消火ガス供給システム
【課題】火災時発生する煙や化学系の有度ガス、一酸化炭素および二酸化炭素を掃気して、視界を確保し、人間が呼吸可能な状態で、かつ燃焼を抑制でき、火災の消火と、人命の確保を可能とした消火ガス供給システムを提供する。
【解決手段】酸素濃度10%乃至15%で窒素を主成分とするイナート系消火ガスを貯蔵する消火ガス貯蔵設備(1)と、防火対象物に配設される消火ガス放出設備(8)と、前記消火ガス貯蔵設備と消火ガス放出設備とを接続する配管設備(3)とにより構成し、前記消火ガス放出設備から酸素濃度10%乃至15%で窒素を主成分とするイナート系消火ガスを放出するように構成した消火ガス供給システムである。
【解決手段】酸素濃度10%乃至15%で窒素を主成分とするイナート系消火ガスを貯蔵する消火ガス貯蔵設備(1)と、防火対象物に配設される消火ガス放出設備(8)と、前記消火ガス貯蔵設備と消火ガス放出設備とを接続する配管設備(3)とにより構成し、前記消火ガス放出設備から酸素濃度10%乃至15%で窒素を主成分とするイナート系消火ガスを放出するように構成した消火ガス供給システムである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災時に炎を弱め、もしくは消火を行うために供給される消火ガスの供給システムに関するものであり、イナート系(不活性ガス)消火ガスの供給に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、火災時において消火ガスを放出して消火を行う技術が知られている。そして、特開平8−141102号公報に示されるように窒素ガスを消火ガスとして利用する技術が知られている。特開平8−141102号公報に示される技術は、窒素ボンベをガス供給源として利用するものである。そして、火災時に窒素ガスを消炎濃度以上で供給するものである。
【特許文献1】特開平8−141102号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、ボンベを利用して窒素ガスを供給する場合には、ボンベの定期的な交換や、ボンベの補充などに人手が必要であるとともに、個々の対象物ごとに、ボンベ貯蔵スペースを大量に必要とし、大きな労力を必要とするものである。特に、古い町並みや住宅密集地において貯蔵設備を構成することは困難である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決すべく、本発明は次のような技術的思想に基づき発明されたものである。まず、窒素などのイナート系の消火ガスを大規模な貯蔵設備に貯蔵する。そして、消火ガスの貯蔵設備を配管などにより複数の消火設備に接続する。これにより、大量の消火ガスを防火対象物に供給可能となる。消火ガスとして用いられるイナート系のガスは、化学的に安定であり、様々な用途がある。特に、窒素ガスは、空気中に豊富に存在し、化学的に安定であり、ゴムなどに対する透過性が低い。このため、溶接や射出成形の過程や、パック食品の封入ガスとして用いられる。さらに、自動車のタイヤに注入するガスとして用いられている。貯蔵設備にイナート系のガスを貯蔵し、配管により各所に供給可能とすることにより、消火ガスとしても利用はもちろんのこと、酸化を防ぐためのガスとして文化財保存や、事業所などにおいて工業的に利用することもできる。
【0005】
そして、居住空間に用いる消火ガスとして利用する場合には、イナート系ガスに一定の割合で酸素を混合する。この他に、すでに酸素を混合した窒素ガスを貯蔵しておいたり、窒素のみを放出して酸素濃度センサにより窒素の供給を調節したり、窒素と酸素を利用設備において混合して供給したりすることもできる。火災時における一酸化炭素および二酸化炭素は、人体に多くの影響を与えるものである。一例をあげると、一酸化炭素は血液中のヘモグロビンと強固に結合し、血液による人体への酸素供給を阻害する。そして、ヘモグロビンは二酸化炭素に対する酸素の濃度比が一定値より高い場合には酸素を血液中に取り込み、低い場合には二酸化炭素を取り込む。このため、酸素濃度が高い場合においても、二酸化炭素濃度がそれ以上に高い場合に、二酸化炭素が体内に取り込まれるのである。
【0006】
ここにおいて、消火ガスに一定の割合で酸素を混合し、火災時に放出することにより、一酸化炭素および二酸化炭素を掃気して、一定量の酸素を火災現場の人間に供給する。なお、燃焼は絶対的な酸素の濃度による。そこで、消火ガスに含まれる酸素濃度を、自然状態における酸素濃度より低くすることにより、燃焼を抑制することができる。さらに、消火ガスを供給することにより、火災現場において発生した熱量を消火ガスにより吸収し、熱の排出が効率的に行われる。よって、火災現場において、発生した死亡原因のトップである不完全燃焼ガスを早急に追出し、人間が呼吸可能でかつ燃焼抑制可能な状態に置換することができる。
【0007】
すなわち、本発明は以下のような手段を用いるものである。
請求項1に記載のごとく、酸素濃度10%乃至15%で窒素を主成分とするイナート系消火ガスを貯蔵する消火ガス貯蔵設備と、防火対象物に配設される消火ガス放出設備と、前記消火ガス貯蔵設備と消火ガス放出設備とを接続する配管設備とにより構成し、前記消火ガス放出設備から酸素濃度10%乃至15%で窒素を主成分とするイナート系消火ガスを放出するように構成した消火ガス供給システムである。
【0008】
請求項2に記載のごとく、前記イナート系消火ガスを防火対象物に配設される消火剤放出設備の圧力源として用いるように構成したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するものである。
請求項1に記載のごとく、酸素濃度10%乃至15%で窒素を主成分とするイナート系消火ガスを貯蔵する消火ガス貯蔵設備と、防火対象物に配設される消火ガス放出設備と、前記消火ガス貯蔵設備と消火ガス放出設備とを接続する配管設備とにより構成し、前記消火ガス放出設備から酸素濃度10%乃至15%で窒素を主成分とするイナート系消火ガスを放出するように構成したことにより、人体に影響の少ない消火ガス供給システムを構成でき、火災時発生する煙や化学系の有度ガス、一酸化炭素および二酸化炭素を掃気して、視界を確保し、人間が呼吸可能な状態で、かつ燃焼を抑制することができる。すなわち、火災の消火と、人命の確保を可能とした消火ガス供給システムを構成することができる。
【0010】
請求項2に記載のごとく、前記イナート系消火ガスを防火対象物に配設される消火剤放出設備の圧力源として用いるように構成したので、消火剤放出設備を簡便に構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明の実施の形態について図を用いて説明する。図1は消火ガス供給システムの全体構成を示す模式図である。窒素を貯蔵する窒素タンク1は気化器2を介して、配管3に接続される。配管3には分岐管5が接続されており、この分岐管5を介して消火目的(防火対象物)4の消火設備に接続する。窒素タンク1に窒素を液体状態で貯蔵することにより、多量の窒素を貯蔵可能であり、消火用だけでなく、工業的用途に窒素ガスを供給することができる。なお、窒素ガスの消費量が少なく、窒素タンク1の容量が大きい場合には、窒素ガスを気体状態で圧縮貯蔵することも可能である。
【0012】
次に、消火設備の構成について説明する。図2は消火ガス供給システムにおける消火設備の接続構成を示す模式図、図3は共同構および窒素ガス配管の内部構成を示す図、図4は消火ガスの貯蔵設備の構成を示す図である。図2に示す構成において、窒素タンク1には配管3が接続されており、窒素タンク1内の窒素ガスを配管3内に供給するものである。配管3には分岐管5が接続されており、それぞれ消火設備に接続される。窒素タンク1には、酸素分離装置11およびコンプレッサを介して、窒素ガスが導入される。そして、分離された酸素は酸素タンク12に貯蔵される。分岐管5は事業所やオフィスビル、住宅などに導入され、消火設備である消火ガス放出器8に接続される。これにより、消火ガス放出器8より窒素ガスを放出し、消火を行うものである。この他にも、分岐管5よりを貯水タンク6に接続し、スプリンクラヘッド7や屋内消火栓などに供給する水を加圧することも可能である。
【0013】
さらに、図3(a)に示すごとく、窒素ガスを供給する配管3を共同構30内に上下水道などの水道管31や、光ファイバーケーブル、電線などとともに配設することも可能である。そして、図3(b)に示すごとく、窒素ガスの配管3を共同構として利用し、配管3内に水道管31や、電線配管32、光ファイバー用配管33を配設することも可能である。配管3内において、窒素ガスが流動しているため、人体に影響を与える一酸化炭素などの有毒ガスあるいは可燃ガスが溜まりにくく、迅速に希釈されるものである。また、酸素濃度が低いので、配管3内において火災が発生し難いものである。
【0014】
図4を用いて、消火ガスの貯蔵設備の構成について説明する。図4(a)はタンクを利用した貯蔵構成を示す図であり、図4(b)は地下を利用した貯蔵構成を示す図である。図4(a)に示す構成において、消火ガスは窒素ガスを主成分とするものであり、空気中の酸素を減少させることにより調製するものである。窒素タンク1にコンプレッサ11bを介して接続された酸素分離装置11は、空気中の酸素を取出し、酸素濃度の低いガスを生成するものである。酸素分離装置11は、主成分が窒素であり、酸素濃度の低いガスを生成可能であればよく、特に限定するものではない。酸素分離装置11の例として、酸素分離膜を利用した酸素分離装置11を用いる場合について説明する。酸素分離膜は、酸素ガスが透過しやすく、窒素ガスが透過しにくい膜に空気を供給し、酸素濃度の高い空気と、酸素濃度の低い空気とに分離するものである。酸素分離の程度は、酸素分離膜に供給する単位時間あたりの空気量などにより調節可能であり、酸素分離膜を透過させる回数によっても調節可能である。
【0015】
そして、酸素濃度の高い空気を酸素タンク12に貯蔵し、リラクゼーション用のガスや、排水浄化槽等への酸素供給用ガスとして用いることが出来る。空気から、酸素濃度の低い消火ガスを生成することにより、同時に酸素濃度の高いガスが生成可能となり、両方のガスを有用に用いることができるものである。また、窒素ガスの地下貯蔵庫として、巨大地下室または大深度地下空間を利用して高圧イナートガスを貯蔵することも可能である。図4(b)に示すごとく、地下貯蔵庫35の空間を利用して、窒素ガスを貯蔵するものである。地下貯蔵庫35には窒素ガスが一定の圧力をかけた状態で貯蔵されるものであり、地下貯蔵庫35に接続した配管3により窒素ガスが防火対象物に供給されるものである。防火対象物である博物館や美術館に隣接させて地下貯蔵庫35を構成する場合には、この地下貯蔵庫35を長期安定貯蔵が必要な貴重品や、文化材等の貯蔵庫として利用することができる。
【0016】
本実施例においては、酸素分離装置11により、窒素88%、酸素12%のガスを窒素タンク1内に貯蔵する。酸素濃度は、15%乃至10%とするものである。人が1時間以上いても存在できる酸素濃度が約10%以上であり、他からの酸素供給が無い場合に窒息消火ができる酸素濃度が約15%以下である。このため、酸素濃度15%から10%とすることにより、人への影響を軽減しながら、消火に寄与する消火ガスを構成することができる。また、はじめから、人が生息可能なガスとしておくことにより、最終消火先での危険度を減少させる。いわゆるフールプルーフ、フェイルセーフのシステムが可能となる。
【0017】
窒素タンク1への貯蔵方法としては、消火ガスをポンプ等により窒素タンク1に供給し、窒素タンク1の圧力を一定に維持しての貯蔵や、消火ガスを液化しての貯蔵も可能である。液化する場合には、沸点などにより酸素と窒素を分離して貯蔵するものであり、供給時に窒素ガスに液化した酸素もしくは空気を混合して酸素濃度を調節することができる。また、液化した窒素を窒素タンク1内に貯蔵し、消火ガスとして使用する際に、空気と混合し、酸素濃度の調節を行うことも可能である。
【0018】
次に、図5を用いて消火ガスを用いた掃気の構成について説明する。図5は消火設備による掃気構成を示す図である。消火設備である消火ガス放出器8・8・・には分岐管5を介して配管3より消火ガスが供給される。そして、火災が発生した場合には、図5(a)に示すごとく、室内に煙や一酸化炭素などの有害ガスが発生する。ここにおいて、消火ガス放出器8により消火ガスを放出すると、図5(b)に示すごとく、室内には消火ガスが充満し、煙などの有害ガスが排出される。消火ガスは、前述のごとく、酸素を含むものである。そして、消火ガスの放出により二酸化炭素が室外に排出されるので、酸素が少ない状態でも人体に与える影響を低減できるものである。
【0019】
次に、消火ガスを用いたスプリンクラ設備の構成について説明する。図6はスプリンクラ設備の構成を示す模式図である。図6(a)は消火ガスを圧力源として使用する構成を示す模式図、図6(b)は消火ガスとともに水を放出する構成を示す模式図である。まず、スプリンクラの圧力源として消火ガスを利用する構成について説明する。配管3より供給される消火ガスは、分岐管5介して貯水タンク6に導入される。貯水タンク6内に導入された消火ガスは、液面に圧力をかける。そして、スプリンクラヘッド7に貯水タンク6の水が供給され、スプリンクラヘッド7より水が放出される。貯水タンク6には消火ガスを供給することにより、圧力をかけ、スプリンクラヘッド7の開栓により水が放出される。消火ガスの供給により圧力を確保するので、水の消費量に関係なく一定の圧力を維持できる。そして、水を消費した後には、消火ガスが排出されるので、消火作業を継続することができる。
【0020】
図6(b)を用いて、スプリンクラヘッド7より、消火ガスとともに水を排出する構成について説明する。配管3に接続した分岐管5はスプリンクラヘッド7に接続している。貯水タンク6内には配管9の一端が挿入されており、他端はスプリンクラヘッド7に接続されている。スプリンクラヘッド7内において、消火ガスの供給経路と、貯水タンク6よりの水供給経路とが接続しており、接続部において、ベンチュリー効果により水を霧状にして消火ガスとともに排出するものである。なお、スプリンクラヘッド7への水の供給は、特に限定するものではなく、スプリンクラヘッド7より消火ガスとともに霧状の水が排出されればよいものである。これにより、消火ガスとともに水を排出し、消火を迅速に行うことができる。すなわち、配管設備を介して供給する消火ガスを、消火剤放出設備の圧力源の一部もしくは全部として用いるものである。これにより、消火剤の放出設備を簡便に構成することができる。上記構成においては、水を消火剤として用いるものである。消火剤としては、水のほかに一般の液体状もしくは粉末状の消火剤を用いることが可能である。
【0021】
次に、消火ガスの他の供給構成について説明する。図7は酸素分離装置を用いた消火ガスの供給構成を示す図、図7(a)は配管途中部に酸素分離装置を配設した構成を示す図、図7(b)は配管接続部に酸素分離装置を配設した構成を示す図、図7(c)は消火ガス放出ユニットの構成例を示す図である。まず、配管経路の途中部に、酸素分離装置を配設する構成について説明する。この構成においては、配管経路に酸素分離装置を設けて加圧した空気供給過程において酸素を取り除き、消火ガスとするものである。これにより、空気を圧送する装置により、空気を送ることによって、消火設備への消火ガスの供給が可能となる。
【0022】
図7(a)に示すごとく、配管3には、酸素分離装置11が配設されており、配管3内を圧送されている空気から酸素を取り除く構成となっている。酸素分離装置11には配管12が接続されており、配管12内の気圧は配管3より低くなっている。配管3内を流れる空気中の酸素は、圧力差により配管12へと取出される。これにより、配管3内を流れる空気の酸素濃度が低くなる。そして、酸素濃度の低くなった空気は、消火ガスとして、分岐配管5を介して消火設備である消火ガス放出器8に供給される。酸素分離装置11にて取出された酸素濃度の高い空気は、大気中に排出することも可能であり、汚水浄化用などの酸素源として使用することも可能である。
【0023】
図7(b)に示す構成においては、酸素分離装置13を介して消火ガスを取出すものである。配管3には空気が圧送されており、空気が酸素分離装置13に導入される。酸素分離装置13には配管12および分岐管5が接続されており、酸素濃度の高い空気が配管12に、酸素濃度が低くい空気が分岐管5に送られる。そして、酸素濃度の低い空気が消火ガスとして、消火ガス放出器8に供給される。消火ガスの供給量を十分に確保するべく、分岐管5に消火の貯蔵手段となる消火ガスボンベ14を配設し、消火ガスボンベ14に消火ガスを貯蔵することができる。酸素濃度の高い空気についても、同様にボンベ15を配設して、ボンベ15内に酸素濃度の高い空気を貯蔵することが可能である。この場合には、圧送される空気を利用して、消火ガスを生成することができ、消火ガス供給システムを簡便に構成することができる。
【0024】
図7(c)に示す構成においては、消火ガス放出ユニット40により、空気より窒素濃度の高い消火ガスを生成し、住居内に供給する。消火ガスユニット40はコンプレッサおよび酸素分離装置を組込んでおり、コンプレッサを作動させて消火ガスを生成し、消火ガス放出器8へ供給する構成となっている。これにより、配管を簡素化でき、必要に応じて消火ガスの生成および供給を行うことだでき、ランニングコストを低減できる。消火ガス供給源からの配管が整備されていない地域での使用が可能となる。
【0025】
次に、消火ガスの供給構成について説明する。図8は消火ガスの供給構成の一例を示す模式図、図8(a)は小規模貯蔵設備との接続構成を示す図、図8(b)は小規模貯蔵設備より消火設備への消火ガス供給構成を示す図である。図8に示す構成において、大規模な消火ガス供給源より、小規模な消火ガス貯蔵設備に消火ガスを供給し、火災時には、大規模消火ガス供給源および小規模消火ガス貯蔵設備より消火ガスを供給するものである。大規模消火ガス供給源である窒素タンク1は配管3を介して小規模貯蔵設備16に接続されている。1つの窒素タンク1は配管3により複数個の小規模貯蔵設備16・16・・に接続されており、小規模貯蔵設備16・16間も配管3により接続されている。これにより、一部の配管経路を閉じた場合においても、窒素タンク1より窒素ガスの供給を行うことができる。
【0026】
小規模貯蔵設備16は、配管3を介して供給された消火ガスを貯蔵するものである。図8(b)に示すごとく、小規模貯蔵設備16にはブロック配管網3bが接続されており、小規模貯蔵設備16に貯蔵された消火ガスおよび、配管3より小規模貯蔵設備16を介して供給される消火ガスがブロック配管網3bに供給される。ブロック配管網3bは、一定の地域ごとに建築物などの配置に沿って、網目状に接続された配管網であり、1つのブロック配管網3bに複数個の小規模貯蔵設備16が接続されている。ブロック配管網3bには、前述のごとく消火設備が接続されており、消火ガスを放出可能に構成されている。これにより、ブロック配管網3bの配設された地域において、火災が発生した場合には、複数箇所の小規模貯蔵設備16・16・・より消火ガスを供給して、火災に対応することができる。
【0027】
このように、貯蔵装置を複数個配設し、配管によりそれぞれ接続することにより、火災時に複数箇所の貯蔵装置より消火ガスを供給することができる。このため、平常時における窒素タンク1よりの消火ガス供給量を少なくすることも可能であり、配管3を小径のパイプにより構成し、敷設にかかる費用を軽減することもできる。また、配管3を小径に構成して配管3内の気体量に対して配管3の内側面積を大きくし、配管3を酸素分離可能な材質により構成し、配管3において効率的に酸素を取出しながら、消火ガスを供給することもできる。
【0028】
次に、沿岸部などにおける消火ガスの貯蔵構成について説明する。図9は沿岸部における貯蔵構成を示す図、図10は沿岸部における消火ガスの圧縮構成を示す図である。沿岸部においては、消火ガスの貯蔵設備を海中に配設するものである。貯蔵タンク20を海中に配設し、配管3を介して消火ガスを供給する。そして、貯蔵タンク20内に消火ガスを貯蔵し、貯蔵タンク20に接続された配管22により倉庫などに消火ガスを供給可能とするものである。貯蔵タンク20は、消火ガスの貯蔵容積を変更可能に構成されており、水圧により貯蔵タンク20内の消火ガスに圧力がかかる構成となっている。これにより、配管3にポンプなどを接続し、消火ガスを貯蔵タンク20に貯蔵することによって、消火ガスの多少にかかわらず、消火ガスを配管22に圧送できる。
【0029】
また、図10に示すごとく、干潮時に貯蔵タンク20内に消火ガスを供給することにより、満潮時には消火ガスの圧力を上昇させることができる。このように、潮の満ち引きを利用して、消火ガスを加圧して、貯蔵することも可能である。さらに、海底において圧縮空気を放出して、海面付近に放出された空気を回収して貯蔵することにより、消火ガスを生成することが可能である。酸素は、窒素に比べ、水に溶解しやすい。特に、海底など圧力の高い場合には、酸素の溶解度は上昇する。このため、圧縮空気を海底において放出することにより、酸素は海水に吸収され、窒素濃度の高くなった空気が海面へと浮き上がる。これにより、海底において酸素を供給し、海底の汚泥などの浄化を図るとともに、消火ガスを生成することが可能となる。
【0030】
次に、図11を用いて、水道管を消火ガスの供給配管として利用する構成について説明する。図11は水道管を消火ガスの供給配管として利用する構成を示す図である。水道管25には水道水および消火ガスである窒素ガスが導入されている。そして、水道管25内において、消火ガスは上部に、水道水は下部に位置するものである。水道管25には水道配管26が接続されており、住宅などに水道を供給可能に構成されている。水道配管26の取り込み口は、水道管25の下部に位置しており、水道水を取り込む構成となっている。そして、水道管25の上部には、消火ガス取出し部27が接続され、消火ガス取出し部27に消火ガス用の分岐管5が接続されている。分岐管5には消火ガス放出器8・8・・が接続されており、消火ガスを放出可能に構成している。なお、消火ガス取出し部27は分岐管5への水道水の流入を防止するものである。水道管25において、消火ガスは加圧状態にあり、消火ガスの圧力により水道水の供給圧を調節することも可能である。水道管25を消火ガスの供給配管として利用することにより、配管にかかるコストを低減できる。そして、消火ガスを供給する配管に水を導入することにより、酸素ガスの溶解により、消火ガスの窒素比率を容易にあげることが出来る。
【0031】
このような消火ガス供給システムは、密閉された空間の火災などに有効であり、トンネルや、地下鉄、地下街、窓の開かない高層ビルなどへの適用において高い有効性を持つ。特に、二酸化炭素や有毒ガスなどが溜まりやすい空間において、酸素濃度を、15%乃至10%とする消火ガスを利用するので、人が生存可能であり火災などの燃焼をおよび延焼を抑制する。さらに、大深度地下空間を利用して消火ガスを貯蔵する場合においても、安全に利用可能である。地下空間は、二酸化炭素などのガスが溜まり、酸素濃度が極端に低下しやすい場所である。この場所に人が生存可能かつ燃焼の抑制を行う消火ガスを貯めるので、地下空間の安全性を維持できるとともに、地下空間を利用して消火ガスを貯蔵できる。さらに地下空間から消火ガスを供給する場合には送風機などにより容易に消火ガスを供給できる。
【0032】
次に、イナート系消火ガスを内包する泡を放出する消火ガス供給システムの構成について説明する。図12は泡を放出する消火ガス供給システムを示す斜視図、図13は消火ガスを内包する泡による排煙作用を示す模式図、図14は消火ガスを内包する泡の作用を示す模式図である。まず、図12を用いて、消火ガス供給システムの構成について説明する。泡を放出する消火ガス供給システムは、消火ガス貯蔵部50、薬剤貯蔵部51、制御部52、配管53、放出部54により構成されている。消火ガス貯蔵部50は、消火ガスを充填したガスボンベ、前述の消火ガス供給構成等を利用することが可能である。薬剤貯蔵部51は、消火ガスと混合され泡を生成する薬剤が貯蔵されているものである。貯蔵される薬剤としては、液体や粉末状のものを用いることが可能である。粉末状の薬剤を用いる場合には、使用前に水と混合して消火ガスと混合することも可能である。
【0033】
制御部52は消火ガスを内包する消火泡の供給を制御するものである。制御部52は消火ガス貯蔵部50と薬剤貯蔵部51と配管53に接続しており、消火ガスおよび薬剤、もしくは消火泡を配管53に供給するものである。配管53は制御部52と放出部54を接続するものであり、消火泡もしくは消火ガスおよび薬剤が通るものである。放出部54は消火泡を放出するものであり、配管53より供給される消火泡もしくは、消火ガスおよび薬剤より消火泡を放出部54において生成することも可能である。
【0034】
消火泡の供給には、消火ガス貯蔵部51における消火ガスの圧力を利用することが可能である。例えば、消火ガスを薬剤貯蔵部51に導入し、薬剤を泡立てて発生させた消火泡を消火ガスの供給圧により放出部54より放出させることが出来るものである。この他に、消火ガスの圧力を薬液にかけて薬液を放出部54に供給するとともに、消火ガスを放出部54に供給し、放出部54において薬液と消火ガスを混合し、消火泡を放出することができるものである。
【0035】
この他に、空調用のダクトを消火泡の供給経路として利用することもできる。火災時に消火泡を火災個所に接続した空調用のダクトに供給することにより、火災個所へ消火ガスを確実に供給することができる。消火ガスを泡に封入することにより、供給経路における対流によって、消火ガスが希釈されることがなく、確実に消火ガスが供給されるものである。
【0036】
また、消火泡を生成する方法としては、薬剤を加圧した消火ガスとともに放出し、消火泡をムース状にして供給することも可能であり、大気圧において消火ガスと薬液を撹拌して消火泡の泡を大きくすることも可能である。泡の粒径を小さくすることにより消火ガスに対する薬液量を大きくでき、粒径を大きくすることにより消火ガスに対する薬液量を少なくすることができる。要救助者が存在する可能性の高い場所には、粒径の大きい消火泡を供給し、有毒ガスや煙の掃気および要救助者への消火ガスの供給を目的とすることも可能である。
【0037】
次に、図13を用いて、消火泡による排煙作用について説明する。図13(a)に示すごとく、火災の発生により煙が発生し室内に充満する。火災はセンサ55により検知され、図13(b)に示すように、放出部54より消火泡が放出される。放出部54より放出される消火ガスは、泡に被われているので、室内の空気の対流や、拡散の影響を受け難い。さらに、消火ガスが消火ガス貯蔵部50より供給されるので、消火ガスの供給により室内の煙56および有毒ガスが室外に排出される。そして、図13(c)に示すごとく、消火泡が燃焼個所を覆い、消火を行うとともに、有毒ガスおよび煙56を排出する。消火泡内には消火ガスが封入されているので、消火ガスにより燃焼が抑制されるとともに、消火泡に消火剤を含ませることにより効果的に消火を行うことが可能となる。
【0038】
消火ガスを泡に封入して火災個所に供給することにより、消火ガスの拡散を抑制するとともに、火災個所への新鮮な空気の流入を防止することが出来るものである。また、消火ガスにより火災を鎮火するとともに、泡に含まれる成分により消火を行う場合には、泡に含まれる薬剤量を少なくすることができる。これにより、薬剤を必要最低限にとどめることが可能となる。そして、消火作業の後の処理が楽になるとともに、薬剤貯蔵部をコンパクトに構成できるものである。
【0039】
次に、消火泡の放出口70を室内の下部に取付けた構成について、図14および図15を用いて説明する。図14は消火泡放出口を室内下部に取付けた例を示す図、図15は室内下部の消火泡の消火過程を示す図である。図14に示す消火泡供給システムは、消火泡の放出口を室内の下部に配置しており、消火ガス貯蔵部50、薬剤貯蔵部100、分岐管5、薬剤供給管101、放出口70により構成されている。消火ガス貯蔵部50より、消火ガスを供給して、放出口70において泡を発生させ、消火泡を室内に供給する。消火ガス貯蔵部50は分岐管5および配管81を介して薬剤貯蔵部100および放出口70に接続されている。そして、薬剤貯蔵部100は薬剤供給管101により放出口70に接続されている。薬剤貯蔵部100には配管81により消火ガスの圧力がかり、薬剤が薬剤供給管101を通って放出口70に供給される。放出口70において薬剤と消火ガスとが混合されて消火泡が生成される。放出口70において生成された消火泡は消火ガスの供給により放出口70より押し出されて、室内に供給される。消火ガスの供給源としてはガスボンベに貯蔵されたもののほかに前述の供給方法を利用することも可能である。この消火泡供給システムは、消火ガスの供給により消火泡が生成されるものであり、消火ガスの供給を制御することにより消火泡の供給開始を制御できる。これにより、容易な構成により消火泡供給システムを構成することができる。なお、図14に示す構成においては、消火ガスの供給により薬剤貯蔵部100の薬液が一端放出口70に押し出されると、サイフォン効果により薬液が自然に放出口70に供給される。
【0040】
次に、図15において消火泡の放出口を室内の下部に配置した場合の消火泡の供給過程について説明する。消火泡の放出口70を室内下部に設けることにより、床に倒れた要救助者59を有毒ガスなどより迅速に保護することが可能となる。下部より床面に沿って消火ガスを含む泡を供給するので、要救助者59までの距離が短く迅速に消火泡により保護できる。図15(a)において、人が床に倒れ自力脱出できず、要救助者59となる。火災により発生する煙56や有毒ガスは、炎のある場所においては上昇気流により上に巻き上げられる。しかし、状況によっては炭酸ガスなど空気の比重より重たいガスが床にそって広がる場合がある。そして、自力により脱出できない要救助者59は主に床に倒れている場合が多い。このため、図15(b)に示すごとく、室内の下部に放出口70を設けて、消火泡57を供給することにより、要救助者59を迅速に保護することができる。図15(c)に示すごとく、床面付近の要救助者59を保護するために必要となる泡の体積量を最小限とすることができるので、消防士などの消火作業や救助作業にあたるものや避難者の視界を妨げにくくなっている。
【0041】
次に、図16および17を用いて、消火泡の発生器の構成について説明する。図16は消火ガスの圧力を利用した消火泡の発生器を示す図であり、図17はバブリングおよびファンを利用した消火泡の発生器を示す図である。図16に示す消火泡の発生器は、貯水タンク91、起泡剤タンク92、放出部93により構成されている。貯水タンク91、起泡剤タンク92および放出部93にはそれぞれ消火ガスの分岐管5が接続されている。貯水タンク91および起泡剤タンク92に接続された分岐管5は貯水タンク91および起泡剤タンク92に圧力を加えて、水および起泡剤の排出を促進するものである。貯水タンク91および起泡剤タンク92に消火ガスにより圧力をかけ、この圧力により水および起泡剤を放出部93に送る。貯水タンク91には分岐管5に接続した配管81および放出部93に接続した配管82が接続されている。配管81は貯水タンク91の上部に接続されており、配管82の一端は貯水タンク91の底部に至っている。起泡剤水タンク92には分岐管5に接続した配管81および放出部93に接続した配管83が接続されている。配管81は起泡剤タンク92の上部に接続されており、配管83の一端は起泡剤タンク92の底部に至っている。これにより、分岐管5を介して消火ガスを供給すると、貯水タンク91および起泡剤タンク92に圧力がかかり、水および起泡剤が放出部93に供給される。放出部93において、消火ガス、水および起泡剤が混合され排出口94より消火泡が排出される。ここにおいて、消火ガスは水および起泡剤の加圧に用いられるとともに、消火泡を排出するためにも用いられる。このように構成することにより、消火ガスを供給することによって、容易に消火泡の排出を行うことができ、消火ガスの供給のみにより消火泡の供給を行うことができる。
【0042】
このほかの消火泡発生装置の構成について、図17から図20を用いて説明する。図17(a) はバブリングによる泡発生器の構成を示す図であり、図17(b)はファンを利用した泡発生器の構成を示す図である。まず、図17(a)を用いて、バブリングを利用した消火泡発生器の構成について説明する。消火泡発生器は、起泡剤容器60により構成されている。起泡剤容器60には、掃気管61、起泡剤供給管63および消火ガス供給管62が接続されている。起泡剤容器60の下部には起泡剤が貯められている。この起泡剤は起泡剤供給管63より供給される。起泡剤容器60の底部には消火ガス供給管62が接続されており、消火ガスを供給することにより起泡剤中に泡を発生させる。発生した泡は、掃気管61より供給される消火ガスにより起泡剤容器60の排出口より排出される。起泡剤容器60に一定量の起泡剤を保ち、これに消火ガスを供給し泡立てるとともに掃気を行うことにより、迅速に消火泡を発生させるとともに、消火泡を排出するものである。なお、状況によっては、消火ガスの排出を停止し、消火ガス供給管62からの消火ガスの供給のみを行い、消火泡を排出することも可能である。
【0043】
図18はメッシュとファンを利用した泡発生器を示す図、図19は同じく断面および斜視図である。メッシュとファンを利用した泡発生器について、図18および図19を用いて説明する。泡発生器110はメッシュ112に送風を行うとともに、消火ガスおよび起泡剤をメッシュ112に噴射して消火泡を生成するものである。泡発生器110は、筒体111、メッシュ112、ファン116、モータ117、そして、電源ケーブル115、消火ガス配管114および起泡剤配管113により構成されている。モータ117によりファン116を駆動してメッシュ112の方向に送風を行うとともに、消火ガスおよび起泡剤をメッシュ112に向け噴射することにより消火泡を生成するものである。起泡剤をメッシュに112に吹き付けることによりメッシュ112の目に起泡剤の膜が生じ、送気により起泡剤の泡が生じるものである。泡発生器110に供給する消火ガスとしては、前述のごとく酸素濃度を低減した消火ガスを利用することが可能であり、筒体111内に供給される気体を消火ガスとすることができるものである。また、ファン116より送気された空気と混合することにより消火ガスとなるものを利用することもできる。さらに、モータ117をエアモータとして、消火ガスを供給してファン116を駆動することも可能である。この場合には、消火ガスの供給制御により泡発生器の制御を行うことができる。
【0044】
図20はメッシュと放出される消火ガスを利用した泡発生器の側面断面図である。泡発生器120はメッシュに起泡剤をかけて、そこに消火ガスを送ることにより泡を発生させるものである。泡発生器120はメッシュ122、筒体121、起泡剤配管123および消火ガス配管124により構成されている。筒体121の前部にはメッシュ122が装着されており、筒体121内には起泡剤配管123により起泡剤が供給される。起泡剤は筒体121内のノズルによりメッシュ122に噴射される。筒体121の後部には消火ガス配管124が接続されており、この配管により筒体121内に消火ガスが供給される。メッシュ122に起泡剤を吹き付けて消火ガスを供給することにより、消火ガスを内包する消火泡を発生させる。起泡剤の供給は消火ガスを利用した加圧により行う方法、建物の上部に配設した薬液タンクより供給する方法などを利用することができる。また、供給する消火ガスの圧力および起泡剤の供給量により発生する泡の状態を調節することができ、泡発生器120を配設する環境に応じて調節できるものである。
【0045】
図21は消火ガスを内包する泡の作用を示す模式図である。図21に示すごとく、消火泡57が炎58を覆うことにより、新たな空気が流入することがなく、確実に消火ガスが炎58に供給される。そして、要救助者59がいる場合にも、要救助者59を消火泡57により覆うことにより、有毒なガスから保護することができる。消火ガスは酸素濃度10%乃至15%であるため、要救助者59の生命を維持しながら、鎮火を行うものである。そして、このガスを泡とともに供給することにより、燃焼による有毒ガスの対流を防ぎ、消火ガスを拡散させることなく燃焼個所に供給することができる。さらに、火災個所へ確実に消火ガスを供給し、煙や火災による有毒ガスなどを排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】消火ガス供給システムの全体構成を示す模式図。
【図2】消火ガス供給システムにおける消火設備の接続構成を示す模式図。
【図3】共同溝および窒素ガス配管の内部構成を示す図。
【図4】消火ガスの貯蔵設備の構成を示す図。
【図5】消火設備による掃気構成を示す図。
【図6】スプリンクラ設備の構成を示す模式図。
【図7】酸素分離装置を用いた消火ガスの供給構成を示す図。
【図8】消火ガスの供給構成の一例を示す模式図。
【図9】沿岸部における貯蔵構成を示す図。
【図10】沿岸部における消火ガスの圧縮構成を示す図。
【図11】水道管を消火ガスの供給配管として利用する構成を示す図。
【図12】泡を放出する消火ガス供給システムを示す斜視図。
【図13】消火ガスを内包する泡による排煙作用を示す模式図。
【図14】消火泡放出口を室内下部に取付けた例を示す図。
【図15】室内下部の消火泡の消火過程を示す図。
【図16】消火ガスの圧力を利用した消火泡の発生器を示す図。
【図17】バブリングおよびファンを利用した消火泡の発生器を示す図。
【図18】メッシュとファンを利用した泡発生器を示す図。
【図19】同じく断面および斜視図。
【図20】メッシュと放出される消火ガスを利用した泡発生器の側面断面図。
【図21】消火ガスを内包する泡の作用を示す模式図。
【符号の説明】
【0047】
1 窒素タンク
2 気化器
3 配管
4 消火目的
5 分岐管
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災時に炎を弱め、もしくは消火を行うために供給される消火ガスの供給システムに関するものであり、イナート系(不活性ガス)消火ガスの供給に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、火災時において消火ガスを放出して消火を行う技術が知られている。そして、特開平8−141102号公報に示されるように窒素ガスを消火ガスとして利用する技術が知られている。特開平8−141102号公報に示される技術は、窒素ボンベをガス供給源として利用するものである。そして、火災時に窒素ガスを消炎濃度以上で供給するものである。
【特許文献1】特開平8−141102号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、ボンベを利用して窒素ガスを供給する場合には、ボンベの定期的な交換や、ボンベの補充などに人手が必要であるとともに、個々の対象物ごとに、ボンベ貯蔵スペースを大量に必要とし、大きな労力を必要とするものである。特に、古い町並みや住宅密集地において貯蔵設備を構成することは困難である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決すべく、本発明は次のような技術的思想に基づき発明されたものである。まず、窒素などのイナート系の消火ガスを大規模な貯蔵設備に貯蔵する。そして、消火ガスの貯蔵設備を配管などにより複数の消火設備に接続する。これにより、大量の消火ガスを防火対象物に供給可能となる。消火ガスとして用いられるイナート系のガスは、化学的に安定であり、様々な用途がある。特に、窒素ガスは、空気中に豊富に存在し、化学的に安定であり、ゴムなどに対する透過性が低い。このため、溶接や射出成形の過程や、パック食品の封入ガスとして用いられる。さらに、自動車のタイヤに注入するガスとして用いられている。貯蔵設備にイナート系のガスを貯蔵し、配管により各所に供給可能とすることにより、消火ガスとしても利用はもちろんのこと、酸化を防ぐためのガスとして文化財保存や、事業所などにおいて工業的に利用することもできる。
【0005】
そして、居住空間に用いる消火ガスとして利用する場合には、イナート系ガスに一定の割合で酸素を混合する。この他に、すでに酸素を混合した窒素ガスを貯蔵しておいたり、窒素のみを放出して酸素濃度センサにより窒素の供給を調節したり、窒素と酸素を利用設備において混合して供給したりすることもできる。火災時における一酸化炭素および二酸化炭素は、人体に多くの影響を与えるものである。一例をあげると、一酸化炭素は血液中のヘモグロビンと強固に結合し、血液による人体への酸素供給を阻害する。そして、ヘモグロビンは二酸化炭素に対する酸素の濃度比が一定値より高い場合には酸素を血液中に取り込み、低い場合には二酸化炭素を取り込む。このため、酸素濃度が高い場合においても、二酸化炭素濃度がそれ以上に高い場合に、二酸化炭素が体内に取り込まれるのである。
【0006】
ここにおいて、消火ガスに一定の割合で酸素を混合し、火災時に放出することにより、一酸化炭素および二酸化炭素を掃気して、一定量の酸素を火災現場の人間に供給する。なお、燃焼は絶対的な酸素の濃度による。そこで、消火ガスに含まれる酸素濃度を、自然状態における酸素濃度より低くすることにより、燃焼を抑制することができる。さらに、消火ガスを供給することにより、火災現場において発生した熱量を消火ガスにより吸収し、熱の排出が効率的に行われる。よって、火災現場において、発生した死亡原因のトップである不完全燃焼ガスを早急に追出し、人間が呼吸可能でかつ燃焼抑制可能な状態に置換することができる。
【0007】
すなわち、本発明は以下のような手段を用いるものである。
請求項1に記載のごとく、酸素濃度10%乃至15%で窒素を主成分とするイナート系消火ガスを貯蔵する消火ガス貯蔵設備と、防火対象物に配設される消火ガス放出設備と、前記消火ガス貯蔵設備と消火ガス放出設備とを接続する配管設備とにより構成し、前記消火ガス放出設備から酸素濃度10%乃至15%で窒素を主成分とするイナート系消火ガスを放出するように構成した消火ガス供給システムである。
【0008】
請求項2に記載のごとく、前記イナート系消火ガスを防火対象物に配設される消火剤放出設備の圧力源として用いるように構成したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するものである。
請求項1に記載のごとく、酸素濃度10%乃至15%で窒素を主成分とするイナート系消火ガスを貯蔵する消火ガス貯蔵設備と、防火対象物に配設される消火ガス放出設備と、前記消火ガス貯蔵設備と消火ガス放出設備とを接続する配管設備とにより構成し、前記消火ガス放出設備から酸素濃度10%乃至15%で窒素を主成分とするイナート系消火ガスを放出するように構成したことにより、人体に影響の少ない消火ガス供給システムを構成でき、火災時発生する煙や化学系の有度ガス、一酸化炭素および二酸化炭素を掃気して、視界を確保し、人間が呼吸可能な状態で、かつ燃焼を抑制することができる。すなわち、火災の消火と、人命の確保を可能とした消火ガス供給システムを構成することができる。
【0010】
請求項2に記載のごとく、前記イナート系消火ガスを防火対象物に配設される消火剤放出設備の圧力源として用いるように構成したので、消火剤放出設備を簡便に構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明の実施の形態について図を用いて説明する。図1は消火ガス供給システムの全体構成を示す模式図である。窒素を貯蔵する窒素タンク1は気化器2を介して、配管3に接続される。配管3には分岐管5が接続されており、この分岐管5を介して消火目的(防火対象物)4の消火設備に接続する。窒素タンク1に窒素を液体状態で貯蔵することにより、多量の窒素を貯蔵可能であり、消火用だけでなく、工業的用途に窒素ガスを供給することができる。なお、窒素ガスの消費量が少なく、窒素タンク1の容量が大きい場合には、窒素ガスを気体状態で圧縮貯蔵することも可能である。
【0012】
次に、消火設備の構成について説明する。図2は消火ガス供給システムにおける消火設備の接続構成を示す模式図、図3は共同構および窒素ガス配管の内部構成を示す図、図4は消火ガスの貯蔵設備の構成を示す図である。図2に示す構成において、窒素タンク1には配管3が接続されており、窒素タンク1内の窒素ガスを配管3内に供給するものである。配管3には分岐管5が接続されており、それぞれ消火設備に接続される。窒素タンク1には、酸素分離装置11およびコンプレッサを介して、窒素ガスが導入される。そして、分離された酸素は酸素タンク12に貯蔵される。分岐管5は事業所やオフィスビル、住宅などに導入され、消火設備である消火ガス放出器8に接続される。これにより、消火ガス放出器8より窒素ガスを放出し、消火を行うものである。この他にも、分岐管5よりを貯水タンク6に接続し、スプリンクラヘッド7や屋内消火栓などに供給する水を加圧することも可能である。
【0013】
さらに、図3(a)に示すごとく、窒素ガスを供給する配管3を共同構30内に上下水道などの水道管31や、光ファイバーケーブル、電線などとともに配設することも可能である。そして、図3(b)に示すごとく、窒素ガスの配管3を共同構として利用し、配管3内に水道管31や、電線配管32、光ファイバー用配管33を配設することも可能である。配管3内において、窒素ガスが流動しているため、人体に影響を与える一酸化炭素などの有毒ガスあるいは可燃ガスが溜まりにくく、迅速に希釈されるものである。また、酸素濃度が低いので、配管3内において火災が発生し難いものである。
【0014】
図4を用いて、消火ガスの貯蔵設備の構成について説明する。図4(a)はタンクを利用した貯蔵構成を示す図であり、図4(b)は地下を利用した貯蔵構成を示す図である。図4(a)に示す構成において、消火ガスは窒素ガスを主成分とするものであり、空気中の酸素を減少させることにより調製するものである。窒素タンク1にコンプレッサ11bを介して接続された酸素分離装置11は、空気中の酸素を取出し、酸素濃度の低いガスを生成するものである。酸素分離装置11は、主成分が窒素であり、酸素濃度の低いガスを生成可能であればよく、特に限定するものではない。酸素分離装置11の例として、酸素分離膜を利用した酸素分離装置11を用いる場合について説明する。酸素分離膜は、酸素ガスが透過しやすく、窒素ガスが透過しにくい膜に空気を供給し、酸素濃度の高い空気と、酸素濃度の低い空気とに分離するものである。酸素分離の程度は、酸素分離膜に供給する単位時間あたりの空気量などにより調節可能であり、酸素分離膜を透過させる回数によっても調節可能である。
【0015】
そして、酸素濃度の高い空気を酸素タンク12に貯蔵し、リラクゼーション用のガスや、排水浄化槽等への酸素供給用ガスとして用いることが出来る。空気から、酸素濃度の低い消火ガスを生成することにより、同時に酸素濃度の高いガスが生成可能となり、両方のガスを有用に用いることができるものである。また、窒素ガスの地下貯蔵庫として、巨大地下室または大深度地下空間を利用して高圧イナートガスを貯蔵することも可能である。図4(b)に示すごとく、地下貯蔵庫35の空間を利用して、窒素ガスを貯蔵するものである。地下貯蔵庫35には窒素ガスが一定の圧力をかけた状態で貯蔵されるものであり、地下貯蔵庫35に接続した配管3により窒素ガスが防火対象物に供給されるものである。防火対象物である博物館や美術館に隣接させて地下貯蔵庫35を構成する場合には、この地下貯蔵庫35を長期安定貯蔵が必要な貴重品や、文化材等の貯蔵庫として利用することができる。
【0016】
本実施例においては、酸素分離装置11により、窒素88%、酸素12%のガスを窒素タンク1内に貯蔵する。酸素濃度は、15%乃至10%とするものである。人が1時間以上いても存在できる酸素濃度が約10%以上であり、他からの酸素供給が無い場合に窒息消火ができる酸素濃度が約15%以下である。このため、酸素濃度15%から10%とすることにより、人への影響を軽減しながら、消火に寄与する消火ガスを構成することができる。また、はじめから、人が生息可能なガスとしておくことにより、最終消火先での危険度を減少させる。いわゆるフールプルーフ、フェイルセーフのシステムが可能となる。
【0017】
窒素タンク1への貯蔵方法としては、消火ガスをポンプ等により窒素タンク1に供給し、窒素タンク1の圧力を一定に維持しての貯蔵や、消火ガスを液化しての貯蔵も可能である。液化する場合には、沸点などにより酸素と窒素を分離して貯蔵するものであり、供給時に窒素ガスに液化した酸素もしくは空気を混合して酸素濃度を調節することができる。また、液化した窒素を窒素タンク1内に貯蔵し、消火ガスとして使用する際に、空気と混合し、酸素濃度の調節を行うことも可能である。
【0018】
次に、図5を用いて消火ガスを用いた掃気の構成について説明する。図5は消火設備による掃気構成を示す図である。消火設備である消火ガス放出器8・8・・には分岐管5を介して配管3より消火ガスが供給される。そして、火災が発生した場合には、図5(a)に示すごとく、室内に煙や一酸化炭素などの有害ガスが発生する。ここにおいて、消火ガス放出器8により消火ガスを放出すると、図5(b)に示すごとく、室内には消火ガスが充満し、煙などの有害ガスが排出される。消火ガスは、前述のごとく、酸素を含むものである。そして、消火ガスの放出により二酸化炭素が室外に排出されるので、酸素が少ない状態でも人体に与える影響を低減できるものである。
【0019】
次に、消火ガスを用いたスプリンクラ設備の構成について説明する。図6はスプリンクラ設備の構成を示す模式図である。図6(a)は消火ガスを圧力源として使用する構成を示す模式図、図6(b)は消火ガスとともに水を放出する構成を示す模式図である。まず、スプリンクラの圧力源として消火ガスを利用する構成について説明する。配管3より供給される消火ガスは、分岐管5介して貯水タンク6に導入される。貯水タンク6内に導入された消火ガスは、液面に圧力をかける。そして、スプリンクラヘッド7に貯水タンク6の水が供給され、スプリンクラヘッド7より水が放出される。貯水タンク6には消火ガスを供給することにより、圧力をかけ、スプリンクラヘッド7の開栓により水が放出される。消火ガスの供給により圧力を確保するので、水の消費量に関係なく一定の圧力を維持できる。そして、水を消費した後には、消火ガスが排出されるので、消火作業を継続することができる。
【0020】
図6(b)を用いて、スプリンクラヘッド7より、消火ガスとともに水を排出する構成について説明する。配管3に接続した分岐管5はスプリンクラヘッド7に接続している。貯水タンク6内には配管9の一端が挿入されており、他端はスプリンクラヘッド7に接続されている。スプリンクラヘッド7内において、消火ガスの供給経路と、貯水タンク6よりの水供給経路とが接続しており、接続部において、ベンチュリー効果により水を霧状にして消火ガスとともに排出するものである。なお、スプリンクラヘッド7への水の供給は、特に限定するものではなく、スプリンクラヘッド7より消火ガスとともに霧状の水が排出されればよいものである。これにより、消火ガスとともに水を排出し、消火を迅速に行うことができる。すなわち、配管設備を介して供給する消火ガスを、消火剤放出設備の圧力源の一部もしくは全部として用いるものである。これにより、消火剤の放出設備を簡便に構成することができる。上記構成においては、水を消火剤として用いるものである。消火剤としては、水のほかに一般の液体状もしくは粉末状の消火剤を用いることが可能である。
【0021】
次に、消火ガスの他の供給構成について説明する。図7は酸素分離装置を用いた消火ガスの供給構成を示す図、図7(a)は配管途中部に酸素分離装置を配設した構成を示す図、図7(b)は配管接続部に酸素分離装置を配設した構成を示す図、図7(c)は消火ガス放出ユニットの構成例を示す図である。まず、配管経路の途中部に、酸素分離装置を配設する構成について説明する。この構成においては、配管経路に酸素分離装置を設けて加圧した空気供給過程において酸素を取り除き、消火ガスとするものである。これにより、空気を圧送する装置により、空気を送ることによって、消火設備への消火ガスの供給が可能となる。
【0022】
図7(a)に示すごとく、配管3には、酸素分離装置11が配設されており、配管3内を圧送されている空気から酸素を取り除く構成となっている。酸素分離装置11には配管12が接続されており、配管12内の気圧は配管3より低くなっている。配管3内を流れる空気中の酸素は、圧力差により配管12へと取出される。これにより、配管3内を流れる空気の酸素濃度が低くなる。そして、酸素濃度の低くなった空気は、消火ガスとして、分岐配管5を介して消火設備である消火ガス放出器8に供給される。酸素分離装置11にて取出された酸素濃度の高い空気は、大気中に排出することも可能であり、汚水浄化用などの酸素源として使用することも可能である。
【0023】
図7(b)に示す構成においては、酸素分離装置13を介して消火ガスを取出すものである。配管3には空気が圧送されており、空気が酸素分離装置13に導入される。酸素分離装置13には配管12および分岐管5が接続されており、酸素濃度の高い空気が配管12に、酸素濃度が低くい空気が分岐管5に送られる。そして、酸素濃度の低い空気が消火ガスとして、消火ガス放出器8に供給される。消火ガスの供給量を十分に確保するべく、分岐管5に消火の貯蔵手段となる消火ガスボンベ14を配設し、消火ガスボンベ14に消火ガスを貯蔵することができる。酸素濃度の高い空気についても、同様にボンベ15を配設して、ボンベ15内に酸素濃度の高い空気を貯蔵することが可能である。この場合には、圧送される空気を利用して、消火ガスを生成することができ、消火ガス供給システムを簡便に構成することができる。
【0024】
図7(c)に示す構成においては、消火ガス放出ユニット40により、空気より窒素濃度の高い消火ガスを生成し、住居内に供給する。消火ガスユニット40はコンプレッサおよび酸素分離装置を組込んでおり、コンプレッサを作動させて消火ガスを生成し、消火ガス放出器8へ供給する構成となっている。これにより、配管を簡素化でき、必要に応じて消火ガスの生成および供給を行うことだでき、ランニングコストを低減できる。消火ガス供給源からの配管が整備されていない地域での使用が可能となる。
【0025】
次に、消火ガスの供給構成について説明する。図8は消火ガスの供給構成の一例を示す模式図、図8(a)は小規模貯蔵設備との接続構成を示す図、図8(b)は小規模貯蔵設備より消火設備への消火ガス供給構成を示す図である。図8に示す構成において、大規模な消火ガス供給源より、小規模な消火ガス貯蔵設備に消火ガスを供給し、火災時には、大規模消火ガス供給源および小規模消火ガス貯蔵設備より消火ガスを供給するものである。大規模消火ガス供給源である窒素タンク1は配管3を介して小規模貯蔵設備16に接続されている。1つの窒素タンク1は配管3により複数個の小規模貯蔵設備16・16・・に接続されており、小規模貯蔵設備16・16間も配管3により接続されている。これにより、一部の配管経路を閉じた場合においても、窒素タンク1より窒素ガスの供給を行うことができる。
【0026】
小規模貯蔵設備16は、配管3を介して供給された消火ガスを貯蔵するものである。図8(b)に示すごとく、小規模貯蔵設備16にはブロック配管網3bが接続されており、小規模貯蔵設備16に貯蔵された消火ガスおよび、配管3より小規模貯蔵設備16を介して供給される消火ガスがブロック配管網3bに供給される。ブロック配管網3bは、一定の地域ごとに建築物などの配置に沿って、網目状に接続された配管網であり、1つのブロック配管網3bに複数個の小規模貯蔵設備16が接続されている。ブロック配管網3bには、前述のごとく消火設備が接続されており、消火ガスを放出可能に構成されている。これにより、ブロック配管網3bの配設された地域において、火災が発生した場合には、複数箇所の小規模貯蔵設備16・16・・より消火ガスを供給して、火災に対応することができる。
【0027】
このように、貯蔵装置を複数個配設し、配管によりそれぞれ接続することにより、火災時に複数箇所の貯蔵装置より消火ガスを供給することができる。このため、平常時における窒素タンク1よりの消火ガス供給量を少なくすることも可能であり、配管3を小径のパイプにより構成し、敷設にかかる費用を軽減することもできる。また、配管3を小径に構成して配管3内の気体量に対して配管3の内側面積を大きくし、配管3を酸素分離可能な材質により構成し、配管3において効率的に酸素を取出しながら、消火ガスを供給することもできる。
【0028】
次に、沿岸部などにおける消火ガスの貯蔵構成について説明する。図9は沿岸部における貯蔵構成を示す図、図10は沿岸部における消火ガスの圧縮構成を示す図である。沿岸部においては、消火ガスの貯蔵設備を海中に配設するものである。貯蔵タンク20を海中に配設し、配管3を介して消火ガスを供給する。そして、貯蔵タンク20内に消火ガスを貯蔵し、貯蔵タンク20に接続された配管22により倉庫などに消火ガスを供給可能とするものである。貯蔵タンク20は、消火ガスの貯蔵容積を変更可能に構成されており、水圧により貯蔵タンク20内の消火ガスに圧力がかかる構成となっている。これにより、配管3にポンプなどを接続し、消火ガスを貯蔵タンク20に貯蔵することによって、消火ガスの多少にかかわらず、消火ガスを配管22に圧送できる。
【0029】
また、図10に示すごとく、干潮時に貯蔵タンク20内に消火ガスを供給することにより、満潮時には消火ガスの圧力を上昇させることができる。このように、潮の満ち引きを利用して、消火ガスを加圧して、貯蔵することも可能である。さらに、海底において圧縮空気を放出して、海面付近に放出された空気を回収して貯蔵することにより、消火ガスを生成することが可能である。酸素は、窒素に比べ、水に溶解しやすい。特に、海底など圧力の高い場合には、酸素の溶解度は上昇する。このため、圧縮空気を海底において放出することにより、酸素は海水に吸収され、窒素濃度の高くなった空気が海面へと浮き上がる。これにより、海底において酸素を供給し、海底の汚泥などの浄化を図るとともに、消火ガスを生成することが可能となる。
【0030】
次に、図11を用いて、水道管を消火ガスの供給配管として利用する構成について説明する。図11は水道管を消火ガスの供給配管として利用する構成を示す図である。水道管25には水道水および消火ガスである窒素ガスが導入されている。そして、水道管25内において、消火ガスは上部に、水道水は下部に位置するものである。水道管25には水道配管26が接続されており、住宅などに水道を供給可能に構成されている。水道配管26の取り込み口は、水道管25の下部に位置しており、水道水を取り込む構成となっている。そして、水道管25の上部には、消火ガス取出し部27が接続され、消火ガス取出し部27に消火ガス用の分岐管5が接続されている。分岐管5には消火ガス放出器8・8・・が接続されており、消火ガスを放出可能に構成している。なお、消火ガス取出し部27は分岐管5への水道水の流入を防止するものである。水道管25において、消火ガスは加圧状態にあり、消火ガスの圧力により水道水の供給圧を調節することも可能である。水道管25を消火ガスの供給配管として利用することにより、配管にかかるコストを低減できる。そして、消火ガスを供給する配管に水を導入することにより、酸素ガスの溶解により、消火ガスの窒素比率を容易にあげることが出来る。
【0031】
このような消火ガス供給システムは、密閉された空間の火災などに有効であり、トンネルや、地下鉄、地下街、窓の開かない高層ビルなどへの適用において高い有効性を持つ。特に、二酸化炭素や有毒ガスなどが溜まりやすい空間において、酸素濃度を、15%乃至10%とする消火ガスを利用するので、人が生存可能であり火災などの燃焼をおよび延焼を抑制する。さらに、大深度地下空間を利用して消火ガスを貯蔵する場合においても、安全に利用可能である。地下空間は、二酸化炭素などのガスが溜まり、酸素濃度が極端に低下しやすい場所である。この場所に人が生存可能かつ燃焼の抑制を行う消火ガスを貯めるので、地下空間の安全性を維持できるとともに、地下空間を利用して消火ガスを貯蔵できる。さらに地下空間から消火ガスを供給する場合には送風機などにより容易に消火ガスを供給できる。
【0032】
次に、イナート系消火ガスを内包する泡を放出する消火ガス供給システムの構成について説明する。図12は泡を放出する消火ガス供給システムを示す斜視図、図13は消火ガスを内包する泡による排煙作用を示す模式図、図14は消火ガスを内包する泡の作用を示す模式図である。まず、図12を用いて、消火ガス供給システムの構成について説明する。泡を放出する消火ガス供給システムは、消火ガス貯蔵部50、薬剤貯蔵部51、制御部52、配管53、放出部54により構成されている。消火ガス貯蔵部50は、消火ガスを充填したガスボンベ、前述の消火ガス供給構成等を利用することが可能である。薬剤貯蔵部51は、消火ガスと混合され泡を生成する薬剤が貯蔵されているものである。貯蔵される薬剤としては、液体や粉末状のものを用いることが可能である。粉末状の薬剤を用いる場合には、使用前に水と混合して消火ガスと混合することも可能である。
【0033】
制御部52は消火ガスを内包する消火泡の供給を制御するものである。制御部52は消火ガス貯蔵部50と薬剤貯蔵部51と配管53に接続しており、消火ガスおよび薬剤、もしくは消火泡を配管53に供給するものである。配管53は制御部52と放出部54を接続するものであり、消火泡もしくは消火ガスおよび薬剤が通るものである。放出部54は消火泡を放出するものであり、配管53より供給される消火泡もしくは、消火ガスおよび薬剤より消火泡を放出部54において生成することも可能である。
【0034】
消火泡の供給には、消火ガス貯蔵部51における消火ガスの圧力を利用することが可能である。例えば、消火ガスを薬剤貯蔵部51に導入し、薬剤を泡立てて発生させた消火泡を消火ガスの供給圧により放出部54より放出させることが出来るものである。この他に、消火ガスの圧力を薬液にかけて薬液を放出部54に供給するとともに、消火ガスを放出部54に供給し、放出部54において薬液と消火ガスを混合し、消火泡を放出することができるものである。
【0035】
この他に、空調用のダクトを消火泡の供給経路として利用することもできる。火災時に消火泡を火災個所に接続した空調用のダクトに供給することにより、火災個所へ消火ガスを確実に供給することができる。消火ガスを泡に封入することにより、供給経路における対流によって、消火ガスが希釈されることがなく、確実に消火ガスが供給されるものである。
【0036】
また、消火泡を生成する方法としては、薬剤を加圧した消火ガスとともに放出し、消火泡をムース状にして供給することも可能であり、大気圧において消火ガスと薬液を撹拌して消火泡の泡を大きくすることも可能である。泡の粒径を小さくすることにより消火ガスに対する薬液量を大きくでき、粒径を大きくすることにより消火ガスに対する薬液量を少なくすることができる。要救助者が存在する可能性の高い場所には、粒径の大きい消火泡を供給し、有毒ガスや煙の掃気および要救助者への消火ガスの供給を目的とすることも可能である。
【0037】
次に、図13を用いて、消火泡による排煙作用について説明する。図13(a)に示すごとく、火災の発生により煙が発生し室内に充満する。火災はセンサ55により検知され、図13(b)に示すように、放出部54より消火泡が放出される。放出部54より放出される消火ガスは、泡に被われているので、室内の空気の対流や、拡散の影響を受け難い。さらに、消火ガスが消火ガス貯蔵部50より供給されるので、消火ガスの供給により室内の煙56および有毒ガスが室外に排出される。そして、図13(c)に示すごとく、消火泡が燃焼個所を覆い、消火を行うとともに、有毒ガスおよび煙56を排出する。消火泡内には消火ガスが封入されているので、消火ガスにより燃焼が抑制されるとともに、消火泡に消火剤を含ませることにより効果的に消火を行うことが可能となる。
【0038】
消火ガスを泡に封入して火災個所に供給することにより、消火ガスの拡散を抑制するとともに、火災個所への新鮮な空気の流入を防止することが出来るものである。また、消火ガスにより火災を鎮火するとともに、泡に含まれる成分により消火を行う場合には、泡に含まれる薬剤量を少なくすることができる。これにより、薬剤を必要最低限にとどめることが可能となる。そして、消火作業の後の処理が楽になるとともに、薬剤貯蔵部をコンパクトに構成できるものである。
【0039】
次に、消火泡の放出口70を室内の下部に取付けた構成について、図14および図15を用いて説明する。図14は消火泡放出口を室内下部に取付けた例を示す図、図15は室内下部の消火泡の消火過程を示す図である。図14に示す消火泡供給システムは、消火泡の放出口を室内の下部に配置しており、消火ガス貯蔵部50、薬剤貯蔵部100、分岐管5、薬剤供給管101、放出口70により構成されている。消火ガス貯蔵部50より、消火ガスを供給して、放出口70において泡を発生させ、消火泡を室内に供給する。消火ガス貯蔵部50は分岐管5および配管81を介して薬剤貯蔵部100および放出口70に接続されている。そして、薬剤貯蔵部100は薬剤供給管101により放出口70に接続されている。薬剤貯蔵部100には配管81により消火ガスの圧力がかり、薬剤が薬剤供給管101を通って放出口70に供給される。放出口70において薬剤と消火ガスとが混合されて消火泡が生成される。放出口70において生成された消火泡は消火ガスの供給により放出口70より押し出されて、室内に供給される。消火ガスの供給源としてはガスボンベに貯蔵されたもののほかに前述の供給方法を利用することも可能である。この消火泡供給システムは、消火ガスの供給により消火泡が生成されるものであり、消火ガスの供給を制御することにより消火泡の供給開始を制御できる。これにより、容易な構成により消火泡供給システムを構成することができる。なお、図14に示す構成においては、消火ガスの供給により薬剤貯蔵部100の薬液が一端放出口70に押し出されると、サイフォン効果により薬液が自然に放出口70に供給される。
【0040】
次に、図15において消火泡の放出口を室内の下部に配置した場合の消火泡の供給過程について説明する。消火泡の放出口70を室内下部に設けることにより、床に倒れた要救助者59を有毒ガスなどより迅速に保護することが可能となる。下部より床面に沿って消火ガスを含む泡を供給するので、要救助者59までの距離が短く迅速に消火泡により保護できる。図15(a)において、人が床に倒れ自力脱出できず、要救助者59となる。火災により発生する煙56や有毒ガスは、炎のある場所においては上昇気流により上に巻き上げられる。しかし、状況によっては炭酸ガスなど空気の比重より重たいガスが床にそって広がる場合がある。そして、自力により脱出できない要救助者59は主に床に倒れている場合が多い。このため、図15(b)に示すごとく、室内の下部に放出口70を設けて、消火泡57を供給することにより、要救助者59を迅速に保護することができる。図15(c)に示すごとく、床面付近の要救助者59を保護するために必要となる泡の体積量を最小限とすることができるので、消防士などの消火作業や救助作業にあたるものや避難者の視界を妨げにくくなっている。
【0041】
次に、図16および17を用いて、消火泡の発生器の構成について説明する。図16は消火ガスの圧力を利用した消火泡の発生器を示す図であり、図17はバブリングおよびファンを利用した消火泡の発生器を示す図である。図16に示す消火泡の発生器は、貯水タンク91、起泡剤タンク92、放出部93により構成されている。貯水タンク91、起泡剤タンク92および放出部93にはそれぞれ消火ガスの分岐管5が接続されている。貯水タンク91および起泡剤タンク92に接続された分岐管5は貯水タンク91および起泡剤タンク92に圧力を加えて、水および起泡剤の排出を促進するものである。貯水タンク91および起泡剤タンク92に消火ガスにより圧力をかけ、この圧力により水および起泡剤を放出部93に送る。貯水タンク91には分岐管5に接続した配管81および放出部93に接続した配管82が接続されている。配管81は貯水タンク91の上部に接続されており、配管82の一端は貯水タンク91の底部に至っている。起泡剤水タンク92には分岐管5に接続した配管81および放出部93に接続した配管83が接続されている。配管81は起泡剤タンク92の上部に接続されており、配管83の一端は起泡剤タンク92の底部に至っている。これにより、分岐管5を介して消火ガスを供給すると、貯水タンク91および起泡剤タンク92に圧力がかかり、水および起泡剤が放出部93に供給される。放出部93において、消火ガス、水および起泡剤が混合され排出口94より消火泡が排出される。ここにおいて、消火ガスは水および起泡剤の加圧に用いられるとともに、消火泡を排出するためにも用いられる。このように構成することにより、消火ガスを供給することによって、容易に消火泡の排出を行うことができ、消火ガスの供給のみにより消火泡の供給を行うことができる。
【0042】
このほかの消火泡発生装置の構成について、図17から図20を用いて説明する。図17(a) はバブリングによる泡発生器の構成を示す図であり、図17(b)はファンを利用した泡発生器の構成を示す図である。まず、図17(a)を用いて、バブリングを利用した消火泡発生器の構成について説明する。消火泡発生器は、起泡剤容器60により構成されている。起泡剤容器60には、掃気管61、起泡剤供給管63および消火ガス供給管62が接続されている。起泡剤容器60の下部には起泡剤が貯められている。この起泡剤は起泡剤供給管63より供給される。起泡剤容器60の底部には消火ガス供給管62が接続されており、消火ガスを供給することにより起泡剤中に泡を発生させる。発生した泡は、掃気管61より供給される消火ガスにより起泡剤容器60の排出口より排出される。起泡剤容器60に一定量の起泡剤を保ち、これに消火ガスを供給し泡立てるとともに掃気を行うことにより、迅速に消火泡を発生させるとともに、消火泡を排出するものである。なお、状況によっては、消火ガスの排出を停止し、消火ガス供給管62からの消火ガスの供給のみを行い、消火泡を排出することも可能である。
【0043】
図18はメッシュとファンを利用した泡発生器を示す図、図19は同じく断面および斜視図である。メッシュとファンを利用した泡発生器について、図18および図19を用いて説明する。泡発生器110はメッシュ112に送風を行うとともに、消火ガスおよび起泡剤をメッシュ112に噴射して消火泡を生成するものである。泡発生器110は、筒体111、メッシュ112、ファン116、モータ117、そして、電源ケーブル115、消火ガス配管114および起泡剤配管113により構成されている。モータ117によりファン116を駆動してメッシュ112の方向に送風を行うとともに、消火ガスおよび起泡剤をメッシュ112に向け噴射することにより消火泡を生成するものである。起泡剤をメッシュに112に吹き付けることによりメッシュ112の目に起泡剤の膜が生じ、送気により起泡剤の泡が生じるものである。泡発生器110に供給する消火ガスとしては、前述のごとく酸素濃度を低減した消火ガスを利用することが可能であり、筒体111内に供給される気体を消火ガスとすることができるものである。また、ファン116より送気された空気と混合することにより消火ガスとなるものを利用することもできる。さらに、モータ117をエアモータとして、消火ガスを供給してファン116を駆動することも可能である。この場合には、消火ガスの供給制御により泡発生器の制御を行うことができる。
【0044】
図20はメッシュと放出される消火ガスを利用した泡発生器の側面断面図である。泡発生器120はメッシュに起泡剤をかけて、そこに消火ガスを送ることにより泡を発生させるものである。泡発生器120はメッシュ122、筒体121、起泡剤配管123および消火ガス配管124により構成されている。筒体121の前部にはメッシュ122が装着されており、筒体121内には起泡剤配管123により起泡剤が供給される。起泡剤は筒体121内のノズルによりメッシュ122に噴射される。筒体121の後部には消火ガス配管124が接続されており、この配管により筒体121内に消火ガスが供給される。メッシュ122に起泡剤を吹き付けて消火ガスを供給することにより、消火ガスを内包する消火泡を発生させる。起泡剤の供給は消火ガスを利用した加圧により行う方法、建物の上部に配設した薬液タンクより供給する方法などを利用することができる。また、供給する消火ガスの圧力および起泡剤の供給量により発生する泡の状態を調節することができ、泡発生器120を配設する環境に応じて調節できるものである。
【0045】
図21は消火ガスを内包する泡の作用を示す模式図である。図21に示すごとく、消火泡57が炎58を覆うことにより、新たな空気が流入することがなく、確実に消火ガスが炎58に供給される。そして、要救助者59がいる場合にも、要救助者59を消火泡57により覆うことにより、有毒なガスから保護することができる。消火ガスは酸素濃度10%乃至15%であるため、要救助者59の生命を維持しながら、鎮火を行うものである。そして、このガスを泡とともに供給することにより、燃焼による有毒ガスの対流を防ぎ、消火ガスを拡散させることなく燃焼個所に供給することができる。さらに、火災個所へ確実に消火ガスを供給し、煙や火災による有毒ガスなどを排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】消火ガス供給システムの全体構成を示す模式図。
【図2】消火ガス供給システムにおける消火設備の接続構成を示す模式図。
【図3】共同溝および窒素ガス配管の内部構成を示す図。
【図4】消火ガスの貯蔵設備の構成を示す図。
【図5】消火設備による掃気構成を示す図。
【図6】スプリンクラ設備の構成を示す模式図。
【図7】酸素分離装置を用いた消火ガスの供給構成を示す図。
【図8】消火ガスの供給構成の一例を示す模式図。
【図9】沿岸部における貯蔵構成を示す図。
【図10】沿岸部における消火ガスの圧縮構成を示す図。
【図11】水道管を消火ガスの供給配管として利用する構成を示す図。
【図12】泡を放出する消火ガス供給システムを示す斜視図。
【図13】消火ガスを内包する泡による排煙作用を示す模式図。
【図14】消火泡放出口を室内下部に取付けた例を示す図。
【図15】室内下部の消火泡の消火過程を示す図。
【図16】消火ガスの圧力を利用した消火泡の発生器を示す図。
【図17】バブリングおよびファンを利用した消火泡の発生器を示す図。
【図18】メッシュとファンを利用した泡発生器を示す図。
【図19】同じく断面および斜視図。
【図20】メッシュと放出される消火ガスを利用した泡発生器の側面断面図。
【図21】消火ガスを内包する泡の作用を示す模式図。
【符号の説明】
【0047】
1 窒素タンク
2 気化器
3 配管
4 消火目的
5 分岐管
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素濃度10%乃至15%で窒素を主成分とするイナート系消火ガスを貯蔵する消火ガス貯蔵設備と、防火対象物に配設される消火ガス放出設備と、前記消火ガス貯蔵設備と消火ガス放出設備とを接続する配管設備とにより構成し、前記消火ガス放出設備から酸素濃度10%乃至15%で窒素を主成分とするイナート系消火ガスを放出するように構成したことを特徴とする消火ガス供給システム。
【請求項2】
前記イナート系消火ガスを防火対象物に配設される消火剤放出設備の圧力源として用いるように構成したことを特徴とする請求項1記載の消火ガス供給システム。
【請求項1】
酸素濃度10%乃至15%で窒素を主成分とするイナート系消火ガスを貯蔵する消火ガス貯蔵設備と、防火対象物に配設される消火ガス放出設備と、前記消火ガス貯蔵設備と消火ガス放出設備とを接続する配管設備とにより構成し、前記消火ガス放出設備から酸素濃度10%乃至15%で窒素を主成分とするイナート系消火ガスを放出するように構成したことを特徴とする消火ガス供給システム。
【請求項2】
前記イナート系消火ガスを防火対象物に配設される消火剤放出設備の圧力源として用いるように構成したことを特徴とする請求項1記載の消火ガス供給システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2007−185518(P2007−185518A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−12068(P2007−12068)
【出願日】平成19年1月22日(2007.1.22)
【分割の表示】特願2002−374119(P2002−374119)の分割
【原出願日】平成14年12月25日(2002.12.25)
【出願人】(301051840)株式会社大同 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月22日(2007.1.22)
【分割の表示】特願2002−374119(P2002−374119)の分割
【原出願日】平成14年12月25日(2002.12.25)
【出願人】(301051840)株式会社大同 (2)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]