説明

流動層乾燥装置及び流動層乾燥設備

【課題】流動層乾燥装置内での良好な混合を図り、流動化を促進することのできる流動層乾燥装置及び流動層乾燥設備を提供する。
【解決手段】乾燥室に流動化ガスを供給することで前記乾燥室に供給された被乾燥物を流動させて乾燥させる流動層乾燥装置において、前記被乾燥物(褐炭)101を所定粒径(平均粒径数mm程度)まで破砕する破砕機130と、前記流動層乾燥装置102内を隔壁131で分割し、破砕された被乾燥物101を供給して、流動・乾燥化を開始させる第一流動室132Aと、第一流動室132Aで流動・乾燥された微細粒子がオーバーフローして、さらに流動・乾燥化を行う第二流動室132Bと、第一流動室132Aから払い出された粗大粒子133を、前記破砕機130側へ搬送する搬送ラインL5とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動化ガスにより被乾燥物を流動させつつ乾燥させる流動層乾燥装置に関し、特に、被乾燥物の流動不良に対策を講じることのできる流動層乾燥装置及び流動層乾燥設備に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、石炭ガス化複合発電設備は、石炭をガス化し、コンバインドサイクル発電と組み合わせることにより、従来型の石炭火力に比べ、さらなる高効率化・高環境性を目指した発電設備である。この石炭ガス化複合発電設備は、資源量が豊富な石炭を利用可能であることも大きなメリットであり、適用炭種を拡大することにより、さらにメリットが大きくなることが知られている。ところが、褐炭や亜瀝青炭等の低品位炭は、持ち込まれる水分が多く、この水分により発電効率が低下する問題がある。このため、低品位炭を乾燥させて水分を除去する必要がある。
【0003】
従来、このような石炭を乾燥する流動層乾燥装置は、底部が多数の開孔を有する通気可能な分散板である乾燥室と、乾燥室下部に位置するチャンバ室とを備えている。すなわち、この流動層乾燥装置は、流動化ガス(乾燥用気体)を風箱から多孔板を介して乾燥室に供給することによって被乾燥物を流動させつつ乾燥させている(特許文献1又は2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平04−13086号公報
【特許文献2】特開平06−299176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1又は2に記載の流動層乾燥装置において、被乾燥物が入口部で流動不良の原因とならないように、機械的な攪拌装置を設けたり、入口部分の流動化ガスの供給量を調整することにより、流動不良を抑制する方法等が提案されているが、機械的な攪拌装置の場合には、攪拌装置の摩耗が問題となる可能性があり、一方、流動化ガスの調整を行うような場合では、その効果が不十分となる可能性がある。
【0006】
また、流動層乾燥装置は粉体の乾燥用として広く用いられているが、良好な乾燥特性を得るためには被乾燥物の粒径の選定が重要である。
すなわち被乾燥物の粒径が大きすぎると粒子の表面積が小さくなるため熱伝達量が減少し乾燥速度が遅くなる。一方、その粒子径を小さくすると十分に乾燥されずに乾燥装置外にキャリーオーバーされてしまう微粒子の割合が増加するという問題がある。
従って、平均粒径はそこそこに小さくし、乾燥のために必要な表面積を確保しつつ、一方では微粒子の割合は少ない、いわゆる粒度分布の幅を狭くすることが必要である。
【0007】
ところで、被乾燥物である褐炭は軟らかいために、破砕の過程等で微粒子が生成されやすく、粒度分布の幅も広いという問題があり、流動層乾燥には本来は適さない粉体である。
【0008】
また、褐炭投入部は水分が多いため本質的に流動化しにくく、特に微粒が多い場合には凝結し、更に流動化が困難となる。
粒径を調整し、粒度分布の幅を狭くする手段としては、例えば破砕手段と分級手段とが挙げられるが、水分を多く含む粉粒体については篩による分級手段は付着・詰まりを生じるため困難である。
【0009】
そこで、このような対策を講ずることなく、流動層乾燥装置内での良好な混合を図り、流動化及び乾燥を促進することのできる対策を施すことが切望されている。
【0010】
本発明は、前記問題に鑑み、被乾燥物を供給した際に、流動層乾燥装置内での良好な混合を図り、流動化を促進することのできる流動層乾燥装置及び流動層乾燥設備を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、乾燥室に流動化ガスを供給することで前記乾燥室に供給された被乾燥物を流動させて乾燥させる流動層乾燥装置において、前記被乾燥物を所定粒径まで破砕する破砕機と、前記流動層乾燥装置内を隔壁で分割し、破砕された被乾燥物を供給して、流動・乾燥化を開始させる第一流動室と、第一流動室で流動・乾燥された微細粒子がオーバーフローして、さらに流動・乾燥化を行う第二流動室と、第一流動室から払い出された粗大粒子を、前記破砕機側へ搬送する搬送ラインとを具備することを特徴とする流動層乾燥装置にある。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、前記第一流動室内の流動化ガスの速度を、第二流動室内の流動化ガスの速度と較べて大きくしてなることを特徴とする流動層乾燥装置にある。
【0013】
第3の発明は、第1又は2の発明において、前記第二流動室内を複数の流動室に分割してなることを特徴とする流動層乾燥装置にある。
【0014】
第4の発明は、水分含量が高い被乾燥物を乾燥する第1乃至3のいずれか一つの流動層乾燥装置と、前記流動層乾燥装置内に設けられ、管状又は板状の内部に過熱蒸気を供給して被乾燥物中の水分を除去する伝熱部材と、前記伝熱部材によって被乾燥物が乾燥される際に発生する発生蒸気を流動層乾燥装置の外部に排出する発生蒸気ラインと、前記発生蒸気ラインに介装され、発生蒸気中の粉塵を除去する集塵装置と、発生蒸気ラインにおける集塵装置の下流側に介装され、発生蒸気の熱を回収する熱回収システムと、前記集塵装置から粉塵が除去された発生蒸気の一部を分岐し、流動化蒸気として流動層乾燥装置内に供給する分岐ラインと、前記流動層乾燥装置から抜き出された被乾燥物を冷却する冷却器とを備えることを特徴とする流動層乾燥設備にある。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、流動層乾燥装置内での良好な混合を図り、流動化を促進することができる。これにより粒度分布が大きい被乾燥物を供給した場合においても、被乾燥物の良好な乾燥を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る流動層乾燥装置を適用した流動層乾燥設備の一例を示す概略図である。
【図2】図2は、図1に示す流動層乾燥設備を適用した石炭ガス化複合発電システムの一例を示す概略図である。
【図3】図3は、第1の形態の流動層乾燥装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係る実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0018】
本実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態に係る流動層乾燥装置を適用した流動層乾燥設備の一例を示す概略図である。
【0019】
図1に示すように、本実施形態に係る流動層乾燥設備100は、供給ホッパ120から供給され、水分含量が高い被乾燥物である褐炭101を乾燥する乾燥室を有する流動層乾燥装置102と、流動層乾燥装置102内に設けられ、管状の内部に過熱蒸気(例えば150℃の蒸気)Aを供給して褐炭101中の水分を除去する伝熱部材(加熱手段)103と、前記伝熱部材103によって褐炭101が乾燥される際に発生する発生蒸気104を流動層乾燥装置102の外部に排出する発生蒸気ラインLと、前記発生蒸気ラインLに介装され、発生蒸気104中の粉塵を除去する集塵装置105と、発生蒸気ラインLにおける集塵装置105の下流側に介装され、発生蒸気104の熱を回収する熱回収システム106と、前記集塵装置105から粉塵が除去された発生蒸気104の一部を分岐し、流動化蒸気107として流動層乾燥装置102内に供給する分岐ラインLと、前記流動層乾燥装置102から抜き出された乾燥褐炭108を冷却して製品炭109とする冷却器110とを備えるものである。
なお、符号116は流動化ガスである流動化蒸気107を整流する整流板を図示する。
【0020】
流動層乾燥設備100において、褐炭101は、供給ホッパ120により供給ラインL0を介して流動層乾燥装置102内に投入され、流動層乾燥装置102内に別に導入される流動化蒸気107により流動されて流動層111を形成する。
【0021】
上述した伝熱部材103は、この流動層111内に配置されている。伝熱部材103内には、150℃の過熱蒸気Aが供給され、その高温の過熱蒸気Aの潜熱を利用して褐炭101を間接的に乾燥させるようにしている。乾燥に利用された過熱蒸気Aは、例えば150℃の凝縮水Bとして流動層乾燥装置102の外部に排出されている。
【0022】
すなわち、加熱手段である伝熱部材103内面では、過熱蒸気Aが凝縮して液体(水分)になるので、この際に放熱される凝縮潜熱を、褐炭101の乾燥の加熱に有効利用している。なお、高温の過熱蒸気A以外としては、相変化を伴う熱媒であれば何れでも良く、例えばフロンやペンタンやアンモニア等を例示することができる。また、伝熱部材103として熱媒体を用いる以外に電気ヒータを設置してもよい。
【0023】
伝熱部材103によって褐炭101が乾燥される際に発生する発生蒸気104は、流動層乾燥装置102内において、流動層111の上部空間に形成されるフリーボード部Fから発生蒸気ラインLにより流動層乾燥装置102の外部に排出される。この発生蒸気104は、褐炭101が乾燥し微粉化したものが含まれているので、サイクロンや電気集塵機等の集塵装置105により集塵して固体成分115として分離する。
【0024】
この固体成分115は、分離ラインL3を介して流動層乾燥装置102から抜き出された製品ラインL4において乾燥褐炭108に混合し、冷却器110で冷却し、製品炭109としている。この製品炭109は、例えばボイラ、ガス化炉等の原料として利用に供される。
【0025】
一方、集塵装置105により集塵された後の発生蒸気104は、例えば105〜110℃の蒸気であるので、熱回収システム106で熱回収された後、水処理部112で処理され、排水113として流動層乾燥設備100の外部に排出されている。なお、集塵装置105により集塵された後の発生蒸気104は、例えば、熱交換器や蒸気タービン等に適用してその熱を有効利用するようにしてもよい。
【0026】
また、集塵装置105により集塵された後の発生蒸気104の一部は、分岐ラインLに介装された循環ファン114により流動層乾燥装置102内に送られて、褐炭101の流動層111を流動させる流動化蒸気107として利用される。なお、流動層111を流動化させる流動化媒体としては、発生蒸気104の一部を再利用しているが、これに限定されず、例えば窒素、二酸化炭素またはこれらのガスを含む低酸素濃度の空気を用いてもよい。
【0027】
なお、上述した流動層乾燥装置102は、伝熱部材103として、本実施例はチューブ形状の伝熱部材を例示しているが、本発明はこれに限定されず、例えば板状の伝熱部材を用いるようにしてもよい。
また、過熱蒸気Aを伝熱部材103に供給して褐炭101を間接的に乾燥させる構成を説明したが、これに限らず、褐炭101の流動層111を流動させる流動化蒸気107により褐炭101を直接乾燥させる構成、さらに加熱用の流動化ガスを供給して乾燥させる構成としてもよい。
【0028】
なお、被乾燥物として褐炭101を例示したが、水分含量の高いものであれば、亜瀝青炭等を含む低品位炭や、スラッジ等の被乾燥物を乾燥対象としてもよい。
【0029】
図1に示す流動層乾燥装置102で乾燥した製品炭109を用い、石炭ガス化複合発電(Integrated Coal Gasification Combined Cycle:IGCC)システムに適用した一例を説明する。図2は、図1に示す流動層乾燥設備100Aを適用した石炭ガス化複合発電システムの一例を示す概略図である。
【0030】
図2に示すように、石炭ガス化複合発電システム200は、燃料である製品炭(乾燥褐炭)109がミル210により粉砕された微粉炭201aを処理してガス化ガス202に変換する石炭ガス化炉203と、前記ガス化ガス202を燃料として運転されるガスタービン(GT)204と、前記ガスタービン204からのタービン排ガス205を導入する排熱回収ボイラ(Heat Recovery Steam Generator:HRSG)206で生成した蒸気207により運転される蒸気タービン(ST)208と、前記ガスタービン204および/または前記蒸気タービン208と連結された発電機(G)209とを備えるものである。
【0031】
この石炭ガス化複合発電システム200は、ミル210で粉砕された微粉炭201aを石炭ガス化炉203でガス化し、生成ガスであるガス化ガス202を得る。このガス化ガス202は、サイクロン211およびガス精製装置212で除塵およびガス精製された後、発電手段であるガスタービン204の燃焼器213に供給され、ここで燃焼して高温・高圧の燃焼ガス214を生成する。そして、この燃焼ガス214によってガスタービン204を駆動する。このガスタービン204は、発電機209と連結されており、ガスタービン204が駆動することによって発電機209が電力を発生する。ガスタービン204を駆動した後のタービン排ガス205は、まだ約500〜600℃の温度を持っているため、排熱回収ボイラ(HRSG)206へ送られ、ここで熱エネルギーが回収される。この排熱回収ボイラ(HRSG)206では、タービン排ガス205の熱エネルギーによって蒸気207が生成され、この蒸気207によって蒸気タービン208を駆動する。この排熱回収ボイラ(HRSG)206で熱エネルギーが回収された排ガス215は、ガス浄化装置216で排ガス215中のNOxおよびSOx分が除去された後、煙突217を介して大気中へ放出される。なお、図中、符号218は復水器、219は空気、220は圧縮機、221は空気を窒素(N)と酸素(O)とに分離する空気分離装置(ASU)を各々図示する。
【0032】
この石炭ガス化複合発電システム200によれば、高い水分を有する褐炭101を用いてガス化する場合においても、効率的な流動層乾燥装置102により褐炭101を乾燥しているので、ガス化効率が向上し、長期間に亙って安定して発電を行うことができる。
【0033】
また、石炭ガス化複合発電システム200においては、ガスタービンおよび蒸気タービンの組み合わせによって、従来40%程度であった石炭焚発電プラントの効率を約46%まで向上させることができる。このプラント効率の向上によって、COの排出量は従来の石炭焚ボイラに対して約13%削減できる。
【0034】
なお、本実施の形態に係る流動層乾燥設備100で乾燥した製品炭109を用いた発電システムとしては、上述した石炭ガス化複合発電システム200に限らない。例えば、図には明示しないが、流動層乾燥設備100で乾燥した製品炭109をボイラ火炉に供給し、当該ボイラ火炉で発生した蒸気で蒸気タービンを駆動して発電機により出力を得る褐炭炊ボイラによる発電システムであってもよい。
【0035】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の形態の流動層乾燥装置について図3を参照して説明する。
図3に示すように、本実施形態の流動層乾燥装置102は、乾燥室に流動化ガスを供給することで前記乾燥室に供給された被乾燥物を流動させて乾燥させる流動層乾燥装置102において、前記被乾燥物(褐炭)101を所定粒径(平均粒径数mm程度)まで破砕する破砕機130と、前記流動層乾燥装置102内を隔壁131で分割し、破砕された被乾燥物101を供給して、流動・乾燥化を開始させる第一流動室132Aと、第一流動室132Aで流動・乾燥された微細粒子134が前記隔壁131へオーバーフローして、さらに流動・乾燥化を行う第二流動室132Bと、第一流動室132Aから払い出された粗大粒子133を、前記破砕機130側へ搬送する例えばベルトコンベア等の搬送ラインL5とを具備するものである。
【0036】
また、前記第一流動室132A内の流動化蒸気107Aの速度(空塔速度)を、第二流動室132B内の流動化蒸気107Bの速度(空塔速度)と較べて大きくしている。
【0037】
本発明では、流動層乾燥装置102内を第一流動室132Aと第二流動室132Bとに分割し、褐炭101を供給する第一流動室132Aを、流動層分級器且つ予備乾燥室として機能させている。
そして、第一流動室132Aにおいて乾燥された粗大粒子133を選別し、図示しない抜出手段により抜き出して、搬送ラインL5を介して、破砕機130側へ送り、湿った褐炭101と混合させて破砕させた後、再度流動層乾燥装置102に供給するようにしている。
【0038】
本装置においては、先ず褐炭101を破砕機130に供給し破砕する。ここで、破砕された褐炭101は、破砕機130の出口において、その平均粒径は乾燥後の乾燥褐炭108の所要粒径よりも大きくするのが好ましい。
【0039】
乾燥後の乾燥褐炭108の所要粒径を例えば2mm以下とする場合には、破砕機130での破砕は、平均粒径4mmまで砕くようにすればよい。
【0040】
所定粒径まで破砕された褐炭101は供給ラインL0により、流動層乾燥装置102の第一流動室132Aに供給する。
この第一流動室132Aのガス速度は湿った褐炭101の層が流動化できる速度以上に高めとするのが好ましい。
本実施形態では約1m/sの流速としているが、これに限定されるものではない。
【0041】
初期乾燥がなされた微細粒子134は第一流動室132Aと第二流動室132Bとを分離する隔壁131の上部を乗り越え、第二流動室132B側へオーバーフローする。
一方、粗大粒子133は第一流動室132Aの底部側に沈降し、流動層乾燥装置102外に図示しない払出手段により排出される。
【0042】
排出された粗大粒子133は、搬送ラインL5により、破砕機130側へ送られ、ここで再度粉砕される。
砕かれた粗大粒子133は原炭に混合後、再び流動層乾燥装置102内へ供給される。
【0043】
なお、第一流動室132Aと第二流動室132Bの流動化ガスは、本実施形態では流動化蒸気を用いているが、これに限定されず、他の流動化用の気体としてもよい。
【0044】
本発明によれば、第一流動室132Aが流動層分級器として機能し、粗大粒子133のみ選別して破砕することが出来るため、粒度分布の幅を小さくすることが出来る。
その結果、微粒子が過度に生成されるのを防止できるため、キャリーオーバーが減少する。
【0045】
第一流動室132A内の褐炭101の粒径は、第二流動室132B内の褐炭101の粒径よりも大きく湿っており流動化しにくいが、流動化ガスである流動化蒸気107Aの速度を上げることで良好な流動状態を確保できる。なお、粒径が大きいため、流動化蒸気107Aのガス速度を増加しても、従来のようなキャリーオーバーが増加することは無くなる。
【0046】
さらに、一部乾燥した粗大粒子133を、再度湿った褐炭101と混合することで、入口部での付着・閉塞、層内での流動不良の問題が解消される。
【0047】
以上、本発明によれば、流動層乾燥装置102内での褐炭101の良好な混合を図り、流動化を促進することができる。これにより粒度分布が大きい褐炭101を供給した場合においても、良好な乾燥を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上のように、本発明に係る流動層乾燥装置及び流動層乾燥設備は、流動層乾燥装置内での良好な混合を図り、流動化を促進することのできる対策を実施することに適している。
【符号の説明】
【0049】
100 流動層乾燥設備
101 褐炭
102、102A〜102C 流動層乾燥装置
103 伝熱部材
104 発生蒸気
105 集塵装置
106 熱回収システム
107 流動化蒸気
108 乾燥褐炭
109 製品炭
110 冷却器
111 流動層
112 水処理部
113 排水
114 循環ファン
115 固体成分
116 整流板
130 破砕機
131 隔壁
132A 第一流動室
132B 第二流動室
133 粗大粒子
134 微粒子
200 石炭ガス化複合発電システム
201 石炭
201a 微粉炭
202 ガス化ガス
203 石炭ガス化炉
204 ガスタービン(GT)
205 タービン排ガス
206 排熱回収ボイラ(HRSG)
207 蒸気
208 蒸気タービン(ST)
209 発電機(G)
210 ミル
211 サイクロン
212 ガス精製装置
213 燃焼器
214 燃焼ガス
215 排ガス
217 煙突
218 復水器
219 空気
220 圧縮機
221 空気分離装置(ASU)
A 過熱蒸気
B 凝縮水
F フリーボード部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥室に流動化ガスを供給することで前記乾燥室に供給された被乾燥物を流動させて乾燥させる流動層乾燥装置において、
前記被乾燥物を所定粒径まで破砕する破砕機と、
前記流動層乾燥装置内を隔壁で分割し、破砕された被乾燥物を供給して、流動・乾燥化を開始させる第一流動室と、
第一流動室で流動・乾燥された微細粒子がオーバーフローして、さらに流動・乾燥化を行う第二流動室と、
第一流動室から払い出された粗大粒子を、前記破砕機側へ搬送する搬送ラインとを具備することを特徴とする流動層乾燥装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第一流動室内の流動化ガスの速度を、第二流動室内の流動化ガスの速度と較べて大きくしてなることを特徴とする流動層乾燥装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記第二流動室内を複数の流動室に分割してなることを特徴とする流動層乾燥装置。
【請求項4】
水分含量が高い被乾燥物を乾燥する請求項1乃至3のいずれか一つの流動層乾燥装置と、
前記流動層乾燥装置内に設けられ、管状又は板状の内部に過熱蒸気を供給して被乾燥物中の水分を除去する伝熱部材と、
前記伝熱部材によって被乾燥物が乾燥される際に発生する発生蒸気を流動層乾燥装置の外部に排出する発生蒸気ラインと、
前記発生蒸気ラインに介装され、発生蒸気中の粉塵を除去する集塵装置と、
発生蒸気ラインにおける集塵装置の下流側に介装され、発生蒸気の熱を回収する熱回収システムと、
前記集塵装置から粉塵が除去された発生蒸気の一部を分岐し、流動化蒸気として流動層乾燥装置内に供給する分岐ラインと、
前記流動層乾燥装置から抜き出された被乾燥物を冷却する冷却器とを備えることを特徴とする流動層乾燥設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−214817(P2011−214817A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−86218(P2010−86218)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】