説明

浄水装置

【課題】長時間浄化効率を良好に維持することができ、メンテナンス性に優れること。
【解決手段】ウィングポンプ1の上流側に、導入管10で導入した水Xの殺菌を行う二酸化塩素を供給する二酸化塩素供給部20と、二酸化塩素が供給された水Xを濾過する濾過材31を有する第1の濾過部30を設け、ウィングポンプ1の下流側に、ウィングポンプ1から圧送された水Yを濾過する中空糸膜41を有する第2の濾過部40を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、そのままでは飲料水及び生活用水として利用できない河川、湖沼、ダム、貯め池、雨水、学校のプール、用水等の水を飲料水及び生活用水として利用できる水質にまで浄化する浄化装置に関するもので、特に、長時間浄化効率を良好に維持することができ、メンテナンス性に優れた浄水装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
災害等の非常事態で、水道や電力等のライフラインが断たれた場合、また、自治体等からも給水を受けることが困難な場合、各個人または各家庭は、自力で飲料水及び生活用水を確保しなければならない。
特許文献1は、手動式ポンプで吸引する河川や湖沼等の水に対して、次亜塩素酸カルシウム等による殺菌、活性炭・マイクロフィルタ等による濾過を行うことで、そのままでは飲料等に適さない河川や湖沼等の水を飲料水として利用可能な程度にまで浄化する浄化装置を提供している。この特許文献1の浄水装置は、手動式ポンプと殺菌装置を備えた濾過機を携帯用フレームに取付けてなるものであり、一人でも河川や湖沼等の水源地まで持ち運びができ、また、燃料や電力がない状態でもポンプを駆動させることができる。即ち、特許文献1では、水道、電力、輸送等のライフラインが完全に断たれた状況においても、河川や湖沼等の水を利用して飲料水を確保することができる技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−220567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1の浄水装置においては、河川や湖沼等に含まれている塵や砂等の小さな粒状物・粉状物を取り除くための濾過機が手動式ポンプの下流側に配置されているため、上記粒状物・粉状物が上記ポンプに吸い込まれて付着し、上記ポンプの吸引力や吐出力といった機能を短時間で低下させるという問題点があった。
また、特許文献1において、殺菌装置の位置が特定されていないため、例えば、殺菌装置が膜濾過装置の下流側に配置される場合も想定される。係る場合、濾過によって細菌を除去する中空糸膜などの膜濾過装置に大きな負担がかかるため、短時間で膜濾過装置の目詰まりが発生し膜濾過効率が低下する可能性がある。
即ち、特許文献1の浄水装置では、浄化効率の低下を招きやすく、メンテナンスを頻繁に行わなければならないので実用的でない。
【0005】
そこで、本発明は、かかる不具合を解決すべくなされたものであって、長時間浄化効率を良好に維持することができ、メンテナンス性に優れた浄水装置の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明に係る浄水装置は、水を吸引し、その吸引した水を圧送する人力駆動式の往復動ポンプの上流側に、前記往復動ポンプの吸引によって水源から水を導入する導入部と、前記導入部で導入した水の殺菌を行う二酸化塩素を供給する二酸化塩素供給部と、前記二酸化塩素が供給された水に含まれる次の濾過部の負荷を軽減する不純物を除去すると共に、前記二酸化塩素の含有量を減少させる濾過材を有する第1の濾過部とを配設し、前記往復動ポンプの下流側に、前記往復動ポンプから圧送された水を濾過する前記第1の濾過部の濾過材より細かい不純物を除去する中空糸膜を有し、前記往復動ポンプから圧送された水に含まれる、例えば、最大長または直径が0.1μm以上の不純物を除去する第2の濾過部と、前記第2の濾過部で濾過された水を排出する第1の排出部とを配設したものである。
【0007】
ところで、上記往復動ポンプとは、一定の空間容積にある水等の流体をピストンまたは翼板等の往復運動にて容積変化させることで、当該容積空間内で水等の流体を吸引したり、その吸引した水等の流体を圧送したりするものである。また、上記人力駆動式とは、手動または足踏みによる操作で上記ピストンまたは翼板等を往復運動させることである。そして、上記人力駆動式の往復動ポンプには、通常、ウィングポンプ、ピストンポンプ・プランジャポンプ(手押しポンプ)、ダイヤフラムポンプ等が採用される。
【0008】
上記導入部は、前記往復動ポンプの吸引によって水源から水を導入するものであり、通常、ホース等の管体が使用される。なお、当該管体は、前記人力駆動式の往復動ポンプの吸引による変形を防止できる耐圧のものを使用するのが好ましい。
また、上記水源は、本発明の浄水装置で浄化する水の供給源を意味するものである。なお、災害等の非常事態においては、上記水源として、河川、湖沼、ダム、貯め池、プール、用水路、下水道、雨水等が対象となる。
【0009】
上記二酸化塩素供給部は、前記導入部で導入した水の殺菌を行う二酸化塩素を前記導入部で導入した水に供給するものであり、前記導入部で導入した水に二酸化塩素を混入させることができれば、二酸化塩素を溶液の形態で供給してもよいし、粉体を含む固体の形態、また、例えば、水に溶解させることで二酸化塩素を発生する二酸化塩素発生剤で供給してもよい。
【0010】
上記第1の濾過部は、前記二酸化塩素が供給された水に含まれている不純物、例えば、砂や塵等の粒状物・粉状物の通過を阻止し、次の濾過部、即ち、第2の濾過部の中空糸膜の負荷を軽減すると共に、前記二酸化塩素の含有量を減少させることができるものであればよく、通常、粒状活性炭、繊維状活性炭、セラミックス、イオン交換樹脂、イオン交換繊維、不織布等の濾過材が使用される。また、2種以上の濾過材を適宜組み合わせて用いてもよく、当該濾過材は、通常、カートリッジ内に収容されて用いられる。なお、異なった種類や形状の濾過材を複数用いる場合には、効率よく濾過を行うために、導入部からの水が濾過性能の低い濾過材から濾過性能の高い濾過材へと順に通過すように当該濾過材を配設するのが望ましい。
【0011】
また、上記第2の濾過部は、前記往復動ポンプから圧送された水に含まれている少なくとも最大長または直径が0.1μm以上不純物、主に、粒状有害物質、細菌、鉄錆、濁り成分等を取り除くものであり、通常、外周面に0.1μm程度の孔を形成した中空糸状の超マイクロフィルタである中空糸膜が使用される。そして、当該中空糸膜は、中空糸膜内を被透過液側として中空糸膜外を透過液側とする内圧式、または、中空糸膜内を透過液側として中空糸膜外を被透過液側とする外圧式のどちらで使用してもよい。なお、当該中空糸膜には、通常、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、ポリフェニレンスルホン等の素材が使用される。
【0012】
そして、前記往復動ポンプから圧送された水に含まれる不純物の除去の対象は、最大長または直径が0.1μm以上との意義は、その対象がフィルタの能力であるから、篩径の意味で直径0.1μm以上と規定するものである。したがって、平均粒子径を意味するものではなく、直径0.1μm未満の孔を通過しない不純物の外径を意味する。不純物が異形であることから、直径0.1μm未満の孔をその径よりも1割も小さい不純物が通過しない場合もあり得る。そのため、直径0.1μm未満の孔を通過しない不純物は、長さも要件となることから、本発明を実施する場合の規定として、最大長または直径が0.1μm以上の不純物の除去と定めたものである。なお、正確に0.1μmを議論する数値ではない。
【0013】
請求項2の発明に係る浄水装置は、更に、前記往復動ポンプから圧送された水を排出する第2の排出部を、前記往復動ポンプと前記第2の濾過部との間から分岐して配設したものであり、前記往復動ポンプから圧送された水が前記第2の濾過部を介さずに外部へと排出されるようにしたものである。
なお、上記往復動ポンプから圧送された水を排出するとは、前記往復動ポンプから圧送された水を第2の濾過部を通過させることなく排出するという意味である。
【0014】
請求項3の発明に係る浄水装置は、更に、切換手段によって、前記往復動ポンプから圧送された水が前記第1の排出部または前記第2の排出部のどちらか一方から排出されるように前記往復動ポンプから圧送された水の流れを切換えるものである。
【0015】
ここで、上記切換手段は、効率的に浄化度合いの異なる水が得られるように前記往復動ポンプから圧送された水の流れを切換え、前記の往復動ポンプから圧送された水の前記第1の排出部または前記第2の排出部のどちらか一方からの排出を可能とするものであればよく、例えば、開閉弁、切換弁等が採用される。
【0016】
請求項4の発明に係る浄水装置において、前記切換手段は、前記往復動ポンプ側を前記第2の濾過部側または前記往復動ポンプ側を前記第2の排出部側のどちらか一方に選択的に接続する切換自在な切換弁としたものであり、切換弁の切換操作によって、前記往復動ポンプから圧送された水が前記第1の排出部または前記第2の排出部のどちらか一方から排出されるように前記往復動ポンプから圧送された水の流れを切換えるものである。
ここで、上記切換弁は、浄水を前記第1の排出部から排出する際または浄水を前記第2の排出部から排出する際の設定条件が不明であっても、切換弁が何れかに設定されていれば、前記往復動ポンプの負荷を増大することなく、使用可能となるように、また、人為的なミスが介在しないように、切換えるものである。
なお、本発明を実施する場合には、前記往復動ポンプから圧送された水の前記第1の排出部または前記第2の排出部のどちらか一方からの排出を可能とするように前記往復動ポンプから圧送された水の流れを切換えることができれば、前記切換手段を前記往復動ポンプ側と前記第1の排出部側との間または前記往復動ポンプ側と前記第2の排出部側との間に配設される開閉弁とすることもできる。
【0017】
請求項5の発明に係る浄水装置は、更に、洗浄手段によって、前記第1の濾過部に浄水時とは逆方向、即ち、前記第1の濾過部の浄水時における下流側から上流側に洗浄水を流し、前記第1の濾過部の洗浄を行うものである。
【0018】
ここで、上記洗浄手段は、洗浄水を前記第1の濾過部に浄水時とは逆方向に流し、前記第1の濾過部の洗浄を行うものであり、前記第1の濾過部の濾過材の目詰まりを低減して濾過性能を回復させることができればよい。例えば、前記往復動ポンプまたはそれとは異なる前記第1の濾過部の下流側に接続させるポンプを使用し、洗浄水を吸引したのち、当該洗浄水を前記第1の濾過部に浄水時とは逆方向に圧送することによって、前記第1の濾過部の洗浄を行うことができる。しかし、本発明を実施する場合には、装置の軽量化を図るため、上記洗浄手段は、浄水を得る際には、前記第1の濾過部、前記往復動ポンプ、前記第2の濾過部の順序で、または、前記第1の濾過部、前記往復動ポンプ、前記第2の排出部の順序で水を流し、また、洗浄の際には、前記往復動ポンプに導かれた水によって前記第1の濾過部の内部を逆流させるものが好ましい。なお、ここで云う前記往復動ポンプに導かれた水によって前記第1の濾過部の内部を逆流させるとは、少なくとも、前記往復動ポンプで加圧された水を前記第1の濾過部30側に逆流させる経路が存在することを意味するものであり、切換弁や浄水時とは異なる管路を設けることを意味するものではなく、逆な流れを形成できればよい。なお、上記洗浄水とは、前記第1の濾過部の濾過材を洗浄する水を意味するものであり、本発明を実施する場合には、前記第1の排出部または第2の排出部で排出された水を洗浄水として使用することもできる。
【0019】
請求項6の発明に係る浄水装置は、更に、前記導入部の先端に取り付けられるストレーナによって、水底からその導入口を所定の距離離し、前記導入部に導入される水を濾過するものであるが、上記ストレーナは、水源の水に含まれる泥、木の葉、小石等の比較的大きな異物が前記導入部の導入口に導入されるのを阻止することができるものであればよく、市販のポンプ用ストレーナ等を用いてもよい。
【0020】
請求項7の発明に係る浄水装置において、前記第1の濾過部は、銀添着活性炭、セラミックス、イオン交換樹脂の何れか1つ以上からなる濾過材で、カートリッジに収納され、交換自在としたものである。
【0021】
ところで、上記銀添着活性炭は、塩素、カビ臭、非イオン性不純物、農薬等を取り除くものであり、抗菌性を持たせるために銀が付着してあればよく、例えば、ヤシガラ、骨、木等の天然物活性炭またはピッチ系、石油コークス系、樹脂・ゴム系等の合成活性炭にメッキ等で銀を付着したものが使用される。なお、粉状、粒状、繊維状等のいずれの形態であってもよく、これらを複数組み合わせて用いてもよい。
また、セラミックスは、金属イオンを取り除くものであり、通常、フッ石或いは合成フッ石系セラミックス、アルミナ系セラミックス、シリカ系セラミックス等が用いられる。
更に、上記イオン交換樹脂は、重金属、カビ臭、硝酸性窒素などを取り除くものであり、カチオンイオン交換樹脂またはアニオンイオン交換樹脂のいずれであってもよい。
【0022】
請求項8の発明に係る浄水装置において、前記二酸化塩素供給部は、前記導入部で導入した水に溶解させることで二酸化塩素を発生する二酸化塩素発生剤と、当該二酸化塩素発生剤を供給する供給口を有し当該二酸化塩素発生剤を収容するケーシングと、当該ケーシングの供給口を開閉自在とする透明の材料からなる蓋体とからなり、当該ケーシングの底部をメッシュ状に構成して前記第1の濾過部に内装したものである。
【0023】
ここで、上記ケーシングの底部に形成されるメッシュは、ケーシング内外に貫通する所定の小孔を多数形成したものであるが、本発明を実施する場合には、ケーシング内外の水の通過を許容することができるものであれば、上記ケーシングの底部をスリット状に形成することもできる。
また、上記蓋体を構成する透明の材料としては、通常、透明のガラス材料またはプラスチック等の合成樹脂材料が使用されるが、本発明を実施する場合には、上記蓋体を取り外すことなく、上記ケーシング内の二酸化塩素発生剤の残存量、混入状態を視認することができれば、上記蓋体を半透明の材料で構成することもできる。
【0024】
請求項9の発明に係る浄水装置において、前記二酸化塩素供給部は、所定濃度の二酸化塩素水溶液と、当該二酸化塩素水溶液を収容する透明の材料からなるケーシングと、当該ケーシングに収容された二酸化塩素水溶液を前記導入部で導入した水に注入する注入部とからなるものである。
なお、上記二酸化塩素水溶液は、水に溶解させることで二酸化塩素を発生する二酸化塩素発生剤を使用して調製することもできるし、亜塩素酸ナトリウムと次亜塩素酸ナトリウムと塩酸とを反応させて調製することもできる。また、上記二酸化塩素水溶液は、通常、ポンプまたは点滴方式等によって前記導入部で導入した水に注入される。
そして、上記ケーシングを構成する透明の材料としては、通常、透明のガラス材料またはプラスチック等の合成樹脂材料が使用されるが、本発明を実施する場合には、外部から上記ケーシング内の二酸化塩素水溶液の残存量を視認することができれば、上記ケーシングを半透明の材料で構成することもできる。
【0025】
請求項10の発明に係る浄水装置は、更に、前記往復動ポンプを組み付ける搬送時に把持する把持部を有する架台フレームを具備するものである。
ところで、上記架台フレームは、地面に立設可能で、持ち運びを容易にするために使用者が手で把持する把持部を有するものであればよく、その形態は特に問われるものではない。
【0026】
請求項11の発明に係る浄水装置において、前記架台フレームは、1個以上のキャスタを具備するものであり、把持部を持って押したり引いたりすることで地面の上を移動可能とするものである。なお、静置状態において、その動きが規制されるように、キャスタにはストッパを設けるのが望ましい。または搬送時と使用時とによって状態が変化するのが望ましい。
【0027】
請求項12の発明に係る浄水装置において、前記架台フレームには、搬送時に背負う背負部を有するものであるが、上記背負部は、持ち運びを容易にするために使用者が両腕を通すことができるものであればよく、その形態は特に問われるものではない。
【発明の効果】
【0028】
請求項1の発明の浄水装置によれば、水を吸引し、その吸引した水を圧送する人力駆動式の往復動ポンプの上流側に、前記往復動ポンプの吸引によって水源から水を導入する導入部と、前記導入部で導入した水の殺菌を行う二酸化塩素を供給する二酸化塩素供給部と、前記二酸化塩素が供給された水に含まれる比較的大きな不純物を除去する第1の濾過部とが配設されているため、往復動ポンプを人力で駆動させると、導入部にて水源から水が導入される。そして、導入部にて導入された水は、二酸化塩素供給部で供給される二酸化塩素にて殺菌され、更に、第1の濾過部にて比較的大きな不純物を除去されたのち、往復動ポンプに吸い込まれる。
【0029】
また、前記往復動ポンプの下流側に、前記往復動ポンプから圧送された水を濾過する前記第1の濾過部の濾過材より細かい不純物を除去する中空糸膜を有し、前記往復動ポンプから圧送された水に含まれる少なくとも最大長または直径が0.1μm以上の不純物を除去する第2の濾過部と、前記第2の濾過部で濾過された水を排出する第1の排出部とが配設されているため、往復動ポンプから圧送された水は、第2の濾過部の中空糸膜にて、例えば、最大長または直径が0.1μm以上の不純物を除去されたのち、第1の排出部にて排出される。
【0030】
したがって、ポンプの詰まりの原因となる粒状物、汚泥等は第1の濾過部にて除かれ、ポンプの詰まりの原因となる粒状物、汚泥等が直に往復動ポンプ内に入りこむことはないため、長時間使用しても往復動ポンプが詰まることはなく、往復動ポンプの吸引力や吐出力といった機能が長時間維持される。
【0031】
また、第2の濾過部の中空糸膜による濾過、即ち、除菌に先立って、二酸化塩素供給部による二酸化塩素の供給が行われており、第2の濾過部の濾過の前段階で水源からの水に含まれる細菌が低減するため、第2の濾過部の中空糸膜の負担を軽減することができる。加えて、二酸化塩素による殺菌は、水の殺菌の主流である次亜塩素酸による殺菌と比較して低濃度でも高い殺菌力や残留効果を得ることができることから、次亜塩素酸で殺菌する場合と比較して、第2の濾過部の中空糸膜の負担をより軽減することができる。
更に、第1の濾過部の濾過材による濾過に先立って、二酸化塩素供給部による二酸化塩素の供給が行われており、濾過の後に二酸化塩素の供給を行う場合と比較して、第1の濾過部への細菌の付着が低減されるため、使用後数時間の通水停止状態となったときの第1の濾過部における細菌の繁殖を低減することができる。故に、通水再開時に第1の濾過部で繁殖した細菌を含んだ水が第2の濾過部に到達することによる第2の濾過部の中空糸膜の負担の増大を軽減することができる。
【0032】
このように、請求項1の発明の浄水装置は、人力駆動式の往復動ポンプの上流側に第1の濾過部を配置しているため、往復動ポンプを詰まらせることはない。また、水を吸引し、その吸引した水を圧送するポンプとして吸い上げ・押し上げ力に優れる往復動ポンプを使用しているため、圧力損失を招く第1の濾過部を往復動ポンプの上流側に配設しても十分な浄化効率を得ることができる。更に、第2の濾過部の負担が軽減されるように設計されているため、第2の濾過部における濾過効率を長時間良好に維持することができる。
故に、請求項1の発明の浄水装置によれば、浄化効率を長時間良好に維持することができ、また、メンテナンス性を向上させることができる。
【0033】
請求項2の発明の浄水装置によれば、前記往復動ポンプから圧送された水を排出する第2の排出部を、前記往復動ポンプと前記第2の濾過部との間から分岐しているため、請求項1の効果に加えて、前記往復動ポンプから圧送された水を前記第2の濾過部を介さずに第2の排出部にて排出させることができ、同水源の水から浄化度合の異なる水を得ることができる。
【0034】
請求項3の発明の浄水装置によれば、前記往復動ポンプから圧送された水が前記第1の排出部または前記第2の排出部のどちらか一方から排出されるように前記往復動ポンプから圧送された水の流れが切換えられるため、請求項2の効果に加えて、効率的に浄化度合いの異なる水を得ることができるし、水源の水質に応じて浄化度合いを選択することもできる。特に、飲料水ほどの水質を必要としない生活用水を得たいときなど前記中空糸膜による濾過を必要としない場合に前記中空糸膜の無駄な使用を回避できるため、経済的である。また、前記中空糸膜の長寿命化や、前記第2の濾過部における良好な濾過効率の維持も図ることができる。特に、切換手段を切換弁とすると、その全体の操作を間違えても、切換弁が閉塞しないので、前記往復動ポンプの負荷が過大になる可能性がない。更に、その切換操作が非常に分かり易く、極めて容易である。また、前記往復動ポンプからの水が前記第2の濾過部または前記第2の排出部のどちらか一方にのみに圧送されることになるため、前記第2の濾過部の使用を最小限に抑えることも可能である。
【0035】
請求項4の発明の浄水装置によれば、前記切換手段は、前記往復動ポンプ側を前記第2の濾過部側または前記往復動ポンプ側を前記第2の排出部側のどちらか一方に選択的に接続する切換弁としたことから、1つの切換弁の操作で前記往復動ポンプから圧送された水の流れが切換えられ、前記往復動ポンプから圧送された水が前記第1の排出部または前記第2の排出部のどちらか一方から排出される。即ち、切換弁の操作1つで第2の濾過部の使用の有無の切換えが行われる。したがって、請求項3の効果に加えて、その切換操作が非常に分かり易く、極めて容易である。また、前記往復動ポンプからの水が前記第2の濾過部または前記第2の排出部のどちらか一方に圧送されることになるため、前記第2の濾過部の使用を最小限に抑えることも可能である。そして、切換弁とすると、その全体の操作を間違えても、切換弁が閉塞しないので、前記往復動ポンプの負荷が過大になる可能性がない。
【0036】
請求項5の発明の浄水装置によれば、前記第1の濾過部に浄水時とは逆方向に洗浄水を流すことで前記第1の濾過部の洗浄が行われるため、請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の効果に加えて、前記第1の濾過部の濾過材の目詰まりを低減して濾過性能を回復させることができ、前記第1の濾過部における濾過効率を長時間良好に維持することができる。また、第1の濾過部の濾過材を長持ちさせることもできる。
【0037】
請求項6の発明の浄水装置によれば、前記導入部の先端に、水底から導入口を所定の距離離すことにより、前記導入部で導入される水を濾過するストレーナが取り付けられているため、水源の水に含まれる泥、木の葉、小石等の比較的大きな異物が前記導入管に導入されるのが阻止される。したがって、請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の効果に加えて、水源の水に含まれる泥、木の葉、小石等の比較的大きな異物が前記導入管に詰まって浄化効率が極端に悪くなるのを防ぐことができる。
【0038】
請求項7の発明の浄水装置によれば、前記第1の濾過部は、銀添着活性炭、セラミックス、イオン交換樹脂の何れか1つ以上からなる濾過材で、カートリッジに収容され、交換自在としたものであるため、請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載の効果に加えて、水源の水質や使途に応じて最適な前記第1の濾過部の濾過材を選択できる。
更に、銀添着活性炭からなる濾過材は、塩素分解除去能を有するが、抗菌性の銀が添加されているため、銀が添着されていない活性炭からなる濾過材と比較して、使用後の雑菌の繁殖を低減することができる。また、セラミックス、イオン交換樹脂からなる濾過材においても、塩素の分解除去能を有さないため、前記二酸化塩素の残留塩素の一部を当該濾過材に残留させることができ、使用後の雑菌の繁殖を低減することができる。
【0039】
請求項8の発明の浄水装置によれば、前記二酸化塩素供給部は、前記導入部で導入した水に溶解させることで二酸化塩素を発生する二酸塩素発生剤によって二酸化塩素を供給するため、請求項1乃至請求項7の何れか1つに記載の効果に加えて、二酸化塩素水溶液の形態で供給する場合と比較して、減溶化を図ることができ、単純な構成で二酸化塩素を供給することができる。また、錠剤となっているため、補充、運搬等の取り扱いが容易である。
また、二酸化塩素発生剤を収容するケーシングの底部はメッシュ状に構成され、前記第1の濾過部に内装されるため、前記第1の濾過部の濾過材によって濾過される前の水が前記第1の濾過部に滞留し、その水位が前記ケーシングの底部にまで達している場合には、その滞留水にも前記二酸化塩素発生剤が溶解する。したがって、短時間で多くの二酸化塩素を導入管からの水に供給することができるため、当該水の殺菌率をより高めることができる。
加えて、ケーシングの開口部を開閉自在とする蓋体が透明の材料からなるため、蓋体を取り外すことなく二酸化塩素発生剤の残存量、混入状態を視認することができる。
【0040】
請求項9の発明の浄水装置によれば、前記二酸化塩素供給部は、所定濃度の二酸塩素水溶液によって二酸化塩素を供給するため、請求項1乃至請求項7の何れか1つに記載の効果に加えて、二酸化塩素を固体の形態で供給する場合と比較して、供給する二酸化塩素の濃度の調整が容易である。
また、二酸化塩素水溶液を収容するケーシングが透明の材料からなるため、二酸化塩素水溶液の残存量を外部から視認することができる。
【0041】
請求項10の発明の浄水装置によれば、前記往復動ポンプを組み付ける搬送時に把持する把持部を有する架台フレームを具備することから、使用者が把持部を把持してその搬送作業をすることができ、更には、その搬送中に前記往復動ポンプが架台フレームからずれたり外れたりするのを防ぐことができる。故に、請求項1乃至請求項9の何れか1つに記載の効果に加えて、その搬送作業を容易にすることができる。
【0042】
請求項11の発明の浄水装置によれば、前記搬送時に把持する把持部を有する架台フレームは、更に、1個以上のキャスタを具備するため、使用者が把持部を把持して押したり引いたりすることで、地面の上を移動させることができる。故に、請求項10の効果に加えて、その搬送作業を一段と容易にすることができる。
【0043】
請求項12の発明の浄水装置によれば、前記架台フレームは、搬送時に背負う背負部を有することから、請求項10または請求項11に記載の効果に加えて、使用者が背負ってその搬送作業をすることができる。また、両手をフリーにすることで階段や梯子等を登って搬送作業をすることもできるようになるため、移動が自由となる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は本発明の実施の形態1の浄水装置の浄水時における全体の概略構成を示す流体回路図で、浄水を第1の排出部から排出する流体回路図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態1の浄水装置の浄水時における全体の概略構成を示す流体回路図で、浄水を第2の排出部から排出する流体回路図である。
【図3】図3は本発明の実施の形態1の浄水装置の第1の濾過部の洗浄時における全体の概略構成を示す流体回路図で、洗浄水が第1の排出部を通過する流体回路図である。
【図4】図4は本発明の実施の形態1の浄水装置の第1の濾過部の洗浄時における全体の概略構成を示す流体回路図で、洗浄水が第2の排出部を通過する流体回路図である。
【図5】図5は本発明の実施の形態1の浄水装置の正面図である。
【図6】図6は本発明の実施の形態1の浄水装置の右側面図である。
【図7】図7は本発明の実施の形態1の浄水装置のストレーナの正面図である。
【図8】図8は本発明の実施の形態1の浄水装置の二酸化塩素供給部及び第1の濾過部を説明するための要部拡大断面図である。
【図9】図9は本発明の実施の形態1の浄水装置の第2の濾過部及びその周辺部を説明するための説明図であり、(a)は第2の濾過部及びその周辺部の平面図、(b)は(a)のA−A切断線による第2の濾過部及びその周辺部の正面断面図、(c)は(a)のB−B切断線による第2の濾過部及びその周辺部の正面断面図、(d)は(a)のC−C切断面による第2の濾過部及びその周辺部の左側面断面図である。
【図10】図10は本発明の実施の形態1の浄水装置の洗浄手段を説明するための説明図であり、(a)本発明の実施の形態1の浄水装置の外観右側面図、(b)は本発明の実施の形態1の浄水装置の浄水時における切換弁の右側面断面図、(c)は本発明の実施の形態1の浄水装置の浄水時における切換弁の右側面図、(d)は本発明の実施の形態1の浄水装置の第1の濾過部の洗浄時における切換弁の右側面断面図、(e)は本発明の実施の形態1の浄水装置の第1の濾過部の洗浄時における切換弁の右側面図である。
【図11】図11は本発明の実施の形態1の浄水装置の洗浄手段としての切換弁の変形例を説明するための説明図であり、(a)は浄水時におけるその切換弁の断面図(b)は第1の濾過部の洗浄時におけるその切換弁の断面図である。
【図12】図12は本発明の実施の形態1の浄水装置の架台フレームの変形例を説明するための説明図である。
【図13】図13は本発明の実施の形態2の浄水装置の浄水時における全体の概略構成を示す流体回路図で、浄水を第1の排出部から排出する流体回路図である。
【図14】図14は本発明の実施の形態2の浄水装置の浄水時における全体の概略構成を示す流体回路図で、浄水を第2の排出部から排出する流体回路図である。
【図15】図15は本発明の実施の形態2の浄水装置の第1の濾過部の洗浄時における全体の概略構成を示す流体回路図で、洗浄水が第1の排出部を通過する流体回路図である。
【図16】図16は本発明の実施の形態2の浄水装置の第1の濾過部の洗浄時における全体の概略構成を示す流体回路図で、洗浄水が第2の排出部を通過する流体回路図である。
【図17】図17は本発明の実施の形態2の浄水装置の切換手段を説明するための説明図であり、(a)は本発明の実施の形態2の浄水装置の第2の濾過部を使用する時の切換弁の正面断面図、(b)は本発明の実施の形態2の浄水装置の第2の濾過部を使用する時の切換弁及びその周辺部の正面図、(c)は本発明の実施の形態2の浄水装置の第2の濾過部を使用しない時の切換弁の正面断面図、(d)は本発明の実施の形態2の第2の濾過部を使用しない時の切換弁及びその周辺部の正面図である。
【図18】図18は、本発明の実施の形態2の浄水装置の第2の濾過部40を使用する時と使用しない時の切換弁の操作部(切換手段)と、浄水時と第1の濾過部の洗浄時の切換弁の操作部(洗浄手段)との対応表である。
【図19】図19は、本発明の実施の形態3の浄水装置の浄水時における全体の概略構成を示す流体回路図で、浄水を第1の排出部から排出する流体回路図である。
【図20】図20は、本発明の実施の形態3の浄水装置の浄水時における全体の概略構成を示す流体回路図で、浄水を第2の排出部から排出する流体回路図である。
【図21】図21は、本発明の実施の形態3の浄水装置の第1の濾過部の洗浄時おける全体の概略構成を示す流体回路図で、洗浄水が第1の排出部から逆流する流体回路図である。
【図22】図22は、本発明の実施の形態3の浄水装置の第1の濾過部の洗浄時おける全体の概略構成を示す流体回路図で、洗浄水が第2の排出部から逆流する流体回路図である。
【図23】図23は、本発明の実施の形態3の洗浄手段としての切換弁を説明するための説明図であり、(a)は本発明の実施の形態3の浄水時における切換弁の断面図、(b)は本発明の実施の形態3の洗浄時における切換弁の断面図である。
【図24】図24は、本発明の実施の形態1の洗浄手段のストレーナの変形例で、(a)は中央横断面図及び(b)はストレーナの中央縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、各実施の形態において、同一の記号及び同一の符号は同一または相当する機能部分を意味し、各実施の形態相互の同一の記号及び同一の符号は、それら実施の形態に共通する機能部分であるから、ここでは重複する詳細な説明を省略する。
【0046】
[実施の形態1]
まず、本発明の実施の形態1に係る浄水装置について、図1乃至図12を参照して説明する。
図1乃至図6に示すように、本実施の形態1の浄水装置は、水源から水Wを吸引し、その吸引した水Wを圧送する人力駆動式の往復動ポンプとしてのウィングポンプ1を有している。
そして、本実施の形態の浄水装置1は、ウィングポンプ1の上流側に、ウィングポンプ1の吸引によって水源から水Xを導入する導入部としての導入管10と、導入管10に接続され、導入管10で導入した水Xの殺菌を行う二酸化塩素を供給する二酸化塩素供給部20と、二酸化塩素供給部20の下流側に配設され、二酸化塩素が供給された水Xを濾過する濾過材31を有する第1の濾過部30を設けている。
なお、図1乃至図4において、水源は、本実施の形態1の浄水装置が浄化する水Wの源であり、災害等の非常事態においては、河川、湖沼、ダム、貯め池、プール、用水路、下水道、雨水等の水Wが水源として使用される。
【0047】
本実施の形態1のウィングポンプ1は、その正面に取り付けられているハンドル1aを図4の矢印方向に手動で回動し、図示しない内部の翼板をシーソー状に往復運動させることで、水源から水Wを吸引したり、その吸引した水Wを圧送したりするものである。
また、本実施の形態1の導入管10は、ポンプ用の耐圧ホースで構成されている。
そして、この導入管10は、後述する二酸化塩素供給部20、第1の濾過部30、パイプ34及び切換弁80を介して、ウィングポンプ1の吸入口側(図示の下側)へと繋がっている。
したがって、導入管10の先端を水源中に入れ、ウィングポンプ1のハンドル1aを回動すると、ウィングポンプ1の吸引によってまず導入管10に水源の水Wが導入される。
【0048】
ここで、本実施の形態1の導入管10の先端には、その水底から導入管10の導入口10a(図7)を所定の距離離すことにより、水源の水Wに含まれる泥、木の葉、小石等の比較的大きな異物が導入管10の導入口10a(図7)に吸い込まれるのを阻止するストレーナ11が取り付けられている。
具体的には、本実施の形態1のストレーナ11は、図7に示すような、有底円筒形状の金網籠11aと、金網籠11a内の上部に配設され、ステンレス等の金属線材を螺旋状に形成して絡め合わせた金属たわし状のフィルタ11bと、同じく金網籠11a内に配設され、小孔を多数形成した有底円筒形状の金属フィルタ11cとから構成され、金網籠11aの上部に形成された導入管取付口部11Aを介して、導入管10の導入口10aに嵌合されている。
したがって、本実施の形態1の浄水装置において、水源の水Wに含まれる泥、木の葉、小石等の比較的大きな異物が導入管10の導入口10aに詰まり、浄化効率が極端に低下することはない。
なお、本実施の形態1のストレーナ11は、水源の水W中に浸されるので、ステンレス、アルミニウム、亜鉛等の錆難い金属材料で構成されているが、本発明を実施する場合には、水源の水Wに含まれる泥、木の葉、小石等の比較的大きな異物が導入管10に吸いこまれるのを阻止することができればよく、例えば、布、網、スポンジ状のフィルタ等で形成することも可能である。
【0049】
また、導入管10の他端、即ち、導入口10a(図7)の反対側は、図6に示すように、導入管取付口部33Aを介して、第1の濾過部30を構成するフィルタハウジング33の上部に配設されたパイプ33Bに接続されている。
このパイプ33Bは、導入管10とフィルタハウジング33内の上端中央付近に配置されている二酸化塩素供給部20とを連結して、導入管10からの水Xを二酸化塩素供給部20内に案内するものであり、本実施の形態1においては、二酸化塩素供給部20を構成するケーシング22を外側から内側に貫通したのち、二酸化塩素供給部20内にてその先端を上方向に屈曲させている。
したがって、導入管10に導入された水Xは、パイプ33Bを介して二酸化塩素供給部20内にて上向きに放出される。なお、本実施の形態1において、導入管10は、導入管取付口部33Aへのねじ込みによって、フィルタハウジング33に対して着脱自在となっている。また、パイプ33Bとフィルタハウジング33、パイプ33Bとケーシング22はそれぞれ溶接によって隙間なく接合されている。
【0050】
ここで、本実施の形態1の二酸化塩素供給部20は、図8に示すように、水Xに溶解させることで二酸化塩素を発生する粒子状の二酸化塩素発生剤21と、二酸化塩素発生剤21を収容可能に形成した断面略U字状のケーシング22と、ケーシング22に螺着可能な蓋体23とから構成されている。
なお、二酸化塩素発生剤21の供給量は、水源の水Wの種類によって設定される。また、水Xに溶解させることで二酸化塩素を発生する二酸化塩素発生剤21としては、市販の薬剤(例えば、セイバーオキシデーションテクノロジー社製のクローリンO2錠(商品名))を用いることができる。
【0051】
ケーシング22は、二酸化塩素発生剤21を収容するものであり、その上部には、二酸化塩素発生剤21を供給する供給口としての開口部22bが形成されている。また、この開口部22bの周囲には、後述する蓋体23の雄ねじ部23aに対応する雌ねじ部22cが形成されている。そして、断面略U字状の湾曲面側に形成されたケーシングの底部22aは、所定の小孔を多数形成したメッシュとなっている。
なお、本実施の形態1のケーシング22は、溶接によってフィルタハウジング33の上面部に接合されている。また、本発明を実施する場合には、ケーシング22は、二酸化塩素発生剤21を収容自在な形状であれば、上記実施の形態1の形状に限定されるものでなく、例えば、有底円筒形状とすることもできる。
【0052】
蓋体23は、ケーシング22の開口部22bを覆うものであり、透明なガラス材料またはプラスチックなどの合成樹脂材料から構成されている。また、蓋体23の下部には、ケーシング22の雌ねじ部に22cに螺合可能な雄ねじ部23aが形成されている。
【0053】
そして、図8に示すように、通常使用状態においては、蓋体23の雄ねじ部23aがケーシング22の雌ねじ部22cに螺着されており、ケーシング22の開口部22bは、蓋体23によって密閉されるようになっている。特に、本実施の形態1においては、ケーシング22と蓋体23との間にゴム状のパッキン(図示せず)が密着状態で介在しているため、二酸化塩素供給部20内を高い気密状態とすることができる。
なお、本発明を実施する場合には、蓋体23によってケーシング22の開口部22bを開閉自在とすることができれば、ケーシング22への蓋体23のねじ込み式に限定されるものではなく、例えば、蝶着式にすることもできるし、嵌合式にすることもできる。
【0054】
このため、パイプ33Bから噴入した水Xは、外部へと漏出することなく、二酸化塩素発生剤21に流動接触したのち、ケーシング22の底部22aに形成されたメッシュの目を通り抜けて、濾過材カートリッジ32に向かって流れる。そして、水Xが二酸化塩素発生剤21に流動接触する際、二酸化塩素発生剤21が水Xに溶解するため、水Xに二酸化塩素が供給される。
【0055】
特に、本実施の形態1においては、パイプ33Bによって導入管10からの水Xは上向きに放出されているため、パイプ33Bから噴入した水Xは二酸化塩素供給部20内にて大きく渦を巻きながら流れる。したがって、導入管10からの水Xが下向き、または、横向きに放出された場合より、水Xと二酸化塩素発生剤21との接触時間が長くて接触度合いが大きいため、多くの二酸化塩素が水Xに供給される。
加えて、図8に示すように、二酸化塩素発生剤21が設置されているメッシュ状の底部22aが第1の濾過部30を構成するフィルタハウジング33内に配設されているため、濾過材31を通過する前の滞留する水Xに二酸化塩素発生剤21が溶解し、より多くの二酸化塩素が水Xに供給される。
なお、ケーシング22の底部22aに施されるメッシュに目詰まりが起こらないように、メッシュの目の大きさは、ストレーナ11にて除去されない砂等の粒子の大きさより大きく設定するのが望ましい。また、フィルタハウジング33内に滞留する水Xに二酸化塩素発生剤21をより溶解させるために、更には、フィルタハウジング33内における二酸化塩素濃度をより均一にさせるために、二酸化塩素供給部20付近に攪拌装置を設けてもよい。
【0056】
なお、本実施の形態1においては、二酸化発生剤21という錠剤の形態で二酸化塩素を供給しているが、本発明を実施する場合には、二酸化塩素を導入管10からの水Xに供給することができれば、例えば、二酸化塩素供給部20を、所定濃度の二酸化塩素水溶液と、二酸化塩素水溶液を収容する透明の材料からなるケーシングと、ケーシングに収容された二酸化塩素水溶液を導入管10で導入した水Xに注入する注入部とから構成し、二酸化塩素水溶液の形態で二酸化塩素を供給することもできる。これによって、供給する二酸化塩素の濃度の調整が容易になる。
【0057】
また、本実施の形態1の第1の濾過部30は、図8に示すように、導入管10からの水Xに含まれる不純物、例えば、砂、塵などの粒状物・粉状物の通過を阻止する濾過材31を収納した濾過材カートリッジ32と、濾過材カートリッジ32及びケーシング22を収容するフィルタハウジング33とから構成されている。
この第1の濾過部30は、導入管10からの水Xに含まれる、少なくとも、最大長または直径が1〜10μm以上の粒子径の不純物、例えば、砂、塵などの粒状物・粉状物を除去するものであり、原理的に0.1μm程度の最大長または直径のものを除去するのが望ましいが、0.2μm、0.5μm、1μmであっても良い。しかし、第1の濾過部30は、少なくとも、最大長または直径が1μm以上の粒子径の水Xに含まれる不純物を除去すれば、第2の濾過部40の寿命を長くすることができる。即ち、第1の濾過部30は第2の濾過部40の負担を軽減するものであり、水源の水Wの種類によって設定される。
【0058】
そして、本実施の形態1の濾過材カートリッジ32は、銀添着活性炭、セラミックス、イオン交換樹脂の何れか1つ以上からなる濾過材31を円筒状に成型してなり、その半径方向に水Xを透過させるようにしたものであり、その内部には、濾過材31を透過した水Yが、後述するフィルタハウジング33の下端に形成された流出部33Cから流出するための流路32aが形成されている。また、濾過材カートリッジ32の上下両端部には、エンドキャップ32b、32cが設けられており、これらエンドキャップ32b、32cにて両端面側から流路32aへの水Xの侵入を防いでいる。更に、エンドキャップ32cの下端には、フィルタハウジング33の流出部33C付近に形成された雌ねじ部33Dと螺合する雄ねじ部32dが形成されており、濾過材カートリッジ32はフィルタハウジング33に装着自在となっている。
ここで、通常、活性炭は、活性炭に付着する塩素を分解除去するため、使用後に雑菌が繁殖する恐れがあるが、本実施の形態1の濾過材31としての銀添着活性炭は、活性炭に抗菌作用のある銀を付着してなるものであるため、使用後の雑菌の繁殖が抑えられる。また、イオン交換樹脂、セラミックスからなる濾過材31は、塩素分解除去能を有しておらず、二酸化塩素供給部20からの二酸化塩素の一部が付着して残留するため、当該濾過材31においても、使用後の雑菌の繁殖は抑えられる。
【0059】
また、フィルタハウジング33は、上端部にケーシング22が接合された円筒状の本体部33aと、濾過材カートリッジ32が装着される装着部33bとから構成されている。そして、この本体部33aは、装着部33bへのねじ込み式によって、装着部33bに脱着自在となっている。したがって、本実施の形態1においては、本体部33aを取り外すことで、装着部33bに濾過材カートリッジ32が交換自在に装着される。なお、本発明を実施する場合には、フィルタハウジング33内に濾過材カートリッジ32を交換自在に装着することができれば上記ねじ込み式の形態に限定されるものではなく、例えば、本体部33aを装着部33bに蝶着させたり、嵌合させたりすることもでき、また、クランプバンド等の継手を使用することもできる。
【0060】
このような構成によって、ケーシング22の底部22aから流れ出した水Xは、第1の濾過部30を構成する濾過材カートリッジ32の濾過材31を外側から内側へ向かって透過し、濾過材カートリッジ32の内部に形成された流路32aを通って、フィルタハウジング33の流出部33Cから流出する。そして、水Xが第1の濾過部30を通過する際、水Xに含まれている砂、塵等の不純物が除去される。
なお、フィルタハウジング33及びケーシング22は、通常、耐薬品性に強い合成樹脂製のものが使用されるが、本発明において殺菌に使用される二酸化塩素は、鉄やアルミに対して腐食性が高い次亜塩素酸ナトリウムや次亜塩素酸カルシウムと比較して、金属への腐食性が極めて低いため、耐圧性が高い金属性のものを使用することもできる。
【0061】
また、フィルタハウジング33の流出部33Cは、パイプ34及び後述する切換弁80を介して、ウィングポンプ1の吸入口に接続されているため、流出部33Cから流出した水Yは、パイプ34及び後述する切換弁80を通ってウィングポンプ1の吸入口へと到達する。
具体的には、後述するように、浄水時において、切換弁80は、図10(b)に示すように、第1の濾過部30側とウィングポンプ1側とを連通している状態にあるため、フィルタハウジング33の流出部33Cから流出した水Yは、パイプ34を通って切換弁80のポート34Aに到達したのち、切換弁80の通路80aに案内されてポート1Aへと導かれ、ウィングポンプ1への吸入口に到達する。
そして、ウィングポンプ1の吸入口に吸い込まれた水Yは、ウィングポンプ1内で所定の圧力に加圧され、吐出口から圧送される。
【0062】
一方、図5及び図6に示すように、ウィングポンプ1の吐出口側(図示の上側)には、略直方体状の流路形成部材70が設置されている。この流路形成部材70は、その側面部に、ウィングポンプ1から圧送された水Yを濾過する第2の濾過部40と、第2の濾過部40で濾過された水Zを排出する第1の排出部50と、ウィングポンプ1から圧送され、第2の濾過部で濾過される前の水Yを直接排出する第2の排出部60とを備えている。そして、この流路形成部材70は、その内部に、図9(b)に示すように、ウィングポンプ1と第2の濾過部40との間を接続する流路71と、流路71から分岐して流路71と第2の排出部60とをバイパスするバイパス路72とを形成すると共に、図9(c)に示すように、第2の濾過部40と第1の排出部50とを接続する流路73を形成している。
【0063】
即ち、本実施の形態1の浄水装置は、ウィングポンプ1の下流側に、ウィングポンプ1から圧送された水Yを濾過する中空糸膜41を有する第2の濾過部40と、第2の濾過部40で濾過された水Zを排出する第1の排出部50とを設けており、更には、ウィングポンプ1と第2の濾過部40と間の流路71から分岐し、ウィングポンプ1から圧送された水Yを排出する第2の排出部60を有している。
【0064】
また、本実施の形態1の浄水装置は、ウィングポンプ1から圧送された水Zが第1の排出部50または水Yが第2の排出部60のどちらか一方から排出されるように切換えるコック51及びコック61からなる切換手段を有している。そして、本実施の形態1においては、コック51は、第1の排出部50に組み込まれ、コック61は第2の排出部60に組み込まれている。
【0065】
このため、コック61が閉じられ、第2の排出部60が閉鎖状態となると、ウィングポンプ1の吐出口から圧送された水Yは、流路71を介して、第2の濾過部40に導かれる。
【0066】
本実施の形態1の第2の濾過部40は、図9(d)に示すように、多数の中空糸膜41と、中空糸膜41を収容する中空糸膜カートリッジ42で構成されている。
この第2の濾過部40は、ウィングポンプ1から圧送された水Yに含まれる、少なくとも、最大長または直径が0.1μm以上の不純物、主に、粒状有害物質、細菌、鉄錆、濁り成分等の不純物を除去するものである。
そして、中空糸膜41は、ポリエチレン、ポリスルホン等から成る中空糸状の超マイクロフィルタであり、水Yに含まれている、少なくとも、最大長または直径が0.1μm以上の粒状有害物質、細菌・カビ、鉄錆、濁り成分等の不純物の通過を阻止するために、その外周面には約0.1μm程度の孔が形成されている。なお、本実施の形態1においては、この中空糸膜41は、孔から内部へと入り込んだ水Yが後述する流出部42bから流出するように案内するエンドキャップ42cに硬化性樹脂等によって固定され、束ねられた状態で中空糸膜カートリッジ42に収容されている。また、本実施の形態1の中空糸膜41は、上端側が封止され、下端側が開口した状態となっている。
また、この中空糸膜41を収容した中空糸膜カートリッジ42は、流路形成部材70の上面部に対して螺着自在となっており、その下部には、流路形成部材70の開口部70aに嵌合し、流路71からの水Yを流入する流入部42aと、流路形成部材70の開口部70bに嵌合し、中空糸膜41によって濾過された水Zを流出する流出部42bとが形成されている。
即ち、本実施の形態1の第2の濾過部40は、中空糸膜41の外側が被透過水で、中空糸膜41の内部が透過水となる外圧式となっている。
【0067】
したがって、第2の濾過部40に到達した水Yは、図9(d)に示すように、第2の濾過部40を構成する中空糸膜カートリッジ42の流入部42aから流入し、中空糸膜41の外周面に形成されている孔から中空糸膜41の内部へと入り込み、中空糸膜41の内部を流れたのち、中空糸膜カートリッジ42の流出部42bから流出する。そして、水Yが中空糸膜41の外側から内部へと入り込む際、水Yに含まれている最大長または直径が0.1μm程度の粒状有害物質、細菌・カビ、鉄錆、濁り成分等が除去される。なお、本実施の形態1において、上述の如く、中空糸膜41を収容した中空糸膜カートリッジ42は、流路形成部材70に対して装着自在となっているため、中空糸膜41が寿命を迎えた際には、中空糸膜カートリッジ42ごと新しいものと交換される。
【0068】
そして、上述したように、第2の濾過部40は流路形成部材70内の流路73を介してコック51を組み込んだ第1の排出部50に接続されているため、コック51の開放状態においては、中空糸膜カートリッジ42の流出部42bから流出した水Zは、図9(c)に示すように、流路形成部材70内の流路73を通って流路形成部材70の左側面部に設置されている第1の排出部50から排出される。なお、本実施の形態1の第1の排出部50は、コック51によってその排出量をも調整することができるようになっている。
【0069】
一方、コック51が閉じられ、コック61が開かれた状態においては、ウィングポンプ1の吐出口から圧送された水Yは、バイパス路72を介して、第2の排出部60から排出される。また、本実施の形態1の第1の排出部60も、コック61によってその排出量を調整できるようになっている。
なお、本実施の形態1の浄水装置の作動時は、コック51またはコック61のどちらか一方を開放状態とし、装置内部の圧力の上昇を防ぐ必要がある。
【0070】
故に、本実施形態1の浄水装置において、切換手段は、ウィングポンプ1から圧送された水Yが第1の排出部50または第2の排出部60のどちらか一方から排出されるようにウィングポンプ1から圧送された水Yの流れを切換える構成を意味する。そして、本実施の形態においては、具体的には、第1の排出部50に組込まれたコック51と第2の排出部60に組込まれたコック61とから構成されている。
したがって、本実施形態1の浄水装置によれば、コック51及びコック61の開閉操作という単純な操作で第2の濾過部の使用の有無の切換えができるため、その切換操作が容易である。
【0071】
なお、本発明を実施する場合には、ウィングポンプ1から圧送された水Yが第1の排出部50または第2の排出部60のどちらか一方から排出されるようにウィングポンプ1から圧送された水Yの流れを切換えることができればよく、例えば流路71からバイパス路72への分岐点と第2の濾過部40と間に流路71を開閉する開閉弁を設けたり、上記分岐点と第2の排出部60と間にバイパス路72を開閉する開閉弁を設けたりすることもできる。
【0072】
このように、本実施の形態1の浄水装置は、浄水時には、第1の濾過部30、ウィングポンプ1、第2の濾過部40及び第1の排出部50の順序で浄水を得る浄水路(図1)または、第1の濾過部30、ウィングポンプ1及び第2の排出部60の順序で浄水を得る浄水路(図2)が形成されるようになっている。ここで、本実施の形態1の浄水装置で水源からの水Wを長時間浄化すると、次第に、第1の濾過部30の濾過材31の目詰まりによって圧力損失が増大し、その運転状態に支障をきたすこととなる。
そこで、本実施の形態1の浄水装置においては、いちいち濾過材31を有する濾過材カートリッジ32を取り外して交換したり洗浄したりすることなく、ウィングポンプ1によって第1の濾過部30の下流側(出力側)から上流側(入力側)へと洗浄水を通過させることで、容易に第1の濾過部30の濾過材31の目詰まりを低減して濾過性能を回復させることができるように、ウィングポンプ1と第1の濾過部30との間の流路を切換える切換弁80が配設されており、ウィングポンプ1に導かれた水を第1の濾過部30に浄水を得た方向に対して逆流させる洗浄路(図3及び図4)も形成されるようになっている。
【0073】
即ち、本実施の形態1の浄水装置は、第1の濾過部30に浄水時とは逆方向に洗浄水を流し、第1の濾過部30の洗浄を行う洗浄手段として、浄水を得る際には、ウィングポンプ1の吸引側に第1の濾過部30の出力側を接続し、洗浄水を流す際には、ウィングポンプ1の吐出側から第1の濾過部30の出力側に流す切換自在な切換弁80を有している。
【0074】
具体的には、本実施の形態1の切換弁80は、図10に示すように、ウィングポンプ1とパイプ34との間に設置されており、操作部80cの回動(図示の矢印)によって操作される球形状の弁体80Aと略正方形状のケーシング80Bとから構成されている。
弁体80Aは、ケーシング80B内に回動自在に配設されており、略L字状の通路80a及び通路80bを有している。
また、ケーシング80Bには、4つのポート、即ち、ウィングポンプ1の吸引側に接続されるポート1A、パイプ34に接続されるポート34A、洗浄水を取水する取水ホース81に接続されるポート81A、及び、第1の排出部50または第2の排出部60に連結する連結ホース82に接続されるポート82Aが形成されている。
【0075】
そして、本実施の形態1の切換弁80は、操作部80cが図10(c)に示す位置にあるとき、図10(b)に示すように、ポート34Aとポート1Aとが通路80aを介して連通すると共に、ポート82Aとポート81Aとが通路80bを介して連通するようになっている。
また、一方で、操作部80cが図10(e)に示す位置にあるときに、図10(d)に示すように、ポート81Aとポート1Aとが通路80aを介して連通すると共に、ポート82Aとポート34Aとが通路80bを介して連通するようになっている。
なお、取水ホース81及び連結ホース82は、共に、ポンプ用の耐圧ホースで構成されている。勿論、取水ホース81に水源からの水Wを導入するのに使用した導入管10を使用することも可能である。
【0076】
このため、本実施の形態1の浄水装置において、取水ホース81を切換弁80のポート81Aに接続すると共に、第1の排出部または第2の排出部60に連結させた連結ホース82をポート82Aに接続し、切換弁80の操作部80cを図10(c)に示す位置に操作すると、第1の濾過部30とウィングポンプ1とが連通すると共に、取水ホース81と連結ホース82とが連通する。一方、切換弁80の操作部80cを図10(e)に示す位置に切換えると、取水ホース81とウィングポンプ1とが連通すると共に、連結ホース82と第1の濾過部30とが連通する。
【0077】
したがって、切換弁80の操作部80cが図10(e)に示す位置にある状態でウィングポンプ1を駆動させると、図3及び図4に示すように、バケツ等の容器に入れられた洗浄水が取水ホース81を介して切換弁80のポート81Aに到達する。また、この切換弁80のポート81Aに到達した洗浄水は、切換弁80の通路80aに案内されて切換弁80のポート1Aへと導かれ、ウィングポンプ1の吸入口に吸い込まれたのち、吐出口から圧送される。そして、連結ホース82が第1の排出部50に連結されていると共に、コック61が閉鎖されコック51が開放されている場合には、ウィングポンプ1から圧送された洗浄水は、第2の濾過部40を介して第1の排出部50に到達したのち、連結ホース82を介して切換弁80のポート82Aへと導かれる(図3)。一方で、連結ホース82が第2の排出部60に連結されていると共に、コック51が閉鎖されコック61が開放されている場合には、ウィングポンプ1から圧送された洗浄水は、第2の排出部60へと到達したのち、連結ホース82を介して切換弁80のポート82Aへと導かれる(図4)。なお、第2の濾過部40の無駄な使用を回避するため、ウィングポンプ1から圧送された洗浄水が図4に示すような経路を通るのが好ましい。
【0078】
そして、図3及び図4に示すように、切換弁80のポート82Aへと導かれた洗浄水は、切換弁80の通路80bに案内されてポート34Aへと導かれ、パイプ34を介して、第1の濾過部30に到達し、第1の濾過部30を浄水時とは逆方向に流れる。即ち、第1の濾過部30に到達した洗浄水は、第1の濾過部30の流出部33Cから流入したのち、第1の濾過部30の濾過材31の内側から外側へと通過し、導入管取付口部33Aから流出する。そして、洗浄水が濾過材31の内側から外側へと通過する際、ウィングポンプ1からの圧によって、濾過材31に付着している砂、塵などの粒状物・粉状物を含む不純物が取り除かれる。
なお、本実施の形態1においては、濾過材31の内側から外側を通過した洗浄水、即ち、濾過材31を洗浄したあとの洗浄水は、図3及び図4に示すように、二酸化塩素供給部20を介して、外部へと排出されるようになっているが、本発明を実施する場合には、第1の濾過部30を構成するフィルタハジング33の下部にバルブ付きドレンを設け、このドレンから濾過材31を洗浄したあとの洗浄水を外部へと排出するようにしてもよい。これによって、濾過材31を洗浄したあとの洗浄水が二酸化塩素供給部20を介することなく外部へと排出されるため、第1の濾過部30の洗浄時において、二酸化塩素発生剤21をケーシング22から取り除く手間を省くことができ、二酸化塩素が洗浄水へ供給されるのを容易に阻止することができる。
【0079】
故に、本実施の形態1の浄水装置において、洗浄手段は、第1の濾過部30に浄水時とは逆方向に洗浄水を流し、第1の濾過部30の洗浄を行う構成を意味する。そして、本実施の形態においては、具体的には、浄水を得る際には、ウィングポンプ1の吸引側に第1の濾過部30の出力側を接続し、洗浄水を流す際には、ウィングポンプ1の吐出側から第1の濾過部30の出力側に流す切換自在な切換弁80から構成されている。
このため、本実施の形態1の浄水装置によれば、切換弁80の切換操作という単純な操作で浄水時と第1の濾過部30の洗浄時の切換えができる。また、切換弁80とすると、その全体の操作を間違えても、切換弁80が閉塞しないので、ウィングポンプ1の負荷が過大になる可能性がない。
【0080】
そして、本実施の形態1の切換弁80は、上述の如く、操作部80cが図10(c)に示す位置にあるとき、図10(b)に示すように、ポート81Aとポート82Aとが通路80bによって連通されている。このため、浄水時において、図1及び図2に示すように、切換弁80のポート81Aに取水ホース81を接続すると共に、切換弁80のポート82Aに第2の排出部60または第1の排出部50に連結させた連結ホース82を接続し、この状態でウィングポンプ1を駆動させると、第2の排出部60または第1の排出部50からの浄水は、連結ホース82、切換弁80及び取水ホース81を介して外部へと排出される。そして、洗浄時においては、切換弁80を切換えるだけで、図3及び図4に示すように、ウィングポンプ1によって取水ホース81及び切換弁80を介して洗浄水が吸引され、更に、この吸引された洗浄水は、第2の排出部60または第1の排出部50、連結ホース82及び切換弁80を介して、第1の濾過部30に浄水時とは逆方向に圧送される。
即ち、本実施の形態1の浄水装置によれば、取水ホース81を切換弁80のポート81Aに、更に、第2の排出部60または第1の排出部50に連結させた連結ホース82を切換弁80のポート81Aにそれぞれ接続したままでも、浄水と第1の濾過部30の洗浄を行うことができるため、浄水時と第1の濾過部30の洗浄時の切換操作を、切換弁80の操作部80cの切換操作1つだけで済ますことができる。
故に、本実施の形態1の浄水装置は、浄水時と第1の濾過部30の洗浄時の切換操作が非常に分かり易くなっており、浄水時と第1の濾過部30の洗浄時の切換えを極めて容易に行うことができる。
【0081】
しかし、本発明を実施する場合には、ウィングポンプ1に接続されるポート1A、パイプ34に接続されるポート34A、取水ホース81に接続されるポート81A及び連結ホース82に接続されるポート82Aを有し、浄水時において、少なくともポート1Aとポート34とを連通することができ、第1の濾過部30の洗浄時において、ポート81Aとポート1Aを連通することができると共に、ポート82とポート34Aとを連通することができる切換弁であれば、各ポートの位置や弁体、ケーシングの形状等は本実施の形態1の切換弁80の形態に限定されるものではなく、例えば、図11に示すような切換弁83の形態とすることもできる。
【0082】
図11に示すように、この切換弁83は、スプール状の弁体83Aと略長方形状のケーシング83Bとから構成されている。
弁体83Aは、ケーシング83B内に摺動自在に配設されており、通路83a、83bを構成するためのランド83c、83dを有している。
また、ケーシング83Bには、4つのポート、即ち、ウィングポンプ1の吸引側に接続されるポート1A、パイプ34に接続されるポート34A、取水ホース81に接続されるポート81A、及び、第2の排出部60または第1の排出部50に連結する連結ホース82に接続可能なポート82Aが形成されている。
なお、ランド83c、83dとケーシング83間には、隙間をなくすためにOリング等のパッキン(図示せず)が介在している。
【0083】
そして、この切換弁83は、図11(a)に示すように、弁体83Aの係止部83eがケーシング83Bに当接する状態、即ち、弁体83Aをこれ以上ケーシング83B内に押し込むことができない状態にあるとき、ポート34Aとポート1Aとが通路83aを介して連通するようになっている。
また、一方で、図11(b)に示すように、弁体83Aのランド83cがケーシング83Bに当接する状態、即ち、弁体83Aをこれ以上ケーシング83Bから引き出すことができない状態にあるとき、ポート81Aとポート1Aとが通路83bを介して連通すると共に、ポート82Aとポート34Aとが通路83aを介して連通するようになっている。
【0084】
故に、この切換弁83は、浄水を得る際には、ウィングポンプ1の吸引側に第1の濾過部30の出力側を接続し、洗浄水を流す際には、ウィングポンプ1の吐出側から第1の濾過部30の出力側に流す切換自在な切換弁となる。なお、この切換弁83を使用した場合は、浄水時と第1の濾過部30の洗浄時の切換え毎に、第2の排出部60に連結させた連結ホース82を切換弁83のポート82Aに着脱する操作が必要である。

【0085】
ところで、本実施の形態1の浄水装置は、このように人力操作によってウィングポンプ1を駆動させるため、動力源としての電力等のエネルギ源が不要である。また、水源からウィングポンプ1に向かう水Xの流路中に二酸化塩素発生剤21を配設し、水Xに二酸化塩素発生剤21を溶解させて二酸化塩素を供給するようになっているため、二酸化塩素の水溶液を注入する場合と比較して、二酸化塩素水を連続的に注入するためのポンプ等の装置が不要である。更に、仮に、二酸化塩素による殺菌が不十分でも第2の濾過部40によって水Yに含まれている細菌等が十分に取り除かれるようになっており、また、二酸化塩素の残留塩素が多い場合でも濾過材31として活性炭を使用することで多すぎる残留塩素が吸着除去されるようになっているため、二酸化塩素の塩素濃度を調節するための装置も不要である。
即ち、本実施の形態1の浄水装置は、飲料に適した水を確保するために最低限必要な設備のみを備えることで設備の簡略化を図っている。したがって、軽量かつ小型であり、河川等の水源まで一人で持ち運ぶことが可能である。
なお、上述の如く、本発明において殺菌に使用される二酸化塩素は、鉄やアルミに対して腐食性が高い次亜塩素酸ナトリウムや次亜塩素酸カルシウムと比較して、金属への腐食性が極めて低いため、本実施の形態1の浄水装置は、その構成部品の素材が特に限定されることはなく、設計自由度が高い。
【0086】
ここで、本実施の形態1の浄水装置は、その搬送をより容易にするため、図5及び図6に示すように、ウィングポンプ1が架台フレーム90に組み付けられている。
そして、この架台フレーム90は、ステンレス鋼等の金属製のパイプを略コの字形状に曲げて作製された一対の脚部91a、91bと、同じくステンレス鋼等の金属製のパイプを略コの字形状に曲げて作製され、脚部91a、91bにほぼ垂直に立設させた垂直部92とから構成されている。
【0087】
また、脚部91a、91bは、図6に示すように、その両側を地面に対して略垂直に立設させており、地面に安定した状態で立設させることができるように、地面との接地面は平状に構成されている。そして、脚部91a、91bの相互間の動きを制限し、その立設を安定させると共に機械的強度を高めるため、これら脚部91a、91bは、補完部91cで接合されている。
また、垂直部92の下部には、組付部92a(図5)が設けられており、この組付部92aにウィングポンプ1が溶接によって組み付けられている。なお、本発明を実施する場合には、ウィングポンプ1を架台フレーム90の組付部92aに堅固に組み付けることができれば、両者の接合方法は上記溶接の形態に限定されるものではなく、例えば、ボルト締めとすることもできる。
そして、垂直部92の水平上端は、使用者が搬送時に把持する把持部92bとなっている。
【0088】
したがって、本実施の形態1の浄水装置によれば、架台フレーム90の把持部92bを持って運ぶことができ、また、ウィングポンプ1が架台フレーム90からずれたり外れたりするのを防ぐことができる。
また、災害等で地面が起伏し、本実施の形態1の浄水装置を地面に水平に設置できずウィングポンプ1の駆動を行うことができない状況であっても、本実施の形態の浄水装置は、把持部92bを持って持ち上げることで水平状態となるため、ウィングポンプ1の駆動を行うことができる。
【0089】
なお、本発明を実施する場合には、その搬送を容易にするものであれば、架台フレーム90は上記形態に限定されるものでなく、例えば、図12に示すように、架台フレーム90に係る脚部91a、91b(図5)にキャスタ93を設けることもできる。これによって、地面の上を移動させることができるため、一段と楽に搬送することができる。なお、静置状態において、その動きが規制されるように、キャスタ93にはストッパを設けるのが望ましい。また、架台フレーム90に、搬送時に背負う背負部を設けることもできる。これによって、使用者が背負ってその搬送作業をすることができ、また、両手をフリーにすることで階段や梯子等を登って搬送作業をすることもできるようになるため、移動が自由となる。
【0090】
次に、このように構成された本実施の形態1の浄水装置の浄水時の動作について説明する。
【0091】
まず、本実施の形態1の浄水装置を用いて浄水を行うにあたり、本実施の形態1の浄水装置を水源の近くまで移動させ、図1及び図2に示すように、導入管10及びその先端に取り付けられたストレーナ11を水源の水W中に入れる。
そして、二酸化塩素供給部20を構成するケーシング22に二酸化塩素発生剤21を設置したのち、蓋体23をケーシング22に蝶着する。
また、ウィングポンプ1とパイプ34との間に設置されている切換弁80の操作部80cは図10(c)に示す位置とし、図10(b)に示すように、切換弁80によって第1の濾過部30側とウィングポンプ1側とを連通させておく
なお、本実施の形態1の浄水装置は、上述の如く、小型かつ軽量であり、また、図5及び図6に示したように、把持部91を有する架台フレーム90にウィングポンプ1が組み付けられているため、水源までの運搬が容易である。
【0092】
この状態において、ウィングポンプ1の操作部1aを回動させると、図1及び図2に示すように、水源の水Wが導入管10に吸引される。なお、本実施の形態1の浄水装置においては、導入管10の先端にストレーナ11が取り付けられているため、泥、木の葉、小石等の比較的大きな異物が導入管10に吸い込まれ、浄化効率が極端に低下することはない。
【0093】
そして、導入管10に吸引された水Xは、図1、図2及び図8に示すように、第1の濾過部30を構成するフィルタハウジング33の上部に配設されたパイプ33Bを通過したのち、二酸化塩素供給部20内にて上向きに放出される。
ここで、上述の如く、二酸化塩素供給部20を構成するケーシング22の底部22aには、二酸化塩素発生剤21が設置されており、更に、この底部22aはメッシュとなっている。
このため、二酸化塩素供給部20内にて上向きに放出された水Xは、二酸化塩素発生剤21に流動接触したのち、メッシュ状の底部22aからフィルタハウジング33内の濾過材カートリッジ32に向かって流れる。そして、水Xが二酸化塩素発生剤21に流動接触する際、水Xに二酸化塩素発生剤21が溶解するため、水Xに二酸化塩素が供給される。
【0094】
特に、本実施の形態1においては、導入管10からの水Xが二酸化塩素供給部20内にて上向きに放出されるため、導入管10からの水Xはケーシング22内で大きな渦を巻きながら流れる。このため、導入管10で導入した水Xを二酸化塩素供給部20内にて下向きに放出する場合や横向きに放出する場合と比較して、導入管10で導入した水Xと二酸化塩素発生剤21との接触時間が長く、より多くの二酸化塩素が水Xに混入することになる。
また、本実施の形態1の浄水装置は、二酸化塩素発生剤21が設置されたメッシュ状の底部22aがフィルタハウジング33内に配設されているため、濾過材31によって濾過される前のフィルタハウジング33内に滞留する水Xに、二酸化塩素発生剤21が溶解し、滞留する水Xにも二酸化塩素が混入する。したがって、二酸化塩素供給部20を第1の濾過部30を構成するフィルタハウジング33から独立して配置するなどフィルタハウジング33内に滞留する水Xに二酸化塩素発生剤21が接触しない構造とした場合と比較して、水Xの殺菌率が向上する。
なお、二酸化塩素による殺菌は、通常の水の殺菌で使用される次亜塩素酸ナトリウムや次亜塩素酸カルシウムと比較すると、殺菌力(酸化力)や残留性が強いため、低濃度で十分な殺菌効果を発揮させることができる。また、二酸化塩素による殺菌は、水のpH値にも左右されにくく、殺菌過程でトリハロメタンなどの有害物を発生させることもない。更に、有機物の多い水を浄化する場合に、次亜塩素酸ナトリウムや次亜塩素酸カルシウムによる殺菌では、次亜塩素酸が有機物に反応するため殺菌効率が悪くなるが、二酸化塩素による殺菌は、有機物に反応しないため殺菌効率がよい。
【0095】
また、濾過材カートリッジ32に向かって流れた水は、図1、図2及び図8に示すように、濾過材31の外側から内側へと通過し、濾過材31の内部に形成された流路32aを通って、フィルタハウジング33の流出部33Cから流出する。そして、水Xが第1の濾過部30を通過する際に、ストレーナ11では取り除くことができなかった砂、塵などの細かな粒状物・粉状物を含む不純物が除去される。特に、銀添着活性炭を濾過材31として使用している場合には、塩素、カビ臭、非イオン性不純物、農薬等が取り除かれ、また、セラミックスを濾過材31として使用している場合には、金属イオンが取り除かれ、更に、イオン交換樹脂を濾過材31として使用している場合には、重金属、カビ臭、硝酸性窒素が取り除かれる。
【0096】
更に、図1、図2及び図10(b)に示すように、流出部33Cから流出した水Yは、パイプ34を通り、切換弁80のポート34Aに到達し、切換弁80の通路80aに案内されて切換弁80のポート1Aへと導かれたのち、ウィングポンプ1の吸込口に吸い込まれる。そして、このウィングポンプ1に吸い込まれた水Yは、ウィングポンプ1内部で所定の圧力に加圧されたのち、吐出口から流路形成部材70へと圧送される。
【0097】
ここで、第2の排出部60に組み込まれたコック61が閉鎖状態となっている場合、ウィングポンプ1の吐出口から流路形成部材70へと圧送された水Yは、図9(d)に示すように、流路形成部材70内の流路71を通って、第2の濾過部40を構成する中空糸膜カートリッジ42の流入部42aから中空糸膜カートリッジ42内に流れ込む。
【0098】
また、中空糸膜カートリッジ42内に流れ込んだ水Yは、中空糸膜41の表面に形成されている小孔から中空糸膜41の内部へと入り、中空糸膜カートリッジ42の流出部42bから流出する。そして、水Yが第2の濾過部40を通過する際に、水Yに含まれている少なくとも最大長または直径が0.1μm以上の粒状有害物質、細菌・カビ、鉄錆、濁り成分等の不純物が除去される。なお、中空糸膜41による膜濾過は、超マイクロフィルタとしてのセラミックス膜による膜濾過と比較して表面積を大きくできるため、中空糸膜41を長持ちさせることができる。
【0099】
そして、中空糸膜カートリッジ42の流出部42bから流出した水Zは、コック51の開放状態において、図9(c)に示すように流路形成部材70内に形成された流路73を通り、第1の排出部50から排出される。
なお、浄水時において、図1に示すように、第1の排出部50と切換弁80のポート82Aが連結ホース82によって連結され、また、取水ホース81が切換弁80のポート81Aに接続されている場合には、第1の排出部50からの浄水は、連結ホース82を介して切換弁80のポート82Aに到達した後、切換弁80の通路80bに案内されて切換弁80のポート81へと導かれ、取水ホース81を介して外部へと排出される。
【0100】
一方、コック51が閉じられ、コック61が開放状態となっている場合には、ウィングポンプ1の吐出口から圧送された水Yは、流路形成部材70内のバイパス路72を介して、第2の排出部60から排出される。
なお、浄水時において、図2に示すように、第2の排出部60と切換弁80のポート82Aが連結ホース82によって連結され、また、取水ホース81が切換弁80のポート81Aに接続されている場合には、第2の排出部60からの浄水は、連結ホース82を介して切換弁80のポート82Aに到達した後、切換弁80の通路80bに案内されて切換弁80のポート81へと導かれ、取水ホース81を介して外部へと排出される。
【0101】
このように、本実施の形態1の浄水装置は、ウィングポンプ1の上流側に第1の濾過部30が配設されており、第1の濾過部30で濾過された水Y、即ち、ウィングポンプ1の詰まりの原因となる粒状物、汚泥等が除かれた水Yがウィングポンプ1の吸入口に吸い込まれることになるため、長時間使用しても、ウィングポンプ1を詰らせることはない。
【0102】
ここで、本実施の形態1の浄水装置は、ウィングポンプ1の上流側に圧力損失を招く第1の濾過部30を配設しており、第1の濾過部30での圧力損失による浄化効率の低下が懸念されるが、水Yを吸引し、その吸引した水Yを圧送するためのポンプとして吸い上げ・押し上げ力に優れた往復動ポンプからなるウィングポンプ1を使用しているため、ウィングポンプ1の上流側に第1の濾過部30を配設しても十分な浄化効率が得られる。
【0103】
ところで、細菌の殺菌・除菌を行う二酸化塩素供給部20及び第2の濾過部40が第1の濾過部30の後に設けられている場合、多くの細菌を含んだ水Xが第1の濾過部30を通過するため、第1の濾過部30に多くの細菌が付着し、使用後数時間の通水停止状態となったときに、第1の濾過部30に細菌が大繁殖する恐れがある。係る場合、通水再開時に多くの細菌を含んだ水Yが、二酸化塩素供給部20や第2の濾過部40に到達することとなり、特に第2の濾過部40の負担を増大させ、結果的にメンテナンス性の低下を招く可能性がある。
また、殺菌を行う二酸化塩素を供給する二酸化塩素供給部20が除菌を行う第2の濾過部40の後に設けられている場合、第2の濾過部40の中空糸膜41にて多くの細菌が付着するため、短時間で浄化効率が低下し、中空糸膜41を長持ちさせることができない可能性もある。
【0104】
しかしながら、本実施の形態1の浄水装置は、第1の濾過部30での濾過や第2の濾過部40での濾過に先立って、二酸化塩素供給部20による二酸化塩素の供給が行われており、第2の濾過部40の前段階で水Yに含まれている細菌が低減するため、第2の濾過部40の負担が軽減される。
加えて、二酸化塩素による殺菌は、水の殺菌の主流である次亜塩素酸ナトリウムによる殺菌と比較して、低濃度でも高い殺菌力や残留効果を得ることができるから、次亜塩素酸で殺菌する場合と比較して、第2の濾過部40の負担はより軽減される。
故に、本実施の形態1の浄水装置は、第2の濾過部40における濾過効率が長時間良好に維持される。また、中空糸膜41を長持ちさせることもできる。
【0105】
また、本実施の形態1の浄水装置において、濾過材31は、銀添着活性炭、セラミックス、イオン交換樹脂の何れか1つ以上からなるものであるため、上述の如く、使用後数時間の通水停止状態となったときでも比較的細菌の繁殖が抑えられ、衛生面での信頼性をより一層高めることができる。
【0106】
更に、本実施の形態1の浄水装置は、第2の濾過部40を着脱することなく、また、浄化運転を停止することなく、コック51及びコック61を切換えるだけで、ウィングポンプ1からの水Yが第1の排出部50または第2の排出部60のどちらか一方から排出されることから、浄化度合の異なる水を得るのが容易で、しかも、効率的である。また、飲料水ほどの水質を必要としない生活用水を得たい場合など第2の濾過部40による濾過を必要としない場合に中空糸膜41の無駄な使用を回避できるため、経済的である。更に、中空糸膜41の長寿命化や、第2の濾過部40における良好な濾過効率の維持も図ることができる。
なお、本実施の形態1の浄水装置は、第2の濾過部40を通過する前の水Yと通過した後の水Zとで排出する場所を別にしているため、衛生的である。
【0107】
続いて、本実施の形態1の浄水装置に係る第1の濾過部30の洗浄時の動作について説明する。
まず、第1の濾過部30の洗浄を行うにあたり、バケツ等の容器に入れられた洗浄水を取水する取水ホース81をポート81Aに接続しておくと共に、第1の排出部50(図3)または第2の排出部60(図4)とポート82Aとを連結ホース82で連結させておく。なお、第2の濾過部40の無駄な使用を回避するために、連結ホース82は、第2の排出部60に連結させるのが好ましい(図4)。
そして、切換弁80の操作部80cを図10(e)に示す位置に切換え、図10(c)に示すように、切換弁80によって取水ホース81側とウィングポンプ1側とを連通させると共に、連結ホース82側と第1の濾過部30側とを連通させておく。
なお、本実施の形態1においては、図1乃至図4に示すように、第1の排出部50または第2の排出部60からの浄水を連結ホース82、切換弁80及び取水ホース81を介してバケツ等に貯め、その貯めた水を第1の濾過部30の洗浄水として使用している。
【0108】
この状態で、ウィングポンプ1を駆動させると、図3及び図4に示すように、取水ホース81から洗浄水が吸引される。そして、この洗浄水は切換弁80のポート81Aに到達し、切換弁80の通路80aに案内されてポート1Aへと導かれ、ウィングポンプ1の吸入口に吸い込まれる。また、ウィングポンプ1の吸入口に吸い込まれた洗浄水は、ウィングポンプ1内で所定の圧力に加圧されたのち、ウィングポンプ1の吐出口から圧送される。
そして、図3に示すように、連結ホース82が第1の排出部50に連結されていると共に、コック61が閉鎖されコック51が開放されている場合には、ウィングポンプ1から圧送された洗浄水は、流路71を介して第2の濾過部40に到達したのち、第1の排出部50及び連結ホース82を通って、切換弁80のポート82Aに到達する。
一方で、図4に示すように、連結ホース82が第2の排出部60に連結されていると共に、コック51が閉鎖されコック61が開放されている場合には、ウィングポンプ1から圧送された洗浄水は、流路71及び図72を介して第2の排出部60に到達したのち、連結ホース82を通って、切換弁80のポート82Aに到達する。
【0109】
そして、図3及び図4に示すように、切換弁80のポート82Aに到達した洗浄水は、通路80bに案内されてポート34Aへと導かれたのち、パイプ34を介して、第1の濾過部30に到達する。更に、第1の濾過部30に到達した洗浄水は、第1の濾過部30の流出部33Cから流入して濾過材31の内側から外側に透過し、導入管取付口部33Aを通ったのち外部へと排出される。そして、洗浄水が濾過材31の内側から外側に透過する際、ウィングポンプ1の圧によって濾過材31に付着していた塵や砂等の不純物が取り除かれ、この不純物は洗浄水と共に外部へと排出される。
【0110】
このように、本実施の形態1においては、第1の濾過部30の濾過材31の目詰まりによって圧力損失が増大してきた場合でも、濾過材31を取り外すことなしに、ウィングポンプ1の圧を使用して、第1の濾過部30に浄水時とは逆方向に洗浄水を流せるため、容易に、しかも、効率よく濾過材31の目詰まりを低減して濾過性能を回復させることができる。即ち、本実施の形態1の浄水装置によれば、第1の濾過部30での濾過効率を長時間良好に維持することができる。また、第1の濾過部30の濾過材31を長持ちさせることができる。
【0111】
また、本実施の形態1の浄水装置は、上述の如く、図1乃至図4に示すように、浄水時及び第1の濾過部30の洗浄時において、取水ホース81を切換弁80のポート81Aに接続すると共に、第2の排出部60または第1の排出部50に連結させた連結ホース82を切換弁80のポート82Aに接続しておくことで、切換弁80の切換操作1つという非常に分かり易い操作で浄水時と第1の濾過部30の洗浄時の切換操作ができるため、浄水時と第1の濾過部30の洗浄時との切換えを極めて容易に行うことができ、使い勝手がよい。
【0112】
このように、本実施の形態1の浄水装置は、水Wを吸引し、その吸引した水Wを圧送する人力駆動式の往復動ポンプとしてのウィングポンプ1と、ウィングポンプ1の上流側に配設され、ウィングポンプ1に吸引される水Yを水源から導入する導入部としての導入管10と、導入管10の下流側で、ウィングポンプ1の上流側に配設され、導入管10で導入した水Xの殺菌を行う二酸化塩素を供給する二酸化塩素供給部20と、二酸化塩素供給部20の下流側で、ウィングポンプ1の上流側に配設され、二酸化塩素が供給された水Xに含まれる第2の濾過部の負荷を軽減する不純物を除去すると共に、二酸化塩素の含有量を減少させる濾過材31を有する第1の濾過部30と、ウィングポンプ1の下流側に配設され、ウィングポンプ1から圧送された水Yを濾過する中空糸膜41を有し、ウィングポンプ1から圧送された水Yに含まれる少なくとも最大長または直径が0.1μm以上の不純物を除去する第2の濾過部40と、第2の濾過部40の下流側に配設され、第2の濾過部40で濾過された水Zを排出する第1の排出部50とを具備するものである。
【0113】
また、本実施の形態1の浄水装置は、導入管10の先端に取り付けられ、その水底から導入口10aを所定の距離離すことにより、導入管10に導入される水Xを濾過するストレーナ11を具備するものである。
【0114】
したがって、本実施の形態1の浄水装置によれば、ウィングポンプ1の詰まりの原因となる粒状物及び汚泥等はストレーナ11及び第1の濾過部30にて取り除かれ、粒状物及び汚泥等が直にウィングポンプ1内に入りこむことはないため、長時間使用してもウィングポンプ1が詰まることはなく、ウィングポンプ1の吸引力や吐出力といった機能が長時間維持される。また、ストレーナ11によって水源の水Wに含まれる泥、木の葉、小石等の比較的大きな異物が導入管10に侵入するのが阻止されるため、これら大きな異物が導入管10に詰まって浄化効率が極端に悪くなるのを防ぐことができる。なお、水源から水Wを吸引し、その吸引した水Wを圧送するポンプとして吸い上げ・押し上げ力に優れるウィングポンプ1を使用しているため、圧力損失を招く第1の濾過部30をウィングポンプ1上流側に配設しても十分な浄化効率を得ることができる。
【0115】
また、本実施の形態1の浄水装置によれば、第2の濾過部40の中空糸膜41による濾過、即ち、除菌に先立って、二酸化塩素供給部20による二酸化塩素の供給が行われており、第2の濾過部40の前段階で水Yに含まれる細菌が低減するため、中空糸膜41の負担を軽減することができる。加えて、二酸化塩素による殺菌は、水の殺菌の主流である次亜塩素による殺菌と比較して低濃度でも高い殺菌力や残留効果を得ることができることから、次亜塩素で殺菌する場合と比較して、第2の濾過部40の中空糸膜41の負担をより軽減することができる。
更に、第1の濾過部30での濾過に先立って、二酸化塩素供給部20による二酸化塩素の供給が行われており、第1の濾過部30の後に二酸化塩素供給部20を設けた場合と比較して、第1の濾過部30内への細菌の付着が低減されるため、使用後数時間の通水停止状態となったときの第1の濾過部30における細菌の繁殖を低減することができる。故に、通水再開時に第1の濾過部30で繁殖した細菌を含んだ水Yが第2の濾過部40に到達することによる中空糸膜41の負担の増大を軽減することができる。
故に、本実施の形態1の浄水装置によれば、第2の濾過部40における濾過効率を長時間良好に維持することができる。
【0116】
このようにして、長時間浄化効率を良好に維持することができ、メンテナンス性に優れた浄水装置となる。
【0117】
また、本実施の形態1の浄水装置は、ウィングポンプ1と第2の濾過部40との間から分岐し、ウィングポンプ1から圧送された水Yを排出する第2の排出部60とを具備するものである。
したがって、本実施の形態1の浄水装置によれば、同水源の水Wから浄化度合の異なる水を得ることができる。
【0118】
更に、本実施の形態1の浄水装置は、ウィングポンプ1から圧送された水Yが第1の排出部50または第2の排出部60のどちらか一方から排出されるようにウィングポンプ1から圧送された水Yの流れを切換えるコック51及びコック61からなる切換手段を具備するものである。
したがって、本実施の形態1の浄水装置によれば、効率的に浄化度合いの異なる水を得ることができるし、水源の水Wの水質に応じて浄化度合いを選択することもできる。特に、飲料水ほどの水質を必要としない生活用水を得たいときなど中空糸膜41による濾過を必要としない場合に、中空糸膜41の無駄な使用を回避できるため、経済的である。また、中空糸膜41の長寿命化や、第2の濾過部40における良好な濾過効率の維持も図ることができる。
加えて、開閉弁としてのコック51及びコック61の操作によって第2の濾過部の使用の有無の切換えを行うため、その切換操作が容易であり、また、コック51、コック61はそれぞれ第1の排出部50、第2の排出部60に組み込まれているため、第1の排出部50及び第2の排出部60の排出量をも調整することができる。
【0119】
また、本実施の形態1の浄水装置は、第1の濾過部30に浄水時とは逆方向に水を流し、第1の濾過部30の洗浄を行う洗浄手段として、浄水を得る際には、ウィングポンプ1の吸引側に第1の濾過部30の出力側を接続し、洗浄水を流す際には、ウィングポンプ1の吐出側から第1の濾過部30の出力側に流す切換自在な切換弁80を具備するものである。したがって、本実施の形態1の浄水装置によれば、第1の濾過部30の濾過材31の目詰まりを軽減して濾過性能を回復させることができ、第1の濾過部30における濾過効率を長時間良好に維持することができる。また、浄水時に使用するウィングポンプ1の圧を使用して、第1の濾過部30の洗浄を行うため、効率よく濾過材31の濾過性能を回復させることができる。更に、洗浄専用のポンプを必要としないため、装置の軽量化を図ることもできる。
なお、本発明を実施する場合には、第1の濾過部30に浄水時とは逆方向に水を流し、第1の濾過部30の洗浄を行うことができれば、洗浄手段は本実施の形態1の切換弁80に限定されるものではなく、例えば、第1の濾過部30とウィングポンプ1とを接続するパイプ34を取り外し自在に構成し、ウィングポンプ1の吸入口に取水ホース81を接続すると共に、第1の排出部50または第2の排出部60に連結させた連結ホース82を第1の濾過部30の流出部33C側に接続して、洗浄を行うことも可能である。
【0120】
更に、本実施の形態1の浄水装置によれば、第1の濾過部30は、銀添着活性炭、セラミックス、イオン交換樹脂のいずれか1つからなる濾過材31で、濾過材カートリッジ32に収納され、交換自在としたことから水源の水質に応じて最適な濾過材31を選択でき、利便性に優れる。
また、銀添着活性炭からなる濾過材31は、塩素分解除去能を有するが、抗菌性の銀が添加されているため、銀が添着されていない活性炭からなる濾過材と比較して、使用後の雑菌の繁殖を低減することができる。また、セラミックス、イオン交換樹脂からなる濾過材31においても、塩素の分解除去能を有さないため、二酸化塩素供給部20からの二酸化塩素の残留塩素の一部を濾過材31に残留させることができ、使用後の雑菌の繁殖を低減することができる。
【0121】
また、本実施の形態1の浄水装置によれば、導入管10で導入した水Xに溶解させることで二酸化塩素を発生する二酸塩素発生剤21によって二酸化塩素を供給するため、二酸化塩素水溶液の形態で供給する場合と比較して、減溶化を図ることができ、単純な構成で二酸化塩素を供給することができる。更に、錠剤となっているため、補充、運搬等の取り扱いが容易である。
そして、二酸化塩素発生剤21が設置されるケーシング22の底部22aは、メッシュ状に構成され、また、第1の濾過部30を構成するフィルタハウジング33内に配設されるため、第1の濾過部30の濾過材31によって濾過される前の水Xがフィルタハウジング33内に滞留し、その水位がケーシング22の底部22aにまで達している場合には、その滞留水にも二酸化塩素発生剤21が溶解する。したがって、短時間で多くの二酸化塩素を水Xに発生混入させることができるため、水Xの殺菌率をより高めることができる。
加えて、ケーシング22の開口部22bを開閉自在とする蓋体23が透明の材料からなるため、蓋体23を取り外すことなく二酸化塩素発生剤21の残存量、混入状態を視認することができる。
【0122】
そして、本実施の形態1の浄水装置は、ウィングポンプ1を組み付ける搬送時に把持する把持部92bを有する架台フレーム90を具備するものである。
したがって、使用者が把持部92bを把持してその搬送作業をすることができ、更には、その搬送中にウィングポンプ1が架台フレーム90からずれたり外れたりすることを防ぐことができるため、その搬送作業を容易にすることができる。
【0123】
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2の浄水装置について図13乃至図18を参照して説明する。なお、本発明の実施の形態2において、実施の形態1との相違点は、ウィングポンプ1から圧送された水が第1の排出部50または第2の排出部60のどちらか一方から排出されるように切換える切換手段として、コック51及びコック62の代わりに切換弁100を用いた点にある。その他の構成は、実施の形態1と同じであるから、その説明を省略する。
【0124】
即ち、図13乃至図16に示すように、本実施の形態2の浄水装置は、ウィングポンプ1から圧送された水が第1の排出部50または第2の排出部60のどちらか一方から排出されるようにウィングポンプ1から圧送された水Yを切換える切換手段として、ウィングポンプ1側を第2の濾過部40側またはウィングポンプ1側を第2の排出部60側のどちらか一方に選択的に接続する切換自在な切換弁100を有している。
【0125】
具体的には、本実施の形態2の切換弁100は、図17(a)に示すように、流路形成部材70内に形成された流路71とバイパス路72との分岐点に配設されており、図17(c)及び図17(e)に示すように、流路形成部材70の正面部に配置する操作部100aの回動操作(図示の矢印)にて、ウィングポンプ1から圧送された水Yの流れを切換えるものである。
即ち、この切換弁100は、回動型の方向切換弁であり、操作部100aを図17(c)に示す位置に操作することによって、図17(b)に示すように、ウィングポンプ1側と第2の濾過部40側とを接続する一方で、図17(d)に示す位置に操作部100aを切換えることによって、ウィングポンプ1側と第2の排出部60側とを接続するようになっている。
【0126】
このため、本実施の形態2の浄水装置において、切換弁100の操作部100aが図17(c)に示す位置にある状態で、ウィングポンプ1を駆動させると、ウィングポンプ1から圧送された水Yは、切換弁100によって、第2の濾過部40側に導かれ、第2の濾過部40を通過したのち第1の排出部50から排出される。
一方で、切換弁100の操作部100aが図17(e)に示す位置にある状態でウィングポンプ1を駆動させると、ウィングポンプ1から圧送された水Yは、切換弁100によって第2の排出部60側に導かれ、第2の排出部60から排出される。
【0127】
このように、本実施の形態2の浄水装置は、第2の濾過部40を着脱することなく、また、浄化運転を停止することなく、切換弁100を切換えるだけで、ウィングポンプ1からの水Yが第1の排出部50または第2の排出部60のどちらか一方から排出されるようになっていることから、浄化度合の異なる水を容易に、しかも、効率よく得ることができる。
また、飲料水ほどの水質を必要としない生活用水を得たいときなど第2の濾過部40による濾過を必要としない場合に中空糸膜41の無駄な使用を回避できるため、経済的である。
更には、中空糸膜41の長寿命化や、第2の濾過部40における良好な濾過効率の維持も図ることができる。
【0128】
加えて、本実施の形態2の浄水装置は、切換弁100の操作部100aを切換えるという1つの操作で浄化度合いの選択、即ち、第2の濾過部40の使用の有無の切換えができるため、その切換操作が非常に分かり易く、極めて容易である。
また、図17(d)及び図17(e)に示すように切換弁100を切換えた場合、ウィングポンプ1から圧送された水Yが第2の濾過部40に到達することはないため、第2の濾過部40の中空糸膜41の使用を最小限に抑えることも可能である。
更に、切換弁100とすると、その全体の操作を間違えても、切換弁100が閉塞しないので、ウィングポンプ1の負荷が過大になる可能性がない。
【0129】
故に、本実施の形態2の浄水装置において、切換手段は、ウィングポンプ1から圧送された水Yが第1の排出部50または第2の排出部60のどちらか一方から排出されるようにウィングポンプ1から圧送された水Yの流れを切換える構成を意味する。そして、本実施の形態2においては、具体的には、ウィングポンプ1側を第2の濾過部40側またはウィングポンプ1側を第2の排出部60側のどちらか一方に選択的に接続する切換自在な切換弁100から構成されている。
【0130】
ところで、本実施の形態2の浄水装置も、図13乃至図16に示すように、上記実施の形態1と同様に、図10に示す切換弁80の操作部80cの切換操作によって、浄水時と第1の濾過部30の洗浄時の切換えが行われるようになっている。
したがって、本実施の形態2の浄水装置は、切換弁83の切換操作1つで第2の濾過部40の使用の有無の切換えを行うことができ、更には、切換弁100の切換操作1つで浄水時と第1の濾過部30の洗浄時との切換えを行うことができる(図18参照)。
即ち、本実施の形態2の浄水装置は、使用者にとってこれら切換操作が非常に分かり易く、極めて容易となっている。このため、とても使い勝手が良く、結果的に、作業効率を向上させることが期待できる。
なお、本実施の形態2の浄水装置は、洗浄手段としての切換弁80と第2の濾過部の使用の有無の切換を行う切換手段としての切換弁100とが別体となっているが、本発明を実施する場合には、第1の濾過部30に浄水時とは逆方向に洗浄水を流し第1の濾過部30の洗浄を行うことができれば、切換弁80と切換弁100とを一体化し、洗浄手段を、浄水を得る際には、ウィングポンプ1の吸引側に第1の濾過部30の出力側を接続し、ウィングポンプ1の吐出側に第2の濾過部40の入力側を接続し、また、洗浄水を流す際には、ウィングポンプ1の吐出側から第2の濾過部40の入力側、その出力側から第1の濾過部30の出力側に流す切換自在な切換弁とすることもできる。
【0131】
[実施の形態3]
次に、本発明の実施の形態3の浄水装置について図19乃至図23を参照して説明する。なお、本発明の実施の形態3において、実施の形態1との相違点は、切換弁80の代わりに切換弁110を用いた点にある。その他の構成は、実施の形態1と同じであるから、その説明を省略する。なお、切換弁110を分かり易くするために、図19乃至図22において、切換弁110は拡大して表示してある。
【0132】
本実施の形態3の切換弁110は、図23に示すように、スプール状の弁体111と略長方形状のケーシング112とから構成されている。
弁体111は、ケーシング112内に摺動自在に配設されており、3つの通路110a、110b及び110cを構成するための3つのランド111a、111b及び111cを有している。
また、ケーシング112には、5つのポート、即ち、第1の濾過部30の出力側に接続されるポート35A、ウィングポンプ1の吸引側に接続されるポート1A及びポート1D、ウィングポンプ1の吐出側に接続されるポート1B、第2の濾過部40の入力側または第2の排出部60側に接続されるポート1Cが形成されている。
なお、ランド111a、111b及び111cとケーシング112との間には、隙間をなくすためにOリング等のパッキン(図示せず)が介在している。
【0133】
そして、この切換弁110は、図23(a)に示すように、弁体111の係止部111dがケーシング112に当接する状態、即ち、弁体111をこれ以上ケーシング112に押し込むことができない状態にあるとき、ポート35Aとポート1Aとが通路110aを介して、ポート1Bとポート1Cとが通路110bを介してそれぞれ連通するようになっている。
また、一方で、図23(b)に示すように、弁体111のランド111aがケーシング112に当接する状態、即ち、弁体111をこれ以上ケーシング112から引き出すことができない状態にあるとき、ポート1Cとポート1Dとが通路110cを介して、ポート1Bとポート35Aとが通路110bを介してそれぞれ連通するようになっている。
【0134】
したがって、本実施の形態3の浄水装置において、切換弁110の弁体111をこれ以上ケーシング112に押し込むことができない状態にまで押し込み、ウィングポンプ1を駆動させると、図19及び図20に示すように、導入管10に水源から水Wが導入される。そして、この導入管10に導入された水は、二酸化塩素供給部20を介して第1の濾過部30を通過したのち、切換弁110のポート35Aに到達して通路110aによってポート1Aに案内されたのち、ウィングポンプ1の吸入口へと吸い込まれて吐出口から圧送される。また、ウィングポンプ1から圧送された水は、切換弁110のポート1Bに到達して通路110bによってポート1Cへと案内される。そして、コック61が閉鎖されコック51が開放されている場合には、切換弁110のポート1Cからの水は第2の濾過部40を通過したのち第1の排出部50から排出される(図19)。一方で、コック51が閉鎖されコック61が開放されている場合には、切換弁110のポート1Cからの水は第2の排出部60から排出される(図20)。
即ち、本実施の形態の浄水装置3おいて、浄水時には、第1の濾過部30、ウィングポンプ1、第2の濾過部40及び第1の排出部50の順序で浄水を得る浄水路(図19)または、第1の濾過部30、ウィングポンプ1及び第2の排出部60の順序で浄水を得る浄水路(図20)が形成されるようになっている。
【0135】
一方、本実施の形態3の浄水装置において、切換弁110の弁体111をこれ以上ケーシング112から引き出すことができない状態にまで引き出して、ウィングポンプ1を駆動させると、図22に示すように、コック51が閉鎖されコック61が開放されている場合には、バケツ等に貯められた洗浄水が第2の排出部60から吸引されて逆流し、切換弁110のポート1Cに到達する。そして、切換弁110のポート1Cに到達した洗浄水は、通路110cによってポート1Dに案内されたのち、ウィングポンプ1の吸入口へと吸い込まれて吐出口から圧送される。また、ウィングポンプ1から圧送された洗浄水は、切換弁110のポート1Bに到達して通路110bによってポート35Aへと案内されたのち、第1の濾過部30に到達する。更に、第1の濾過部30に到達した洗浄水は、第1の濾過部30の流出部33Cから流入して第1の濾過部30の濾過材31の内側から外側に透過したのち、導入管取付口部33Aから流出して外部へと排出される。
そして、洗浄水が濾過材31の内側から外側に透過する際、ウィングポンプ1の圧によって濾過材31に付着していた塵や砂等の不純物が取り除かれる。
即ち、本実施の形態3の浄水装置において、洗浄時には、ウィングポンプ1に導かれた水を第1の濾過部30に浄水を得た方向に対して逆流させる洗浄路(図22)が形成されるようになっている。
【0136】
また、図21に示すように、コック61が閉鎖されコック51が開放されている場合は、バケツ等に貯められた洗浄水が第1の排出部50から吸引されたのち、第2の濾過部40を浄水時とは逆方向に流れ、切換弁110のポート1Cに到達する。そして、切換弁110のポート1Cに到達した洗浄水は、通路110cによってポート1Dに案内されたのち、ウィングポンプ1の吸入口へと吸い込まれて吐出口から圧送される。また、ウィングポンプ1から圧送された洗浄水は、切換弁110のポート1Bに到達して通路110bによってポート35Aへと案内されたのち、第1の濾過部30に到達する。更に、第1の濾過部30に到達した洗浄水は、第1の濾過部30の流出部33Cから流入して第1の濾過部30の濾過材31の内側から外側に透過したのち、導入管取付口部33Aから流出して外部へと排出される。
そして、ウィングポンプ1の圧によって、洗浄水が第2の濾過部40の中空糸膜41の内部から外部に透過する際、中空糸膜41に付着している細かい不純物が取り除かれ、また洗浄水が第1の濾過部30の濾過材31の内側から外側に透過する際、濾過材31に付着していた塵や砂等の不純物が取り除かれる。
即ち、本実施の形態3の浄水装置によれば、ウィングポンプ1によって第2の濾過部40に導かれた水を第2の濾過部及び第1の濾過部30に浄水を得た方向に対して逆流させる洗浄路(図21)も形成されるようになっており、第2の濾過部40の洗浄をも行うことができるようになっている。
【0137】
故に、本実施の形態3の浄水装置において、洗浄手段は、第1の濾過部30に浄水時とは逆方向に洗浄水を流し、第1の濾過部30の洗浄を行う構成を意味する。そして、本実施の形態においては、具体的には、浄水を得る際には、ウィングポンプ1の吸引側に第1の濾過部30の出力側を接続し、かつ、ウィングポンプ1の吐出側に第2の濾過部40の入力側または第2の排出部60側を接続することによって、第1の濾過部30、ウィングポンプ1、第2の濾過部40または第2の排出部60側の順序で水を流し、洗浄水を流す際には、ウィングポンプ1の吸引側を第2の濾過部40の入力側または第2の排出部60に接続し、かつ、ウィングポンプ1の吐出側から第1の濾過部30の出力側に接続して、そこに洗浄水を流すものである。
即ち、本実施の形態3の浄水装置は、浄水を得る際には、第1の濾過部30、ウィングポンプ1、第2の濾過部40または第2の排出部60の順序で水を流し、また、洗浄の際には、ウィングポンプ1によって第2の濾過部40に導かれた水によって第2の濾過部40及び第1の濾過部30の内部を逆流させるものである。
【0138】
これによって、本実施の形態3の浄水装置は、第1の濾過部30の濾過材31の目詰まりによって圧力損失が増大してきた場合でも、第1の濾過部30に浄水時とは逆方向に洗浄水を流すことによって、濾過材31の目詰まりを低減して濾過性能を回復させることができ、更には、第2の濾過部40の中空糸膜41の目詰まりによって圧力損失が増大してきた場合でも、第2の濾過部40の中空糸膜41の目詰まりを低減して濾過性を回復させることも可能である。
即ち、本実施の形態3の浄水装置によれば、第1の濾過部30での濾過効率を長時間良好に維持することができ、また、第1の濾過部30の濾過材31を長持ちさせることもできる。加えて、第2の濾過部40における濾過効率を長時間良好に維持することも可能であり、更には、第2の濾過部の中空糸膜41を長持ちさせることも可能である。
更に、本実施の形態3の浄水装置は、濾過材31及び中空糸膜41を取り外すことなしに、ウィングポンプ1の圧を使用して第1の濾過部30及び第2の濾過部40の洗浄を行うため、容易に、しかも、効率よく濾過材31及び中空糸膜41の濾過性能を回復させることができる。加えて、洗浄専用のポンプを必要としないため、装置の軽量化を図ることもできる。
【0139】
なお、本実施の形態3の切換弁80は、図23(a)に示すように、浄水時において、ランド111cによってポート1Dとポート1Cとの連通が遮断されるようになっており、また、図23(b)に示すように、洗浄時においては、ランド111bによってポート1Aとポート35Aとの連通が遮断されるようになっている。
このため、本実施の形態3の浄水装置によれば、図19乃至図22に示すように、切換弁110を切換えるという1つの操作だけで浄水時及び洗浄時の切換えを行うことができる。
即ち、本実施の形態3の浄水装置は、浄水時と洗浄時の切換操作が非常に分かり易くなっており、浄水時との切換えを極めて容易に行うことができる。故に、本実施の形態3の浄水装置は、使い勝手がよい。
なお、本発明を実施する場合には、第1の濾過部30の出力側に接続されるポート35A、ウィングポンプ1の吸引側に接続されるポート1A及びポート1D、ウィングポンプ1の吐出側に接続されるポート1B、第2の濾過部40の入力側または第2の排出部60側に接続されるポート1Cを有し、浄水時において、ポート35Aとポート1Aとが、ポート1Bとポート1Cとがそれぞれ連通し、洗浄時において、ポート1Cとポート1Dとが、ポート1Bとポート35Aとが、それぞれ連通するような切換弁であれば、各ポートの位置や弁体、ケーシングの形状等は本実施の形態3の切換弁110の形態に限定されるものではなく、例えば、円柱状の弁体111の中に各ポート間を連通する通路を形成した切換弁の形態とすることもできる。
【0140】
なお、上記各実施の形態の浄水装置は、地震等の災害またはアウトドアの際に利用されることを想定して、河川、湖沼、ダム、貯め池、雨水、学校のプール、用水等の水Wを水源として使用する事例で説明したが、上水道を水源として使用し、銀添着活性炭、セラミックス、イオン交換樹脂等の濾過材31を使用することで、一般の家庭に普及しているような安全でおいしい水を得るための浄水器として使用することも可能である。
また、本発明を実施するに際しては、浄水装置を構成する各設備の配置、形状、大きさ、接続関係等については、上記各実施の形態に限定されるものではない。
【0141】
ここで、本実施の形態1の導入管10の先端には、その水底から導入管10の導入口10a(図7)を所定の距離離すことにより、水源の水Wに含まれる泥、木の葉、小石等の比較的大きな異物が導入管10の導入口10a(図7)に吸い込まれるのを阻止するストレーナ11が取り付けられていることを説明したが、更に、次のような構成で実施することができる。
【0142】
具体的には、本実施の形態のストレーナ11は、図24に示すように、小孔を多数形成したステンレス等の有底円筒形状の金属フィルタ11cで全体が形成されている。金属フィルタ11cの端部に形成された導入管取付口部11Aを介して、導入管10の導入口10aに嵌合されている。
前記ストレーナ11の導入管取付口部11Aは、金属フィルタ11cの内部にも突出して軸部11fが形成されている。また、導入管取付口部11Aを取り付けた対向面側にも突出軸11eが取付けられている。導入管取付口部11Aの金属フィルタ11cの内部の軸部11fと突出軸11eとの間には、ヘドロ阻止材11gが取付けられている。
【0143】
ヘドロ阻止材11gは、有端の略樋状であり、200から230度の角度を有しており、端部は、軸部11fと嵌合する嵌合孔11h、また、突出軸11eと嵌合する嵌合孔11iとを有している。また、ヘドロ阻止材11gの中心外側には、錘11kとして10mmのステンレス線がその長さ方向に溶接されている。故に、ヘドロ阻止材11gは、上部が開口し、開口した金属フィルタ11c側から外部の水を導入するから、ヘドロ等の水質を低下させるものを巻き込む可能性がない。
【0144】
このように、本実施の形態のストレーナ11は、川に投げ込むだけで、ストレーナ11が倒れ、ヘドロ阻止材11gは自重によって、軸部11fと嵌合する嵌合孔11h及び突出軸11eと嵌合する嵌合孔11iがそれぞれ軸部11f及び突出軸11eを中心に回動し、錘11kが最下位地になって安定するから、ストレーナ11が川底のヘドロ等を吸引するのを防止することができる。
【0145】
なお、本実施の形態では、ストレーナ11が一重のもので説明したが、本発明を実施する場合には、図7に示すような、2重のフィルタでカバーしてもよい。
或いは、ストレーナ11の軸部11fまたは突出軸11eを設けた面を大きな正方形とし、更に、ヘドロ阻止材11gの設置高さを高くすることができる。
【符号の説明】
【0146】
1 ウィングポンプ
10 導入管(導入部)
11 ストレーナ
20 二酸化塩素供給部
21 二酸化塩素発生剤
22 ケーシング
22a 底部
22b 開口部(供給口)
23 蓋体
30 第1の濾過部
31 濾過材
32 濾過材カートリッジ
40 第2の濾過部
41 中空糸膜
50 第1の排出部
51、61 コック(切換手段)
60 第2の排出部
80、83、100、110 切換弁
90 架台フレーム
92b 把持部
93 キャスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を吸引し、その吸引した水を圧送する人力駆動式の往復動ポンプと、
前記往復動ポンプの上流側に配設され、前記往復動ポンプの吸引によって水源から水を導入する導入部と、
前記導入部の下流側で、前記往復動ポンプの上流側に配設され、前記導入部で導入した水の殺菌を行う二酸化塩素を供給する二酸化塩素供給部と、
前記二酸化塩素供給部の下流側で、前記往復動ポンプの上流側に配設され、前記二酸化塩素が供給された水に含まれる次の濾過部の負荷を軽減する不純物を除去すると共に、前記二酸化塩素の含有量を減少させる濾過材を有する第1の濾過部と、
前記往復動ポンプの下流側に配設され、前記往復動ポンプから圧送された水を濾過する前記第1の濾過部の濾過材より細かい不純物を除去する中空糸膜を有し、前記往復動ポンプから圧送された水に含まれる少なくとも最大長または直径が0.1μm以上の不純物を除去する第2の濾過部と、
前記第2の濾過部の下流側に配設され、前記第2の濾過部で濾過された水を排出する第1の排出部と
を具備することを特徴とする浄水装置。
【請求項2】
更に、前記往復動ポンプと前記第2の濾過部との間から分岐し、前記往復動ポンプから圧送された水を排出する第2の排出部を具備することを特徴とする請求項1に記載の浄水装置。
【請求項3】
更に、前記往復動ポンプから圧送された水が、前記第1の排出部または前記第2の排出部のどちらか一方から排出されるように前記往復動ポンプから圧送された水の流れを切換える切換手段を具備することを特徴とする請求項2に記載の浄水装置。
【請求項4】
前記切換手段は、前記往復動ポンプ側を前記第2の濾過部側または前記往復動ポンプ側を前記第2の排出部側の一方に選択的に接続する切換自在な切換弁としたことを特徴とする請求項3に記載の浄水装置。
【請求項5】
更に、前記第1の濾過部に浄水時とは逆方向に洗浄水を流し、前記第1の濾過部の洗浄を行う洗浄手段を具備することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の浄水装置。
【請求項6】
更に、前記導入部の先端に取り付けられ、水底から導入口を所定の距離離すことにより、前記導入部に導入される水を濾過するストレーナを具備することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の浄水装置。
【請求項7】
前記第1の濾過部は、銀添着活性炭、セラミックス、イオン交換樹脂の何れか1つ以上からなる濾過材で、カートリッジに収納され、交換自在としたことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載の浄水装置。
【請求項8】
前記二酸化塩素供給部は、前記導入部で導入した水に溶解させることで二酸化塩素を発生する二酸化塩素発生剤と、当該二酸化塩素発生剤を供給する供給口を有し当該二酸化塩素発生剤を収容するケーシングと、当該ケーシングの供給口を開閉自在とする透明の材料からなる蓋体とからなり、当該ケーシングの底部をメッシュ状に構成して前記第1の濾過部に内装したことを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1つに記載の浄水装置。
【請求項9】
前記二酸化塩素供給部は、所定濃度の二酸化塩素水溶液と、当該二酸化塩素水溶液を収容する透明の材料からなるケーシングと、当該ケーシングに収容された二酸化塩素水溶液を前記導入部で導入した水に注入する注入部とからなることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1つに記載の浄水装置。
【請求項10】
更に、前記往復動ポンプを組み付ける搬送時に把持する把持部を有する架台フレームを具備することを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れか1つに記載の浄水装置。
【請求項11】
前記搬送時に把持する把持部を有する架台フレームには、1個以上のキャスタを具備することを特徴とする請求項10に記載の浄水装置。
【請求項12】
前記架台フレームには、搬送時に背負う背負部を有することを特徴とする請求項10または請求項11に記載の浄水装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−35174(P2012−35174A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176319(P2010−176319)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(395024698)
【出願人】(396002378)
【Fターム(参考)】