説明

液体供給装置、および液体噴射装置

【課題】液体供給装置を用いて供給する液体の種類数の変更を容易とする。
【解決手段】液体供給装置を、液体供給ユニットと、圧力ポンプによって構成する。液体
供給ユニットには、流入通路と流出通路とが接続された液体室、および可撓性の仕切板を
介して液体室と接する空気室を形成しておき、圧力ポンプによって空気室に正圧あるいは
負圧が導入されると、仕切板が変形し、それに伴って液体室の容積が変化する。そして、
液体供給ユニットの空気室に、新たな液体供給ユニットの空気室を連結することで、液体
供給ユニットを増設可能にする。こうすれば、液体を供給する経路数に応じて同一の液体
供給ユニットを連結させるだけで適切な液体供給装置となることから、液体供給装置を用
いて液体を供給する経路数を容易に変更することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴射ノズルから液体を噴射する液体噴射装置などに搭載されて、液体を供給
する技術に関する
【背景技術】
【0002】
いわゆるインクジェットプリンターに代表されるように、微細な噴射ノズルが設けられ
た噴射ヘッドから液体を噴射する液体噴射装置が知られている。この液体噴射装置では、
噴射しようとするインクなどの液体を、インクカートリッジといった専用容器に収容して
おき、この専用容器から液体通路を介して噴射ヘッドに液体を供給することによって液体
を噴射している。
【0003】
また、専用容器内の液体を噴射ヘッドに供給するのに、液体供給装置が用いられること
がある。こうした液体供給装置としては、いわゆるダイアフラムポンプを用いたものが知
られている。ダイアフラムポンプは、可撓性の材料で形成されたダイアフラムと呼ばれる
薄板によって液体室と空気室とに仕切られており、例えば負圧式のダイアフラムポンプで
あれば、別に搭載された減圧ポンプの負圧を空気室に導入することで、ダイアフラムが空
気室側に引き込まれるように変形して、専用容器内の液体を液体室に吸い込む。その後、
空気室の負圧を大気に開放すると、空気室側に引き込まれていたダイアフラムが元の形状
に戻ろうとして、液体室内の液体を噴射ヘッドに向けて圧送する。
【0004】
さらに、複数の専用容器にそれぞれ異なる種類の液体(たとえば異なる色のインク)を
収容しておき、液体の種類毎に噴射ノズルが設けられた噴射ヘッドから複数種類の液体を
噴射する液体噴射装置では、液体の種類毎にダイアフラムポンプ(ダイアフラムで仕切ら
れた液体室および空気室)が形成された液体供給装置を用いて、複数種類の液体をそれぞ
れ独立して噴射ヘッドに供給する技術が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−23423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に提案されている技術では、噴射ヘッドから噴射可能な液体の種類
数に応じて専用の液体供給装置を製造する必要があるという問題があった。例えば、4色
で印刷するインクジェットプリンターでは、液体供給装置に液体室および空気室を4つ設
けておけばよいのに対して、6色で印刷するインクジェットプリンターでは、液体室およ
び空気室を6つ設ける必要がある。そのため、同じスペックのインクジェットプリンター
で色数だけを変更する場合でも、色数に応じて液体供給装置全体を作り変えなければなら
ないという問題があった。
【0007】
この発明は、従来の技術が有する上述した課題を解決するためになされたものであり、
液体供給装置を用いて供給する液体の種類数を容易に変更することが可能な技術の提供を
目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の液体供給装置は次の構成を
採用した。すなわち、液体を供給する液体供給装置であって、前記液体が流入する流入通
路と、該液体が流出する流出通路とが接続された液体室、および可撓性の仕切板を介して
該液体室と接する空気室が形成された液体供給ユニットと、前記空気室に正圧あるいは負
圧を導入して前記仕切板を変形させることで、前記液体室の容積を変化させる圧力ポンプ
とを備え、前記液体供給ユニットは、該液体供給ユニットの前記空気室に新たな前記液体
供給ユニットの前記空気室を連結することで、該液体供給ユニットを増設可能に構成され
ていることを要旨とする。
【0009】
このような本発明の液体供給装置は、液体供給ユニットと、圧力ポンプとによって構成
されており、液体供給ユニットには、可撓性の仕切板を介して接する液体室と空気室とが
形成されている。また、圧力ポンプによって空気室に正圧あるいは負圧が導入されると、
仕切板が変形し、それに伴って液体室の容積が変化する。これにより、液体室の容積が増
加すると、流入通路から液体が液体室に流入し、液体室の容積が減少すると、液体室から
液体が流出通路へと流出することで、液体を供給することができる。そして、液体供給ユ
ニットの空気室に、新たな液体供給ユニットの空気室を連結することで、液体供給ユニッ
トを増設可能に構成されている。
【0010】
このような本発明の液体供給装置では、液体供給ユニットを1つ設計しておけば、液体
を供給する経路数に応じて同じ液体供給ユニットを連結させるだけで適切な液体供給装置
となり、複数の経路で液体を同時に供給することができる。このとき、経路毎に異なる種
類の液体を供給することも可能である。そのため、液体を供給する経路数毎に専用の液体
供給装置を設計したり、製造したりする必要がなく、液体供給装置を用いて液体を供給す
る経路数を容易に変更することが可能となる。
【0011】
また、液体供給装置を構成する各液体供給ユニットは、空気室同士が連結されることで
、圧力ポンプによる正圧あるいは負圧を伝達可能となる。そのため、何れか1つの液体供
給ユニットの空気室に圧力ポンプを接続すればよく、圧力ポンプと各空気室とを個別に接
続する必要はない。このような観点からも、液体を供給する経路数の変更に容易に対応す
ることが可能となる。
【0012】
上述した本発明の液体供給装置においては、次のようにしてもよい。先ず、液体供給ユ
ニットに、空気室に連通する圧力通路が内部に形成された突起部と、空気室に連通する挿
入孔とを設けておく。そして、液体供給ユニットを増設するに際しては、一方の液体供給
ユニットの突起部を、他方の挿入孔に挿入することで、液体供給ユニットの空気室に新た
な液体供給ユニットの空気室を連結可能に構成する。
【0013】
このような構成によれば、液体供給装置を用いて液体を供給する経路数を増やすために
、液体供給ユニットを増設する場合には、新たな液体供給ユニットの突起部を既存の液体
供給ユニットの挿入孔に挿入する(あるいは、新たな液体供給ユニットの挿入孔に既存の
液体供給ユニットの突起部を挿入する)だけでよく、これにより、圧力通路を介して互い
の空気室を簡便に連結することができる。その結果、液体を供給する経路数の変更が容易
となる。
【0014】
また、上述した本発明の液体供給装置は、容器内に収容された液体を、噴射ノズルが設
けられた噴射ヘッドから噴射する液体噴射装置において、容器内の液体を噴射ヘッドに供
給する用途に特に好適に適用することができる。従って、本発明は、上述した本発明の液
体供給装置を用いて、容器内の液体を噴射ヘッドに供給する液体噴射装置の態様で把握す
ることも可能である。
【0015】
このような態様で把握される本発明の液体噴射装置においては、容器内の液体を噴射ヘ
ッドに供給する経路数に応じて同一の液体供給ユニットを連結するだけで適切な液体供給
装置を構成することができ、この液体供給装置を用いて、容器内の液体を複数の経路で同
時に噴射ヘッドに供給することができる。そのため、容器内の液体を噴射ヘッドに供給す
る経路数を容易に変更することが可能となる。また、複数の容器にそれぞれ異なる種類の
液体を収容しておき、液体の種類毎に異なる経路で噴射ヘッドに供給して噴射する液体噴
射装置では、液体を供給する経路数の変更が容易であることから、噴射ヘッドから噴射す
る液体の種類数の変更に柔軟に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施例のインク供給装置を搭載したインクジェットプリンターを例示した説明図である。
【図2】本実施例のインクジェットプリンターに搭載されたキャリッジの構成を示した説明図である。
【図3】インク供給装置にインクカートリッジを装着する様子を示した説明図である。
【図4】本実施例のダイアフラムポンプの構成を示した断面図である。
【図5】本実施例の空気ポンプユニットの構成を示した説明図である。
【図6】本実施例のダイアフラムポンプが、インクカートリッジ内のインクをキャリッジに供給する動作を示した説明図である。
【図7】インクカートリッジ内のインクをキャリッジに供給するために実行される処理(インク供給制御処理)の流れを示したフローチャートである。
【図8】本実施例のインクジェットプリンターに搭載されたインク供給装置の構成を示した説明図である。
【図9】第1変形例のインク供給装置を構成するインク供給ユニットの一つを示した平面図である。
【図10】第2変形例のインク供給装置を構成するインク供給ユニットの一つを示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施
例を説明する。
A.装置構成:
B.本実施例のインク供給動作:
C.変形例:
C−1.第1変形例:
C−2.第2変形例:
【0018】
A.装置構成 :
図1は、本実施例のインクジェットプリンター10を例示した説明図である。図示した
インクジェットプリンター10は、略箱形の外観形状をしており、前面のほぼ中央には前
面カバー11が設けられ、その隣には複数の操作ボタン15が設けられている。前面カバ
ー11は下端側で軸支されており、上端側を手前に倒すと、印刷用紙2が排出される細長
い排紙口12が現れる。また、インクジェットプリンター10の背面側には給紙トレイ1
3が設けられている。給紙トレイ13に印刷用紙をセットして操作ボタン15を操作する
と、給紙トレイ13から印刷用紙2が吸い込まれて、内部で印刷用紙2の表面に画像が印
刷された後、排紙口12から印刷用紙2が排出されるようになっている。
【0019】
また、インクジェットプリンター10の上面側には上面カバー14が設けられている。
上面カバー14は、奥側で軸支されており、手前側を持ち上げて上面カバー14を開くと
、インクジェットプリンター10の内部の状態を確認したり、あるいはインクジェットプ
リンター10の修理などを行ったりすることが可能となっている。
【0020】
インクジェットプリンター10の内部には、主走査方向に往復動しながら印刷用紙2上
にインクドットを形成するキャリッジ20と、キャリッジ20を往復動させる駆動機構3
0などが搭載されている。キャリッジ20には、印刷用紙2に向かってインクを噴射する
複数の噴射ノズルが形成された噴射ヘッド22や、噴射するインクを一時的に貯留してお
くサブタンクなどが設けられている。尚、キャリッジ20の詳細な構成については、後ほ
ど別図を用いて説明する。
【0021】
噴射ヘッド22に形成された噴射ノズルから噴射するインクは、インクカートリッジ4
0と呼ばれる専用容器に収容されている。詳しくは後述するが、インクカートリッジ40
は、キャリッジ20とは別の位置に設けられたインク供給装置50に装着され、インクカ
ートリッジ40内のインクはインク供給装置50およびインクチューブ60を介してキャ
リッジ20に供給される。また、インク供給装置50の隣には、インクカートリッジ40
内のインクをキャリッジ20に供給する際に駆動する空気ポンプユニット70が設けられ
ている。
【0022】
尚、図示したインクジェットプリンター10では、シアン色、マゼンタ色、イエロー色
、黒色の4種類のインクを用いてカラー画像を印刷することが可能であり、このことと対
応して、キャリッジ20に搭載された噴射ヘッド22には、インクの種類毎に噴射ノズル
が設けられている。そして、それぞれの噴射ノズルに対して、対応するインクカートリッ
ジ40内のインクが、インクの種類毎に設けられたインクチューブ60を介して供給され
るようになっている。
【0023】
キャリッジ20を往復動させる駆動機構30は、内側に複数の歯形が形成されたタイミ
ングベルト32と、タイミングベルト32を駆動するための駆動モーター34などから構
成されている。タイミングベルト32の一部はキャリッジ20に固定されており、タイミ
ングベルト32を駆動すると、主走査方向に延設された図示しないガイドレールによって
ガイドしながら、キャリッジ20を主走査方向に往復動させることが可能となる。
【0024】
また、キャリッジ20を主走査方向に移動させた印刷領域外の位置には、ホームポジシ
ョンと呼ばれる領域が設けられており、ホームポジションには、正常に印刷可能なように
メンテナンスを行うメンテナンス機構が搭載されている。メンテナンス機構は、噴射ヘッ
ド22の底面側(印刷用紙2に向いた側)で噴射ノズルが形成されている面(ノズル面)
に押し付けられて、噴射ノズルを取り囲むように閉空間を形成するキャップ部材90や、
噴射ヘッド22のノズル面に押し付けるためにキャップ部材90を昇降させるための図示
しない昇降機構や、キャップ部材90が噴射ヘッド22のノズル面に押し付けられること
で形成される閉空間を負圧にするための図示しない吸引ポンプなどから構成されている。
【0025】
更に、インクジェットプリンター10の内部には、印刷用紙2を紙送りするための図示
しない紙送機構や、インクジェットプリンター10の全体の動作を制御する制御部92な
ども搭載されている。キャリッジ20を往復動させる動作や、印刷用紙2を紙送りする動
作や、噴射ノズルからインクを噴射する動作や、正常に印刷可能なようにメンテナンス機
構を駆動させる動作などは、全て制御部92によって制御されている。
【0026】
図2は、本実施例のインクジェットプリンター10に搭載されたキャリッジ20の構成
を示した説明図である。前述したように、キャリッジ20には、噴射ヘッド22や、サブ
タンク24などが設けられている。インクチューブ60を介してインクカートリッジ40
から供給されるインクは、一時的にサブタンク24内に貯留される。サブタンク24と噴
射ヘッド22とは、自己封止弁26を介して接続されている。この自己封止弁26は、噴
射ヘッド22に所定の負圧がかかったときにだけ開放状態となり、噴射ヘッド22に所定
の負圧がかかっていないときには閉鎖状態となっている弁である。そのため、噴射ヘッド
22の底面に形成された噴射ノズル23からインクを噴射することにより噴射ヘッド22
内が所定の負圧になると、自己封止弁26が開放してサブタンク24から噴射ヘッド22
にインクが流入するようになっている。尚、前述したように、本実施例のインクジェット
プリンター10では、シアン色、マゼンタ色、イエロー色、黒色の4種類のインクを用い
ており、噴射ヘッド22、サブタンク24、自己封止弁26は、インクの種類毎に設けら
れているが、図2では、1種類のインクについてのみ示されている。
【0027】
また、サブタンク24の内部には、液面センサー28が設けられており、サブタンク2
4内のインク量を検出することが可能となっている。この液面センサー28は、サブタン
ク24がインクで満たされていることを示す上限位置よりもインクの液面が上にあること
を検出する上限センサー28aと、サブタンク24内のインクが残り少ないことを示す下
限位置よりもインクの液面が下にあることを検出する下限センサー28bとによって構成
されている。
【0028】
図3は、インク供給装置50にインクカートリッジ40を装着する様子を示した説明図
である。図示されているように、インク供給装置50の底部には、インクカートリッジ4
0からインクを取り入れるためのインク取入針54が、インクカートリッジ40毎に立設
されている。また、インクカートリッジ40の底部には、図示しないインク供給口が設け
られている。インクカートリッジ40をインク供給装置50に装着する際には、インクカ
ートリッジ40に設けられたインク供給口を、インク供給装置50に設けられたインク取
入針54に押し当てた状態で、インクカートリッジ40を下方に押し下げるようにして装
着する。すると、インク取入針54がインク供給口から挿入されて、インクカートリッジ
40内のインクをインク供給装置50に取り入れることが可能となる。
【0029】
また、詳しくは後述するが、本実施例のインク供給装置50は、装着されるインクカー
トリッジ40の数と同数のインク供給ユニット52によって構成されており、上述したイ
ンク取入針54は、各インク供給ユニット52に設けられている。このインク供給ユニッ
ト52の内部には、インク通路56が形成されており、インク取入針54から取り入れら
れたインクは、インク通路56によって、インク供給ユニット52の背面側に接続された
インクチューブ60に導かれる。このようなインク通路56上には、ダイアフラムポンプ
58が設けられており、インク取入針54から取り入れられたインクを、噴射ヘッド22
が設けられたキャリッジ20に向けて圧送するようになっている。
【0030】
ダイアフラムポンプ58は、大まかには、ダイアフラムが設けられたポンプ部100と
、ポンプ部100の上流側(インク取入針54側)に設けられた逆止弁(上流逆止弁12
0)と、ポンプ部100の下流側(インクチューブ60側)に設けられた逆止弁(下流逆
止弁130)とによって構成されている。尚、ダイアフラムポンプ58の詳細な構成につ
いては後述する。また、本明細書中では、インク通路56のうち、ポンプ部100よりも
上流側を「上流インク通路56a」と呼び、ポンプ部100よりも下流側を「下流インク
通路56b」と呼ぶことがあるものとする。
【0031】
図4は、本実施例のダイアフラムポンプ58の構成を示した断面図である。前述したよ
うに、本実施例のダイアフラムポンプ58は、ポンプ部100および2つの逆止弁(上流
逆止弁120と下流逆止弁130)などから構成されている。図4に示されているように
、ポンプ部100には、空気などの気体やインクなどの液体を通さない可撓性の材料によ
って形成されたダイアフラム102が設けられており、このダイアフラム102がポンプ
部100を上下に仕切ることによって、ダイアフラム102の上方にインク室106が形
成されるとともに、ダイアフラム102の下方に空気室104が形成されている。
【0032】
ダイアフラム102の上方に形成されたインク室106には、インク取入針54に連通
する上流インク通路56aと、インクチューブ60に連通する下流インク通路56bとが
接続されている。このため、インク取入針54から取り入れられたインクは、インク室1
06を通ってインクチューブ60へと送られるようになっている。また、インク室106
内には、ダイアフラム102を下方の空気室104に向けて押し下げるバネ108が設け
られている。
【0033】
一方、ダイアフラム102の下方に形成された空気室104は、空気ポンプユニット7
0と接続されており(図1参照)、詳しくは後述するが、空気ポンプユニット70の作動
により、空気室104に空気が導入されて空気室104を加圧するようになっている。
【0034】
また、上流インク通路56aには上流逆止弁120が設けられており、下流インク通路
56bには下流逆止弁130が設けられている。これら2つの逆止弁は、上流側(インク
取入針54側)から下流側(インクチューブ60側)にインクが流れる場合にのみ開放状
態となる弁である。従って、インク室106からインク取入針54の方向にインクが逆流
しようとすると、上流逆止弁120が閉鎖状態となり、また、インクチューブ60側から
インク室106の方向にインクが逆流しようとすると、下流逆止弁130が閉鎖状態とな
って、それぞれインクの逆流を阻止するようになっている。
【0035】
図5は、本実施例の空気ポンプユニット70の構成を示した説明図である。図示されて
いるように、空気ポンプユニット70の内部には、空気ポンプ72や、空気ポンプ72を
駆動するモーター74などが設けられている。本実施例の空気ポンプ72は、いわゆるロ
ータリーポンプであり、内部の偏心ローターがモーター74の駆動によって回転して空気
を接続チューブ76に向けて押し出すようになっている。そして、空気ポンプ72から押
し出された空気は、レギュレーター78によって圧力が調整された後、ダイアフラムポン
プ58の空気室104に供給される。
【0036】
また、空気ポンプ72を駆動するモーター74には、減速ギア82を介してカム84が
取り付けられている。モーター74が駆動すると、カム84が一定の周期で回転して、レ
ギュレーター78に設けられた大気開放レバー80を押し下げることにより、空気室10
4を大気開放するようになっている。
【0037】
B.本実施例のインク供給動作 :
図6は、本実施例のダイアフラムポンプ58が、インクカートリッジ40内のインクを
キャリッジ20に供給する動作を示した説明図である。先ず、図6(a)には、インクカ
ートリッジ40内のインクをインク室106に吸い込む様子が示されている。前述したよ
うに、インク室106内にはバネ108が設けられており、このバネ108は、自由長か
ら圧縮された状態で取り付けられている。そのため、ダイアフラム102は、バネ108
の復元力により空気室104側に押し込まれるように変形して、インク室106の容積を
増加させる。
【0038】
インク室106には、前述したように上流インク通路56aおよび下流インク通路56
bが接続されており、インク室106の容積が増加すると、これら2つのインク通路には
、インク室106に流入しようとするインクの流れが発生する。このうち、上流インク通
路56aでは、インク室106へのインクの流入を許容する上流逆止弁120が開放状態
となって、インク取入針54から取り入れられたインクが上流逆止弁120を介してイン
ク室106に吸い込まれることになる。これに対して、下流インク通路56bでは、イン
ク室106へのインクの流入を阻止する下流逆止弁130が閉鎖状態となり、インクチュ
ーブ60側からインク室106に向けてインクが逆流することはない。尚、図6(a)で
は、インク取入針54から取り入れられたインクが上流逆止弁120を介してインク室1
06に流入する様子が、破線の矢印によって示されている。
【0039】
このようにバネ108の力によってインク室106にインクを吸い込んだ状態で、空気
ポンプ72の駆動により空気室104に空気が導入されると、空気室104内の圧力が高
まることから、図6(b)に示すように、バネ108の力に抗してダイアフラム102を
インク室106側に押し戻して、インク室106の容積を減少させる。その結果、インク
室106から上流インク通路56aおよび下流インク通路56bに流出しようとするイン
クの流れが発生する。
【0040】
このとき、上流インク通路56aでは、インク室106からのインクの流出を阻止する
上流逆止弁120が閉鎖状態となることから、インク室106からインク取入針54側に
向けてインクが逆流することはない。一方、下流インク通路56bでは、インク室106
からのインクの流出を許容する下流逆止弁130が開放状態となり、インク室106から
押し出されたインクが、下流逆止弁130を介して、インクチューブ60で接続されたキ
ャリッジ20に向けて圧送されることになる。尚、図6(b)では、インク室106から
押し出されたインクが下流逆止弁130を介してキャリッジ20へと圧送される様子が、
破線の矢印で示されている。
【0041】
また、前述したように、空気ポンプ72を駆動するモーター74には、減速ギア82を
介してカム84が取り付けられており(図5参照)、このカム84が一定の周期で大気開
放レバー80を押し下げることによって、空気室104を大気開放するようになっている
。空気室104内の圧力が大気圧に戻ると、バネ108の復元力によりダイアフラム10
2が再び空気室104側に押し込まれて、インク取入針54から取り入れられたインクが
インク室106に吸い込まれる(図6(a)参照)。その後、空気ポンプ72が空気室1
04を加圧して、ダイアフラム102をインク室106側に押し戻すことにより、インク
室106からキャリッジ20に向けてインクが圧送される(図6(b)参照)。こうした
動作を繰り返すことにより、インクカートリッジ40内のインクをキャリッジ20に供給
することが可能となっている。
【0042】
図7は、本実施例のインクジェットプリンター10でインクカートリッジ40内のイン
クをキャリッジ20に供給するために実行される処理(インク供給制御処理)の流れを示
したフローチャートである。この処理は、インクジェットプリンター10に搭載された制
御部92によって実行される。
【0043】
図示されているように、インク供給制御処理では、先ず初めに、サブタンク24のイン
クの液面が下限位置よりも下であるか否かを判断する(ステップS100)。図2を用い
て前述したように、キャリッジ20に設けられたサブタンク24内には、サブタンク24
内のインクが残り少ないことを示す下限位置よりもインクの液面が下にあることを検出す
る下限センサー28bが設けられており、制御部92と接続されている。また、本実施例
のインクジェットプリンター10では、シアン色、マゼンタ色、イエロー色、黒色の4種
類のインクを用いて印刷を行うことと対応して、サブタンク24および下限センサー28
bは、インクの種類毎に設けられている。
【0044】
そして、4種類のインクの何れのサブタンク24においても、インクの液面が下限位置
か、それよりも上にある場合は(ステップS100:no)、インク供給制御処理の先頭
に戻って、ステップS100の判断を繰り返し、インクの液面が下限位置よりも下がった
か否かを監視している状態となる。
【0045】
こうしてステップS100の判断を繰り返しているうちに、4種類のインクの中の1種
類でも、サブタンク24内のインクの液面が下限位置よりも下がった場合には(ステップ
S100:yes)、空気ポンプ72を駆動するモーター74を作動させる(ステップS
102)。図6を用いて前述したように、モーター74が駆動すると、インク室106の
容積を減少させてインク室106からキャリッジ20に向けてインクを圧送する動作(送
液動作)と、インク室106の容積を増加させてインクカートリッジ40からインク室1
06にインクを吸い込む動作(吸液動作)とを繰り返すことにより、インクカートリッジ
40内のインクがキャリッジ20に供給されてサブタンク24内に貯留される。
【0046】
空気ポンプ72のモーター74を作動させると、続いて、サブタンク24のインクの液
面が上限位置よりも上であるか否かを判断する(ステップS104)。前述したように、
サブタンク24内には、サブタンク24がインクで満たされていることを示す上限位置よ
りもインクの液面が上にあることを検出する上限センサー28aが設けられており、制御
部92と接続されている。そして、4種類のインクの中の1種類でも、サブタンク24内
のインクの液面が上限位置か、それよりも下にある場合は(ステップS104:no)、
空気ポンプ72のモーター74を駆動させたまま、ステップS104の判断を繰り返し、
全種類のインクのサブタンク24について、インクの液面が上限位置よりも上になったか
否かを監視している状態となる。
【0047】
ここで、前述したように、キャリッジ20のサブタンク24と噴射ヘッド22との間に
は自己封止弁26が設けられており、噴射ヘッド22に所定の負圧がかかっていないとき
には自己封止弁26が閉鎖状態となっている。このため、空気ポンプ72のモーター74
の駆動により、キャリッジ20にインクが供給されると、密閉構造のサブタンク24内の
圧力は徐々に増加する。そして、サブタンク24がインクで満たされた状態(インクの液
面が上限位置を上回った状態)では、サブタンク24内の圧力がダイアフラムポンプ58
の送液圧力(空気ポンプ72よって空気室104に加えられる圧力)よりも大きくなって
、それ以上はキャリッジ20にインクを供給することができなくなる。従って、既に何れ
かのサブタンク24でインクの液面が上限位置よりも上にある状態で、空気ポンプ72の
モーター74の駆動を継続しても、サブタンク24が破裂するようなことはない。
【0048】
こうしてステップS104の判断を繰り返すうちに、全種類のインクのサブタンク24
について、インクの液面が上限位置を上回った場合は(ステップS104:yes)、空
気ポンプ72の駆動モーター34を停止する(ステップS106)。これにより、キャリ
ッジ20へのインクの供給も停止されることになる。その後は、インク供給制御処理の先
頭に戻って、再びサブタンク24のインクの液面が下限位置よりも下がった否かの判断を
行う(ステップS100)。
【0049】
本実施例のインクジェットプリンター10では、以上のようなインク供給動作によって
、インクの種類(シアン色、マゼンタ色、イエロー色、黒色)毎に搭載されたインクカー
トリッジ40から、インクをそれぞれ独立してキャリッジ20に供給するようになってい
る。ここで、インクジェットプリンターで印刷に用いられるインクの種類は、上記の4色
に限られるわけではなく、5色以上のインクが印刷に用いられることもある。この点、本
実施例のインク供給装置50は、前述したように、搭載されるインクカートリッジ40の
数(インクの種類数)と同数のインク供給ユニット52によって構成されることから、キ
ャリッジ20に供給するインクの種類数を容易に変更することが可能となっている。以下
では、インクの種類毎のインク供給ユニット52によって構成されるインク供給装置50
について、さらに詳しく説明する。
【0050】
図8は、本実施例のインクジェットプリンター10に搭載されたインク供給装置50の
構成を示した説明図である。先ず、図8(a)には、インク供給装置50を構成するイン
ク供給ユニット52の一つの平面図(インクカートリッジ40が装着される側から見た図
)が示されている。前述したように、インク供給ユニット52には、インク取入針54や
、インク通路56や、ダイアフラムポンプ58などが設けられており、このダイアフラム
ポンプ58は、ダイアフラム102によって空気室104とインク室106とに仕切られ
たポンプ部100、上流逆止弁120、および下流逆止弁130によって構成されている
。本実施例のインク供給ユニット52では、上流逆止弁120が設けられた上流インク通
路56aと、下流逆止弁130が設けられた下流インク通路56bとがポンプ部100に
対して対称の位置に形成されており、上流インク通路56a、上流逆止弁120、ポンプ
部100、下流逆止弁130、および下流インク通路56bは一直線上にある。
【0051】
また、図8(a)に示されているように、インク供給ユニット52には、一方の側面か
ら突出するニップル部110が設けられている。このニップル部110の内部には、空気
通路112が形成されており、空気通路112の一端は空気室104に接続され、他端は
ニップル部110の先端に開口している。さらに、空気室104に対してニップル部11
0とは反対側の側面には、同一形状の他のインク供給ユニット52のニップル部110が
挿入される挿入孔114が設けられおり、この挿入孔114は空気室104に接続されて
いる。本実施例のインク供給ユニット52では、ニップル部110、空気室104、およ
び挿入孔114が一直線上に設けられており、しかも、この直線は、インク通路56の延
設方向と直交している。
【0052】
本実施例のインク供給装置50は、このようなインク供給ユニット52を、インクジェ
ットプリンター10に搭載されるインクカートリッジ40の数(キャリッジ20に供給す
るインクの種類数)と同数だけ用意し、挿入孔114にニップル部110を挿入してイン
ク供給ユニット52同士を接合させることで構成されている。
【0053】
図8(b)には、4種類のインクをキャリッジ20に供給するために、同一形状の4つ
のインク供給ユニット52を接合して構成されたインク供給装置50が示されている。図
示されているように、挿入孔114にニップル部110を挿入することで、隣り合うイン
ク供給ユニット52の空気室104同士は、空気通路112によって連結されることから
、4つのインク供給ユニット52の空気室104は連通することになる。また、最後(図
中の左端)のインク供給ユニット52の挿入孔114は、封止栓116を挿入することに
よって封止されるとともに、最初(図中の右端)のインク供給ユニット52のニップル部
110は、空気ポンプユニット70に接続される。そのため、空気ポンプ72の駆動によ
り右端のインク供給ユニット52の空気室104に導入された空気は、空気通路112に
よって、隣のインク供給ユニット52の空気室104に順々に導かれ、左端のインク供給
ユニット52の空気室104にも導入される。一方、一定の周期で回転するカム84が大
気開放レバー80を押し下げると、各空気室104に蓄積されていた空気は、空気通路1
12によって右端のインク供給ユニット52のニップル部110に導かれて排出される。
【0054】
このような構成のインク供給装置50では、キャリッジ20に供給するインクの種類数
を増やす場合には、その増やすインクの種類数だけ新たにインク供給ユニット52を用意
して、挿入孔114にニップル部110を挿入することにより、新たなインク供給ユニッ
ト52の空気室104を、既存のインク供給ユニット52の空気室104と連結させれば
よく、これにより、この新たなインク供給ユニット52の空気室104にも空気ポンプ7
2からの空気が導入されて、インクを供給することが可能となる。また逆に、インクの種
類数を減らす場合には、減らすインクの種類数だけインク供給ユニット52を取り外せば
よい。
【0055】
ここで、本実施例のインク供給装置50では、空気通路112によって導かれて各空気
室104に空気(圧力)が伝達される方向が、各インク通路56によって導かれてインク
が流れる方向と交差するように、インク供給ユニット52のニップル部110および挿入
孔114が設けられている。これは、次のような理由によるものである。すなわち、各イ
ンク供給ユニット52のインク通路56(インクの流れる方向)が平行になるように、同
一のインク供給ユニット52を複数接合してインク供給装置50を構成する場合、各イン
ク供給ユニット52の空気室104は、それぞれのインクの流れを横切る方向に並ぶこと
になる。そこで、これらのインクの流れを横切るように空気の伝達経路を形成することと
すれば、空気室104同士の連結が単純になるので好ましい。
【0056】
また、前述したように、本実施例のインク供給装置50では、インク供給ユニット52
のニップル部110、空気室104、挿入孔114が一直線上に設けられており、空気ポ
ンプ72によって導入される空気の伝達経路を最短にすることができる。これにより、空
気ポンプ72が駆動すると、導入された空気が直ちに末端の空気室104まで行き渡るの
で、キャリッジ20へのインクの供給を迅速に行うことが可能となる。
【0057】
以上に説明したように、本実施例のインクジェットプリンター10では、インク供給装
置50を、キャリッジ20に供給するインクの種類数と同数のインク供給ユニット52に
よって構成するとともに、各インク供給ユニット52を空気室104で連結させるように
なっている。こうすることで、インク供給ユニット52を1つ設計しておけば、同一のイ
ンク供給ユニット52をインクの種類数に応じて連結させるだけで適切なインク供給装置
50となる。そのため、インクの種類数毎に専用のインク供給装置50を設計したり、製
造したりする必要がなく、インクの種類数の変更に容易に対応することが可能となる。
【0058】
また、本実施例のインク供給装置50では、挿入孔114にニップル部110を挿入す
ることで、インク供給ユニット52の空気室104同士が空気通路112によって連結さ
れる。そのため、何れか一つの空気室104に空気ポンプ72を接続すればよく、空気ポ
ンプ72と各空気室104とを個別に接続する必要はない。このような観点からも、イン
クの種類数を容易に変更することが可能となる。
【0059】
C.変形例 :
以上に説明した本実施例のインク供給装置50には、幾つかの変形例が存在している。
以下では、これら変形例について簡単に説明する。尚、変形例の説明にあたっては、前述
した実施例と同様の構成部分については、先に説明した実施例と同様の符号を付し、その
詳細な説明を省略する。
【0060】
C−1.第1変形例 :
上述した実施例のインク供給装置50では、インク供給ユニット52のニップル部11
0、空気室104、挿入孔114が一直線上に設けられていた。しかし、ニップル部11
0および挿入孔114を、空気室104に対して偏らせて配置しておいてもよい。
【0061】
図9は、第1変形例のインク供給装置50を構成するインク供給ユニット52の一つを
示した平面図である。第1変形例のインク供給ユニット52にも、前述した実施例(図8
(a)参照)と同様に、ニップル部110が突設されているとともに、ニップル部110
が挿入される挿入孔114が設けられており、これらニップル部110および挿入孔11
4は、インク通路56の延設方向に対して直交する方向に設けられている。しかし、第1
変形例では、ニップル部110および挿入孔114が、空気室104の両脇に設けられて
いるわけではなく、空気室104に対して上流インク通路56a側(インク取入針54側
)に片寄らせて設けられている。また、ニップル部110の内部には、空気室104とニ
ップル部110の先端とを接続する上流空気通路112aが形成されており、挿入孔11
4と空気室104とは、下流空気通路112bによって接続されている。尚、ニップル部
110および挿入孔114を、空気室104に対して下流インク通路56b側に片寄らせ
て設けることとしてもよい。
【0062】
このようなインク供給ユニット52によって構成される第1変形例のインク供給装置5
0においても、前述した実施例と同様に、キャリッジ20に供給するインクの種類数と同
数だけインク供給ユニット52を用意し、挿入孔114にニップル部110を挿入してイ
ンク供給ユニット52の空気室104を互いに連結させるだけで適切なインク供給装置5
0となることから、インクの種類数の変更に容易に対応することができる。
【0063】
また、インク供給装置50を小型化する観点からは、隣り合うインク供給ユニット52
の互いの空気室104の間隔は狭くすることが望ましい。一方、空気室104からの空気
漏れを防ぐ観点からは、ニップル部110を挿入孔114に挿入する深さを十分に確保す
る必要がある。この点、第1変形例のように、ニップル部110および挿入孔114を空
気室104に対して片寄らせれば、隣り合うインク供給ユニット52の互いの空気室10
4の間隔を狭くしつつ、ニップル部110を挿入孔114に挿入する深さを十分に確保す
ることが可能となる。従って、インク供給ユニット52同士を確実に連結して空気室10
4の密閉性を担保するとともに、インク供給装置50全体の小型化を図ることができる。
【0064】
C−2.第2変形例 :
上述した実施例および第1変形例のインク供給装置50では、インク供給ユニット52
に設けられた上流インク通路56aと下流インク通路56bとが、インク室106に対し
て対称の位置に配置されていた。しかし、インク通路56(上流インク通路56aおよび
下流インク通路56b)を、インク室106で折り返すようにしてもよい。
【0065】
図10は、第2変形例のインク供給装置50を構成するインク供給ユニット52の一つ
を示した平面図である。第2変形例のインク供給ユニット52においても、前述した実施
例と同様に、上流逆止弁120が設けられた上流インク通路56aと、下流逆止弁130
が設けられた下流インク通路56bとがインク室106に接続されている。しかし、上流
インク通路56aと下流インク通路56bとの位置関係は、インク室106に対して逆側
ではなく、インク室106で折り返すように形成されている。
【0066】
このようにインク室106で折り返すように配置すれば、上流インク通路56aおよび
下流インク通路56bをインク供給ユニット52内に効率的に収納できることから、イン
ク供給ユニット52をコンパクト化することができ、結果として、インク供給装置50全
体を小型化することが可能となる。
【0067】
また、図10に示すように、ポンプ部100(空気室104およびインク室106)に
対して、ニップル部110および挿入孔114を一方に片寄らせ、それとは反対側で上流
インク通路56aおよび下流インク通路56bを折り返すようにすれば、空気通路112
とインク通路56とが上下に近接することもないので、インク供給ユニット52を薄型に
することが可能となる。
【0068】
以上、各種の実施形態を説明したが、本発明は上記すべての実施形態に限られるもので
はなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【0069】
例えば、前述した実施例では、インク室106内に、バネ108が自由長から圧縮され
た状態で取り付けられており、バネ108の復元力によりダイアフラム102を空気室1
04側に押し下げるようになっていた(図6(a)参照)。しかし、空気室104内に、
自由長から引き延ばされた状態のバネを取り付けておき、このバネの復元力によってダイ
アフラム102を空気室104側に引き込むようにしてもよい。
【0070】
また、前述した実施例では、空気ポンプ72の駆動により空気室104に空気を導入し
て加圧するようになっていた。しかし、空気ポンプ72に代えて減圧ポンプを搭載してお
き、空気室104に減圧ポンプの負圧を導入することで、ダイアフラム102を空気室1
04側に引き込むようにしてもよい。この場合は、自由長から引き延ばされた状態のバネ
をインク室106内に取り付けておくか、あるいは、自由長から圧縮された状態のバネを
空気室104に取り付けておくことにより、空気室104が大気開放されると、ダイアフ
ラム102をインク室106側に戻すことが可能となる。
【符号の説明】
【0071】
2…印刷用紙、 10…インクジェットプリンター、 11…前面カバー、
12…排紙口、 13…給紙トレイ、 14…上面カバー、
15…操作ボタン、 20…キャリッジ、 22…噴射ヘッド、
23…噴射ノズル、 24…サブタンク、 26…自己封止弁、
30…駆動機構、 32…タイミングベルト、 34…駆動モーター、
40…インクカートリッジ、 50…インク供給装置、
52…インク供給ユニット、 54…インク取入針、 56…インク通路、
58…ダイアフラムポンプ、 60…インクチューブ、
70…空気ポンプユニット、 72…空気ポンプ、 74…モーター、
76…接続チューブ、 78…レギュレーター、 80…大気開放レバー、
82…減速ギア、 84…カム、 90…キャップ部材、
92…制御部、 100…ポンプ部、 102…ダイアフラム、
104…空気室、 106…インク室、 108…バネ、
110…ニップル部、 112…空気通路、 114…挿入孔、
116…封止栓、 120…上流逆止弁、 130…下流逆止弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を供給する液体供給装置であって、
前記液体が流入する流入通路と、該液体が流出する流出通路とが接続された液体室、お
よび可撓性の仕切板を介して該液体室と接する空気室が形成された液体供給ユニットと、
前記空気室に正圧あるいは負圧を導入して前記仕切板を変形させることで、前記液体室
の容積を変化させる圧力ポンプと
を備え、
前記液体供給ユニットは、該液体供給ユニットの前記空気室に新たな前記液体供給ユニ
ットの前記空気室を連結することで、該液体供給ユニットを増設可能に構成されている液
体供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体供給装置であって、
前記液体供給ユニットは、
前記空気室に連通する圧力通路が内部に形成された突起部と、
前記空気室に連通する挿入孔と
を有しており、
前記液体供給ユニットを増設するに際しては、一方の前記液体供給ユニットの前記突
起部を、他方の前記液体供給ユニットの挿入孔に挿入することで、前記液体供給ユニット
の前記空気室に新たな前記供給ユニットの前記空気室を連結可能に構成されている液体供
給装置。
【請求項3】
容器内に収容された液体を、噴射ノズルが設けられた噴射ヘッドから噴射する液体噴射
装置であって、
前記容器内の液体を、請求項1または請求項2に記載の液体供給装置を用いて、前記噴
射ヘッドに供給する液体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−224864(P2011−224864A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−96708(P2010−96708)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】