、流体容器に連なる配管の途中に取着されていたりできる。
【0013】
上記「機器本体」の構造、形状、大きさ等は特に問わない。この機器本体には、上記流体容器内の流体が供給される流体流路が形成されている。また、この機器本体には、例えば、後述する圧力室、連絡路、及び排出路が形成されていることができる。また、この機器本体には、例えば、後述する収納室が形成されていることができる。また、この機器本体には、例えば、後述する圧力室、供給路、及び排出路が形成されていることができる。また、この機器本体は、例えば、上述の各室、路が気密にシールされてなる防爆構造を有することができる。
【0014】
上記「異常検知手段」は、機器本体に設けられ且つ各種の異常を検知し得る限り、その検知形態、タイミング等は特に問わない。この異常の種類としては、例えば、地震、火災、ガス漏れ、ガス機器の故障、流体容器(ボンベ等)の転倒又は揺動等を挙げることができる。また、この異常検知手段としては、例えば、(1)機器本体に設けられる受け部、及び受け部に入れられ且つ振動により受け部から落下し得る落下部材からなる振動検知機構である形態、(2)機器本体に設けられ且つ振動を検知する感震センサである形態、(3)上記振動検知機構及び上記感震センサを有する形態等を挙げることができる。ここで、上記感震センサは、例えば、センサ部と、このセンサ部から入力される検知信号に基づいて適宜制御信号を出力する制御部と、これらセンサ部及び制御部の駆動用の電池等の電源と、を有することができる。また、この感震センサは、例えば、振動の回数、大きさ、種類(横揺れ、縦揺れ等)などに応じて振動を検知可能であることができる。これにより、例えば、一度の揺れでは感震センサを作動させないようにすることができ、複数の流体容器が併設された設備において、所定の流体容器を交換する際に、誤って隣りの流体容器を倒したり揺らしたりしても、その流体遮断器を作動(誤作動)させてしまうことを防止できる。また、上記(3)形態の場合には、振動検知機構及び感震センサが共に振動を検知した際に、後述する流体遮断器を作動させるように構成すれば、やはり流体遮断器の誤動作を防止できる。
なお、上記「受け部」の形状、大きさ、材質等は特に問わない。この受け部は、例えば、落下部材が入れられ且つ振動時にその落下部材が落下し得る逆皿状であることができる。また、この受け部は、例えば、落下部材が入れ込まれ且つ振動時にその落下部材が脱け出し得る受け穴を有することができる。また、上記「落下部材」の形状、大きさ、材質等は特に問わない。
【0015】
上記「弁体」は、機器本体に形成された流体流路を開閉し得る限り、その形状、大きさ、材質等は特に問わない。
【0016】
上記「弁体駆動手段」は、弁体を流体流路を開放する位置に保持させると共に、上記異常検知手段により異常が検知された際に弁体を流体流路を閉鎖する位置に変位させ得る限り、その構造、駆動形態等は特に問わない。この弁駆動手段としては、例えば、以下に述べる下記(1)〜(3)形態等を挙げることができる。
【0017】
(1)機器本体に形成された圧力室内に移動自在に設けられ且つ弁体に連繋されるピストン部材と、圧力室と流体流路の上流側とを連絡する連絡路を開閉する連絡路開閉手段と、圧力室に連なり圧力室内に封入された流体を排出するための排出路を開閉する排出路開閉手段と、を有する形態(図3及び図4参照)。
この場合、例えば、連絡路及び排出路が閉鎖された状態で、後述する弁体付勢手段の付勢力等によって、弁体を流体流路を開放する位置に保持させる。また、連絡路及び排出路が閉鎖された状態より、連絡路開閉手段により連絡路を開放させてこの連絡路を介して流体流路の上流側から圧力室内に供給される流体の圧力によって、ピストン部材を変位させて弁体を流体流路を閉鎖する位置に変位させ、さらに、連絡路及び排出路が閉鎖された状態より、排出路開閉手段により排出路を開放させてこの排出路を介して圧力室内から流体を排出するように構成されていることができる。このように供給流体を利用して流体流路を閉鎖する場合、流体流路の圧力とピストン部材の駆動圧力とが同じ圧力であるので、ピストン部材の大きさ、枚数等を必要最小限に設定でき、ひいては流体流路を閉鎖する構造を小型・簡易化できる。また、例えば、上記流体流路が直線状に形成され、上記ピストン部材及び弁体が流体流路と略直交する方向に変位するように構成されていることができる。これにより、より確実且つ迅速に流体流路を閉鎖することができる。
上記連絡路開閉手段の種類、配設箇所、個数等は特に問わない。この連絡路開閉手段としては、例えば、(a)上記振動検知機構を構成する落下部材に連繋部材(例えば、紐、鎖等)を介して連繋される操作部材を有する操作弁である形態、(b)上記感震センサと電気的に接続される電磁弁である形態、(c)上記操作弁及び上記電磁弁を直列に設けてなる形態等を挙げることができる。
上記排出路開閉手段の種類、配設箇所、個数等は特に問わない。この排出路開閉手段としては、例えば、操作部材を有する操作弁、電磁弁、逆止弁等を挙げることができる。
ここで、上記排出路が、圧力室と流体流路の下流側とを連絡していることが好ましい。これにより、圧力室内に供給された流体を流体流路に排出でき、使用する流体が可燃性ガスや毒性ガス等であっても、そのガスが外気(大気)に排出されることを防止できる。
また、前記機器本体に設けられ且つ前記弁体による前記流体流路の閉鎖を検知するための閉鎖検知手段をさらに備え、該閉鎖検知手段により前記流体流路の閉鎖が検知された際に前記連絡路開閉手段が前記連絡路を閉鎖するように構成されていることが好ましい。この閉鎖検知手段は、例えば、弁体及び/又はピストン部材の位置を検出するセンサ(例えば、近接センサ、リミットスイッチ等)であったり、圧力室及び/又は流体流路の内部圧力を検出する圧力センサであったりすることができる。また、上記連絡路開閉手段としては、例えば、(a)上記振動検知機構を構成する落下部材に連繋部材(例えば、紐、鎖等)を介して連繋される操作部材を有する操作弁と、上記閉鎖検知手段に電気的に接続される電磁弁とを直列に設けてなる形態、(b)上記閉鎖検知手段及び上記感震センサに電気的に接続される電磁弁、(c)上記(a)(b)を組み合わせてなる形態等を挙げることができる。
なお、上記「流体流路の上流側(下流側)」とは、流体流路において上記弁体で開閉される部位より上流側(下流側)を意味する。
【0018】
(2)機器本体に形成された収納室内に設けられ且つ弁体に連繋される付勢手段と、付勢手段によって流体流路を閉鎖する方向に付勢される弁体を流体流路を開放する位置に保持させると共にその保持を解除させ得る保持解除機構と、を有する形態(図8及び図9参照)。
ここで、上記保持解除機構は、例えば、上記付勢手段に連繋され且つ機器本体の外方から操作可能な操作レバーと、この操作レバーに係脱可能な係脱具と、を有し、この操作レバーと係脱具との係脱によって、流体流路を開閉するように構成されていることができる。この係脱具としては、例えば、(a)上記振動検知機構を構成する落下部材に連繋部材(例えば、紐、鎖等)を介して連繋される形態、(b)上記感震センサと電気的に接続される電磁弁に連繋される形態、(c)上記落下部材及び上記電磁弁に連繋される形態等を挙げることができる。また、上記「付勢手段」としては、例えば、ゴムやバネ等の弾性部材、緩衝機構等を挙げることができる。また、例えば、上記流体流路が直線状に形成され、上記弁体が流体流路と略直交する方向に変位するように構成されていることができる。これにより、より確実且つ迅速に流体流路を閉鎖することができる。
【0019】
(3)機器本体に形成された圧力室内に移動自在に設けられ且つ弁体に連繋されるピストン部材と、圧力室に連なり圧力室内に流体(例えば、空気等)を供給するための供給路を開閉する供給路開閉手段と、圧力室に連なり圧力室内に封入された流体を排出するための排出路を開閉する排出路開閉手段と、を有する形態(図10及び図11参照)。
この場合、例えば、供給路及び排出路が閉鎖された状態より、供給路開閉手段により供給路を開放させてこの供給路を介して圧力室内に供給される流体圧力よって、ピストン部材を変位させて弁体を流体流路を開放する位置に変位させると共に、供給路及び排出路が閉鎖された状態で、圧力室内に封入された流体圧力によって、弁体を流体流路を開放する位置に保持させ、さらに、供給路及び排出路が閉鎖された状態より、排出路開閉手段により排出路を開放させてこの排出路を介して圧力室内から封入流体を排出するように構成されていることができる。また、例えば、上記流体流路が直線状に形成され、上記ピストン部材及び弁体が流体流路と略直交する方向に変位するように構成されていることができる。これにより、より確実且つ迅速に流体流路を閉鎖することができる。
上記排出路開閉手段の種類、配設箇所、個数等は特に問わない。この排出路開閉手段としては、例えば、(a)上記振動検知機構を構成する落下部材に連繋部材(例えば、紐、鎖等)を介して連繋される操作部材を有する操作弁である形態、(b)上記感震センサと電気的に接続される電磁弁である形態、(c)上記操作弁及び上記電磁弁を直列に設けてなる形態等を挙げることができる。
上記供給路開閉手段の種類、配設箇所、個数等は特に問わない。この供給路開閉手段としては、例えば、逆止弁、操作部材を有する操作弁、電磁弁等を挙げることができる。
なお、上記(1)〜(3)形態の弁体駆動手段は、例えば、弁体を流体流路を開放する方向に付勢するための弁体付勢手段を有することができる。この弁体付勢手段としては、例えば、上記付勢手段と同じ構成のものを挙げることができる。
【0020】
上記「取着部」は、上記機器本体に設けられ且つ流体容器の口部に着脱可能に取着され得る限り、その構造、設置形態等は特に問わない。この取着部は、例えば、流体容器の口部に螺合・解除可能なネジ部を有することができる。なお、上記「口部」としては、例えば、流体容器の開口部、流体容器の開口部に取着された手動式の操作弁のノズル部等を挙げることができる。
上記「被取着部」は、上記機器本体に設けられ且つ配管の一端側に着脱可能に取着され得る限り、その構造、設置形態等は特に問わない。この被取着部は、例えば、配管の一端側に螺合・解除可能なネジ部を有することができる。なお、上記配管の一端側としては、例えば、配管の一端開口部、配管の一端開口部に取着された連結部等を挙げることができる。
【0021】
2.流体供給システム
本実施形態2に係る流体供給システムは、以下に述べる流体容器、駆動弁、流体供給源、異常検知手段、及び制御手段を備えて構成されている(図12及び図13参照)。
上記「流体容器」としては、例えば、上述の実施形態1で説明した流体容器と同じ構成のもの等を挙げることができる。
上記「駆動弁」は、流体容器の口部に取着され且つ供給流体によってその流体流路を開閉し得る限り、その構造、配設形態等は特に問わない。この駆動弁は、例えば、駆動用の流体圧力がない状態でその流体流路を閉鎖するノーマリークローズ式であったり、駆動用の流体圧力がない状態でその流体流路を開放するノーマリーオープン式であったりできる。
上記「流体供給源」は、上記駆動弁に流体を供給可能である限り、その構造、配設形態等は特に問わない。この流体供給源としては、例えば、エアコンプレッサ、流体封入容器(ガス封入ボンベ等)を挙げることができる。
上記「異常検知手段」としては、例えば、上述の実施形態1で説明した異常検知手段と同じ構成のもの等を挙げることができる。
上記「制御手段」は、異常検知手段により異常が検知された際に、駆動弁の流体流路を開放させるように流体供給源を駆動制御し得る限り、その構造、配設形態等は特に問わない。
【実施例】
【0022】
(実施例1)
以下、図面を用いて実施例1により本発明を具体的に説明する。
(1)ガス供給システムの構成
本実施例1に係るガス供給システム1は、図1及び図2に示すように、ガスボンベ2(本発明に係る「流体容器」として例示する。)及びガス遮断器3を備えて構成されている。このガスボンベ2は、支持枠部材5に取着された転倒防止用のチェーン部材6で周囲を囲まれた状態で床面に載置されている。また、このガスボンベ2は、所定のガスが貯蔵されたボンベ本体2aと、このボンベ本体2aの開口部に装着された手動式の操作弁2bと、を有している。この操作弁2bには、上記ガス遮断器3を介して配管7が接続されている。この配管7の途中には、伸縮自在な渦巻き部7aが設けられている。また、この配管7の途中には、渦巻き部7aより下流側に、手動式の操作弁8(高圧遮断弁とも言う。)、及び減圧弁9が順次配設されている。なお、上記配管7の他端側には、適宜ガス機器(図示せず)が接続されているようになっている。
【0023】
上記ガス遮断器3は、図3に示すように、機器本体11、振動検知機構12(本発明に係る「異常検知手段」として例示する。)、弁体13、及び弁体駆動手段14を有している。この機器本体11は、圧力室16が形成された上部本体11aと、ガス流路17が形成された下部本体11bとからなっている。この下部本体11bには、ガス流路17の一端と連なる位置に、円筒状の取着部材18が設けられている。この取着部材18の内周面に形成された雌ネジ18aは、上記操作弁8の円筒状のノズル部19(本発明に係る「口部」として例示する。)の外周面に形成された雄ネジ19aに螺合し得るようになっている(図6及び図7参照)。また、下部本体11bには、ガス流路17の他端と連なる位置に、円柱状の被取着部材20が設けられている(図6及び図7参照)。この被取着部材20は、その外周面に雄ネジ20aが形成され、その中心にガス流路17と連なる連通路20bが形成されている。また、この被取着部材20の雄ネジ20aは、上記配管7の一端側に連結された円筒状の連結部材21の内周面に形成された雌ネジ(図示せず)に螺合されるようになっている(図6及び図7参照)。また、上部本体11a及び下部本体11bには、ガス流路17の上流側と圧力室16とを連絡する連絡路23が形成されている。また、上部本体11a及び下部本体11bには、ガス流路17の下流側と圧力室16とを連絡する排出路24が形成されている。
【0024】
上記振動検知機構12は、下部本体11bの底面に取着される断面L字状の受け部材26と、この受け部材26の水平面部に形成された受け穴26aに入り込み得る球体27と、を有している。そして、この受け穴26aに嵌り込まれた球体27が、地震等でガス遮断器3が振動(傾斜)した際に、受け穴26aから脱して受け部材26から落下するようになっている。この球体27には、紐状の連繋部材28の一端が取着されている。
【0025】
上記弁体13は、ガス流路17を開放する位置と閉鎖する位置との間で変位自在に設けられている。この弁体13は、ガス流路17を閉鎖する状態で、バネ29(本発明に係る「弁体付勢手段」として例示する。)によって、ガス流路17を開放する方向に付勢されている。
【0026】
上記弁体駆動手段14は、ピストン部材31、操作弁33(本発明に係る「連絡路開閉手段」として例示する。)、及び操作弁34(本発明に係る「排出路開閉手段」として例示する。)を有している。このピストン部材31は、円盤状で複数枚(図中3枚)が設定され、圧力室16内で上下動自在に設けられている。各ピストン部材31は、ピストンロッド32を介して上記弁体13に連繋されている。また、上記操作弁33は、図5(a)に示すように、上記連絡路23の途中に配設されている。この操作弁33の操作部材33aには、上記連繋部材28の一端が接続されている。そして、この操作弁33は、球体27が受け部材26に入り込んでいる際には、連絡路23を閉鎖する一方、球体27が受け部材26から落下すると、連繋部材28を介して操作部材33aが下方に向って引っ張られ、連絡路23を開放するようになっている。また、上記操作弁34は、図5(b)に示すように、上記排出路24の途中に配設され、通常、その排出路24を閉鎖しており、操作部材34aを手動操作することによって排出路24を開放するようになっている。
【0027】
(2)ガス供給システムの作用
次に、上記構成のガス供給システム1の作用について説明する。先ず、ボンベ交換等の際に、図6及び図7に示すように、ガス遮断器3の取着部材18を、ガスボンベ2の操作弁2bのノズル部19に螺合させると共に、ガス遮断器3の被取着部材20に、配管7の一端に設けた連結部材21を螺合させる。そして、ガスボンベ2に対して装着状態のガス遮断器3において、図3に示すように、受け部材26の受け穴26aに球体27が入れ込まれ、操作弁33によって連絡路23が閉鎖され且つ操作弁34によって排出路24が閉鎖された状態とされる。さらに、バネ29の付勢力によって、ピストン部材31及び弁体13が上方位置に位置されてガス流路17が開放された状態とされる。従って、この状態より、作業者がガスボンベ2の操作弁2bを開放操作すれば、ガスボンベ2内に貯蔵されたガスは、操作弁2b及びガス遮断器3を通って配管7に流れ、さらに配管7の途中で操作弁8及び減圧弁9を通ってガス機器まで供給されることとなる。
【0028】
そして、このようなガス供給中に地震等が生じ、ガスボンベが傾倒(又は揺動)すると、図4に示すように、受け部材26から球体27が落下して、この球体27に連なる連繋部材28を介して操作弁33の操作部材33aが下方に向って引っ張られる(図5(a)参照)。すると、操作弁33によって連絡路23が開放され、この連絡路23を介してガス流路17の上流側を流れるガスが圧力室16に供給される。その結果、この圧力室16内に供給され封入されるガス圧力によって、ピストン部材31及び弁体13が下方に向って変位され、ガス流路17が閉鎖されてガス供給が遮断されることとなる。
その後、ガス供給を再開する際には、傾倒したガスボンベ2の姿勢を直してから、受け部材26に球体27を入れ込んで、操作弁33によって連絡路23を閉鎖させる。その状態より、操作弁34の操作部材34aを押圧操作して排出路24を開放させると、圧力室16内に封入されたガスがガス流路17の下流側に排出される。そして、バネ29の付勢力によって、ピストン部材31及び弁体13が上方位置まで変位され、ガス流路17が再び開放される。
【0029】
(3)実施例の効果
以上のように、本実施例1のガス遮断器3では、弁体駆動手段14によって、ガス流路17を開閉されるように構成したので、ガス供給を自動で迅速に遮断することができる。そして、ガス遮断器3の機器本体11に、振動検知機構12、弁体13、及び弁体駆動手段14を一体的に設けて構成したので、従来のように、振動検知手段、ガス遮断手段(圧力駆動弁)、圧力駆動源、及び制御装置をシステム内に別々に設けるものに比べて、極めて安価・簡易に構成でき、しかも煩雑な施工作業を必要としないガス供給システムを提供できる。
また、本実施例1では、ガス遮断器3の機器本体11に、ガスボンベ2の操作弁2bのノズル部材19と螺合・解除可能な取着部材18を設けたので、配管7の途中が破損しても、ガスボンベ2の口部より下流側でのガス漏れを確実に防止できる。
また、本実施例1では、ピストン部材31、操作弁33、及び操作弁34を備えて弁体駆動手段14を構成したので、ガス流路17を流れるガスを圧力室16内に導くことによって、ピストン部材31及び弁体13を変位させてガス流路17を開閉することができる。このように供給ガスを利用してガス流路17を閉鎖する場合、ガス流路17の圧力とピストン部材31の駆動圧力とが同じ圧力であるので、ピストン部材31の大きさ、枚数等を必要最小限に設定でき、ひいてはガス流路17を閉鎖する構造を小型・簡易化できる。
また、本実施例1では、圧力室16とガス流路17の下流側とを連絡するように排出路24を構成したので、圧力室16内に封入されたガスをガス流路16の下流側に排出でき、使用するガスが可燃性、毒性ガス等のガスであっても、そのガスの外気(大気)への排出を防止できる。
さらに、本実施例1では、受け部材26と、この受け部材26内に所定の振動で落下するように入れられる球体27とを有する振動検知機構12を採用しているので、ガス遮断器3ひいてはシステム1全体をより簡易・安価な構造とすることができる。
【0030】
(4)ガス遮断器のその他の態様
次に、上記実施例1のガス遮断器3とは別の態様のガス遮断器40,50について説明するが、上述のガス遮断器3と同じ構成部分には、同符号を付けて詳細な説明は省略するものとする。
【0031】
(a)ガス遮断器40
上記ガス遮断器40は、図8及び図9に示すように、機器本体41、振動検知機構12、弁体13、及び弁体駆動手段42を有している。この機器本体41は、収納室43が形成された上部本体41aと、ガス流路17が形成された下部本体41bとからなっている。この下部本体41bにはガス流路17と連なる位置に、取着部材18及び被取着部材20が設けられている。
【0032】
上記弁体駆動手段42は、収納室43に設けられるバネ45(本発明に係る「付勢手段」として例示する。)及び保持解除機構46を有している。このバネ45は、弁体13をガス流路17を閉鎖する方向へ付勢するためのものである。また、この保持解除機構46は、上部本体41aに揺動自在に支持された操作レバー47を有している。この操作レバー47の一端側は、上部本体41aの切欠き部48より外方に突出しており、機器本体41の外方から操作し得るようになっている。この操作レバー47の他端側と、弁体13に連結されたピストンロッド32の上端側とが、上記バネ45によって連繋されている。また、上部本体41aには、操作レバー47の他端側に係脱可能な係脱具49が設けられている。この係脱具49は、操作レバー47の他端側に係脱可能で且つ弾性変形可能な断面L字状の第1止め部材49aと、この第1止め部材49aと係脱可能で且つ上部本体41aに上下動自在に支持される棒状の第2止め部材49bと、を有している。この第2止め部材49bの下端側には、上記振動検知機構12の連繋部材28の一端側が連結されている。
【0033】
上述の構成のガス遮断器40によると、振動検知機構12を構成する受け部材26内に球体27を入れた状態において、上記第1止め部材49a、第2止め部材49b、及び操作レバー47を互いに係合させることによって、バネ45による付勢状態の弁体13をガス流路17を開放する位置に保持させることができる(図8参照)。一方、地震等の発生によりガスボンベ2が傾倒(又は揺動)すると、受け部材26から球体27が落下して、この球体27に連なる連繋部材28を介して第2止め部材49bが下方に向って引っ張られ、第2止め部材49bと第1止め部材49aとの係合が解除される。すると、バネ45の付勢力によって、操作レバー47の他端側と第1止め部材49aとの係合が解除され、その操作レバー47が揺動されると共に、弁体13がガス流路17を閉鎖する位置まで変位される(図9参照)。従って、このガス遮断器40を用いたガス供給システムであっても、上述の実施例1と略同様にして、緊急時にガス供給を自動的に遮断できると共に、極めて安価でしかも煩雑な施工作業を必要としない等の利点がある。
尚、上記保持解除機構46及び係脱具49の構成は、特に限定されず、適宜好適な機構や構造を採用することができる。例えば、上記保持解除機構46は、操作レバー47を係脱具49に係合させる際に機能するラチェット機構(図示せず)を有することができる。
【0034】
(b)ガス遮断器50
上記ガス遮断器50は、図10及び図11に示すように、機器本体51、振動検知機構12、弁体13、及び弁体駆動手段52を有している。この機器本体51は、圧力室53が形成された上部本体51aと、ガス流路17が形成された下部本体51bとからなっている。この下部本体51bにはガス流路17と連なる位置に、取着部材18及び被取着部材20が設けられている。また、上部本体51aには、圧力室53と外気とを連絡する供給路55及び排出路56が形成されている。
上記弁体駆動手段52は、ピストン部材31、逆止弁57(本発明に係る「供給路開閉手段」として例示する。)、及び操作弁58(本発明に係る「排出路開閉手段」として例示する。)を有している。この逆止弁57は、上記供給路55の途中に配設されている。また、上記操作弁58は、上記排出路56の途中に配設されている。この操作弁58の操作部材58aには、上記振動検知機構12を構成する球体27が連繋部材28を介して連繋されている(図5(a)参照;但し、流路方向を示す矢印の向きは逆となる。)。
【0035】
上述の構成のガス遮断器50によると、受け部材26内に球体27が入れられて、操作弁58によって排出路56が閉鎖された状態において、エアコンプレッサ等の流体供給手段によって、供給路55及び逆止弁57を介して圧力室53内に流体が供給され封入される。すると、その圧力室53内の流体圧力によって、ピストン部材31及び弁体13が上方位置に変位され、ガス流路17が開放される(図10参照)。一方、地震等の発生によりガスボンベ2が傾倒(又は揺動)すると、受け部材26から球体27が落下して、この球体27に連なる連繋部材28を介して操作弁58の操作部材58aが下方に向って引っ張られ、排出路56が開放される(図5(a)参照)。すると、この排出路56を介して圧力室53内の流体が外気に排出されて、ピストン部材31及び弁体13が下方位置に変位され、ガス流路17が閉鎖されることとなる(図11参照)。従って、このガス遮断器50を用いたガス供給システムであっても、上述の実施例1と略同様にして、緊急時にガス供給を自動的に遮断できると共に、極めて安価でしかも煩雑な施工作業を必要としない等の利点がある。また、上記ガス遮断器50では、圧力室53に予め封入された流体圧力によって、そのガス流路17を開放させるようにしたので、従来のように、圧力供給源から常時流体を供給するものに比べ、より簡易・安価な構造となる。
【0036】
(実施例2)
以下、図面を用いて実施例2により本発明を具体的に説明する。尚、上記実施例1と同じ構成部分には同符号を付して詳細な説明を省略する。
(1)ガス供給システムの構成
本実施例2に係るガス供給システム60は、図12及び図13に示すように、ガスボンベ2、駆動弁61、コンプレッサ62(本発明に係る「流体供給源」として例示する。)、感震センサ63(本発明に係る「異常検知手段」として例示する。)、及び制御手段64を備えて構成されている。この駆動弁61は、コンプレッサ62からの流体供給によって、そのガス流路を開放すると共に、コンプレッサ62からの流体供給の停止によって、そのガス流路を閉鎖するように構成されている。また、この駆動弁61は、取着部材18及び被取着部材20を有している。この駆動弁61の取着部材18は、ガスボンベ2を構成する操作弁2bのノズル部19に螺合されている。また、この駆動弁61の被取着部材20には、配管7の一端側に設けた連結部材21が連結されている。また、上記制御手段64は、感震センサ63の検知信号に基づいて、コンプレッサ62に駆動・停止指令等を出力するように構成されている。
【0037】
(2)ガス供給システムの作用・効果
次に、上記構成のガス供給システム60の作用について説明する。通常時には、制御手段64によりコンプレッサ62が駆動制御され、このコンプレッサ62から供給される圧縮空気によって、駆動弁61のガス流路が開放される。この状態より、作業者がガスボンベ2の操作弁2bを開放操作すれば、ガスボンベ2内に貯蔵されたガスは、操作弁2b及びガス遮断器3を通って配管7に流れ、さらに配管7途中の操作弁8及び減圧弁9を通ってガス機器まで供給されることとなる。一方、ガス供給中に地震等が生じると、感震センサ63の検知信号が制御手段64に入力され、この制御手段64によりコンプレッサ62が駆動停止され、コンプレッサ62からの圧縮空気の供給が停止されて駆動弁61のガス流路が閉鎖されてガス供給が遮断されることとなる。その結果、配管7の途中が破損しても、ガスボンベ2の口部より下流側でのガス漏れを確実に防止できる。
【0038】
尚、本発明においては、前記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、本実施例1では、本発明に係る異常検知手段として、振動検知機構12を例示したが、これに限定されず、例えば、異常検知手段を感震センサにより構成してもよい。この感震センサを、一度の揺れでは作動させないようにすれば、作業者が誤ってガス容器を傾倒させた際にそのガス遮断器を誤動作させてしまうことを防止できる。具体的には、図14に示すように、ガス遮断器3を、連絡路23の途中に設けられる電磁弁67と感震センサ66とを電気的に接続して構成することができる。また、ガス遮断器50を、排出路56の途中に設けられる電磁弁67と感震センサ66とを電気的に接続して構成することができる。さらに、ガス遮断器40を、その保持解除機構42(図8参照)を電磁弁により駆動可能とし、この電磁弁と感震センサとを電気的に接続して構成することができる。
【0039】
また、例えば、異常検知手段として、感震センサ及び振動検知機構を有する構成としてもよい。この感震センサ及び振動検知機構が共に振動を検知した際に、ガス遮断器を作動させるようにすれば、作業者が誤ってガス容器を傾倒させた際にそのガス遮断器を誤動作させてしまうことを防止できる。具体的には、図15に示すように、ガス遮断器3を、連絡路23の途中に直列状に電磁弁68及び操作弁69を設け、この電磁弁68と感震センサ70とを電気的に接続すると共に、操作弁69の操作部材69aと振動検知機構12の球体27とを連繋部材28を介して連繋して構成することができる。また、ガス遮断器50を、排出路56の途中に電磁弁68及び操作弁69を直列状に設け、この電磁弁68と感震センサ70とを電気的に接続すると共に、操作弁69の操作部材69aと振動検知機構12の球体27とを連繋部材28を介して連繋して構成することができる。さらに、ガス遮断器40を、その保持解除機構46(図8参照)を電磁弁及び操作弁で駆動可能とし、この電磁弁と感震センサとを電気的に接続すると共に、操作弁の操作部材と振動検知機構の球体とを連繋部材を介して連繋して構成することができる。
【0040】
また、本実施例1では、ガスボンベ2を構成する操作弁2bにガス遮断器3,40,50を取着するようにしたが、これに限定されず、例えば、操作弁2bを除き、ガスボンベ2の開口部にガス遮断器3,40,50を直接的に取着するようにしてもよい。さらに、上記配管7の途中に、ガス遮断器3,40,50を配設するようにしてもよい。
また、本実施例1のガス遮断器3では、通常時に、ガス流路17から圧力室16へガスを供給しないことによって、そのガス流路17を開放させると共に、緊急時に、ガス流路17から圧力室16へガスを供給することによって、そのガス流路17を閉鎖させるように構成したが、これに限定されず、例えば、通常時に、ガス流路17から圧力室16へガスを供給することによって、そのガス流路17を開放させると共に、緊急時に、ガス流路17から圧力室16へのガス供給を停止することによって、そのガス流路17を閉鎖させるようにしてもよい。
また、本実施例1のガス遮断器3では、圧力室16とガス流路17の下流側とを連絡する排出路24を例示したが、これに限定されず、例えば、圧力室16と外気とを連絡する排出路としてもよい。
また、本実施例1のガス遮断器3では、本発明に係る連絡路開閉手段として操作弁33を例示したが、これに限定されず、例えば、連絡路開閉手段を、連絡路23の出口側に挿入され且つ連繋部材28の一端側に連結される栓部材により構成するようにしてもよい。
また、本実施例1のガス遮断器3では、バネ29の作用によりピストン部材31及び弁体13を変位させてガス流路17を開放させるようにしたが、これに限定されず、例えば、手動によりピストン部材及び弁体を変位させて適宜位置決め手段によりピストン部材及び弁体を位置決めしてガス流路を開放させるようにしてもよい。
また、本実施例1のガス遮断器50では、供給路55及び排出路56を設けたが、これに限定されず、例えば、流体を供給・排出可能な1本の給排路を設けて構成してもよい。
また、本実施例1のガス遮断器50では、本発明に係る排出路開閉手段として操作弁58を例示したが、これに限定されず、例えば、排出路開閉手段を、排出路56の出口側に挿入され且つ連繋部材28の一端側に連結される栓部材により構成するようにしてもよい。
さらに、本実施例1のガス遮断器50では、本発明に係る供給路開閉手段として逆止弁57を例示したが、これに限定されず、例えば、供給路開閉手段を、手動式操作弁や電磁弁等により構成してもよい。
【0041】
また、本実施例1のガス遮断器3において、図3に仮想線で示すように、圧力室16内に、弁体によりガス流路17が閉鎖された際のピストン31の端部を検知可能な近接スイッチ100(本発明に係る「閉鎖検知手段」として例示する。)を設け、連絡路23の途中に、近接スイッチ100と電気的に接続される電磁弁101(本発明に係る「連絡路開閉手段」として例示する。)を設け、近接スイッチ100によりガス流路17の閉鎖状態が検知された際に電磁弁101により連絡路23を閉鎖させるように構成することもできる。これにより、ガス流路を閉鎖する際の圧力室の内圧の高騰を抑制でき、圧力室の構造の安全性を向上させることができる。なお、上述のように、感震センサ66と電磁弁67とを備える場合(図14参照)、上記近接スイッチ100を電磁弁67に電気的に接続し、1つの電磁弁67により連絡路23を開閉させることもできる。
また、本実施例1のガス遮断器3,40,50において、機器本体の外面に、異常検知手段としての感震センサに電気的に接続される報知ランプ及び/又は報知スピーカを設けるようにしてもよい。これにより、報知ランプを点灯させたり、報知スピーカで音を発生させたりして、外部に異常の発生を報知することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
産業ガス、LPガス、医療ガス、燃料電池用の燃料ガス等の各種ガスを使用するシステムの用途として適用できる。特に、多数のガス容器を併設してなる設備を備えるシステムの用途に好適に適用できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本体と、該機器本体に設けられ且つ異常を検知する異常検知手段と、前記機器本体に形成された流体流路を開閉する弁体と、該弁体を前記流体流路を開放する位置に保持させると共に、前記異常検知手段により異常が検知された際に該弁体を前記流体流路を閉鎖する位置に変位させる弁体駆動手段と、を備えることを特徴とする流体遮断器。
【請求項2】
前記機器本体に設けられ且つ流体容器の口部に着脱可能に取着される取着部をさらに備える請求項1記載の流体遮断器。
【請求項3】
前記弁体駆動手段が、前記機器本体に形成された圧力室内に移動自在に設けられ且つ前記弁体に連繋されるピストン部材と、前記圧力室と前記流体流路の上流側とを連絡する連絡路を開閉する連絡路開閉手段と、前記圧力室に連なり該圧力室内に封入された流体を排出するための排出路を開閉する排出路開閉手段と、を有する請求項1又は2に記載の流体遮断器。
【請求項4】
前記排出路が、前記圧力室と前記流体流路の下流側とを連絡している請求項3記載の流体遮断器。
【請求項5】
前記機器本体に設けられ且つ前記弁体による前記流体流路の閉鎖を検知する閉鎖検知手段をさらに備え、該閉鎖検知手段により前記流体流路の閉鎖が検知された際に前記連絡路開閉手段により前記連絡路を閉鎖させるようにした請求項3又は4に記載の流体遮断器。
【請求項6】
機器本体と、該機器本体に設けられ且つ流体を貯蔵する流体容器の口部に着脱可能に取着される取着部と、該機器本体に設けられ且つ異常を検知する異常検知手段と、前記機器本体に形成され且つ前記流体容器内の流体が供給される流体流路を開閉する弁体と、該弁体を前記流体流路を開放する位置に保持させると共に、前記異常検知手段により異常が検知された際に該弁体を前記流体流路を閉鎖する位置に変位させる弁体駆動手段と、前記機器本体に設けられ且つ前記弁体による前記流体流路の閉鎖を検知する閉鎖検知手段と、を備え、
前記弁体駆動手段が、前記機器本体に形成された圧力室内に移動自在に設けられ且つ前記弁体に連繋されるピストン部材と、前記圧力室と前記流体流路の上流側とを連絡する連絡路を開閉する連絡路開閉手段と、前記圧力室と前記流体流路の下流側とを連絡する排出路を開閉する排出路開閉手段と、を有し、
前記連絡路及び前記排出路が閉鎖された状態より、前記連絡路開閉手段により前記連絡路を開放させて該連絡路を介して前記流体流路の上流側を流れる流体を前記圧力室内に供給し、前記ピストン部材及び前記弁体を変位させて該弁体で前記流体流路を閉鎖させ、前記閉鎖検知手段により前記流体流路の閉鎖が検知された際に前記連絡路開閉手段により前記連絡路を閉鎖させ、前記連絡路及び前記排出路が閉鎖された状態より、前記排出路開閉手段により前記排出路を開放させて該排出路を介して前記圧力室内に封入された流体を前記流体流路の下流側に排出するようにしたことを特徴とする流体遮断器。
【請求項7】
前記弁体駆動手段が、前記機器本体に形成された収納室内に設けられ且つ前記弁体に連繋される付勢手段と、該付勢手段によって前記流体流路を閉鎖する方向に付勢される前記弁体を前記流体流路を開放する位置に保持させると共にその保持を解除させ得る保持解除機構と、を有する請求項1又は2に記載の流体遮断器。
【請求項8】
前記弁体駆動手段が、前記機器本体に形成された圧力室内に移動自在に設けられ且つ前記弁体に連繋されるピストン部材と、前記圧力室に連なり該圧力室内に流体を供給するための供給路を開閉する供給路開閉手段と、前記圧力室に連なり該圧力室内に封入された流体を排出するための排出路を開閉する排出路開閉手段と、を有する請求項1又は2に記載の流体遮断器。
【請求項9】
前記異常検知手段が、前記機器本体に設けられる受け部、及び該受け部に入れられ且つ振動により該受け部から落下し得る落下部材からなる振動検知機構である請求項1乃至8のいずれか一項に記載の流体遮断器。
【請求項10】
前記異常検知手段が、前記機器本体に設けられ且つ振動を検知する感震センサである請求項1乃至8のいずれか一項に記載の流体遮断器。
【請求項11】
前記異常検知手段が、前記機器本体に設けられる受け部、及び該受け部に入れられ且つ振動により該受け部から落下し得る落下部材からなる振動検知機構と、前記機器本体に設けられ且つ振動を検知する感震センサと、を有する請求項1乃至8のいずれか一項に記載の流体遮断器。
【請求項12】
前記機器本体に設けられ且つ前記異常検知手段により検知された異常を報知する異常報知手段をさらに備える請求項1乃至11のいずれか一項に記載の流体遮断器。
【請求項13】
流体容器と、該流体容器の口部又は該流体容器に連なる配管に設けられる請求項1乃至12のいずれか一項に記載の流体遮断器と、を備えることを特徴とする流体供給システム。
【請求項14】
流体容器と、該流体容器の口部に取着され且つ供給される流体によってその流体流路を開閉する駆動弁と、該駆動弁に流体を供給するための流体供給源と、異常を検知する異常検知手段と、該異常検知手段により異常が検知された際に、前記駆動弁の前記流体流路を開放させるように前記流体供給源を駆動制御する制御手段と、を備えることを特徴とする流体供給システム。
【請求項1】
機器本体と、該機器本体に設けられ且つ異常を検知する異常検知手段と、前記機器本体に形成された流体流路を開閉する弁体と、該弁体を前記流体流路を開放する位置に保持させると共に、前記異常検知手段により異常が検知された際に該弁体を前記流体流路を閉鎖する位置に変位させる弁体駆動手段と、を備えることを特徴とする流体遮断器。
【請求項2】
前記機器本体に設けられ且つ流体容器の口部に着脱可能に取着される取着部をさらに備える請求項1記載の流体遮断器。
【請求項3】
前記弁体駆動手段が、前記機器本体に形成された圧力室内に移動自在に設けられ且つ前記弁体に連繋されるピストン部材と、前記圧力室と前記流体流路の上流側とを連絡する連絡路を開閉する連絡路開閉手段と、前記圧力室に連なり該圧力室内に封入された流体を排出するための排出路を開閉する排出路開閉手段と、を有する請求項1又は2に記載の流体遮断器。
【請求項4】
前記排出路が、前記圧力室と前記流体流路の下流側とを連絡している請求項3記載の流体遮断器。
【請求項5】
前記機器本体に設けられ且つ前記弁体による前記流体流路の閉鎖を検知する閉鎖検知手段をさらに備え、該閉鎖検知手段により前記流体流路の閉鎖が検知された際に前記連絡路開閉手段により前記連絡路を閉鎖させるようにした請求項3又は4に記載の流体遮断器。
【請求項6】
機器本体と、該機器本体に設けられ且つ流体を貯蔵する流体容器の口部に着脱可能に取着される取着部と、該機器本体に設けられ且つ異常を検知する異常検知手段と、前記機器本体に形成され且つ前記流体容器内の流体が供給される流体流路を開閉する弁体と、該弁体を前記流体流路を開放する位置に保持させると共に、前記異常検知手段により異常が検知された際に該弁体を前記流体流路を閉鎖する位置に変位させる弁体駆動手段と、前記機器本体に設けられ且つ前記弁体による前記流体流路の閉鎖を検知する閉鎖検知手段と、を備え、
前記弁体駆動手段が、前記機器本体に形成された圧力室内に移動自在に設けられ且つ前記弁体に連繋されるピストン部材と、前記圧力室と前記流体流路の上流側とを連絡する連絡路を開閉する連絡路開閉手段と、前記圧力室と前記流体流路の下流側とを連絡する排出路を開閉する排出路開閉手段と、を有し、
前記連絡路及び前記排出路が閉鎖された状態より、前記連絡路開閉手段により前記連絡路を開放させて該連絡路を介して前記流体流路の上流側を流れる流体を前記圧力室内に供給し、前記ピストン部材及び前記弁体を変位させて該弁体で前記流体流路を閉鎖させ、前記閉鎖検知手段により前記流体流路の閉鎖が検知された際に前記連絡路開閉手段により前記連絡路を閉鎖させ、前記連絡路及び前記排出路が閉鎖された状態より、前記排出路開閉手段により前記排出路を開放させて該排出路を介して前記圧力室内に封入された流体を前記流体流路の下流側に排出するようにしたことを特徴とする流体遮断器。
【請求項7】
前記弁体駆動手段が、前記機器本体に形成された収納室内に設けられ且つ前記弁体に連繋される付勢手段と、該付勢手段によって前記流体流路を閉鎖する方向に付勢される前記弁体を前記流体流路を開放する位置に保持させると共にその保持を解除させ得る保持解除機構と、を有する請求項1又は2に記載の流体遮断器。
【請求項8】
前記弁体駆動手段が、前記機器本体に形成された圧力室内に移動自在に設けられ且つ前記弁体に連繋されるピストン部材と、前記圧力室に連なり該圧力室内に流体を供給するための供給路を開閉する供給路開閉手段と、前記圧力室に連なり該圧力室内に封入された流体を排出するための排出路を開閉する排出路開閉手段と、を有する請求項1又は2に記載の流体遮断器。
【請求項9】
前記異常検知手段が、前記機器本体に設けられる受け部、及び該受け部に入れられ且つ振動により該受け部から落下し得る落下部材からなる振動検知機構である請求項1乃至8のいずれか一項に記載の流体遮断器。
【請求項10】
前記異常検知手段が、前記機器本体に設けられ且つ振動を検知する感震センサである請求項1乃至8のいずれか一項に記載の流体遮断器。
【請求項11】
前記異常検知手段が、前記機器本体に設けられる受け部、及び該受け部に入れられ且つ振動により該受け部から落下し得る落下部材からなる振動検知機構と、前記機器本体に設けられ且つ振動を検知する感震センサと、を有する請求項1乃至8のいずれか一項に記載の流体遮断器。
【請求項12】
前記機器本体に設けられ且つ前記異常検知手段により検知された異常を報知する異常報知手段をさらに備える請求項1乃至11のいずれか一項に記載の流体遮断器。
【請求項13】
流体容器と、該流体容器の口部又は該流体容器に連なる配管に設けられる請求項1乃至12のいずれか一項に記載の流体遮断器と、を備えることを特徴とする流体供給システム。
【請求項14】
流体容器と、該流体容器の口部に取着され且つ供給される流体によってその流体流路を開閉する駆動弁と、該駆動弁に流体を供給するための流体供給源と、異常を検知する異常検知手段と、該異常検知手段により異常が検知された際に、前記駆動弁の前記流体流路を開放させるように前記流体供給源を駆動制御する制御手段と、を備えることを特徴とする流体供給システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【国際公開番号】WO2005/033567
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【発行日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−514475(P2005−514475)
【国際出願番号】PCT/JP2004/014520
【国際出願日】平成16年10月1日(2004.10.1)
【出願人】(503364869)広島電気株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【発行日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【国際出願番号】PCT/JP2004/014520
【国際出願日】平成16年10月1日(2004.10.1)
【出願人】(503364869)広島電気株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
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