説明

海藻抽出物を含有する自己接着性ポリマーマトリックス

本発明は、水中で形成するポリマー、好ましくはポリアクリル酸ポリマー、水、海藻抽出物および一価もしくは多価アルコールから成る粘着性ポリマーマトリックスに関する。マトリックスは親水性活性物質でもしくは疎水性活性物質すらでドープすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水中でゲル−形成性であるポリマー、好ましくはポリアクリル酸ポリマー、水、海藻抽出物および一価もしくは多価アルコールから成る自己接着性ポリマーマトリックスに関する。マトリックスは親水性あるいはまた疎水性活性物質でドープすることができる。1種もしくは複数の有効物質の選択は皮膚の特定の要求の機能である適用分野に従って実施される。
【背景技術】
【0002】
皮膚は連続的に変化している環境の影響にさらされ、更に長期にわたり一連の変化にさらされる。例えば、以下に説明されるように、バリヤー性、皮膚の皺および弾性、色素沈着[例えば、老人斑もしくは色素沈着異常(例えば肝斑、等)]に変化が起り、そしてとりわけ外因性影響の結果として、更に様々な炎症性反応、UV光線、すなわち日光に対する露出後の皮膚反応および/もしくはヒゲソリの結果としての過敏(irritation)が起る。
【0003】
日光の有益な効果(例えば一般的な健康)、ビタミンD3の形成およびアクネの処置のみならずまた、考慮しなければならない不都合な効果も存在する。
【0004】
皮膚に対する太陽光線の紫外線部分の有害な効果は一般に知られている。UVC領域として知られる290nm未満の波長の光線は地球の大気層中のオゾン層により吸収されるが、UVB領域として知られる290nm〜320nmの間の領域の光線は皮膚上に紅斑、軽い日焼けまたは多かれ少なかれ重症の熱傷すらを誘起する。
【0005】
UVB光線を遮蔽する多数の化合物が知られており、概括的に3−ベンジリデンカンファー、4−アミノ安息香酸、ケイ皮酸、サリチル酸、ベンゾフェノンおよび2−フェニルベンズイミダゾールの誘導体である。
【0006】
地球に到達する紫外線の約90%は320nm〜400nmの間の波長を有するUV−A光線から成る。UV−B光線は多数の因子(例えば季節、1日の時間もしくは緯度)により著しく変動するが、UV−A光線は季節、1日の時間もしくは地理的因子と独立して、日々比較的一定に留まる。同時に、UV−A光線の主要部分は生存表皮を透過するが、他方、UV−B光線の約70%は角質層により保持される。
【0007】
従って、UVA領域の光線を遮蔽するためには、それらの光線安定度が不適切であるジベンゾイルメタンの特定の誘導体が使用される(非特許文献1参照)。
【0008】
長い間、長波長のUV−A光線は無視できる生物学的効果を有するのみであり、従ってヒトの皮膚に対する大部分の光線損傷の原因となるのはUV−B光線であると、誤って推定されていた。しかし、その後の多数の研究により、UV−A光線が皮膚に対する光力学反応、特に光毒性反応および慢性の変化の引き金となることに関して、UV−B光線よりはるかに危険であることが示された。従ってUVA光線が結合組織の弾性繊維およびコラーゲン繊維に対して損傷をもたらし、それが皮膚の早期老化をもたらすことが明らかになった。ここで皮膚の弾性および水分貯蔵能が低下し、すなわち皮膚がその滑らかさを減少し、皺を形成する傾向をもつ。この種の皺形成はまた、光誘発皮膚老化とも呼ばれる。日照の強い場所における皮膚癌の著しく高い発症率が、細胞中の遺伝情報に対する損傷がまた日光によりもたらされることを明らかに示す。更に、UV−B光線の損傷効果はUV−A光線により更に増強され得る。
【0009】
光線誘発皮膚老化に対するUV光線の異なる波長領域の寄与は完全には解明されていないので、今日、例えば化粧品もしくは皮膚科学的調製物の形態の皮膚に対する日焼け止め物質の適用により、UV−A光線そしてUV−B光線双方に対する予防的遮蔽が基本的に重要であることがますます推定されている。化粧品もしくは皮膚科学的組成物は薄い層で皮膚に適用されると、太陽光線の不都合な結果に対して皮膚を防御するはずである。
【0010】
しかし、UV光線はまた、前記のように、光化学反応をもたらし、次にその光化学反応生成物が皮膚の代謝に介入する。
【0011】
この種の光化学反応生成物は主としてフリーラジカル化合物、例えば、ヒドロキシルラジカルである。皮膚自体中で形成する未確定のフリーラジカルの光生成物も同様に、それらの高い反応性により制御されない二次的反応を示すかも知れない。しかし、短寿命のエポキシドおよび数々の他の物質と同様に、酸素分子の非ラジカルの励起状態の1重項酸素も同様にUV照射時に存在することができる。例えば、1重項酸素はその増加した反応性により、通常存在する3重項酸素(フリーラジカルの基底状態)と区別される。しかし、励起した、反応性(フリーラジカルの)の3重項状態の酸素分子も存在する。様々な皮膚構造物に対する酸化的損傷により、この種の過程は光誘発皮膚老化(皺を含む)に非常に実質的な役割を果たす。
【0012】
更に、UV光線はイオン化光線である。従って、UV露出下ではイオン物質が形成される危険があり、その際、これらの物質はそれら自体、生化学過程に酸化的に介入する能力を有する。
【0013】
これらの反応を予防するために、更なる抗酸化剤および/もしくはフリーラジカルスカベンジャーを化粧品および/もしくは皮膚科学的調製物中に取り入れることができる。
【0014】
日光遮蔽調製物中への知られた抗酸化効果を有する物質のビタミンEの使用はすでに提唱されていたが、ここで達成された効果はまた、期待効果には遠く及ばなないままである。
【0015】
従って光感受性皮膚、特に光線皮膚症、好ましくは多形性皮膚症の予防および処置のために役立つ調製物および更に日光遮蔽調製物中に、有効な化粧品、皮膚科学的および製薬学的物質を提供することが本発明の目的であった。
【0016】
多形性光線皮膚症に対するその他の用語はPLD、PLE、マジョルカアクネおよび文献(例えば非特許文献2)中に報告されたような更なる名称の主役である(非特許文献2参照)。
【0017】
抗酸化剤は主として、それらを含んで成る調製物の劣化から防御するための物質として使用される。しかし、ヒトおよび動物の皮膚においても同様に、望ましくない酸化過程が起る可能性があることが知られている。
【0018】
”Oxidative Stress in Dermatology(皮膚科学における酸化ストレス)”中の論文”Skin Diseases Associated with Oxidative Injury(酸化損傷に伴う皮膚疾患)”(非特許文献3)は皮膚に対する酸化的損傷およびそのより詳細な原因を提示している(非特許文献3参照)。
【0019】
このような反応を予防する目的のために、抗酸化剤および/もしくはフリーラジカルスカベンジャーを更に、同様に化粧品もしくは皮膚科学的調製物中に取り入れることができる。
【0020】
特定の抗酸化剤およびフリーラジカルスカベンジャーが知られている。従って特許文献1および2中に、そして多数のその他の文献から、日光遮蔽調製物中に、知られた抗酸化効果をもつ物質のビタミンEを使用することはすでに提唱されているが、しかしここでも再度、達成された効果は期待されたものには遠く及ばないままである。
【0021】
従って、先行技術の欠点を回避するための方法を見いだすことが本発明の目的であった。とりわけ、環境の有害物により誘起される損傷の回避効果および予防が耐久性で(durable)、維持され、そして副作用の危険性のないものであることが意図された。
【0022】
これらの欠点を是正することが本発明の目的であった。
【0023】
日光浴は大部分の人々により快適なものであると認められ、有害な結果が開始することは考えられていない。しかし、近年、過剰に強度な太陽照射の不都合な結果の認識が確実に生まれてき、従って、より強度に防御する日光遮蔽組成物の使用が増加傾向にある。
【0024】
日焼けもしくは日光紅斑は光線に対する露出の急性の症状を表わす。すでに述べられたUV光線の効果のみならずまた、皮膚の二次的反応が更に、皮脂産生の減少および皮膚の乾燥をもたらす。従って、軽度損傷皮膚を緩和しそして手当てするために、例えば、
・脂肪修復剤および加湿剤、
・炎症緩和および冷却物質、
・局所麻酔物質並びに/または
・可能な皮膚の感染症を予防するための消毒物質、
のような特定の活性物質を使用することができる。
【0025】
皮膚が太陽もしくは人工光線源に長く露出し過ぎると、前記のように2〜3時間の潜伏期間後に、非照射皮膚から強く区画される皮膚の赤化が起る−この赤化は日光紅斑と呼ばれる。このようにして起った日焼けは以下のように区別される:
・第1度:紅斑(赤化、暖かい感触)、
2〜3日後に消失し、色素沈着の同時増加とともに消失する。
・第2度:水ぶくれ、
焼ける感触と掻痒を伴って皮膚上に水ぶくれが形成し、表皮領域が剥がれる、
・第3度:細胞損傷、
深部細胞の損傷が起り、身体は熱を伴って反応し、表皮の広い領域が剥がれる。
【0026】
第2度および第3度はまた太陽皮膚炎とも呼ばれる。
【0027】
紅斑の形成は波長に左右される。UV−Bの紅斑領域は280nm〜320nmの間である。308nmの近位のより狭い領域は日光の紅斑活性の最大領域と呼ばれる。
【0028】
日光露出後用製品と呼ばれるものの目的は日光浴後に皮膚を冷却し、その湿度保留能を改善することであり、そこで冷却効果の付与が中心部を果たす。この冷却効果は概括的に、調製物が皮膚上に塗布されると自然に蒸発する大量のエタノールにより達成される。
【0029】
しかしこれらの先行技術の調製物の欠点は、エタノールが非常に急速に蒸発し、従ってもたらされる冷却効果がごく短期間のものであるために、長期間の冷却を達成することができないことである。
【0030】
先行技術では、皮膚もしくは粘膜に適用されると湿潤化および冷却効果を有することが意図される更なる調製物が知られている。例えば、文献には冷却剤としてイオン性化合物、特にアンモニウム塩につき記載されている。更に、冷却調製物としてカンファーおよびメントールを添加されたイソプロパノールゲルが広範に使用され、そして非常にしばしば、精油、主としてカンファーおよびメントール、しかし更にそれらの誘導体、例えば乳酸メンチルもしくは3−ヒドロキシ酪酸メンチルが冷却組成物中に取り入れられている。
【0031】
メントール、カンファーおよびそれらの誘導体および更にその他の精油はニューロンの冷感受容体の感受性閾値を低下させるので、冷感をもたらす。しかし同時に、多数の場合に、それらは循環の増加をもたらし、それは反対に熱感を誘発する。特に刺激皮膚に対するこれらの物質の使用はどんな場合にしても、問題である。更に、多数のこれらの化合物は低い水溶性を有する。その結果それらの使用はいくつかの化粧品および皮膚科学的製品に限定される。
【0032】
従って、先行技術の欠点を示さず、とりわけ軽度損傷皮膚に対する長期持続性の手入れを提供する化粧品もしくは皮膚科学的調製物を見いだすことが本発明の目的であった。
【0033】
青年期の男性において、顎髭の成長は青年期の男性ホルモンの増加形成により引き金を引かれる。女性のホルモン障害も髭の生育の一形態をもたらす可能性があるが、その程度は一般に男性の髭生育の程度にはるかに及ばない。
【0034】
毛髪の生育を伴う顔面もしくは身体の他の部分(例えば脚、腋下もしくは生殖器)を剃ることは多様な刺激−例えば宗教的もしくは文化的性質の−の動機となるかも知れないが、そのもっとも単純な動機においては、毛髪生育が単に美容的理由に基づき関与する人物により望まれないことである。
【0035】
毛髪剃りは乾式もしくは湿式のいずれかで実施される。新規の機械的および電気的の湿式および乾式髭剃り法の開発が今日、髭を信頼でき、そして完全に剃ることを可能にさせるている。湿式髭剃りのためには化学補助剤−例えば髭剃り用ゲル剤、髭剃り石鹸もしくは髭剃り用発泡剤の形態の−が一般に重要である。(髭)髪を軟らかくし、髭を剃るために要する力の適用を最少にし、−従って髭の軸上にかかる不快な引っ張りを最少にするためにそれらが必要である。髭の軟化は髭のpHの増加により可能にされる水の吸収により達成される。従って、湿式髭剃り製品は一般に、それらのpHが8〜10の範囲に位置する石鹸もしくは脂肪酸塩を含有する。従って湿式髭剃り製品は適用後に起る典型的な皮膚感覚をもたらす。皮膚は乾燥し、接触すると荒れた感触を有する。この皮膚の感触はまた、化粧品技術分野で「ざらざら感(squeaky feeling)」と呼ばれ、男性および女性双方の消費者間で極めて不評判である。
【0036】
乾燥髭剃りの場合にも同様に、化粧品はしばしば、できるだけ接近して剃る、すなわち皮膚表面にできるだけ近くで髭を剃るために勧められる。
【0037】
しかし、髭剃りにより影響を受ける皮膚領域は髭剃り用補助剤により刺激されるのみならずまた、髭剃り自体により誘起される機械的刺激が皮膚上への負担を構成し、「カミソリ負け(shaving burn)」と呼ばれる不快な皮膚感をもたらす可能性がある。
【0038】
従って、髭剃りの結果としての(機械的)刺激に対する皮膚の二次的反応をより良く緩和する美容的もしくは皮膚科学的調製物を見いだすことが本発明の更なる目的であった。
【0039】
ヒトの皮膚の色素沈着は本質的にメラニンの存在により産生される。メラニンおよびその分解生成物のカロテン、潅流の程度並びに角質層およびその他の皮膚層の状態および厚さが、血管の充填減少もしくは不在の場合の、実質的に白色から、または、薄い赤褐色、異なる色合いの青みから褐色を介した黄色味、そして最後にほとんど黒色にわたる皮膚色の発現をもたらす。皮膚の個々の領域はメラニンの異なる量の結果として異なる色合いの深さを示す。
【0040】
天然のメラニンは浸透するUV光線に対して皮膚を防御する。メラニン形成細胞中で生成されるメラニン顆粒の数が、皮膚が白いか黒いかを決定する。例えば有色人種における、しかしまた何かUV暴露後の白色人種における強度の色素沈着の場合には、有棘層および角質層すらにも同様にメラニンが認められる。それはUV光線が真皮層に到達する前に約90%までもUV光線を弱める。
【0041】
皮膚の色素沈着の原因となるものは皮膚のタイプに応じて単独でまたは多かれすくなかれ蓄積してのいずれかで存在する色素形成細胞として、基底細胞と一緒に、表皮の一番下の層の、基底層(Stratum basale)中に認められるメラニン形成細胞である。メラニン形成細胞は特徴的な細胞小器官として、その中でメラニンが形成されるメラノソームを含有する。他の因子のなかでも、UV光線による励起時に、メラニンの形成が増加する。それは表皮(ケラチン生成細胞)の生存層を介して最終的には角質層(corneocytes)に運搬され、多少とも著明な褐色がかった色から黒褐色の皮膚色をもたらす。メラニンはチロシンが酵素のチロシン分解酵素の助けにより多数の中間段階を経て褐色から黒褐色のユーメラニン、DHICAおよびDHIメラニンに、そして/または硫黄含有化合物(システイン)の寄与により赤みがかったフェオメラニンに転化する酸化過程における最終段階として形成される。DHICAおよびDHIメラニンはドパキノンおよびドパクロムの共通の中間段階を介して形成される。後者は場合により、更なる酵素の寄与を伴って、それらから2種の前記のユーメラニンが形成されるインドール−5,6−キノン−カルボン酸にもしくはインドール−5,6−キノンのいずれかに転化される。フェオメラニンはとりわけ、中間体のドパキノンおよびシステイニルドパを介して形成される。
【0042】
毒性物質/医薬品、等の「解毒(detoxification)」/結合を含む、皮膚に内因するメラニンの様々な機能の外に、有害なUV光線を遮蔽するための天然のUVフィルターとしてのメラニンの機能、および更に、他の因子のなかでも、太陽光線の結果として起る可能性がある反応性酸素物質(酸化的ストレス)に対する遮蔽物としてのメラニンの抗酸化機能が、他のなかでも、ホメオスタシス、皮膚老化の予防、日焼け予防、等に関して、皮膚に対して非常に重要である。従って、メラニン生成を増加する化合物の局所適用後に皮膚中でのメラニンの合成増加の結果として、増加した褐色化の意味における美容的効果のみならずまた、更にメラニンの様々な遮蔽機能の結果としての更なる遮蔽がもたらされるにちがいない。
【0043】
光線に対するそれらの感受性に応じて、概括的に以下の皮膚のタイプに分類される:
タイプIの皮膚 決して褐色化しない、常に火傷になる、
タイプIIの皮膚 めったに褐色化せず、容易に火傷になる、
タイプIIIの皮膚 平均的に良好に褐色化する、
タイプIVの皮膚 容易に、長時間褐色化し、ほとんど絶対火傷しない、
タイプVの皮膚 暗色で、しばしばほとんど黒色の皮膚、絶対に日焼けしない。
【0044】
有害なUV光線に対する天然の遮蔽は、天然の皮膚の褐色化の明白な利点である。更に今日、数十年間にわたり、「健康な」皮膚の色はとりわけスポーツ活動の証しとして見られ、従って広範な消費者により望ましいものと見なされている。従ってこのような皮膚の色を楽しみたいタイプIおよびIIの皮膚の代表者はいずれにしても自動褐色化日焼け製品に依存するように駆り立てられる。しかし、過剰に日光浴の危険にさらすことは望まないが、褐色化して見えることを望むタイプIIIの皮膚の代表者も同様に、自動褐色化調製物の評価する標的群である。
【0045】
ヒトの皮膚に褐色の色を与えるもっとも容易な方法は適当に着色されたメークアップ製品を適用することである。しかし、もちろん、着色される身体の唯一の部分は着色製品により覆われた部分である。洗浄により落とすことができるメークアップ製品:例えば、新鮮な緑のくるみの殻およびヘンナの抽出物の補助により僅かな皮膚の着色を達成することができる。従ってメークアップ製品の1つの欠点はそれらの適用の時間のかかる方法である。更なる欠点はそれらがシャツの襟もしくはブラウスのような織物に強く染みを付けることである。更に、様々な染料が異なるアレルギー誘発の可能性を有し、皮膚に刺激効果を有しすらするかも知れない。
【0046】
人工的な皮膚褐色化を、本質的には以下の方法が役割を果たすことにより美容的もしくは医療的方法によりもたらすことができる:
カロチン製品の規則的な摂取は皮下脂肪組織中にカロチンの貯蔵をもたらし、皮膚が徐々に橙色から黄褐色に変化する。
【0047】
自動褐色化調製物として知られるものを使用して皮膚の角質層中の化学変化経路により着色を達成することもできる。主要有効物質はジヒドロキシアセトン(DHA)である。この方法で達せられる皮膚の褐色化は洗浄により落とされず、約10〜15日後に皮膚の正常な剥離によってのみ落ちる。ジヒドロキシアセトンはケトトリオースと呼ぶことができ、還元糖として皮膚のアミノ酸と、そしてメイラード反応中の一連の中間段階を介してケラチンの遊離アミノ基およびイミノ基と反応して、メラノイドと呼ばれ、時々はメラノイジンとも呼ばれる、褐色物質を形成する。ジヒドロキシアセトンによる褐色化の特別の欠点は「日焼け」した皮膚と異なり、DHAで褐色化した皮膚は日焼けから遮蔽されないことである。ジヒドロキシアセトンの更なる欠点は、特に紫外線の影響下でそれは通常少量である量にもかかわらず、ホルムアルデヒドを放出することである。従って、ジヒドロキシアセトンの分解に有効に対抗することができる方法を示す緊急の必要があった。
【0048】
更なる好ましい態様において、本発明は例えば、望ましくない色素着色[その例は色素沈着亢進の局所的症例および異常色素沈着(例えば肝斑、そばかす)である]、天然の色素沈着の阻害、のような美容的もしくは皮膚科学的皮膚の変化の予防および処置のため、あるいはまた個々の皮膚のタイプに極めて適切に色素沈着した皮膚の比較的広い領域の純粋に美容的な明色化のための美容的および皮膚科学的調製物に関する。
【0049】
皮膚の色素沈着亢進に伴う問題は多様な原因を有し、例えばUV光線のような多数の生物学的過程(例えば、そばかす(ephelides)、遺伝子の素質、創傷治癒もしくは傷痕における皮膚の異常色素沈着)または皮膚の老化(例えば老人斑(lentigines seniles)を伴う現象である。老人斑およびヒトの皮膚の不規則色素沈着はとりわけ、−最近の知識状態に従うと−連続的太陽のUV照射の結果であり、老人斑の名称が暗示するように、年令とともに増加した程度に発生する。老人斑に関しては、一般に、色素生成細胞(メラニン生成細胞)の数の局所的増加、老人斑の周囲の皮膚に比較してメラニン形成細胞数が約2倍、が存在する。その結果更に色素沈着が増加し:老人斑領域のメラニン(色素)量が増加する。
【0050】
皮膚の色素沈着を抑制する有効物質および調製物は知られている。実際、一方でヒドロキノン基剤の製品は適用の数週間後にそれらの効果を示すのみであり、他方でそれらの過剰に長期間の適用が毒性学的な根拠に基づき反対すべきであるが、本質的にヒドロキノン基剤の製品が使用されている。コージ酸、アスコルビン酸およびアゼライン酸および更にそれらの誘導体のような物質によるチロシン分解酵素の阻害もまた一般的であるが、美容的および皮膚科学的欠点を有する。
【0051】
これらの欠点を是正することも同様に本発明の目的であった。
【0052】
化粧品学において、皮膚の健康および皮膚の手入れ並びにまた毛髪の手入れが極めて熱心に研究されたもう1つの分野である。
【0053】
毛髪はケラチンから成る糸様の皮膚付属品であり、手のひら、足のかかと、つま先および指の遠位節骨の伸筋側には不在であるがほとんど全身に存在し、長い毛髪(頭髪、顎髭、腋毛、陰毛−それぞれ、頭髪(capilli)、髭(barba)、ヤギのような髭(hirci)、陰毛(pubes)、男性においては更に胸毛)、短い毛、剛毛(眉毛、睫、鼻毛、耳毛)および産毛(産毛、柔毛(velus hair))として分類される。これらのタイプの毛髪すべての構造は全体として同様である:中心には,毛髪皮質(角質化細胞を含んで成り;色素を含む)および毛髪の外側(毛小皮、無核表皮層)並びに更に上皮組織および結合組織の毛髪鞘により包まれた、毛髪髄質(好酸性角質物質の顆粒=トリコヒアリン顆粒をもつ上皮細胞を含んで成る)が存在する。
【0054】
毛髪は皮膚から突き出している毛髪軸、およびその層が表皮の層にほぼ対応する、皮下組織中に到達する傾斜した毛根、に分類される。太くなった下部の毛根末端、毛球がその中に突き出している結合組織の血管ピンの毛乳頭上に位置する(双方とも毛髪底として)。周期的に反復される毛髪形成の出発相(=発育相)において毛球は乳頭(マトリックス)近位でその層による新規細胞の連続的形成の結果としてタマネギのように被覆され、次に球根のようにそして完全に角質化した(毛球)後に閉鎖され、そして最後に終末相(=休止相)において新規に形成された毛乳頭から出発して新規毛髪により小胞口の方向に置き換えられる。
【0055】
個々の毛髪の色に寄与する物質はメラニンである。メラニンは、毛髪髄質のケラチン形成細胞と一緒に毛球中に存在する細胞のメラニン形成細胞中で形成される。メラニン形成細胞は特徴的細胞小器官として、そこでメラニンが形成されるメラノソームを含む。メラニンはメラニン形成細胞の長い樹状突起を介して前皮質マトリックスのケラチン形成細胞中に運搬され、多少とも著明なブロンドから黒褐色の毛髪の色をもたらす。
【0056】
ユーメラニンは黒−褐色の色素である。それは主として毛髪の色の深さを決定する。褐色および黒色の毛髪において、それは明らかに可視的な顆粒中に存在する。
【0057】
フェオメラニンは赤い色素であり、薄いブロンド、ブロンドおよび赤毛に寄与する。その構造に関しては、このメラニンは非常に微細で小さい。メラニンのタイプの様々な割合が毛髪の異なる色彩を与える:
・ブロンド毛髪は少量のユーメラニンおよび大量のフェオメラニンを含み、
・黒髪は大量のユーメラニンおよび少量のフェオメラニンを含み、
・赤毛は同様に少量のユーメラニンおよび大量のフェオメラニンを含み、
・その中間の毛髪の色は2種タイプのメラニンが混合される異なる割合からもたらされる。
【0058】
色素形成の過程は、十分なチロシン分解酵素が利用可能である場合にのみ進行することができる。この酵素は加齢に従ってより頻度が少なく形成される。従って、これが徐々に白髪をもたらす。その理由は以下である:少ないチロシン分解酵素により、更に益々少ないチロシンが形成される。従って、メラニンの産生も減少する。メラニンの不在は気泡の含有により置き換えられる。毛髪が灰色に見える。
【0059】
この過程は一般に知らぬ間に進行する。それは頭頂に始まり、次に頭髪系全体に広がる。次に、それは顎髭および眉毛に影響する。最後に身体上のすべての毛髪が白髪になる。
【0060】
白髪は医学用語でしらが(canities)と呼ばれる。白髪化には様々な可能性が存在する。20歳からの若白髪もまたわかしらが(canities praecox)として知られている。
【0061】
症候を伴う白髪、もしくは症候性白髪は多様な原因をもつことができる。これらには:
・悪性貧血(ビタミンB欠乏性貧血)
・重篤な内分泌学的障害、例えば甲状腺疾患の症例における、
・急性熱病疾患、
・薬剤の副作用、
・化粧品、
・金属、
が含まれる。
【0062】
毛髪、とりわけ生存しているヒトの毛髪の、天然染料を使用する着色は古代以来、特に染料のヘンナに対して知られ、そして何年間かは合成染料に有利に、影が薄くなり、数年間は新規の興味の対象であった。ヘンナの結果として起る赤い色は不都合である。
【0063】
毛髪の色を誘起するメラニン生産は加齢とともに減少し:毛髪は灰色もしくは白色になる。何人かの消費者にとっては、この過程を逆にするか遅らせることが美容的な希望である。この目的のために、いくつかの国の化粧品産業は毒性の、従って欧州化粧品指針では禁止されている酢酸鉛を使用している。この酢酸鉛は好ましくは、毛髪に溶液形態で適用され、そこに洗浄されずに長期間留まる。
【0064】
ケラチン含有繊維、例えば毛髪、羊毛もしくは毛皮の染色のためには、一般に直接染料あるいは、相互とまたは1種もしくは複数のカップリング成分との1種もしくは複数の顕色成分の酸化的カップリングにより形成される酸化染料のいずれかが使用される。カップリング成分および顕色成分はまた、酸化染料前駆体とも呼ばれる。
【0065】
使用される顕色成分は通常パラもしくはオルソ位に更なる遊離もしくは置換ヒドロキシルもしくはアミノ基をもつ第一級芳香族アミン、ジアミノピリジン誘導体、複素環式ヒドラゾン、4−アミノピラゾロン誘導体および2,4,5,6−テトラアミノピリミジンおよびその誘導体である。
【0066】
特別な代表物は例えば、p−フェニレンジアミン、p−トリレンジアミン、2,4,5,6−テトラアミノピリミジン、p−アミノフェノール、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、2−(2,5−ジアミノフェニル)エタノール、2−(2,5−ジアミノフェノキシ)エタノール、1−フェニル−3−カルボキシアミド−4−アミノピラゾール−5−オン、4−アミノ−3−メチルフェノール、2−アミノメチル−4−アミノフェノール、2−ヒドロキシメチル−4−アミノフェノール、2−ヒドロキシ−4,5,6−トリアミノピリミジン、2,4−ジヒドロキシ−5,6−ジアミノピリミジンおよび2,5,6−トリアミノ−4−ヒドロキシピリミジンである。
【0067】
使用されるカップリング成分は概括的にm−フェニレンジアミン誘導体、ナフトール、レソルシノールおよびレソルシノール誘導体、ピラゾロンおよびm−アミノフェノールである。特に適したカップリング物質にはα−ナフトール、1,5−、2,7−および1,7−ジヒドロキシナフタレン、5−アミノ−2−メチルフェノール、m−アミノフェノール、レソルシノール、レソルシノールモノメチルエーテル、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、1−フェニル−3−メチルピラゾール−5−オン、2,4−ジクロロ−3−アミノフェノール、1,3−ビス(2,4−ジアミノフェノキシ)プロパン、2−クロロレソルシノール、4−クロロレソルシノール、2−クロロ−6−メチル−3−アミノフェノール、2−メチルレソルシノールおよび5−メチルレソルシノールが含まれる。更に通常の染料成分に関しては非特許文献4および更に非特許文献5が明白に参照される(非特許文献4および5参照)。
【0068】
良好な堅牢性を有する強力な着色は酸化染料により達成することができるが、顕色は一般に例えば特定の場合には繊維に損傷をもたらす可能性があるHのような酸化剤の影響下で起る。更に、特定の酸化染料前駆物質(oxidative dye precursor)もしくは酸化染料前駆物質の特定の混合物は時々、感受性皮膚をもつ人々に感作効果をもつかも知れない。直接染料は比較的穏やかな状態下で適用されるが、それらの欠点は着色がしばしば、不適切な堅牢性のみを有することである。
【0069】
毛髪によるしかし、着色剤およびとりわけ例えばHのような酸化剤の助けを借りず、メラニンの独立した産生を改善することが本発明の目的である。更に、組成物は、たとえあるにしても、非常に僅かな感作能をもたなければならない。
【0070】
当該技術分野において最近認められているエリアの皮膚模型(Eias skin model)(非特許文献6)はレンガ壁に類似の2−成分系(レンガおよびモルタルの模型)として角質層を説明している(非特許文献6参照)。この模型において、角質細胞(corneocytes)はレンガに対応し、複雑な組成をもつ細胞間空隙中の脂質の膜がモルタルに対応する。この系は本質的に親水性物質に対する物理的バリヤーであるが、その狭い、多層構造のために、同様にまた、親油性物質により、困難を伴って浸透されることができるだけである。一方で、角質層の特定の構造が皮膚を防護し、他方で規定量の水と結合することによりそれ自体の柔軟性を安定化する。
【0071】
例えば、圧縮力、衝撃力もしくはせんだん応力のような機械的応力も同様に、角質層単独により、もしくは皮膚の更に深い層と一緒に驚くべき程度に阻止されることができる。比較的大きな圧縮力、ねじり力もしくはせんだん応力は角質による表皮の噛み合いにより皮膚のより深層に伝達される。
【0072】
水および湿度含量の調節は表皮の脂質膜のもっとも重要な機能の一つである。しかし、それは外部の化学的および物理的影響に対してバリヤー効果を有するのみならず、また角質層の凝集(cohesion)にも貢献する。
【0073】
角質層の脂質は本質的にセラミド、遊離脂肪酸、コレステロールおよび硫酸コレステロールから成り、角質層全体に分配されている。これらの脂質の組成は表皮のバリヤーのそのままの機能および従って皮膚の水に対する透過性に対して決定的に重要である。
【0074】
単純な水浴による皮膚の洗浄−界面活性剤の添加を伴なわない−ですら最初に、皮膚の角質層を膨潤させる。この膨潤の度合いはなかでも、入浴期間およびその温度に影響される。同時に、例えば、埃の水溶性成分のような水溶性物質、しかしまた、角質層の水結合能に寄与する皮膚に内在する物質も洗い落とされもしくは洗い出される。更に、皮膚に内在する界面活性物質の結果として、皮膚の脂質もまた溶解されて、ある程度洗い出される。これは、最初の膨潤後に、皮膚に、その後乾燥させ、その過程が更に実質的に洗浄活性添加剤により強化されることができる。
【0075】
健康な皮膚においては、皮膚の防護機序が皮膚の上部層に対するこのような僅かな障害を容易に代償することができるので、これらの過程は一般的に、大した結果をもたらさない。しかし、例えば、環境により誘発された摩耗損傷もしくは刺激、光損傷、老化皮膚等の結果としての正常状態からの非病理学的偏りの症例においてすら、皮膚表面上の防護機構が損傷される。
【0076】
例えば、老化皮膚の症例においては、再生的新生がより緩徐な速度で起こり、そしてとりわけ、角質層の水−結合能が減少する。従って、皮膚はしなやかでなく、乾燥し、ひび割れになる(「生理学的に」乾燥した皮膚)。バリヤーの損傷がその結果である。皮膚は微生物、トキシンおよびアレルゲンの侵入のような有害な環境の効果に感受性になる。その結果、毒性もしくはアレルギー性の皮膚反応すら起こるかも知れない。
【0077】
病理学的に乾燥した、感受性の皮膚の症例においては、バリヤーの損傷は先験的に存在する。表皮の細胞間脂質が欠陥性になるかまたは不適切な量もしくは組成で形成される。その結果、角質層の透過性が増加し、吸湿性物質および水の喪失に対する皮膚の防護が不適切になる。
【0078】
皮膚のバリヤー効果は経皮水分喪失量(TEWL)の測定により定量化できる。これは発汗時の水分喪失を考慮しない、身体内部からの水分蒸散量である。TEWL値の決定は極めて多数の情報を与えることが判明し、ひびの切れたもしくは割れた皮膚を診断するために、異なる種類の化学組成物との界面活性剤の相容性を決定するため、等に使用することができる。
【0079】
皮膚の美容および手入れの行き届いた外観のために、皮膚の一番上層の水分の割合がもっとも重要である。水分調節剤の導入によりそれを限定された程度内に好ましく影響させることができる。
【0080】
一般に洗浄調製物の成分であるアニオン界面活性剤は、角質層中のpHを継続して増加することができ、それは皮膚のバリヤー機能を回復し、新生する役割をもつ再生過程を著しく妨げる。この場合には、規則的な抽出の結果として、必須物質の再生と喪失の間に、新規の、しばしば非常に不都合な平衡状態が角質層中に確立され、この平衡状態が皮膚の外側の外観および角質層の生理学的機能に決定的な悪影響を有する。
【0081】
化粧品による皮膚の手入れは主として、環境の影響(例えば、埃、化学薬品、微生物)に対する、そして身体に内在する物質(例えば、水分、本来の脂肪、電解質)の喪失に対するバリヤーとしての皮膚の本来の機能が強化もしくは回復されることを意味する。
【0082】
この機能が損傷されると、毒性もしくはアレルギー誘発物質の増加吸収または微生物による蔓延をもたらして、その結果、毒性もしくはアレルギー性皮膚反応をもたらすかも知れない。
【0083】
皮膚の手入れの更なる目的は日常の洗浄の結果としての脂肪および水分の喪失を補うことである。これは、本来の再生能が不十分である場合に特に重要である。更に、皮膚の手入れ用製品は環境の影響、特に太陽および風を遮蔽し、そして皮膚の老化を遅らせなければならない。
【0084】
経年的皮膚老化は例えば、内因性の、遺伝的に決定された因子により誘起される。表皮および真皮内の老化の結果として、また「老年性乾皮症(senile xerosis)」の用語下に入ることもできる、例えば、以下の構造的損傷および機能的障害が起る:
a)乾燥、荒れおよび乾燥皺の形成、
b)掻痒および
c)皮脂腺による再脂肪化の減少(例えば、洗浄後)。
【0085】
UV光線および化学的有害物のような外因性因子は蓄積効果をもつかも知れない。表皮および真皮内においては、とりわけ外因性因子の結果として、例えば、以下の構造的損傷および機能的障害が皮膚中に起る:
d)機械的ストレスに対する感受性増加(例えば裂傷)。
【0086】
感受性、掻痒性および/もしくは乾燥皮膚の手入れ用製品またはDNS損傷の処置もしくは予防のための製品自体は知られている。しかしそれらの効力は限定されている。本発明はとりわけ、皮膚中の損傷する酸化過程を更に有効に遮蔽する、しかしまた化粧品調製物自体を更に防御し、そして/または有害な酸化過程から化粧品調製物の成分を更に遮蔽するための化粧品調製物に関する。
【0087】
とりわけ、以下:
・皮膚の乾燥、荒れ、ひび割れおよび脂肪再生減少、
・UV光線および髭剃りのような外因性暴露後の効果、特に日焼けおよびカミソリ負け(shaving burn)、
・掻痒皮膚を含むその他の刺激性および炎症性皮膚反応、
・例えば、女性の顎髭の場合におけるような美容的な願望としての毛髪成長、
・弾性の欠如、皺および老人斑の増加のような老化皮膚現象、
のような前記の望ましくない皮膚現象を抑制し、
・バリヤー性、
・皮膚のホメオスタシスの維持、
・美容的な欲望としての毛髪の成長、
に関する皮膚の生理学を増強し、そして更に美容的に所望される
・皮膚および毛髪の色素沈着の調整、
を可能にする、適切な活性物質を含むゲルマトリックス基剤の化粧品および皮膚科学的調製物を提供することが本発明の目的であった。
【0088】
驚くべきことには、使用される有効量の活性物質を含んで成る、本発明の化粧品もしくは皮膚科学的調製物の局所適用により、
−減少した皮膚水和もしくは皮膚の減少した水分含量、
−老化皮膚の皺、
−光線老化皮膚、
−脂ぎった、不潔な皮膚、
−減少した皮膚の弾性、
−老人斑およびその他の皮膚の異常な色素沈着、例えば肝斑、
−UV光線に対する皮膚の後反応(日焼け)、
−髭剃りに対する皮膚の後反応(カミソリ負け)、
−皮膚の代謝ホメオスタシスの機能不全、
−減少した細胞−細胞連絡、
−減少したDNA合成および/もしくは減少すたDNA修復、
−金属タンパク質分解酵素および/もしくはタンパク質分解酵素の活性化、
−皮膚のシクロオキシゲナーゼおよびリポキシゲナーゼの活性化、
−正常なヒアルロン酸およびグリコースアミノグリカンのホメオスタシスに対する変化、
−結合組織タンパク質、グリコースアミノグリカンおよびその他の構造的成分の正常な翻訳後の修正からの偏より、
−皮膚のセラミド、脂質およびエネルギー代謝に対する混乱(disruption)、
−皮膚のメラニン代謝およびメラノソーマ処理に対する混乱、
−欠乏性、感受性もしくは機能低下の皮膚状態または欠乏性、感受性もしくは機能低下の皮膚付属器官の状態、
−経皮的水分喪失量の変化、
−本来の加湿因子の量の変化、
−正常な脂質過酸化量の変化、
−炎症性現象および/もしくは掻痒、
−毛髪領域におけるフケの形成、
−減少した、そして更に望ましくない毛髪成長、
−バリヤー機能に対する混乱、
の症例において、有効な処置、しかしまた予防を達成することができる。
【0089】
更に、本発明に従う調製物が使用されると、皮膚の新鮮さの一般的感触を増加することができることが認められた。
【0090】
皮膚中にそして皮膚上に美容的物質を投与するためのパッチもしくは化粧品マトリックスの作用機構は、経皮的治療システム(TTS)のものに類似の機能的原理に従う。用語のパッチ、化粧品/皮膚科学的マトリックスおよび化粧品/皮膚科学的パッドは以下で時々、同義語として使用される。活性物質を皮膚中へそして/もしくは皮膚をとおって配送するための経皮的治療システムは長い間知られており、とりわけ薬剤でドープされるパッチ様システムを構成する。
【0091】
パッチシステムもしくは化粧品マトリックスを介する有効な化粧品および皮膚科学的物質の局所投与は2種の主要な利点を提供する:
・第1にこの投与形態は活性物質の一次的放出反応動態をもたらし、それにより非常に長期にわたり皮膚中に活性物質の一定量を維持させる。
・第2に、適当なシステムを介して皮膚の更に強度な手入れをもたらすことができる。
【0092】
TTSからの活性化粧品物質の時間依存的放出は、そのTTS/皮膚分配係数並びにTTSおよび皮膚の領域中へのその拡散に応じて起る。双方の因子がマトリックスの組成により決定され、それにより単位時間当たりに放出される量および作用期間に直接影響を与えることができる。通常、親水コロイド、可溶化剤および促進剤がこの目的に使用され、それにより改善された溶解度および拡散および更に、TTSから皮膚中への物質のより急速な通過を可能にする。理想的には一次的放出動力学が達成され、それにより単位時間当たり等量の放出を可能にする。
【0093】
技術文献中に十分に説明されてきた、このような経皮的システムの1態様は、そこで活性美容的物質が感圧性接着剤中に直接取り込まれるマトリックスシステムもしくはモノリスシステムの態様である。即座に適用可能な製品中では、活性物質を含んで成るこの種の感圧性接着性マトリックスには片面に活性物質のための閉鎖する裏材料が付けられ、他方、反対側には、皮膚への適用前に外される剥離層が付いた裏フィルムが存在する(非特許文献7参照)。
【0094】
TTSの前記の特性は頻繁に反復される投与の必要性を回避し、高濃度の活性物質による皮膚への負担を回避し、その結果、液体および半固体の投与形態の反復投与の場合においては不可避である、皮膚に対する刺激を減少させる。
【0095】
要約すると、TTSの利点は簡単で早急な投与および経皮的治療システムの長期持続性効果に帰する、使用者側に対する極めて改善されたコンプライアンスに存する。TTSの1つの基本的な条件は、活性物質の意図された投与の全期間にわたり維持されなければならない皮膚への有効な接着性であり、そしてもう1つの条件は、残留物を残さずに取り外すことができるTTSの能力である。長期間の装着後に、活性物質パッチの、痛みを伴う剥離がしばしば認められる。溶液中で裏材料上に被覆される接着剤のみならずまた、使用される接着剤もまた、ホットメルト接着剤のような溶媒非含有系を含む。これらの接着剤の特徴は、それらの被覆の過程中に、有機溶媒および分散媒質の使用を先行させることができることである。ホットメルト接着剤は加熱により液体形態に転化され、それによりそれぞれのパッチ裏材料に溶融物として適用される。溶媒処理のような技術的な観点のみならずまた、抗爆発手段および環境保護の拘束、医学的理由を伴うプラントの設計も同様に、溶媒非含有接着剤の選択に役目を果たす。経皮的治療システムは一般に健康で正常な皮膚に適用される。
【0096】
活性のある美容的物質を投与するための自己接着性マトリックスシステムはアジア、特に日本における伝統的な適用物の中にあり、日本薬局方中の「パップ(cataplasm)」の用語下に定義されている。従って、パップは一般に、精油の添加を伴って、グリセリン、水もしくはその他の適切な液体を微細粉末化活性物質と混合することにより調製される。
【0097】
グリセリンはここでは、使用中にパップが早期に乾燥することを防止するための湿潤剤として働く。
【0098】
伝統的なアジアの調製物中には、アルミナ、等のような天然の増粘剤が使用されるが、最近数十年間は、それらの製造のための例えばゲル形成剤として、ポリアクリル酸のような近代的合成原料の使用がますます見られるようになってきた。これは一般にネバネバするパップが、改善された魅力(attractiveness)および使用者に対する優しさをもつヒドロゲルマトリックスとして製造されることを可能にする。特許文献3は最低70%の光線透過率をもつ、裏材料もしくはライナーを伴わない美容的使用のための水性ゲルシステムにつき記載している(特許文献3参照)。特許文献4はリドカインを含有するパップにつき記載している(特許文献4参照)。
【0099】
記載されたパップの欠点は、基材マトリックスの製造がゲル形成剤、増粘剤、可塑剤、湿潤剤、安定剤、乳化剤、pH調整剤、抗酸化剤、等のような多数の異なる個別の成分および活性物質のパップの場合には恐らくは更に可溶化剤および浸透促進剤を必要とする点である。このようなマトリックスの接着能および一貫性は個別の成分すべての相互作用の関数であるので、これらの基礎的な製品の条件に関する目標の製品の開発/最適化はそれに対応して時間消費的で、困難である。
【0100】
ポリアクリレートからのポリマーマトリックス、特にゲルマトリックスの製造も同様に、長年知られており、例えば特許文献4、5および6に記載されている(特許文献4、5および6参照)。ゲルマトリックスはなかでも、経皮的システムにおける接着剤の基剤としてそして活性物質の貯蔵所として使用される。このようなシステムは特に湿った皮膚(口内パッチ)に適切な接着力を有するが、不適切な粘着力のために、必要な時に再度完全に取り外すことができない。
【0101】
規定の構造をもつゲルを形成するためにはポリアクリル酸が架橋されることが必要である。架橋剤の性質は生成されるゲルの構造に重要な寄与を与える。通常の架橋剤は金属イオン(例えば、Al3+イオン)もしくは有機化合物であることができる。アルミナム塩との架橋はAl3+イオンに対するポリアクリル酸の酸素官能基の配位により進行する。高い粘度をもつ非常に密接な網目をもつゲルが形成され、そこでゲルの粘度は架橋剤の量によってのみ制御することができる(非特許文献8参照)。
【0102】
特許文献5は架橋剤としてAl3+化合物を使用するポリアクリル酸−基剤のゲルにつき開示している(特許文献5参照)。使用が制限されないとゲルの物理的特性が損なわれるので、架橋剤として必須のアルミニウム化合物の使用は制限される。アルミニウム架橋剤の割合が高すぎると、ゲルは固くなりすぎる。
【0103】
多価金属イオンとの架橋の更なる例が文献、例えば特許文献7(亜鉛塩)、8もしくは9(チタン化合物)から知られる(特許文献7、8および9参照)。金属イオンとのイオン性架橋は低い粘度をもつ固い、粘性のポリマーゲルをもたらす(非特許文献8参照)。
【0104】
特許文献10は水溶性ポリマーを基剤にしたモノリスゲルマトリックスを含むパッチを開示している(特許文献10参照)。必須成分は活性物質としてのクレボプリド(clebopride)もしくは製薬学的に許容できるその塩、水、水吸収剤および水溶性ポリマーである。水溶性ポリマーとして、当業者は一連の知られたポリマー(例えばポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリアクリル酸、ナトリウムポリアクリレート、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ゴムおよびその他の架橋可能なポリマーおよび更にそれらの混合物)から選択することができる。
【0105】
特許文献11は水相中で親水的にゲル化し、ゲランゴムおよび少なくとも1種の更なる親水コロイドから形成されるシステムから成るマトリックスを含んで成るパッチにつき記載している(特許文献11参照)。ゲランゴムは必須に要求される。ゲランゴムは専門辞書(technical dictionary)により定義されるように当業者により、次の海洋性植物:アガルドヒエラ・テネラ(Agardhiella tenera)、フルセラリア・ファスチジアタ(Furcellaria fastigiata)、ヒプネア・セルビコルニス(Hypnea cervicornis)、ムシフォルミス(muscihormis)、スピシフェラ(spicifera)、スーリア・ビタタ(Suhria vitata)から得られる親水コロイドを含んで成るものと理解されている。その用語は海藻抽出物を包含しない。また、生成されるマトリックスの自己接着性、接着強度の調節可能性および弾性の本質的なアスペクトのどんな言及もない。
【0106】
自己接着性マトリックスもしくはゲルを形成するためのポリアクリル酸の架橋に伴う更なる問題は、規定された物理的特性、粘度、粘着性、等を有する、一旦製造されたマトリックスは、その後の製造操作において同一の規定特性をもたねばならないことである。この再現性は、現在知られている架橋技術により実施不可能ではないにしても困難である。
【0107】
美容的皮膚処置と関連して明らかな更なる問題は、エマルジョン調製物等の形態の活性物質の局所投与により、望ましくない皮膚現象に最適な処置を与えることができない点である。特に皺、皮膚の弾性喪失および老人斑のような、処置が比較的困難な皮膚現象、並びに更に日焼けおよびカミソリ負け、等のような刺激性皮膚現象の症例において、皮膚症状に有効に影響を与えるための、皮膚に対する有益な効果とともに活性物質の大量の提供をもたらす化粧品適用システムが存在しない。
【特許文献1】米国特許第4,144,325号明細書
【特許文献2】米国特許第4,248,861号明細書
【特許文献3】欧州特許第1 136 057号明細書
【特許文献4】欧州特許第0 507 160号明細書
【特許文献5】特開平11−228340号公報
【特許文献6】特開平04−178323号公報
【特許文献7】米国特許第3900610号明細書
【特許文献8】米国特許第3770780号明細書
【特許文献9】米国特許第3790533号明細書
【特許文献10】欧州特許第303445号明細書
【特許文献11】欧州特許第976382号明細書
【非特許文献1】Int.J.Cosm.Science 10,53(1988)
【非特許文献2】A.Voelckel等,Zentralblatt Haut− und Geschlechtskrankheiten(1989),156,p.2
【非特許文献3】Oxidative Stress in Dermatology(皮膚科学における酸化的ストレス),p323ff.,Marcel Decker Inc.,New York, Basle,Hong Kong,編集者:Juergen Fuchs,Frankfurt,and Lester Packer,Berkeley,California)
【非特許文献4】シリーズ”Dermatology(皮膚科学)”、Ch.Culnan,H.Maibach,Verlag Marcel Dekker Inc.,発行、New York,Basle,1986,第7巻、Ch.Zviak,The Science of Hair Care(毛髪の手入れの科学),第7章、ページ248〜250(直接染料)および第8章、ページ264〜267(酸化染料)
【非特許文献5】”European Inventory of Cosmetics Raw Materials(欧州化粧品原料目録)”、1996、欧州委員会により刊行、Bundesverband der deuschen Industrie− und Handelsunternehmen fuer Arzneimittel,Reforwaren und Koeperpflegemittel e.V.,Mannheimからディスク形態で利用可能、
【非特許文献6】P.M.Elias,Structure and Function of the Stratum Corneum Permeability Barrier,Drug Dev.Res.13,1988,97−105
【非特許文献7】kleben&dichten,No.42,1992,pp.26〜30
【非特許文献8】handbook of pressure sensitive technology,page458ff,1999
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0108】
従って、幾つかの成分を含み、規定された一貫性および接着力のマトリックスを、制御された方法で製造させるパップ/ヒドロゲルのための単純な(simple)ポリマーマトリックスシステムを開発することが本発明の目的である。水溶性もしくは疎水性活性物質がそこに取り入れられ、制御された方法で皮膚に配送されることができるポリマーマトリックスを提供することが本発明の更なる目的である。本発明の更にもう1つの目的は前記のポリマーマトリックスを含んで成り、TTS、パッドもしくはパッチとして使用することができるパッチもしくは化粧品マトリックスを提供することである。望ましくない皮膚現象の処置および更に予防のための美容的適用形態として適したゲルマトリックスを提供し、そして先行技術の欠点を是正することが本発明の更なる目的である。これに関しては、その目的はとりわけ、皮膚の手入れおよび加湿のアスペクトを考慮に入れることである。
【0109】
これらの目的は請求項1に従うポリマーマトリックスにより達成される。副請求項はマトリックスの好ましい態様を開示する。本発明は更にその使用を包含する。
【課題を解決するための手段】
【0110】
水中でゲルを形成するポリマーを含んで成る、好ましくは少なくとも1種のポリアクリル酸ポリマー、水、海藻抽出物およびアルコールを含んで成る自己接着性ポリマーマトリックスが目的の複合体を達成することは驚くべきことで、当業者にとって極めて思いがけないことであった。
【0111】
驚くべきことには、特に以下:
・記載された化粧品マトリックス自体が活性物質なしですら、皮膚の手入れ、加湿および冷却性を有し、従って活性物質の導入を伴わずにすら、先行技術の欠点を是正するために使用することができ、
・そのために含浸された多数の化粧品タオルに比較して、適切なフリース材料の使用により、表面が乾燥して、快適に絹様の感触をもつように見えるので、使用者に非常に実際的で、快適な適用形態が提供され、そして
・1もしくは複数の活性物質の導入の結果、望ましくない皮膚症状を積極的に抑制し、もしくは予防として役立てることができる、
ことが明らかになった。
【0112】
本発明は特に有効な方法で、活性化粧品もしくは皮膚科学的物質を皮膚に供給するのに適した、そして更に、そうするための、特に美容的で、使用者に対して快適な形態の、化粧品もしくは皮膚科学的調製物に関する。
【0113】
マトリックスは接着力決定成分として水中でゲル、好ましくはポリアクリル酸ゲルを形成するポリマーから成る。海藻抽出物は好ましくは、寒天である。アルコールとしてはとりわけ、一価もしくは多価アルコール、好ましくは一貫性因子として働くグリセリン、が使用される。個々の成分はパップもしくはヒドロゲル製造のための使用に対して知られている事実にもかかわらず、例えば特にポリアクリル酸マトリックスの一貫性の因子としてグリセリンと併せて寒天を使用することは今日まで知られていなかった。
【0114】
パップ/ヒドロゲルのようなポリマーマトリックス中の海藻抽出物の画分の増加はマトリックスの強度を増加する。しかし、それはまた、剛性(stiffness)を増加し、粘着性(tack)を減少する。この欠点はアルコール、特にグリセリンを添加することにより代償することができる。従って、海藻抽出物の一定の画分と併せて、生成されるポリマーマトリックスにおける所望の弾性(elasticity)を設定することが可能である。
【0115】
従って、ゲルマトリックスにおける所望の弾性を確保するために、海藻抽出物および一価もしくは多価アルコール、好ましくはグリセリンの相乗的組み合わせが明白になった。一貫性の因子としてのその使用の根拠は、とりわけ広く知られたゼラチンおよびその他の一貫性の因子に比較して、海藻抽出物は例えば、グリセリンもしくはプロパンジオールのようなアルコールとの組合せにおいてゲル化を誘発しないことである。グリセリンもしくはプロパンジオールのような、本発明に従う一価もしくは多価アルコールは水中に均一に分散されるが、海藻抽出物とゲルを形成しないので、この種のアルコールはマトリックスに対する弾性因子として働く。
【0116】
寒天以外の、その使用が好ましい海藻抽出物はカラゲーナンである。カラゲーナンは熱水抽出、その後の凍結およびその後の洗浄により様々な紅藻、主としてコンドルス・クリスプス(Chondrus crispus)から得られる高分子量の親水性多糖類である。カラゲーナンの構造は主として、硫酸塩および非硫酸塩形態双方のガラクトースおよび3,6−アンヒドロガラクトースの反復単位から成る。カッパ、イオタおよびラムダカラゲーナン間の主要な相異は、反復ガラクトース単位上の硫酸エステル基の数および位置である。カラゲーナンのゲル化はカチオンの存在下でのみ可能である。本発明に従うと、カルシウムイオン(カッパおよびイオタ)、カリウムイオンおよびアンモニウムイオン(カッパのみ)の存在下でゲルを形成するカッパカラゲーナンおよびイオタカラゲーナンが好ましい。本発明のゲルマトリックスシステム製造のために同様に使用されるポリアクリル酸は安定なゲルを形成するためには中和されなければならないので、対応するカチオン水酸化物の使用が特に有利である。
【0117】
カラゲーナンは例えば、Gelcarin、ViscarinおよびSeaspenの名称でLehmann & Voss & Co.から工業的に入手可能である。
【0118】
本発明に従って特に好ましい寒天のような海藻抽出物は熱水抽出、その後の凍結およびその後の洗浄により紅藻網クラス(Rhodophyceae class)の様々な海藻から得られるゲル化アガロースおよび非ゲル化アガロペクチンから成る多糖類構造の親水性コロイドである。寒天は例えば、Riedel de Haen AGから工業的に入手できる。
【0119】
抽出物、特に寒天もしくはカラゲーナンは好ましくは、0.1%〜15重量%の量、より好ましくは、0.5%〜5重量%の間で使用される。本明細書の百分率はすべて、別記されない限りポリマーマトリックスの重量画分に基づく。
【0120】
例えばグリセリン(1,2,3−プロパントリオール)のような一価もしくは多価アルコールはとりわけ可溶化剤もしくは湿潤剤として広く使用される製薬工業補助剤である。例えばグリセリンのような一価もしくは多価アルコールは1%〜85重量%の量で、より好ましくは5%〜45重量%の間で本発明で好ましく使用される。マトリックス中に例えばポリアクリル酸ゲルのようなゲルを水中で形成するポリマーの画分が接着性を支配する。寒天と対照的に、ポリアクリル酸は水およびアルコール双方とともにゲルを形成し、そのためポリアクリル酸の画分により設定される接着性が特定のアルコール画分と独立して一定に留まる。
【0121】
本発明に従って有利なポリアクリレートはアクリレート−アルキルアクリレート・コポリマー、特にカーボマーもしくはカーボポールと呼ばれる群から選択されるものである(Carbopol(R)はB.F.Goodrich Companyの登録商標名である)。とりわけ、本発明に従って有利な1もしくは複数のアクリレート−アルキルアクリレート・コポリマーは次の構造:
【0122】
【化1】

【0123】
を特徴としてもつ。この構造においてR’はアルキル基、とりわけ長鎖アルキル基であり、xおよびyはそれぞれのコモノマーのそれぞれの化学量論的画分を表わす数である。
【0124】
本発明に従って特に好ましいアクリレート・コポリマーおよび/もしくはアクリレート−アルキルアクリレート・コポリマーは商品名Carbopol(R)1382、Carbopol(R)981およびCarbopol(R)5984としてB.F.Goodrich Companyから入手できるもの、好ましくはタイプ980、981、1382、2984および5984のCarbopolの群からのポリアクリレート、そしてより好ましくはカーボマー2001である。C10−30アルキルアクリレートと、蔗糖のアリルエーテルもしくはペンタエリスリトールのアリルエーテルと架橋されたアクリル酸、メタクリル酸もしくはそれらのエステルの1もしくは複数のモノマーとのコポリマーにより更に利点がもたれる。
【0125】
水中でゲルを形成するポリマー、特にポリアクリル酸および/もしくはそれらのコポリマーは好ましくは2重量%〜55重量%の量で、もしくは好ましくは5重量%〜30重量%の間で使用される。
【0126】
ポリマーマトリックスは有機溶媒を使用せずに、好ましくは40〜95℃で、標準の市販混合装置/配合装置中で、もしくは適当な押し出し機中で連続的に調製される。
【0127】
水中でゲルを形成する更なる適当なポリマーはとりわけバオバブ粉末である。
【0128】
このように、出発物質として水、水中でゲルを形成するポリマー、海藻抽出物および一価もしくは多価アルコールのみを使用して、パッチ、TTS、パップもしくは化粧品パッド/マトリックスとしての製造および使用のための基剤として、目標とする方法で、柔軟で、滑らかで、自己接着性のヒドロゲルマトリックスを製造することができる。
【0129】
特定の性能特性をもたらすためにポリマーマトリックスは、それらを添加することは必須ではないが、適当な可塑化剤、可溶化剤、浸透促進剤、中和剤(例えば、トロメタモール(2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール)、トリエタノールアミン(2,2’,2”−ニトリロトリエタノール)もしくはNaOH)、充填剤および/またはその他の知られた添加剤と混合されることができる。
【0130】
本発明に従って特に好ましい1態様において、ポリマーマトリックスもしくはゲルマトリックスは0〜35重量%、好ましくは0〜15重量%の量で皮膚上/中への制御された局所および/もしくは全身配送のための活性皮膚科学的もしくは美容的物質を含有する。
【0131】
従って、ゲルマトリックスは望ましくない皮膚現象の美容的処置のための、親水性の活性物質あるいはまた適当な可溶化剤を与えられて疎水性の活性物質でドープすることができる。疎水性の活性物質の取り込みの場合には、カプセル封入のためにシクロデキストリンを使用することが有益かもしれない。
【0132】
シクロデキストリン(シクロアミロース、シクログルカン)それ自体は化粧品および薬学的調製物中に知られている。水性溶媒中のシクロデキストリンの存在下での低い溶解度の物質の溶解度の改善は個々の物質に対して説明された。シクロデキストリン物質との、ゲストとも呼ばれる物質の包含化合物−これに関しては1:1もしくは1:2の双方の複合体および他のモル比率をもつ複合体(ゲスト:シクロデキストリン)が可能である−およびそれらの物理的混合物の双方が利点を有することができる。シクロデキストリンはα−1,4−結合グルコース単位から成る環状オリゴ糖類である。概括的に、6〜8のグルコース単位(α−、β−、もしくはγ−シクロデキストリン)が相互に結合している。シクロデキストリンはデンプンをバチルス・マセランス(Bacillus macerans)により作用される時に得られる。それらは疎水性の内側および親水性の外側を有する。それらの構造のおかげで、シクロデキストリンおよびそれらの誘導体は包接化合物を形成することができる。それらは活性物質の「分子封入」に適する(例えば、化粧品および薬学的調製物中の敏感な分子の周囲の保護封入物として)。これらの適用はまた、一連の特許(例えば、国際公開第98/55148号パンフレット、欧州特許第0 579 435号、第0 392 608号明細書)中に記載されている。しかし、これらの刊行物には通常、唯一の活性物質がシクロデキストリン(誘導体)により複合化されている。多成分包接化合物は実際は、欧州特許第0 756 493号明細書に記載されているが、より詳細に検討すると、後者は1種の塩に関連し、酸および塩基の2成分混合物には関連しない。
【0133】
用語「シクロデキストリンおよび/もしくはその誘導体」は下記の、環分子中に異なる数のグルコース単位を有するシクロデキストリンおよびこれらの化合物の誘導体双方を表わす。
【0134】
【化2】

【0135】
【化3】

【0136】
本発明に従うと、1もしくは複数のシクロデキストリンは好ましくは、0.0005重量%〜20.0重量%、とりわけ0.01重量%〜10重量%、そしてより好ましくは0.1重量%〜5.0重量%の濃度で化粧品もしくは皮膚科学的組成物中に使用される。
【0137】
天然のシクロデキストリンまたは極性および/もしくは非極性置換基をもつシクロデキストリンを使用することは本発明に従って有利である。これらに限られるものではないが、これらには好ましくは、例えばメチル−、特にランダム−メチル−β−シクロデキストリン、エチル−および更にヒドロキシプロピル−シクロデキストリン(例えばHP−β−シクロデキストリンもしくはHP−γ−シクロデキストリン)が含まれる。本発明に従って特に好ましいシクロデキストリン物質はγ−シクロデキストリンおよび更にヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンである。
【0138】
更なる先行技術は以下の刊行物に含まれる:
K.Uekama et al.,Chemical Reviews,1998,98,2045−2076,”Cyclodextrin drug carrier systems(シクロデキストリン薬剤担体システム)”、
T,Loftsson,Int.J.Dermatology,1998,37,241−246,”Cyclodextrins:new drug delivery systems in dermatology(シクロデキストリン:皮膚科学における新規薬剤配送システム)”、
J.Zatz et al.Cosmetics & Toiletries,1997,112,July,p.39ff,”Applications of cyclodextrins in skin products(皮膚製品中のシクロデキストリンの適用)”、
U.Citernesi,Cosmetics & Toiletries,1995,110,March,p.53ff,Cyclodextrins in functional dermacosmetics(機能的皮膚化粧品中のシクロデキストリン)。
【0139】
本発明に使用されるシクロデキストリンおよび/もしくはシクロデキストリン−ゲスト包接化合物および/もしくはシクロデキストリン物質混合物はポリマーマトリックス中に困難なく取り入れることができる。
【0140】
本発明のマトリックスは水分含有適用形態であるので、更に冷却効果が得られ、ここでこの効果自体はすでに、美容的に快適で満足感に寄与している。この有効な効果は更なる手入れ成分の添加により増強させることができる。加湿剤として、グリセリンの外に、とりわけセリノール(3−アミノ−1,2−プロパンジオール)および/もしくはイソセリノール(2−アミノ−1,3−プロパンジオール)および更に尿素およびPCA(ピロリドンカルボン酸)を添加することができる。もちろん、この目的のための更なる物質を添加することもできる。
【0141】
本発明の意味で特に適した活性物質として、単独でもしくは組み合わせて、以下の活性物質を前記の化粧品マトリックス/パッドに添加することができる。
【0142】
本発明の範疇内で、完全に驚くべきことには、、本発明の調製物が更に特に、皮膚の状態に有効な影響を有する活性物質の使用に適することが明らかになった。従って、老化皮膚に有効な影響を与えるための活性物質が皺の形成を軽減するか、もしくは既存の皺を少なくすらすることが見いだされた。従って、特に好ましい活性物質は、本発明のマトリックス中に非常に有効に使用することができる、例えばビオキノン(bioquinone)、特にユビキノン、Q10、クレアチン、クレアチニン、カルニチン、アセチルカルニチン、ビオチン、イソフラボンおよびイソフラボノイド、ゲニステイン、アークチイン、カルジオリピン、リポ酸、抗凍結タンパク質、ホップ抽出物およびホップ−麦芽抽出物並びに/または結合組織の再構成を促進する物質、イソフラボノイドおよびイソフラボノイド含有植物抽出物(例えば大豆抽出物およびクローバー抽出物)であると考えられる。更に、マトリックスは乾燥皮膚の症例における皮膚機能を補助するための活性物質(例えばビタミンC、ビオチン、カルニチン、クレアチン、クレアチニン、プロピオン酸、グリセリン、緑茶抽出物、ユーカリ油、尿素および鉱物塩(例えばNaCl)、海洋鉱物並びに更にオスモライト(osmolytes)(例えばタウリン、イノシトール、ベタイン)および第四級アンモニウム化合物)を使用するのに特に適することが見いだされた。同様に、刺激性皮膚症状を緩和しもしくはそれに有効に影響を与えるための活性物質の取り込みが、全般的に感受性皮膚に対してであろうと有害物(UV光線、化学薬品)により刺激された皮膚に対してであろうと、有利であることが判明した。ここで挙げることができる活性物質は、セリコシド、甘草の様々な抽出物、リコカルコンA、シリマリンおよび/もしくはシリホス、デクスパンテノール、エタノール、プロスタグランジン代謝、特にシクロオキシゲナーゼおよびロイコトリエン代謝、特に5−リポキシゲナーゼ、しかしまた5−リポキシゲナーゼ阻害タンパク質、FLAPの阻害剤、のような物質である。色素沈着調整剤の取り込みもまた有利であることが判明した。ここで挙げることができる活性物質は、皮膚の色素沈着を減少させ、従って美容的に所望される皮膚の明色化をもたらし、そして/もしくは老人斑の発生を抑制し、そして/もしくは既存の老人斑を明色化する物質[例えば、硫酸チロシン、ジオン酸(8−ヘキサデセン−1,16−ジカルボン酸)、リポ酸およびリポンアミド、甘草の様々な抽出物、コージ酸、ヒドロキノン、アルブチン、果実酸、特にアルファ−ヒドロキシ酸(AHA)、クマコケモモ(ウヴァエ・ウルシ)、ウルソリン酸、アスコルビン酸、緑茶抽出物、アミノグアニジンおよび/もしくはピリドキサミン]である。同様に、本発明のマトリックスは、UV光線の影響を伴う伴わないにかかわらず、皮膚の増加した/より急速な褐色化をもたらす活性物質(前進したグリコシル化最終生成物(AGE))、リポフスチン、核酸オリゴヌクレオチド、プリンおよびピリミジン、NO−放出物質の優れた基剤であることが判明した。
【0143】
ポリマーマトリックスは0〜35重量%、好ましくは0〜15重量%、非常に好ましくは0.02〜2%の量の1もしくは複数の活性物質を含むであろう。
【0144】
驚くべきことには、酸化的および変性的損傷の予防のため、そして特にこのような損傷の処置のためには化粧品マトリックス/パッドに抗酸化剤を添加することが合理的であることが見いだされた。抗酸化剤は有利には、非常に低い許容投与量(例えばpモル〜μモル/kg)における、アミノ酸、例えばグリシン、リジン、アルギニン、システイン、ヒスチジン、チロシン、トリプロファンおよびそれらの誘導体(塩、エステル、エーテル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび/もしくは脂質化合物のような)、イミダゾール、例えばウロカニン酸およびそれらの誘導体(塩、エステル、エーテル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび/もしくは脂質化合物のような)、D,L−カルノシン、D−カルノシン、L−カルノシン、アンセリンおよびそれらの誘導体(例えば塩、エステル、エーテル、糖、チオール、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび/もしくは脂質化合物のような)のようなペプチド、カロテノイド、カロテン、例えばα−カロテン、β−カロテン、Ψ−リコペン,フィトエンおよびそれらの誘導体(例えば塩、エステル、エーテル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび/もしくは脂質化合物のような)、クロロゲン酸およびその誘導体(例えば塩、エステル、エーテル、糖、チオール、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび/もしくは脂質化合物のような)、アウロチオグルコース、プロピルチオウラシルおよびその他のチオール、例えばチオレドキシン、リポ酸、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミン並びに、それらのグリコシル、N−アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチルおよびラウリル、パルミトイル、オレイル、γ−リノレイル、コレステリルおよびグリセリルエステルおよびそれらの塩、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジステアリル、チオジプロピオン酸およびその誘導体(塩、エステル、エーテル、糖、チオール、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび/もしくは脂質化合物のような)およびスルホキシイミン化合物、例えばホモシステイン・スルホキシイミン、ブチオニン・スルホン、ペンタ−、ヘキサ−およびヘプタチオニン・スルホキシイミン、更に、(金属)キレート形成剤、例えばアポフェリチン、デスフェラール、ラクトフェリン、α−ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、およびそれらの誘導体(塩、エステル、エーテル、糖、チオール、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび/もしくは脂質化合物のような)、α−ヒドロキシ酸、例えばクエン酸、乳酸、リンゴ酸、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、メラニン、EDTA、EGTAおよびそれらの誘導体、不飽和脂肪酸およびそれらの誘導体、例えばγ−リノレン酸、リノール酸、オレイン酸、葉酸およびその誘導体、フルフリリデンソルビトールおよびその誘導体、ユビキノン、ユビキノール、プラストキノンおよびその誘導体(塩、エステル、エーテル、糖、チオール、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび脂質化合物のような)、ビタミンCおよび誘導体、例えばパルミチン酸アスコルビル、Mgリン酸アスコルビル、酢酸アスコルビル、トコフェロールおよび誘導体、例えば酢酸ビタミンE、Trolox(R)および更にフェノール化合物および、フラボノイドのようなそれらを含んで成る植物抽出物、例えば、グリコシルルチン、フェルラ酸、カフェイン酸、フルフリリデングルシトール、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアヤク酸、ノルジヒドログアヤレチン酸、トリヒドロキシブチロフェノンおよびそれらの誘導体(塩、エステル、エーテル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび脂質化合物のような)、尿酸およびその誘導体、マンノースおよびその誘導体(塩、エステル、エーテル、糖、チオール、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび脂質化合物のような)、亜鉛およびその誘導体、例えばZnO、ZnSO、セレンおよびその誘導体、例えばセレン・メチオニン、エブセレン、スチルベンおよびそれらの誘導体、例えば酸化スチルベン、酸化トランス−スチルベン並びに、これら前記の活性物質の本発明に従って適切な誘導体(塩、エステル、エーテル、糖、チオール、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび/もしくは脂質化合物のような)から成る群から選択される。
【0145】
ポリマーマトリックスは0〜35重量%、好ましくは0〜15重量%、非常に好ましくは0.02〜2重量%の量の1もしくは複数の抗酸化剤を含むであろう。
【0146】
使用することができる活性物質の更なる例には精油が含まれる。精油により、天然の原料として主として香料および食品産業に使用され、多少とも揮発性化合物から成る植物由来の濃厚物を意味する。これらの化合物のうちで言及することができる例には1,8−シネオール、リモネン、メントール、ボルネオールおよびカンファーが含まれる。「精油」の用語はしばしば、植物中に未だ存在する揮発性成分に対して使用される。しかし、それらの真の意味では、精油は植物原料から水蒸気蒸留により調製される揮発性化合物の混合物であると理解される。
【0147】
精油は専ら、それらの沸点が一般に150〜300℃の間にある揮発性成分から成る。それらには主として炭化水素もしくは単官能性化合物(例えばアルデヒド、アルコール、エステル、エーテルおよびケトン)が含まれる。親化合物はモノ−およびセスキテルペン、フェニルプロパン誘導体およびより長鎖の脂肪族化合物である。幾つかの精油においては1成分が主要であり(例えば、クローブ油中85%を超えるオイゲノール)、他方他の精油は個々の成分の複雑な混合物を構成する。感覚刺激性の(organoleptic)特性はしばしば、主成分によってではなく、例えばガルバヌム油中の1,3,5−ウンデカトリエンおよびピラジンによるような補助的もしくは微量成分により決定される。商業的に重要な多数の精油中に同定された成分の数は何百にものぼる。非常に多数の成分がキラルであり、ここで非常にしばしば、例えばペパーミント油中の(−)−メントールもしくはラベンダー油中の(−)−リナリルアセテートのように、1鏡像異性体が主であるかもしくは独占的に存在する。
【0148】
挙げることができる好ましい精油にはユーカリ油、コショウ様ハッカ油、樟脳油、ローズマリー油、タイム油、シベリアマツ油および野生マツ油およびテルペン1,8−シネオールおよびレボメタノールが含まれる。
【0149】
挙げることができる更なる精油には白モミ油、アニス油、橙の花油、バルガルモット油(oleum bargarmottae)、キンセンカ煎じ油、樟脳油、丁子油、カミツレ油、シナモンセロリ油、カンキツ油、シトロネラ油、イタリアイトスギ油、シンボポゴニス油(oleum cymbopogonis)、肝油、ラベンダー油、ニクズク花油、マジョラナ油(oleum majoranae),メラルーサの若木油、メリッサ油、野生ハッカ油、コショウ様ハッカ油、ノコギリソウ油、ミルラ油、ギンバイカ油、オレガノ油、シベリアマツ油、野生マツ油、サルビア油、ビャクダン油、精留テレビンチナ油、タイム油、吉草油、ショウガ油および/もしくは茶ノ木油が含まれる。
【0150】
ペパーミント油は様々な種類のペパーミントの葉および花並びに更に時々は野生のハッカから水蒸気蒸留により得られる精油である。
【0151】
柑橘油は、しばしばアルグメン油とも呼ばれる、柑橘果実(ベルガモット、グレープフルーツ、ライム、マンダリン、オレンジ、レモン)の皮から得られる精油である。柑橘油は大部分、モノテルペン炭化水素、主としてリモネン(例外:ベルガモット油は約40%のみを含有する)から成る。
【0152】
メントールは例えば、光線火傷の結果としての皮膚の刺激の症例に表面麻酔のために使用することができる。この方法で使用される製品は冷たい快感をもたらし、専門家の医学的処置を要しない皮膚刺激、例えば軽度の日焼けおよびカミソリ負けを冷却するために使用することができる。
【0153】
メントールは3個の非対称C原子を有し、従って鏡像異性体の4組のジアステレオマー対(式を参照されたい:他の4鏡像異性体は対応する鏡像である)で存在する。
【0154】
【化4】

【0155】
蒸留により分離することができるジアステレオ異性体はネオイソメントール、イソメントール、ネオメントール[(+)型:日本ペパーミント油の一成分]およびメントールと呼ばれる。もっとも重要な異性体は強度なペパーミント様匂いをもつ輝くプリズムの(−)−メントール(レボメントール)である。
【0156】
皮膚刺激/軽度の疼痛、神経痛および炎症を処置するために、更なる活性物質として、マトリックスに例えばカンフアーを添加することができる。カンフアーにより2−ボルナノン、1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オンを意味する;以下の図を参照されたい。
【0157】
【化5】

【0158】
本発明のヒドロゲル/パップの有利な態様として、更にまた、活性充血物質(例えばカヤンペッパーの天然の活性物質)もしくは合成の活性物質(例えばノニバミド、ニコチン酸誘導体、好ましくはベンジルニコチネートもしくはプロピルニコチネート)並びに抗炎症剤および/または鎮痛剤を挙げることができる。
【0159】
例により、カプサイシン
【0160】
【化6】

【0161】
【化7】

【0162】
を挙げることができる。
【0163】
フラボンおよびその誘導体(しばしば集合的に「フラボン類」とも呼ばれる)はまた、本発明の意味において有利な添加剤である。それらは下記の基本構造(置換位置が表示されている):
【0164】
【化8】

【0165】
を特徴としてもつ。
【0166】
本発明の調製に更に、好ましく使用することができる、より重要なフラボンの幾つかは下記の表に挙げられる:
【0167】
【表1】

【0168】
天然においては、フラボンは通常グリコシル化形態で存在する。
【0169】
本発明に従うフラボノイドは好ましくは一般構造式
【0170】
【化9】

【0171】
[式中、Z〜Zは相互に独立に、H、OH、アルコキシ−および更にヒドロキシアルコキシ−から成る群から選択され、ここでアルコキシおよびヒドロキシアルコキシ基はそれぞれ、分枝および非分枝であってよく、1〜18個のC原子をもつことができ、そこでGlyはモノ−およびオリゴグリコシド残基の群から選択される]
の物質の群から選択される。
【0172】
しかし、本発明に従うフラボノイドはまた有利には、一般構造式
【0173】
【化10】

【0174】
[式中、Z〜Zは相互に独立に、H、OH、アルコキシ−および更にヒドロキシアルコキシ−から成る群から選択され、ここでアルコキシおよびヒドロキシアルコキシ基はそれぞれ、分枝および非分枝であってよく、1〜18個のC原子をもつことができ、そこでGlyはモノ−およびオリゴグリコシド残基の群から選択される]
の物質の群から選択することができる。
【0175】
これらの構造物は一般構造式
【0176】
【化11】

【0177】
[式中、Gly、GlyおよびGlyは相互に独立に、モノグリコシド残基を表わすかまたはGlyおよび/もしくはGlyがまた、個別にもしくは一緒に水素原子による飽和物を表わす]
の物質の群から好ましく選択することができる。
【0178】
Gly、GlyおよびGlyは好ましくは、相互に独立に、ヘキソシル基、特にラムノシル基およびグルコシル基の群から選択される。しかし、その他のヘキソシル基(例えば、アロシル、アトロシル、ガラクトシル、グロシル、イドシル、マンノシルおよびタロシル)も同様に、適当な場合には有利に使用することができる。ペントシル基を使用することも本発明に従って有利であるかも知れない。
【0179】
〜Zは有利には相互に独立に、H、OH、メトキシ−、エトキシ−および更に2−ヒドロキシエトキシ−から成る群から選択され、フラボングリコシドは構造:
【0180】
【化12】

【0181】
を有する。
【0182】
特に有利になる本発明のフラボングリコシドは以下の構造:
【0183】
【化13】

【0184】
[式中、Gly、GlyおよびGlyは相互に独立に、モノグリコシド残基もしくはオリゴグリコシド残基を表わす。Glyおよび/もしくはGlyはまた、個別にもしくは一緒に水素原子による飽和物を表わす]
により表わされる群からのものである。
【0185】
好ましくは、Gly、GlyおよびGlyは相互に独立に、ヘキソシル基、とりわけラムノシル基およびグルコシル基の群から選択される。しかし、その他のヘキソシル基(例えば、アロシル、アトロシル、ガラクトシル、グロシル、イドシル、マンノシルおよびタロシル)も同様に、適当な場合には有利に使用することができる。ペントシル基を使用することも本発明に従って有利であるかも知れない。
【0186】
本発明の意味において、1もしくは複数のフラボングリコシドをα−グルコシルルチン、α−グルコシルミリセチン、α−グルコシルイソクエルシトリン、α−グルコシルイソクエルセチンおよびα−グルコシルクエルシトリンから成る群から選択することは特に有利である。
【0187】
α−グルコシルルチンが本発明に従って特に好ましい。
【0188】
更にナリンギン(アウランチイン、ナリンゲニン7−ラムノグルコシド)、ヘスペリジン(3’,5,7−トリヒドロキシ−4’−メトキシフラバノン7−ルチノシド、ヘスペリドシド、ヘスペレチン7−O−ルチノシド)、ルチン(3,3’,4’,5,7−ペンタヒドロキシフリボン3−ルチノシド、クエルセチン3−ルチノシド、ソホリン、ビルタン、ルタビオン、タウルチン、フィトメリン、メリン)、トロキセルチン(3,5−ジヒドロキシ−3’,4’,7−トリス(2−ヒドロキシエトキシ)フラボン3−(6−(O−(6−デオキシ−α−L−マンノピラノシル)−β−D−グルコピラノシド))、モノキセルチン(3,3’,4’,5−テトラヒドロキシ−7−(2−ヒドロキシエトキシ)フラボン3−(6−(O−(6−デオキシ−α−L−マンノピラノシル)−β−D−グルコピラノシド))、ジヒドロロビネチン(3,3’,4’,5’,7−ペンタヒドロキシフラボノン)、タキシホリン(3,3’,4’,5,7−ペンタヒドロキシフラバノン)、エリオジクチオール−7−グルコシド(3’,4’,5,7−テトラヒドロキシフラバノン7−グルコシド)、フラバノマレイン(3’,4’,7,8−テトラヒドロキシフラバノン7−グルコシド)およびイソクエルセチン(3,3’,4’,5,7−ペンタヒドロキシフラバノン−3−(β−D−グルコピラノシド))もしくはそれらの誘導体が本発明に従って有利である。
【0189】
本発明のゲルマトリックスのための活性物質の更に好ましいクラスには、(−本発明の範囲内で完全性にどんな主張(any claim)をも伴わないが)以下が含まれる:
抗カビ・真菌剤(例えばナフィチン、アモロルフィン、トルナフテート、シクロピロックス)
非ステロイド性抗炎症剤(例えばグリコールサリチレート、フルフェナミン酸、イブプロフェン、エトフェナメート、ケトプロフェン、ピロキシカム、インドメタシン)、
抗炎症剤(例えばアセチルサリチル酸)
抗掻痒剤(例えばポリドカノール、イソプレナリン、クロタミトン)、
局所麻酔剤(例えばリドカイン、ベンゾカイン)、
抗乾癬剤(例えばアンモニウムビツマスルホネート)、
角質溶解剤(例えば尿素)。
【0190】
活性物質中で、本発明のポリマーマトリックス、ヒドロゲル/パップもしくは化粧品パッドに対して特に重要であると強調しなければならないものは、消毒剤(disinfectants)もしくは防腐剤(antiseptics)である。
【0191】
消毒剤と指定される物質は消毒、すなわち病原性微生物(例えばバクテリア、ウイルス、胞子、ミクロ菌およびカビ)を抑制するのに適したものである。一般に、製品は皮膚、衣類、装置、室の表面、のみならずまた飲料水、食品、種子(ドレッシング)上に、そして土壌消毒剤として使用される。
【0192】
特に、例えば創傷の消毒のためのような局所適用のための消毒剤はまた防腐剤とも呼ばれる。
【0193】
消毒剤は製品もしくは表面に使用される時に、それらがもはやどんな感染をも誘起しないような状態にそれらを置く物質もしくは組成物と定義される。それらの作用は殺バクテリア、殺カビ・真菌、殺ウイルスそして殺胞子性である、すなわち集合的用語:殺微生物性でなければならない。静菌効果(bacteriostatic effect)は消毒剤には不適切である。従ってそれらは概括的に汎毒性(pantoxic)である、すなわちそれらはすべての生存細胞に対してそれらの作用を発現する。
【0194】
意図された使用に応じて、消毒剤はそれらを洗濯物、表面、装置、皮膚および手の消毒のため、そして便および唾液の消毒のためのものに分類される。消毒洗浄剤は洗浄製品としても、そして適切な場合には手入れ製品としても働く消毒剤であると理解される。
【0195】
例えばスペクトルの広い作用、短い作用時間、皮膚の相容性、低い毒性、物質の相容性、等のような、消毒剤に課せられる広範な要求を考慮すると、ごく特定のタイプの活性物質のみが所望の使用に適する。
1.もっとも重要な群の活性物質はアルデヒド(ホルムアルデヒド、グロキサール、グルタルアルデヒド)である。それらはホルムアルデヒドおよびグルタルアルデヒドの場合にはウイルス活性および殺胞子作用を含むスペクトルの広い作用を有する。
2.フェノール誘導体は良好な殺バクテリア作用を有するが、殺胞子性ではない。それらはほとんどすべての他の有効な消毒物質に比較すると、埃(dirt)により比較的影響を受けないという利点を有する。従ってそれらは便の消毒に特に適する。典型的な代表物は2−ビフェニロールおよびp−クロロ−m−クレゾール(4−クロロ−3−メチルフェノール)である。
3.アルコールは急速な活性を特徴としてもつが、約40%〜80%の比較的高濃度においてのみである。
4.第四級アンモニウム化合物、カチオン界面活性剤(逆性セッケン)および両性界面活性剤は界面活性剤のクラスに属する。それらはかなり良好な皮膚相容性および物質相容性および更に匂いの中立性を特徴としてもつ。しかし、それらの作用スペクトルはごく限定されている。それらには例えば、ベンズアルコニウムクロリド、セトリモニウムブロミド、セチルピリジニウムクロリド(ヘキサデシルピリジニウムクロリド)等が含まれる。
【0196】
第四級アンモニウム化合物は第四級窒素原子を含有する有機アンモニウム化合物である。疎水性アルキル基を有する第四級アンモニウム化合物は殺菌性であり;それらの使用は毒性学的理由のために明らかに低下している。
【0197】
第四級アンモニウム化合物は第三級アミンをアルキル化剤(例えばメチルクロリド、ベンジルクロリド、ジメチルサルフェート、ドデシルブロミド、しかしまたエチレンオキシド)と反応させることにより調製される。使用される第三級アミンに応じて3種の群:
【0198】
【化14】

【0199】
a)線状アルキルアンモニウム化合物、
b)イミダゾリニウム化合物、
c)ピリジニウム化合物R=CH、R=C8−18、X=ハロゲン、
に区別される。
【0200】
1個の長いアルキル基および2個のメチル基を有する第三級アミンのアルキル化は特に容易に実施され、そして2個の長い基および1個のメチル基を有する第三級アミンの第四級化は温和な条件下でメチルクロリドを使用して実施することができる。3個の長いアルキル基もしくはヒドロキシ−置換アルキル基を有するアミンは非常に反応性ではなく、好ましくは、ジチルスルフェートを使用して第四級化される。
5.ハロゲンのなかでは、塩素およびヨウ素が消毒剤として特定の意味を有する。塩素は水処理およびプールの消毒並びにそれに加えて、匂いおよび腐食性のようなその不快な特性から知られている。バクテリア、カビ・真菌類、胞子およびウイルスに対する優れた作用にもかかわらず、塩素含有消毒剤は前記の理由のため、そして有機物質による高度な塩素喪失のために、ヒトの部門(human segment)において何の大きな用途をも見いださなかった。それに対し、次亜塩素酸塩、石灰塩化物およびクロロイソシアヌル酸は工業用消毒剤としていまだ広く使用されている。ヨウ素のチンキは防腐剤として医療部門で使用される。
6.活性酸素に基づく消毒剤(例えば過酸化水素、ペルオキシ酢酸)は最近いくらか重要性を取り戻した。
7.金属表面の酸化物層中に含有されるAgイオンは微生物中のチオール酵素に阻害効果を及ぼすので、銀は単独でそして結合形態双方で強力な防腐作用を有する。Agイオンはまた強力に殺カビおよび殺バクテリア性である。従って創傷包帯材料として薄い殺バクテリア性の銀フォイルが使用され、同様に、防腐剤および抗カビ・真菌剤として、銀エアゾール、銀溶液、銀含有軟膏、錠剤等が使用される。
【0201】
銀イオンは塩、ゼオライト、例えばアルミナムシリケート、もしくは好ましくは銀ガラスの形態で使用することができる。
【0202】
前記の活性殺微生物物質の外に、多数の静微生物物質および保存剤(芳香族の酸およびそれらの塩のジフェニルエーテル、カルボアニリド、アセトアニリド)がまだ特定の使用のために市販されており、より広範な意味の消毒剤中に含まれる。
【0203】
消毒剤の一貫した作用機序を見分けることはできない。特定の調製物はバクテリアの細胞膜上に破壊的に作用するように推定されるが、他方に対してはキレート形成による、酵素もしくは微量元素中の重要なスルフィド結合の不可逆的阻害が推定される。
【0204】
従って、本発明は更に、ポリマーマトリックス中への
・少なくとも1種の非イオン界面活性剤および
・少なくとも1種のアミノ酸および/もしくはアミノ酸誘導体および
・少なくとも1種の消毒剤および/もしくは活性殺微生物性物質、
を含んで成る消毒製品の使用を提供する。
【0205】
1もしくは複数の非イオン界面活性剤は有利には、それらのアルキル基が、(8)10〜18個、好ましくは、12〜14個の炭素原子を有する飽和もしくは不飽和の直鎖−もしくは分枝鎖アルキル基であるアルキルエトキシレートおよび/もしくはアルキルプロポキシレートの群から選択され、それらは好ましくは、1分子当たり2〜15個、特に5〜9個、そして特には7個のエチレンオキシド単位を含む。イソトリデカノールエトキシレートおよび/もしくは脂肪アルコールのポリグリコールエーテルが極めて特に好ましい。
【0206】
非イオン界面活性剤(1もしくは複数の化合物)の総量は有利には、マトリックスの総重量に基づきそれぞれ、1.0重量%〜20.0重量%、好ましくは5.0重量%〜15.0重量%の範囲内から選択される。
【0207】
有利なアミノ酸は例えば、以下の構造式:
【0208】
【化15】

【0209】
を特徴としてもつグルタミン酸および/もしくは、以下の構造式:
【0210】
【化16】

【0211】
を特徴としてもつピロリドンカルボン酸(ピログルタミン酸)である。
【0212】
アミノ酸(1もしくは複数の化合物)の総量は有利には、マトリックスの総重量に基づきそれぞれ、0.1重量%〜10.0重量%、好ましくは0.5重量%〜2.0重量%の範囲内から選択される。
【0213】
1もしくは複数の消毒剤(活性殺微生物物質)は好ましくは、アルデヒド(例えばホルムアルデヒド、グリオキサール、グルタルアルデヒド)、フェノール誘導体(例えば2−ビフェニロールおよびp−クロロ−m−クレゾール(4−クロロ−3−メチルフェノール))、アルコール、第四級アンモニウム化合物(例えばベンズアルコニウムクロリド、セトリモニウムブロミド、セチルピリジニウムクロリド(ヘキサデシルピリジニウムクロリド))の群から選択される。これに関してはアルデヒドおよび第四級アンモニウム化合物が特に好ましい。
【0214】
1つの特に有利な態様において、消毒剤系は更に両性界面活性剤を含んで成ることができる。両性界面活性剤は酸性および塩基性親水性基双方を有し、従って条件に応じて酸性もしくは塩基性に行動する界面活性剤である。例えば、カルボキシル、スルホもしくはホスホノ側鎖(例えばR−NH−(CH−COOH))を有する脂肪族ポリアミンに基づく両性界面活性剤は利点を有する。
【0215】
例えば、そのアルキル基が10〜18個、好ましくは、12〜14個の炭素原子を有する飽和もしくは不飽和の直鎖もしくは分枝鎖アルキル基である両性界面活性剤が好ましい。
【0216】
更に、以下の構造:
【0217】
【化17】

【0218】
を特徴としてもつ、例えば、ココベタインアミドアンホプロピオネートのようなアンホプロピオネートの群からの両性界面活性剤は特に有利である。
【0219】
両性界面活性剤(1もしくは複数の化合物)の総量は有利には、マトリックスの総重量に基づきそれぞれ、1.0重量%〜10.0重量%、好ましくは2.0重量%〜5.0重量%の範囲内から選択される。
【0220】
使用のための溶液中の個々の物質の量が以下:
非イオン界面活性剤: 0.005重量%〜1重量%
アミノ酸: 0.0005重量%〜0.5重量%
場合により両性界面活性剤: 0.005重量%〜0.5重量%
消毒剤: 0.01重量%〜2.0重量%
であるように希釈を実施することが有利である。
【0221】
前記に特定された成分に加えて、このような調製物のための消毒剤系は通常の保存剤、染料、香料および/もしくはその他の補助剤を含んで成ることができる。しかし、作用(保存、手入れ、等)をもたらす成分を使用し、そして同時に特定の色彩および/もしくは快適な香りを提供することもできる。
【0222】
それぞれの場合に使用されるこれらのビヒクルおよび香料の量は簡単な試験により当業者により特定の製品の性質の関数として容易に決定することができる。
【0223】
アルキルアミン、少なくとも1種のアミノ酸および/もしくはアミノ酸誘導体および少なくとも1種の第四級アンモニウム化合物の群から選択される、少なくとも1種の活性殺微生物物質を含んで成る消毒剤系の使用も有利である。
【0224】
第四級アンモニウム化合物は有利には、好ましくは、ベンズアルコニウムクロリド、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、セトリモニウムブロミドおよびセチルピリジニウムクロリド(ヘキサデシルピリジニウムクロリド)から成る群から選択される。アルキルアミンは有利にはドデシルビスプロピレントリアミンである。
【0225】
本発明に従うと、それらのアルキル基が8〜18個、好ましくは、12〜14個の炭素原子を有する飽和もしくは不飽和の直鎖−もしくは分枝鎖アルキル基であり、そして好ましくは、1分子当たり2〜15個、とりわけ5〜9個、特には7個のエチレンオキシド単位を含むアルキルエトキシレートの群から特に有利に選択される非イオン界面活性剤が更に、有利に添加される。イソトリデカノールエトキシレートおよび/もしくは脂肪アルコールのポリグリコールエーテルが極めて特に好ましい。
【0226】
非イオン界面活性剤(1もしくは複数の化合物)の総量は有利には、マトリックスの総重量に基づきそれぞれ、1.0重量%〜20.0重量%、好ましくは5.0重量%〜15.0重量%の範囲内から選択される。
【0227】
更に、消毒、保存および防腐のための薬剤としての、多数の殺微生物活性の化学物質もしくはこれらの物質の混合物それら自体は知られている。殺微生物物質は概括的に、多かれすくなかれ、通常のスペクトルの微生物(例えばグラム陽性菌、グラム陰性菌、マイコバクテリア、酵母菌、カビ・真菌、ウイルス等)に対して活性であり、従って通常、適切な活性物質組み合わせ物により十分な消毒、保存もしくは防腐を達成することができる。
【0228】
消毒、保存および防腐の目的のためには、一連の活性物質、例えば、特にアルデヒド(例えばホルムアルデヒドもしくはグルタルアルデヒド)、第四級アンモニウム化合物および長鎖アミン、フェノールもしくはアルコールが知られている。
【0229】
アルデヒドは消毒される製品上に化学反応により血液およびタンパク質の残留物を固定するので、消毒後、これらの製品は洗浄が困難である。更に、それらは比較的高いアレルギー誘発性を有するので、皮膚および手に対する適用は低濃度でのみ可能であるか、もしくは−要求に応じて−感作閾値未満に留まることができるために、更なる活性物質と組み合わせて検討することができる。より高濃度のアルデヒドはまた、それらの匂いのために望ましくなく、この理由のために、同様に更なる活性物質との組み合わせにより濃度を低下させる。
【0230】
第四級アンモニウム化合物および長鎖アミンはしばしば、表面の消毒においてそして手動装置の消毒のために、そして僅かな程度には更に手の防腐のために使用される。アルデヒドと比較すると、これらの化合物の匂いは著しく不快感が少ない。タンパク質との化学反応はないが、タンパク質の物理的沈殿が起り、それは界面活性剤との巧みな組み合わせにより一部埋め合わせされる(compensate)。装置の機械的消毒のためには、第四級アンモニウム化合物は洗浄機内の乱流により、激しい、望ましくない発泡が起るので、適切ではない。表面の消毒の場合には、第四級アンモニウム化合物は表面に「付着する」強い傾向を示し、すなわちこれらの化合物の層が表面上に形成される。第四級アンモニウム化合物は殺胞子性にも、もしくは外皮膜をもたない(nonenveloped)ウイルスに対しても作用しないので、更なる重大な欠点はそれらの限定された作用スペクトルである。
【0231】
フェノールは、消毒剤の実質的にすべての部門の適用において、主としてそれらの匂い、それらのポリオウイルスに対する低い活性レベル、場合によるそれらの乏しい分解処理性、皮膚をとおる強力な透過性と併せたそれらの高い脂質溶解度並びに更に毒性および変異原性の危険のために、下り坂にある。
【0232】
脂肪族アルコールのエタノール、プロパン−1−オールおよびプロパン−2−オールは皮膚および手の消毒のためのもしくは皮膚および手の防腐のための活性物質として昔から知られてきた。アルコール基剤の消毒剤および防腐剤により30〜60秒の短時間の暴露により99.9%までの微生物数の減少を得ることができる。アルコールの殺微生物活性の全般的な、簡単な提示は以下の本:K.H.Wallhaeusse,”Praxis der Sterilisation, Desinfektion und Konservierung”,G.Thieme Verlag,Stuttgart,New York,5th editon,pp.469−474、に認められる。
【0233】
アルコールはメタノールからプロパノールに増加する殺バクテリア作用を有する。とりわけエタノール、n−プロパノールおよびイソプロパノールが使用され、そこで調製物のアルコール含量は一般的に50%〜80%に位置する。アルコールの本質的利点は作用開始が非常に早いことである。欠点はそれらが胞子に活性でなく、アルコールは急速に蒸発するので作用が非常に短期間後に終結することである。アルコールの抗ウイルス活性は検討中であるが、それは、エタノールの場合に約80%であると推定される、高い濃度限界内においてのみである。
【0234】
実際、アルコール性消毒剤および防腐剤はウイルスおよび微量のバシラスおよびクロストリジウム種を破壊することが不可能であるかもしくは適切には不可能であることが認められた。アルコール溶液からの胞子の除去は濾過により達成することができるが、実際には、微生物の胞子が(その後に)例えば貯蔵容器の短時間の開放中もしくは既に胞子を含む容器中への製品の分配中に調製物中に侵入するであろうことを完全に除外することはできない。このため、アルコール性の皮膚および手の防腐剤を使用する際は、胞子により誘起される感染のある程度の危険が常にある。
【0235】
防腐剤は皮膚を処置するのに特に適する。防腐剤は皮膚糸状菌に対して非常に良好な活性を示し、とりわけ驚くべきことには、それらがウイルスに対して非常に良好な活性を有する事実を特徴として示す。
【0236】
防腐剤の成分はそれらの抗微生物性と抗ウイルス性に関して相乗的に作用する、すなわち有意な方法で付加的に作用する。
【0237】
従って、防腐剤としての、
(a)42重量%〜47重量%の1−プロパノール、
(b)22重量%〜27重量%の2−プロパノール、
(c)4重量%〜6重量%のエタノール、
(d)少なくとも20重量%の水、
(e)0.0001重量%を超えない、標準条件下で固体の形態にある物質、
(f)有効な量を含まない、殺ウイルス性を特徴とする更なる物質、
を含んで成る調製物の使用、特にHIVウイルスもしくはB型肝炎ウイルスを抑制もしくは不活性化するためのその使用もまた有利である。
【0238】
順次、1,1’−ヘキサメチレンビス[5−(4−クロロフェニル)ビグアニド]に対する国際一般名である、クロルヘキシジン、
【0239】
【化18】

【0240】
が防腐剤として特に適し、ここで使用される防腐剤は二塩酸塩、二酢酸塩および二グルコン酸塩である。
【0241】
パッチもしくは化粧品マトリックス/化粧品パッドとしての使用のためには、本発明のゲルマトリックスは紙、フィルム等から製造された剥離媒質上に層としてプレス、ロール等をされて、例えばポリマーフィルム、織物等のような任意の所望の裏材料を裏側に張り付けられる。本発明に従って特に好ましくはゲルマトリックスは裏材料に計量ポンプにより熱状態で適用され、極めて特に好ましくは、プレスもしくはロール機構において対応する孔により三次元形態に形成される。製造されるパッチもしくは化粧品マトリックスの形態は孔の形態により決定され、どんな制約をも受けず、例えば、平らになる縁をもつ長円体であるかもしくは例えば角のある形態であってもよい。
【0242】
特に有利には本発明のゲルマトリックスは特にパッチ/化粧品マトリックスとして使用される時には、柔軟なカバー層上に適用される。対応するパッチ/対応する化粧品マトリックスは裏材料(例えば、フィルム、不織物、織物、発泡体等)、接着性マトリックスおよび、パッチ/化粧品マトリックスの使用前に接着性マトリックスを保護するためのライナーフィルム、ライナーペーパーもしくは剥離紙から構成される。本発明の更に好ましい態様において、使用される裏材料はポリマーフィルム、不織物、織物およびそれらの組み合わせ物である。選択に利用できる裏材料にはポリマー(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテル−エステル・コポリマーおよびポリウレタン)あるいはまた、天然繊維が含まれる。要約すると、適切な裏材料は合成および天然の原料のすべての固いおよび弾性のシート様構造物を包含することを維持することができる。それらが機能的包帯の特性を充たすように使用することができる裏材料が好ましい。織物、ニット、編み物(lays)のような繊維製品、不織物、積層物、ネット、フィルム、発泡体および紙が例により挙げられる。更に、これらの材料は前もって処理しそして/もしくは後処理することができる。通常の前処理はコロナおよび疎水性化であり、通常の後処理は艶だし、熱処理、積層、穴開けおよび封入である。裏材料が滅菌可能で、好ましくはγ−(ガンマ)滅菌可能である場合は特に有利である。
【0243】
本発明に従って極めて特に好ましい裏材料は、良好な酸素、空気および水蒸気の透過性を有し、スクリーン印刷もしくは類似の方法により、強力に接着性のポリマー(例えばポリイソブチレン、SEBSブロックポリマー、天然ゴムおよび/もしくは合成ゴム、ポリウレタン等)を点状に提供され、そして側部の縁で、適用されたヒドロゲルマトリックスを外向きに重ねるものである。この形態に製造される本発明のマトリックスはヒドロゲル/パップの固有の接着が持続性の適用にはもはや十分ではない、大きい機械的応力下にある身体部分(例えば肘もしくは膝の関節)に自己接着性に貼ることができる。
【0244】
接着性マトリックスの記載された特性はとりわけ、医療用製品、特にパッチ、医療用留め具、創傷包帯、整形外科もしくは静脈学的包帯および包帯(dressings)のためのその使用を示唆する。化粧品もしくは皮膚科学的パッドとしての使用は極めて特に好ましい。
【0245】
最後にゲルマトリックスはシリコーン処理紙のような抗接着性裏材料で封入するかまたは創傷パッドもしくはクッションを提供することができる。本発明の化粧品マトリックスは、後に皮膚に面するその自己接着性の側に、使用されるまで、通常、抗接着性裏材料でその幅全体にわたって裏打ちされる。これが、良好な皮膚相容性を有し、好ましくは移動法により適用され、更に製品を全体的に安定化させるゲルマトリックスの接着剤から自己接着性の層を遮蔽する。裏打ちは既知の方法で一体としてもしくは好ましくは2部分として設計することができる。更なる態様はマトリックスの裏側と裏材料との間にレザボアとしての、より高い活性物質の溶解度をもつ第2のマトリックスが存在する。第2のマトリックスおよび裏材の代わりに、これはまた、純粋な活性物質とともに熱成形されたフィルムであることもできる。マトリックスの接着性の側の一部(例えば縁に)に更なる固定の目的のための、高い接着力をもつが、不十分な活性物質の溶解度をもつ第2のマトリックスが配置される。活性物質を含まないマトリックスが2枚の非固定(non−anchoring)フィルムの間に置かれ、固定(fixing)のために使用される。
【0246】
本発明は更に本発明のゲルマトリックス中への活性化粧品もしくは皮膚科学的物質の使用を提供する。
【0247】
望ましくない皮膚現象の美容的および有益な処置のためのPADとしての使用のためのポリアクリル酸/寒天基剤の活性物質−ドープゲルマトリックスの使用はとりわけ、好ましくは、特に例えば、皮膚老化現象、特に皺、色素沈着障害、特に老人斑および炎症性/刺激性皮膚現象(例えばカミソリ負けおよび/もしくは日焼けの症例におけるような)の処置に関連して、強調することができる。
【0248】
本発明の化粧品もしくは皮膚科学的マトリックスが更に1もしくは複数のアルコールを含んで成る場合、特に調製物が日焼け後用製品の形態にあり、特別の冷却効果を特徴としてもつ場合に本発明の意味で好ましい。
【0249】
化粧品もしくは皮膚科学的パッドもしくはプラスターとしてのポリマーマトリックスの使用は特に0.2〜1000cmの総面積をもつ平坦な態様において適する。これにより、例えば皮膚の小さい領域(0.2〜2cm)もしくは広い領域(1000cmまで)が、強力な冷却の目的で覆われる。
【0250】
0.1〜1000g、特に500gのポリマーマトリックスの重量画分をもつ二次元もしくは三次元の態様における自己接着性ポリマーマトリックスの使用が好ましい。この場合の形態は丸形、楕円形、角のある形であるかもしくは皮膚の部分に従うようにデザインすることができる。
【0251】
以下の実施例は本発明を、限定することなく具体的に示す。以下の表は本発明のゲルマトリックスを挙げる。報告される質量画分はマトリックスの総質量に基づく。
[実施例I〜III]
【0252】
【表2】

【0253】
実施例I〜IIIは一定のポリアクリル酸含量および同様な一定の寒天含量により類似の接着性を示すが、しかし増加するグリセリン含量により増加する接着性/弾性を示す。
[実施例IV〜VI]
【0254】
【表3】

【0255】
実施例IV〜VIは一定の寒天およびグリセリン含量により類似の接着性/弾性を示し、同時のポリアクリル酸含量の増加により増加する接着性を示す。
[実施例VII〜IX]
【0256】
【表4】

【0257】
すべての点で、本発明の調製物は優れた作用を特徴として示す完全に満足な調製物である。本発明に従って使用される活性物質または化粧品もしくは局所用皮膚科学的調製物が本発明に従って使用される有効含量の活性物質とともに使用されると、炎症性皮膚状態−アトピー性湿疹を含む−の有効な処置、しかし更に予防および/もしくは過敏性であると決定された乾燥皮膚の症例における皮膚の保護を達成することができる。しかし、本発明の活性物質または、有効量の本発明の活性物質を含有する化粧品もしくは局所用皮膚科学的調製物はまた、驚くべきことには、感受性もしくは刺激性皮膚を緩和するために役立つ。
【0258】
以下の調製物は老人斑に対する使用に特に適することが判明した。
[実施例X〜XII]
【0259】
【表5】

【0260】
以下の調製物は炎症性および刺激性皮膚状態、とりわけカミソリ負けおよび日焼けに対する使用に特に適することが判明した。
[実施例XIII〜XV]
【0261】
【表6】

【0262】
以下の調製物は年齢関連の皺のための使用に特に適することが判明した。
[実施例XVI〜XVIII]
【0263】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中でゲルを形成する少なくとも1種のポリマー、水、海藻抽出物および一価もしくは多価アルコールを含んで成る自己接着性ポリマーマトリックス。
【請求項2】
水中でゲルを形成するポリマーが少なくとも1種のポリアクリル酸ポリマーから成ることを特徴とする、請求項1のポリマーマトリックス。
【請求項3】
選択されるポリアクリル酸ポリマーが下記の構造:
【化1】

[式中、R’はアルキル基であり、そしてxおよびyはそれぞれ、それぞれのコモノマーのそれぞれの化学量論的画分を表わす]
を有するアクリレート−アルキルアクリレート・コポリマーであることを特徴とする、請求項2のポリマーマトリックス。
【請求項4】
使用されるポリアクリル酸ポリマーがC10−30アルキルアクリレートと、蔗糖のアリルエーテルもしくはペンタエリスリトールのアリルエーテルで架橋されているアクリル酸、メタクリル酸もしくはそれらのエステルの1もしくは複数のモノマーとのコポリマーであることを特徴とする、請求項2もしくは3のポリマーマトリックス。
【請求項5】
水中でゲルを形成するポリマーがマトリックスの総質量に基づき2重量%〜55重量%の量で使用されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項のポリマーマトリックス。
【請求項6】
水中でゲルを形成するポリマーが5重量%〜30重量%の量で使用されることを特徴とする、請求項5のポリマーマトリックス。
【請求項7】
海藻抽出物として寒天および/もしくはカラゲーナンが選択されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項のポリマーマトリックス。
【請求項8】
海藻抽出物がマトリックスの総質量に基づき0.1重量%〜15重量%の量で使用されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項のポリマーマトリックス。
【請求項9】
海藻抽出物が0.5重量%〜5重量%の量で使用されることを特徴とする、請求項8のポリマーマトリックス。
【請求項10】
一価もしくは多価アルコールとしてグリセリン(1,2,3−プロパントリオール)が使用されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項のポリマーマトリックス。
【請求項11】
アルコールがマトリックスの総質量に基づき、1重量%〜85重量%の量で使用されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項のポリマーマトリックス。
【請求項12】
アルコールがマトリックスの総質量に基づき、5重量%〜45重量%の量で使用されることを特徴とする、請求項11のポリマーマトリックス。
【請求項13】
更に少なくとも1種の活性物質が存在することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項のポリマーマトリックス。
【請求項14】
活性物質がクレアチン/クレアチニン、アルファ−グルコシルルチン、タウリン、セリノール/イソセリノール、甘草液PU、甘草PU、シリマリン/シリホス(silymarin/silyphos)、リポ酸、リポンアミド、緑茶抽出物、ビタミンC、8−ヘキサデセン−1,16−ジカルボン酸、イソフラボン、イソフラボノイド−含有植物抽出物(例えば大豆およびクローバー抽出物)、ユビキノンQ10、セリコシド、硫酸チロシン、ジョジョバ油、アロエ、消毒剤および/もしくは防腐剤から成る群から選択されることを特徴とする、請求項13のポリマーマトリックス。
【請求項15】
1もしくは複数の活性物質が0〜35重量%、好ましくは0.02〜2重量%の量で存在することを特徴とする、請求項13もしくは14のポリマーマトリックス。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項のポリマーマトリックスを含んで成る医療用パッチ、化粧品もしくは皮膚科学的マトリックスまたはパッド。
【請求項17】
化粧品もしくは皮膚科学的パッドまたはプラスター(plaster)中の、請求項1〜15のいずれか1項の自己接着性ポリマーマトリックスの使用方法。
【請求項18】
一般的な皮膚の手入れのための、請求項1〜15のいずれか1項の自己接着性ポリマーマトリックスの使用方法。
【請求項19】
局所もしくは口腔使用のための活性物質の投与形態としてのまたはTTS、とりわけモノリスTTSの成分としての、請求項1〜15のいずれか1項の自己接着性ポリマーマトリックスの使用方法。
【請求項20】
皮膚の老化現象と関連した皮膚、特に皺の予防および処置のため、色素沈着障害、特に老人斑および特にカミソリ負け(shaving burn)および/もしくは日焼けの症例における炎症性/刺激性皮膚現象のための、請求項1〜15のいずれか1項の自己接着性ポリマーマトリックスの使用方法。
【請求項21】
0.2〜1000cmの総面積をもつ二次元の態様における請求項17〜20のいずれか1項の自己接着性ポリマーマトリックスの使用方法。
【請求項22】
0.1〜1000g、特に500gのマトリックス画分を含む二次元もしくは三次元の態様における請求項17〜21のいずれか1項の自己接着性ポリマーマトリックスの使用方法。

【公表番号】特表2006−513193(P2006−513193A)
【公表日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−563186(P2004−563186)
【出願日】平成15年12月23日(2003.12.23)
【国際出願番号】PCT/EP2003/014792
【国際公開番号】WO2004/058211
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(591010376)バイヤースドルフ・アクチエンゲゼルシヤフト (20)
【氏名又は名称原語表記】BEIERSDORF AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】