説明

流量調節弁および吹管

【課題】弁芯棒の先端部と弁座双方の磨耗、変形、偏あたりを軽減でき、耐久性が高く、しかも小型で軽量の流量調節弁およびこの流量調節弁を用いた吹管を提供することを目的とする。
【解決手段】弁芯棒6を、先端部に延在された円周状壁部21を有する弁芯棒本体3と、この弁芯棒本体3の先端に設けられたバルブチップ4とから構成し、円周状壁部21の先端に形成された窪み部22とバルブチップ4の前進端と後進端との間に設けられた小径部25とが、円周状壁部21の内周面と小径部25の外周面との間に遊びを持って嵌合した構造とすることによってバルブチップ4を秤動自在かつ回転自在とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の流量調節のための流量調節弁およびこの流量調節弁を使用した吹管に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス切断等に使用する吹管では、つまみを回すことによって回転しながら進退動する弁芯棒と、ノズルの内周面に形成された弁座とからなる流量調節弁を利用してガス供給量を調節することが一般的である。ガスの供給の停止はつまみを回して弁芯棒をノズル先端に向かって進動させ、弁芯棒の先端部を弁座に線接触または面接触で当接させることによって行う(特許文献1参照)。
従来の流量調節弁ではつまみを回すと弁芯棒の先端は弁芯棒と一緒に回転する。そして弁芯棒の先端を弁座に当接させてガス供給を停止させるときは、弁座に弁芯棒の先端をねじ込むような形となり、弁芯棒の先端および弁座双方にかかる周方向の摺動力や軸力による磨耗や変形が生じてしまう。
また、加工誤差等により弁芯棒の軸線とノズルの軸線との間に若干のずれが生じていると、弁芯棒の先端部の一部が弁座に当接したときに弁芯棒と弁座との隙間が完全には閉じないので、ガスの漏れを防ぐためにますます弁芯棒の先端を弁座にねじ込むこととなり、弁芯棒と弁座の偏あたりによる磨耗や変形が生じてしまう。
このような磨耗や変形によって弁の修理や交換をする必要が生じていたので、従来の流量調節弁の耐久性を向上させる必要があった。
【特許文献1】特開平11−118117号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明では弁芯棒の先端部と弁座双方の磨耗、変形、偏あたりを軽減でき、耐久性が高く、しかも小型で軽量の流量調節弁およびこの流量調節弁を用いた吹管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提供している。
本発明に係る流量調節弁は、弁座を有する弁本体と、この弁本体に収納され、回転操作によって回転しながら進退動させられる弁芯棒とを備え、この弁芯棒は、回転操作される弁芯棒本体と、その前進端において弁本体の弁座に当接するバルブチップと、該バルブチップを弁芯棒本体の先端に秤動自在に支持する継手機構とを備えることを特徴とする。
【0005】
このようにバルブチップを秤動自在に支持する継手機構を備えたことにより、弁芯棒本体の先端に取り付けられたバルブチップが弁本体の弁座面に当接したときにノズルの軸と弁芯棒の軸との間に若干のずれが生じていても、バルブチップが秤動することによってこのバルブチップの軸と弁本体の軸とが一致するので、バルブチップと弁本体の弁座とが偏あたりすることなく弁を密封状態とすることができる。
【0006】
また、前記流量調節弁において、前記継手機構は、さらにバルブチップを前記弁芯棒本体とは独立して回転自在に支持していることを特徴とする。
【0007】
バルブチップは弁芯棒本体とは独立して回転自在であるので、バルブチップが弁本体の弁座に当接すると弁芯棒本体のみが回転しバルブチップの回転は拘束される。よって、バルブチップと弁座の双方に周方向の摺動力がかからず、磨耗や変形を軽減できる。
【0008】
さらに、前記流量調節弁において、前記継手機構は弁芯棒本体の先端部に延在された円周状壁部とこの円周状壁部の中に挿入されたバルブチップの後端部とから構成され、前記円周状壁部は先端部に径方向内方に縮径された窪み部を備え、前記バルブチップの後端部は、弁座への当接部の基端部側に連設され該当接部における最大外周径より小さい外周径を有する小径部と、この小径部に連設され小径部の外周径より大きい径を有する抜け止め部とを備え、前記バルブチップの小径部と前記弁芯棒本体の円周状壁部の窪み部とが、前記円周状壁部の内周面と前記小径部の外周面との間および前記円周状壁部の先端と前記当接部の後端との間に遊びを持って嵌合した構造を有することを特徴とする。
【0009】
このような構成とすることにより、バルブチップは抜け止め部が窪み部にあたって弁芯棒本体から抜けない状態になるとともに、円周状壁部の内周面と前記小径部の外周面との間、および円周状壁部の先端と当接部の後端との間に遊びがあるので、この遊びの範囲内でバルブチップは秤動自在かつ弁芯棒本体とは独立して回転自在とすることができる。
また、バルブチップが弁芯棒本体の内側に挿入された構造であるので、弁芯棒全体としての大きさや重さを従来の流量調節弁と同等とすることができる。
【0010】
また、本発明に係る流量調節弁は、前記弁芯棒本体の円周状壁部の内側に前記バルブチップを先端方向に押圧する付勢手段を備えることを特徴とする。
【0011】
流量調節弁が開いている場合にはガスがバルブチップの外周面に沿って流れているため、このガスの流れによってバルブチップが秤動するとガスの流れが乱れる場合もあるが、弁芯棒本体の円周状壁部の内側にバルブチップを先端方向に押圧する付勢手段を備えると、この付勢手段によってバルブチップの抜け止め部が円周状壁部の窪み部に押し当てられてガスの流れによって振動しないので、ガスの流れを安定化することができる。
また、流量調節弁を閉める場合にはこの付勢手段によってバルブチップを弁座に押し当てることができるので、バルブチップを弁座に当接させるときのバルブチップと弁座とにかかる軸力を軽減することができる。
【0012】
酸素を導入する酸素導入管と、燃料ガスを導入する燃料ガス導入管と、この燃料ガス導入管に導入される燃料ガスの流量を調節するバルブと、前記酸素導入管から供給される酸素ガスと前記燃料ガス導入管から供給される燃料ガスとを混合した混合ガスを吹出するトーチヘッドとを備える吹管であって、
前記バルブが請求項1〜請求項4のいずれかに記載の流量調節弁からなることを特徴とする吹管。
【0013】
吹管の構造中に本発明にかかる流量調節弁を備えることによって、耐久性が高く軽量な吹管を提供することができる。
【0014】
さらに、本発明に係る吹管は、酸素を導入する酸素導入管と、燃料ガスを導入する燃料ガス導入管と、この燃料ガス導入管に導入される燃料ガスの流量を調節する第1のバルブと、前記酸素導入管から導入された酸素ガスを下流の酸素管と混合酸素管とに分岐させる分岐空間と、この分岐空間から混合酸素管へ流出された酸素ガスと第1のバルブで流量を調節された燃料ガスとが混合される混合管と、前記分岐空間と前記酸素管との間に設けられ前記分岐空間から前記酸素管に流出される酸素ガスの流量を調節する第2のバルブと、前記酸素管から供給される酸素ガスと前記混合管とから供給される混合ガスとを吹出するトーチヘッドとを備える吹管であって、第1のバルブと第2のバルブの少なくとも一方が請求項1から請求項4のいずれかに記載の流量調節弁からなることを特徴とする。
【0015】
吹管の構造中に本発明にかかる流量調節弁を備えることによって、耐久性が高く軽量な吹管を提供することができる。
【0016】
また、本発明に係る吹管は、酸素を導入する酸素導入管と、燃料ガスを導入する燃料ガス導入管と、この燃料ガス導入管に導入される燃料ガスの流量を調節するバルブと、前記酸素導入管から供給される酸素ガスと前記燃料ガス導入管から供給される燃料ガスとを混合した混合ガスを吹出するトーチヘッドとを備える吹管であって、
前記バルブが請求項1〜請求項4のいずれかに記載の流量調節弁からなることを特徴とする吹管。
【0017】
吹管の構造中のバルブが一つである場合にも、本発明にかかる流量調節弁使用することによって、耐久性が高く軽量な吹管を提供することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、弁芯棒の先端部と弁座双方の磨耗、変形、偏あたりを軽減でき、耐久性が高く、しかも小型で軽量の流量調節弁およびこの流量調節弁を用いた吹管を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明に係る吹管の実施形態1を図1から図3を用いて説明する。
図1は本発明に係る手切り吹管の構造を示したものであり、図2は本発明に係る流量調節弁を図1に示した手切り吹管の切断酸素バルブとして使用した例を示したものであり、さらに図3は、図2で切断酸素バルブとして使用された流量調節弁の弁芯棒の構造を示したものである。
【0020】
本実施形態の手切り吹管201は、酸素を導入する酸素導入管101と、この酸素導入管が中を通る、燃料ガスを導入する燃料ガス導入管102と、この燃料ガス導入管102の上流端に設けられ、燃料ガス導入管102に導入される燃料ガスの流量を調節する第1のバルブ103とを有する。この第1のバルブ103は本発明にかかる流量調節弁からなっている。前記酸素導入管101の下流端は弁本体104に設けられた分岐空間105を介して切断酸素管106と混合酸素管107とに分岐している。前記分岐空間105と切断酸素管106との間には前記酸素導入管101から前記切断酸素管106に流入する酸素流量を調節する第2のバルブ108が設けられている。この第2のバルブ108もまた本発明にかかる流量調節弁からなっている。前記混合酸素管107の下流端はニードル弁109を介して混合管110の上流端に接続されており、前記燃料ガス導入管102の下流端もまた前記混合管110に接続されている。この混合管110の下流端には混合ガス管111が設けられており、前記切断酸素管106の下流端と前記混合ガス管111の下流端とはともにこれらの先端に設けられたトーチヘッド112に接続されている。
【0021】
図2に示すように、第2のバルブ108は、外周に握りの付いた円盤状の流量調節つまみ1と、この円盤状の流量調節つまみ1の中心を貫通し基端部をナット2で流量調節つまみ1に固定された弁芯棒6と、この弁芯棒6が挿入される弁本体104とから構成される。弁本体104にはその中心部に分岐空間105が形成され、該分岐空間105の一方の側部に酸素導入管101に接続される導入孔7が形成されるとともに、分岐空間105の他方の側部には導入孔7に対して上下方向に離間した位置に切断酸素管106に接続される流出孔8が形成されている。そして、分岐空間105の高さ方向の途中位置に弁座5が軸方向の断面を凸円弧状とするように形成され、この弁座5を閉じることにより、導入孔7と流出孔8との間が遮断されるようになっている。なお、分岐空間105には導入孔7と常時連通状態となる混合酸素管107が形成されている。
【0022】
前記弁芯棒6の構造を図3によりさらに詳細に説明すると、弁芯棒6は弁芯棒本体3と、この弁芯棒本体3の先端に設けられたバルブチップ4と、このバルブチップ4を弁芯棒本体3の先端に秤動自在に支持する継手機構29とを備えている。この継手機構29は弁芯棒本体3の先端部に延在された円周状壁部21とこの円周状壁部21の中に挿入されたバルブチップ4の後端部28とから構成されている。弁芯棒本体3の延在された円周状壁部21の先端部には径方向内方に縮径された窪み部22が形成されている。また、弁芯棒本体3における円周状壁部21の内側は、その付け根から基端部軸方向に内径が小さくなる凹部23を有する。
【0023】
一方、バルブチップ4は、先端部が円錐状に形成された当接部24と、この当接部24の基端部側に連接され当接部24における最大外周径より小さい外周径を有する小径部25と、この小径部25に連接され小径部25の外周径より大きい径を有する抜け止め部26とからなり、小径部25と抜け止め部26とがバルブチップの後端部28とされている。また、抜け止め部26は後端部に向かって外周径を減じる円錐形状をしている。さらに、当接部24の先端の円錐状外周面は弁座5に当接する当接面27とされている。
弁芯棒の円周状壁部21に形成された窪み部22とバルブチップ4の小径部25とが円周状壁部21の内周面と小径部25の外周面との間に遊びを持って嵌合することによって、バルブチップ4は弁芯棒本体3から外れない構造となっている。また、バルブチップ4の抜け止め部26の後端部は弁芯棒本体3の前記凹部23に、この凹部23の底部分に隙間を有した状態ではまり込み、抜け止め部26と小径部25は円周状壁部21によって周囲を囲われている。さらに、円周状壁部21の先端と当接部24の基端との間にも遊びが設けられている。
【0024】
本実施形態1の手切り吹管201では、酸素導入管101から分岐空間105を経て第2のバルブ108で流量を調節された酸素ガスは切断酸素管106に流入する。一方分岐空間105を経て混合酸素管107に流入する酸素ガスはニードル弁109で流量を調節された後混合管110に流入し、第1のバルブ103で流量を調節された後、燃料ガス導入管102から燃料ガス管113を経て混合管110に流入した燃料ガスと混合される。これら切断酸素管106に流入した酸素ガスと、混合管110で酸素ガスと燃料ガスとが混合された混合ガスとは、それぞれ切断酸素管106と混合ガス管111を通ってトーチヘッド112から吹出される。
【0025】
第2のバルブ108において、流量調節つまみ1と弁芯棒本体3とはナット2で固定されているので流量調節つまみ1を回すと弁芯棒本体3も一緒に回転しながら進退動する。酸素ガスは酸素導入管101から分岐空間105に流入し、弁芯棒本体3の先端に設けられたバルブチップ4が弁座5に当接していないときには分岐空間105から切断酸素管106と混合酸素管107とに流出する。切断酸素管106へ流出する酸素量は流量調節つまみ1を回して弁芯棒本体3を進退動させることによって調節される。そして、切断酸素管106への酸素ガスの流出を止める場合は流量調節つまみ1を回して弁芯棒本体3を分岐空間方向へ進動させ、バルブチップ4の当接面27を弁座5に当接させることによって第2のバルブ108を閉めることになる。この場合、バルブチップ4はその後端部28が、弁芯棒本体3の円周状壁部21の内周面との間、および円周状壁部21の先端と当接部24の基端との間に遊びを持って、円周状壁部21の窪み部22に嵌合しているので、全体として秤動可能であると同時に独立して回転自在である。このため、弁本体104の軸とバルブ芯棒本体3の軸がずれていても、バルブチップ4の円錐状の当接面27が凸円弧状の弁座5と接触した際に、バルブチップ4がバルブチップ4の軸と弁本体104の軸を一致させる方向に動くので、当接面27の弁座5に対する偏あたりが生じない。また、バルブチップの当接面27が弁本体104の弁座5に接触すると、弁芯棒本体3に対して独立して回転自在なバルブチップ4は弁座5との摩擦により回転を拘束されるので、弁芯棒本体3の回転が継続したとしても当接面27と弁座5との双方に摺動方向の力はかからない。
【0026】
以上のように、弁芯棒本体3の軸と弁本体104の軸がずれていてもバルブチップ4が秤動することによって第2のバルブ108を密封することができ、また、当接面27と弁座5との偏あたりによる偏った磨耗や変形が生じる可能性を低減することができる。
さらに、バルブチップ4が弁座5に当接した後は周方向に摺動しないので、当接面27と弁座5との磨耗や異物を巻き込んで生じる傷が生じにくい。
この結果、従来の流量調節弁から大幅な耐久性の改善が認められている。また、当接面27および弁座5に生じた変形も軽微なものであることが確認されている。
【0027】
さらに、独立して回転自在であってかつ秤動するバルブチップ4を弁芯棒本体3の先端部に挿入する構造であるため、第2のバルブは小型かつ軽量にできる。また、本実施形態の吹管では第1のバルブも本発明にかかる流量調節弁からなっているので、第2のバルブと同様に小型かつ軽量にできるので、本実施形態では耐久性が高くて小型かつ軽量な手切り吹管を提供することができる。
また、精度の高い加工を必要とするバルブチップ4を弁芯棒本体3から分離して加工することができるので第1のバルブ103や第2のバルブ108の製造上の歩留まりも向上する。
【0028】
次に、本発明に係る吹管の実施形態2を図4と図5を用いて説明する。
図4は本発明に係る溶接器の吹管の構造を示したものであり、図5は本発明に係る流量調節弁を図4に示した溶接器の吹管の燃料調節バルブとして使用した例を示したものである。これら図4と図5中において、実施態様1に示した手切り吹管における機能と同様の機能を有する部分には実施態様1と同じ符号を用いている。
【0029】
本実施形態2の溶接器の吹管では実施形態1で示した手切り吹管におけるのと同様に、燃料ガスホース301から燃料ガス導入管102に導入される燃料ガスの流量を調節する第1のバルブ103に本発明に係る流量調節バルブが使用されている。この第1のバルブ103の構造は図5に示すように実施形態1における第2のバルブ108(図2)と同様であるが、上流側に酸素導入管101の代わりに燃料ホース301が接続されており、下流側に切断酸素管106の代わりに図2中には示されていない燃料導入管102が接続されていること、および、混合酸素管107が設けられていないことで異なる。また、本実施形態2の溶接器の吹管では、図4に示すように、酸素導入管101から導入された酸素ガスは分岐されることなくその全量が混合酸素間へ流入するので、図1に示した第2のバルブ108およびこの第2のバルブ108に接続される切断酸素管106は設けられていない。
【0030】
本実施形態2の吹管202では、酸素導入管101から導入された酸素ガスは混合酸素管107を経て後、ニードル弁109で流量を調節されて混合管110に流入する。一方、燃料ホース301から第1のバルブ103の導入孔7に流入した燃料ガスは分岐空間105を経由して第1のバルブ103で流量を調節される。この流量を調節された燃料ガスは燃料導入管102から燃料ガス管113を経て混合管110に流入し、混合管110内で酸素ガスと混合され混合ガス管111を通ってトーチヘッド112から吹出される。
【0031】
このように本発明に係る流量調節弁を吹管の構造中に備えることによって、耐久性の高い軽量の溶接器の吹管を提供することができる。
【0032】
なお、本実施形態では、弁芯棒本体3の円周状壁部21の後端とバルブチップ4の後端との間には隙間があるだけだが、この隙間にスプリングをはさみ、このスプリングの弾性力でバルブチップ4の当接面27を弁座5に押し付けることによって、第1のバルブ103や第2のバルブ108の密封性を上げることが可能である。また、このスプリングがバルブチップを先端方向に押圧することよってバルブチップ4の抜け止め部26が円周状壁部21の窪み部22に押し当てられ、ガスの流れによるバルブチップ4の振動を防ぎ、ガスの流れを安定化することもできる。
【0033】
また、本実施形態では、弁本体104に形成された弁座5は軸方向の断面が凸円弧状となっているのでバルブチップ4の当接面27は弁座5に線接触しているが、弁座の形状をバルブチップ4の外周形状に合わせた円錐状とすることによって、バルブチップ4と弁座5とを面接触させてもよい。
さらに、実施形態1では手切り吹管を、実施形態2では溶接器の吹管をあげたが、本発明にかかる流量調節弁はこれら以外の切断器、溶接器、加熱器などの吹管に使用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は本発明に係る手切り吹管の配管図である。
【図2】図2は、図1の第2のバルブの縦断面図である。
【図3】図3は、図2の第2のバルブの弁芯棒の縦断面図である。
【図4】図4は本発明に係る溶接器の吹管の配管図である。
【図5】図5は、図4の第1のバルブの縦断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1・・・流量調節つまみ、2・・・ナット、3・・・弁芯棒本体、
4・・・バルブチップ、5・・・弁座、6・・・弁芯棒、7・・・導入孔、
8・・・流出孔
21・・・円周状壁部、22・・・窪み部、23・・・凹部、24・・・当接部、
25・・・小径部、26・・・抜け止め部、27・・・当接面、28・・・後端部
29・・・継手機構
101・・・酸素導入管、102・・・燃料ガス導入管、
103・・・第1のバルブ、104・・・弁本体、105・・・分岐空間、
106・・・切断酸素管、107・・・混合酸素管、108・・・第2のバルブ、
109・・・ニードル弁、110・・・混合管、111・・・混合ガス管、
112・・・トーチヘッド、113・・・燃料ガス管
201・・・手切り吹管、202・・・溶接器の吹管
301・・・燃料ホース


【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁座を有する弁本体と、この弁本体に収納され、回転操作によって回転しながら進退動させられる弁芯棒とを備え、
この弁芯棒は、回転操作される弁芯棒本体と、その前進端において弁本体の弁座に当接するバルブチップと、該バルブチップを弁芯棒本体の先端に秤動自在に支持する継手機構とを備えることを特徴とする流量調節弁。
【請求項2】
前記継手機構は、さらにバルブチップを前記弁芯棒本体とは独立して回転自在に支持していることを特徴とする請求項1に記載の流量調節弁。
【請求項3】
前記継手機構は、弁芯棒本体の先端部に延在された円周状壁部と、この円周状壁部の中に挿入されたバルブチップの後端部とから構成され、
前記円周状壁部は先端部に径方向内方に縮径された窪み部を備え、
前記バルブチップの後端部は、弁座への当接部の基端部側に連設され該当接部における
最大外周径より小さい外周径を有する小径部と、この小径部に連設され小径部の外周径より大きい径を有する抜け止め部とを備え、
前記バルブチップの小径部と前記弁芯棒本体の円周状壁部の窪み部とが、前記円周状壁部の内周面と前記小径部の外周面との間および前記円周状壁部の先端と前記当接部の後端との間に遊びを持って嵌合した構造を有することを特徴とする請求項2に記載の流量調節弁。
【請求項4】
前記弁芯棒本体の円周状壁部の内側に、前記バルブチップを先端方向に押圧する付勢手段を備えることを特徴とする請求項3に記載の流量調節弁。
【請求項5】
酸素を導入する酸素導入管と、燃料ガスを導入する燃料ガス導入管と、この燃料ガス導入管に導入される燃料ガスの流量を調節する第1のバルブと、前記酸素導入管から導入された酸素ガスを下流の酸素管と混合酸素管とに分岐させる分岐空間と、この分岐空間から混合酸素管に流出された酸素ガスと第1のバルブで流量を調節された燃料ガスとが混合される混合管と、前記分岐空間と前記酸素管との間に設けられ前記分岐空間から前記酸素管に流出される酸素ガスの流量を調節する第2のバルブと、前記酸素管から供給される酸素ガスと前記混合管とから供給される混合ガスとを吹出するトーチヘッドとを備える吹管であって、
前記第1のバルブと前記第2のバルブとの少なくとも一方が請求項1から請求項4のいずれかに記載の流量調節弁からなることを特徴とする吹管。
【請求項6】
酸素を導入する酸素導入管と、燃料ガスを導入する燃料ガス導入管と、この燃料ガス導入管に導入される燃料ガスの流量を調節するバルブと、前記酸素導入管から供給される酸素ガスと前記燃料ガス導入管から供給される燃料ガスとを混合した混合ガスを吹出するトーチヘッドとを備える吹管であって、
前記バルブが請求項1から請求項4のいずれかに記載の流量調節弁からなることを特徴とする吹管。




【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−205391(P2007−205391A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−22374(P2006−22374)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(000150981)日酸TANAKA株式会社 (33)
【Fターム(参考)】