説明

流量制御装置

【課題】大幅なコストの増大を伴わずに、流量を広範囲に制御することができる流量制御装置を提供する。
【解決手段】流量制御システム10には、薬液の流量を検出する流量センサ14と、その下流側において互いに並列に設けられた流量調整手段としてのパイロットレギュレータ20及び流体の通過を許可又は禁止する第1開閉弁40とが備えられている。流量センサ14の下流側における吐出配管13の下流側端部は、第1分岐配管15と第2分岐配管16とに接続されており、そのうち第1分岐配管15にパイロットレギュレータ20が設けられ、第2分岐配管16に第1開閉弁40が設けられている。コントローラ30は、目標流量値及び流量センサ14により検出された流量値に基づいて電空レギュレータ18及び第1電磁弁19を駆動させ、流体流量が目標流量値に一致するように流量フィードバック制御を実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の流量を制御する流量制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
流量制御装置としては、流体制御弁を通じて流れる流体の実際の流量が目標値に一致するように流量フィードバック制御を実施しながら流量調整を行うものが知られている。この場合、流体制御弁の上流側又は下流側に流量センサを設け、流量センサによって検出される実際の流量に基づいて流体制御弁の弁開度を制御し、実際の流量を目標値に一致させるようにしている(例えば、特許文献1)。ここで、特に高精度の流量制御が要求される分野として、半導体製造分野や、薬品分野、化学分野等が挙げられる。このような分野で利用される流量制御装置では、流路がフッ素樹脂等の薬品安定性の高い材料で形成されていたり、弁部分が薬品等から隔離することができるダイアフラムで同種樹脂により形成されていたりする。
【特許文献1】特許第3623125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記流量制御装置において流量を広範囲にわたって制御しようとすると、耐薬品性に優れたフッ素樹脂等の高コスト材料からなるダイアフラム等を大型化する必要があり、大幅なコストアップを招くこととなる。また、ダイアフラム等を大型化すると、ダイアフラム膜の耐圧性や信頼性の低下の問題が起こりうる。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、大幅なコストの増大を伴わずに、流量を広範囲に制御することができる流量制御装置を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の流量制御装置は、流体を流通させる流体通路と、前記流体通路に設けられ当該流体通路を流通する流体の流量を調整するレギュレータと、前記流体通路に設けられ前記レギュレータを迂回するバイパス通路と、前記バイパス通路に設けられ当該バイパス通路の開度を調整する開度調整部とを備えていることを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、流体通路にはレギュレータを迂回するバイパス通路が設けられているため、流体をレギュレータ側の流体通路に流通させるとともにバイパス通路にも流通させることができる。これにより、レギュレータにより制御可能な流量範囲を超える大流量の流体を流通させることが可能となる。そして、バイパス通路には開度調整部が設けられているため、開度調整部によりバイパス通路の開度を調整することでバイパス通路を流通する流体の流量を増減させることができ、また、レギュレータによってレギュレータ側の流体通路を流通する流体の流量を調整することができる。したがって、流体の流量を広範囲にわたって制御することができる。
【0007】
また、従来は広範囲にわたって流量制御する場合には、材料単価の高いフッ素樹脂等からなるダイアフラムを大型化する必要があったため、著しいコストの増大を避けることができなかった。その点、本発明の流量制御装置は流体通路に対して開度調整部を備えたバイパス通路を設けた構成であるため、大幅なコストの増大を伴うことなく、流量を広範囲にわたって制御することができる。
【0008】
上記開度調整部は、前記バイパス通路を開位置と閉位置とに二位置切替する開閉部であることが好ましい。これによれば、開閉部によりバイパス通路を開位置と閉位置とに二位置切替することができるため、開閉部によりバイパス通路を開位置とすれば、レギュレータ側の流体通路とバイパス通路との双方に流体を流通させることができる。一方、開閉部によりバイパス通路を閉位置とすれば、流体をレギュレータ側の流体通路のみに流通させることができる。そして、レギュレータ側の流体通路を流通する流体の流量はレギュレータにより調整することができる。これにより、流体の(全体)流量を広範囲にわたって制御することができる。また、開閉部は、バイパス通路を開位置と閉位置とに二位置切替するものであるため、流路の開度調整が可能なレギュレータ等と比べ一般的に低コストである。したがって、コストの増大をより一層抑制させつつ、流量を広範囲に制御することができる。さらに、二位置切替式の開閉部は応答性の面で優れているため、開閉部の開閉により流量を変更させる際には短時間で流量を変更後の目標流量値に安定化させることができる利点もある。
【0009】
なお、流体の流量を流量センサ等により検出しながら目標流量値に一致させるように流量フィードバック制御を実施する構成とすれば、レギュレータを備えていないバイパス通路側を流れる流体の流量が水ポンプの脈動等の影響を受けて変動したとしてもその変動を打ち消すようにレギュレータ側の流体通路を流れる流体を流量制御することで全体の流量を目標流量値に収束させることができる。
【0010】
上記開閉部が開位置にある場合に前記バイパス通路を流通する流体の流量が、前記レギュレータにより制御することができる流量の最大値以下であることが好ましい。
【0011】
開閉部が閉位置にある場合(以下、小流量時という)には流体はレギュレータ側の流体通路のみを流通するため、流体の流量はレギュレータにより制御可能な範囲において連続的に制御される。したがって、小流量時において制御可能な流量の最大値は、すなわちレギュレータにより制御可能な流量の最大値(以下、レギュレータ側最大値という)となる。一方、開閉部が開位置にある場合(以下、大流量時という)には流体はレギュレータ側の流体通路のみならずバイパス通路をも流通する(詳細には、流体がバイパス通路のみを流通する場合もある)ため、流体の流量はレギュレータにより制御可能な範囲の流量とバイパス通路を流通する流体の流量(以下、バイパス流量という)との総和の範囲において連続的に制御される。したがって、大流量時において制御可能な流量の最小値は、流体がバイパス通路のみを流通する場合における流量値、すなわちバイパス流量値となる。
【0012】
大流量時において制御可能な流量の最小値(バイパス流量値)が小流量時において制御可能な流量の最大値(レギュレータ側最大値)よりも大きい場合には、流量をこれらの値の間に設定することができないため、流量を連続的に制御することができない。その点、本発明によれば、開閉部が開位置にある場合にバイパス通路を流通する流体の流量(すなわちバイパス流量)が、レギュレータにより制御可能な流量の最大値(すなわちレギュレータ側最大値)以下に設定されているため、小流量時における最小流量値(最小制御流量値)から大流量時における最大流量値(最大制御流量値)までの間に上記のような制御不能な流量域が生じることはない。これにより、流体の流量を最小制御流量値から最大制御流量値まで広範囲かつ連続的に制御することが可能となる。
【0013】
上記流体通路には前記バイパス通路が複数設けられているとともに、これら各バイパス通路にはそれぞれ前記開度調整部が設けられていることが好ましい。
【0014】
これによれば、流体通路には複数のバイパス通路が設けられているため、流体をレギュレータ側の流体通路に流通させるとともに各バイパス通路にも流通させることができる。これにより、大流量の流体を流通させることが可能となる。そして、各バイパス通路にはそれぞれ開度調整部が設けられているため、これらの開度調整部により各バイパス通路の開度を調整することで各バイパス通路を流通する流体の流量を調整することができ、また、レギュレータによってレギュレータ側の流体通路を流通する流体の流量を調整することができる。これにより、流体の流量をより一層広範囲にわたって制御することができる。
【0015】
また、各バイパス通路に設ける開度調整部として前記第2の発明における開閉部を用い、かつ、各バイパス通路を流通する流体の流量をそれぞれレギュレータにより制御可能な流量の最大値以下に設定すれば、コストの大幅な増大を伴うことなく流体の流量をより一層広範囲にかつ連続的に制御することができ、また応答性に優れた制御をすることができる。
【0016】
上記流量制御装置は、前記レギュレータ及び前記開度調整部を制御するコントローラを備え、当該コントローラは目標流量値が前記レギュレータにより制御可能な流量の最大値以下である場合には前記バイパス通路が閉鎖され、前記目標流量値が前記レギュレータにより制御可能な流量の最大値よりも大きい場合には前記バイパス通路が開放されるように前記開度調整部を制御することが好ましい。
【0017】
これによれば、コントローラによりレギュレータ及び開度調整部を制御することができる。また、ユーザ等によって設定される目標流量値がレギュレータにより制御可能な流量の最大値以下である場合には、コントローラにより開度調整部を制御することでバイパス通路を閉鎖することができる。一方、目標流量値がレギュレータにより制御可能な流量の最大値よりも大きい場合には、開度調整部によりバイパス通路を開放することができる。これにより、目標流量値の大小に応じて自動的にバイパス通路を開閉することができ、ひいては流量を自動的に広範囲に制御することができるため、ユーザの利便性の向上を図ることができる。
【0018】
特に高精度の流量制御が要求される分野として、半導体製造分野や、薬品分野、化学分野等が挙げられる。このような分野で利用される流量制御装置では、耐薬品性が求められる他、弁体部分の摺動による塵埃の発生も避けなければならない。したがって、このような分野で用いられるレギュレータは、前記流体が流入される流入口、前記流体が流出される流出口、前記流入口から前記流出口に至る流路、及びその流路途中に配置される弁座部が形成されたボディ本体と、前記ボディ本体に内蔵されて前記弁座部に着座したり離間したりする弁体と、前記弁体の変位方向の一端側に設けられて当該弁体を前記弁座部へ向けて付勢する付勢部と、前記弁体の変位方向の他端側に設けられて前記付勢部による付勢力に抗して当該弁体を前記弁座部から離間する側に押圧するとともに、その押圧力を調整することにより流体の圧力を制御する操作部と、前記流路と前記付勢部の収容領域とを区画するとともに前記弁体に一体化されている第一ダイアフラムと、前記流路と前記操作部とを区画するとともに前記弁体に一体化されている第二ダイアフラムと、を備えていることが好ましい。
【0019】
これによれば、レギュレータは、ボディ本体において流入口から流出口に至る流路の途中に形成された弁座部に弁体が着座して流路を閉鎖したり弁座部から離間して流路を開放したりすることで流体の流量や圧力を制御する。具体的には、弁体は付勢部により弁座部へ向けて付勢されることにより弁座部に着座し、操作部により付勢部による付勢力に抗して弁座部から離間される側に押圧されることにより弁座部から離間する。また、弁体には第一ダイアフラム及び第二ダイアフラムが一体化されており、これらのダイアフラムが流路を付勢部の収容領域及び操作部とそれぞれ区画している。これにより、弁体の変位に起因して摺動する箇所をなくし又は低減させることができるため、パーティクルが発生する等の流体の純度を低下させる要因をなくし又は減らすことができる。
【0020】
また、ダイアフラムは、常時薬液に接液される部分であるためフッ素樹脂等の耐薬品性に優れた材料により形成するのが好ましい。これにより、ダイアフラムが薬液により腐食されることを回避することができる。
【0021】
一方、前記開閉部が内蔵されるとともに流体の流入口と流出口とを連通する流路が形成された開閉弁には、前記開閉部を閉位置へ向けて常時付勢する付勢部と、前記付勢部による付勢力に抗して前記開閉部を開位置へ向けて押圧する押圧状態とその押圧状態を解除した解除状態とに切り替えられる押圧部と、前記流路を前記押圧部側の空間と区画するとともに前記開閉部に一体化されている開閉用ダイアフラムとが備えられていることが好ましい。これにより、開閉弁においても前記レギュレータと同様、開閉部の変位に起因して摺動する箇所を流路においてなくしている。
【0022】
また、開閉用ダイアフラムは、前記レギュレータにおけるダイアフラムと同様、フッ素樹脂等の耐薬品性に優れた材料により形成するのが好ましい。これにより、開閉用ダイアフラムが薬液により腐食されることを回避することができる。
【0023】
以上のように、レギュレータ及び開閉弁においてフッ素樹脂等により形成されたダイアフラムを備える構成とすることで、流量制御装置全体としてパーティクルが発生する等、流体の純度を低下させる要因をなくしたり減らしたりすることができるとともに、ダイアフラムが薬液により腐食されることを回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(第1の実施形態)
以下、半導体製造ラインの薬液供給に用いられる流量制御システムについて具現化した一実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、図1は、流量制御システムを備える薬液供給回路の全体構成を示す回路図である。
【0025】
図1に示すように、本回路には、薬液の吸引及び吐出を行うための薬液ポンプ11が設けられている。薬液ポンプ11は、例えばダイアフラムポンプやベローズポンプ等からなる。薬液タンクXに貯留された薬液は、薬液の吸引通路を構成する吸引配管12を介して薬液ポンプ11によって吸引される。
【0026】
薬液ポンプ11の吐出側には、薬液の吐出配管を構成する吐出配管13が接続されている。この吐出配管13の下流側には、流量制御手段としての流量制御システム10が設けられている。薬液ポンプ11より吐出された薬液はこの流量制御システム10を介してユースポイントとしてのウエハ36に吐出される。したがって、薬液は流量制御システム10において所定の流量に制御され、ウエハ36に吐出されるようになっている。
【0027】
流量制御システム10には、薬液の流量を検出する流量センサ14と、その下流側において互いに並列に設けられた流量調整手段としてのパイロットレギュレータ20及び流体の通過を許可又は禁止する第1開閉弁40とが備えられている。流量センサ14の下流側における吐出配管13の下流側端部は、第1分岐配管15と第2分岐配管16とに接続されており、そのうち第1分岐配管15にパイロットレギュレータ20が設けられ、第2分岐配管16に第1開閉弁40が設けられている。これら各分岐配管15,16はそれぞれ下流側端部において集合配管17に接続されており、集合配管17の下流側端部がウエハ36へ薬液を吐出する吐出ノズル17aとなっている。
【0028】
次に、パイロットレギュレータ20及び第1開閉弁40の構成を図2及び図3に基づいて簡単に説明する。なお、図2はパイロットレギュレータの構成を示す縦断面図、図3は開閉弁の構成を示す縦断面図である。
【0029】
まず、パイロットレギュレータ20の構成について説明する。
【0030】
パイロットレギュレータ20には、流体を吸入する吸入通路21と、流体を排出する排出通路22とが設けられている。パイロットレギュレータ20の略中央部には、これら各通路21,22を連通する弁室23としての貫通孔が上下方向に延びるように形成されている。弁室23は、上下方向における略中央部において孔径が小さくなっている。換言すると、当該中央部では弁室23の内壁面が弁室23の軸線側へ突出しており、その突出された部分が弁座部25となっている。そして、弁室23は、弁座部25より下側が上流側弁室23aとなっており、弁座部25より上側が下流側弁室23bとなっている。また、詳細には、下流側弁室23bの上端部は孔径が大きく形成された円形通路23cとなっており、その円形通路23cが排出通路22と連通している。
【0031】
弁室23には、その貫通孔の軸線方向に往復動可能な弁体24が収容されている。弁体24は2つのダイアフラム部材26,27を備えて構成されており、各ダイアフラム部材26,27は、例えばフッ素樹脂よりなる。下側ダイアフラム部材26は、上下方向に延びるロッド部28と、そのロッド部28の下端部において一体化され連結されているダイアフラム部29とからなる。ロッド部28の上下方向における略中央部には、断面積が拡径された拡径部28aが形成されている。拡径部28aの上端部は、弁座部25における弁室23の内径よりも大きく形成されているため、拡径部26aの上端部は弁座部25に当接されるようになっている。したがって、弁体24が上側に移動すると、拡径部28aの上端部が弁座部25に当接し、吸入通路21と排出通路22との連通が遮断される一方、弁体24が下側に移動すると、拡径部28aの上端部が弁座部25から離れ、吸入通路21と排出通路22とが連通される。
【0032】
ダイアフラム部29を挟んで弁室23の反対側には、バネ収容室31が形成されている。バネ収容室31には圧縮コイルバネ32が収容されている。圧縮コイルバネ32の上端部は弁体24下端部に当接しており、圧縮コイルバネ32の付勢力により常時弁体24が上側に付勢されるようになっている。これにより、ロッド部28の拡径部28aの上端部が弁座部25に当接する状態が保持されるようになっている。
【0033】
上側ダイアフラム部材27を挟んで弁室23の反対側には、外部から操作エアが導入される圧力操作室33が形成されている。圧力操作室33は、エア導入ポート34に連通されており、後述する電空レギュレータ18(図1参照)から供給される操作エアがエア導入ポート34を介して圧力操作室33に供給される。圧力操作室33に操作エアが供給されると、弁体24は操作エアの操作圧力に応じて下側に変位される。
【0034】
このように構成されたパイロットレギュレータ20において、圧力操作室33に操作圧力が作用していない初期状態では、圧縮コイルバネ32の付勢力によりロッド部28の拡径部28aの上端部が弁座部25に当接し、上流側弁室23aと下流側弁室23bとの連通が遮断されている。これにより、吸入通路21から排出通路22への流体の流通が阻止される。これに対し、圧力操作室33に操作エアが供給されると、弁体24は圧縮コイルバネ32の付勢力に抗して下側に変位し、上流側弁室23aと下流側弁室23bとが連通される。これにより、吸入通路21から排出通路22への流体の流通が許容される。また、圧力操作室33の操作圧力を上昇させたり下降させたりすると、ロッド部28の拡径部28aの上端部が弁座部25から離間したり弁座部25に近接したりする。これにより、上流側弁室23aから下流側弁室23bへ流れる流体の流量が増減されるようになっている。
【0035】
次に、第1開閉弁40の構成について説明する。
【0036】
第1開閉弁40は、空気圧力により開閉操作されるエアオペレートバルブにより構成されている。第1開閉弁40には、上下方向に延びる円筒状のシリンダ41が形成されている。シリンダ41にはピストンロッド42が収容されている。ピストンロッド42は、大径部42aと下径部42bとを有しており、シリンダ41に摺動可能に収容されている。
【0037】
ピストンロッド42の上方にはバネ収容室43が形成されている。バネ収容室43には圧縮コイルバネ44が収容されている。圧縮コイルバネ44の下端部はピストンロッド42の上端部に当接している。これにより、ピストンロッド42は圧縮コイルバネ44の付勢力により常時下側へ付勢されるようになっている。
【0038】
ピストンロッド42の大径部42aの下方には圧力制御室45が設けられている。圧力制御室45は、エア導入ポート46に連通している。圧力制御室45には、後述する第1電磁弁19(図1参照)から供給される操作エアがエア導入ポート46を介して供給される。圧力制御室45に操作エアが供給されると、ピストンロッド42は圧縮コイルバネ44の付勢力に抗して上側に移動する。
【0039】
ピストンロッド42の下端部には、ダイアフラム弁体47が一体化されて設けられている。ダイアフラム弁体47は、例えばフッ素樹脂よりなる。
【0040】
第1開閉弁40には、流体を吸入する吸入通路48と、流体を排出する排出通路49とが設けられている。シリンダ41の下方には当該シリンダ41に連通された弁室51が円形溝状に形成されており、この弁室51を介して吸入通路48と排出通路49とが連通されている。吸入通路48は、弁室51の中央部において弁孔48aとして弁室51に開口しており、その開口部の周囲が弁座部52となっている。弁座部52にはダイアフラム弁体47の下端部が当接するようになっており、ダイアフラム弁体47はその下端部が弁座部52に当接する閉位置と弁座部52から離間する開位置との間で二位置切替されるようになっている。
【0041】
このように構成された第1開閉弁40において、圧力制御室45に操作エアが供給されていない場合には、ダイアフラム弁体47は圧縮コイルバネ44により下方に付勢され、ダイアフラム弁体47の下端部が弁座部52に当接された閉位置となっている。この場合、吸入通路48と弁室51との連通が遮断され、弁室51を介しての流体の流通が阻止されている。他方、エア導入ポート46を介して圧力制御室45に操作エアが供給されると、ダイアフラム弁体47が圧縮コイルバネ44の付勢力に抗して上側に移動し、ダイアフラム弁体47の下端部が弁座部52から離間した開位置となる。これにより、吸入通路48と弁室51とが連通され、弁室51を介しての流体の流通が許容される。
【0042】
図1の説明に戻り、以上のように構成されたパイロットレギュレータ20及び第1開閉弁40にはそれぞれエア供給手段としての電空レギュレータ18及び第1電磁弁19が接続されている。
【0043】
電空レギュレータ18は、パイロットレギュレータ20のエア導入ポート34に接続されている。電空レギュレータ18は操作エア圧力を任意に調整できる構成を有し、その操作エア圧力の調整によりパイロットレギュレータ20の圧力操作室33内のエア圧力が調整される。
【0044】
一方、第1電磁弁19は第1開閉弁40のエア導入ポート46に接続されている。第1電磁弁19は、通電に応じて開閉されることにより第1開閉弁40の圧力制御室45へのエアの供給又は遮断を行う。すなわち、第1開閉弁40は第1電磁弁19の開閉により開閉操作される構成となっている。なお、圧力制御室45へのエアの供給を停止している場合には、圧力制御室45内は例えば大気開放されるなど、加圧状態から解放されるものとする。
【0045】
流量制御システム10は、コントローラ30を備えている。コントローラ30は、CPUや各種メモリ等からなるマイクロコンピュータを主体として構成される電子制御装置である。コントローラ30には、本システムを統括して管理する管理コンピュータから流量設定指令値(目標流量値)が入力される他、流量センサ14により検出された流体流量が逐次入力される。コントローラ30は、それら各入力に基づいて電空レギュレータ18及び第1電磁弁19を駆動させ、流体流量Qを目標流量値に一致させるように流量フィードバック制御を実施する。
【0046】
コントローラ30は、流量設定指令値がパイロットレギュレータ20の最大制御流量値(例えば、5.0L/min)以下である場合には第1電磁弁19に対して閉鎖指令信号を出力し、第1電磁弁19を閉鎖させる。これにより、第1開閉弁40の圧力制御室45への操作エアの供給が停止され、第1開閉弁40が閉鎖される。その結果、流体は第1分岐配管15のみを流通する。この場合、第1分岐配管15を流通する流体の流量(以下、第1流量Q1という)がそのまま流体流量Qとなる。なお、第1開閉弁40が閉鎖状態にある場合には、第1電磁弁19の閉鎖状態が維持され、ひいては第1開閉弁40の閉鎖状態も維持される。
【0047】
コントローラ30は、管理コンピュータから入力された目標流量値と流量センサ14により検出された実流量Q(=Q1)との偏差を算出するとともに、その偏差に基づいてPID演算等の演算処理を行い、電空レギュレータ18に対して指令信号を出力する。そして、電空レギュレータ18はコントローラ30からの指令信号に基づいて操作エア圧力を調整するとともに、その圧力調整された操作エアをパイロットレギュレータ20の圧力操作室33へ供給する。このような処理が繰り返し実行されることにより流体流量Q(=Q1)は目標流量値に収束される。
【0048】
一方、コントローラ30は、流量設定指令値(目標流量値)がパイロットレギュレータ20の最大制御流量値よりも大きい場合には第1電磁弁19に対して開放指令信号を出力し、第1電磁弁19を開放させる。これにより、第1開閉弁40の圧力制御室45へ操作エアが供給され第1開閉弁40が開放される。その結果、流体は第1分岐配管15を流通するとともに第2分岐配管16を流通する。そのため、流体流量Qは、第1流量Q1と第2分岐配管16を流通する流体の流量(以下、第2流量Q2という)とを合わせた流量となる(Q=Q1+Q2)。
【0049】
コントローラ30は、前記の場合と同様、目標流量値と実流量Qとに基づいてPID演算等の演算処理を行い、電空レギュレータ18に対して指令信号を出力する。そして、電空レギュレータ18からはその指令信号に基づいて圧力調整された操作エアがパイロットレギュレータ20へ供給される。これにより、第1流量Q1が制御され、ひいては流体流量Qが制御される。すなわち、本流量フィードバック制御によれば第2流量Q2が薬液ポンプ11の脈動等の影響を受けて変動したとしても、その変動を打ち消すように第1流量Q1を制御することで流体流量Qを目標流量値に収束させることができる。
【0050】
次に、上記流量制御システム10において流量制御を行う場合における作用について図4に示すタイムチャートに基づいて説明する。なお、この説明において、パイロットレギュレータ20による最大制御流量及び第1開閉弁40による制御流量はそれぞれ5L/min、10L/minに設定されているものとする。
【0051】
図4に示すように、まずタイミングt1にて管理コンピュータから流量設定指令値(目標流量値)として5L/minの流量値がコントローラ30に入力されると、コントローラ30から電空レギュレータ18にその流量値に応じた開放指令信号が出力される。そして、この指令信号に基づいて電空レギュレータ18からはその設定流量値(5L/min)に応じて圧力調整された操作エアがパイロットレギュレータ20の圧力操作室33へ供給される。その結果、パイロットレギュレータ20の弁体24がその圧力調整された圧力値に応じて上方に変位し、パイロットレギュレータ20の上流側と下流側とが連通される。これにより、流体が第1分岐配管15を通じて流通を開始し、流量が設定流量である5L/minとなるように流量制御される。なお、タイミングt1において流量設定指令値(5L/min)はパイロットレギュレータ20による最大制御流量値(5L/min)以下であるため第1開閉弁40は閉状態を維持する。したがって、流体は第1分岐配管15のみを通じて流通する。
【0052】
タイミングt2において目標流量値が5L/minから15L/minに変更されると、目標流量値がパイロットレギュレータ20による最大制御流量値よりも大きくなるため、コントローラ30により第1電磁弁19に開放指令信号が出力され、第1電磁弁19が開放される。これにより、第1開閉弁40の圧力制御室45に操作エアが供給され、第1開閉弁40が開放される。その結果、流体は第1分岐配管15を流通するとともに第2分岐配管16を流通する。具体的には、第1開閉弁40による制御流量が10L/minに設定されているため流体は第2分岐配管16を10L/minの流量(図4の開閉弁分)で流通するとともに、第1分岐配管15側では流量が5L/min(図4のパイロットレギレータ分)となるように流量制御される。その結果、回路全体としては流体の流量が目標流量値である15L/minとなるように制御される。
【0053】
以上詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0054】
流量制御システム10には、流体の流量を検出する流量センサ14と、その下流側において互いに並列に設けられた第1分岐配管15及び第2分岐配管16にそれぞれ配置されたパイロットレギュレータ20及び第1開閉弁40とが備えられている。これにより、第1開閉弁40を開放させれば、第2分岐配管16に流体を流通させることができるため、パイロットレギュレータ20の最大制御流量を越える大流量の流体を流通させることができる。また、第1分岐配管15を流通する流体の流量はパイロットレギュレータ20により調整することができる。したがって、流体の流量を広範囲にわたって制御することができる。
【0055】
また、従来は広範囲にわたって流量制御する場合には、材料単価の高いフッ素樹脂等からなるダイアフラム部材26,27を大型化する必要があったため、大幅なコストの増大を回避することができなかった。その点、本流量制御システム10は、バイパス通路としての第2分岐配管16やそれを開閉する第1開閉弁40等からなる既存の汎用部材の組み合わせにより構成可能なシステムであるため、大幅なコストの増大を伴うことなく、流量を広範囲に制御することができる。
【0056】
さらに、広範囲にわたって流量制御する場合には、ダイアフラム部材26,27の大型化とともにパイロットレギュレータ20のボディ自体を大型化する必要があったため、流量制御の精度が低下することが懸念された。その点、本流量制御システム10は、パイロットレギュレータ20のボディの大型化を伴わない構成であるため、流量制御の精度の低下を伴うことなく、流量を広範囲に制御することができる。
【0057】
第2分岐配管16を開閉する第1開閉弁40を二位置切替式のエアオペレートバルブにより構成した。これにより、第1開閉弁40を流量調整可能であり一般に高価格であるレギュレータ等により構成する場合と比べ、コストダウンを図ることができる。
【0058】
コントローラ30は流量センサ14により検出した流量及び流量設定指令値に基づいて電空レギュレータ18及び第1電磁弁19を駆動させ流量フィードバック制御を実施する。これにより、流量を高精度に制御することができる。
【0059】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。なお、図5は本実施形態における流量制御システムを備える薬液供給回路の全体構成を示す回路図であり、本図において、先の図1と対応する部材については便宜上同一の符号を付している。
【0060】
本実施形態における流量制御システム60は、流量センサ14と、流量センサ14の下流側において互いに並列に設けられたパイロットレギュレータ20、第1開閉弁40及び第2開閉弁61とを備えている。すなわち、流量制御システム60は、第1の実施形態における流量制御システム10にさらに第2開閉弁61をパイロットレギュレータ20及び第1開閉弁40と並列に設けたものである。吐出配管13の下流側端部には、第1分岐配管15及び第2分岐配管16とともに第3分岐配管62が接続されており、この第3分岐配管62に第2開閉弁61が設けられている。そして、各分岐配管15,16,62の下流側端部は集合配管17に接続されており、集合配管17の下流側端部がウエハ36へ薬液を吐出する吐出ノズル17aとなっている。なお、第2開閉弁61は、例えば第1開閉弁40と同一の構成及び仕様からなるエアオペレートバルブにより構成される。
【0061】
第2開閉弁61(のエア導入ポート46)には第2電磁弁63が接続されている。第2電磁弁63は、例えば第1電磁弁19と同様の構成を有してなるものである。第2電磁弁63は、通電に応じて開閉されることにより第2開閉弁61の圧力制御室45へ操作エアの供給又は遮断を行う。これにより、第2開閉弁61のダイアフラム弁体47は開位置と閉位置とに二位置切替され、流体の流通が許可又は禁止される。
【0062】
コントローラ30には、前述したとおり流量設定指令値(目標流量値)が入力される他、流量センサ14により検出された流体流量が逐次入力される。コントローラ30は、それら各入力に基づいて電空レギュレータ18及び各電磁弁19,63を駆動させて上記第1実施形態と同様の流量フィードバック制御を実施する。
【0063】
また、コントローラ30は、流量設定指令値(目標流量値)がパイロットレギュレータ20の最大制御流量よりも大きい場合には電磁弁19,63に対して開放指令信号を出力し、電磁弁19,63を開放させる。具体的には、流量設定指令値がパイロットレギュレータ20の最大制御流量よりも大きく、かつ、パイロットレギュレータ20の最大制御流量と開閉弁40(又は61)の制御流量との総和以下となる場合には、第1電磁弁19を開放させる。この場合、第1開閉弁40が開放される。それに対し、流量設定指令値がパイロットレギュレータ20の最大制御流量値と開閉弁40(又は61)の制御流量との総和よりも大きい場合には、双方の電磁弁19,63を開放させる。この場合、双方の開閉弁40,61が開放される。
【0064】
次に、流量制御システム60において流量制御を行う場合における作用について図6に示すタイムチャートに基づいて説明する。なお、この説明において、パイロットレギュレータ20の最大制御流量及び各開閉弁40,61の制御流量はそれぞれ5L/minに設定されているものとする。
【0065】
図6に示すように、まずタイミングt11にて管理コンピュータから流量設定指令値(目標流量値)として5L/minの流量値がコントローラ30に入力されると、コントローラ30から電空レギュレータ18にその流量値に応じた開放指令信号が出力される。そして、この指令信号に基づいて電空レギュレータ18からはその設定流量値(5L/min)に応じて圧力調整された操作エアがパイロットレギュレータ20の圧力操作室33へ供給される。その結果、パイロットレギュレータ20の弁体24がその圧力調整された圧力値に応じて下方に変位し、パイロットレギュレータ20の上流側と下流側とが連通される。これにより、流体が第1分岐配管15を通じて流通を開始し、流量が設定流量である5L/minとなるように流量制御される。なお、タイミングt11において流量設定指令値(5L/min)はパイロットレギュレータ20による最大制御流量値(5L/min)と同じ値であるため第1開閉弁40及び第2開閉弁61は閉状態を維持する。したがって、流体は第1分岐配管15のみを通じて流通する。
【0066】
タイミングt12にて目標流量値が5L/minから10L/minに変更されると、目標流量値がパイロットレギュレータ20の最大制御流量(5L/min)よりも大きく、かつ、パイロットレギュレータ20の最大制御流量と開閉弁40(又は61)の制御流量との総和(10L/min)以下の値となるため、コントローラ30により第1電磁弁19が開放制御され、その結果第1開閉弁40が開放される。これにより、流体は第1分岐配管15を流通するとともに第2分岐配管16を流通する。具体的には、第1開閉弁40による制御流量が5L/minに設定されているため流体は第2分岐配管16を5L/minの流量(図6の第1開閉弁分)で流通するとともに、第1分岐配管15側では流量が5L/min(図6のパイロットレギレータ分)となるように流量制御される。その結果、回路全体としては流体の流量が目標流量値である10L/minとなるように流量制御される。
【0067】
タイミングt13にて目標流量値が10L/minから15L/minに変更されると、目標流量値がパイロットレギュレータ20の最大制御流量と開閉弁40(又は61)の制御流量との総和(10L/min)よりも大きくなるため、第1電磁弁19の開放状態を維持したまま第2電磁弁63が開放される。これにより、第1開閉弁40の開放状態が維持されたまま第2開閉弁61が開放される。その結果、流体は第1分岐配管15及び第2分岐配管16を流通するとともに第3分岐配管62を流通する。具体的には、開閉弁40,61の制御流量が5L/minに設定されているため、流体は第2分岐配管16及び第3分岐配管62をそれぞれ5L/minの流量(図6の第1開閉弁分及び第2開閉弁分)で流通するとともに、第1分岐配管15側では流量が5L/min(図6のパイロットレギレータ分)となるように流量制御される。その結果、回路全体としては流体の流量が目標流量値である15L/minとなるように流量制御される。
【0068】
以上詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0069】
流量制御システム60には、流量センサ14の下流側において互いに並列に設けられた第1分岐配管15と、バイパス通路としての第2分岐配管16及び第3分岐配管62とが備えられている。したがって、流体を第1分岐配管15に流通させるとともに第2分岐配管16及び第3分岐配管62に流通させることができる。これにより、第1の実施形態における流量制御システム10と比べ大流量の流体を流通させることができる。また、第2分岐配管16及び第3分岐配管62にはそれぞれ第1開閉弁40及び第2開閉弁61が設けられているため各開閉弁40,61を開閉させることで各分岐配管16,61における流体の流通を許可又は禁止することができ、また、第1分岐配管15にはパイロットレギュレータ20が設けられているため第1分岐配管15を流通する流体の流量を調整することができる。これにより、第1の実施形態における流量制御システム10により流量制御する場合と比べ、一層広範囲にわたって流量制御することができる。
【0070】
各開閉弁40,61の制御流量をパイロットレギュレータ20の最大制御流量と同じ値に設定した。これにより、両開閉弁40,61の閉鎖時には流量を(パイロットレギュレータ20により)0〜5L/minに制御することができ、第1開閉弁40の開放時でありかつ第2開閉弁61の閉鎖時には流量を5〜10L/minに制御することができ、そして両開閉弁40,61の開放時には流量を10〜15L/minに制御することができる。したがって、流量を0〜15L/minの範囲で連続的に制御することができるため、広範囲かつ連続的に流量制御することができる。
【0071】
(他の実施形態)
本発明は上記各実施形態に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
【0072】
(1)上記実施形態では、流量センサ14をパイロットレギュレータ20及び開閉弁40,61の上流側に設けたが、流量センサ14をパイロットレギュレータ20及び開閉弁40,61の下流側に、すなわち集合配管17に設けてもよい。
【0073】
(2)上記実施形態では、流量センサ14の下流側においてパイロットレギュレータ20と開閉弁40,61とを互いに並列に配置する構成としたが、流量センサ14の下流側において複数のパイロットレギュレータ20を互いに並列に配置する構成としてもよい。そうすれば、各分岐配管15,16,62を流通する流体の流量をそれぞれ制御することが可能となる。但し、パイロットレギュレータ20は、開閉弁40,61と比べると一般に高価なものであることを考慮すると、安価な開閉弁40,61を用いた構成とするのが望ましい。
【0074】
(3)上記実施形態では、流量センサ14の下流側においてパイロットレギュレータ20と並列に1又は2の開閉弁40,61を配置する構成としたが、パイロットレギュレータ20と並列に3つ以上の開閉弁40,61を配置する構成としてもよい。そうすれば、より広範囲にわたって流量を制御することが可能となる。
【0075】
(4)上記実施形態では、パイロットレギュレータ20と開閉弁40,61とを別体として構成したが、これらを一体化する構成としてもよい。そうすれば、流量制御システム10,60をコンパクトに構成することが可能であるため、製造ライン等に組み込む際にはラインの簡素化に寄与することができる。
【0076】
(5)上記実施形態では、流量制御システム10を半導体製造ラインの薬液供給に用いる場合を一例として説明したが、これ以外の薬液供給に用いてもよいし、薬液以外の流体の流量制御に用いてもよい。例えば、薬品の製造ラインに用いたり、化学製品の製造ラインに用いたりすることも可能である。
【0077】
(6)上記第2の実施形態では、流量設定指令値がパイロットレギュレータ20の最大制御流量よりも大きく、かつ、パイロットレギュレータ20の最大制御流量と開閉弁40(又は61)との総和以下である場合に、第1開閉弁40を開放させるように制御したが、第2開閉弁61を開放させるように制御してもよい。また、第1開閉弁40と第2開閉弁61とを交互に開放させるように制御してもよい。そうすれば、各開閉弁40,61の使用負荷を平準化させることができるため、一方の開閉弁40,61の寿命が著しく低減する事態を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】流量制御システムを備える薬液供給回路の全体構成を示す回路図。
【図2】パイロットレギュレータの構成を示す縦断面図。
【図3】開閉弁の構成を示す縦断面図。
【図4】流量制御システムによって行われる流量制御の作用を示すタイムチャート。
【図5】第2の実施形態における流量制御システムを備える薬液供給回路の全体構成を示す回路図。
【図6】第2の実施形態における流量制御システムによって行われる流量制御の作用を示すタイムチャート。
【符号の説明】
【0079】
10…流量制御装置としての流量制御システム、11…薬液ポンプ、13…流体通路としての吐出配管、14…流量センサ、15…流体通路としての第1分岐配管、16…バイパス通路としての第2分岐配管、18…電空レギュレータ、19…第1電磁弁、20…レギュレータとしてのパイロットレギュレータ、30…コントローラ、40…開度調整部及び開閉部としての第1開閉弁、60…流量制御装置としての流量制御システム、61…開度調整部及び開閉部としての第2開閉弁、62…バイパス通路としての第3分岐配管、63…第2電磁弁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を流通させる流体通路と、
前記流体通路に設けられ当該流体通路を流通する流体の流量を調整するレギュレータと、
前記流体通路に設けられ前記レギュレータを迂回するバイパス通路と、
前記バイパス通路に設けられ当該バイパス通路の開度を調整する開度調整部と
を備えていることを特徴とする流量制御装置。
【請求項2】
前記開度調整部は、前記バイパス通路を開位置と閉位置とに二位置切替する開閉部である請求項1に記載の流量制御装置。
【請求項3】
前記開閉部が開位置にある場合に前記バイパス通路を流通する流体の流量が、前記レギュレータにより制御することができる流量の最大値以下である請求項2に記載の流量制御装置。
【請求項4】
前記流体通路には前記バイパス通路が複数設けられているとともに、これら各バイパス通路にはそれぞれ前記開度調整部が設けられている請求項1乃至3のいずれか1項に記載の流量制御装置。
【請求項5】
前記レギュレータ及び前記開度調整部を制御するコントローラを備え、当該コントローラは目標流量値が前記レギュレータにより制御可能な流量の最大値以下である場合には前記バイパス通路が閉鎖され、前記目標流量値が前記レギュレータにより制御可能な流量の最大値よりも大きい場合には前記バイパス通路が開放されるように前記開度調整部を制御する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の流量制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−265859(P2009−265859A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−113339(P2008−113339)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【Fターム(参考)】