浄水システム
【課題】滞留水の自動捨て水処理を実現する。
【解決手段】捨て水処理が必要な混合水栓20Aに流水検知手段50Aが取り付けられる。混合水栓20Aは電磁式に開栓するための電磁弁42Aを有し、混合弁30aの手前から分岐した状態で吐水管34aに連結される。捨て水用電磁弁は、水栓制御部60Aによってその弁開閉が制御される。水栓制御部60Aでは、浄水された水道水の滞留時間が積算されると共に、滞留時間が監視される。
滞留時間が予め定められた設定時間を超えたとき、水栓制御部60Aからの指令で捨て水用電磁弁42Aが開く。これで滞留水の捨て水処理が行われる。予め定めた開栓時間が経過すると、水栓制御部60Aからの指令で捨て水用電磁弁が止栓される。この処理で、滞留時間が過ぎた滞留水を確実に捨て去ることができる。
【解決手段】捨て水処理が必要な混合水栓20Aに流水検知手段50Aが取り付けられる。混合水栓20Aは電磁式に開栓するための電磁弁42Aを有し、混合弁30aの手前から分岐した状態で吐水管34aに連結される。捨て水用電磁弁は、水栓制御部60Aによってその弁開閉が制御される。水栓制御部60Aでは、浄水された水道水の滞留時間が積算されると共に、滞留時間が監視される。
滞留時間が予め定められた設定時間を超えたとき、水栓制御部60Aからの指令で捨て水用電磁弁42Aが開く。これで滞留水の捨て水処理が行われる。予め定めた開栓時間が経過すると、水栓制御部60Aからの指令で捨て水用電磁弁が止栓される。この処理で、滞留時間が過ぎた滞留水を確実に捨て去ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は浄水器を備えた浄水システムに関する。詳しくは、浄水された水道水の滞留時間を検知し、滞留時間が設定時間を超過したとき、滞留した水道水を自動的に捨て去ることができるようにした自動捨て水処理機能を備えた浄水システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康志向傾向が強まり、飲料水に関しても相当に関心が高く、その結果として飲料水の浄水器(浄水装置)が家庭内などにも設置されるようになってきた。
【0003】
浄水器を備えた浄水システムは、その内部に活性炭などのフィルタなどを備えた浄水器が使用される。この浄水器によって、水道水に含まれる塩素成分を始めとして、カビや発ガン性のあるトリハロメタンなどを除去して、除菌、脱塩素処理が行われる。浄水器は業務施設はもちろんのこと、近年では家庭内でも使用されている。
【0004】
家庭内で使用される浄水システムについて説明すると、住宅の敷地内に配管された水道管のどの位置にこの浄水器を設置するかによって、セントラル方式と個別方式が考えられる。セントラル方式の集中浄水システムでは、水道メータの直後に浄水器が設置され、1台の浄水器で家庭内で使用される全ての水道水が浄水(清水)される。
【0005】
個別浄水システムでは、いわゆるフィルタ交換タイプの小型で簡易構成の浄水器が使用され、特定の水栓に対して浄水器が設置される。例えば、キッチン用水栓と、洗面所用水栓のみに浄水器が設置され、これら水栓からの水道水に対して浄水処理が施される。
【0006】
ところで、最近は豊かでゆとりある生活習慣が身に付き、休暇などを利用して比較的長期間に亘ってバカンスを楽しむ傾向が強くなってきている。そのため、1週間とか、10日間とか、連続して自宅を留守にするケースが多くなってきた。その反面、核家族化が進んでいるため、バカンスの期間中、他の者がその住宅を訪れて利用することもないから、比較的長い間全く水道が使用されないで放置されている場合がある。
【0007】
上述したように浄水器はその内部で脱塩素処理が施されるので、浄水器を設置すると、この浄水器よりも下流側(水栓側)の水道水には塩素成分が含まれていない。含まれていたとしても微量である。その結果として、浄水器から水栓までに滞留した水道水(滞留水)が問題となってきている。
【0008】
上述したように長い間、浄水器から水栓までの管路内に水道水を滞留させると、滞留水は雑菌が繁殖し易くなり、特に夏場では極めて不衛生な水となっていることが考えられる。そのため、水道水の不使用期間が長いようなときには、滞留水を完全に捨て去ってから飲料水などとして用いるように心掛けなければならない。つまり捨て水処理をしてから飲用する必要がある。
【0009】
滞留水に塩素成分が含まれないために生ずる問題を解決するため、浄水した水道水、特に滞留水に対して逆に殺菌作用のある銀などを微量に再添加(溶出)するようにした浄水処理も考えられている(例えば、特許文献1)。
【0010】
特許文献1のように滞留水に対して殺菌作用のある金属を溶出させて添加させる浄水処理では、確かに滞留水内の滅菌効果が上がるため、滞留水を捨てることなくそのまま飲用しても、特に問題ないと考えられる。
【0011】
そのため、その設備を設置するためのスペースを確保したり、設備の初期投入費用およびその設置工事費、金属補給を含むメンテナンスなどを考慮すると、このような浄化システムを全ての浄水器に常設できるとは言い難い。
【0012】
一方、飲用する前に滞留水を捨て去る作業を励行すれば、コストをかけることなく清水を飲用できる(例えば特許文献2)。
【0013】
【特許文献1】特開平11−57691号公報(図1)
【特許文献2】特開平6−285457号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
特許文献2では、ハンドルによって開閉操作できる吐水弁を設け、捨て水処理を行うときは、このハンドルを手動操作する。ハンドル操作によって吐水弁が開くので、これによって捨て水処理を実現できる。
【0015】
しかし実際のところ、滞留水を捨てる作業を励行するのは難しいし、捨て水処理するタイミングを確実に把握することもできない。余りコストをかけることなく、捨て水処理を自動的に行えれば好都合である。
【0016】
そこで、この発明はこのような従来の課題を解決したものであって、特に水道管の管路に設置された浄水器と水栓との間に滞留する滞留水の滞留時間が設定時間を超過したとき自動的に捨て水処理を行えるようにした浄水システムを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述した課題を解決するため、この発明では浄水された水道水が供給される、電磁的に開栓できる水栓と、
上記水栓に取り付けられた水道管に連結された流水検知手段と、
この流水検知手段からの検知出力に基づいて、浄水された水道水の滞留時間を積算する積算機能を有した水栓制御部と、
捨て水表示用の報知手段とからなり、
浄水された水道水の滞留時間が設定時間を経過したときは、上記水栓制御部からの指令に基づいて、上記水栓を開栓状態に制御して自動捨て水を行うことを特徴とする。
【0018】
セントラル方式を例示すると、水道管に浄水器が取り付けられる。浄水器で浄水された水が各水栓に供給される。水栓のうち捨て水処理が必要な水栓のみに流水検知手段が取り付けられる。したがって特定の水栓に接続された分岐管に流水検知手段が取り付けられる。
【0019】
水栓は電磁的に開栓できる構成となされている。冷水用分岐管にさらに分岐枝管が設けられ、この分岐枝管が捨て水用電磁弁を介して吐水管(蛇口)に連結される。捨て水用電磁弁は、水栓制御部によってその弁開閉が制御される。水栓制御部では、浄水された水道水の滞留時間が積算されると共に、滞留時間が監視される。
【0020】
滞留時間が予め定められた設定時間を超えたとき、水栓制御部からの指令で捨て水用電磁弁が開く。これで滞留水の捨て水処理が行われる。予め定めた開栓時間が経過すると、水栓制御部からの指令で捨て水用電磁弁が止栓される。これで、滞留時間が過ぎた滞留水を確実に捨て去ることができる。
【0021】
この例では、滞留時間が設定時間を超過したことをユーザに報知するための報知手段(表示手段)を有する。報知手段で、少なくとも滞留時間が表示される。水栓の自動開栓処理をユーザに知らせるためである。
【0022】
この滞留検知システムは、全ての水栓に設置する必要はない。飲用される可能性のある水栓のみに選択的に設置すればよい。家庭内では、キッチン用水栓、洗面所用水栓が該当する。必要に応じて浴室用の水栓にもこの滞留検知システムを適用できる。
【発明の効果】
【0023】
この発明では、滞留時間が設定時間を超えたとき、自動的に水栓を開栓することで捨て水処理を行うようにしたものである。
【0024】
これによれば、滞留時間が過ぎた滞留水を確実に捨て去ることができるので、極めて衛生的な浄水システムを構築できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
続いて、この発明に係る浄水システムの好ましい実施例を図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0026】
図1はこの発明に係る浄水システム10の概要を示す概念図であって、この例では家庭内の集中浄水システムに適用した場合である。また、水栓としてはシングルレバータイプの混合水栓を例示する。
【0027】
家庭内に引き込まれ、水道メータ12を経由した水道本管14にセントラル浄水器16が連結される。浄水器16は浄水機能の他に、活水機能を有してもよい。浄水器16で浄水された水道水は冷水管18aと温水管18bに分岐される。冷水管18aには冷水分岐管22aが連結され、その末端側にキッチン用の水栓、この例では混合水栓20(20A)が取り付けられる。
【0028】
同様に、冷水管18aにはさらに2つの冷水分岐管22b,22cが連結され、一方の冷水分岐管22bの末端側に洗面所用の混合水栓20Bが取り付けられ、そして他方の冷水分岐管22cの末端側に浴室用の混合水栓20Cが取り付けられる。
【0029】
温水管18bの一部には温水器56が連結され、その温水は複数の温水分岐管59a〜59cを介して対応する混合水栓20A〜20Cに導かれる。
【0030】
混合水栓20A〜20Cは同一の構成であるので、混合水栓20Aについてその構成を説明し、残りの混合水栓20B、20Cについては対応する部分に関連符号を付して説明する。
【0031】
混合水栓20Aはディスクなどで構成された混合弁30aを有し、冷水分岐管22aからの冷水と温水分岐管59aからの温水が、この混合弁30aによって混合されるか、何れか一方のみが吐水するように調整される。混合された混合水は吐水管34aを介して吐水口36aから吐水される。
【0032】
混合弁30aには操作レバー(ハンドル)32aが関連され、この操作レバー32aを手動操作することで、吐水口36aからの吐水量の調整および冷水と温水との混合量の調整が行われる。
【0033】
混合弁30aに近接した冷水分岐管22aには分岐枝管40aが連結され、この分岐枝管40aが電磁弁42Aを介して吐水管34aに連結される。電磁弁42Aは後述する捨て水処理時だけ開栓動作する電磁弁である。操作レバー32aによって混合弁30aが完全に閉じた状態(止栓状態)となっていても、電磁弁42Aを開くことで、吐水口36aより所定量の冷水を吐水させることができる。電磁弁42Aは水栓制御部60(60A)の制御信号(励起信号)Saによってその開栓および止栓が制御される。
【0034】
そのため、冷水分岐管22aには流水検知手段50(50A)が接続され、冷水分岐管22aの流れが検知される。流水検知手段50Aとしては羽根車などを使用して流水および止水が検知される。羽根車に関連して発電機構部を設けることで、流水の都度発電を行い、水栓制御部60(60A)などの充電用の電源として利用することもできる。冷水分岐管22a内を流れる冷水の状態検知は、混合水栓20Aが開栓状態にあるか、止栓状態にあるかを検知することに他ならない。
【0035】
流水検知手段50Aからの検知信号が水栓制御部60Aに供給される。この例では水栓制御部60Aは流水検知手段50Aと一体化された場合を示す。したがって同じ筐体内に流水検知手段50Aと水栓制御部60Aとが設けられる。
【0036】
他の冷水分岐管22b,22cに連結された流水検知手段50B,50Cからの流水検知信号も同じく同一筐体に内蔵された水栓制御部60B,60Cに供給される。
【0037】
水栓制御部60A〜60Cでは、混合水栓20A〜20Cの開栓および止栓状態、特に冷水側の開栓および止栓状態をそれぞれ個別に検知することで、それぞれの混合水栓20A〜20Cにおける開栓時間の積算処理や、連続した止栓時間の積算処理、それらに伴う制御処理が行われる。詳細は後述する。
【0038】
図2は、キッチンにおいて使用される混合水栓20Aの取り付け例を示す。キッチンシンク70の所定位置には混合水栓20Aの本体(筐体)72aが、キッチンシンク70の上面側に突出するように、ナットなどの固定手段を介して取り付け固定される。
【0039】
水栓本体72aの上端部側には周知のように操作レバー32aと吐出口36aを有する。さらにこの水栓本体72aの内部には上述した混合弁30aや、分岐枝管40a、捨て水用の電磁弁42Aなどが内蔵されているが、その詳細は割愛する。
【0040】
キッチンシンク70の下面側の水栓本体72aには流水検知手段50Aなどが取り付けられた冷水分岐管22aと、温水分岐管59aが連結される。キッチンシンク70の上面であって、水栓本体72aに近接した位置には、報知手段74Aを構成する扁平な表示パネル80がパッキン76aなどを利用して水密的に取り付けられる。
【0041】
図3はこの表示パネル80の構成例を示す。この例では電源状態を確認するための表示灯(LED)81を始めとして、捨て水処理中であることを表示するための表示灯83および浄水器16に内蔵されたフィルタ用カートリッジ(図示はしない)の交換時期を報知するための表示灯84などが設けられている。
【0042】
さらに、該当する混合水栓の連続不使用時間を「日時」で表示するための表示部(LCD)82が設けられている。連続不使用時間は浄水された冷水の滞留時間を示すものであるから、この連続不使用時間が予め設定された監視時間(設定時間)を超えると、自動的に捨て水処理が行われ、捨て水処理期間中は表示灯83が点滅表示される。それ以外では消灯状態となっている。
【0043】
図4はこの水栓制御部60(60A〜60C)の一例を示すブロック図である。混合水栓20A〜20Cに使用される水栓制御部60A〜60Cは、それぞれ独立した構成ではあるが、その基本構成は全て同一であるので、混合水栓20Aに関連した水栓制御部60Aについてその概要を説明する。
【0044】
水栓制御部60Aは、CPUを備えた制御部91を有する。この制御部91では、混合水栓20Aの開栓時間の積算処理や連続止栓時間の算出処理およびそれに付随した各種の制御処理が行われる。
【0045】
制御部91には駆動電源としてのバッテリー(電源部)92が接続される。バッテリー92は表示パネル80に対する動作電源、さらには電磁弁42Aに対する駆動電源としても使用される。
【0046】
上述した発電機構部を有する流水検知手段50Aからの流水検知信号Paが供給されると共に、この流水検知手段50Aによって発電された電力が充電可能なバッテリー(電源部)92に給電される。冷水分岐管22aを冷水が流れることで発電が行われるため、混合水栓20Aを開栓するたびにバッテリー92に対する充電が行われることになる。したがって、この充電処理を行うことで相当長い期間(例えば10日程度)留守にしても制御部91等を駆動することが可能になる。
【0047】
制御部91で生成された制御信号によって、電源表示灯81に対する点灯制御を始めとして、捨て水用の表示灯83、カートリッジ交換支持用の表示灯84などの点灯制御が行われる。これらに加えて、さらに連続不使用時間の表示部82に対する表示制御や電磁弁42Aの開閉制御などが行われる。
【0048】
制御部91では上述したように流水検知信号Paに基づいて、混合水栓20Aの開栓期間の積算処理などが行われる。流水検知信号Paの一例を図5に示す。流水検知信号Paの立ち上がりが開栓に相当し、その立ち下がりが止栓に相当するので、この開栓期間Wi(i=1,2,3,・・・n)を積算することで、浄水器16のトータル使用時間が判る。積算された開栓期間が予め定められた使用時間を超過したとき、カートリッジ交換を促すため、対応する表示灯(交換指示灯)84が点滅表示される。この使用時間としては、例えば1日2時間使用したとしてほぼ12ヶ月に相当する時間のように設定されるものである。カートリッジの交換が終了したら、図4に示すリセットスイッチ94を操作する。これで、積算された開栓期間がリセットされる。カートリッジ交換を自動検知して、自動的にリセット処理を行うようにしてもよい。
【0049】
リセットスイッチ94は、制御部91側に設けることができる。表示パネル80側に設けることもできるが、誤操作される場合があるので、この例では制御部91側に設けられている。
【0050】
図5に示すように、混合水栓20Aを止栓してから次にこの混合水栓20Aが開栓するまでの連続した期間Wxが、混合水栓20Aの連続した不使用期間となる。浄水された冷水が滞留している期間はこの連続不使用期間に相当する。したがってこの連続不使用期間が監視されると共に表示パネル80上に表示される。そして、連続不使用期間が予め設定された滞留期間を超えたとき、滞留水の自動捨て水処理が行われる。
【0051】
滞留時間の設定は、監視する混合水栓によって変えることもできれば、同じ時間に設定することもできる。以下説明する例は、監視している混合水栓によって滞留時間の設定を異ならせた場合である。
【0052】
混合水栓のうち、飲用として使用される頻度の高いものは、キッチン用の混合水栓20Aと洗面所用の混合水栓20Bであると思われる。浴室用の混合水栓20Cを用いて飲用するケースは希ではあるが、夏場のようにシャワーをする前に喉を潤すことも考えられるので、レアケースとも言い難い。
【0053】
そこで、キッチン用の混合水栓20Aと洗面所用の混合水栓20Bに関しては、その使用頻度を考慮して、滞留時間としては比較的短く、例えば2〜3日に相当する時間(24〜72時間)に設定し、浴室用の混合水栓20Cに関しては、それよりも長く、例えば7日に相当する時間に設定する。短かな滞留時間を短期滞留時間とし、長目の滞留時間を中期滞留時間として説明する。
【0054】
捨て水処理する時間(開栓時間)は、浄水器16から混合水栓20A,20Bまでの配管長によって決まる。流水量が最大時のほぼ半分となるような開栓状態に制御されたとき、浄水器16から混合水栓20A,20Bまでに滞留した水を全て捨て去ることができる時間に設定される。したがって、混合水栓20A,20Bの開栓度および冷水分岐管22aの管径と管長によって決まる。この例では、時間にして大凡5〜20秒程度に設定されている。
【0055】
この開栓時間は、プリセットできるようにした方が好ましい。住宅によって混合水栓20A,20Bの設置場所が一定しないからである。
【0056】
図6は短期滞留時間として48時間(2日間)に設定したときの捨て水処理例を示す。旅行などで2日間、自宅を空けるケースが多くなることを考慮した設定である。
【0057】
図6Aに、混合水栓20Aの連続不使用期間が24時間未満の場合と、48時間を超えた場合を示す。この例では、連続不使用期間が24時間を超えるとその積算時間が表示部82に表示される(図6B)。表示は1時間単位で更新される。表示は、分かり易くするため「日」と「時」表示であるが、時間のみでもよい。
【0058】
連続不使用期間が設定された短期滞留時間(48時間)を超えると、電磁弁42Aが作動してこの電磁弁42Aが開栓状態となる。その結果、混合弁30aが完全に閉じた状態(止栓状態)であったとしても、滞留水は分岐枝管22a→電磁弁42A→吐水管34aを経由して吐水口36aから吐水され、滞留水の捨て水処理時が行われる(図6C)。予め設定された開栓期間が経過すると、電磁弁42Aが閉じられ、混合水栓20Aは何時もの通りの止栓状態に戻り、捨て水処理が終了する。連続不使用期間の点滅表示も消える(図6B)。
【0059】
図7は、滞留時間として中期滞留時間(例えば7日間:168時間)に設定されている浴室用混合水栓20C側に適用した例であって、連続不使用期間が24時間を超過すると、表示部82にはその連続不使用期間が表示される(図7A,B)。そして、連続不使用期間が設定した中期滞留時間を超えた段階で、捨て水表示灯83が点滅表示されると共に、図6と同じ捨て水処理が、設定された開栓時間の間だけ実行される(図7C)。このように監視すべき混合水栓に応じて捨て水処理を変えることで、経済的な捨て水処理を実現できる。
【0060】
上述した水栓は、シングルレバータイプの混合水栓に適用したが、このようなシングルレバータイプ以外のものや、冷水のみを取り扱う単水栓にも適用できることは明らかである。また、開栓してから所定時間経過後に自動的に停止する自動止栓機能の付いた水栓にもこの発明を適用できる。
【0061】
この発明に係る浄水システムは個別浄水システムにも適用できることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0062】
この発明は、家庭用、業務用の浄水システムに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】この発明に係る浄水システムを集中浄水システムに適用した場合の一例を示す概念図である。
【図2】キッチン用混合水栓の取り付け例を示す要部の側面図である。
【図3】報知手段を構成する表示パネルの一例を示す配置図である。
【図4】この発明に適用できる水栓制御部の一例を示す要部のブロック図である。
【図5】流水検知信号の一例を示す波形図である。
【図6】キッチン用混合水栓での捨て水処理例を示すタイミングチャートである。
【図7】浴室用混合水栓での捨て水処理例を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0064】
10・・・浄水システム、16・・・浄水器、18a・・・冷水管、18b・・・温水管、20(20A〜20C)・・・混合水栓、22a〜22c・・・分岐管、30a〜30c・・・混合弁、32a〜32c・・・操作レバー、34a〜34c・・・吐水管、42A〜42C・・・捨て水用電磁弁、50,50A〜50C・・・流水検知手段、60、60A〜60C・・・水栓制御部、74A・・・報知手段、80・・・表示パネル、81、83,84・・・表示灯、82・・・表示部
【技術分野】
【0001】
この発明は浄水器を備えた浄水システムに関する。詳しくは、浄水された水道水の滞留時間を検知し、滞留時間が設定時間を超過したとき、滞留した水道水を自動的に捨て去ることができるようにした自動捨て水処理機能を備えた浄水システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康志向傾向が強まり、飲料水に関しても相当に関心が高く、その結果として飲料水の浄水器(浄水装置)が家庭内などにも設置されるようになってきた。
【0003】
浄水器を備えた浄水システムは、その内部に活性炭などのフィルタなどを備えた浄水器が使用される。この浄水器によって、水道水に含まれる塩素成分を始めとして、カビや発ガン性のあるトリハロメタンなどを除去して、除菌、脱塩素処理が行われる。浄水器は業務施設はもちろんのこと、近年では家庭内でも使用されている。
【0004】
家庭内で使用される浄水システムについて説明すると、住宅の敷地内に配管された水道管のどの位置にこの浄水器を設置するかによって、セントラル方式と個別方式が考えられる。セントラル方式の集中浄水システムでは、水道メータの直後に浄水器が設置され、1台の浄水器で家庭内で使用される全ての水道水が浄水(清水)される。
【0005】
個別浄水システムでは、いわゆるフィルタ交換タイプの小型で簡易構成の浄水器が使用され、特定の水栓に対して浄水器が設置される。例えば、キッチン用水栓と、洗面所用水栓のみに浄水器が設置され、これら水栓からの水道水に対して浄水処理が施される。
【0006】
ところで、最近は豊かでゆとりある生活習慣が身に付き、休暇などを利用して比較的長期間に亘ってバカンスを楽しむ傾向が強くなってきている。そのため、1週間とか、10日間とか、連続して自宅を留守にするケースが多くなってきた。その反面、核家族化が進んでいるため、バカンスの期間中、他の者がその住宅を訪れて利用することもないから、比較的長い間全く水道が使用されないで放置されている場合がある。
【0007】
上述したように浄水器はその内部で脱塩素処理が施されるので、浄水器を設置すると、この浄水器よりも下流側(水栓側)の水道水には塩素成分が含まれていない。含まれていたとしても微量である。その結果として、浄水器から水栓までに滞留した水道水(滞留水)が問題となってきている。
【0008】
上述したように長い間、浄水器から水栓までの管路内に水道水を滞留させると、滞留水は雑菌が繁殖し易くなり、特に夏場では極めて不衛生な水となっていることが考えられる。そのため、水道水の不使用期間が長いようなときには、滞留水を完全に捨て去ってから飲料水などとして用いるように心掛けなければならない。つまり捨て水処理をしてから飲用する必要がある。
【0009】
滞留水に塩素成分が含まれないために生ずる問題を解決するため、浄水した水道水、特に滞留水に対して逆に殺菌作用のある銀などを微量に再添加(溶出)するようにした浄水処理も考えられている(例えば、特許文献1)。
【0010】
特許文献1のように滞留水に対して殺菌作用のある金属を溶出させて添加させる浄水処理では、確かに滞留水内の滅菌効果が上がるため、滞留水を捨てることなくそのまま飲用しても、特に問題ないと考えられる。
【0011】
そのため、その設備を設置するためのスペースを確保したり、設備の初期投入費用およびその設置工事費、金属補給を含むメンテナンスなどを考慮すると、このような浄化システムを全ての浄水器に常設できるとは言い難い。
【0012】
一方、飲用する前に滞留水を捨て去る作業を励行すれば、コストをかけることなく清水を飲用できる(例えば特許文献2)。
【0013】
【特許文献1】特開平11−57691号公報(図1)
【特許文献2】特開平6−285457号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
特許文献2では、ハンドルによって開閉操作できる吐水弁を設け、捨て水処理を行うときは、このハンドルを手動操作する。ハンドル操作によって吐水弁が開くので、これによって捨て水処理を実現できる。
【0015】
しかし実際のところ、滞留水を捨てる作業を励行するのは難しいし、捨て水処理するタイミングを確実に把握することもできない。余りコストをかけることなく、捨て水処理を自動的に行えれば好都合である。
【0016】
そこで、この発明はこのような従来の課題を解決したものであって、特に水道管の管路に設置された浄水器と水栓との間に滞留する滞留水の滞留時間が設定時間を超過したとき自動的に捨て水処理を行えるようにした浄水システムを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述した課題を解決するため、この発明では浄水された水道水が供給される、電磁的に開栓できる水栓と、
上記水栓に取り付けられた水道管に連結された流水検知手段と、
この流水検知手段からの検知出力に基づいて、浄水された水道水の滞留時間を積算する積算機能を有した水栓制御部と、
捨て水表示用の報知手段とからなり、
浄水された水道水の滞留時間が設定時間を経過したときは、上記水栓制御部からの指令に基づいて、上記水栓を開栓状態に制御して自動捨て水を行うことを特徴とする。
【0018】
セントラル方式を例示すると、水道管に浄水器が取り付けられる。浄水器で浄水された水が各水栓に供給される。水栓のうち捨て水処理が必要な水栓のみに流水検知手段が取り付けられる。したがって特定の水栓に接続された分岐管に流水検知手段が取り付けられる。
【0019】
水栓は電磁的に開栓できる構成となされている。冷水用分岐管にさらに分岐枝管が設けられ、この分岐枝管が捨て水用電磁弁を介して吐水管(蛇口)に連結される。捨て水用電磁弁は、水栓制御部によってその弁開閉が制御される。水栓制御部では、浄水された水道水の滞留時間が積算されると共に、滞留時間が監視される。
【0020】
滞留時間が予め定められた設定時間を超えたとき、水栓制御部からの指令で捨て水用電磁弁が開く。これで滞留水の捨て水処理が行われる。予め定めた開栓時間が経過すると、水栓制御部からの指令で捨て水用電磁弁が止栓される。これで、滞留時間が過ぎた滞留水を確実に捨て去ることができる。
【0021】
この例では、滞留時間が設定時間を超過したことをユーザに報知するための報知手段(表示手段)を有する。報知手段で、少なくとも滞留時間が表示される。水栓の自動開栓処理をユーザに知らせるためである。
【0022】
この滞留検知システムは、全ての水栓に設置する必要はない。飲用される可能性のある水栓のみに選択的に設置すればよい。家庭内では、キッチン用水栓、洗面所用水栓が該当する。必要に応じて浴室用の水栓にもこの滞留検知システムを適用できる。
【発明の効果】
【0023】
この発明では、滞留時間が設定時間を超えたとき、自動的に水栓を開栓することで捨て水処理を行うようにしたものである。
【0024】
これによれば、滞留時間が過ぎた滞留水を確実に捨て去ることができるので、極めて衛生的な浄水システムを構築できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
続いて、この発明に係る浄水システムの好ましい実施例を図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0026】
図1はこの発明に係る浄水システム10の概要を示す概念図であって、この例では家庭内の集中浄水システムに適用した場合である。また、水栓としてはシングルレバータイプの混合水栓を例示する。
【0027】
家庭内に引き込まれ、水道メータ12を経由した水道本管14にセントラル浄水器16が連結される。浄水器16は浄水機能の他に、活水機能を有してもよい。浄水器16で浄水された水道水は冷水管18aと温水管18bに分岐される。冷水管18aには冷水分岐管22aが連結され、その末端側にキッチン用の水栓、この例では混合水栓20(20A)が取り付けられる。
【0028】
同様に、冷水管18aにはさらに2つの冷水分岐管22b,22cが連結され、一方の冷水分岐管22bの末端側に洗面所用の混合水栓20Bが取り付けられ、そして他方の冷水分岐管22cの末端側に浴室用の混合水栓20Cが取り付けられる。
【0029】
温水管18bの一部には温水器56が連結され、その温水は複数の温水分岐管59a〜59cを介して対応する混合水栓20A〜20Cに導かれる。
【0030】
混合水栓20A〜20Cは同一の構成であるので、混合水栓20Aについてその構成を説明し、残りの混合水栓20B、20Cについては対応する部分に関連符号を付して説明する。
【0031】
混合水栓20Aはディスクなどで構成された混合弁30aを有し、冷水分岐管22aからの冷水と温水分岐管59aからの温水が、この混合弁30aによって混合されるか、何れか一方のみが吐水するように調整される。混合された混合水は吐水管34aを介して吐水口36aから吐水される。
【0032】
混合弁30aには操作レバー(ハンドル)32aが関連され、この操作レバー32aを手動操作することで、吐水口36aからの吐水量の調整および冷水と温水との混合量の調整が行われる。
【0033】
混合弁30aに近接した冷水分岐管22aには分岐枝管40aが連結され、この分岐枝管40aが電磁弁42Aを介して吐水管34aに連結される。電磁弁42Aは後述する捨て水処理時だけ開栓動作する電磁弁である。操作レバー32aによって混合弁30aが完全に閉じた状態(止栓状態)となっていても、電磁弁42Aを開くことで、吐水口36aより所定量の冷水を吐水させることができる。電磁弁42Aは水栓制御部60(60A)の制御信号(励起信号)Saによってその開栓および止栓が制御される。
【0034】
そのため、冷水分岐管22aには流水検知手段50(50A)が接続され、冷水分岐管22aの流れが検知される。流水検知手段50Aとしては羽根車などを使用して流水および止水が検知される。羽根車に関連して発電機構部を設けることで、流水の都度発電を行い、水栓制御部60(60A)などの充電用の電源として利用することもできる。冷水分岐管22a内を流れる冷水の状態検知は、混合水栓20Aが開栓状態にあるか、止栓状態にあるかを検知することに他ならない。
【0035】
流水検知手段50Aからの検知信号が水栓制御部60Aに供給される。この例では水栓制御部60Aは流水検知手段50Aと一体化された場合を示す。したがって同じ筐体内に流水検知手段50Aと水栓制御部60Aとが設けられる。
【0036】
他の冷水分岐管22b,22cに連結された流水検知手段50B,50Cからの流水検知信号も同じく同一筐体に内蔵された水栓制御部60B,60Cに供給される。
【0037】
水栓制御部60A〜60Cでは、混合水栓20A〜20Cの開栓および止栓状態、特に冷水側の開栓および止栓状態をそれぞれ個別に検知することで、それぞれの混合水栓20A〜20Cにおける開栓時間の積算処理や、連続した止栓時間の積算処理、それらに伴う制御処理が行われる。詳細は後述する。
【0038】
図2は、キッチンにおいて使用される混合水栓20Aの取り付け例を示す。キッチンシンク70の所定位置には混合水栓20Aの本体(筐体)72aが、キッチンシンク70の上面側に突出するように、ナットなどの固定手段を介して取り付け固定される。
【0039】
水栓本体72aの上端部側には周知のように操作レバー32aと吐出口36aを有する。さらにこの水栓本体72aの内部には上述した混合弁30aや、分岐枝管40a、捨て水用の電磁弁42Aなどが内蔵されているが、その詳細は割愛する。
【0040】
キッチンシンク70の下面側の水栓本体72aには流水検知手段50Aなどが取り付けられた冷水分岐管22aと、温水分岐管59aが連結される。キッチンシンク70の上面であって、水栓本体72aに近接した位置には、報知手段74Aを構成する扁平な表示パネル80がパッキン76aなどを利用して水密的に取り付けられる。
【0041】
図3はこの表示パネル80の構成例を示す。この例では電源状態を確認するための表示灯(LED)81を始めとして、捨て水処理中であることを表示するための表示灯83および浄水器16に内蔵されたフィルタ用カートリッジ(図示はしない)の交換時期を報知するための表示灯84などが設けられている。
【0042】
さらに、該当する混合水栓の連続不使用時間を「日時」で表示するための表示部(LCD)82が設けられている。連続不使用時間は浄水された冷水の滞留時間を示すものであるから、この連続不使用時間が予め設定された監視時間(設定時間)を超えると、自動的に捨て水処理が行われ、捨て水処理期間中は表示灯83が点滅表示される。それ以外では消灯状態となっている。
【0043】
図4はこの水栓制御部60(60A〜60C)の一例を示すブロック図である。混合水栓20A〜20Cに使用される水栓制御部60A〜60Cは、それぞれ独立した構成ではあるが、その基本構成は全て同一であるので、混合水栓20Aに関連した水栓制御部60Aについてその概要を説明する。
【0044】
水栓制御部60Aは、CPUを備えた制御部91を有する。この制御部91では、混合水栓20Aの開栓時間の積算処理や連続止栓時間の算出処理およびそれに付随した各種の制御処理が行われる。
【0045】
制御部91には駆動電源としてのバッテリー(電源部)92が接続される。バッテリー92は表示パネル80に対する動作電源、さらには電磁弁42Aに対する駆動電源としても使用される。
【0046】
上述した発電機構部を有する流水検知手段50Aからの流水検知信号Paが供給されると共に、この流水検知手段50Aによって発電された電力が充電可能なバッテリー(電源部)92に給電される。冷水分岐管22aを冷水が流れることで発電が行われるため、混合水栓20Aを開栓するたびにバッテリー92に対する充電が行われることになる。したがって、この充電処理を行うことで相当長い期間(例えば10日程度)留守にしても制御部91等を駆動することが可能になる。
【0047】
制御部91で生成された制御信号によって、電源表示灯81に対する点灯制御を始めとして、捨て水用の表示灯83、カートリッジ交換支持用の表示灯84などの点灯制御が行われる。これらに加えて、さらに連続不使用時間の表示部82に対する表示制御や電磁弁42Aの開閉制御などが行われる。
【0048】
制御部91では上述したように流水検知信号Paに基づいて、混合水栓20Aの開栓期間の積算処理などが行われる。流水検知信号Paの一例を図5に示す。流水検知信号Paの立ち上がりが開栓に相当し、その立ち下がりが止栓に相当するので、この開栓期間Wi(i=1,2,3,・・・n)を積算することで、浄水器16のトータル使用時間が判る。積算された開栓期間が予め定められた使用時間を超過したとき、カートリッジ交換を促すため、対応する表示灯(交換指示灯)84が点滅表示される。この使用時間としては、例えば1日2時間使用したとしてほぼ12ヶ月に相当する時間のように設定されるものである。カートリッジの交換が終了したら、図4に示すリセットスイッチ94を操作する。これで、積算された開栓期間がリセットされる。カートリッジ交換を自動検知して、自動的にリセット処理を行うようにしてもよい。
【0049】
リセットスイッチ94は、制御部91側に設けることができる。表示パネル80側に設けることもできるが、誤操作される場合があるので、この例では制御部91側に設けられている。
【0050】
図5に示すように、混合水栓20Aを止栓してから次にこの混合水栓20Aが開栓するまでの連続した期間Wxが、混合水栓20Aの連続した不使用期間となる。浄水された冷水が滞留している期間はこの連続不使用期間に相当する。したがってこの連続不使用期間が監視されると共に表示パネル80上に表示される。そして、連続不使用期間が予め設定された滞留期間を超えたとき、滞留水の自動捨て水処理が行われる。
【0051】
滞留時間の設定は、監視する混合水栓によって変えることもできれば、同じ時間に設定することもできる。以下説明する例は、監視している混合水栓によって滞留時間の設定を異ならせた場合である。
【0052】
混合水栓のうち、飲用として使用される頻度の高いものは、キッチン用の混合水栓20Aと洗面所用の混合水栓20Bであると思われる。浴室用の混合水栓20Cを用いて飲用するケースは希ではあるが、夏場のようにシャワーをする前に喉を潤すことも考えられるので、レアケースとも言い難い。
【0053】
そこで、キッチン用の混合水栓20Aと洗面所用の混合水栓20Bに関しては、その使用頻度を考慮して、滞留時間としては比較的短く、例えば2〜3日に相当する時間(24〜72時間)に設定し、浴室用の混合水栓20Cに関しては、それよりも長く、例えば7日に相当する時間に設定する。短かな滞留時間を短期滞留時間とし、長目の滞留時間を中期滞留時間として説明する。
【0054】
捨て水処理する時間(開栓時間)は、浄水器16から混合水栓20A,20Bまでの配管長によって決まる。流水量が最大時のほぼ半分となるような開栓状態に制御されたとき、浄水器16から混合水栓20A,20Bまでに滞留した水を全て捨て去ることができる時間に設定される。したがって、混合水栓20A,20Bの開栓度および冷水分岐管22aの管径と管長によって決まる。この例では、時間にして大凡5〜20秒程度に設定されている。
【0055】
この開栓時間は、プリセットできるようにした方が好ましい。住宅によって混合水栓20A,20Bの設置場所が一定しないからである。
【0056】
図6は短期滞留時間として48時間(2日間)に設定したときの捨て水処理例を示す。旅行などで2日間、自宅を空けるケースが多くなることを考慮した設定である。
【0057】
図6Aに、混合水栓20Aの連続不使用期間が24時間未満の場合と、48時間を超えた場合を示す。この例では、連続不使用期間が24時間を超えるとその積算時間が表示部82に表示される(図6B)。表示は1時間単位で更新される。表示は、分かり易くするため「日」と「時」表示であるが、時間のみでもよい。
【0058】
連続不使用期間が設定された短期滞留時間(48時間)を超えると、電磁弁42Aが作動してこの電磁弁42Aが開栓状態となる。その結果、混合弁30aが完全に閉じた状態(止栓状態)であったとしても、滞留水は分岐枝管22a→電磁弁42A→吐水管34aを経由して吐水口36aから吐水され、滞留水の捨て水処理時が行われる(図6C)。予め設定された開栓期間が経過すると、電磁弁42Aが閉じられ、混合水栓20Aは何時もの通りの止栓状態に戻り、捨て水処理が終了する。連続不使用期間の点滅表示も消える(図6B)。
【0059】
図7は、滞留時間として中期滞留時間(例えば7日間:168時間)に設定されている浴室用混合水栓20C側に適用した例であって、連続不使用期間が24時間を超過すると、表示部82にはその連続不使用期間が表示される(図7A,B)。そして、連続不使用期間が設定した中期滞留時間を超えた段階で、捨て水表示灯83が点滅表示されると共に、図6と同じ捨て水処理が、設定された開栓時間の間だけ実行される(図7C)。このように監視すべき混合水栓に応じて捨て水処理を変えることで、経済的な捨て水処理を実現できる。
【0060】
上述した水栓は、シングルレバータイプの混合水栓に適用したが、このようなシングルレバータイプ以外のものや、冷水のみを取り扱う単水栓にも適用できることは明らかである。また、開栓してから所定時間経過後に自動的に停止する自動止栓機能の付いた水栓にもこの発明を適用できる。
【0061】
この発明に係る浄水システムは個別浄水システムにも適用できることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0062】
この発明は、家庭用、業務用の浄水システムに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】この発明に係る浄水システムを集中浄水システムに適用した場合の一例を示す概念図である。
【図2】キッチン用混合水栓の取り付け例を示す要部の側面図である。
【図3】報知手段を構成する表示パネルの一例を示す配置図である。
【図4】この発明に適用できる水栓制御部の一例を示す要部のブロック図である。
【図5】流水検知信号の一例を示す波形図である。
【図6】キッチン用混合水栓での捨て水処理例を示すタイミングチャートである。
【図7】浴室用混合水栓での捨て水処理例を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0064】
10・・・浄水システム、16・・・浄水器、18a・・・冷水管、18b・・・温水管、20(20A〜20C)・・・混合水栓、22a〜22c・・・分岐管、30a〜30c・・・混合弁、32a〜32c・・・操作レバー、34a〜34c・・・吐水管、42A〜42C・・・捨て水用電磁弁、50,50A〜50C・・・流水検知手段、60、60A〜60C・・・水栓制御部、74A・・・報知手段、80・・・表示パネル、81、83,84・・・表示灯、82・・・表示部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浄水された水道水が供給される、電磁的に開栓できる水栓と、
上記水栓に取り付けられた水道管に連結された流水検知手段と、
この流水検知手段からの検知出力に基づいて、浄水された水道水の滞留時間を積算する積算機能を有した水栓制御部と、
捨て水表示用の報知手段とからなり、
浄水された水道水の滞留時間が設定時間を経過したときは、上記水栓制御部からの指令に基づいて、上記水栓を開栓状態に制御して自動捨て水を行う
ことを特徴とする浄水システム。
【請求項2】
捨て水処理後の上記水栓の止栓処理は、上記水栓制御部からの指令に基づいて行われる
ことを特徴とする請求項1記載の浄水システム。
【請求項3】
上記水栓は、手動で開栓し、止栓できる操作レバーを有する
ことを特徴とする請求項1記載の浄水システム。
【請求項4】
上記水道水を浄水する浄水器は、セントラル方式の浄水器である
ことを特徴とする請求項1記載の浄水システム。
【請求項1】
浄水された水道水が供給される、電磁的に開栓できる水栓と、
上記水栓に取り付けられた水道管に連結された流水検知手段と、
この流水検知手段からの検知出力に基づいて、浄水された水道水の滞留時間を積算する積算機能を有した水栓制御部と、
捨て水表示用の報知手段とからなり、
浄水された水道水の滞留時間が設定時間を経過したときは、上記水栓制御部からの指令に基づいて、上記水栓を開栓状態に制御して自動捨て水を行う
ことを特徴とする浄水システム。
【請求項2】
捨て水処理後の上記水栓の止栓処理は、上記水栓制御部からの指令に基づいて行われる
ことを特徴とする請求項1記載の浄水システム。
【請求項3】
上記水栓は、手動で開栓し、止栓できる操作レバーを有する
ことを特徴とする請求項1記載の浄水システム。
【請求項4】
上記水道水を浄水する浄水器は、セントラル方式の浄水器である
ことを特徴とする請求項1記載の浄水システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2007−217916(P2007−217916A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−38099(P2006−38099)
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】
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