説明

海苔茶及びその製造方法並びに海苔茶飲料

【課題】海苔に含まれる栄養素、食物繊維及び良質なたんぱく質を手軽にかつ効率よく摂取することができる海苔茶及びその製造方法並びに海苔茶飲料を提供する。
【解決手段】乾燥海苔を粒径が1mm以下になるように粉砕した海苔粉末に、粒径300μm以下の海苔微粉末を5〜30質量%混合して海苔茶とする。そして、この海苔茶を、茶こし、ティーバッグ及びコーヒーフィルター等に入れて湯を注ぎ、これにより抽出されたものを海苔茶飲料とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海苔を主成分とし、茶こし、ティーバッグ及びコーヒーフィルター等に入れて湯を注ぐことにより成分を抽出して飲用する海苔茶及びその製造方法、並びにこの海苔茶を使用した海苔茶飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、乾燥海苔は、摘み取った生の海苔を水洗し、裁断及び脱水した後、水分量が所定量以下となるように乾燥して製造されている(例えば、特許文献1参照)。また、従来、海苔を使用した食品としては、ゼラチン、水飴及び多糖類等の粘性物質を使用して、海苔にゴマを付着させた加工海苔製品(特許文献2参照)、並びに、生海藻海苔に粉末状の野菜を混合して、圧縮・乾燥させた野菜入り海苔(特許文献3参照)等も提案されている。
【0003】
更に、従来、分子量が20万以上の成分を除去した海藻抽出物を主成分とする海藻飲食品も開発されている(特許文献4参照)。この特許文献4に記載の海藻飲食品は、海藻類を温和な条件で抽出処理し、得られた抽出物を、限外濾過、クロマトグラフィー、遠心分離、透析及び逆浸透等により分子分画して、生臭味・ざらつき感の原因となる分子量が20万以上の成分を除去し、更に、必要に応じて分子区画の前又は後に乳酸菌又は酵母により発酵処理することにより製造される。
【0004】
一方、茶細片に海苔細片を混合した茶入り食品も提案されている(特許文献5参照)。特許文献5に記載の茶入り食品では、茶の含有する有効成分を効率よく摂取することができ、食べた際に渋み、苦味を感じなくするために、一辺の長さが1.8mm未満のふるいの目を通過せず、1.8〜2.4mmのふるいの目を通過する大きさに粉砕した茶細片と、一辺の長さが3.6mm未満のふるいの目を通過せず、3.6〜5.0mmのふるいの目を通過する大きさに粉砕した海苔細片とを、1.5:1〜2.5:1の質量比で混合している。
【0005】
【特許文献1】特開平8−38113号公報
【特許文献2】特開平10−28560号公報
【特許文献3】実用新案登録第3099313号公報
【特許文献4】特開平3−172147号公報
【特許文献5】特許第2519868号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述した特許文献4に記載の海藻飲食品は、海藻抽出成分のうち分子量が20万以上の成分を除去しているため、海苔等の海藻類に含まれる成分の全てを摂取することはできないという問題点がある。また、特許文献5に記載の茶入り食品は、茶細片を食べることを目的とした加工食品であり、茶及び海苔を歯で噛み砕かねばならないため、茶細片及び海苔細片の大きさによって、食感、配合割合及び含有成分の体内への吸収率が変化するという問題点がある。このように、従来、海苔中の成分の全てを手軽に摂取できる飲食品はなかった。
【0007】
本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、海苔に含まれる栄養素、食物繊維及び良質なたんぱく質を手軽にかつ効率よく摂取することができる海苔茶及びその製造方法並びに海苔茶飲料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る海苔茶は、乾燥海苔を粒径が1mm以下になるように粉砕した海苔粉末を主成分とし、更に、粒径300μm以下の海苔微粉末を5〜30質量%含有することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る他の海苔茶は、乾燥海苔を粒径が1mm以下になるように粉砕した海苔粉末を主成分とし、更に、茶粉末、梅干粉末、梅酢粉末及び魚粉末のうちの少なくとも1種を含有することを特徴とする海苔茶。
【0010】
これらの海苔茶は、前記海苔粉末の粒径を500μm以下とすることもできる。
【0011】
本発明に係る海苔茶の製造方法は、生海苔を乾燥して乾燥海苔を得る工程と、前記乾燥海苔を粉砕して粒径が1mm以下の海苔粉末と粒径が300μm以下海苔微粉末とを得る工程と、前記海苔粉末と前記海苔微粉末とを混合する工程とを有することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る他の海苔茶の製造方法は、生海苔を乾燥して乾燥海苔を得る工程と、前記乾燥海苔を粉砕して粒径が1mm以下の海苔粉末を得る工程と、前記海苔粉末に、茶粉末、梅干粉末、梅酢粉末及び魚粉末のうちの少なくとも1種を混合する工程とを有することを特徴とする。
【0013】
これらの海苔茶の製造方法では、前記海苔粉末の粒径を500μm以下にしてもよい。
【0014】
本発明に係る海苔茶飲料は、前述した海苔茶から抽出したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、粒径が1mm以下の海苔粉末を主成分としているため、水またはお湯により、海苔に含まれる栄養素、食物繊維及び良質なたんぱく質を容易に抽出することができ、海苔に含まれる栄養成分を手軽にかつ効率よく摂取できる海苔茶飲料が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。本発明の海苔茶は、粒径が1mm以下の海苔粉末を主成分とするものである。海苔粉末の粒径が1mmを超えると、茶こし、ティーバッグ及びコーヒーフィルター等の一般的な方法では、海苔に含まれる成分を抽出しにくくなる。また、茶こし等のように目が粗いものを使用した場合、海苔粉末が抽出液中に混入することがあるが、そのような場合、粒径が1mmを超えた海苔粉末は、口に残りやすく、歯や歯茎にまとわり付くため、口当たりが悪くなる。よって、主成分となる海苔粉末の粒径は1mm以下とする。なお、本発明の海苔茶の主成分となる海苔粉末は、粒径が500μm以下であることが望ましく、これにより、海苔に含まれる成分が水や湯に溶出しやすくなるため、栄養素、食物繊維及び良質なたんぱく質を手軽にかつ効率よく摂取することができると共に、口当たりが良くなり、食感が向上する。
【0017】
また、本発明の海苔茶には、前述した海苔粉末に加えて、粒径が300μm以下の海苔微粉末を、5〜30質量%添加することもできる。この海苔微粉末は、海苔粉末に比べて粒子が細かいため、海苔茶を茶こしやコーヒーフィルター等に入れて水や湯でその成分を抽出した際に、抽出液(海苔茶飲料)中に海苔微粉末が混入する。これにより、海苔自体を摂取することができるようになるため、海苔の栄養素、食物繊維及び良質なたんぱく質を余すところなく、効率的に摂取することができる。
【0018】
更に、本発明の海苔茶においては、海苔粉末以外の成分として、粉末状の茶葉(茶粉末)、梅干を粉末状に加工したもの、梅酢をフリーズドライした粉末、いわし等の魚を乾燥して粉末状にしたもの、海老等の甲殻類を乾燥して粉末状にしたもの、牡蠣等の貝類を乾燥して粉末状にしたもの、果物、種、木の実又は野菜等を乾燥して粉末状にしたもの等が含まれていてもよい。これらの粉末の粒径は、水・湯等への溶解性に応じて適宜選択することができるが、前述の海苔粉末と同様に1mm以下とすることが望ましい。これにより、歯で噛み砕かなくても、例えば、茶葉に含まれるカテキン、梅干及び梅酢に含まれるクエン酸、魚に含まれるDHA、甲殻類に含まれるキトサン、貝類に含まれるタウリン及び亜鉛等のように、各粉末に含まれる有効成分を効率よく摂取することができる。なお、海苔粉末とこれら添加成分との混合比は、特に限定されるものではなく、味及び含有成分等に応じて適宜調整することができる。例えば、海苔粉末に茶粉末を混合する場合は、茶粉末を全体の10〜50質量%とすることが望ましい。
【0019】
次に、このような海苔茶の製造方法について説明する。本発明の海苔茶を製造する際は、先ず、摘み取った生の海苔を水洗し、フリーズドライ、遠赤外線乾燥及び熱風乾燥等の公知方法で乾燥させる。なお、フリーズドライ乾燥を適用する場合は、水洗いした生海苔及びその他の原料を、水分を含んだ状態で後述する粉砕工程を実施し、その後乾燥工程を行うこともできる。
【0020】
次に、超精密粉砕機等により、乾燥海苔を、粒径が1mm以下、好ましくは500μm以下になるように粉砕して海苔粉末を得る。その際の粉砕条件は、特に限定されるものではなく、粉砕装置、海苔の状態及び目標とする粒径に応じて適宜設定することができる。例えば、超精密粉砕機を使用する場合、乾燥した海苔をホッパーに投入し、ローターとブレードの間隔を300μmに設定して、加工を行う。その際、投入された海苔は、高速で回転するローターとその外周に多数配置されたブレードのエッジ部で生じる衝撃、せん断、圧縮、摩擦等の複合的な作用により、所定の粒径にカッティングされる。そして、粉砕後の海苔は、ブレード間の微小な開口部から粉砕室外部に吐出され、粒度分布が安定した海苔粉末が得られる。この超精密粉砕機は、ブレードの枚数を変更することにより、祖粉砕から超微粉砕まで、各種粒径の粉末を作製することができる。なお、粉砕後の海苔粉末を保管する際は、乾燥剤及び脱酸素剤により、吸湿及び酸化を防止することが望ましい。
【0021】
次に、上述の方法で粉砕して得た粉末海苔に、必要に応じて、粒径が300μm以下の海苔微粉末、及び/又は、粒径が1mm以下の茶粉末、梅干粉末、梅酢粉末、魚粉末、甲殻類粉末、貝粉末、果物粉末、種粉末、木の実粉末及び野菜粉末のうちの1種以上を加えてもよい。これらの粉末は、乾燥した状態のものを超精密粉砕機等で粉砕することにより得られる。また、海苔粉末と、海苔微粉末、茶粉末、梅干粉末、梅酢粉末、魚粉末、甲殻類粉末、貝粉末、果物粉末、種粉末、木の実粉末及び/又は野菜粉末との混合は、例えば微粉体混合機等の公知の装置により容易に行うことができる。更に、混合後の海苔茶は、例えば、微粉体用計量充填機等により計量し、袋詰めされる。
【0022】
上述の如く製造された本発明の海苔茶は、例えば、茶こし、ティーバック及びコーヒーフィルター等に入れ、熱湯を注ぐことにより、海苔に含まれる優良な食物繊維、良質のたんぱく質、栄養豊富な多種のビタミン類、特に、ビタミンA群及びB群が抽出され、更には、呈味成分であるグルタミン酸ソーダ、イノシン酸、グアニル酸及びマニトール等をも含む栄養価が高く、美味しい抽出液(海苔茶飲料)が得られる。この海苔茶飲料は、そのまま飲むことも可能であるが、必要に応じて塩を加えることもできる。
【0023】
更に、茶こし、ティーバック及びコーヒーフィルター等に残った抽出後の海苔粉末は、容器に移して酢及び砂糖等の調味料を加えることで、酢の栄養と海苔の栄養とが加わり、健康によく、美味しい酢の物とすることができる。このように、本発明の海苔茶は、余すことなく、その全てを食すことができる。
【0024】
なお、海苔茶に海苔微粉末が混合されている場合、抽出の際に使用するティーバック又はコーヒーフィルターは、その底部に、海苔微粉末が通過する程度の穴が形成されていることが望ましい。
【0025】
以上、詳述したように、本発明の海苔茶は、乾燥海苔を粉砕して得た粒径が1mm以下の海苔粉末を主成分としているため、海苔に含まれる栄養素、食物繊維及び良質なたんぱく質を容易に水又は湯に溶出させることができる。その結果、水又は湯を注ぐだけで、海苔に含まれる栄養成分を手軽にかつ効率よく摂取できる海苔茶飲料が得られる。また、より粒径が細かい海苔微粉末を加えることにより、海苔自体を摂取することができるようになるため、海苔の栄養素、食物繊維及び良質なたんぱく質を余すところなく、効率的に摂取することができる。更には、茶粉末、梅干粉末、梅酢粉末、魚粉末、甲殻類粉末、貝粉末、果物粉末、種粉末、木の実粉末及び/又は野菜粉末等を加えると、カテキン、クエン酸、DHA、キトサン、タウリン及び亜鉛等の栄養成分をも手軽にかつ効率よく摂取することができる。そして、本発明の海苔茶は、幼児用の離乳食、介護が必要な高齢者用、特に歯がなく胃腸も弱い人用の食事に好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥海苔を粒径が1mm以下になるように粉砕した海苔粉末を主成分とし、更に、粒径300μm以下の海苔微粉末を5〜30質量%含有することを特徴とする海苔茶。
【請求項2】
乾燥海苔を粒径が1mm以下になるように粉砕した海苔粉末を主成分とし、更に、茶粉末、梅干粉末、梅酢粉末及び魚粉末のうちの少なくとも1種を含有することを特徴とする海苔茶。
【請求項3】
前記海苔粉末の粒径が500μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の海苔茶。
【請求項4】
生海苔を乾燥して乾燥海苔を得る工程と、
前記乾燥海苔を粉砕して、粒径が1mm以下の海苔粉末と、粒径が300μm以下海苔微粉末とを得る工程と、
前記海苔粉末と前記海苔微粉末とを混合する工程と、
を有することを特徴とする海苔茶の製造方法。
【請求項5】
生海苔を乾燥して乾燥海苔を得る工程と、
前記乾燥海苔を粉砕して、粒径が1mm以下の海苔粉末を得る工程と、
前記海苔粉末に、茶粉末、梅干粉末、梅酢粉末及び魚粉末のうちの少なくとも1種を混合する工程と、
を有することを特徴とする海苔茶の製造方法。
【請求項6】
前記海苔粉末の粒径を500μm以下にすることを特徴とする請求項4又は5に記載の海苔茶の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の海苔茶から抽出したことを特徴とする海苔茶飲料。

【公開番号】特開2008−67665(P2008−67665A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−251377(P2006−251377)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(593139422)
【出願人】(506271223)株式会社まごころ一級屋 (1)
【Fターム(参考)】