説明

流量制御方法

【課題】配管内に生ずる圧力等の状態変化に対応可能な比例制御動作を行うに際して、比例ゲインを自動的に更新し、良好な制御を行う。
【解決手段】オフラインにおいて、予め制御弁2の開度と流量の勾配の逆数と、勾配を制御弁2の最大開度における最大流量により除して得られる正規化比例定数Kzと、最大開度での制御弁2の固有抵抗R0を初期値として設定し、
オンラインにおいて、制御弁2の入口4と出口5間の第1の圧力損失△Pと、流量計3による流量Fとから成る複数のデータを逐時に測定して、第1の圧力損失ΔPと流量Fとから、制御弁2と流量計3の間に生ずる第2の圧力損失ΔEと制御弁2の最大開度での全抵抗rとを演算により求め、予め設定してあった正規化比例定数Kzとから新たな比例勾配Keを求め、その逆数から適切な比例ゲイン(1/Ke)を求めて比例制御動作に使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の流量を制御する流量制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の流量制御システムでは、流体の流量を制御するために比例制御動作を使用する方法が数多く使用されている。これらの比例制御動作を使用した流量制御法では、流量制御システムを工場から出荷し、又は現場で配管に設置する際に、最適と思われる比例ゲインを制御装置に固定的に設定し、流量計からの流量情報に基づいて、目標とする流量と流量計から得られる現実の流量との間に偏差が生じないようにフィードバックして制御弁を駆動する。
【0003】
しかし、上述の比例ゲインは制御システムに使われる制御弁の入口側の圧力が一定の状態において、制御弁の開度と流量との関係から最適化されるもので、制御弁の入口側の圧力が変動した場合には最適化の条件が満たされなくなる結果、初期に固定設定された比例ゲインによる最適な制御は保証されなくなり、応答の速い流量制御の実施が困難になる虞れがある。
【0004】
また、制御弁を使う流量制御方法においては、ステッピングモータの回転運動がスライド運動に変換されてダイヤフラムやニードル等の流量調節部を駆動し、流体が制御弁を通過するときの通過断面積を調整することが行われる。即ち、流体の通過断面積はニードル等がスライドする距離に比例するため、制御弁の開度もパルスで入力するステップの数によって調整可能と考えられている。
【0005】
しかし、現実に駆動パルスと制御弁の動きを連動させようとすると、特に高速で作動させる場合には、制御弁が駆動パルス通りに駆動しない脱調現象が屡々生じ、与えたパルスの数に応じた制御弁の開度が得られなくなって、制御弁の最適な開度を一義的に決められない不具合が生ずる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように従来の流量制御方法では、配管内の圧力や流量、温度などの環境条件、特に前述した制御弁2の入口側の圧力が大きく変化すると、最初に設定された比例ゲインは必ずしも最適ではなくなる。従って、 制御弁の開度を調整しようとしても、特に少量の流体制御の場合にはオーバシュートやアンダシュート等の問題が生じて応答性が低下し、安定した流量制御が不可能になる。また、環境条件に的確に対応するには、きめ細かな圧力測定が必要になって制御システムが複雑になる。
【0007】
本発明の目的は、上述した問題点を解消し、配管内における圧力等の状態変化に対応できるように、比例制御動作を行うに際して、最適な比例ゲインに自動的に更新し、簡素な制御システムを用いて良好な制御を行う流量制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る流量制御方法は、流量計により流体の流量を計測し、比例ゲインを用いた比例制御動作により制御弁を駆動して流量制御を行う場合に、予めオフラインにおいて制御プロセスの条件を求めておき、オンラインにおいてこれらの条件を使用して前記比例ゲインを更新し、更新した前記比例ゲインを用いて流量制御を行う流量制御方法において、前記オフラインにおいては、前記制御弁の入口側の圧力を一定にして、前記制御弁を全閉状態と最大開度の間で駆動して、前記制御弁の開度と前記流量計から得た流量との対応関係から求めた勾配の逆数と、前記制御弁の最大開度における流量により前記勾配を除して得られる正規化比例定数と、前記制御弁の最大開度における制御弁の固有抵抗とを予め求めて演算制御装置に設定すると共に、前記制御弁の入口から前記流量計を経て前記流量計出口間に生ずる第2の圧力損失と、前記制御弁を最大開度にしたときに制御弁、配管、流量計に発生する全抵抗との初期値を前記演算制御装置に予め入力する予備工程を有し、前記オンラインにおいては、作動中の前記制御弁により生ずる前記制御弁の前後の差圧である第1の圧力損失と、前記流量計によりそのときの流量とを逐時に求める第1の工程と、該第1の工程で得られた前記第1の圧力損失と前記流量とから成る複数のデータを基に、前記制御弁と前記流量計を含む配管により生ずる第2の圧力損失と、前記制御弁の最大開度における前記制御弁と前記流量計とを含む配管による全抵抗とを演算で求める第2の工程と、該第2の工程で求めた前記第2の圧力損失と前記全抵抗とに基づいて、前記制御弁の最大開度での流量を演算によって求める第3の工程と、該第3の工程で求めた前記制御弁の前記最大開度での流量と前記オフラインで設定した前記正規化比例定数とを基に前記勾配を算出し、その逆数から新たな前記比例ゲインを求めて前記演算制御装置に設定する第4の工程と、前記流量計により流量を測定しながら前記比例ゲインを用いた比例制御動作により前記制御弁を駆動して前記流量をフィードバック制御する第5の工程とから成り、前記第1〜第5の工程を繰り返すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る流量制御方法は、簡素な制御システムを用いて、最適な比例ゲインを自動的に得て、良好な流量制御を行う。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細を説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は流量制御システムの構成図である。流体が流れる配管1に、開度を調整して流量を調整する制御弁2、流量を測定する流量計3が直列的に配置されている。制御弁2の入口4と出口5には、その間の圧力損失を測定する差圧センサ6の検出端が接続されており、差圧センサ6の出力、流量計3の出力は演算制御装置7に接続され、演算制御装置7の出力は制御弁2に接続されている。
【0012】
流体は配管1の配管入口側から流入し、制御弁2の入口4と出口5の間の圧力損失は差圧センサ6によって測定される。制御弁2によって流量を調節された流体は、流量計3によってその流量が測定されて流量計出口8に至る。
【0013】
差圧センサ6で計測された制御弁2の入口4と出口5の圧力差である第1の圧力損失と、流量計3により測定した流量値とは逐次に演算制御装置7に送られる。これらの情報は、後述するように演算制御装置7内で演算処理され、制御弁2の開度を制御する信号として出力される。
【0014】
流量制御用の制御弁2には、様々な種類の弁が使用可能であるが、本実施例ではニードル弁が使われている。また、流量計3についても種々の型のものが使用可能であるが、本実施例においては超音波式流量計が用いられている。
【0015】
本実施例の眼目は、制御弁2の入口4の圧力変化によって最適値からずれるに至った比例制御動作(P動作)の比例ゲインを、オンラインで適切に更新してゆくことにある。比例制御動作に当っては、制御弁2の作動中に入口4と出口5との間に生ずる第1の圧力損失と、流量計3で得られる流量とを基に、制御弁2を最大開度まで開放した時の流量を推定することにより適切な比例ゲインを得て、この比例ゲインを用いてフィードバック制御する。
【0016】
図2は制御弁2の入口4の圧力Pの下で制御弁2の開度dを変えて、得られた流量Fをグラフ化したものである。これにより、初期の立ち上がり部分から勾配Kと、制御弁2を全閉状態から最大開度dpまで開いた時の流量Fpが定義される。
【0017】
図3は入口4の圧力をPa〜Pdまで変えた場合のグラフ図である。図3から、各圧力における勾配Ka、Kb、Kc、Kdと最大開度dpでの流量Fap、Fbp、Fcp、Fdpがそれぞれ求められる。
【0018】
図4は各開度における流量値を、それぞれの制御弁2の最大開度dpでの流量Fap、Fbp、Fcp、Fdpで除して正規化した流量をグラフ化したものである。図4に示すように正規化された流量は、制御弁2の入口4の圧力がPaからPdまで変化しても、制御弁2の開度に対してはほぼ一致して概略1本の曲線で表されるようになり、この曲線の立ち上がりの線形部分から、入口4の圧力には依存しない正規化された比例定数Kzが定義される。この正規化比例定数Kzは圧力に依存しないため、入口4の圧力が一定の状態で求めた開度と流量の直線部分の勾配を、最大開度dpでの流量Fpで除すことによって求めることができる。
【0019】
正規化比例定数Kzは図3に示す入口4の各圧力に応じた勾配(Ka〜Kd)と、それぞれの制御弁2の最大開度dpにおける流量(Fap〜Fdp)との比に相当し、次の(1)式で表すことができる。
Kz=Ka/Fap=Kb/Fbp=Kc/Fcp=Kd/Fdp・・(1)
【0020】
図3から分かるように、いま流量制御時の環境条件が変化して、入口4の圧力が例えば図示しないPeになったとすると、そのときの勾配Ke及びその逆数である比例ゲイン(1/Ke)も変わるはずである。この際に、勾配Keは(1)式を変換した(2)式のように表すことができる。
Ke=Kz×Fep ・・・(2)
【0021】
(2)式は求めるべき勾配Keが正規化比例定数Kzに最大開度dpの流量Fepを乗ずることにより得られることを示している。このとき、正規化比例定数Kzは前述の方法に従って、入口4の或る一定の圧力における勾配と最大開度dpでの流量から求め、予め演算制御装置7に記憶させておけばよいが、入口4の圧力が変化した場合の最大開度dpでの流量については、これを制御動作中に毎回計測することは事実上不可能に近い。
【0022】
この課題を解消するために、本実施例では制御弁2の前後の第1の圧力損失と流量計3で測定した流量とから、制御弁2の最大開度dpでの流量Fpを自動的に推定している。
【0023】
図5は上記システムをモデル化した等価回路であり、等価回路の各記号を次のように定義する。
【0024】
ΔP:制御弁2の入口4と出口5との間の差圧センサ6で実測される第1の圧力損失。
ΔE:制御弁2の入口4から流量計3を経て流量計出口8間に生ずる推定の第2の圧力損失。
F:流量計3で実測される流量。
r’:入口4と流量計出口8との間の制御弁2を除いた流量計3、配管1内の抵抗。
r:制御弁2を最大開度dpにしたときに制御弁2、配管1、流量計3に発生する推定の全抵抗(r=R0+r’)。
R0:最大開度dpにおいて制御弁2が有する固有抵抗。
R:制御弁2の開度に依存する制御弁2の抵抗であり、固有抵抗R0に上乗せされた制御弁2の抵抗であって、開度が大きくなると共に減少し、最大開度dpではR=0と見倣せる。
【0025】
図5に示した本システムの等価回路から、第1、第2の圧力損失ΔP、ΔEに関して、次の(3)、(4)式が誘導される。
ΔP=(R+R0)×F ・・・(3)
ΔP=ΔE−r’×F ・・・(4)
【0026】
(3)、(4)式を展開すると、次式が得られる。
(R+R0)×F=ΔE−r’×F
(R+R0+r’)×F=ΔE
【0027】
この式から、F=ΔE/(R+R0+r’)の関係が求まる。ここで、最大開度dpのときはR=0になると見倣すことができ、また制御弁2の最大開度dpにおける全抵抗rは前述の通り、r=R0+r’になるため、最大開度dpでの流量Fpは、次の(5)式によって求まることになる。
Fp=ΔE/r ・・・(5)
【0028】
このように、制御弁2の最大開度dpの時の流量Fpは、配管1内の第2の圧力損失ΔEと、制御弁2の最大開度dpにおける全抵抗rから演算により求まる。
【0029】
以上の考え方に基づいて、(6)式に従って最大流量Fpを求め、(2)式に戻って得た比例勾配Keから比例ゲイン(1/Ke)を求めて自動的に更新する。そのために、予めオフラインにおいて制御プロセスの条件を求めておき、オンラインにおいてこれらの条件を使用して比例ゲインを更新すればよい。
【0030】
図6は実施例1の動作のフローチャート図を示す。演算制御装置7に内蔵したプログラムによりオフラインのステップS1においては、予備工程として、前述の方法で求めた制御弁2の開度と流量との対応関係から求めた勾配の逆数と、正規化比例定数Kzと、制御弁2の最大開度における固有抵抗R0をそれぞれ求めて、演算制御装置7にプロセスの定数として予め入力する。
【0031】
制御弁2の固有抵抗R0は、制御弁2の最大開度dpにおいて定義される固定抵抗である。また、制御弁2の入口4と出口5間に生ずる第1の圧力損失ΔPは制御弁2の最大開度dpでの流量Fpに比例するので、(6)式が成立する。
ΔP=R0×Fp ・・・・・・・・・(6)
【0032】
固有抵抗R0を求めるには、制御弁2を最大開度dpまで開き、制御弁2の入口4の圧力を変えて、複数の第1の圧力損失ΔPと最大開度dpでの流量Fpの複数のデータを得て(6)式に代入し、連立方程式を解けばよい。
【0033】
第2の圧力損失ΔE、制御弁2の最大開度dpの全抵抗rについては、初期値として、例えば仮の値を演算制御装置7に記憶しておけばよい。
【0034】
オンラインにおいては、ステップS2で制御弁2の入口4と出口5との間に生ずる流体の第1の圧力損失ΔP、流量計3による流量とを逐時に求め、複数組のデータを取り込んで、演算制御装置7に記憶する。
【0035】
ここに第1の圧力損失ΔPは、制御弁2が最大開度dpのときの全抵抗r=R0+r’の関係を(4)式に代入した(7)式によって表される。
ΔP=ΔE−(r−R0)×F ・・・・・(7)
【0036】
ステップS3において、流量計3で求めた流量Fと、第1の圧力損失ΔPの複数組のデータと、予め入力されている抵抗R0とを、(7)式にそれぞれ代入した複数の式による連立方程式を解くと、運転中の第2の圧力損失ΔE、制御弁2の最大開度dpの全抵抗rを求めることができる。得られた第2の圧力損失ΔE、制御弁2の最大開度dpの全抵抗rはそれまでの記憶値と置換され、演算制御装置7に記憶される。
【0037】
更にステップS4において、ステップS3で求めた第2の圧力損失ΔEと、全抵抗rを(5)式に代入すると、制御弁2の最大開度dpでの最大流量Fpが新たに算出される。比例ゲイン(1/Kf)は最大流量FpとオフラインのステップS1で初期設定しておいた正規化比例定数Kzから、次の(8)式に従って求められる。得られた比例ゲイン(1/Kf)は新たな最適値として更新される。
1/Kf=1/(Kz×Fp) ・・・(8)
【0038】
そしてステップS5において、この比例ゲイン(1/Kf)を用いて制御弁2を駆動する。
【0039】
このように、ステップS2〜S5の手順に従って、逐時に最適な比例ゲイン(1/Kf)を求めて、演算制御装置7で自動更新することを繰り返し、この比例ゲインによるフィードバックによる比例動作制御を行うことにより、継続して応答性の良い流量制御が可能になる。
【0040】
これまで、制御弁2の最大開度dpとそれに対応する流量を最大流量Fpと定義したが、最大開度dpとは必ずしも制御弁2を全開した状態での開度とする必要はなく、制御の際に制御弁2が通常に作動する開度範囲を規定し、その開度範囲内で最も開いた状態を最大開度dpとしてもよい。
【実施例2】
【0041】
図7は実施例2の動作フローチャート図である。実施例1の図6のステップS2とS3の間に、ステップS11、S12が加えられている。
【0042】
実際に、オンラインで流体の流量を制御する場合に、制御弁2の入口4の圧力の僅かな変化に敏感に対応して比例ゲインを頻繁に変更するよりは、第1の圧力損失ΔPの変化量に所定の閾値を設けて、一定以上の変化幅が得られた場合にのみ、比例ゲインを更新した方が制御が円滑になる場合がある。
【0043】
そのため、実施例2のステッ プS11では、実施した制御弁2による第1の圧力損失ΔPと流量Fとから、記憶されている第2の圧力損失ΔEから制御弁2の抵抗r’(r’=r−R0)による圧力損失を差し引いた値との差を求め、それをパラメータMと定義する。このパラメータMは(9)式のように表される。
M=|ΔE−(r−R0)×F−ΔP| ・・・(9)
【0044】
運転中はパラメータMの変化から現在設定されている比例ゲインが最適かどうかを常に監視し、ステップS12でパラメータMが閾値を超えて、比例ゲインの最適状態からのずれを確認すると、それを更新する作業を次のステップS3において行う。つまり、パラメータMが閾値を超えた場合には、ステップS3で第2の圧力損失△E、全抵抗rを求め、ステップS4で新たな比例ゲイン(1/Kf)を求め、ステップS5に進む。
【0045】
一方、パラメータMが閾値よりも小さければ、現在設定されている比例ゲインでよいと判断し、ステップS3、S4を省略し、ステップS5に進む。
【0046】
ステップS5においては、得られている比例ゲイン(1/Kf)により実施例1と同様な制御を行う。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】制御システムの構成図である。
【図2】一定圧力における開度と流量の関係のグラフ図である。
【図3】複数の入力圧力の基で、制御弁の開度と流量の関係のグラフ図である。
【図4】正規化後の流量と制御弁の開度との関係のグラフ図である。
【図5】等価回路図である。
【図6】実施例1の動作フローチャート図である。
【図7】実施例2の動作フローチャート図である。
【符号の説明】
【0048】
1 配管
2 制御弁
3 流量計
4 制御弁入口
5 制御弁出口
6 差圧センサ
7 演算制御装置
8 流量計出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流量計により流体の流量を計測し、比例ゲインを用いた比例制御動作により制御弁を駆動して流量制御を行う場合に、予めオフラインにおいて制御プロセスの条件を求めておき、オンラインにおいてこれらの条件を使用して前記比例ゲインを更新し、更新した前記比例ゲインを用いて流量制御を行う流量制御方法において、
前記オフラインにおいては、前記制御弁の入口側の圧力を一定にして、前記制御弁を全閉状態と最大開度の間で駆動して、前記制御弁の開度と前記流量計から得た流量との対応関係から求めた勾配の逆数と、前記制御弁の最大開度における流量により前記勾配を除して得られる正規化比例定数と、前記制御弁の最大開度における制御弁の固有抵抗とを予め求めて演算制御装置に設定すると共に、前記制御弁の入口から前記流量計を経て前記流量計出口間に生ずる第2の圧力損失と、前記制御弁を最大開度にしたときに制御弁、配管、流量計に発生する全抵抗との初期値を前記演算制御装置に予め入力する予備工程を有し、
前記オンラインにおいては、作動中の前記制御弁により生ずる前記制御弁の前後の差圧である第1の圧力損失と、前記流量計によりそのときの流量とを逐時に求める第1の工程と、
該第1の工程で得られた前記第1の圧力損失と前記流量とから成る複数のデータを基に、前記制御弁と前記流量計を含む配管により生ずる第2の圧力損失と、前記制御弁の最大開度における前記制御弁と前記流量計とを含む配管による全抵抗とを演算で求める第2の工程と、
該第2の工程で求めた前記第2の圧力損失と前記全抵抗とに基づいて、前記制御弁の最大開度での流量を演算によって求める第3の工程と、
該第3の工程で求めた前記制御弁の前記最大開度での流量と前記オフラインで設定した前記正規化比例定数とを基に前記勾配を算出し、その逆数から新たな前記比例ゲインを求めて前記演算制御装置に設定する第4の工程と、
前記流量計により流量を測定しながら前記比例ゲインを用いた比例制御動作により前記制御弁を駆動して前記流量をフィードバック制御する第5の工程とから成り、
前記第1〜第5の工程を繰り返すことを特徴とする流量制御方法。
【請求項2】
前記制御弁を最大開度にしたときに前記制御弁、前記配管、前記流量計に発生する前記全抵抗から前記制御弁の固有抵抗を除いた抵抗により生ずる圧力損失を前記第2の圧力損失から差し引いた値と、前記第1の圧力損失との差が所定の閾値よりも小さい場合には、前記第4の工程を省略して前記第5の工程を実行することを特徴とする請求項1に記載の流量制御方法。
【請求項3】
前記最大開度での流量は前記制御弁を使用する開度範囲での最大開度における最大流量であることを特徴とする請求項1に記載の流量制御方法。
【請求項4】
前記第1の圧力損失は差圧センサによって求めることを特徴とする請求項1に記載の流量制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−282819(P2009−282819A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−135106(P2008−135106)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【出願人】(390026996)東京計装株式会社 (57)
【出願人】(506259634)清華大学 (13)
【Fターム(参考)】