説明

液体スティック自動包装機における充填ノズル

【課題】液だれ防止を図りつつ価格を安くして、しかも維持メンテナンスにおいても容易に対応できる充填ノズルを提供する。
【解決手段】一度に複数本の液体スティック包装袋を連続的にシール成形できる自動包装機の充填ノズルにおいて、粘度を有する液体被包装材料(内容物)の供給口22と自動包装機本体からの充填タイミングに合わせて供給開始若しくは供給停止の制御を行う電磁弁21と液体被包装材料(内容物)を通す充填ノズルパイプ23と充填ノズル先端部分に吐出口機構24とが備えられており、この吐出口機構24にはノズルパイプ内径より小さな穴28が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装フィルム(包材)を用いて液体の被包装材料(内容物)を自動的に充填包装する自動包装機の技術分野に属するものであって、具体的には、包装フィルムを断面略円筒状にフォーミングして液体スティック包装袋を形成する多列自動包装機における充填ノズルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、一度に複数本のスティックタイプの包装袋を連続的にシール成形できるように構成した多列自動充填包装機が存在している。これは複数本に切断された包装フィルムの各々を多列式に構成した各フォーマーパイプの周囲に巻装して円筒状にフォーミングした後、縦ヒートシーラによって包装フィルムの合わせ目を縦シールし、次いで、横シール及び被包装材料の充填、カットと言った各種の工程を経て、スティック状の包装袋が多列式に、且つ連続的にシール成形される仕組みになっている。
【0003】
上記のような多列スティックタイプ自動充填包装機において、液体の内容物を充填する場合は長尺のノズル等を用いて液体の内容物をスティック状の包装袋内に導くようにしている。そして、このような充填ノズルには下記特許文献1、特許文献2に開示されているように、液だれ防止のために充填ノズル先端部分にシャッター機構やスリット弁機構が設けられている。
【特許文献1】特開平6−135416号公報
【特許文献2】特開平8−282630号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のような充填ノズルにおいては、以下のような問題点が存在する。(1)充填ノズルの液体供給口に設けた電磁弁による液体供給停止機構と、これに連動する充填ノズル先端部分のシャッター機構とを有するため、構成部品が多くなり、充填ノズル全体の価格が高くなっていた。
(2)また上記のような二つの液体供給停止機構を有する複雑な構造のため、充填内容物の変更時や定期点検時の分解掃除における手間がかかり、維持メンテナンスの労力やコストが高くなっていた。
(3)更に充填ノズル先端部分にシャッター機構やスリット弁機構を設けた場合強制的に充填ノズル吐出口を閉鎖するため、吐出口の液面安定性は不安定となり易く、液だれ防止効果は完全ではなかった。このため、通常は充填ノズル先端部分のシャッター機構やスリット弁機構と共に液体供給機構のポンプ等を逆転制御する手段を併用していた。
(4)また充填ノズル先端部分にゴム等の弾性体によるスリット弁機構を設けた場合はゴム等の弾性体の劣化に伴う脱落事故発生の恐れがあり、この場合充填ノズル先端部分は包装袋内に挿入されているため、上記脱落部分による異物混入が問題となってしまう。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、液だれ防止を図りつつ価格を安くして、しかも維持メンテナンスにおいても容易に対応できる充填ノズルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記の課題を解決するためになされた本発明は、包材ロールより引き出された包装フィルムを複数本に切断した後、切断された包装フィルムの各々を多列に構成した各フォーマーパイプの周囲に巻装して円筒状にフォーミングする工程と、この円筒状の包装フィルムに対して縦シール装置と横シール装置によってスティック状にシール形成する工程と、このスティック状の包装袋内に充填ノズルを用いて粘度を有する液体被包装材料(内容物)を充填する工程と、この充填された包装袋の内容物注入口を前記横シール装置によって封止すると共にこの包装袋を下方に送る工程と、この送られた包装袋の横シール中央付近をカッター装置で切離して個別包装袋とする工程とを連続的に繰り返してシール包装するように構成した液体スティック自動包装機において、前記充填ノズルの先端部分にノズルパイプ内径より小さな吐出口を具備させる。
【0007】
(2)また本発明における充填ノズル先端部分の吐出口は、液体被包装材料(内容物)の粘度に合わせて交換可能の構造を具備させる。
【0008】
(3)また本発明における充填ノズル先端部分の吐出口の口径は、液体被包装材料(内容物)の粘度が高い場合は予め設定された口径より大きくし、液体被包装材料(内容物)の粘度が低い場合は予め設定された口径より小さくすること具備させる。
【0009】
上記(1)、(2)、(3)で述べた液体スティック自動包装機の充填ノズルによれば、ノズル先端部分に表面張力を強調する小さな吐出口を設けることと、被包装材料(内容物)が粘度を有することにより液だれ防止を図ることができる。また、充填ノズル先端部分は単純な穴構造のため価格が安く、維持メンテナンスにおいても容易に対応することができる。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明によれば、以下の利点を備えているという優れた効果を奏する。
(1)充填ノズルにおける駆動部分は、液体供給口に設けた電磁弁による液体供給停止機構のみであり、充填ノズル先端部分は表面張力を強調した穴構造のため、構成部品が少なく、充填ノズル全体の価格を安くすることができる。
(2)また上記のような単純な構造のため、充填内容物の変更時や定期点検時の分解掃除における手間がかからなくなり、維持メンテナンスの労力やコストを低くすることができる。
(3)更に充填ノズル先端部分の吐出口の液面は表面張力により安定性が高く、液だれ防止効果を高めることができる。
(4)また充填ノズル先端部分において、シャッター機構やゴム等の弾性体によるスリット弁機構を設けていないため、部品脱落による異物混入の可能性を低くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に本発明に係る液体スティック多列自動包装機における充填ノズルの実施の形態を図面と共に説明する。図1と図2は本発明を実施した液体スティック多列自動包装機の正面図と側面図である。図1に示すように、これらの図面において各々符号1で全体的に示した自動包装機は、一度に複数本の液体スティック包装袋を連続的にシール成形できるように構成されている。
【0012】
即ち、図1と図2において、1Fは本体フレーム、2は被包装材料(内容物)を収容したホッパー、3はホッパー2の下側に多列並設され、ホッパー2から供給される被包装材料を充填ノズルに供給するポンプ装置、4は充填ノズル、5は複数の充填ノズルをまとめて保持し、この複数の充填ノズルを横シール動作の上下運動に合わせて上昇並びに下降制御する充填ノズル上下機構、6はスリットされて幅が狭くなった複数条の包装フィルムF’を略U字形状にフォーミングする製袋ガイドローラ、7は略U字形状にフォーミングされた包装フィルムを巻き付けて略円筒状にするフォーマーパイプ、8は縦シール装置、9はその下に設けた横シール装置、10はカッター装置、11は操作パネルボックス、12は自動包装機の運転状態やアラーム警報等を示する表示/警報ランプである。
【0013】
図2において、FHは幅の広い包装フィルム(包材)を巻いたロール、FはこのロールFHから引き出された幅の広いフィルム、FXはこの幅の広いフィルムFを上記フォーマーパイプ4の列数に合わせて幅の狭い複数条の包装フィルムF’にスリットするスリッター装置である。そして上記横シール装置8の上下運動に従って順次下方に引き出された各包装フィルムF’は製袋ガイドローラ6によって略U字形状に成形され、その後各フォーマーパイプ7の周囲を包むように略円筒状にフォーミングされる仕組みになっている。
【0014】
そして、上記縦シール装置8の縦ヒートシーラによって各包装フィルムF’の開放両端同士を挟み込んで縦シールして、各包装フィルムF’を略円筒状にシール成形する。
【0015】
更に、この包装フィルムF’を下側の横シール装置9で横シールした後、上記フォーマーパイプ7の内部を貫通している充填ノズル4を通して各包装フィルムF’の内部に被包装材料(内容物)を充填し、然る後に、横シール装置9により挟持したまま1包装袋分下方に作動させて包装フィルムF’の引き出しを行うと共に、この横シール装置9を上方に復動させて再度横シールを行うことによって、スティック包装袋を多列式にシール成形できるものであって、上記の動作を連続して繰り返し行い、且つ各横シールの中央部分をカッター装置10で上下に切断することにより、一度に多数本のスティックタイプ包装袋を連続的にシール成形できるように構成されている。
【0016】
図3は、本発明の液体スティック多列自動包装機における充填ノズル1本分の全体側面図である。図3に示すように、充填ノズル4には粘度を有する液体の被包装材料(内容物)の供給口22が設けられており、ポンプ装置3と接続されてホッパー2からの被包装材料(内容物)が充填ノズル内に注入される。そして、この供給口22は次の電磁弁21に連結された構成となっており、この電磁弁21は注入された被包装材料(内容物)を自動包装機本体からの充填タイミングに合わせて供給開始若しくは供給停止の制御を行っている。
【0017】
電磁弁21を経由した被包装材料(内容物)は、長尺の充填ノズルパイプ23内を流れ、先端部分の吐出口機構24より包装袋内に充填される。なお、電磁弁21には自動包装機本体からの開閉制御信号と接続される端子20が設けられている。
【0018】
図4は、充填ノズル4における先端部分を拡大したものであり、吐出口機構24の構造を説明するために一部分解した側面図である。また、図5は、吐出口機構24を下から見た下面図である。図4に示すように、充填ノズルパイプ23の先端部分には吐出口機構24を螺動固定できるネジ切り部25が設けられている。図4においてはネジ切り部25の直下に分解された吐出口機構24が図示されているが、液体スティック多列自動包装機にこの充填ノズルが装着された場合は、上記吐出口機構24はネジ切り部25にネジ止めされることになる。このように吐出口機構24は充填ノズルパイプ23に対して任意に取り付け並びに取り外し自在の構造になっている。
【0019】
図4、図5に示すように、吐出口機構24は外観略円筒形を有しており、同じく断面円形の充填ノズルパイプ23に段差なく装着される。そして、吐出口機構24の下部には円形の穴28が開いており、穴28から液体の被包装材料(内容物)が包装袋内に放出される。そして、この穴28は充填ノズルパイプ23の内径26よりも小さな穴構造を有しており、内径26と穴28との間は吐出口機構24内の斜面27により連続する構造になっている。このような構造を有することと被包装材料(内容物)が粘度を有することにより、充填ノズル4の電磁弁が閉鎖されて液体の被包装材料(内容物)の供給が停止された場合、充填ノズル内の液体も流動停止となって吐出口機構24の穴28部分において液体カット(液体遮断)が行われることになる。そして、穴28は充填ノズルパイプ23の内径26よりも小さな穴構造を有しているため、一旦液体カットが行われると穴28における表面張力が働いて液面が安定し、これ以上の液体吐出が自動的に停止することになる。このため液だれ現象の発生を抑えることが可能となり、充填ノズル先端部分における特別なシャッター機構やスリット弁機構を不要とすることができる。
【0020】
また、上記吐出口機構24における穴28の大きさは、液体被包装材料(内容物)の粘度に応じて決められており、粘度の高い液体の場合は予め決められた大きさの穴より大きく設計し、粘度の低い液体の場合は予め決められた大きさの穴より小さく設計して表面張力による液面安定性を確保するようにしている。
【0021】
以上、図4並びに図5によって説明された本発明は、充填ノズル先端部分に表面張力を強調した穴構造を有することにより、液だれ防止を図りつつ価格を安くして、しかも維持メンテナンスにおいても容易に対応できる充填ノズルを提供することができる。
【0022】
なお、本実施の形態では、充填ノズルパイプ23並びに吐出口機構24の断面形状が略円形を有している場合で説明したがこれに限るものではなく、スティック包装袋の断面形状に合わせて充填ノズルパイプ23並びに吐出口機構24の断面形状は略楕円形等の任意の形状を採用することができる。
【0023】
また、吐出口機構24の穴28の形状も略円形を有している場合で説明したがこれに限るものではなく、穴28の形状はここで発生する表面張力を強調できる形であればよく、略楕円形状、略星型形状、略十字形状等の任意の形状を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明を実施した液体スティック多列自動包装機の正面図である。
【図2】本発明を実施した液体スティック多列自動包装機の側面図である。
【図3】本発明の液体スティック多列自動包装機における充填ノズル1本分の全体側面図である。
【図4】本発明の充填ノズル4における先端部分を拡大したものであり、吐出口機構24の構造を説明するために一部分解した側面図である。
【図5】本発明の吐出口機構24を下から見た下面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 自動包装機
1F 本体フレーム
2 ホッパー
3 ポンプ装置
4 充填ノズル
5 充填ノズル上下機構
6 製袋ガイドローラ
7 フォーマーパイプ
8 縦シール装置
9 横シール装置
10 カッター装置
11 操作パネルボックス
12 表示/警報ランプ
F 包装フィルム
FH 包装フィルムを巻いたロール
FX スリッター装置
20 端子
21 電磁弁
22 供給口
23 充填ノズルパイプ
24 吐出口機構
25 ネジ切り部
26 充填ノズルパイプ23の内径
27 吐出口機構24内の斜面
28 吐出口機構24の穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包材ロールより引き出された包装フィルムを複数本に切断した後、切断された包装フィルムの各々を多列に構成した各フォーマーパイプの周囲に巻装して円筒状にフォーミングする工程と、この円筒状の包装フィルムに対して縦シール装置と横シール装置によってスティック状にシール形成する工程と、このスティック状の包装袋内に充填ノズルを用いて粘度を有する液体被包装材料(内容物)を充填する工程と、この充填された包装袋の内容物注入口を前記横シール装置によって封止すると共にこの包装袋を下方に送る工程と、この送られた包装袋の横シール中央付近をカッター装置で切離して個別包装袋とする工程とを連続的に繰り返してシール包装するように構成した液体スティック自動包装機において、
前記充填ノズルの先端部分にノズルパイプ内径より小さな吐出口を設けたことを特徴とする液体スティック自動包装機。
【請求項2】
前記充填ノズル先端部分の吐出口は、液体被包装材料(内容物)の粘度に合わせて交換可能の構造を有することを特徴とする請求項1記載の液体スティック自動包装機。
【請求項3】
前記充填ノズル先端部分の吐出口の口径は、液体被包装材料(内容物)の粘度が高い場合は予め設定された口径より大きくし、液体被包装材料(内容物)の粘度が低い場合は予め設定された口径より小さくすることを特徴とする請求項1と請求項2記載の液体スティック自動包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−8194(P2006−8194A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−189211(P2004−189211)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(596092595)三光機械株式会社 (102)
【Fターム(参考)】