説明

海岸地区における塗装時の耐食性に優れた高強度鋼およびその製造法

【課題】海岸地区においても塗装時の耐食性を向上できる引張強度が780〜1400MPaを有する高力ボルト・ナットの製造が可能な手段を提供する。
【解決手段】本発明の高強度鋼は、質量%で、C:0.01〜0.25%、Si:0.01〜1.0%、Mn:0.1〜3%未満、P:0.03%以下、S:0.01%以下、Cr:3〜7%、Al:0.2〜2%、N:0.02%以下、を含有し、かつ選択的に、Cu:0.1〜2%、Ni:0.1〜2%、Mo:0.005〜1%、V:0.005〜0.1%、Nb:0.005〜0.050%、Ti:0.005〜0.03%、Ca:0.0005〜0.05%、Mg:0.0005〜0.05%、REM:0.001〜0.1%の1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、その金属組織が90%以上のマルテンサイトであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築・土木分野における各種構造物に用いる摩擦接合用の高力ボルト・ナット用の鋼に関し、特に海岸地域の構造物などの飛来塩分が関与した腐食環境で用いられる塗装時の耐食性に優れた引張強度が780MPa以上1400MPa以下の高強度鋼およびその製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
橋梁など長期間の耐食性の維持が必要な構造物では、一般に耐候性鋼材などが用いられている。それに伴い、構造物の継手に用いられる高力ボルト・ナットなどでも耐候性を有する鋼が適用されている。たとえば、特許文献1、特許文献2などには、Cu,Crなどの有効元素が富化した防食性の高い安定錆が表面を覆うことにより、著しく腐食の進展が遅延されるようにした高強度鋼が開示されている。これらの高強度鋼は、焼入れ焼戻し処理を施され1000MPa以上の強度で用いることを前提としている。
【0003】
しかしながら、海岸地区など飛来塩分量が多い地区では、上記のような耐候性素材は、Cu、Crによる安定錆層が生成しにくくいことが知られている。そこで、近年、海岸地区でも裸で使用に耐える高力ボルト用鋼材が開発され、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6など、で開示されている。これは、Niを1%以上、さらに必要に応じてMoを0.25%以上添加することを特徴とし、必要な焼入れ強度を確保するために、Di値を規定したものである。上記の発明はたしかに、優れた耐食性を示すものの、Ni、Moなど高価な元素を含むために、材料のコストが高くなる欠点がある。さらに、一般に橋梁は、塗装を前提として設計されており、高価な裸仕様に耐えるボルト用鋼を用いることは、あまり合理的ではない。
【0004】
そこで、近年、塗装を前提とした高い耐食性鋼を発言する鋼として、例えば、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10の発明がなされるに至った。これらの鋼は、10%以下のCrを含有し、Alを0.3%以上添加することで、水溶液中で基材表層部より卑なる金属層、例えば、Znなどを塗布、あるいは、メッキなどで付着させることで、飛躍的に耐食性を向上できる技術である。しかしながら、これらの技術は、ボルトに適用するには、強度が低い難点があり、これらの鋼材を用いて橋梁を製造する場合、同種の材料がなくボルト接合でいきない難点があった。
【0005】
さらに、高耐食性を有し、強度が高い性質を有する鋼として、マルテンサイト系ステンレス鋼が開発されている。例えば、特許文献11は、Cr:7〜15%、Cu:0.25〜5%などを含有する耐食性に優れた油性用マルテンサイト系ステンレス鋼、特許文献12は、Cr:7〜15%、Ni:0.7〜8.0%、Al:0.001〜0.2%を含有する高耐食性マルテンサイト系ステンレス鋼、特許文献13は、Cr:4〜11%、Al:0.001〜0.1%、Ca:0.0005〜0.02%、O:0.0005〜0.01%を含有し、Caを含有する硫化物が所定量含まれていることを特徴とする被削性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼部品およびその製造方法、を開示している。しかしこのようなマルテンサイト系ステンレスは、一般にClイオンが多量に存在する海浜地区での長期の使用はできず、かつ、締結する母材との間に異種金属腐食などが発生する懸念があることから、橋梁などの土木用途では、一般的には、適用できない。
【特許文献1】特公昭53−24890
【特許文献2】特公昭56−20350
【特許文献3】特開2000−63992
【特許文献4】特開2000−119814
【特許文献5】特開2000−119815
【特許文献6】特開2001−1017190
【特許文献7】特開平6−212227
【特許文献8】特開平6−280048
【特許文献9】特開平1−350086
【特許文献10】特開2004−162120
【特許文献11】特開平11−310855
【特許文献12】WO99/04052
【特許文献13】特開2000−282185
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の問題を解決するために、海岸地区においても塗装時の耐食性を向上できる高力ボルト・ナットの製造が可能な手段を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記の目的を達成すべく海水腐食環境等の腐食環境において優れた耐食性を有し、かつ強度が780MPa以上の鋼を開発するべく、種々の観点から検討を行った。なお、引張強度があまりに高くなりすぎると、遅れ破壊の危険性が伴うので、開発する上でその上限を1400MPaとした。また、ボルト加工時の生産性にも考慮し、割れなどの不具合がないことにも配慮した。
【0008】
その結果、一般に良く用いられるZnを含有する塗装時の海岸環境における耐食性に着目し、実験を行うと同時に、引張強度を満足するための製造条件を検討した結果、適切な成分系、満足すべき金属組織およびそれを実現するための熱処理温度条件を見出した。
【0009】
上記の知見に基づいてなされた本発明の骨子は、次の通りである。
(1)質量%で、
C :0.01〜0.25%
Si :0.01〜1.0%
Mn :0.1〜3%未満
P :0.03%以下
S :0.01%以下
Cr :3〜7%
Al :0.2〜2%
N :0.02%以下
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、その金属組織が90%以上のマルテンサイトであることを特徴とする海岸地区における塗装時の耐食性に優れた高強度鋼。
【0010】
(2)質量%で、
Cu :0.1〜2%
Ni :0.1〜2%
Mo :0.005〜1%
V :0.005〜0.1%
Nb :0.005〜0.050%
Ti :0.005〜0.03%
Ca :0.0005〜0.05%
Mg :0.0005〜0.05%
REM :0.001〜0.1%
の1種または2種以上を含有することを特徴とする(1)記載の海岸地区における塗装時の耐食性に優れた高強度鋼。
【0011】
(3)(1)記載の組成を有する鋼を表面温度で950℃以上1200℃以下に加熱後、少なくとも30分以上、120分以下で保持し、その後、850℃以上の温度から、150℃の温度まで、平均1℃/sec以上の冷却速度で焼入れることを特徴とする海岸地区における塗装時の耐食性に優れた高強度鋼の製造法。
(4)(1)及び(2)記載の組成を有する鋼を表面温度で950℃以上1200℃以下に加熱後、少なくとも30分以上、120分以下で保持し、その後、850℃以上の温度から、150℃の温度まで、平均1℃/sec以上の冷却速度で焼入れることを特徴とする海岸地区における塗装時の耐食性に優れた高強度鋼の製造法。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、海岸地区での橋梁などの構造物の建造に対し、引張強度780MPa以上1400MPa以下の高力ボルト用鋼を提供でき、耐食性の優れた摩擦接合用高力ボルトとしての使用が可能であり、産業上極めて有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明に係る高強度鋼の組成について説明する。
C: Cは、強度を改善する元素であると同時に、母材の硬質相の硬さを上昇させることができる元素であるため、0.01%以上の添加が必要であるが、0.25%を超える添加では、過剰に硬化し、加工性などの劣るため、含有量範囲を0.01%〜0.25%とする。
【0014】
Si: Siは、Crを2%以上含有する鋼に脱酸剤および強化元素として添加することが有効であるが、含有量が0.01%未満ではその脱酸効果が充分ではなく、1.0%を超えて含有すると過剰に硬化するため、含有量の範囲を0.01%以上1.0%以下に限定する。
【0015】
Cr: Crは、耐食性を確保するために3%以上、好ましくは、4.5%以上を含有させることが必要であるが、7%を超えて含有すると、強度の過度の上昇を招き加工性を減ずるので、その範囲を3〜7%、好ましくは、4.5〜6.5%とする。
【0016】
Al: Alは、本発明において耐食性を確保するためにCrと並んで重要な元素であって、Alの含有量は、耐食性を確保する観点から0.2%以上の必要であるが、一方、2%を超えて添加すると変態点の上昇を招き、適切な強度を得るための焼入れ温度の確保が困難になり、強度の低下を招くので、その含有量は0.2%以上2%以下に限定する。
【0017】
Mn: Mnは本発明においては、主として強度の改善とオーステナイト形成元素として作用し、耐食性の観点から添加されているCrおよびAlにより上昇する変態点を適切な温度まで低下させ、かつ焼入れ性を確保するために添加される。すなわち、CrおよびAlは周知のようにフェライト形成元素であり、これらが多量に添加されると、凝固から室温に至るまで変態を経ずしてフェライト単相組織となり、鋳造時の冷片での割れを誘発するなど、製造性を阻害する。その結果、Mn量は0.1%以上添加することが必要であるが、3%以上の添加量では、強度の過度の上昇と加工性を減ずるので3%未満の添加とする。
【0018】
N: Nは、鋼板に多量に添加されると焼入れ時の硬さが増加し、引張強度が上限を超えるため、その上限の含有量は、0.02%とする。
【0019】
P: Pは、多量に存在するとボルト加工時の割れなどの不具合を発生させるので、少ない方が望ましく、上限の含有量は0.03%とする。
【0020】
S: Sも多量に存在すると耐孔食性を低下させるので少ない方が望ましく、上限の含有量は0.01%とする。SもPと同様に不可避的な混入量をできる限り少なくするのがよい。
【0021】
さらに、本発明では以下の元素を選択して添加できる。
Cu、Ni: Cu,Niともに強度を改善するとともに、Mnと同様にフェライト生成を抑制する効果がある。特に、Niは焼入れ性を増加させ、焼入れ時の強度改善に効果がある。その効果は、いずれも0.1%以上の添加を必要とするが、いずれも2%を越えて添加してもその効果が飽和するので、両者ともに、その限定範囲を0.1〜2%とする。
【0022】
Mo: Moは、CrおよびAlが添加された鋼において、0.005%以上添加されると、孔食の発生と成長を抑制する効果が認められるが、1.0%を超えて添加しても効果が飽和するので、その範囲を0.005%〜1.0%とする。
【0023】
Nb: Nbは耐食性を損なわずに、強度を改善する元素であり、その効果は0.005%から認められるが、0.05%を越えると粗大な析出物が生成し割れの起点となるためにその範囲を0.005%〜0.05%とする。
【0024】
V: Vは、同じく耐食性を損なわずに、強度を改善する元素であり、0.005%以上で効果が認められるが、多量の添加過剰な強度上昇を招くので、その上限を0.1%とする。
【0025】
Ti: Tiは窒化物の生成を通じて高温での結晶粒径の細粒化に寄与し、加工性、遅れ破壊性の改善に効果がある元素であるので、0.005%以上の添加が必要となるが、0.03%を越えると、粗大な析出物が生成するために、割れの起点となる可能性がある。従って、その範囲を両元素ともに0.005%〜0.03%とする。
【0026】
Ca,Mg:CaおよびMgはCrおよびAlを含有する鋼において、耐食性を改善できる元素である。現在のところその機構には不明点が多いが、両者がそれぞれ0.0005%以上で耐食性が一層向上し、その量の増大とともに、耐食性の向上が認められるが、0.05%を越えて添加すると耐食性向上効果が飽和するばかりではなく、靭性が低下する傾向が明らかとなっており、その添加量を0.0005〜0.05%以下に限定する。
【0027】
REM:さらに、本発明では、希土類元素(REM)を適宜添加してもその耐食性を損なわずに、母材の耐焼き割れ性を改善することが可能である。その添加量は、0.001%以上を必要とするが、多量の添加は靭性などの阻害するので、その上限を0.1%とする。
【0028】
なお、本発明鋼を製造するに際して、造塊分塊法あるいは連続鋳造法およびその他の方法で鋼塊として製造した後に、熱間圧延あるいは熱間鍛造によって鋼板もしくは、丸棒として製造される。その後、所定のマルテンサイト組織分率を得るために、焼入れ処理が施される。
【0029】
焼入れ処理は、950℃以上、1200℃以下の温度で実施される。この条件は、組成に依存する変態点にもよるが、加熱時の必要なオーステナイト量(温度条件によっては、オーステナイト単相あるいは、オーステナイト(90%以上)およびフェラト相の混合組織)を得るためには、950℃が必要であり、1200℃を超えると、組織が粗大すると同時に、δフェライトが生成し、焼入れ強度が低下するために、上限値を1200℃未満とする。さらに焼入れに際し、保持時間は、素材内部の均一化から30分以上必要とするが、120分を超えると、組織の粗大化が起こるために、保持時間は、30分以上、120以下とする。なお、焼入れ時の冷却に際しては、焼入れ開始温度として、850℃以上の温度から、150℃の温度まで、平均1℃/sec以上の冷却速度で冷却することが必要である。これは、焼入れ開始温度が、850℃未満となると、焼入れ不足となり、適切な硬化組織を得ることがでず、また、150℃までの平均冷却速度が1℃/sec未満となると、やはり、焼入れ不足となる懸念がある。
【0030】
このようにして得られた鋼は、90%以上のマルテンサイト組織を有している。本成分範囲において、マルテンサイト分率が90%以上であると、引張試験780MPa級の強度が実現できるが、マルテンサイト分率が90%未満となると強度が低くなり、高力ボルト・ナットとしての所定の特性を満足できない。
なお、焼入れ処理は、丸棒に圧延あるいは鍛造、場合によっては、鋼板として圧延後、ボルト成形・ネジ転造、あるいは、機械加工によりボルトあるいは、ナット形状に加工された後に実施される。
以下、本発明の実施例を示す。
【実施例】
【0031】
表1に示す成分系の鋼を溶製後、板厚30mmの鋼板および直径25mmの丸棒に熱間圧延し、それを素材として、直径20mmのボルト加工を行い、焼入れ処理(水焼入れを主とし、一部、油焼入れ)を実施した。なお、焼入れ時およびボルト加工時の状況を観察し、割れなどの不具合を記録した。その時の製造法の詳細を表2に示す。母材の引張強度は、ボルト加工後のJIS B 1186 に準拠した引張試験により評価した。また、マルテンサイト分率は、光学顕微鏡にてx500倍で20視野を観察し、面積率から求めた。耐食性評価は、ボルト加工後、無機Znを60%含有するプライマで塗装後、海岸から100mの距離にある曝露場にて、約1.5年間曝露した時の表面の錆発生面積率(発錆した面積/評価対象面積)で評価した。
表2にその試験の結果を合わせて示す。
【0032】
【表1】

【0033】
【表2】

【0034】
A鋼〜K鋼は、すべて本発明範囲のものであり、L鋼〜V鋼は本発明範囲を逸脱した成分系を有するものである。
すなわち、A鋼からK鋼の組成を有するもので、かつ、熱処理条件が本発明範囲内にあるもの(番号:1,2,3,4,5,6,8、9,11,12、14)は、製造時の不具合もなく、引張強度も825〜1324MPaの範囲にあり、また、耐食性もすべて良好な値を示している。
【0035】
それに対し、成分系が本発明範囲であっても焼入れ温度が本発明範囲を逸脱した番号7、10、13および15については、いずれも本発明範囲を満足していない例である。すなわち、番号7は、焼入れ開始温度が820℃であり、本発明範囲を下回っており、番号10は、焼入れ温度が、1250℃と本発明範囲の上限を超えている例である。また、番号13は、冷却速度が、0.5℃/secであり、本発明範囲を下回っており、番号15は、焼入れ温度が本発明範囲の下限を下回っている。従って、いずれもマルテンサイト分率が90%を下回っており、引張強度が目的とする780MPaより低い。
【0036】
一方、L鋼〜V鋼はすべて本発明の成分範囲を逸脱している比較鋼である。
すなわち、番号16(L鋼)はCが本発明範囲の下限を逸脱しているため、引張強度が低い。
番号17(M鋼)はMnが過剰に添加されたため引張強度が1400MPaを超え、かつ加工時の割れが発生する不具合を生じる。
番号18(N鋼)は、Pが過剰に含有されているため、やはり、加工時の割れが発生している。
番号19(O鋼)は、Sが過剰に含有されたもので、耐食性の低下が認められる。
番号20(P鋼)および番号21(Q鋼)は、耐食性に重要なCrおよびAlが本発明下限値を下回って添加されたもので、いずれも耐食性が低下している。
番号22(R鋼)は、Alが過剰に添加されたもので、マルテンサイト分率が55%と低く、引張強度が所定の強度を満足しない。
番号23(S鋼)は、Nが過剰に添加された例であり、引張強度が1400MPaを超えて高い。
番号24(T鋼)は、Mnが本明範囲下限値を下回った例であり、マルテンサイト分率が60%と低く、引張強度が低下している。
番号25(U鋼)は、Crが本発明の上限を上回ったものである。この場合、引張強度が1400MPaを越えている。
番号26(V鋼)は、Cが本発明の上限を上回っており、やはり引張強度が1400MPaを超えて高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量%で、
C :0.01〜0.25%
Si :0.01〜1.0%
Mn :0.1〜3%未満
P :0.03%以下
S :0.01%以下
Cr :3〜7%
Al :0.2〜2%
N :0.02%以下
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、その金属組織が90%以上のマルテンサイトであることを特徴とする海岸地区における塗装時の耐食性に優れた高強度鋼。
【請求項2】
質量%で、
Cu :0.1〜2%
Ni :0.1〜2%
Mo :0.005〜1%
V :0.005〜0.1%
Nb :0.005〜0.050%
Ti :0.005〜0.03%
Ca :0.0005〜0.05%
Mg :0.0005〜0.05%
REM :0.001〜0.1%
の1種または2種以上を更に含有することを特徴とする請求項1記載の海岸地区における塗装時の耐食性に優れた高強度鋼。
【請求項3】
質量%で、
C :0.01〜0.25%
Si :0.01〜1.0%
Mn :0.1〜3%未満
P :0.03%以下
S :0.01%以下
Cr :3〜7%
Al :0.2〜2%
N :0.02%以下
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼を表面温度で950℃以上1200℃以下に加熱後、少なくとも30分以上、120分以下で保持し、その後、850℃以上の温度から、150℃の温度まで、平均1℃/sec以上の冷却速度で焼入れることを特徴とする海岸地区における塗装時の耐食性に優れた高強度鋼の製造法。
【請求項4】
鋼の組成中に、質量%で、
Cu :0.1〜2%
Ni :0.1〜2%
Mo :0.005〜1%
V :0.005〜0.1%
Nb :0.005〜0.050%
Ti :0.005〜0.03%
Ca :0.0005〜0.05%
Mg :0.0005〜0.05%
REM :0.001〜0.1%
の1種または2種以上を更に含有させたことを特徴とする請求項3記載の海岸地区における塗装時の耐食性に優れた高強度鋼の製造法。

【公開番号】特開2010−65301(P2010−65301A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−234445(P2008−234445)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】