説明

液体のための移送兼貯蔵容器

【課題】 液体のための移送兼貯蔵容器の格子カバーの構造を、容器の向上された積み重ね信頼性および移送信頼性を顧慮して、改良する。
【解決手段】 垂直方向の格子ロッド15は、上側の端部16でもって、格子カバー13の上側の縁部成形体18、19と共に、スポット溶接、および、クリンチング加工されている。スポット溶接結合、およびクリンチング結合を用いての、格子カバーの、上側の周囲に延在する縁部成形体に沿っての、垂直方向の格子ロッドの力一体的および形状一体的な2重固定は、これらスポット溶接結合の不全の際に、この格子カバーの上側の縁部成形体に沿っての垂直方向の格子ロッドの固定がこのクリンチング結合によって、および、このクリンチング結合の不全の際に、この格子カバーの上側の縁部成形体に沿っての格子ロッドの固定がこれらスポット溶接結合によって保証されているということの安全保護機能を満たしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体のための移送兼貯蔵容器であって、この移送兼貯蔵容器が、
4つの側壁を備え、
底板および天板を備え、
この天板に附設して形成された、閉鎖可能な注入口を備え、
この側方壁の下側の部分に附設して形成された、取出し管継手を有する流出用接続パイプを備える、
合成物質から成る交換可能な内側容器のための、パレット状の台枠を有し、並びに、
この内側容器を収容するため、水平方向および垂直方向の、金属を材料にした格子ロッドを備える、格子カバーを有しており、
その際、垂直方向の格子ロッドの端部が、下側の、および上側の周囲に延在する、水平方向の、縁部成形体に溶接されている様式の、上記移送兼貯蔵容器に関する。
【背景技術】
【0002】
互いの積み重ねの際、または、移送の間、下に積み重ねられた同種の容器の上での、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10 2004 058 985号明細書(特許文献1)から公知の、液体のための冒頭に記載した様式の移送兼貯蔵容器の、側方への滑り位置ずれの際に、
上側の容器が、パレット状の台枠の隅脚部、および中間脚部でもって、
下側の容器の格子カバーの、中空成形体として形成された上側の縁部成形体から、内方へと滑り落ちることの危険が存在する。
このことは、この下側の容器の格子カバーの上側の領域が、液体でもって充填された上側の容器の重量のもとで広げられ、従って、
ねじ止め部が、対角線状に、合成物質の内側容器の天板にわたって指向する蓋支柱が上側の縁部成形体と共に解離され、且つ、
この内側容器、並びに、垂直方向の格子ロッドの上側の端部の、この格子カバーの上側の縁部成形体との溶接結合部が損傷を与えられる、
という結果を招く。
更に、多数の容器の積み重ねの際の、積み重ね負荷に基づく、静力学的な曲げ応力によって、および、
合成物質の内側容器内における液体材料に由来し、且つこの内側容器の可撓性の外套を介して格子カバーへと伝達される、サージ振動(Schwallschwingungen)による移送の際の曲げ繰返し応力(Biegeschwellbeanspruchungen)によって、並びに、
移送車両によって伝達される走行振動によって、および、
例えば上方からのパレット容器の落下の際の衝撃応力によって、
垂直方向の格子ロッドの、格子カバーの上側の縁部成形体との溶接結合は、機能不全となり、且つ、この縁部成形体が、部分的または完全にこの格子カバーのこれら垂直方向の格子ロッドから解離され、且つこのことによって、移送における損傷がこれら容器に対して誘起されるということの可能性が存在する。
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許出願公開第10 2004 058 985号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明の根底をなす課題は、液体のための、冒頭に記載した様式の移送兼貯蔵容器の格子カバーの構造を、容器の向上された積み重ね信頼性および移送信頼性を顧慮して、改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、本発明により、請求項1の特徴を有する移送兼貯蔵容器よって解決される。
【0005】
従属請求項は、有利な、且つ合目的な本発明の更なる構成を内容としている。
【発明の効果】
【0006】
周囲に延在する、本発明による移送兼貯蔵容器の格子カバーの、上側および下側の縁部成形体に対して附設して形成されたウェブでもっての、
垂直方向の格子ロッドの、上側、および場合によっては下側の、平らに押圧された端部の、クリンチング結合との組み合わせにおける、多重、特に3重のスポット溶接は、容器の最適な積み重ね信頼性および移送信頼性を保証し、
この積み重ね信頼性および移送信頼性が、容器の格子カバーの周囲に延在する上側のおよび下側の縁部成形体に沿っての、垂直方向の格子ロッドの上側の、および場合によっては下側の端部の、静力学的および動力学的な負荷に対して抵抗力のある力一体的および形状一体的な固定によって達せられる。
【0007】
次に、図面に基づいて、本発明を詳しく説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1による液体のための、使い捨て兼通い容器として使用可能な移送兼貯蔵容器1は、主要部材として、
4つの側壁3〜6を備え、底板および天板7、8を備え、この天板に附設して形成された、蓋10でもって閉鎖可能な注入口9を備え、この前方壁3の下側の部分に附設して形成された、取出し管継手12を有する流出用接続パイプ11を備える、交換可能な直方体形状の合成物質から成る内側容器2を有しており、
更に、この内側容器2を収容するため、交差する水平方向および垂直方向の、金属を材料にした格子ロッド14、15から成る、外側の格子カバー13を有しており、
その際、垂直方向の格子ロッド15の端部16、17が、上側の、および下側の周囲に延在する、水平方向の、この格子カバー13の縁部成形体18、19に溶接されており、
並びに、
ヨーロッパ規格の長さ、および幅寸法を備えるパレット状の台枠20を有している。
【0009】
流出床部として形成された、内側容器2の底板7は、中央の、容器後方壁5から容器前方壁3内における流出用接続パイプ11へと低下する流出溝部21を備え付けられており、且つ、この内側容器2が、底板7でもって、台枠20のこの底板に適合された床部22の上に置かれている。
【0010】
フォークリフト、ラック操作機器、およびその種の他の移送手段を用いての取り扱いのために設備された、移送兼貯蔵容器1の台枠20の床部22は、
4つの隅脚部23〜26、
後方の中間脚部27、
この移送容器1の取出し管継手12の下方で設けられた、前方の床部22から形作られた中間脚部28、並びに、
この床部22のために架橋状の補強薄板31の外側の端部によって形成されている、2つの側方の中間脚部29、30の上に載置されている。
【0011】
格子カバー13の、垂直方向の管体形状の格子ロッド15の、これら格子ロッドの2重の薄板厚さを有する、平らに押圧された上側の端部16は、
3重のスポット溶接32、および、クリンチング結合部(Clinchverbindung)33aによって、
周囲に延在する、この格子カバー13の上側の管体形状の縁部成形体18に附設して形成されたウェブ34に沿って、この縁部成形体の2重の薄板厚さでもって、力一体的および形状一体的に固定されている。
【0012】
図2および3による、クリンチング結合部33aを形成するために、父型および母型から成る工具を用いて、それぞれに、2つの平行の切込み部35、36が、
上側の縁部成形体18のウェブ34、および、このウェブに当接する、平らな垂直方向の格子ロッド15の上側の端部16内へと、2つの幅狭の条片部37、38を形成するために加工され、
これら幅狭の条片部は、これら幅狭の条片部の端部でもって、このウェブ34、および平らなロッド端部16と結合されており、且つ、クリンチング(Durchsetzfugen)によって、スナップボタンに類似の、クリンチング要素39へと形作られる。
【0013】
格子カバー13の上側の縁部成形体18のウェブ34に沿っての、垂直方向の格子ロッド15の上側の平らに押圧された端部16の固定のための、図4に従うクリンチング結合部33bの、打ち抜きによって形作られたクリンチング要素39は、突起部形状を有している。
【0014】
局部的な変形工程によって、大きな保持力を備える、解離不能なクリンチング要素が形成される。まさに、動力学的な応力のもとで、これら様式のクリンチング要素が、抵抗溶接点よりも明確に良好な支持特性を有することが判った。何故ならば、クリンチング要素が、これらクリンチング要素の耐疲労性を、比較的に高い力振幅の際に達成するからである。
【0015】
スポット溶接結合、およびクリンチング結合を用いての、液体のための冒頭に記載した様式の移送兼貯蔵容器の、格子カバーの、上側の周囲に延在する縁部成形体に沿っての、垂直方向の格子ロッドの力一体的および形状一体的な2重固定は、
これらスポット溶接結合の不全の際に、この格子カバーの上側の縁部成形体に沿っての垂直方向の格子ロッドの固定がこのクリンチング結合によって、および、
このクリンチング結合の不全の際に、この格子カバーの上側の縁部成形体に沿っての格子ロッドの固定がこれらスポット溶接結合によって保証されていることに基づく、安全保護機能を満たしている。
【0016】
記載された実施例と異なり、垂直方向の格子ロッド15が、同様に下側の端部17でもっても、スポット溶接およびクリンチング加工(Verclinchen)によって、格子カバー13の縁部成形体19に沿って固定されていることは可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】移送兼貯蔵容器の透視図である。
【図2】格子カバーの上側の縁部成形体に沿っての、図1に従う容器の、格子カバーの垂直方向格子ロッドの上側の端部の固定部の、拡大された透視図である。
【図3】縁部成形体に沿っての垂直方向の格子ロッドの固定部の、第1の実施形態を有する、図2の線III−IIIに沿った断面図である。
【図4】縁部成形体に沿っての垂直方向の格子ロッドの固定部の、第2の実施形態を有する、図3に相応する断面図である。
【符号の説明】
【0018】
1 移送兼貯蔵容器
2 内側容器
3 側壁
4 側壁
5 側壁
6 側壁
7 底板
8 天板
9 注入口
10 蓋
11 流出用接続パイプ
12 取出し管継手
13 格子カバー
14 格子ロッド
15 格子ロッド
16 端部
17 端部
18 縁部成形体
19 縁部成形体
20 台枠
21 流出溝部
22 床部
23 隅脚部
24 隅脚部
25 隅脚部
26 隅脚部
27 後方の中間脚部
28 中間脚部
29 側方の中間脚部
30 側方の中間脚部
31 架橋状の補強薄板
32 スポット溶接
33a クリンチング結合部
33b クリンチング結合部
34 ウェブ
35 切込み部
36 切込み部
37 幅狭の条片部
38 幅狭の条片部
39 クリンチング要素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体のための移送兼貯蔵容器であって、この移送兼貯蔵容器が、
4つの側壁を備え、
底板および天板を備え、
この天板に附設して形成された、閉鎖可能な注入口を備え、
この側方壁の下側の部分に附設して形成された、取出し管継手を有する流出用接続パイプを備える、合成物質から成る交換可能な内側容器のための、パレット状の台枠を有し、並びに、
この内側容器を収容するため、水平方向および垂直方向の、金属を材料にした格子ロッドを備える、格子カバーを有しており、
その際、垂直方向の格子ロッドの端部が、下側の、および上側の周囲に延在する、水平方向の、縁部成形体に溶接されている様式の、上記移送兼貯蔵容器において、
周囲に延在する、格子カバー(13)の上側の縁部成形体(18)に附設して形成されたウェブ(34)に沿っての、格子カバー(13)の垂直方向の格子ロッド(15)の平らに押圧された上側の端部(16)の、力一体的および形状一体的な固定が、
格子カバー(13)の縁部成形体(18)との、垂直方向の格子ロッド(15)の端部(16)のスポット溶接(32)、および、クリンチング結合(33a、33b)によって行われ、
その際、静力学的及び/または動力学的な力作用のもとで、
上側の縁部成形体(18)に沿っての格子ロッド固定のスポット溶接結合(32)の不全の際に、この格子ロッド固定が、クリンチング結合(33a、33b)によって行われ、且つ、
上側の縁部成形体(18)に沿っての格子ロッド固定のクリンチング結合(33a、33b)の不全の際に、この格子ロッド固定が、スポット溶接結合(32)によって達せられるように構成されていることを特徴とする移送兼貯蔵容器。
【請求項2】
周囲に延在する、格子カバー(13)の下側の縁部成形体(19)に附設して形成されたウェブ(34)に沿っての、格子カバー(13)の垂直方向の格子ロッド(15)の平らに押圧された下側の端部(17)の固定は、
スポット溶接(32)、および、クリンチング結合(33a、33b)によって行われるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
2つの幅狭の条片部(37、38)を形成するために、縁部成形体(18)のウェブ(34)内に、および、このウェブに当接する格子カバー(13)の垂直方向の格子ロッド(15)の平らな上側の端部(16)内に形成された、2つの切込み部(35、36)を備えており、
これら幅狭の条片部が、これら幅狭の条片部の端部でもって、このウェブ(34)および平らなロッド端部(16)と結合されており、且つ、打ち抜きまたはクリンチングによって、クリンチング要素(39)へと形作られていることを特徴とする請求項1または2に記載の容器。
【請求項4】
格子カバー(13)の縁部成形体(18、19)のウェブ(34)と、
垂直方向の格子ロッド(15)の3重のスポット溶接(32)が行われるように構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−55688(P2007−55688A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−222828(P2006−222828)
【出願日】平成18年8月18日(2006.8.18)
【出願人】(504119273)プロテヒナ・ソシエテ・アノニム (13)
【Fターム(参考)】