説明

消費者美的特徴及び味の改善された口腔ケア組成物

本発明は、過酸化物に起因する不快な味及び感覚を効果的にマスキングする香味系を含有する過酸化物含有口腔ケア組成物に関する。香味系は、メントール、少なくとも1種の他の第二の冷却剤、及び安定な香味プロフィール及び高衝撃の爽快な味及び爽快感をともに提供する選択された香味化学物質を含む。第二の冷却剤は、カルボキサミド類、ケタール類、ジオール類、メンチルエステル類及びこれらの混合物から選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の成分に起因する、望ましくない味及び感覚を効果的にマスキングする香味系を含有する口腔ケア組成物に関する。具体的には、望ましくない美的特徴(aesthetics)を有する成分は過酸化物であり、これは歯のホワイトニング及び抗微生物効果のために、歯磨剤及び口内洗浄剤組成物に含まれる。これらの製品の使用は有効性のために極めて長い口内滞留時間を必要とするため、口腔ケア製品の味及び口内感触(mouthfeel)は、消費者受容性及び服薬遵守にとって特に重要である。
【背景技術】
【0002】
歯磨剤及び口内洗浄剤などの口腔ケア製品は、口腔ケア衛生レジメンの一部として、消費者により日常的に使用される。口腔ケア製品が消費者に、治療的及び美容的衛生の両方の効果を提供できることは周知である。治療的効果としては、典型的には様々なフッ化物塩の使用により実現される虫歯予防;トリクロサン、フッ化スズ、若しくは精油などの抗微生物剤の使用による歯肉炎予防;又は塩化ストロンチウム又は硝酸カリウムなどの成分の使用による知覚過敏症の抑制が挙げられる。口腔ケア製品により提供される美容的効果としては、歯垢及び結石形成の抑制、歯の着色汚れの除去及び予防、歯のホワイトニング、吐く息をきれいにすること、及び口内感触の美的特徴として広く特徴付けられ得る口の感触についての印象を全体的に改善することが挙げられる。結石及び歯垢は、行動要因及び環境要因とともに、歯の審美的外観に著しく影響を与える歯の着色汚れの形成に繋がる。歯の着色汚れ傾向の一因となる行動要因及び環境要因としては、コーヒー、紅茶、コーラ又はタバコ製品の常用、並びに、カチオン性抗微生物剤及び金属塩類などの、着色汚れを促進する成分を含有する特定の口腔用製品の使用もまた挙げられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、家庭における毎日の口腔ケアは、異なる機構により機能する複数の成分を含み、抗虫歯、抗微生物、抗歯肉炎、抗歯垢及び抗結石、並びに、抗臭、口内清涼、着色汚れ除去、着色汚れ制御及び歯のホワイトニングを含む治療的及び審美的効果の全種類を提供する製品を必要としている。歯磨剤及び洗浄剤などの毎日使用するための口腔ケア製品により完全な口腔ケアを提供するために、活性物質と添加剤を組み合わせることが必要であり、これらの多くは使用中、負の美的特徴、具体的には不快な味及び感覚並びに着色汚れ促進の原因となるという不利点を有する。不快な味及び口内感覚は、1種以上の苦み、金属感、渋み、塩辛み、しびれ、刺痛、熱感、穿痛、及びさらに刺激性局面を有すると記載されている。これらの審美的欠点に関連する口腔ケア用途のための典型的な成分としては、塩化セチルピリジニウム、クロルヘキシジン、スズ塩類及び亜鉛塩類などの抗微生物剤;過酸化物類などの歯の漂白剤;ピロホスフェート、トリポリホスフェート及びヘキサメタホスフェートなどの抗歯石剤;並びに重曹及び界面活性剤などの賦形剤が挙げられる。これらの成分由来の審美的欠点を軽減するために、口腔ケア製品は典型的には着香剤及び甘味剤を配合し、味をできる限り良好にするとともに消費者に許容可能にする。
【0004】
近年、口腔ケア製品製剤においては多くの進展があったが、改善された製品、具体的には美的特徴及び味の改善された過酸化物含有製品に対する要求が依然として存在する。過酸化物由来の不快な味及び感覚はマスキングすることが困難であり、従来の香味成分の多くは過酸化物の存在下で十分に安定ではないため、過酸化物含有製品を香味付けすることは、配合者に対して重要な課題を提示する。本発明は、メントールと少なくとも1種の他の冷却剤との混合物と組み合わせた、選択された従来の香味成分を含む、改善された香味系を提供する。改善された香味系は、過酸化物由来の不快な味及び感覚を効果的にマスキングし、消費者の好む爽快な味及び感覚を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
(a)過酸化物源、
(b)メントールと、第二の冷却剤と、過酸化物の存在下で安定なプロフィールを維持する選択された1種の香味成分又は香味成分の混合物と、を含む香味組成物、並びに
(c)賦形剤及び希釈剤を含む経口で許容可能な担体であって、実質的に組成物の安定性を低下させる方法で過酸化物と実質的に相互作用することなく、過酸化物と混合することができる担体、を含む口腔ケア組成物を目的とする。
【0006】
組成物は安定で、豊かな香味プロフィールを有し、味及び爽快感が良好であり、それによりユーザの服薬遵守及び頻繁な使用を奨励する。
【0007】
本発明のこれら及び他の特徴、態様及び利点は、次の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本明細書は、本発明を具体的に指摘しかつ明確に請求する特許請求の範囲をもって結論とするが、本発明は、以下の説明からよりよく理解されるものと考えられる。
【0009】
本明細書で以後使用される全ての百分率及び比率は、特に指示がない限り、組成物全体の重量を基準とする。本明細書で言及される成分の全ての百分率、比率及び濃度は、特に指示がない限り、成分の実際の量に基づき、溶媒、充填剤、又は市販製品として成分と組み合わせ得る他の物質を含まない。
【0010】
本明細書で言及される全ての測定は、特に指定がない限り、25℃で行なわれる。
【0011】
本明細書で、「含む」とは、最終結果に影響を及ぼさない他の工程及び他の構成成分を追加し得ることを意味する。この用語は、「からなる」及び「から本質的になる」という用語を包含する。
【0012】
本明細書で使用する時、単語「含む」及びその変形は非限定的であることを意図し、列挙した品目の詳細説明は、本発明の材料、組成物、装置及び方法でも有用である可能性のある他のものを除外しない。
【0013】
本明細書で使用する時、単語「好ましい」、「好ましくは」及びその変形は、特定の条件下において特定の効果をもたらす本発明の実施形態に関する。しかし、同様又は他の環境において、他の実施形態が好ましい可能性もある。さらに、1つ以上の好ましい実施形態の詳細説明は、他の実施形態が有用でないことを示すものではなく、本発明の範囲内から他の実施形態を除外することを意図するものではない。
【0014】
「口腔ケア組成物」とは、通常の使用過程において、特定の治療剤を全身投与する目的で意図的に嚥下されるものではなく、むしろ、経口作用を目的として実質的に全ての歯の表面及び/又は口腔組織と接触させるのに十分な時間、口腔内に保持される製品を意味する。口腔ケア組成物は、練り歯みがき、歯磨剤、歯用ゲル、歯肉縁下用ゲル、口内洗浄剤、ムース、泡、義歯製品、マウススプレー、口内錠、咀しゃく錠又はチューインガムを含む様々な形態であってよい。口腔ケア組成物はまた、口腔表面へ直接適用する又は付着させるためのストリップ又はフィルム上に組み込まれてもよい。
【0015】
本明細書で使用する時、「歯磨剤」という用語は、特に指定がない限り、ペースト、ゲル、又は液体製剤を意味する。歯磨剤組成物は、単一相組成物であってもよく、又は2種以上の別々の歯磨剤組成物の組み合わせであってもよい。歯磨剤組成物は、深い縞状、表面的な縞状、ペーストを囲むゲルを有する多層状又はこれらの任意の組み合わせのような、任意の所望の形態であってもよい。2種以上の別個の歯磨剤組成物を含む歯磨剤中の各歯磨剤組成物は、ディスペンサーの物理的に分離された区画内に収容され、並んで分配することができる。
【0016】
本明細書で使用する時、用語「ディスペンサー」とは、歯磨剤のような組成物を分配するのに好適なあらゆるポンプ、チューブ、又は容器を意味する。
【0017】
本明細書で使用する時、用語「歯」とは、天然歯、並びに人工歯又は歯科補綴物を指す。
【0018】
用語「経口で許容可能な担体又は賦形剤」とは、安全で有効な物質であって、フッ化物イオン源、抗結石剤又は抗歯石剤、緩衝剤、シリカなどの研磨剤、アルカリ金属重炭酸塩類、増粘材、保湿剤、水、界面活性剤、二酸化チタン、香味系、甘味剤、キシリトール、着色剤及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない、口腔ケア組成物で用いられる従来の添加剤を含む。
【0019】
本明細書に有用な活性物質及び他の成分は、美容的及び/若しくは治療的効果、又はそれらが要求される作用機序若しくは機能によって、本明細書中で分類又は記述することができる。しかしながら、本明細書に有用な活性物質及び他の成分が、場合によっては、1を超える美容的及び/若しくは治療的効果をもたらす、又は1を超える作用機序で機能若しくは作用する場合があることを理解すべきである。従って、本明細書での分類は便宜上実施したものであって、成分を具体的に規定した用途又は列挙した用途に制限しようとするものではない。
【0020】
本明細書において、用語「歯石」及び「結石」は、互換的に用いられ、石化した歯垢バイオフィルムを指す。
【0021】
本組成物の必須及び任意構成成分を、以下の項に記載する。
【0022】
過酸化物源
本組成物は、その口腔に対する多くの効果のために、第一の必須成分として過酸化物源を含有する。過酸化水素及び他の過酸素含有剤は、虫歯、歯垢、歯肉炎、歯周炎、口臭、歯の着色汚れ、慢性再発性アフタ、義歯の炎症、歯列矯正装置の損傷、抜歯後及び歯根膜手術後、外傷性口腔病変、並びに粘膜感染症、ヘルペス口内炎等に対する治療及び/又は予防的処理に有効であると長い間認められてきた。口腔内で過酸化物含有剤は、組織と唾液酵素との相互作用により生成される、何千もの小さな酸素の気泡を発生させる化学機械的作用を及ぼす。口内洗浄剤を口の中でガラガラする動作により、この特有の化学機械的作用が増強される。かかる動作は、感染した歯肉溝に他の剤を送達するために推奨されている。過酸化物口内洗浄剤は、歯周病に関連していることが既知である嫌気性細菌の定着及び増殖を防ぐ。しかしながら、過酸化水素又は他の過酸化物放出化合物を含有する組成物は、一般に、不快な味及び口内感覚をもたらす。これらの感覚は、舌が、ピリッとした香味又はソーダ水のような強炭酸液体に接触した際に経験する感覚に類似する、刺痛、穿痛、及び刺激性として記載されている。さらに、過酸化物はその中で他の一般的な賦形剤と相互作用し、保管中不安定である傾向があり、比較的短期間に活性物質又は発生期の酸素を放出する能力を持続的に失い、かかる賦形剤の所望の機能を低下又は無効にする傾向がある。特にかかる賦形剤は、口腔過酸化又は漂白処理を必要とする口腔ケア製品の受容性を促進するために添加される香味、知覚材料及び着色剤である。
【0023】
過酸化物源としては、過酸化物化合物類、過ホウ酸塩類、過炭酸塩類、ペルオキシ酸類、過硫酸塩類、及びこれらの組み合わせが挙げられる。好適な過酸化化合物類としては、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化カルシウム、過酸化ナトリウム、過酸化亜鉛及びこれらの混合物が挙げられる。好ましい過炭酸塩は、過炭酸ナトリウムである。好ましい過硫酸塩はオキソン類である。歯磨剤製剤に使用するために好ましい過酸化物源としては、過酸化カルシウム及び過酸化尿素が挙げられる。過酸化水素及び過酸化尿素は、口内洗浄剤製剤で用いるために好ましい。以下の量は過酸化物原料物質の量を示すが、過酸化物源は過酸化物原料物質以外の成分を含有してもよい。本組成物は、組成物の約0.01重量%〜約30重量%、好ましくは約0.1重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.5重量%〜約5重量%の過酸化物源を含有してよい。
【0024】
香味系
過酸化物成分に起因する不快な味及び感覚を効果的にマスキングする香味系は、組成物の第二の必須成分である。好ましい味組成物は、過酸化物含有製品の指示又は推奨された使用に対するユーザの服薬遵守を改善する。本香味系は、過酸化物の存在下で比較的安定であることが見出されている選択された従来の香味成分とともに、少なくとも1種の第二の冷却剤と併用する第一の冷却剤としてのメントールを含む。本明細書で「安定」とは、香味の特徴又はプロフィールが著しく変化しない、又は製品の耐用期間中不変であることを意味する。従って、香味成分は、製品の耐用期間中多少の分解を受ける可能性があるが、これは香味の特徴若しくはプロフィール又はその受容性に著しい変化をもたらさない。選択された着香剤と冷却剤の組み合わせは、不快な過酸化物の味及び感覚を効果的にマスキングする、豊かな香味プロフィールを伴う高衝撃(high impact)の爽快感を提供する。
【0025】
口腔ケア組成物は、少なくとも約0.015重量%のメントールを含む、約0.04重量%〜1.5重量%の総冷却剤(メントール+第二の冷却剤)を含む。典型的には、最終組成物中のメントール濃度は、約0.015%〜約1.0%の範囲であり、第二の冷却剤(1種又は複数種)の濃度は、約0.01%〜約0.5%の範囲である。好ましくは、総冷却剤濃度は、約0.03%〜約0.6%の範囲である。
【0026】
メントールとともに使用するのに好適な第二の冷却剤は、カルボキサミド類、ケタール類、ジオール類、メンチルエステル類及びこれらの混合物などの広範な物質を含む。本組成物中の第二の冷却剤の例は、「WS−3」として商業的に既知である、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、「WS−23」として既知であるN,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミド、並びにWS−5、WS−11、WS−14及びWS−30のような、このシリーズの他のもののようなパラメンタンカルボキサミド剤である。さらなる好適な冷却剤としては、高砂(Takasago)により製造されるTK−10として既知の3−1−メントキシプロパン−1,2−ジオール;MGAとして既知のメントングリセロールアセタール;酢酸メンチル、メンチルアセトアセテート、ハールマン・アンド・ライマー(Haarmann and Reimer)により供給されるフレスコラット(Frescolat)(登録商標)として既知の乳酸メンチル、及びV.マネ(V. Mane)製の商標フィスクール(Physcool)としてのコハク酸モノメンチルが挙げられる。本明細書で使用する時、メントール及びメンチルという用語は、これらの化合物の右旋性及び左旋性異性体、並びにこれらのラセミ混合物を含む。TK−10は、1984年7月10日発行の、米国特許第4,459,425号(天野(Amano)ら)に記載されている。WS−3及び他の剤は、1979年1月23日発行の、米国特許第4,136,163号(ワトソン(Watson)ら)に記載されている。
【0027】
過酸化物の存在下で比較的安定であることが見出されている従来の香味成分としては、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、ケイ皮酸メチル、桂皮酸エチル、桂皮酸ブチル、酪酸エチル、酢酸エチル、アントラニル酸メチル、酢酸イソアミル、酪酸イソアミル、カプロン酸アリル、オイゲノール、オイカリプトール、チモール、桂皮アルコール、桂皮アルデヒド、オクタノール、オクタナール、デカノール、デカナール、フェニルエチルアルコール、ベンジルアルコール、ベンズアルデヒド、α−テルピネオール、リナロール、リモネン、シトラール、バニリン、エチルバニリン、プロペニルグアエトール、マルトール、エチルマルトール、ヘリオトロピン、アネトール、ジヒドロアネトール、カルボン、オキサノン(oxanone)、メントン、β−ダマセノン、イオノン、γデカラクトン、γノナラクトン、γウンデカラクトン、及び4−ヒドロキシ−2,5−ジメチル−3(2H)−フラノン及びこれらの混合物が挙げられる。一般に好適な着香剤は、過酸化物による酸化される傾向が少ない構造的特徴及び官能基を含有するものである。これらとしては、飽和した香味化学物質の誘導体、又は安定な芳香環若しくはエステル基を含有する香味化学物質の誘導体が挙げられる。多少の酸化又は分解を受ける場合があっても香味の特徴又はプロフィールに著しい変化を生じない香味化学物質もまた好適である。メントールを含む香味化学物質は、これらの原料が、比較的不安定であるとともに過酸化物の存在下で分解する可能性のある他の成分を含有する可能性がある場合、ペパーミント、スペアミント又は冬緑油のような天然油又は抽出物の添加による組成物で供給されるのではなく、単一又は精製化学物質として提供されることが好ましい。かかる分解は、所望の香味プロフィールを著しく変化させ、感覚刺激的観点から許容可能性の低い製品をもたらす場合がある。盲検使用試験では、消費者は幾つかの天然油を含有する類似のミント香味で香味付けされた同一配合よりも、精製化学物質のみを含有する人工ミントで香味付けされた過酸化物洗浄剤(以下の実施例IC)を好んだが、両方の香味が許容可能であった。従って、香味化学物質が分解を受け、快くない臭い(off-note)を生成する場合でさえ、本冷却剤の組み合わせはかかる臭いを効果的にマスキングするように思われる。着香剤は、一般に、組成物中に、組成物の約0.001重量%〜約5重量%の濃度で用いられる。
【0028】
香味系は、典型的には、甘味剤を含む。好適な甘味剤としては、天然甘味剤及び人工甘味剤の両方を含む、当該技術分野において周知のものが挙げられる。好適な水溶性甘味剤としては、キシロース、リボース、グルコース(ブドウ糖)、マンノース、ガラクトース、フルクトース(果糖)、ショ糖(砂糖)、マルトース、転化糖(フルクトースとショ糖由来のグルコースとの混合物)、部分的に加水分解したデンプン、コーンシロップ固形物、ジヒドロカルコン類、モネリン、ステビオシド類、及びグリチルリチンのような単糖類、二糖類、及び多糖類が挙げられる。好適な水溶性人工甘味剤としては、可溶性サッカリン塩類、即ち、サッカリンナトリウム又はカルシウム塩類、シクラメート塩類、3,4−ジヒドロ−6−メチル−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキシドのナトリウム塩、アンモニウム塩、又はカルシウム塩、3,4−ジヒドロ−6−メチル−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキシドのカリウム塩(アセスルファム−K)、サッカリンの遊離酸型等が挙げられる。他の好適な甘味剤としては、L−アスパルチル−L−フェニルアラニンメチルエステル(アスパルテーム)及び米国特許第3,492,131号に記載された物質のようなL−アスパラギン酸由来の甘味剤、L−α−アスパルチル−N−(2,2,4,4−テトラメチル−3−チエタニル)−D−アラニンアミド水和物、L−アスパルチル−L−フェニルグリセリン及びL−アスパルチル−L−2,5,ジヒドロフェニル−グリシンのメチルエステル類、L−アスパルチル−2,5−ジヒドロ−L−フェニルアラニン、L−アスパルチル−L−(1−シクロヘキシエン)−アラニン等のようなジペプチド系甘味剤が挙げられる。例えば、スクラロースの製品銘柄で既知である通常の砂糖(スクロース)の塩素化誘導体のような、天然素材の水溶性甘味剤由来の水溶性甘味剤、並びにタウマトコッカス・ダニエリ(thaumatoccous danielli)(タウマチンI及びII)のようなタンパク質系甘味剤が使用できる。組成物は、組成物の約0.1重量%〜約10重量%、好ましくは約0.1重量%〜約1重量%の甘味剤を含有することが好ましい。
【0029】
香味系に加えて、唾液分泌剤、加温剤、及び麻酔剤を含んでよい。これらの剤は、組成物中に、組成物の約0.001重量%〜約10重量%、好ましくは約0.1重量%〜約1重量%の濃度で存在する。好適な唾液分泌剤としては、高砂(Takasago)製のジャンブ(Jambu)(登録商標)が挙げられる。加温剤の例は、トウガラシ、及びベンジルニコチン酸のようなニコチン酸エステル類である。好適な麻酔剤としては、ベンゾカイン、リドカイン、クローブ芽油、及びエタノールが挙げられる。
【0030】
上述した成分に加え、本組成物は、以下の項で記載する、経口で許容可能な担体物質と集合的に呼ばれる追加の任意成分を含んでよい。
【0031】
経口で許容可能な担体物質
経口で許容可能な担体は、局所的経口投与に好適な1種以上の混和性のある固体若しくは液体賦形剤、又は希釈剤を含む。本明細書で使用する時、「混和性のある」とは、組成物の成分が、実質的に組成物の安定性及び/又は有効性を低下させるような方法で相互作用することなく混合し得ることを意味する。
【0032】
本発明の担体又は賦形剤は、以下でより詳細に記載するように、歯磨剤、非研磨剤ゲル、歯肉縁下用ゲル、うがい薬又は口内洗浄剤、口内スプレー、チューインガム、薬用キャンディー、及び口臭予防用ミントキャンディーの通常及び従来の構成成分を含むことができる。
【0033】
使用される担体の選択は、基本的に、組成物が口腔内に導入される方法によって決定される。練り歯磨き、歯磨きゲル等用の担体物質としては、米国特許第3,988,433号(ベネディクト(Benedict))で開示されたような、研磨材料、起泡剤、結合剤、保湿剤、着香剤及び甘味剤等が挙げられる。二相性歯磨剤配合用の担体物質は、ルカコビッチ(Lukacovic)らによる米国特許第5,213,790号(1993年5月23日発行)、同第5,145,666号(1992年9月8日発行)、及び同第5,281,410号(1994年1月25日発行)、並びにシェファー(Schaeffer)による米国特許第4,849,213号及び同第4,528,180号に開示されている。うがい薬、口内洗浄剤、又は口内スプレーの担体物質としては、典型的には、例えば米国特許第3,988,433号(ベネディクト(Benedict))に開示されたような、水、着香剤、及び甘味剤などが挙げられる。薬用キャンディーの担体物質としては、典型的にはキャンディーベースが挙げられ、チューインガムの担体物質としては、例えば米国特許第4,083,955号(グレーベンシュテッター(Grabenstetter)ら)に開示されたような、ガムベース、着香剤、及び甘味剤が挙げられる。香粉(Sachet)の担体物質としては、典型的には、匂い袋、着香剤、及び甘味剤が挙げられる。歯周ポケット内又は歯周ポケットの周囲へ活性物質を送達するために使用する歯肉縁下用ゲルの場合、「歯肉縁下用ゲル担体」は、それぞれともにダマーニ(Damani)による、米国特許第5,198,220号(1993年3月30日発行)及び同第5,242,910号(1993年9月7日発行)に開示されているように選択される。本発明の組成物の調製に好適な担体は、当該技術分野において周知である。それらの選択は、味、価格、及び貯蔵安定性等のような二次的考察による。
【0034】
本発明の組成物はまた、非研磨剤ゲル及び歯肉縁下用ゲルの形態であってよく、これは水性であっても非水性であってもよい。さらに別の態様では、本発明は、本組成物を含浸させた歯科用器具を提供する。歯科用器具は、歯及び口腔内の他の組織に接触するための器具を含み、該器具には、本組成物が含浸されている。歯科用器具は、デンタルフロス又はテープ、チップ、ストリップ、フィルム及びポリマー繊維を含む、含浸された繊維であってよい。
【0035】
一実施形態では、本発明の組成物は、練り歯磨き、歯磨きゲル及び歯磨き粉のような歯磨剤の形態である。かかる練り歯磨き及び歯磨きゲルの成分は、一般に、1種以上の歯科用研磨剤(約6%〜約50%)、界面活性剤(約0.5%〜約10%)、増粘剤(約0.1%〜約5%)、保湿剤(約10%〜約55%)、着香剤(約0.04%〜約2%)、甘味剤(約0.1%〜約3%)、着色剤(約0.01%〜約0.5%)及び水(約2%〜約45%)を含む。かかる練り歯磨き又は歯磨きゲルはまた、1種以上の抗虫歯剤(フッ化物イオンとして約0.05%〜約0.3%)及び抗結石剤(約0.1%〜約13%)を含んでよい。歯磨き粉はもちろん、実質的に全ての非液体の成分を含有する。
【0036】
本発明の他の実施形態は液体製品であり、うがい薬又は口内洗浄剤、口腔スプレー、歯科用溶液及び洗浄液が挙げられる。かかるうがい薬及び口腔スプレーは、典型的には、水(約45%〜約95%)、エタノール(約0%〜約25%)、保湿剤(約0%〜約50%)、界面活性剤(約0.01%〜約7%)、着香剤(約0.04%〜約2%)、甘味剤(約0.1%〜約3%)、及び着色剤(約0.001%〜約0.5%)から、1種以上を含む。かかるうがい薬及び口腔スプレーはまた、抗虫歯剤(フッ化物イオンとして約0.05%〜約0.3%)及び抗結石剤(約0.1%〜約3%)から、1種以上を含む。歯科用溶液の成分は一般に、水(約90%〜約99%)、防腐剤(約0.01%〜約0.5%)、増粘剤(約0%〜約5%)、着香剤(約0.04%〜約2%)、甘味剤(約0.1%〜約3%)及び界面活性剤(約0%〜約5%)から、1種以上を含む。
【0037】
本香味系は、かかる液体製品中の過酸化物に起因する不快な美的特徴のマスキングにおいて特に有利である。かかる製品では、製品が口腔内に導入された際、口腔内の神経及び味覚受容体を刺激するために、過酸化物は予め可溶化されており、容易に利用可能である。練り歯磨きのような半固体製品の使用中、過酸化物は歯磨き中唾液で緩徐に可溶化されるため、感覚効果を生じさせるために比較的低濃度の過酸化物が利用可能である。
【0038】
本発明の組成物に含まれてもよい経口で許容可能な担体又は賦形剤の種類については、特定の非限定的な例とともに、次の項で論じる。
【0039】
歯直接剤(Tooth Substantive Agent)
本発明は、高分子界面活性剤(PMSA)のような歯直接剤を含んでよく、これは高分子電解質であり、より具体的にはアニオン性ポリマーである。PMSAは、アニオン基、例えば、リン酸、ホスホン酸、カルボキシ、又はこれらの混合物を含有し、従って、カチオン性又は正に荷電した実体と相互作用する能力を有する。「無機質」記述子は、ポリマーの界面活性又は直接性がリン酸カルシウム無機質又は歯のような無機質表面に向かうことを伝えることを意図する。
【0040】
着色汚れ予防効果のために、PMSAは本組成物で有用である。PMSAは、その反応性又は直接性により、無機質表面に着色汚れ予防効果を提供し、望ましくない吸着外被タンパク質、具体的には、歯を着色する色素体(color body)の結合、結石の発達、及び望ましくない微生物種の誘引と関連するものの一部を脱離させる。これらのPMSAの歯上への定着はまた、歯の表面上の色素体の結合部位を壊すため、着色汚れの発生を防止することもできる。
【0041】
PMSAの、スズイオン及びカチオン性抗微生物剤のような口腔ケア製品の着色汚れ促進成分に結合する能力もまた、有用であると考えられる。PMSAはまた、表面熱力学特性及び表面フィルム特性に望ましい影響を与える歯表面調節効果を提供し、これは洗浄又はブラッシング中、及び最も重要なことに洗浄又はブラッシング後の両方に、改善された清浄な感触美的特徴を付与する。これらの高分子剤の多くもまた、口腔組成物に適用される際歯石制御効果を提供し、従って消費者に歯の外観及びそれらの触感の改善を提供することが既知であるか又は期待されている。
【0042】
望ましい表面効果としては、1)処理直後、親水性歯表面を作製する、及び2)ブラッシング及び洗浄後並びにより長い期間を含む、製品の使用後の長期間にわたって、表面調節効果及び外被フィルムの制御を維持することが挙げられる。親水性の増大した表面を作製することによる効果は、水の接触角の相対的な減少の点で測定できる。親水性表面は、重要なことに、製品使用後の長期間にわたって、歯の表面に保持される。
【0043】
ポリマー無機質界面活性剤としては、歯表面に強い親和性を有し、ポリマー層又はコーティングを歯表面に沈着させ、所望の表面改質効果を生み出す任意の剤が挙げられる。かかるポリマーの好適な例は、縮合リン酸化ポリマーのような高分子電解質;ポリホスホネート類;ホスフェート若しくはホスホネート含有モノマー若しくはポリマーと、エチレン性不飽和モノマー及びアミノ酸のような他のモノマーとのコポリマー、又はタンパク質、ポリペプチド、多糖類、ポリ(アクリレート)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(エタクリレート)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(無水マレイン酸)、ポリ(マレエート)、ポリ(アミド)、ポリ(エチレンアミン)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(ビニルアセテート)、及びポリ(ビニルベンジルクロライド)のような他のポリマーとのコポリマー;ポリカルボキシレート及びカルボキシ置換ポリマー;並びにこれらの混合物である。好適な高分子無機質界面活性剤としては、米国特許第5,292,501号、同第5,213,789号、同第5,093,170号、同第5,009,882号及び同第4,939,284号(全てデーゲンハルト(Degenhardt)ら)に記載されたカルボキシ置換アルコールポリマー類、並びに、米国特許第5,001,913号(ベネディクト(Benedict)ら)によるジホスホネート誘導ポリマー類;ポリアクリレート類と、無水マレイン酸又はマレイン酸及び、例えば、米国特許第4,627,977号(ガファル(Gaffar)ら)に記載されたようなメチルビニルエーテル(例えば、ガントレッツ(Gantrez))のコポリマー類と、を含む合成アニオン性ポリマーが挙げられる。好ましいポリマーは、ジホスホネート修飾ポリアクリル酸である。活性を有するポリマーは、薄膜タンパク質を脱着し且つエナメル質表面に結合したままにするのに十分な表面結合性を有しなければならない。歯の表面では、末端又は側鎖にホスフェート又はホスホネート官能基を有するポリマーが好ましいが、無機質結合活性を有する他のポリマーも吸着親和性に依存して有効であることを示す場合がある。
【0044】
さらなる好適なホスホネート含有高分子無機質界面活性剤の例としては、米国特許第4,877,603号(デーゲンハルト(Degenhardt)ら)に抗結石剤として開示されているジェム状ジホスホネートポリマー類;洗剤及び洗浄組成物に用いるのに好適な、米国特許第4,749,758号(ダーチ(Dursch)ら)及び英国特許第1,290,724号(ともにヘキスト社(Hoechst))に開示されたホスホネート基含有コポリマー類;並びに米国特許第5,980,776号(ザキクハニ(Zakikhani)ら)及び同第6,071,434号(デービス(Davis)ら)によるスケール防止及び腐食抑制、コーティング、セメント及びイオン交換樹脂を含む用途に有用なコポリマー類及びコテロマー類が挙げられる。さらなるポリマー類としては、英国特許第1,290,724号に開示された、ビニルホスホン酸とアクリル酸及びこれらの塩類との水溶性コポリマー類が挙げられ、該コポリマー類は、約10重量%〜約90重量%のビニルホスホン酸と約90重量%〜約10重量%のアクリル酸とを含有し、特に、該コポリマー類は70%ビニルホスホン酸:30%アクリル酸;50%ビニルホスホン酸:50%アクリル酸;又は30%ビニルホスホン酸:70%アクリル酸という、ビニルホスホン酸のアクリル酸に対する重量比を有する。他の好適なポリマー類としては、1個以上の不飽和C=C結合を有するジホスホネート又はポリホスホネートモノマー類(例えば、ビニリデン−1,1−ジホスホン酸及び2−(ヒドロキシホスフィノ)エチリデン−1,1−ジホスホン酸)と、不飽和C=C結合を有する少なくとも1種のさらなる化合物(例えば、アクリレート及びメタクリレートモノマー類)と、を共重合することにより調製される、ザキクハニ(Zakikhani)及びデービス(Davis)により開示された水溶性ポリマー類が挙げられ、これらは以下の構造を有するものなどである。
【0045】
1.以下の構造を有する、アクリル酸と2−(ヒドロキシホスフィニル)エチリデン−1,1−ジホスホン酸とのコテロマー:
【化1】

2.以下の構造を有するアクリル酸とビニルジホスホン酸とのコポリマー:
【化2】

【0046】
好適なポリマー類としては、ロディア(Rhodia)から表記ITC1087(平均分子量3000〜60,000)及びポリマー1154(平均分子量6000〜55,000)として供給されているジホスホネート/アクリレートポリマー類が挙げられる。
【0047】
好ましいPMSAは、イオン性フッ化物及び金属イオンのような口腔ケア組成物の他の成分に対して安定である。高含水製剤において加水分解が制限され、従って単純な単一相歯磨剤又は口内洗浄剤製剤を可能にするポリマー類もまた好ましい。PMSAがこれらの安定特性を有しない場合、1つの選択肢は、フッ化物又は他の不適合成分から分離された高分子無機質界面活性剤を含む二相製剤である。別の選択肢は、非水性、実質的に非水性又は限定的な水分の組成物を配合し、PMSAと他の成分との間の反応を最低限に抑えることである。
【0048】
好ましいPMSAは、ポリホスフェートである。ポリホスフェートは一般に、主に直鎖構造に配置された2つ以上のホスフェート分子からなると理解されているが、幾つかの環状誘導体が存在する場合もある。ピロホスフェート類(n=2)は理論的にはポリホスフェート類であるが、所望のポリホスフェート類は、有効濃度での表面吸着により十分な非結合のホスフェート官能基が生成し、これがアニオン性表面電荷及び表面の親水性特徴を強化するように、およそ3以上のホスフェート基を有するものである。所望の無機ポリホスフェート塩類としては、特に、トリポリホスフェート、テトラポリホスフェート、及びヘキサメタホスフェートが挙げられる。テトラポリホスフェートよりも大きいポリホスフェート類は、通常、非晶質ガラス状物質として生じる。以下の式を有する直鎖ポリホスフェート類が、本発明で好ましい。
XO(XPO
式中、Xはナトリウム、カリウム、又はアンモニウムであり、nの平均は約3〜約125である。好ましいポリホスフェート類は、ソーダフォス(Sodaphos)(n≒6)、ヘキサフォス(n≒13)、及びグラスH(Glass H)(n≒21)として商業的に既知であり、FMCコーポレーション(FMC Corporation)及びアスタリス(Astari)により製造されるような、平均約6〜約21のnを有するものである。これらのポリホスフェート類は単独で又は組み合わせて用いることができる。ポリホスフェート類は、酸性pH、具体的にはpH5未満で、高含水製剤中の加水分解の影響を受けやすい。従って、長鎖ポリホスフェート類、具体的には、平均鎖長約21のグラスH(Glass H)を使用することが好ましい。かかる長鎖ポリホスフェート類は、加水分解を受けている際、依然として歯上に沈着し、着色汚れ予防効果を提供するのに有効な短鎖ポリホスフェート類を生成すると考えられている。
【0049】
他のポリリン酸化化合物を、ポリホスフェート、具体的には、フィチン酸、ミオ−イノシトールペンタキス(二水素リン酸);ミオ−イノシトールテトラキス(二水素リン酸)、ミオ−イノシトールトリキス(二水素リン酸)、及びこれらのアルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウム塩のような、ポリリン酸化イノシトール化合物に加えて又はその代わりに用いてよい。本明細書では、ミオ−イノシトール1,2,3,4,5,6−ヘキサキス(二水素リン酸)としても既知であるフィチン酸又はイノシトール六リン酸及びそのアルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウム塩が好ましい。本明細書では、用語「フィチン酸塩」は、フィチン酸及びその塩、並びにそ他のポリリン酸化イノシトール化合物を含む。
【0050】
歯直接剤の量は、典型的には、総口腔用組成物の約0.1重量%〜約35重量%である。歯磨剤製剤では、該量は好ましくは約2%〜約30%、より好ましくは約5%〜約25%、最も好ましくは約6%〜約20%である。口内洗浄剤組成物では、歯直接剤の量は好ましくは約0.1%〜5%、より好ましくは約0.5%〜約3%である。
【0051】
表面改質効果の作製に加えて、歯直接剤はまた不溶性塩類を可溶化する機能も有する。例えば、グラスHは不溶性スズ塩類を可溶化することが見出されている。従って、フッ化スズを含有する組成物では、例えばグラスHはスズの着色汚れ促進効果低下の一因となる。
【0052】
フッ化物源
歯磨剤に存在する水溶性フッ化物化合物及び組成物中のフッ化物イオン濃度を得るに十分な量の他の口腔用組成物を有する、及び/又は約0.0025重量%〜約5.0重量%、好ましくは約0.005重量%〜約2.0重量%で用いる際、抗虫歯効果を提供することは一般的である。広範なフッ化物イオン生成物質を、本組成物中の可溶性フッ化物の供給源として使用することができる。好適なフッ化物イオン生産物質の例は、米国特許第3,535,421号(1970年10月20日、ブライナー(Briner)ら)及び米国特許第3,678,154号(1972年7月18日、ウィダー(Widder)ら)に見られる。代表的なフッ化物イオン源としては、フッ化スズ、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化インジウム及び他の多くのものが挙げられる。フッ化スズ及びフッ化ナトリウムは、これらの混合物と同様に好ましい。
【0053】
研磨剤
本発明の組成物において有用な歯科用研磨剤には、多くの様々な物質が含まれる。選択される物質は、関心組成物中で混和性があり、象牙質を過度に削らないものでなければならない。好適な研磨剤としては、例えば、ゲル及び沈殿物を含むシリカ、不溶性ポリメタリン酸ナトリウム、水和アルミナ、炭酸カルシウム、オルトリン酸二カルシウム二水和物、ピロリン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、ポリメタリン酸カルシウム、及び尿素とホルムアルデヒドの粒子状縮合生成物のような樹脂性研磨剤物質が挙げられる。
【0054】
本組成物に使用するための研磨剤の別の部類は、米国特許番号第3,070,510号(クーリー&グラベンステター(Cooley & Grabenstetter)、1962年12月25日発行)に記載されているような粒子状熱硬化性重合樹脂類である。好適な樹脂としては、例えば、メラミン類、フェノール樹脂、尿素類、メラミン−尿素類、メラミン−ホルムアルデヒド類、尿素−ホルムアルデヒド、メラミン−尿素−ホルムアルデヒド類、架橋エポキシド類、及び架橋ポリエステル類が挙げられる。
【0055】
様々な種類のシリカ歯科用研磨剤は、歯のエナメル質又は象牙質を過度に削らない、優れた歯の清浄及び研磨性能という独特の効果があるため好ましい。本明細書でシリカ砥粒研磨物質及び他の研磨剤は、一般に約0.1〜約30ミクロン、好ましくは約5〜約15ミクロンの範囲の平均粒径を有する。研磨剤は、沈殿シリカ、又はパダー(Pader)らによる米国特許第3,538,230号(1970年3月2日発行)及びディグリオ(DiGiulio)らによる米国特許第3,862,307号(1975年1月21日発行)に記載されているシリカキセロゲルのようなシリカゲルであることができる。例えば、商標名「シロイド(Syloid)」としてW.R.グレース・アンド・カンパニー、デイビソン・ケミカル・ディビジョン(W.R. Grace & Company Davison Chemical Division)から市販されているシリカキセロゲル類、及びJ.M.フーバーコーポレーション(J. M. Huber Corporation)から商標名ゼオデント(Zeodent(登録商標))として市販されているもの、具体的には、ゼオデント(Zeodent(登録商標))119、ゼオデント(Zeodent(登録商標))118、ゼオデント(Zeodent(登録商標))109、及びゼオデント(Zeodent(登録商標))129という名称のシリカ類のような沈澱シリカ材料が挙げられる。本発明の練り歯磨きで有用なシリカ歯科用研磨剤の種類は、ウェイソン(Wason)による米国特許第4,340,583号(1982年7月29日発行)及び同一出願人による米国特許第5,603,920号(1997年2月18日発行)、同第5,589,160号(1996年12月31日発行);同第5,658,553号(1997年8月19日発行);同第5,651,958号(1997年7月29日発行)及び同第6,740,311号(2004年5月25日発行)に、より詳細に記載されている。
【0056】
研磨剤の混合物は、上に列挙された様々な等級のゼオデント(Zeodent)(登録商標)シリカ研磨剤の混合物のように、用いることができる。本発明の歯磨剤組成物中の研磨剤の総量は、典型的には約6重量%〜約70重量%の範囲であり、練り歯磨きは、好ましくは組成物の約10重量%〜約50重量%の研磨剤を含有する。本発明の歯科用溶液、口腔スプレー、うがい薬、及び非研磨剤ゲル組成物は、典型的には、少量の研磨剤しか含まない、又は研磨剤を全く含まない。
【0057】
抗結石剤
本組成物は所望により、ピロリン酸イオン源としてのピロホスフェートのような、追加の抗結石剤を含んでよい。本組成物に有用なピロリン酸塩類としては、ピロリン酸二アルカリ金属塩、ピロリン酸四アルカリ金属塩、及びこれらの混合物が挙げられる。無水和物並びに水和物の形の、二水素ピロリン酸二ナトリウム(Na)、ピロリン酸四ナトリウム(Na)、及びピロリン酸四カリウム(K)が好ましい種である。本発明の組成物では、ピロリン酸塩は、主に溶解した形態、主に溶解していない形態、又は溶解した形態と溶解していない形態のピロリン酸塩の混合物のうちの1つの形態で存在することができる。
【0058】
主に溶解したピロリンホスフェートを含む組成物とは、少なくとも1種のピロリン酸イオン源が、少なくとも約1.0%の遊離ピロリン酸イオンを提供するのに十分な量である組成物を指す。遊離ピロリン酸イオンの量は、約1%〜約15%、一実施形態では約1.5%〜約10%、別の実施形態では約2%〜約6%であってよい。遊離ピロリン酸イオンは、組成物のpHに依存して多様なプロトン化状態で存在することができる。
【0059】
主に溶解していないピロリン酸塩を含む組成物とは、約20%以下、好ましくは約10%未満の、組成物中に溶解している総ピロリン酸塩を含有する組成物を指す。ピロリン酸四ナトリウム塩は、これらの組成物中の好ましいピロリン酸塩である。ピロリン酸四ナトリウムは、無水塩型若しくは十水和物型、又は歯磨剤組成物中において固形で安定な他の任意の種であってよい。塩はその固体粒子状形態であり、その結晶性及び/又は非晶性状態であってよく、塩の粒径は、好ましくは、審美的に許容可能であり、且つ使用中容易に溶解するのに十分に小さい。これらの組成物を作製するのに有用なピロリン酸塩の量は、任意の歯石制御に有効な量であって、一般には歯磨剤組成物の約1.5重量%〜約15重量%、好ましくは約2重量%〜約10重量%、最も好ましくは約3重量%〜約8重量%である。
【0060】
組成物はまた、溶解したピロリン酸塩と溶解していないピロリン酸塩との混合物を含んでもよい。前述のピロリン酸塩のいずれを用いてもよい。
【0061】
ピロリン酸塩はカーク・オスマー(Kirk-Othmer)の工業化学百科事典、第3版、第17巻、ワイリー−インターサイエンス・パブリッシャーズ(Wiley-Interscience Publishers)(1982年)に、より詳細に記載されている。
【0062】
ピロリン酸塩の代わりに又はピロリン酸塩と組み合わせて用いられる任意の剤としては、例えば米国特許第4,627,977号(ガファル(Gaffar)ら)に記載されている、ポリアクリレート類と、無水マレイン酸又はマレイン酸及びメチルビニルエーテル(例えば、ガントレッツ(Gantrez))のコポリマー、並びに、例えばポリアミノプロパンスルホン酸(AMPS)、ジホスホネート類(例えば、EHDP;AHP)、ポリペプチド類(ポリアスパラギン酸及びポリグルタミン酸など)、並びにこれらの混合物を含む、合成アニオン性ポリマーとして既知の物質などが挙げられる。
【0063】
キレート剤
他の任意の剤は、グルコン酸、酒石酸、クエン酸、及びこれらの薬剤的に許容可能な塩類のような、隔離剤とも呼ばれるキレート化剤である。キレート剤は、細菌の細胞壁に見出されるカルシウムを錯化し得る。キレート剤はまた、このバイオマスが損なわれないように保持するのに役立つカルシウムの架橋からカルシウムを取り除くことにより歯垢を崩壊させることができる。しかしながら、カルシウムに対する親和性が高すぎるキレート剤を用いることは、結果として歯の脱鉱質化をもたらす可能性があり、これは本発明の目的及び意図に反するために、望ましくない。好適なキレート剤は、一般にカルシウム結合定数が約10〜10であり、洗浄を改善し、歯垢及び結石の形成を減少させる。キレート剤はまた、金属イオンと錯体を形成する能力を有し、従って、製品の安定性又は外観に対する悪影響を予防するのに役立つ。鉄又は銅のようなイオンのキレート化は、最終製品の酸化による変質の抑制に役立つ。
【0064】
好適なキレート剤の例は、グルコン酸ナトリウム若しくはグルコン酸カリウム又はクエン酸ナトリウム若しくはクエン酸カリウム;クエン酸/クエン酸アルカリ金属塩混合物;酒石酸二ナトリウム;酒石酸二カリウム;酒石酸ナトリウムカリウム;酒石酸水素ナトリウム;酒石酸水素カリウム;ポリリン酸ナトリウム、ポリリン酸カリウム、又はポリリン酸アンモニウム、及びこれらの混合物である。本発明での使用に好適なキレート剤の量は、約0.1%〜約2.5%、好ましくは約0.5%〜約2.5%、より好ましくは約1.0%〜約2.5%である。
【0065】
本発明で使用するのに好適な、さらに他のキレート剤は、アニオン性高分子ポリカルボキシレート類である。かかる物質は当該技術分野において周知であり、その遊離酸類又は部分的に若しくは好ましくは完全に中和された水溶性アルカリ金属塩類(例えばカリウム、好ましくはナトリウム)若しくはアンモニウム塩類の形態で使用される。例は、1:4〜4:1無水マレイン酸又はマレイン酸と別の重合可能なエチレン性不飽和モノマー、好ましくは約30,000〜約1,000,000の分子量(M.W.)を有するメチルビニルエーテル(メトキシエチレン)とのコポリマー類である。これらのコポリマー類は、例えば、GAFケミカルズ社(GAF Chemicals Corporation)のガントレッツ(Gantrez)AN139(分子量500,000)、AN119(分子量250,000)及びS−97薬剤等級(分子量70,0000)として入手可能である。
【0066】
他の有効な高分子ポリカルボキシレート類としては、無水マレイン酸をアクリル酸エチル、ヒドロキシエチルメタクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン又はエチレンと1:1で共重合したコポリマー類(後者は、例えばモンサントEMA番号1103、分子量10,000及びEMAグレード(EMA Grade)61として入手可能である)、及びアクリル酸をメチル若しくはヒドロキシエチルメタクリレート、アクリル酸メチル若しくはエチル、イソブチルビニルエーテル又はN−ビニル−2−ピロリドンと1:1で共重合したコポリマーが挙げられる。
【0067】
さらなる有効な高分子ポリカルボキシレート類は、米国特許第4,138,477号(1979年2月6日、ガファル(Gaffar))、及び米国特許第4,183,914号(1980年1月15日、ガファル(Gaffar)ら)に開示されており、無水マレイン酸とスチレン、イソブチレン又はエチルビニルエーテルとのコポリマー類;ポリアクリル酸、ポリイタコン酸及びポリマレイン酸;並びにユニロイヤルND−2として入手可能な、分子量1,000程度のスルホアクリルオリゴマー類が挙げられる。
【0068】
他の活性剤
本発明は所望により、抗微生物剤のような他の剤を含んでよい。かかる剤に含まれるのは、ハロゲン化ジフェニルエーテル類、フェノール及びその同族体を含むフェノール化合物、モノアルキル及びポリアルキル並びに芳香族ハロフェノール類、レゾルシノール及びその誘導体、ビスフェノール化合物及びハロゲン化サリチルアニリド類、安息香酸エステル類及びハロゲン化カルバニリド類のような非水溶性非カチオン性抗微生物剤である。水溶性抗微生物剤としては、四級アンモニウム塩類及びビス−ビクアニド塩類、並びにトリクロサンモノホスフェートが挙げられる。四級アンモニウム剤としては、四級窒素上の置換基のうち1つ又は2つが炭素原子約8〜約20個、典型的には約10〜約18個の炭素鎖長(典型的にはアルキル基)を有する一方、残りの置換基(典型的にはアルキル基又はベンジル基)は、炭素原子約1〜約7個のような、より少ない炭素原子数、典型的にはメチル基又はエチル基を有するものが挙げられる。ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラデシルピリジニウムクロリド、臭化ドミフェン、N−テトラデシル−4−エチルピリジニウムクロリド、ドデシルジメチル(2−フェノキシエチル)アンモニウムブロミド、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロリド、塩化セチルピリジニウム、四級化5−アミノ−1,3−ビス(2−エチル−ヘキシル)−5−メチルヘキサヒドロピリミジン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム及び塩化メチルベンゼトニウムは、典型的な四級アンモニウム抗細菌剤の代表例である。他の化合物は、米国特許第4,206,215号(1980年6月3日発行、ベイリー(Bailey))に開示されているような、ビス[4−(R−アミノ)−1−ピリジニウム]アルカン類である。銅塩類、亜鉛塩類、及びスズ塩類のような他の抗微生物剤を含んでもよい。エンドグリコシダーゼ、パパイン、デキストラナーゼ、ムタナーゼ及びこれらの混合物を含む酵素もまた有用である。かかる剤は、米国特許第2,946,725号(1960年7月26日、ノリス(Norris)ら)及び米国特許第4,051,234号(ギースキー(Gieske)ら、1977年9月27日)に開示されている。好ましい抗微生物剤としては、亜鉛塩類、スズ塩類、塩化セチルピリジニウム、クロルヘキシジン、トリクロサン、トリクロサン一リン酸、及びチモールのような香油が挙げられる。トリクロサン及びこの種類の他の剤は、米国特許第5,015,466号(パーラン・ジュニア(Parran, Jr)ら、1991年5月14日発行)、及び米国特許第4,894,220号(ナビ(Nabi)ら、1990年1月16日)に開示されている。これらの剤は、抗歯垢効果を提供し、典型的には、組成物の約0.01重量%〜約5.0重量%の濃度で存在する。
【0069】
本組成物に添加してよい別の任意活性剤は、硝酸塩、塩化物、フッ化物、リン酸塩、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩及び硫酸塩を含む、カリウム塩類、カルシウム塩類、ストロンチウム塩類、及びスズ塩類のような過敏性を制御する象牙質減感剤である。
【0070】
界面活性剤
本組成物はまた、一般的に起泡剤とも呼ばれる界面活性剤を含んでもよい。好適な界面活性剤は、広いpH範囲にわたって適度に安定且つ発泡性であるものである。界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、両性、双性イオン性、カチオン性、又はこれらの混合物であってよい。
【0071】
本明細書で有用なアニオン性界面活性剤としては、アルキルラジカルに8個〜20個の炭素原子を有するアルキルスルフェートの水溶性塩類(例えば、アルキル硫酸ナトリウム)、及び8個〜20個の炭素原子を有する脂肪酸のスルホン化モノグリセリドの水溶性塩類が挙げられる。ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)及びココナツモノグリセリドスルホン酸ナトリウムは、この種類のアニオン性界面活性剤の例である。他の好適なアニオン性界面活性剤は、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、タウレート、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、ラウロイルイセチオン酸ナトリウム、ラウレスカルボン酸ナトリウム及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムのようなサルコシネートである。アニオン性界面活性剤の混合物を使用してもよい。多数の好適なアニオン性界面活性剤が、米国特許第3,959,458号(アグリコーラ(Agricola)ら、1976年5月25日発行)に開示されている。本組成物は、通常、約0.025%〜約9%、ある実施形態では約0.05%〜約5%、別の実施形態では約0.1%〜約1%の濃度でアニオン性界面活性剤を含む。
【0072】
別の好適な界面活性剤は、サルコシネート界面活性剤、イセチオネート界面活性剤及びタウレート界面活性剤からなる群から選択されるものである。本明細書で用いるのに好ましいのは、サルコシン酸ラウロイル、サルコシン酸ミリストイル、サルコシン酸パルミトイル、サルコシン酸ステアロイル、及びサルコシン酸オレオイルの、ナトリウム塩及びカリウム塩のような、これらの界面活性剤のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩類である。サルコシネート界面活性剤は、本発明の組成物中に、総組成物の約0.1重量%〜約2.5重量%、好ましくは約0.5重量%〜約2.0重量%存在してよい。
【0073】
本発明に有用なカチオン性界面活性剤としては、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ジ−イソブチルフェノキシエチル−ジメチルベンジルアンモニウム、亜硝酸ココナツアルキルトリメチルアンモニウム、フッ化セチルピリジニウム等のような、約8個〜18個の炭素原子を含有する1つのアルキル長鎖を有する脂肪族四級アンモニウム化合物の誘導体が挙げられる。好ましい化合物は、米国特許第3,535,421号(1970年10月20日、ブライナー(Briner)ら)に記載されている四級アンモニウムフッ化物であり、該四級アンモニウムフッ化物は洗剤特性を有する。特定のカチオン性界面活性剤はまた、本明細書に開示された組成物中で殺菌剤として作用する場合もある。クロルヘキシジンのようなカチオン性界面活性剤は、本発明に用いるのに好適であるが、口腔の硬組織を着色する可能性があるために好ましくない。当業者はこの可能性について承知しており、この制限を念頭においてカチオン性界面活性剤を組み込むべきである。
【0074】
本発明の組成物に用いることができる非イオン性界面活性剤としては、アルキレンオキシド基(本質的には親水性)と、本質的に脂肪族又はアルキル芳香族であってもよい有機疎水性化合物との縮合によって生成される化合物が挙げられる。好適な非イオン性界面活性剤の例としては、プルロニック(Pluronic)、アルキルフェノール類のポリエチレンオキシド縮合物、エチレンオキシドとプロピレンオキシド及びエチレンジアミンの反応生成物との縮合から得られる生成物、脂肪族アルコール類のエチレンオキシド縮合物、長鎖三級アミンオキシド類、長鎖三級ホスフィンオキシド類、長鎖ジアルキルスルホキシド類、及びかかる物質の混合物が挙げられる。
【0075】
本発明で有用な双性イオン性合成界面活性剤としては、脂肪族四級アンモニウム、ホスホニウム及びスルホニウム化合物の誘導体が挙げられ、その脂肪族ラジカルは直鎖又は分枝鎖であってよく、ここで脂肪族置換基の1つは約8個〜約18個の炭素原子を含有し、1つはアニオン性水溶性基、例えばカルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート又はホスホネートを含有する。
【0076】
好適なベタイン界面活性剤は、米国特許第5,180,577号(1993年1月19日発行、ポールフカ(Polefka)ら)に開示されている。典型的なアルキルジメチルベタイン類としては、デシルベタイン又は2−(N−デシル−N,N−ジメチルアンモニオ)アセテート、ココベタイン又は2−(N−ココ(coc)−N,N−ジメチルアンモニオ)アセテート、ミリスチルベタイン、パルミチルベタイン、ラウリルベタイン、セチルベタイン、セチルベタイン、ステアリルベタイン等が挙げられる。アミドベタイン類は、ココアミドエチルベタイン、ココアミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン等により例示される。最適なベタイン類としては、ココアミドプロピルベタイン類、好ましくはラウラミドプロピルベタインが挙げられる。
【0077】
増粘剤
練り歯磨き又はゲル類の調製では、組成物に望ましい稠度を提供する、使用時に望ましい能動的な放出特質を提供する、貯蔵安定性を提供する、及び組成物の安定性を提供する等のために、増粘剤を添加する。好適な増粘剤としては、カルボキシビニルポリマー類の1種又は組み合わせ、カラギーナン、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、天然及び合成粘土類(例えば、ビーガム及びラポナイト)、並びに、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)及びカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースナトリウムのようなセルロースエーテル類の水溶性塩が挙げられる。カラヤゴム、キサンタンガム、アラビアゴム及びトラガカントゴムのような天然ゴム類を使用してもよい。さらに質感を改善するために、コロイド状ケイ酸アルミニウムマグネシウム又は超微粒子状シリカを増粘剤の一部として使用してよい。
【0078】
増粘剤又はゲル化剤として有用な、好適なカルボキシビニルポリマー類としては、ペンタエリスリトールのアルキルエーテル若しくはスクロースのアルキルエーテルで架橋されたアクリル酸のホモポリマーである、カルボマー類が挙げられる。カルボマー類は、B.F.グッドリッチ(B.F. Goodrich)より、カーボポール(Carbopol)934、940、941、956、及びこれらの混合物を含むカーボポール(Carbopol(登録商標))シリーズとして入手可能である。
【0079】
増粘剤は、典型的には、練り歯磨き又は歯磨きゲルの総組成物の約0.1重量%〜約15重量%、好ましくは約2重量%〜約10重量%、より好ましくは約4重量%〜約8重量%の量存在する。チューインガム、薬用キャンディー及び口臭予防用ミントキャンディー、香粉、非研磨ゲル及び歯肉縁下ゲルには、より高濃度で使用することができる。
【0080】
保湿剤
本組成物の別の任意の担体物質は、保湿剤である。保湿剤は、練り歯磨き組成物が空気への曝露時に硬化するのを防ぎ、組成物に口への潤い感を付与し、特定の保湿剤では、練り歯磨き組成物に望ましい甘い香味を付与するのに役立つ。保湿剤は、純保湿剤を基準として、一般に本明細書の組成物の約0重量%〜約70重量%、好ましくは約5重量%〜約25重量%含まれる。本発明の組成物での使用に好適な保湿剤としては、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、及びトリメチルグリシンのような食用多価アルコール類が挙げられる。
【0081】
種々の担体物質
商業的に好適な口腔用組成物の調製に用いる水は、好ましくは、イオン含量が少なく、有機不純物を含まないでおくべきである。水は本明細書の水性組成物の約99重量%まで含まれてよい。この水の量は、添加される遊離水に加えて、ソルビトールのような他の物質とともに導入される水を含む。
【0082】
本発明はまた、アルカリ金属重炭酸塩を含んでもよく、研磨、脱臭、緩衝及びpH調節を含む多くの機能を提供できる。アルカリ金属重炭酸塩類は水に可溶性であり、安定化されていない限り、水性系で二酸化炭素を放出する傾向がある。重炭酸ナトリウムは重曹としても知られ、一般に使用されるアルカリ金属重炭酸塩である。本組成物は、約0.5%〜約30%、好ましくは約0.5%〜約15%、最も好ましくは約0.5%〜約5%のアルカリ金属重炭酸塩を含有してよい。
【0083】
本発明の組成物のpHを、緩衝剤を用いて調整してもよい。緩衝剤とは、本明細書で使用する時、過酸化物の安定性のために、口内洗浄剤及び歯科用溶液のような水性組成物のpHを、好ましくは約pH4.0〜約pH6.0の範囲に調整するために用いることができる剤を指す。緩衝剤としては、重炭酸ナトリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸三ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、酸性ピロリン酸ナトリウム、クエン酸、及びクエン酸ナトリウムが挙げられる。緩衝剤は、典型的には、本組成物の約0.5重量%〜約10重量%の濃度で含まれる。
【0084】
ポロキサマー類を本組成物に使用してもよい。ポロキサマーは、非イオン性界面活性剤に分類され、乳化剤、結合剤、安定剤、及び他の関連する機能性剤として機能することもできる。ポロキサマー類は、分子量が1,000〜15,000の範囲である、一級ヒドロキシル基で終端をなす二官能性ブロックポリマー類である。ポロキサマー類は、BASFによりプルロニクス(Pluronics)及びプルラフロ(Pluraflo)の商品名で販売されている。本発明に好適なポロキサマー類は、ポロキサマー(Poloxamer)407及びプルラフロ(Pluraflo)L4370である。
【0085】
本組成物に使用してよい他の乳化剤としては、B.F.グッドリッチ(B.F.Goodrich)から入手可能なペミュレン(Pemulen)(登録商標)シリーズのような高分子乳化剤が挙げられ、これは、主に、疎水性物質用の乳化剤として有用な高分子量のポリアクリル酸ポリマーである。
【0086】
二酸化チタンを本組成物に添加してもよい。二酸化チタンは、組成物に不透明感を加える白色粉末である。二酸化チタンは、一般に、歯磨剤組成物の約0.25重量%〜約5重量%含まれる。
【0087】
本組成物中に用いてもよい他の任意剤としては、C12〜C20アルキルジメチコンコポリオール類及びこれらの混合物のような、アルキル及びアルコキシジメチコンコポリオール類から選択されるジメチコンコポリオール類が挙げられる。商品名エイビル(Abil)EM90として販売されているセチルジメチコンコポリオールが大変好ましい。ジメチコンコポリオールは、一般には、約0.01重量%〜約25重量%、好ましくは約0.1重量%〜約5重量%、より好ましくは約0.5重量%〜約1.5重量%の濃度で存在する。ジメチコンコポリオール類は、歯の良い感触効果を提供するのに役立つ。
【0088】
使用方法
本発明はまた、歯のホワイトニング及び着色汚れの予防方法に関する。これらの組成物の効果は、組成物が繰り返し使用される際、時間とともに増加する場合がある。
【0089】
本明細書の処理方法は、被験体の歯のエナメル質表面及び口内粘膜に、本発明による口腔用組成物を接触させることを含む。処理方法は、歯磨剤を用いたブラッシング、又は歯磨剤スラリー若しくは口内洗浄剤を用いるすすぎによってもよい。他の方法としては、局所用口腔ゲル、義歯製品、口腔スプレー、又は他の形態を、被験体の歯及び口腔粘膜に接触させることが挙げられる。被験体は、その歯の表面が口腔用組成物に接触する、任意のヒト又は動物であってよい。「動物」とは、家庭用ペット若しくは他の家畜、又は捕獲されている動物を含むことを意味する。
【0090】
例えば処理方法としては、歯磨剤組成物の1種を用いてヒトがイヌの歯をブラッシングすることを含んでよい。別の例としては、効果を確認するのに十分な時間、ネコの口を口腔用組成物ですすぐことが挙げられる。チュー(chew)及びおもちゃのようなペットケア製品は、本口腔用組成物を含有するように配合することができる。組成物は、生皮、天然繊維又は合成繊維製のロープ、及びナイロン、ポリエステル又は熱可塑性ポリウレタン製の高分子物品のような、比較的柔軟であるが強くて丈夫な材料に組み込まれる。動物が製品を噛む、なめる又はかじる時に、組み込まれた活性要素が動物の口腔の唾液媒体中に放出され、これは効果的なブラッシング又はすすぎに匹敵する。
【実施例】
【0091】
以下の実施例は、本発明の範囲内にある実施形態をさらに説明及び実証する。これらの実施例は単に例示することが目的であり、これらの多くの変更が発明の精神及び範囲から逸脱することなく可能であるので、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0092】
(実施例I)口内洗浄剤組成物
本発明による口内洗浄剤組成物(IA〜IF)を、以下に組成物の量(重量%)とともに示す。これらの組成物は従来の方法を用いて作製する。口内洗浄剤組成物は、使用中快適な高衝撃のミント味を有し、著しく爽やかな息を提供すると、消費者試験で判定された。
【表1】

人工ミント香味は、サリチル酸メチル、ケイ皮アルコール、ユーカリプトール、メントン及び他の香味剤を含む。天然油(ペパーミント、アニス、クローブ芽油、レンタカンバ)を含むミント香味を、人工ミント香味の代わりに用いてよい。
ポリホスフェートは、アスタリス(Astaris)により供給されるグラスH(n≒21)である。
【0093】
(実施例II)二相歯磨剤組成物
本発明による二相歯磨剤組成物は、好ましくは50:50の比率で処方される、過酸化物を含有する第一の歯磨剤(IIA〜IIC)及び第二の歯磨剤(ID〜IIE)からなる。これらの組成物は従来の方法を用いて作製する。
【表2】

人工ミント香味は、サリチル酸メチル、ケイ皮アルコール、ユーカリプトール、メントン及び他の香味剤を含む。天然油(ペパーミント、アニス、クローブ芽油、レンタカンバ)を含むミント香味を、人工ミント香味の代わりに用いてよい。
27.9%溶液
50%溶液
【0094】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳しく限定されるものとして理解されるべきではない。それよりむしろ、特に指定されない限り、それぞれのかかる寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0095】
「発明を実施するための最良の形態」で引用した全ての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを容認するものと解釈されるべきではない。この文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれる文献における用語のいずれかの意味又は定義と対立する範囲については、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義を適用するものとする。
【0096】
本発明の特定の諸実施形態を図示し、記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが当業者には自明である。従って、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)組成物の0.01重量%〜30重量%の過酸化物源と、
(b)メントールと少なくとも1種の第二の冷却剤との冷却剤の組み合わせ、並びに、過酸化物の存在下で一貫した香味プロフィールを維持する1種の香味成分又は香味成分の混合物を含む香味組成物と、
(c)経口で許容可能な担体と、
を含む口腔ケア組成物であって、
該香味組成物が、過酸化物由来の望ましくない美的特徴を効果的にマスキングし、高衝撃の爽快な味及び爽快感を提供する、口腔ケア組成物。
【請求項2】
前記過酸化物源が、過酸化物類、過ホウ酸塩類、過炭酸塩類、ペルオキシ酸類、過硫酸塩類、及びこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは、前記過酸化物源が、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化カルシウム、過炭酸ナトリウム及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の口腔ケア組成物。
【請求項3】
組成物の0.03重量%〜1.5重量%の、メントール及び第二の冷却剤の総量を含み、該メントールが少なくとも0.015重量%含まれる、請求項1又は2に記載の口腔ケア組成物。
【請求項4】
前記第二の冷却剤が、カルボキサミド類、ケタール類、ジオール類、メンチルエステル類及びこれらの混合物から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の口腔ケア組成物。
【請求項5】
塩化セチルピリジニウム、臭化ドミフェン、亜鉛塩類、スズ塩類、クロルヘキシジン、トリクロサン、トリクロサン一リン酸及びこれらの混合物から選択される抗微生物活性物質をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の水性口腔ケア組成物。
【請求項6】
歯磨剤又は口内洗浄剤の形態である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の口腔ケア組成物。
【請求項7】
(a)組成物の0.01重量%〜10重量%の、過酸化水素又は過酸化尿素から選択される過酸化物源と、
(b)組成物の0.03重量%〜0.6重量%の、メントールと少なくとも1種の第二の冷却剤との冷却剤の組み合わせであって、該メントールが組成物の少なくとも0.015重量%含まれ、該第二の冷却剤が、カルボキサミド類、ケタール類、ジオール類、メンチルエステル類及びこれらの混合物から選択される、冷却剤の組み合わせと、
(c)サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、ケイ皮酸メチル、ケイ皮酸エチル、ケイ皮酸ブチル、酪酸エチル、酢酸エチル、アントラニル酸メチル、酢酸イソアミル、酪酸イソアミル、カプロン酸アリル、オイゲノール、オイカリプトール、チモール、桂皮アルコール、桂皮アルデヒド、オクタノール、オクタナール、デカノール、デカナール、フェニルエチルアルコール、ベンジルアルコール、ベンズアルデヒド、α−テルピネオール、リナロール、リモネン、シトラール、バニリン、エチルバニリン、プロペニルグアエトール、マルトール、エチルマルトール、ヘリオトロピン、アネトール、ジヒドロアネトール、カルボン、オキサノン、メントン、β−ダマセノン、イオノン、γデカラクトン、γノナラクトン、γウンデカラクトン、及び4−ヒドロキシ−2,5−ジメチル−3(2H)−フラノンから選択される1種の香味成分又は香味成分の混合物と、
(d)経口で許容可能な水性担体と、
を含む口腔ケア組成物であって、
過酸化物由来の望ましくない美的特徴が効果的にマスキングされ、該組成物が一貫した香味プロフィール及び高衝撃の爽快な味及び爽快感を提供する、口腔ケア組成物。
【請求項8】
塩化セチルピリジニウム、臭化ドミフェン、亜鉛塩類、スズ塩類、クロルヘキシジン、トリクロサン、トリクロサン一リン酸及びこれらの混合物から選択される抗微生物活性物質をさらに含む、請求項7に記載の水性口腔ケア組成物。

【公表番号】特表2009−531414(P2009−531414A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−502266(P2009−502266)
【出願日】平成19年3月13日(2007.3.13)
【国際出願番号】PCT/IB2007/050854
【国際公開番号】WO2007/110790
【国際公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】