説明

流動層接触分解留分からクリーン燃料および芳香族製品を製造する方法

本発明は、付加価値の高いクリーンな石油製品と芳香族製品(ベンゼン/トルエン/キシレン)を共に生産する石油精製方法に関し、より詳しくは、流動接触分解留分からLPG、低硫黄軽油などの低公害石油製品および芳香族製品を共に効率よく生産する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動接触分解留分から付加価値の高いクリーンな石油製品および芳香族製品を生産する方法に係り、より具体的には、流動接触分解工程からの留分を蒸留分離工程、水素化脱硫/脱窒反応工程、および水素化分解/脱アルキル反応工程に通過させることにより、LPG、低硫黄軽油などの低公害石油製品および芳香族製品(ベンゼン/トルエン/キシレン)を生産する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
流動接触分解留分から石油化学製品およびその中間製品を効率よく生産するための技術としては、次のものが広く知られている:
(1)流動接触分解揮発油から接触改質によって接触改質油(reformate)を製造し、これを分離して芳香族製品を製造する方法、
(2)流動接触分解軽油から水素化脱硫によって低硫黄軽油製品を製造する方法、および
(3)流動接触分解軽油から水素化分解によって低硫黄軽油、LPGおよびナフサ(naphtha)を製造する方法。
【0003】
ところが、前記(1)のような技術は、流動接触分解揮発油のうちオクタン価の低い中沸点の揮発油留分に限って制限的に適用され、需要が増大するLPGおよび低硫黄軽油の生産は不可能であるという問題点があった。
前記(2)のような技術は、流動接触分解軽油留分を単独で、或いは原油の常圧蒸留段階で生産される軽質ガス油と混合して水素化脱硫することにより、低硫黄軽油の需要に対応することができるという利点があるが、LPGおよび芳香族製品の需要増大には対応することができないという問題点があった。
前記(3)のような技術は、セタン価の高い低硫黄軽油およびLPGの需要増大に対応することができ、需要が持続的に増大しているナフサも製造することができるという利点があるが、工程苛酷度の調節が容易ではないため軽油製品の段階的規格強化に弾力的に対応することができず、水素消耗量が前記(2)の技術に比べて非常に大きいうえ、芳香族製品を製造することができないという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、流動接触分解留分からLPGや低硫黄軽油などの低公害石油製品および芳香族製品を共に効率よく製造することが可能な新規方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記方法によって生産されるLPGを活用して、前段の流動接触分解工程の衛星工程であるアルキレート製造工程の効率を向上させる方案を提供することにある。
本発明の別の目的は、前記方法から副生する燃料ガスを活用して、水素化反応に必要な水素を効率よく生産することにより、全工程の効率性を向上させる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係る流動接触分解留分から低公害石油製品および芳香族製品を製造する方法は、(a)流動接触分解留分を蒸留処理して留出油と残油に分離する段階と、(b)前記(a)段階で得られた留出油を水素化脱硫/脱窒反応させることにより、前記留出油内に含有された硫黄化合物および窒素化合物を除去する段階と、(c)前記水素化脱硫/脱窒反応を経た留出油のうち、芳香族炭化水素化合物を脱アルキル化反応を介してベンゼン、トルエンおよびキシレンに富む炭化水素混合物に転換させ、非芳香族炭化水素化合物を水素添加分解反応を介してLPGに富む非芳香族炭化水素混合物に転換させる段階と、(d)前記(c)段階で生成された芳香族炭化水素混合物およびLPGに富む非芳香族炭化水素混合物から燃料ガス、LPGおよび芳香族製品をそれぞれ分離して回収する段階と、(e)前記(a)段階から得られた残油を水素化脱硫/脱窒反応させることにより低硫黄軽油を得る段階とを含んでなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、芳香族製品とLPGが殆ど含まれていない流動接触分解工程の留分からLPG、低硫黄軽油および芳香族製品を共に効率よく生産することができ、各製品の収率も運転条件の変更および運転苛酷度の調節によって調節することができる。
しかも、本発明によって得られたC4留分を、流動接触分解工程の衛星工程であるアルキレート製造工程の原料として供給することにより、全体的に流動接触分解全工程の効率を改善することができ、副生する燃料ガスを水素製造工程の原料として用いることにより、その改善効率を極大化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係る一実施例を示す工程概略図である。
【図2】本発明に係る他の実施例を示す工程概略図である。
【図3】本発明に係る別の実施例を示す工程概略図である。
【図4】本発明に係る別の実施例を示す工程概略図である。
【図5】本発明に係る方法によってLPG、低硫黄軽油および芳香族製品を生産する場合の時間経過による各製品の収率変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係る流動接触分解留分から低公害石油製品および芳香族製品を製造する方法は、(a)流動接触分解留分を蒸留処理して留出油と残油に分離する段階と、(b)前記(a)段階で得られた留出油を水素化脱硫/脱窒反応させることにより、前記留出油内に含有された硫黄化合物および窒素化合物を除去する段階と、(c)前記水素化脱硫/脱窒反応を経た留出油のうち、芳香族炭化水素化合物を脱アルキル化反応を介してベンゼン、トルエンおよびキシレンに富む芳香族炭化水素化混合物に転換させ、非芳香族炭化水素化合物を水素添加分解反応を介してLPGに富む非芳香族炭化水素混合物に転換させる段階と、(d)前記(c)段階で生成された芳香族炭化水素混合物およびLPGに富む非芳香族炭化水素混合物から燃料ガス、LPGおよび芳香族製品をそれぞれ分離して回収する段階と、(e)前記(a)段階から得られた残油を水素化脱硫/脱窒反応させることにより低硫黄軽油を得る段階とを含んでなる。
【0009】
ここで、前記方法は、前記(d)段階で回収された燃料ガスの少なくとも一部を別途の水素製造工程に投入し、これにより製造された水素を前記(b)、(c)および(e)段階に循環させる段階をさらに含むことができる。
また、前記方法は、前記(d)段階で回収されたLPGのうち、C4パラフィン系炭化水素の少なくとも一部分を、前段の流動接触分解工程の衛星工程であるアルキレート製造工程の原料として供給する段階をさらに含むことができる。
前記(c)段階の触媒は、モルデナイト、β型ゼオライトおよびZSM−5型ゼオライトよりなる群から少なくとも一つが選択される、シリカ/アルミナのモル比が200以下のゼオライト10〜95重量%と、無機質バインダー5〜90重量%とを混合して担体として使用し、前記混合担体に白金/錫または白金/鉛を担持させて製造されたものが好ましい。
【0010】
本発明の別の具体例によれば、本発明に係る流動接触分解留分から低公害石油製品および芳香族製品を製造する方法は、(a)流動接触分解留分を水素化脱硫/脱窒反応させることにより、前記留分内に含有された硫黄化合物および窒素化合物を除去する段階と、(b)前記(a)段階で水素化脱硫/脱窒処理された留分を蒸留処理して留出油と残油に分離する蒸留分離段階と、(c)前記留出油のうち、芳香族炭化水素化合物を脱アルキル化反応を介してベンゼン、トルエンおよびキシレンに富む芳香族炭化水素混合物に転換させ、非芳香族炭化水素化合物を水素添加分解反応を介してLPGに富む非芳香族炭化水素混合物に転換させる段階と、(d)前記(c)段階で生成された芳香族炭化水素混合物およびLPGに富む非芳香族炭化水素混合物から燃料ガス、LPGおよび芳香族製品をそれぞれ分離して回収する段階と、(e)前記(b)段階から得られた残油を低硫黄軽油として回収する段階とを含んでなる。
【0011】
ここで、前記方法は、前記(d)段階で回収された燃料ガスの少なくとも一部を別途の水素製造工程に投入し、これにより製造された水素を前記(a)段階および(c)段階に循環させる段階をさらに含むことができる。
また、前記方法は、前記(d)段階で回収されたLPGのうち、C4パラフィン系炭化水素の少なくとも一部分を、前段の流動接触分解工程の衛星工程であるアルキレート製造工程の原料として供給する段階をさらに含むことができる。
前記(c)段階の触媒は、モルデナイト、β型ゼオライトおよびZSM−5型ゼオライトよりなる群から少なくとも一つが選択される、シリカ/アルミナのモル比が200以下のゼオライト10〜95重量%と、無機質バインダー5〜90重量%とを混合して担体として使用し、前記混合担体に白金/錫または白金/鉛を担持させて製造されたものが好ましい。
【0012】
本発明で使用される流動接触分解留分は、好ましくは170〜360℃の沸点を有する炭化水素混合物である。本発明によれば、ベンゼン、トルエンンおよびキシレンなどの芳香族製品(BTX)が2質量%以内で含まれ、LPGが全く含まれていない流動接触分解留分から、15質量%以上の芳香族製品と12質量%以上のLPGを低硫黄軽油と共に効率よく製造することができ、各製品の生産収率も生産必要量に応じて調節することができる。
本発明の蒸留分離工程は、原料として用いられる流動接触分解留分を沸点範囲に応じて分離して軽質留分は燃料ガス、LPGおよび芳香族製品の生産に使用し、重質留分は低硫黄軽油として使用されるようにするためのものであって、好ましくは、前記軽質留分は沸点170〜220℃の炭化水素からなり、前記重質留分は沸点220〜360℃の炭化水素からなる。
【0013】
本発明において、水素化脱硫/脱窒反応工程は、SOxおよびNOXの発生が非常に少ない低公害炭化水素燃料を生産し、後段の水素化分解/脱アルキル反応工程に用いられる触媒の活性を維持させるために、留分中に含まれた不純物たる硫黄化合物および窒素化合物を除去するための段階であって、水素化反応のための触媒の存在下に前記留分を水素と反応させることにより行われる。
水素添加反応に使用される触媒としては、一般に水素化脱硫/脱窒反応に使用される公知の触媒であればいずれでも使用することができるが、特に、アルミナにNiMoやCoMoなどが担持された触媒を使用することが好ましい。
本発明の水素化脱硫/脱窒反応工程は、10〜50kg/cm2の水素分圧、50〜400Nm3/klの水素量、0.1〜10h-1の空間速度(LHSV)、200〜400℃の反応温度の条件下で行われることが好ましい。これらの条件は供給留分を水素化処理して硫黄や窒素などの不純物を除去するのに適した水準なので、前記条件の苛酷度を高めて留分の一部が水素化分解(cracking)されるようにする場合には、最終生産物にナフサ成分がさらに含まれてもよい。
【0014】
本発明に係る方法において、前記水素化脱硫/脱窒反応工程は、蒸留分離工程以後または以前に行われてもよい。水素化脱硫/脱窒反応工程が蒸留分離工程の後段に位置する場合には、流動接触分解工程からの留分を蒸留分離した留出物が水素化脱硫/脱窒され、蒸留分離工程の前段に水素化脱硫/脱窒工程が位置する場合には、流動接触分解反応工程からの留分を直接水素化脱硫/脱窒した後、軽質留分と重質留分に分離する。
前者の場合は、軽質留分と重質留分をそれぞれ水素化脱硫/脱窒しなければならないが、これに対し、後者の場合は、全留分を水素化脱硫/脱窒した後で分離するように構成され、前者に比べて簡単な工程構成で所定の目的を達成することができるという利点がある。
【0015】
本発明において、水素化分解/脱アルキル反応工程は、前段の水素化脱硫/脱窒工程で高度に精製された留分を供給原料として、触媒の存在下に水素と反応させることにより、燃料ガス、液化石油ガス(LPG)および芳香族製品を得るための工程である。
前記工程に使用される触媒としては、モルデナイト、β型ゼオライトおよびZSM−5型ゼオライトよりなる群から少なくとも一つが選択される、シリカ/アルミナのモル比が200以下のゼオライト10〜95重量%と、無機質バインダー5〜90重量%とを混合して担体として使用する。そして、前記混合担体に混合担体の総重量に対して0.01〜0.5重量部の白金を担持し、錫または鉛を担持するが、錫の場合は0.1〜5.0重量部を担持し、鉛の場合は0.02〜5.0重量部を担持する。
前記触媒は、反応領域内の少なくとも一つの反応器で供給原料の脱アルキル化、トランスアルキル化および水素化分解反応が起こるようにする。
【0016】
本発明において、芳香族成分および非芳香族成分を含有する水素化脱硫/脱窒された留分は0.5〜10h-1の空間速度(WHSV)で水素化分解/脱アルキル反応器に流入し、250〜600℃の温度範囲および5〜50気圧の圧力条件の下で反応される。
水素化分解/脱アルキル反応器内では、前記反応条件および触媒の存在下に芳香族成分の脱アルキル化反応および非芳香族成分の水素添加分解反応が行われ、このような反応工程を介して燃料ガス、LPG、およびベンゼンやトルエン、キシレンなどの芳香族成分が得られる。
一方、前記水素化分解/脱アルキル反応の未転換留分は、水素化脱硫/脱窒工程を経た流動接触分解留分中の重質留分と混合されて低硫黄軽油の形で生産できる。
【0017】
以下、添付図面を参考として本発明についてより詳細に説明する。
図1および図2はそれぞれ本発明によって流動接触分解留分からLPG、低硫黄軽油および芳香族製品を共に製造する具体的な例を簡略的に示す工程図である。
図1を参照すると、流動接触分解工程で生産される留分S1は、蒸留分離工程U1に流入して軽質留分は留出油S2として分離され、重質留分は残油S3として分離される。
前記留出油は、水素化脱硫/脱窒反応工程U2で水素S4と触媒の存在下に反応して触媒被毒成分たる硫黄化合物と窒素化合物が除去され、処理された留分S5は、後段の水素化分解/脱アルキル反応工程U3に供給された後、触媒存在の下で水素S4と反応して燃料ガスS6、LPGS7、芳香族製品S8および未転換留分S9に転換および分離される。
【0018】
一方、蒸留分離工程U1で分離された残油S3は、水素化脱硫/脱窒反応工程U4に供給され、触媒存在の下で水素S4と反応して硫黄含量の低い低硫黄軽油S10として製造され、水素化分解/脱アルキル反応工程U3で生産される未転換油分S9の少なくとも一部が混合された低硫黄軽油S11として製造されてもよい。
図2を参照すると、流動接触分解工程で生産される留分S1は、水素化脱硫/脱窒反応工程U20に導入されて触媒存在の下で水素S4と反応することにより、硫黄化合物および窒素化合物が多量除去された留分S20に製造され、前記留分S20は、蒸留分離工程U21に流入して軽質留分は留出油S21、重質留分は残油S22にそれぞれ分離される。前記水素化脱硫/脱窒反応工程U20の運転条件は、蒸留分離工程U21の留出油S21中に含有された硫黄化合物および窒素化合物が後段の水素化分解/脱アルキル反応工程U22に使用される触媒の許容限界以内となるように調節することが良い。
前記留出油S21は、水素化分解/脱アルキル反応工程U22で触媒存在の下に水素S4と反応して燃料ガスS6、LPGS7、芳香族製品S8および未転換留分S9に転換および分離される。
【0019】
一方、蒸留分離工程U21で分離された残油S22は、水素化分解/脱アルキル反応工程U22で生産される未転換留分S9と少なくとも一部が混合された低硫黄軽油S23として製造できる。
図3は本発明に係る方法を用いて生産されたブタンを流動接触分解工程の衛星工程であるアルキレート製造工程の原料として供給する段階をさらに含むことを示す工程図である。
本発明に係る方法によって生産された液化石油ガス(LPG)のうち、C4成分であるブタンS31は一般な混合ブタンS35と一部混合されてアルキレート製造工程U31の原料として供給され、C3成分であるプロパンS30のみが分離回収できる。
【0020】
本発明において、水素化分解/脱アルキル反応工程U3で生産されるブタンは、その構成成分においてn−ブタンに対するイソブタンの比率が一般な混合ブタンS35に比べて高いので、これを流動接触分解工程U30の衛星工程として一般に採用されるアルキレート製造工程U31の原料として供給することにより、アルキレート製造工程U31の効率性を高めることができる。すなわち、アルキレート製造工程の原料中にアルキレート製造反応に関与しないn−ブタンに比べてイソブタンが多く含まれている場合には、n−ブタンS34とアルキレートS33の分離に必要な分離装置の規模を最小化することができ、これによりアルキレート製造工程U31の効率を向上させる効果をもたらすことができる。
図4は本発明によって得られた燃料ガスS6のうち、一部を水素製造工程U40の原料として使用し、前記水素製造工程U40を介して製造された水素S4を本発明の水素化脱硫/脱窒反応工程U2、U4および水素化分解/脱アルキル反応工程U3に供給する段階をさらに含む工程図である。
【0021】
本発明に係る方法において、水素化分解/脱アルキル反応工程U3で転換分離された燃料ガスS6は、炭素数が比較的少ないメタンやエタンなどからなっているので、これを水素製造工程U40の原料として用いて水素化脱硫/脱窒反応工程および水素化分解/脱アルキル反応工程に必要な水素を供給することに使用できる。本発明に係る方法によって生産される燃料ガスS6は、オレフィンおよび硫黄化水素成分が殆ど含まれていないので、水素製造工程U40において、硫黄化合物の除去のための前処理段階を簡略化することができ、これにより商業工場の投資費を節減することができるという利点がある。
図3および図4は、図1に示すように、蒸留分離工程U1が水素化脱硫/脱窒反応工程U2、U4の前段に位置した場合に基づいて作成されたものであるが、図2に示すように、水素化脱硫/脱窒の後に蒸留分離を行う場合に対しても同様に適用できる。
【実施例】
【0022】
以下、実施例によって本発明についてより具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0023】
実施例1
本発明の方法によって、下記表1に示すように、流動接触分解留分のうち、沸点が160〜300℃の範囲にある留分を原料として、これを常圧条件で蒸留分離して、沸点が160〜220℃の範囲にある留分と沸点が220〜300℃の範囲にある留分の2種に製造した。
流動接触分解工程の原料の種類および工程の運転条件に応じて製造される流動接触分解留分の物性、組成および収率に差異がありうるので、これにより本発明の請求範囲が限定されるのではない。
【0024】
【表1】

【0025】
実施例2
実施例1の表1に示した留出油に対して触媒存在の下で水素化脱硫/脱窒反応を行った。既に商業的に適用されている脱硫触媒群の中から一つを選定し、固定層高圧反応装置で水素を添加しながら脱硫/脱窒反応実験を行った。実験した条件および結果は下記表2のとおりである。商業的に適用可能な脱硫触媒群に応じて反応条件および反応結果物の性状が多少変化しうるので、これにより本発明の請求範囲が限定されるのではない。
【0026】
【表2】

【0027】
実施例3
実施例2で得た反応結果物を水素化分解/脱アルキル反応を介してLPGおよび芳香族製品を製造した。
シリカ/アルミナのモル比が20のモルデナイトとバインダーとしてのγ−アルミナを用いて混合担体を成形する過程でH2PtCl6水溶液とSnCl2水溶液とを混合し、白金および錫を除いた担体中のモルデナイト含量が75重量%となるようにした。白金および錫をバインダーの総量100重量部に対してそれぞれ0.05重量部および0.5重量部で担持させて1.5mmの直径および10mmの長さを持つように成形し、200℃で12時間乾燥させた後、500℃で4時間焼成して触媒を製造した。反応は固定層反応装置を用いて反応実験(370℃、30kg/cm2、H2/HC5.3、WHSV1.0hr-1)を行った。代表的な収率構造は下記表3のとおりである。
【0028】
【表3】

【0029】
実施例4
実施例3に追加して固定層反応装置を用いて330時間以上反応実験(370℃、30kg/cm2、H2/HC5.3、WHSV1.0hr-1)を連続的に行った。反応時間経過の際にも収率構造が安定的に維持されることを確認した。反応時間による収率構造の変化傾向を図5に示した。
【0030】
実施例5
実施例1の表1に示した残油に対して触媒存在の下で水素化脱硫/脱窒反応を行った。既に商業的に適用されている脱硫触媒群の中からいずれか一つを選定し、固定層高圧反応装置で水素を添加しながら脱硫/脱窒反応実験を行った。実験した条件およびその結果は下記の表4のとおりである。商業的に適用可能な脱硫触媒群に応じて反応条件および反応結果物の性状が多少変化しうるので、これにより本発明の請求の範囲が限定されるのではない。
【0031】
【表4】

【0032】
実施例6
実施例1の表1に示した原料に対して触媒存在の下で水素化脱硫/脱窒反応を行った。既に商業的に適用されている脱硫触媒群の中から二つを選定して組み合わせた後、固定層高圧反応装置で水素を添加しながら脱硫/脱窒反応実験を行った。実験した条件およびその結果は下記の表5のとおりである。商業的に適用可能な脱硫触媒群に応じて反応条件および反応結果物の性状が多少変化しうるので、これにより本発明の請求の範囲が限定されるのではない。
【0033】
【表5】

【0034】
実施例7
実施例6によって水素および触媒存在の下で水素化脱硫/脱窒された流動接触分解留分のうち、発明の方法によって、下記表6に示すように沸点が160〜300℃の範囲にある留分を原料として、これを常圧条件で蒸留分離し、沸点が160〜220℃の範囲にある留分と沸点が220〜300℃の範囲にある留分の2種に製造した。
流動接触分解工程の原料の種類および工程の運転条件に応じて製造される流動接触分解留分の物性、組成および収率に差異がありうるので、これにより本発明の請求の範囲が制限されるのではない。
【0035】
【表6】

【0036】
実施例8
実施例7で得た反応結果物を水素化分解/脱アルキル反応を介してLPGおよび芳香族製品を製造した。
実施例3と同様の方法で触媒を製造し、反応は固定層反応装置を用いて反応実験(370℃、30kg/cm2、H2/HC5.3、WHSV1.0hr-1)を行った。代表的な収率構造は下記表7のとおりである。
【0037】
【表7】

【符号の説明】
【0038】
U1、U21:蒸留分離工程
U2、U4、U20:水素化脱硫/脱窒反応工程
U3、U22:水素化分解/脱アルキル反応工程
U30:流動接触分解工程
U31:アルキレート製造工程
U40:水素製造工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)流動接触分解留分を蒸留処理して留出油と残油に分離する段階と、
(b)前記(a)段階で得られた留出油を水素化脱硫/脱窒反応させることにより、前記留出油内に含有された硫黄化合物および窒素化合物を除去する段階と、
(c)前記水素化脱硫/脱窒反応を経た留出油のうち、芳香族炭化水素化合物を脱アルキル化反応を介してベンゼン、トルエンおよびキシレンに富む炭化水素混合物に転換させ、非芳香族炭化水素化合物を水素添加分解反応を介してLPGに富む非芳香族炭化水素混合物に転換させる段階と、
(d)前記(c)段階で生成された芳香族炭化水素混合物およびLPGに富む非芳香族炭化水素混合物から燃料ガス、LPGおよび芳香族製品をそれぞれ分離して回収する段階と、
(e)前記(a)段階から得られた残油を水素化脱硫/脱窒反応させることにより低硫黄軽油を得る段階とを含んでなることを特徴とする、流動接触分解留分からLPG、低硫黄軽油および芳香族製品を製造する方法。
【請求項2】
(a)流動接触分解留分を水素化脱硫/脱窒反応させることにより、前記留分内に含有された硫黄化合物および窒素化合物を除去する段階と、
(b)前記(a)段階で水素化脱硫/脱窒処理された留分を蒸留処理して留出油と残油に分離する段階と、
(c)前記留出油のうち、芳香族炭化水素化合物を脱アルキル化反応を介してベンゼン、トルエンおよびキシレンに富む芳香族炭化水素混合物に転換させ、非芳香族炭化水素化合物を水素添加分解反応を介してLPGに富む非芳香族炭化水素混合物に転換させる段階と、
(d)前記(c)段階で生成された芳香族炭化水素混合物およびLPGに富む非芳香族炭化水素混合物から燃料ガス、LPGおよび芳香族製品をそれぞれ分離して回収する段階と、
(e)前記(b)段階から得られた残油を低硫黄軽油として回収する段階とを含んでなることを特徴とする、流動接触分解留分からLPG、低硫黄軽油および芳香族製品を製造する方法。
【請求項3】
前記回収されたLPG中のブタン成分を分離して別途の流動接触分解留分からのアルキレート製造工程に供給する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の流動接触分解留分からLPG、低硫黄軽油および芳香族製品を製造する方法。
【請求項4】
前記回収された燃料ガスの全部または一部を、前記水素化脱硫/脱窒工程および前記水素化分解/脱アルキル反応工程に使用される水素を生産する水素製造工程に供給する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の流動接触分解留分からLPG、低硫黄軽油および芳香族製品を製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−509976(P2012−509976A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538531(P2011−538531)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【国際出願番号】PCT/KR2008/006974
【国際公開番号】WO2010/061986
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(507268341)エスケー イノベーション カンパニー リミテッド (57)
【Fターム(参考)】