説明

消毒装置

【課題】消毒空間への消毒薬剤ミスト等の噴出を適切な演算に基づいて的確に制御し、当該消毒空間の消毒薬剤ミスト等の濃度を、予め設定される最低濃度以上で予め設定される最高濃度以下に維持できる消毒装置を提供する。
【解決手段】消毒空間における消毒薬剤ミスト等についての初期濃度を推測設定した後、初期濃度又は初期後濃度と参照基準濃度との比較結果に応じて、消毒薬剤ミスト等の噴出が行われるべき噴出時期を設定するとともに、初期濃度又は初期後濃度を一定値だけ増加させる、もしくは、噴出時期を設定することなく、初期濃度又は初期後濃度を一定値だけ減少させる薬剤噴出演算を繰り返し行う演算手段を含み、薬剤噴出演算の結果に応じた制御により、薬剤噴出演算により設定された噴出時期毎に、噴出部24により一定量の消毒薬剤ミスト等が一定時間だけ噴出される状態を得る動作制御部25を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の特許請求の範囲に記載された発明は、消毒すべき特定空間内にミスト化もしくは気化された消毒薬剤を噴出して、当該特定空間についての消毒を行う消毒装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地球上における急激な人口の増加、その結果もたらされる様々な人の活動及び交流のより一層の活発化や迅速化、さらには、人の行動範囲の拡大等に伴い、細菌やウイルスの人への感染リスクが増大している。特に、高病原性のウイルスの人への感染リスクの増大は、高病原性のウイルスが短時間のうちに人への感染を繰り返して瞬く間に感染者が世界中に広がることになるパンデミック(感染爆発)の発生にもつながる虞があり、それに対する的確な対策が望まれるところとなる。パンデミックにあっては、一旦発生すれば世界中において同時多発的に多数の感染者が出現するということに恐ろしさがある。
【0003】
パンデミックを防止するには、ウイルスの感染ルートの遮断に努めることが最も重要である。ウイルスの感染ルートには、大別すれば、接触感染ルート,飛沫感染ルート, 空気感染ルートがある。これらのうち、接触感染ルートについては、感染源との接触を注意深く回避することにより遮断でき、医療関係者等を除いた一般の人にとって遮断が著しく困難というものではない。しかしながら、飛沫感染ルート及び空気感染ルートに関しては、消毒されるべき特定の空間(消毒空間)を設けてその消毒空間を常時消毒しておくようにし、各人が斯かる消毒空間を利用して遮断に努めることが必要となる。
【0004】
消毒空間の消毒には、消毒空間内に消毒薬剤を浮遊させておくことが必要とされる。そして、消毒空間内に消毒薬剤を浮遊させておく手法としては、例えば、気化式のもの,蒸気式のもの及びミスト式のものが挙げられる。
【0005】
気化式の手法にあっては、液状もしくはゲル状の消毒薬剤を常温のもとで蒸発させて、気化された消毒薬剤である消毒薬剤ガスを発生させ、その消毒薬剤ガスを消毒空間内に放出する。また、蒸気式の手法にあっては、液状もしくはゲル状の消毒薬剤を加熱して蒸発させて、気化された消毒薬剤である消毒薬剤ガスを発生させ、その消毒薬剤ガスを消毒空間内に放出する。さらに、ミスト方式の手法にあっては、液状の消毒薬剤を常温のもとで微細な粒子にして、ミスト化された消毒薬剤である消毒薬剤ミストを発生させ、その消毒薬剤ミストを消毒空間内に放出する。これらの手法に関連する従来の装置について、消毒空間容積の大小を問うことなく、その概要について考察すると、以下のとおりである。
【0006】
先ず、気化式の手法をとる従来の装置として、液状の消毒薬剤として揮発成分である除菌用のアルコール液を用いる殺菌装置(例えば、特許文献1参照),液状の消毒薬剤としてカートリッジボンベに収容された滅菌用液化エチレンオキサイドガス(EOG)を用いる滅菌器(例えば、特許文献2参照),液状の消毒薬剤としてタンクに収容された滅菌用二酸化塩素溶液を用いる二酸化塩素ガス発生装置(例えば、特許文献3参照)等が提案されている。このような特許文献1〜3の夫々に記載されている従来の装置に見られる技術思想を適用して、上述のような飛沫感染ルートもしくは空気感染ルートの遮断のために設けられる消毒空間内に消毒薬剤を浮遊させることが可能と考えられる。
【0007】
また、蒸気式の手法をとる従来の装置としては、ゲル状の消毒薬剤として容器に収容されたゲル状の殺菌用二酸化塩素を用い、それを直接加熱して殺菌用二酸化塩素ガスを発生させる殺菌消臭装置(例えば、特許文献4参照)等が提案されている。このような特許文献4に記載されている従来の装置に見られる技術思想を適用しても、上述のような飛沫感染ルートもしくは空気感染ルートの遮断のために設けられる消毒空間内に消毒薬剤を浮遊させることが可能と考えられる。
【0008】
さらに、ミスト式の手法をとる従来の装置としては、水あるいは抗菌剤,抗カビ剤,消臭剤等の溶液を超音波発振器を用いて振動させることによりミスト化し、溶液ミストを外部に噴射する噴霧装置(例えば、特許文献5参照)等が提案されている。この特許文献5に記載された従来の装置によれば、粒子径を概ね0.1ミクロン以下とする溶液ミストを室内等の所定の空間内に噴霧することができ、それにより、所定の空間内に溶液ミストを比較的長時間に亙って滞留させることができる。このような特許文献5に記載されている従来の装置に見られる技術思想を適用しても、上述のような飛沫感染ルートもしくは空気感染ルートの遮断のために設けられる消毒空間内に消毒薬剤を浮遊させることが可能と考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−81697号公報
【特許文献2】特開2002−224199号公報
【特許文献3】特開2007−145654号公報
【特許文献4】特開2003−102820号公報
【特許文献5】特開2007−130555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
消毒空間内に消毒薬剤を浮遊させて当該消毒空間を消毒するにあたっては、消毒空間内における消毒薬剤ガスもしくは消毒薬剤ミストの濃度を、例えば、予め設定される最低濃度以上で予め設定される最高濃度以下とされる適切な値に所定の時間に亙って維持すべく制御することが要求される。斯かる要求が満たされてはじめて、消毒空間における消毒作用が効果的なものとされる。
【0011】
しかしながら、上述の特許文献1〜3の夫々に記載されているような気化式の手法をとる従来の装置、あるいは、上述の特許文献4に記載されているような蒸気式の手法をとる従来の装置に見られる技術思想を適用して、消毒空間に消毒薬剤を浮遊させる場合(以下、第1の従来技術適用例の場合という。)には、消毒空間内に一旦放出された消毒薬剤ガスは、その状態変化に比較的長い時間を必要とするものとなり、その濃度を、迅速に変化させて、予め設定される適切な値に所定の時間に亙って維持すべく制御することはできないという不都合がある。例えば、人の出入が激しい消毒空間の場合、そこに必要とされる消毒薬剤ガスの濃度が人の出入や時間経過に伴って大きく変化することになるが、第1の従来技術適用例の場合は、このような消毒空間における消毒薬剤ガスの濃度に要される大きな変化に的確に対応することができない。このようなとき、消毒空間内における消毒薬剤ガスの濃度を予め必要以上に高めておき、消毒薬剤ガスの消毒空間外への漏出に対処することも考えられるが、その際には、必要以上に高い濃度の消毒薬剤ガスが消毒空間内における人に悪影響を及ぼすことになる虞がある。
【0012】
さらに、第1の従来技術適用例の場合には、消毒空間が、例えば、高い天井下における広大なフロア上に形成される大容積を有した空間であるときには、消毒薬剤ガスが消毒空間における上方部分に集まって、フロア近傍の消毒薬剤ガスの濃度が著しく低下してしまう、あるいは、フロア近傍の消毒薬剤ガスの濃度の増大に極めて長い時間が要されることになり、フロア上の人に対する消毒作用が効果的に得られない、あるいは、フロア上の人に対して消毒作用が及ぶまでに極めて長い時間が要されるという不都合が生じる。そして、斯かるもとでは、消毒空間における消毒効果を的確に確認することができず、そのため、消毒薬剤の供給計画を立てることも困難となってしまう。
【0013】
また、上述の特許文献5に記載されているようなミスト式の手法をとる従来の装置に見られる技術思想を適用して、消毒空間に消毒薬剤を浮遊させる場合(以下、第2の従来技術適用例の場合という。)には、消毒空間における消毒作用を効果的なものとするためには、消毒空間内に対し、消毒薬剤ミストの比較的長い時間に亙る連続的もしくは断続的な噴出を行うことが必要とされるが、このような消毒薬剤ミストの比較的長い時間に亙る連続的もしくは断続的な噴出は、例えば、一定量の消毒薬剤ミストを定期的に噴出することによって行われ、その際、消毒空間における消毒薬剤ミストの濃度についての評価及びそれに基づく濃度の制御は行われない。
【0014】
このように、第2の従来技術適用例の場合にあっても、消毒空間における消毒薬剤ミストの濃度を適正に評価して、その濃度を予め設定される適切な値に所定の時間に亙って維持すべく制御する、ということはできないという不都合がある。
【0015】
斯かる点に鑑み、本願の特許請求の範囲に記載された発明は、消毒空間内に消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスを噴出して、消毒空間内に消毒薬剤を浮遊させることにより、消毒空間の消毒を行うにあたり、当該消毒空間への消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの噴出を適切な演算に基づいて的確に制御し、それにより、当該消毒空間の消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの濃度を、予め設定される最低濃度以上で予め設定される最高濃度以下とされる適切な値に、所定の時間に亙って維持することができる消毒装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願の特許請求の範囲における請求項1から請求項10までのいずれかに記載された発明(以下、本発明という。)に係る消毒装置は、消毒薬剤を供給可能に収容する消毒薬剤供給部と、消毒薬剤供給部から供給可能とされた消毒薬剤を導出する薬剤導出部と、薬剤導出部により導出された消毒薬剤を収容して、その消毒薬剤にミスト化処理もしくは気化処理を施し、消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスを送出する出力部と、出力部から送出される消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスを消毒空間内に噴出する噴出部と、消毒空間における消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの濃度を予め設定された最低濃度以上で予め設定された最高濃度以下に維持するため、消毒空間における消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスについての初期濃度を推測設定した後、初期濃度もしくは初期濃度から変化していく消毒空間における消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスについての初期後濃度と適宜設定される消毒空間における消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスについての参照基準濃度との比較を行い、その比較により得られる比較結果に応じて、噴出部による消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの噴出が行われるべき噴出時期を設定するとともに、初期濃度もしくは初期後濃度を一定値だけ増加させる、もしくは、噴出部による消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの噴出が行われるべき噴出時期を設定することなく、初期濃度もしくは初期後濃度を一定値だけ減少させる薬剤噴出演算を所定時間に亙って繰り返し行う演算手段を含み、薬剤噴出演算の結果に応じて薬剤導出部及び出力部を制御して、薬剤噴出演算により設定された噴出時期毎に、噴出部により一定量の消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスが一定時間だけ噴出される状態を得る動作制御部と、を備えて構成される。
【0017】
特に、本発明に係る消毒装置のうちの請求項2に記載されたものは、遠隔サーバとの交信を行ってその遠隔サーバから消毒空間における消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスについての参照基準濃度を得る通信部を備える。
【0018】
また、本発明に係る消毒装置のうちの請求項3に記載されたものにあっては、遠隔サーバとの交信を行ってその遠隔サーバから消毒空間における消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスについての参照基準濃度を得る通信部が、近隣に位置する他の消毒装置との交信も行い、他の消毒装置による消毒空間内への消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの噴出に関する近隣情報を得て、その近隣情報を動作制御部に供給し、動作制御部における演算手段が、必要に応じて、薬剤噴出演算に近隣情報を用いる。
【0019】
本発明に係る消毒装置のうちの請求項5に記載されたものにあっては、遠隔サーバとの交信を行ってその遠隔サーバから消毒空間における消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスについての参照基準濃度を得る通信部を備え、動作制御部が、薬剤噴出演算の結果を出力情報として記録する出力情報記録手段を含んでいて、その出力情報記録手段に記録された出力情報を通信部に送出し、通信部が、出力情報を遠隔サーバに送信して遠隔サーバにおいて記録されるものとなす。
【0020】
さらに、本発明に係る消毒装置のうちの請求項7に記載されたものは、消毒空間内の温度,湿度及び位置を夫々検出して各検出出力を動作制御部に供給する複数種のセンサを備え、動作制御部における演算手段が、必要に応じて、初期濃度もしくは初期後濃度を各検出出力に応じた補正がなされたものとする。
【0021】
上述のように構成される本発明に係る消毒装置にあっては、消毒薬剤供給部が収容する消毒薬剤を薬剤導出部が導出して出力部に供給し、出力部がその消毒薬剤にミスト化処理もしくは気化処理を施して消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスを生成し、噴出部がその消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスを消毒空間内に噴出するにあたり、動作制御部が、消毒空間内の消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの濃度を予め設定された最低濃度以上で予め設定された最高濃度以下に維持するための制御を行う。この動作制御部が行う制御は、動作制御部に含まれる演算手段によって、消毒空間における消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスについての初期濃度を推測設定した後、初期濃度もしくは初期濃度から変化していく初期後濃度と適宜設定される消毒空間における消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスについての参照基準濃度との比較を行って、噴出部による消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの噴出が行われるべき噴出時期を設定するための薬剤噴出演算を、所定時間に亙って繰り返し行い、その薬剤噴出演算の結果に応じて薬剤導出部及び出力部の動作を制御することにより、薬剤噴出演算により設定された噴出時期毎に、噴出部により一定量の消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスが一定時間だけ噴出される状態を得る。
【0022】
そして、本発明に係る消毒装置のうちの請求項2に記載されたものは、遠隔サーバとの交信を行う通信部を備えていて、その通信部を通じて、適宜設定されるものとされる消毒空間における消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスについての参照基準濃度を、遠隔サーバから得る。
【0023】
特に、本発明に係る消毒装置のうちの請求項3に記載されたものにあっては、通信部が、例えば、共通の消毒空間内に消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスを消毒空間内に噴出するものとして設置された、近隣に位置する他の消毒装置との交信を行って得て動作制御部に供給する当該他の消毒装置による消毒空間内への消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの噴出に関する近隣情報が、演算手段が行う薬剤噴出演算に必要に応じて用いられる。
【0024】
また、本発明に係る消毒装置のうちの請求項5に記載されたものにあっては、遠隔サーバとの交信を行ってその遠隔サーバから消毒空間における消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスについての参照基準濃度を得る通信部を備えたもとにおいて、動作制御部が、それに含まれる出力情報記録手段に記録された出力情報、即ち、演算手段により行われる薬剤噴出演算の結果を通信部に送出し、通信部がその出力情報を遠隔サーバに送信して遠隔サーバにおいて記録されるようになす。遠隔サーバにおいて記録された出力情報、即ち、演算手段により行われる薬剤噴出演算の結果は、その後、通信部が、遠隔サーバとの交信を行って得て、動作制御部に供給する情報を成すものとされ、演算手段により行われる薬剤噴出演算に必要に応じて用いられる。
【0025】
さらに、本発明に係る消毒装置は、請求項7に記載されたもののように、消毒空間内の温度,湿度及び位置を夫々検出して各検出出力を動作制御部に供給する複数種のセンサを備えることもあり、その場合には、動作制御部における演算手段が、必要に応じて、薬剤噴出演算において得られる初期濃度もしくは初期後濃度を複数種のセンサからの検出出力に応じた補正がなされたものとする。
【発明の効果】
【0026】
上述のような本発明に係る消毒装置にあっては、消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスを消毒空間内に噴出してその消毒空間を消毒する際に、消毒空間内の消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの濃度を予め設定された最低濃度以上で予め設定された最高濃度以下に維持するため、動作制御部に含まれる演算手段によって、消毒空間における消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスについての初期濃度を推測設定した後、初期濃度もしくは初期濃度から変化していく初期後濃度と適宜設定される消毒空間における消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスについての参照基準濃度との比較を行って、噴出部による消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの噴出が行われるべき噴出時期を設定するための薬剤噴出演算が、所定時間に亙って繰り返し行われ、その薬剤噴出演算の結果に応じて薬剤導出部及び出力部の動作が制御されることにより、薬剤噴出演算により設定された噴出時期毎に、噴出部により一定量の消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスが一定時間だけ噴出される状態が得られる。その結果、本発明に係る消毒装置によれば、消毒空間内に消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスを噴出して、消毒空間内に消毒薬剤を浮遊させることにより、消毒空間の消毒を行うにあたり、当該消毒空間への消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの噴出を適切な演算に基づいて的確に制御し、それにより、当該消毒空間の消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの濃度を、予め設定される最低濃度以上で予め設定される最高濃度以下とされる適切な値に、所定の時間に亙って維持することができることになる。
【0027】
特に、本発明に係る消毒装置のうちの請求項2に記載されたものによれば、適宜設定されるものとされる消毒空間における消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスについての参照基準濃度を、遠隔サーバとの交信を行う通信部を通じて、遠隔サーバから得ることができる。
【0028】
また、本発明に係る消毒装置のうちの請求項3に記載されたものによれば、動作制御部における演算手段により行われる薬剤噴出演算を、例えば、共通の消毒空間内に消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスを噴出するものとして設置された、近隣に位置する他の消毒装置による消毒空間内への消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの噴出に関する近隣情報を、必要に応じて用いて行うことができ、それにより、共通の消毒空間内の消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの濃度を予め設定された最低濃度以上で予め設定された最高濃度以下に維持する制御を、近隣に位置する他の消毒装置と連携して、共通の消毒空間内の消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの濃度の場所によるムラが低減されるようにして行うことができる。
【0029】
さらに、本発明に係る消毒装置のうちの請求項5に記載されたものによれば、通信部が交信する遠隔サーバに、動作制御部における演算手段により行われる薬剤噴出演算に必要に応じて用いられる情報を、当該薬剤噴出演算に先立って繰り返し行われる薬剤噴出演算毎に蓄積していくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る消毒装置の一例を示すブロック構成図である。
【図2】図1に示される例が備える動作制御部がマイクロコンピュータが用いられて構成された場合に、斯かるマイクロコンピュータが消毒空間の消毒にあたって実行する制御プログラムの一例を示すフローチャートである。
【図3】図1に示される例が適用されて構成された入口消毒システムが設置されたフロアの一例を示す概念図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明を実施するための最良の形態は、以下に述べられる本発明についての実施例をもって説明される。
【実施例1】
【0032】
図1は、本発明に係る消毒装置の一例を示す。
【0033】
図1において、本発明に係る消毒装置の一例を成す消毒装置11は、それにより消毒が行われるべき消毒空間12内に配されている。そして、消毒装置11は、消毒薬剤を供給可能に収容する消毒薬剤供給部21と、消毒薬剤供給部21から供給可能とされた消毒薬剤を導出する薬剤導出部22と、薬剤導出部22により導出された消毒薬剤を収容して、その消毒薬剤にミスト化処理もしくは気化処理を施し、消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスを送出する出力部23と、出力部23から送出される消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスを消毒空間12内に噴出する噴出部24と、消毒薬剤供給部21,薬剤導出部22及び出力部23についての制御を行う動作制御部25とを備え、それに加えて、動作制御部25に連結された各種センサ26と、通信部27と、入力操作部28と、人感センサ29と、表示部30と、ROM(リードオンリーメモリ)31と、RAM(ランダムアクセスメモリ)32とを備え、さらに、上記の各部に電源電圧VBを供給する電源部33を備えて構成されている。電源部33は、入力操作部28の操作に応じて作動する動作制御部25によって、オン状態もしくはオフ状態とされるオン・オフ制御が行われるものとされており、上記の各部は、電源部33からの電源電圧VBの供給を受けてその主たる動作を行う。なお、通信部27は、それが設けられないことも考えられる。
【0034】
各種センサ26は、例えば、消毒空間12内の温度,湿度及び位置、さらには、消毒空間12内に入場した者を夫々検出して、各検出出力をセンサ出力として動作制御部25に供給する複数種のセンサを含んでいる。また、人感センサ29は、消毒空間12外に配されており、消毒空間12内に入場する者を事前に検出して検出出力を動作制御部25に供給する。
【0035】
通信部27は、消毒空間12内に配されて近隣に位置する他の消毒装置である近隣の消毒装置35との交信を行い、さらに、消毒空間12外に配された遠隔サーバ36との交信を行う。近隣の消毒装置35も、遠隔サーバ36との交信を行う。なお、近隣の消毒装置35が遠隔サーバ36との交信を直接に行うことができない状況にある場合には、通信部27を備えた消毒装置11は、必要に応じて、近隣の消毒装置35と遠隔サーバ36との間の交信を中継する。
【0036】
入力操作部28は、その操作に応じた信号を動作制御部25に供給するものであって、例えば、電源部33をオン状態とするとともに動作制御部25による制御動作を開始させる制御オン信号、及び、電源部33をオフ状態とするとともに動作制御部25による制御動作を終了させる制御オフ信号を動作制御部25に供給する。斯かる制御オン信号あるいは制御オフ信号の動作制御部25への供給は、例えば、入力操作部28が手動もしくは他の手段により操作されることにより行われる。動作制御部25は、入力操作部28からの制御オン信号もしくは制御オフ信号に応じて、電源部33に制御信号CPを供給し、電源部33にオン状態もしくはオフ状態をとらせる。
【0037】
消毒薬剤供給部21においては、例えば、安定化二酸化塩素液等とされる消毒薬原液を収容する消毒薬原液収容部41と水もしくは消毒薬原液についての活性化剤を収容する水/活性化剤収容部42とが備えられている。消毒薬原液収容部41に収容される消毒薬原液及び水/活性化剤収容部42に収容される水もしくは活性化剤は、図示されていない手段により、必要に応じて適宜補給される。
【0038】
電源部33がオン状態とされたもとで、消毒薬原液収容部41に収容された消毒薬原液及び水/活性化剤収容部42に収容された水もしくは活性化剤は、動作制御部25からの制御信号CAに応じて作動する導出部43によって消毒薬原液収容部41及び水/活性化剤収容部42から夫々導出され、一時収容部44及び一次収容部45に一時的に収容される。一時収容部44には、一時的に収容された消毒薬原液の残量を検出する残量センサ44aが備えられており、残量センサ44aは検出出力信号DDを、動作制御部25に供給する。同様に、一時収容部45にも、一時的に収容された水もしくは活性化剤の残量を検出する残量センサ45aが備えられており、残量センサ45aは検出出力信号DWを、動作制御部25に供給する。動作制御部25は、検出出力信号DD及び検出出力信号DWに基づき、必要に応じて、制御信号CAを導出部43に供給して導出部43を作動させ、一時収容部44における消毒薬原液の補充あるいは一時収容部45における水もしくは活性化剤の補充を行う。なお、導出部43は、必ずしも独立した装置として設けられるものではなく、さらには、設けられず、消毒薬原液収容部41及び水/活性化剤収容部42に一時収容部44及び一時収容部45が直接的に連結されることも考えられる。
【0039】
一時収容部44に一時的に収容された消毒薬原液及び一時収容部45に一時的に収容された水もしくは活性化剤は、動作制御部25からの制御信号CBに応じて作動する導出部46によって 一時収容部44及び一時収容部45から夫々導出され、混合部47に供給される。混合部47は、動作制御部25からの制御信号CMに応じて作動し、導出部46を通じて供給される消毒薬原液と水もしくは活性化剤とを混合して、水溶液状もしくはゲル状の消毒薬剤を生成し、それを一時収容部48へと送出する。それにより、一時収容部48には、水溶液状もしくはゲル状の消毒薬剤が一時的に収容される。このようにして一時収容部48に一時的に収容された水溶液状もしくはゲル状の消毒薬剤は、消毒薬剤供給部21が供給可能に収容する消毒薬剤とされる。
【0040】
消毒薬剤供給部21における一時収容部48に一時的に収容された水溶液状もしくはゲル状の消毒薬剤は、動作制御部25からの制御信号CXに応じて作動する薬剤導出部22によって一時収容部48から導出され、出力部23に備えられたミスト化/気化部49に供給される。ミスト化/気化部49は、動作制御部25からの制御信号CYに応じて作動し、薬剤導出部22を通じて供給される水溶液状もしくはゲル状の消毒薬剤に、ミスト化処理もしくは気化処理を施す。その際、ミスト化/気化部49は、水溶液状の消毒薬剤が供給される場合には、その水溶液状の消毒薬剤にミスト化処理を施して、消毒薬剤ミストを発生させ、また、ゲル状の消毒薬剤が供給される場合には、そのゲル状の消毒薬剤に気化処理を施して、消毒薬剤ガスを発生させる。
【0041】
出力部23には送出部50も備えられており、送出部50は、動作制御部25からの制御信号CZに応じて作動し、ミスト化/気化部49が発生させた消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスを噴出部24へと送出する。噴出部24は、制御信号CZに応じて出力部23から送出される消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスを、消毒空間12内に噴出する。それにより、消毒空間12に消毒薬剤を浮遊させる状態が得られる。
【0042】
動作制御部25は、マイクロコンピュータ等のコンピュータが用いられて構成され、ROM31から読み出される制御プログラムに従って動作する。そして、上述のようにして、噴出部24が消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスを消毒空間12内に噴出し、それにより、消毒空間12に消毒薬剤が浮遊せしめられて、消毒空間12の消毒が行われるにあたっては、動作制御部25は、消毒空間12内の消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの濃度を予め設定された最低濃度以上で予め設定された最高濃度以下に維持するための制御を行う。この動作制御部25が行う制御は、動作制御部25に含まれる演算手段によって、噴出部24により消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスが噴出されるべき噴出時期を設定するための薬剤噴出演算を、例えば、入力操作部28から動作制御部25に、例えば、電源部33をオン状態にする制御オン信号が供給された時点から、入力操作部28から動作制御部25に、例えば、電源部33をオフ状態にする制御オフ信号が供給された時点まで、とされる所定時間に亙って繰り返し行い、その薬剤噴出演算の結果に応じて薬剤導出部22と出力部23におけるミスト化/気化部49及び送出部50との動作を制御することにより、噴出部24により、薬剤噴出演算により設定される噴出時期毎に消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスが噴出される状態を得るものとされる。
【0043】
斯かる際における、薬剤噴出演算の結果に応じて薬剤導出部22と出力部23におけるミスト化/気化部49及び送出部50との動作を制御する動作制御は、動作制御部25に含まれる制御信号送出手段によって、薬剤噴出演算により設定される噴出時期に応じた制御信号CX,制御信号CY及び制御信号CZが形成され、それらが、薬剤導出部22,出力部23におけるミスト化/気化部49及び出力部23における送出部50に夫々送出されることにより行われる。
【0044】
動作制御部25に含まれる演算手段による上述の薬剤噴出演算は、演算手段とRAM32との間でのデータの遣り取りがなされるもとで、次のようにして行われる。先ず、薬剤噴出演算の開始にあたり、消毒空間12における消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスについての初期濃度を推定して設定する初期濃度推定設定が行われる。初期濃度推定設定により推定設定される初期濃度は、予め設定された最低濃度以上で予め設定された最高濃度以下とされる。
【0045】
この初期濃度推定設定には、動作制御部25に含まれる出力情報記録手段に記録された前回の薬剤噴出演算の算出結果から得られる濃度である前回濃度,通信部27が遠隔サーバ36との交信を行って得て動作制御部25に供給する遠隔サーバ36からの、例えば、近隣の消毒装置35による消毒空間12内への消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの噴出に関する情報を基にして得られる濃度である外部入力濃度、あるいは、入力操作部28が操作されて動作制御部25に入力される手動入力濃度が、場合に応じて使い分けられる。例えば、前回濃度が有れば、その前回濃度が用いられ、前回濃度が無く、かつ、通信部27と遠隔サーバ36との交信が可能な状況であれば、外部入力濃度が用いられ、前回濃度が無く、かつ、通信部27と遠隔サーバ36との交信ができない状況であれば、手動入力濃度が用いられて、初期濃度が推定設定される。
【0046】
その後、初期濃度推定設定により得られた消毒空間12における消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの初期濃度に、各種センサ26から動作制御部25に供給されるセンサ出力に応じた補正が加えられる、センサ出力に応じた濃度補正が行われて、補正濃度が得られる。但し、動作制御部25に各種センサ26からのセンサ出力が供給されない状況のもとにおいては、センサ出力に応じた濃度補正は行われず、初期濃度がそのまま補正濃度とされる。
【0047】
続いて、補正濃度と参照基準濃度との比較が行われる。参照基準濃度は、例えば、通信部27が遠隔サーバ36との交信を行って得て動作制御部25に供給する遠隔サーバ36からの情報に含まれる、基準空間情報があらわす基準空間における消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの濃度として設定されるものであって、予め設定された最低濃度以上で予め設定された最高濃度以下とされる。なお、通信部27が遠隔サーバ36との交信を行うことができない場合、あるいは、通信部27が備えられていない場合等においては、参照基準濃度は、予め入力操作部28を通じて動作制御部25に供給されて設定されるもの、あるいは、予めROM31に格納される制御プログラムに含まれていることにより設定されるものとされる。斯かる際にも、参照基準濃度は、予め設定された最低濃度以上で予め設定された最高濃度以下とされる。
【0048】
基準空間とは、消毒空間12と同等の空間であって、そこにおける適正値をとる消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの濃度が参照基準濃度として予め設定される、仮想の理想空間である。ここで言う理想空間とは、例えば、そこにおける消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの濃度が極めて短時間のうちに一定になり、その一定の濃度が比較的長い時間、例えば、20分程度持続され、無風状態におかれて、人や物が存在せず、気圧が一定に維持されている閉空間である。そして、遠隔サーバ36には、参照基準濃度を含めた基準空間に関する各種の情報が基準空間情報として蓄積されている。
【0049】
遠隔サーバ36に蓄積される基準空間情報は、例えば、「基準空間においては、濃度を1ppm とする二酸化塩素ミストもしくは二酸化塩素ガスを、10分間、径を12cmとするファンを1200rpm で回転させて噴出することにより、適正な消毒が行われる。」,「適正な消毒が行われた後には、径を12cmとするファンを、その回転数を600rpm に下げて、5分間ずつ間欠運転することで、適正な消毒状態を維持できる。」というような情報とされる。
【0050】
このような基準空間情報は、遠隔サーバ36と交信する通信部27を通じて、遠隔サーバ36から動作制御部25へと送られ、動作制御部25に連結されたRAM32に格納される。
【0051】
そして、補正濃度と参照基準濃度との比較の結果、補正濃度が参照基準濃度に達していない場合には、消毒空間12における消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの濃度が低減状態にあると判断され、当該濃度を増加させるべく、噴出部24に消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの噴出を行わせるための噴出時期が設定されるとともに、補正濃度が、例えば、極めて小なる一定値だけ増加せしめられる。一方、補正濃度と参照基準濃度との比較の結果、補正濃度が参照基準濃度以上である場合には、消毒空間12における消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの濃度が増大状態にあると判断され、当該濃度を減少させるべく、噴出部24に消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの噴出を行わせるための噴出時期が設定されることなく、補正濃度が、例えば、極めて小なる一定値だけ減少せしめられる。
【0052】
そして、例えば、電源部33をオフ状態とする制御オフ信号に応じて動作制御部25内で形成された終了信号が演算手段に到来しているか否かが判断され、終了信号が到来している場合には、演算手段による演算動作が停止される。一方、終了信号が到来していない場合には、初回の薬剤噴出演算が終了され、直ちに、2回目の薬剤噴出演算が継続的に開始される。2回目の薬剤噴出演算にあっては、1回目の薬剤噴出演算によって極めて小なる一定値だけ増加もしくは減少せしめられた補正濃度が、初期後濃度とされて、それについての、1回目の薬剤噴出演算における初期濃度に加えられるセンサ出力に応じた濃度補正と同様な、センサ出力に応じた濃度補正が行われて補正濃度が得られ、それに続いて、補正濃度と参照基準濃度との比較が行われ、その結果に応じて、噴出部24に消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの噴出を行わせるための噴出時期が設定されるとともに、補正濃度が、例えば、極めて小なる一定値だけ増加せしめられ、もしくは、噴出部24に消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの噴出を行わせるための噴出時期が設定されることなく、補正濃度が、例えば、極めて小なる一定値だけ減少せしめられる。
【0053】
その後、例えば、電源部33をオフ状態とする制御オフ信号に応じて動作制御部25内で形成された終了信号が演算手段に到来しているか否かが判断され、終了信号が到来している場合には、演算手段による演算動作が停止される。一方、終了信号が到来していない場合には、2回目の薬剤噴出演算が終了され、直ちに、3回目の薬剤噴出演算が2回目の薬剤噴出演算と同様に継続的に開始される。
【0054】
このようにして、動作制御部25における演算手段による薬剤噴出演算は、例えば、入力操作部28から動作制御部25に制御オン信号が供給された時点から入力操作部28から動作制御部25に制御オフ信号が供給された時点までとされる所定時間に亙って繰り返し行われる。そして、これらの薬剤噴出演算の結果は、動作制御部25に含まれる出力情報記録手段が出力情報として記録する。
【0055】
また、このとき、動作制御部25は、それに含まれる制御信号送出手段に、演算手段により上述のようにして所定時間に亙って繰り返し行われる薬剤噴出演算により設定される噴出時期毎に、制御信号CX,制御信号CY及び制御信号CZを形成させて、それらを薬剤導出部22,出力部23におけるミスト化/気化部49及び出力部23における送出部50に夫々送出させ、それによって薬剤導出部22,出力部23におけるミスト化/気化部49及び出力部23における送出部50を作動させて、噴出部24に、例えば、極めて少量とされる一定量の消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスを、例えば、極めて短いものとされる一定時間だけ送り込ませる。それにより、演算手段が行う薬剤噴出演算により設定される噴出時期毎に、噴出部24から、例えば、極めて少量とされる一定量の消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスが、例えば、極めて短いものとされる一定時間だけ、消毒空間12内に噴出される。
【0056】
上述のようにして、演算手段が行う薬剤噴出演算により設定される噴出時期毎に、噴出部24から、例えば、極めて少量とされる一定量の消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスが、例えば、極めて短いものとされる一定時間だけ、消毒空間12内に噴出されることにより、消毒空間12における消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの濃度が、少なくとも、例えば、入力操作部28から動作制御部25に制御オン信号が供給された時点から入力操作部28から動作制御部25に制御オフ信号が供給された時点までとされる所定時間に亙って、予め設定された最低濃度以上で予め設定された最高濃度以下に維持される。その結果、消毒空間12についてのそこに浮遊する消毒薬剤による殺菌が、適正に行われることになる。
【0057】
動作制御部25に含まれる出力情報記録手段に記録された出力情報は、動作制御部25によって通信部27に供給され、通信部27は、その出力情報を遠隔サーバ36に送信して遠隔サーバ36において記録されるものとなす。
【0058】
また、動作制御部25に含まれる出力情報記録手段に記録された出力情報は、動作制御部25によって表示部30にも供給され、表示部30は、出力情報に基づいて、噴出部24による消毒空間12内への消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの噴出状況をあらわす表示を行う。
【0059】
通信部27は、近隣の消毒装置35との交信も行い、近隣の消毒装置35による消毒空間12内への消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの噴出に関する近隣情報を得て、それを動作制御部25に供給する。そして、動作制御部25における演算手段は、必要に応じて、噴出部24に消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの噴出を行わせるための噴出時期を設定するために薬剤噴出演算に、近隣の消毒装置35からの近隣情報を用いる。噴出部24に消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの噴出を行わせるための噴出時期を設定するために薬剤噴出演算に近隣情報が用いられる場合には、噴出部24による消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの噴出を、近隣の消毒装置35による消毒空間12内への消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの噴出時期との協調がとれたものとすることができ、消毒空間12に対する消毒作用がより一層効果的なものとされる。
【0060】
図2は、前述のように動作制御部25がマイクロコンピュータが用いられて構成された場合に、動作制御部25を構成するマイクロコンピュータが、上述のような消毒空間12の消毒にあたって実行する制御プログラムの一例を示すフローチャートである。
【0061】
図1に示されるフローチャートに従って実行される制御プログラムのもとでは、入力操作部28から動作制御部25に制御オン信号が供給された時点がスタートの時点とされ、スタート後、ステップ51において、前回の薬剤噴出演算の算出結果から得られる前回濃度が有るか否かを判断する。その結果、前回濃度が有る場合には、ステップ52において、前回濃度に基づいて初期濃度を推測設定して、ステップ56に進み、前回濃度が無い場合には、ステップ53において、通信部27による遠隔サーバ36との通信が可能な状況か否かを判断する。
【0062】
ステップ53での判断の結果、通信が可能である場合には、ステップ54において、通信部27が遠隔サーバ36との交信を行って得て動作制御部25に供給する遠隔サーバ36からの、近隣の消毒装置35による消毒空間12内への消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの噴出に関する情報を基にして得られる外部入力濃度に基づいて初期濃度を推測設定して、ステップ56に進み、通信ができない場合には、ステップ55において、入力操作部28が操作されて動作制御部25に入力される手動入力濃度に基づいて初期濃度を推測設定して、ステップ56に進む。
【0063】
ステップ56においては、各種センサ26からのセンサ出力が到来しているか否かを判断し、その結果、センサ出力が到来している場合には、ステップ57において、ステップ52,54もしくは55で推測設定された初期濃度にセンサ出力に応じた補正を加える、センサ出力に応じた濃度補正を行って補正濃度を得、ステップ58に進む。一方、ステップ56での判断の結果、センサ出力が到来していない場合には、ステップ52,54もしくは55で推測設定された初期濃度をそのまま補正濃度として、ステップ58に進む。
【0064】
ステップ58においては、補正濃度と参照基準濃度との比較を行う。参照基準濃度は、通信部27が遠隔サーバ36との交信を行って得て動作制御部25に供給する遠隔サーバ36からの情報に含まれるものとして、または、予め入力操作部28を通じて動作制御部25に供給されて、もしくは、予めROM31に格納される制御プログラムに含まれていることにより、設定される。そして、続くステップ59において、ステップ58での補正濃度と参照基準濃度との比較の結果が、補正濃度が参照基準濃度より小であって参照基準濃度に達していないことをあらわしているか否かを判断する。その結果、ステップ58での比較結果が補正濃度が参照基準濃度に達していないことをあらわしている場合には、ステップ60において、噴出部24に消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの噴出を行わせるための噴出時期を設定するとともに、続くステップ61において、補正濃度を、例えば、極めて小なる一定値だけ増加させて、ステップ63に進む。一方、ステップ59での判断の結果、ステップ58での比較結果が補正濃度が参照基準濃度以上であることをあらわしている場合には、ステップ62において、補正濃度を、例えば、極めて小なる一定値だけ減少させて、ステップ63に進む。
【0065】
ステップ63においては、ステップ61もしくは62での処理後、予め設定された所定時間が経過したか否かを判断する。その結果、所定時間が経過していなければ、ステップ63での判断を繰り返し、所定時間が経過したときには、ステップ64に進む。
【0066】
ステップ64においては、入力操作部28から動作制御部25への制御オフ信号の供給に伴って発せられる終了信号が演算手段に到来しているか否かを判断する。その結果、終了信号が到来している場合には、ステップ65において、制御についての終了処理をして、制御動作を終了する。それに対して、ステップ64での判断の結果、終了信号が到来していない場合には、ステップ56に戻って、ステップ56以降の各ステップによる処理を繰り返す。
【0067】
このような図2に示されるフローチャートに従って実行される制御動作により、動作制御部25における演算手段による、噴出部24により消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスが噴出されるべき噴出時期を設定するための薬剤噴出演算が、入力操作部28から動作制御部25に制御オン信号が供給された時点から入力操作部28から動作制御部25に制御オフ信号が供給された時点までとされる所定時間に亙って繰り返し行われることになる。
【0068】
さらに、動作制御部25は、消毒空間12外に配された人感センサ29から、消毒空間12内に入場する者を事前に検出して得られる検出出力が供給されると、その検出出力に応じて、薬剤導出部22と出力部23におけるミスト化/気化部49及び送出部50とについての動作を制御して、噴出部24により予め設定された噴出量及び噴出時間をもって、消毒空間12内への消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの予備的噴出が行われるようになす。斯かる際における、人感センサ29からの検出出力に応じて薬剤導出部22と出力部23におけるミスト化/気化部49及び送出部50との動作を制御する動作制御も、動作制御部25に含まれる制御信号送出手段によって、人感センサ29からの検出出力に応じた制御信号CX,制御信号CY及び制御信号CZが形成され、それらが、薬剤導出部22,出力部23におけるミスト化/気化部49及び出力部23における送出部50に夫々送出されることにより行われる。
【0069】
但し、このようにして、人感センサ29と動作制御部25とにより行われる、消毒空間12内に入場する者を事前に検出して、消毒空間12内への消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの予備的噴出が行われるようになす制御は、必ず必要というものではなく、消毒空間12内に入場する者の状況や消毒空間12内の状況等に応じて、適宜行われるようにされてもよい。
【実施例2】
【0070】
図3は、図1に示される消毒装置11が適用されて構成された入口消毒システムが設置されたフロアの一例を示す。
【0071】
図3に示される例においては、オフィイス・ビルディング等の建物内のフロア70に、事務室71,72,73及び74が設置されている。これらの事務室71,72,73及び74は廊下75によって連結されている。
【0072】
また、フロア70には、事務室71,72,73及び74と廊下75とを挟んで、二つの消毒室76及び77が設置されている。これらの消毒室76及び77の夫々は、その内部に前述の消毒空間12を形成している。消毒室76には、その入出口を形成する一対のドア部81及び82が対向配置されており、また、消毒室77にも、その入出口を形成する一対のドア部83及び84が対向配置されている。従って、廊下75さらには事務室71,72,73及び74のうちのいずれかについての入出は、ドア部81及びドア部82が設けられた消毒室76が形成する消毒空間12、もしくは、ドア部83及びドア部84が設けられた消毒室77が形成する消毒空間12を通り抜けないと行えない。
【0073】
そして、消毒室76及び77の夫々に、図1に示される消毒装置11が配されている。斯かるもとで、消毒室76に配された消毒装置11は、それが備える人感センサ29が、ドア部81の外側に配置され(図示省略)、その人感センサ29を除く他の部分が、消毒室76の内部に配される。同様に、消毒室77に配された消毒装置11は、それが備える人感センサ29が、ドア部83の外側に配置され(図示省略)、その人感センサ29を除く他の部分が、消毒室77の内部に配される。
【0074】
さらに、フロア70には、事務室71,72,73及び74,廊下75,消毒室76及び消毒室77の外部となる一角に、受付け85が設けられている。受付け85には、事務室71,72,73及び74に対する入退室管理システム部86が付設されている。
【0075】
斯かるフロア70において、事務室71,72,73及び74のうちのいずれかに入室しようとする者、あるいは、事務室71,72,73及び74のうちのいずれかから退出した者は、受付け85において、入室手続あるいは退出手続をとることが要求される。そして、入室手続あるいは退出手続の記録は、入退室管理システム部86によって管理される。
【0076】
このようなもとで、消毒室76及び消毒室77の夫々に設けられた消毒装置11は、入力操作部28が操作されて入力操作部28から動作制御部25に供給される、電源部33をオン状態とする制御オン信号に応じて、動作状態をとるものとされる。そして、フロア70において、受付手続を済ませた者が、消毒室76が形成する消毒空間12もしくは消毒室77が形成する消毒空間12に入場すべく、消毒室76に設けられたドア部81もしくは消毒室77に設けられたドア部83に近接すると、消毒室76もしくは消毒室77に配された消毒装置11が備える、ドア部81もしくはドア部83の外部に配された人感センサ29が、ドア部81もしくはドア部83が開く前に、消毒空間12に入場する者を事前に検出し、検出出力を消毒装置11における動作制御部25に供給する。それにより、当該消毒装置11における動作制御部25が、人感センサ29からの検出出力に応じて、薬剤導出部22と出力部23におけるミスト化/気化部49及び送出部50とについての動作を制御して、噴出部24に、予め設定された噴出量及び噴出時間をもって、消毒室76もしくは消毒室77の内部に形成された消毒空間12内への消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの予備的噴出を行わせる。その結果、消毒室76もしくは消毒室77の内部に形成された消毒空間12が予備的に消毒される。
【0077】
なお、斯かる際、受付手続を済ませた者が消毒室76が形成する消毒空間12もしくは消毒室77が形成する消毒空間12に入場しようとしていることを知らせる情報が、受付け85に付設された入退室管理システム部86から、消毒室76もしくは消毒室77に配された消毒装置11が備える通信部27が交信する遠隔サーバ36に送られ、その入退室管理システム部86からの情報が、消毒室76もしくは消毒室77に配された消毒装置11における動作制御部25に通信部27を通じて供給され、当該動作制御部25が、その入退室管理システム部86からの情報に応じて、薬剤導出部22と出力部23におけるミスト化/気化部49及び送出部50とについての動作を制御し、噴出部24に、消毒室76もしくは消毒室77の内部に形成された消毒空間12内への消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの予備的噴出を行わせる、という状態が得られるようにされてもよい。
【0078】
続いて、消毒室76もしくは消毒室77の内部に形成された消毒空間12が予備的に消毒された後、受付手続を済ませた者を消毒室76が形成する消毒空間12もしくは消毒室77が形成する消毒空間12に入場させるべく、消毒室76に備えられたドア部81もしくは消毒室77に備えられたドア部83が開かれ、受付手続を済ませた者が消毒室76が形成する消毒空間12もしくは消毒室77が形成する消毒空間12に入場すると、直ちに、消毒室76に備えられたドア部81もしくは消毒室77に備えられたドア部83が閉められる。この間、消毒室76に備えられたドア部82もしくは消毒室77に備えられたドア部84は閉められた状態に維持される。
【0079】
そして、消毒室76もしくは消毒室77に配された消毒装置11により、その動作制御部25における演算手段が行う薬剤噴出演算により設定される噴出時期毎に、噴出部24から、例えば、極めて少量とされる一定量の消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスが、例えば、極めて短いものとされる一定時間だけ、消毒室76もしくは消毒室77内に形成された消毒空間12内に噴出され、斯かる消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの断続的噴出により、消毒空間12における消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの濃度が、予め設定された最低濃度以上で予め設定された最高濃度以下に維持される状態がとられる。それにより、消毒室76が形成する消毒空間12もしくは消毒室77が形成する消毒空間12に入場した者についての消毒が行われる。このとき、ドア部81もしくはドア部83の開閉に応じて、消毒室76もしくは消毒室77に配された消毒装置11による消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの断続的噴出を行う動作が開始するようにされてもよい。
【0080】
その後、予め設定された時間が経過すると、消毒室76が形成する消毒空間12もしくは消毒室77が形成する消毒空間12に入場した者を当該消毒空間12から退出させるべく、消毒室76に備えられたドア部82もしくは消毒室77に備えられたドア部84が開かれ、消毒空間12に入場した者が当該消毒空間12から退出すると、直ちに、消毒室76に備えられたドア部82もしくは消毒室77に備えられたドア部84が閉められる。この間、消毒室76に備えられたドア部81もしくは消毒室77に備えられたドア部83は閉められた状態に維持される。このとき、ドア部82もしくはドア部84の開閉に応じて、消毒室76もしくは消毒室77に配された消毒装置11による消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの断続的噴出を行う動作が終了するようにされてもよい。
【0081】
このようにして、受付けを済ませた者は、消毒室76が形成する消毒空間12もしくは消毒室77が形成する消毒空間12を通過することにより消毒された後、廊下75を経て事務室71,72,73及び74のうちのいずれかに入室することができる。
【0082】
上述のような消毒室76もしくは消毒室77に配された消毒装置11の動作は、入力操作部28から動作制御部25への制御オン信号の供給後継続的に行われ、また、上述のようなドア部81〜ドア部84の開閉動作は、消毒室76が形成する消毒空間12もしくは消毒室77が形成する消毒空間12への入場者がある毎に繰り返される。その後、入力操作部28が操作されて入力操作部28から動作制御部25に、電源部33をオフ状態とする制御オフ信号が供給されると、消毒室76もしくは消毒室77に配された消毒装置11による、その動作制御部25における演算手段が行う薬剤噴出演算により設定される噴出時期毎に、噴出部24から、例えば、極めて少量とされる一定量の消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスが、例えば、極めて短いものとされる一定時間だけ、消毒室76もしくは消毒室77内に形成された消毒空間12内に噴出される動作が停止せしめられる。
【0083】
消毒室76に備えられたドア部81及びドア部82の夫々の開閉及び消毒室77に備えられたドア部83及びドア部84の夫々の開閉は、例えば、受付け85に付設された入退室管理システム部86によって制御される。また、消毒室76もしくは消毒室77に配された消毒装置11により、その動作制御部25における演算手段が行う薬剤噴出演算により設定される噴出時期毎に、噴出部24から、例えば、極めて少量とされる一定量の消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスが、例えば、極めて短いものとされる一定時間だけ、消毒室76もしくは消毒室77内に形成された消毒空間12内に噴出され、それにより、消毒空間12における消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの濃度が、予め設定された最低濃度以上で予め設定された最高濃度以下に維持される状態がとられる時間は、例えば、入退室管理システム部86によって、あるいは、消毒装置11が備える通信手段28が交信を行う遠隔サーバ36によって管理される。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上のような本発明に係る消毒装置は、消毒空間内に消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスを噴出して消毒空間の消毒を行うにあたり、当該消毒空間への消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの噴出を適切な演算に基づいて的確に制御し、それにより、当該消毒空間の消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの濃度を、予め設定される最低濃度以上で予め設定される最高濃度以下とされる適切な値に、所定の時間に亙って維持することができるものとして、建物内のフロア上の空間等の様々な空間の消毒に広く適用され得るものである。
【符号の説明】
【0085】
11・・・消毒装置, 12・・・消毒空間, 21・・・消毒薬剤供給部, 22・・・薬剤導出部, 23・・・出力部, 24・・・噴出部, 25・・・動作制御部, 26・・・各種センサ, 27・・・通信部, 28・・・入力操作部, 29・・・人感センサ, 30・・表示部, 31・・・ROM, 32・・・RAM, 33・・・電源部, 35・・・近隣の消毒装置, 36・・・遠隔サーバ, 49・・・ミスト化/気化部, 50・・・送出部, 70・・・フロア, 71,72,73,74・・・事務室, 75・・・廊下, 76,77・・・消毒室, 81,82,83,84・・・ドア部, 85・・・受付け, 86・・・入退室管理システム部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消毒薬剤を供給可能に収容する消毒薬剤供給部と、
該消毒薬剤供給部から供給可能とされた消毒薬剤を導出する薬剤導出部と、
該薬剤導出部により導出された消毒薬剤を収容して、該消毒薬剤にミスト化処理もしくは気化処理を施し、消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスを送出する出力部と、
該出力部から送出される消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスを消毒空間内に噴出する噴出部と、
上記消毒空間における消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの濃度を予め設定された最低濃度以上で予め設定された最高濃度以下に維持するため、上記消毒空間における消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスについての初期濃度を推測設定した後、上記初期濃度もしくは該初期濃度から変化していく上記消毒空間における消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスについての初期後濃度と適宜設定される上記消毒空間における消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスについての参照基準濃度との比較を行い、該比較により得られる比較結果に応じて、上記噴出部による消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの噴出が行われるべき噴出時期を設定するとともに、上記初期濃度もしくは初期後濃度を一定値だけ増加させる、もしくは、上記噴出時期を設定することなく、上記初期濃度もしくは初期後濃度を一定値だけ減少させる薬剤噴出演算を所定時間に亙って繰り返し行う演算手段を含み、上記薬剤噴出演算の結果に応じて上記薬剤導出部及び上記出力部を制御して、上記薬剤噴出演算により設定された噴出時期毎に、上記噴出部により一定量の消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスが一定時間だけ噴出される状態を得る動作制御部と、
を備えて構成される消毒装置。
【請求項2】
遠隔サーバとの交信を行って該遠隔サーバから上記参照基準濃度を得る通信部を備えることを特徴とする請求項1記載の消毒装置。
【請求項3】
上記通信部が、近隣に位置する他の消毒装置との交信も行い、該他の消毒装置による消毒空間内への消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの噴出に関する近隣情報を得て、該近隣情報を上記動作制御部に供給し、該動作制御部における上記演算手段が、必要に応じて、上記薬剤噴出演算に上記近隣情報を用いることを特徴とする請求項2記載の消毒装置。
【請求項4】
上記動作制御部が、上記薬剤噴出演算の結果を出力情報として記録する出力情報記録手段を含んでいることを特徴とする請求項1記載の消毒装置。
【請求項5】
遠隔サーバとの交信を行って該遠隔サーバから上記参照基準濃度を得る通信部を備え、上記動作制御部が、上記出力情報記録手段に記録された出力情報を上記通信部に送出し、該通信部が、上記出力情報を上記遠隔サーバに送信して該遠隔サーバにおいて記録されるものとなすことを特徴とする請求項4記載の消毒装置。
【請求項6】
上記動作制御部から上記出力情報記録手段に記録された出力情報が供給され、該出力情報に基づいて上記噴出部による消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの噴出状況をあらわす表示を行う表示部を備えることを特徴とする請求項4記載の消毒装置。
【請求項7】
上記消毒空間内の温度,湿度及び位置を夫々検出して各検出出力を上記動作制御部に供給する複数種のセンサを備え、上記動作制御部における上記演算手段が、必要に応じて、上記初期濃度もしくは初期後濃度を上記各検出出力に応じた補正がなされたものとすることを特徴とする請求項1記載の消毒装置。
【請求項8】
上記消毒空間内に入場する者を事前に検出して検出出力を上記動作制御部に供給する人感センサを備え、上記動作制御部が、上記人感センサからの検出出力に応じて上記薬剤導出部及び上記出力部を制御し、上記噴出部により予め設定された噴出量及び噴出時間をもって上記消毒薬剤ミストもしくは消毒薬剤ガスの予備的噴出が行われる状態を得ることを特徴とする請求項1記載の消毒装置。
【請求項9】
上記消毒薬剤供給部が水溶液状の消毒薬剤を供給可能に収容し、上記出力部が、上記薬剤導出部により導出された消毒薬剤にミスト化処理を施して、消毒薬剤ミストを送出することを特徴とする請求項1記載の消毒装置。
【請求項10】
上記消毒薬剤供給部がゲル状の消毒薬剤を供給可能に収容し、上記出力部が、上記薬剤導出部により導出された消毒薬剤に気化処理を施して、消毒薬剤ガスを送出することを特徴とする請求項1記載の消毒装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−10912(P2011−10912A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−158492(P2009−158492)
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【出願人】(508305753)インキュベーター株式会社 (3)
【Fターム(参考)】