説明

浴用剤

【課題】香り立ちが良く、安定性に優れ、かつ成形性の良好な発泡性の圧縮成形型浴用剤の提供。
【解決手段】次の成分(a1)〜(a3)を含む香料粒子、炭酸水素ナトリウム及び/又は炭酸ナトリウム、及び有機酸を含有する発泡性圧縮成形型浴用剤。(a1)アリール基を有するアルコール成分を5重量%以上又は炭素数6〜15のアルコール成分30重量%以上を含む香料 1〜50重量%(a2)分子量100以上であってClogP値が6〜12の脂肪酸エステル類 0.1重量%以上、及び(a3)平均分子量4000以上の水溶性高分子 45〜95重量%。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香り立ちが良く、安定性に優れた発泡性の圧縮成形型浴用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
炭酸塩と酸とを組み合せた炭酸ガス発生物を配合した浴用剤が、血行促進効果に優れ、湯冷めを惹起し難いことが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
また、浴用剤として期待される重要な効果として、香りによるアロマテラピー効果、リラックス効果等があり、浴用剤中に配合する香料を安定化することが重要になっている。ところが、炭酸ガス発生物を配合した浴用剤においては、発泡と同時に香料が揮散しやすいため、入浴中に長時間、安定な香りを維持することが困難である。そこで、香料を粒子中に配合して保存中及び入浴中の香りを安定化する技術が報告されている(特許文献2)。
【特許文献1】特開昭59−70609号公報
【特許文献2】特開2000−229843号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、香料を粒子中に配合して、炭酸塩と酸とを組み合せた炭酸ガス発生物とともに圧縮成形して浴用剤を製造しようとすると、香料の種類によって圧縮成形時にスティッキングが生じ、安定して圧縮成形型浴用剤が得られないことが判明した。
従って、本発明の目的は、香り立ちが良く、香りの安定性に優れ、かつ成形性の良好な発泡性の圧縮成形型浴用剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明者は、香り立ち及び香りの安定性と、成形性の両立を図るべく種々検討した結果、アリールアルコール又はアルコール系の香料成分と水溶性高分子を含む香料粒子中に特定のClogP値を有する脂肪酸エステルを配合して造粒し、これに炭酸塩と酸とを組み合せた炭酸ガス発生物を配合して圧縮成形すれば、発泡性が良好であって、香り立ち及び香りの安定性が良く、かつスティッキングが生じない成形性に優れた圧縮成形型浴用剤が得られることを見出した。
【0006】
すなわち、本発明は、次の成分(a1)〜(a3)を含む香料粒子、炭酸水素ナトリウム及び/又は炭酸ナトリウム、及び有機酸を含有する発泡性圧縮成形型浴用剤を提供するものである。
(a1)アリール基を有するアルコール成分を5重量%以上又は炭素数6〜15のアルコール成分30重量%以上を含む香料 1〜50重量%
(a2)分子量100以上であってClogP値が6〜12の脂肪酸エステル類 0.1重量%以上、及び
(a3)平均分子量4000以上の水溶性高分子 45〜95重量%
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、香り立ちが良く、香りの安定性に優れ、かつ圧縮成形時にスティッキングが生じないため、生産性だけでなく、香りと発泡性の両立、香りの持続性等において品質の一定な発泡性の圧縮成形型浴用剤が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の浴用剤は、上記(a1)、(a2)及び(a3)を含む香料粒子を含有する。当該(a1)、(a2)及び(a3)成分は、浴用剤中に単に配合するのでなく、香料粒子中に配合することが、香り立ち、香りの持続性、香りの安定性及び圧縮成形時のスティッキングを防止する上で重要である。
【0009】
(a1)成分は、アリール基を有するアルコール成分を5重量%以上又は炭素数6〜15のアルコール成分30重量%以上を含む香料成分である。これらの香料成分を配合すると、浴用剤を溶解する時に香り立ちがよく、特に「花の香り」を創作する場合に、その香りのフレッシュ感を出すことができる。さらに、入浴後の肌への香りの持続性を高める点で効果的である。ところが、アリール基を有するアルコール系の香料成分を配合した香料粒子を用いて、炭酸ガス発生物とともに圧縮成形すると、スティッキングの問題が生じてしまう。本発明は、香料粒子中に(a1)アリール基を有するアルコール成分を含む香料に、(a2)の脂肪酸エステルを配合することによりスティッキングが有効に防止できる。
【0010】
アリール基を有するアルコール成分としては、炭素数6〜14のアリール基を有する炭素数6〜28のアルコールが挙げられ、具体例には、ベンジルアルコール、4-メトキシベンジルアルコール(アニスアルコール)、4-イソプロピルベンジルアルコール(クミンアルコール)、4-メチル-α-フェニルエチルアルコール(p,α-ジメチルベンジルアルコール)、β-フェニルエチルアルコール、α-フェニルエチルアルコール、2-フェニル-プロパン-1-オール(ヒドラトロパアルコール)、オルト-,メタ-,またはパラ-メチルベンゼンエタノール(β-(メチルフェニル)エチルアルコール)、フェノキシエチルアルコール、2-メトキシフェニルエチルアルコール、α,α-ジメチルフェニルエチルアルコール、α-プロピルフェニルエチルアルコール、p-メチルジメチルベンジルカルビノール、イソブチルベンジルカルビノール、3-フェニルプロピルアルコール、1,1-ジメチル-3-フェニルプロパノール(ジメチルフェニルエチルカルビノール)、2,2-ジメチル-3-フェニルプロパノール、3-メチル-1-フェニル-3-ペンタノール、3-フェニル-2-プロパン-1-オール(シンナミックアルコール)、2-ベンジリデンヘプタノール(アミルシンナミックアルコール)、3-メチル-5-フェニルペンタノール-1、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジルアルコール(バニリルアルコール)等が挙げられる。特に、炭素数6〜10のアリール基を有する炭素数7〜18のアルコールがより好ましく、例えば、p,α-ジメチルベンジルアルコール、β-フェニルエチルアルコール、α-フェニルエチルアルコール、ヒドラトロパアルコール、β-(メチルフェニル)エチルアルコール、フェノキシエチルアルコールが好ましい。これらのアリール基を有するアルコールは、単独又は2種以上を組み合せて香料成分全量中に5重量%以上含有するが、特に香り立ち、香りのフレッシュ感、香りの持続性の点で5〜50重量%含有するのが好ましい。
【0011】
炭素数6〜15のアルコール成分としては、直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和アルコールが含まれる。具体的には、3-メチル-1-ペンタノール、1-ヘプタノール、2-ヘプタノール、3-ヘプタノール、1-オクタノール、2-オクタノール、3-オクタノール、2-エチルヘキサノール、2-ノナノール、1-ノナノール、2-ノナノール、1-デカノール、1-ウンデカノール、2-ウンデカノール、1-ドデカノール等の直鎖の飽和アルキルアルコール;3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール、3,7-ジメチルオクタン-3-オール(テトラヒドロリナロール)等の分岐の飽和アルキルアルコール;4-メチル-3-デセン-5-オール(ウンデカベルトール)、3,7-ジメチル-6-オクテン-1-オール(シトロネロール)、cis-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-オール(ネロール)、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン-3-オール(リナロール)、2,6-ジメチル-7-オクテン-2-オール(ジヒドロミルセノール)、3,7-ジメチル-1,6-ノナジエン-3-オール(エチルリナロール)、3,7,11-トリメチル-1,6,10-ドデカトリエン-3-オール(ネロリドール)等の分岐の不飽和アルキルを持つアルコール;5-メチル-2-イソプロピルシクロヘキサノール(メントール)等の環状の飽和アルキルアルコール;1-メチル-4-イソプロピル-1-シクロヘキセン-8-オール(テルピネオール)等の環状の不飽和アルキルアルコールが挙げられる。特に3-メチル-1-ペンタノール、1-ヘプタノール、2-ヘプタノール、3-ヘプタノール、1-オクタノール、2-オクタノール、3-オクタノール、2-エチルヘキサノール、2-ノナノール、1-ノナノール、2-ノナノール、1-デカノール、1-ウンデカノール、2-ウンデカノール、1-ドデカノールが好ましい。これらのアルコールは、単独又は2種以上を組み合せて、香料成分全量中に30重量%以上含有するが、特に香り立ち、香りの持続性の点で30〜80重量%含有するのが好ましい。
【0012】
当該(a1)の香料成分は、香料粒子(A)中に香り立ち、香りのフレッシュ感、香りの持続性の点から、1〜50重量%含有するが、さらに1〜30重量%、特に〜15重量%含有するのが好ましい。また(a1)の香料成分には、上記アリールアルコール及びアルコール以外に、所望の香りに合わせて種々の調合香料を配合することができる。
【0013】
(a2)成分は、分子量100以上であってClogP値が6〜12の脂肪酸エステル類であり、香料粒子に添加することで、当該香料粒子と炭酸塩等の炭酸ガス発生物とを成形する製造時のスティッキング防止し、かつ浴用剤の強度を保持することができる。すなわち、当該(a2)成分は香料粒子中に配合して、香料の造粒物を形成した場合に有効である。なお、ClogP値は. A. Leo Comprehensive Medicinal Chemistry, Vol.4 C.Hansch、P.G. Sammens, J.B Taylor and C.A. Ramsden, Eds., P.295, Pergamon Press, 1990に記載の方法で計算した“計算logP(ClogP)”であり、プログラムCLOGP v4.01により計算したClogP値である。
【0014】
好ましい脂肪酸エステル類としては、総炭素数8〜40の脂肪酸エステルが挙げられ、特に炭素数6〜20の脂肪酸基と炭素数2〜18のアルキル基を有するエステルが好ましく、炭素数6〜20の脂肪酸基と炭素数2〜16のアルキル基を有するエステルがより好ましい。具体的にはオクタン酸セチル、イソオクタン酸セチル、ラウリン酸ブチル、ラウリン酸イソアミル、ミリスチン酸メチル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、リノール酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル等が挙げられる。
【0015】
これらの脂肪酸エステル類は単独で、又は2種以上を組み合せて香料粒子中に、スティッキング防止効果、香り立ちの点から0.1重量%以上、さらに0.1〜40重量%、特に0.1〜20重量%含有するのが好ましい。
【0016】
(a3)成分は、香料の安定化、香り立ち、香りの持続性の点から重要であり、平均分子量4000以上の水溶性高分子である。
【0017】
本発明で用いる水溶性高分子としては、常温(25℃)で固体又はペースト状のものが好ましい。ここでペースト状とは、半固形状の物質である。具体的には、例えばにかわ、ゼラチン、コラーゲンタンパク、カゼイン、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、ファーセレラン、タマリンドガム、ペクチン、アラビアガム、グアーガム、キサンタンガム、トラガントガム、ローカストビーンガム、デキストリン、デキストラン、寒天、澱粉等の天然水溶性高分子;カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、アルギン酸プロピレングリコールエステル、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、カチオン澱粉等の半合成水溶性高分子;ポリアクリル酸ソーダ、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン等の合成水溶性高分子などが挙げられ、1種以上を用いることができる。
これらのうち、ポリエチレングリコール、特に分子量4000〜20000のポリエチレングリコールが好ましい。
【0018】
当該水溶性高分子は、単独又は2種以上を組み合せて使用でき、香料粒子中の含有量は、香り立ち、香りの持続性及び香りの安定性の点から、45〜95重量%、特に55〜95質量%、さらに65〜95重量%が好ましい。
【0019】
(a1)、(a2)及び(a3)を含有する香料粒子の造粒法は、例えば押し出し造粒打錠成形法、転動式造粒法、噴霧乾燥造粒法、遠心式造粒法、攪拌造粒法、板上滴下造粒等により製造することができる。特に、塊状や液体から粒径の小さい粒子を製造できる方法が好ましい。本発明の香料粒子は、(a1)〜(a3)を加熱溶融して均一に混合した後、一定量を平らな板状の上に滴下して、固化、造粒し、0.1〜5mmの顆粒状の粒子を得るのが好ましい。加熱溶融の温度は、使用する(a3)水溶性高分子が溶融する温度であることが好ましい。
また、香料粒子の強度は、φ1mm円柱のプローブを装着したフドーレオメータを用いて10mm/minの速度で1.0mm貫入した時の最大応力で、0.3kgf以上が好ましく、成形時にスティッキングを起こし難いとの観点から、特に0.4kgf以上、さらに0.5kgf以上であることが好ましい。なお、強度の測定は、得られた香料粒子7gを63℃で融解し、20℃で20℃の水浴に浸漬したアルミ製の皿(直径25mm、厚さ7mm)に注形して円柱状に成形してサンプルとした。
【0020】
香料粒子の粒径は香り立ち、香りのフレッシュ感、香りの持続性の点から100〜5000μm、特に500〜2000μmが好ましい。粒径は、ふるいを用いて選別、測定する。
【0021】
香料粒子は、本発明浴用剤中に0.1〜50重量%、特に0.5〜30重量%、更に1〜15重量%含有するのが、浴湯に溶解したときの香り立ち、香りの持続性の点で好ましい。
【0022】
本発明の浴用剤には、炭酸ガス発生物としての炭酸水素ナトリウム及び/又は炭酸ナトリウムと、有機酸とを含有する。有機酸としては、例えばコハク酸、フマル酸、リンゴ酸、アジピン酸、酒石酸、クエン酸、マロン酸、マレイン酸等が挙げられる。このうち、コハク酸又はフマル酸が特に好ましい。
炭酸水素ナトリウム及び/又は炭酸ナトリウムは、本発明浴用剤中にそれぞれ20〜80重量%、特に40〜60重量%含有するのが、浴湯中に十分な炭酸ガスを溶解できるので好ましい。また、有機酸は、本発明浴用剤中にそれぞれ20〜80重量%、特に40〜60重量%含有するのが、浴湯中に十分な炭酸ガスを溶解できるので好ましい。さらに、炭酸水素ナトリウム及び/又は炭酸ナトリウムと、有機酸との総含有量は60〜98重量%、特に70〜98重量%が好ましい。
【0023】
また、本発明の浴用剤には、前記成分以外に、香料の分散性を高めるために非イオン性界面活性剤を配合できる。非イオン性界面活性剤としては、例えばグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。これらの界面活性剤は、香料粒子中に含有させてもよいし、香料粒子とは別に含有させてもよい。当該界面活性剤は、本発明浴用剤中に0.01〜30重量%、特に1〜20重量%含有するのが好ましい。
【0024】
本発明の浴用剤には、更に通常浴用剤に用いられる成分、例えば無機塩類、無機酸類、生薬類、油脂類、アルコール類、薬効剤、色素類、ビタミン類等を配合できる。
本発明の浴用剤は、圧縮成形法、例えば打錠により、圧縮成形製剤、例えば錠剤の形態とすることができる。
【0025】
本発明の浴用剤は、浴槽溶解時に発泡して炭酸ガスを発生する。当該炭酸ガスは浴湯中に高濃度に溶解し、血行促進効果を発揮する。一方、本発明の浴用剤中に配合された香料粒子は、発泡と同時に浴湯中に放出され、入浴中良好な香りが持続するため、良好なアロマテラピー効果が得られる。
【実施例】
【0026】
実施例1
ポリエチレングリコール6000(平均分子量7500)83重量部を約60℃で溶融し、表1のローズ系調合香料13重量部、フェニルエチルアルコール1重量部(香料)、ミリスチン酸イソプロピル3重量部を加えて溶解した。これを均一に混合した後、20℃の平らな板に滴下し、直径約0.3〜5mmの粒状に造粒して香料粒子を得た。
実施例2〜5、比較例1〜7も表1の処方で同様に製造して香料粒子を得た。
【0027】
〔香料粒子の強度〕
得られた各実施例および比較例の香料粒子の7gを63℃で融解し、20℃の水浴に浸漬したアルミ製の皿(直径25mm、厚さ7mm)に注形して円柱状に成形し、φ1mm円柱のプローブを装着したフドーレオメータ(RT-2010D-D;不動工業(株))を用いて10mm/minの速度で1.0mm貫入した時の最大応力(25℃)を測定し、強度とした。結果をあわせて表1に示した。
【0028】
〔打錠時の杵へのスティッキング〕
表1の実施例1〜5、及び比較例1〜7に示す香料粒子を用い、表2の組成で均一に混合し、1錠50gの錠剤を100錠連続圧縮成形し、そのスティッキング評価を行った。圧縮成形機は、エキセントリック打錠機(マシーナ社)を用いた。圧縮成形後、杵に硬く付着した粉末の有無を評価した。結果を表2に示す。
【0029】
〔スティッキングの評価基準〕
4:スティッキングが全くなし
3:杵表面にうっすらと付着があるが、錠剤表面は滑らか
2:錠剤表面に少し付着を認める
1:錠剤表面に著しい付着を認める
【0030】
〔香り立ち評価〕
表1の実施例1〜5、及び比較例1〜7にて得られた香料粒子を配合した錠剤を40℃150リットルの湯に溶かし、全量溶解直後の匂いを評価し、結果を表2に示した。
〔香り立ち評価基準〕
○:ローズ調の匂いがする。
×:ローズ調の匂いがほとんどしない。
【0031】
【表1】

【0032】
【表2】

【0033】
表1及び表2から明らかなように(a1)、(a3)に加えて(a2)を配合した香料粒子を配合した浴用剤は、スティッキングが生じず、香料粒子の強度も良好であった。これに対し、(a2)エステル類を配合しない香料粒子(比較例1、5、6)、ClogP値が16.5もしくは3.4の脂肪酸エステルを配合した香料粒子(比較例2、3)は強度が十分でなく、またスティッキングを生じた。また、(a1)成分が1重量%より少ない場合には(比較例4)、得られた浴用剤の香り立ちは良くなかった。脂肪酸エステルを造粒物でなく、打錠生地中に配合した場合も、スティッキングが生じた(比較例7)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(a1)〜(a3)を含む香料粒子、炭酸水素ナトリウム及び/又は炭酸ナトリウム、及び有機酸を含有する、発泡性圧縮成形型浴用剤。
(a1)アリール基を有するアルコール成分を5重量%以上又は炭素数6〜15のアルコール成分30重量%以上を含む香料 1〜50重量%
(a2)分子量100以上であってClogP値が6〜12の脂肪酸エステル類 0.1重量%以上、及び
(a3)平均分子量4000以上の水溶性高分子 45〜95重量%。
【請求項2】
さらに、ノニオン界面活性剤を含有する請求項1記載の浴用剤。
【請求項3】
脂肪酸エステルが、総炭素数8〜40の脂肪酸エステルである請求項1又は2記載の浴用剤。
【請求項4】
水溶性高分子が、ポリエチレングリコールである請求項1〜3のいずれか1項記載の浴用剤。

【公開番号】特開2009−7303(P2009−7303A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−170629(P2007−170629)
【出願日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】