説明

海水中金属の捕集材の製造方法および装置

【課題】 海水中金属のモール状捕集材を大量に生産するための連続製造システムを提供することであり、特に海水中ウランを回収するためグラフト化率が高くアミドキシム基の密度の高い捕集材を作製する製造システムを提供する。
【解決手段】 電子線照射装置2により高分子合成材料、特にポリエチレン、を糸の状態で放射線照射して巻取り装置3でボビンに巻き、ボビンに巻いた照射済み糸を反応槽11に収納してグラフト重合し、金属捕集能を有する官能基を導入して、乾燥槽12で乾燥後、撚糸装置により高分子合成糸をモール状に編み上げて捕集材とする。なお、紡糸装置1を備えて、高分子合成材料のペレットを溶融紡糸してボビンに巻き取る間に放射線照射するようにしてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海水中金属の回収に用いる捕集材の製造方法に関し、特にウランの回収効率が高いアミドキシム基を有する吸着材を使用した捕集材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
海水には約7割の元素が溶存しており、各種の有用希少金属も大量に含有されている。ウランについてみると、海水全量中には約45億トンもの膨大な量が含有され、世界中の原子力発電所で1年間に消費されるウランの1000倍にもなる。日本近海においても、黒潮により運ばれるウラン量は年間約520万トンとされ、これは、陸ウランの経済的可採埋蔵量にほぼ匹敵する。エネルギーの長期安定供給法の1つの可能性として、海水中に溶存するウラン資源の回収技術の開発が求められている。
【0003】
従来、不織布に放射線グラフト重合法を適用しさらに化学反応を行わせて金属捕集能を有する官能基を導入して、海水中の有害または有用金属を捕集する方法が開発されていた。金属捕集能を有する官能基として、アミドキシム基、イミノジ酢酸基、スルホン酸基、リン酸基、2−ピロリドン基などが用いられる。液中の金属を捕集するためには、不織布製捕集材の間にスペーサを入れたものを積層して使用しているが、液と捕集材の接触が効率的でない。
【0004】
これに対して、特許文献1には、図4に示すようなモール状の高分子合成繊維を基材とした捕集材を直接水中に投入し、経時後回収して金属類を捕集する方法が開示されている。
開示された捕集材は、ポリエチレンやポリプロピレンなどの高分子合成繊維糸を太く撚り合わせたものを芯の回りに放射状に引き出してモール状に形成した上で、電子線またはγ線を照射線量10〜200kGy照射して、この照射繊維基材に重合性モノマーをグラフト重合させてグラフト側鎖を形成させ、さらにこのグラフト側鎖にキレート基を導入することにより作製されるものである。
【0005】
高分子合成繊維基材にグラフト重合される重合性モノマーとして、アクリロニトリル、メタクリル酸、グリシジルメタクリレート、アクリル酸、スチレンスルホン酸ナトリウム、またはこれらの混合物が使用される。
本開示の捕集材は、任意の長さに形成して、片端または両端を固定して放置するだけで水中の金属を捕集するとことができる。
【0006】
開示された実施例によると、モール状の合成繊維素材に電子線を照射した後、アクリロニトリルとメタクリル酸の混合溶液中に浸漬してグラフト反応させ、さらに3%塩酸ヒドロキシルアミンの水/メタノール溶液中でアドキシム化反応させて、アミドキシム基4〜5mmol/gの金属捕集材を得ることができ、この捕集材を海水中に浸漬してウランの捕集を行ったところ、20日間で1kgの捕集材に付きそれぞれ1gの捕集ができた。なお、ウランの理論捕集量は開示された捕集材1kgに対して約10gになる。
【0007】
このように、ウランに対しては、アミドキシム基を有する吸着材が極めて高い吸着性能を有し、現状では、さらに1kgの捕集材に対してウラン1.5gまでの回収実績があり、将来的には4gあるいは6g程度まで性能向上が見込まれる。
原子力発電所1基分の核燃料は年間約200トンであるが、年6回捕集するとしても2万トンの捕集材を必要とする。したがって、多数の原子力発電所の需要を満たそうとすれば、捕集材の大量生産が求められる。
【0008】
また、特許文献1における製法によれば、モール状に形成された高分子繊維に放射線照射してグラフト重合させるので、高分子繊維素材にグラフト重合しやすいポリエチレンやポリプロピレンを選択するにしても、内部まで十分に励起することができず、グラフト化率が低下する。特に活性化効率が高い電子線は透過力が小さいため、普通は、活性化率が小さいがモール内部まで透過しやすいγ線を使って処理する工程が選択される。
【特許文献1】特開2002−045708号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、モール状捕集材を大量に生産するための連続製造システムを提供することであり、また、よりグラフト化率が高くアミドキシム基の密度の高い捕集材を作製する製造システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため本発明の海水中金属捕集材の製造方法は、高分子合成材料を糸の状態で放射線照射して、グラフト重合し金属捕集能を有する官能基を導入し、処理後の高分子合成糸をモール状に編み上げて捕集材とすることを特徴とする。
また、高分子合成材料のペレットを溶融紡糸して、糸の走行中に放射線照射してボビンに巻き取ることにより、グラフト重合をする前の中間製品とすることを特徴とする。紡糸ボビンに巻き取った糸は撚糸装置により複数を縒り合わせて、より大型のボビンに巻上げても良い。
【0011】
さらに、放射線を照射した紡糸糸あるいは撚糸糸はボビンに巻いた状態で、ボビンキャリア上に重積して反応槽に装填し、反応槽でグラフト重合処理およびキレート基導入処理を行い、洗浄後ボビンキャリアに重積したまま取り出し、乾燥槽に移動して乾燥することを特徴とする。
なお、放射線を照射する対象が糸の状態で展開されたものであるため、透過力が弱い150keV程度の低エネルギーの電子線を利用することができ、設備および運用のコストを削減し、操作員の放射線被曝も比較的容易に回避することができる。
また、紡糸して使用する高分子合成材料は、繊維化が可能な熱可塑性の材料でなければならない。特に、海水中で利用する場合は、漁網などで十分な実績を積んでいるポリエチレンを使用することが好ましい。
【0012】
本発明の海水中金属捕集材の製造方法によれば、従来モール状に形成された繊維に対して放射線を照射するためバッチ式であった放射線照射処理工程が、糸の状態で照射して連続化するため、製造速度を上昇させることができ大量生産に適する。
なお、電子線を照射する糸は、紡糸工程における巻取り前のものに代えて、巻き取った紡糸糸や、撚糸であってもよい。市場から購入した汎用の糸をボビンからほどきながら電子線照射装置に掛けてもよい。
【0013】
また、糸の状態で電子線を照射するので、照射厚さが小さいため、比較的小さな電子線照射装置でも必要照射量が確保でき、設置費用が低廉化し、操作が簡単化する。
糸の走行中に放射線照射するため、糸が万遍なく活性化するので、モール状の捕集材に形成されたときにも、捕集材の内部まで金属捕集能を有する官能基が形成されることになる。したがって、捕集材の回収効率が向上する。
【0014】
高圧の反応槽を使用して、グラフト重合と化学処理及び洗浄処理を1槽で行うことにより、効率的にグラフト処理とキレート基導入処理を行うことができる。
また、1基の反応槽で、グラフト重合とキレート基導入処理を連続して行うため、製造速度を上げて大量製造を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を用いて、本発明の海水中金属捕集材の製造方法を詳細に説明する。
図1は、捕集材の製造フロー図、図2は放射線照射工程の設備構成を示すブロック図、図3は化学処理工程のブロック図、図4は海水中金属捕集材の外観図、図5は従来の製造工程のフロー図である。
海水中金属捕集材の製造工程は、照射工程、化学処理工程、製紐工程の3工程からなる。
従来の製造工程は、図5に示すように、初めに製紐工程があって、モール状の捕集材素材を形成し、これを照射工程に置いて、γ線照射し、照射して活性部を形成した素材をグラフト重合させ、一旦洗浄処理してからキレート基を導入し、さらに洗浄処理後乾燥処理して捕集材にする。
【0016】
これに対して、本実施例における製造工程では、図1に示すように、初めに捕集材になる素材を糸の状態で電子線照射し、その後に化学処理して乾燥処理して、図4に示すようなモール状に形成して捕集材とする。
照射工程は、図2のブロック図に示すように、紡糸装置1、電子線照射装置2、巻取り装置3、撚糸装置4を使って、高分子基材を紡糸して(S1)巻き取る間に放射線を照射し(S2)、ボビンに巻き取った照射済みの糸を複数撚り合わせて大きなボビンに巻上げて(S3)、化学処理の原料糸とする工程である。
【0017】
高分子基材は、ペレットの形態でホッパ5に供給され、所定の速度で紡糸装置1に送り込まれ、紡糸装置1で溶融され、細孔が水平に多数並んだノズル板から押し出されて、例えば径23μm程の多条の合成繊維フィラメントになる。糸は巻取り装置3によりモノフィラメントとしてあるいは適当本数ずつ合糸してボビンに巻き取られるが、紡糸装置1と巻取り装置3の間に電子線照射装置2が配設されていて、糸が電子線照射装置2内を通過する間に電子線照射を受けるようになっている。
高分子基材は、ポリプロピレンやポリエチレンなどグラフト重合を施しやすい繊維化可能な熱可塑性高分子材料が選択されるが、海中で使用する場合は、漁網などで実績があるポリエチレンを用いることが好ましい。
【0018】
電子線照射装置2では、たとえば、速度100m/minで平行に走行する多数本の紡糸糸に電子線を50kGy照射して、紡糸糸中にグラフト重合するための活性基を形成する。従来技術では、照射対象が厚いためγ線を使っているが、本実施例では平行に並んだ細い糸が対象であるため、電子線を使うことができる。γ線などの放射線照射装置と比較すると、同じ照射量を得るための電子線発生装置は簡単、小型、安価で取扱も容易である。また、糸が展伸した状態で照射するため、照射ムラのない確実な照射が可能である。
【0019】
なお、電子線照射領域を適切な照射条件に調整するため、たとえば低温の不活性ガス雰囲気で満たすなどの必要があるので、電子線照射装置2には雰囲気調整設備6が付属している。
本実施例の電子線照射方法によれば、高分子繊維糸は1本ごとに万遍なく電子線に曝露されるため、全長に亘って電子線の作用を受け同じ密度で活性基を有する糸になる。
【0020】
巻取り装置3でボビンに巻き取った照射済み高分子繊維糸は、撚糸装置4に移して、適当数のボビンごとに纏めてたとえば7400本集めた適当な太さをもつ合糸として、より大きなボビンに巻き直される。撚糸装置4で巻き直すためのボビンは、次の化学処理工程における使い勝手を考慮したもので、中空のボビン芯の壁には薬液を流通させるための孔が多数設けられている。
なお、電子線照射により糸中に生成した活性は1日程度では失われないが、活性が余り劣化しないうちに次の化学処理工程で処理することが望ましい。
【0021】
なお、本実施例では、電子線照射装置2を紡糸装置1と巻取り装置3の間に設置して、紡糸工程の途中で電子線照射をするが、電子線照射装置2を紡糸装置1とは独立に設置して、紡糸装置1から押し出された紡糸糸を巻取り装置3で巻き取った後のボビンを電子線照射装置2の前に並べて、ボビンから解じょされた多数本の紡糸糸を平行に並べて電子線照射領域を通るようにして照射処理をするようにしても良い。電子線照射された高分子合成繊維糸は撚糸装置4により合糸してボビンに巻き取るようにすることができる。
このように紡糸と電子線照射の工程を分離した場合は、必要な装置が増加するが、操作の自由度が増加し、紡糸条件と照射条件の整合性に煩わされることなく処理をすることができる。また、市販の糸をそのまま利用することも可能である。
【0022】
化学処理工程は、図3のブロック図に示すように、反応槽11と乾燥槽12を主要設備として、照射した糸を巻いたボビンを反応槽11に収納し、グラフト重合して(S4)洗浄し(S5)、キレート基を導入して(S6)洗浄した後(S7)、乾燥槽12に移して乾燥し(S8)、捕集材を作製するための糸を巻いた化学処理後ボビンたる中間製品を得る工程である。
【0023】
撚糸工程で生成した照射済み繊維糸ボビンは、適当数を図3に示すようなボビンキャリアに装荷して、反応槽11に仕込む。ボビンキャリアは中心にボビンキャリアを吊すための支持棒が、またその周囲に例えば42本など多数の中空のスピンドルが垂直に設けられている。スピンドルには繊維糸ボビンの中空軸を貫通して固定する。各スピンドルごとに例えば6個など複数のボビンが直列に挿入できる。
【0024】
スピンドルは、挿入した繊維糸ボビンの薬液流通孔が設けられた部分に対応する部分に孔が開いていて、図3に矢印で示すように、ボビンキャリアを反応槽に仕込んだときにボビンキャリアの底部の接続口を介してスピンドル内に供給される薬液が、スピンドル側から繊維糸ボビンの流通孔を通してボビンに巻かれた繊維糸に供給されるようになっている。繊維糸から滲み出した薬液は、反応槽11の底に溜まって、注入ポンプ16により吸い出され、再びスピンドルに戻され、循環して化学処理に寄与する。
【0025】
なお、薬液が反応槽11内でボビンを浸すところまで溜めて、繊維糸が浸漬して化学反応するようにしても良い。
また、図示していないが、接続口に繋がる配管が注入ポンプの吸い込み側と吐出側で切り替えて接続できるようになっていて、ボビンの外側から内側に薬液が流れるように切り替えることができ、薬液の流れをボビンの内側から外側と外側から内側とに適宜切り替えて、ボビンに巻かれた捕集材用糸をムラなく化学処理することができる。
【0026】
反応槽11内では、ボビンキャリアに装荷された状態で搬入された照射済み高分子繊維糸に対してグラフト重合処理、洗浄、キレート基導入処理(アミドキシム化処理)、洗浄を順番に施す。
反応槽11には、それぞれの化学処理に必要な薬液を準備し貯蔵する薬液槽13,14が付随する。薬液槽13,14には、原料の種類に応じた図外の原液槽が接続されており、目的に従って各原液を調合し混合して貯蔵する。
【0027】
グラフト重合処理は、重合性モノマーであるアクリロニトリルに界面活性剤を加えた水溶液を使用して、窒素雰囲気中で反応させる。電子線照射により励起された部分に重合性モノマーをグラフト重合させてグラフト側鎖を形成させる。なお、重合性モノマーとして、アクリロニトリルの他に、メタクリル酸、グリシジルメタクリレート、アクリル酸など、各種の成分を単独あるいは混合して使用することができる。
【0028】
反応後の水溶液は可逆ポンプ作用を有する薬注ポンプ15で薬液槽13に戻して次のグラフト重合処理に再利用する。なお、グラフト反応により薬液中の成分が消費されるので、原液槽から不足原液を補充しておく必要がある。反応槽11が空になったら、グラフト重合処理済みの繊維糸を図外の薬液槽から供給するジメチルホルムアミドで洗浄する。洗浄液も洗浄後に回収して成分調整し再利用する。
繊維糸は、グラフト重合を行うことにより重量が約2倍になる。
【0029】
次に、キレート基導入処理として、メタノールとヒドロキシルアミンを純水に溶かした薬液を供給してアミドキシム化処理をする。重合性モノマーからなるグラフト側鎖にキレート基を導入して、金属捕集能を付与する。金属捕集能が優れるキレート基には、イミノジ酢酸基、スルホン酸基、リン酸基、2−ピロリドン基などがあるが、アミドキシム基は極めて性能が高いことが分かっている。
【0030】
反応後の薬液は薬注ポンプ15を用いて薬液槽14に戻入し、成分調整して次の反応に再利用する。
反応槽11が空になったら、キレート基導入済みの繊維糸を図外の薬液槽から供給するアルコール水溶液で洗浄処理する。洗浄後の洗浄液も回収して成分調整し再利用する。
本実施例の反応槽11は、1つの反応槽内で、ボビンを入れ換えることなく、薬液の方を入れ換えて2段の反応を行わせるので、効率よく大量の製品を製造することができる。
【0031】
化学処理が終了した高分子繊維糸は、ボビンキャリアに装荷されたまま、反応槽11から取り出し乾燥装置に移送して、乾燥槽12に収納する。
乾燥装置は、化学処理後の繊維糸を熱風循環方式で乾燥する装置で、乾燥槽12とブロワ17とヒータ18と脱水器19を主要な機器として構成されている。
ヒータ18により乾燥温度を制御し、循環する空気は脱水器19で冷却され凝結した水分が取り除かれる。
【0032】
化学処理され乾燥された捕集材用糸材は、ボビンに巻かれた状態で製紐装置に搬送され、図4に示すようなモール状の捕集材に仕上げられる。
モール状捕集材は、グラフト側鎖にキレート基を導入した高分子繊維基材を芯を中心にして放射状に多段に編み出してモール状に整形した回転ブラシ様の金属捕集材である。捕集材を適当な条件で形成すると、モール1m当たり1kgの重量を持つようになるが、比重は海水より小さいので浮くので、一端をアンカーで海底に固定すれば、海草のように海水中を漂う。なお、芯には浮きあるいは錘を仕込んで浮力を調整することができる。
【0033】
なお、捕集材を海洋生物が付着しない40mあたりから深度100mの海底に達するように設置するとすれば、捕集材の長さは60m、重量は60kgになる。
また、捕集材を一定の位置に係留するため、アンカーを備える。
捕集材を製造する製紐装置は、漁網製造などで一般に使用されている装置を利用することができる。
キレート基により捕集材に固定されるウランは、捕集材1kg当たり、現状の実績で1.5gであるが、理論値が10gであるので、今後の研究により4〜6g程度は期待できる。
【0034】
アミドキシム基に捕集されたウランは、希塩酸または硝酸により高い効率で溶離することができる。たとえば、ウランを含んだ硝酸溶液はアンモニア沈殿法によりウランが粗重ウラン酸アンモニウムとして硝酸溶液中から分離され回収される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の1実施例に係る捕集材の製造工程図である。
【図2】本実施例における電子線照射設備のブロック図である。
【図3】本実施例における化学処理設備のブロック図である。
【図4】本実施例により製造される海水中金属捕集材の外形図である。
【図5】従来の捕集材の製造工程図である。
【符号の説明】
【0036】
1 紡糸装置
2 電子線照射装置
3 巻取り装置
4 撚糸装置
5 ホッパ
6 雰囲気調整設備
11 反応槽
12 乾燥槽
13、14 薬液槽
15 薬注ポンプ
16 注入ポンプ
17 ブロワ
18 ヒータ
19 脱水器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子合成材料を糸の状態で放射線照射して、グラフト重合し金属捕集能を有する官能基を導入し、処理後の高分子合成糸をモール状に編み上げて捕集材とすることを特徴とする海水中金属捕集材の製造方法。
【請求項2】
前記放射線は電子線であることを特徴とする請求項1記載の海水中金属捕集材の製造方法。
【請求項3】
前記高分子合成材料のペレットを溶融紡糸して巻き取る間に放射線照射することを特徴とする請求項1または2記載の海水中金属捕集材の製造方法。
【請求項4】
前記高分子合成材料はポリエチレンであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の海水中金属捕集材の製造方法。
【請求項5】
放射線照射領域に並列した糸を通過させる放射線照射装置と、巻取り装置と、薬液槽を付設した反応槽と、乾燥槽を備え、前記放射線照射装置で高分子合成繊維糸に放射線照射して、前記巻取り装置で放射線照射処理後の糸をボビンに巻取り、前記反応槽で前記ボビンに巻いた糸を収納し前記薬液槽に準備された薬液を供給してグラフト重合と化学処理およびその後の洗浄処理をし、前記乾燥槽で前記反応槽から移した前記ボビンに巻いた糸を熱風乾燥するようにした海水中金属捕集材の製造装置。
【請求項6】
前記放射線照射装置が放出する放射線は電子線であることを特徴とする請求項5記載の海水中金属捕集材の製造装置。
【請求項7】
前記放射線照射装置を通過する糸は高分子合成材料のペレットを溶融紡糸して巻き取る途中のものであることを特徴とする請求項5または6記載の海水中金属捕集材の製造装置。
【請求項8】
前記高分子合成材料はポリエチレンであることを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載の海水中金属捕集材の製造装置。
【請求項9】
前記反応槽と乾燥槽は、多数のボビンを重積してセットするボビンキャリアを格納するものであることを特徴とする請求項5から8のいずれかに記載の海水中金属捕集材の製造装置。
【請求項10】
前記ボビンキャリアは、中心に該ボビンキャリアを吊すための支持棒が垂直に設けられ、またその周囲に中空で殻に孔が開いた多数のスピンドルが垂直に設けられ、該ボビンキャリアの底部に薬液配管との接続口が設けられていて、該スピンドルには前記ボビンの中空軸を貫通して固定でき、前記底部の接続口と前記スピンドル内の中空部が連通するものであることを特徴とする請求項5から9のいずれかに記載の海水中金属捕集材の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−69157(P2007−69157A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−260971(P2005−260971)
【出願日】平成17年9月8日(2005.9.8)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 【発行者名】社団法人日本原子力学会【刊行物名】日本原子力学会 2005年秋の大会 予稿集【発行年月日】平成17年8月12日
【出願人】(000173809)財団法人電力中央研究所 (1,040)
【出願人】(505374783)独立行政法人 日本原子力研究開発機構 (727)
【出願人】(500213410)カワサキプラントシステムズ株式会社 (25)
【Fターム(参考)】