説明

液体レンズ系

本発明は光学系(1)に関する。光学系(1)は、ほぼ一定の体積(V)を取り囲む、ハウジング(2)を貫通して延びた開口(3)を備えたハウジング(2)を有する。2つ以上の膜区分を備えた膜(6)が、開口を横切って配置されており、体積(V)を、少なくとも1つの流体で充填された第1及び第2のチャンバ(7,8)に分離している。膜は環状保持フレーム(9)に取り付けられている。アクチュエータは、膜の光学作用を変化させるために直接又は間接に膜(6)に結合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項の前提部に記載の光学系に関する。
【0002】
発明の背景
流体を含む調節可能な光学レンズ系が従来知られている。
【0003】
国際公開第07/049058号パンフレットは、例えば、2007年5月に公開されており、可変焦点を備えるレンズに関し、このレンズは、フレキシブルな膜が取り付けられた剛性のリングを有する。剛性の透明な前側カバーがフレキシブルな膜に取り付けられており、剛性の後側カバーがリングの後面に取り付けられている。フレキシブルな膜と後側カバーとの間には、液体が充填される空洞が形成されている。空洞内の液体の量は調節されることができ、これにより、フレキシブルな膜の曲率を変化させ、ひいてはレンズの光学特性を変化させる。後側カバーとリングとの間には第2のフレキシブルな膜が配置されることができる。
【0004】
米国特許出願公開第2006/164731号明細書は、2006年7月に公開されており、液体充填チャンバ(セル)に基づく可変焦点を備えたレンズの別の例を示している。液体レンズセルは、4つの部分、すなわち透明な膨張性の膜と、透明な壁膜と、レンズセルチャンバに貯蔵された一定の体積を備える液体と、環状周縁シーリングリングとから成る。環状周縁シーリングリングは、慣用のアイリス絞りと同様に、変更可能である。環状シーリングリングの半径を調整することにより、レンズセルに貯蔵された液体が、分配され直され、これによって、膨張性膜の曲率を変化させる。1つの欠点は、液体レンズが重力及び振動によって影響されるということである。
【0005】
国際公開第06/011937号パンフレットは、2006年2月に公開されており、(第1の隔壁として示された)少なくとも1つのフレキシブルな膜を備えた流体適応性レンズ装置に関する。適応性レンズは、第1の、フレキシブルな、光学的に透明な膜を有する。フレキシブルな膜に結合された第2の隔壁は少なくとも部分的に光学的に透明である。フレキシブルな膜と第2の隔壁との間に第1の空洞が形成されている。レンズ装置は、空洞内の流体を有する。さらに、装置は、チャンバ内の流体の圧力又は体積を制御するための手段、例えばテフロン塗装されたねじを有する。流体媒体のパラメータが変化すると、膜が撓み、レンズの光学的特性が変化する。
【0006】
米国特許第2003095336号明細書は、2003年5月に公開されており、主に矯正レンズ又は処方レンズのためのレンズ配列を示している。処方レンズは、フレキシブルな膜及びベースを有する流体セルに隣接している。流体が流体セル内へ送り込まれたり、流体セルから送り出されると、レンズ配列全体の矯正力が変化させられる。この装置は、小型化のための適性が制限されている。
【0007】
米国特許第5446591号明細書は、1995年8月に公開されており、望遠鏡のための別の調節可能なレンズアセンブリを開示している。装置は、隣接するガラスレンズエレメントの間に含まれた液体レンズエレメントを有する。液体は、液体レンズエレメントを形成するために、隣接するガラスレンズの間の間隙に導入されている。
【0008】
米国特許第4890903号明細書は、1987年5月に公開されており、フレキシブルな膜によって画設されたチャンバを有する調節可能な液体レンズ又はミラーに関する。フレキシブルな膜は、1対の弾性リングの間に、緊張した状態で指示されている。第1の流体媒体はチャンバを充填しており、この第1の流体媒体は、レンズの場合に、フレキシブルな膜の他方の側に接触する第2の流体媒体のものとは異なる屈折率を有する。フレキシブルな膜のための環状支持部材は、相対移動可能な、第1及び第2の構成部材を有しており、支持部材のこれらの第1及び第2の構成部材は、液密式に、調節可能に連結されており、この場合、チャンバの体積は、支持部材の一方の構成部材を、他方の構成部材に対して移動させることによって調節可能であり、これにより、第1の流体媒体の圧力を変化させ、前記膜表面の形状を変化させる。
【0009】
米国特許第0154380号明細書は、2002年10月に公開されており、電子機械式に調節可能な凹面レンズとして作用する、マイクロ加工された装置を開示している。レンズ本体自体は、酸化インジウムスズのような導電性で且つ透明な電極を有する媒体と、異なる屈折率を有する2つの領域を分離する膜とから形成されている。電極に電圧を印加すると、レンズ本体内で、静電力が、ある範囲において、フレキシブルな電極に作用し、中間におけるレンズ本体の厚さが減じられ、光学特性が変化する。
【0010】
特開平10−144975号公報は、1998年5月に公開されており、環状の圧電アクチュエータを用いる調節可能な液体充填レンズを示している。アクチュエータの内部開口において、透明カバーが光を透過させるのに対し、外縁部はある深さを備えながら剛性リングに固定されている。リングの中央において、圧電アクチュエータの反対方向に、フレキシブルで且つ透明な膜が、アクチュエータと共に、液体充填空間を包囲しており、アクチュエータの電圧を印加することによって、延在する体積が変化する。体積が変化することによって、膜は1つの方向へ撓み、円蓋状の調節可能なレンズを構成する。
【0011】
国際公開第2005/096028号パンフレットは、2005年10月に公開されており、同様に、環状の圧電アクチュエータを用いる調節可能な液体充填レンズを示している。この場合、ピエゾの横方向に生ぜしめられる撓みは、円筒状の液体体積の直径を変化させる。液体自体の位邸の体積は、同じ密度を備えるが、異なる屈折率を備える、隣接する、不混和性の液体に対して圧力を生ぜしめる。ピエゾに電圧を印加することによって、液体の境界面の位置が変化し、調節可能なレンズが生ぜしめられる。
【0012】
英国特許第1327503号明細書は、1973年8月に公開されており、ピエゾ駆動式の、調節可能な液体レンズを示している。ある体積の液体は、閉鎖された円筒状の、軸方向で光学的に透明な、ピエゾ活性箱を包囲している。液体自体は、1つの上部において、弾性で且つ透明な膜によって閉鎖された剛性の箱によって包囲されている。ピエゾに電圧を印加することによって、内部体積が変化し、膜が撓まされ、これにより調節可能なレンズが生ぜしめられる。
【0013】
米国特許出願公開2006/164731号明細書は、2006年7月に公開されており、調節可能な液体充填レンズを示しており、この場合、円筒状チャンバの体積は、壁部の直径を機械的に調節することによって変化させられる。軸方向で、システムはフレキシブルな膜によって閉鎖されており、箱の直径を変化させながら撓むことができる。このようにして、調節可能なレンズが容易に生ぜしめられることができる。
【0014】
国際公開第08/020356号パンフレットは、2008年2月に公開されており、可変焦点レンズに関する。レンズは、内部チャンバを有する容器を含む。第1の流体媒体と第2の流体媒体とは、チャンバ内に配置されており、メニスカスによって分離されている。メニスカスの形状を制御するためのメニスカス制御システムは、第1の制御エレメントと第2の制御エレメントを有している。第1の制御エレメントはメニスカスに結合されており、実質的に光軸に対して平行な方向に可動である。第1の制御エレメントと第2の制御エレメントは、電界又は磁界を用いて相互作用するように構成されている。内部チャンバは、チャンバの壁部を貫通するいかなるエレメントをも備えない閉鎖されたチャンバである。したがって、チャンバからの流体媒体の漏れの可能性が減じられる。1つの問題は、第1の制御エレメントとチャンバの側壁との間の封止から生じる。
【0015】
従来技術から知られる光学レンズ系の1つの欠点は、これらの光学レンズが、相対的な内圧及び体積が影響されることができるように流体を交換するための手段を備えた複雑な構成を有するということである。
【0016】
本発明の目的は、単純で且つ頑丈な構成を有する改良された液体レンズ系を提供することである。
【0017】
本発明によるレンズ系の実施形態は、従来公知のレンズ系とは異なり、外側ハウジング内に配置された少なくとも1つの主チャンバを備えた、原理的に閉鎖されたシステムである。少なくとも1つの主チャンバは、一方の側において、フレキシブルな膜によって、少なくとも1つの付加的なチャンバ又は外部に対して仕切られている。少なくとも1つのチャンバは、通常、隣接する領域に存在する流体と同じ又は異なる屈折率を有する流体(気体及び/又は液体)で完全に充填されている。
【0018】
本発明の意味における閉鎖されたシステムの下で、システムは、通常の作動中は外部との流体の交換(外部交換)が不要であると理解される。しかしながら、適切であるならば、ある量の流体が、例えば膜の初期の一又は形状を調節するために、外部と交換されることができる。少なくとも2つのチャンバ、ひいてはこれらのチャンバに含まれた流体は、互いに対して、少なくとも部分的に、フレキシブルな膜によって仕切られている。適用分野に応じて、膜は、1つの連続する膜として、又は同じ又は異なる機械的特性及び光学的特性を有する区分から成る膜として設計されていることができる。形状、それぞれ流体の間の膜(バリヤ層)の撓み、及びひいてはシステムの光学特性は、少なくとも1つの膜に機械的に相互結合された又は一体に形成されたアクチュエータを介して、調節可能である。特別な用途において、例えば、バリヤ層を平行に(例えば同相変位用途において)撓ませる必要があるならば、膜の一部は剛性の部分として形成されることができる。アクチュエータは、レンズ系の外側ハウジングに完全に一体に形成されるか、又は少なくとも部分的に外部に配置されることができる。良好な結果が、クーロン力に基づいて膜に作用するアクチュエータによって、又は外部から膜に作用する磁気アクチュエータによって得られる。
【0019】
レンズ系の1つの実施形態は、通常、膜の一方の側において、システム内の流体の体積を交換するために、及びこれによってレンズ系の光学特性に影響するために、例えばチャネル又は開口を介して互いに接続された複数のチャンバ又は領域を有する。レンズ系内のチャンバは通常一定量の流体によって充填されているので、重力と、この重力に関連する局所的な変形が補償されることができる。なぜならば、流体圧力は、システム内の全ての場所である公差において同じであるからである。従来技術から知られる実施形態とは異なり、本発明による光学系は、通常、位置に依存せず、重力は、不都合な影響を与えない。流体の体積を変形させるための少なくとも1つのアクチュエータ手段がシステムに一体化されているので、外部の貯蔵容器を回避することが可能である。さらに、封止されたシステムは、汚染が回避されることができるという利点を提供する。膜は、少なくとも2つのチャンバを、チャンバ自体に対して、又は少なくとも1つのチャンバを周囲環境に対して分離しているので、単純で且つ効率的な構成が可能である。従来技術から知られるような封止の問題は生じない。
【0020】
本発明によるレンズ系は、概して、ハウジングを軸方向に貫通した中央主開口を備えた外側ハウジングを有する。開口は、少なくとも1つの側において、ガラス、プラスチック、エラストマ又は金属等の光学的に活性の又は透明の剤用から形成された剛性の又はフレキシブルなパネルによって閉鎖されることができる。適切であるならば、複数のレンズ系が、並列されて、互いに光学的に接続されてもよい。これにより、分離パネルを省略することが可能になる。パネル自体は、レンズとして形成されているか、又は回折性、屈折性又は反射性の構造を有することができる。択一的に又は付加的に、可変焦点又は固定焦点であることができる別のレンズが、光路に影響すると予想される。
【0021】
ある実施形態において、CCD配列(又は同様のデバイス)が、レンズ系に組み込まれており、一緒に完全なモジュールを形成していてよい。適切であるならば、モジュールは、系の作動及び焦点を制御するために及び/又はCCD配列によって記録されたピクチャ情報を処理するために電子回路を有している。
【0022】
少なくとも1つの膜は、ハウジングの開口に配置されており、適切であるならば張力を受けながら延伸及び/又は予備延伸させられた状態で、開口を横切って延びており、これにより開口を軸方向で2つの対向したチャンバに分離している。膜は、作動中に概して逆平行の撓みの少なくとも2つの領域を含んでおり、予備延伸させられる及び/又は形状はチャンバ内に充填された液体の相対的な量によって決定されてよい。適用分野に応じて、2つ以上の膜が設けられていてもよい。外端部において、膜は通常外側ハウジングに固定されている。後でより詳細に説明するように、膜は、延伸され、ある領域を仕切るために開口内に配置された付加的な保持手段(環状の保持フレーム)に固定されてよい。適用分野に応じて、膜は少なくとも部分的に非平坦に配置されている。
【0023】
膜は、通常、付加的な保持手段に取り付けられており、この場合、より高い張力/ひずみを受ける膜の領域が、より低い張力/ひずみを受ける膜の領域に隣接している。レンズ系を形成する過程において、このことは、膜が第1の程度に延伸させられ、次いで例えばフレーム状の保持手段に固定されることによって達成されることができる。次いで、保持手段を包囲する膜の領域が第2の程度に延伸させられる。延伸は、機械的手段又は熱手段(例えば高温ガス又は放射によって)生じてよい。択一的に又は付加的に、膜の初期位置は、少なくとも1つのチャンバを流体で充填することによって決定されてよい。
【0024】
レンズ系の実施形態において、保持手段として作用する環状の保持フレームは、膜が同心状に取り付けられるハウジングの開口の内側に配置されている。膜は環状の保持フレームに取り付けられる。適用分野に応じて、保持フレームの内側に配置された膜の領域は、通常、保持フレームとハウジングとの間に配置された膜の外側領域よりも、小さく延伸させられている。保持フレームの内側の膜の領域は、光学的に活性であり、光学特性に関して調節可能である。レンズ系の光学特性は、膜の光学的に活性の部分に直接又は間接に接続されたアクチュエータによって調節される。光学的に活性のエレメントは、膜の外側領域よりも小さなひずみを受けるので、膜の外側領域と、環状の保持手段の軸方向の位置とは、流体の移動によって膜の光学的に活性の内側部分の形状を支配する。実施形態において、アクチュエータは、保持フレームを包囲する膜の環状の外側部分に直接に作用し、前記膜の部分の撓みを生ぜしめる。保持フレームの内側に配置された膜の光学活性部分の撓みは、両側においてチャンバに配置された流体によって間接に生ぜしめられ、これによって、膜を機械的に接続する。流体の一部は、膜の外側部分の作動させられた移動、保持手段の位置又はこれらの組合せによって移動させられるので、光学活性内側膜は、その結果撓まされる。
【0025】
実施形態において、膜の光学活性部分は、ある半径を備えた円蓋形状を有する。これは、膜の異なる区分における異なるひずみ(それぞれ応力)と、チャンバに充填された流体の相対的な量とによって達成される。アクチュエータは、膜の異なる区分における相対的なひずみを変化させるので、流体は、少なくとも1つのチャンバにおいて移動させられ、膜材料の接触する傾向により、円蓋の形状は、例えば、半径を増減させることによって、変化させられる。膜の厚さの分配により、円蓋の形状に影響すること、例えば放物線状又は別の適切な設計にすることが可能である。これによって、光学的な誤差を補正することが可能になる。
【0026】
良好な結果は、膜のそれぞれの側又は膜の区分に、概して互いに向き合って配置された、2つの電極の形式のアクチュエータによって達成される。択一的に又は付加的に、膜は、膜が磁界によって撓まされることができるように、磁性層によって被覆されているか又は磁性層自体から形成されていることができる。ハウジングの内側又は外側に配置された少なくとも1つの電気コイルは、膜を撓ませるのに適している。アクチュエータは、例えばエラストマ材料から成る、弾性変形可能な、適切であるならば予備延伸された膜を包囲している。実施形態に応じて、電極は、不都合な電流を回避するために、互いに対して十分に電気的に隔離されながら配置されている。
【0027】
膜が2つの向き合った電極によって被覆されている場合、第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加することによって、第1の電極と第2の電極との間の領域における中間層は、クーロン力によって圧縮され、それぞれマクスウェル応力が、予備延伸された膜材料の厚さの局所的な減少(第1の方向)を生ぜしめる。膜材料のポアソン比は、膜の、横方向の、平面内膨張を生ぜしめる(二次的な変形)。適切であるならば、別の変形が重ね合わされてよい。横方向の膨張は、通常のように延伸された膜の面外撓みを生ぜしめ、これにより、光学的に活性の膜の特性が、決定された形式で変化する。
【0028】
特別な光学的効果を得るために、膜は、三次元に成形されているか、又は可変厚さを有するか、又は回折構造、屈折構造、反射構造、散乱構造又は吸収構造を含むことができる。択一的に又は付加的に、位相ずらし機能、調節可能なマイクロレンズ配列又は調節可能なミラー等のその他の光学的な機能が実施されてもよい。適切であるならば、膜は、区分ごとに、異なる材料又は層から形成されることができる。良好な結果は、膜が、3Mの市販のVHB4910、VHB4905、VHB9560テープから成ることにより得られる。この材料は、1.47の範囲の屈折率を有する。良好な結果は、シリコン、シリコンゲル又はウレタンを含む弾性の膜を使用することによっても得られる。
【0029】
レンズ誤差を補正するための装置は、膜がハウジングの内部に配置されており、ハウジングを、概して同じ屈折率を有する液体によって充填される第1及び第2のチャンバに分離し、膜が異なる屈折率を有する材料から形成されていることによって得ることができる。膜が上述のように、例えば円蓋を形成するように撓まれることにより、膜の光学的に活性の部分が、中央において、より小さな傾斜を有しており、この傾斜は、(半径方向で)中央までの距離が増大するとともに増大している。レンズ系を通過する光は、中央よりも、外側領域においてより長い経路を通過する。これにより、例えば、相互結合されたレンズ又は別の光学デバイスの光学誤差を補償することができる。効果を最適化するために、膜は、フレキシブルレンズ自体として作用する厚さ分布を含んでいてよい。膜の設計等の構成に応じて、球面収差又は色収差等の収差を補償することができる。
【0030】
位相ずらし装置は、上述のような弾性の膜が、アクチュエータによって軸方向に(光路に沿って)撓み可能である変形不能な平坦な中央部分を有することによって、得られることができる。装置は、異なる屈折率を有する流体によって充填された少なくとも2つのチャンバを有する。平坦な中央部分が撓まされることにより、異なる媒体における光路は変化し、これは、位相ずらし効果を生じる。平坦な中央部分は、透明な又は反射性の材料から形成されることができる。
【0031】
適応性のマイクロレンズ配列は、光学的に透明な材料の弾性の変形可能な層によって被覆された、小さな開口の配列を含む剛性の変形不可能な中央部分を配置することによって達成されることができる。内部チャンバ内の流体の体積を変化させることによって、開口上の変形可能な層の形状が変化し、装置の光学特性が影響される。
【0032】
少なくとも1つのチャンバに吸光流体が充填されることにより、光ビームの強度分布が影響されることができる。ここでは、横方向位置に関して、吸光流体内の光路が変化させられ、これにより、内部チャンバ内の特定の光路における合計吸収が制御される。
【0033】
本発明によるレンズ系において、膜は、反射防止層で被覆されていることができる。少なくとも1つの膜は、多層構造を有することができ、この場合、個々の層の屈折率と、層の厚さとは、反射されるビームが弱め合う干渉によって排除されるように、調節される。
【0034】
膜及び/又はハウジングの表面に、種々異なる形式で塗膜が提供されてもよい。良好な結果は、気相成長、プラズマコーティング、ドーピング、自己組織化単分子膜(SAM's)、ラングミュア・ブロジェット膜、両親媒性界面活性剤、又はスピンコーティング等の慣用の方法によって得られる。方法は、膜自体への、ある三次元構造の提供である。サブ波長範囲における十分に分配された突起又は物体を備えた表面を構造化することによって、反射防止効果が生ぜしめられることができる。効果を生ぜしめるための方法は、膜のエッチング、成形、膜への粒子の提供である。
【0035】
適切であるならば、塗膜の分子は、隣り合うチャンバの内の一方に存在する流体におけるある溶解性を有しており、膜の表面への沈降が生じる。同様の効果は、弾性材料の材料への高い化学的親和性及び周囲の液体(流体)における低い溶解性を備えた、高い粘性の液体層が、膜の表面に提供されることにより達成されることができる。例えば、油の層が膜の親油性表面に提供される。
【0036】
本発明によるレンズ系は、携帯電話又は個人用デジタルアシスタント、プロジェクタ、カメラ、光学測定のための物体、高パワーレーザ制御用途、干渉計、ディスプレイ又は顕微鏡等の手に持つ装置における、焦点距離を変化させるための、コンパクトな、制御及び操作機構が重要である用途において使用されてよい。適切な材料、例えば生体適合性材料を使用することにより、哺乳動物における医療用途又は移植のために、視力の矯正のために、使用されることができる。従来技術とは異なり、1つの利点は、本発明によるレンズ系が容易に小型化されるか又は寸法調節されることができる。
【0037】
チャンバに配置された流体は、好適には、シリコーン油、油、溶剤、水、透明又は反射性の液体、気体のグループから選択される。適切であるならば、流体を、少なくとも部分的に、例えばWackerのSilge 612 A&B、又はDow CorningのSylgard 527又はSylgard 528等のゲルによって代用することが可能である。ゲルは、封止の問題が小さいという利点を有する。好適には、流体の内の少なくとも一方が、液体、例えば油又は水等の非圧縮性である。ある用途のためには、流体は、光学的作用に影響するための粒子又は物体を含んでいてよい。このような分散は、視距離とは異なる電磁波の伝播及び拡散に強く影響するために使用されることができる。これにより、レンズ系は、種々異なる電磁波スペクトルのために使用されることができる。
【0038】
レンズ系の1つのチャンバは、水銀等の反射性材料によって充填されるので、レンズ系のミラータイプを形成することができる。択一的に又は付加的に、膜自体は、ガリウム、インジウム及びスズからガリンスタン(Galinstan)として形成された合金又はその他の共融合金等の薄い、フレキシブルな又は液体金属によって被覆されるか、又は反射性材料自体から成ることができる。同じ効果は、単に光学活性部分の一方の側にミラーを配置することによって得られることができる。
【0039】
適切であるならば、膜は、少なくとも1つのチャンバに配置された液体の内部のガスの通過を許容する、半透性材料から形成されることができる。チャンバ内の液体のより高い内圧により、ガスは、膜を通ってチャンバから追い出される。これにより、不都合な効果を有する気泡は排除されることができる。
【0040】
適切であるならば、例えばビーマ又は高性能スポットライトにおいて、レンズ系は、閉鎖された冷却回路及び/又は対流式の冷却によって冷却されることができる。冷却回路は好適には、意図せずに膜の位置に影響しないように、等圧である。
【0041】
予備延伸された膜を備えた、本発明によるレンズ系を形成するための方法は、概して以下のステップを含む:
1.膜材料を第1の程度に延伸する
2.延伸された膜を保持フレーム、すなわち環状の保持フレームに取り付ける
3.保持フレームを包囲する膜を第2の程度に延伸する
4.膜をハウジングの開口に配置し、膜をハウジングに取り付ける
5.実施形態に応じて、向き合った電極及び/又は少なくとも1つの磁性層を膜の区分に取り付ける
6.第1の程度に延伸された膜の一部が円蓋を形成するように、膜の第1の側によって仕切られたチャンバを、第1の屈折率を有する第1の流体で充填する
7.実施形態に応じて、膜の第2の側によって仕切られた第2のチャンバを、異なる屈折率を有する第2の流体で充填する。
【0042】
適切であるならば、膜は、製造の間は予備延伸された形式で配置されないが、チャンバに適切な量の流体を充填することによって延伸された形状にされる。初期位置は、膜に隣接するチャンバに充填された液体の相対的な量によって決定される。
【0043】
適切であるならば、液体は、膜ホルダを固定する前に、チャンバに充填されることができる。これにより、組立てプロセス自体の間に最終形状が生ぜしめられる。膜の材料は、半透性材料から形成されているので、捕捉された気泡は膜を通って放散することができる。真空の適用はより迅速な脱気を可能にする。この製造方法は、いわゆるウェハレベルプロセスを可能にする。
【0044】
発明の実施形態は、軸方向に延びた開口を備えたハウジングを有する光学系に関する。少なくとも1つの膜は開口を横切って配置されており、ハウジングの内側に、概して一定量の流体で充填された少なくとも1つのチャンバを形成している。膜は、光学的に活性の区分と、光学的に不活性の区分と、好適には流体の移動によって膜の光学的に活性の区分の形状に影響し、これにより光学系の光学特性を変化させるための少なくとも1つのアクチュエータとを有している。膜の光学的に活性の区分と光学的に不活性の区分とは、通常、少なくとも1つの環状の保持フレームに取り付けられている。好適な実施形態において、膜の光学的に活性の区分と光学的に不活性の区分とは、同じ環状の保持フレームに取り付けられている。環状の保持フレームは、膜を、光学的に活性の区分と光学的に不活性の区分とに分離している。実施形態において、アクチュエータは、膜の光学的に不活性の区分に結合されている。択一的に又は付加的に、アクチュエータは、環状の保持フレームを軸方向に移動させるために環状の保持フレームに結合されている。環状の保持フレームは、開口の内側の面に対して距離を置いて配置されている。実施形態において、膜を移動させるためのアクチュエータは、膜に結合された、互いに対して電気的に隔離された、膜の1つの区分を少なくとも部分的に包囲する、少なくとも2つの電極から成る。良好な結果は、電極が、金属粉末、導電性共融合金、カーボンブラック、又は光学的にと植三奈電極材料から形成されている場合に得られる。実施形態において、少なくとも1つの膜は、ハウジングの内部を、同じ又は異なる屈折率を有する第1及び第2の流体で充填された第1及び第2のチャンバに分離させている。適切であるならば、膜の光学的に活性の部分は、剛性、吸収性、屈折性、回折性、拡散性又は反射性の構造を有することができる。適用分野に応じて、膜は、開口の軸線に対して垂直に又は開口の軸線に対してある角度を成して配置されている。
【0045】
ここで説明される発明は、以下に提供される説明と、添付の請求項に記載された発明に限定すると考えられるべきではない実施形態を示す図面とからより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明によるレンズ系の第1の実施形態を示す上面図である。
【図2】図1によるレンズ系を線A−Aに沿って見た断面図である。
【図3】図2に示された細部Bの図である。
【図4】図1に示された実施形態を示す、部分的に切断された斜視図である。
【図5】本発明によるレンズ系の第2の実施形態を示す上面図である。
【図6】図5に示されたレンズ系を線B−Bに沿って見た断面図である。
【図7】レンズ系の第3の実施形態を3つの異なる作動モードで示した概略図である。
【図8】レンズ系の第4の実施形態を2つの異なる作動モードで示した概略図である。
【図9】レンズ系の第5の実施形態を2つの異なる作動モードで示した概略図である。
【図10】レンズ系の第6の実施形態を示す斜視図である。
【図11】図10に示されたレンズ系を示す上面図である。
【図12】図10に示されたレンズ系を示す断面図である。
【図13】図10に示されたレンズ系を示す分解図である。
【図14】レンズ系の第7の実施形態を示す斜視図である。
【図15】レンズ系の第8の実施形態を示す斜視図である。
【図16】図15に示された細部Aを示す図である。
【図17】レンズ系の第9の実施形態を示す斜視図である。
【図18】レンズ系の第10の実施形態を示す上面図である。
【図19】図18の切断線DDに沿った断面図である。
【0047】
実施形態の説明
図1は、本発明によるレンズ系1の第1の実施形態を上面図で示しており、図2は、線A−Aに知ったレンズ系の断面図を示しており、図3は、図2に示された細部Bを示している。
【0048】
レンズ系1は、ハウジング2を貫いて軸方向(Z軸)に延びた中央開口3を備える外側ハウジング2を有する。中央開口3は、ハウジング2のそれぞれの側において上部及び下部の剛性のパネル4,5によって閉鎖されている。膜6は、開口3を、流体(液体又は気体、詳しく示されていない)によって充填された第1の上側チャンバ7と第2の下側チャンバ8とに分離している。示された実施形態において、膜6は、膜をハウジング2の上側部分2.1と下側部分2.2との間に締め付けることによって、外側の端部において、延伸されながらハウジング2に固定されている。中央開口3内には、膜6を、(直径d1を備える)第1の円形の内側領域6.1と、第2の環状の外側領域6.2とに分離する環状保持フレーム9が示されている。示された実施形態において、環状保持フレーム9は、外側のハウジング2と同心に、ハウジング2の内側側壁26に対して距離d2だけ離れて配置されている。内側領域6.1と外側領域6.2との間において、膜8は保持フレーム9に固定されている。膜6は、弾性張力を受けながら、延伸された状態で取り付けられている。レンズ系1を形成するプロセスの間、膜6は、内側領域6.1の弾性張力が外側領域6.2の弾性張力よりも小さくなるように幾つかの段階を経て延伸される。これにより、外側領域は、ほぼ平坦であり、内側領域はZ方向に撓まされている。しかしながら、ある実施形態において、例えばチャンバに充填された体積によって初期形状が決定される場合、膜を予備延伸する必要がない。少なくとも1つのチャンバ7,8における流体は、初期の及び作動中の、膜の内側領域6.1及び外側領域6.2の相対的な変形を決定する。
【0049】
示された実施形態において、膜6の内側領域6.1及び外側領域6.2の間の機械的な接続は、主に上側チャンバ7と下側チャンバ8とに含まれた流体によって行われる。環状保持フレーム9は、下側チャンバ8の第1の内側部分8.1と第2の外側部分8.2との間の流体の交換を可能にする開口10を有する。別の実施形態において、保持フレーム9は、固定されずに、例えば軸方向に移動可能に配置されていてよい。
【0050】
図2に最も詳しく示されているように、上側及び下側のチャンバの体積は、膜6の中央部分6.1が円蓋状に配置されているように選択されている。膜の中央部分6.1が膜の外側部分6.2よりも小さなひずみを受けるので、初期位置において、中央部分が撓まされ、外側部分はほぼ撓まされない。
【0051】
図3に最も詳しく示されているように、第1の上側電極11と第2の下側電極12とが、膜6の外側領域6.2を環状に包囲しながら互いに向き合って配置されている。良好な結果は、電極が、電極を膜にスタンピングすることによって、イオン注入プロセスによって、又はガリンスタン等のフレキシブルな又は液体金属の塗布によって、カーボンブラックから形成されていることによって達成される。電極は、例えばフレーム9,2.1,2.2に一体に形成された電気コネクタによって外側に電気的に接続されている。電圧を印加することにより、電極11,12はクーロン力、すなわちマクスウェル応力により互いに引き付け合い、これにより、電極の間に配置されたひずんだ膜6.2を圧縮する。材料のポアソン比により、膜が側方へ拡張し、半径方向及び周方向の寸法を増大させる。このジオメトリの変化は、膜6の外側環状部分6.2の材料におけるひずみをも減じる。膜の円形の内側部分における応力がここで膜6の外側部分における応力を超えることにより、内側領域の変形が減じられ、外側領域の変形が増大される。
【0052】
図4は、図1から図3までに示されたレンズ系1を斜視図で示している。装置1は、内側を良く示すために部分的に切り取られている。膜6の外側環状部分6.2は、X−Y平面から逸脱した変形した状態で示されている。保持フレーム9は、膜6に結合されており、膜を、より小さな応力を備える内側円形部分6.1と、より大きな応力を備える環状外側部分6.2とに分離している。変形させられていない時の応力のこの差により、環状外側部分6.2は内側円形部分6.1を支配する。チャンバ7,8における体積の合計は同じままなので、膜の外側管状部分6.2の面外変形は、少なくとも1つのチャンバ7,8における流体を介して内側部分の変形に影響する。上述のように、変形は、電極11,12によって加えられるクーロン力に関連しており、これは、電極の間に挟まれて配置された膜の圧縮を生ぜしめる。このことは、膜の内側領域におけるひずみがここで膜の外側領域におけるひずみを超えるので、膜の内側領域と外側領域との間の相対的なひずみの変化を生じる。これにより、膜の内側領域の面外変形は減じられ、このことが光学特性の変化を生ぜしめる。
【0053】
図5は、拡張されたレンズ系20を上面図で示しており、図6は、図5に示された実施形態を線B−Bに沿った断面図で示している。拡張されたレンズ系20は、互いに機能的に結合された、図1から図4までに示された2つのレンズ系1.1,1.2から成る。2つのレンズ系1.1,1.2は互いに鏡面対称で配置されており、第1の液体(詳しく示されていない)によって充填された第1のチャンバ7を共有している。2つのレンズ系1.1,1.2は剛性の中間部材によって互いに分離されていない。適切であるならば、例えばガラスパネル又はレンズ(両方とも示されていない)の分離を予見することが可能である。外側ハウジング2は別個の部材として示されているが、1つの部分として形成されていることもできる。両方の膜6.1,6.2の両側に、チャンバ7における第1の流体と比較して異なる屈折率を有する流体(詳しく示されていない)によって充填された2つの第2のチャンバ8.1,8.2が示されている。3つのチャンバ7,8.1,8.2の体積は作動中は通常一定である。図示のように、下側のレンズ系1.2の膜21が撓まされている一方で、上側のレンズ系2.2の膜22は撓まされていない。
【0054】
図7は、本発明によるレンズ系40の第3の実施形態を、変形されていない状態(図7a)と、2つの変形された段階(図7b及び図7c)とにおいて概略的に示している。レンズ系40は、少なくとも作動中は通常は一定である体積Vを取り囲んだ外側ハウジング41を有する。ハウジング41の内部には、ハウジング41の内部体積を3つのチャンバ44,45,46に分離する、弾性材料から形成された第1の膜42及び第2の膜43が配置されている。チャンバ44,45,46には、異なる光学特性を有する異なる流体が充填されている。各膜42,43は、延伸された状態で保持リング(環状保持フレーム)47,48に取り付けられており、これらの保持リングは、この実施形態においては、外側縁部における膜の縁部からある距離を置いて配置されている。本実施形態においては、保持リング47,48はほぼ同じ直径を有する。特別な効果を達成するために、この直径は異なることができる。膜42,43は、外側縁部においてハウジング41に取り付けられている。膜42,43は、膜をハウジング41の構成部材の間に固定することによって取り付けられる。保持リング47,48はハウジング41において軸方向(Z方向)に可動であり、これにより、膜の、光学的に活性の、ハウジング41とチャンバ44,45,46とに対して封止する部分を撓ませる。ハウジング41の内部のほぼ一定の体積Vにより、膜42,43の形状は、レンズ系の光学的作用が変化させられるように、チャンバ44,45,46内部の流体の移動により変化させられる。より単純なレンズ系は、ハウジングのほぼ一定の体積を2つの別個のチャンバに分離するだけの1つの膜を備えて設計されてよい。
【0055】
保持リング47,48を軸方向(Z方向)に上方へ及び/又は下方へ移動させることにより、例えば、二重凸面、二重凹面、凸面と凹面、凹面と凸面、又は平坦と凸面のレンズ系を得ることができる。実施形態において、保持リングは外部からの磁界によって作動させられる。択一的に又は付加的に、電界又は磁界によって誘発される力の伝達によってリングを作動させることができる。適切であるならば、上述のようなレンズ系を機能的に連続して接続することができる。適用分野に応じて、チャンバを2つの領域に分離する1つの膜のみを有するレンズ系を提供することもできる。
【0056】
膜に作用する撓み力は、異なる形式で、つまり膜の保持手段に加えられてもよい。例えば保持リング47,48が、膜に取り付けられ、磁性材料、例えばネオジム鉄ホウ素(NdFeB)又は強磁性材料から形成された磁石に結合されていることにより、膜を、遠隔で、予見された形式で、外部から磁界を加えることによって撓ませることが可能であり、これにより、完全に封止された外側ハウジング41を通過してレンズ系の光学作用を調節することができる。1つのチャンバは、空気で充填されるならば開放していることができる。磁界は、ハウジング41に沿って配置され且つ適切な磁界を生ぜしめるように設計された電気コイルによって生ぜしめられることができる。2つ以上のリングが撓まされる必要がある場合には、各リングに電気コイルを提供することができる。択一的に又は付加的に、膜は、磁性材料又は強磁性材料から形成された又は磁性材料又は強磁性材料を含むリングによって、撓まされることができる。リングは、ハウジング41に沿って移動可能に配置されている。外側ハウジング41が磁界に対して透明な材料から形成されていることにより、アクチュエータを外部に配置し、これにより、膜に撓み力を遠隔で加えることができる。別の実施形態において、アクチュエータは、材料の温度に依存した形状を有するバイメタル又は形状記憶合金から形成されている。これらのアクチュエータは、膜の保持手段を介して膜に機械的に結合されており、例えば、膜が対応して撓まされるように電流によって加熱されることができる。
【0057】
図8a及び図8bは、本発明によるレンズ系27の第4の実施形態を示している。図8aは、撓まされていない状態における実施形態27を示しており、図8bは撓まされた状態における実施形態27を示している。レンズ系27は、中心軸線zに関して回転対称の構成を有する。適切であるならば、矩形の別の形状の断面を有する別の設計が可能である。レンズ系27は、フレキシブルな膜31によって第1のチャンバ29と第2のチャンバ30とに分離された少なくとも部分的に光学的に透明な外側ハウジング28を有する。達成されるべき光学的作用に応じて、チャンバ29,30は、同じ又は異なる屈折率を有する流体(詳しく示されていない)によって完全に充填されている。膜31は、外縁部に沿って膜31の光学的に活性の中央部分33を包囲する環状の磁性領域32を有する。磁性領域32は、磁気的に活性の材料(例えば磁性又は強磁性の材料)から形成されている。適切であるならば、磁気的に活性の材料から形成されたフレキシブルなリングの剛性部分が、膜31の外側領域32に組み込まれる又は取り付けられることができる。膜31は好適には、膜が撓んだ後に平衡位置へ戻るように、チャンバ29,30内の流体に復元力を加える。概して、チャンバ29,30内の流体のうちの少なくとも1つは、好適には非圧縮性である。
【0058】
図8bには、概略的に同心円によって示された磁界34がどのように磁性層32に加えられるかが示されている。その結果、膜31の外側領域32に作用し且つ膜31を+z方向に局所的に撓ませる力Fが生じる。これにより、チャンバ29,30内の流体が移動され、膜31の中央部分を反対方向(−z方向)に撓ませ、膜の中央部分が円蓋状になる。概して+z方向でレンズ系1を通過する、概略的に点線によって示された光ビーム35は、垂直に、外側ハウジング28と、第1のチャンバ29に存在する第1の流体とに進入し、第1の端部パネル36を通過する。次いで、光ビームは、光学的に透明な膜31を通過することによって初めて偏向される一方で、第2のチャンバ30に存在する第2の流体に進入する。光ビームの第2の偏向は、第2の端部パネル37を通って外側ハウジング28から出る時に生じる。磁界が増大されることにより、膜の撓みが増大される。これにより、レンズ系の光学作用を調節することができる。磁界34は、ハウジング28の外側に配置されたコイル38(図17参照)によって生ぜしめられることができる。
【0059】
図9a及び図9bは、本発明による光学系55の第5の実施形態を示している。図9aは変形されていない光学系55を示しており、図9bは変形された光学系55を示している。光学系55は、軸方向zに延びた中央開口57を備えた外側ハウジング56を有している。一方の端部において、中央開口57は剛性の壁部58によって閉鎖されている。フレキシブルな膜59は、開口57を横切って延びており、外側端部において外側ハウジング56に固定されている。体積Vを有する、流体(液体又は気体)によって充填されたチャンバ60は、壁部58と膜59とによって仕切られている。環状フレーム61は、膜59の外縁部から距離d2だけ離れて膜59に結合されている。環状フレーム61は、(この場合は−z方向に)遠位端部に沿って、直接に又は間接に、膜59の表面に押し付けられるので、チャンバ60内の流体が移動され、膜は、図9bに概略的に示されているように、凸面状の円蓋状に変形させられる。チャンバ60は、チャンバ60の外側に存在する流体とは異なる屈折率を有する流体によって充填されているので、光学系を通過する光ビームは、決定された形式に従って偏向させられる。環状フレームは(この場合は+z方向に)引っ張られるので、膜は凹面状に形成される(図示せず)。チャンバ60は、油又は水等の非圧縮性流体によって充填されているので、体積Vをほぼ一定に保ち、これにより膜59の変形を決定することができる。膜60は、異なる区分から組み立てられて形成されることができ、例えば、内側の光学活性領域は、環状の外側領域とは異なる膜材料から形成されることができる。チャンバ60が気体等の圧縮性流体によって充填されている場合、環状フレーム61が膜の表面に対して押し付けられ、これにより膜59の変形を生ぜしめた場合、体積Vが変化する。択一的に又は付加的に、体積Vは、加熱又は冷却によって変化させられてよい。
【0060】
環状フレーム60を外側ハウジング56に対して移動させるために、環状フレームは、例えば、光学軸線zに沿った直線移動のためのねじ山又は別の適切な手段によって外側ハウジング56に機械的に結合されることができる。適切であるならば、複数の光学系を互いに機能的に接続することができる。膜59及び/又は壁部58の光学的に活性の表面には、回折性エレメント又はその他の光学的に活性の手段が具備されていてよい。例えば、壁部58は剛性のレンズとして成形されることができる。
【0061】
図10は、本発明によるレンズ系65の第6の実施形態を上方からの斜視図で概略的に示している。図11は、レンズシステムを上面図で示している。図12は、レンズ系65を、図11の切断線CCに沿った断面図で示している。図13は、レンズ系を分解図で示している。内部構造を見やすくするために、90゜の区分が切り取られている。
【0062】
レンズ系65は、体積Vを取り囲む、中央開口67を備えた外側ハウジング66を有する(図12、図13)。弾性材料から形成された膜68は、中央開口67を横切って延びており、図示された実施形態において、ハウジング66の下端部に取り付けられている。
【0063】
膜68は、保持リング71を介して、円形の開口70を有する保持フレーム(キャリヤ)69に取り付けられている。その他の固定が可能である。適切であるならば、膜68は、異なる特性を有する異なる区分から組み立てられることができる。保持フレーム69は、後でより詳細に説明される機構によって、外側ハウジング66に対して軸方向に移動可能に、中央開口67内に配置されている。移動可能な環状の保持フレーム69と、この保持フレームに結合された駆動機構は、膜68の内側区分80と外側区分81との間の境界部において移動するためのアクチュエータとして作用する。
【0064】
外側ハウジング66の中央開口67は、それぞれの端部において第1のカバー72及び第2のカバー73によって閉鎖されており、各カバーは、光学的に透明なガラス76,77によって封止された開口74,75を有する。
【0065】
膜は、ハウジング66の内部体積Vを、第1の体積V1と第2の体積V2とを有する2つのチャンバ78,79に分離している。チャンバの少なくとも一方は、チャンバがほぼ一定の量の流体(詳しく示されていない)を保持することができるように環境に対して封止されている。非圧縮性流体を選択することにより、体積は一定に保たれることができる。保持フレーム69を外側ハウジング66に対して軸方向zに移動させることにより、チャンバV1,V2内の少なくとも1つの流体が移動させられ、一定の量により、膜68を所定の形式で変形させる。保持フレーム69は、膜を、光学的に活性の内側区分80と、光学的に不活性の環状の外側区分81とに分割している。内側区分80の変形は、軸方向にレンズ系65を通過する光ビームに影響するために使用されるのに対し、外側区分81は主に、移動を補償するために、及び封止のために使用されている。適用分野に応じて、膜68の内側区分80及び外側区分81は一体に結合されていなくてもよい。膜68は、弾性により延伸させられながら保持リング69に取り付けられており、保持リングは、本実施形態において、膜の外縁部に対して距離を置いて配置されている。
【0066】
膜68を移動させるために、ひいてはレンズ系65の光学作用を調節するための機構は、以下により詳細に説明される。保持フレーム69は、外縁部において、3つの半径方向のピン82を有しており、これらのピンはそれぞれ、固定配置された第1の支持体84の垂直に配置された第1の切欠83と、らせん状の第2の切欠84とに係合している。第2の切欠85は、中心軸線zを中心に回転可能に配置された第2の支持体86に配置されている。第2の支持体86を第1の支持体84に対して回転させることによって(矢印a1によって示されている)、保持フレーム69が軸方向に移動させられ(矢印a2)、これにより、少なくとも1つのチャンバ78,79に存在する流体の移動により膜68が変形させられる。本実施形態において、1つのチャンバのみが流体で充填されているならば、寸法及び用途のタイプに依存する。両方チャンバが非圧縮性流体によって充填されていると、外力又は重力が補償されることができる。適切な封止が必要である。図12に示されているように、第1の支持体84の遠位端部と第1のカバー72との間に膜68が締め付けられている。第1のカバー72及び第2のカバー73は外側ハウジング66を外部に対して完全に封止している。第2の支持体86の回転は、第2の支持体86に取り付けられた第1の磁石87と、外側回転リング89に取り付けられた第2の磁石88とによって伝達される。第1の磁石87と第2の磁石88とは、回転リング89の回転が第2の支持体86に伝達されるように、第2のカバー73を通過する磁力によって互いに機能的に接続されている。保持フレーム69は、開口90を有するか、又は流体の交換を改良するために輪郭だけの構造に設計されてよい。
【0067】
保持リング69を軸方向(z方向)で上方及び/又は下方へ移動させることによって、例えば平面−凸面、平面−凹面、又は平面−平面のレンズ系を得ることができる。実施形態において、保持リングは外部から磁界によって作動させられる。これにより、回転移動は、有利にはスロット又はねじ山から成る機械的な力の伝達機構によって、保持リングの軸方向移動に変換される。磁界は、z軸の方向又はz方向に対して垂直な半径方向に作用することができる。択一的に又は付加的に、電界又は磁界によって誘発される力の伝達を用いることなく、純粋に機械的な力の伝達によってリングを作動させることが可能である。本実施形態において、チャンバ78,79のうちの一方における体積は必ずしも一定ではないが、塵芥が存在しない。適切であるならば、上述のレンズ系を機能的に連続して接続することができる。適切であるならば、CCD配列(詳しく示されていない)が、カバー74,75のうちの一方に組み込まれている又は結合されていてよい。
【0068】
図14は、本発明によるレンズ系65の第7の実施形態を斜視図で概略的に示している。機能の原理のより良い理解のために、前側部分が切り取られている。さらに、見えない縁部は破線で示されている。この実施形態は図10から図13までに示された第6の実施形態に関連しているので、同じ参照符号が対応する部材のために使用されている。全体的な説明については第6の実施形態が参照される。
【0069】
第6の実施形態とは異なり、第7の実施形態は、第2のチャンバ79を区切りこの第2のチャンバを周囲環境に対して封止する別の膜区分64を有する。さらに、第1の切欠83を備える第1の固定して配置された支持体84は、らせん状の第2の切欠85を有する第2の回転可能に配置された支持体86の内部に配置されている。これにより、第2の支持体86を第1の支持体84に対して回転させることにより保持フレーム69が移動させられることができる。また、この場合、保持フレーム69と、保持フレームに結合された機構とは、膜68のためのアクチュエータとして作用する。アクチュエータは、膜68の光学的に活性の内側区分80と膜68の光学的に不活性の外側区分81との境界に作用する。
【0070】
レンズ系65は、少なくとも作動中に通常は一定の体積を有する2つのチャンバ78,79を有する。体積は、弾性の膜区分80,81,64と、第1及び第2のカバー72,73とによって規定されている。ハウジング66の内側には、弾性材料から形成された膜区分64,80,81が、ハウジング65と保持フレーム69とに取り付けられている。示された実施形態において、外側の膜区分64,81は、ハウジングの構成部材72,74,84の間に締め付けることによって取り付けられている。内側の、光学的に活性の、弾性の膜区分80は、ハウジング66の内部体積を2つのチャンバ78,79に分離するように配置されている。膜区分64,80,81は、通常、延伸された状態で保持フレーム69に取り付けられている。第6の実施形態に関して説明したように、保持フレーム69は、ハウジング66において軸方向(z方向)に移動可能であり、これにより、3つの膜区分64,80,81を撓ませる。チャンバ78,79の内部のほぼ一定の量の流体により、光学的に活性の膜80の形状は、チャンバ78,79における流体の移動により変化させられ、レンズ系65の光学作用が変化させられる。
【0071】
保持フレーム69を軸方向(z方向)に上方及び/又は下方へ移動させることにより、例えば平面−凸面、平面−凹面、平面−平面のレンズ系を得ることができる。示された実施形態において、有利にはスロット又はねじ山機構を使用して、回転移動が保持フレーム69の軸方向移動に変換される。その他の軸方向作動が可能である。択一的に又は付加的に、電界又は磁界によって誘発される力の伝達等のその他の手段によってリングを作動させることができる。適切であるならば、上述のようにレンズ系を機能的に連続して接続することができる。適切であるならば、外側の膜区分64,81は、チャンバ78,79内の液体における気泡が逃げ出すことができるように多孔質材料から形成されることができる。示された実施形態において、適切な作動のために1つのチャンバ78,79だけで十分である場合には一方の外側の膜区分64,81は原理的に省略されることができる。
【0072】
図15は、図1から図4までに示された第1の実施形態に関連した、レンズ系1の第8の実施形態を示しており、対応する部材のために同じ参照符号が使用されている。全体的な説明については第1の実施形態が参照される。機能の原理をより良く理解するために、90゜の前側区分が切り取られている。さらに、見えない縁部は破線で示されている。図16は図15の細部Aを示している。
【0073】
第1の上部電極11は、円形の保持フレーム9の方向に、延長された長さを有しており、これにより、保持フレーム9に電気的に接続されている。保持フレームは導電性材料から形成されている。択一的に又は付加的に、導電性材料によってめっきされていることもできる。これにより、保持フレーム9をプラスチック材料から形成することができる。第2の下部電極12は、外方へ延びており、外側ハウジング2.1の下側部分に電気的に接続されている。膜6は、ハウジング2と保持フレーム9との間の隔離のために作用する。電極11,12によって被覆されていない膜6の領域は、膜に生じる応力を補償するために働く。
【0074】
図17は、レンズ系の第9の実施形態を斜視図で示している。十分な理解と、見やすさのために、レンズ系の内部が見えるように前側区分が切り取られている。レンズ系は、図8に示された実施形態に関連している。したがって、同じ参照符号が使用されている。全体的な説明については図8が参照される。
【0075】
示されたようなレンズ系27は、中心軸線zに関して回転対称の構成を有している。レンズ系27は、フレキシブルな膜31によって第1のチャンバ29と第2のチャンバ30とに分離された少なくとも部分的に光学的に透明な外側ハウジング28を有している。膜は撓まされた状態で示されている。達成されるべき光学効果に応じて、チャンバ29,30は、異なる屈折率を有する同じ又は異なる流体(詳しく示されていない)によって完全に充填されている。膜31は、外側縁部に沿って膜31の光学的に活性の中央部分33を包囲した、環状の磁性領域32を有する。磁性領域32は、磁気的に活性の材料(例えば磁性材料又は強磁性材料)から形成されている。適切であるならば、磁性の活性材料が、膜に組み込まれているか又は膜に別個に取り付けられていることができる。膜31は好適には、膜が撓みの後に平衡位置へ戻るように、チャンバ29,30内の流体に復元力を加えるように配置されている。概してチャンバ29,30内の流体の内の少なくとも1つは好適には非圧縮性である。
【0076】
磁界34(図8参照)はコイル38によって生ぜしめられ、磁性層32に作用する。その結果、力F(矢印参照)が、膜31の外側領域32に作用し、膜31を上方へ+z方向に局所的に撓ませる。これにより、チャンバ29,30内の流体は移動させられ、膜の中央部分が円蓋状になるように膜31の中央部分を反対方向(−z方向)へ撓ませる。示された実施形態は、膜31を軸方向で締め付け且つ膜31を光学的に活性の内側区分33と作動する外側区分32とに分離する、上部及び下部の保持フレーム39を有している。内側区分32及び外側区分33は、異なる膜材料から形成されることができる。保持フレーム39は、膜31の撓みの結果として流体を交換、すなわち移動するために開口62を有する。流体の全量(体積)は一定であるので、膜の光学的に活性の内側区分33は流体の移動により撓む。適用分野に応じて、1つのチャンバ29,30のみが流体で充填されている。より大きなアセンブリの場合、これは重力による歪みを生じる恐れがある。示された実施形態において、コイル38は、軸方向で上方に、つまり膜31の中央平面の下方に配置された上側区分と下側区分とに分離されている。
【0077】
図18及び図19は本発明によるレンズ系91の第10の実施形態を示している。図18は上面図を示しており、図19は、図18の切断線DDに沿った断面図を示している。
【0078】
レンズ系91は、軸方向(z軸)でハウジング92を貫通して延びた中央開口93を備えた外側ハウジング92を有する。中央開口93は、ハウジング92のそれぞれの側において、体積Vを取り囲む上側パネル94と下側パネル95とによって閉鎖されている。3つの膜区分96,97,98は、体積Vを、流体(詳しく示されていない)によって充填された3つのチャンバ99,100,101に分離している。示された実施形態において、膜区分99,100,101は、外側端部において、延伸された状態で、外側ハウジング99に、つまり上部保持フレーム102及び下部保持フレーム103に、この場合は膜をハウジング92の種々異なる部材の間に締め付けることによって、固定されている。示された実施形態において、保持フレーム102,103は、外側ハウジング92と同心に、ハウジング92の内側側壁に対して距離d2だけ離れて配置されている。全ての膜96,97,98は、延伸された状態で、弾性張力を受けながら取り付けられている。レンズ系91の形成のプロセスの間、膜96,97,98は、光学的に活性の膜区分96の弾性張力が外側膜区分97,98の弾性張力よりも小さくなるように、幾つかの段階を経て延伸させられる。しかしながら、ある実施形態においては、例えばチャンバに充填された体積によって初期形状が決定される場合、膜を予備延伸することは不要である。
【0079】
示された実施形態において、光学的に活性の膜96とアクチュエータ膜97,98との間の機械的結合は、主に、3つのチャンバ99,100,101に含まれた流体によって生じる。保持フレーム102,103は、チャンバ99,100の第1の内側区分及び第2の外側区分99.1,99.2,100.1,100.2の間の流体の交換を可能にする開口104を有する。
【0080】
3つのチャンバ99,100,101の体積は、光学的に活性の膜区分96が平坦であり、アクチュエータ膜区分97,98がひずんでいるように選択される。適切であるならば、光学的に活性の膜は、最もあり得るのは円蓋状に、予備形成されることができる。
【0081】
両方のアクチュエータ膜97,98において、アクチュエータ膜97,98の表面に第1の上側電極105及び第2の下側電極106が互いに向き合って配置されている。良好な結果は、電極105,106が、電極を膜にスタンピングすることによって、イオン注入プロセスによって、又はガリンスタン等のフレキシブルな又は液体金属を塗布することによって、カーボンブラックから形成されている。電極の択一的なタイプは適切であってよい。電極は、電気コネクタによって外部に電気的に接続されており、示された実施形態において、外側ハウジング92の側部を形成する外側フレーム107,108,109に一体化されている。第1の電圧U1及び/又は第2の電圧U2を印加することによって、外側膜区分97,98を取り囲む電極105,106は、クーロン力、つまりマクスウェル応力により互いに引き付け合い、これにより、電極の間に配置された、ひずんだ膜97,98を圧縮する。材料のポアソン比により、膜は側方へ拡張し、これにより半径及び周方向寸法を増大させる。ジオメトリのこの変化は、アクチュエータ膜97,98の材料における応力を減じる、つまり変化させる。不活性のアクチュエータ膜98における応力がここで活性アクチュエータ97膜における応力を超過することにより、不活性のアクチュエータ98膜及び光学的に活性の膜96が変形させられ、これが光学特性の変化を生じる。z方向で反対向きの、光学的に活性の膜96の変形を達成するために、アクチュエータ膜97は不活性(U1=0)であり、アクチュエータ膜98は活性である(U2≠0)である。
【符号の説明】
【0082】
z 中心軸線、 F 撓み力、 d1 膜の直径、 d2 半径方向距離、 1 レンズ系、 2 外側ハウジング、 3 開口、 4 下側の剛性パネル、 5 上側の剛性パネル、 6 膜、 6.1 内側領域、 6.2 外側領域、 7 第1の上側チャンバ、 8 第2の下側チャンバ、 8a 第1の内側部分、 8b 第2の外側部分、 9 環状保持フレーム、 10 開口、 11 第1の上側電極、 12 第2の下側電極、 13 外側ハウジング、 14 第1のチャンバ、 15 第2のチャンバ、 16 膜、 17 磁性膜、 18 中央領域、 19 磁界、 20 レンズ系、 21 膜上側系、 22 膜下側系、 23 第1の端部パネル、 24 第2の端部パネル、 25 光ビーム、 26 外側ハウジングの内側側壁、 27 レンズ系、 28 外側ハウジング、 29 第1のチャンバ、 30 第2のチャンバ、 31 膜、 32 磁性領域、 33 光学的に活性の中央部分、 34 磁界、 35 光ビーム、 36 第1の端部パネル、 37 第2の端部パネル、 38 コイル、 39 環状保持フレーム、 40 レンズ系、 41 外側ハウジング、 42 第1の膜、 43 第2の膜、 44 第1のチャンバ、 45 第2のチャンバ、 46 第3のチャンバ、 47 第1の保持リング、 48 第2の保持リング、 49 レンズ系、 50 外側ハウジング、 51 第1のチャンバ、 52 第2のチャンバ、 55 光学系、 56 外側ハウジング、 57 中央開口、 58 壁部、 59 膜、 60 チャンバ、 61 環状保持手段、 62 開口、 64 別の膜区分、 65 レンズ系、 66 外側ハウジング、 67 中央開口、 68 膜、 69 保持フレーム、 70 開口、 71 保持リング、 72 第1のカバー、 73 第2のカバー、 74 開口、 75 開口、 76 第1のガラス、 77 第2のガラス、 78 第1のチャンバ、 79 第2のチャンバ、 80 内側区分、 81 外側区分、 82 半径方向ピン、 83 第1の切欠、 84 第1の支持体、 85 第2の切欠、 86 第2の支持体、 87 第1の磁石、 88 第2の磁石、 89 回転リング、 90 開口、 91 レンズ系、 92 外側ハウジング、 93 中央開口、 94 上側剛性パネル、 95 下側剛性パネル、 96 第1の膜区分、 97 第2の膜区分、 98 第3の膜区分、 99 第1のチャンバ、 100 第2のチャンバ、 101 第3のチャンバ、 102 第1の保持フレーム、 103 第2の保持フレーム、 104 開口、 105 上側電極、 106 下側電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系(1,20,27,49,65)において、軸方向(z)に延びた開口(3,67,93)を備えたハウジング(2,13,28,50)と、ほぼ一定量の流体が充填された少なくとも1つのチャンバ(7,8,14,15,29,30)をハウジング(2,13,31,41,50,56)の内部に形成する、開口(3,67,93)を横切って配置された少なくとも1つの膜(6,21,22,59)とを有しており、該膜が、光学的に活性の区分及び光学的に不活性の区分(6.1,6.2,96,97,98)と、流体の移動によって膜(6,21,22,29)の光学的に活性の区分の形状に影響し、これにより、光学系(1,20,27,49,65)の光学特性を変化させるための少なくとも1つのアクチュエータ(11,12)とを有することを特徴とする、光学系。
【請求項2】
膜の光学的に活性の区分及び光学的に不活性の区分(6.1,6.2,96,97,98)が、少なくとも1つの環状保持フレーム(9,39,69,102,103)に取り付けられていることを特徴とする、請求項1記載の光学系。
【請求項3】
膜の光学的に活性の区分及び光学的に不活性の区分(6.1,6.2,96,97,98)が、同じ環状保持フレーム(9,39,69,102)に取り付けられていることを特徴とする、請求項2記載の光学系。
【請求項4】
環状保持フレーム(9,39,69,102,103)が、膜を、光学的に活性の区分と光学的に不活性の区分(6.1,6.2,96,97,98)に分離していることを特徴とする、請求項3記載の光学系。
【請求項5】
アクチュエータが、膜の光学的に不活性の区分(6.2,29,97,98)に結合されていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の光学系。
【請求項6】
アクチュエータが、環状保持フレーム(69)を軸方向に移動させるように該環状保持フレーム(69)に結合されていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の光学系。
【請求項7】
環状保持フレーム(9,47,48,61)が、開口(3)の内側面(26)に対して所定の距離(d2)だけ離れて配置されていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の光学系。
【請求項8】
膜(6)を移動させるためのアクチュエータが、互いに電気的に隔離された、膜(6)の1つの区分(6.2)を少なくとも部分的に取り囲んだ、膜(6)に結合された少なくとも2つの電極(11,12)から成ることを特徴とする、請求項5記載の光学系。
【請求項9】
電極(11,12)が、金属粉末、導電性共融合金、金属構造、注入されたイオン、カーボンナノチューブ、カーボンブラック、導電性ポリマ又は光学的に透明な電極材料から形成されていることを特徴とする、請求項8記載の光学系。
【請求項10】
ハウジング(2,13,31,41,50,56)が、ほぼ一定の体積(V)を取り囲んでおり、少なくとも1つの膜(6,18,32,33,42,43,53,59)が、ハウジングの内部を、同じか又は異なる屈折率を有する第1の流体及び第2の流体で充填された第1のチャンバと第2のチャンバ(7,8,14,15,34,35,36,44,45,46,51,52,60)に分離していることを特徴とする、光学系。
【請求項11】
少なくとも1つの膜を移動させるための手段がハウジング(2,13,31,41,50)に配置されていることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の光学系。
【請求項12】
膜(6)を移動させるための手段が、ハウジング(2)の外部から電気信号によって制御されることを特徴とする、請求項11記載の光学系。
【請求項13】
膜(17,18,32,33,42,43,53)を移動させるための手段が、ハウジング(13,31,41,50,56)の外部から電界、磁界又は直接の機械的な力の伝達機構によって作動されることを特徴とする、請求項8記載の光学系。
【請求項14】
膜(17)の部分が、強磁性又は磁性であることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載の光学系。
【請求項15】
膜が、磁性又は強磁性のリングを含むことを特徴とする、請求項14記載の光学系。
【請求項16】
膜の光学的に活性の部分(6.1,18,53,59)が、剛性、吸収性、屈折性、回折性、拡散性又は反射性の構造を含むことを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項記載の光学系。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a)】
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【図8b)】
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【図9a)】
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【図9b)】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2010−539520(P2010−539520A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520392(P2010−520392)
【出願日】平成20年8月11日(2008.8.11)
【国際出願番号】PCT/CH2008/000342
【国際公開番号】WO2009/021344
【国際公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(510038083)オプトチューン アクチエンゲゼルシャフト (3)
【氏名又は名称原語表記】Optotune AG
【住所又は居所原語表記】Ueberlandstrasse 129, CH−8600 Duebendorf , Switzerland
【Fターム(参考)】