説明

流路内蔵基板および流路制御装置ならびに流路制御方法

【課題】複雑な構成でなく、小型でコンパクトであり、コストも低減でき、しかも、加圧ロスが発生することなく、正確に流路内の流体の移動を制御することが可能な流路内蔵基板および流路内蔵基板の流路制御装置ならびに流路内蔵基板の流路制御方法を提供する。
【解決手段】基板内に流路が形成された流路内蔵基板であって、流路の開放面を被覆するように形成された弾性被覆部材を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、生体高分子、化学物質などの溶液同士、または、溶液、モノマー、あるいは、ガスなどの混合、反応、分離・精製、検出を、チップ上で行うための流路が形成された流路内蔵基板および流路制御装置ならびに流路制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生体高分子や各種化学物質の操作には、各種の流体同士、または、流体とガスなどの混合、反応、分離・精製、検出などの複数の操作工程が必要である。
【0003】
このため、従来より、これらの複数の操作工程を、それぞれ個別の工程として、それぞれのシリンジ中で単位操作を行い、単位操作後の溶液を、別のシリンジに分注させる、いわゆる「バッチ処理方法」が採用されている。
【0004】
最近では、これらのバッチ処理による単位操作を1つのチップ上で行う、いわゆる「集積化チップ」、または、「ラボ・オン・チップ(LOC)」が各種提案され始めている。
このようなチツプは、分注処理が不要であるために操作時間が短縮され、また、分注ピペットによるサンプルのロスがなく、さらに反応空間が小さく、分子拡散に要する時間が反応空間距離の二乗に比例して短くなり、迅速な混合・反応、分離操作が出来るために、微量なサンプルを取り扱う用途に採用され始めている。
【0005】
これらの集積化チップ、または、ラボ・オン・チップでは、シリコンのエッチング基板や、ジメチルシロキサンや各種樹脂のスタンピング成型基板上に、略1mm以下の流路径を有するマイクロ流路が形成されている。
【0006】
これらのチップでは、操作として、複数の流路の交差、分岐を利用して、溶液同士、または、流体とガスなどの混合、反応、分離・精製、検出を行うために、流路制御のポンプやバルブが必要なことがある。
【0007】
このようなマイクロポンプとしては、機械的方式、電磁的な方式などの各種方式が実用化されている。
【0008】
例えば、これらのマイクロポンプの方式が、非特許文献1(「マイクロ化学チップの技術と応用」、丸善株式会社、2004年9月刊行、pp.271〜280)に記載されている。
【0009】
また、このようなポンプとして、「チューブポンプ」と称されるゴム弾性を持ったチューブと、ローラーなどによる加圧機構を備えたチューブポンプも、医療分野などにおいて広く実用化されている。
【0010】
このようなチューブポンプが、例えば、特許文献1(特開昭60−75785号公報)、特許文献2(特開昭64−56979号公報)などに、その詳細が開示されている。
【0011】
すなわち、図28に示したように、これらのチューブポンプ100では、ポンプ本体(ベッド)102に配置した、いわゆる「ゴム弾性チューブ」104と、このゴム弾性チューブ104の内部に配設したローラー106などの加圧機構108を備えている。
【0012】
そして、このローラー106によって、ゴム弾性チューブ104の内部から、ゴム弾性
チューブ104の所定距離部分を順次加圧して、ゴム弾性チューブ104の加圧によって、ゴム弾性チューブ104の外側とポンプ本体102の内側との間の間隙110の容積変形の場所を変えるようになっている。これにより、この間隙110内から流体をポンプ本体102の外部に圧送させるように構成したものである。
【0013】
一方、マイクロバルプについては、ダイヤフラムを駆動素子にて開閉させる方法が代表的なものであるが、非特許文献2(「マイクロ化学チップの技術と応用」、丸善株式会社、2004年9月20日刊行、pp.280〜292)にその詳細が記載されている。
【特許文献1】特開昭60−75785号公報
【特許文献2】特開昭64−56979号公報
【非特許文献1】「マイクロ化学チップの技術と応用」、丸善株式会社、2004年9月20日刊行、pp.271〜280
【非特許文献2】「マイクロ化学チップの技術と応用」、丸善株式会社、2004年9月20日刊行、pp.280〜292
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、このような従来の流路制御のバルブやポンプでは、三方弁バルブ、または、ダイヤフラムを、電気的に、熱的に、空気圧によって、または、化学的な変形によって、流路の閉塞、開放、体積変化を行うものである。
【0015】
このため、このような方法によるバルブやポンプでは、バルブやポンプに電気的、機械的な機構を組み込むために、機構が複雑で大型になり、コストが高くなってしまうことになる。
【0016】
また、三方弁バルブやダイヤフラムを流路中に組み込むことにより、流路中の壁面が増加することになる。このため、バイオ由来のサンプル流体を流路中に流す場合には、蛋白などが壁面へ非特異吸着作用によって吸着する機会が増えることになって、これらが反応や検出時のノイズの原因となる。
【0017】
また、図28に示したような構成のチューブポンプ100では、ゴム弾性チューブ104は、ゴム弾性チューブ104を保持するポンプ本体102とは別体で独立した構成となっている。
【0018】
このため、ローラー106によって、ゴム弾性チューブ104を加圧して、ゴム弾性チューブ104の外側とポンプ本体102の内側との間の間隙110の容積を変形させる際に、この間隙110内の流体の圧縮流体圧と、ゴム弾性チューブ104の圧縮力からなる反力が生じることになる。
【0019】
この反力が、ローラー106の加圧力よりも大きい場合、または、ゴム弾性チューブ104とローラー106との配置が、正確に対峙する位置に配置されていない場合には、ゴム弾性チューブ104の変形が、ローラー106の加圧部以外へ変形が移行するいわゆる「変形逃げ」が発生することになる。このため、この変形逃げによって、加圧ロスが発生するとともに、変形による流体の脈動が生じることにもなる。
【0020】
また、複数のゴム弾性チューブ104を密接して並設した場合には、溶液を流した際に、ゴム弾性チューブ104が膨張や脈動をするために、ゴム弾性チューブ104の膨張や脈動が、隣接するゴム弾性チューブ104に影響してしまい、流体制御に支障をきたすことになる。
【0021】
さらに、バルブ用途に使用するためには、従来のチューブポンプ100では、ゴム弾性チューブ104は、通常押し出し成型で製造されるために、分岐型のゴム弾性チューブ104を一体で作成することは困難であり、分岐のためには別途、分岐コネクターを介在させる方法が一般的である。
【0022】
しかしながら、分岐コネクターとゴム弾性チューブ104の接続は、いずれかの内径部と外径部を接続するために、接続流路径に段差が生じ、流体やガスの滞留が生じやすくなってしまう。
【0023】
本発明は、このような現状に鑑み、複雑な構成でなく、小型でコンパクトであり、コストも低減でき、しかも、加圧ロスが発生することなく、正確に流路内の流体の移動を制御することが可能な流路が形成された流路内蔵基板および流路制御装置ならびに流路制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明されたものであって、本発明の流路内蔵基板は、
基板内に流路が形成された流路内蔵基板であって、
前記流路の開放面を被覆するように形成された弾性被覆部材を備えることを特徴とする。
【0025】
このように構成することによって、流路の開放面を、例えば、ゴムなどの弾性材料からなる弾性被覆部材で被覆するだけでよく、極めて簡単な構成であり、安価な流路内蔵基板を提供できる。
【0026】
しかも、この流路内蔵基板とは別体の押圧装置を用意して、弾性被覆部材を押圧したり、押圧を解除することによって、流路の所定部位の断面積を変化させることができ、弾性被覆部材が基板と一体化されているために、加圧時の弾性被覆部材の「変形逃げ」による加圧ロスが発生することなく、正確に流路内の流体の移動を制御することが可能である。
【0027】
従って、ポンプやバルブとしての流路制御機能、または、ポンプとバルブの両方の流路制御機能を有する流路内蔵基板を提供することができる。
【0028】
しかも、流路内蔵基板としては、弾性被覆部材で被覆した流路を備えた流路内蔵基板だけでよく、この流路内蔵基板とは別体の押圧装置を用意すればよく、流路内蔵基板として簡便で安価な基板を提供することができる。
【0029】
また、本発明の流路内蔵基板は、前記基板内に複数の流路が形成されるとともに、前記複数の流路が、相互に連結された流路であることを特徴とする。
【0030】
このように、流路内蔵基板内の流路を複数形成して、その間を相互に連結することによって、流路の流路距離を短くすることができる。
【0031】
従って、流路の流路壁と流体との間の流路抵抗を小さくすることができるとともに、流路の流路壁に流体中の物質が付着して、物質ロスや付着した物質の再溶解に伴う汚染を低減することが可能である。
【0032】
また、本発明の流路内蔵基板は、前記流路の途中に、攪拌板またはフィルターが設けられていることを特徴とする。
【0033】
このように流路の途中に、攪拌板が設けられていることによって、攪拌板によって、流路内で複数の流体を混合攪拌することができる。
【0034】
また、流路の途中に、フィルターが設けられていることによって、流路内を流れる流体中の所定物質を捕捉することが可能であるとともに、所定物質以外の物質をろ過することが可能である。
【0035】
また、本発明の流路内蔵基板は、前記流路の途中に、流路断面積が大きいトラップ部を有することを特徴とする。
【0036】
このように、流路の途中に、流体のたまり場所である流路断面積が大きいトラップ部を設けることによって、流体の移動のために、何らかの方法で流路に差圧をかけた場合、流体が流路内蔵基板外に排出されずに、このトラップ場所に滞留させることができる。
【0037】
また、流体に空気などの気泡がある場合に、気泡抜きの役割を果たすことができる。
【0038】
また、本発明の流路制御装置は、前述のいずれかに記載の流路内蔵基板の流路制御装置であって、押圧機構、流体供給機構、流体排出機構、または、差圧発生機構の少なくとも1つを備えることを特徴とする。
【0039】
また、本発明の流路制御装置は、前記押圧機構が、流路の弾性被覆部材を押圧することによって、流路の断面積を変化させるように構成されていることを特徴とする。
【0040】
これにより、押圧機構によって、流路部分の弾性被覆部材を変形させるだけで、流路の流路断面積を変化させることができるので、極めて簡単な構成で、安価であり、しかも、正確に流路内の流体の移動を制御することが可能である。
【0041】
また、本発明の流路制御装置は、前記押圧機構が、流路部分の弾性被覆部材に対して、その流路に沿って移動可能な押圧部から構成されていることを特徴とする。
【0042】
この押圧機構によって、流路部分の弾性被覆部材を移動押圧するだけで、流路内部の流体を移動させるポンプの機能を果たすことができる。
【0043】
しかも、押圧機構による加圧に際して、加圧時の弾性被覆部材の「変形逃げ」による加圧ロスが発生することがなく加圧できるので、正確に流路内の流体の移動を制御することが可能である。
【0044】
また、本発明の流路制御方法は、基板内に複数の流路が相互に連結され状態で形成されるとともに、前記流路の開放面を被覆するように形成された弾性被覆部材を備える流路内蔵基板において、
前記基板内流路の複数の流路が連結された所定連結分岐部分を、押圧機構により押圧することによって、
前記流路部分の弾性被覆部材を変形させ、流路の所定連結分岐部分を閉塞することにより、連結流路を限定することを特徴とする。
また、本発明の流路制御方法は、前記押圧機構が、流路の弾性被覆部材を押圧することによって、流路の断面積を変化させるように構成されていることを特徴とする。
【0045】
これにより、複数の流路が連結された流路チップにおいて、連結分岐された所定部分を遮断することでバルブとして機能し、複数の連結分岐流路から任意の流路だけを連結することができる。
【0046】
また、本発明の流路制御方法は、基板内に複数の流路が相互に連結され状態で形成されるとともに、前記流路の開放面を被覆するように形成された弾性被覆部材を備える流路内蔵基板において、
前記基板内流路の複数の流路が連結された所定連結分岐部分を、押圧機構により移動押圧することによって、
前記流路部分の弾性被覆部材を変形させ、流路内の流体を移動させることを特徴とする。
また、本発明の流路制御方法は、前記押圧機構が、流路の弾性被覆部材を押圧することによって、流路の断面積を変化させるように構成されていることを特徴とする。
また、本発明の流路制御方法は、前記押圧機構が、流路部分の弾性被覆部材に対して、その流路に沿って移動可能な押圧部から構成されていることを特徴とする
【0047】
このように構成することによって、移動押圧装置の押圧部が、流路に沿って移動することによって、流路内の流体を流路に沿って流路内に液残りを生じさせることなく移動させることが可能である。
【0048】
また、本発明の流路制御方法は、基板内に複数の流路が形成された流路内蔵基板において、
(1)基板内流路と差圧機構を接続し、
(2)流路の所定部分と差圧機構との間の流路部分Aと接続された全ての流路接続部を押圧して流路を遮断し、
(3)押圧部と差圧機構接続部との間の流路部分Aを差圧機構により減圧状態にし、
(4)減圧状態にある流路部分Aとは接続遮断されている流路部分Bに流体を投入し、
(5)接続遮断されている流路部分Aの押圧機構を開放し、流路部分B内流体を流路部分A内に移動させることを特徴とする。
【0049】
これにより、減圧状態にされた流路部分Aに、流路部分Bの流体を、両者が接続する接続部の押圧状態を開放し、流者の流路を接続する事で、流路Aに流路Bの流体を移動することができるとともに、流路Aまたは流路Aの一部に微細な空隙がある場合も、気泡などによる流体の浸透を妨げることなく、流路の隅々まで流体を含浸させることができる。
【発明の効果】
【0050】
本発明によれば、流路の開放面を、例えば、ゴムなどの弾性材料からなる弾性被覆部材で被覆するだけでよく、極めて簡単な構成であり、安価な流路内蔵基板を提供できる。
【0051】
しかも、この流路内蔵基板とは別体の押圧装置を用意して、弾性被覆部材を押圧したり、押圧を解除することによって、流路の所定部位の断面積を変化させることができ、弾性被覆部材が基板と一体化されているために、加圧時の弾性被覆部材の「変形逃げ」による加圧ロスが発生することなく、正確に流路内の流体の移動を制御することが可能である。
【0052】
従って、ポンプやバルブとしての流路制御機能、または、ポンプとバルブの両方の流路制御機能を有する流路内蔵基板を提供することができる。
【0053】
しかも、流路内蔵基板としては、弾性被覆部材で被覆した流路を備えた流路内蔵基板とこの流路内蔵基板とは別体の押圧装置を用意すればよく、流路内蔵基板として簡便で安価な流路内蔵基板を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
【0055】
図1は、本発明の流路内蔵基板の実施例の上面図、図2は、図1の流路内蔵基板の断面図である。
【0056】
図1〜図2において、10は全体で本発明の流路内蔵基板を示している。
【0057】
本発明の流路内蔵基板10は、例えば、バイオ検体、化学物質などの溶液同士、または、溶液とガスなどの混合、反応、分離・精製、検出を、チップ上で行うための流路が形成された流路内蔵基板である。
【0058】
すなわち、図1および図2に示したように、本発明の流路内蔵基板10は、流路内蔵基板の本体を構成する基板12を備えており、この基板12の表面14に流路16が形成されている。
【0059】
この流路16の上面は、開放面18となっており、この開放面18を被覆するように弾性被覆部材20が形成されている。
【0060】
この実施例では、流路16は、基板12の表面14に断面略矩形状の溝を凹設することによって形成されている。
【0061】
そして、流路16の上面の開放面18を被覆するとともに、基板12の表面14の表面全体が弾性被覆部材20によって被覆されている。
【0062】
なお、この実施例では、図1および図2に示したように、基板12の表面14の表面全体が弾性被覆部材20によって被覆されているが、図示しないが、基板12の表面14の表面全体が弾性被覆部材20によって被覆されている必要はなく、流路16の上面部分のみ、または、後述するように弾性被覆部材20を押圧する領域部分のみを、弾性被覆部材20で被覆するようにすることも可能である。
【0063】
さらに、基板12の側面、裏面までも弾性被覆部材20で被覆するようにすることも可能である。
【0064】
また、この実施例では、流路16を一直線状としたが、各種のパターンが可能である。さらに、流路16の端面は、必要に応じて、基板12の末端で開放されている場合、または、基板中で基板の上面若しくは下面に開放口を有する場合、基板12中で閉塞している場合などのいずれの場合も可能である。
【0065】
すなわち、流路16の形状としては、図3(A)〜(D)に示したように、交差状の流路16a、16bを有する形状とすることができる。
【0066】
また、図4(A)に示したように、中央部分に円形状の合流部16cを有する形状、図4(B)に示したように、中央部分にループ形状の合流部16dを有する形状、図4(C)に示したように、中央部分に半ループ形状の迂回流路部16eを有する形状、図4(D)に示したように、複数の平行な流路16fと、それらの中央部分に矩形ループ形状の迂回流路部16gを有する形状なども採用することができる。
【0067】
さらに、流路16の形状として、図5(A)に示したように、単一の流路16jと、この単一の流路16jから分岐した複数の流路16kを有する形状、または、図5(B)に示したように、単一の流路16mと、この単一の流路16mから分岐した複数の流路16nと、単一の流路16mの複数の流路16nに分岐する分岐点16pよりも上流側に接続
され、これらの複数の流路16nを迂回して、これらの複数の流路16nの下流側に接続される迂回流路を構成する流路16qを有する形状などを採用することができる。
【0068】
さらに、流路16の長さは、特に限定されるものではないが、あまりに長い場合は、流路16を流れる流体と流路壁との抵抗により流体の移動が困難となるので、一連の接続された流路16の全長さで、好ましくは、1m以下、より好ましくは、30cm以下、にするのが望ましい。
【0069】
また、流路16の太さは、特に限定されるものではないが、流路断面積で、25mm2
未満、好ましくは、10mm2未満、より好ましくは、5mm2以下とするのが望ましい。
【0070】
この場合、流路16の太さが、25mm2以上の場合は、既存のチューブなどにより形
成可能であり、本発明の作用効果をより奏するようにするためには、25mm2未満とす
るのが望ましい。
【0071】
また、図2に示した実施例では、流路16を、基板12内に埋設状態で形成したが、流路16を、基板12の表面14から突出するように形成することもできる。
【0072】
すなわち、図6(A)に示したように、基板12の表面14から一定間隔離間して突出する2つの突設部22によって、流路16を形成することもでき、また、図6(B)に示したように、一つの突設部22のみを突設させることによって、断面略三角形状の流路16を形成することもできる。
【0073】
さらに、図6(C)に示したように、弾性被覆部材20側を突設させて、この突設部24によって流路16を形成するようにすることもできる。
【0074】
また、図2に示した実施例では、流路16を基板12の表面14側に形成したが、図7(A)〜図7(C)に示したように、流路16を基板12の裏面26側に、流路16を形成することも可能である。
【0075】
また、流路16は、図8(A)(B)に示したように、マイクロ流路16の底面が略円形状とすることも可能である。
【0076】
このように、流路16の底面が略円形状である場合には、溶液のメニスカスを最小化することが可能であり、この場合には、後述の図18〜図21に示したように、流路16の容積可変部を、押圧装置42で押圧して容積を可変させるために、押圧装置42と容積可変部の密着接触が良好で、加圧ロスが少なく加圧効率を最大化することが可能であり、特に好ましい。
【0077】
また、図9(A)(B)に示したように、流路16が、基板12内に、上方流路16hと下方流路16iのように多層に形成されるとともに、これらの多層に形成されたマイクロ流路16h、16iが、スルーホール28を介して、相互に連結されるようにすることもできる。
【0078】
このように、流路内蔵基板10内の流路16を多層に形成して、その間をスルーホール28を介して相互に連結することによって、流路16の流路距離を短くすることができる。
【0079】
従って、流路16の流路壁と流体との間の抵抗を小さくすることができるとともに、流路16の流路壁に流体中の物質が付着して、物質ロスや付着物質の再溶出に伴う汚染を低
減することができる。
【0080】
この場合、このような多層構造の基板12を形成する方法としては、予め溝とスルーホールが形成された基板を射出成型などの方法により作成し、このように形成した複数の基板と、弾性被覆部材20を構成するフィルムを重ね合わせて、熱溶着または接着剤による接着によって、張り合わせることにより製造することができる。
【0081】
この場合、熱溶着によって、基板と、弾性被覆部材20から多層構造の基板12を形成する方法としては、基板として、弾性被覆部材20よりも耐熱性の高い材料を使用して、予め基板を、基板の融点以下で、且つ、弾性被覆部材20の融点以上に熱し、熱した基板と弾性被覆部材を熱接着する方法も使用可能である。
【0082】
また、接着剤によって、基板と、弾性被覆部材20とを張り合わせることにより多層構造の基板12を形成する方法としては、基板または弾性被覆部材20のいずれかを、UV光透過性の材料を用いて、接着剤として、UV硬化接着剤を使用して、基板と弾性被覆部材を張り合わせて、UV透過性の材料側から、UV光を照射して硬化させることも可能である。
【0083】
また、流路16の途中に、攪拌板またはフィルターが設けられていてもよい。
【0084】
すなわち、図10(A)〜(C)に示したように、流路16の途中に、フィルター30を設けることも可能である。
【0085】
この場合、フィルター30は、流路内を流れる流体中の所定物質を捕捉するとともに、所定物質以外の物質をろ過することを目的としたものであり、フィルター30としては、既存の各種フィルター、例えば、ガラスフィルター、不織布フィルター、メンブレンフィルター、無機または有機粒子の焼結フィルター、ストレート孔のフィルターなどが使用可能である。
このようなストレート孔フィルターは、特開2005−148048号に記載の各種方法により得ることが出来る。
【0086】
これらのフィルター30を設ける方法は、フィルターの種類により異なるが、通常は、流路16に、単に埋め込む方法、接着剤や熱溶着する方法、が使用可能である。
【0087】
また、フィルター30を流路16に機械的に埋め込む方法としては、流路16の流体の流れ方向の下流側に、フィルター30を支持するフィルター支持体を形成しておくことによって、フィルター30をマイクロ流路16内に固定することが可能である。
また、フィルター支持体として、フィルター30の表面と弾性体被覆部材20との間に、ガスケットを装着して、弾性被覆部材20で加圧することによって、加圧シールする方法も使用可能である。
【0088】
同様にして、図11(A)〜(C)に示したように、流路16の途中に、攪拌板32を設けることも可能である。
【0089】
この場合、攪拌板32は、図11(A)〜(C)に示したように、流路16の流体の流れ方向に直角方向に配置された少なくとも1つの攪拌板部材34から構成されている。攪拌板部材34は、各種の既知の穴あき部材を使用することが可能である。
【0090】
このように流路16の途中に、攪拌板32が設けられていることによって、攪拌板32によって、流路16内で2つの流体を均一に混合攪拌することができる。
【0091】
また、図12(A)〜(C)に示したように、流路16の途中に、流路断面積が大きいトラップ部36を形成することもできる。なお、図12(B)は、流路16の幅のみを大きくした実施例を示しており、図12(C)は、流路16の幅と深さを大きくした実施例を示している。
【0092】
このように、流路16の途中に、流体のたまり場所である流路断面積が大きいトラップ部36を設けることによって、流体の移動のために、何らかの方法で流路に差圧をかけた場合、流体が流路内蔵基板10の外部に排出されずに、このトラップ場所に滞留させることができる。
【0093】
さらに、流路16には、その端面または途中に流体投入、排出、加圧、減圧などのための制御機構と接続するための接続ノズルを有するものである。
【0094】
図13〜図14に示したように、このような接続ノズル38は、基板12の上下面に設けられる以外に、図15〜図16に示したように、基板12の端面に設けることも可能である。
【0095】
そして、図17に示したように、このような接続ノズル38を介して、流路16に流体制御装置40が可能なように構成されている。
【0096】
この場合、流体制御装置40としては、流体供給装置、流体排出装置、加圧装置、または、減圧装置から構成すればよい。
【0097】
なお、図17では、流体制御装置40として、流体供給装置43と、流体排出装置44を示している。
【0098】
このように流体供給装置、流体排出装置、加圧装置、または、減圧装置からなる流体制御装置を、流路内蔵基板10の流路16に接続することができるので、これらの流体制御装置40の作動によって、流路16内の流体をさらに正確に移動することができる。
【0099】
また、流路内蔵基板10は、流路16の部分の弾性被覆部材20を移動させることによって、流路16の流路断面積を変化させるように構成した流路制御装置を備えることができる。
【0100】
この場合、流路制御装置としては、流路内蔵基板10の弾性被覆部材20の部分を押圧することによって、流路16の部分の弾性被覆部材20を移動させ、これにより、流路16の断面積を変化させ、この押圧を解除することによって、流路16の断面積を元の状態に復帰させる押圧装置から構成されているのが望ましい。
【0101】
このような押圧装置としては、弾性被覆部材20に被覆された流路16の部分の容積可変部の容積を変化させる形状のものであれば良く、特に限定されるものではなく、容積可変部の断面形状と同一形状、または押圧装置の押圧部をゴム弾性体にして、容積可変部と同一形状で、容積可変部よりも多少大きい形状物にすることも可能である。
【0102】
このような押圧装置の押圧部の具体的な形状は、その押圧装置の目的によって適宜選択すれば良く、例えば、流路16の閉止または流路断面積形状の制御のためには、図18〜図20の形状を採用することができる。
【0103】
すなわち、図18(A)〜(C)は、断面が略矩形状の流路16に適用した押圧装置4
2の押圧部の形状を示しており、図18(A)は、基板12の内部に流路16を形成した場合、図18(B)は、2つの突設部22によって、流路16を形成した場合、図18(C)は、弾性被覆部材20側を突設させて、この突設部24によって流路16を形成した場合について示している。
【0104】
また、図19(A)〜(B)は、断面が略三角形状の流路16に適用した押圧装置42の押圧部の形状を示しており、図19(A)は、流路16に応じて小さい押圧部を有するもの、図19(B)は、流路16よりも大きい弾性部材からなる押圧部を有するものを示している。
【0105】
さらに、図20(A)〜(B)は、断面が底面が略円形形状の流路16に適用した押圧装置42の押圧部の形状を示しており、図20(A)は、基板12の内部に流路16を形成した場合、図20(B)は、2つの突設部によって、流路16を形成した場合について示している。
【0106】
この場合、流路16を押圧する押圧装置42の押圧部の形状は、その幅が、流路16の容積可変部の最大幅とするのが、押圧、押圧解除の際に、流路16の流路径の断面積を正確に制御することができ、押圧残しが生じない点で好ましい。
【0107】
なお、図18〜図20では、左側に示した押圧装置の押圧部42aが、剛性を有する部材からなる押圧部を示しており、左側に示した押圧装置の押圧部42bが、弾性を有するゴム弾性体などの弾性部材からなる押圧部を示していおる。
【0108】
また、このような押圧装置42の押圧部の押圧作動させる機構としては、通常のX,Y.Z軸のシリンダー制御技術が使用可能であり、空圧、水圧制御、または電動制御により基板12との間との距離を任意に制御することが可能である。
【0109】
さあに、マイクロ流路16を押圧しながら移動させるポンプとして使用する場合には、図18〜図20に示したような形状のもの以外に、ローラー状の形状の押圧装置42の押圧部も使用可能である。
【0110】
すなわち、図21(A)は、基板12の内部に流路16を形成した場合、図21(B)は、2つの突設部22によって、流路16を形成した場合、図21(C)は、弾性被覆部材20側を突設させて、この突設部24によって流路16を形成した場合について示している。
なお、図21において、左側に、流路16の部分の弾性被覆部材20に対して、接近・離反する方向に移動自在な押圧部42cを備えた押圧装置42を示しており、右側に、押圧装置42の押圧部としてローラー部材42dを示している。
【0111】
このように構成することによって、押圧装置42によって、流路16の部分の弾性被覆部材20を押圧するだけで、流路16の部分の弾性被覆部材20を移動させ、流路16の断面積を変化させることができる。
【0112】
しかも、押圧装置42による加圧が正確に行えるので、加圧時の弾性被覆部材20の「変形逃げ」による加圧ロスが発生することがなく、正確に流路16内の流体の移動を制御することが可能である。
【0113】
従って、ポンプやバルブとしての流路制御機能、または、ポンプとバルブの両方の流路制御機能を有するマイクロチップ10を提供することができる。
【0114】
この場合、基板12の材質は、機械的な強度と流路成型加工しやすいものであれ良く、無機材料、有機材料の何れも使用可能である。
【0115】
このような基板12を構成する無機材料としては、例えば、
・鉄、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、シリコン、チタン、ステンレス
・シリカ、アルミナ、チタニア、
・ソーダガラス、ホウ珪酸ガラス、石英ガラスなどのガラス、
・ポリジメチルシロキサン、ポリメチルビニルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリフルオロシロキサンなどのいわゆるシリコーンゴム、
などが使用可能である。
【0116】
また、基板12を構成する有機材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタアクリレート樹脂、液晶ポリマー、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、シクロオレフィン、ポリメチルペンテン、ポリアリレート、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエチレンビニル樹脂、架橋ポリビニルアルコール、ポリグリコール酸、セルロースアセテート樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、硝酸セルロース樹脂、エポキシ樹脂などが使用できる。
【0117】
さらに、基板12を構成する有機材料としては、ゴム弾性体も使用可能である。
【0118】
このようなゴム弾性体としては、例えば、
・ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレンなどに可塑剤を添加したもの、
・天然ゴム、
・スチレンブダジエンゴム、ポリブタジエンゴム,イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、
・ジメチルシロキサン、ポリメチルビニルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリフルオロシロキサン、
・多硫化ゴム、フッ素ゴム、
・フルオロホスファゼンゴム、アクリルゴム、テトラフルオロエチレン、フッ化エチレンポリプロピレンコポリマー、テトラフルオロエチレンパーフロロアルキルビニルエーテルコーポリマー、テトラフルオロエチレンエチレンコポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、エピクロヒドリンゴム、エチレンアクリルゴム、ノルボルネンゴム、
・これらのゴムの加硫物、
・スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリブダジエン系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマー、塩ビ系熱可塑性エラストマー、
・エチレン系アイオノマー、プロピレン系アイオノマー、エチレンプロビレン系アイオノマー、
などが使用可能である。
【0119】
なお、これらのゴム弾性体は、機械的な強度が不足するために、基板をゴム弾性体で形成する場合は、機械的な強度の高い材料で補強して複層構成とすることが望ましい。
【0120】
一方、これらの材料からなる基板12の表面14にマイクロ流路16を形成する方法としては、
・上記のような材料を基にして、
プレス成型、射出成型、押し出し成型などによって、マイクロ流路16が形成された基板12を一体成型する方法
・上記のような材料を基にして形成された平板に対して、ナノインプリント、機械的切削、エッチング、レーザー切削、サンドブラスト、ウォータージェト切削などにより流路形成する方法、または、
・上記のような材料を基にして形成されたゴム弾性体フィルムを、支持体表面において、その上に光造形によって溝付き基板を形成する方法、
などを採用することが可能である。
【0121】
一方、弾性被覆部材20としては、後述するように押圧することによって、マイクロ流路16の断面積を減少でき、この押圧を解除することによって、元の状態に復帰することが可能であれば良く、弾性力があれば特に限定されるものではない。
【0122】
このような弾性被覆部材20としては、好ましくは、低弾性を有するゴム弾性体が望ましい。
【0123】
弾性被覆部材20としては、ヤング率が、1〜100Mpa、好ましくは、5〜50Mpaである材料であるのが望ましい。
【0124】
すなわち、弾性被覆部材20のヤング率が、1MPa以下の場合には、機械的な強度が不足し、逆に、ヤング率が、100MPa以上の場合には、ゴム弾性が不足するからでる。
【0125】
また、弾性被覆部材20の破断伸びが、好ましくは、50〜1000%、より好ましくは、100〜800%であるのが望ましい。
【0126】
すなわち、弾性被覆部材20の破断伸びが、50%以下の場合には、伸びが不足して、ゴム弾性体の破壊が生じるからである。また、1000%以上の伸びを示す材料は存在しないからである。
【0127】
従って、後述するように、弾性被覆部材20を押圧することによって、加圧時の体積変化が、上記の間にあれば、弾性被覆部材20の材料としては特に限定されるものではない。
【0128】
このような弾性被覆部材20を構成する材料としては、例えば、
・ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレンなどに可塑剤を添加したもの、
・天然ゴム、
・スチレンブダジエンゴム、ポリブタジエンゴム,イソプレンゴム、イソブチレンゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、
・リジメチルシロキサン、ポリメチルビニルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリフルオロシロキサン、
・多硫化ゴム、フッ素ゴム、
・フルオロホスファゼンゴム、アクリルゴム、4フッ化エチレン・プロビレン・フッ化ビニリデンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、エピクロヒドリンゴム、エチレンアクリルゴム、ノルボルネンゴム、
・これらのゴムの加硫物、
・スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリブダジエン系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマー、塩
ビ系熱可塑性エラストマー、
・エチレン系アイオノマー、プロピレン系アイオノマー、エチレンプロビレン系アイオノマー、
などが使用可能である。
【0129】
また、これらの弾性被覆部材20を構成する材料同士のコンパウンド、または、これらの弾性被覆部材20を構成する材料と他の材料、例えば、可塑剤、架橋剤、フィラーなどのコンパウンドも使用可能である。
【0130】
さらに、これらの弾性被覆部材20を構成する材料は、流路内蔵基板10の流路16を流れる流体の種類と流路内蔵基板10の使用条件により選択することが好ましい。
【0131】
すなわち、例えば、流路内蔵基板10の流路16を流れる流体が有機溶媒である場合は、使用する溶媒耐性のある材料を使用することが必要である。また、例えば、流路内蔵基板10を高熱雰囲気で使用する場合は、耐熱性のある材料を選択する必要がある。
【0132】
このような条件で使用できる材料として、汎用的に使用可能な材料は、フッ素ゴム、4フッ化エチレン・プロピレンゴム、パーフルオロエチレンゴム、フッ化ビニリデンゴムである。
【0133】
これらの材料は、熱成型可能であり、また、基板12と熱成型により容易に張り合わせることが出来る。
【0134】
これらの弾性被覆部材20を構成するゴム弾性体は、既知の方法、例えば、Tダイ押し出し、インフレーション法、カレンダー法、溶媒キャスト法などの既知の方法によりフィルム状に成型される。
【0135】
そして、溝形状の流路16が形成された基板12と張り合わされる方法によって、流路内蔵基板10を製造することができる。
【0136】
この場合、弾性被覆部材20のフィルムの厚さは、特に限定されないが、通常、10μm〜500μmであるのが好ましく、より好ましくは、30μm〜200μmであるのが望ましい。
【0137】
すなわち、弾性被覆部材20のフィルムの厚さが、10μm未満の場合には、機械的な強度が不足し、500μm以上の場合は変形に際して大きな加圧力が必要となり、基板の変形などを生じるおそれがあるからである。
【0138】
また、これらの弾性被覆部材20のフィルムの厚さは、流路16の断面積に応じて変化させることが好ましく、流路16の流路径が小さい場合には、薄いフィルムを使用し、流路16の流路径が大きい場合には、厚いフィルムを使用するのが望ましい。
【0139】
この場合、これらの基板12と弾性被覆部材20のフィルムとの張り合わせは、熱接着による接着、または、接着剤による接着のいずれの方法も使用可能である。
【0140】
すなわち、基板12と弾性被覆部材20のフィルムとを張り合わせる方法としては、例えば、
・基板12と弾性被覆部材20のフィルムを重ね合わせ、熱ロールや誘電加熱により熱接着する方法、
・基板12の流路16の部分以外に接着剤を塗布して張り合わせる方法、
・弾性被覆部材20のフィルムを金型に挿入して、金型内で基板12を熱成型して張り合わせる方法、
・流路16の形状によっては、流路付き基板12と弾性被覆部材20を共押し出しする方法、
などの方法で形成することが可能である。
【0141】
さらに、流路16の形状が、例えば、図6(A)(B)に示したように、凸形状の場合には流路16の凸形状とは相補的な逆の凹形状を有する加熱金型または加圧金型を用いて、張り合わせ接着すればよい。
【0142】
これによって、流路16の突出部の側面と弾性被覆部材20のフィルムを密着させて接着させることができる。
【0143】
また、弾性被覆部材20のフィルムに、予めプレス法などによって、流路16を形成しておき、流路16の部分以外の部分と基板12とを、熱溶着によって接着、または、接着剤によって接着することも可能である。
【0144】
さらに、弾性被覆部材20と基板12との張り合わせに際して、基板12や弾性被覆部材20の材料によっては、予め、基板12や弾性被覆部材20に対して、
・プラズマ処理、コロナ処理あるいはイオン処理などを施す方法、
・ヒドロキシル基やカルボキシル基などを形成して、接着性を向上する方法、などを採用することも可能である。
【0145】
すなわち、例えば、極性基の無いポリプロビレン、ポリエチレンなどからなる基板12、または接着し難いフッ素系材料からなる基板12と、フッ素系、シリコーンゴム系などのゴム弾性フィルムからなる弾性被覆部材20とを張り合わせる場合に、プラズマ処理、コロナ処理またはイオン処理を、これらの部材表面に予め施すことによって、これらの部材の間の熱接着張り合わせが可能となる。
【0146】
また、フッ素系基板12と、ゴム弾性フィルムからなる弾性被覆部材20を張り合わせる場合には、予めこれらの部材表面にシランカップリング剤を塗布することによって、接着性を向上することができる。
【0147】
また、接着剤による接着法としては、エポキシやウレタンアクリレー系の無溶剤接着剤を使用することによって、溶剤揮発による間隙ができない点からすれば好ましい。また、必要に応じて、基板12または弾性被覆部材20のフィルムを、透明にすることによって、光硬化型接着剤も使用可能となる。
【0148】
なお、図10に示したように、流路16の途中に、フィルター30を設けて、これをいわゆる「バイオセパレーション」に用いる場合には、フィルター30にプローブを担持する粒子を設けることもできる。
【0149】
このような粒子としては、無機粒子、有機粒子のいずれも使用することができる。
【0150】
すなわち、無機系の粒子としては、金属酸化物粒子、金属硫化物粒子、金属粒子を使用することができる。
【0151】
この場合、金属酸化物粒子として最も好ましいのは、シリカ粒子であり、市販の各種シリカ粒子を使用することができる。
【0152】
そして、この粒子表面を、アミノ基、カルボキシル基、カルボジイミド基、エポキシ基、トシル基、N−サクシイミド基、マレイミド基、チオール基、スルフィド基、ヒドロキシル基、トリメトキキシリル基、ニトリル三酢酸基、ベンゾスルホアミド基、ポリエチレンイミン基等の各種官能基、またはγ−グリシドオキシプロピルトリメトキシシランなどにより表面修飾して、プローブ結合サイトとすることができる。
【0153】
プローブを担持する粒子として、有機粒子を使用する場合、その粒子径は、0.02μm〜120μmが好ましく、より好ましくは0.1μm〜60μmである。粒子径が小さい場合にはハンドリング性に難点が生じ、これらの粒子を捕捉するフィルターの作成が困難となり、またフィルター孔が小さいために被検体が目詰まりしやすくなる。また粒子径が大きい場合には、立体障害のために反応性が低下することがある。
【0154】
また、粒子に担持するプローブとしては、例えば、核酸、分子量500〜100万のタンパク質、脂質、糖鎖、細胞、タンパク質発現細胞、アプタマー、ウイルス、酵素、分子量50〜100万の、薬理活性を有するリード化合物、または、特定の生理活性作用を持つか、これを持つ可能性のある化学物質などを使用することができる。
【0155】
これらの粒子は、図22(A)に示したように、フィルター部材30に投入しても構わないが、複数のフィルター30を使い分ける場合には、図22(B)に示したように、複数のフィルター30、30の間に設けられたマイクロ流路16から粒子を投入し、フィルター30、30の間に粒子を存在させる様な形態をとることにより、固定化担体粒子によりフィルター分離が可能となり、反応、洗浄・濾過、反応,洗浄・濾過などの繰り返し操作を同一チップで行うことが可能となる。
【0156】
このように構成される本発明の流路内蔵基板10を用いた流路16の制御方法について、図23〜図24に基づいて、以下に説明する。
【0157】
先ず、図23(A)に示したように、流路内蔵基板10の流路16の下流側に減圧装置46を接続し、流路内蔵基板10との間で、接続流路48を形成する。
【0158】
そして、図23(B)に示したように、接続流路48の上流側の所定位置、すなわち、この実施例では、流路16の上流の所定位置を、押圧装置50の押圧部によって、弾性被覆部材20を押圧することによって、流路16を閉止して、上流側が閉止された接続流路52を形成する。
【0159】
次に、図23(C)に示したように、減圧装置54を作動させて、上流側が閉止された接続流路52内を減圧状態とする。
【0160】
そして、図24(A)に示したように、減圧状態となった接続流路52の下流側の所定位置、すなわち、この実施例では、流路16の下流の所定位置を、押圧装置56の押圧部によって、弾性被覆部材20を押圧することによって、流路16を閉止して、上下流側が閉止された接続流路58の状態とする。
【0161】
次に、図24(B)に示したように、流路内蔵基板10の流路16の上流側に、流体供給装置60を接続する。
【0162】
そして、図24(C)に示したように、流路16の上流の所定位置を閉止している押圧装置50の押圧部の押圧状態を解除することによって、弾性被覆部材20が元の状態に復帰させて、接続流路58の上流側の閉止状態を解除するとともに、流体供給装置60を作動させることによって、流体供給装置60を介して、流路内蔵基板の接続流路58内に流
体Lを供給する。
【0163】
このように構成することによって、流路16内の一定範囲の接続流路58の部分を減圧状態にすることができ、接続流路58の上流側の閉止状態を解除するだけで、流路16の上流側に接続した流体供給装置60を介して、接続流路58内に流体を正確かつ円滑に供給することができる。
【0164】
しかも、流路16内に空気の気泡が残存することがないので、流路内蔵基板10の流路16内への流体の供給が阻害されることがなく、正確かつ円滑に流路16内に所定量の流体を供給することができる。
【0165】
また、流路16の上流側を閉止する閉止機構である押圧装置50を備えるだけで、流路16内の一定範囲の接続流路58の部分を減圧状態にすることができるので、複雑な構成とならず、コストを低減することができる。
【0166】
図25〜図26は、本発明の流路内蔵基板10を用いた流路16の制御方法の別の実施例を説明する概略図である。
【0167】
先ず、図25(A)に示したように、流路内蔵基板10の流路16の下流側に減圧装置46を接続し、流路内蔵基板10との間で、接続流路48を形成する。
【0168】
また、流路内蔵基板10の流路16の上流側に、流体供給装置60を接続する。なお、この流体供給装置60には、その接続管路62の途中に、バルブなどの開閉装置64が設けられている。
【0169】
そして、図25(B)に示したように、接続流路48の上流側の所定位置、すなわち、この実施例では、流体供給装置60との間の所定位置である、接続管路62の途中に配設した開閉装置64によって、接続管路62を閉止することによって流路16を閉止して、上流側が閉止された接続流路52を形成する。
【0170】
次に、図25(C)に示したように、減圧装置46を作動させて、上流側が閉止された接続流路52内を減圧状態とする。
【0171】
そして、図26(A)(B)に示したように、減圧状態となった接続流路52の下流側の所定位置、すなわち、この実施例では、流路16の下流の所定位置を、押圧装置56の押圧部によって、弾性被覆部材20を押圧することによって、マイクロ流路16を閉止して、上下流側が閉止された接続流路58の状態とする。
【0172】
そして、図26(C)に示したように、流路16の上流の所定位置を閉止している開閉装置64の閉止状態を解除することによって、接続流路58の上流側の閉止状態を解除するとともに、流体供給装置60を作動させることによって、流体供給装置60を介して、流路内蔵基板の接続流路58内に流体Lを供給する。
【0173】
このように構成することによって、流路内蔵基板10と流路16の上流側に接続された流体供給装置60との間の所定位置に、すなわち、流体供給装置60の接続管路62に、流路16の上流側を閉止するバルブなどの閉止機構である開閉装置64を備えるだけで、流路16内の一定範囲の接続流路の部分を減圧状態にすることができるので、複雑な構成とならず、コストを低減することができる。
【0174】
図27(A)〜(C)は、本発明の流路内蔵基板10を用いた流路16の制御方法の別
の実施例を説明する概略図である。
【0175】
先ず、図27(A)に示したような流路16が開放された状態から、図27(B)に示したように、流路16の主流路66の下流の分岐部分68の下流70を、図示しない押圧装置によって押圧することによって閉止して閉止部72を形成する。
【0176】
また、流路16の主流路66の上流の分岐部分74から分岐する分岐路76の入口部分を、図示しない押圧装置によって押圧することによって閉止して閉止部78を形成する。
【0177】
そして、図27(C)に示したように、流路16の主流路66の上流の閉止部72、78以外の所定位置を、図示しない押圧装置によって押圧して、図27(C)の矢印で示したように、この押圧位置82を流路に沿って移動させることによって、流路16内の流体を、流路16の主流路66から、下流の分岐部分68から、分岐流路80へと移動させる。
【0178】
このように構成することによって、流路16の一部を閉止するとともに、この閉止部72、78の閉止位置以外の所定位置を押圧して、この押圧位置を流路16に沿って移動することによって、流路16内の流体を流路に沿って、所定の流路を通って、正確に移動させることが可能である。
【0179】
しかも、流路16の所定位置を押圧して移動する、例えば、加圧ローラーなどからなる押圧装置を設けるだけで良いので、複雑な構成とならず、コストを低減することができる。
【0180】
なお、この実施例では、図27(C)に示したように、流路16の主流路66の上流の閉止部72、78以外の所定位置を、押圧装置によって押圧して、図27(C)の矢印で示したように、この押圧位置を流路に沿って移動させることによって、流路16内の流体を分岐流路80へと移動させるようにしている。
【0181】
しかしながら、図27(D)に示したように、流路内蔵基板10の流路16の端部、すなわち、流路16の主流路66の上流端に、流体制御装置82を接続して、流体制御装置84を作動させることによって、流路16内の流体を移動させるようにしても良い。
【0182】
この場合、流体制御装置82としては、流体供給装置、流体排出装置、加圧装置、または、減圧装置から構成することができる。
【0183】
このように構成することによって、流路16の一部を閉止するとともに、流路内蔵基板10の流路16の端部に、例えば、流体供給装置、流体排出装置、加圧装置、または、減圧装置などの流体制御装置を接続して、流体制御装置を作動させるだけで、流路16内の流体を流路に沿って、所定の流路を通って、正確に移動させることが可能であり、複雑な構成とならず、コストを低減することができる。
【0184】
この様にして得られた流路内蔵基板は、各種の試薬、化合物および生体分子の混合、反応、分離、検出に使用することができる。
特に、本流路内蔵基板は、合流流路、分岐流路、弾性体バルブおよび弾性体ポンプを併用することにより、流路内での各種試薬の逐次投入と、逐次反応、および分離を1つの流路内で行う事が可能であり、試薬のロス低減、反応効率の向上が可能となる。
【0185】
また、流路を並列に設ける事で、上記一連の操作を平行して行う、いわゆる「コンビナトリアルケミストリー用ラボラトリオンチツプ」として使用することができる。
また、基板を透明にして検出系と組み合わせることで、各種検出も併せて行う事ができる。
【0186】
また、流路内に粒子をせき止めるダムまたはフィルターを設け、各種のプローブ、リガンドを結合した粒子を投入することで、粒子による固液反応、固液分離、アフィニティー分離、ビーズアッセイなどを行うことができる。
【0187】
これらの粒子に結合するプローブ、リガンド、基質としては、例えば、核酸、ポリ核酸、抗原、ホルモン、ペフチド、分子量500〜100万のタンパク質、抗体、糖鎖、多糖類、細胞、アプタマー、ウィルス、酵素、各種のアフィニティー用タグ捕捉物質、ビオチンなどの補酵素、または特定の生理活性作用を持つか、これを持つ可能性のある化学物質などを使用することができる。
核酸としては、DNA,c−DNA,オリゴDNA,RNA,mRNA、マイクロRNA,アンチセンスRNA,miRNA,siRNA,stRNAなどが挙げられる。
【0188】
分子量50〜100万のタンパク質としては、具体的には、合成ペプチド、膜タンパク質、核内受容体、酵素、アビジン,レクチン、キナーゼ、ホスファターゼ,ホルモン、転写因子、輸送蛋白、サイトカイン、リンフォカイン、抗体、あるいはルシフェリン、ルシフェラーゼ、エクオリン、蛍光タンパク質等の生物発光機能を有するものなどが挙げられる。
脂質としては、具体的には、ホスファチジン酸、ホスファチジルイノシトーマンノシド、ウルシオール、各種のガングリオシドなどが挙げられる。
【0189】
アプタマーは、タンパク質、酵素、色素、アミノ酸、ヌクレオチド、成長因子、遺伝子発現調節因子、細胞接着分子、生物個体などと結合能力のある機能性核酸であり、具体的には、トランビンアプタマー、エラスターゼアプタマー、活性化プティンC,C型肝炎ウイルスのNS3プロテアーゼアプタマーなどが挙げられる。
【0190】
アフィニティータグ捕捉物質としては、酵素(GST)基質タグに対するグルタチオン、マルトース結合蛋白タグに対するアミロース、DYKDDDDK配列のFLAGペフチドタグに対する抗FLAGモノクロール抗体、ヒチスジンヘキサマータグに対するニッケル錯体、コバルト錯体、マンガン錯体、チオレドキシンタグに対するPAO(paraaminophenylarsine oxide)、ビオチンリガーゼ蛋白タグ(商品名“アビタグ”AVITAG社“にたいするストレプトアビジン、カルモデュリン結合性ペフチド融合蛋白質タグに対するカルモデュリンなどが挙げられる。
【0191】
また、本流路内蔵基板と熱装置を組み合わせることで、PCR反応を流路内で行うことも可能である。さらに、ビーズを利用した核酸分離と分離物のPCR反応とを同一流路で行うことも可能である。
【0192】
また、本基板は、陽極、陰極を基板内または基板外に設けることで、蛋白質、核酸などのイオン性物質を含む溶液のキャピラリー電気泳動(Capillary Electrophoresis)、マイクロチップ電気泳動などのゾーン電気泳動に使用することが可能である。
また、基板を透明にすることで、電気泳動を利用した蛍光検出、UV吸収検出なども適用可能であり、検体と検出系を組み合わせることで、DNA・ゲノム解析、蛋白解析、糖鎖解析、細胞解析などに使用することができる。
【0193】
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはなく、本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0194】
【図1】図1は、本発明の流路内蔵基板の実施例の上面図である。
【図2】図2は、図1の流路内蔵基板の断面図である。
【図3】図3は、本発明の流路内蔵基板の実施例の上面図である。
【図4】図4は、本発明の流路内蔵基板の実施例の上面図である。
【図5】図5は、本発明の流路内蔵基板の実施例の上面図である。
【図6】図6は、本発明の流路内蔵基板の実施例の断面図である。
【図7】図7は、本発明の流路内蔵基板の実施例の断面図である。
【図8】図8は、本発明の流路内蔵基板の実施例の断面図である。
【図9】図9(A)は、本発明の流路内蔵基板の実施例の上面図、図9(B)は、本発明の流路内蔵基板の実施例の断面図である。
【図10】図10(A)(B)は、本発明の流路内蔵基板の実施例の上面図、図10(C)は、本発明の流路内蔵基板の実施例の断面図である。
【図11】図11は、本発明の流路内蔵基板の実施例の断面図である。
【図12】図12(A)は、本発明の流路内蔵基板の実施例の上面図、図12(B)(C)は、本発明の流路内蔵基板の実施例の断面図である。
【図13】図13(A)は、本発明の流路内蔵基板の実施例の上面図、図13(B)は、本発明の流路内蔵基板の実施例の断面図である。
【図14】図14(A)は、本発明の流路内蔵基板の実施例の上面図、図14(B)は、本発明の流路内蔵基板実施例の断面図である。
【図15】図15(A)は、本発明の流路内蔵基板の実施例の上面図、図15(B)は、本発明の流路内蔵基板の実施例の断面図である。
【図16】図16(A)は、本発明の流路内蔵基板の実施例の上面図、図16(B)は、本発明の流路内蔵基板の実施例の断面図である。
【図17】図17は、本発明の流路内蔵基板の実施例の断面図である。
【図18】図18は、本発明の流路内蔵基板の実施例の断面図である。
【図19】図19は、本発明の流路内蔵基板の実施例の断面図である。
【図20】図20は、本発明の流路内蔵基板の実施例の断面図である。
【図21】図21は、本発明の流路内蔵基板の実施例の断面図である。
【図22】図22は、本発明の流路内蔵基板の実施例の上面図である。
【図23】図23は、本発明の流路内蔵基板10を用いた流路16の制御方法について説明する概略図である。
【図24】図24は、本発明の流路内蔵基板10を用いた流路16の制御方法について説明する概略図である。
【図25】図25は、本発明の流路内蔵基板10を用いた流路16の制御方法について説明する概略図である。
【図26】図26は、本発明の流路内蔵基板10を用いた流路16の制御方法について説明する概略図である。
【図27】図27は、流路内蔵基板10を用いた流路16の制御方法について説明する概略図である。
【図28】図28は、従来のチューブポンプ100の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0195】
10 流路内蔵基板
12 基板
14 表面
16 流路
16a、16b 流路
16c 合流部
16d 合流部
16e 迂回流路部
16f 流路
16g 迂回流路部
16h 上方流路
16i 下方流路
18 開放面
20 弾性被覆部材
22 突設部
24 突設部
26 裏面
28 スルーホール
30 フィルター
32 攪拌板
34 攪拌板部材
36 トラップ部
38 接続ノズル
40 流体制御装置
42 押圧装置
42a 押圧部
42b 押圧部
42c 押圧部
42d ローラー部材
43 流体供給装置
44 流体排出装置
46 減圧装置
48 接続流路
50 押圧装置
52 接続流路
56 押圧装置
58 接続流路
60 流体供給装置
62 接続管路
64 開閉装置
66 主流路
68 分岐部分
70 下流
72 閉止部
74 分岐部分
76 分岐路
78 閉止部
80 分岐流路
84 流体制御装置
100 チューブポンプ
102 ポンプ本体
104 ゴム弾性チューブ
106 ローラー
108 加圧機構
110 間隙
L 流体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板内に流路が形成された流路内蔵基板であって、
前記流路の開放面を被覆するように形成された弾性被覆部材を備えることを特徴とする流路内蔵基板。
【請求項2】
前記基板内に複数の流路が形成されるとともに、前記複数の流路が、相互に連結された流路であることを特徴とする請求項1に記載の流路内蔵基板。
【請求項3】
前記流路の途中に、攪拌板またはフィルターが設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の流路内蔵基板。
【請求項4】
前記流路の途中に、流路断面積が大きいトラップ部を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の流路内蔵基板。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の流路内蔵基板の流路制御装置であって、押圧機構、流体供給機構、流体排出機構、または、差圧発生機構の少なくとも1つを備えることを特徴とする流路制御装置。
【請求項6】
前記押圧機構が、流路の弾性被覆部材を押圧することによって、流路の断面積を変化させるように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の流路制御装置。
【請求項7】
前記押圧機構が、流路部分の弾性被覆部材に対して、その流路に沿って移動可能な押圧部から構成されていることを特徴とする請求項5または6に記載の流路制御装置。
【請求項8】
基板内に複数の流路が相互に連結され状態で形成されるとともに、前記流路の開放面を被覆するように形成された弾性被覆部材を備える流路内蔵基板において、
前記基板内流路の複数の流路が連結された所定連結分岐部分を、押圧機構により押圧することによって、
前記流路部分の弾性被覆部材を変形させ、流路の所定連結分岐部分を閉塞することにより、連結流路を限定することを特徴とする流路制御方法。
【請求項9】
前記押圧機構が、流路の弾性被覆部材を押圧することによって、流路の断面積を変化させるように構成されていることを特徴とする請求項8に記載の流路制御方法。
【請求項10】
基板内に複数の流路が相互に連結され状態で形成されるとともに、前記流路の開放面を被覆するように形成された弾性被覆部材を備える流路内蔵基板において、
前記基板内流路の複数の流路が連結された所定連結分岐部分を、押圧機構により移動押圧することによって、
前記流路部分の弾性被覆部材を変形させ、流路内の流体を移動させることを特徴とする流路制御方法。
【請求項11】
前記押圧機構が、流路の弾性被覆部材を押圧することによって、流路の断面積を変化させるように構成されていることを特徴とする請求項10に記載の流路制御方法。
【請求項12】
前記押圧機構が、流路部分の弾性被覆部材に対して、その流路に沿って移動可能な押圧部から構成されていることを特徴とする請求項10または11に記載の流路制御方法。
【請求項13】
基板内に複数の流路が形成された流路内蔵基板において、
(1)基板内流路と差圧機構を接続し、
(2)流路の所定部分と差圧機構との間の流路部分Aと接続された全ての流路接続部を押圧して流路を遮断し、
(3)押圧部と差圧機構接続部との間の流路部分Aを差圧機構により減圧状態にし、
(4)減圧状態にある流路部分Aとは接続遮断されている流路部分Bに流体を投入し、
(5)接続遮断されている流路部分Aの押圧機構を開放し、流路部分B内流体を流路部分A内に移動させることを特徴とする流路制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate