液体供給装置のバルブ動作確認方法および液体供給装置、インクジェット記録装置
【課題】簡易な測定系で複数のバルブの動作確認を行なうことができる液体供給装置のバルブ動作確認方法および液体供給装置、インクジェット記録装置を提供すること。
【解決手段】本発明は、複数の液体吐出手段に個別に接続された供給個別流路および回収個別流路と、供給個別流路に備わる供給バルブと、回収個別流路に備わる回収バルブと、複数の液体吐出手段に対して液体を供給する供給流路と、複数の液体吐出手段から液体を回収する回収流路と、供給流路の圧力を検出する供給圧力検出手段と、回収流路の圧力を検出する回収圧力検出手段と、供給流路と回収流路の圧力を制御する圧力制御手段と、を有し、1つの液体吐出手段に接続される供給バルブと回収バルブの少なくとも一方のバルブに開弁指令を与え、供給流路と回収流路の圧力変化に基づき開弁指令の対象であるバルブが正常に動作をするか否かを判定する。
【解決手段】本発明は、複数の液体吐出手段に個別に接続された供給個別流路および回収個別流路と、供給個別流路に備わる供給バルブと、回収個別流路に備わる回収バルブと、複数の液体吐出手段に対して液体を供給する供給流路と、複数の液体吐出手段から液体を回収する回収流路と、供給流路の圧力を検出する供給圧力検出手段と、回収流路の圧力を検出する回収圧力検出手段と、供給流路と回収流路の圧力を制御する圧力制御手段と、を有し、1つの液体吐出手段に接続される供給バルブと回収バルブの少なくとも一方のバルブに開弁指令を与え、供給流路と回収流路の圧力変化に基づき開弁指令の対象であるバルブが正常に動作をするか否かを判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体供給装置のバルブ動作確認方法および液体供給装置、インクジェット記録装置に係り、特に供給系バルブ・回収系バルブの動作確認を行なう液体供給装置のバルブ動作確認方法および液体供給装置、インクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電磁弁において、流体流路に流れる流体の流れを制御する制御弁である弁体の開閉駆動時に生じる振動を検知して、弁体が開閉駆動したか否かを検査する技術が開示されている。
【0003】
特許文献2には、電磁弁に所定の診断周期で駆動信号を与え、電磁弁の発生する全開端・全閉端への衝突による音や振動の発生間隔に基づき、電磁弁の異常診断を行なう技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−273835号公報
【特許文献2】特開2007−138851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電磁弁などのバルブは管に流れる流体の流れを制御するために用いられ、たとえばバルブを開閉駆動して、管を流れる流体の通水/止水を制御する役割を果たす。しかしながら流体の固着、個体差による通電規格の違いによる駆動条件の違いなどにより、バルブの動作不良が発生することがある。
【0006】
そこで、特許文献1,2には電磁弁の動作確認を行なう技術が開示されている。
【0007】
しかしながら、装置として組み上げられた状態では、計測器を取り付けることは、装置の大型化、複雑化、コストアップにつながる。また、電磁弁などのバルブについて単体であれば可能な検査も、複数個のバルブが近接する中では、検査が困難であったり、不可能であったりする。さらに複数のバルブを使用した装置の場合は、誤配線などによる制御対象の入れ替わりを防ぐため、制御したいバルブが正しく動いているかを確かめる必要がある。
【0008】
すると、特許文献1の技術により電磁弁などのバルブの動作確認を行なうには、バルブ動作時の振動を検出する機構をバルブごとに設ける必要がある。そのため、装置の大型・複雑化、コストアップにつながる。また、バルブが多数の場合、測定系も多数必要となり、測定系そのものが複雑になり、検査ミスにつながる。
【0009】
特許文献2の技術により電磁弁などのバルブの動作確認を行なうには、バルブ動作時の音が、制御しているバルブからなのか、それ以外のバルブからなのかの判別が困難であり、誤配線などによる制御対象の入れ替わりを見つけることができない。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、簡易な測定系で複数のバルブの動作確認を行なうことができる液体供給装置のバルブ動作確認方法および液体供給装置、インクジェット記録装置を提供することを、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために本発明の液体供給装置のバルブ動作確認方法は、複数の液体吐出手段に個別に接続された供給個別流路および回収個別流路と、前記供給個別流路に備わる供給バルブと、前記回収個別流路に備わる回収バルブと、前記複数の液体吐出手段に対して前記供給個別流路を介して液体を供給する供給流路と、前記複数の液体吐出手段から前記回収個別流路を介して液体を回収する回収流路と、前記供給流路の圧力を検出する供給圧力検出手段と、前記回収流路の圧力を検出する回収圧力検出手段と、前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力を制御する圧力制御手段と、を有する液体供給装置のバルブ動作確認方法であって、前記複数の液体吐出手段のうちの1つの液体吐出手段に接続される前記供給バルブと前記回収バルブの少なくとも一方のバルブに対して開弁するように開弁指令を与え、前記供給圧力検出手段により検出された前記供給流路の圧力の検出結果をもとに得られた前記供給流路の圧力変化の結果と前記回収圧力検出手段により検出された前記回収流路の圧力の検出結果をもとに得られた前記回収流路の圧力変化の結果とに基づき前記開弁指令の対象である前記バルブが正常に動作をするか否かを判定することにより前記バルブの動作確認を行うこと、を特徴とする。
【0012】
本発明によれば、複数の液体吐出手段のうちの1つの液体吐出手段に接続されるバルブに開弁指令を与えたときの供給流路と回収流路の圧力変化に基づき開弁指令の対象であるバルブが正常に動作をするか否かを判定するので、簡易な測定系で複数のバルブの動作確認を行なうことができる。そのため、液体供給装置の小型化やコストダウンを図ることができる。また、複数のバルブの中から正常に動作をしていないバルブを特定できる。
【0013】
本発明の一態様として、全ての前記供給バルブと全ての前記回収バルブを閉弁して、前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力を前記複数の液体吐出手段の内部の圧力よりも高くしつつ前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力との間に所定の圧力差を設け、前記複数の液体吐出手段のうちの1つの液体吐出手段に接続する前記供給バルブと前記回収バルブとに対し同時に開弁するように開弁指令を与え、前記開弁指令を与えたときの前記供給流路と前記回収流路との圧力変化に基づき前記開弁指令の対象である前記供給バルブと前記回収バルブとが正常に動作をするか否かを判定する組み合わせチェックを行うこと、を特徴とする。
【0014】
かかる態様によれば、1つの液体吐出手段に接続される供給バルブと回収バルブについて、組み合わせてバルブの動作を確認することができる。
【0015】
本発明の一態様として、前記組み合わせチェックは、前記開弁指令を与えたときに前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力とが近づいたときは、前記開弁指令の対象である前記供給バルブと前記回収バルブとは正常に動作しているとの正常判定を行うこと、を特徴とする。
【0016】
かかる態様によれば、供給バルブと回収バルブの組み合わせについて、簡易な測定系で正常に動作しているとの正常判定を行うができる。
【0017】
本発明の一態様として、前記組み合わせチェックは、前記開弁指令を与えたときに前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力がともに減少するときは、前記開弁指令の対象である前記供給バルブと前記回収バルブとが接続する前記液体吐出手段とは異なる前記液体吐出手段に接続する前記供給バルブと前記回収バルブのいずれか一方のバルブが誤って開弁動作を行っているとのエラー判定を行うこと、を特徴とする。
【0018】
かかる態様によれば、開弁指令の対象外である供給バルブと回収バルブのいずれか一方のバルブに対して誤って開弁指令の制御がなされていることを確認することができる。
【0019】
本発明の一態様として、前記組み合わせチェックは、前記開弁指令を与えたときに前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力との少なくとも一方に圧力変化が生じないときは、圧力変化の生じない流路に接続するバルブ自体に不具合があるとのエラー判定を行うこと、を特徴とする。
【0020】
かかる態様によれば、簡易な測定系でバルブ自体の不具合を確認することができる。
【0021】
本発明の一態様として、全ての前記供給バルブと全ての前記回収バルブを閉弁して、前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力とを前記複数の液体吐出手段の内部の圧力より大きくし、1つの前記供給バルブに対し開弁するように開弁指令を与えたときに、前記開弁指令を与えたときの前記供給流路と前記回収流路の圧力変化に基づき前記開弁指令の対象である前記供給バルブが正常に動作をするか否かを判定する供給チェックを行うこと、を特徴とする。
【0022】
かかる態様によれば、簡易な測定系で供給バルブが正常に動作をするか否かを判定することができる。
【0023】
本発明の一態様として、前記供給チェックは、前記開弁指令を与えたときに前記供給流路の圧力が減少するときは前記開弁指令の対象である前記供給バルブが正常に動作していると正常判定を行い、前記回収流路の圧力が減少するときは前記開弁指令の対象外である前記回収バルブが誤って動作しているとのエラー判定を行うこと、を特徴とする。
【0024】
かかる態様によれば、開弁指令の対象である供給バルブと同一の液体吐出手段に接続する回収バルブに誤って開弁指令がなされていることを確認することができる。
【0025】
本発明の一態様として、全ての前記供給バルブと全ての前記回収バルブを閉弁して、前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力とを前記複数の液体吐出手段の内部の圧力より大きくし、1つの前記回収バルブに対し開弁するように開弁指令を与えたときに、前記開弁指令を与えたときの前記供給流路と前記回収流路の圧力変化に基づき前記開弁指令の対象である前記回収バルブが正常に動作をするか否かを判定する回収チェックを行うこと、を特徴とする。
【0026】
かかる態様によれば、簡易な測定系で回収バルブが正常に動作をするか否かを判定することができる。
【0027】
本発明の一態様として、前記回収チェックは、前記開弁指令を与えたときに前記回収流路の圧力が減少するときは前記開弁指令の対象である前記回収バルブが正常に動作していると正常判定を行い、前記供給流路の圧力が減少するときは前記開弁指令の対象外である前記供給バルブが誤って動作しているとのエラー判定を行うこと、を特徴とする。
【0028】
かかる態様によれば、開弁指令を与えようと意図している回収バルブと同一の液体吐出手段に接続する供給バルブに誤って開弁指令がなされていることを確認することができる。
【0029】
本発明の一態様として、前記組み合わせチェックを行った後に、全ての前記供給バルブと全ての前記回収バルブを閉弁して、前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力とを前記複数の液体吐出手段の内部の圧力より大きくし、1つの前記供給バルブに対し開弁するように開弁指令を与えたときに、前記開弁指令を与えたときの前記供給流路と前記回収流路の圧力変化に基づき前記開弁指令の対象である前記供給バルブが正常に動作をするか否かを判定する供給チェック、および、全ての前記供給バルブと全ての前記回収バルブを閉弁して、前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力とを前記複数の液体吐出手段の内部の圧力より大きくし、1つの前記回収バルブに対し開弁するように開弁指令を与えたときに、前記開弁指令を与えたときの前記供給流路と前記回収流路の圧力変化に基づき前記開弁指令の対象である前記回収バルブが正常に動作をするか否かを判定する回収チェックの少なくとも一方を行なうこと、を特徴とする。
【0030】
かかる態様によれば、動作確認対象とする同一の液体吐出手段に接続する供給バルブと回収バルブへの開弁指令の対象が入れ替わってしまっていることを確認できる。
【0031】
本発明の一態様として、前記バルブの動作確認の判定結果を報知すること、を特徴とする。
【0032】
かかる態様によれば、確認者はバルブの動作確認の判定結果を容易に知ることができる。
【0033】
前記目的を達成するために本発明の液体供給装置は、複数の液体吐出手段に個別に接続された供給個別流路および回収個別流路と、前記供給個別流路に備わる供給バルブと、前記回収個別流路に備わる回収バルブと、前記複数の液体吐出手段に対して前記供給個別流路を介して液体を供給する供給流路と、前記複数の液体吐出手段から前記回収個別流路を介して液体を回収する回収流路と、前記供給流路の圧力を検出する供給圧力検出手段と、前記回収流路の圧力を検出する回収圧力検出手段と、前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力を制御する圧力制御手段と、前記複数の液体吐出手段のうちの1つの液体吐出手段に接続される前記供給バルブと前記回収バルブの少なくとも一方のバルブに対して開弁するように開弁指令を与え、前記供給圧力検出手段により検出された前記供給流路の圧力の検出結果と前記回収圧力検出手段により検出された前記回収流路の圧力の検出結果をもとに得られた前記供給流路と前記回収流路の圧力変化の結果に基づき前記開弁指令の対象である前記バルブが正常に動作をするか否かを判定することにより前記バルブの動作確認を行うバルブ動作確認手段と、を有することを特徴とする。
【0034】
前記目的を達成するために本発明のインクジェット記録装置は、記録媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送される前記記録媒体にインクを吐出する複数のヘッドブロックを備えるインク吐出ヘッドと、前記複数のヘッドブロックに個別に接続された供給個別流路および回収個別流路と、前記供給個別流路に備わる供給バルブと、前記回収個別流路に備わる回収バルブと、前記複数のヘッドブロックに対して前記供給個別流路を介してインクを供給する供給流路と、前記複数のヘッドブロックから前記回収個別流路を介してインクを回収する回収流路と、前記供給流路の圧力を検出する供給圧力検出手段と、前記回収流路の圧力を検出する回収圧力検出手段と、前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力を制御する圧力制御手段と、前記複数のヘッドブロックのうちの1つのヘッドブロックに接続される前記供給バルブと前記回収バルブの少なくとも一方のバルブに対して開弁するように開弁指令を与え、前記供給圧力検出手段により検出された前記供給流路の圧力の検出結果と前記回収圧力検出手段により検出された前記回収流路の圧力の検出結果をもとに得られた前記供給流路と前記回収流路の圧力変化の結果に基づき前記開弁指令の対象である前記バルブが正常に動作をするか否かを判定することにより前記バルブの動作確認を行うバルブ動作確認手段と、を備えるインク供給部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、簡易な測定系で複数のバルブの動作確認を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の液体供給装置が描画部のインク供給部として適用されたインクジェット記録装置において、その描画部周辺の概略構成を示す側面図である。
【図2】ヘッドの構造例を示す平面透視図である。
【図3】ヘッドブロック内部の流路構造を示す流路構成図である。
【図4】インクジェット記録装置の制御系を示す要部ブロック図である。
【図5】本発明の液体供給装置に相当するインク供給部の概略構成図である。
【図6】バルブ動作確認の全体フロー図である。
【図7】組み合わせチェックのフロー図である。
【図8】組み合わせチェック時の圧力変動を示す図である。
【図9】組み合わせチェック時の判定内容を示す図である。
【図10】供給バルブチェックのフロー図である。
【図11】供給バルブチェック時の圧力変動を示す図である。
【図12】供給バルブチェックの判定内容を示す図である。
【図13】回収バルブチェックのフロー図である。
【図14】回収バルブチェック時の圧力変動を示す図である。
【図15】回収バルブチェックの判定内容を示す図である。
【図16】定期検査時のバルブチェックのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、添付図面に従って本発明の実施の形態について説明する。
【0038】
[インクジェット記録装置(描画部)の構成]
図1は、本発明の液体供給装置が描画部のインク供給部として適用されたインクジェット記録装置において、その描画部周辺の概略構成を示す側面図である。
【0039】
なお、本発明は図1に示すようなドラムにより搬送された用紙に直接描画を行なうドラム搬送型のインクジェット記録装置に適用される以外にも、ベルトにより搬送された用紙に直接描画を行なうベルト搬送型のインクジェット記録装置や、中間転写体を介して用紙に描画する中間転写型のインクジェット記録装置などにも適用される。
【0040】
図1に示すように、本実施の形態のインクジェット記録装置では、描画部10において、用紙(記録媒体)12が描画ドラム14の周面に吸着保持されて回転搬送される。
【0041】
そして、描画ドラム14によって回転搬送される用紙12に対して、ノズル面(吐出面)を対向させて描画ドラム14の周囲に配置された4本のヘッド16C、16M、16Y、16KからC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロ)、K(クロ)の各色のインクの液滴を吐出させて、用紙12の記録面にカラー画像を描画する。
【0042】
ヘッド16C、16M、16Y、16Kには、それぞれ、各色インクを供給するための液体供給装置がインク供給部18として設けられている。なお、液体供給装置の詳細については後述する。
【0043】
用紙12を回転搬送する描画ドラム14は、円筒状に形成されており、その両端から突出して設けられた回転軸20をインクジェット記録装置の不図示の本体フレームに設けられた軸受に軸支されて、水平に設置されている。この回転軸20には、図示しない回転伝達機構を介してモータが連結されており、描画ドラム14は、このモータに駆動されて回転する。
【0044】
また、この描画ドラム14の周面には、グリッパ22が設けられている(本例では、外周面上の2カ所に設置)。用紙12は、このグリッパ22に先端部を把持されて、描画ドラム14の外周面上に保持される。
【0045】
また、この描画ドラム14の周面には、図示しない吸着穴が所定の配列パターンで多数形成されており、内部に向けてエアが吸引されている。描画ドラム14の周面に巻き掛けられた用紙12は、この吸着穴から内部に向けてエアが吸引されることにより、描画ドラム14の外周面上に吸着保持される。
【0046】
なお、本実施の形態のインクジェット記録装置において、用紙12は、前段の工程(たとえば、用紙12の記録面にインク中の色材を凝集させる機能を有する処理液を付与する工程)から搬送ドラム24を介して、描画ドラム14に受け渡される。搬送ドラム24は、描画ドラム14に並列して配置されており、タイミングを合わせて、描画ドラム14に用紙12を受け渡す。
【0047】
また、描画後の用紙12は、搬送ドラム26を介して、後段の工程(たとえば、インクを乾燥させる工程)に受け渡される。搬送ドラム26は、描画ドラム14に並列して配置されており、タイミングを合わせて、描画ドラム14から用紙12を受け取る。
【0048】
4本のヘッド16C、16M、16Y、16Kは、用紙幅に対応して形成されており、描画ドラム14の回転軸20を中心とした同心円上に一定の間隔をもって放射状に配置されている。
【0049】
このように配置された各ヘッド16C、16M、16Y、16Kは、それぞれそのノズル面が、描画ドラム14の外周面に対向して配置される。
【0050】
そして、このように配置された各ヘッド16C、16M、16Y、16Kからは、そのノズル面に形成されたノズル列から描画ドラム14の外周面に向けて垂直にインクの液滴が吐出される。
【0051】
以上のように、インクジェット記録装置1の描画部10周辺が構成される。そして、この描画部10は以下のように作用する。
【0052】
描画部10において、用紙12は、前段の工程から搬送ドラム24を介して描画ドラム14に受け渡され、描画ドラム14の周面に吸着保持されながら回転搬送される。そして、その搬送過程で各ヘッド16C、16M、16Y、16Kの下を通過し、通過時に各ヘッド16C、16M、16Y、16Kから吐出されたインクの液滴が記録面に打滴されて、記録面にカラー画像が形成される。画像記録が終了した用紙12は、描画ドラム14から搬送ドラム26に受け渡され、後段の工程に搬送される。
【0053】
[ヘッドの説明]
次に、ヘッド16C、16M、16Y、16Kの構造について説明する。なお、各ヘッド16C、16M、16Y、16Kの構造は共通しているので、以下では、これらを代表して符号30によってヘッドを示すものとする。
【0054】
図2は、ヘッド30の構造例を示す平面透視図である。図3は、ヘッドブロック内部の流路構造を示す流路構成図である。
【0055】
図2に示すように、本例のヘッド30は、複数のノズル42が2次元に配列された短尺の液体吐出手段であるヘッドブロック(ヘッドチップ)40を複数、千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで用紙12の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成している。なお、図示は省略するが、短尺のヘッドブロック40を一列に並べてラインヘッドを構成してもよい。
【0056】
記録紙面上に形成されるドットピッチを高密度化するためには、ヘッドブロック40におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のヘッドブロック40は、図2に示すように、インク滴の吐出孔であるノズル42と、各ノズル42に対応する圧力室44、インク流入口46等からなる複数のインク室ユニット47を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(紙搬送方向と直交する主走査方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。各ノズル42に対応して設けられている圧力室44は、その平面形状が概略正方形となっており、対角線上の両隅部にノズル42とインク流入口46が設けられている。
【0057】
図3に示すように、各圧力室44はインク流入口46、個別流路49を介して共通流路48と連通されている。また、各圧力室44は個別流路52を介して循環共通流路54と連通されている。ヘッドブロック40には供給口56及び排出口58が設けられており、供給口56は共通流路48と連通され、排出口58は循環共通流路54と連通されている。
【0058】
換言すれば、ヘッドブロック40の供給口56及び排出口58は、共通流路48、個別流路49、インク流入口46、圧力室44、個別流路52、及び循環共通流路54を含むインク流路を介して連通された構成となっている。このため、後述する供給流路102(図5参照)から供給口56に供給されたインクの一部は各ノズル42から吐出されるとともに、残りのインクは個別流路52及び循環共通流路54を順に経由して、排出口58から後述する回収流路104(図5参照)に排出される。
【0059】
[制御系の説明]
図4は、インクジェット記録装置1の制御系を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置1は、通信インターフェース70、システムコントローラ72、メモリ74、プリント制御部76、画像バッファメモリ78、ヘッドドライバ80、ポンプドライバ82、バルブドライバ84等を備えている。
【0060】
通信インターフェース70は、ホストコンピュータ86から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。
【0061】
ホストコンピュータ86から送出された画像データは通信インターフェース70を介してインクジェット記録装置1に取り込まれ、一旦メモリ74に記憶される。メモリ74は、通信インターフェース70を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ72を通じてデータの読み書きが行われる。
【0062】
システムコントローラ72は、通信インターフェース70、メモリ74、各ドライバ等の各部を制御する制御部である。システムコントローラ72は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、ホストコンピュータ86との間の通信制御、メモリ74の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータなどを制御する制御信号を生成する。
【0063】
また、システムコントローラ72は、インク供給部18の供給圧力センサ90と回収圧力センサ92の検出結果を取得する。
【0064】
メモリ74には、システムコントローラ72のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データなどが格納されている。なお、メモリ74は、書換不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書換可能な記憶手段であってもよい。メモリ74は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
【0065】
また、ポンプドライバ82は、システムコントローラ72の圧力制御部72aからの指示に従って、インク供給部18の供給ポンプ94と回収ポンプ96を駆動するドライバである。
【0066】
また、バルブドライバ84は、システムコントローラ72からの指示に従って、インク供給部18の供給バルブ98と回収バルブ99を駆動するドライバである。そして、後述する供給バルブ98と回収バルブ99の動作確認は、システムコントローラ72内のバルブ動作確認部100により行なわれる。
【0067】
プリント制御部76は、システムコントローラ72の制御に従い、メモリ74内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字制御信号(ドットデータ)をヘッドドライバ80に供給する制御部である。プリント制御部76において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいてヘッドドライバ80を介してヘッド30のインク滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
【0068】
プリント制御部76には画像バッファメモリ78が備えられており、プリント制御部76における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ78に一時的に格納される。
【0069】
プログラム格納部95には各種制御プログラムが格納されており、システムコントローラ72の指令に応じて、制御プログラムが読み出され、実行される。
【0070】
[インク供給部の説明]
図5は、本発明の液体供給装置に相当するインク供給部18の概略構成図である。
【0071】
図5に示すように、インク供給部18は、インクタンク101と、インクタンク101に連通する供給流路102および回収流路104と、供給流路102および回収流路104に連通する複数のヘッドブロック40とが主に構成されている。インクタンク101は、ヘッドブロック40に供給するためのインクが貯蔵される基タンク(インク供給源)である。
【0072】
そして、インクタンク101と供給流路102の間は供給ポンプ94を介して連通し、インクタンク101と回収流路104の間は回収ポンプ96を介して連通している。
【0073】
供給ポンプ94の回転方向(駆動方向)や回転量を変化させることにより、インクタンク101と供給流路102との間でインク移動が行われ、供給流路102の内部を所定の圧力に調整することができる。例えば、供給ポンプ94を正転駆動すると、インクタンク101側から供給流路102内にインクが流入し、供給流路102の内部圧力を高くすることができる。一方、供給ポンプ94を逆転駆動すると、供給流路102内のインクがインクタンク101側に流出し、供給流路102の内部圧力を低くすることができる
また、回収ポンプ96の回転方向(駆動方向)や回転量を変化させることにより、インクタンク101と回収流路104との間でインク移動が行われ、回収流路104内部を所定の圧力に調整することができる。
【0074】
例えば、回収ポンプ96を正転駆動すると、インクタンク101側から回収流路104内に流入し、回収流路104の内部圧力を高くすることができる。一方、回収ポンプ96を逆転駆動すると、回収流路104内のインクがインクタンク101側に流出し、回収流路104の内部圧力を低くすることができる
また、供給流路102には内部の圧力検出手段である供給圧力センサ90が設けられ、回収流路104には内部の圧力検出手段である回収圧力センサ92が設けられている。さらに、供給流路102とヘッドブロック40の間は供給バルブ98を備える供給個別流路103を介して連通し、回収流路104とヘッドブロック40の間は回収バルブ99を備える回収個別流路105を介して連通している。供給バルブ98により供給個別流路103が開閉され、回収バルブ99により回収個別流路105が開閉される。
【0075】
このような構成のもと、インク供給部18は以下のように作用する。
【0076】
システムコントローラ72の圧力制御部72a(図4参照)は、供給圧力センサ90の検出結果に基づいて、供給流路102内部が所定の圧力に調整されるように供給ポンプ94の駆動を制御するとともに、回収圧力センサ92の検出結果に基づいて、回収流路104内部が所定の圧力に調整されるように回収ポンプ96の駆動を制御する。
【0077】
そして、供給流路102の内部圧力が回収流路104の内部圧力よりも相対的に高くなるように供給流路102と回収流路104の間に所定の圧力差が設定され、且つ、ヘッドブロック40のノズル42内部のインクに所定の背圧(負圧)が付与されるように、供給ポンプ94及び回収ポンプ96の駆動を制御して供給流路102と回収流路104の内部圧力を調整する。
【0078】
これにより、ヘッドブロック40の背圧(負圧)を維持しつつ、供給流路102からヘッドブロック40を経由して回収流路104に向かうインク循環を所定の速度で連続的に行うことができる。
【0079】
[バルブ動作確認方法の説明]
次に、インク供給部のバルブ動作確認方法について説明する。なお、以下のバルブの動作確認は、例えばユーザインターフェースにおいてバルブ動作確認モードを選択することにより、バルブ動作確認部100(図4参照)において実行される。
【0080】
<全体フロー>
図6は、バルブ動作確認の全体フロー図である。図6に示すように、バルブ動作確認法要としては、まず、組み合わせチェックを行い、次に、供給バルブチェックを行い、次に、回収バルブチェックを行なう。ここで、組み合わせチェックとは、供給バルブ98と回収バルブ99との両方のバルブについて動作確認を行なうチェックである。また、供給バルブチェックとは供給バルブ98について動作確認を行なうチェックであり、回収バルブチェックとは回収バルブ99について動作確認を行なうチェックである。
【0081】
<組み合わせチェック>
図7は、組み合わせチェックのフロー図である。図8は組み合わせチェック時の圧力変動を示す図であり、図9は組み合わせチェック時の判定内容を示す図である。
【0082】
図7に示すように、全ての供給バルブ98と全ての回収バルブ99を閉弁させた状態で、供給流路102と回収流路104の内部の圧力値を各々、ヘッドブロック40内の圧力値以上の所定の圧力値まで増加させる。このとき、供給流路102と回収流路104との間に所定の圧力差を設定しておく(ステップS1)。
【0083】
なお、一例として、ヘッドブロック40内が大気開放されている場合には、ヘッドブロック40内の圧力値は大気圧であると想定し、供給流路102と回収流路104の内部の圧力値を各々大気圧以上の所定の圧力値まで増加させることになる。
【0084】
また、図8では、ステップS1において供給流路102の圧力値を回収流路104の圧力値よりも高くして、供給流路102と回収流路104との間に所定の圧力差を設定していた例を示している。
【0085】
次に、動作確認対象とする同一のヘッドブロック40内の供給バルブ98と回収バルブ99を同時に開弁させようと、開弁指令を与える。(ステップS2)。
【0086】
次に、供給流路102と回収流路104の圧力値が近付いたか否か、を判断する(ステップS3)。
【0087】
そして、ステップS3において図8(a)、図9に示すように供給流路102と回収流路104の圧力値が近付いたと判断された場合には、開弁指令の対象であり動作確認対象の供給バルブ98と回収バルブ99の動作は正常であると判定する(ステップS4)。
【0088】
一方、ステップS3において供給流路102と回収流路104の圧力値が近付いていないと判断された場合には、供給流路102と回収流路104がともに減少したか否か、を判断する(ステップS5)。
【0089】
そして、ステップS5において図8(b)、図9に示すように供給流路102と回収流路104の圧力値がともに減少したと判断された場合には、制御エラーとして誤配線や制御ミスにより制御対象バルブが間違っているとのエラー判定を行なう(ステップS6)。
【0090】
一方、ステップS5において供給流路102と回収流路104の圧力値がともに減少したと判断されなかった場合には、バルブエラーとしてバルブ不良や誤配線などにより圧力変化のない側のバルブが動作せずとのエラー判定を行なう(ステップS7)。図8(c)、図9では、回収流路104の圧力値に圧力変化がない例を示しており、動作確認対象の回収バルブ99が動作していないと判定することになる。
【0091】
そして、以上のような判定後、全てのヘッドブロックに接続する供給バルブ98と回収バルブ99について、チェックが完了した場合にはそのまま終了し、一方、チェックが完了していない場合にはステップS1に戻る(ステップS8)。
【0092】
以上が組み合わせチェックの内容である。
【0093】
以上の組み合わせチェックにおいては、同一のヘッドブロック40における供給バルブ98と回収バルブ99への動作指令が入れ替わっている場合についても、正常と判定されてしまう。
【0094】
そこで、さらに、以下のような供給バルブチェック、回収バルブチェックを行う。
【0095】
<供給バルブチェック>
図10は、供給バルブチェックのフロー図である。図11は供給バルブチェック時の圧力変動を示す図であり、図12は供給バルブチェックの判定内容を示す図である。
【0096】
図10に示すように、まず、全ての供給バルブ98と全ての回収バルブ99を閉弁させた状態で、供給流路102と回収流路104の内部をヘッドブロック40内の圧力値以上の所定の圧力値まで増加させる(ステップS11)。
【0097】
なお、一例として、ヘッドブロック40内が大気開放されている場合には、ヘッドブロック40内の圧力値は大気圧であると想定し、供給流路102と回収流路104の内部の圧力値を大気圧以上の所定の圧力値まで増加させることになる。
【0098】
次に、動作確認対象のヘッドブロック40に接続する1つの供給バルブ98を開弁させようと、開弁指令を与える(ステップS12)。
【0099】
次に、供給流路102の圧力値が減少したか否か、を判断する(ステップS13)。
【0100】
そして、ステップS13において図11(a)、図12に示すように供給流路102の圧力値が減少したと判断された場合には、開弁指令の対象であって動作確認対象の供給バルブ98の動作は正常であると判定する(ステップS14)。
【0101】
一方、ステップS13において供給流路102の圧力値が減少していないと判断された場合には、さらに、回収流路104の圧力値が減少したか否か、を判断する(ステップS15)。
【0102】
そして、ステップS15において図11(b)、図12に示すように回収流路104の圧力値が減少したと判断された場合には、制御エラーとして誤配線や制御ミスにより、開弁指令の対象外である回収バルブ99を誤って開弁しているとのエラー判定を行なう(ステップS16)。すなわち、供給バルブ98と回収バルブ99への開弁指令の対象が入れ替わってしまっていることを確認できる。
【0103】
一方、ステップS15において図11(c)、図12に示すように回収流路104の圧力値が減少していないと判断された場合には、バルブエラーとしてバルブ不良や誤配線などにより、動作確認対象の供給バルブ98が動作せずとのエラー判定を行なう(ステップS17)。
【0104】
そして、以上のような判定後、全てのヘッドブロック40に接続する供給バルブ98について、チェックが完了した場合にはそのまま終了し、一方、チェックが完了していない場合にはステップS11に戻る(ステップS18)。
【0105】
以上が供給バルブチェックの内容である。
【0106】
<回収バルブチェック>
図13は、回収バルブチェックのフロー図である。図14は回収バルブチェック時の圧力変動を示す図であり、図15は回収バルブチェックの判定内容を示す図である。
【0107】
図13に示すように、まず、全ての供給バルブ98と全ての回収バルブ99を閉弁させた状態で、供給流路102と回収流路104の内部をともにヘッドブロック40内の圧力値以上の所定の圧力値まで増加させる(ステップS21)。
【0108】
なお、一例として、ヘッドブロック40内が大気開放されている場合には、ヘッドブロック40内の圧力値は大気圧であると想定し、供給流路102と回収流路104の内部の圧力値を大気圧以上の所定の圧力値まで増加させることになる。
【0109】
次に、動作確認対象のヘッドブロック40に接続する1つの回収バルブ99を開弁させようと、開弁指令を与える(ステップS22)。
【0110】
次に、回収流路104の圧力値が減少したか否か、を判断する(ステップS23)。
【0111】
そして、ステップS23において図14(a)、図15に示すように回収流路104の圧力値が減少したと判断された場合には、開弁指令の対象であり動作確認対象の回収バルブ99の動作は正常であると判定する(ステップS24)。
【0112】
一方、ステップS23において回収流路104の圧力値が減少していないと判断された場合には、さらに、供給流路102の圧力値が減少したか否か、を判断する(ステップS25)。
【0113】
そして、ステップS25において図14(b)、図15に示すように供給流路102の圧力値が減少したと判断された場合には、制御エラーとして誤配線や制御ミスにより、開弁指令の対象外である供給バルブ98を誤って開弁しているとのエラー判定を行なう(ステップS26)。すなわち、供給バルブ98と回収バルブ99への開弁指令の対象が入れ替わってしまっていることを確認できる。
【0114】
一方、ステップS25において図14(c)、図15に示すように供給流路102の圧力値が減少していないと判断された場合には、バルブエラーとしてバルブ不良や誤配線などにより、動作確認対象の回収バルブ99が動作せずとのエラー判定を行なう(ステップS27)。
【0115】
そして、以上のような判定後、全てのヘッドブロックに接続する回収バルブ99について、チェックが完了した場合にはそのまま終了し、一方、チェックが完了していない場合にはステップS21に戻る(ステップS28)。
【0116】
以上が回収バルブチェックの内容である。
【0117】
<バルブ動作確認タイミング>
以上のようなバルブの動作確認は、液体供給装置(インク供給部18)の流路の組み立て時に行う。動作確認の結果、異常が発見された場合、確認者に装置に異常があることを知らせる。異常を知らせる異常報知手段としては、パトライトを点灯することや、装置操作用のモニターにエラーを表示すること、が考えられる。
【0118】
また、確認者は異常の内容や異常のある箇所を、動作確認内容の記録(ログ)を参照したり、異常の詳細を装置操作用のモニターに表示したりするなどの手段で、知ることができる。異常がある場合は、これらの異常報知手段より、得られた情報をもとに、部品交換、再組み立てなどをすることにより、速やかに異常を解消することができる。
【0119】
なお、上記では、組み合わせチェックの後、供給バルブチェックと回収バルブチェックの両バルブのチェックを行なったが、供給バルブチェックと回収バルブチェックのいずれか一方のみ行なってもよい。
【0120】
<定期検査時のバルブチェック>
また、インク供給部18の定期検査時にもバルブの動作確認は行われる。ただし、液体供給装置の組み立て時に、一度、バルブの動作確認がなされているため、ここで行われるバルブの動作確認はバルブ自体が経時により壊れていないかを調べるものである。そのため、検査は以下のようになる。
【0121】
図16は、定期検査時のバルブチェックのフロー図である。
【0122】
図16に示すように、全ての供給バルブ98と全ての回収バルブ99を閉弁させた状態で、供給流路102と回収流路104の内部をともにヘッドブロック40内の圧力値以上の所定の圧力値まで増加させる(ステップS31)。
【0123】
なお、一例として、ヘッドブロック40内が大気開放されている場合には、ヘッドブロック40内の圧力値は大気圧であると想定し、供給流路102と回収流路104の内部の圧力値を大気圧以上の所定の圧力値まで増加させることになる。
【0124】
次に、動作確認対象とするヘッドブロック40における1つの供給バルブ98を開弁させようと、開弁指令を与える(ステップS32)。
【0125】
次に、供給流路102の圧力値が減少したか否か、を判断する(ステップS33)。
【0126】
そして、ステップS33において供給流路102の圧力値が減少したと判断された場合には動作確認対象の供給バルブ98の動作は正常と判定する(ステップS34)。
【0127】
一方、ステップS33において供給流路102の圧力値が減少していないと判断された場合には、バルブエラーとしてバルブ故障やハーネス断線などにより、動作確認対象の供給バルブ98が動作していないとのエラー判定を行なう(ステップS35)。
【0128】
そして、以上のような判定後、全てのヘッドブロックに接続する供給バルブ98について、チェックが完了した場合にはそのまま終了し、一方、チェックが完了していない場合にはステップS31に戻る(ステップS36)。
【0129】
以上にように供給バルブ98の動作確認を行うが、回収バルブ99についても同様に動作確認を行なう。
【0130】
なお、定期検査時のバルブチェックにおいても、異常が発見された場合には、流路の組み立て時と同様の異常報知手段で、確認者にエラーを知らせる。
【0131】
以上、本発明の液体供給装置のバルブ動作確認方法および液体供給装置、インクジェット記録装置について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
【0132】
例えば、組み合わせチェックと供給バルブチェックと回収バルブチェックを行う順序を、図6に示すような順序以外で行うことも考えられる。
【符号の説明】
【0133】
1…インクジェット記録装置、14…描画部、30…ヘッド、40…ヘッドブロック、
90…供給圧力センサ、92…回収圧力センサ、98…供給バルブ、99…回収バルブ、100…バルブ動作確認部、101…インクタンク、102…供給流路、104…回収流路
【技術分野】
【0001】
本発明は液体供給装置のバルブ動作確認方法および液体供給装置、インクジェット記録装置に係り、特に供給系バルブ・回収系バルブの動作確認を行なう液体供給装置のバルブ動作確認方法および液体供給装置、インクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電磁弁において、流体流路に流れる流体の流れを制御する制御弁である弁体の開閉駆動時に生じる振動を検知して、弁体が開閉駆動したか否かを検査する技術が開示されている。
【0003】
特許文献2には、電磁弁に所定の診断周期で駆動信号を与え、電磁弁の発生する全開端・全閉端への衝突による音や振動の発生間隔に基づき、電磁弁の異常診断を行なう技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−273835号公報
【特許文献2】特開2007−138851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電磁弁などのバルブは管に流れる流体の流れを制御するために用いられ、たとえばバルブを開閉駆動して、管を流れる流体の通水/止水を制御する役割を果たす。しかしながら流体の固着、個体差による通電規格の違いによる駆動条件の違いなどにより、バルブの動作不良が発生することがある。
【0006】
そこで、特許文献1,2には電磁弁の動作確認を行なう技術が開示されている。
【0007】
しかしながら、装置として組み上げられた状態では、計測器を取り付けることは、装置の大型化、複雑化、コストアップにつながる。また、電磁弁などのバルブについて単体であれば可能な検査も、複数個のバルブが近接する中では、検査が困難であったり、不可能であったりする。さらに複数のバルブを使用した装置の場合は、誤配線などによる制御対象の入れ替わりを防ぐため、制御したいバルブが正しく動いているかを確かめる必要がある。
【0008】
すると、特許文献1の技術により電磁弁などのバルブの動作確認を行なうには、バルブ動作時の振動を検出する機構をバルブごとに設ける必要がある。そのため、装置の大型・複雑化、コストアップにつながる。また、バルブが多数の場合、測定系も多数必要となり、測定系そのものが複雑になり、検査ミスにつながる。
【0009】
特許文献2の技術により電磁弁などのバルブの動作確認を行なうには、バルブ動作時の音が、制御しているバルブからなのか、それ以外のバルブからなのかの判別が困難であり、誤配線などによる制御対象の入れ替わりを見つけることができない。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、簡易な測定系で複数のバルブの動作確認を行なうことができる液体供給装置のバルブ動作確認方法および液体供給装置、インクジェット記録装置を提供することを、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために本発明の液体供給装置のバルブ動作確認方法は、複数の液体吐出手段に個別に接続された供給個別流路および回収個別流路と、前記供給個別流路に備わる供給バルブと、前記回収個別流路に備わる回収バルブと、前記複数の液体吐出手段に対して前記供給個別流路を介して液体を供給する供給流路と、前記複数の液体吐出手段から前記回収個別流路を介して液体を回収する回収流路と、前記供給流路の圧力を検出する供給圧力検出手段と、前記回収流路の圧力を検出する回収圧力検出手段と、前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力を制御する圧力制御手段と、を有する液体供給装置のバルブ動作確認方法であって、前記複数の液体吐出手段のうちの1つの液体吐出手段に接続される前記供給バルブと前記回収バルブの少なくとも一方のバルブに対して開弁するように開弁指令を与え、前記供給圧力検出手段により検出された前記供給流路の圧力の検出結果をもとに得られた前記供給流路の圧力変化の結果と前記回収圧力検出手段により検出された前記回収流路の圧力の検出結果をもとに得られた前記回収流路の圧力変化の結果とに基づき前記開弁指令の対象である前記バルブが正常に動作をするか否かを判定することにより前記バルブの動作確認を行うこと、を特徴とする。
【0012】
本発明によれば、複数の液体吐出手段のうちの1つの液体吐出手段に接続されるバルブに開弁指令を与えたときの供給流路と回収流路の圧力変化に基づき開弁指令の対象であるバルブが正常に動作をするか否かを判定するので、簡易な測定系で複数のバルブの動作確認を行なうことができる。そのため、液体供給装置の小型化やコストダウンを図ることができる。また、複数のバルブの中から正常に動作をしていないバルブを特定できる。
【0013】
本発明の一態様として、全ての前記供給バルブと全ての前記回収バルブを閉弁して、前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力を前記複数の液体吐出手段の内部の圧力よりも高くしつつ前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力との間に所定の圧力差を設け、前記複数の液体吐出手段のうちの1つの液体吐出手段に接続する前記供給バルブと前記回収バルブとに対し同時に開弁するように開弁指令を与え、前記開弁指令を与えたときの前記供給流路と前記回収流路との圧力変化に基づき前記開弁指令の対象である前記供給バルブと前記回収バルブとが正常に動作をするか否かを判定する組み合わせチェックを行うこと、を特徴とする。
【0014】
かかる態様によれば、1つの液体吐出手段に接続される供給バルブと回収バルブについて、組み合わせてバルブの動作を確認することができる。
【0015】
本発明の一態様として、前記組み合わせチェックは、前記開弁指令を与えたときに前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力とが近づいたときは、前記開弁指令の対象である前記供給バルブと前記回収バルブとは正常に動作しているとの正常判定を行うこと、を特徴とする。
【0016】
かかる態様によれば、供給バルブと回収バルブの組み合わせについて、簡易な測定系で正常に動作しているとの正常判定を行うができる。
【0017】
本発明の一態様として、前記組み合わせチェックは、前記開弁指令を与えたときに前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力がともに減少するときは、前記開弁指令の対象である前記供給バルブと前記回収バルブとが接続する前記液体吐出手段とは異なる前記液体吐出手段に接続する前記供給バルブと前記回収バルブのいずれか一方のバルブが誤って開弁動作を行っているとのエラー判定を行うこと、を特徴とする。
【0018】
かかる態様によれば、開弁指令の対象外である供給バルブと回収バルブのいずれか一方のバルブに対して誤って開弁指令の制御がなされていることを確認することができる。
【0019】
本発明の一態様として、前記組み合わせチェックは、前記開弁指令を与えたときに前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力との少なくとも一方に圧力変化が生じないときは、圧力変化の生じない流路に接続するバルブ自体に不具合があるとのエラー判定を行うこと、を特徴とする。
【0020】
かかる態様によれば、簡易な測定系でバルブ自体の不具合を確認することができる。
【0021】
本発明の一態様として、全ての前記供給バルブと全ての前記回収バルブを閉弁して、前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力とを前記複数の液体吐出手段の内部の圧力より大きくし、1つの前記供給バルブに対し開弁するように開弁指令を与えたときに、前記開弁指令を与えたときの前記供給流路と前記回収流路の圧力変化に基づき前記開弁指令の対象である前記供給バルブが正常に動作をするか否かを判定する供給チェックを行うこと、を特徴とする。
【0022】
かかる態様によれば、簡易な測定系で供給バルブが正常に動作をするか否かを判定することができる。
【0023】
本発明の一態様として、前記供給チェックは、前記開弁指令を与えたときに前記供給流路の圧力が減少するときは前記開弁指令の対象である前記供給バルブが正常に動作していると正常判定を行い、前記回収流路の圧力が減少するときは前記開弁指令の対象外である前記回収バルブが誤って動作しているとのエラー判定を行うこと、を特徴とする。
【0024】
かかる態様によれば、開弁指令の対象である供給バルブと同一の液体吐出手段に接続する回収バルブに誤って開弁指令がなされていることを確認することができる。
【0025】
本発明の一態様として、全ての前記供給バルブと全ての前記回収バルブを閉弁して、前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力とを前記複数の液体吐出手段の内部の圧力より大きくし、1つの前記回収バルブに対し開弁するように開弁指令を与えたときに、前記開弁指令を与えたときの前記供給流路と前記回収流路の圧力変化に基づき前記開弁指令の対象である前記回収バルブが正常に動作をするか否かを判定する回収チェックを行うこと、を特徴とする。
【0026】
かかる態様によれば、簡易な測定系で回収バルブが正常に動作をするか否かを判定することができる。
【0027】
本発明の一態様として、前記回収チェックは、前記開弁指令を与えたときに前記回収流路の圧力が減少するときは前記開弁指令の対象である前記回収バルブが正常に動作していると正常判定を行い、前記供給流路の圧力が減少するときは前記開弁指令の対象外である前記供給バルブが誤って動作しているとのエラー判定を行うこと、を特徴とする。
【0028】
かかる態様によれば、開弁指令を与えようと意図している回収バルブと同一の液体吐出手段に接続する供給バルブに誤って開弁指令がなされていることを確認することができる。
【0029】
本発明の一態様として、前記組み合わせチェックを行った後に、全ての前記供給バルブと全ての前記回収バルブを閉弁して、前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力とを前記複数の液体吐出手段の内部の圧力より大きくし、1つの前記供給バルブに対し開弁するように開弁指令を与えたときに、前記開弁指令を与えたときの前記供給流路と前記回収流路の圧力変化に基づき前記開弁指令の対象である前記供給バルブが正常に動作をするか否かを判定する供給チェック、および、全ての前記供給バルブと全ての前記回収バルブを閉弁して、前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力とを前記複数の液体吐出手段の内部の圧力より大きくし、1つの前記回収バルブに対し開弁するように開弁指令を与えたときに、前記開弁指令を与えたときの前記供給流路と前記回収流路の圧力変化に基づき前記開弁指令の対象である前記回収バルブが正常に動作をするか否かを判定する回収チェックの少なくとも一方を行なうこと、を特徴とする。
【0030】
かかる態様によれば、動作確認対象とする同一の液体吐出手段に接続する供給バルブと回収バルブへの開弁指令の対象が入れ替わってしまっていることを確認できる。
【0031】
本発明の一態様として、前記バルブの動作確認の判定結果を報知すること、を特徴とする。
【0032】
かかる態様によれば、確認者はバルブの動作確認の判定結果を容易に知ることができる。
【0033】
前記目的を達成するために本発明の液体供給装置は、複数の液体吐出手段に個別に接続された供給個別流路および回収個別流路と、前記供給個別流路に備わる供給バルブと、前記回収個別流路に備わる回収バルブと、前記複数の液体吐出手段に対して前記供給個別流路を介して液体を供給する供給流路と、前記複数の液体吐出手段から前記回収個別流路を介して液体を回収する回収流路と、前記供給流路の圧力を検出する供給圧力検出手段と、前記回収流路の圧力を検出する回収圧力検出手段と、前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力を制御する圧力制御手段と、前記複数の液体吐出手段のうちの1つの液体吐出手段に接続される前記供給バルブと前記回収バルブの少なくとも一方のバルブに対して開弁するように開弁指令を与え、前記供給圧力検出手段により検出された前記供給流路の圧力の検出結果と前記回収圧力検出手段により検出された前記回収流路の圧力の検出結果をもとに得られた前記供給流路と前記回収流路の圧力変化の結果に基づき前記開弁指令の対象である前記バルブが正常に動作をするか否かを判定することにより前記バルブの動作確認を行うバルブ動作確認手段と、を有することを特徴とする。
【0034】
前記目的を達成するために本発明のインクジェット記録装置は、記録媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送される前記記録媒体にインクを吐出する複数のヘッドブロックを備えるインク吐出ヘッドと、前記複数のヘッドブロックに個別に接続された供給個別流路および回収個別流路と、前記供給個別流路に備わる供給バルブと、前記回収個別流路に備わる回収バルブと、前記複数のヘッドブロックに対して前記供給個別流路を介してインクを供給する供給流路と、前記複数のヘッドブロックから前記回収個別流路を介してインクを回収する回収流路と、前記供給流路の圧力を検出する供給圧力検出手段と、前記回収流路の圧力を検出する回収圧力検出手段と、前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力を制御する圧力制御手段と、前記複数のヘッドブロックのうちの1つのヘッドブロックに接続される前記供給バルブと前記回収バルブの少なくとも一方のバルブに対して開弁するように開弁指令を与え、前記供給圧力検出手段により検出された前記供給流路の圧力の検出結果と前記回収圧力検出手段により検出された前記回収流路の圧力の検出結果をもとに得られた前記供給流路と前記回収流路の圧力変化の結果に基づき前記開弁指令の対象である前記バルブが正常に動作をするか否かを判定することにより前記バルブの動作確認を行うバルブ動作確認手段と、を備えるインク供給部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、簡易な測定系で複数のバルブの動作確認を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の液体供給装置が描画部のインク供給部として適用されたインクジェット記録装置において、その描画部周辺の概略構成を示す側面図である。
【図2】ヘッドの構造例を示す平面透視図である。
【図3】ヘッドブロック内部の流路構造を示す流路構成図である。
【図4】インクジェット記録装置の制御系を示す要部ブロック図である。
【図5】本発明の液体供給装置に相当するインク供給部の概略構成図である。
【図6】バルブ動作確認の全体フロー図である。
【図7】組み合わせチェックのフロー図である。
【図8】組み合わせチェック時の圧力変動を示す図である。
【図9】組み合わせチェック時の判定内容を示す図である。
【図10】供給バルブチェックのフロー図である。
【図11】供給バルブチェック時の圧力変動を示す図である。
【図12】供給バルブチェックの判定内容を示す図である。
【図13】回収バルブチェックのフロー図である。
【図14】回収バルブチェック時の圧力変動を示す図である。
【図15】回収バルブチェックの判定内容を示す図である。
【図16】定期検査時のバルブチェックのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、添付図面に従って本発明の実施の形態について説明する。
【0038】
[インクジェット記録装置(描画部)の構成]
図1は、本発明の液体供給装置が描画部のインク供給部として適用されたインクジェット記録装置において、その描画部周辺の概略構成を示す側面図である。
【0039】
なお、本発明は図1に示すようなドラムにより搬送された用紙に直接描画を行なうドラム搬送型のインクジェット記録装置に適用される以外にも、ベルトにより搬送された用紙に直接描画を行なうベルト搬送型のインクジェット記録装置や、中間転写体を介して用紙に描画する中間転写型のインクジェット記録装置などにも適用される。
【0040】
図1に示すように、本実施の形態のインクジェット記録装置では、描画部10において、用紙(記録媒体)12が描画ドラム14の周面に吸着保持されて回転搬送される。
【0041】
そして、描画ドラム14によって回転搬送される用紙12に対して、ノズル面(吐出面)を対向させて描画ドラム14の周囲に配置された4本のヘッド16C、16M、16Y、16KからC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロ)、K(クロ)の各色のインクの液滴を吐出させて、用紙12の記録面にカラー画像を描画する。
【0042】
ヘッド16C、16M、16Y、16Kには、それぞれ、各色インクを供給するための液体供給装置がインク供給部18として設けられている。なお、液体供給装置の詳細については後述する。
【0043】
用紙12を回転搬送する描画ドラム14は、円筒状に形成されており、その両端から突出して設けられた回転軸20をインクジェット記録装置の不図示の本体フレームに設けられた軸受に軸支されて、水平に設置されている。この回転軸20には、図示しない回転伝達機構を介してモータが連結されており、描画ドラム14は、このモータに駆動されて回転する。
【0044】
また、この描画ドラム14の周面には、グリッパ22が設けられている(本例では、外周面上の2カ所に設置)。用紙12は、このグリッパ22に先端部を把持されて、描画ドラム14の外周面上に保持される。
【0045】
また、この描画ドラム14の周面には、図示しない吸着穴が所定の配列パターンで多数形成されており、内部に向けてエアが吸引されている。描画ドラム14の周面に巻き掛けられた用紙12は、この吸着穴から内部に向けてエアが吸引されることにより、描画ドラム14の外周面上に吸着保持される。
【0046】
なお、本実施の形態のインクジェット記録装置において、用紙12は、前段の工程(たとえば、用紙12の記録面にインク中の色材を凝集させる機能を有する処理液を付与する工程)から搬送ドラム24を介して、描画ドラム14に受け渡される。搬送ドラム24は、描画ドラム14に並列して配置されており、タイミングを合わせて、描画ドラム14に用紙12を受け渡す。
【0047】
また、描画後の用紙12は、搬送ドラム26を介して、後段の工程(たとえば、インクを乾燥させる工程)に受け渡される。搬送ドラム26は、描画ドラム14に並列して配置されており、タイミングを合わせて、描画ドラム14から用紙12を受け取る。
【0048】
4本のヘッド16C、16M、16Y、16Kは、用紙幅に対応して形成されており、描画ドラム14の回転軸20を中心とした同心円上に一定の間隔をもって放射状に配置されている。
【0049】
このように配置された各ヘッド16C、16M、16Y、16Kは、それぞれそのノズル面が、描画ドラム14の外周面に対向して配置される。
【0050】
そして、このように配置された各ヘッド16C、16M、16Y、16Kからは、そのノズル面に形成されたノズル列から描画ドラム14の外周面に向けて垂直にインクの液滴が吐出される。
【0051】
以上のように、インクジェット記録装置1の描画部10周辺が構成される。そして、この描画部10は以下のように作用する。
【0052】
描画部10において、用紙12は、前段の工程から搬送ドラム24を介して描画ドラム14に受け渡され、描画ドラム14の周面に吸着保持されながら回転搬送される。そして、その搬送過程で各ヘッド16C、16M、16Y、16Kの下を通過し、通過時に各ヘッド16C、16M、16Y、16Kから吐出されたインクの液滴が記録面に打滴されて、記録面にカラー画像が形成される。画像記録が終了した用紙12は、描画ドラム14から搬送ドラム26に受け渡され、後段の工程に搬送される。
【0053】
[ヘッドの説明]
次に、ヘッド16C、16M、16Y、16Kの構造について説明する。なお、各ヘッド16C、16M、16Y、16Kの構造は共通しているので、以下では、これらを代表して符号30によってヘッドを示すものとする。
【0054】
図2は、ヘッド30の構造例を示す平面透視図である。図3は、ヘッドブロック内部の流路構造を示す流路構成図である。
【0055】
図2に示すように、本例のヘッド30は、複数のノズル42が2次元に配列された短尺の液体吐出手段であるヘッドブロック(ヘッドチップ)40を複数、千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで用紙12の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成している。なお、図示は省略するが、短尺のヘッドブロック40を一列に並べてラインヘッドを構成してもよい。
【0056】
記録紙面上に形成されるドットピッチを高密度化するためには、ヘッドブロック40におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のヘッドブロック40は、図2に示すように、インク滴の吐出孔であるノズル42と、各ノズル42に対応する圧力室44、インク流入口46等からなる複数のインク室ユニット47を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(紙搬送方向と直交する主走査方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。各ノズル42に対応して設けられている圧力室44は、その平面形状が概略正方形となっており、対角線上の両隅部にノズル42とインク流入口46が設けられている。
【0057】
図3に示すように、各圧力室44はインク流入口46、個別流路49を介して共通流路48と連通されている。また、各圧力室44は個別流路52を介して循環共通流路54と連通されている。ヘッドブロック40には供給口56及び排出口58が設けられており、供給口56は共通流路48と連通され、排出口58は循環共通流路54と連通されている。
【0058】
換言すれば、ヘッドブロック40の供給口56及び排出口58は、共通流路48、個別流路49、インク流入口46、圧力室44、個別流路52、及び循環共通流路54を含むインク流路を介して連通された構成となっている。このため、後述する供給流路102(図5参照)から供給口56に供給されたインクの一部は各ノズル42から吐出されるとともに、残りのインクは個別流路52及び循環共通流路54を順に経由して、排出口58から後述する回収流路104(図5参照)に排出される。
【0059】
[制御系の説明]
図4は、インクジェット記録装置1の制御系を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置1は、通信インターフェース70、システムコントローラ72、メモリ74、プリント制御部76、画像バッファメモリ78、ヘッドドライバ80、ポンプドライバ82、バルブドライバ84等を備えている。
【0060】
通信インターフェース70は、ホストコンピュータ86から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。
【0061】
ホストコンピュータ86から送出された画像データは通信インターフェース70を介してインクジェット記録装置1に取り込まれ、一旦メモリ74に記憶される。メモリ74は、通信インターフェース70を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ72を通じてデータの読み書きが行われる。
【0062】
システムコントローラ72は、通信インターフェース70、メモリ74、各ドライバ等の各部を制御する制御部である。システムコントローラ72は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、ホストコンピュータ86との間の通信制御、メモリ74の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータなどを制御する制御信号を生成する。
【0063】
また、システムコントローラ72は、インク供給部18の供給圧力センサ90と回収圧力センサ92の検出結果を取得する。
【0064】
メモリ74には、システムコントローラ72のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データなどが格納されている。なお、メモリ74は、書換不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書換可能な記憶手段であってもよい。メモリ74は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
【0065】
また、ポンプドライバ82は、システムコントローラ72の圧力制御部72aからの指示に従って、インク供給部18の供給ポンプ94と回収ポンプ96を駆動するドライバである。
【0066】
また、バルブドライバ84は、システムコントローラ72からの指示に従って、インク供給部18の供給バルブ98と回収バルブ99を駆動するドライバである。そして、後述する供給バルブ98と回収バルブ99の動作確認は、システムコントローラ72内のバルブ動作確認部100により行なわれる。
【0067】
プリント制御部76は、システムコントローラ72の制御に従い、メモリ74内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字制御信号(ドットデータ)をヘッドドライバ80に供給する制御部である。プリント制御部76において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいてヘッドドライバ80を介してヘッド30のインク滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
【0068】
プリント制御部76には画像バッファメモリ78が備えられており、プリント制御部76における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ78に一時的に格納される。
【0069】
プログラム格納部95には各種制御プログラムが格納されており、システムコントローラ72の指令に応じて、制御プログラムが読み出され、実行される。
【0070】
[インク供給部の説明]
図5は、本発明の液体供給装置に相当するインク供給部18の概略構成図である。
【0071】
図5に示すように、インク供給部18は、インクタンク101と、インクタンク101に連通する供給流路102および回収流路104と、供給流路102および回収流路104に連通する複数のヘッドブロック40とが主に構成されている。インクタンク101は、ヘッドブロック40に供給するためのインクが貯蔵される基タンク(インク供給源)である。
【0072】
そして、インクタンク101と供給流路102の間は供給ポンプ94を介して連通し、インクタンク101と回収流路104の間は回収ポンプ96を介して連通している。
【0073】
供給ポンプ94の回転方向(駆動方向)や回転量を変化させることにより、インクタンク101と供給流路102との間でインク移動が行われ、供給流路102の内部を所定の圧力に調整することができる。例えば、供給ポンプ94を正転駆動すると、インクタンク101側から供給流路102内にインクが流入し、供給流路102の内部圧力を高くすることができる。一方、供給ポンプ94を逆転駆動すると、供給流路102内のインクがインクタンク101側に流出し、供給流路102の内部圧力を低くすることができる
また、回収ポンプ96の回転方向(駆動方向)や回転量を変化させることにより、インクタンク101と回収流路104との間でインク移動が行われ、回収流路104内部を所定の圧力に調整することができる。
【0074】
例えば、回収ポンプ96を正転駆動すると、インクタンク101側から回収流路104内に流入し、回収流路104の内部圧力を高くすることができる。一方、回収ポンプ96を逆転駆動すると、回収流路104内のインクがインクタンク101側に流出し、回収流路104の内部圧力を低くすることができる
また、供給流路102には内部の圧力検出手段である供給圧力センサ90が設けられ、回収流路104には内部の圧力検出手段である回収圧力センサ92が設けられている。さらに、供給流路102とヘッドブロック40の間は供給バルブ98を備える供給個別流路103を介して連通し、回収流路104とヘッドブロック40の間は回収バルブ99を備える回収個別流路105を介して連通している。供給バルブ98により供給個別流路103が開閉され、回収バルブ99により回収個別流路105が開閉される。
【0075】
このような構成のもと、インク供給部18は以下のように作用する。
【0076】
システムコントローラ72の圧力制御部72a(図4参照)は、供給圧力センサ90の検出結果に基づいて、供給流路102内部が所定の圧力に調整されるように供給ポンプ94の駆動を制御するとともに、回収圧力センサ92の検出結果に基づいて、回収流路104内部が所定の圧力に調整されるように回収ポンプ96の駆動を制御する。
【0077】
そして、供給流路102の内部圧力が回収流路104の内部圧力よりも相対的に高くなるように供給流路102と回収流路104の間に所定の圧力差が設定され、且つ、ヘッドブロック40のノズル42内部のインクに所定の背圧(負圧)が付与されるように、供給ポンプ94及び回収ポンプ96の駆動を制御して供給流路102と回収流路104の内部圧力を調整する。
【0078】
これにより、ヘッドブロック40の背圧(負圧)を維持しつつ、供給流路102からヘッドブロック40を経由して回収流路104に向かうインク循環を所定の速度で連続的に行うことができる。
【0079】
[バルブ動作確認方法の説明]
次に、インク供給部のバルブ動作確認方法について説明する。なお、以下のバルブの動作確認は、例えばユーザインターフェースにおいてバルブ動作確認モードを選択することにより、バルブ動作確認部100(図4参照)において実行される。
【0080】
<全体フロー>
図6は、バルブ動作確認の全体フロー図である。図6に示すように、バルブ動作確認法要としては、まず、組み合わせチェックを行い、次に、供給バルブチェックを行い、次に、回収バルブチェックを行なう。ここで、組み合わせチェックとは、供給バルブ98と回収バルブ99との両方のバルブについて動作確認を行なうチェックである。また、供給バルブチェックとは供給バルブ98について動作確認を行なうチェックであり、回収バルブチェックとは回収バルブ99について動作確認を行なうチェックである。
【0081】
<組み合わせチェック>
図7は、組み合わせチェックのフロー図である。図8は組み合わせチェック時の圧力変動を示す図であり、図9は組み合わせチェック時の判定内容を示す図である。
【0082】
図7に示すように、全ての供給バルブ98と全ての回収バルブ99を閉弁させた状態で、供給流路102と回収流路104の内部の圧力値を各々、ヘッドブロック40内の圧力値以上の所定の圧力値まで増加させる。このとき、供給流路102と回収流路104との間に所定の圧力差を設定しておく(ステップS1)。
【0083】
なお、一例として、ヘッドブロック40内が大気開放されている場合には、ヘッドブロック40内の圧力値は大気圧であると想定し、供給流路102と回収流路104の内部の圧力値を各々大気圧以上の所定の圧力値まで増加させることになる。
【0084】
また、図8では、ステップS1において供給流路102の圧力値を回収流路104の圧力値よりも高くして、供給流路102と回収流路104との間に所定の圧力差を設定していた例を示している。
【0085】
次に、動作確認対象とする同一のヘッドブロック40内の供給バルブ98と回収バルブ99を同時に開弁させようと、開弁指令を与える。(ステップS2)。
【0086】
次に、供給流路102と回収流路104の圧力値が近付いたか否か、を判断する(ステップS3)。
【0087】
そして、ステップS3において図8(a)、図9に示すように供給流路102と回収流路104の圧力値が近付いたと判断された場合には、開弁指令の対象であり動作確認対象の供給バルブ98と回収バルブ99の動作は正常であると判定する(ステップS4)。
【0088】
一方、ステップS3において供給流路102と回収流路104の圧力値が近付いていないと判断された場合には、供給流路102と回収流路104がともに減少したか否か、を判断する(ステップS5)。
【0089】
そして、ステップS5において図8(b)、図9に示すように供給流路102と回収流路104の圧力値がともに減少したと判断された場合には、制御エラーとして誤配線や制御ミスにより制御対象バルブが間違っているとのエラー判定を行なう(ステップS6)。
【0090】
一方、ステップS5において供給流路102と回収流路104の圧力値がともに減少したと判断されなかった場合には、バルブエラーとしてバルブ不良や誤配線などにより圧力変化のない側のバルブが動作せずとのエラー判定を行なう(ステップS7)。図8(c)、図9では、回収流路104の圧力値に圧力変化がない例を示しており、動作確認対象の回収バルブ99が動作していないと判定することになる。
【0091】
そして、以上のような判定後、全てのヘッドブロックに接続する供給バルブ98と回収バルブ99について、チェックが完了した場合にはそのまま終了し、一方、チェックが完了していない場合にはステップS1に戻る(ステップS8)。
【0092】
以上が組み合わせチェックの内容である。
【0093】
以上の組み合わせチェックにおいては、同一のヘッドブロック40における供給バルブ98と回収バルブ99への動作指令が入れ替わっている場合についても、正常と判定されてしまう。
【0094】
そこで、さらに、以下のような供給バルブチェック、回収バルブチェックを行う。
【0095】
<供給バルブチェック>
図10は、供給バルブチェックのフロー図である。図11は供給バルブチェック時の圧力変動を示す図であり、図12は供給バルブチェックの判定内容を示す図である。
【0096】
図10に示すように、まず、全ての供給バルブ98と全ての回収バルブ99を閉弁させた状態で、供給流路102と回収流路104の内部をヘッドブロック40内の圧力値以上の所定の圧力値まで増加させる(ステップS11)。
【0097】
なお、一例として、ヘッドブロック40内が大気開放されている場合には、ヘッドブロック40内の圧力値は大気圧であると想定し、供給流路102と回収流路104の内部の圧力値を大気圧以上の所定の圧力値まで増加させることになる。
【0098】
次に、動作確認対象のヘッドブロック40に接続する1つの供給バルブ98を開弁させようと、開弁指令を与える(ステップS12)。
【0099】
次に、供給流路102の圧力値が減少したか否か、を判断する(ステップS13)。
【0100】
そして、ステップS13において図11(a)、図12に示すように供給流路102の圧力値が減少したと判断された場合には、開弁指令の対象であって動作確認対象の供給バルブ98の動作は正常であると判定する(ステップS14)。
【0101】
一方、ステップS13において供給流路102の圧力値が減少していないと判断された場合には、さらに、回収流路104の圧力値が減少したか否か、を判断する(ステップS15)。
【0102】
そして、ステップS15において図11(b)、図12に示すように回収流路104の圧力値が減少したと判断された場合には、制御エラーとして誤配線や制御ミスにより、開弁指令の対象外である回収バルブ99を誤って開弁しているとのエラー判定を行なう(ステップS16)。すなわち、供給バルブ98と回収バルブ99への開弁指令の対象が入れ替わってしまっていることを確認できる。
【0103】
一方、ステップS15において図11(c)、図12に示すように回収流路104の圧力値が減少していないと判断された場合には、バルブエラーとしてバルブ不良や誤配線などにより、動作確認対象の供給バルブ98が動作せずとのエラー判定を行なう(ステップS17)。
【0104】
そして、以上のような判定後、全てのヘッドブロック40に接続する供給バルブ98について、チェックが完了した場合にはそのまま終了し、一方、チェックが完了していない場合にはステップS11に戻る(ステップS18)。
【0105】
以上が供給バルブチェックの内容である。
【0106】
<回収バルブチェック>
図13は、回収バルブチェックのフロー図である。図14は回収バルブチェック時の圧力変動を示す図であり、図15は回収バルブチェックの判定内容を示す図である。
【0107】
図13に示すように、まず、全ての供給バルブ98と全ての回収バルブ99を閉弁させた状態で、供給流路102と回収流路104の内部をともにヘッドブロック40内の圧力値以上の所定の圧力値まで増加させる(ステップS21)。
【0108】
なお、一例として、ヘッドブロック40内が大気開放されている場合には、ヘッドブロック40内の圧力値は大気圧であると想定し、供給流路102と回収流路104の内部の圧力値を大気圧以上の所定の圧力値まで増加させることになる。
【0109】
次に、動作確認対象のヘッドブロック40に接続する1つの回収バルブ99を開弁させようと、開弁指令を与える(ステップS22)。
【0110】
次に、回収流路104の圧力値が減少したか否か、を判断する(ステップS23)。
【0111】
そして、ステップS23において図14(a)、図15に示すように回収流路104の圧力値が減少したと判断された場合には、開弁指令の対象であり動作確認対象の回収バルブ99の動作は正常であると判定する(ステップS24)。
【0112】
一方、ステップS23において回収流路104の圧力値が減少していないと判断された場合には、さらに、供給流路102の圧力値が減少したか否か、を判断する(ステップS25)。
【0113】
そして、ステップS25において図14(b)、図15に示すように供給流路102の圧力値が減少したと判断された場合には、制御エラーとして誤配線や制御ミスにより、開弁指令の対象外である供給バルブ98を誤って開弁しているとのエラー判定を行なう(ステップS26)。すなわち、供給バルブ98と回収バルブ99への開弁指令の対象が入れ替わってしまっていることを確認できる。
【0114】
一方、ステップS25において図14(c)、図15に示すように供給流路102の圧力値が減少していないと判断された場合には、バルブエラーとしてバルブ不良や誤配線などにより、動作確認対象の回収バルブ99が動作せずとのエラー判定を行なう(ステップS27)。
【0115】
そして、以上のような判定後、全てのヘッドブロックに接続する回収バルブ99について、チェックが完了した場合にはそのまま終了し、一方、チェックが完了していない場合にはステップS21に戻る(ステップS28)。
【0116】
以上が回収バルブチェックの内容である。
【0117】
<バルブ動作確認タイミング>
以上のようなバルブの動作確認は、液体供給装置(インク供給部18)の流路の組み立て時に行う。動作確認の結果、異常が発見された場合、確認者に装置に異常があることを知らせる。異常を知らせる異常報知手段としては、パトライトを点灯することや、装置操作用のモニターにエラーを表示すること、が考えられる。
【0118】
また、確認者は異常の内容や異常のある箇所を、動作確認内容の記録(ログ)を参照したり、異常の詳細を装置操作用のモニターに表示したりするなどの手段で、知ることができる。異常がある場合は、これらの異常報知手段より、得られた情報をもとに、部品交換、再組み立てなどをすることにより、速やかに異常を解消することができる。
【0119】
なお、上記では、組み合わせチェックの後、供給バルブチェックと回収バルブチェックの両バルブのチェックを行なったが、供給バルブチェックと回収バルブチェックのいずれか一方のみ行なってもよい。
【0120】
<定期検査時のバルブチェック>
また、インク供給部18の定期検査時にもバルブの動作確認は行われる。ただし、液体供給装置の組み立て時に、一度、バルブの動作確認がなされているため、ここで行われるバルブの動作確認はバルブ自体が経時により壊れていないかを調べるものである。そのため、検査は以下のようになる。
【0121】
図16は、定期検査時のバルブチェックのフロー図である。
【0122】
図16に示すように、全ての供給バルブ98と全ての回収バルブ99を閉弁させた状態で、供給流路102と回収流路104の内部をともにヘッドブロック40内の圧力値以上の所定の圧力値まで増加させる(ステップS31)。
【0123】
なお、一例として、ヘッドブロック40内が大気開放されている場合には、ヘッドブロック40内の圧力値は大気圧であると想定し、供給流路102と回収流路104の内部の圧力値を大気圧以上の所定の圧力値まで増加させることになる。
【0124】
次に、動作確認対象とするヘッドブロック40における1つの供給バルブ98を開弁させようと、開弁指令を与える(ステップS32)。
【0125】
次に、供給流路102の圧力値が減少したか否か、を判断する(ステップS33)。
【0126】
そして、ステップS33において供給流路102の圧力値が減少したと判断された場合には動作確認対象の供給バルブ98の動作は正常と判定する(ステップS34)。
【0127】
一方、ステップS33において供給流路102の圧力値が減少していないと判断された場合には、バルブエラーとしてバルブ故障やハーネス断線などにより、動作確認対象の供給バルブ98が動作していないとのエラー判定を行なう(ステップS35)。
【0128】
そして、以上のような判定後、全てのヘッドブロックに接続する供給バルブ98について、チェックが完了した場合にはそのまま終了し、一方、チェックが完了していない場合にはステップS31に戻る(ステップS36)。
【0129】
以上にように供給バルブ98の動作確認を行うが、回収バルブ99についても同様に動作確認を行なう。
【0130】
なお、定期検査時のバルブチェックにおいても、異常が発見された場合には、流路の組み立て時と同様の異常報知手段で、確認者にエラーを知らせる。
【0131】
以上、本発明の液体供給装置のバルブ動作確認方法および液体供給装置、インクジェット記録装置について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
【0132】
例えば、組み合わせチェックと供給バルブチェックと回収バルブチェックを行う順序を、図6に示すような順序以外で行うことも考えられる。
【符号の説明】
【0133】
1…インクジェット記録装置、14…描画部、30…ヘッド、40…ヘッドブロック、
90…供給圧力センサ、92…回収圧力センサ、98…供給バルブ、99…回収バルブ、100…バルブ動作確認部、101…インクタンク、102…供給流路、104…回収流路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の液体吐出手段に個別に接続された供給個別流路および回収個別流路と、前記供給個別流路に備わる供給バルブと、前記回収個別流路に備わる回収バルブと、前記複数の液体吐出手段に対して前記供給個別流路を介して液体を供給する供給流路と、前記複数の液体吐出手段から前記回収個別流路を介して液体を回収する回収流路と、前記供給流路の圧力を検出する供給圧力検出手段と、前記回収流路の圧力を検出する回収圧力検出手段と、前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力を制御する圧力制御手段と、を有する液体供給装置のバルブ動作確認方法であって、
前記複数の液体吐出手段のうちの1つの液体吐出手段に接続される前記供給バルブと前記回収バルブの少なくとも一方のバルブに対して開弁するように開弁指令を与え、前記供給圧力検出手段により検出された前記供給流路の圧力の検出結果をもとに得られた前記供給流路の圧力変化の結果と前記回収圧力検出手段により検出された前記回収流路の圧力の検出結果をもとに得られた前記回収流路の圧力変化の結果とに基づき前記開弁指令の対象である前記バルブが正常に動作をするか否かを判定することにより前記バルブの動作確認を行うこと、
を特徴とする液体供給装置のバルブ動作確認方法。
【請求項2】
全ての前記供給バルブと全ての前記回収バルブを閉弁して、前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力を前記複数の液体吐出手段の内部の圧力よりも高くしつつ前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力との間に所定の圧力差を設け、前記複数の液体吐出手段のうちの1つの液体吐出手段に接続する前記供給バルブと前記回収バルブとに対し同時に開弁するように開弁指令を与え、前記開弁指令を与えたときの前記供給流路と前記回収流路との圧力変化に基づき前記開弁指令の対象である前記供給バルブと前記回収バルブとが正常に動作をするか否かを判定する組み合わせチェックを行うこと、
を特徴とする請求項1の液体供給装置のバルブ動作確認方法。
【請求項3】
前記組み合わせチェックは、前記開弁指令を与えたときに前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力とが近づいたときは、前記開弁指令の対象である前記供給バルブと前記回収バルブとは正常に動作しているとの正常判定を行うこと、
を特徴とする請求項2の液体供給装置のバルブ動作確認方法。
【請求項4】
前記組み合わせチェックは、前記開弁指令を与えたときに前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力がともに減少するときは、前記開弁指令の対象である前記供給バルブと前記回収バルブとが接続する前記液体吐出手段とは異なる前記液体吐出手段に接続する前記供給バルブと前記回収バルブのいずれか一方のバルブが誤って開弁動作を行っているとのエラー判定を行うこと、
を特徴とする請求項2または3の液体供給装置のバルブ動作確認方法。
【請求項5】
前記組み合わせチェックは、前記開弁指令を与えたときに前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力との少なくとも一方に圧力変化が生じないときは、圧力変化の生じない流路に接続するバルブ自体に不具合があるとのエラー判定を行うこと
を特徴とする請求項2乃至4のいずれか1つの液体供給装置のバルブ動作確認方法。
【請求項6】
全ての前記供給バルブと全ての前記回収バルブを閉弁して、前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力とを前記複数の液体吐出手段の内部の圧力より大きくし、1つの前記供給バルブに対し開弁するように開弁指令を与えたときに、前記開弁指令を与えたときの前記供給流路と前記回収流路の圧力変化に基づき前記開弁指令の対象である前記供給バルブが正常に動作をするか否かを判定する供給チェックを行うこと、
を特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つの液体供給装置のバルブ動作確認方法。
【請求項7】
前記供給チェックは、前記開弁指令を与えたときに前記供給流路の圧力が減少するときは前記開弁指令の対象である前記供給バルブが正常に動作していると正常判定を行い、前記回収流路の圧力が減少するときは前記開弁指令の対象外である前記回収バルブが誤って動作しているとのエラー判定を行うこと、
を特徴とする請求項6の液体供給装置のバルブ動作確認方法。
【請求項8】
全ての前記供給バルブと全ての前記回収バルブを閉弁して、前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力とを前記複数の液体吐出手段の内部の圧力より大きくし、1つの前記回収バルブに対し開弁するように開弁指令を与えたときに、前記開弁指令を与えたときの前記供給流路と前記回収流路の圧力変化に基づき前記開弁指令の対象である前記回収バルブが正常に動作をするか否かを判定する回収チェックを行うこと、
を特徴とする請求項1乃至7のいずれか1つの液体供給装置のバルブ動作確認方法。
【請求項9】
前記回収チェックは、前記開弁指令を与えたときに前記回収流路の圧力が減少するときは前記開弁指令の対象である前記回収バルブが正常に動作していると正常判定を行い、前記供給流路の圧力が減少するときは前記開弁指令の対象外である前記供給バルブが誤って動作しているとのエラー判定を行うこと、
を特徴とする請求項8の液体供給装置のバルブ動作確認方法。
【請求項10】
前記組み合わせチェックを行った後に、
全ての前記供給バルブと全ての前記回収バルブを閉弁して、前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力とを前記複数の液体吐出手段の内部の圧力より大きくし、1つの前記供給バルブに対し開弁するように開弁指令を与えたときに、前記開弁指令を与えたときの前記供給流路と前記回収流路の圧力変化に基づき前記開弁指令の対象である前記供給バルブが正常に動作をするか否かを判定する供給チェック、および、全ての前記供給バルブと全ての前記回収バルブを閉弁して、前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力とを前記複数の液体吐出手段の内部の圧力より大きくし、1つの前記回収バルブに対し開弁するように開弁指令を与えたときに、前記開弁指令を与えたときの前記供給流路と前記回収流路の圧力変化に基づき前記開弁指令の対象である前記回収バルブが正常に動作をするか否かを判定する回収チェックの少なくとも一方を行なうこと、
を特徴とする請求項2の液体供給装置のバルブ動作確認方法。
【請求項11】
前記バルブの動作確認の判定結果を報知すること、
を特徴とする請求項1乃至10のいずれか1つの液体供給装置のバルブ動作確認方法。
【請求項12】
複数の液体吐出手段に個別に接続された供給個別流路および回収個別流路と、
前記供給個別流路に備わる供給バルブと、
前記回収個別流路に備わる回収バルブと、
前記複数の液体吐出手段に対して前記供給個別流路を介して液体を供給する供給流路と、
前記複数の液体吐出手段から前記回収個別流路を介して液体を回収する回収流路と、
前記供給流路の圧力を検出する供給圧力検出手段と、
前記回収流路の圧力を検出する回収圧力検出手段と、
前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力を制御する圧力制御手段と、
前記複数の液体吐出手段のうちの1つの液体吐出手段に接続される前記供給バルブと前記回収バルブの少なくとも一方のバルブに対して開弁するように開弁指令を与え、前記供給圧力検出手段により検出された前記供給流路の圧力の検出結果と前記回収圧力検出手段により検出された前記回収流路の圧力の検出結果をもとに得られた前記供給流路と前記回収流路の圧力変化の結果に基づき前記開弁指令の対象である前記バルブが正常に動作をするか否かを判定することにより前記バルブの動作確認を行うバルブ動作確認手段と、
を有することを特徴とする液体供給装置。
【請求項13】
記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される前記記録媒体にインクを吐出する複数のヘッドブロックを備えるインク吐出ヘッドと、
前記複数のヘッドブロックに個別に接続された供給個別流路および回収個別流路と、前記供給個別流路に備わる供給バルブと、前記回収個別流路に備わる回収バルブと、前記複数のヘッドブロックに対して前記供給個別流路を介してインクを供給する供給流路と、前記複数のヘッドブロックから前記回収個別流路を介してインクを回収する回収流路と、前記供給流路の圧力を検出する供給圧力検出手段と、前記回収流路の圧力を検出する回収圧力検出手段と、前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力を制御する圧力制御手段と、前記複数のヘッドブロックのうちの1つのヘッドブロックに接続される前記供給バルブと前記回収バルブの少なくとも一方のバルブに対して開弁するように開弁指令を与え、前記供給圧力検出手段により検出された前記供給流路の圧力の検出結果と前記回収圧力検出手段により検出された前記回収流路の圧力の検出結果をもとに得られた前記供給流路と前記回収流路の圧力変化の結果に基づき前記開弁指令の対象である前記バルブが正常に動作をするか否かを判定することにより前記バルブの動作確認を行うバルブ動作確認手段と、を備えるインク供給部と、
を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項1】
複数の液体吐出手段に個別に接続された供給個別流路および回収個別流路と、前記供給個別流路に備わる供給バルブと、前記回収個別流路に備わる回収バルブと、前記複数の液体吐出手段に対して前記供給個別流路を介して液体を供給する供給流路と、前記複数の液体吐出手段から前記回収個別流路を介して液体を回収する回収流路と、前記供給流路の圧力を検出する供給圧力検出手段と、前記回収流路の圧力を検出する回収圧力検出手段と、前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力を制御する圧力制御手段と、を有する液体供給装置のバルブ動作確認方法であって、
前記複数の液体吐出手段のうちの1つの液体吐出手段に接続される前記供給バルブと前記回収バルブの少なくとも一方のバルブに対して開弁するように開弁指令を与え、前記供給圧力検出手段により検出された前記供給流路の圧力の検出結果をもとに得られた前記供給流路の圧力変化の結果と前記回収圧力検出手段により検出された前記回収流路の圧力の検出結果をもとに得られた前記回収流路の圧力変化の結果とに基づき前記開弁指令の対象である前記バルブが正常に動作をするか否かを判定することにより前記バルブの動作確認を行うこと、
を特徴とする液体供給装置のバルブ動作確認方法。
【請求項2】
全ての前記供給バルブと全ての前記回収バルブを閉弁して、前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力を前記複数の液体吐出手段の内部の圧力よりも高くしつつ前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力との間に所定の圧力差を設け、前記複数の液体吐出手段のうちの1つの液体吐出手段に接続する前記供給バルブと前記回収バルブとに対し同時に開弁するように開弁指令を与え、前記開弁指令を与えたときの前記供給流路と前記回収流路との圧力変化に基づき前記開弁指令の対象である前記供給バルブと前記回収バルブとが正常に動作をするか否かを判定する組み合わせチェックを行うこと、
を特徴とする請求項1の液体供給装置のバルブ動作確認方法。
【請求項3】
前記組み合わせチェックは、前記開弁指令を与えたときに前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力とが近づいたときは、前記開弁指令の対象である前記供給バルブと前記回収バルブとは正常に動作しているとの正常判定を行うこと、
を特徴とする請求項2の液体供給装置のバルブ動作確認方法。
【請求項4】
前記組み合わせチェックは、前記開弁指令を与えたときに前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力がともに減少するときは、前記開弁指令の対象である前記供給バルブと前記回収バルブとが接続する前記液体吐出手段とは異なる前記液体吐出手段に接続する前記供給バルブと前記回収バルブのいずれか一方のバルブが誤って開弁動作を行っているとのエラー判定を行うこと、
を特徴とする請求項2または3の液体供給装置のバルブ動作確認方法。
【請求項5】
前記組み合わせチェックは、前記開弁指令を与えたときに前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力との少なくとも一方に圧力変化が生じないときは、圧力変化の生じない流路に接続するバルブ自体に不具合があるとのエラー判定を行うこと
を特徴とする請求項2乃至4のいずれか1つの液体供給装置のバルブ動作確認方法。
【請求項6】
全ての前記供給バルブと全ての前記回収バルブを閉弁して、前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力とを前記複数の液体吐出手段の内部の圧力より大きくし、1つの前記供給バルブに対し開弁するように開弁指令を与えたときに、前記開弁指令を与えたときの前記供給流路と前記回収流路の圧力変化に基づき前記開弁指令の対象である前記供給バルブが正常に動作をするか否かを判定する供給チェックを行うこと、
を特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つの液体供給装置のバルブ動作確認方法。
【請求項7】
前記供給チェックは、前記開弁指令を与えたときに前記供給流路の圧力が減少するときは前記開弁指令の対象である前記供給バルブが正常に動作していると正常判定を行い、前記回収流路の圧力が減少するときは前記開弁指令の対象外である前記回収バルブが誤って動作しているとのエラー判定を行うこと、
を特徴とする請求項6の液体供給装置のバルブ動作確認方法。
【請求項8】
全ての前記供給バルブと全ての前記回収バルブを閉弁して、前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力とを前記複数の液体吐出手段の内部の圧力より大きくし、1つの前記回収バルブに対し開弁するように開弁指令を与えたときに、前記開弁指令を与えたときの前記供給流路と前記回収流路の圧力変化に基づき前記開弁指令の対象である前記回収バルブが正常に動作をするか否かを判定する回収チェックを行うこと、
を特徴とする請求項1乃至7のいずれか1つの液体供給装置のバルブ動作確認方法。
【請求項9】
前記回収チェックは、前記開弁指令を与えたときに前記回収流路の圧力が減少するときは前記開弁指令の対象である前記回収バルブが正常に動作していると正常判定を行い、前記供給流路の圧力が減少するときは前記開弁指令の対象外である前記供給バルブが誤って動作しているとのエラー判定を行うこと、
を特徴とする請求項8の液体供給装置のバルブ動作確認方法。
【請求項10】
前記組み合わせチェックを行った後に、
全ての前記供給バルブと全ての前記回収バルブを閉弁して、前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力とを前記複数の液体吐出手段の内部の圧力より大きくし、1つの前記供給バルブに対し開弁するように開弁指令を与えたときに、前記開弁指令を与えたときの前記供給流路と前記回収流路の圧力変化に基づき前記開弁指令の対象である前記供給バルブが正常に動作をするか否かを判定する供給チェック、および、全ての前記供給バルブと全ての前記回収バルブを閉弁して、前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力とを前記複数の液体吐出手段の内部の圧力より大きくし、1つの前記回収バルブに対し開弁するように開弁指令を与えたときに、前記開弁指令を与えたときの前記供給流路と前記回収流路の圧力変化に基づき前記開弁指令の対象である前記回収バルブが正常に動作をするか否かを判定する回収チェックの少なくとも一方を行なうこと、
を特徴とする請求項2の液体供給装置のバルブ動作確認方法。
【請求項11】
前記バルブの動作確認の判定結果を報知すること、
を特徴とする請求項1乃至10のいずれか1つの液体供給装置のバルブ動作確認方法。
【請求項12】
複数の液体吐出手段に個別に接続された供給個別流路および回収個別流路と、
前記供給個別流路に備わる供給バルブと、
前記回収個別流路に備わる回収バルブと、
前記複数の液体吐出手段に対して前記供給個別流路を介して液体を供給する供給流路と、
前記複数の液体吐出手段から前記回収個別流路を介して液体を回収する回収流路と、
前記供給流路の圧力を検出する供給圧力検出手段と、
前記回収流路の圧力を検出する回収圧力検出手段と、
前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力を制御する圧力制御手段と、
前記複数の液体吐出手段のうちの1つの液体吐出手段に接続される前記供給バルブと前記回収バルブの少なくとも一方のバルブに対して開弁するように開弁指令を与え、前記供給圧力検出手段により検出された前記供給流路の圧力の検出結果と前記回収圧力検出手段により検出された前記回収流路の圧力の検出結果をもとに得られた前記供給流路と前記回収流路の圧力変化の結果に基づき前記開弁指令の対象である前記バルブが正常に動作をするか否かを判定することにより前記バルブの動作確認を行うバルブ動作確認手段と、
を有することを特徴とする液体供給装置。
【請求項13】
記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される前記記録媒体にインクを吐出する複数のヘッドブロックを備えるインク吐出ヘッドと、
前記複数のヘッドブロックに個別に接続された供給個別流路および回収個別流路と、前記供給個別流路に備わる供給バルブと、前記回収個別流路に備わる回収バルブと、前記複数のヘッドブロックに対して前記供給個別流路を介してインクを供給する供給流路と、前記複数のヘッドブロックから前記回収個別流路を介してインクを回収する回収流路と、前記供給流路の圧力を検出する供給圧力検出手段と、前記回収流路の圧力を検出する回収圧力検出手段と、前記供給流路の圧力と前記回収流路の圧力を制御する圧力制御手段と、前記複数のヘッドブロックのうちの1つのヘッドブロックに接続される前記供給バルブと前記回収バルブの少なくとも一方のバルブに対して開弁するように開弁指令を与え、前記供給圧力検出手段により検出された前記供給流路の圧力の検出結果と前記回収圧力検出手段により検出された前記回収流路の圧力の検出結果をもとに得られた前記供給流路と前記回収流路の圧力変化の結果に基づき前記開弁指令の対象である前記バルブが正常に動作をするか否かを判定することにより前記バルブの動作確認を行うバルブ動作確認手段と、を備えるインク供給部と、
を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−68033(P2011−68033A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−221166(P2009−221166)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パトライト
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パトライト
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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