液体ポンプ
【課題】高い吐出揚送圧力を必要とする高揚程または長距離揚送等の運転や長期間の運転停止による逆流等がある場合においても、異物の噛み込みがなくポンプ効率をあまり低下させることない、低コストで故障が少なくメンテナンス性に優れたクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプを提供する。
【解決手段】ポンプケーシング5内にクローズド羽根車6を装着し、該羽根車6の吸込側端面7sfと異物通過溝10が刻設された該ケーシング5の吸込側端面5sfを狭小な隙間G1を介して対向させ、該隙間G1よりも広く揚水流路5pの底面5bf内周面と該羽根車6の側板外周面間を環状隙間G2に形成し、該側板外側面7oと該ケーシングの内側壁部5i間に異物通過溝10の外周端に誘導するよう下り勾配に傾斜した循環流路11に形成することで、循環流路11内から異物通過溝10を経由して低圧の吸込流路SPへ異物を吸引排出するように構成する。
【解決手段】ポンプケーシング5内にクローズド羽根車6を装着し、該羽根車6の吸込側端面7sfと異物通過溝10が刻設された該ケーシング5の吸込側端面5sfを狭小な隙間G1を介して対向させ、該隙間G1よりも広く揚水流路5pの底面5bf内周面と該羽根車6の側板外周面間を環状隙間G2に形成し、該側板外側面7oと該ケーシングの内側壁部5i間に異物通過溝10の外周端に誘導するよう下り勾配に傾斜した循環流路11に形成することで、循環流路11内から異物通過溝10を経由して低圧の吸込流路SPへ異物を吸引排出するように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異物等が混入しる液体の汚水を対象とした、クローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプにおいて、特に液体に水没させて使用される水中電動ポンプの異物等の通過性に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水中モータポンプでありJIS B 0131の用語の番号1414に定義された従来の汚物ポンプでは、ポンプケーシング内に内装されポンプ軸の導出端に装着された、クローズド羽根車の吸込側にポンプケーシング側と隙間を隔てて対向する、断面状形をL形として水平板の対向面側に複数枚から成る羽根部を形成させたウエアリングを装着し、該羽根部の遠心作用によりポンプケーシング内の圧力側から該対向面の部分への逆流を防止することで、上記間隙を大きくすることなく異物閉塞とポンプ効率の低下を防止するよう構成された水中電動ポンプは公知である(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、立軸軸流ポンプの軸流形羽根車のハブから張設された羽根(翼)外周の縁部とケーシング内周との環状隙間が、該羽根(翼)の縁部が出口側ほどケーシングの内周面から離間するように形成させることで、上記羽根車の回転によってケーシング内に吸い込んだ被駆動流体は旋回流となってケーシング内を流動し、被駆動流体に含まれた異物が旋回流により遠心力を受けてケーシングの内周面側に移動するので、上記羽根の縁部とケーシングの間に入り込んだ異物は、羽根の縁部が出口側ほどケーシングの内周面から離間しているので、羽根車の出口側へ容易に移動し、異物を速やかに通過させることができるので、上記環状隙間への異物の咬み込みが防止されケーシングの損傷や過負荷による駆動装置のトリップが防止される反面、羽根縁部の出口側では異物の通過と共に揚水の漏れ量が多くなるので、ポンプの揚水性能が低下する立軸軸流ポンプの構成も公知である(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
更にまた、水中モータポンプでありJIS B 0131の用語の番号1325に定義された従来のブレードレスポンプでは、ポンプケーシング内に内装されポンプ軸の導出端に装着された、クローズド羽根車の側板外周面と対向するケーシングの内壁面の双方の水平方向の平面が略面一の段差のない状態で狭小な環状隙間を介して遊嵌されると共に、羽根車の側板の外側面とケーシングの側壁部との間の対向空間部を階段状の隙間に形成させ、羽根車の側板の下端外周面と狭小な環状隙間を介してケーシングの下端内周面に遊嵌させることで流体シールの役割を果たすように、上記階段状の隙間に形成された対向空間部内への異物の侵入を防止するよう構成された水中電動ポンプは公知である(例えば、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭61−140197号公報 (第1−3図)
【特許文献2】実開平7−10496号公報 (第1−5図)
【特許文献3】特開2005−240764号公報 (第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の水中モータポンプである従来の汚物ポンプにおいては、ポンプケーシングの揚水流路(高圧側)と吸込流路(低圧側)との圧力差により、静止しているポンプケーシングのマウスリングと回転する羽根車に付設された断面状形をL形としたウエアリングとの対向隙間部への異物侵入を防止するために、該対向間隙部の入口側のウエアリングの水平板に複数枚からなる羽根部を別途設けて、遠心作用による強制対向流によって該対向間隙部の入口への異物侵入を防止するために、該複数枚の羽根部の旋回に伴い別途負荷動力が必要であると共に、該強制対向流の発生に伴う吸水作用によって、上記とは逆に吸込流路(低圧側)の対向間隙部の出口側からの吸水に伴う異物侵入の噛み込みや閉塞等による羽根車の拘束(ロック)や過度の磨耗および振動や騒音の発生する危険性を有することに加えて、本来の羽根車の通水路を経由することなくポンプケーシングの揚水流路への漏水によるポンプ性能の低下により、ポンプ性能が低く負荷動力が大きいことから必然的にポンプ効率も低くなるという欠点があった。
【0007】
また、特許文献2の立軸軸流ポンプにおいては、羽根の縁部とケーシングの間に入り込んだ異物は、羽根の縁部が出口側ほどケーシングの内周面から離間しているので、羽根車の出口側へ容易に移動し、異物を速やかに通過させて異物の咬み込みが防止される反面、揚水性能に重要な部位である羽根縁部の出口側では異物の通過と共に揚水の漏れ量が多くなるので、ポンプの揚水性能が低下してポンプ効率が悪くなるという欠点があった。
【0008】
更にまた、特許文献3の水中モータポンプである従来のブレードレスポンプにおいては、クローズド羽根車の側板外周面と対向するケーシングの内壁面の双方の水平方向の平面を略面一として、階段状の隙間に形成された羽根車の側板の外側面とケーシングの側壁部との間の対向空間部と、羽根車の側板の下端外周面と狭小な環状隙間を介してしてケーシングの下端内周面に遊嵌させる流体シールによって、該記階段状の隙間に形成された対向空間部内への異物の侵入を防止しているが、高い吐出揚送圧力を必要とする高揚程または長距離揚送等の運転時や運転停止時の逆流等により上記対向空間部内への異物の侵入を完全に阻止することはできないことから、排出機構を有しない袋小路状の該対向空間部内に集積された異物によって、階段状の隙間に異物が噛み込まれて閉塞することによる、羽根車の拘束(ロック)や過度な磨耗および振動や騒音の発生の危険性を有しており、上記異物除去清掃のために労力の掛かる煩わしい分解・組立て作業を頻繁にしなければならず、保守費用が嵩むという欠点があった。
【0009】
そこで、本発明は上記問題点を鑑み、高い吐出揚送圧力を必要とする高揚程または長距離揚送等の運転や長期間の運転停止による逆流等がある場合においてもポンプ効率をあまり低下させることなく、低コストで製作でき、かつ異物の噛み込みや異物が堆積しての羽根車拘束(ロック)、磨耗性粒子の滞留による過度な磨耗が無いとともに不必要な異物除去清掃に係る分解・組立て作業等の保守費用が発生せず、異物による振動や騒音の発生しないクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために本発明の請求項1に係る発明は、クローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプにおいて、ポンプケーシング内に内装されたクローズド羽根車をポンプ軸の導出端に装着し、クローズド羽根車の側板のポンプ軸導出方向の端面と異物通過溝が刻設されたポンプケーシングの吸込側端面を狭小な隙間を介して対向させた、該両端面の内周に吸水用の吸込口を開設させて吸込流路を形成し、該吸込流路からの吸水はクローズド羽根車内の通水路を経由して、該通水路の終端開口部であるクローズド羽根車の外周から該羽根車の側板および主板外周面を遊嵌して囲繞するポンプケーシング内の揚水流路に吐出され、該揚水流路の終端開口部であるンプケーシングの吐出口から排水されるように構成されており、上記ポンプケーシングの吸込側端面の間隙よりも広くなるように該揚水流路の底面内周面に遊嵌されて対向するクローズド羽根車の側板外周面との間を環状隙間に形成し、該環状隙間から吸込まれた異物をポンプケーシングの吸込側端面に刻設された異物通過溝に導くために、該異物通過溝の外周端をクローズド羽根車の側板のポンプ軸導出方向の端面の外周縁より外方に導延し、クローズド羽根車の側板外側面とポンプケーシングの内側壁部との間の対向空間部を、上記異物通過溝の外周端に誘導するよう下り勾配に傾斜した循環流路に形成することで、上記循環流路内から異物通過溝を経由して低圧の上記吸込流路へ異物を吸引排出するように構成されている。
【0011】
本発明の請求項1のクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプにおいて、本発明の請求項2に係る発明は、前記クローズド羽根車の側板のポンプ軸導出方向の端面と異物通過溝が刻設されたポンプケーシングの吸込側端面を狭小な隙間を介して対向させた、該両端面の内周を段差ができないように同一径として吸水用の吸込口を開設させて吸込流路を形成し、前記環状隙間の上端に段差ができないように略面一となるように構成している。
【0012】
本発明の請求項1のクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプにおいて、本発明の請求項3に係る発明は、前記クローズド羽根車の側板のポンプ軸導出方向の端面と異物通過溝が刻設されたポンプケーシングの吸込側端面を狭小な隙間を介して対向させた、クローズド羽根車の側板の該端面の内周径を若干大径に形成させ、吸水用の吸込口を開設させて吸込流路の内周面に段差を形成し、前記通水路の終端開口部であるクローズド羽根車外周の側板上面をポンプケーシングの揚水流路内の底面よりも若干高くして、該環状隙間の上端に段差が形成されるように構成している。
【0013】
また、本発明の請求項2のクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプにおいて、本発明の請求項4に係る発明は、前記クローズド羽根車の側板のポンプ軸導出方向の端面と異物通過溝が刻設されたポンプケーシングの吸込側端面を狭小な隙間を介して対向させ、クローズド羽根車の側板の該端面の内周径を若干大径に形成させ、ポンプケーシングの吸込側端面の内周面より外方に段差が形成されるように構成している。
【0014】
また、本発明の請求項2のクローズ形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプにおいて、本発明の請求項5に係る発明は、前記環状隙間の上端を形成する、前記通水路の終端開口部であるクローズド羽根車外周の側板上面をポンプケーシングの揚水流路内の底面よりも若干高くして、該環状隙間の上端に段差が形成されるように構成している。
【0015】
更に、本発明の請求項1ないし5のいずれかに記載のクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプにおいて、本発明の請求項6に係る発明は、前記下り勾配に傾斜した循環流路の内周を高低差を設けた環状凹部に形成し、該環状凹部内の底面に前記異物通過溝を刻設し、前記クローズド羽根車の側板のポンプ軸導出方向の端面の外周縁と広い環状に窪んだ空間を介して対向するように、上記環状凹部の内周面を構成している。
【0016】
そして、本発明の請求項1ないし6のいずれかに記載のクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプにおいて、本発明の請求項7に係る発明は、前記異物通過溝が刻設されたポンプケーシングの吸込側端面部を、装着自在の小さな別部材のマウスリングで構成している。
【0017】
更にまた、本発明の請求項1ないし7のいずれかに記載のクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプにおいて、本発明の請求項8に係る発明は、前記ポンプケーシングの内側壁部に複数の誘導壁を凸設させて異物通過溝の外周端に誘導するよう下り勾配に傾斜した循環流路に形成されている。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明に係るクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプによれば、従来のような静止しているポンプケーシングと回転する羽根車との揚水流路に面した高圧側の対向隙間部の入口側からの異物侵入を阻止したり、或いは羽根車の外周面とポンプケーシングの内周面との対向間隙を広く設けて異物を通過させることなどを必要とせずに、クローズド羽根車の側板のポンプ軸導出方向の端面と異物通過溝が刻設されたポンプケーシングの吸込側端面を狭小な隙間を介して対向させ、ポンプケーシング内の揚水流路の底面内周面に遊嵌されて対向するクローズド羽根車の側板外周面との環状隙間を上記吸込側端面の間隙よりも広くして、該環状隙間から吸込まれた異物をポンプケーシングの吸込側端面に刻設された異物通過溝に導くように、該異物通過溝の外周端をクローズド羽根車の側板のポンプ軸導出方向の端面の外周縁より外方に導延し、クローズド羽根車の側板外側面とポンプケーシングの内側壁部との間の対向空間部を、上記異物通過溝の外周端に誘導するよう下り勾配に傾斜した循環流路に形成し、上記循環流路内から異物通過溝を経由して低圧の上記吸込流路へ異物を円滑に吸引排出するように構成したことで、上記吸込側端面を狭小な隙間としたことで吸込流路への漏水量を抑制しながら、その隙間より広く構成された上記環状隙間に異物が噛み込むことなく遮蔽されていない静止体の異物通過溝の外周端の開口部に異物が円滑に誘導されて低圧の吸込流路に吸引排出されて、本来の羽根車の通水路を通過してポンプケーシングの揚水流路を経由して吐出口から負荷動力を増大させることなく高所または長距離の目的の場所に揚水されることから、高い吐出揚送圧力を必要とする高揚程または長距離揚送等の運転や長期間の運転停止による逆流等がある場合においてもポンプ効率をあまり低下させることなく、異物の噛み込みや堆積等による振動や騒音や羽根車拘束(ロック)および磨耗性粒子による過度な磨耗がないことから、不必要な煩わしい異物除去清掃に係る分解・組立の作業を必要とせず、メンテナンス性にも優れていると共に、簡潔な構造により作業性もよく製造および維持管理のコストが安価に対応し得るという優れた、クローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプを提供することができる。
【0019】
本発明の請求項1に基づいた請求項2の発明に係るクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプによれば、前記吸込流路を形成するクローズド羽根車の側板端面とポンプケーシングの吸込側端面の両端面の内周を段差ができないように同一径として吸水用の吸込口を開設させて吸込流路を形成し、前記環状隙間の上端に段差ができないように略面一となるように構成されているため、流路内の主流を遮蔽して抵抗となる突起部がないことから流路損失が発生しないので、より一層円滑に前記循環経路へ異物を侵入させて異物通過溝から吸引排出させることができる。
【0020】
本発明の請求項1に基づいた請求項3の発明に係るクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプによれば、前記クローズド羽根車の側板のポンプ軸導出方向の端面と異物通過溝が刻設されたポンプケーシングの吸込側端面を狭小な隙間を介して対向させた、クローズド羽根車の側板の該端面の内周径を若干大径に形成させ、吸水用の吸込口を開設させて吸込流路の内周面に段差を形成し、前記通水路の終端開口部であるクローズド羽根車外周の側板上面をポンプケーシングの揚水流路内の底面よりも若干高くして、該環状隙間の上端に段差が形成されるように構成されているため、該環状隙間の入口となる上端部において、流れの二次側方向の流路を拡大する段差によって拡大された流路壁に沿う同伴流の流れが発生することにより、該同伴流に異物が誘導される作用によって該環状隙間の入口となる上端部からの異物侵入は抑制されて正規の主流に誘導されてポンプケーシングの吐出口から揚水と共に揚送されることに加えて、上記吸込流路の内周面の異物通過溝の出口部において、流れの二次側方向の流路を拡大する段差によって拡大された流路壁に沿う同伴流の流れが発生することにより、低圧の吸込流路に開口される異物通過溝の出口部に、該同伴流の負圧作用が加えられる相乗作用によって、前記循環経路へ侵入した異物は異物通過溝から強力に吸引排出させることができるので、上記循環経路内への異物侵入を抑制する効果に加えて、上記循環経路へ侵入した異物は異物通過溝から強力に吸引排出される夫々の効果を相乗させることができる。
【0021】
本発明の請求項2に基づいた請求項4の発明に係るクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプによれば、前記吸込流路の内周面の異物通過溝の出口部において、流れの二次側方向の流路を拡大する段差によって拡大された流路壁に沿う同伴流の流れが発生することにより、低圧の吸込流路に開口される異物通過溝の出口部に、該同伴流の負圧作用が加えられる相乗作用によって、前記循環経路へ侵入した異物は異物通過溝から強力に吸引排出させることができる。
【0022】
本発明の請求項2に基づいた請求項5の発明に係るクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプによれば、前記環状隙間の入口となる上端部において、流れの二次側方向の流路を拡大する段差によって拡大された流路壁に沿う同伴流の流れが発生することにより、該同伴流に異物が誘導される作用によって該環状隙間の入口となる上端部からの異物侵入は抑制されて正規の主流に誘導されてポンプケーシングの吐出口から揚水と共に揚送させることができる。
【0023】
本発明の請求項1ないし5のいずれかに基づいた請求項6の発明に係るクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプによれば、前記下り勾配に傾斜した循環流路の内周を高低差を設けた環状凹部に形成し、該環状凹部内の底面に前記異物通過溝を刻設し、前記クローズド羽根車の側板のポンプ軸導出方向の端面の外周縁と広い環状に窪んだ空間を介して対向するように、上記環状凹部の内周面を構成しているため、該環状凹部を形成するクローズド羽根車の側板のポンプ軸導出方向の端面の外周側面の旋回により、該環状凹部内に生じる強力な旋回流によって異物は下り勾配に傾斜した循環流路から強力に下流され、環状凹部内の底面に刻設された異物通過溝の外方の開口部に円滑に流通されて異物通過溝の内方の出口部から吸込流路へ吸引排出されるので、長尺異物も絡み付くことなく円滑に吸引排出することができる。
【0024】
本発明の請求項1ないし6のいずれかに基づいた請求項7の発明に係るクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプによれば、前記異物通過溝が刻設されたポンプケーシングの吸込側端面部を、装着自在の小さな別部材のマウスリングで構成されているので、揚水対象液の液質やそれに含まれている異物の性状等によって、適正な材質の適正な数量と形態の異物通過溝を有した適正なマウスリングで対応することが極めて容易であると共に、狭小な吸込側端面の隙間調整もマウスリングの装着調整だけで極めて容易に作業することができ、更にマウスリングの摺動端面が磨滅して狭小な隙間が形成できなくなった場合でも、簡単にマウスリングだけ取外して、例えば町工場でも所有される汎用旋盤等の極めて汎用性の高い工作機械で容易にマウスリングの摺動端面の再生切削加工の対応ができるので、新品のマウスリングの交換対応を含めて作業が容易であると共にそれに係る費用も安価に対応できることから、メンテナンス性に優れた利点を有している。
【0025】
本発明の請求項1ないし7のいずれかに基づいた請求項8の発明に係るクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプによれば、前記ポンプケーシングの内側壁部に複数の誘導壁を凸設させて異物通過溝の外周端に誘導するよう下り勾配に傾斜した循環流路に形成されているので、該循環流路を形成するクローズド形羽根車の側板外側面の旋回により、該循環流路内に生じる旋回流によって異物が夫々の誘導壁に分散されて夫々の誘導壁に対応した異物通過溝の外方の開口部に強制的に誘導されて、夫々の異物通過溝の内方の出口部から吸込流路へ吸引排出されるので、長尺異物も絡み付くことなく夫々の異物通過溝の開口部から円滑に分散吸引排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例1のクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプの構成を示した断面図である。
【図2】図1の詳細X部を援用して、本発明の実施例2のクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプの構成を示した要部拡大断面図である。
【図3】図1の詳細X部を援用して、本発明の実施例3のクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプの構成を示した要部拡大断面図である。
【図4】図1の詳細X部を援用して、本発明の実施例4のクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプの構成を示した要部拡大断面図である。
【図5】図1の詳細X部を援用して、本発明の実施例5のクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプの構成を示した要部拡大断面図である。
【図6】図1の詳細X部を援用して、本発明の実施例6のクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプの構成を示した要部拡大断面図である。
【図7】図1の詳細X部を援用して、本発明の実施例7のクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプの構成を示した要部拡大断面図である。
【図8】本発明の実施例8のクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプの構成を示した断面図である。
【図9】図1のS1−S1線における異物通過溝を放射状に配列した事例を示した断面矢視図である。
【図10】図1のS1−S1線における異物通過溝を傾斜状に配列した事例を示した断面矢視図である。
【図11】図1のS1−S1線における異物通過溝を曲線状に配列した事例を示した断面矢視図である。
【図12】図8のS8−S8線における断面矢視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明のクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプの一実施形態として、水中電動ポンプを例に本願発明を実施例に基づき、図面を参照して詳細に説明する。なお、この実施例の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0028】
図1ないし12において、1は遠心式の液体ポンプ部4に搭載された水中電動機であり、2は水中電動機からメカニカルシールMが内装されたオイル室3を貫通してポンプケーシング5内に導出されたポンプ軸であり、該ポンプ軸2の導出端にクローズド羽根車6を装着し、該クローズド羽根車6の側板7のポンプ軸導出方向の端面7sfと異物通過溝10が刻設されたポンプケーシング5の吸込側端面5sfを望ましくは0.3mm〜0.8mmの狭小な隙間G1を介して対向させ、該両端面5sf,7sfの内周に吸水用の吸込口12を開設させて吸込流路SPを形成し、該吸込流路SPからの吸水はクローズド羽根車6内の通水路6pを経由して、該通水路6pの終端開口部6oであるクローズド羽根車6の外周から該羽根車6の側板7および主板8外周面を遊嵌して囲繞するポンプケーシング5内の揚水流路5pに吐出され、該揚水流路5pの終端開口部であるポンプケーシングの吐出口5oから排水されるよう該揚水流路5pが構成されており、上記ポンプケーシング5の吸込側端面5sfの間隙G1よりも広くなるように該揚水流路5pの底面5bf内周面に遊嵌されて対向するクローズド羽根車6の側板7外周面との間を望ましくは1mm〜2mmの環状隙間G2に形成し、該環状隙間G2から吸込まれた異物をポンプケーシング5の吸込側端面5sfに一箇所以上刻設された、図9ないし11に示された放射状や傾斜状または曲線状に配列された異物通過溝10に導くために、該異物通過溝10の外周端をクローズド羽根車6の側板7のポンプ軸導出方向の端面7sfの外周縁より外方に導延し、クローズド羽根車6の側板7外側面7oとポンプケーシング5の内側壁5i部との間の対向空間部を、上記異物通過溝10の外周端に誘導するよう下り勾配に傾斜した循環流路11に形成することで、上記循環流路11内から異物通過溝10を経由して低圧の上記吸込流路SPへ異物を吸引排出するように構成されている。
【実施例2】
【0029】
前記実施例1に基づいて、図1と2に示されたクローズド羽根車6の側板7のポンプ軸2導出方向の端面7sfと異物通過溝10が刻設されたポンプケーシング5の吸込側端面5sfを狭小な隙間G1を介して対向させた、該両端面5sf,7sfの内周面を段差ができないように同一径として吸水用の吸込口12を開設させて吸込流路SPを形成し、前記環状隙間G2の上端に段差ができないように略面一となるように構成されている。
【実施例3】
【0030】
前記実施例1に基づいて、図1と3に示されたクローズド羽根車6の側板7のポンプ軸2導出方向の端面7sfと異物通過溝10が刻設されたポンプケーシング5の吸込側端面5sfを狭小な隙間G1を介して対向させた、クローズド羽根車6の側板7の該端面7sfの内周径を若干大径に形成させ、吸水用の吸込口12を開設させて吸込流路SPの内周面に段差を形成し、前記通水路6pの終端開口部6oであるクローズド羽根車6外周の側板7上面7ufをポンプケーシング5の揚水流路5p内の底面5bfよりも若干高くして、該環状隙間G2の上端に段差が形成されるように構成されている。
【実施例4】
【0031】
前記実施例2に基づいて、図1と2および図4に示されたクローズド羽根車6の側板7のポンプ軸2導出方向の端面7sfと異物通過溝10が刻設されたポンプケーシング5の吸込側端面5sfを狭小な隙間G1を介して対向させ、クローズド羽根車6の側板7の該端面7sfの内周径を若干大径に形成させ、ポンプケーシング5の吸込側端面5sfの内周面より外方に段差が形成されるように構成されている。
【実施例5】
【0032】
前記実施例2に基づいて、図1と2および図5に示された環状隙間G2の上端を形成する、前記通水路6pの終端開口部6oであるクローズド羽根車6外周の側板7上面7ufをポンプケーシング5の揚水流路5p内の底面5bfよりも若干高くして、該環状隙間G2の上端に段差が形成されるように構成されている。
【実施例6】
【0033】
前記実施例1ないし5のいずれかの実施例に基づいて、図1ないし6に示されたポンプケーシング5の内側壁5iの下り勾配に傾斜した循環流路11の内周を高低差を設けた環状凹部13に形成し、該環状凹部13内の底面13ufに前記異物通過溝10を刻設し、前記クローズド羽根車6の側板7のポンプ軸2導出方向の端面7sfの外周縁と広い環状に窪んだ空間を介して対向するように、上記環状凹部13の内周面を構成している。
【実施例7】
【0034】
前記実施例1ないし6のいずれかの実施例に基づいて、図1ないし7に示された異物通過溝10が刻設されたポンプケーシング5の吸込側端面部を、装着自在の小さな別部材のマウスリング14で構成している。
【実施例8】
【0035】
前記実施例1ないし7のいずれかの実施例に基づいて、図1ないし12に示されたポンプケーシング5の内側壁5i部に複数の誘導壁15を凸設させて異物通過溝10の外周端に誘導するよう下り勾配に傾斜した循環流路11に形成している。
【0036】
従って、前記実施例1ないし8の構成により、前記番号0018ないし0025の発明の効果に詳述した作用による効果を奏し得ることで、本発明の課題である高い吐出揚送圧力を必要とする高揚程または長距離揚送等の運転や長期間の運転停止による逆流等がある場合においてもポンプ効率をあまり低下させることなく、低コストで製作でき、かつ異物の噛み込みや異物が堆積しての羽根車拘束(ロック)、磨耗性粒子の滞留による過度な磨耗が無いとともに不必要な異物除去清掃に係る分解・組立て作業等の保守費用が発生せず、異物による振動や騒音の発生しないクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプを提供するこができる。
【符号の説明】
【0037】
2 ポンプ軸
4 遠心式の液体ポンプ部
5 ポンプケーシング
5i ポンプケーシングの内側壁
5o ポンプケーシングの吐出口
5p ポンプケーシング内の揚水流路
5bf 揚水流路内の底面
5sf ポンプケーシングの吸込側端面
6 クローズド羽根車
6o 羽根車の通水路の終端開口部
6p 羽根車の通水路
7 羽根車の側板
7o 側板外側面
7sf 側板のポンプ軸導出方向の端面
7uf 側板上面
8 羽根車の主板
10 異物通過溝
11 循環流路
12 液体ポンプ部の吸込口
13 環状凹部
13uf 環状凹部内の底面
14 マウスリング
15 誘導壁
G1 狭小な隙間
G2 環状隙間
SP 液体ポンプ部の吸込流路
【技術分野】
【0001】
本発明は、異物等が混入しる液体の汚水を対象とした、クローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプにおいて、特に液体に水没させて使用される水中電動ポンプの異物等の通過性に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水中モータポンプでありJIS B 0131の用語の番号1414に定義された従来の汚物ポンプでは、ポンプケーシング内に内装されポンプ軸の導出端に装着された、クローズド羽根車の吸込側にポンプケーシング側と隙間を隔てて対向する、断面状形をL形として水平板の対向面側に複数枚から成る羽根部を形成させたウエアリングを装着し、該羽根部の遠心作用によりポンプケーシング内の圧力側から該対向面の部分への逆流を防止することで、上記間隙を大きくすることなく異物閉塞とポンプ効率の低下を防止するよう構成された水中電動ポンプは公知である(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、立軸軸流ポンプの軸流形羽根車のハブから張設された羽根(翼)外周の縁部とケーシング内周との環状隙間が、該羽根(翼)の縁部が出口側ほどケーシングの内周面から離間するように形成させることで、上記羽根車の回転によってケーシング内に吸い込んだ被駆動流体は旋回流となってケーシング内を流動し、被駆動流体に含まれた異物が旋回流により遠心力を受けてケーシングの内周面側に移動するので、上記羽根の縁部とケーシングの間に入り込んだ異物は、羽根の縁部が出口側ほどケーシングの内周面から離間しているので、羽根車の出口側へ容易に移動し、異物を速やかに通過させることができるので、上記環状隙間への異物の咬み込みが防止されケーシングの損傷や過負荷による駆動装置のトリップが防止される反面、羽根縁部の出口側では異物の通過と共に揚水の漏れ量が多くなるので、ポンプの揚水性能が低下する立軸軸流ポンプの構成も公知である(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
更にまた、水中モータポンプでありJIS B 0131の用語の番号1325に定義された従来のブレードレスポンプでは、ポンプケーシング内に内装されポンプ軸の導出端に装着された、クローズド羽根車の側板外周面と対向するケーシングの内壁面の双方の水平方向の平面が略面一の段差のない状態で狭小な環状隙間を介して遊嵌されると共に、羽根車の側板の外側面とケーシングの側壁部との間の対向空間部を階段状の隙間に形成させ、羽根車の側板の下端外周面と狭小な環状隙間を介してケーシングの下端内周面に遊嵌させることで流体シールの役割を果たすように、上記階段状の隙間に形成された対向空間部内への異物の侵入を防止するよう構成された水中電動ポンプは公知である(例えば、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭61−140197号公報 (第1−3図)
【特許文献2】実開平7−10496号公報 (第1−5図)
【特許文献3】特開2005−240764号公報 (第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の水中モータポンプである従来の汚物ポンプにおいては、ポンプケーシングの揚水流路(高圧側)と吸込流路(低圧側)との圧力差により、静止しているポンプケーシングのマウスリングと回転する羽根車に付設された断面状形をL形としたウエアリングとの対向隙間部への異物侵入を防止するために、該対向間隙部の入口側のウエアリングの水平板に複数枚からなる羽根部を別途設けて、遠心作用による強制対向流によって該対向間隙部の入口への異物侵入を防止するために、該複数枚の羽根部の旋回に伴い別途負荷動力が必要であると共に、該強制対向流の発生に伴う吸水作用によって、上記とは逆に吸込流路(低圧側)の対向間隙部の出口側からの吸水に伴う異物侵入の噛み込みや閉塞等による羽根車の拘束(ロック)や過度の磨耗および振動や騒音の発生する危険性を有することに加えて、本来の羽根車の通水路を経由することなくポンプケーシングの揚水流路への漏水によるポンプ性能の低下により、ポンプ性能が低く負荷動力が大きいことから必然的にポンプ効率も低くなるという欠点があった。
【0007】
また、特許文献2の立軸軸流ポンプにおいては、羽根の縁部とケーシングの間に入り込んだ異物は、羽根の縁部が出口側ほどケーシングの内周面から離間しているので、羽根車の出口側へ容易に移動し、異物を速やかに通過させて異物の咬み込みが防止される反面、揚水性能に重要な部位である羽根縁部の出口側では異物の通過と共に揚水の漏れ量が多くなるので、ポンプの揚水性能が低下してポンプ効率が悪くなるという欠点があった。
【0008】
更にまた、特許文献3の水中モータポンプである従来のブレードレスポンプにおいては、クローズド羽根車の側板外周面と対向するケーシングの内壁面の双方の水平方向の平面を略面一として、階段状の隙間に形成された羽根車の側板の外側面とケーシングの側壁部との間の対向空間部と、羽根車の側板の下端外周面と狭小な環状隙間を介してしてケーシングの下端内周面に遊嵌させる流体シールによって、該記階段状の隙間に形成された対向空間部内への異物の侵入を防止しているが、高い吐出揚送圧力を必要とする高揚程または長距離揚送等の運転時や運転停止時の逆流等により上記対向空間部内への異物の侵入を完全に阻止することはできないことから、排出機構を有しない袋小路状の該対向空間部内に集積された異物によって、階段状の隙間に異物が噛み込まれて閉塞することによる、羽根車の拘束(ロック)や過度な磨耗および振動や騒音の発生の危険性を有しており、上記異物除去清掃のために労力の掛かる煩わしい分解・組立て作業を頻繁にしなければならず、保守費用が嵩むという欠点があった。
【0009】
そこで、本発明は上記問題点を鑑み、高い吐出揚送圧力を必要とする高揚程または長距離揚送等の運転や長期間の運転停止による逆流等がある場合においてもポンプ効率をあまり低下させることなく、低コストで製作でき、かつ異物の噛み込みや異物が堆積しての羽根車拘束(ロック)、磨耗性粒子の滞留による過度な磨耗が無いとともに不必要な異物除去清掃に係る分解・組立て作業等の保守費用が発生せず、異物による振動や騒音の発生しないクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために本発明の請求項1に係る発明は、クローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプにおいて、ポンプケーシング内に内装されたクローズド羽根車をポンプ軸の導出端に装着し、クローズド羽根車の側板のポンプ軸導出方向の端面と異物通過溝が刻設されたポンプケーシングの吸込側端面を狭小な隙間を介して対向させた、該両端面の内周に吸水用の吸込口を開設させて吸込流路を形成し、該吸込流路からの吸水はクローズド羽根車内の通水路を経由して、該通水路の終端開口部であるクローズド羽根車の外周から該羽根車の側板および主板外周面を遊嵌して囲繞するポンプケーシング内の揚水流路に吐出され、該揚水流路の終端開口部であるンプケーシングの吐出口から排水されるように構成されており、上記ポンプケーシングの吸込側端面の間隙よりも広くなるように該揚水流路の底面内周面に遊嵌されて対向するクローズド羽根車の側板外周面との間を環状隙間に形成し、該環状隙間から吸込まれた異物をポンプケーシングの吸込側端面に刻設された異物通過溝に導くために、該異物通過溝の外周端をクローズド羽根車の側板のポンプ軸導出方向の端面の外周縁より外方に導延し、クローズド羽根車の側板外側面とポンプケーシングの内側壁部との間の対向空間部を、上記異物通過溝の外周端に誘導するよう下り勾配に傾斜した循環流路に形成することで、上記循環流路内から異物通過溝を経由して低圧の上記吸込流路へ異物を吸引排出するように構成されている。
【0011】
本発明の請求項1のクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプにおいて、本発明の請求項2に係る発明は、前記クローズド羽根車の側板のポンプ軸導出方向の端面と異物通過溝が刻設されたポンプケーシングの吸込側端面を狭小な隙間を介して対向させた、該両端面の内周を段差ができないように同一径として吸水用の吸込口を開設させて吸込流路を形成し、前記環状隙間の上端に段差ができないように略面一となるように構成している。
【0012】
本発明の請求項1のクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプにおいて、本発明の請求項3に係る発明は、前記クローズド羽根車の側板のポンプ軸導出方向の端面と異物通過溝が刻設されたポンプケーシングの吸込側端面を狭小な隙間を介して対向させた、クローズド羽根車の側板の該端面の内周径を若干大径に形成させ、吸水用の吸込口を開設させて吸込流路の内周面に段差を形成し、前記通水路の終端開口部であるクローズド羽根車外周の側板上面をポンプケーシングの揚水流路内の底面よりも若干高くして、該環状隙間の上端に段差が形成されるように構成している。
【0013】
また、本発明の請求項2のクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプにおいて、本発明の請求項4に係る発明は、前記クローズド羽根車の側板のポンプ軸導出方向の端面と異物通過溝が刻設されたポンプケーシングの吸込側端面を狭小な隙間を介して対向させ、クローズド羽根車の側板の該端面の内周径を若干大径に形成させ、ポンプケーシングの吸込側端面の内周面より外方に段差が形成されるように構成している。
【0014】
また、本発明の請求項2のクローズ形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプにおいて、本発明の請求項5に係る発明は、前記環状隙間の上端を形成する、前記通水路の終端開口部であるクローズド羽根車外周の側板上面をポンプケーシングの揚水流路内の底面よりも若干高くして、該環状隙間の上端に段差が形成されるように構成している。
【0015】
更に、本発明の請求項1ないし5のいずれかに記載のクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプにおいて、本発明の請求項6に係る発明は、前記下り勾配に傾斜した循環流路の内周を高低差を設けた環状凹部に形成し、該環状凹部内の底面に前記異物通過溝を刻設し、前記クローズド羽根車の側板のポンプ軸導出方向の端面の外周縁と広い環状に窪んだ空間を介して対向するように、上記環状凹部の内周面を構成している。
【0016】
そして、本発明の請求項1ないし6のいずれかに記載のクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプにおいて、本発明の請求項7に係る発明は、前記異物通過溝が刻設されたポンプケーシングの吸込側端面部を、装着自在の小さな別部材のマウスリングで構成している。
【0017】
更にまた、本発明の請求項1ないし7のいずれかに記載のクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプにおいて、本発明の請求項8に係る発明は、前記ポンプケーシングの内側壁部に複数の誘導壁を凸設させて異物通過溝の外周端に誘導するよう下り勾配に傾斜した循環流路に形成されている。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明に係るクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプによれば、従来のような静止しているポンプケーシングと回転する羽根車との揚水流路に面した高圧側の対向隙間部の入口側からの異物侵入を阻止したり、或いは羽根車の外周面とポンプケーシングの内周面との対向間隙を広く設けて異物を通過させることなどを必要とせずに、クローズド羽根車の側板のポンプ軸導出方向の端面と異物通過溝が刻設されたポンプケーシングの吸込側端面を狭小な隙間を介して対向させ、ポンプケーシング内の揚水流路の底面内周面に遊嵌されて対向するクローズド羽根車の側板外周面との環状隙間を上記吸込側端面の間隙よりも広くして、該環状隙間から吸込まれた異物をポンプケーシングの吸込側端面に刻設された異物通過溝に導くように、該異物通過溝の外周端をクローズド羽根車の側板のポンプ軸導出方向の端面の外周縁より外方に導延し、クローズド羽根車の側板外側面とポンプケーシングの内側壁部との間の対向空間部を、上記異物通過溝の外周端に誘導するよう下り勾配に傾斜した循環流路に形成し、上記循環流路内から異物通過溝を経由して低圧の上記吸込流路へ異物を円滑に吸引排出するように構成したことで、上記吸込側端面を狭小な隙間としたことで吸込流路への漏水量を抑制しながら、その隙間より広く構成された上記環状隙間に異物が噛み込むことなく遮蔽されていない静止体の異物通過溝の外周端の開口部に異物が円滑に誘導されて低圧の吸込流路に吸引排出されて、本来の羽根車の通水路を通過してポンプケーシングの揚水流路を経由して吐出口から負荷動力を増大させることなく高所または長距離の目的の場所に揚水されることから、高い吐出揚送圧力を必要とする高揚程または長距離揚送等の運転や長期間の運転停止による逆流等がある場合においてもポンプ効率をあまり低下させることなく、異物の噛み込みや堆積等による振動や騒音や羽根車拘束(ロック)および磨耗性粒子による過度な磨耗がないことから、不必要な煩わしい異物除去清掃に係る分解・組立の作業を必要とせず、メンテナンス性にも優れていると共に、簡潔な構造により作業性もよく製造および維持管理のコストが安価に対応し得るという優れた、クローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプを提供することができる。
【0019】
本発明の請求項1に基づいた請求項2の発明に係るクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプによれば、前記吸込流路を形成するクローズド羽根車の側板端面とポンプケーシングの吸込側端面の両端面の内周を段差ができないように同一径として吸水用の吸込口を開設させて吸込流路を形成し、前記環状隙間の上端に段差ができないように略面一となるように構成されているため、流路内の主流を遮蔽して抵抗となる突起部がないことから流路損失が発生しないので、より一層円滑に前記循環経路へ異物を侵入させて異物通過溝から吸引排出させることができる。
【0020】
本発明の請求項1に基づいた請求項3の発明に係るクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプによれば、前記クローズド羽根車の側板のポンプ軸導出方向の端面と異物通過溝が刻設されたポンプケーシングの吸込側端面を狭小な隙間を介して対向させた、クローズド羽根車の側板の該端面の内周径を若干大径に形成させ、吸水用の吸込口を開設させて吸込流路の内周面に段差を形成し、前記通水路の終端開口部であるクローズド羽根車外周の側板上面をポンプケーシングの揚水流路内の底面よりも若干高くして、該環状隙間の上端に段差が形成されるように構成されているため、該環状隙間の入口となる上端部において、流れの二次側方向の流路を拡大する段差によって拡大された流路壁に沿う同伴流の流れが発生することにより、該同伴流に異物が誘導される作用によって該環状隙間の入口となる上端部からの異物侵入は抑制されて正規の主流に誘導されてポンプケーシングの吐出口から揚水と共に揚送されることに加えて、上記吸込流路の内周面の異物通過溝の出口部において、流れの二次側方向の流路を拡大する段差によって拡大された流路壁に沿う同伴流の流れが発生することにより、低圧の吸込流路に開口される異物通過溝の出口部に、該同伴流の負圧作用が加えられる相乗作用によって、前記循環経路へ侵入した異物は異物通過溝から強力に吸引排出させることができるので、上記循環経路内への異物侵入を抑制する効果に加えて、上記循環経路へ侵入した異物は異物通過溝から強力に吸引排出される夫々の効果を相乗させることができる。
【0021】
本発明の請求項2に基づいた請求項4の発明に係るクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプによれば、前記吸込流路の内周面の異物通過溝の出口部において、流れの二次側方向の流路を拡大する段差によって拡大された流路壁に沿う同伴流の流れが発生することにより、低圧の吸込流路に開口される異物通過溝の出口部に、該同伴流の負圧作用が加えられる相乗作用によって、前記循環経路へ侵入した異物は異物通過溝から強力に吸引排出させることができる。
【0022】
本発明の請求項2に基づいた請求項5の発明に係るクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプによれば、前記環状隙間の入口となる上端部において、流れの二次側方向の流路を拡大する段差によって拡大された流路壁に沿う同伴流の流れが発生することにより、該同伴流に異物が誘導される作用によって該環状隙間の入口となる上端部からの異物侵入は抑制されて正規の主流に誘導されてポンプケーシングの吐出口から揚水と共に揚送させることができる。
【0023】
本発明の請求項1ないし5のいずれかに基づいた請求項6の発明に係るクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプによれば、前記下り勾配に傾斜した循環流路の内周を高低差を設けた環状凹部に形成し、該環状凹部内の底面に前記異物通過溝を刻設し、前記クローズド羽根車の側板のポンプ軸導出方向の端面の外周縁と広い環状に窪んだ空間を介して対向するように、上記環状凹部の内周面を構成しているため、該環状凹部を形成するクローズド羽根車の側板のポンプ軸導出方向の端面の外周側面の旋回により、該環状凹部内に生じる強力な旋回流によって異物は下り勾配に傾斜した循環流路から強力に下流され、環状凹部内の底面に刻設された異物通過溝の外方の開口部に円滑に流通されて異物通過溝の内方の出口部から吸込流路へ吸引排出されるので、長尺異物も絡み付くことなく円滑に吸引排出することができる。
【0024】
本発明の請求項1ないし6のいずれかに基づいた請求項7の発明に係るクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプによれば、前記異物通過溝が刻設されたポンプケーシングの吸込側端面部を、装着自在の小さな別部材のマウスリングで構成されているので、揚水対象液の液質やそれに含まれている異物の性状等によって、適正な材質の適正な数量と形態の異物通過溝を有した適正なマウスリングで対応することが極めて容易であると共に、狭小な吸込側端面の隙間調整もマウスリングの装着調整だけで極めて容易に作業することができ、更にマウスリングの摺動端面が磨滅して狭小な隙間が形成できなくなった場合でも、簡単にマウスリングだけ取外して、例えば町工場でも所有される汎用旋盤等の極めて汎用性の高い工作機械で容易にマウスリングの摺動端面の再生切削加工の対応ができるので、新品のマウスリングの交換対応を含めて作業が容易であると共にそれに係る費用も安価に対応できることから、メンテナンス性に優れた利点を有している。
【0025】
本発明の請求項1ないし7のいずれかに基づいた請求項8の発明に係るクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプによれば、前記ポンプケーシングの内側壁部に複数の誘導壁を凸設させて異物通過溝の外周端に誘導するよう下り勾配に傾斜した循環流路に形成されているので、該循環流路を形成するクローズド形羽根車の側板外側面の旋回により、該循環流路内に生じる旋回流によって異物が夫々の誘導壁に分散されて夫々の誘導壁に対応した異物通過溝の外方の開口部に強制的に誘導されて、夫々の異物通過溝の内方の出口部から吸込流路へ吸引排出されるので、長尺異物も絡み付くことなく夫々の異物通過溝の開口部から円滑に分散吸引排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例1のクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプの構成を示した断面図である。
【図2】図1の詳細X部を援用して、本発明の実施例2のクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプの構成を示した要部拡大断面図である。
【図3】図1の詳細X部を援用して、本発明の実施例3のクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプの構成を示した要部拡大断面図である。
【図4】図1の詳細X部を援用して、本発明の実施例4のクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプの構成を示した要部拡大断面図である。
【図5】図1の詳細X部を援用して、本発明の実施例5のクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプの構成を示した要部拡大断面図である。
【図6】図1の詳細X部を援用して、本発明の実施例6のクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプの構成を示した要部拡大断面図である。
【図7】図1の詳細X部を援用して、本発明の実施例7のクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプの構成を示した要部拡大断面図である。
【図8】本発明の実施例8のクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプの構成を示した断面図である。
【図9】図1のS1−S1線における異物通過溝を放射状に配列した事例を示した断面矢視図である。
【図10】図1のS1−S1線における異物通過溝を傾斜状に配列した事例を示した断面矢視図である。
【図11】図1のS1−S1線における異物通過溝を曲線状に配列した事例を示した断面矢視図である。
【図12】図8のS8−S8線における断面矢視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明のクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプの一実施形態として、水中電動ポンプを例に本願発明を実施例に基づき、図面を参照して詳細に説明する。なお、この実施例の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0028】
図1ないし12において、1は遠心式の液体ポンプ部4に搭載された水中電動機であり、2は水中電動機からメカニカルシールMが内装されたオイル室3を貫通してポンプケーシング5内に導出されたポンプ軸であり、該ポンプ軸2の導出端にクローズド羽根車6を装着し、該クローズド羽根車6の側板7のポンプ軸導出方向の端面7sfと異物通過溝10が刻設されたポンプケーシング5の吸込側端面5sfを望ましくは0.3mm〜0.8mmの狭小な隙間G1を介して対向させ、該両端面5sf,7sfの内周に吸水用の吸込口12を開設させて吸込流路SPを形成し、該吸込流路SPからの吸水はクローズド羽根車6内の通水路6pを経由して、該通水路6pの終端開口部6oであるクローズド羽根車6の外周から該羽根車6の側板7および主板8外周面を遊嵌して囲繞するポンプケーシング5内の揚水流路5pに吐出され、該揚水流路5pの終端開口部であるポンプケーシングの吐出口5oから排水されるよう該揚水流路5pが構成されており、上記ポンプケーシング5の吸込側端面5sfの間隙G1よりも広くなるように該揚水流路5pの底面5bf内周面に遊嵌されて対向するクローズド羽根車6の側板7外周面との間を望ましくは1mm〜2mmの環状隙間G2に形成し、該環状隙間G2から吸込まれた異物をポンプケーシング5の吸込側端面5sfに一箇所以上刻設された、図9ないし11に示された放射状や傾斜状または曲線状に配列された異物通過溝10に導くために、該異物通過溝10の外周端をクローズド羽根車6の側板7のポンプ軸導出方向の端面7sfの外周縁より外方に導延し、クローズド羽根車6の側板7外側面7oとポンプケーシング5の内側壁5i部との間の対向空間部を、上記異物通過溝10の外周端に誘導するよう下り勾配に傾斜した循環流路11に形成することで、上記循環流路11内から異物通過溝10を経由して低圧の上記吸込流路SPへ異物を吸引排出するように構成されている。
【実施例2】
【0029】
前記実施例1に基づいて、図1と2に示されたクローズド羽根車6の側板7のポンプ軸2導出方向の端面7sfと異物通過溝10が刻設されたポンプケーシング5の吸込側端面5sfを狭小な隙間G1を介して対向させた、該両端面5sf,7sfの内周面を段差ができないように同一径として吸水用の吸込口12を開設させて吸込流路SPを形成し、前記環状隙間G2の上端に段差ができないように略面一となるように構成されている。
【実施例3】
【0030】
前記実施例1に基づいて、図1と3に示されたクローズド羽根車6の側板7のポンプ軸2導出方向の端面7sfと異物通過溝10が刻設されたポンプケーシング5の吸込側端面5sfを狭小な隙間G1を介して対向させた、クローズド羽根車6の側板7の該端面7sfの内周径を若干大径に形成させ、吸水用の吸込口12を開設させて吸込流路SPの内周面に段差を形成し、前記通水路6pの終端開口部6oであるクローズド羽根車6外周の側板7上面7ufをポンプケーシング5の揚水流路5p内の底面5bfよりも若干高くして、該環状隙間G2の上端に段差が形成されるように構成されている。
【実施例4】
【0031】
前記実施例2に基づいて、図1と2および図4に示されたクローズド羽根車6の側板7のポンプ軸2導出方向の端面7sfと異物通過溝10が刻設されたポンプケーシング5の吸込側端面5sfを狭小な隙間G1を介して対向させ、クローズド羽根車6の側板7の該端面7sfの内周径を若干大径に形成させ、ポンプケーシング5の吸込側端面5sfの内周面より外方に段差が形成されるように構成されている。
【実施例5】
【0032】
前記実施例2に基づいて、図1と2および図5に示された環状隙間G2の上端を形成する、前記通水路6pの終端開口部6oであるクローズド羽根車6外周の側板7上面7ufをポンプケーシング5の揚水流路5p内の底面5bfよりも若干高くして、該環状隙間G2の上端に段差が形成されるように構成されている。
【実施例6】
【0033】
前記実施例1ないし5のいずれかの実施例に基づいて、図1ないし6に示されたポンプケーシング5の内側壁5iの下り勾配に傾斜した循環流路11の内周を高低差を設けた環状凹部13に形成し、該環状凹部13内の底面13ufに前記異物通過溝10を刻設し、前記クローズド羽根車6の側板7のポンプ軸2導出方向の端面7sfの外周縁と広い環状に窪んだ空間を介して対向するように、上記環状凹部13の内周面を構成している。
【実施例7】
【0034】
前記実施例1ないし6のいずれかの実施例に基づいて、図1ないし7に示された異物通過溝10が刻設されたポンプケーシング5の吸込側端面部を、装着自在の小さな別部材のマウスリング14で構成している。
【実施例8】
【0035】
前記実施例1ないし7のいずれかの実施例に基づいて、図1ないし12に示されたポンプケーシング5の内側壁5i部に複数の誘導壁15を凸設させて異物通過溝10の外周端に誘導するよう下り勾配に傾斜した循環流路11に形成している。
【0036】
従って、前記実施例1ないし8の構成により、前記番号0018ないし0025の発明の効果に詳述した作用による効果を奏し得ることで、本発明の課題である高い吐出揚送圧力を必要とする高揚程または長距離揚送等の運転や長期間の運転停止による逆流等がある場合においてもポンプ効率をあまり低下させることなく、低コストで製作でき、かつ異物の噛み込みや異物が堆積しての羽根車拘束(ロック)、磨耗性粒子の滞留による過度な磨耗が無いとともに不必要な異物除去清掃に係る分解・組立て作業等の保守費用が発生せず、異物による振動や騒音の発生しないクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプを提供するこができる。
【符号の説明】
【0037】
2 ポンプ軸
4 遠心式の液体ポンプ部
5 ポンプケーシング
5i ポンプケーシングの内側壁
5o ポンプケーシングの吐出口
5p ポンプケーシング内の揚水流路
5bf 揚水流路内の底面
5sf ポンプケーシングの吸込側端面
6 クローズド羽根車
6o 羽根車の通水路の終端開口部
6p 羽根車の通水路
7 羽根車の側板
7o 側板外側面
7sf 側板のポンプ軸導出方向の端面
7uf 側板上面
8 羽根車の主板
10 異物通過溝
11 循環流路
12 液体ポンプ部の吸込口
13 環状凹部
13uf 環状凹部内の底面
14 マウスリング
15 誘導壁
G1 狭小な隙間
G2 環状隙間
SP 液体ポンプ部の吸込流路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプにおいて、ポンプケーシング内に内装されたクローズド羽根車をポンプ軸の導出端に装着し、クローズド羽根車の側板のポンプ軸導出方向の端面と異物通過溝が刻設されたポンプケーシングの吸込側端面を狭小な隙間を介して対向させ、該両端面の内周に吸水用の吸込口を開設させて吸込流路を形成し、該吸込流路からの吸水はクローズド羽根車内の通水路を経由して、該通水路の終端開口部であるクローズド羽根車の外周から該羽根車の側板および主板外周面を遊嵌して囲繞するポンプケーシング内の揚水流路に吐出され、該揚水流路の終端開口部であるポンプケーシングの吐出口から排水されるよう該揚水流路は構成されており、上記ポンプケーシングの吸込側端面の間隙よりも広くなるように該揚水流路の底面内周面に遊嵌されて対向するクローズド羽根車の側板外周面との間を環状隙間に形成し、該環状隙間から吸込まれた異物をポンプケーシングの吸込側端面に刻設された異物通過溝に導くために、該異物通過溝の外周端をクローズド羽根車の側板のポンプ軸導出方向の端面の外周縁より外方に導延し、クローズド羽根車の側板外側面とポンプケーシングの内側壁部との間の対向空間部を、上記異物通過溝の外周端に誘導するよう下り勾配に傾斜した循環流路に形成することで、上記循環流路内から異物通過溝を経由して低圧の上記吸込流路へ異物を吸引排出するように構成さたことを特徴する、クローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプ。
【請求項2】
前記クローズド羽根車の側板のポンプ軸導出方向の端面と異物通過溝が刻設されたポンプケーシングの吸込側端面を狭小な隙間を介して対向させ、該両端面の内周面を段差ができないように同一径として吸水用の吸込口を開設させて吸込流路を形成し、前記環状隙間の上端に段差ができないように略面一となるように構成されたことを特徴する、請求項1記載のクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプ。
【請求項3】
前記クローズド羽根車の側板のポンプ軸導出方向の端面と異物通過溝が刻設されたポンプケーシングの吸込側端面を狭小な隙間を介して対向させ、クローズド羽根車の側板の該端面の内周径を若干大径に形成させ、吸水用の吸込口を開設させて吸込流路の内周面に段差を形成し、前記通水路の終端開口部であるクローズド羽根車外周の側板上面をポンプケーシングの揚水流路内の底面よりも若干高くして、該環状隙間の上端に段差が形成されるように構成されたことを特徴する、請求項1記載のクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプ。
【請求項4】
前記クローズド羽根車の側板のポンプ軸導出方向の端面と異物通過溝が刻設されたポンプケーシングの吸込側端面を狭小な隙間を介して対向させ、クローズド羽根車の側板の該端面の内周径を若干大径に形成させ、ポンプケーシングの吸込側端面の内周面より外方に段差が形成されるように構成されたことを特徴する、請求項2記載のクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプ。
【請求項5】
前記環状隙間の上端を形成する、前記通水路の終端開口部であるクローズド羽根車外周の側板上面をポンプケーシングの揚水流路内の底面よりも若干高くして、該環状隙間の上端に段差が形成されるように構成されたことを特徴する、請求項2記載のクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプ。
【請求項6】
前記下り勾配に傾斜した循環流路の内周を高低差を設けた環状凹部に形成し、該環状凹部内の底面に前記異物通過溝を刻設し、前記クローズド羽根車の側板のポンプ軸導出方向の端面の外周縁と広い環状に窪んだ空間を介して対向するように、上記環状凹部の内周面を構成したことを特徴する、請求項1ないし5のいずれかに記載のクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプ。
【請求項7】
前記異物通過溝が刻設されたポンプケーシングの吸込側端面部を、装着自在の小さな別部材のマウスリングで構成したことを特徴とする、請求項1ないし6のいずれかに記載のクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプ。
【請求項8】
前記ポンプケーシングの内側壁部に複数の誘導壁を凸設させて異物通過溝の外周端に誘導するよう下り勾配に傾斜した循環流路に形成させたことを特徴とする、請求項1ないし7のいずれかに記載のクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプ。
【請求項1】
クローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプにおいて、ポンプケーシング内に内装されたクローズド羽根車をポンプ軸の導出端に装着し、クローズド羽根車の側板のポンプ軸導出方向の端面と異物通過溝が刻設されたポンプケーシングの吸込側端面を狭小な隙間を介して対向させ、該両端面の内周に吸水用の吸込口を開設させて吸込流路を形成し、該吸込流路からの吸水はクローズド羽根車内の通水路を経由して、該通水路の終端開口部であるクローズド羽根車の外周から該羽根車の側板および主板外周面を遊嵌して囲繞するポンプケーシング内の揚水流路に吐出され、該揚水流路の終端開口部であるポンプケーシングの吐出口から排水されるよう該揚水流路は構成されており、上記ポンプケーシングの吸込側端面の間隙よりも広くなるように該揚水流路の底面内周面に遊嵌されて対向するクローズド羽根車の側板外周面との間を環状隙間に形成し、該環状隙間から吸込まれた異物をポンプケーシングの吸込側端面に刻設された異物通過溝に導くために、該異物通過溝の外周端をクローズド羽根車の側板のポンプ軸導出方向の端面の外周縁より外方に導延し、クローズド羽根車の側板外側面とポンプケーシングの内側壁部との間の対向空間部を、上記異物通過溝の外周端に誘導するよう下り勾配に傾斜した循環流路に形成することで、上記循環流路内から異物通過溝を経由して低圧の上記吸込流路へ異物を吸引排出するように構成さたことを特徴する、クローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプ。
【請求項2】
前記クローズド羽根車の側板のポンプ軸導出方向の端面と異物通過溝が刻設されたポンプケーシングの吸込側端面を狭小な隙間を介して対向させ、該両端面の内周面を段差ができないように同一径として吸水用の吸込口を開設させて吸込流路を形成し、前記環状隙間の上端に段差ができないように略面一となるように構成されたことを特徴する、請求項1記載のクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプ。
【請求項3】
前記クローズド羽根車の側板のポンプ軸導出方向の端面と異物通過溝が刻設されたポンプケーシングの吸込側端面を狭小な隙間を介して対向させ、クローズド羽根車の側板の該端面の内周径を若干大径に形成させ、吸水用の吸込口を開設させて吸込流路の内周面に段差を形成し、前記通水路の終端開口部であるクローズド羽根車外周の側板上面をポンプケーシングの揚水流路内の底面よりも若干高くして、該環状隙間の上端に段差が形成されるように構成されたことを特徴する、請求項1記載のクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプ。
【請求項4】
前記クローズド羽根車の側板のポンプ軸導出方向の端面と異物通過溝が刻設されたポンプケーシングの吸込側端面を狭小な隙間を介して対向させ、クローズド羽根車の側板の該端面の内周径を若干大径に形成させ、ポンプケーシングの吸込側端面の内周面より外方に段差が形成されるように構成されたことを特徴する、請求項2記載のクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプ。
【請求項5】
前記環状隙間の上端を形成する、前記通水路の終端開口部であるクローズド羽根車外周の側板上面をポンプケーシングの揚水流路内の底面よりも若干高くして、該環状隙間の上端に段差が形成されるように構成されたことを特徴する、請求項2記載のクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプ。
【請求項6】
前記下り勾配に傾斜した循環流路の内周を高低差を設けた環状凹部に形成し、該環状凹部内の底面に前記異物通過溝を刻設し、前記クローズド羽根車の側板のポンプ軸導出方向の端面の外周縁と広い環状に窪んだ空間を介して対向するように、上記環状凹部の内周面を構成したことを特徴する、請求項1ないし5のいずれかに記載のクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプ。
【請求項7】
前記異物通過溝が刻設されたポンプケーシングの吸込側端面部を、装着自在の小さな別部材のマウスリングで構成したことを特徴とする、請求項1ないし6のいずれかに記載のクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプ。
【請求項8】
前記ポンプケーシングの内側壁部に複数の誘導壁を凸設させて異物通過溝の外周端に誘導するよう下り勾配に傾斜した循環流路に形成させたことを特徴とする、請求項1ないし7のいずれかに記載のクローズド形羽根車を用いた遠心式の液体ポンプ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−62807(P2012−62807A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206938(P2010−206938)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(000150844)株式会社鶴見製作所 (56)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(000150844)株式会社鶴見製作所 (56)
【Fターム(参考)】
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