説明

浄水システム

【課題】コンパクトで簡易な構成であり、かつ細菌の繁殖を抑制して処理水の汚染を防止できる浄水システムを提供する。
【解決手段】濾過膜11aを備えた第一の浄水器11を有する前濾過手段10と、該前濾過手段10の下流に設けられ、活性炭21aが充填された第二の浄水器21からなる後濾過手段20と、前記第二の浄水器21を透過した透過水の汚染を防止する逆汚染防止手段30と、を具備することを特徴とする浄水システム1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄水システムに関する。
【背景技術】
【0002】
井戸水には各種細菌類やウィルス、汚濁物質等が含まれている場合がある。一方、水道水には殺菌用に塩素が添加されているので、水道水が細菌類により汚染される懸念は少ないものの、カルキ臭により水の風味が損なわれるという問題があった。
【0003】
そこで、井戸水や水道水を飲料水としてよりおいしく飲用するために、広く浄水装置が用いられている。この種の浄水装置としては、活性炭等の吸着剤により水のカルキ臭、カビ臭、トリハロメタン、汚濁物質等を除去した後、中空糸膜等の濾過膜により細菌類、ウィルス等を除去する機能を有するものが知られている。
例えば特許文献1には、活性炭が充填された前処理部と、該前処理部の下流に設けられた濾過膜を有する濾過部とを有する浄水器が開示されている。該浄水器によれば、原水を前処理部によって粗濾過した後、濾過部によって膜濾過することで、原水を濾過(浄水)する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−326065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のように、活性炭で粗濾過した後に濾過膜で膜濾過する浄水装置の場合、活性炭により大半の汚濁物質等の固形物を除去できるので、濾過膜は比較的に目詰まりしにくく洗浄の手間が省けるものの、活性炭は目詰まりを起こしやすく、使用するに連れて濾過性能が低下しやすかった。
濾過性能の回復には活性炭をカートリッジ式の容器に充填した使い捨てとし、必要に応じて交換すれば解決できるが、コストアップや交換に手間がかかるという問題があった。また、環境問題や省資源の面で使い捨ては必ずしも好ましいものではない。
【0006】
また、濾過性能を回復するために、原水等の洗浄水を活性炭に逆流させて洗浄(逆洗)する方法も知られている。逆洗することで活性炭の寿命が伸び、コストや交換回数を軽減できる。
しかし、活性炭を逆洗するためには洗浄水を供給したり排出したりできるようにラインを増設したりラインの切り替え手段を設置したりする必要があり、大掛かりになりやすかった。
【0007】
ところで、原水のカルキ臭を除去するためには残留塩素を除去する必要があるが、残留塩素が除去された処理水は細菌類によって再汚染される場合がある。特に、特許文献1に記載のように、処理水を供給する前に一旦タンクに貯水する場合、貯水中に処理水が汚染されることがあった。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、コンパクトで簡易な構成であり、かつ細菌の繁殖を抑制して処理水の汚染を防止できる浄水システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の浄水システムは、濾過膜を備えた第一の浄水器を有する前濾過手段と、該前濾過手段の下流に設けられ、活性炭が充填された第二の浄水器からなる後濾過手段と、前記第二の浄水器を透過した透過水の汚染を防止する逆汚染防止手段と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、コンパクトで簡易な構成であり、かつ細菌の繁殖を抑制して処理水の汚染を防止できる浄水システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の浄水システムの一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明の浄水システムの他の例を示す概略構成図である。
【図3】フラッシング工程時の原水等の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
[浄水システム]
図1は、本発明の浄水システムの一例を示す概略構成図である。この浄水システム1は、水道などから供給される原水を濾過する第一の浄水器11を有する前濾過手段10、および第二の浄水器21からなる後濾過手段20と、第二の浄水器21を透過した透過水の汚染を防止する逆汚染防止手段30と、第一の浄水器11に原水を供給する原水供給ライン40と、第一の浄水器11を透過した透過水を第二の浄水器21に移送する第一の移送ライン50と、第二の浄水器21を透過した透過水を逆汚染防止手段30に移送する第二の移送ライン60と、逆汚染防止手段を通過した透過水を移送する第三の移送ライン70を具備して概略構成されている。
【0013】
前濾過手段10は、濾過膜11aを備えた第一の浄水器11を有する。
濾過膜11aとしては、限外濾過膜、精密濾過膜、ナノ濾過膜など、浄水システムで通常使用される濾過膜を使用できる。中でも限外濾過膜が好ましい。
濾過膜11aの形状としては、中空糸膜、平膜、チューブラー膜、スパイラル膜などが挙げられる。これらは0.1μm以上の汚濁物質(ゴミ)や、細菌類およびウィルス等の通過を容易に阻止できるので濾過膜として好適であるが、中でも中空糸膜が好ましく、例えばセルロース系、ポリオレフィン系、ポリビニルアルコール系、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)系、ポリスルフォン系など、各種材科からなる中空糸膜を使用するのが好ましい。特に、ポリエチレン等の強伸度の高い材質からなる中空糸膜を使用することが好ましい。
また、濾過膜11aとして中空糸膜を用いる場合、その孔径(濾過精度)、濾過面積、膜厚、外径等は特に限定されるものではないが、例えばその孔径は0.01〜0.1μm、濾過面積は0.2〜10m、膜厚は5〜300μm、外径は20〜2000μm、空孔率は20〜90%とされる。
【0014】
後濾過手段20は、前濾過手段10の下流に設けられ、活性炭21aが充填された第二の浄水器21からなる。
第二の浄水器21は、図1に示すように内部が2枚の蓋材21bにより仕切られ、2枚の蓋材21bの間には活性炭21aが充填されている。
蓋材21bは、通水性を有し、かつ第一の浄水器11にてゴミや鉄錆等を除去しきれなかった場合に、これらを除去するため、および活性炭の流出を防ぐためのものである。蓋材21bとしては、例えば不織布フィルタ、焼結フィルタ、金属またはプラスチックのネット等が挙げられる。
活性炭21aは、後濾過手段20の第二の浄水器21を透過する透過水から残留塩素や、カルキ臭、カビ臭、トリハロメタン、金属イオン等を除去するものである。活性炭21aとしては、例えば粒状活性炭、粉状活性炭、繊維状活性炭等の吸着剤が挙げられる。
【0015】
図1に示す逆汚染防止手段30は、後濾過手段20の下流に設けられ、濾過膜31aを備えた第三の浄水器31からなる。
濾過膜31aとしては、前濾過手段10の説明おいて先に例示した濾過膜11aと同じものを例示することができる。
【0016】
原水供給ライン40は、前濾過手段10の第一の浄水器11に原水を供給するものであり、第一の浄水器11の原水入口11bに接続している。
原水供給ライン40は、途中に開閉弁41が設置されている。また、図1に示すように必要に応じて減圧弁42を取り付けてもよい。
開閉弁41としては、電磁弁など、浄水システムで通常使用される弁を使用できる。開閉弁41は制御部(図示略)からの制御指令に基づいて開閉が制御され、原水の供給および停止を切り替える。なお、開閉弁41は手動で開閉して、原水の供給および停止を切り替えることもできる。
減圧弁42は、原水の水圧を調節するものであり、特に原水の水圧が高い場合に取り付けられる。減圧弁32としては、浄水システムで通常使用される弁を使用できる。
【0017】
第一の移送ライン50は、第一の浄水器11の濾過膜11aを透過した透過水を後濾過手段20の第二の浄水器21に移送するものであり、一端が第一の浄水器11の透過水出口11cに接続し、他端が第二の浄水器21の透過水入口21cに接続している。
【0018】
第二の移送ライン60は、第二の浄水器21を透過した透過水を逆汚染防止手段30の第三の浄水器31に移送するものであり、一端が第二の浄水器21の透過水出口21dに接続し、他端が第三の浄水器31の透過水入口31bに接続している。
【0019】
第三の移送ライン70は、第三の浄水器31を通過した透過水を移送するものであり、第三の浄水器31の透過水出口31cに接続している。
第三の移送ライン70には、途中に開閉弁71が設置されている。
開閉弁71としては、電磁弁など、浄水システムで通常使用される弁を使用できる。開閉弁71は制御部(図示略)からの制御指令に基づいて開閉が制御され、透過水の移送および停止を切り替える。なお、開閉弁71は手動で開閉して、透過水の移送および停止を切り替えることもできる。
【0020】
本発明の浄水システムは図1に示すものに限定されない。図1においては、第一の浄水器11および第三の浄水器31は、原水等が濾過膜の外側から内側に透過する、いわゆるアウト−イン方式を採用した浄水器であるが、例えば原水等が濾過膜の内側から外側に透過する、いわゆるイン−アウトを採用した浄水器でもよい。
【0021】
また、逆汚染防止手段30としては、上述した以外にも、例えば紫外線照射機などを使用することもできる。紫外線照射機を用いる場合は、紫外線を透過できる材質で第二の移送ライン60を作製し、該第二の移送ライン60内を通過する透過水に紫外線を照射できるように、第二の移送ライン60の途中に紫外線照射機を設けてもよい。
【0022】
さらに、本発明の浄水システムは、例えば図2に示すように、前濾過手段10に濾過膜11aをフラッシングするフラッシング機構12を設けてもよい。
なお、図2において、図1と同じ構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0023】
本発明の浄水システムは、濾過膜を備えた第一の浄水器により原水を濾過した後に、活性炭が充填された第二の浄水器によりさらに濾過する。従って、原水中の大半のゴミや、細菌類、ウィルス等は、最初に原水を濾過する第一の浄水器によって除去される。そのため、第二の浄水器の活性炭は比較的目詰まりしにくく、洗浄の手間が省ける。よって、第二の浄水器の活性炭を逆洗する必要がないので、本発明の浄水システムはコンパクトで簡易な構成となる。
ただし、第一の浄水器の濾過膜は最初に原水を濾過するので、濾過を続けるに連れて濾過膜の表面に除去物(汚れ)が付着し、濾過膜が目詰まりする場合がある。そのような場合は、図2に示すように前濾過手段10にフラッシング機構12を設けておけば、フラッシングにより濾過膜11aの表面に付着した汚れが除去されるので、濾過性能容易に回復できる。
【0024】
フラッシング機構12は、濾過膜11aをフラッシングした後の洗浄水を排出する洗浄水排出ライン12aと、該洗浄水排出ライン12aの途中に設置された開閉弁12bとからなる。
洗浄水排出ライン12aは、第一の浄水器11の洗浄水出口11dに接続している。
開閉弁12bとしては、電磁弁など、浄水システムで通常使用される弁を使用できる。開閉弁12bは制御部(図示略)からの制御指令に基づいて開閉が制御され、洗浄水の排出および停止を切り替える。なお、開閉弁12bは手動で開閉して、洗浄水の排出および停止を切り替えることもできる。
【0025】
本発明の浄水システムは、電源部(図示略)を外部の電源(コンセントなど)に接続して使用するが、電池駆動が可能となるように電源部に電池収納部を設けるのが好ましい。電池駆動が可能となれば、例えば停電時においても各開閉弁の開閉を自動制御できるようになる。
【0026】
また、浄水システムには、各開閉弁の開閉を自動制御から手動制御に切り替える切り替え機能や、手動で浄水システムの運転を開始し、自動で運転を停止できるオート機能(タイマー)を設けるのが好ましい。
さらに、浄水システムには、濾過膜や活性炭の交換時期を知らせる交換表示機能、電池の残量を知らせる電池残量警告機能、原水の水圧が著しく増大した場合にその旨を知らせる水圧警告機能などを設けるのが好ましい。
【0027】
本発明の浄水システムは、壁掛け型、据置き型、蛇口直結型、アンダーシンク型等のいずれの様式にも対応できるが、デザイン性や省スペースの面で壁掛け型の様式で使用するのが好ましい。
【0028】
[運転方法]
以下、本発明の浄水システムの運転方法の一例について、図2に示す浄水システム2を用い、操作に従って説明する。
【0029】
まず、濾過工程において原水を濾過する。
濾過工程では、開閉弁41および開閉弁71を開、開閉弁12bを閉とする。
濾過工程は、原水供給ライン40から供給される原水を前濾過手段10の第一の浄水器11、後濾過手段20の第二の浄水器21、逆汚染防止手段30の第三の浄水器31の順で通過させて濾過する。このとき、原水供給ライン40内の原水の水圧が高いと、第一の浄水器11に供給される原水の水量が増えるので、濾過膜11aが目詰まりしやすくなる傾向にある。水圧が高い場合は、減圧弁42により0.05〜0.5MPa程度の水圧になるように調整する。なお、浄水システムに上述した水圧警告機能を設けておけば、水圧が設定値よりも高くなると警告されるので、水圧が高くなりすぎたことに容易に気付くことができる。
【0030】
原水は第一の浄水器11の原水入口11bから流入し、濾過膜11aを透過して、透過水となって透過水出口11cから排出される。原水が透過膜11aを透過する際、ゴミ、細菌類、ウィルス等が除去される。排出された透過水は、第一の移送ライン50を通過し、後濾過手段20の第二の浄水器21に供給される。
透過水は第二の浄水器21の透過水入口21cから流入し、蓋材21bおよび活性炭21aを通過して、透過水出口21dから排出される。透過水が蓋材21bおよび活性炭21aを通過する際、残留塩素や、カルキ臭、カビ臭、トリハロメタン、金属イオン等が除去される。排出された透過水は、第二の移送ライン60を通過し、逆汚染防止手段30の第三の浄水器31に供給される。
透過水は第三の浄水器31の透過水入口31bから流入し、濾過膜31aを透過して、透過水出口31cから排出される。透過水が透過膜31aを透過することで、細菌類の繁殖等による汚染が防止される。排出された透過水は、第三の移送ライン70を通過し、浄水として給水栓(図示略)から供給される。
なお、図2において、原水および透過水の流れを矢印で示す。
【0031】
ついで、所定時間濾過工程を行った後、または所定量の原水を濾過した後、以下のようにして第一の浄水器11の濾過膜11aをフラッシング(膜洗浄)するフラッシング工程を行う。
ここで、図3にフラッシング時の原水等の流れを矢印で示す。なお、図3において、図1と同じ構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0032】
フラッシング工程では、開閉弁41および開閉弁12bを開、開閉弁71を閉とする。
フラッシング工程では、上述したように開閉弁12bと開閉弁71の開閉を切り替えて、図3に示すように原水を原水供給ライン40から前濾過手段10の第一の浄水器11に供給しつつ、透過水の排出(すなわち、原水の濾過)を停止すると共に、濾過膜11aをフラッシングして洗浄水を排出する。このとき、原水供給ライン40内の原水の水圧が高い場合は、減圧弁42により0.05〜0.5MPa程度の水圧になるように調整する。
【0033】
原水は第一の浄水器11の原水入口11bから流入し、第一の浄水器11内を通過する。この際、濾過膜11aがフラッシングされることで、濾過膜11aの表面に付着した汚れ等が原水によって洗い流される。
汚れを含んだ原水は、洗浄水となって洗浄水出口11cから排出される。洗浄水は排出ライン12aを通り、系外に排出される。
【0034】
フラッシング工程におけるフラッシング時間は10〜90秒が好ましい。フラッシング時間が10秒以上であれば、第一の浄水器11の濾過膜11aを十分にフラッシングできる。一方、フラッシング時間が90秒以下であれば、被給水場所への供給停止時間が短縮できると共に、洗浄時の水の使用量を低減できる。
フラッシング時間はロータリースイッチ(図示略)等により設定できる。
【0035】
フラッシング工程が終了した後は、そのまま濾過工程に移行できる。
上述した浄水システムの運転方法においては、濾過工程からフラッシング工程への切り替え(すなわち、各開閉弁の開閉)を制御する手段は特に制限されず、手動にて切り替えてもよいし、浄水システムに自動制御手段(制御部)を設け、自動制御にて切り替えてもよい。自動制御により、例えば浄水システムの起動時や深夜定刻時にフラッシング工程を行うことができる。
【0036】
以上説明したように本発明の浄水システムは、濾過膜を備えた第一の浄水器により原水を濾過した後に、活性炭が充填された第二の浄水器によりさらに濾過する。従って、原水中の大半のゴミや、細菌類、ウィルス等は、最初に原水を濾過する第一の浄水器によって除去される。そのため、第二の浄水器の活性炭は比較的目詰まりしにくく、洗浄の手間が省ける。よって、第二の浄水器の活性炭を逆洗する必要がないので、本発明の浄水システムはコンパクトで簡易な構成となる。
【0037】
なお、後濾過手段20の第二の浄水器21を透過した透過水は残留塩素が除去されるので、細菌類により再汚染される場合がある。また、特許文献1に記載のように、浄水装置には特定量の処理水(透過水)を供給するために、透過水を貯水するタンクが設けられるのが一般的である。そのため、タンクに貯水された透過水が細菌類により汚染されることがあった。
しかし、本発明の浄水システムは、後濾過手段の下流に逆汚染防止手段を備える。従って細菌の繁殖を抑制し、透過水の汚染を防止できる。さらに、本発明の浄水システムは処理能力の高い濾過膜を使用するので、十分な量の透過水を供給でき、透過水を貯水するタンクの設置を必要としない。そのため、タンク等に貯水してから透過水を供給するのではなく、逆汚染防止手段を通過した透過水を直接供給することができるので、より汚染リスクの少ない透過水を供給することができる。
【0038】
また、前濾過手段にフラッシング機構を設ければ、第一の浄水器の濾過膜が目詰まりした場合に、フラッシングにより汚れが除去されるので、濾過性能を容易に回復できる。
フラッシングは逆洗に比べてラインの増設等が少なくてすむため、よりコンパクトで簡易な構成の浄水システムとすることができる。
【0039】
ところで、逆洗を行うシステムでは、通常、濾過時の原水入口および出口と、洗浄時の洗浄水入口および出口が入れ替わる。そのため、例えば洗浄水として原水を用いる場合には、濾過されていない洗浄水(原水)が濾過時の原水出口(すなわち、原水が濾過され透過水として排出される側)から供給されることになり、濾過時の原水出口およびそれに接続されるラインが逆洗時に汚染される恐れがある。
しかし、前濾過手段にフラッシング機構を設け、濾過膜をフラッシングすることで濾過性能を回復させれば、フラッシング工程の際は、濾過工程と同じ入口(原水入口)から原水を第一の浄水器に供給し、透過水出口とは異なる出口(洗浄水出口)から洗浄水を排出できるので、濾過工程時に透過水が通過するラインが汚染されにくくなる。
【0040】
なお、本発明の浄水システムは、第一の浄水器により原水中の大半のゴミや、細菌類、ウィルス等が除去される。そのため、逆汚染防止手段として濾過膜を備えた第三の浄水器を用いた場合、第三の浄水器の濾過膜も目詰まりしにくいので、洗浄の手間が省ける。従って、逆汚染防止手段には、濾過膜をフラッシングするフラッシング機構を設ける必要がない。
【実施例】
【0041】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例]
図2に示す浄水システム2を用い、水道水の濾過を行った。
前濾過手段10の第一の浄水器11、および逆汚染防止手段30の第三の浄水器31としては、濾過膜として限外濾過膜(ガンブロ株式会社製の中空糸膜、「Polyfiux」、濾過面積:2.0m、濾過精度:0.01μm、膜厚:50μm、外径:215μm)を備える膜モジュールを用いた。
後濾過手段20としては、直径7cm、長さ20cmの円柱状の容器を用い、その内部を2枚の不織布で仕切り、その間に200gの粒状活性炭が充填された浄水器を用いた。
開閉弁12b、41、71としては、電磁弁(口径:3/8B、作動電圧:DC12V)を用いた。
【0042】
各開閉弁を自動制御により切り替え、各工程の条件を以下に示すように設定した。
原水(水道水)の供給量を2L/分に設定し、原水供給ライン40内の原水の水圧が0.2MPaになるように、減圧弁42にて調節した。
フラッシング工程のフラッシング時間を20秒に設定した。
【0043】
そして、浄水システムの運転を開始し原水を濾過した。そして、自動制御によりろ過積算流量が20L超でろ過運転終了後となった時点で、濾過工程からフラッシング工程へ切り替えた(すなわち、各開閉弁の開閉を自動制御により切り替えた)。そして、前濾過手段10の濾過膜11aをフラッシングした後、濾過工程に移行させた。この操作を240時間繰り返し行い、水道水を濾過した。
その結果、透過水が細菌の繁殖によって再汚染されることなく、原水を濾過し供給することができた。また、濾過膜を洗浄しても装置内が汚染されることはなかった。
【符号の説明】
【0044】
1:浄水システム、2:浄水システム、10:前濾過手段、11:第一の浄水器、11a:濾過膜、12:フラッシング機構、12a:洗浄水排出ライン、20:後濾過手段、21:第二の浄水器、21a:活性炭、30:逆汚染防止手段、31:第三の浄水器、31a:濾過膜、40:原水供給ライン、50:第一の移送ライン、60:第二の移送ライン、70:第三の移送ライン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾過膜を備えた第一の浄水器を有する前濾過手段と、
該前濾過手段の下流に設けられ、活性炭が充填された第二の浄水器からなる後濾過手段と、
前記第二の浄水器を透過した透過水の汚染を防止する逆汚染防止手段と、
を具備することを特徴とする浄水システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−104567(P2011−104567A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265362(P2009−265362)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(504346204)三菱レイヨン・クリンスイ株式会社 (57)
【Fターム(参考)】