説明

流量制御装置

【課題】流量制御装置が相互干渉することなく設定器で設定された正確な流量を得ることができる流量制御装置を提供する。
【解決手段】流路の開閉を調節するソレノイドバルブ20と、このバルブを駆動するバルブ駆動回路21を有する流量制御装置であって、入力されるアナログ電圧値またはアナログ電流値を所定のデジタル値またはアナログ値に変換して伝達するアナログ入力回路23と、この入力回路から伝達されたデジタル値またはアナログ値を、設定された流量に応じた指示信号を出力する制御部22と、制御部とバルブ駆動回路を電気的に絶縁すると共に、制御部からの指示信号をバルブ駆動回路へ伝達する信号伝達部と、アナログ入力回路及び制御部とを電気的に絶縁すると共に、アナログ入力回路及び制御部へ電源供給する絶縁型電源回路と、バルブ駆動回路へ電源供給する非絶縁型電源回路と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブ駆動回路の影響を受けて生ずる干渉をなくし、バルブの開閉を正確に調節して流量の制御が行える、低コストで小型化が可能な流量制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
流量制御装置として、従来では、外部から流量を設定する設定器(デジタル機器等)とのインターフェースが容易なものが開発されている。一例として、流路を流れる流体の流量を測定し、流路を流れる流体の流量が設定された流量になるように、制御手段によって調整弁を制御する流量制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また流量制御装置の流量設定方法として、該装置と接続されている設定器に設けられた入力キーを用いて設定値を入力する方法やアナログ信号による設定方法がある。その他、該装置をRS−485ケーブル等でパーソナルコンピュータ(パソコン)と通信可能に接続してパソコンから設定値を送信する方法がある。これらの設定方法うちアナログ信号による従来の流量制御装置を以下に説明する。
【0004】
図2は、アナログ信号によって流量制御を行う従来から用いられている流量制御装置のバルブ駆動電流の第一の電流ルート示した構成図である。図2において、符号1は、設定された流量に応じたアナログ信号(流量設定信号)を複数のチャンネルより出力する設定器である。操作者は各チャンネル毎に任意の流量を設定することができる。符号2は流量制御装置A、3は、流量制御装置Bである。このような流量制御装置2、3は、設定器1の各チャンネルに、互いに非絶縁状態で接続されている。設定器1の各チャンネル(CH1、CH2)はそれぞれ正極(+)および負極(−)を有しており、それぞれの負極が同じ電位となるように、互いに接続されて導通している(非絶縁状態)。次にこれら流量制御装置2、3について説明するが、符号2、3は同じ構成を有しているため、詳細は符号2の流量制御装置Aについて説明する。
【0005】
流量制御装置Aは、当該装置でガス等が通過する流路の開閉を調節するソレノイドバルブ10と、ソレノイドバルブ10を駆動するバルブ駆動回路11と、バルブ駆動回路11に指示信号を出力する制御部としてのマイクロコンピュータ(以下「マイコン」と称する。)12と、設定器1からアナログ信号を受けてマイコン12に送るアナログ入力回路13が設けられている。さらに外部の電源4から直流電力を供給される第一電源回路14、および第二電源回路15を有している。なおマイコン12は、例えばワンチップマイコンであり、内部に図示しないCPU、ROM、RAMが設けられている。なお、当然ながら流量制御装置Aは流量測定部として下記特許文献1に示されている次の(1)〜(5)の構成を備えているが、図面を見易くするために図示を省略する。(1)流体が流れる流路、(2)流路に流れる流体の流れを検出する検出素子、(3)検出素子から出力された検出信号を処理する信号処理回路、(4)信号処理回路から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する変換部、(5)変換部から出力されたデジタル信号に基づいて、流路を流れる流体の流量を演算して出力する演算部。また、これらの構成(1)〜(5)の機能は下記特許文献1に開示されているので説明を省略する。
【0006】
そして、例えばバーナ燃焼用ガスの流量制御装置を複数使用する場合には、設定器1のアナログ出力チャンネル(CH1、CH2、・・)に各流量制御装置2、3を接続し、設定器1からそれぞれの流量制御装置2、3に対して流量設定信号を出力する方法が行われている。
【特許文献1】特開2000−205917号公報(3頁〜6頁、特に6頁、図1)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、設定器1は、コスト的な理由から、各出力チャンネル間が絶縁されていないタイプを使用するユーザが多い。このような設定器1を用いて上記特許文献1やアナログ信号によって流量設定を行う従来の流量制御装置は、共通する外部の電源4に接続すると、ソレノイドバルブを駆動するバルブ駆動回路の駆動電流が上記図2の一点鎖線で示した電流ルートI1のように流れるだけではなく、二点鎖線で示した電流ルートI2のように流れてしまう(電源ラインの−極側のみ図示)。
【0008】
つまり、流量制御装置2に注目すると、設定器1において0〜5Vの電圧を設定した場合、流量制御装置2のアナログ入力回路13には通常数μA程度の電流しか流れないが、ソレノイドバルブ10を駆動する電流は最大で数百ミリアンペア(mA)程度流れる。このバルブ駆動電流が設定器1及び流量制御装置3を介して二点鎖線の電流ルートI2にも流れてしまう。するとアナログ入力回路13の信号に影響してマイコン12に入力される設定値に誤差が生じる。さらに、流量制御装置2は、流量が常に流量設定値と一致するように動作するため、流量の設定値が変更された場合や、供給ガスの圧力が変化した場合には、バルブ駆動電流が大きく変化するので、アナログ入力回路13への影響も一定ではなくなってしまう。
【0009】
また、図3には、図2と同様の構成を示し、第二の電流ルートを示した構成図であり、流量制御装置3に注目した場合の電流ルートI1と電流ルートI2がそれぞれ示してある。流量制御装置3のバルブ駆動電流は、該装置3のアナログ入力回路にも流れ、さらに流量制御装置2のアナログ入力回路13にもバルブ駆動電流が流れてしまう。その結果、流量制御装置3のバルブ駆動電流の変化が、流量制御装置2の流量設定値を変動させてしまう。そして、上述したように流量制御装置2のバルブ駆動電流の変化が流量制御装置3にも影響するため、流量制御装置2と流量制御装置3が互いに干渉し合い、接続する流量制御装置の台数が増えるほど複雑に干渉し合って流量設定値の安定性を悪化させてしまい、結果として制御流量の安定性を悪化させてしまうといった問題があった。
【0010】
このような問題を解決するためには、アナログ入力回路またはバルブ駆動回路へ電源供給する電源回路を絶縁すればよいことが挙げられる。アナログ入力回路を絶縁する場合には、設定器からアナログ入力回路が信号を入力する前にアイソレータを設けることが考えられるが、正確に信号を変換しないと設定誤差が発生してしまうことや、コストが高くなるといった欠点がある。これに対し、電源回路を絶縁する方法は、電源回路に絶縁型DC−DCコンバータを追加することが考えられる。この場合、電源側は数%の変換誤差があっても問題なく、コスト的にも電源回路側の絶縁の方が有利となる。
【0011】
図4は、上述した図2、図3の流量制御装置2、3の電源回路に、具体的には第三電源回路16として絶縁型DC−DCコンバータを接続した場合の構成図で、本発明に関連する技術であるが未だ公知ではない。なお、図4の説明は、個々の構成を上記図2及び図3において説明したので省略する。流量制御装置2、3のソレノイドバルブ10は、制御する流量レンジによってオリフィス径が異なるため、必要な駆動力、つまり必要な最大駆動電流も異なる。
【0012】
ここで流量制御装置2、3に、第三電源回路16(絶縁型DC−DCコンバータ)を接続した図4では、流量制御装置2、3において同様な状態となるため、ここでは流量制御装置2のバルブ駆動回路11における電流ルートI2のみに着目して説明する。バルブ駆動回路11の電流は、電流ルートI1のようにまずC1位置で遮断され、外部電源4に直接流れ込むことはない。また電流ルートI2は、流量制御装置2のアナログ入力回路13及び、設定器1を通じて、流量制御装置3のアナログ入力回路13にも流れようとするが、流量制御装置3の第三電源回路16(絶縁型DC−DCコンバータ)によりC2位置で遮断されるため、図2、図3で説明したような該電流による流量制御装置2と流量制御装置3の間の干渉は完全に解消される。
【0013】
ただし、流量制御装置2、3は、ソレノイドバルブ10の最大駆動電流に応じた容量のDC−DCコンバータを使用する必要があり、例えば、通流するガスの最大流量によって異なってくる。特に、大流量用の流量制御装置2、3になるとオリフィス径が大きくなるため大きな駆動電流が必要となり、大容量のDC−DCコンバータを使用しなければならず、高コストかつ大型サイズになってしまう。このため、第三電源回路16(DC−DCコンバータ)の共通化及び、第三電源回路16、アナログ入力回路、バルブ駆動回路等を実装するための回路基板の共通化ができないといった数々の不具合が考えられる。
【0014】
本発明の目的は、1台の設定器に複数の流量制御装置を接続した場合でも、流量制御装置間での相互干渉をなくすことができる流量制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の流量制御装置は、典型的には、
流体が流れる流路と、この流路の開度を調節するソレノイドバルブと、該ソレノイドバルブを駆動するバルブ駆動回路と、流路に流れる流体の流量を測定する流量測定部と、流量を設定値に一致させるようバルブ駆動回路へ指示信号を与える制御部とを有しており、外部からの電源供給を受けて動作する流量制御装置であって、
設定値として入力されるアナログ電圧値またはアナログ電流値を所定のデジタル値またはアナログ値に変換して伝達するアナログ入力回路と、
測定された流量と前記アナログ入力回路から伝達されたデジタル値またはアナログ値とに基づいて指示信号を出力する制御部と、
前記制御部と前記バルブ駆動回路とを電気的に絶縁すると共に、前記制御部からの指示信号を前記バルブ駆動回路へ伝達する信号伝達部と、
前記アナログ入力回路及び前記制御部をバルブ駆動回路から電気的に絶縁すると共に、前記アナログ入力回路及び前記制御部へ電源供給する絶縁型電源回路と、
前記バルブ駆動回路へ電源供給する非絶縁型電源回路と、を有することを特徴としている。
【0016】
これにより、バルブ駆動回路と、アナログ入力回路及び制御部とを電気的に絶縁することができるようになる。
【0017】
また別の本発明の流量制御装置は、典型的には、
流量を設定して出力する設定器と、所定の直流電圧を供給する外部電源と、流体が流れる流路と、この流路の開閉を調節するソレノイドバルブと、このソレノイドバルブを駆動するバルブ駆動回路を有する流量制御装置であって、
前記設定器から設定値として入力されるアナログ電圧値またはアナログ電流値を所定のデジタル値またはアナログ値に変換して伝達するアナログ入力回路と、
前記アナログ入力回路から伝達されたデジタル値またはアナログ値を、前記設定された流量に応じた指示信号を出力する制御部と、
前記制御部と前記バルブ駆動回路とを電気的に絶縁すると共に、前記制御部からの指示信号を前記バルブ駆動回路へ伝達する信号伝達部と、
前記外部電源と前記アナログ入力回路及び前記制御部をバルブ駆動回路から電気的に絶縁すると共に、前記外部電源からの供給電圧を所定の電圧に変換して前記アナログ入力回路及び前記制御部へ電源供給する絶縁型電源回路と、
前記外部電源と直接接続され、前記外部電源からの供給電圧を所定の電圧に変換して前記バルブ駆動回路へ電源供給する非絶縁型電源回路と、を有することを特徴としている。
【0018】
これにより、設定器で設定された値が、流量制御装置の自己干渉が解消され、アナログ入力回路から正確に出力されるようになる。
【0019】
また別の本発明の流量制御装置は、前記の流量制御装置において、さらに加えて、
前記制御部からの指示信号を前記バルブ駆動回路へ伝達すると共に、前記バルブ駆動回路から発生する電流を遮断する電流遮断部と、
前記アナログ入力回路へ電源供給する第一電源回路及び前記制御部へ電源供給する第二電源回路へ必要最小電圧を供給するとともにこれら第一電源回路、第二電源回路から発生する電流を遮断する第三電源回路と、
前記外部電源と直接接続され、前記バルブ駆動回路へ安定した電圧を供給する第四電源回路とを有することを特徴としている。
【0020】
また別の本発明の流量制御装置は、前記の流量制御装置において、さらに加えて、
前記絶縁型電源回路は、少なくとも1種類以上のリニアレギュレータと、前記リニアレギュレータへ必要最小電圧以上かつ許容最大電圧以下の電圧を供給する非安定出力の絶縁型DC−DCコンバータとを有しており、前記リニアレギュレータはそれぞれ予め決められた一定の電圧を出力することを特徴としている。
【0021】
これにより、流量制御装置の自己干渉が解消され、さらにバルブ駆動回路へ安定した電圧を供給することができるようになる。
【0022】
また別の本発明の流量制御装置は、前記の流量制御装置において、さらに加えて、
前記設定器は、複数の出力チャンネルを有し、該複数の出力チャンネルに、少なくとも2以上の前記流量制御装置が接続され、前記信号伝達部と前記絶縁型電源回路により前記流量制御装置が相互に絶縁されるものである。
【0023】
これにより、複数の流量制御装置間での相互干渉が解消され、設定器で設定された値がアナログ入力回路から正確に出力され、それぞれのソレノイドバルブの調節により流路を流れる流量の誤差がなくなる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、1台の設定器に1または複数の流量制御装置を接続した場合にも、流量制御装置間での自己干渉及び相互干渉をなくし、低コストで小型化が可能な流量制御装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明に係る流量制御装置について図面に基づいて詳細に説明する。上述した「背景」や「発明が解決しようとする課題」では、電源回路だけを他の回路と絶縁するものとしている。本発明の流量制御装置は、電源回路及びバルブ駆動回路を他の回路と絶縁する構成とする。図1は、本発明の流量制御装置の構成図であり、上記「背景」や「発明が解決しようとする課題」において説明した設定器1に、本発明の流量制御装置5、6を接続したものである。
【0026】
流量制御装置5、6は、比例式のソレノイドバルブ20、バルブ駆動回路21、マイコン(制御部)22、アナログ入力回路23,第一電源回路24、第二電源回路25を備えている。また、流量制御装置5、6は、信号伝達部としてのフォトカプラ26と、第三電源回路27であるDC−DCコンバータと、第四電源回路28とを新たに備えている。以下、第一乃至第四電源回路の一部または全部を総称して絶縁型電源回路ということもある。なお、当然ながら流量制御装置5,6は流量測定部として上記特許文献1に示されている次の(1)〜(5)の構成を備えているが、図面を見易くするために図示を省略する。(1)流体が流れる流路、(2)流路に流れる流体の流れを検出する検出素子、(3)検出素子から出力された検出信号を処理する信号処理回路、(4)信号処理回路から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する変換部、(5)変換部から出力されたデジタル信号に基づいて、流路を流れる流体の流量を演算して出力する演算部。また、これらの構成(1)〜(5)の機能は上記特許文献1に開示されているので説明を省略する。
【0027】
ソレノイドバルブ20は、比例式で流体の流路の開閉を調節するものであり、好適には小流量用で最大約100ミリアンペア(mA)、大流量用で最大約400ミリアンペア(mA)の動作電流を要するものである。バルブ駆動回路21は、ソレノイドバルブ20を駆動させるためのパワートランジスタまたはパワーMOS・FETなどを内蔵しており、例えば、電圧駆動方式、電流駆動方式、直接パルス駆動方式などの方法が用いられる。
【0028】
マイコン22は、バルブ駆動回路21へ設定器1により設定された流量が流れるように指示信号を伝達するものであり、本実施の形態では、例えば1チップマイコンを用い、図1では図示しないがCPU、ROM、RAMあるいはEEPROM等によって構成されている。そして、ガス種類等によって異なる流量やバルブを開閉するために必要な供給値がRAMやEEPROMに予め記憶されており、ROMに記憶された手順に従ってCPUで演算し判定結果を指示信号として出力するものである。
【0029】
アナログ入力回路23は、入力電圧範囲制限回路やA/Dコンバータで構成されている。本実施の形態では、設定器1で設定された流量設定値を、該アナログ入力回路23にA/Dコンバータを設けて、電圧値であるアナログ信号をデジタル信号に変換してマイコン22へ伝達するものである。なお、A/Dコンバータは、マイコン22に内蔵のものを用いてもよく、その場合には、該アナログ入力回路23には不要となる。例えば、本出願人による、特開2000−205917号公報に開示されたようなアナログ入力回路を用いる。また、設定器1から出力される設定信号はアナログ電流値(例えば4〜20mA)であってもよく、その場合にはアナログ入力回路23の入力端子間に電流−電圧変換用の精密抵抗器(例えば250Ω±0.1%)が接続される。
【0030】
第一電源回路24は、アナログ入力回路23を構成するオペアンプ用の電源(+12V)であり、好適には3端子レギュレータ等を使用した出力電圧可変型のリニアレギュレータである。第二電源回路25は、マイコン22や本実施の形態ではアナログ入力回路23に設けられたA/Dコンバータ用の電源(+5V)であり、好適には3端子レギュレータ等を使用したリニアレギュレータである。
【0031】
フォトカプラ26は、マイコン12とバルブ駆動回路21との間を絶縁するとともに、マイコン12から出力されるPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)信号をバルブ駆動回路21へ伝達する。また、該フォトカプラ26は、その外部にフォトカプラ(発光側)の電流制限用抵抗Rが設けられている。
【0032】
第三電源回路27は、絶縁型DC−DCコンバータとしての絶縁型スイッチング電源であり、後段の第一電源回路24が必要とする最小電圧以上かつ許容最大電圧以下の範囲内であれば出力電圧は安定化していなくてもよい。一般に出力電圧を安定化しない電源の場合、出力電流が変化すると出力電圧も大きく変化してしまうため、出力電流が増大すると後段の回路が必要とする最小電圧値が保持できなくなってしまったり、逆に出力電流が減少すると後段の回路の許容最大供給電圧を超えてしまったりする恐れがある。このため、前述した図4の第三電源回路16(DC−DCコンバータ)の場合は、出力を安定化しバルブ駆動電流の変化に関係なく安定した電圧を出力する必要があった。しかし、本実施形態図1の第三電源回路27の場合は、バルブ駆動回路21へ直接電源供給していないため、バルブ駆動電流の変化の影響は全く受けず、またアナログ入力回路23及びマイコン22の消費電流はほとんど変化しないため、第三電源回路27の出力を安定化しなくても、出力電圧が大きく変動することはない。このため、第一電源回路24が必要とする最小電圧値が保持できなくなることを心配せずともよく、そして許容最大供給電圧を超えてしまう心配はない。つまり、前述した図4の第三電源回路16(DC−DCコンバータ)と比較してはるかに簡単な回路構成となり、低コスト化及び小型化が可能になる。
【0033】
さらに、該第三電源回路27は、バルブ駆動回路21へ直接電源供給していないため、第一電源回路24、第二電源回路25の電流を遮断すると共に、アナログ入力回路23及びマイコン22へ電源供給可能な最小限の電圧・電流出力のものであればよく、バルブの種類や流路の大きさ、オリフィス径に関係なく、それぞれの流量制御装置5、6に共通のものを用いることが可能となる。
【0034】
第四電源回路28は、バルブ駆動回路21用の電源(+5V)であり、好適には3端子レギュレータ等を使用したリニアレギュレータである。ここで第四電源回路28を用いる目的は、外部電源4からの供給電圧をバルブ駆動回路21が必要とする所定の電圧に変換して供給するためであり、例えば、フォトカプラ26の受光側フォトトランジスタのオン・オフをバルブ駆動回路21が検出するための電圧源や、前述したパワートランジスタを駆動するためのベース電圧またはパワーMOS・FETを駆動するためゲート電圧などに使用される。
【0035】
上述した構成を有する流量制御装置5、6は、フォトカプラ26と第三電源回路27により、図1に示した破線(D−D`)のように、外部の電源4とバルブ駆動回路21を、アナログ入力回路23と絶縁されている。そして、バルブ駆動回路21へは、外部電源4から電源(+24V)が直接供給されるように構成されている。
【0036】
すなわち、設定器1に設けられた入力キーや、パソコンからの通信によって、それぞれの流量制御装置2、3の流量が設定される。その設定値は、流量制御装置2を例に説明すると、設定値を電圧値0〜5Vの範囲でアナログ信号としてアナログ入力回路へ伝達する。これを受けたアナログ入力回路13は、内蔵されたA/Dコンバータによってアナログ信号をデジタル信号へ変換し、マイコン12へ伝達する。デジタル信号を受けたマイコン12は、設定器1で設定された流量を流すために、バルブをどの程度開閉すればよいかを演算及び判定して指示信号をフォトカプラ26へ伝達する。フォトカプラ26は、マイコン12とバルブ駆動回路11を絶縁するとともに、マイコン12から出力されたパルス信号をバルブ駆動回路11へ伝達する。
【0037】
そして、ソレノイドバルブ10は、バルブ駆動回路11によって、流路を開閉する弁(図示外)を調節し、設定器1で設定された量の流体が流れるように設定する。そして、バルブ駆動回路11を駆動させる電源は、外部電源4から直接24Vの電源を得て動力源としている。このとき、上述したように破線D−D`によって、バルブ駆動回路21と、アナログ入力回路13及びマイコン12とは絶縁されているため、流量制御装置5、6が単体あるいは複数で設定器1に接続されても、自己干渉あるいは相互干渉することなく設定器1において設定された正確な流量を流すことが可能となる。
尚、本実施の形態では設定器1から出力される設定信号は0〜5Vの電圧値としたが、1〜5Vの電圧値であってもよく、さらに前述した通り4〜20mAの電流値であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る流量制御装置の概略を示す構成図である。
【図2】従来の流量制御装置の概略と第一の電流ルートを示す構成図である。
【図3】従来の流量制御装置の概略と第二の電流ルートを示す構成図である。
【図4】本発明の流量制御装置に関連する流量制御装置の概略を示す構成図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路の開度を調節するソレノイドバルブと、このソレノイドバルブを駆動するバルブ駆動回路とを有し、外部からの電源供給を受けて動作する流量制御装置であって、
設定値として入力されるアナログ電圧値またはアナログ電流値を所定のデジタル値またはアナログ値に変換して伝達するアナログ入力回路と、
前記アナログ入力回路から伝達されたデジタル値またはアナログ値に少なくとも基づいて指示信号を出力する制御部と、
前記制御部と前記バルブ駆動回路とを電気的に絶縁すると共に、前記制御部からの指示信号を前記バルブ駆動回路へ伝達する信号伝達部と、
前記アナログ入力回路及び前記制御部をバルブ駆動回路から電気的に絶縁すると共に前記アナログ入力回路及び前記制御部へ電源供給する絶縁型電源回路と、
前記バルブ駆動回路へ電源供給する非絶縁型電源回路と、を有することを特徴とする流量制御装置。
【請求項2】
流量を設定して出力する設定器と、所定の直流電圧を供給する外部電源と、流路の開閉を調節するソレノイドバルブと、このソレノイドバルブを駆動するバルブ駆動回路とを有する流量制御装置であって、
前記設定器から設定値として入力されるアナログ電圧値またはアナログ電流値を所定のデジタル値またはアナログ値に変換して伝達するアナログ入力回路と、
前記アナログ入力回路から伝達されたデジタル値またはアナログ値に少なくとも基づいて指示信号を出力する制御部と、
前記制御部と前記バルブ駆動回路とを電気的に絶縁すると共に、前記制御部からの指示信号を前記バルブ駆動回路へ伝達する信号伝達部と、
前記外部電源と前記アナログ入力回路及び前記制御部をバルブ駆動回路から電気的に絶縁すると共に、前記外部電源からの供給電圧を所定の電圧に変換して前記アナログ入力回路及び前記制御部へ電源供給する絶縁型電源回路と、
前記外部電源と直接接続され、前記外部電源からの供給電圧を所定の電圧に変換して前記バルブ駆動回路へ電源供給する非絶縁型電源回路と、を有することを特徴とする流量制御装置。
【請求項3】
前記制御部からの指示信号を前記バルブ駆動回路へ伝達すると共に、前記バルブ駆動回路から発生する電流を遮断する電流遮断部と、
前記アナログ入力回路へ電源供給する第一電源回路及び前記制御部へ電源供給する第二電源回路へ必要最小電圧を供給するとともにこれら第一電源回路、第二電源回路から発生する電流を遮断する第三電源回路と、
前記外部電源と直接接続され、前記バルブ駆動回路へ安定した電圧を供給する第四電源回路と、を有することを特徴とする請求項2に記載の流量制御装置。
【請求項4】
前記絶縁型電源回路は、少なくとも1種類以上のリニアレギュレータと、前記リニアレギュレータへ必要最小電圧以上かつ許容最大電圧以下の電圧を供給する非安定出力の絶縁型DC−DCコンバータとを有しており、前記リニアレギュレータはそれぞれ予め決められた一定の電圧を出力することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の流量制御装置。
【請求項5】
前記設定器は、複数の出力チャンネルを有し、該複数の出力チャンネルに、少なくとも2以上の前記流量制御装置が接続され、前記信号伝達部と前記絶縁型電源回路により前記流量制御装置が相互に絶縁されることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の流量制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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