説明

消火装置

【課題】屋上又は屋根の緑化構造体に火災が発生した場合に、早期に火災を発見して迅速且つ確実に消火し、延焼を防止又は抑制することができる簡単な構造の消火装置を提供する。
【解決手段】熱監視手段23によって緑化構造体10の温度を監視する。そして、その温度に基づいて緑化構造体10に火災が発生しているか否かを判断し、火災発生と判断した場合に、灌水手段22を制御して緑化構造体10に散水を行わせ、緑化構造体10の火を消火する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋上又は屋根に設けられた緑化構造体についた火を消火する消火装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ヒートアイランド現象の緩和や二酸化炭素排出量の削減による地球温暖化防止の観点から、建物の屋上や屋根を植物で覆う緑化工事が盛んに行われている。しかしながら、植物は可燃性であり、特に、冬季のように植物の葉茎が枯れている場合には、燃えやすい状態となっている。従って、例えば、たばこの火や花火の不始末、近隣火災による火の粉の飛来等、何らかの理由によって植物に着火した場合、屋上又は屋根の全面に亘って火が広がるおそれがある。
【0003】
特許文献1には、茅葺き屋根の茅内に煙感知センサを埋設して、煙感知センサにより煙を検知した場合に、建物外の地上部に設けられている消火設備から茅葺き屋根に放泡し、茅葺き屋根の延焼を防止する消火システムが示されている。
【特許文献1】特開平9−154969号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した消火システムの場合、茅葺き屋根の茅は所定の厚みを有しており、その内部には火災時の煙が充満するスペースが存在している。従って、茅葺き屋根に火がついた場合には、その煙を検知することは可能である。しかしながら、屋上又は屋根に設けられる緑化構造体の場合、芝草等のように背の低い地披植物が植栽されるのが一般的である。従って、茅葺き屋根の様に煙が充満するスペースは存在せず、特に風が強い日の場合には、火災による煙を検知することは困難である。従って、条件によっては、火災の感知が遅れてしまい、緑化構造体の火災の迅速な消火及び延焼の抑制を図ることは困難である。また、屋上又は屋根は、比較的高所に存在することから、地上からの放水が届かない、あるいは、風などの影響を受けて要望通りの放水の勢いを得ることができないおそれがある。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、屋上又は屋根の緑化構造体に火災が発生した場合に、早期に火災を発見して迅速且つ確実に消火し、延焼を防止又は抑制することができる簡単な構造の消火装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた本発明の消火装置は、屋上又は屋根に設置された緑化構造体の火災を検知して消火する消火装置において、緑化構造体に散水して灌水を行う灌水手段と、緑化構造体の温度を監視して緑化構造体に火災が発生しているか否かを判断する熱監視手段と、熱監視手段が火災発生と判断した場合に灌水手段を制御して緑化構造体に散水させる制御手段とを有することを特徴としている(請求項1)。
【0007】
本発明の消火装置によれば、緑化構造体の温度を監視することによって、緑化構造体に火災が発生しているか否かを迅速且つ正確に判断することができる。そして、火災発生時には灌水手段を制御して散水させることによって、緑化構造体に水をかけることができ、火を消すことができる。従って、緑化構造体の延焼を防止又は抑制することができる。
【0008】
本発明の消火装置が有する好ましい態様の一つとして、熱監視手段は、緑化構造体に火災が発生しているか否かの判断を、緑化構造体の表層部に設置された感熱センサからの検出信号に基づいて行うことを特徴としている(請求項2)。かかる構成によれば、感熱センサによって緑化構造体の表層部の温度を検出するので、煙等のように風に影響を受けることなく、火災が発生しているか否かを正確に判断することができる。
【0009】
また、熱監視手段は、感熱センサによって検出した検出温度が予め設定されている火災発生温度を超えている場合に、緑化構造体に火災が発生していると判断することを特徴としている(請求項3)。かかる構成によれば、緑化構造体の通常時と火災発生時における温度差が著しく大きいことを利用して、火災が発生しているか否かを正確に判断することができる。従って、誤作動することなく、火災発生時に確実に作動させることができる。
【0010】
また、灌水手段は、緑化構造体の表層部に沿って敷設された配管と、配管に取り付けられた散水手段と、開放により配管に圧力水を供給し、閉塞により圧力水の供給を遮断する開閉弁を有し、制御手段は、熱監視手段が火災発生と判断した場合に、開閉弁を開放して配管に圧力水を供給する制御を行うことを特徴としている(請求項4)。
【0011】
また、上記目的を達成するためになされた本発明の消火装置は、屋上又は屋根に設置された緑化構造体の火災を検知して消火する消火装置において、緑化構造体の表層部に沿って敷設された配管に圧力水を供給して配管に設けられた散水手段から散水し、緑化構造体に灌水を行う灌水手段と、灌水手段の配管に対する圧力水の供給又は停止を制御する灌水制御手段と、配管に消火剤を供給して消火剤を散水手段から緑化構造体に散布可能な消火剤供給手段と、緑化構造体の温度に基づいて緑化構造体に火災が発生しているか否かを判断し、火災が発生していると判断した場合に、配管に消火剤を供給するように消火剤供給手段を制御する消火制御手段とを有することを特徴としている(請求項5)。
【0012】
かかる構成によれば、緑化構造体の温度を監視することによって、緑化構造体に火災が発生しているか否かを迅速且つ正確に判断することができる。そして、火災発生時には消火剤供給手段を制御して配管に消火剤を供給し、散水手段から消火剤を散布させることができる。従って、緑化構造体に消火剤を散布することができ、緑化構造体を燃やす火を消すことができる。従って、緑化構造体の延焼を防止又は抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、緑化構造体の温度を監視することによって、緑化構造体に火災が発生しているか否かを迅速且つ正確に判断することができる。そして、火災発生時には灌水手段を制御して緑化構造体に散水させるので、屋上や屋根などの高所に存在している緑化構造体にも確実に水をかけて火を消すことができる。従って、屋上又は屋根の緑化構造体に火災が発生した場合に、早期に発見して迅速且つ確実に消火し、延焼を防止又は抑制することができる。また、灌水手段を利用することによって上記した消火装置を簡単でかつ安価に構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明の実施の形態について以下に詳細に説明する。
[第1実施の形態]
図1は、本実施の形態に係わる消火装置21が適用された緑化構造体10の平面図、図2は、図1のII−II線断面図、図3は、配線配管系統図である。本実施の形態では、屋上に設置された屋上緑化構造体10の場合を例に説明する。
【0015】
屋上緑化構造体10は、図1及び図2に示すように、緑化基盤材11と、透水シート12と、植生マット13と、耐根シート16によって構成されている。緑化基盤材11は、従来の屋上緑化で用いられているものであり、素材は、軽量性と成形容易性の観点から発泡樹脂製が好ましいが、非発泡樹脂や発泡モルタルのような材料で作られていてもよい。
【0016】
緑化基盤材11は、図1で植生マット13の一部を破断した部分Aに示されるように、平面視略矩形状をなしており、保水排水機能を備え、その上に植生マット13を載置する形態を有している。なお、緑化基盤材11は、本実施の形態のように複数枚の単位緑化基盤材11を組み合わせて構成されるものに限られず、例えば一枚物であってもよい。緑化基盤材11は、屋上スラブRの上面に耐根シート16を介して平面状に敷き詰められ、屋上スラブRと耐根シート16と緑化基盤材11は、それぞれ接着剤によって固定されている。
【0017】
透水シート12は、好ましくは不織布によって構成されており、図2に示すように、屋上に固定された全ての緑化基盤材11の上面を覆うようにして緑化基盤材11に取り付けられている。
【0018】
植生マット13は、客土層に芝草等の地披植物が植生されて一体に形成されたものであり、透水シート12を間に介在させて緑化基盤材11の上に載置されている。植生マット13は、植物の根が絡み合うことによって土壌を保持する根土部14と、根土部14の上面に沿って伸びる匍匐茎や上方に向かって伸びる直立茎を有する葉茎部15を有しており、この葉茎部15によって緑化構造体10の表層部が構成されている。
【0019】
植生マット13は重量物であり、その重量により、先に取り付けた透水シート12は下方に押しつけられ、緑化基盤材11の支持体によって下方から支持された状態となり、透水シート12と緑化基盤材11との間に空間が維持されて、植物の根の呼吸に必要な空気が十分に確保されるようになっている。そして、緑化基盤材11の保水用凹部11aに給水し、植生マット13の植物の成長を待つ。植物の根は次第に成長して透水シート12に絡みつくようになり、植生マット13は透水シート12と一体化して固定されるようになっている。
【0020】
耐根シート16は、ポリエチレン、ポリエステル、塩化ビニル等の樹脂シートであり、シート厚みは0.2〜0.3mm程度である。
【0021】
上記した屋上緑化構造体10には、消火装置21が設けられている。消火装置21は、灌水装置(灌水手段)22、熱監視装置(熱監視手段)23、制御装置(制御手段)24によって構成される。
【0022】
灌水装置22は、通常時は植生マット13の植物に水やりをするものであり、緑化構造体の根土部の上面に沿って延在するように敷設された配管である給水パイプ31と、給水パイプ31に取り付けられた散水手段であるスプリンクラー32と、開放により給水パイプ31に圧力水を供給し、閉塞により圧力水の供給を停止する開閉弁33(図3を参照)を有している。
【0023】
給水パイプ31は、図1で植生マット13の一部を破断した部分Bに特に示されるように、一直線状に延在して、複数本が互いに一定間隔を空けて平行に並ぶように配置されている。そして、その一方側には、図3に示すように、圧力水を供給する供給源Wが接続されている。
【0024】
スプリンクラー32は、植生マット13全体に満遍なく散水できるように、給水パイプ31の延在方向に所定間隔を空けて配置されている。スプリンクラー32は、図2に示すように、給水パイプ31から上方に向かって突出する枝管31aの上端に取り付けられており、給水パイプ31から供給される圧力水の圧力を利用して散水を行う。
【0025】
開閉弁33は、制御装置24からの制御信号に応じて開閉動作を行う電磁弁によって構成されている。開閉弁33には、通常時はポートを閉鎖し、通電時にポートを開放する、いわゆるノーマルクローズの電磁弁が用いられている。なお、開閉弁33と供給源Wとの間には、フィルター34が設けられ、給水パイプ31の経路途中には、手動式バルブ35とチェック弁36が介在されている。
【0026】
熱監視装置23は、感熱センサ41によって屋上緑化構造体10の温度を監視しており、感熱センサ41によって検出した検出温度と、予め設定されている火災発生温度とを比較して検出温度が火災発生温度を超えている場合に、緑化構造体10に火災が発生していると判断する処理を行う。緑化構造体10の火災発生時の温度は、後述するように900℃を超えるものであり、通常時との温度差が著しく大きい。従って、緑化構造体10の温度を監視することによって、火災が発生しているか否かを正確に判断することができる。従って、消火装置21を誤作動させることなく、火災発生時に確実に作動させることができる。
【0027】
感熱センサ41は、図1に示すように、複数個が互いに所定間隔を空けて散開するように配置されており、各々が信号線42を介して熱監視装置23に電気的に接続されている。そして、図2に示すように、屋上緑化構造体10の根土部14の上面に設けられている。図4は、火災時における屋上緑化構造体10の温度変化を測定した実験の結果を示すグラフであり、図4に示す実線は屋上緑化構造体10の表層部、すなわち植生マット13の根土部14の上面で検出した温度、図4に示す破線は植生マット13の根土部14の底面で検出した温度である。図4に示すように、屋上緑化構造体10の表層部で検出した温度は、火災により900℃を超える温度まで上昇する一方、植生マット13の根土部14の底面で検出した温度は、ほとんど変化しないことがわかる。従って、温度に基づいて火災が発生しているか否かを判断するには、屋上緑化構造体10の表層部で温度を検出すると正確に判断できることがわかる。
【0028】
本実施の形態では、火災発生温度が600〜1000℃に設定されており、感熱センサによって600℃を超える温度を検出した場合に、熱監視装置23は、屋上緑化構造体10に火災が発生していると判断し、火災発生信号を制御装置24に出力する。
【0029】
制御装置24は、リレーや、タイマー等によって構成されており、図示していないコントロールボックス内に収容されている。そして、予め設定された条件に基づいて灌水制御処理又は消火制御処理のいずれか一方を選択的に行う。
【0030】
灌水制御処理では、例えば1日おき等、予め設定された灌水時間ごとに所定時間だけ開閉弁33を開状態に制御して、給水パイプ31に圧力水を供給し、スプリンクラー32から散水させて植生マット13の植物に灌水を行う。
【0031】
消火制御処理では、熱監視装置23から火災発生信号を受け取った場合に、灌水手段21を制御してスプリンクラー32から屋上緑化構造体10に散水を行わせる。具体的には、熱監視装置23からの火災発生信号をトリガーとして、開閉弁33に通電を行い、開閉弁33を閉状態から開状態に変更し、給水パイプ31に圧力水を供給して、スプリンクラー32から散水させる。従って、例えば植生マット13の葉茎部15が燃えている場合に、その火を散水によって消火することができる。
【0032】
上記構成を有する消火装置21によれば、植生マット13の根土部14の上面に設けた感熱センサ41によって熱監視装置23が屋上緑化構造体10の温度を監視しているので、火災が発生した場合に、煙を感知するシステムと比較して、風などに影響を受けることなく、迅速かつ確実に火災を検知することができる。
【0033】
また、火災発生時には灌水装置22によって散水を行うので、屋上や屋根などの高所に存在している緑化構造体10に確実に水をかけることができ、緑化構造体10の延焼を防止又は抑制することができる。また、従来から灌水装置22が設けられている場合には、簡単な改造を施すことで消火装置21を構成することができ、低コストで実施することができる。
【0034】
また、散水された水は、根土部14を通過して緑化基盤材11の保水用凹部11aに貯留され、緑化基盤材11の上部に水膜を形成することができる。これにより、例えば、屋上緑化構造体10の表層部から徐々に内部深くまで延焼が進み、内部でくすぶる状態が発生した場合に、かかる水膜によってそれ以上の火の進行を抑えることができる。
【0035】
[第2実施の形態]
次に、本発明の第2実施の形態について図5を用いて以下に説明する。
本実施の形態において特徴的なことは、火災発生時に消火装置25が灌水装置22の給水パイプ31に消火剤を供給して、スプリンクラー32から消火剤を散布するようにしたことであり、消火剤を用いることによってより迅速な消火を可能にするものである。
【0036】
図5は、第2実施の形態に係わる消火装置25の配線配管系統図である。なお、第1実施の形態と同様の構成要素には同一の符号を付することでその詳細な説明を省略する。本実施の形態における消火装置25は、灌水装置22、熱監視装置(消火制御手段)26、灌水制御装置(灌水制御手段)27、消火剤供給装置(消火剤供給手段)28を備えている。
【0037】
灌水制御装置27は、第1実施の形態における制御装置24と同様に、リレーや、タイマー等によって構成されており、図示していないコントロールボックス内に収容されている。そして、予め設定された条件に基づいて灌水制御処理を行う。例えば1日おき等、予め設定された灌水時間ごとに所定時間だけ開閉弁33を開状態に制御して、給水パイプ31に圧力水を供給し、スプリンクラー32から散水させて植生マット13の植物に灌水を行う。
【0038】
消火剤供給装置28は、給水パイプ31に消火剤を供給して、スプリンクラー32から屋上緑化構造体10に散布させるものであり、給水パイプ31の途中位置に接続された消火剤供給パイプ51と、消火剤貯留タンク53から消火剤供給パイプ51に消火剤を圧送するポンプ装置52とを有している。なお、消火剤供給パイプ51には、手動式バルブ54とチェック弁55が介在されている。
【0039】
熱監視装置26は、第1実施の形態における熱監視装置23と同様に、感熱センサ41によって屋上緑化構造体10の温度を監視しており、感熱センサ41によって検出した検出温度と、予め設定されている火災発生温度とを比較して検出温度が火災発生温度を超えている場合に、緑化構造体10に火災が発生していると判断し、消火剤供給装置28のポンプ装置52に火災発生信号を出力する処理を行う(消火制御手段)。
【0040】
ポンプ装置52は、熱監視装置26から火災発生信号を受け取ると、かかる火災発生信号をトリガーとして駆動を開始し、消火剤貯留タンク53から消火剤供給パイプ51に消火剤を圧送する。消火剤は、消火剤供給パイプ51から給水パイプ31に圧送され、スプリンクラー32から屋上緑化構造体10に散布される。従って、例えば植生マット13の葉茎部15に火がついて燃えている場合に、その火を消火剤によって消火することができる。
【0041】
上記構成を有する消火装置25によれば、火災発生時に灌水装置22によって消火剤を散布することができる。従って、屋上や屋根などの高所に存在している緑化構造体10に確実に消火剤をかけることができ、緑化構造体10の延焼を防止又は抑制することができる。
【0042】
また、散布された消火剤は、根土部14を通過して緑化基盤材11の保水用凹部11aに貯留され、緑化基盤材11の上部に消火剤の水膜を形成することができる。これにより、例えば、屋上緑化構造体10の表層部から徐々に内部深くまで延焼が進み、内部でくすぶる状態が発生した場合に、かかる消火剤の水膜によってそれ以上の火の進行を抑えることができる。
【0043】
また、第1実施の形態と同様に、植生マット13の根土部14の上面に設けた感熱センサ41によって熱監視装置26が屋上緑化構造体10の温度を監視しているので、火災が発生した場合に、煙を感知するシステムと比較して、風などに影響を受けることなく、迅速かつ確実に火災を検知することができる。
【0044】
本発明は、上述の各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上述の各実施の形態では、散水手段がスプリンクラー32である場合を例に説明したが、屋上緑化構造体10に散水して消火できるものであればよく、例えば滴下式灌水パイプであってもよい。また、屋上緑化構造体10の場合を例に説明したが、屋根緑化構造体の場合にも同様に適用することができる。
【0045】
そして、上述の各実施の形態では、感熱センサ41によって緑化構造体10の温度を検知して火災が発生しているか否かを判断する場合を例に説明したが、感熱センサ41の代わりに、植生マット13の根土部14における土壌中の水分量を計測する水分計測装置を利用してもよい。例えば、緑化構造体10の火災による水分量の急激な変化を水分計測装置によって検知した場合に、灌水装置22や消火剤供給装置28を作動させて、緑化構造体10の消火を行うことができる。なお、通常時は、植物の生育に影響が出る範囲の水分量になった場合に散水を行うように灌水制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】第1実施の形態に係わる消火装置が適用された緑化構造体の平面図。
【図2】図1のII−II線断面図。
【図3】第1実施の形態に係わる消火装置の配線配管系統図。
【図4】緑化構造体の表層部の温度測定結果を示すグラフ。
【図5】第2実施の形態に係わる消火装置の配線配管系統図。
【符号の説明】
【0047】
11 緑化基盤材
13 植生マット
14 根土部
15 葉茎部
16 耐根シート
21、25 消火装置
22 灌水装置(灌水手段)
23、26 熱監視装置(熱監視手段)
24 制御装置(制御手段)
27 灌水制御装置(灌水制御手段)
28 消火剤供給装置
31 給水パイプ(配管)
32 スプリンクラー(散水手段)
33 開閉弁
41 感熱センサ
51 消火剤供給パイプ
52 ポンプ装置
53 消火剤貯留タンク
W 供給源
R 屋上スラブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋上又は屋根に設置された緑化構造体の火災を検知して消火する消火装置において、
前記緑化構造体に散水して灌水を行う灌水手段と、
前記緑化構造体の温度を監視して前記緑化構造体に火災が発生しているか否かを判断する熱監視手段と、
該熱監視手段が火災発生と判断した場合に、前記灌水手段を制御して前記緑化構造体に散水させる制御手段と、
を有することを特徴とする消火装置。
【請求項2】
前記熱監視手段は、前記緑化構造体に火災が発生しているか否かの判断を、前記緑化構造体の表層部に設置された感熱センサからの検出信号に基づいて行うことを特徴とする請求項1に記載の消火装置。
【請求項3】
前記熱監視手段は、前記感熱センサによって検出した検出温度が予め設定されている火災発生温度を超えている場合に、火災発生と判断することを特徴とする請求項2に記載の消火装置。
【請求項4】
前記灌水手段は、前記緑化構造体の表層部に沿って敷設された配管と、該配管に取り付けられた散水手段と、開放により前記配管に圧力水を供給し、閉塞により前記圧力水の供給を遮断する開閉弁を有し、
前記制御手段は、前記熱監視手段が火災発生と判断した場合に、前記開閉弁を開放して前記配管に前記圧力水を供給する制御を行うことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の消火装置。
【請求項5】
屋上又は屋根に設置された緑化構造体の火災を検知して消火する消火装置において、
前記緑化構造体の表層部に沿って敷設された配管に圧力水を供給して該配管に設けられた散水手段から散水し、前記緑化構造体に灌水を行う灌水手段と、
該灌水手段の配管に対する圧力水の供給又は停止を制御する灌水制御手段と、
前記配管に消火剤を供給して該消火剤を前記散水手段から前記緑化構造体に散布可能な消火剤供給手段と、
前記緑化構造体の温度に基づいて前記緑化構造体に火災が発生しているか否かを判断し、火災が発生していると判断した場合に、前記配管に消火剤を供給するように前記消火剤供給手段を制御する消火制御手段と、
を有することを特徴とする消火装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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