説明

海底ケーブル

【課題】導体断面積の異なるケーブルを良好に接続して、海底ケーブルのコストダウンを図る。
【解決手段】中心導体10a、20aの導体断面積が異なる電力ケーブル10、20同士を繋ぐ場合であって、互いに素線径が異なる複数の導体素線1、2を同じ層数で同心撚りしてなる中心導体同士を接続する際、一方の中心導体10aを構成する導体素線1と、他方の中心導体20aを構成する導体素線2とを、同心撚りの層毎に溶接にて接続することを繰り返して、全ての導体素線を溶接したケーブル接続部101を形成して、電力ケーブル10と電力ケーブル20とをフレキシブルジョイントであるケーブル接続部101を介して良好に接続した海底ケーブル100を製造した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力用の海底ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
海底に敷設されるケーブルは、長尺であるため、接続された複数の電力ケーブルで構成されている。多くの場合、電力ケーブルは予め工場で接続された状態で海底ケーブル敷設船に乗せられ、船から施設ルートに沿って海に繰出されて敷設される。海底ケーブルを構成する電力ケーブルの中心導体は、いわゆるフレキシブルジョイントと称される方法で接続されている。
ところで、電力ケーブルの中心導体のサイズ(導体断面積)は、送電電流に対して導体温度が許容温度(例えば、架橋ポリエチレン絶縁電力ケーブルでは90℃)を超えないように設計されており、電力ケーブルが敷設される周囲の環境や熱的条件に応じて、その敷設箇所に適した導体サイズの電力ケーブルが選択されるようになっている。
海底ケーブルには、海底に敷設される部分と、陸側の渚や及び揚陸部に敷設される部分とがあり(図1参照)、これらの中で熱的な条件が厳しいのは渚及び揚陸部なので、この箇所で問題が生じないように中心導体の導体断面積が決められ、海底ケーブル全体が同じ導体断面積で製造されている。
【0003】
前記したフレキシブルジョイントとしては、特許文献1に記載された技術がある。この特許文献1には、電力ケーブル同士を繋いで長尺な電力ケーブルを製造する際に、電力ケーブルの互いの中心導体をVカット溶接によって接続する技術が記載されている。また、電力ケーブルの中心導体である分割導体をセグメント毎にVカット溶接して接続する技術も知られている(例えば、特許文献2、特許文献3参照。)。
このように電力ケーブルの中心導体同士を溶接によって接続したケーブル接続部は柔軟性を有しており、フレキシブルジョイントと称される。フレキシブルジョイントは、同一構造のケーブル同士の接続用いられている。同径(同断面積)の中心導体を溶接工法にて接続した後、その中心導体部分はケーブル絶縁体と同種の樹脂からなるモールド絶縁体で被覆される。
なお、導体断面積の異なる中心導体同士の接続には溶接工法は採用されておらず、通常、異径導体接続用スリーブを用いて圧縮接続される。異径導体接続用スリーブが用いられたケーブル接続部は、フレキシブル性に乏しいものとなる。
【0004】
海底ケーブルのケーブル接続部に、フレキシブルジョイントが適用されているのは、海底ケーブルを海底に敷設する際の作業性を良好にするため、海底ケーブルにフレキシブル性(柔軟性)が要求されていることによる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−214523号公報
【特許文献2】特開平10−162883号公報
【特許文献3】特許第3305614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の海底ケーブルは、前述のように、海中の海底部よりも敷設環境の熱的条件が厳しい渚部及び揚陸部にあわせて、その全長に亘って中心導体の導体断面積が大きい構造の電力ケーブルで構成している。このため、海底ケーブルは高コストの製品になっている。
【0007】
本発明の目的は、海底ケーブルのコストダウンを図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するため、本発明の態様は、海底ケーブルであって、
複数の導体素線で構成されて導体断面積が異なる中心導体を有するケーブル同士を、前記中心導体を溶接して接続したことを特徴としている。
【0009】
このような海底ケーブルであれば、敷設環境の熱的条件に応じて選択した適切な導体断面積を有するケーブルを接続することで、コストダウンを図ることができる。
【0010】
また、ケーブルを3本以上繋いでなる海底ケーブルは、端部側のケーブルよりも中央側のケーブルほど、中心導体の導体断面積が小さいケーブルが用いられていることが好ましい。
【0011】
このような海底ケーブルであれば、敷設環境の熱的条件が緩い海底部側に中心導体の導体断面積が小さい電力ケーブルを敷設することができる。そして、敷設環境の熱的条件に応じた導体断面積を有するようにケーブルが接続されてなる海底ケーブルであれば、従来の海底ケーブルのように、全長に亘って中心導体の導体断面積が大きい構造のものに比べてコストダウンを図ることができる。
【0012】
また、その海底ケーブルの中心導体を接続する場合、中心導体を構成する複数の導体素線を幾つかに分けて溶接することが好ましい。
【0013】
中心導体の導体断面積が異なるケーブル同士を繋ぐ際に、中心導体を構成する複数の導体素線を幾つかのグループに分けて溶接することを繰り返して、小さな溶接箇所を複数形成するようにすれば、中心導体の寸法差を分散することができるので、断面積が異なる中心導体同士を無理なく溶接接続することができ、その接続部分をフレキシブルジョイントとする海底ケーブルを製造することができる。
これに対し、例えば、中心導体同士を一括して溶接して大きな溶接箇所を形成した場合は、中心導体同士の寸法差で溶接が難しいうえ、そのケーブル接続部の剛性が増してしまい、ケーブルのフレキシブル性が低下してしまう恐れがある。そして、ケーブルに(機械的)応力が加わった際に、その一箇所の溶接部分に応力が集中してしまうことで、そのケーブル接続部が破断してしまう恐れがある。特に、中心導体の導体断面積に差のある中心導体同士を一括で接続した溶接部分に負荷が加わると、その溶接箇所に歪が生じやすく、破断しやすい傾向がある。
つまり、本発明のように、中心導体を構成する最小単位である導体素線をグループ分けして、複数の小さな溶接箇所に分けて中心導体同士を溶接して接続することによれば、その接続部分をフレキシブルジョイントとすることができるので、導体断面積が異なるケーブル同士を良好に接続してフレキシブル性を有する海底ケーブルを得ることができる。
【0014】
また、本発明の第1の態様において、接続された両ケーブルは、互いに素線径が異なる導体素線を同じ層数で同心撚りしてなる中心導体を有しており、前記中心導体同士で対応する層毎に前記導体素線を同心円状に溶接したことを特徴としている。
【0015】
中心導体の導体断面積が異なるケーブル同士を繋ぐ場合であって、互いに素線径が異なる複数の導体素線を同じ層数で同心撚りしてなる中心導体同士を接続する際、一方の中心導体を構成する導体素線と、他方の中心導体を構成する導体素線とを、同心撚りの層毎(グループ毎)に溶接接続することを繰り返して、導体素線の溶接を行うことで、その中心導体を溶接工法によって接続してなる海底ケーブルを得ることができる。そして、導体断面積の異なるケーブルをフレキシブルに接続した海底ケーブルを得ることができる。
【0016】
その第1の態様では、前記中心導体同士の層毎に前記導体素線を溶接した溶接部は、当該ケーブルの長手方向に互いにずれた配置をとることが好ましい。
【0017】
複数の溶接部の配置をケーブルの長手方向に互いにずらして分散させるようにすれば、通電時に溶接部で発生した熱を部分的に集中させずに放熱することができる。
また、複数の溶接部が部分的に集中してしまうことで剛性が増加してしまうことを防ぎ、ケーブルのフレキシブル性をより向上させることができる。
【0018】
また、本発明の第2の態様において、接続された両ケーブルは、素線径が同じ導体素線を互いに異なる層数で同心撚りしてなる中心導体を有しており、前記中心導体同士で対応する層毎に前記導体素線を同心円状に溶接し、層数が多い中心導体で余った外層側の導体素線を、層数の少ない中心導体の外周面に溶接したことを特徴としている。
【0019】
中心導体の導体断面積が異なるケーブル同士を繋ぐ場合であって、素線径が同じ複数の導体素線を互いに異なる層数で同心撚りしてなる中心導体同士を接続する際、一方の中心導体を構成する導体素線と、他方の中心導体を構成する導体素線とを、同心撚りの層毎(グループ毎)に溶接にて接続することを繰り返した後、層数が多い中心導体側で余った外層側の導体素線を層数が少ない中心導体の外周面に溶接するようにすれば、全ての導体素線を溶接工法によって接続してなる海底ケーブルを得ることができる。そして、導体断面積の異なるケーブルをフレキシブルに接続した海底ケーブルを得ることができる。
【0020】
その第2の態様では、前記中心導体同士の層毎に前記導体素線を溶接した溶接部は、当該ケーブルの長手方向に互いにずれた配置をとることが好ましい。
【0021】
複数の溶接部の配置をケーブルの長手方向に互いにずらして分散させるようにすれば、通電時に溶接部で発生した熱を部分的に集中させずに放熱することができる。
また、複数の溶接部が部分的に集中してしまうことで剛性が増加してしまうことを防ぎ、ケーブルのフレキシブル性、柔軟性をより向上させることができる。
【0022】
また、本発明の第3の態様において、接続された両ケーブルは、それぞれ同数のセグメントに分割された中心導体を有しており、前記中心導体は、対応する前記セグメント毎に溶接されていることを特徴としている。
【0023】
中心導体の導体断面積が異なるケーブル同士を繋ぐ場合であって、互いに断面積が異なる同数のセグメントを有する中心導体同士を接続する際、一方の中心導体を構成するセグメントと、他方の中心導体を構成するセグメントとを、それぞれ溶接にて接続して、セグメント毎(グループ毎)に全てのセグメントの溶接を行うことで、その中心導体を溶接工法によって接続してなる海底ケーブルを得ることができる。そして、導体断面積の異なるケーブルをフレキシブルジョイントで良好に接続した海底ケーブルを得ることができる。
【0024】
その第3の態様では、前記セグメント毎に溶接した溶接部は、当該ケーブルの長手方向に互いにずれた配置をとることが好ましい。
【0025】
複数の溶接部の配置をケーブルの長手方向に互いにずらして分散させるようにすれば、通電時に溶接部で発生した熱を部分的に集中させずに放熱することができる。
また、複数の溶接部が部分的に集中してしまうことで剛性が増加してしまうことを防ぎ、ケーブルのフレキシブル性をより向上させることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、敷設環境の熱的条件に応じて適切な導体断面積を有するケーブルを選択して接続することにより、従来の海底ケーブルに比べてコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】海底ケーブルを敷設した状態を示す説明図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る海底ケーブルのケーブル接続部を一部断面視して示す側面図(a)と、その海底ケーブルのケーブル接続部における溶接部に関する説明図(b)である。
【図3】比較例として、中心導体を一括して溶接したケーブル接続部を一部断面視して示す側面図である。
【図4】実施形態1の変形例1における海底ケーブルのケーブル接続部を一部断面視して示す側面図(a)と、その海底ケーブルのケーブル接続部における溶接部に関する説明図(b)である。
【図5】実施形態1の変形例2における海底ケーブルのケーブル接続部を一部断面視して示す側面図(a)と、その海底ケーブルのケーブル接続部における溶接部に関する説明図(b)である。
【図6】実施形態1の変形例3における海底ケーブルのケーブル接続部を一部断面視して示す側面図(a)と、その海底ケーブルのケーブル接続部における溶接部に関する説明図(b)である。
【図7】本発明の実施形態2に係る海底ケーブルのケーブル接続部を一部断面視して示す側面図(a)と、その海底ケーブルのケーブル接続部における溶接部に関する説明図(b)である。
【図8】比較例として、中心導体を一括して溶接したケーブル接続部を一部断面視して示す側面図である。
【図9】実施形態2の変形例1における海底ケーブルのケーブル接続部を一部断面視して示す側面図(a)と、その海底ケーブルのケーブル接続部における溶接部に関する説明図(b)である。
【図10】実施形態2の変形例2における海底ケーブルのケーブル接続部を一部断面視して示す側面図(a)と、その海底ケーブルのケーブル接続部における溶接部に関する説明図(b)である。
【図11】本発明の実施形態3に係る海底ケーブルのケーブル接続部を示す側面図である。
【図12】本発明の実施形態3に係る海底ケーブルのケーブル接続部の溶接部に関する説明図である。
【図13】比較例として、中心導体を一括して溶接したケーブル接続部を示す側面図である。
【図14】実施形態3の変形例1における海底ケーブルのケーブル接続部を示す側面図である。
【図15】実施形態3の変形例1における海底ケーブルのケーブル接続部の溶接部に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明を実施するための好ましい形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0029】
図1は、本発明にかかる海底ケーブルの一例を示す説明図である。
この海底ケーブルは、導体断面積の異なる電力ケーブルを接続してなるもので、端部側のケーブルよりも中央側のケーブルほど、前記中心導体の導体断面積が小さいケーブルが用いられている。
具体的には、図1の海底ケーブルCは、例えば、電力ケーブル30(導体断面積400mm)と、電力ケーブル10(導体断面積600mm)と、電力ケーブル20(導体断面積800mm)とを繋いでなる海底ケーブルである。この海底ケーブルCでは、渚部および揚陸部に布設される端部側には中心導体の導体断面積が一番大きい電力ケーブル20が配置され、海底部の中央側に向かって中心導体の導体断面積が二番目に大きい電力ケーブル10、一番小さい電力ケーブル30が順次配置されている。
すなわち、中心導体が比較的細い電力ケーブル30が海底部側に、中心導体が比較的太い電力ケーブル20が渚部側及び揚陸部側に、これらの間に中心導体が中間の太さの電力ケーブル10が敷設されるように海底ケーブルCが構成されている。
このように、端部側から中央側に向かって順次中心導体の導体断面積が小さい電力ケーブルを接続して構成した海底ケーブルCであれば、敷設環境の熱的条件が緩い海底部側に中心導体の導体断面積が小さい電力ケーブルを敷設することができる。
そして、敷設環境の熱的条件に応じた導体断面積を有する電力ケーブルが接続されてなる海底ケーブルCであれば、全長に亘って中心導体の導体断面積が同一の海底ケーブルに比べてコストダウンを図ることができる。
すなわち、導体断面積を小さくして材料費、製造コストの面からコストダウンを図ることができるうえに、軽量化により輸送費や布設コストのコストダウンを図ることもできる。
【0030】
次に、中心導体の導体断面積が異なる電力ケーブルを接続してなる海底ケーブルの構成について、具体的に説明する。
【0031】
(実施形態1)
図2(a)は、海底ケーブル100のケーブル接続部101を一部断面視して示す側面図である。図2(b)は、その海底ケーブル100のケーブル接続部101における溶接部に関する説明図である。
【0032】
海底ケーブル100は、図2(a)(b)に示すように、海底ケーブル100における海底部側に相当する一方の電力ケーブル10と、海底ケーブル100における渚部および揚陸部側に相当する他方の電力ケーブル20とが繋がれたものである。
【0033】
電力ケーブル10は、図2(a)(b)に示すように、複数の導体素線1…で構成された中心導体10aと、その中心導体10aを被覆するケーブル絶縁体10bとを有している。
具体的に、電力ケーブル10は、中心素線11と、第1導体素線層12と、第2導体素線層13と、第3導体素線層14と、第4導体素線層15と、第5導体素線層16とからなる中心導体10aを備えている。その中心導体10aは、中心素線11となる導体素線1を芯にして、その外側に複数の導体素線1を同心撚りしてなる5層の導体素線層を設けた構造を成している。
より具体的に、電力ケーブル10の中心導体10aは、素線径が2.93mmの導体素線1を91本同心撚りして、中心素線と5層の導体素線層を形成してなる導体断面積が600mmの円形圧縮導体である。なお、中心導体10aの外径は約29.5mmである。
【0034】
電力ケーブル20は、図2(a)(b)に示すように、複数の導体素線2…で構成された中心導体20aと、その中心導体20aを被覆するケーブル絶縁体20bとを有している。
具体的に、電力ケーブル20は、中心素線21と、第1導体素線層22と、第2導体素線層23と、第3導体素線層24と、第4導体素線層25と、第5導体素線層26とからなる中心導体20aを備えている。その中心導体20aは、中心素線21となる導体素線2を芯にして、その外側に複数の導体素線2を同心撚りしてなる5層の導体素線層を設けた構造を成している。
より具体的に、電力ケーブル20の中心導体20aは、素線径が3.5mmの導体素線2を61本同心撚りして、中心素線21と4層の導体素線層22,23,24,25を形成し、さらに、素線径が3.4mmの導体素線2を30本、4層目の外側に同心撚りして5層目の導体素線層26を形成してなる導体断面積が800mmの円形圧縮導体である。なお、中心導体20aの外径は約34.8mmである。
【0035】
このように、電力ケーブル10と電力ケーブル20は、互いに素線径が異なる複数の導体素線を同じ層数で同心撚りして、中心素線と5層の導体素線層からなる中心導体10a、20aをそれぞれ有する電力ケーブルである。そして、中心導体10aと中心導体20aの外径差は約5.3mmであり、7mm以下の外径差に設計されている。
なお、電力ケーブル10と電力ケーブル20のケーブル絶縁体10b、20bの厚さはどちらも12mmであり、電力ケーブル10と電力ケーブル20は、例えば、鉄線鎧装付の鉛被ケーブルである。
【0036】
次に、電力ケーブル10と電力ケーブル20を繋ぐ接続方法について説明する。
【0037】
まず、ケーブル接続部101となる電力ケーブル10の中心導体10aにおいて、図2(a)に示すように、中心素線11の導体素線1が最も長く突き出し、その外層側の導体素線層ほど、各層の導体素線1が順次短くなるように、導体素線1をカットする。なお、導体素線1の先端は斜めにカットしており、特に、各導体素線層(12〜16)の導体素線1は、中心導体10aの外周側に傾斜面を向けるように、傾斜をつけてカットしている。
また、ケーブル接続部101となる電力ケーブル20の中心導体20aにおいて、図2(a)に示すように、中心素線21の導体素線2が最も短く、その外層側の導体素線層ほど、各層の導体素線2が順次長く突き出すように、導体素線2をカットする。なお、導体素線2の先端は斜めにカットしており、特に、各導体素線層(22〜26)の導体素線2は、中心導体20aの外周側に傾斜面を向けるように、傾斜をつけてカットしている。
【0038】
そして、電力ケーブル20の中心導体20aにおける中心素線21以外の各導体素線層(22〜26)の導体素線2を外側に開き起こした状態で、中心導体20aの中心素線21と電力ケーブル10の中心導体10aの中心素線11とを突き合わせて、中心素線21(導体素線2)と中心素線11(導体素線1)とをVカット溶接にて接続する。なお、この中心素線21と中心素線11とを溶接した箇所に、中心溶接部71を形成している。
その後、中心導体20aの各導体素線層(22〜26)の導体素線2を順に撚り戻して、第1導体素線層12と第1導体素線層22、第2導体素線層13と第2導体素線層23、第3導体素線層14と第3導体素線層24、第4導体素線層15と第4導体素線層25、第5導体素線層16と第5導体素線層26、の層毎に導体素線1と導体素線2をVカット溶接にて接続する。
ここで、電力ケーブル10の中心導体10aの各導体素線層(12〜16)の導体素線1と、電力ケーブル20の中心導体20aの各導体素線層(22〜26)の導体素線2とが突き合わさった位置は、各層毎に中心素線を軸心にする同心円の円周上に対応している。これら各層毎に導体素線1と導体素線2を溶接した箇所には、同心円状の溶接部が形成されており、1層目から5層目の順にリング状溶接部72〜76となっている。
なお、図2(a)(b)に示すように、中心導体10a、20a同士の層毎に導体素線1、2を溶接して形成したリング状溶接部72〜76は、当該ケーブルの長手方向に互いにずれた配置をとっており、外層側のリング状溶接部76、75、74、73、72ほど電力ケーブル10寄りの配置になっている。
【0039】
そして、中心導体10aと中心導体20aとを溶接にて接続した部分をモールド絶縁体で被覆することによって、ケーブル接続部101を形成する。
こうして中心導体10a、20aの導体断面積が異なる電力ケーブル10と電力ケーブル20を、ケーブル接続部101を介して接続した海底ケーブル100を製造することができる。
【0040】
以上のように、中心導体10a、20aの導体断面積が異なる電力ケーブル10と電力ケーブル20を繋ぐ場合に、中心導体10aを構成する最小単位である導体素線1と、中心導体20aを構成する最小単位である導体素線2とを、同心撚りの層毎の複数グループに分けて溶接にて接続する手法をとることで、小さな溶接箇所を複数形成するようにして、中心導体10aと中心導体20aを溶接工法によって無理なく接続することができる。そして、その中心導体同士の接続部分(ケーブル接続部101)に中心導体10aと中心導体20aを溶接工法にて接続したことによる柔軟性を付与して、フレキシブルジョイントとして機能させることができる。
このような手法によって電力ケーブル10と電力ケーブル20を繋ぐ理由は、中心導体同士(中心導体10aと中心導体20a)の外径差が約5.3mmであることに対し、導体素線同士(導体素線1と導体素線2)の素線径差は0.47〜0.57mmと約10分の1であるように、中心導体同士よりも導体素線同士の方が寸法差が小さいことによる。つまり、その寸法差がより小さい導体素線同士であれば、ほぼ同径の導体素線同士とみなして溶接工法を採用して良好に接続することができるのである。
なお、中心導体10aと中心導体20aの外径の差が7mm以下であれば、より良好にフレキシブルジョイントとして機能する。
【0041】
特に、海底ケーブル100のケーブル接続部101において、複数の導体素線(1、2)を同じ層数で同心撚りしてなる中心導体同士(中心導体10aと中心導体20a)で、それぞれ対応する層毎に溶接接続したリング状溶接部72〜76を、海底ケーブル100の長手方向に互いにずれた配置にすることによって、各リング状溶接部72〜76をケーブルの長手方向に分散させている。
このように、中心溶接部71とリング状溶接部72〜76とを、ケーブルの長手方向に分散させることによれば、通電時に溶接部で発生した熱を部分的に集中させずに放熱することができるメリットが期待できる。
【0042】
また、海底ケーブル100のケーブル接続部101のように、中心溶接部71とリング状溶接部72〜76とを、ケーブルの長手方向に分散させることによれば、溶接部の部分的集中に起因する剛性増加を低減できるので、ケーブル接続部101のフレキシブル性をより向上させるメリットが期待できる。
また、中心導体10aと中心導体20aを、ケーブルの長手方向に分散している複数の溶接部(中心溶接部71とリング状溶接部72〜76)で接続しているので、ケーブルに応力が加わった際に、一箇所の溶接部に応力が集中するのを防止でき、ケーブル接続部101が破断する危険を低減するメリットが期待できる。
例えば、肉厚になりがちな溶接部が、ケーブルの軸方向に交差する一の面で同心円状に重なるなどして、溶接部が一箇所に集まってしまうと、その部分での剛性が増してしまい、ケーブル接続部101のフレキシブル性が低下してしまう恐れがあるので、複数の溶接部の配置が分散していることが好ましいのである。
【0043】
これに対し、図3に示すように、中心導体10a、20aの導体断面積が異なる電力ケーブル10と電力ケーブル20を繋ぐ際に、中心導体10aと中心導体20aとを一括してVカット溶接して溶接部70を形成した場合、その接続に溶接工法をとってはいるものの、中心導体サイズの大きな溶接部70では剛性が増してしまい、フレキシブル性が低下してしまう恐れがある。そして、ケーブルに応力が加わった際に、その一箇所の溶接部70に応力が集中してしまうことで、そのケーブル接続部107が破断してしまう恐れがある。
特に、中心導体10aと中心導体20aのように外径に差のある中心導体同士を一括で接続した溶接部70に負荷が加わると、その溶接部70に歪が生じやすく、破断しやすい傾向がある。
なお、従来、導体断面積が異なる中心導体同士を一括してVカット溶接してなるフレキシブルジョイントは例を見ず、通常、導体断面積の異なる中心導体同士の接続には、異径導体接続用スリーブを用いて圧縮接続する手法がとられている。
【0044】
ゆえに、本発明に係る海底ケーブル100は中心導体の導体断面積の異なる電力ケーブル10と電力ケーブル20とを良好に接続した画期的な海底ケーブルであり、導体断面積の異なる電力ケーブル同士を繋いでなるフレキシブルジョイントを有する海底ケーブル100として使用することができる。
この海底ケーブル100は、全体として、中心導体の導体断面積の異なる電力ケーブルを3本以上接続した構造であってもよい。例えば、電力ケーブル10の両端にそれぞれ電力ケーブル20を接続し、端部側よりも中央側の方に、中心導体の導体断面積が小さいケーブルを用いる。すなわち、一端部側から中央側に向かって中心導体の導体断面積が小さくなり、中央側から他端部側に向かって中心導体の導体断面積が大きくなる海底ケーブル100である。
そして、この海底ケーブル100における中心導体が細い電力ケーブル10は海底部側に、中心導体が太い電力ケーブル20は渚部側及び揚陸部側に敷設する。このように、敷設環境の熱的条件に応じた導体断面積を有するように電力ケーブルが接続されてなる海底ケーブル100であれば、従来の海底ケーブルのように、その全長に亘って中心導体の導体断面積が大きい構造のものに比べてコストダウンを図ることができる。
【0045】
(変形例1)
なお、本実施形態1は上記実施形態に限られるものではない。
例えば、図4(a)(b)に示すように、電力ケーブル10と電力ケーブル20を繋ぐケーブル接続部102を有する海底ケーブル100であってもよい。
図4(a)は、海底ケーブル100のケーブル接続部102を一部断面視して示す側面図である。図4(b)は、その海底ケーブル100のケーブル接続部102における溶接部に関する説明図である。
以下に、海底ケーブル100のケーブル接続部102を形成する接続方法について説明する。
【0046】
まず、ケーブル接続部102となる電力ケーブル10の中心導体10aにおいて、図4(a)に示すように、第2導体素線層13、第4導体素線層15、中心素線11、第5導体素線層16、第1導体素線層12、第3導体素線層14の順に、導体素線1が長く突き出すように、導体素線1をカットする。なお、導体素線1の先端は斜めにカットしており、特に、各導体素線層(12〜16)の導体素線1は、中心導体10aの外周側に傾斜面を向けるように、傾斜をつけてカットしている。
また、ケーブル接続部102となる電力ケーブル20の中心導体20aにおいて、図4(a)に示すように、第3導体素線層24、第1導体素線層22、第5導体素線層26、中心素線21、第4導体素線層25、第2導体素線層23の順に、導体素線2が長く突き出すように、導体素線2をカットする。なお、導体素線2の先端は斜めにカットしており、特に、各導体素線層(22〜26)の導体素線2は、中心導体20aの外周側に傾斜面を向けるように、傾斜をつけてカットしている。
【0047】
そして、電力ケーブル10の中心導体10aにおける中心素線11以外の各導体素線層(12〜16)の導体素線1を外側に開き起こし、また、電力ケーブル20の中心導体20aにおける中心素線21以外の各導体素線層(22〜26)の導体素線2を外側に開き起こした状態で、電力ケーブル10の中心導体10aの中心素線11と、電力ケーブル20の中心導体20aの中心素線21とを突き合わせて、中心素線11(導体素線1)と中心素線21(導体素線2)とをVカット溶接にて接続する。なお、この中心素線11と中心素線21とを溶接した箇所に、中心溶接部71を形成している。
その後、電力ケーブル10の各導体素線層(12〜16)の導体素線1と、電力ケーブル20の各導体素線層(22〜26)の導体素線2とを順に撚り戻して、第1導体素線層12と第1導体素線層22、第2導体素線層13と第2導体素線層23、第3導体素線層14と第3導体素線層24、第4導体素線層15と第4導体素線層25、第5導体素線層16と第5導体素線層26、の層毎に導体素線1と導体素線2をVカット溶接にて接続する。
【0048】
そして、各層毎に導体素線1と導体素線2を溶接した箇所は、同心円状の溶接部を形成しており、1層目から5層目の順にリング状溶接部72〜76となっている。
なお、図4(a)(b)に示すように、中心導体10a、20a同士の層毎に導体素線1、2を溶接して形成したリング状溶接部72〜76は、当該ケーブルの長手方向に互いにずれた配置をとっており、電力ケーブル10側から電力ケーブル20側に向かう順に、リング状溶接部74、リング状溶接部72、リング状溶接部76、中心溶接部71、リング状溶接部75、リング状溶接部73の配置になっている。
【0049】
そして、中心導体10aと中心導体20aとを溶接にて接続した部分をモールド絶縁体で被覆することによって、ケーブル接続部102を形成する。
こうして中心導体10a、20aの導体断面積が異なる電力ケーブル10と電力ケーブル20を、ケーブル接続部102を介して接続した海底ケーブル100を製造することができる。
【0050】
このようなケーブル接続部102を有する海底ケーブル100も、中心導体の導体断面積が異なる電力ケーブル10と電力ケーブル20とを良好に接続した海底ケーブルであり、導体断面積が異なる電力ケーブル同士を繋いでなるフレキシブルジョイントを有する海底ケーブル100として使用することができる。
特に、前述したケーブル接続部101における中心溶接部71及びリング状溶接部72〜76の配置が、ケーブルの長手方向に導体素線層の層順に配列された配置であることに対し、このケーブル接続部102では、中心溶接部71を挟んでリング状溶接部72〜76が電力ケーブル10側に寄ったり、電力ケーブル20側に寄ったりする千鳥状の配列になっている。
こうして中心溶接部71及びリング状溶接部72〜76の配置を千鳥状に配列することによれば、ケーブル接続部101よりも比較的コンパクトな範囲内に全ての溶接部を納めることができるので、そのケーブル接続部102を小さくしてモールド絶縁体で被覆しやすくなるメリットが期待できる。
【0051】
(変形例2)
なお、本実施形態1は上記実施形態に限られるものではない。
例えば、図5(a)(b)に示すように、電力ケーブル10と電力ケーブル20を繋ぐケーブル接続部103を有する海底ケーブル100であってもよい。
図5(a)は、海底ケーブル100のケーブル接続部103を一部断面視して示す側面図である。図5(b)は、その海底ケーブル100のケーブル接続部103における溶接部に関する説明図である。
以下に、海底ケーブル100のケーブル接続部103を形成する接続方法について説明する。
【0052】
まず、ケーブル接続部103となる電力ケーブル10の中心導体10aにおいて、図5(a)に示すように、中心素線11と第1導体素線層12と第2導体素線層13を部分的に束ねた状態で導体素線1をカットする。また、第2導体素線層13よりも外層側の導体素線層を外周側の層ほど導体素線1が短くなるように、各層の導体素線1をカットする。なお、導体素線1の先端は斜めにカットしており、特に、各導体素線層(14〜16)の導体素線1は、中心導体10aの外周側に傾斜面を向けるように、傾斜をつけてカットしている。
また、ケーブル接続部103となる電力ケーブル20の中心導体20aにおいて、図5(a)に示すように、中心素線21と第1導体素線層22と第2導体素線層23を部分的に束ねた状態で導体素線2をカットする。また、第2導体素線層23よりも外層側の導体素線層を外周側の層ほど導体素線2が長くなるように、各層の導体素線2をカットする。なお、導体素線2の先端は斜めにカットしており、特に、各導体素線層(24〜26)の導体素線2は、中心導体20aの外周側に傾斜面を向けるように、傾斜をつけてカットしている。
【0053】
そして、電力ケーブル20の中心導体20aにおける中心素線21と第1導体素線層22と第2導体素線層23以外の各導体素線層(24〜26)の導体素線2を外側に開き起こした状態で、中心導体20aの中心素線21と第1導体素線層22と第2導体素線層23と、電力ケーブル10の中心導体10aの中心素線11と第1導体素線層12と第2導体素線層13とを突き合わせて、それらを部分的に束ねた状態で導体素線2と導体素線1とをVカット溶接にて接続する。なお、この溶接箇所に溶接部77を形成している。
その後、各導体素線層(24〜26)の導体素線2を順に撚り戻して、第3導体素線層14と第3導体素線層24、第4導体素線層15と第4導体素線層25、第5導体素線層16と第5導体素線層26、の層毎に導体素線1と導体素線2をVカット溶接にて接続する。
この第3導体素線層14と第3導体素線層24、第4導体素線層15と第4導体素線層25、第5導体素線層16と第5導体素線層26との各層毎に導体素線1と導体素線2を溶接した箇所に、同心円状の溶接部を形成しており、3層目から5層目の順にリング状溶接部74〜76を設けている。
【0054】
そして、中心導体10aと中心導体20aとを溶接にて接続した部分をモールド絶縁体で被覆することによって、ケーブル接続部103を形成する。
こうして中心導体10a、20aの導体断面積が異なる電力ケーブル10と電力ケーブル20を、ケーブル接続部103を介して接続した海底ケーブル100を製造することができる。
【0055】
このようなケーブル接続部103を有する海底ケーブル100も、中心導体の導体断面積が異なる電力ケーブル10と電力ケーブル20とを良好に接続した海底ケーブルであり、導体断面積が異なる電力ケーブル同士を繋いでなるフレキシブルジョイントを有する海底ケーブル100として使用することができる。
特に、幾つかの導体素線層(この変形例2では、第1導体素線層12、22、第2導体素線層13、23)を部分的に束ねて溶接することで、溶接回数を減らすことができ、ケーブル接続作業時間の短縮を図ることができる。
また、この変形例2では、中心側の導体素線層(第1・第2導体素線層12、13、22、23)を纏めて溶接する一方、外周側の導体素線層(第3導体素線層14、24、第4導体素線層15、25、第5導体素線層16、26)を層毎に溶接したので、ケーブル接続部103はフレキシブルなものとなる。
なお、この中心導体同士の接続部分(ケーブル接続部103)を、好適にフレキシブルジョイントとして機能させるために、導体素線層を部分的に束ねて溶接する層数は、2層分または3層分である。4層分以上の導体素線層を部分的に束ねて溶接すると、その溶接部の剛性が増してしまい、フレキシブル性が低下してしまう恐れがある。
【0056】
(変形例3)
なお、本実施形態1は上記実施形態に限られるものではない。
例えば、図6(a)(b)に示すように、電力ケーブル10と電力ケーブル20を繋ぐケーブル接続部104を有する海底ケーブル100であってもよい。
図6(a)は、海底ケーブル100のケーブル接続部104を一部断面視して示す側面図である。図6(b)は、その海底ケーブル100のケーブル接続部104における溶接部に関する説明図である。
以下に、海底ケーブル100のケーブル接続部104を形成する接続方法について説明する。
【0057】
まず、ケーブル接続部104となる電力ケーブル10の中心導体10aにおいて、図6(a)に示すように、中心素線11の導体素線1を最も長くカットする。
また、第1導体素線層12と第2導体素線層13を部分的に重ねた状態で導体素線1をカットし、さらに、第3導体素線層14と第4導体素線層15を部分的に重ねた状態で導体素線1をカットする。この際、第1導体素線層12と第2導体素線層13を、第3導体素線層14と第4導体素線層15よりも長くカットしている。
更に第5導体素線層16の導体素線1を最も短くカットする。
なお、導体素線1の先端は斜めにカットしており、特に、各導体素線層(12〜16)の導体素線1は、中心導体10aの外周側に傾斜面を向けるように、傾斜をつけてカットしている。
また、ケーブル接続部104となる電力ケーブル20の中心導体20aにおいて、図6(a)に示すように、中心素線21の導体素線2を最も短くカットする。
また、第1導体素線層22と第2導体素線層23を部分的に重ねた状態で導体素線2をカットし、さらに、第3導体素線層24と第4導体素線層25を部分的に重ねた状態で導体素線2をカットする。この際、第1導体素線層22と第2導体素線層23を、第3導体素線層24と第4導体素線層25よりも短くカットしている。
更に第5導体素線層26の導体素線2を最も長くカットする。
なお、導体素線2の先端は斜めにカットしており、特に、各導体素線層(22〜26)の導体素線2は、中心導体20aの外周側に傾斜面を向けるように、傾斜をつけてカットしている。
【0058】
そして、電力ケーブル20の中心導体20aにおける中心素線21以外の各導体素線層(22〜26)の導体素線2を外側に開き起こした状態で、中心導体20aの中心素線21と、電力ケーブル10の中心導体10aの中心素線11とを突き合わせて、中心素線21(導体素線2)と中心素線11(導体素線1)とをVカット溶接にて接続する。なお、この中心素線21と中心素線11とを溶接した箇所が、中心溶接部71である。
その後、中心導体20aの第1導体素線層22と第2導体素線層23の導体素線2を撚り戻して、これら第1導体素線層22と第2導体素線層23の導体素線2と、中心導体10aの第1導体素線層12と第2導体素線層13の導体素線1とをVカット溶接にて接続する。なお、この溶接箇所にリング状溶接部78を形成している。
また、中心導体20aの第3導体素線層24と第4導体素線層25の導体素線2を撚り戻して、これら第3導体素線層24と第4導体素線層25の導体素線2と、中心導体10aの第3導体素線層14と第4導体素線層15の導体素線1とをVカット溶接にて接続する。なお、この溶接箇所にリング状溶接部79を形成している
さらに、中心導体20aの第5導体素線層26の導体素線2を撚り戻して、この第5導体素線層26の導体素線2と、中心導体10aの第5導体素線層16の導体素線1とをVカット溶接にて接続する。この溶接箇所がリング状溶接部76である。
【0059】
そして、中心導体10aと中心導体20aとを溶接にて接続した部分をモールド絶縁体で被覆することによって、ケーブル接続部104を形成する。
こうして中心導体10a、20aの導体断面積が異なる電力ケーブル10と電力ケーブル20を、ケーブル接続部104を介して接続した海底ケーブル100を製造することができる。
【0060】
このようなケーブル接続部104を有する海底ケーブル100も、中心導体の導体断面積が異なる電力ケーブル10と電力ケーブル20とを良好に接続した海底ケーブルであり、導体断面積が異なる電力ケーブル同士を繋いでなるフレキシブルジョイントを有する海底ケーブル100として使用することができる。
特に、幾つかの導体素線層を部分的にまとめて溶接することで、溶接回数を減らすことができ、ケーブル接続作業時間の短縮を図ることができる。
また、この変形例3では、ケーブル接続部104のフレキシブル性を担保するために、最外周の第5導体素線層16、26を単層溶接した。
なお、この中心導体同士の接続部分(ケーブル接続部103)を、好適にフレキシブルジョイントとして機能させるために、導体素線層を部分的にまとめて溶接する層数は、2層分である(中心素線を含む場合は3層分)。3層分以上(中心素線を含む場合は4層分以上)の導体素線層を部分的に束ねて溶接すると、その溶接部の剛性が増してしまい、フレキシブル性が低下してしまう恐れがある。
【0061】
(実施形態2)
次に、本発明に係る海底ケーブルの実施形態2について説明する。なお、実施形態1と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0062】
図7(a)は、海底ケーブル200のケーブル接続部201を一部断面視して示す側面図である。図7(b)は、その海底ケーブル200のケーブル接続部201における溶接部に関する説明図である。
【0063】
海底ケーブル200は、図7(a)(b)に示すように、海底ケーブル200における海底部側に相当する一方の電力ケーブル30と、海底ケーブル200における渚部および揚陸部側に相当する他方の電力ケーブル10とが繋がれてなる。
【0064】
電力ケーブル30は、図7(a)(b)に示すように、複数の導体素線3…で構成された中心導体30aと、その中心導体30aを被覆するケーブル絶縁体30bとを有している。
具体的に、電力ケーブル30は、中心素線31と、第1導体素線層32と、第2導体素線層33と、第3導体素線層34と、第4導体素線層35とからなる中心導体30aを備えている。その中心導体30aは、中心素線31となる導体素線3を芯にして、その外側に複数の導体素線3を同心撚りしてなる4層の導体素線層を設けた構造を成している。
より具体的に、電力ケーブル30の中心導体30aは、素線径が2.93mmの導体素線3を61本同心撚りして、中心素線と4層の導体素線層を形成してなる導体断面積が400mmの円形圧縮導体である。なお、中心導体30aの外径は約24.1mmである。
【0065】
電力ケーブル10は、図7(a)(b)に示すように、複数の導体素線1…で構成された中心導体10aと、その中心導体10aを被覆するケーブル絶縁体10bとを有している。
具体的に、電力ケーブル10は、中心素線11と、第1導体素線層12と、第2導体素線層13と、第3導体素線層14と、第4導体素線層15と、第5導体素線層16とからなる中心導体10aを備えている。その中心導体10aは、中心素線11となる導体素線1を芯にして、その外側に複数の導体素線1を同心撚りしてなる5層の導体素線層を設けた構造を成している。
より具体的に、電力ケーブル10の中心導体10aは、素線径が2.93mmの導体素線1を91本同心撚りして、中心素線と5層の導体素線層を形成してなる導体断面積が600mmの円形圧縮導体である。なお、中心導体10aの外径は約29.5mmである。
【0066】
このように、電力ケーブル30と電力ケーブル10は、素線径が同じ複数の導体素線を互いに異なる層数(4層と5層)で同心撚りしてなる中心導体30a、10aをそれぞれ有する電力ケーブルである。そして、中心導体30aと中心導体10aの外径差は約5.4mmであり、7mm以下の外径差に設計されている。
なお、電力ケーブル30と電力ケーブル10のケーブル絶縁体30b、10bの厚さはどちらも12mmであり、電力ケーブル30と電力ケーブル10は、例えば、鉄線鎧装付の鉛被ケーブルである。
【0067】
次に、電力ケーブル30と電力ケーブル10を繋ぐ接続方法について説明する。
【0068】
まず、ケーブル接続部201となる電力ケーブル30の中心導体30aにおいて、図7(a)に示すように、中心素線31の導体素線3が最も長く突き出し、その外層側の導体素線層ほど、導体素線3が順次短くなるように、導体素線3をカットする。なお、導体素線3の先端は斜めにカットしており、特に、各導体素線層(32〜35)の導体素線1は、中心導体30aの外周側に傾斜面を向けるように、傾斜をつけてカットしている。
また、ケーブル接続部201となる電力ケーブル10の中心導体10aにおいて、図7(a)に示すように、中心素線11の導体素線1が最も短く、その外層側の導体素線層ほど、導体素線1が順次長く突き出すように、導体素線1をカットする。なお、導体素線1の先端は斜めにカットしており、特に、各導体素線層(12〜16)の導体素線1は、中心導体10aの外周側に傾斜面を向けるように、傾斜をつけてカットしている。
【0069】
そして、電力ケーブル10の中心導体10aにおける中心素線11以外の各導体素線層(12〜16)の導体素線1を外側に開き起こした状態で、中心導体10aの中心素線11と電力ケーブル30の中心導体30aの中心素線31とを突き合わせて、中心素線11(導体素線1)と中心素線31(導体素線3)とをVカット溶接にて接続する。なお、この中心素線11と中心素線31とを溶接した箇所に、中心溶接部81を形成している。
その後、中心導体10aの各導体素線層(12〜15)の導体素線1を順に撚り戻して、第1導体素線層12と第1導体素線層32、第2導体素線層13と第2導体素線層33、第3導体素線層14と第3導体素線層34、第4導体素線層15と第4導体素線層35、の層毎に導体素線1と導体素線3をVカット溶接にて接続する。
また、中心導体30a側に対応する5層目が無いために、中心導体10aで余った第5導体素線層16の導体素線1を、層数の少ない中心導体30aの第4導体素線層35の外周面に溶接にて接続する。
ここで、電力ケーブル30の中心導体30aの各導体素線層(32〜35)の導体素線3と、電力ケーブル10の中心導体10aの各導体素線層(12〜15)の導体素線1とが突き合わさった位置は、各層毎に中心素線を軸心にする同心円の円周上に対応している。これら各層毎に導体素線3と導体素線1を溶接した箇所は、同心円状の溶接部を形成しており、1層目から4層目の順にリング状溶接部82〜85が形成されている。
また、中心導体10aの第5導体素線層16の導体素線1を、中心導体30aの外周面に溶接した箇所は、リング状溶接部86が形成されている。このリング状溶接部86は、例えば、ベルトサンダーなどによって研磨加工が施されて、その外径が中心導体10aの外周面(第5導体素線層16)から中心導体30aの外周面(第4導体素線層35)に向かって緩やかに縮径するようになっている。
なお、図7(a)(b)に示すように、中心導体30a、10a同士の層毎に導体素線3、1を溶接して形成したリング状溶接部82〜85と、リング状溶接部86とは、当該ケーブルの長手方向に互いにずれた配置をとっており、外層側のリング状溶接部86、85、84、83、82ほど電力ケーブル30寄りの配置になっている。
【0070】
そして、中心導体30aと中心導体10aとを溶接にて接続した部分を更にモールド絶縁体で被覆することによって、ケーブル接続部201を形成する。
こうして中心導体30a、10aの導体断面積が異なる電力ケーブル30と電力ケーブル10を、ケーブル接続部201を介して接続した海底ケーブル200を製造することができる。
【0071】
以上のように、中心導体30a、10aの導体断面積が異なる電力ケーブル30と電力ケーブル10を繋ぐ場合に、中心導体30aを構成する最小単位である導体素線3と、中心導体10aを構成する最小単位である導体素線1とを同心撚りの層毎の複数のグループに分けて溶接にて接続する手法をとることで、導体素線同士(導体素線3と導体素線1)の溶接を繰り返し、小さな溶接箇所を複数形成するようにして、中心導体30aと中心導体10aを溶接工法によって接続することができる。また、一方の中心導体10aで余ってしまった外層側の導体素線1は、他方の中心導体30aの外周面に溶接にて接続することができる。そして、その中心導体同士の接続部分(ケーブル接続部201)に中心導体30aと中心導体10aを溶接工法にて接続したことによる柔軟性を付与して、フレキシブルジョイントとして機能させることができる。
このような手法によって電力ケーブル30と電力ケーブル10を繋ぐ理由は、中心導体同士(中心導体30aと中心導体10a)には約5.4mmの外径差があることに対し、導体素線同士(導体素線3と導体素線1)は同じ素線径(2.93mm)であり素線径差が無いことによる。つまり、同じ素線径の導体素線3と導体素線1とは、同心撚りの層毎に内層側から通常の溶接工法にて良好に接続したうえで、やむを得ず一方の中心導体で余ってしまった外層側の導体素線を、他方の中心導体の外周面に溶接にて接続することで、溶接工法を採用したケーブル接続が可能になるのである。
なお、中心導体30aと中心導体10aの外径の差が7mm以下であれば、より良好にフレキシブルジョイントとして機能する。
【0072】
特に、海底ケーブル200のケーブル接続部201において、同心撚りの層毎に複数の導体素線同士(導体素線3と導体素線1)を溶接接続したリング状溶接部82〜86を、海底ケーブル200の長手方向に互いにずれた配置にすることによって、各リング状溶接部82〜86をケーブルの長手方向に分散させている。
このように、中心溶接部81とリング状溶接部82〜86とを、ケーブルの長手方向に分散させれば、通電時に溶接部で発生した熱を部分的に集中させずに放熱することができるメリットが期待できる。
【0073】
また、この海底ケーブル200のケーブル接続部201において、中心導体10aで余った第5導体素線層16の導体素線1を、中心導体30aの第4導体素線層35の外周面に溶接にて接続することによって、ケーブル接続部201での導体断面積をより大きくとって、通電時における発熱の低減を図っている。
なお、通電時の発熱低減を図る必要がない場合などでは、中心導体10aで余った第5導体素線層16の導体素線1を、中心導体10aの第4導体素線層15の外周面に溶接してもよい。
【0074】
また、海底ケーブル200のケーブル接続部201のように、中心溶接部81とリング状溶接部82〜86とを、ケーブルの長手方向に分散させれば、溶接部の部分的集中に起因する剛性増加を回避できるので、ケーブル接続部201のフレキシブル性をより向上させるメリットが期待できる。
また、中心導体30aと中心導体10aを、ケーブルの長手方向に分散している複数の溶接部(中心溶接部81とリング状溶接部82〜86)で接続しているので、ケーブルに応力が加わった際に、一箇所の溶接部に応力が集中することがなく、ケーブル接続部201の破断強度を向上できるメリットが期待できる。
例えば、肉厚になりがちな溶接部が、ケーブルの軸方向に交差する一の面で同心円状に重なるなどして部分的に集まってしまうと、その部分での剛性が増してしまい、ケーブル接続部201のフレキシブル性が低下してしまう恐れがあるので、複数の溶接部の配置が分散していることが好ましいのである。
【0075】
これに対し、図8に示すように、中心導体30a、10aの導体断面積が異なる電力ケーブル30と電力ケーブル10を繋ぐ際に、中心導体30aと中心導体10aとを一括してVカット溶接して溶接部80を形成した場合、その接続に溶接工法をとってはいるものの、中心導体サイズの大きな溶接部80では剛性が増してしまい、フレキシブル性が低下してしまう恐れがある。そして、ケーブルに応力が加わった際に、その一箇所の溶接部80に応力が集中してしまうことで、そのケーブル接続部208が破断してしまう恐れがある。
特に、中心導体30aと中心導体10aのように外径に差のある中心導体同士を一括で接続した溶接部80に負荷が加わると、その溶接部80に歪が生じやすく、破断しやすい傾向がある。
なお、従来、導体断面積が異なる中心導体同士を一括してVカット溶接してなるフレキシブルジョイントは例を見ず、通常、導体断面積の異なる中心導体同士の接続には、異径導体接続用スリーブを用いて圧縮接続する手法がとられている。
【0076】
ゆえに、本発明に係る海底ケーブル200は中心導体の導体断面積の異なる電力ケーブル30と電力ケーブル10とを良好に接続した画期的な海底ケーブルであり、導体断面積の異なる電力ケーブル同士を繋いでなるフレキシブルジョイントを有する海底ケーブル200として使用することができる。
この海底ケーブル200は、全体として、中心導体の導体断面積の異なる電力ケーブルを3本以上接続したものであり、例えば、電力ケーブル30の両端にそれぞれ電力ケーブル10を接続したものである。つまり、海底ケーブル200における端部側の電力ケーブル10よりも中央側の電力ケーブル30の方が、中心導体の導体断面積が小さいケーブルが用いられている。すなわち、海底ケーブル200は、その一端部側から中央側に向かって中心導体の導体断面積が小さくなり、中央側から他端部側に向かって中心導体の導体断面積が大きくなるケーブルである。
そして、この海底ケーブル200における中心導体が比較的細い電力ケーブル30を海底部側に、中心導体が比較的太い電力ケーブル10を渚部側及び揚陸部側にして敷設する。このように、敷設環境の熱的条件に応じた導体断面積を有する電力ケーブルが接続されてなる海底ケーブル200であれば、従来の海底ケーブル、すなわち、揚陸部の環境を考慮して決めた中心導体の導体断面積を全長に亘って採用した構造の従来の海底ケーブルに比べてコストダウンを図ることができる。
【0077】
なお、この実施形態2では、導体素線1と導体素線3の素線径が同じであるが、これら導体素線1と導体素線3の素線径は異なっていてもよい。
【0078】
(変形例1)
なお、本実施形態2は上記実施形態に限られるものではない。
例えば、図9(a)(b)に示すように、電力ケーブル30と電力ケーブル10を繋ぐケーブル接続部202を有する海底ケーブル200であってもよい。
図9(a)は、海底ケーブル200のケーブル接続部202を一部断面視して示す側面図である。図9(b)は、その海底ケーブル200のケーブル接続部202における溶接部に関する説明図である。
以下に、海底ケーブル200のケーブル接続部202を形成する接続方法について説明する。
【0079】
まず、ケーブル接続部202となる電力ケーブル30の中心導体30aにおいて、図9(a)に示すように、第2導体素線層33、第4導体素線層35、中心素線31、第3導体素線層34、第1導体素線層32の順に、導体素線3が長く突き出すように、導体素線3をカットする。なお、導体素線3の先端は斜めにカットしており、特に、各導体素線層(32〜35)の導体素線3は、中心導体30aの外周側に傾斜面を向けるように、傾斜をつけてカットしている。
また、ケーブル接続部202となる電力ケーブル10の中心導体10aにおいて、図9(a)に示すように、第5導体素線層16、第1導体素線層12、第3導体素線層14、中心素線11、第4導体素線層15、第2導体素線層13の順に、導体素線1が長く突き出すように、導体素線1をカットする。なお、導体素線1の先端は斜めにカットしており、特に、各導体素線層(12〜16)の導体素線1は、中心導体10aの外周側に傾斜面を向けるように、傾斜をつけてカットしている。
【0080】
そして、電力ケーブル30の中心導体30aにおける中心素線31以外の各導体素線層(32〜35)の導体素線3を外側に開き起こし、また、電力ケーブル10の中心導体10aにおける中心素線11以外の各導体素線層(12〜16)の導体素線1を外側に開き起こした状態で、電力ケーブル30の中心導体30aの中心素線31と、電力ケーブル10の中心導体10aの中心素線11とを突き合わせて、中心素線31(導体素線3)と中心素線11(導体素線1)とをVカット溶接にて接続する。なお、この中心素線31と中心素線11とを溶接した箇所に、中心溶接部81を形成している。
その後、電力ケーブル30の各導体素線層(32〜35)の導体素線3と、電力ケーブル10の各導体素線層(12〜15)の導体素線1とを順に撚り戻して、第1導体素線層32と第1導体素線層12、第2導体素線層33と第2導体素線層13、第3導体素線層34と第3導体素線層14、第4導体素線層35と第4導体素線層15、の層毎に導体素線3と導体素線1をVカット溶接にて接続する。
中心導体30a側には5層目が無く、中心導体10aの第5導体素線層16の導体素線1は余る。そこで、中心導体10aの第5導体素線層16の導体素線1を、層数の少ない中心導体30aの第4導体素線層35の外周面に溶接にて接続する。
【0081】
各層毎に導体素線3と導体素線1を溶接した箇所は、同心円状の溶接部を形成しており、1層目から4層目の順にリング状溶接部82〜85となっている。また、中心導体の外周面にリング状溶接部86が形成されている。
なお、図9(a)(b)に示すように、中心導体30a、10a同士の層毎に導体素線3、1を溶接して形成したリング状溶接部82〜85と、リング状溶接部86とは、当該ケーブルの長手方向に互いにずれた配置をとっており、電力ケーブル30側から電力ケーブル10側に向かって、リング状溶接部86、リング状溶接部82、リング状溶接部84、中心溶接部81、リング状溶接部85、リング状溶接部83が順次配置されている。
【0082】
そして、中心導体30aと中心導体10aとを溶接にて接続した部分をモールド絶縁体で被覆して、ケーブル接続部202を形成する。
こうして中心導体30a、10aの導体断面積が異なる電力ケーブル30と電力ケーブル10を、ケーブル接続部202を介して接続した海底ケーブル200を製造することができる。
【0083】
このようなケーブル接続部202を有する海底ケーブル200も、中心導体の導体断面積が異なる電力ケーブル30と電力ケーブル10とを良好に接続した海底ケーブルであり、導体断面積が異なる電力ケーブル同士を繋いでなるフレキシブルジョイントを有する海底ケーブル200として使用することができる。
特に、前述した図7に示すケーブル接続部201における中心溶接部81及びリング状溶接部82〜86の配置が、ケーブルの長手方向に導体素線層の層順に配列された配置であることに対し、この図9に示すケーブル接続部202では、中心溶接部81を挟んでリング状溶接部82〜86が電力ケーブル30側に寄ったり、電力ケーブル10側に寄ったりする千鳥状の配列になっている。
このように、図9に示すケーブル接続部202のように、中心溶接部81及びリング状溶接部82〜86の配置を千鳥状に配列すると、図7に示すケーブル接続部201よりも比較的コンパクトな範囲内に全ての溶接部を納めることができるので、そのケーブル接続部202を小さくしてモールド絶縁体で被覆しやすくなるメリットが期待できる。
【0084】
(変形例2)
なお、本実施形態2は上記実施形態に限られるものではない。
例えば、図10(a)(b)に示すように、電力ケーブル30と電力ケーブル10を繋ぐケーブル接続部203を有する海底ケーブル200であってもよい。
図10(a)は、海底ケーブル200のケーブル接続部203を一部断面視して示す側面図である。図10(b)は、その海底ケーブル200のケーブル接続部203における溶接部に関する説明図である。
以下に、海底ケーブル200のケーブル接続部203を形成する接続方法について説明する。
【0085】
まず、ケーブル接続部203となる電力ケーブル30の中心導体30aにおいて、図10(a)に示すように、中心素線31と第1導体素線層32と第2導体素線層33を部分的に束ねた状態で導体素線3をカットする。また、第2導体素線層33よりも短く第3導体素線層34の導体素線3をカットする。また、第2導体素線層33よりも長く第4導体素線層35の導体素線3をカットする。なお、導体素線3の先端は斜めにカットしており、特に、各導体素線層(34〜35)の導体素線3は、中心導体30aの外周側に傾斜面を向けるように、傾斜をつけてカットしている。
また、ケーブル接続部203となる電力ケーブル10の中心導体10aにおいて、図10(a)に示すように、中心素線11と第1導体素線層12と第2導体素線層13を部分的に束ねた状態で導体素線1をカットする。また、第2導体素線層13よりも長く第3導体素線層14の導体素線1をカットする。また、第2導体素線層13よりも短く第4導体素線層15の導体素線1をカットする。また、第3導体素線層14よりも長く第5導体素線層16をカットする。なお、導体素線1の先端は斜めにカットしており、特に、各導体素線層(14〜16)の導体素線1は、中心導体10aの外周側に傾斜面を向けるように、傾斜をつけてカットしている。
【0086】
そして、電力ケーブル30の中心導体30aにおける中心素線31と第1導体素線層32と第2導体素線層33以外の各導体素線層(34〜35)の導体素線3を外側に開き起こす。また、電力ケーブル10の中心導体10aにおける中心素線11と第1導体素線層12と第2導体素線層13以外の各導体素線層(14〜16)の導体素線1を外側に開き起こす。それら導体素線3と導体素線1を開き起こした状態で、中心導体30aの中心素線31と第1導体素線層32と第2導体素線層33と、中心導体10aの中心素線11と第1導体素線層12と第2導体素線層13とを突き合わせて、それらを部分的に束ねた状態で導体素線3と導体素線1とをVカット溶接にて接続する。この溶接箇所は溶接部87を形成する。
その後、第3導体素線層34の導体素線3と第3導体素線層14の導体素線1を撚り戻してVカット溶接にて接続する。この溶接箇所はリング状溶接部84を形成する。
また、第4導体素線層35の導体素線3と第4導体素線層15の導体素線1を撚り戻してVカット溶接にて接続する。この溶接箇所はリング状溶接部85を形成する。
また、中心導体30a側には5層目が無く、中心導体10aの第5導体素線層16の導体素線1は余る。そこで、中心導体10aの第5導体素線層16の導体素線1を、層数の少ない中心導体30aの第4導体素線層35の外周面に溶接にて接続する。なお、この溶接箇所はリング状溶接部86を形成する。
【0087】
そして、中心導体30aと中心導体10aとを溶接にて接続した部分をモールド絶縁体で被覆して、ケーブル接続部203を形成する。
こうして中心導体30a、10aの導体断面積が異なる電力ケーブル30と電力ケーブル10を、ケーブル接続部203を介して接続した海底ケーブル200を製造することができる。
【0088】
このようなケーブル接続部203を有する海底ケーブル200も、中心導体の導体断面積が異なる電力ケーブル30と電力ケーブル10とを良好に接続した海底ケーブルであり、導体断面積が異なる電力ケーブル同士を繋いでなるフレキシブルジョイントを有する海底ケーブル200として使用することができる。
特に、幾つかの導体素線層を部分的に束ねて溶接することで、溶接回数を減らすことができ、ケーブル接続作業時間の短縮を図ることができる。また、外周側の第3導体素線層14、34と、第4導体素線層15、35を、それぞれ層毎に単層溶接することで、ケーブル接続部203のフレキシブル性を担保している。
なお、この中心導体同士の接続部分(ケーブル接続部203)を、好適にフレキシブルジョイントとして機能させるために、導体素線層を部分的に束ねて溶接する層数は、3層分である。4層分以上の導体素線層を部分的に束ねて溶接すると、その溶接部の剛性が増してしまい、フレキシブル性が低下してしまう恐れがある。
【0089】
(実施形態3)
次に、本発明に係る海底ケーブルの実施形態3について説明する。なお、実施形態1と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0090】
図11は、海底ケーブル300のケーブル接続部301を示す側面図である。図12は、その海底ケーブル300のケーブル接続部301における溶接部に関する説明図である。
【0091】
海底ケーブル300は、図11、図12に示すように、海底ケーブル300における海底部側に相当する一方の電力ケーブル50と、海底ケーブル300における渚部および揚陸部側に相当する他方の電力ケーブル60とが繋がれてなる。
【0092】
電力ケーブル50は、図11、図12に示すように、中心導体50aと、その中心導体50aを被覆するケーブル絶縁体50bとを有している。
電力ケーブル50の中心導体50aは、断面が略扇形を呈するセグメントを、5本撚り合わしてなる分割導体である。各セグメント51〜55は、それぞれ所定数の導体素線5を撚り合わせて断面扇形に成形したものである。
この電力ケーブル50の中心導体50aは、導体断面積が1200mmの5分割導体である。なお、中心導体50aの外径は42.4mmである。
【0093】
電力ケーブル60は、図11、図12に示すように、中心導体60aと、その中心導体60aを被覆するケーブル絶縁体60bとを有している。
電力ケーブル60の中心導体60aは、断面が略扇形を呈するセグメントを、5本撚り合わしてなる分割導体である。各セグメント61〜65は、それぞれ所定数の導体素線6を撚り合わせて断面扇形に成形したものである。
この電力ケーブル60の中心導体60aは、導体断面積が1600mmの5分割導体である。なお、中心導体60aの外径は49.0mmである。
【0094】
このように、電力ケーブル50と電力ケーブル60は、互いに断面積が異なるセグメントを同じ数(実施形態3では5本)撚り合わしてなる中心導体50a、60aをそれぞれ有する電力ケーブルである。そして、中心導体50aと中心導体60aの外径差は6.6mmであり、7mm以下の外径差に設計されている。
なお、電力ケーブル50と電力ケーブル60のケーブル絶縁体50b、60bの厚さはどちらも12mmであり、電力ケーブル50と電力ケーブル60は、例えば、鉄線鎧装付の鉛被ケーブルである。
【0095】
次に、電力ケーブル50と電力ケーブル60を繋ぐ接続方法について説明する。
【0096】
まず、ケーブル接続部301となる電力ケーブル50の中心導体50aにおいて、図11、図12に示すように、セグメント52、セグメント53、セグメント51、セグメント54、セグメント55の順に長くなるように、導体素線5(セグメント51〜55)をカットする。なお、各セグメントの先端はVカット溶接するために斜めにカットしている。
また、ケーブル接続部301となる電力ケーブル60の中心導体60aにおいて、図11、図12に示すように、セグメント65、セグメント64、セグメント61、セグメント63、セグメント62の順に長くなるように、導体素線6(セグメント61〜65)をカットする。なお、各セグメントの先端はVカット溶接するために斜めにカットしている。
【0097】
そして、電力ケーブル50の中心導体50aにおけるケーブル接続部301となる領域において、比較的上側に配置しているセグメント51、セグメント52、セグメント55を外側に開き起こす。また、電力ケーブル60の中心導体60aにおけるケーブル接続部301となる領域において、比較的上側に配置しているセグメント61、セグメント62、セグメント65を外側に開き起こす。このように開き起こした状態で、下側のセグメント53とセグメント63、およびセグメント54とセグメント64とを突き合わせて、それぞれVカット溶接にて接続する。なお、セグメント53とセグメント63とを溶接した箇所には溶接部93を形成し、セグメント54とセグメント64とを溶接した箇所には溶接部94を形成している。
その後、中心導体50aのセグメント51、セグメント52、セグメント55を撚り戻すとともに、中心導体60aのセグメント61、セグメント62、セグメント65を撚り戻して、セグメント51とセグメント61、セグメント52とセグメント62、セグメント55とセグメント65とを、それぞれVカット溶接にて接続する。セグメント51とセグメント61とを溶接した箇所は溶接部91を形成し、セグメント52とセグメント62とを溶接した箇所は溶接部92を形成し、セグメント55とセグメント65とを溶接した箇所は溶接部95を形成している。
なお、図11、図12に示すように、中心導体50a、60a同士のセグメント毎に導体素線5、6を溶接して形成した溶接部91〜95は、当該ケーブルの長手方向に互いにずれた配置をとっており、溶接部95、94、91、93、92の順に電力ケーブル50寄りの配置になっている。
【0098】
そして、中心導体50aと中心導体60aとを溶接にて接続した部分をモールド絶縁体で被覆して、ケーブル接続部301を形成する。
こうして中心導体50a、60aの導体断面積が異なる電力ケーブル50と電力ケーブル60を、ケーブル接続部301を介して接続した海底ケーブル300を製造することができる。
【0099】
以上のように、中心導体50a、60aの導体断面積が異なる電力ケーブル50と電力ケーブル60を繋ぐ場合に、中心導体50aを構成するセグメント51〜55(導体素線2)と、中心導体60aを構成するセグメント61〜65(導体素線6)とを、それぞれ溶接にて接続する手法をとり、セグメント同士の溶接を繰り返し、小さな溶接箇所を複数形成するようにして、中心導体50aと中心導体60aを溶接工法によって接続することができる。この中心導体同士の接続部分(ケーブル接続部301)は、柔軟でフレキシブルジョイントとして機能するものとなる。
このような手法によって電力ケーブル50と電力ケーブル60を繋ぐ理由は、中心導体同士(中心導体50aと中心導体60a)よりも、セグメント同士(セグメント51〜55とセグメント61〜65)の方が断面積の差が小さいことによる。つまり、その断面積の差がより小さいセグメント同士であれば、ほぼ同径の分割導体同士とみなして溶接工法を採用して良好に接続することができるのである。
なお、中心導体50aと中心導体60aの外径の差が7mm以下であれば、より良好にフレキシブルジョイントとして機能する。
【0100】
特に、海底ケーブル300のケーブル接続部301において、同じ本数のセグメント51〜55とセグメント61〜65とを溶接接続した溶接部91〜95を、海底ケーブル300の長手方向に互いにずれた配置にすることによって、各溶接部91〜95をケーブルの長手方向に分散させている。
このように、複数の溶接部91〜95を、ケーブルの長手方向に分散させることによれば、通電時に溶接部で発生した熱を部分的に集中させずに放熱することができるメリットが期待できる。
【0101】
また、海底ケーブル300のケーブル接続部301のように、複数の溶接部91〜95を、ケーブルの長手方向に分散させることによれば、溶接部の部分的集中に起因する剛性増加を低減できるので、ケーブル接続部301のフレキシブル性、柔軟性をより向上させるメリットが期待できる。
また、中心導体50aと中心導体60aを、ケーブルの長手方向に分散している複数の溶接部91〜95で接続しているので、ケーブルに応力が加わった際に、一箇所の溶接部に応力が集中してしまわないようになっており、ケーブル接続部301が破断してしまうことを低減するメリットが期待できる。
例えば、肉厚になりがちな溶接部が、ケーブルの軸方向に交差する一の面に重なるなどして部分的に集まってしまうと、その部分での剛性が増してしまい、ケーブル接続部301のフレキシブル性が低下してしまう恐れがあるので、複数の溶接部の配置が分散していることが好ましいのである。
【0102】
これに対し、図13に示すように、中心導体50a、60aの導体断面積が異なる電力ケーブル50と電力ケーブル60を繋ぐ際に、中心導体50aと中心導体60aとを一括してVカット溶接して溶接部90を形成した場合、その接続に溶接工法をとってはいるものの、中心導体サイズの大きな溶接部90では剛性が増してしまい、フレキシブル性が低下してしまう恐れがある。そして、ケーブルに応力が加わった際に、その一箇所の溶接部90に応力が集中してしまうことで、そのケーブル接続部309が破断してしまう恐れがある。
特に、中心導体50aと中心導体60aのように外径に差のある中心導体同士を一括で接続した溶接部90に負荷が加わると、その溶接部90に歪が生じやすく、破断しやすい傾向がある。
なお、従来、導体断面積が異なる中心導体同士を一括してVカット溶接してなるフレキシブルジョイントは例を見ず、通常、導体断面積の異なる中心導体同士の接続には、異径導体接続用スリーブを用いて圧縮接続する手法がとられている。
【0103】
(変形例1)
なお、本実施形態3は上記実施形態に限られるものではない。
例えば、図14、図15に示すように、電力ケーブル50と電力ケーブル60を繋ぐケーブル接続部302を有する海底ケーブル300であってもよい。
図14は、海底ケーブル300のケーブル接続部302を示す側面図である。図15は、その海底ケーブル300のケーブル接続部302における溶接部に関する説明図である。
以下に、海底ケーブル300のケーブル接続部302を形成する接続方法について説明する。
【0104】
まず、ケーブル接続部302となる電力ケーブル50の中心導体50aにおいて、図14、図15に示すように、セグメント51とセグメント53とセグメント54とが比較的長くなるように導体素線5(51,53,54)をカットし、また、セグメント52とセグメント55が比較的短くなるように導体素線5(52,55)をカットする。なお、導体素線5の先端はVカット溶接するために斜めにカットしている。
また、ケーブル接続部302となる電力ケーブル60の中心導体60aにおいて、図14、図15に示すように、セグメント61とセグメント63とセグメント64とが比較的長くなるように導体素線6(61,63,64)をカットし、また、セグメント62とセグメント65が比較的短くなるように導体素線6(62,65)をカットする。なお、導体素線6の先端はVカット溶接するために斜めにカットしている。
特に、比較的短くカットしたセグメント62とセグメント65の切片であるセグメント片562、565は、所定長に切り揃えている。
【0105】
そして、電力ケーブル50の中心導体50aにおけるケーブル接続部302となる領域において、セグメント51を外側に開き起こし、また、電力ケーブル60の中心導体60aにおけるケーブル接続部302となる領域において、セグメント61を外側に開き起こした状態で、セグメント53とセグメント63、およびセグメント54とセグメント64とを突き合わせて、それぞれVカット溶接にて接続する。この際、比較的短くカットされたセグメント52とセグメント62の間から、セグメント53とセグメント63を溶接できる。同様に、比較的短くカットされたセグメント55とセグメント65の間から、セグメント54とセグメント64を溶接できる。なお、セグメント53とセグメント63とを溶接した箇所に溶接部93を形成し、セグメント54とセグメント64とを溶接した箇所に溶接部94を形成している。
その後、中心導体50aのセグメント51を撚り戻すとともに、中心導体60aのセグメント61を撚り戻して、セグメント51とセグメント61とを、それぞれVカット溶接にて接続する。なお、セグメント51とセグメント61とを溶接した箇所に溶接部91を形成している。
さらに、中心導体50aのセグメント52と中心導体60aのセグメント62の間に、セグメント片562を割り入れて、そのセグメント片562の一方の端部とセグメント52、他方の端部とセグメント62とを、それぞれVカット溶接にて接続する。このセグメント片562の両端を溶接した箇所は溶接部922を形成している。同様に、中心導体50aのセグメント55と中心導体60aのセグメント65の間に、セグメント片565を割り入れて、そのセグメント片565の一方の端部とセグメント55、他方の端部とセグメント65とを、それぞれVカット溶接にて接続する。このセグメント片565の両端を溶接した箇所は溶接部955を形成している。なお、本実施形態3の変形例1では、断面積が大きい電力ケーブル60の中心導体60aのセグメントからセグメント片を切り出したが、断面積が小さい電力ケーブル50の中心導体50aのセグメントからセグメント片を切り出して、そのセグメント片を割り入れ溶接に使用してもよい。
なお、図14、図15に示すように、中心導体50a、60a同士のセグメント毎に導体素線5、6を溶接して形成した溶接部91、93、94、922、955は、当該ケーブルの長手方向に千鳥状にずれた配置をとっている
【0106】
そして、中心導体50aと中心導体60aとを溶接にて接続した部分をモールド絶縁体で被覆することによって、ケーブル接続部302を形成する。
こうして中心導体50a、60aの導体断面積が異なる電力ケーブル50と電力ケーブル60を、ケーブル接続部302を介して接続した海底ケーブル300を製造することができる。
【0107】
このようなケーブル接続部302を有する海底ケーブル300も、中心導体の導体断面積が異なる電力ケーブル50と電力ケーブル60とを良好に接続した海底ケーブルであり、導体断面積が異なる電力ケーブル同士を繋いでなるフレキシブルジョイントを有する海底ケーブル300として使用することができる。
特に、前述したケーブル接続部301の場合、溶接箇所は少ないものの、5箇所の溶接部91〜95がケーブルの長手方向に比較的広い範囲に配されていることに対し、このケーブル接続部302には、7箇所の溶接部(91、93、94、922,922、955,955)があるものの、相対的にはケーブルの長手方向の比較的狭い範囲に溶接部が集まっている。具体的に、溶接部91と溶接部93と溶接部94は、相対的にケーブルの長手方向に並び揃った配置にあり、同様に、溶接部922と溶接部955は、相対的にケーブルの長手方向に並び揃った配置にある。
このようにケーブル接続部302は、全ての溶接部91、93、94、922、955を比較的コンパクトな範囲に納めることができるので、そのケーブル接続部302を小さくしてモールド絶縁体で被覆しやすくなるメリットが期待できる。
【0108】
以上、実施形態1から実施形態3における海底ケーブル100,200,300を製造する技術、つまり、導体断面積の異なる電力ケーブル10と電力ケーブル20を接続する方法(実施形態1)、導体断面積の異なる電力ケーブル30と電力ケーブル10を接続する方法(実施形態2)、導体断面積の異なる電力ケーブル50と電力ケーブル60を接続する方法(実施形態3)を適宜実施すれば、前述の図1に示す海底ケーブルCを製造することができる。
【0109】
なお、本発明の適用は上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
上述の説明では、電力ケーブルを工場で接続することを前提に説明したが、敷設ルート全長分の海底ケーブルをドラムやターンテーブルに巻き切れないことがあり、このような場合は、ケーブル敷設船の船上で電力ケーブル同士を繋ぐ接続作業を行わなければならないこともある。本発明には、このように船上で接続された海底ケーブルも含まれる。
【0110】
また、導体素線の溶接は、素線ごとにではなく、導体素線を複数纏めた束ごとにしてもよい。
【符号の説明】
【0111】
100、200 海底ケーブル
101〜104 ケーブル接続部
201〜203 ケーブル接続部
1、2、3 導体素線
10、20、30 電力ケーブル
10a、20a、30a 中心導体
10b、20b、30b ケーブル絶縁体
11、21、31 中心素線
12〜16 導体素線層
22〜26 導体素線層
32〜35 導体素線層
71 中心溶接部
72〜76 リング状溶接部
77 溶接部
78、79 リング状溶接部
81 中心溶接部
82〜86 リング状溶接部
87 溶接部
300 海底ケーブル
301〜302 ケーブル接続部
5、6 導体素線
51〜55 セグメント
61〜65 セグメント
562、565 セグメント片
91〜95、922、955 溶接部
C 海底ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の導体素線で構成されて導体断面積が異なる中心導体を有するケーブル同士を、前記中心導体を溶接して接続したことを特徴とする海底ケーブル。
【請求項2】
前記ケーブルを3本以上繋いでなる海底ケーブルであって、
端部側のケーブルよりも中央側のケーブルほど、前記中心導体の導体断面積が小さいケーブルが用いられていることを特徴とする請求項1に記載の海底ケーブル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の海底ケーブルであって、前記中心導体を構成する複数の導体素線を幾つかに分けて溶接することにより、前記中心導体を接続したことを特徴とする海底ケーブル。
【請求項4】
請求項3に記載の海底ケーブルであって、接続された両ケーブルは、互いに素線径が異なる導体素線を同じ層数で同心撚りしてなる中心導体を有しており、
前記中心導体同士で対応する層毎に前記導体素線を同心円状に溶接したことを特徴とする海底ケーブル。
【請求項5】
請求項4に記載の海底ケーブルであって、前記中心導体同士の層毎に前記導体素線を溶接した溶接部は、当該ケーブルの長手方向に互いにずれた配置をとることを特徴とする海底ケーブル。
【請求項6】
請求項3に記載の海底ケーブルであって、接続された両ケーブルは、素線径が同じ導体素線を互いに異なる層数で同心撚りしてなる中心導体を有しており、
前記中心導体同士で対応する層毎に前記導体素線を同心円状に溶接し、層数が多い中心導体で余った外層側の導体素線を、層数の少ない中心導体の外周面に溶接したことを特徴とする海底ケーブル。
【請求項7】
請求項6に記載の海底ケーブルであって、前記中心導体同士の層毎に前記導体素線を溶接した溶接部は、当該ケーブルの長手方向に互いにずれた配置をとることを特徴とする海底ケーブル。
【請求項8】
請求項3に記載の海底ケーブルであって、接続された両ケーブルは、それぞれ同数のセグメントに分割された中心導体を有しており、
前記中心導体は、対応する前記セグメント毎に溶接されていることを特徴とする海底ケーブル。
【請求項9】
請求項8に記載の海底ケーブルであって、前記セグメント毎に溶接した溶接部は、当該ケーブルの長手方向に互いにずれた配置をとることを特徴とする海底ケーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−22820(P2012−22820A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158352(P2010−158352)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【出願人】(502308387)株式会社ビスキャス (205)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】