説明

流路切替装置およびその製造方法

【課題】機械的なバルブと比べて構成が簡素で、連続的に流れる液体の流路の開閉や切替えを行うことが可能な流路切替装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】この流路切替装置1は、第1の圧力Pで液体Lを液体導入流路20に導入すると、液体Lは、液体導入流路20を流れて合流流路23の疎水性領域25で止まる。第2の圧力Pで気体Gを気体導入路22aに導入すると、疎水性領域25で止まっていた流体Lが第1の液体排出流路21aに流れ、気体Gは、第2の液体排出流路21bから外部に排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路切替装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
流路直径0.5mm以下の微小流路(マイクロチャンネルともいう。)内は、層流となるため、混合、合成、分離等の反応を効率的に行えるというメリットがあることから、近年、微小流路を用いて液体を混合させるマイクロミキサー、2種類の液体を合成させるマイクロリアクタ等の微小流路構造体が注目されている。
【0003】
このような微小流路構造体において、微小流路を切り替えるバルブとして光触媒による親水・疎水パターンを利用した流路切替装置が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
この流路切替装置は、種類が異なる液体を共通流路を介してリアクションチャンバに導入する2つの液体導入流路と、上記共通流路を介してリアクションチャンバに気体を導入する2つの気体導入流路と、リアクションチャンバに連通された混合用流路とを備えたものである。流路内にTiOをコーティングし、マスクを用いた紫外線照射によって共通流路に親水性領域と疎水性領域を形成し、第1の圧力で供給された微小液体を共通流路の親水性領域と疎水領域との間に阻止しておき、気体導入流路から第1の圧力よりも大きい第2の圧力で気体を共通流路に導入することにより、微小液体単位でリアクションチャンバ内に導入して混合させ、混合用流路から排出させる。この構成によれば、機械的なバルブと比べて簡便に作製することができる。また、微小液体単位で混合を行うことができる。
【非特許文献1】microTAS2006(pp.245−247)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、機械的なバルブと比べて構成が簡素で、連続的に流れる液体の流路の開閉や切替えを行うことが可能な流路切替装置およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、上記目的を達成するため、以下の流路切替装置およびその製造方法を提供する。
【0007】
[1]液体を導入する液体導入流路と、前記液体を排出する液体排出流路と、前記液体導入流路と前記液体排出流路とを連通する合流部と、前記液体導入流路と前記液体排出流路の内壁を親水性領域とし、前記合流部の内壁を疎水性領域とすることにより、第1の圧力で前記液体導入流路に導入された前記液体を前記疎水性領域の前記合流部で阻止する親水疎水パターンと、前記合流部に連通して設けられ、第2の圧力で気体を前記合流部に導入することにより、前記合流部で阻止されている前記液体を前記液体排出流路に排出させる気体導入流路とを備えた流路切替装置。
【0008】
[2]液体を導入する液体導入流路と、前記液体を排出する複数の液体排出流路と、前記液体導入流路と前記複数の液体排出流路とを連通する合流部と、前記液体導入流路と前記複数の液体排出流路の内壁を親水性領域とし、前記合流部の内壁を疎水性領域とすることにより、第1の圧力で前記液体導入流路に導入された前記液体を前記疎水性領域の前記合流部で阻止する親水疎水パターンと、前記合流部に連通して設けられ、第2の圧力で気体を前記合流部に導入することにより、前記合流部で阻止されている前記液体を前記複数の液体排出流路のうちの1つの前記液体排出流路に排出させる複数の気体導入流路とを備えた流路切替装置。
【0009】
[3]前記親水疎水パターンの前記親水性領域は、前記液体導入流路および前記液体排出流路の内壁を含む領域に光触媒を担持し、前記液体導入流路および前記液体排出流路に担持された前記光触媒に選択的に紫外線を照射することによって形成された前記[1]又は[2]に記載の流路切替装置。
【0010】
[4]前記親水疎水パターンの前記親水性領域は、前記液体導入流路から前記合流部の一部に広がって形成された前記[1]又は[2]に記載の流路切替装置。
【0011】
[5]前記液体導入流路および前記液体排出流路が形成され、清浄化された第1の接合面を有する第1の板部材と、清浄化された第2の接合面を前記第1の板部材の前記第1の接合面に直接接触させることにより接合された第2の板部材とを、さらに備えた前記[1]又は[2]に記載の流路切替装置。
【0012】
[6]前記親水疎水パターンの前記親水性領域は、前記第1の板部材に形成された前記液体導入流路および前記液体排出流路の内壁を含む領域にアナターゼ構造の二酸化チタンを担持し、前記二酸化チタンに紫外線を選択的に照射することによって形成され、前記第1および第2の板部材の前記第1の接合面と前記第2の接合面とは、前記二酸化チタンの前記アナターゼ構造が保たれる温度条件下で接合された前記[5]に記載の流路切替装置。
【0013】
[7]互いに接合される第1および第2の接合面をそれぞれ有する第1および第2の板部材を準備し、前記第1の板部材の前記第1の接合面に、液体を導入する液体導入流路用溝と、前記液体を排出する液体排出流路用溝と、前記液体導入流路用溝と前記液体排出流路用溝とを連通する合流部用溝と、気体を前記合流用溝に導入する気体導入用溝とを形成し、前記第1の板部材の各前記溝の壁面を含む領域にアナターゼ構造の二酸化チタンからなる光触媒を担持させ、前記第1および第2の板部材の前記第1および第2の接合面を清浄化し、前記二酸化チタンの前記アナターゼ構造が保たれる温度条件下で、清浄化された前記第1および第2の接合面を直接接触させることにより前記第1および第2の板部材を接合させ、前記各流路に紫外線を選択的に照射することにより、前記液体導入流路用溝および前記液体排出流路用溝の内壁を親水性領域とし、前記合流部用溝の内壁を疎水性領域とする流路切替装置の製造方法。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る流路切替装置によれば、機械的なバルブと比べて構成が簡素で、連続的に流れる液体の流路の開閉や切替えを行うことが可能になる。
【0015】
請求項2に係る流路切替装置によれば、導入する液体と気体の圧力制御によって、流路の開閉や切替えを行うことが可能になる。
【0016】
請求項3に係る流路切替装置によれば、本構成を採用しない構成と比べて親水性状態と疎水性状態を簡単に形成することができる。
【0017】
請求項4に係る流路切替装置によれば、親水性領域が合流部の一部に広がっていない構成と比べて気体の圧力(第2の圧力)を小さくすることができる。
【0018】
請求項5に係る流路切替装置によれば、加熱して接合する構成と比べて板部材の熱変形を抑制することができる。
【0019】
請求項6に係る流路切替装置によれば、ルチル構造と比べて二酸化チタンの高い光触媒性能を発揮することができる。
【0020】
請求項7に係る流路切替装置の製造方法によれば、機械的なバルブと比べて簡素な構成で、連続的に流れる液体の流路の開閉を行うことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は、本発明の実施の形態に係る流路切替装置の斜視図、図2は、図1のA−A断面図である。
【0022】
この流路切替装置1は、図2に示す合流流路(合流部)23を含む流路を有する流路基板2と、流路基板2の上面(第1の接合面)2aおよび流路の側面および底面に成膜された第1の光触媒膜4Aと、流路基板2上に接合された蓋基板3と、蓋基板3の下面(第1の接合面)3aに成膜された第2の光触媒膜4Bとを備える。
【0023】
蓋基板3には、液体が導入される液体導入口30と、液体が排出される第1および第2の液体排出口31a,31bと、気体が導入される第1および第2の気体導入口32a,32bとが形成されている。
【0024】
流路基板2および蓋基板3の材料として、Al,Ni、Cu等の金属や、セラミックス、シリコン、誘電体、ガラス等の非金属等を用いることができる。流路基板2および蓋基板3は、同じ材料からなる基板の他に、異なる材料からなる基板を用いてもよい。本実施の形態では、流路基板2および蓋基板3は、ともにガラス基板を用いる。
【0025】
光触媒膜4A,4Bは、アナターゼ構造の二酸化チタン(TiO)からなる。
【0026】
図3は、流路基板の平面図である。流路基板2の上面2aには、流路用溝としての液体導入流路20、第1および第2の液体排出流路21a,21b、第1および第2の気体導入流路22a,22b、および合流流路23がエッチングによって形成されている。同図中、斜線を施した領域は、第1の光触媒膜4Aに紫外線を照射して形成された親水性領域24a〜24cであり、第1の光触媒膜4Aのその他の領域は、疎水性領域25である。液体導入流路20に形成された親水性領域24aは、合流流路23の一部に広がるように形成されている。本明細書において、親水性領域とは、疎水性領域よりも接触角が20°以上小さい領域をいい、例えば、親水性領域の接触角は、0〜20°であり、疎水性領域の接触角は、40°〜150°である。
【0027】
液体導入流路20の一方の端部は、液体導入口30に連通し、第1および第2の液体排出流路21a,21bの一方の端部は、第1および第2の液体排出口31a,31bに連通し、第1および第2の気体導入流路22a,22bの一方の端部は、第1および第2の気体導入口32a,32bに連通している。そして、液体導入流路20、第1および第2の液体排出流路21a,21b、および第1および第2の気体導入流路22a,22bの他方の端部は、合流流路23に連通している。
【0028】
液体導入流路20、第1および第2の液体排出流路21a,21b、および第1および第2の気体導入流路22a,22bの幅及び高さのサイズは、500μm以下のマイクロチャンネルである。
【0029】
図4は、蓋基板の平面図である。同図中、斜線を施した領域は、蓋基板3の下面3aの第2の光触媒膜4Bに紫外線を照射して形成された親水性領域33a〜33cであり、第2の光触媒膜4Bのその他の領域は、疎水性領域34である。蓋基板3の下面3aに形成された親水性領域33a〜33cの位置は、流路基板2の上面2aに形成された親水性領域24a〜24cに一致している。
【0030】
(製造方法)
図5(a)〜(f)は、流路切替装置1の製造方法の一例を示す。
【0031】
まず、図5(a)に示すように、流路基板2となるガラス基板200の上面2aに、図5(b)に示すように、半導体製造方法に用いるフォトリソグラフィー法を用いて流路パターンのエッチングを行い、幅100μm、深さ100μmの液体導入流路20、第1および第2の液体排出流路21a,21b、第1および第2の気体導入流路22a,22b、および合流流路23を形成し、流路基板2を作製する。エッチングには、化学薬品を用いて被加工物を溶かし込むウエットエッチングや、イオンを利用して被加工物を気化して取り除くドライエッチング等を用いることができる。本実施の形態では、フッ化水素酸でエッチングを行うウエットエッチングを用いる。
【0032】
次に、図5(c)に示すように、液体導入流路20、液体排出流路21a,21b、気体導入流路22a,22bおよび合流流路23の側面26a,26b、底面26c、および流路基板2の上面2aに、スパッタ法によりアナターゼ構造の二酸化チタン(TiO)からなる第1の光触媒膜4Aを成膜する。
【0033】
一方、図5(d)に示すガラス基板からなる蓋基板3の下面3aに、図5(e)に示すように、スパッタ法によりアナターゼ構造の二酸化チタン(TiO)からなる第2の光触媒膜4Bを成膜する。
【0034】
第1および第2の光触媒膜4A,4BのTiOは、1μmの厚さで成膜した。これらのTiOがともに光触媒活性が高いアナタース構造であることをX線回折の測定で確認した。
【0035】
流路基板2および蓋基板3を第1および第2の光触媒膜4A,4Bで対向させて常温接合により接合する。すなわち、第1および第2の光触媒膜4A,4Bが成膜された流路基板2および蓋基板3を真空槽内に配置し、真空槽内を排気して高真空状態または超真空状態にする。本実施の形態では、真空度1×10−4Paの高真空状態とする。次に、流路基板2および蓋基板3の接合する面に1.2kV/10mAのAr原子ビームの照射して表面を清浄化し、荷重を加えて接合する。この常温接合で、触媒活性能が低いルチル構造にならず触媒活性能の高いアナターゼ構造の二酸化チタンを成膜した流路20,21a,21b,22a,22b,23が形成できる。
【0036】
ここで「常温接合」とは、清浄化した接合面同士を常温(例えば、15〜25℃)雰囲気中で接触させ、原子同士を直接結合させる接合方法をいい、表面活性化接合ともいう。接合の際は、無荷重でもよい。なお、常温接合の他に、清浄化された接合面同士を二酸化チタンのアナターゼ構造が保たれる程度の温度(例えば、100℃以下)で加熱して接合してもよい。
【0037】
二酸化チタンは、n型半導体であるため、そのバンドギャップに相当する波長380nm以下の波長の紫外線が照射されると、正孔が生成されて表面に移動する。正孔は強い酸化力を持つので表面に吸着されている有機物が酸化分解される。このような光触媒作用は、アナターゼ構造がルチル構造よりも強く発揮される。
【0038】
次に、図5(g)に示すように、紫外線6を25mW/cmで10分間マスク5を介して第1および第2の光触媒膜4A,4Bに部分的に照射する。
【0039】
図6は、マスクの平面図である。金属等からなるマスク5には、開口5a,5b,5cが形成されている。このマスク5の開口5a,5b,5cを介して紫外線6を第1および第2の光触媒膜4A,4Bに部分的に照射することにより、図3、図4に斜線で施して示したように、親水性領域24a〜24c、33a〜33cが形成される。
【0040】
図7は、接触角50°における流路半径と圧力障壁との関係を示す図である。同図は、次のラプラス−ヤングの式(1)に従ったものである。以下の説明では、疎水性領域の接触角を50°として説明する。
P=2γ・cosθ/R ・・・(1)
但し、P:圧力障壁、γ:表面張力、R:流路半径、θ:接触角
【0041】
同図から、流路の幅が狭くなる程圧力障壁が大きくなることが分かる。例えば、流路の幅が100μm、すなわち流路半径が50μm(5.00E−05m)のときの圧力障壁は、1870Paとなる。
【0042】
図8は、流路半径50μm(5.00E−05m)における接触角と圧力障壁との関係を示す図である。同図も上記ラプラス−ヤングの式(1)に従ったものである。同図から、接触角が小さくなるに従って圧力障壁が大きくなることが分かる。例えば、接触角が50°のときの圧力障壁は、1870Paとなる。
【0043】
(流路切替装置の動作)
次に、図9を参照して流路切替装置の動作を説明する。
【0044】
まず、図9(a)に示すように、上述したラプラス−ヤングの式(1)に従って接触角と流路半径に応じた圧力(圧力障壁)Ps(例えば1.45kPa)以下の第1の圧力Pで液体Lを液体導入口30から液体導入流路20に導入すると、液体Lは液体導入流路20を流れて合流流路23の親水性領域24aと疎水性領域25との間で止まる。
【0045】
次に、図9(b)に示すように、液体Lへの圧力をPsよりも大きい圧力P10にすると、液体Lは合流流路23を通過して第1および第2の液体排出流路21a,21bを流れ、第1および第2の液体排出口31a,31bから排出される。このように本流路切替装置1が開閉バルブとして機能する。
【0046】
図9(a)に示す状態において、液体Lへの第1の圧力Pとの組合せによる圧力が圧力Psよりも大きくなる第2の圧力P(例えば1.4kPa)で気体Gを第1の気体導入口32aから第1の気体導入流路22aに導入すると、図9(c)に示すように、合流流路23で滞留している液体Lの先端部Laが、液体導入流路20から加えられた第1の圧力Pと第1の気体導入流路22aから加えられた第2の圧力Pとによって第1の液体排出流路21a側へ偏った形で変形する。このとき気体Gによって押された液体Lの体積分が第1の液体排出流路21aへ偏り、液体導入流路20から供給される液体Lは、合流流路23の疎水状態の部分を越えて親水化された第1の液体排出流路21aへ流れ、第1の液体排出口31aから外部へ排出される。一方、第1の気体導入流路22aから加えた加圧気体Gは、第2の液体排出流路21bへ流れ、第2の液体排出口31bから外部へ排出される。
【0047】
また、図9(a)に示す状態において、加圧気体Gを第2の圧力Pで第2の気体導入流路22bに導入すれば、液体導入流路20から供給される液体Lは、第2の液体排出流路21bへ流れ、第2の液体排出口31bから外部へ排出される。第2の気体導入流路22bから加えた加圧気体Gは、第1の液体排出流路21aへ流れ、第1の液体排出口31aから外部へ排出される。
【0048】
[他の実施の形態]
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、その発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々と変形実施が可能である。
【0049】
例えば、上記実施の形態では、流路基板に流路用溝を形成したが、流路基板を複数の基板から構成し、貫通穴を形成した基板と何も加工していない基板、又は溝を形成した基板とを接合したものを用いてもよい。
【0050】
また、上記実施の形態では、流路基板の流路用溝と基板上面に光触媒膜を成膜したが、流路用溝の側面と底面のみに光触媒膜を成膜してもよい。また、上記実施の形態では、蓋基板の下面全体に光触媒膜を成膜したが、流路用溝に対応する表面部分のみに光触媒膜を成膜してもよい。
【0051】
また、上記実施の形態では、液体導入流路を1つ、気体導入流路を2つ、液体排出流路を2つとしたが、これらの数に限定されない。例えば、液体導入流路、気体導入流路、液体排出流路をそれぞれ1つでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る流路切替装置の斜視図である。
【図2】図2は、図1のA−A断面図である。
【図3】図3は、流路基板の平面図である。
【図4】図4は、蓋基板の平面図である。
【図5】図5(a)〜(f)は、流路構造体の製造方法の一例を示す図である。
【図6】図6は、マスクの平面図である。
【図7】図7は、接触角50°における流路半径と圧力障壁との関係を示す図である。
【図8】図8は、流路半径50μm(5.00E−05)における接触角と圧力障壁との関係を示す図である。
【図9】図9(a)〜(d)は、本発明の実施の形態に係る流路切替装置の動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0053】
1 流路切替装置
2 流路基板
2a 上面
3 蓋基板
3a 下面
4A 第1の光触媒膜
4B 第2の光触媒膜
5 マスク
5a,5b,5c 開口
6 紫外線
20 液体導入流路
21a,21b 液体排出流路
22a,22b 気体導入流路
23 合流流路
24a〜24c 親水性領域
25 疎水性領域
26a,26b 側面
26c 底面
30 液体導入口
31a,31b 液体排出口
32a,32b 気体導入口
33a〜33c 親水性領域
34 疎水性領域
200 ガラス基板
G 気体
L 液体
La 液体の先端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を導入する液体導入流路と、
前記液体を排出する液体排出流路と、
前記液体導入流路と前記液体排出流路とを連通する合流部と、
前記液体導入流路と前記液体排出流路の内壁を親水性領域とし、前記合流部の内壁を疎水性領域とすることにより、第1の圧力で前記液体導入流路に導入された前記液体を前記疎水性領域の前記合流部で阻止する親水疎水パターンと、
前記合流部に連通して設けられ、第2の圧力で気体を前記合流部に導入することにより、前記合流部で阻止されている前記液体を前記液体排出流路に排出させる気体導入流路とを備えた流路切替装置。
【請求項2】
液体を導入する液体導入流路と、
前記液体を排出する複数の液体排出流路と、
前記液体導入流路と前記複数の液体排出流路とを連通する合流部と、
前記液体導入流路と前記複数の液体排出流路の内壁を親水性領域とし、前記合流部の内壁を疎水性領域とすることにより、第1の圧力で前記液体導入流路に導入された前記液体を前記疎水性領域の前記合流部で阻止する親水疎水パターンと、
前記合流部に連通して設けられ、第2の圧力で気体を前記合流部に導入することにより、前記合流部で阻止されている前記液体を前記複数の液体排出流路のうちの1つの前記液体排出流路に排出させる複数の気体導入流路とを備えた流路切替装置。
【請求項3】
前記親水疎水パターンの前記親水性領域は、前記液体導入流路および前記液体排出流路の内壁を含む領域に光触媒を担持し、前記液体導入流路および前記液体排出流路に担持された前記光触媒に選択的に紫外線を照射することによって形成された請求項1又は2に記載の流路切替装置。
【請求項4】
前記親水疎水パターンの前記親水性領域は、前記液体導入流路から前記合流部の一部に広がって形成された請求項1又は2に記載の流路切替装置。
【請求項5】
前記液体導入流路および前記液体排出流路が形成され、清浄化された第1の接合面を有する第1の板部材と、
清浄化された第2の接合面を前記第1の板部材の前記第1の接合面に直接接触させることにより接合された第2の板部材とを、さらに備えた請求項1又は2に記載の流路切替装置。
【請求項6】
前記親水疎水パターンの前記親水性領域は、前記第1の板部材に形成された前記液体導入流路および前記液体排出流路の内壁を含む領域にアナターゼ構造の二酸化チタンを担持し、前記二酸化チタンに紫外線を選択的に照射することによって形成され、
前記第1および第2の板部材の前記第1の接合面と前記第2の接合面とは、前記二酸化チタンの前記アナターゼ構造が保たれる温度条件下で接合された請求項5に記載の流路切替装置。
【請求項7】
互いに接合される第1および第2の接合面をそれぞれ有する第1および第2の板部材を準備し、
前記第1の板部材の前記第1の接合面に、液体を導入する液体導入流路用溝と、前記液体を排出する液体排出流路用溝と、前記液体導入流路用溝と前記液体排出流路用溝とを連通する合流部用溝と、気体を前記合流用溝に導入する気体導入用溝とを形成し、
前記第1の板部材の各前記溝の壁面を含む領域にアナターゼ構造の二酸化チタンからなる光触媒を担持させ、
前記第1および第2の板部材の前記第1および第2の接合面を清浄化し、
前記二酸化チタンの前記アナターゼ構造が保たれる温度条件下で、清浄化された前記第1および第2の接合面を直接接触させることにより前記第1および第2の板部材を接合させ、
前記各流路に紫外線を選択的に照射することにより、前記液体導入流路用溝および前記液体排出流路用溝の内壁を親水性領域とし、前記合流部用溝の内壁を疎水性領域とする流路切替装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−115750(P2009−115750A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−292061(P2007−292061)
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】