説明

浮上搬送装置

【課題】本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、エアー噴出圧力の調整以外の方法によって被搬送物の搬送速度を微調整することができる浮上搬送装置を提供する。
【解決手段】薄板状の被搬送物wを浮上させつつ搬送路に沿って搬送させる浮上搬送装置において、搬送路に沿って配設されたプレート23に被搬送物を浮上させるエアーの噴出孔23aを全面に形成するとともに、被搬送物の下面に向けてエアーを噴出して、被搬送物を搬送方向に向けて加減速させる速度調整エアー噴出器7を設けた。このエアー噴出器7は、被搬送物に対するエアー噴出角度を調整可能にプレートの外方に搬送路に沿って複数設けるとともに、走行起動部1では、被搬送物の搬送方向に向けてエアーを噴出するように設け、かつ走行停止部3では、被搬送物の搬送方向後方に向けてエアーを噴出するように設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス板などの薄板状の被搬送物を速度調整しつつ浮上搬送させることができる浮上搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記被搬送物を搬送する搬送装置としては、例えば、特許文献1に示すように、搬送方向に直交する方向に向けて水平に配設された棒状の搬送ローラを搬送方向に向けて多数配設したものが用いられている。この搬送装置によれば、搬送ローラを、被搬送物の載置面が搬送方向に向けて移動するように回転させることによって、被搬送物が搬送方向に搬送されるようになっている。
【0003】
しかしながら、被搬送物が搬送ローラの上を移動する際に、搬送ローラによって被搬送物が傷付けられる恐れや搬送ローラ表面に付着している異物が被搬送物に転写される恐れがある。このため、特に、被搬送物がディスプレイパネル用のガラス板などである場合に、傷や異物が製品の欠陥の原因となりうるという問題があった。
【0004】
そこで、近年、搬送装置として、エアーを噴出して、被搬送物を浮上させつつ搬送させる浮上搬送装置が開発されている(例えば、特許文献2)。この浮上搬送装置は、外観視厚板状のプレートに、被搬送物を浮上させるエアー噴出孔や被搬送物を搬送路に沿って前進させるエアー噴出孔がそれぞれ形成されており、搬送ローラによって被搬送物が傷付けられる恐れや搬送ローラによる被搬送物への異物の転写の恐れがない。
【0005】
ところが、この浮上搬送装置は、噴出孔の角度を調整することができないために、被搬送物の搬送速度を調整するためにはエアーの噴出圧量を調整するしかなく、被搬送物を加速させる場合には、不要に多量のエアーを噴出させることとなり、エネルギー効率が悪い上に、噴出圧力の増減だけでは搬送速度の微調整が困難であるという問題があった。
【0006】
【特許文献1】特開2005−194060号公報
【特許文献2】特開2004−345814号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、エアー噴出圧力の調整以外の方法によって被搬送物の搬送速度を微調整することができる浮上搬送装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、請求項1に記載の発明は、薄板状の被搬送物を浮上させつつ搬送路に沿って搬送させる浮上搬送装置において、上記搬送路に沿って配設されたプレートに全面に亘って上記被搬送物を浮上させるエアーの噴出孔が形成されており、かつ上記被搬送物の下面に向けてエアーを噴出して、上記被搬送物を搬送方向に向けて加減速させる速度調整エアー噴出器が上記被搬送物に対するエアー噴出角度を調整可能に上記プレートの外方に上記搬送路に沿って複数設けられていることを特徴としている。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の浮上搬送装置において、上記速度調整エアー噴出器は、上記搬送路の走行起動部に上記被搬送物の搬送方向に向けてエアーを噴出するように設けられており、かつ上記搬送路の走行停止部に上記被搬送物の搬送方向後方に向けてエアーを噴出するように設けられていることを特徴としている。
【0010】
さらに、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の浮上搬送装置において、上記走行起動部の速度調整エアー噴出器は、上記エアーの噴出方向が上記プレートの表面に直交する方向に対して15°以上であって、かつ75°以下の角度になるように設置されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1〜3のいずれかに記載の浮上搬送装置によれば、プレートの全面に形成されたエアー噴出孔から噴出されるエアーによって、被搬送物を浮上させつつ、プレートの外方に搬送路に沿って被搬送物に対するエアー噴出角度を調整可能に設けられた速度調整エアー噴出器によって、被搬送物を搬送方向に向けて加減速させることができる。
このため、速度調整エアー噴出器のエアー噴出角度を調整することによって、被搬送物の搬送速度を微調整することができ、搬送速度を加速させる際にも、不要にエアー噴出量を増加させることなく、被搬送物を搬送させることができる。
【0012】
それ故に、この速度調整エアー噴出器は、請求項2に記載の発明のように、搬送路の走行起動部に搬送方向に向けてエアーを噴出するように設けることによって、被搬送物を搬送路に沿って、漸次、加速させて前進させることができるとともに、搬送路の走行停止部に搬送方向後方に向けてエアーを噴出するように設けることによって、漸次、被搬送物を減速させて停止させることができる。
【0013】
その際、走行起動部の速度調整エアー噴出器は、請求項3に記載の発明のように、エアーの噴出方向がプレートの表面に直交する方向に対して15°以上であって、かつ75°以下の角度になるように設置することによって、被搬送物を搬送方向に向けて速やかに加速させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の浮上搬送装置の最良の実施形態を、図1〜図10を用いて説明する。
本実施形態の浮上搬送装置は、図1及び図2に示すように、走行起動部1と、走行部2と、走行停止部3とによって構成されており、被搬送物としてのガラス板wを走行起動部1から走行部2を経由して走行停止部3に向けて搬送する搬送路を形成するようになっている。
【0015】
この走行起動部1は、床上に支持された中空の基台4の上部に、搬送方向に直交する方向に向けて水平に配設された外観略矩形筒状のアルミフレーム11が搬送方向に向けて並列的に複数本配設されて、ボルト・ナット等の接合部材によって一体的に設けられている。このアルミフレーム11上に、搬送方向に向けて橋架されたアルミフレーム(プレート)12が搬送路における幅方向の左右両部に複数本ずつ水平に設置されるとともに、アルミフレーム11にボルト・ナット等の接合部材によって一体的に設けられている。
【0016】
これらのアルミフレーム12は、それぞれ内部空間が気密的に設けられてチャンバー41を構成しているとともに、上部全面に等間隔に噴出孔が形成されている。また、この噴出孔を覆うように多孔質パットが敷かれるとともに、この多孔質パッドとアルミフレーム12との間の噴出孔の外周にOリングが介在され、かつこの多孔質パッドをアルミフレーム12上に固定して、噴出孔から噴出するエアーを多孔質パットによって拡散させて、上方に向けて噴出させる固定リング13が設置されている。この固定リング13は、円板の中央部に噴出孔に通じる円形の開口が形成された上面固定部13aと、この上面固定部13aの外周からアルミフレーム12に向けて突出して、アルミフレーム12と一体的に設けられた円筒状の側壁部13bとによって構成されている。
【0017】
他方、上記基台4内には、各チャンバー41に対応する風量調整ダンパー42がそれぞれ搬送路幅方向に向けて並列的に設置されており、これらの各ダンパー42の両端部から各アルミフレーム12の両端部にそれぞれダクト43が接続されて、所定の圧力を有するエアーが各チャンバー41内に供給されるようになっている。これにより、アルミフレーム12の噴出孔からエアーが上方に向けて噴出して、多孔質パットにより拡散しつつ固定リング13の開口から放出されることにより、ガラス板wが浮上するようになっている。
【0018】
一方、搬送路の幅方向の中央部と、同幅方向の左右両端部には、それぞれ搬送方向にむけてエアーを噴出する速度調整エアー噴出器7がアルミフレーム12に沿って複数基配設されている。これらの速度調整エアー噴出器7は、図7及び図8に示すように、それぞれ外観視略矩形平板状のエアー噴出器本体70にL字状の流路71が形成されるとともに、その上部に流路71に通じる噴出孔71aが形成されており、流路71の他端部に配管継手72が接続されて概略構成されている。そして、各配管継手72に圧力を調整したエアーを供給する配管(図示を略す)がダクト43及び風量調整ダンパー42等のアルミフレーム12にエアーを供給する機構から独立して設けられており、速度調整エアー噴出器7は、一定台数毎に個々のユニットを構成している。
【0019】
そして、一つのユニットを構成している複数台のエアー噴出器7は、それぞれエアー噴出器本体70の平板面下部70aがエアー噴出器本体70の一側面に接してアルミフレーム11上に搬送方向に向けて固設された一本の支持板73に固定されるとともに、平板面の上部がエアー噴出器本体70の他方の側面に接して移動可能に配設された一本の細長状の連結板74に固定されている。さらに、各連結板74に固定された一台のエアー噴出器本体70にそれぞれ回転機構8が連結されている。
【0020】
この回転機構8は、図9及び図10に示すように、エアー噴出器本体70に支持板73を挿通して連結されたウォームホイール81と、このウォームホイール81の噛合する螺旋状の歯が上下方向に向けて形成された細長状のウォーム82aを具備する調節具82とによって構成されている。この調節具82は、その下部にハンドル82bが備えられており、このハンドル82bを回転駆動させることによって、ウォーム82aが上下方向に移動して、ウォームホイール81が回転することにより、連結されたエアー噴出器本体70が下部70aを中心に一定角度に回転するようになっている。そして、この連結された一台のエアー噴出器本体70が回転することによって、連結板74が移動して、その他のエアー噴出器本体70がそれぞれ下部70aを中心に同角度だけ回転するようになっている。これにより、各エアー噴出器本体70は、噴出孔71a側の流路71の直線部が鉛直線に対して30°以上であって、かつ60°以下の所定角度に配設されて設置されている。
【0021】
次いで、走行部2は、床上に支持された中空の基台5の上部に、搬送方向に直交する方向に配設された外観略矩形筒状のアルミフレーム21が搬送方向に向けて並列的に複数本配設されて、ボルト・ナット等の接合部材によって一体的に設けられている。また、これらのアルミフレーム21上に搬送路における幅方向の左右両部にそれぞれ複数枚の水平板状のデッキボード22が搬送方向に向けて直列に配設されている。各デッキボード22は、全面に噴出孔22aが形成されるとともに、下部に搬送路に沿って配設された扁平な有底筒体23が一体に設けられて、有底筒体23とともに水平プレートを構成している。各有底筒体23は、上記幅方向の中央部にエアー導入部23aが搬送路に沿って複数設けられるとともに、デッキボード22との間の内部空間が気密的に設けられてチャンバー51が形成されている。
【0022】
他方、上記基台5内には、各チャンバー51に対応する風量調整ダンパー52がそれぞれ搬送路の幅方向に向けて並列的に複数設置されており、これらの各ダンパー52の両端部から各エアー導入部23aにそれぞれダクト(図示を略す)が接続されて、所定の圧力を有するエアーが各チャンバー51内に供給されるようになっている。これにより、デッキボード22の噴出孔22aからエアーが上方に向けて噴出して、この噴出エアーをガラス板wに直接接触させて、ガラス板wを浮上させたまま走行停止部3に搬送するようになっている。
【0023】
次ぎに、走行停止部3は、走行部2と同様に、床上に支持された中空の基台6の上部に、搬送方向に直交する方向に配設された外観略矩形筒状のアルミフレーム31が搬送方向に向けて並列的に複数本配設されて、ボルト・ナット等の接合部材によって一体的に設けられている。また、これらのアルミフレーム31上に搬送路における幅方向の左右両部に各1枚の板状のデッキボード32が水平に配設されている。各デッキボード32は、図5及び図6に示すように、全面に噴出孔32aが形成されるとともに、それぞれ下部に搬送路に沿って配設された扁平な有底筒体33が一体に設けられて、有底筒体33とともに水平プレートを構成している。また、各デッキボード32は、その上部全面にガラス板wが停止する際に傷付くことを防止するテフロン(登録商標、以下同様)製の樹脂シート(図示を略す)が敷かれており、各有底筒体33は、有底筒体23と同様に、エアー導入部33aが複数設けられるとともに、デッキボード32との間にチャンバー61が形成されている。
【0024】
他方、上記基台6内には、基台5と同様に、各チャンバー61に対応する風量調整ダンパー62が設置されており、これらの各ダンパー62の両端部から各エアー導入部33aにそれぞれダクト63が接続されて、所定の圧力を有するエアーが各チャンバー61内に供給されるようになっている。これにより、デッキボード32の噴出孔32aからエアーが上方に向けて噴出して、この噴出エアーを樹脂シートを介してガラス板wに接触させて、ガラス板wを浮上させるようになっている。
【0025】
一方、速度調整エアー噴出器7のユニットは、上述の走行起動部1から走行部2の走行起動部1側まで噴出器本体70が回転機構8によって噴出孔71aを搬送方向前方部に向けて搬送路の幅方向の中央部と両端部とに配設されている。
【0026】
また、同噴出器7のユニットは、走行部2の走行停止部3側から走行停止部3までデッキボード22、32同士の間及びその両側方に配設されている。これらのユニットは、噴出器7が上述の走行起動部1から走行部2に配設されたユニットと搬送方向中央部の横断線に対して線対称になるように配設されており、回転機構8による回転によって噴出孔71aを搬送方向後方に向けるように配設されている。
【0027】
これにより、浮上搬送装置は、ガラス板wを走行起動部1で浮上させつつ、搬送方向に向けて加速させて、走行部2で浮上させたまま走行停止部3に搬送して、走行停止部3で浮上したまま減速させて、停止させるようになっている。
【0028】
次ぎに、上述の浮上搬送装置を用いて、外形1950mm×2250mm、厚さ0.7mmのガラス板wを搬送する際の作用について説明する。
まず、速度調整エアー噴出器7の噴出器本体70を、ハンドル82bを回転させることによって、噴出孔71a側の流路71の直線部が鉛直線に対して所定の角度に配設されるように設置する。
【0029】
次いで、ダンパー42を作動させて、チャンバー41にエアーを供給することにより、固定リング13の開口からエアーを噴出させるとともに、走行起動部1の速度調整エアー噴出器7の配管継手72からエアー噴出器本体70にエアー供給して、噴出孔71aから圧力を調整したエアーを噴出させた状態で、ガラス板wを走行起動部1のアルミフレーム12の上方に配設する。
【0030】
すると、ガラス板wは、その下面が固定リング13の開口から噴出されるエアーによって全面的に支持されて浮上した状態で、その下面の上記搬送路の幅方向の中央部及び両端部に噴出孔71aから搬送方向に噴出されるエアーが吹き付けられるため、漸次加速して、撓むことなく走行部2に向けて搬送される。
このため、ダンパー42の作動直後に、ダンパー52を作動させるとともに、走行部2の走行起動部1側の速度調整エアー噴出器7の配管継手72からエアー噴出器本体70にエアーを供給する。
【0031】
これにより、走行部2に搬送されたガラス板wは、浮上したまま走行停止部3に向けて搬送されるため、走行停止部3側のエアー噴出器本体70にエアーを供給した直後に、ダンパー62を作動させるとともに、走行停止部3のエアー噴出器本体70にエアー供給する。すると、走行部2から走行停止部3に供給されたガラス板wは、漸次減速して、停止する。
【実施例】
【0032】
次いで、上述の浮上搬送装置のエアー噴出器本体70の角度と、ガラス板wの加速との関係について調べた。なお、以下の計測は、搬送方向の長さが1000mm以上の走行起動部1を具備した浮上搬送装置によって、外形1950mm×2250mm、厚さ0.7mmの同一のガラス板wを搬送させることによって行った。また、エアー噴出器本体70の噴出孔71aから噴出されるエアー圧力を一定、かつアルミフレーム12から噴出されるエアー圧力を一定にして行った。
【0033】
まず、ハンドル82bを回転駆動させて、全ての噴出器本体70を噴出孔71a側の流路71の直線部の鉛直線に対する角度θが15°になるように配設して、ダンパー42を作動させて、固定リング13の開口からエアーを噴出するとともに、走行起動部1の速度調整エアー噴出器7の配管継手72からエアー噴出器本体70にエアー供給する。
次いで、ガラス板wをアルミフレーム12の上方に配設して、浮上させたまま搬送方向前方に向けて搬送するとともに、500mm地点を通過した際の経過時間及びそこから1000mm地点まで移動した際の経過時間を計測して、図11及び図12にプロットした。
【0034】
同様に、ハンドル82bを回転駆動させて、全ての噴出器本体70を噴出孔71a側の流路71の直線部の鉛直線に対する角度θが30°、45°、60°、75°になるように配設して、ガラス板wの500mm地点を通過した際の経過時間及びそこから1000mm地点まで移動した際の経過時間をそれぞれ計測して、図11及び図12にプロットした。
【0035】
図11及び図12から判るように、いずれの場合にも500mm地点を通過した際の経過時間が12秒未満であるとともに、そこから1000mm地点まで移動した際の経過時間が2.0秒未満であり、ガラス板を比較的速やかに搬送することができた。
特に、角度θが30°、45°及び60°の場合には、500mm地点を通過した際の経過時間が6秒以上10秒未満であるとともに、そこから1000mm地点まで移動した際の経過時間が0.9秒以上1.4秒未満である。このため、角度θが30°以上であって、かつ60°以下の場合には、浮上搬送装置を大規模化して搬送路が長くなった際にも、ガラス板wを速やかに搬送することができる。
【0036】
上述の実施形態の浮上搬送装置によれば、アルミフレーム12に形成されたエアー噴出孔から多孔質パッドを介して噴出されるエアーによって、ガラス板wを浮上させることができ、かつ速度調整エアー噴出器7の噴出器本体70の角度を回転機構8により調整するとともに、配管継手72に供給するエアー圧力を調整することによって、ガラス板wを搬送方向に向けて加速度を微調整することができる。このため、不要にエアー噴出量を増加させることなく、ガラス板wを搬送することができる。
【0037】
その際、エアー噴出器本体70を、噴出孔71a側の流路71の直線部が鉛直線に対する角度を15°以上であって、かつ75°以下に配設されるように設置することによって、ガラス板wの加速を速やかに行うことができる。
【0038】
また、デッキボード32に形成された噴出孔32aから噴出されるエアーによって、ガラス板wを浮上させることができ、かつ速度調整エアー噴出器7の噴出器本体70の角度を調整するとともに、配管継手72に供給するエアー圧力を調整することによって、ガラス板wの減速の程度を微調整することができる。
【0039】
なお、本発明は、上述の実施形態に何ら限定されるものでなく、例えば、走行起動部1は、アルミフレーム12に代えて、デッキボード32等からなる水平プレートが配設されてもよく、同様に、走行部2、走行停止部3は、デッキボード22、32に代えてアルミフレーム12が配設されてもよい。また、走行停止部3に敷かれた樹脂シートは、走行起動部1や走行部2に配設したデッキボード22、32上に配設されてもよく、この樹脂シートに代えてデッキボード22、32の少なくとも表面部がテフロン等のガラス板wの傷防止のための樹脂板によって構成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】最良の実施形態の浮上搬送装置の平面全体図である。
【図2】図1の縦断面図である。
【図3】走行起動部1の縦断面図である。
【図4】図3のIV−IV断面図である。
【図5】走行停止部3の縦断面図である
【図6】図5のVI−VI断面図である。
【図7】速度調整エアー噴出器7の1ユニットの平面図である。
【図8】図7の正面図である。
【図9】図8のIX−IX断面図である。
【図10】図8のX−X断面図である。
【図11】噴出孔71a側の流路71の直線部の鉛直線に対する角度θが15°、30°、45°、60°、75°である場合におけるガラス板wが搬送方向前方に向けて500mm地点を通過する経過時間をそれぞれプロットした線グラフである。
【図12】噴出孔71a側の流路71の直線部の鉛直線に対する角度θが15°、30°、45°、60°、75°である場合におけるガラス板wが500mm地点を通過後の1000地点まで移動する際の経過時間をそれぞれプロットした線グラフである。
【符号の説明】
【0041】
1 走行起動部
2 走行部
3 走行停止部
7 速度調整エアー噴出器
8 回転機構
12 アルミフレーム(プレート)
22、32 デッキボード(プレート)
23、33 有底筒体(プレート)
22a、32a 噴出孔
70 エアー噴出器本体
71a 噴出孔
w ガラス板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄板状の被搬送物を浮上させつつ搬送路に沿って搬送させる浮上搬送装置において、
上記搬送路に沿って配設されたプレートに全面に亘って上記被搬送物を浮上させるエアーの噴出孔が形成されており、かつ上記被搬送物の下面に向けてエアーを噴出して、上記被搬送物を搬送方向に向けて加減速させる速度調整エアー噴出器が上記被搬送物に対するエアー噴出角度を調整可能に上記プレートの外方に上記搬送路に沿って複数設けられていることを特徴とする浮上搬送装置。
【請求項2】
上記速度調整エアー噴出器は、上記搬送路の走行起動部に上記被搬送物の搬送方向に向けてエアーを噴出するように設けられており、かつ上記搬送路の走行停止部に上記被搬送物の搬送方向後方に向けてエアーを噴出するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の浮上搬送装置。
【請求項3】
上記走行起動部の速度調整エアー噴出器は、上記エアーの噴出方向が上記プレートの表面に直交する方向に対して15°以上であって、かつ75°以下の角度になるように設置されていることを特徴とする請求項2に記載の浮上搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−150125(P2008−150125A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−337128(P2006−337128)
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(390004879)三菱マテリアルテクノ株式会社 (201)
【Fターム(参考)】