説明

浄化触媒

【課題】貴金属を必須成分として用いない場合であっても優れた浄化性能を示す浄化触媒、及びこれを用いた排ガス浄化触媒を提供すること。
【解決手段】浄化触媒は、平均粒子径が1nm〜2μmであり、且つ、酸素の電子の結合エネルギが531.3eVより低エネルギ側にシフトしている遷移金属酸化物から成る触媒粉末を含有する。
排ガス浄化触媒は、平均粒子径が1nm〜2μmであり、且つ、酸素の電子の結合エネルギが531.3eVより低エネルギ側にシフトしている遷移金属酸化物から成る触媒粉末を含有する浄化触媒を含有する触媒層と、該触媒層を内面に形成した一体構造型担体とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄化触媒に関する。更に詳細には、本発明は、一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)の酸化及び窒素酸化物(NOx)の還元など各成分の浄化において、優れた性能を発揮する浄化触媒及びこれを用いた排ガス浄化触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浄化触媒として、貴金属を必須成分として用いたものが知られている。このような浄化触媒として、貴金属、遷移金属及び非晶質複鎖構造型粘土鉱物とからなる第一触媒成分と、ペロブスカイト型構造を有する複合酸化物からなる第二触媒成分とを含む排ガス浄化触媒が提案されている(特許文献1参照。)。また、このような浄化触媒として、各原料に対して所定の熱処理を施すことにより得られる貴金属含有耐熱性酸化物を用いた排ガス浄化触媒が提案されている(特許文献2参照。)。これら特許文献1及び2の浄化触媒は、貴金属を用いているため、必要な浄化性能がある程度得られている。
【特許文献1】特開平8−229404号公報
【特許文献2】特開2006−131457号公報
【0003】
一方、貴金属を必須成分として用いない浄化触媒についても研究、開発がなされている。このような浄化触媒として、希土類元素と遷移元素から構成されるペロブスカイト型の複合酸化物相において、遷移元素の一部がジルコニウム(Zr)やモリブデン(Mo)で置換された構成を有するペロブスカイト型複合酸化物を適用したものが提案されている(特許文献3参照。)。
【特許文献3】特開2005−306618号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献3に記載された排ガス浄化触媒においては、優れた浄化性能が得られていないという問題点があった。
【0005】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして、その目的とするところは、貴金属を必須成分として用いない場合であっても、優れた浄化性能を示す浄化触媒及びこれを用いた排ガス浄化触媒を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、遷移金属酸化物の平均粒子径を所定の範囲内にし、更に、酸素の電子の結合エネルギを531.3eVより低エネルギ側にシフトさせることなどにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明の浄化触媒は、平均粒子径が1nm〜2μmであり、且つ、酸素の電子の結合エネルギが531.3eVより低エネルギ側にシフトしている遷移金属酸化物から成る触媒粉末を含有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の排ガス浄化触媒は、上記本発明の浄化触媒を含有する触媒層と、該触媒層を内面に形成した一体構造型担体と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、平均粒子径が1nm〜2μmであり、且つ、酸素の電子の結合エネルギが531.3eVより低エネルギ側にシフトしている遷移金属酸化物から成る触媒粉末を含有する構成としたため、貴金属を必須成分として用いない場合であっても優れた浄化性能を示す浄化触媒及びこれを用いた排ガス浄化触媒を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の浄化触媒について詳細に説明する。なお、本明細書、特許請求の範囲及び図面における含有量や濃度などについての「%」は、特記しない限り質量百分率を表すものとする。
【0011】
本発明の浄化触媒は、平均粒子径が1nm〜2μmであり、且つ、酸素の電子の結合エネルギが531.3eVより低エネルギ側にシフトしている遷移金属酸化物から成る触媒粉末を含有する。この特徴により、上記浄化触媒は、貴金属を含まない場合であっても優れた浄化性能を示す。
【0012】
遷移金属酸化物は、平均粒子径を1nm〜2μmとし、且つ、酸化物中における酸素の電子の結合エネルギが531.3eVより低エネルギ側にシフトさせることにより、活性点として効果的に機能するようになる。平均粒子径が1nm未満の場合には、活性点として効果的に機能しない。また、平均粒子径が2μmを超える場合も活性点として効果的に機能しない。また、酸素の電子の結合エネルギが531.3eVより低エネルギ側にシフトしていない場合も、活性点として効果的に機能しない。更に、平均粒子径が0.1μm〜1μmであると、活性点としてより効果的に機能するようになり、さらに平均粒子径が300nm〜700nmであると、活性点として更に効果的に機能するようになる。ここで、「平均粒子径」とは、動的光散乱法により得られる平均粒子径(メディアン粒径、D50)をいう。
【0013】
また、「酸素の電子の結合エネルギが531.3eVより低エネルギー側にシフトした」とは、遷移金属酸化物の表面の電子状態をX線光電子分光法(XPS)により測定した場合、その結合エネルギのピーク値が、本来の遷移金属酸化物が持ちうる酸素の電子の結合エネルギの値よりも低エネルギ側(531.3eV未満)にシフトしていることをいう。なお、酸素の電子の結合エネルギは、低ければ低いほど好ましいが、その下限値は、527.5eV付近が好ましい。
【0014】
また、上記の遷移金属酸化物としては、例えばマンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)又は銅(Cu)を含む遷移金属酸化物を挙げることができる。更に、これらの任意の組合せに係る遷移元素を含む、遷移元素が混合した遷移金属酸化物を挙げることができる。典型的には、酸化マンガンや酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化銅などを挙げることができる。このような遷移元素を含む遷移金属酸化物は、上記粒子径や電子状態に調製することにより、活性点としてより効果的に機能することができる。
【0015】
上記遷移金属酸化物は、沈殿法により調製することができる。具体的には、まず、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)及び銅(Cu)の金属塩の水溶液を撹拌しながら沈殿剤を添加し、沈殿物を生成させる。また、逆に、沈殿剤の水溶液に金属塩の水溶液を添加し、沈殿物を生成させてもよい。金属塩としては、上記遷移金属の硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩などを用いることができる。また、沈殿剤としては、水酸化ナトリウム水溶液やアンモニアを用いることができ、これにより水酸化物からなる沈殿物を得ることができる。次に、不必要な成分を取り除くために、上記沈殿物を蒸留水などで洗浄、ろ過を繰り返す。その後、洗浄した沈殿物を乾燥し、焼成する。さらに平均粒子径を1nm〜2μmにするために、焼成後の遷移金属酸化物を粉砕する。粉砕は、ボールミルやビーズミルを使用することができる。
【0016】
また、上記遷移金属酸化物は、高周波誘導加熱を利用することにより調製することができる。高周波誘導加熱とは、交流電源に接続されたコイルの中に上記遷移金属を挿入すると、コイルと遷移金属が離れているにもかかわらず遷移金属自体が発熱する現象である。つまり、交流電流によって被加熱物たる遷移金属の表面付近に高密度の渦電流が発生し、そのジュール熱で被加熱物が発熱する現象である。上記遷移金属酸化物は、酸素ガス中で、上記遷移金属を高周波誘導加熱して蒸発させる。そして、蒸発した遷移金属と酸素ガスを反応させることで、上記遷移金属酸化物を得ることができる。また、必要に応じて、得られた遷移金属酸化物をビーズミル等で粉砕してもよい。高周波誘導加熱は、市販の高周波誘導加熱装置を用いて行うことができる。
【0017】
このように、前記遷移金属酸化物は、沈殿法や高周波誘導加熱を利用することにより調製することができる。しかし、これらの製造方法に限定されるわけではなく、上記遷移金属酸化物を得ることができれば、いかなる方法でも使用することができる。
【0018】
上記浄化触媒は、上記遷移金属酸化物に加え、排気ガス中の酸素を吸蔵及び放出することができる酸素放出材料を含有することが好ましい。このような構成とすることにより、遷移金属酸化物は、活性点としてより効果的に機能することができる。これは、遷移金属酸化物と酸素放出材料との界面において、高活性な遷移金属酸化物の作用により、酸素放出材料からの活性酸素の生成量が増大したためと考えることができる。また、遷移金属酸化物の近傍に配置された酸素放出材料が、遷移金属酸化物の近傍の雰囲気変動を抑制したためとも考えることができる。つまり、例えば、上記浄化触媒を排ガス浄化触媒として使用した場合、排気ガス中の酸素量が少ないA/F<14.5のような雰囲気においても、酸素放出材料が酸素を放出することにより、遷移金属酸化物における酸素の電子の結合エネルギが531.3eVより低エネルギ側に維持されると考える。
【0019】
上記浄化触媒において、酸素放出材料は遷移金属酸化物の表面に担持され、それぞれの粒子が接触している状態にあることが好ましい。また、遷移金属酸化物と酸素放出材料が複合化され、固溶体を形成していてもよい。勿論、上記浄化触媒において、酸素放出材料の一部が遷移金属酸化物の表面に担持され、他の部分が遷移金属酸化物と固溶体を形成していてもよい。
【0020】
上記酸素放出材料としては、例えばセリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、イットリウム(Y)又はスカンジウム(Sc)を含む希土類酸化物を挙げることができる。更に、上記酸素放出材料として、二種類以上の希土類酸化物を混合して使用してもよい。また、二種類以上の希土類酸化物が固溶した酸化物を使用してもよい。典型的には、酸化セリウム、酸化プラセオジム、酸化ネオジム、酸化イットリウム、酸化スカンジウムなどを挙げることができる。このような希土類元素を含む希土類酸化物としては、酸化セリウムを好適に用いることができる。つまり、酸化セリウムと、後述するジルコニウムを含む酸化物とを複合化させることにより、より高い酸素放出能が得られ、例えばウインドウ幅の広い三元性能が得られることがある。なお、希土類酸化物以外の他の酸素放出材料として、例えば酸化ビスマスを挙げることができる。
【0021】
上記浄化触媒は、更にジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、ケイ素(Si)又はタングステン(W)を含む無機酸化物を含有していてもよい。このような構成とすることにより、遷移金属酸化物は、活性点としてより効果的に機能することができる。このような無機酸化物としては、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化タングステンなどの酸化物を含むものを挙げることができる。更に、上記無機酸化物として、ジルコニア、チタニア、シリカ又は酸化タングステンを混合して使用してもよい。また、二種類以上の上記無機酸化物が固溶した酸化物を使用してもよい。
【0022】
ジルコニア、チタニア、シリカ及び酸化タングステンは、上記遷移金属酸化物と複合酸化物(固溶体)を形成しにくい。従って、例えば、上記遷移金属酸化物及び酸素放出材料が担持された遷移金属酸化物は、上記酸化物中に分散した状態で担持することが好ましい。具体的には、図1に示すように、上記遷移金属酸化物1aが、ジルコニア、チタニア、シリア及び酸化タングステンなどの無機酸化物3により隔てられた区画内に内包されていることが好ましい。このように、上記浄化触媒10において、遷移金属酸化物1aが無機酸化物3により隔てられた区画内に含まれることにより、無機酸化物3により隔てられた区画を越えて遷移金属酸化物1aの粒子同士が直接接触し、肥大化することを防止できる。そのため、高温状態でも遷移金属酸化物1aの表面積の低下を抑制し、排気ガスの浄化を促すことができる。
【0023】
なお、上記無機酸化物3が多孔質体の場合には、遷移金属酸化物1aの粒子全体を包囲していてもよい。しかし、上記無機酸化物3が多孔質体でない場合には、粒子全体を包囲した場合、遷移金属酸化物1aと排気ガスとの接触率が低下するおそれがある。そのため、図1に示すように、遷移金属酸化物1aの粒子を部分的に包囲し、隣接する遷移金属酸化物1aの粒子同士が直接接触しないようにすることが好ましい。
【0024】
次に、無機酸化物3を含有した上記浄化触媒10の製造方法について説明する。まず、上述のように調製した遷移金属酸化物1aの粉末を溶媒中に分散させ、スラリを調製する。溶媒としては水を用いることができる。次に、上記無機酸化物3の前駆体を溶媒に分散させたスラリを別途調製する。前駆体としては、上記無機酸化物3がジルコニアである場合にはジルコニアゾル、チタニアの場合にはチタニアゾル、シリカの場合にはシリカゾルを使用できる。次に、遷移金属酸化物1aを微粒子状で含有しているスラリと、前駆体のスラリとを混合し、高速撹拌することにより、無機酸化物3の前駆体で遷移金属酸化物1aの微粒子を包囲する。その後、前駆体により包囲された遷移金属酸化物1aを含むスラリを乾燥、焼成することにより、浄化触媒10を得ることができる。
【0025】
また、上記前駆体の代わりに、無機酸化物3をビーズミルで粉砕することにより調製したスラリを用いることもできる。具体的には、無機酸化物3としてのジルコニア、チタニア、シリカ、酸化タングステン等を、ビーズミルを用いて、500nm以下、より具体的には60〜150nm程度まで粉砕して、無機酸化物3のスラリを調製する。そして、この無機酸化物3のスラリと、遷移金属酸化物を微粒子状で含有しているスラリとを混合し、高速撹拌することにより、無機酸化物3の微粒子で遷移金属酸化物1aの微粒子を包囲する。その後、無機酸化物3の微粒子により包囲された遷移金属酸化物微粒子を含むスラリを乾燥、焼成することにより、浄化触媒10を得ることができる。
【0026】
なお、無機酸化物3により包囲される遷移金属酸化物としては、図1に示すように、酸素放出材料2が表面に担持された遷移金属酸化物1bでもよく、遷移金属酸化物と酸素放出材料の固溶体1cでもよい。
【0027】
上述のように無機酸化物を含有することにより、遷移金属酸化物は、活性点としてより効果的に機能することができる。例えば、高温条件下、長時間の使用により起こり得る、遷移金属酸化物や酸素放出材料に担持された遷移金属酸化物の凝集を抑制することができる。これにより、遷移金属酸化物は、高温条件下、長時間の使用時であっても、活性点としてより効果的に機能することができる。特に、高温条件下での安定性の観点からは、無機酸化物として酸化ジルコニウムを適用することが好ましい。
【0028】
次に、本発明の排ガス浄化触媒について詳細に説明する。図2に示すように、本発明の排ガス浄化触媒20は、複数のセル21aを有する一体構造型担体21を備えている。排ガスは、排気ガス流通方向Fに沿って各セル21a内を流通する。そして排気ガスは、ハニカム担体21の内面に設けられた触媒層22と接触することにより浄化される。触媒層22には、上記浄化触媒10が含有されている。このような構成とすることにより、空間速度が速い自動車などの排気ガスに対しても、遷移金属酸化物が活性点として効果的に機能することができ、貴金属を含まない場合であっても優れた浄化性能を示すものとなる。ここで、一体構造型担体としては、コーディエライトなどのセラミックスやフェライト系ステンレスなどの金属等の耐熱性材料から成るモノリス担体やハニカム担体が用いられる。
【実施例】
【0029】
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0030】
なお、以下の実施例及び比較例において、浄化触媒の平均粒子径は、動的光散乱法を実行する動的光散乱式粒径分布測定装置(株式会社 堀場製作所製、LB−550)を用いて測定した。また、浄化触媒の表面の電子状態(結合エネルギ)は、X線光電子分光法を実行する複合型表面分析装置(PHI社製、ESCA−5600)を用いて測定した。
【0031】
[浄化触媒の調製]
(実施例1−1)
硝酸コバルト水溶液にアンモニアを滴下し、沈殿物を形成後、ろ過、洗浄、乾燥、焼成、粉砕工程を経て、酸化コバルト(Co)から成る本例の浄化触媒を得た。
【0032】
得られた酸化コバルトは、平均粒子径が500nmであった。また、その表面電子状態は、酸素の電子の結合エネルギが低エネルギ側にシフトしており、結合エネルギを測定したところ、その結合エネルギのピーク値が529.6eVであった。この値は、和光純薬工業株式会社製の酸化コバルト(Co)における酸素の電子の結合エネルギ531.5eVよりも低エネルギ状態であった。
【0033】
(実施例1−2)
硝酸コバルト水溶液にアンモニアを滴下し、沈殿物を形成後、ろ過、洗浄、乾燥、焼成、粉砕工程を経て、酸化コバルト(Co)から成る本例の浄化触媒を得た。
【0034】
得られた酸化コバルトは、平均粒子径が1.140μmであった。また、その表面電子状態は、酸素の電子の結合エネルギが低エネルギ側にシフトしており、結合エネルギを測定したところ、その結合エネルギのピーク値が529.5eVであった。この値は、和光純薬工業株式会社製の酸化コバルト(Co)における酸素の電子の結合エネルギ531.5eVよりも低エネルギ状態であった。
【0035】
(比較例1−1)
比較のために、和光純薬工業株式会社製の酸化コバルト(Co)を本例の浄化触媒として用いた。なお、この酸化コバルトの平均粒子径は、2.1μmであった。また、上記装置により、この酸化コバルトの結合エネルギを測定したところ、その結合エネルギのピーク値は531.5eVであった。
【0036】
実施例1−1、実施例1−2及び比較例1−1のXPSによる測定結果を図3に示す。なお、後述する実施例2−1−1、実施例2−1−2及び実施例3−1のXPSによる測定結果も図3に併せて示す。
【0037】
[性能評価]
<一酸化炭素の酸化性能評価>
実施例1−1及び比較例1−1の浄化触媒を用いて、一酸化炭素の酸化開始温度を測定した。具体的には、BET比表面積を同程度にした実施例1−1及び比較例1−1の浄化触媒について、一酸化炭素の酸化開始温度を測定した。なお、各浄化触媒のBET比表面積は、各触媒を空気中で焼成することにより同程度にすることができる。
【0038】
各例における一酸化炭素の酸化開始温度の測定結果を図4に示す。図4より、ほぼ同一BET比表面積であっても、本発明の範囲に属する実施例1−1の方が、本発明外の比較例1−1よりも一酸化炭素の酸化開始温度が低いことが分かる。これは平均粒子径が所定の範囲であり、遷移金属酸化物における酸素の電子の結合エネルギが531.3eVより低エネルギ側にシフトしているため、酸化物から酸素が脱離しやすく、また、それによって遷移金属への排気ガスの吸着性能が高まったためと推測される。従って、本発明の浄化触媒は、低温時であっても、優れた一酸化炭素酸化性能を有することが分かる。
【0039】
[排ガス浄化触媒の調製]
(実施例2−1−1)
上記実施例1で得られた、平均粒子径が500nmの酸化コバルト90gを、酸化物換算で10gのジルコニアゾルと混合した。次いで、酢酸水溶液を添加し、ボールミルでジルコニアボールと共に振とう粉砕した。これにより、触媒スラリを得た。更に、この触媒スラリをハニカム担体にコートし、余剰の触媒スラリを空気流にて除去した。この後、スラリが付着したハニカム担体を空気中、120℃で乾燥し、さらに空気中、400℃で焼成することにより、本例の排ガス浄化触媒を得た。なお、酸化コバルトと酸化ジルコニウムの比率(Co:ZrO)は、0.37mol:0.08molである。また、ハニカム担体の材質はコージェライトであり、セル数は900セルであり、壁厚は2.5ミルであり、容量は0.06Lである。
【0040】
なお、本例の排ガス浄化触媒における酸化コバルトの結合エネルギを測定したところ、その結合エネルギのピーク値が529.6eVであった。この値は、和光純薬工業株式会社製の酸化コバルト(Co)の酸素の電子の結合エネルギ531.5eVよりも低エネルギ状態であった。
【0041】
(実施例2−1−2)
上記実施例1で得られた、平均粒子径が500nmの酸化コバルトと、ジルコニアゾルとを混合した。次いで、酢酸水溶液を添加し、ボールミルでジルコニアボールと共に振とう粉砕した。これにより、触媒スラリを得た。更に、この触媒スラリを、上記実施例2−1−1と同様のハニカム担体にコートし、余剰の触媒スラリを空気流にて除去した。この後、スラリが付着したハニカム担体を空気中、120℃で乾燥し、さらに空気中、400℃で焼成することにより、本例の排ガス浄化触媒を得た。なお、酸化コバルトと酸化ジルコニウムの比率(Co:ZrO)は、0.42mol:0.32molである。
【0042】
なお、本例の排ガス浄化触媒における酸化コバルトの結合エネルギを測定したところ、その結合エネルギのピーク値が529.5eVであった。この値は、和光純薬工業株式会社製の酸化コバルト(Co)の酸素の電子の結合エネルギ531.5eVよりも低エネルギ状態であった。
【0043】
(比較例2−1−1)
上記実施例1−1で得られた酸化コバルトに替えて、比較例1−1における平均粒子径が2.1μmの和光純薬工業株式会社製の酸化コバルトを用いたこと以外は、実施例2−1−1と同様の操作を繰り返し、本例の排ガス浄化触媒を得た。
【0044】
(実施例2−2−1)
まず、酸素ガス雰囲気中で鉄を高周波誘導加熱して蒸発させることにより、平均粒子径が500nmの酸化鉄(III)(γFe)を調製した。次に、得られた酸化鉄90gを、酸化物換算10gのジルコニアゾルと混合した。次いで、酢酸水溶液を添加し、ボールミルでジルコニアボールと共に振とう粉砕した。これにより、触媒スラリを得た。更に、この触媒スラリを上記実施例2−1−1と同様のハニカム担体にコートし、余剰の触媒スラリを空気流にて除去した。この後、スラリが付着したハニカム担体を空気中、120℃で乾燥し、さらに空気中、400℃で焼成することにより、本例の排ガス浄化触媒を得た。なお、酸化鉄と酸化ジルコニウムの比率(Fe:ZrO)は5.64mol:8.1molであった。
【0045】
なお、本例の排ガス浄化触媒における酸化鉄(III)の結合エネルギを測定したところ、その結合エネルギのピーク値が529.6eVであった。この値は、株式会社高純度化学研究所製の酸化鉄(III)(γFe)の酸素の電子の結合エネルギ531.3eVよりも低エネルギ状態であった。
【0046】
(実施例2−2−2)
まず、酸素ガス雰囲気中で鉄を高周波誘導加熱して蒸発させることにより、平均粒子径が500nmの酸化鉄(III)(αFe)を調製した。次に、得られた酸化鉄90gを、酸化物換算10gのジルコニアゾルと混合した。次いで、酢酸水溶液を添加し、ボールミルでジルコニアボールと共に振とう粉砕した。これにより、触媒スラリを得た。更に、この触媒スラリを上記実施例2−1−1と同様のハニカム担体にコートし、余剰の触媒スラリを空気流にて除去した。この後、スラリが付着したハニカム担体を空気中、120℃で乾燥し、さらに空気中、400℃で焼成することにより、本例の排ガス浄化触媒を得た。なお、酸化鉄と酸化ジルコニウムの比率(Fe:ZrO)は、5.64mol:8.1molであった。
【0047】
なお、本例の排ガス浄化触媒における酸化鉄(III)の結合エネルギを測定したところ、その結合エネルギのピーク値が529.6eVであった。この値は、株式会社高純度化学研究所製の酸化鉄(III)(αFe)の酸素の電子の結合エネルギ531.3eVよりも低エネルギ状態であった。
【0048】
(比較例2−2−1)
実施例2−2−1で得られたγFeに替えて、平均粒子径が2.1μmの株式会社高純度化学研究所製のγFeを用いたこと以外は、実施例2−2−1と同様の操作を繰り返し、本例の排ガス浄化触媒を得た。
【0049】
(実施例3−1)
まず、硝酸コバルト水溶液と硝酸セリウム水溶液を混合し、次に水酸化ナトリウム水溶液を滴下することにより、沈殿物を形成した。その後、沈殿物をろ過し、洗浄、乾燥、焼成、粉砕工程を経て、本例の浄化触媒を得た。
【0050】
この浄化触媒は、酸化セリウム(CeO)と酸化コバルト(Co)から成る酸化物であり、酸化セリウムと酸化コバルトの比率(CeO:Co)は、1mol:16molである。また、浄化触媒の平均粒子径は、500nmであった。さらに、浄化触媒の表面電子状態は、酸素の電子の結合エネルギが低エネルギ側にシフトしており、結合エネルギを測定したところ、その結合エネルギのピーク値が529.2eVであった。この値は、和光純薬工業株式会社製の酸化コバルト(Co)の酸素の電子の結合エネルギ531.5eVよりも低エネルギ状態であった。
【0051】
さらに、実施例2−1−1の酸化コバルトに替えて、本例の浄化触媒の粉末を用いたこと以外は、実施例2−1−1と同様の操作を繰り返し、本例の排ガス浄化触媒を得た。
【0052】
(実施例3−2)
まず、硝酸コバルト水溶液と硝酸ジルコニウム水溶液を混合し、次に水酸化ナトリウム水溶液を滴下することにより、沈殿物を形成した。その後、沈殿物をろ過し、洗浄、乾燥、焼成、粉砕工程を経て、本例の浄化触媒を得た。
【0053】
この浄化触媒は、酸化ジルコニウム(ZrO)と酸化コバルト(Co)から成る酸化物であり、ジルコニウムとコバルトの比率(Zr:Co)は、1mol:1molである。また、浄化触媒の平均粒子径は500nmであった。さらに、浄化触媒の表面電子状態は、酸素の電子の結合エネルギが低エネルギ側にシフトしており、結合エネルギを測定したところ、その結合エネルギのピーク値が529.4eVであった。この値は、和光純薬工業株式会社製の酸化コバルト(Co)の酸素の電子の結合エネルギ531.5eVよりも低エネルギ状態であった。
【0054】
さらに、実施例2−1−1の酸化コバルトに替えて、本例の浄化触媒の粉末を用いたこと以外は、実施例2−1−1と同様の操作を繰り返し、本例の排ガス浄化触媒を得た。
【0055】
(実施例3−3)
まず、硝酸鉄水溶液と硝酸セリウム水溶液を混合し、次に水酸化ナトリウム水溶液を滴下することにより、沈殿物を形成した。その後、沈殿物をろ過し、洗浄、乾燥、焼成、粉砕工程を経て、本例の浄化触媒を得た。
【0056】
この浄化触媒は、酸化鉄(III)(Fe)と酸化セリウム(CeO)から成る酸化物であり、鉄とセリウムの比率(Fe:Ce)は、1mol:1molである。また、浄化触媒の平均粒子径は、500nmであった。さらに、浄化触媒の表面電子状態は、酸素の電子の結合エネルギが低エネルギ側にシフトしており、結合エネルギを測定したところ、その結合エネルギのピーク値が529.4eVであった。この値は、株式会社高純度化学研究所製の酸化鉄(γFe)の酸素の電子の結合エネルギ531.3eVよりも低エネルギ状態であった。
【0057】
さらに、実施例2−1−1の酸化コバルトに替えて、本例の浄化触媒の粉末を用いたこと以外は、実施例2−1−1と同様の操作を繰り返し、本例の排ガス浄化触媒を得た。
【0058】
(実施例3−4)
まず、硝酸鉄水溶液と硝酸ジルコニウム水溶液を混合し、次に水酸化ナトリウム水溶液を滴下することにより、沈殿物を形成した。その後、沈殿物をろ過し、洗浄、乾燥、焼成、粉砕工程を経て、本例の浄化触媒を得た。
【0059】
この浄化触媒は、酸化鉄(III)(Fe)と酸化ジルコニウム(ZrO)から成る酸化物であり、鉄とジルコニウムの比率(Fe:Zr)は、1mol:1molである。また、浄化触媒の平均粒子径は500nmであった。さらに、浄化触媒の表面電子状態は、酸素の電子の結合エネルギが低エネルギ側にシフトしており、結合エネルギを測定したところ、その結合エネルギのピーク値が529.5eVであった。この値は、株式会社高純度化学研究所製の酸化鉄(γFe)の酸素の電子の結合エネルギ531.3eVよりも低エネルギ状態であった。
【0060】
さらに、実施例2−1−1の酸化コバルトに替えて、本例の浄化触媒の粉末を用いたこと以外は、実施例2−1−1と同様の操作を繰り返し、本例の排ガス浄化触媒を得た。
【0061】
(実施例3−5)
まず、硝酸鉄水溶液と硝酸プラセオジム水溶液を混合し、次に水酸化ナトリウム水溶液を滴下することにより、沈殿物を形成した。その後、沈殿物をろ過し、洗浄、乾燥、焼成、粉砕工程を経て、本例の浄化触媒を得た。
【0062】
この浄化触媒は、酸化プラセオジム(Pr)と酸化鉄(III)(Fe)から成る酸化物であり、鉄とプラセオジムの比率(Fe:Pr)は、1mol:1molである。また、浄化触媒の平均粒子径は、500nmであった。さらに、浄化触媒の表面電子状態は、酸素の電子の結合エネルギが低エネルギ側にシフトしており、結合エネルギを測定したところ、その結合エネルギのピーク値が529.6eVであった。この値は、株式会社高純度化学研究所製の酸化鉄(γFe)の酸素の電子の結合エネルギ531.3eVよりも低エネルギ状態であった。
【0063】
さらに、実施例2−1−1の酸化コバルトに替えて、本例の浄化触媒の粉末を用いたこと以外は、実施例2−1−1と同様の操作を繰り返し、本例の排ガス浄化触媒を得た。
【0064】
(実施例3−6)
まず、硝酸鉄水溶液と硝酸ビスマス水溶液を混合し、次に水酸化ナトリウム水溶液を滴下することにより、沈殿物を形成した。その後、沈殿物をろ過し、洗浄、乾燥、焼成、粉砕工程を経て、本例の浄化触媒を得た。
【0065】
この浄化触媒は、酸化ビスマス(III)(Bi)と酸化鉄(III)(Fe)から成る酸化物であり、鉄とビスマスの比率(Fe:Bi)は、1mol:1molである。また、浄化触媒の平均粒子径は、500nmであった。さらに、浄化触媒の表面電子状態は、酸素の電子の結合エネルギが低エネルギ側にシフトしており、結合エネルギを測定したところ、その結合エネルギのピーク値が529.3eVであった。この値は、株式会社高純度化学研究所製の酸化鉄(γFe)の酸素の電子の結合エネルギ531.3eVよりも低エネルギ状態であった。
【0066】
さらに、実施例2−1−1の酸化コバルトに替えて、本例の浄化触媒の粉末を用いたこと以外は、実施例2−1−1と同様の操作を繰り返し、本例の排ガス浄化触媒を得た。
【0067】
(比較例3−1)
実施例2−1−1の酸化コバルトに替えて、平均粒子径が2.1μmの和光純薬工業株式会社製の酸化コバルトを用いたこと以外は、実施例2−1−1と同様の操作を繰り返し、本例の排ガス浄化触媒を得た。
【0068】
[性能評価]
<三元性能評価>
上記実施例2−1−1及び比較例2−1−1の浄化触媒を用いて、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)及び窒素酸化物(NOx)の浄化性能(転化率)を測定した。具体的には、実施例2−1−1及び比較例2−1−1の浄化触媒について、下記測定条件1の下、各温度におけるCO、HC及びNOxの転化率を測定した。実施例2−1−1及び比較例2−1−1の各成分の転化率の測定結果を図5に示す。
【0069】
(測定条件1)
・反応ガス流量:40L/分
・反応ガスのZ値:0.97
・反応ガスのA/F:14.53
・反応ガスの組成(ストイキ):NO;1000ppm、CO;0.60vol%、H;0.20vol%、O;0.58vol%、CO;13.9vol%、C;1665ppmC、HO;10vol%、N(バランス);残部
なお、「ppmC」とは、炭素換算を意味し、例えばベンゼン1ppm=6ppmCとなる。
【0070】
図5より、本発明の範囲に属する実施例2−1−1は、ストイキ条件において、三元性能を有することが分かる。一方、本発明外の比較例2−1−1は、ストイキ条件においても、三元性能を殆ど示さないことが分かる。従って、本発明の浄化触媒は、貴金属を用いない場合であっても、優れた三元性能を示す浄化触媒であることが分かる。なお、実施例2−1−1〜実施例2−2−2、比較例2−1−1及び比較例2−2−1の仕様と、350℃におけるCO、HC及びNOxの浄化性能(転化率)とを表1に示す。
【0071】
【表1】

【0072】
更に、実施例3−1〜実施例3−6及び比較例3−1の仕様と、350℃におけるCO、HC、NOxの浄化性能(転化率)とを表2に示す。なお、表2には、各例についてのBET法により求めた1次粒子径と、一部についての透過型電子顕微鏡(TEM)による観察により測定した粒子径(最大粒子径と最小粒子径)を併記する。
【0073】
【表2】

【0074】
更に、実施例2−1−1と比較例2−1−1の浄化触媒を用いて、CO、HC及びNOxの浄化性能(転化率)を測定した。具体的には、実施例2−1−1と比較例2−1−1の浄化触媒について、下記測定条件2の下、各A/FにおけるCO、HC、NOxの転化率を測定した。実施例2−1−1の各成分の転化率の測定結果を図6、比較例2−1−1の各成分の転化率の測定結果を図7に示す。
【0075】
(測定条件2)
・反応ガス流量:40L/分
・反応ガス(ストイキ)[Z値:0.97、A/F:14.53、組成:NO;1000ppm、CO;0.60vol%、H;0.20vol%、O;0.58vol%、CO;13.9vol%、C;1665ppmC、HO;10vol%、N(バランス);残部]
・反応ガス(リッチ)[Z値:0.28、A/F:14.03、組成:NO;1000ppm、CO;1.30vol%、H;0.43vol%、O;0.27vol%、CO;13.9vol%、C;1665ppmC、HO;10vol%、N(バランス);残部]
・反応ガス(リーン)[Z値:2.08、A/F:15.01、組成:NO;1000ppm、CO;0.60vol%、H;0.20vol%、O;1.30vol%、CO;13.9vol%、C;1665ppmC、HO;10vol%、N(バランス);残部]
【0076】
図6及び図7より、本発明の範囲に属する実施例2−1−1は、本発明外の比較例2−1−1よりも全体的に三元性能が優れていることが分かる。また、実施例2−1−1においては、ストイキ条件の三元性能よりリッチ条件の三元性能が若干低下していることが分かる。
【0077】
以上、本発明を若干の実施形態及び実施例によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態や実施例では、排気ガスに適用する排ガス浄化触媒について説明したが、貴金属に代わる触媒材料として、例えば揮発性有機化合物(VOC)対策用などについても、本発明を適用することができる。また、例えば、上記実施形態や実施例では、浄化触媒に貴金属を含まないものについて説明したが、白金やパラジウム、ロジウムなどの貴金属を含有したものについても、本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】遷移金属酸化物が無機酸化物中に分散している状態を示す概略図である。
【図2】遷移金属酸化物を含有する触媒層を設けた排ガス浄化触媒を示す概略図である。
【図3】実施例及び比較例のXPSによる測定結果を示すグラフである。
【図4】実施例1−1及び比較例1−1における一酸化炭素の酸化開始温度の測定結果を示すグラフである。
【図5】実施例2−1−1及び比較例2−1−1における各成分の転化率の測定結果を示すグラフである。
【図6】実施例2−1−1における各成分の転化率の測定結果を示すグラフである。
【図7】比較例2−1−1における各成分の転化率の測定結果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子径が1nm〜2μmであり、且つ、酸素の電子の結合エネルギが531.3eVより低エネルギ側にシフトしている遷移金属酸化物から成る触媒粉末を含有することを特徴とする浄化触媒。
【請求項2】
酸素放出材料をさらに含有し、
上記酸素放出材料は、上記遷移金属酸化物の表面に担持され、又は上記遷移金属酸化物と固溶体を形成していることを特徴とする請求項1に記載の浄化触媒。
【請求項3】
上記酸素放出材料が、セリウム、プラセオジム、ネオジム、イットリウム及びスカンジウムから成る群より選ばれた少なくとも1種の希土類元素を含む希土類酸化物であることを特徴とする請求項2に記載の浄化触媒。
【請求項4】
上記遷移金属酸化物が、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル及び銅から成る群より選ばれた少なくとも1種の遷移元素を含む遷移金属酸化物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の浄化触媒。
【請求項5】
ジルコニウム、チタン、ケイ素及びタングステンから成る群より選ばれた少なくとも1種の元素を含む無機酸化物をさらに含有し、
上記遷移金属酸化物が、上記無機酸化物中に分散した状態で担持されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の浄化触媒。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の浄化触媒を含有する触媒層と、
上記触媒層を内面に形成した一体構造型担体と、
を備えることを特徴とする排ガス浄化触媒。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−104973(P2010−104973A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−297571(P2008−297571)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】