説明

液体クロマトグラフィーを用いたビタミンUの精製および分析法

【課題】試料中に含まれるVUを精製および分析する方法の提供。
【解決手段】植物由来の試料中に含まれるビタミンU(VU)を液体クロマトグラフィーにより精製する方法であって、該液体クロマトグラフィーが親水性相互作用クロマトグラフィー用カラムを用いることを特徴とする。該親水性相互作用クロマトグラフィー用カラムが、エチレン架橋型親水性相互作用クロマトグラフィー用カラムであって、好ましい該親水性相互作用クロマトグラフィー用カラムは、XBridgeTMHILICカラムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物体に含まれるビタミンU(以下、VUと記載)を、親水性相互作用クロマトグラフィー用カラムを用いた液体クロマトグラフィーにより精製する方法に関するものである。本発明はまた、VUを、親水性相互作用クロマトグラフィー用カラムを用いたLC-MSにより分析する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
VUは一部の野菜などに広く分布するビタミン様物質であり、細胞分裂の促進、タンパク質生成を活発にする働き、傷ついた組織を治癒する働きなどが知られている。特に、VUは過剰な胃酸の分泌を抑えることから、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃炎における自覚症状および他覚所見を改善する効果を有する。さらには、慢性肝疾患における肝機能を改善する効果を有することも報告されている。
【0003】
今日、このような効果をもたらすVUを医薬品などの成分として利用すべく、植物由来の試料中におけるVUを精製・分析することを目的として、様々な精製・分析法が開発されている。
【0004】
従来の精製・分析法では、VUをアミノ酸の1種として取り扱い、ポストあるいはプレカラムでVUを誘導体化して蛍光検出器等で検出している(非特許文献1,2,3)。しかしその手法には(1)誘導体化の工程が煩雑、(2)誘導体化反応の反応率を正確に把握できない、(3)液体クロマトグラフィーにおいて特殊な移動相を用いるので質量分析にて物質同定を行うことができないという欠点がある。
【0005】
また近年、アミノ酸を誘導体化せず、移動相に特殊なイオンペア試薬を用いた液体クロマトグラフ質量分析(以下、LC-MS分析と記載)法が開発されているが(特許文献1)、そのイオンペア試薬は質量分析検出器にしつこく残存し、他の分析に際して夾雑し続けるという欠点がある。
【0006】
従って、当該分野においては、VUを効率的に精製でき、かつ高感度で分析できる新たな方法が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4129511号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波事務所ホームページ、平成9年度研究成果情報野菜・茶業試験場、「キャベツのビタミンU定量法の確立とその応用」
【非特許文献2】Gun-Hee KIM, Food Sci. Technol. Res., 9 (4) 316-319, 2003
【非特許文献3】Uehara Sら、Yakugaku Zasshi, 114 (9) 697-703, 1994
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明では、VUを誘導体化せず、インタクトの状態で精製し、さらにLC-MS分析できる手法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討した結果、VUの精製の際に利用する液体クロマトグラフィーにおいて、カラムとして親水性相互作用クロマトグラフィー用カラムを使用し、試料中に含まれるVUを誘導体化することなく、インタクトな状態にて分析できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1] 植物由来の試料中に含まれるビタミンU(VU)を液体クロマトグラフィーにより精製する方法であって、該液体クロマトグラフィーが親水性相互作用クロマトグラフィー用カラムを用いることを特徴とする、上記方法。
[2] 親水性相互作用クロマトグラフィー用カラムが、エチレン架橋型親水性相互作用クロマトグラフィー用カラムである、[1]の方法。
[3] 親水性相互作用クロマトグラフィー用カラムが、XBridgeTM HILIC カラムである、[1]または[2]の方法。
【0012】
[4] 液体クロマトグラフィーの移動相にpH 4.0〜5.5の酢酸アンモニウム緩衝液を用いる、[1]〜[3]のいずれかの方法。
[5] [1]〜[4]のいずれかの方法によりVUを精製した後に質量分析により分析する、VUのLC-MS分析方法。
[6] さらに、同じ条件下で分析標品を分析して作成された検量線を用いて試料中のVUを定量することを含む、[5]の方法。
[7] 植物由来の試料において内部標準物質としてL-オルニチンを用いる、[6]の方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明による方法によって、植物由来の試料中に含まれるVUを効率的に精製および分析することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、VUの構造式を示す図である。
【図2】図2は、VUのLC-MS分析において内部標準として利用するL−オルニチンの構造式を示す図である。
【図3】図3は、(A)VUおよび(B)L−オルニチンの検量線(LC-MS定量分析系)を示す図である。
【図4】図4は、標品(VUおよびL−オルニチン)のLC-MSクロマトグラムを示す図である。
【図5】図5は、試料中のVUおよびL−オルニチンのLC-MSクロマトグラムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、植物由来の試料中に含まれるVUを液体クロマトグラフィーにより精製する方法に関する。
【0016】
VUは、メチルメチオニンスルホニウムクロライドの別称であり、アミノ酸の一種メチオニンの誘導体の構造を持つビタミン様物質である。図1に示すように、アミノ酸の1種であるメチオニンのS原子にさらにメチル基が付加したスルホニウムイオン(S)構造を有しており、高い極性を有する化合物である。
【0017】
VUを含む植物としてはキャベツ、レタス、アスパラガス、パセリ、セロリ、ブロッコリー、アオノリなどが挙げられるがこれらに限定されない。本発明において「植物由来の試料」とは、これら植物の果実、根、茎、および葉の少なくとも1つ以上を材料とし、これらを当業者に一般的な破砕手段、例えばジルコニアビーズ、ミキサーミル等、を用いてすりつぶして得られる植物由来の抽出液および抽出物を指す。
【0018】
VUの精製に際しては、各種液体クロマトグラフィーを単独でまたは二以上を組み合わせて使用することが可能であるが、好ましくは親水性相互作用型クロマトグラフィーを用いる。親水性相互作用型クロマトグラフィーは、移動相に水系の移動相を用いることができるために、有機溶媒には溶解しないような高極性の化合物も溶解でき、また生理活性などを損なうことなく標的化合物を得ることができるという特徴を有し有利である。
【0019】
液体クロマトグラフィーに用いるカラムは、使用する液体クロマトグラフィーの方法に応じて適宜選択することが可能であるが、好ましくは親水性相互作用クロマトグラフィカラムを利用する。親水性相互作用クロマトグラフィカラムは逆相クロマトグラフィーでは保持できないような極性の高い化合物を精製することができ有利である。このようなカラムとしては、XBridge(商標)HILIC(Waters社)、COSMOSIL(商標)HILIC(ナカライテスク)、Develosil ANDIUS(野村化学)、Wakopak(商標)Wakosil-II 5SIL-AQ(昭和電工)、PC HILIC(資生堂)、NUCLEODUR HILIC(ケムコ)およびZIC(商標)-HILIC(Merck)等が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、XBridge(商標)HILIC(Waters社)のカラムを用いる。XBridge(商標)HILIC(Waters社)カラムは基材であるシリカゲルにエチレン架橋処理が施されており、物理化学的な強度が高い。また上記親水性相互作用クロマトグラフィカラムのいくつかの製品は基材に親水基を結合させているのに対し、XBridge(商標)HILIC(Waters社)カラムは、基材そのものを充填剤にしたシンプルなカラムであり、再現性が高い。
【0020】
液体クロマトグラフィーの移動相には、水系溶媒と有機溶媒とを用いることができる。
用いられる水系溶媒としては、揮発性の緩衝液、例えば、酢酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム等を用いることができるが、これらに限定されない。移動相に揮発性の緩衝液を用いると液体クロマトグラフィーにより精製した試料を質量分析に供する場合に、試料中に当該緩衝液が残留しないために都合が良い。
【0021】
緩衝液の濃度は、5〜20mM、好ましくは5〜15mM、さらに好ましくは10mMである。
水系溶媒として好ましくは、酢酸アンモニウム緩衝液を用いる。特に、pH4.0〜5.5、好ましくはpH4.5〜5.0、さらに好ましくはpH4.76付近、特に好ましくはpH4.76の酢酸アンモニウム緩衝液を用いる。
【0022】
水系溶媒は有機溶媒の水溶液を含んで調製され得る。好ましくは有機溶媒の30〜70%、より好ましくは40〜60%、特に好ましくは50%水溶液を含む。有機溶媒の水溶液としては、例えば、メタノール水溶液、エタノール水溶液、テトラヒドロフラン(THF)水溶液、アセトニトリル(MeCN)、プロパノール水溶液等を用いることができるが、これらに限定されない。好ましくは、MeCN水溶液を用いる。
【0023】
本明細書中において、特記しない限り、MeCN水溶液など有機溶媒の水溶液を含んで調製される水系溶媒および酢酸アンモニウム緩衝液も「水系溶媒」および「酢酸アンモニウム緩衝液」と記載される。
【0024】
移動相に用いられる有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル(MeCN)、プロパノール等を用いることができるが、これらに限定されない。好ましくは、MeCNを用いる。
【0025】
VUは、移動相に水系溶媒と有機溶媒を用いて、アイソクラティック法により溶出しても良いし、グラジェント法により溶出しても良いが、操作が簡便なアイソクラティック法により溶出するのが好ましい。
【0026】
アイソクラティック法においては、水系溶媒と有機溶媒、好ましくは酢酸アンモニウム緩衝液とMeCNとを、85〜95:5〜15、好ましくは90:10の割合で、適宜用いる。好ましくは酢酸アンモニウム緩衝液とMeCNとを90:10の割合で用いる。
【0027】
液体クロマトグラフィーは市販のHPLC装置を用いて行うことができ、カラムの平衡化や流速はカラムサイズや試料の容量によって適宜設定することができる。
【0028】
液体クロマトグラフィーを行い、得られた画分は、後述の質量分析やUVまたは多波長検出器等を用いて分析することができる。
【0029】
植物由来の試料は、液体クロマトグラフィーに付す前に、予め以下の前処理を行い粗精製しても良い。
【0030】
植物由来の試料は、所望のVUに加え、様々な高分子夾雑物(デンプン、タンパク質、セルロース等)を含有する。したがって、VUを効率的に精製かつ高精度に分析するために、試料中に含まれる高分子夾雑物を除去し、VUを粗精製および洗浄する必要性があり得る。
【0031】
高分子夾雑物を除去する方法としては、当業者にとって一般的な方法、例えば、アルコール沈殿法を用いても良い。アルコールは、エタノールまたはメタノール等を用いることができる。
【0032】
また、植物由来の試料を固相抽出処理に供しても良い。固相抽出処理は当業者にとって一般的な方法によって行うことができ、植物体に由来する試料をすりつぶし、抽出液を固相抽出処理に付す。
【0033】
試料を効率的にすりつぶすために、ジルコニアビーズ、ミキサーミルなどの一般的な破砕手段を用いても良い。
【0034】
固相抽出には、逆相クロマトグラフィー用固定相、イオン交換クロマトグラフィー用固定相などを広く用いることができる。固定相としては、強陽イオン交換性の樹脂が好ましく、例えば、SO3基を有する充填剤が好ましい。あるいは、同じく強陽イオン交換性樹脂であるOasis(登録商標) MCX(Waters社)を用いても良い。固相抽出時の溶出液としてはアンモニウム溶液およびMeCNの混合液を用いることができる。
【0035】
液体クロマトグラフィーにより精製した画分は、さらに質量分析に付すことができる。この場合、液体クロマトグラフィーと質量分析を連結した手法であるLC-MS法により行えばよい。本発明は上記の条件で液体クロマトグラフィーによりVUを精製した後、質量分析を行う、VUのLC-MS分析法を包含する。
【0036】
質量分析は、単収束扇形磁場型質量分析法、二重収束扇形磁場型質量分析法、四重極型質量分析法、四重極イオントラップ型質量分析法、飛行時間型質量分析法、イオンサイクロトロン型質量分析法(フーリエ変換型質量分析法)などを用いて行うことができる。
【0037】
質量分析において試料をイオン化させる方法としては、EI(electron ionization:電子イオン化)法、CI(chemical ionization:化学イオン化)法、DEI(desorption electron ionization:脱離電子イオン化)法、DCI(desorption chemical ionization:脱離化学イオン化)法、FAB(fast atom bombardment:高速原子衝撃)法、FRIT-FAB(FRIT-fast atom bombardment:フリット高速原子衝撃)法、ESI(electrospray ionization:エレクトロスプレーイオン化)法、MALDI(matrix-assisted laser desorption ionization:マトリックス支援レーザー脱離イオン化)法を用いることができる。
【0038】
質量分析における諸条件については、以下の実施例に具体的に記載するが、これらの条件に限定されるものではない。当業者であれば分析対象となるVUに応じて、適宜条件を設定することが可能である。
【0039】
LC-MS法を用いてVUの分析標品を分析し、当業者にとって一般的な方法に従って検量線を作成することが可能である。そして作成した検量線を用いて植物由来の試料中に含まれるVUを定量分析することが可能である。定量分析に際しては、抽出からLC-MSインジェクトまでに至る一連の操作効率を見定め、さらにUVランプやWランプの時間劣化、およびMS検出器の検出レベルの状態を把握し、補正をほどこすと分析精度が上がる。この目的で使われるのが内部標準物質である。内部標準物質の選定基準は、(1)目的とする分析対象試料に含まれない、(2)安定性がよい、(3)分析対象物質とほぼ同じ物性を有し、検出特性が分析ターゲット物質と大きく変わらない、(4)移動相溶媒に対する溶解度が充分である、(5)公知の物質である必要がある。精製標品または市販標品に関わらず、その条件を満たす物質であれば用いることが可能である。
【0040】
VUの分析系においては、側鎖にアミン構造を有し、植物に含まれないアミノ酸であるL-オルニチン(図2参照)等を内部標準物質として利用することが可能である。L-オルニチンを利用することによって、定量分析の信頼性を顕著に高めることができる。
【0041】
本発明方法においては、HPLCに汎用されるサイズのカラムを用いることができるため、本条件はこのままUVまたは多波長検出器による分析にも使用することができる。
【0042】
本発明方法は、検査対象となる植物由来試料の調製が容易であり、また短時間に多量の植物由来試料を高感度・高精度で一斉に分析することを可能とする。そのため本発明方法は、多VU含有植物系統の選抜・育種を目的とした交配後代の網羅的分析等に用いることができる。
【実施例】
【0043】
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0044】
(実施例1)カーボロネーロ(ケール)に含まれるVUの精製および分析
1. 試料の調製
カーボロネーロの葉(約100 mg FW)に50%MeCN aq. 990μLおよび内部標準としてL-オルニチン10μg/10μLを添加し、ミキサーミルで破砕した(1/25 sec, 5 min, 4℃)。得られた破砕物を遠心分離(10,000 rpm, 5 min)に供した後、上清5μLを分取し、これを試料として、以下の条件でLC-MSに用いた。LC-MS装置は、LCMS-2010EV(島津製作所)を用いた。
【0045】
2. LC-MS条件
(i)LC条件
LC系には、親水性相互作用クロマトグラフィー用カラム(XBridge HILIC(φ2.1×150 mm, Waters社))を採用した。移動相には、移動相A:10 mM酢酸アンモニウム水in 50%MeCN aq. (pH 4.76)および移動相B:MeCNを、上記試料溶媒についてA:B=90:10の割合でアイソクラティック条件で用いた。その他の条件は以下のものを用いた:
流速:0.2 mL/min
カラムオーブン:40℃
【0046】
(ii)MS条件
MS条件は以下のものを用いた。
検出法:SIMモード
m/z:133(L-オルニチン)、164(VU)
MS検出:ポジティブイオンモード
イオン化法:ESI
イベント時間:1 sec
検出器電圧:1.5 kV
分析時間:5 min
【0047】
3. 標品L-オルニチンおよびVUを使っての検量線作成
L(+)−オルニチン塩酸塩(和光純薬)およびDL-メチルメチオニンスルホニウムクロライド(東京化成)をそれぞれ50%MeCN aq.に溶解した(それぞれ1mg/mL溶液)。当該溶液を次いで、50%MeCN aq.を用いて段階的に10倍希釈後、LC-MSに供して検量線を作製した。
【0048】
L-オルニチンおよびVUのそれぞれについて作成した検量線を図3に示す。
VUは0.2〜200ngの範囲で良好な直線性を示した(図3(A))。
【0049】
一方、L-オルニチンは内部標準検出領域である10〜50ngの範囲で良好な直線性を示した(図3(B))。
標品L-オルニチンおよびVUを用いての典型的クロマトグラムを図4に示した。
【0050】
4. L-オルニチンを内部標準としたカーボロネーロ中のVUのLC-MS分析
上記1.にて調製した葉に由来する試料の5μLを上記条件を用いたLC-MS系にインジェクトした。
【0051】
内部標準L-オルニチンの回収率は76〜95%と良好であった。L-オルニチンの定量値で補正を行い(理論値:50ng)、試料に含まれるVUの量を上記検量線を用いて定量し、試料100 mg(FW)あたりに含まれる量として算出した。
【0052】
葉由来の試料を用いたLC-MS分析の結果、葉100 mg(FW)あたりに含まれるVUの量は100〜150μgと算出された。これは既報キャベツの含有量の約25〜40倍に匹敵する。当該分析における典型的クロマトグラムを図5に示す。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明により、植物体などの試料中よりVUを精製するために従来的に行われていた誘導体化反応の工程や移動相に特殊なイオンペア試薬を用いることなくVUを精製しLC-MS分析に供することが可能であり、簡便かつ短時間で精製することができ、また適切な内部標準を利用することにより精度の高い分析を行うことができる。したがって本発明は、高感度・高精度を維持しつつ多サンプルを検定することが可能でるために、多数サンプルの一斉分析が可能であり、多VU含有植物系統の選抜・育種を目的とした交配後代の網羅的分析等に大いに貢献するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物由来の試料中に含まれるビタミンU(VU)を液体クロマトグラフィーにより精製する方法であって、該液体クロマトグラフィーが親水性相互作用クロマトグラフィー用カラムを用いることを特徴とする、上記方法。
【請求項2】
親水性相互作用クロマトグラフィー用カラムが、エチレン架橋型親水性相互作用クロマトグラフィー用カラムである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
親水性相互作用クロマトグラフィー用カラムが、XBridgeTMHILIC カラムである、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
液体クロマトグラフィーの移動相にpH 4.0〜5.5の酢酸アンモニウム緩衝液を用いる、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法によりVUを精製した後に質量分析により分析する、VUのLC-MS分析方法。
【請求項6】
さらに、同じ条件下で分析標品を分析して作成された検量線を用いて試料中のVUを定量することを含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
植物由来の試料において内部標準物質としてL-オルニチンを用いる、請求項6記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−95165(P2011−95165A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250895(P2009−250895)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000253503)キリンホールディングス株式会社 (247)
【Fターム(参考)】