説明

浄水装置

【課題】小型で単純且つ安価な構成により、水の使用目的に応じて、水質を優先する場合と水量を優先する場合とで、浄水の品質を簡単に切り替えることが可能な浄水装置を提供する。
【解決手段】逆浸透膜2を備えた浄水手段により原水から透過水と濃縮水とを分離生成し、そのうちの透過水を供給する浄水装置であって、逆浸透膜2に原水を供給する原水供給路11、透過水を外部に供給する透過水供給路22a、原水供給路11に設けられた活性炭フィルター1、活性炭フィルター1から逆浸透膜2をバイパスして透過水供給路22aへ合流させるバイパス経路22b、活性炭フィルター1のみからの給水と、逆浸透膜2も加えた給水とを切り替える三方弁SV4を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原水を処理して生成した浄水を供給する浄水装置に係り、特に、逆浸透膜を利用して高品質な水を提供する浄水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康や環境に対して関心が高まっており、浄水や純水を製造する水処理システムの研究、開発が進んでいる。水処理システムとは水道法上の上水や井水などを原水としてそこから不純物を取除いて純度の高い水を得るシステムであり、海水の淡水化プラントや、水不足時あるいは災害時の飲料水供給システムなどに不可欠である。
【0003】
なかでも、原水から不純物を除去する手段として、逆浸透膜(ReverseOsmosis、ROとも呼ばれている)を利用した水処理システムは、医療施設や食品加工施設、さらには半導体の洗浄を行う工場など、高度な衛生管理が要求される施設において高い需要を得ている。この逆浸透膜とは、0.0001〜0.0005ミクロンという超微細孔を有する人工的な半透膜であり、水分子だけを選択的に透過させることができるものである。そのため、原水に含まれるダイオキシンや重金属、ウィルスといった非常に微細な不純物までも、高い除去率で除去することができ、極めて安全性の高い純水を作り出すことが可能である。
【0004】
一般的に、逆浸透膜を利用してRO水を吐水する装置は、逆浸透膜の前に、幾つかの前処理を施した上で、最終的にRO水を得る仕組みであった。例えば、特許文献1には、プリフィルター、カーボンフィルターを経由して、逆浸透膜による浄化を行う浄水システムが提案されている。
【特許文献1】特許2620574号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、逆浸透膜を利用した浄水システムは、原水に圧力をかけることによって、膜の持つ分離能力により無機物または有機物のほとんどが除かれた水(以下、透過水という)と、反対にそれらが濃縮された水(以下、濃縮水という)とに、分離する目的で使用されるが、この処理は膜に対して原水側が加圧された状態においてのみ成立するものである。
【0006】
このため、逆浸透膜を経由させる場合には、他の浄水手段による場合に比べて、吐水の流量は少なくなる。一方、浄水の使用目的によっては、RO水のような高品質な水を必要とせず、大量の水を早期に得たい場合がある。例えば、飲料や調理用には、RO水を用いた方が望ましいが、食器洗浄や洗面等の場合には、RO水ほどの品質は要求されず、むしろ、水量を確保したいと考えられる。従って、低品質でも大量の水を得たい場合には、別付けの浄水器を使用するか、水道水を直接使用するしかなかった。
【0007】
また、逆浸透膜は、上記のような仕組みによるため、原水側の圧力を一定に維持する必要がある。稼動時には、原水側の濃縮水は排出されるが、原水側へ給水が行われているため、圧力を維持しやすい。しかし、水処理システムは常に継続して稼動しているわけではなく、状況に応じて停止する必要がある。例えば、家庭用の浄水装置として使用する水処理システムの場合には、水栓を閉じることにより、蛇口からの吐水を停止する。このような装置の停止時には、原水側の圧力の低下を防止するために、濃縮水の排水も停止する必要がある。
【0008】
これに対処するため、従来から、次のような方法が考えられていた。
(1)逆浸透膜への給水を止水することで、透過水および濃縮水を止水する
しかし、かかる方法では、給水元を止めるため、配管内やハウジング内の圧力緩衝構造によって、瞬時に水が止まるということはなかった。
【0009】
(2)透過水を止水した際、オートシャットオフバルブで給水を止水する
これは、特許文献1にも開示されているが、図16に示すように、逆浸透膜2の前に、オートシャットオフバルブ3の一方の経路32を経由させ、透過水の経路に、他方の経路31を経由させるものである。さらに、透過水の経路には、オートシャットオフバルブ3の手前から分岐して、透過水貯水用のタンク4が設けられていた。
【0010】
このように、タンク4を併設することは、小型化と給水開始直後の水量確保を目的とするものであり、家庭用の逆浸透膜浄水装置においては、当然の仕組みであった。
【0011】
かかる構成では、タンク4に一時貯水されたRO水が吐出利用された後、吐水口を閉とした途端に、透過水は水量の減じたタンク4に流れ込み、タンク4が満杯になった時点で、次にオートシャットオフバルブ3により原水給水が閉となり、機器全体が休止状態となる。
【0012】
しかし、オートシャットオフバルブ3は、水圧の変化に伴い開閉をするという構造上、4箇所ある接続口が同一寸法である。また、タンク4の内圧に逆行して貯留を行わせるという必要上、その配管口径は小さいことが要求されていた(全て1/4)。これは、タンク4への貯留には良好に働くが、給水量の確保という観点から見ると逆であり、大容量の水を通水することができなかった。
【0013】
(3)透過水の止水に合わせ、濃縮水または給水を電磁弁で止水する。
そもそも、タンクを用いることによっても大型化する上に、かかる方法では、電磁弁のスペースが必要となり、装置が大きくなる。さらに、装置が複雑化し、高価となり、電源も必要となる。特に、家庭内のように、スペース等が制約された環境には適さない。
【0014】
本発明は、このような従来技術が有する課題を解決するために提案されたものであり、その目的は、小型で単純且つ安価な構成により、水の使用目的に応じて、水質を優先する場合と水量を優先する場合とで、浄水の品質を簡単に切り替えることが可能な浄水装置を提供することにある。
【0015】
また、本発明の他の目的は、小型で単純且つ安価な構成により、装置の停止時に、逆浸透膜の原水側に圧力低下が生じない適切なタイミングで、濃縮水排出路を自動的に閉じることが可能な浄水装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するため、請求項1の発明は、逆浸透膜を備えた第1の浄水手段により原水から透過水と濃縮水とを分離生成し、そのうちの透過水を供給する浄水装置において、前記第1の浄水手段には、前記逆浸透膜に原水を供給する原水供給路と、前記透過水を外部に供給する透過水供給路とが設けられ、前記原水供給路には、第2の浄水手段が設けられ、前記第2の浄水手段からの経路は、前記第1の浄水手段への経路と、前記透過水供給路へ合流する経路とに分岐され、前記第2の浄水手段のみによる給水を受けるか、前記第2の浄水手段及び前記第1の浄水手段による給水を受けるかを切り替える切替手段が設けられていることを特徴とする。
【0017】
以上のような発明では、ユーザが高品質の浄水を得たい場合には、切替手段を切り替えて、第1の浄水手段及び第2の浄水手段からの給水を受けるようにし、低品質でも大量の水を得たい場合には、切替手段を切り替えて、第2の浄水手段のみからの給水を受けるようにすることが可能となるので、水質優先か水量優先かを選択できる。
【0018】
請求項2の発明は、請求項1の浄水装置において、前記第1の浄水手段には、前記濃縮水を外部に排出する濃縮水排出路が設けられ、前記透過水供給路と前記濃縮水排出路には、前記透過水供給路内の圧力に応じて、前記濃縮水排出路を開閉する弁を備えたオートシャットオフバルブが接続されていることを特徴とする。
【0019】
以上のような発明では、小型で単純且つ安価なオートシャットオフバルブを用いることにより、透過水供給路を閉じた時に、透過水供給路内の圧力が上昇して弁が自動的に閉じるので、弁を手動で閉じる手間がかからず、瞬時に排水を停止でき、圧力低下や無駄な排水を防止できる。
【0020】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の浄水装置において、前記切替手段は、止水位置と、前記第2の浄水手段のみによる給水位置と、前記第2の浄水手段及び前記第1の浄水手段による給水位置とを切り替え可能に構成されていることを特徴とする。
【0021】
以上のような発明では、止水による給水停止(濃縮水の排水停止も含む)と2種の浄水レベルの切り替えとを、一つの切替手段によって実現できるので、ユーザの操作が簡単であり、装置の小型化、簡略化が可能となる。
【0022】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項の浄水装置において、前記透過水供給路には、給水用の蛇口が接続され、前記切替手段は、蛇口近傍に設けられていることを特徴とする。
【0023】
請求項5の発明は、請求項1又は請求項2の浄水装置において、前記透過水供給路には、給水用の蛇口が接続され、前記蛇口近傍には、止水手段と前記切替手段が設けられていることを特徴とする。
【0024】
以上のような発明では、蛇口近傍において、止水による給水停止(濃縮水の排水停止も含む)と2種の浄水レベルの切り替えとを実現できるので、ユーザの操作が簡単となる。
【0025】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか1項の浄水装置において、前記第1の浄水手段は、円筒形状の第1の容器内に構成され、前記第2の浄水手段は、円筒形状の第2の容器内に構成され、前記第1の容器及び前記第2の容器は、水平方向で且つ上下に重なる位置に配置されていることを特徴とする。
【0026】
以上のような発明では、2つの円筒状の容器を水平方向で上下に重ねて配置することにより、所要スペースを少なくしつつ、安定した設置が可能となる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、本発明によれば、単純且つ安価な構成で、装置の停止時に、逆浸透膜の原水側に圧力低下が生じない適切なタイミングで、濃縮水排出路を自動的に閉じることが可能な浄水装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態という)について、図面を参照して具体的に説明する。本実施形態は、本発明の逆浸透膜を利用した水処理システムを、家庭用の浄水装置に適用したものである。
【0029】
〔第1の実施形態〕
〔全体構成〕
まず、第1の実施形態(以下、本装置とする)の構成を説明する。本装置は、図1の系統図に示すように、主として、水道水(原水)の供給路に、活性炭フィルター1と、逆浸透膜2を設置したものであり、逆浸透膜2からの透過水の経路と濃縮水の経路に、オートシャットオフバルブ3が設けられている。
【0030】
より具体的には、原水を供給する原水供給路11には、原水の供給又は遮断を行う逆止弁付ストップ弁SV1と、原水をろ過する活性炭フィルター1が設けられ、逆浸透膜2の入水側に接続されている。活性炭フィルター1と逆浸透膜2との間の原水供給路11は、後述する透過水供給路22aに合流するバイパス経路22bが分岐している。このバイパス経路22bには、定流量弁SV2が設けられている。
【0031】
逆浸透膜2の出水側には、透過水出口21と、濃縮水出口23が設けられている。この透過水出口21には、透過水供給路22aが接続されている。透過水供給路22aは、逆止弁SV3を介してオートシャットオフバルブ3の一方の経路に接続され、さらに、活性炭フィルター1からのバイパス経路22bに合流している。透過水供給路22aとバイパス経路22bとの合流点は、三方弁SV4(切替手段)を介して、蛇口(図示せず)へ向かう経路に接続されている。三方弁SV4は、切替レバーの操作によって、止水状態、活性炭フィルター1のみからの給水状態、活性炭フィルター1及び逆浸透膜2からの給水状態を切り替えられる構成となっている。
【0032】
また、逆浸透膜2の濃縮水出口23には、濃縮水排出路24が接続されている。この濃縮水排出路24は、オートシャットオフバルブ3の他方の経路に接続され、定流量弁SV5を介して、排水経路に接続されている。
【0033】
〔オートシャットオフバルブの構成〕
オートシャットオフバルブ3は、図2(A)(B)に示すように、通水用の平行な2つの経路31、32を有している。一方の経路31は、上述の透過水が通水する経路であり、他方の経路32は、上述の濃縮水が通水する経路である。そして、経路32には、経路31の内圧に応じて膨張し、経路32を開閉するゴム弁33が設けられている。
【0034】
〔レイアウト構成例〕
本実施形態を、キッチンの流し台(シンク)下の収納スペース(アンダーシンク)に設置した場合のレイアウトの一例を、図3〜図8を参照して説明する。なお、図3は正面図、図4は背面図、図5は右側面図、図6は左側面図、図7は平面図、図8は底面図である。
【0035】
すなわち、活性炭フィルター1は円筒状の容器C1内に構成され、逆浸透膜2は円筒形状の容器C2内に構成されている。容器C1及び容器C2は、略直方体形状のフレームF内に、水平方向に且つ上下に重なる位置に配置されて固定されている。また、オートシャットオフバルブ3は、背面側に配置されている。
【0036】
〔作用〕
次に、上記のような構成からなる本実施形態の作用について説明する。まず、ユーザが活性炭フィルター1及び逆浸透膜2による浄水を得る場合を説明する。初期状態においては、三方弁SV4の切替レバーは、止水状態にあり、その他の弁は開放されているものとする。
【0037】
この状態で、ユーザが、三方弁SV4の切替レバーを操作して、透過水供給路22aが通水するように蛇口を開くと、原水が活性炭フィルター1を通過して、塩素等が除去される。そして、所定の圧力を持って逆浸透膜2を透過することにより、重金属類、化学物質類、溶解物質等が除去された透過水と、濃縮水とに分離される。透過水は蛇口に供給され、濃縮水は、濃縮水排出路24を通って、排水される。
【0038】
次に、ユーザが、三方弁SV4の切替レバーを操作して、蛇口を閉じると、逆浸透膜2の透過水供給路22aが止水されることにより、透過水側の経路31の内圧が高くなる。これにより、図2(B)に示すように、オートシャットオフバルブ3内のゴム弁33が膨らみ、濃縮水側の経路32を遮断して止水する。
【0039】
なお、ユーザが、供給を受ける水の用途に応じて水質及び水量を変えたい場合には、三方弁SV4の切替レバーを操作して、バイパス経路22bが通水状態となるように切り替える。これにより、活性炭フィルター1のみからの透過水が、蛇口へ供給される。このとき、上記と同様に、逆浸透膜2の透過水供給路22aは止水されるので、透過水側の経路31の内圧が高くなり、オートシャットオフバルブ3内のゴム弁33が膨らみ、濃縮水側の経路32を遮断して止水する。
【0040】
〔効果〕
以上のように作用する本実施形態によれば、ユーザによる蛇口の閉止若しくは三方弁SV4の切り替えのみによって、濃縮水の排水も自動的に停止できるので、排水経路の弁を閉じる手間がかからず、適切なタイミングでゴム弁33が閉止され、急激な圧力低下を防止できる。また、無駄な排水も防止できる。
【0041】
また、オートシャットオフバルブ3を設けるだけで、浄水の供給や切り替えとともに、濃縮水の排水を閉止できるので、特別な駆動源や制御装置を設ける必要がない。そして、通常の水道圧のみで使用可能なため、タンク及びポンプを使用する必要がない。従って、小型且つ単純な構成で安価に製造でき、特別な消費電力も必要がない。これは、特に、家庭内のような制約された環境においても、適したものとなる。
【0042】
また、透過水の止水に対し、オートシャットオフバルブ3で濃縮水を止水する方法を、逆浸透膜2による透過後に行うので、吐水口からのオートシャットオフバルブ3までの距離が最短であり、緩衝用部材が無いため、瞬時に効果があり、極めて有効な全体止水方法となる。
【0043】
また、飲用や調理用のように、ユーザが高品質の浄水を得たい場合には、活性炭フィルター1と逆浸透膜2による浄水を受けるようにして、その他の用途で低品質でも大量の水を得たい場合には、三方弁SV4を切り替えて、活性炭フィルター1のみによる浄水を受けることができる。これにより、ユーザは、水質優先か水量優先かを、一台の浄水器にて容易に選択することが可能となる。なお、従来は、タンク貯水という方法による制約のため、オートシャットオフバルブ3の配管口径を制約せざるを得なかったが、本実施形態では、ダイレクトに給水するため、逆浸透膜2を経由する場合であっても、従来よりも大容量の通水が可能となる。
【0044】
また、止水による給水停止(濃縮水の排水停止も含む)と2種の浄水レベルの切り替えとを、一つの三方弁SV4によって実現できるので、ユーザの操作が非常に簡単となり、構成を簡略化できる。特に、三方弁SV4を蛇口近傍に設けることにより、ユーザは通常の蛇口の開け閉めと同じ操作で、全ての切り替えを実現できて便利である。三方弁SV4としては、市販の混合水栓を使用することができるので、装置のコンパクト化が実現できる。
【0045】
また、活性炭フィルター1と逆浸透膜2とを、上記のようなレイアウトとした場合には、2つの円筒状の容器C1、C2が水平方向で上下に重ねて配置されるので、所要スペースを少なくしつつ、安定した設置が可能となる。
【0046】
〔第2の実施形態〕
〔構成〕
次に、第2の実施形態を説明する。第2の実施形態は、基本的には、上記の第1の実施形態と同様の構成である。ただし、図9に示すように、活性炭フィルター1と逆浸透膜2の間の経路に、三方弁SV4を設けて、この三方弁SV4の切替レバーを切り替えることによって、活性炭フィルター1のみの浄水か、逆浸透膜2による浄化も加えるかを選択できるように構成されている。なお、図9において、SV6は弁、SV7は逆止弁である。弁SV6は、操作レバーによって、蛇口を開閉することができる。
【0047】
〔レイアウト構成例〕
本実施形態を、キッチンの流し台(シンク)の上(カウンタートップ)に設置し、蛇口と一体化させた場合のレイアウトの一例を、図10〜図16を参照して説明する。なお、図10は正面図、図11は背面図、図12は右側面図、図13は左側面図、図14は平面図、図15は底面図である。
【0048】
すなわち、本例では、上記の第1の実施形態と同様に、フレームF内に容器C1と容器C2が水平方向に且つ上下に重なる位置に配置されて固定されている。そして、フレームFには、蛇口Pが水平方向に回動可能に設けられるとともに、その近傍に、三方弁SV4の切替レバーL1、弁SV6の操作レバーL2が配設されている。
【0049】
〔作用〕
次に、上記のような構成からなる本実施形態の作用について説明する。まず、ユーザが活性炭フィルター1及び逆浸透膜2による浄水を得る場合を説明する。初期状態においては、弁SV6の操作レバーは止水状態にあり、三方弁SV4の切替レバーは、透過水供給路22aが通水する方向にある。この状態で、弁SV6の操作レバーを開くと、原水が活性炭フィルター1、逆浸透膜2を通過して、透過水と濃縮水とに分離される。透過水は蛇口に供給され、濃縮水は、濃縮水排出路24を通って、排水される。
【0050】
次に、ユーザが、弁SV6の操作レバーを操作して、蛇口を閉じると、逆浸透膜2の透過水供給路22aが止水されることにより、透過水側の経路31の内圧が高くなる。これにより、図2(B)に示すように、オートシャットオフバルブ3内のゴム弁33が膨らみ、濃縮水側の経路32を遮断して止水する。
【0051】
なお、ユーザが、供給を受ける水の用途に応じて水質を変えたい場合には、三方弁SV4の切替レバーを操作して、バイパス経路22bが通水状態となるように切り替える。これにより、弁SV6を開くと、活性炭フィルター1のみからの透過水が、蛇口へ供給される。このとき、逆浸透膜2への給水は停止するので、濃縮水の排水も停止する。
【0052】
〔効果〕
以上のように作用する本実施形態によれば、ユーザによる蛇口の閉止によって、濃縮水の排水も自動的に停止できるので、上記の第1の実施形態と同様の効果が得られる。特に、三方弁SV4及び弁SV6を蛇口近傍に設けることにより、ユーザは操作が容易となる。
【0053】
また、活性炭フィルター1と逆浸透膜2とを、上記のようなレイアウトとした場合には、2つの円筒状の容器C1、C2が水平方向で上下に重ねて配置されるので、カウンタートップに取り付けた場合、シンクと壁の間の狭いスペースに収まり、安定した設置が可能となる。
【0054】
〔他の実施形態〕
本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、上記のレイアウトで示した態様は、あくまでも例示である。従って、活性炭フィルターと逆浸透膜の上下の位置を逆にしてもよいし、上下ではなく水平方向に並べてもよい。活性炭フィルターと逆浸透膜の一方若しくは双方を縦置きとしてもよく、分離して配置してもよい。オートシャットオフバルブは、活性炭フィルターと逆浸透膜の近傍に設置してもよいし、分離して配置してもよい。
【0055】
第2の浄水手段としては、活性炭フィルターには限定されない。例えば、精密ろ過膜(マイクロフィルター:MF)、限外ろ過膜(ウルトラフィルター:UF)、ナノろ過膜(ナノフィルター:NF)等、現在又は将来において適用可能なあらゆる浄水手段が適用可能であり、その数や組合せも自由である(多段構成でもよい)。オゾン殺菌装置等の殺菌装置を組み合わせてもよいし、逆浸透膜を重ねて用いてもよい。従って、容器も二つには限定されず、これ以上となってもよい。さらに、上記の実施形態におけるオートシャットオフバルブを省略してもよいし、活性炭フィルターを省略する等により、逆浸透膜のみの浄水装置としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1の実施形態の構成を示す系統図である。
【図2】本発明の第1及び第2の実施形態におけるオートシャットオフバルブであり、(A)は通水状態、(B)は透過水止水状態をそれぞれ示す断面図である。
【図3】図1の実施形態のレイアウト例を示す正面図である。
【図4】図3の背面図である。
【図5】図3の右側面図である。
【図6】図3の左側面図である。
【図7】図3の平面図である。
【図8】図3の底面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態の構成を示す系統図である。
【図10】図9の実施形態のレイアウト例を示す正面図である。
【図11】図9の背面図である。
【図12】図9の右側面図である。
【図13】図9の左側面図である。
【図14】図9の平面図である。
【図15】図9の底面図である。
【図16】従来の逆浸透膜による浄水装置の一例を示す系統図である。
【符号の説明】
【0057】
1…活性炭フィルター
2…逆浸透膜
3…オートシャットオフバルブ
4…タンク
11…原水供給路
21…透過水出口
22a…透過水供給路
22b…バイパス経路
23…濃縮水出口
24…濃縮水排出路
31,32…経路
33…ゴム弁
C1,C2…容器
F…フレーム
P…蛇口
L1…切替レバー
L2…操作レバー
SV1…逆止弁付ストップ弁
SV2,SV5…定流量弁
SV3,SV7…逆止弁
SV4…三方弁
SV6…弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆浸透膜を備えた第1の浄水手段により原水から透過水と濃縮水とを分離生成し、そのうちの透過水を供給する浄水装置において、
前記第1の浄水手段には、前記逆浸透膜に原水を供給する原水供給路と、前記透過水を外部に供給する透過水供給路とが設けられ、
前記原水供給路には、第2の浄水手段が設けられ、
前記第2の浄水手段からの経路は、前記第1の浄水手段への経路と、前記透過水供給路へ合流する経路とに分岐され、
前記第2の浄水手段のみによる給水を受けるか、前記第2の浄水手段及び前記第1の浄水手段による給水を受けるかを切り替える切替手段が設けられていることを特徴とする浄水装置。
【請求項2】
前記第1の浄水手段には、前記濃縮水を外部に排出する濃縮水排出路が設けられ、
前記透過水供給路と前記濃縮水排出路には、前記透過水供給路内の圧力に応じて、前記濃縮水排出路を開閉する弁を備えたオートシャットオフバルブが接続されていることを特徴とする請求項1記載の浄水装置。
【請求項3】
前記切替手段は、止水位置と、前記第2の浄水手段のみによる給水位置と、前記第2の浄水手段及び前記第1の浄水手段による給水位置とを切り替え可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の浄水装置。
【請求項4】
前記透過水供給路には、給水用の蛇口が接続され、
前記切替手段は、蛇口近傍に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の浄水装置。
【請求項5】
前記透過水供給路には、給水用の蛇口が接続され、
前記蛇口近傍には、止水手段と前記切替手段が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の浄水装置。
【請求項6】
前記第1の浄水手段は、円筒形状の第1の容器内に構成され、
前記第2の浄水手段は、円筒形状の第2の容器内に構成され、
前記第1の容器及び前記第2の容器は、水平方向で且つ上下に重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の浄水装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2008−68243(P2008−68243A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−251876(P2006−251876)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(500161443)株式会社環境向学 (8)
【Fターム(参考)】