浴槽装置
【課題】入浴者に十分なマッサージ効果を与えることができる浴槽装置を提供する。
【解決手段】浴槽装置11において、浴槽2と、浴槽2の背側面2aに取り付けられた進出部3と、進出部3を駆動する駆動手段4とを設ける。進出部3は、表面が標準状態とこの標準状態よりも浴槽2の内部に向けて進出した進出状態との間で変位可能とする。そして、浴槽2の背側面2aは腰側と背側の二段の傾斜面とし、腰側の傾斜を肩側の傾斜より勾配を緩くした。
【解決手段】浴槽装置11において、浴槽2と、浴槽2の背側面2aに取り付けられた進出部3と、進出部3を駆動する駆動手段4とを設ける。進出部3は、表面が標準状態とこの標準状態よりも浴槽2の内部に向けて進出した進出状態との間で変位可能とする。そして、浴槽2の背側面2aは腰側と背側の二段の傾斜面とし、腰側の傾斜を肩側の傾斜より勾配を緩くした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽に関し、特に、入浴者にマッサージを施す装置を具備した浴槽に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康志向が高まり、入浴中に手軽にマッサージを受けたいという要望が高まっている。そこで、浴槽内で入浴者にマッサージを施す浴用マッサージ装置が開発されている。例えば、特許文献1には、浴槽内に設置する浴用マッサージ装置であって、入浴者の背中に接触する面が凸アール面であり、この凸アール面から押し玉をエアーポンプにより突出させる装置が開示されている。特許文献1には、入浴者が浴槽内に座り、背中を凸アール面に接触させた状態で、エアーポンプを作動させて押し玉を突出させることにより、入浴者にマッサージを施すことができると記載されている。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載された技術には以下に示すような問題点がある。すなわち、この入浴装置においては、入浴者の背中が接する面が凸アール面となっているため、入用者は背中を伸ばした状態でマッサージを受けることになる。このため、入浴者はリラックスした姿勢をとることができず、精神的にも十分に寛ぐことができない。また、入浴者には浮力が作用しているが、入浴者は浴用マッサージ装置の凸アール面に背中を接触させるだけであるため、押し玉が突出すると身体が前方に移動してしまい、十分なマッサージ効果を得ることができない。
【0004】
また、特許文献2には、マッサージ機能付きの浴槽であって、浴槽の側面の内マッサージ機が組み込まれた面が凹状となっている浴槽が開示されている。この浴槽においては、浴槽の背もたれ側の側面に上下方向に延びる開口部が形成されており、この開口部はゴムシートによって水密的に覆われており、揉み玉がこのゴムシートの内側を開口部に沿って上下に移動する。このため、入浴者が背もたれ側の側面に背中を接触させた状態で揉み玉を駆動させると、ゴムシートを介してマッサージを受けることができる。
【0005】
しかしながら、特許文献2に記載された技術においても、入浴者には浮力が作用しており、入浴者はマッサージ機が組み込まれた面には背中を接触させるだけであるから、揉み玉によってゴムシートが突出すると、身体が前方に移動して力が逃げてしまう。このため、特許文献2に記載された技術においても、入浴者は十分なマッサージ効果を得ることができない。
【0006】
また、特許文献3には、ノズルをスイングさせながら入浴者に浴水を噴出する技術が開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開2000−342653号公報(図1)
【特許文献2】登録実用新案2509403号公報(図1)
【特許文献3】特開2007−260266号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、入浴者に十分なマッサージ効果を与えることができる浴槽を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、背側面と足側面と、臀部を支える底面とを備える浴槽と、浴槽の内方に向けて進出可能な進出部と、進出部を駆動する駆動手段とを備えた浴槽装置であって、背側面は、入浴者の臀部から腰にかけて支える腰側傾斜面と、入浴者の腰部から肩にかけて支える肩側傾斜面とからなり、腰側傾斜面は、浴槽の足側面に入浴者が足をつけ、腰側傾斜面に入浴者の腰を押し付けるように突っ張った状態で十分密着できるように前記背側傾斜面よりも勾配を緩やかに形成され、さらに進出部を前記腰側傾斜面の内壁に具備されていることを特徴とする浴槽装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、入浴者に十分なマッサージ効果を与えることができる浴槽装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る浴槽装置を例示する模式的断面図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係る浴槽装置11においては、浴槽2が設けられている。浴槽2の形状は、上方から見て略長方形であり、長手方向の両端部が背側及び足側となっている。そして、浴槽2の背側の内壁面(以下、「背側面」という)2aは、全体的には垂直方向に対して上方に開くように傾斜しつつ、2段の傾斜面を持った形状をなしている。背側面2aの形状は、たとえば、入浴者Mの入浴者の腰部から肩にかけて支える肩側傾斜面2bと臀部から腰にかけて支える腰側傾斜面2cとから構成され、腰側傾斜面2cは肩側傾斜面2bよりも勾配が緩やかな傾斜面をなしている。背側面2aの形状は、入浴者Mが入浴姿勢をとったときには、肩から臀部にかけて押し付けるように密着できる形状である。
【0013】
そして、肩側傾斜面2b、腰側傾斜面2cには、それぞれ上下方向に沿って複数段の肩用進出部3bと腰用進出部3aが設けられている。腰用進出部3aおよび肩用進出部3bは、例えば、背側面2aの上下方向に伸びる中心線の両側に、2列に配列されている。進出部3は、その表面が背側面2aと略同一平面をなす状態(以下、「標準状態」という)と、この標準状態よりも浴槽2の内部に向けて進出した状態(以下、「進出状態」という)との間で変位可能とされ、標準状態と進出状態は繰り返される。図1では肩用進出部3bは標準状態であり、腰用進出部3aは進出状態となっている。各進出部3a、3bの進出方向は、例えば、背側面2aにおけるその進出部3a、3bが設けられた領域に対して略垂直な方向である。また、進出部3a、3bは、浴槽2の外部に設けられた駆動手段5に連結されている。駆動手段5は、進出部3a、3bを駆動するものである。
【0014】
次に、上述の如く構成された本実施形態に係る浴槽装置の動作について説明する。
先ず、図1に示すように、浴槽2内に湯Wを溜め、全ての進出部3を標準状態とする。
そして、入浴者Mが浴槽2内に入り、臀部を底面2eにつけ、臀部から腰にかけてを腰側傾斜面2cに接触させ、腰から肩にかけてを肩側傾斜面2bに接触させ、足裏を足側面2f当接させて、入浴姿勢をとる。これにより、入浴者Mの肩部は、肩側傾斜面2bの傾斜にフィットするとともに、入浴者の腰部も腰側傾斜面に足を突っ張った状態で十分密着できる。また、肩まで温まることもできる。
ここで、緩やかな傾斜の効果を説明する。腰側傾斜面2cが肩側傾斜面2bよりも勾配が緩やかな傾斜面によりリラックスした姿勢を保ちながら、骨盤が支えられ、骨盤は傾斜面の角度と平行で真直ぐとなる。その結果、骨盤と腰の関節の関係から、前に移動しにくくなり、より密着する。また、足側面を突っ張る水平方向の力が大腿部を介して骨盤に伝わる際に、骨盤が傾斜することにより、リッラクスしてなおかつ、水平方向の力成分を腰側傾斜面に伝えることができ、それにより、腰側傾斜面と腰部がより密着する。その結果、より高い押し圧力を得ることができると考えられる。
【0015】
背側面に凭れた入浴者の臀部から腰の筋肉(背筋)に沿って配置された腰用進出部3aおよび腰から肩の筋肉(背筋)に沿って配置された肩用進出部3bは、入浴者が入浴状態で、駆動手段5が各進出部3a、3bの状態を、標準状態と進出状態との間で変化させる。これにより、進出状態となった進出部3a、3bの表面は背側面2aから突出して入浴者Mの肩から臀部に腰にかけてを押圧し、標準状態となった進出部3a、3bの表面は背側面2aと略同一平面となり、入浴者Mの背中及び腰部を押圧しなくなる。そして、駆動手段5が各進出部3a、3bを独立に駆動することにより、種々のモードで入浴者にマッサージを施すことができる。なお、このとき、入浴者Mは足裏を足側面2f当接させて、入浴姿勢をとるため、足で突っ張る力を腰側傾斜面に効率よく伝達できるため、腰が腰用進出部3aによって足側に向けて押圧されても、十分な押圧力を得ることができる。
【0016】
更にまた、本実施形態においては、進出部3a、3bはそれぞれ上下方向に沿って複数段に形成されているため、入浴者の肩から臀部にかけてを全体的にマッサージすることができる。また、進出部3a、3bが背側面2aの中心線の両側に2列に配列されているため、入浴者の左右の背筋を効率的にマッサージすることができる。
進出部は独立して駆動させることができるので、特に腰痛を気にしている入浴者は腰用進出部3aをメインに駆動させ、腰部のマッサージを集中して実施することができる。
【0017】
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態においては、浴槽の背側面の構成する腰側傾斜面が肩側傾斜面よりも勾配を緩やかに形成されているので、腰側傾斜面でリラックスした入浴姿勢で骨盤を支えることができ、足の突っ張り力を大腿部を介して骨盤、腰に伝えることができる。これにより、入浴者に浮力が作用しても、また、入浴者の背中が進出部3によって押圧された場合でも、入浴者の身体が足側に移動してしまうことを防止できる。この結果、入浴者が腰用進出部3aから受けた力が逃げてしまうことがなく、十分な押圧感を伴うマッサージが可能となる。
【0018】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図2は、本実施形態に係る浴槽装置を例示する模式的断面図である。
なお、図2において、前述の第1の実施形態における図1と同じ構成要素には同じ符号
を付し、その詳細な説明を省略する。後述する他の図において同様である。
【0019】
図2に示すように、本実施形態に係る浴槽装置12においては、前述の第1の実施形態
と比較して、浴槽2の底面2eから、背側面2aの腰側傾斜面2cに対して、垂直部2dを備える点が異なっている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0020】
本実施形態においては、垂直部2dにより、臀部の盛り上がりを吸収する空間を形成し、腰部を腰側傾斜面2cに近づけることができ、腰部の密着性をより向上させることができる。それにより、腰部に対するマッサージにおいて、十分な押圧力を得ることができる。また、入浴姿勢をとるときに、垂直部2dに臀部を近づけてから入浴姿勢をとることで、臀部の位置が定まるので、腰部と腰側傾斜面との密着性をさらに向上させた入浴姿勢がとりやすくなる。本実施形態における上記以外の動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0021】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図3は、本実施形態に係る浴槽装置を例示する模式的断面図である。
図3に示すように、本実施形態に係る浴槽装置13においては、前述の第1の実施形態
と比較して、浴槽底面2eに腰側傾斜面2cより足側面2fの方向に、離間して浴槽内側に向けて凸状に盛り上がった臀部ずれ防止部(凸部)2gが備わっている。すなわち、腰側傾斜面2cと、凸状の臀部ずれ防止部(凸部)2gの間には、臀部が入るだけの離間した空間があり、入浴者は、その位置の浴槽底面2eに臀部をつけて入浴姿勢をとる。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0022】
次に、本実施形態の動作及び効果について説明する。
入浴者Mは、腰側傾斜面2cと、臀部ずれ防止部(凸部)2gの間の浴槽底面2eに対して臀部をつけて、足裏を足側面2fに当接させ、腰部を腰側傾斜面2cに、肩部を肩側傾斜面2bに押し付けて、入浴姿勢をとる。このとき、臀部ずれ防止手段となる臀部ずれ防止部(凸部)2gにより,腰側傾斜面2cの腰側進出部3aが突出した際に、臀部が前方へずれようとする力を受け止めることで、十分な押圧力を得ることができる。また、入浴姿勢をとるときに、臀部の位置が、腰側傾斜面2cと、臀部ずれ防止部(凸部)2gで定まるため、入浴者の腰部を腰側傾斜面2cに密着させやすくなる。本実施形態における上記以外の動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0023】
なお、図4および図5は、本実施形態に係わる変形例を例示する模式的断面図である。
図4に示すように、浴槽底面2eよりも一段下がった位置に、臀部を支える浴槽底面2hを備え、浴槽底面2eに傾斜状に接続する面2iが、臀部のずれを防止する臀部ずれ防止部であってもよい。また、図5に示すように、腰側傾斜面2cから足側面2fの方向に向って、凹状曲面になした面2jが浴槽底面2eと連続的に形成されていてもよい。入浴者が入浴姿勢をとるときに凹状面2jに臀部をつけることで、臀部の曲面にフィットして支えるので、腰側進出部3aが突出した際に、臀部がずれてしまうことをより防止することができる。なお、ここで例示した臀部支持部は、浴槽短手方向に対して、一様に設けられていてもよく、また、浴槽の中央部に所定長さ備わっていても、前述の効果を発揮することができる。
【0024】
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
図6は、本実施形態に係る浴槽装置を例示する模式的断面図である。
図6に示すように、本実施形態に係る浴槽装置14においては、前述の第1の実施形態
と比較して、浴槽底面2eの足側の底面の一部が、浴槽内側に向けて張り出した足載置部2kが備わっている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0025】
本実施形態においては、入浴者Mが入浴姿勢をとった際に、足載置部2kが備わるため、足裏を足側面2fに当接させる際に、自然と高い位置になり、その結果、足を突っ張る際にかかとが足側面2fに密着しやすくなり、かかとで突っ張ることにより、押圧力を得ることができる。さらに、足位置が高くなるため、腰側傾斜面に対する大腿部の角度が直角に近くなり、足で突っ張った時の力を腰部を通して、腰側傾斜面2cに効率よく伝えることができ、腰側進出部3aが突出した際に、十分な押圧力を得ることができる。また、さらに、長時間入浴して、姿勢がずれてしまった場合に、足載置部2kの手前側に足を乗せて座りなおしをすることで、腰側傾斜面2cに対する腰部の密着性を維持し続けることができる。本実施形態における上記以外の動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0026】
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
図7は、本実施形態に係る浴槽装置を例示する模式的断面図である。
図7に示すように、本実施形態に係る浴槽装置15においては、前述の第1の実施形態と比較して、浴槽の足側面2fに凹凸部2mが備わっている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0027】
本実施形態においては、入浴者Mが、足裏を足側面2fに当接させて入浴姿勢とり、各進出部3を突出させたときに、足裏で足側面2fを突っ張って押圧力を得ようとした際に、足が滑って押圧力が逃げることを防止することができる。これにより、マッサージしたときに確実に十分な押圧力を得ることができる。また、凹凸部2mがあることで、足裏を当接する位置が明確になり、最も押圧力を得ることができる場所に位置させることで、効率的に押圧力を得ることができる。なお、押圧力が得られる場所は、たとえば、足裏面2fの高さ方向のちょうど中間位置付近が良い。本実施形態における上記以外の動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0028】
図8および図9は、本実施形態に係わる変形例を例示する模式的断面図である。
図8に示すように、足側面2fの上部にすべり防止手段と足の位置決め手段とを兼ねた凸状部2nを備えておくことで、入浴者のつま先を当てることができ、すべり防止と位置決めをすることができる。また、図9に示すように、足側面2fの高さ方向中央付近にすべり防止手段と足の位置決め手段とを兼ねた凸状部2pを備えてもよい。これにより、入浴車は足裏の土踏まず周辺を凸状部2pに当接させることで、すべり防止と位置決めをすることができる。これらにより、第5の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0029】
次に、前述の本発明の実施形態を具現化するための具体例について説明する。
図10は、本具体例に係る浴槽装置を例示するブロック図であり、
図11は、本具体例に係る浴槽装置の浴槽を例示する透過斜視図であり、
図12は、本具体例に係る浴槽装置の進出部を例示する断面図である。
図4に示すように、本具体例に係る浴槽装置16においては、浴槽20、進出部30及
び駆動手段40が設けられている。
【0030】
図11に示すように、浴槽20の形状は略直方体形状であり、その内壁面のうち、長手方向に対向する両端面の一方の面が背側面21であり、他方の面が足側面22である。背側面21は、入浴者(図示せず)が入浴姿勢をとったときに臀部から腰にかけて支える腰側傾斜面24と、腰から肩にかけてを支える肩側傾斜面25から構成され、全体的に斜め上方を向くように傾斜しつつ、二つの傾斜面の接続部は曲面で連続的に接続されている。ここで腰側傾斜面24の水平面とのなす角は、約約20°〜55°が好ましく、より好ましくは40°〜50°であり、肩側傾斜面25の水平面とのなす角は、60°〜90°が好ましく、より好ましくは65°〜80°がよい。浴槽の高さ方向のおよそ中間付近で接続されている。また、足側面22は上方に開放された傾斜状になっているが、R状でもよく、好ましくは略垂直方向に起立している状態が足を突っ張った際に力を伝えやすい。
【0031】
そして、背側面21の上下方向に延びる中心線Cに沿って、複数段の進出部30が設けられている。進出部30は、中心線Cの両側に1列ずつ、合計2列設けられており、中心線Cに関して対称に配置されている。また、進出部30は、腰用進出部30a および、肩用進出部30bの各列において例えば等間隔に配列されており、中心線Cから例えば30mm程度離隔している。
【0032】
次に進出部の説明を行う。図12に示すように、各進出部30においては、シリンダ状の保持筒体31が設けられている。保持筒体31は背側面21の外面に対して水密的に連結されており、背側面21における保持筒体31が取り付けられた部分は開口しており、これにより、保持筒体31の内部は浴槽20の内部に連通している。
【0033】
また、保持筒体31の内部には、エアバッグ32が設けられている。エアバッグ32は、略円筒形の蛇腹形状をなしており、内部にエアが導入されると蛇腹の配列方向に沿って伸び、内部のエアが排出されると蛇腹の配列方向に沿って縮む。すなわち、エアバッグ32は、エアの流入出に伴って一方向に伸縮する。エアバッグ32は、蛇腹の配列方向、すなわち伸縮方向が背側面21に対して例えば垂直になるように配置されており、背側面21から遠い側の端部が保持筒体31の内面に水密的に連結されている。
【0034】
更に、保持筒体31の内部におけるエアバッグ32よりも浴槽20側の部分には、受板33が移動可能に設けられており、エアバッグ32に当接している。そして、受板33におけるエアバッグ32の反対側の面には、突出部材34が連結されている。突出部材34は、例えば、硬質の樹脂材料からなる円柱形状の部材であり、受板33に連結されていない側の先端部34aは丸められている。更にまた、保持筒体31の内部における背側板21と受板33との間には、バネ35が設けられており、受板33を背側板21から離隔する方向に付勢している。
【0035】
一方、図10に示すように、駆動手段40においては、ポンプ41と、ポンプ41と各進出部30のエアバッグ32(図6参照)とを連通するエアチューブ42と、エアチューブ42の途中にそれぞれ設けられた切替弁43とが設けられている。切替弁43は例えば三方電磁弁であり、進出部30への加圧と、進出部30からのエア排出とを切り替えることができる。また、ポンプ41及び切替弁43には、これらを制御する制御部44が接続されている。なお、図10においては、図示を簡略化するために、制御部44は最上段の切替弁43のみに接続されているように描かれているが、実際には、制御部44は全ての切替弁43を独立して制御することが可能である。
【0036】
次に、本具体例の動作について説明する。
ポンプ41が作動していないときは、バネ35が受板33を付勢し、受板33がエアバッグ32を押圧することにより、エアバッグ32は縮んだ状態にある。これにより、突出部材34は保持筒体31内に収納されており、進出部30は標準状態にある。そして、入浴者が浴槽20内に入り、入浴姿勢をとる。
【0037】
この状態で、制御部44がポンプ41を作動させることにより、ポンプ41がエアチューブ42に対してエアを供給する。そして、制御部44が切替弁43を操作して、ポンプ41と各進出部30とを連通させることにより、進出部30のエアバッグ32内にエアが流入し、その圧力によってエアバッグ32がバネ35の付勢力に打ち勝って膨張し、受板33を介して突出部材34を浴槽20の内部に向けて押し出す。この結果、進出部30は進出状態となり、突出部材34の先端部34aが入浴者の背中又は腰部を押圧する。その後、制御部44が切替弁43を切替えて、この進出部30のエアバッグ32を外部に連通させると、エアバッグ32はバネ35の付勢力によって縮み、突出部材34は保持筒体31内に収納される。これにより、進出部30は標準状態に戻る。この動作を繰り返すことにより、進出部30が標準状態と進出状態とを繰り返し、突出部材34が直線往復運動する。
【0038】
そして、制御部44が各進出部30を独立に駆動することにより、種々のモードで入浴者にマッサージを施すことができる。例えば、制御部44は、各進出部30の状態を周期的に変化させ、その周期を全ての進出部30で同一とし、その位相を進出部30間で相互に異ならせてもよい。一例では、制御部44は、同一の段に配置された一対の進出部30を同位相で駆動しつつ、最上段の進出部30から下方の進出部30に向かって少しずつ位相を遅らせながら駆動する。これにより、入浴者は、背筋を肩から腰にかけて揉み下ろされるようなマッサージ感を得ることができる。
【0039】
次に、本具体例の効果について説明する。
本具体例によれば、浴槽の内部に電気部品を配置することなく、前述の第1の実施形態
に係る浴槽装置を構成することができる。これにより、漏電及び感電に対する対策並びに
湯による電気部品の腐食に対する対策などが不要になり、低コストで信頼性が高い浴槽装
置を実現することができる。本具体例における上記以外の効果は、前述の第1の実施形態
と同様である。
【0040】
また、腰部だけがマッサージしたい場合、腰側進出部4のみを備えるようにしてもよい。
【0041】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明により、入浴者に十分なマッサージ効果を与えることができる浴槽装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る浴槽装置を例示する模式的断面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る浴槽装置を例示する模式的断面図である。
【図3】本発明の第3の実施形態に係る浴槽装置を例示する模式的断面図である。
【図4】本発明の第3の実施形態に係る浴槽装置の変形例を例示する模式的断面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る浴槽装置の変形例を例示する模式的断面図である。
【図6】本発明の第4の実施形態に係る浴槽装置を例示する模式的断面図である。
【図7】本発明の第5の実施形態に係る浴槽装置を例示する模式的断面斜視図である。
【図8】本発明の第5の実施形態に係る浴槽装置の変形例を例示する模式的断面斜視図である。
【図9】本発明の第5の実施形態に係る浴槽装置の変形例を例示する模式的断面斜視図である。
【図10】本発明の具体例に係る浴槽装置を例示するブロック図である。
【図11】本具体例に係る浴槽装置の浴槽を例示する透過斜視図である。
【図12】本具体例に係る浴槽装置の進出部を例示する断面図である。
【符号の説明】
【0043】
2 浴槽、2a 背側面、2b 肩側傾斜面、2c 腰側傾斜面、
2e 2h 底面、2f 足側面、2g 2i 臀部ずれ防止部(凸部)、
2j 臀部ずれ防止部(凹状曲面)、2k 足載置部、2m 2n 2p すべり防止部
3、3a、3b 進出部、4 駆動手段、
14、15、16 浴槽装置、
20 浴槽、21 背側面、22 足側面、23 底面
腰側傾斜面 25 肩側傾斜面、
30 進出部、31 保持筒体、32 エアバッグ、33 受板、34 突出部材、34a 先端部、35 バネ、40 駆動手段、41 ポンプ、42 エアチューブ、
43 切替弁、44 制御部、M 入浴者、R 背筋、W 湯
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽に関し、特に、入浴者にマッサージを施す装置を具備した浴槽に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康志向が高まり、入浴中に手軽にマッサージを受けたいという要望が高まっている。そこで、浴槽内で入浴者にマッサージを施す浴用マッサージ装置が開発されている。例えば、特許文献1には、浴槽内に設置する浴用マッサージ装置であって、入浴者の背中に接触する面が凸アール面であり、この凸アール面から押し玉をエアーポンプにより突出させる装置が開示されている。特許文献1には、入浴者が浴槽内に座り、背中を凸アール面に接触させた状態で、エアーポンプを作動させて押し玉を突出させることにより、入浴者にマッサージを施すことができると記載されている。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載された技術には以下に示すような問題点がある。すなわち、この入浴装置においては、入浴者の背中が接する面が凸アール面となっているため、入用者は背中を伸ばした状態でマッサージを受けることになる。このため、入浴者はリラックスした姿勢をとることができず、精神的にも十分に寛ぐことができない。また、入浴者には浮力が作用しているが、入浴者は浴用マッサージ装置の凸アール面に背中を接触させるだけであるため、押し玉が突出すると身体が前方に移動してしまい、十分なマッサージ効果を得ることができない。
【0004】
また、特許文献2には、マッサージ機能付きの浴槽であって、浴槽の側面の内マッサージ機が組み込まれた面が凹状となっている浴槽が開示されている。この浴槽においては、浴槽の背もたれ側の側面に上下方向に延びる開口部が形成されており、この開口部はゴムシートによって水密的に覆われており、揉み玉がこのゴムシートの内側を開口部に沿って上下に移動する。このため、入浴者が背もたれ側の側面に背中を接触させた状態で揉み玉を駆動させると、ゴムシートを介してマッサージを受けることができる。
【0005】
しかしながら、特許文献2に記載された技術においても、入浴者には浮力が作用しており、入浴者はマッサージ機が組み込まれた面には背中を接触させるだけであるから、揉み玉によってゴムシートが突出すると、身体が前方に移動して力が逃げてしまう。このため、特許文献2に記載された技術においても、入浴者は十分なマッサージ効果を得ることができない。
【0006】
また、特許文献3には、ノズルをスイングさせながら入浴者に浴水を噴出する技術が開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開2000−342653号公報(図1)
【特許文献2】登録実用新案2509403号公報(図1)
【特許文献3】特開2007−260266号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、入浴者に十分なマッサージ効果を与えることができる浴槽を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、背側面と足側面と、臀部を支える底面とを備える浴槽と、浴槽の内方に向けて進出可能な進出部と、進出部を駆動する駆動手段とを備えた浴槽装置であって、背側面は、入浴者の臀部から腰にかけて支える腰側傾斜面と、入浴者の腰部から肩にかけて支える肩側傾斜面とからなり、腰側傾斜面は、浴槽の足側面に入浴者が足をつけ、腰側傾斜面に入浴者の腰を押し付けるように突っ張った状態で十分密着できるように前記背側傾斜面よりも勾配を緩やかに形成され、さらに進出部を前記腰側傾斜面の内壁に具備されていることを特徴とする浴槽装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、入浴者に十分なマッサージ効果を与えることができる浴槽装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る浴槽装置を例示する模式的断面図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係る浴槽装置11においては、浴槽2が設けられている。浴槽2の形状は、上方から見て略長方形であり、長手方向の両端部が背側及び足側となっている。そして、浴槽2の背側の内壁面(以下、「背側面」という)2aは、全体的には垂直方向に対して上方に開くように傾斜しつつ、2段の傾斜面を持った形状をなしている。背側面2aの形状は、たとえば、入浴者Mの入浴者の腰部から肩にかけて支える肩側傾斜面2bと臀部から腰にかけて支える腰側傾斜面2cとから構成され、腰側傾斜面2cは肩側傾斜面2bよりも勾配が緩やかな傾斜面をなしている。背側面2aの形状は、入浴者Mが入浴姿勢をとったときには、肩から臀部にかけて押し付けるように密着できる形状である。
【0013】
そして、肩側傾斜面2b、腰側傾斜面2cには、それぞれ上下方向に沿って複数段の肩用進出部3bと腰用進出部3aが設けられている。腰用進出部3aおよび肩用進出部3bは、例えば、背側面2aの上下方向に伸びる中心線の両側に、2列に配列されている。進出部3は、その表面が背側面2aと略同一平面をなす状態(以下、「標準状態」という)と、この標準状態よりも浴槽2の内部に向けて進出した状態(以下、「進出状態」という)との間で変位可能とされ、標準状態と進出状態は繰り返される。図1では肩用進出部3bは標準状態であり、腰用進出部3aは進出状態となっている。各進出部3a、3bの進出方向は、例えば、背側面2aにおけるその進出部3a、3bが設けられた領域に対して略垂直な方向である。また、進出部3a、3bは、浴槽2の外部に設けられた駆動手段5に連結されている。駆動手段5は、進出部3a、3bを駆動するものである。
【0014】
次に、上述の如く構成された本実施形態に係る浴槽装置の動作について説明する。
先ず、図1に示すように、浴槽2内に湯Wを溜め、全ての進出部3を標準状態とする。
そして、入浴者Mが浴槽2内に入り、臀部を底面2eにつけ、臀部から腰にかけてを腰側傾斜面2cに接触させ、腰から肩にかけてを肩側傾斜面2bに接触させ、足裏を足側面2f当接させて、入浴姿勢をとる。これにより、入浴者Mの肩部は、肩側傾斜面2bの傾斜にフィットするとともに、入浴者の腰部も腰側傾斜面に足を突っ張った状態で十分密着できる。また、肩まで温まることもできる。
ここで、緩やかな傾斜の効果を説明する。腰側傾斜面2cが肩側傾斜面2bよりも勾配が緩やかな傾斜面によりリラックスした姿勢を保ちながら、骨盤が支えられ、骨盤は傾斜面の角度と平行で真直ぐとなる。その結果、骨盤と腰の関節の関係から、前に移動しにくくなり、より密着する。また、足側面を突っ張る水平方向の力が大腿部を介して骨盤に伝わる際に、骨盤が傾斜することにより、リッラクスしてなおかつ、水平方向の力成分を腰側傾斜面に伝えることができ、それにより、腰側傾斜面と腰部がより密着する。その結果、より高い押し圧力を得ることができると考えられる。
【0015】
背側面に凭れた入浴者の臀部から腰の筋肉(背筋)に沿って配置された腰用進出部3aおよび腰から肩の筋肉(背筋)に沿って配置された肩用進出部3bは、入浴者が入浴状態で、駆動手段5が各進出部3a、3bの状態を、標準状態と進出状態との間で変化させる。これにより、進出状態となった進出部3a、3bの表面は背側面2aから突出して入浴者Mの肩から臀部に腰にかけてを押圧し、標準状態となった進出部3a、3bの表面は背側面2aと略同一平面となり、入浴者Mの背中及び腰部を押圧しなくなる。そして、駆動手段5が各進出部3a、3bを独立に駆動することにより、種々のモードで入浴者にマッサージを施すことができる。なお、このとき、入浴者Mは足裏を足側面2f当接させて、入浴姿勢をとるため、足で突っ張る力を腰側傾斜面に効率よく伝達できるため、腰が腰用進出部3aによって足側に向けて押圧されても、十分な押圧力を得ることができる。
【0016】
更にまた、本実施形態においては、進出部3a、3bはそれぞれ上下方向に沿って複数段に形成されているため、入浴者の肩から臀部にかけてを全体的にマッサージすることができる。また、進出部3a、3bが背側面2aの中心線の両側に2列に配列されているため、入浴者の左右の背筋を効率的にマッサージすることができる。
進出部は独立して駆動させることができるので、特に腰痛を気にしている入浴者は腰用進出部3aをメインに駆動させ、腰部のマッサージを集中して実施することができる。
【0017】
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態においては、浴槽の背側面の構成する腰側傾斜面が肩側傾斜面よりも勾配を緩やかに形成されているので、腰側傾斜面でリラックスした入浴姿勢で骨盤を支えることができ、足の突っ張り力を大腿部を介して骨盤、腰に伝えることができる。これにより、入浴者に浮力が作用しても、また、入浴者の背中が進出部3によって押圧された場合でも、入浴者の身体が足側に移動してしまうことを防止できる。この結果、入浴者が腰用進出部3aから受けた力が逃げてしまうことがなく、十分な押圧感を伴うマッサージが可能となる。
【0018】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図2は、本実施形態に係る浴槽装置を例示する模式的断面図である。
なお、図2において、前述の第1の実施形態における図1と同じ構成要素には同じ符号
を付し、その詳細な説明を省略する。後述する他の図において同様である。
【0019】
図2に示すように、本実施形態に係る浴槽装置12においては、前述の第1の実施形態
と比較して、浴槽2の底面2eから、背側面2aの腰側傾斜面2cに対して、垂直部2dを備える点が異なっている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0020】
本実施形態においては、垂直部2dにより、臀部の盛り上がりを吸収する空間を形成し、腰部を腰側傾斜面2cに近づけることができ、腰部の密着性をより向上させることができる。それにより、腰部に対するマッサージにおいて、十分な押圧力を得ることができる。また、入浴姿勢をとるときに、垂直部2dに臀部を近づけてから入浴姿勢をとることで、臀部の位置が定まるので、腰部と腰側傾斜面との密着性をさらに向上させた入浴姿勢がとりやすくなる。本実施形態における上記以外の動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0021】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図3は、本実施形態に係る浴槽装置を例示する模式的断面図である。
図3に示すように、本実施形態に係る浴槽装置13においては、前述の第1の実施形態
と比較して、浴槽底面2eに腰側傾斜面2cより足側面2fの方向に、離間して浴槽内側に向けて凸状に盛り上がった臀部ずれ防止部(凸部)2gが備わっている。すなわち、腰側傾斜面2cと、凸状の臀部ずれ防止部(凸部)2gの間には、臀部が入るだけの離間した空間があり、入浴者は、その位置の浴槽底面2eに臀部をつけて入浴姿勢をとる。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0022】
次に、本実施形態の動作及び効果について説明する。
入浴者Mは、腰側傾斜面2cと、臀部ずれ防止部(凸部)2gの間の浴槽底面2eに対して臀部をつけて、足裏を足側面2fに当接させ、腰部を腰側傾斜面2cに、肩部を肩側傾斜面2bに押し付けて、入浴姿勢をとる。このとき、臀部ずれ防止手段となる臀部ずれ防止部(凸部)2gにより,腰側傾斜面2cの腰側進出部3aが突出した際に、臀部が前方へずれようとする力を受け止めることで、十分な押圧力を得ることができる。また、入浴姿勢をとるときに、臀部の位置が、腰側傾斜面2cと、臀部ずれ防止部(凸部)2gで定まるため、入浴者の腰部を腰側傾斜面2cに密着させやすくなる。本実施形態における上記以外の動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0023】
なお、図4および図5は、本実施形態に係わる変形例を例示する模式的断面図である。
図4に示すように、浴槽底面2eよりも一段下がった位置に、臀部を支える浴槽底面2hを備え、浴槽底面2eに傾斜状に接続する面2iが、臀部のずれを防止する臀部ずれ防止部であってもよい。また、図5に示すように、腰側傾斜面2cから足側面2fの方向に向って、凹状曲面になした面2jが浴槽底面2eと連続的に形成されていてもよい。入浴者が入浴姿勢をとるときに凹状面2jに臀部をつけることで、臀部の曲面にフィットして支えるので、腰側進出部3aが突出した際に、臀部がずれてしまうことをより防止することができる。なお、ここで例示した臀部支持部は、浴槽短手方向に対して、一様に設けられていてもよく、また、浴槽の中央部に所定長さ備わっていても、前述の効果を発揮することができる。
【0024】
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
図6は、本実施形態に係る浴槽装置を例示する模式的断面図である。
図6に示すように、本実施形態に係る浴槽装置14においては、前述の第1の実施形態
と比較して、浴槽底面2eの足側の底面の一部が、浴槽内側に向けて張り出した足載置部2kが備わっている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0025】
本実施形態においては、入浴者Mが入浴姿勢をとった際に、足載置部2kが備わるため、足裏を足側面2fに当接させる際に、自然と高い位置になり、その結果、足を突っ張る際にかかとが足側面2fに密着しやすくなり、かかとで突っ張ることにより、押圧力を得ることができる。さらに、足位置が高くなるため、腰側傾斜面に対する大腿部の角度が直角に近くなり、足で突っ張った時の力を腰部を通して、腰側傾斜面2cに効率よく伝えることができ、腰側進出部3aが突出した際に、十分な押圧力を得ることができる。また、さらに、長時間入浴して、姿勢がずれてしまった場合に、足載置部2kの手前側に足を乗せて座りなおしをすることで、腰側傾斜面2cに対する腰部の密着性を維持し続けることができる。本実施形態における上記以外の動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0026】
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
図7は、本実施形態に係る浴槽装置を例示する模式的断面図である。
図7に示すように、本実施形態に係る浴槽装置15においては、前述の第1の実施形態と比較して、浴槽の足側面2fに凹凸部2mが備わっている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0027】
本実施形態においては、入浴者Mが、足裏を足側面2fに当接させて入浴姿勢とり、各進出部3を突出させたときに、足裏で足側面2fを突っ張って押圧力を得ようとした際に、足が滑って押圧力が逃げることを防止することができる。これにより、マッサージしたときに確実に十分な押圧力を得ることができる。また、凹凸部2mがあることで、足裏を当接する位置が明確になり、最も押圧力を得ることができる場所に位置させることで、効率的に押圧力を得ることができる。なお、押圧力が得られる場所は、たとえば、足裏面2fの高さ方向のちょうど中間位置付近が良い。本実施形態における上記以外の動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0028】
図8および図9は、本実施形態に係わる変形例を例示する模式的断面図である。
図8に示すように、足側面2fの上部にすべり防止手段と足の位置決め手段とを兼ねた凸状部2nを備えておくことで、入浴者のつま先を当てることができ、すべり防止と位置決めをすることができる。また、図9に示すように、足側面2fの高さ方向中央付近にすべり防止手段と足の位置決め手段とを兼ねた凸状部2pを備えてもよい。これにより、入浴車は足裏の土踏まず周辺を凸状部2pに当接させることで、すべり防止と位置決めをすることができる。これらにより、第5の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0029】
次に、前述の本発明の実施形態を具現化するための具体例について説明する。
図10は、本具体例に係る浴槽装置を例示するブロック図であり、
図11は、本具体例に係る浴槽装置の浴槽を例示する透過斜視図であり、
図12は、本具体例に係る浴槽装置の進出部を例示する断面図である。
図4に示すように、本具体例に係る浴槽装置16においては、浴槽20、進出部30及
び駆動手段40が設けられている。
【0030】
図11に示すように、浴槽20の形状は略直方体形状であり、その内壁面のうち、長手方向に対向する両端面の一方の面が背側面21であり、他方の面が足側面22である。背側面21は、入浴者(図示せず)が入浴姿勢をとったときに臀部から腰にかけて支える腰側傾斜面24と、腰から肩にかけてを支える肩側傾斜面25から構成され、全体的に斜め上方を向くように傾斜しつつ、二つの傾斜面の接続部は曲面で連続的に接続されている。ここで腰側傾斜面24の水平面とのなす角は、約約20°〜55°が好ましく、より好ましくは40°〜50°であり、肩側傾斜面25の水平面とのなす角は、60°〜90°が好ましく、より好ましくは65°〜80°がよい。浴槽の高さ方向のおよそ中間付近で接続されている。また、足側面22は上方に開放された傾斜状になっているが、R状でもよく、好ましくは略垂直方向に起立している状態が足を突っ張った際に力を伝えやすい。
【0031】
そして、背側面21の上下方向に延びる中心線Cに沿って、複数段の進出部30が設けられている。進出部30は、中心線Cの両側に1列ずつ、合計2列設けられており、中心線Cに関して対称に配置されている。また、進出部30は、腰用進出部30a および、肩用進出部30bの各列において例えば等間隔に配列されており、中心線Cから例えば30mm程度離隔している。
【0032】
次に進出部の説明を行う。図12に示すように、各進出部30においては、シリンダ状の保持筒体31が設けられている。保持筒体31は背側面21の外面に対して水密的に連結されており、背側面21における保持筒体31が取り付けられた部分は開口しており、これにより、保持筒体31の内部は浴槽20の内部に連通している。
【0033】
また、保持筒体31の内部には、エアバッグ32が設けられている。エアバッグ32は、略円筒形の蛇腹形状をなしており、内部にエアが導入されると蛇腹の配列方向に沿って伸び、内部のエアが排出されると蛇腹の配列方向に沿って縮む。すなわち、エアバッグ32は、エアの流入出に伴って一方向に伸縮する。エアバッグ32は、蛇腹の配列方向、すなわち伸縮方向が背側面21に対して例えば垂直になるように配置されており、背側面21から遠い側の端部が保持筒体31の内面に水密的に連結されている。
【0034】
更に、保持筒体31の内部におけるエアバッグ32よりも浴槽20側の部分には、受板33が移動可能に設けられており、エアバッグ32に当接している。そして、受板33におけるエアバッグ32の反対側の面には、突出部材34が連結されている。突出部材34は、例えば、硬質の樹脂材料からなる円柱形状の部材であり、受板33に連結されていない側の先端部34aは丸められている。更にまた、保持筒体31の内部における背側板21と受板33との間には、バネ35が設けられており、受板33を背側板21から離隔する方向に付勢している。
【0035】
一方、図10に示すように、駆動手段40においては、ポンプ41と、ポンプ41と各進出部30のエアバッグ32(図6参照)とを連通するエアチューブ42と、エアチューブ42の途中にそれぞれ設けられた切替弁43とが設けられている。切替弁43は例えば三方電磁弁であり、進出部30への加圧と、進出部30からのエア排出とを切り替えることができる。また、ポンプ41及び切替弁43には、これらを制御する制御部44が接続されている。なお、図10においては、図示を簡略化するために、制御部44は最上段の切替弁43のみに接続されているように描かれているが、実際には、制御部44は全ての切替弁43を独立して制御することが可能である。
【0036】
次に、本具体例の動作について説明する。
ポンプ41が作動していないときは、バネ35が受板33を付勢し、受板33がエアバッグ32を押圧することにより、エアバッグ32は縮んだ状態にある。これにより、突出部材34は保持筒体31内に収納されており、進出部30は標準状態にある。そして、入浴者が浴槽20内に入り、入浴姿勢をとる。
【0037】
この状態で、制御部44がポンプ41を作動させることにより、ポンプ41がエアチューブ42に対してエアを供給する。そして、制御部44が切替弁43を操作して、ポンプ41と各進出部30とを連通させることにより、進出部30のエアバッグ32内にエアが流入し、その圧力によってエアバッグ32がバネ35の付勢力に打ち勝って膨張し、受板33を介して突出部材34を浴槽20の内部に向けて押し出す。この結果、進出部30は進出状態となり、突出部材34の先端部34aが入浴者の背中又は腰部を押圧する。その後、制御部44が切替弁43を切替えて、この進出部30のエアバッグ32を外部に連通させると、エアバッグ32はバネ35の付勢力によって縮み、突出部材34は保持筒体31内に収納される。これにより、進出部30は標準状態に戻る。この動作を繰り返すことにより、進出部30が標準状態と進出状態とを繰り返し、突出部材34が直線往復運動する。
【0038】
そして、制御部44が各進出部30を独立に駆動することにより、種々のモードで入浴者にマッサージを施すことができる。例えば、制御部44は、各進出部30の状態を周期的に変化させ、その周期を全ての進出部30で同一とし、その位相を進出部30間で相互に異ならせてもよい。一例では、制御部44は、同一の段に配置された一対の進出部30を同位相で駆動しつつ、最上段の進出部30から下方の進出部30に向かって少しずつ位相を遅らせながら駆動する。これにより、入浴者は、背筋を肩から腰にかけて揉み下ろされるようなマッサージ感を得ることができる。
【0039】
次に、本具体例の効果について説明する。
本具体例によれば、浴槽の内部に電気部品を配置することなく、前述の第1の実施形態
に係る浴槽装置を構成することができる。これにより、漏電及び感電に対する対策並びに
湯による電気部品の腐食に対する対策などが不要になり、低コストで信頼性が高い浴槽装
置を実現することができる。本具体例における上記以外の効果は、前述の第1の実施形態
と同様である。
【0040】
また、腰部だけがマッサージしたい場合、腰側進出部4のみを備えるようにしてもよい。
【0041】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明により、入浴者に十分なマッサージ効果を与えることができる浴槽装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る浴槽装置を例示する模式的断面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る浴槽装置を例示する模式的断面図である。
【図3】本発明の第3の実施形態に係る浴槽装置を例示する模式的断面図である。
【図4】本発明の第3の実施形態に係る浴槽装置の変形例を例示する模式的断面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る浴槽装置の変形例を例示する模式的断面図である。
【図6】本発明の第4の実施形態に係る浴槽装置を例示する模式的断面図である。
【図7】本発明の第5の実施形態に係る浴槽装置を例示する模式的断面斜視図である。
【図8】本発明の第5の実施形態に係る浴槽装置の変形例を例示する模式的断面斜視図である。
【図9】本発明の第5の実施形態に係る浴槽装置の変形例を例示する模式的断面斜視図である。
【図10】本発明の具体例に係る浴槽装置を例示するブロック図である。
【図11】本具体例に係る浴槽装置の浴槽を例示する透過斜視図である。
【図12】本具体例に係る浴槽装置の進出部を例示する断面図である。
【符号の説明】
【0043】
2 浴槽、2a 背側面、2b 肩側傾斜面、2c 腰側傾斜面、
2e 2h 底面、2f 足側面、2g 2i 臀部ずれ防止部(凸部)、
2j 臀部ずれ防止部(凹状曲面)、2k 足載置部、2m 2n 2p すべり防止部
3、3a、3b 進出部、4 駆動手段、
14、15、16 浴槽装置、
20 浴槽、21 背側面、22 足側面、23 底面
腰側傾斜面 25 肩側傾斜面、
30 進出部、31 保持筒体、32 エアバッグ、33 受板、34 突出部材、34a 先端部、35 バネ、40 駆動手段、41 ポンプ、42 エアチューブ、
43 切替弁、44 制御部、M 入浴者、R 背筋、W 湯
【特許請求の範囲】
【請求項1】
背側面と足側面と、臀部を支える底面とを備える浴槽と、
前記浴槽の内方に向けて進出可能な進出部と、
前記進出部を駆動する駆動手段とを備えた浴槽装置であって、
前記背側面は、
入浴者の臀部から腰にかけて支える腰側傾斜面と、
入浴者の腰部から肩にかけて支える肩側傾斜面とからなり、
前記腰側傾斜面は、
前記浴槽の足側面に入浴者が足をつけ、腰側傾斜面に入浴者の腰を押し付けるように突っ張った状態で十分密着できるように前記背側傾斜面よりも勾配を緩やかに形成され、
さらに前記進出部を前記腰側傾斜面の内壁に具備されている、
ことを特徴とする浴槽装置。
【請求項2】
前記進出部が前記腰側傾斜面および前記背側傾斜面の内壁に備えられていることを特徴とする請求項1記載の浴槽装置。
【請求項3】
前記腰側傾斜面の下部に前記浴槽の底面に対して垂直部を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の浴槽装置。
【請求項4】
前記浴槽の底面の前記腰側傾斜面下部から足側面の方向へ離間した位置に、前記浴槽の上方側に向けて凸部が設けられたことを特長とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の浴槽装置。
【請求項5】
前記浴槽の足側面側の底面が、前記浴槽の内側に向けて張り出した足載置部が備えられたことを特長とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の浴槽装置。
【請求項6】
前記足側面に凹凸を設けたことを特長とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の浴槽装置。
【請求項1】
背側面と足側面と、臀部を支える底面とを備える浴槽と、
前記浴槽の内方に向けて進出可能な進出部と、
前記進出部を駆動する駆動手段とを備えた浴槽装置であって、
前記背側面は、
入浴者の臀部から腰にかけて支える腰側傾斜面と、
入浴者の腰部から肩にかけて支える肩側傾斜面とからなり、
前記腰側傾斜面は、
前記浴槽の足側面に入浴者が足をつけ、腰側傾斜面に入浴者の腰を押し付けるように突っ張った状態で十分密着できるように前記背側傾斜面よりも勾配を緩やかに形成され、
さらに前記進出部を前記腰側傾斜面の内壁に具備されている、
ことを特徴とする浴槽装置。
【請求項2】
前記進出部が前記腰側傾斜面および前記背側傾斜面の内壁に備えられていることを特徴とする請求項1記載の浴槽装置。
【請求項3】
前記腰側傾斜面の下部に前記浴槽の底面に対して垂直部を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の浴槽装置。
【請求項4】
前記浴槽の底面の前記腰側傾斜面下部から足側面の方向へ離間した位置に、前記浴槽の上方側に向けて凸部が設けられたことを特長とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の浴槽装置。
【請求項5】
前記浴槽の足側面側の底面が、前記浴槽の内側に向けて張り出した足載置部が備えられたことを特長とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の浴槽装置。
【請求項6】
前記足側面に凹凸を設けたことを特長とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の浴槽装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−247749(P2009−247749A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−101856(P2008−101856)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
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