説明

液体収容容器及び液体噴射装置

【課題】液体収容容器において、撹拌部材の鉛直方向下向きへの傾きを抑制する技術を提供することを目的とする。
【解決手段】液体収容容器は、液体収容部と、撹拌部材と、第1と第2の突起部とを備える。液体収容部は、底面部と、第1の側面部と、第1の側面部と対向する第2の側面部と、を有する。撹拌部材は、第1の突起部と嵌め合う第1の固定部と、第2の突起部と嵌め合う第2の固定部と、回転部と、を有する。液体収容体が液体噴射装置に装着された状態において、第1の突起部と第2の突起部とは、第1の側面部と第2の側面部が対向する方向についてずれた位置に設けられ、撹拌部材の外周面のうち液体収容部の底面部に最も近い側に配置された部材底面が底面部と平行となるように、第1と第2の突起部は撹拌部材を支持している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体収容容器及び該液体収容容器を備えた液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット式記録装置やインクジェット捺染装置、マイクロディスペンサ等の液体噴射装置は、液体を収容する液体収容容器からインク等の液体の供給を受けてその噴射を行う。液体収容容器に収容される液体として顔料インクが用いられる場合がある。顔料インクは、分散媒に顔料粒子を液体中に分散させて製造されている。このため、長時間放置すると、顔料粒子が沈降し、顔料インクの濃度分布にばらつきが発生する場合がある。
【0003】
顔料インクの濃度分布のばらつきを低減させるために、顔料インクを収容する貯留室(「液体収容部」ともいう。)に、撹拌部材と、撹拌部材を支持するための支持部材を設け、撹拌部材によりインクを撹拌する技術が知られている(例えば、特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−44153号公報
【特許文献2】特開2007−230189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、液体収容容器を液体噴射装置に装着した状態(以下、「装着状態」ともいう。)において、撹拌部材を鉛直方向と平行又は略平行な回転軸を基準に回転させようとした場合(すなわち、撹拌部材が横向きになるように液体収容部内に設けた場合)、撹拌部材の自由端(「回転部」ともいう。)が重力により鉛直方向下向きに傾く場合がある。すなわち、装着状態において、撹拌部材の底面が液体収容部の底面と平行にならずに、所定角度傾いて撹拌部材が配置される場合がある。
【0006】
撹拌部材は、液体の撹拌効率を向上させるために液体収容部の底部近傍に配置される場合がある。この場合、撹拌部材が鉛直方向下向きに傾いてしまうと、撹拌部材が液体収容部を形成する液体収容容器本体と接触して自由端の移動(回転動作)を阻害し、顔料インクの撹拌効率を低下させる場合がある。また、液体収容容器本体と撹拌部材との接触を防止するために、撹拌部材の傾きを考慮して液体収容部内に撹拌部材を配置させる必要があり、液体収容容器を設計する際の制約となる場合がある。
【0007】
従って、本発明は、撹拌部材の鉛直方向下向きへの傾きを抑制する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することができる。
【0009】
[適用例1]液体噴射装置に液体を供給するための液体収容容器であって、液体を収容するための液体収容部であって、当該液体収容容器が前記液体噴射装置に装着された状態において、底面部と、前記底面部から上向きに延びる第1の側面部と、前記底面部から上向きに延びると共に前記第1の側面部と対向する第2の側面部と、を有する液体収容部と、前記液体収容部に設けられ、前記液体収容部の液体を撹拌するための平板状の撹拌部材と、前記液体収容部に設けられ、前記撹拌部材を支持するための第1の突起部と、前記撹拌部材を支持するための第2の突起部であって、前記液体収容部内において前記第1の突起部よりも前記底面部に近い側に設けられた第2の突起部と、を備え、前記撹拌部材は、前記第1の突起部と嵌め合う第1の固定部と、前記第2の突起部と嵌め合う第2の固定部と、前記第1と第2の固定部から前記第1の側面部及び前記第2の側面部のいずれか一方に向かって延びる回転部であって、前記第1と第2の突起部及び前記第1と第2の固定部により規定される軸を中心に回転可能な回転部と、を有し、
当該液体収容体が前記液体噴射装置に装着された状態において、前記第1の突起部と前記第2の突起部とは、前記第1の側面部と前記第2の側面部が対向する方向についてずれた位置に設けられ、前記撹拌部材の外周面のうち前記液体収容部の前記底面部に最も近い側に配置された部材底面が前記底面部と平行となるように、前記第1と第2の突起部は前記撹拌部材を支持している、液体収容容器。
【0010】
適用例1に記載の液体収容容器によれば、第1と第2の側面部が対向する方向について第1と第2の突起部をずらして液体収容部に設けるという単純な構成により、撹拌部材の鉛直方向下向きへの傾きを抑制することができる。
【0011】
[適用例2]液体噴射装置に液体を供給するための液体収容容器であって、液体を収容するための液体収容部であって、当該液体収容容器が前記液体噴射装置に装着された状態において、底面部と、前記底面部から上向きに延びる第1の側面部と、前記底面部から上向きに延びると共に前記第1の側面部と対向する第2の側面部と、を有する液体収容部と、前記液体収容部に設けられ、前記液体収容部の液体を撹拌するための平板状の撹拌部材と、前記液体収容部に設けられ、前記撹拌部材を支持するための第1の突起部と、前記撹拌部材を支持するための第2の突起部であって、前記液体収容部内において前記第1の突起部よりも前記底面部に近い側にある第2の突起部と、を備え、前記撹拌部材は、前記第1の突起部と嵌め合う面対称である第1の固定部であって、前記撹拌部材の外周面のうち前記液体収容部の前記底面部に最も近い側に配置された部材底面と直交する第1の対称面について対称な形状を有する第1の固定部と、前記第2の突起部と嵌め合う面対称である第2の固定部であって、前記第1の固定部と同一の前記第1の対称面について対称な形状を有する第2の固定部と、前記第1と第2の固定部から前記第1の側面部及び前記第2の側面部のいずれか一方に向かって延びる回転部であって、前記第1と第2の突起部及び前記第1と第2の固定部により規定される軸を中心に回転可能な回転部と、を有し、
前記第1の突起部は第2の突起部よりも、前記回転部が延びる側面部から離れた位置に設けられている、液体収容容器。
【0012】
適用例2に記載の液体収容容器によれば、第1と第2の側面部が対向する方向について第1と第2の突起部をずらして液体収容部に設けるという単純な構成により、撹拌部材の鉛直方向下向きへの傾きを抑制することができる。
【0013】
[適用例3]液体噴射装置に液体を供給するための液体収容容器であって、液体を収容するための液体収容部であって、当該液体収容容器が前記液体噴射装置に装着された状態において、底面部と、前記底面部から上向きに延びる第1の側面部と、前記底面部から上向きに延びると共に前記第1の側面部と対向する第2の側面部と、を有する液体収容部と、前記液体収容部に設けられ、前記液体収容部の液体を撹拌するための平板状の撹拌部材と、前記液体収容部に設けられ、前記撹拌部材を支持するための第1の突起部と、前記撹拌部材を支持するための第2の突起部であって、前記液体収容部内において前記第1の突起部よりも前記底面部に近い側にある第2の突起部と、を備え、前記撹拌部材は、前記第1の突起部と嵌め合う第1の固定部と、前記第2の突起部と嵌め合う第2の固定部であって、前記撹拌部材の外周面のうち前記液体収容部の前記底面部に最も近い側に配置された部材底面に垂直投影した場合に前記第1の固定部と少なくとも一部が重なる位置にある第2の固定部と、前記第1と第2の固定部から前記第1の側面部及び前記第2の側面部のいずれか一方に向かって延びる回転部であって、前記第1と第2の突起部及び前記第1と第2の固定部により規定される軸を中心に回転可能な回転部と、を有し、
前記第1の突起部は第2の突起部よりも、前記回転部が延びる側面部から離れた位置に設けられている、液体収容容器。
【0014】
適用例3に記載の液体収容容器によれば、第1と第2の側面部が対向する方向について第1と第2の突起部をずらして液体収容部に設けるという単純な構成により、撹拌部材の鉛直方向下向きへの傾きを抑制することができる。
【0015】
[適用例4]適用例2又は適用例3に記載の液体収容容器であって、当該液体収容体が前記液体噴射装置に装着された状態において、前記部材底面が前記底面部と平行となるように、前記第1と第2の突起部は前記撹拌部材を支持している、液体収容容器。
適用例4に記載の液体収容容器によれば、撹拌部材の底面部が液体収容部の底面に平行となるため、撹拌部材の鉛直方向下向きへの傾きを考慮することなく、液体収容容器を設計することができる。
【0016】
[適用例5]適用例1に記載の液体収容容器であって、当該液体収容容器が前記液体噴射装置に装着された状態において、前記軸は、鉛直方向と平行である、液体収容容器。
適用例5に記載の液体収容容器によれば、回転軸が鉛直方向と平行であるため、回転軸が鉛直方向から傾いている場合に比べ、液体収容部の液体を効率良く撹拌することができる。
【0017】
[適用例6]適用例5に記載の液体収容容器であって、前記第1の突起部は前記第2の突起部よりも、前記回転部が延びる側面部に近い側に設けられており、前記第1の固定部は前記第2の固定部よりも、前記回転部が延びる側面部に近い側に設けられている、液体収容容器。
適用例6に記載の液体収容容器によれば、第1と第2の側面部が対向する方向について第1と第2の突起部の位置、及び、第1と第2の固定部の位置をずらして設けるという単純な構成で、撹拌部材の鉛直方向下向きへの傾きを抑制できると共に、回転軸を鉛直方向と平行にすることができる。
【0018】
[適用例7]適用例1乃至適用例6のいずれか1つに記載の液体収容容器であって、前記第1と第2の固定部は、前記撹拌部材の一部に形成された貫通孔、又は、前記撹拌部材の外周の一部に形成された切り欠きである、液体収容容器。
適用例7に記載の液体収容容器によれば、固定部を容易に形成することができる。
【0019】
[適用例8]適用例1乃至適用例7のいずれか1つに記載の液体収容容器であって、前記撹拌部材は、当該液体収容容器が前記液体噴射装置に装着され往復運動することで生じる慣性力を動力として前記液体収容部の液体を撹拌する、液体収容容器。
適用例8に記載の液体収容容器によれば、撹拌部材を動かす動力源を別途設けることなく液体収容部の撹拌を行うことができる。
【0020】
[適用例9]適用例1乃至適用例8のいずれか1つに記載の液体収容容器であって、前記第1と第2の固定部はそれぞれ前記第1と第2の突起部に沿って移動可能であり、前記第1と第2の突起部の一端側には、前記撹拌部材が前記第1と第2の突起部からはずれないようにする抜け止め部が設けられている、液体収容容器。
適用例9に記載の液体収容容器によれば、撹拌部材が突起部からはずれることを抑制し、撹拌部材による撹拌を継続的に行うことができる。
【0021】
[適用例10]適用例1乃至適用例9のいずれか1つに記載の液体収容容器を装着した液体噴射装置。
適用例10に記載の液体噴射装置によれば、濃度分布のばらつきを低減した液体を噴射することができる。
【0022】
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、上述した液体収容容器又は液体収容容器を備えた液体噴射装置の他に、液体収容容器の液体の撹拌方法等の態様で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】インクジェットプリンター1を示す図である。
【図2】インクカートリッジ10を説明するための図である。
【図3】撹拌部材40を説明するための図である。
【図4】撹拌部材40と支持部材50について説明するための図である。
【図5】第2実施例のインクカートリッジ10aについて説明するための図である。
【図6】第3実施例のインクカートリッジ10bを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施の形態を以下の順序で説明する。
A.第1実施例:
B.第2実施例:
C.第3実施例
D.変形例:
【0025】
A.第1実施例:
図1は、本発明の第1実施例のインクカートリッジ10を装着したインクジェットプリンター1を示す図である。なお、図1には、方向を特定するためにXYZ軸を付している。これ以降説明する図についても同様にXYZ軸を付している。液体噴射装置であるインクジェットプリンター1(単に、「プリンター1」ともいう。)は主走査方向(紙巾方向、X軸方向)に往復移動するキャリッジ12を備える。キャリッジ12の移動は、ステッピングモータ16の駆動によりタイミングベルト15を介して行われる。キャリッジ12の下面には、記録ヘッド14が備えつけられており、記録ヘッド14のノズルを介してインクが噴射され印刷用紙PP上に印刷が行われる。また、キャリッジ12上には、複数の液体収容容器であるインクカートリッジ10を搭載可能なカートリッジ収納部が設けられている。なお、各インクカートリッジ10は、インク残量を検出するための液体検出装置(図示せず)を有する。液体検出装置は、プリンター1と電気的に接続され、検出信号の送受信が可能となっている。
【0026】
図2は、インクカートリッジ10を説明するための図である。図2(a)は、インクカートリッジ10の容器本体の斜視図である。図2(b)は、容器本体であって、撹拌部材を取り除いた容器本体を表す図である。図2(c)は、容器本体に設けられた支持部材の外観斜視図である。
【0027】
図2(a)に示すように、インクカートリッジ10は、一側面(X軸負方向側の面)に開口部35を有する容器本体20と、該開口部35を塞ぐフィルム(図示せず)と、該フィルムを覆う蓋部材(図示せず)と、を備える。容器本体20と、蓋部材は、ポリプロピレン等の合成樹脂によりそれぞれ一体成型される。インクカートリッジ10がプリンター1に装着された状態であってプリンター1の通常使用状態(以下、「装着状態」とも呼ぶ。)では、Z軸方向が鉛直方向となり、Z軸負方向が鉛直下方向となる。また、装着状態では、キャリッジ12(図1)の往復移動によって、インクカートリッジ10はX軸方向に往復移動される。なお、「プリンター1の通常使用状態」とは、プリンター1が鉛直方向に垂直な平らな面に設置された状態で使用されている状態をいう。
【0028】
容器本体20は、インクを収容するための液体収容部38と、液体収容部38のインクをプリンター1(図1)に流通させるための液体供給部21とを有する。
【0029】
液体収容部38は、容器本体20により一側面以外の周囲が囲まれた直方体形状の空間である。詳細には、液体収容部38は、底面部31と、底面部31に垂直な第1の側面部32と、底面部31に垂直であって第1の側面部32に対向する第2の側面部34と、底面部31と対向する上面部33と、開口部35と対向する面であって底面部31と垂直な第3の側面部36により囲まれた直方体形状の空間である。
【0030】
上面部33には、液体収容部38と外部の大気とを連通させるための大気開放口24が形成されている。また、底面部31には、液体供給部21に形成された液体供給流路21aと液体収容部38とを連通させるための連通孔22が形成されている。
【0031】
インクカートリッジ10の製造直後においては、液体収容部38には、顔料粒子を分散媒中に分散させた顔料インクが収容されている。液体供給部21には液体供給流路21aが形成されており、液体供給流路21aを介してプリンター1(図1)に顔料インクが供給される。顔料インクがプリンター1に供給され、プリンター1よって顔料インクが消費されるにつれ液体収容部38には大気開放口24より空気が導入される。
【0032】
液体収容部38内には、顔料インクを撹拌するための撹拌部材40と、撹拌部材40を支持するための支持部材50と、が設けられている。撹拌部材40は、顔料インクの比重よりも大きい比重を有する。例えば、撹拌部材は金属又は合成樹脂を用いて形成することができる。本実施例では、撹拌部材40はステンレス鋼を用いて形成されている。
【0033】
撹拌部材40は一定の厚みを有する平板状であり、外形形状は液体収容部38の形状と相似している。本実施例では、撹拌部材40の外形形状は長方形である。撹拌部材40は、部材底面401と、部材底面401と垂直な第1の側面402と、部材底面401と垂直な第2の側面404であって、第1の側面402と対向する第2の側面404と、部材底面401と対向する部材上面403とを有する。部材底面401は、液体収容部38の底面部31に最も近い側に配置されており、かつ、液体収容部38の底面部31に沿って配置されている。詳細には、底面部31の顔料インクを撹拌させるために、部材底面401は所定の隙間を介して底面部31に沿って配置されている。部材上面403には第1の固定部41が形成されている。また部材底面401には第2の固定部42が形成されている。第1と第2の固定部41,42は、撹拌部材40の一部を切り欠くことで形成されている。第1と第2の固定部41,42は、支持部材50に所定の隙間を設けて嵌められている。撹拌部材40はさらに、第1と第2の固定部41,42から第1の側面部32に向かって延びる回転部44を有する。回転部44は、キャリッジ12(図1)が往復運動することで生じる慣性力により支持部材50と第1と第2の固定部41,42とにより規定される軸を中心に回転する。なお、この詳細は後述する。
【0034】
図2(b)に示すように、液体供給部21には液体供給流路21aが形成されている。液体供給流路21a内には、図示しない弁機構が備えられている。インクカートリッジ10をキャリッジ12に装着すると、キャリッジ12に設けられた液体供給針(図示せず)が液体供給流路21a内に挿入されて前記弁機構を開弁させることで、液体供給部21の顔料インクが液体供給針に流通するようになっている。
【0035】
支持部材50は、液体収容部38の第3の側面部36に設けられている。詳細には、支持部材50は、第3の側面部36から第3の側面部36に対向する側(開口部35)に向かって延びている。支持部材50は、容器本体20の一部分であり、容器本体と一体成型されている。
【0036】
図2(c)に示すように、支持部材50は、土台部52と、第1の突起部53及び第2の突起部55と、第1の抜け止め部54及び第2の抜け止め部56と、を有する。土台部52は、第3の側面部36から開口部35に向かって所定の長さを有する。第1と第2の突起部53,55は円柱形状であり、第1と第2の側面部32,34とが対向する方向(Y軸方向)についてずれた位置関係にある(図2(b))。第1と第2の抜け止め部54,56は、第1と第2の突起部53,55の端部であって、土台部52が位置する側とは反対側の端部に設けられている。第1と第2の抜け止め部54,56は円形状であり、第1と第2の突起部53,55よりも直径が大きい。さらに、第1と第2の抜け止め部54,56の直径は、切り欠きである第1と第2の固定部41,42の最大幅(詳細には、Y軸方向についての幅)よりも大きい。第1と第2の抜け止め部54,56は、以下の手順で形成される。まず、第1と第2の固定部41,42をそれぞれ、第1と第2の突起部53,55に嵌め合わせる。次に、第1と第2の突起部53,55の先端部を熱加工で拡径する。これにより、第1と第2の抜け止め部54,56は形成される。第1と第2の抜け止め部54,56を形成することで、第1と第2の固定部41,42が第1と第2の突起部53,55から外れることを防止している。なお、第1と第2の抜け止め部54,56は上記の熱加工により形成されるほか、別途円形状の部材を用意し、第1と第2の突起部53,55に接着することで形成しても良い。
【0037】
図3は、撹拌部材40を説明するための図である。第1と第2の固定部41,42は、部材底面401と直交する面AX(以下、「対称面AX」とも呼ぶ。)においてそれぞれ面対称となるように撹拌部材40に形成されている。すなわち、第1と第2の固定部41,42は、対称面AXについて対称な形状を有している。また、第1と第2の固定部41、42は部材底面401に垂直投影した場合に両者は互いに重なる位置関係にある。言い換えれば、第2の側面404から同じ距離となるように第1と第2の固定部41,42は撹拌部材40に形成されている。
【0038】
図4は、撹拌部材40と支持部材50について説明するための図である。図4(a)は、第1と第2の固定部41,42と第1と第2の突起部53,55について説明するための図であり、容器本体20の一部分を示している。図4(b)は、撹拌部材40の回転状態を示す図であり、図4(c)のA−A断面を示している。図4(c)は、撹拌部材40による顔料インクの撹拌状態を示す図である。なお、図4(a)は説明の容易のために、第1と第2の抜け止め部54,56の図示は省略している。
【0039】
図4(a)に示すように、撹拌部材40の回転部44は第1の側面部32(図4(b))に向かって延びるように液体収容部38内に配置されている。第1の突起部53は第2の突起部55よりも第1の側面部32(図4(b))から離れた位置に設けられている。
すなわち、第2の突起部55よりも底面部31から離れた位置に設けられた第1の突起部53は、撹拌部材40の回転部44が延びる側の側面部から離れた位置に設けられている。換言すれば、第1実施例の場合、円柱状の第1の突起部53の重心53wは、円柱状の第2の突起部55の重心55wよりも撹拌部材40の回転部44が延びる第1の側面部32側に位置するように液体収容部38に設けられている。
【0040】
また、対称面AXが鉛直方向(Z軸方向)と平行関係となるように、第1と第2の突起部53,55は、撹拌部材40を支持している。すなわち、撹拌部材40の部材底面401は液体収容部38の底面部31と平行関係にある。また、第1の固定部41と第1の突起部53との接点pt1と、第2の固定部42と第2の突起部55との接点pt2とは、対称面AXを挟んだ位置関係にある。回転部44は、2つの接点pt1,pt2を結んで規定される回転軸ARを軸に回転する。第1実施例の回転軸ARは鉛直方向と略平行であり、鉛直方向から僅かに傾いている。
【0041】
このように、第1と第2の突起部53,55とを第1と第2の側面部32,34とが対向する方向(Y軸方向)についてずれた位置となるように、液体収容部38に配置することで、撹拌部材40の鉛直方向下向きについての傾きを抑制することができる。
【0042】
上述したように、キャリッジ12は主走査方向(紙巾方向、X軸方向)に往復移動する(図1)。すなわち、図4(b)に示すX軸方向に、インクカートリッジ10が加速及び減速される。これにより、撹拌部材40には慣性力が加わり、回転部44が回転軸ARを軸に矢印の向きに示すように回転運動(振り子運動)を行う。また、第1と第2の固定部41,42はそれぞれ、第1と第2の突起部53,55に沿って往復移動する。
【0043】
撹拌部材40の回転部44が回転運動すると、図4(c)の矢印の向きに示すように液体収容部38の顔料インクが撹拌され、液体収容部38の顔料インクの濃度分布のばらつきは低減される。すなわち、部材底面401近傍のより濃度が高い顔料インクは、回転部44により液体収容部38の上面部33側に巻き上げられると共に、巻き上げられた顔料インクは、第1の側面402と対向する第1の側面部32に向かって押し出される。押し出された顔料インクは、第1の側面部32に沿って上昇し、上面部33近傍に到達する。これにより、底面部31に沈降した顔料粒子を撹拌し、液体収容部38内の顔料インクの濃度分布のばらつきを低減させることができる。よって、濃度分布のばらつきを低減した顔料インクを用いて印刷用紙PP上に印刷を行うことができる。
【0044】
このように、第1実施例のインクカートリッジ10によれば、第1と第2の突起部53,55を第1と第2の側面部32,34が対向する方向についてずらして設けるという単純な構成により、撹拌部材40の部材底面401を液体収容部38の底面部31に沿って平行に配置させることができる。これにより、撹拌部材40が液体収容部38の底面部31に接触することを防止することができる。よって、撹拌部材40の回転部44により顔料インクを効率良く撹拌することができる。
【0045】
また、第1と第2の突起部53,55に嵌められる第1と第2の固定部41,42を切り欠きにより形成していることから、第1と第2の突起部53,55に嵌められる円筒形状の部材を撹拌部材40に設けるよりも、第1と第2の固定部41,42を容易に形成することができる。これにより、撹拌部材40の生産性を向上させることができる。
【0046】
ここで、液体収容部38内の顔料インクの撹拌効率をより向上させるために、撹拌部材40の長さW2(「第1の側面部32と第2の側面部34が対向する方向についての長さW2」、「長辺方向の長さW2」ともいう。)は、液体収容部38の長さW1の7/20以上とすることが好ましく、2/5以上とすることがより好ましい。また、液体収容部38内の顔料インクの撹拌効率をより向上させるために、撹拌部材40の高さH2(「底面部31と上面部33が対向する方向についての長さH2」、「短辺方向の長さH2」ともいう。)は、液体収容部38の高さH1の1/2以上とすることが好ましく、2/3以上とすることがより好ましい。
【0047】
さらに、回転部44の端部である第1の側面402は、液体収容部38の連通孔22近傍に配置されることが好ましい。すなわち、顔料インクをプリンター1に供給する際のインクの流れ方向において、より下流側に第1の側面402が配置されるよう撹拌部材40を液体収容部38に設けることが好ましい。こうすることで、連通孔22近傍の顔料インクが撹拌され濃度分布のばらつきをより一層低減した顔料インクを液体供給流路21aを介してプリンター1に供給することができる。
【0048】
B.第2実施例:
図5は、第2実施例のインクカートリッジ10aについて説明するための図である。図5(a)は、第1と第2の固定部と第1と第2の突起部について説明するための図であり、容器本体20aの一部分を示している。図5(b)は、撹拌部材40aによる顔料インクの撹拌状態を示す図である。なお、図5(a)は説明の容易のために、第1と第2の抜け止め部54,56の図示は省略している。第1実施例のインクカートリッジ10と異なる点は、撹拌部材40aの第1と第2の固定部41a,42aの形成位置と、支持部材50の第1と第2の突起部53a,55aの形成位置である。その他の構成(液体収容部38、液体供給部21等)については同様の構成であるため、同様の構成については同一符号を付すと共に、説明を省略する。なお、第2実施例のインクカートリッジ10aにおいても、装着状態では、Z軸方向が鉛直方向となり、Z軸負方向が鉛直下方向となる。
【0049】
撹拌部材40aの第1の固定部41aは、部材底面401と直交する第1の面AX1(以下、「第1の対称面AX1」とも呼ぶ。)において面対称である。また、撹拌部材40aの第2の固定部42aは、部材底面401と直交する第2の面AX2(以下、「第2の対称面AX2」とも呼ぶ。)において面対称である。撹拌部材40aの第1の固定部41aと第2の固定部42aは、第1と第2の側面部32,34(図5(b))が対向する方向(Y軸方向)についてずれた位置に形成されている。詳細には、第1の固定部41aは、第2の固定部42aよりも回転部44が延びる第1の側面部32(図5(b))側に形成されている。言い換えれば、第2実施例の場合、第1の対称面AX1は第2の対称面AX2よりも第1の側面部32側に位置している。すなわち、第2実施例の第1と第2の固定部41a,42aは、第1実施例の第1と第2の固定部41,42(図3)とは異なり、第2の側面404から異なる距離に形成されている。
【0050】
支持部材50aの第1と第2の突起部53a,55aは、第1と第2の固定部41a,42aの液体収容部38内での配置位置に対応させて、Y軸方向についてずれた位置に設けられている。すなわち、第1の突起部53aは、第2の突起部55aよりも回転部44が延びる第1の側面部32(図5(b))側に設けられている。言い換えれば、第2実施例の場合、円柱状の第1の突起部53aの重心53wは、円柱状の第2の突起部55aの重心55wよりも撹拌部材40aの回転部44が延びる側である第1の側面部32側に位置している。なお、支持部材50aの土台部52aは、第1と第2の突起部53a,55aの形成位置に対応させて第1実施例に比べ、Y軸方向に長い形状としている。
【0051】
対称面AX1,AX2はそれぞれ、鉛直方向(Z軸方向)と平行関係となるように、第1と第2の突起部53a,55aは撹拌部材40を支持している。すなわち、撹拌部材40の部材底面401は液体収容部38の底面部31と平行関係にある。また、第1の固定部41aと第1の突起部53aとの接点pt1と、第2の固定部42aと第2の突起部55aとの接点pt2とを結んで規定される回転軸ARは鉛直方向と平行関係にある。
【0052】
撹拌部材40の回転部44の回転部が回転運動すると、図5(b)の矢印の向きに示すように液体収容部38の顔料インクが撹拌され、液体収容部38の顔料インクの濃度分布のばらつきが低減される。
【0053】
このように、第2実施例のインクカートリッジ10aによれば、撹拌部材40aの回転軸ARが鉛直方向と平行であることから、第1実施例に比べ、撹拌部材40aの回転部44により顔料インクを効率的に撹拌することができる。さらに、第2実施例のインクカートリッジ10aは第1実施例と同様の効果を奏する。
【0054】
C.第3実施例:
図6は第3実施例のインクカートリッジ10bを説明するための図である。上記実施例との違いは、液体収容部38に撹拌部材40bの鉛直下方向(Z軸負方向)への傾きを防止するための突起部70を設けた点である。その他の構成(液体収容部38、液体供給部21等)については第1実施例と同様の構成であるため、第1実施例と同様の構成については、同一符号を付すと共に説明を省略する。
【0055】
液体収容部38には、第3の側面部36から対向する側(開口部側)に所定長さ延びる突起部70が設けられている。突起部70は、容器本体20bと一体成型することで形成される。突起部70は、柱形状であって、撹拌部材40bの部材底面401の一部分と当接している。
【0056】
このように、第3実施例のインクカートリッジ10bによれば、突起部70により撹拌部材40bの鉛直方向下向きへの傾きを容易に抑制することができる。これにより、撹拌部材40bの鉛直方向下向きへの傾きを抑制するために、第1と第2の突起部53b、55bを第1と第2の側面部32、34が対向する方向についてずらして設ける必要が無い。よって、撹拌部材40bの鉛直方向下向きへの傾きを抑制したインクカートリッジ10bを容易に製作することができる。
【0057】
なお、回転部44と突起部70との摩擦をより小さくし、慣性力による回転部44の応答性を向上させるために、突起部70の形状は円柱形状とすることが好ましい。これにより、突起部70と回転部44との接触面積を小さくし、摩擦をより小さくすることができ、回転部44の移動(回転動作)をスムーズに行わせることができる。
【0058】
D.変形例:
なお、上記実施例における構成要素の中の、特許請求の範囲の独立項に記載した要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略可能である。また、本発明の上記実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0059】
D−1.第1変形例:
上記実施例では、撹拌部材40,40a,40bに形成された第1の固定部41,41a,41bと第2の固定部42,42a,42bは切り欠きであったが、これに限定されるものではない。第1と第2の固定部が41,41a,41b,42,42a,42bが、第1の突起部53,53a,53bと第2の突起部55,55a,55bに嵌め合うことができる形状であれば良い。例えば、撹拌部材40,40a,40bに2つの貫通孔を形成して固定部としても良い。その場合、貫通孔の形状は、円形、楕円、多角形等の種々の形状とすることができる。このようにしても、上記実施例と同様に、撹拌部材40,40a,40bの鉛直方向下向きへの傾きを抑制することができる。
【0060】
D−2.第2変形例:
上記実施例では、支持部材50,50a,50bは、土台部52,52a,52bと、抜け止め部54、56を有していたが、これらを有さなくても良いし、いずれか一方の部材のみを有していても良い。このようにしても、上記実施例と同様に、撹拌部材40,40a,40bの鉛直方向下向きへの傾きを抑制することができる。
【0061】
D−3.第3変形例:
上記実施例では、第1と第2の固定部41,41a,41b,42,42a,42bは、部材底面401に垂直な面について面対称であったが、面対称に形成しなくても良い。すなわち、撹拌部材40,40a,40bの鉛直方向下向きの傾きを抑制するために、第1と第2の側面部32,34が対向する方向について第1と第2の突起部53,53a,53b,55,55a,55bがずれた位置に設けられていれば良い。
また、上記実施例の第1と第2の固定部41,41a,41b,42,42a,42bは面対称な形状であったが、その形状の一部について、部材底面401に垂直な面について面対称であっても良い。
また、上記第1実施例では、第1と第2の固定部41,42は、部材底面401に垂直投影した場合に互いに重なる位置関係にあったが(図3)、一部が重なる関係にあっても良い。このようにしても、第1と第2の突起部53,55を第1と第2の側面部32,34が対向する方向についてずらすことで、撹拌部材40の鉛直方向下向きの傾きを抑制することができる。
【0062】
D−4.第4変形例:
上記実施例では、インクカートリッジ10,10a,10bは、キャリッジ12(図1)に装着されているタイプ(いわゆる、オンキャリッジ型のカートリッジ)を例に説明を行ったが、キャリッジ12とは別の場所に設けられた装着部に装着されるタイプに適用することもできる(いわゆる、オフキャリッジ型のカートリッジ)。オフキャリッジ型のカートリッジに本発明を適用する場合、前記装着部を定期的に所定方向に往復移動させて回転部44に慣性力を加える。
【0063】
D−5.第5変形例:
上記実施例では、液体収容容器としてプリンター1に用いられるインクカートリッジ10,10a,10bを例に説明を行ったが、これに限定されるものではなく、各種液体収容容器に本発明は適用可能である。特に、分散系物質を収容する液体収容容器に対して本発明を適用することが好適である。
例えば液晶ディスプレー等の色材噴射ヘッドを備えた装置、有機ELディスプレー、面発光ディスプレー(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッドを備えた装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッドを備えた装置、精密ピペットとしての試料噴射ヘッドを備えた装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等の液体噴射装置に装着される液体収容容器に本発明を適用することができる。
上記の各種の液体噴射装置に液体収容容器を使用する際には、各種の液体噴射装置が噴射する液体の種類に応じた液体(色材,導電ペースト,生体有機物等)を、液体収容容器に収容すれば良い。
【符号の説明】
【0064】
1…インクジェットプリンター
10,10a,10b…インクカートリッジ
12…キャリッジ
14…記録ヘッド
15…タイミングベルト
16…ステッピングモータ
20,20a,20b…容器本体
21…液体供給部
21a…液体供給流路
22…連通孔
24…大気開放口
31…底面部
32…第1の側面部
33…上面部
34…第2の側面部
35…開口部
36…第3の側面部
38…液体収容部
40,40a,40b…撹拌部材
41,41a,41b…第1の固定部
42,42a,42b…第2の固定部
44…回転部
50,50a,50b…支持部材
52,52a,52b…土台部
53,53a,53b…第1の突起部
53w,55w…重心
54…第1の抜け止め部
55,55a,55b…第2の突起部
56…第2の抜け止め部
70…突起部
401…部材底面
402…第1の側面
403…部材上面
404…第2の側面
PP…印刷用紙
AR…回転軸
AX…対称面
AX1…第1の対称面
AX2…第2の対称面
pt1…接点
pt2…接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体噴射装置に液体を供給するための液体収容容器であって、
液体を収容するための液体収容部であって、当該液体収容容器が前記液体噴射装置に装着された状態において、底面部と、前記底面部から上向きに延びる第1の側面部と、前記底面部から上向きに延びると共に前記第1の側面部と対向する第2の側面部と、を有する液体収容部と、
前記液体収容部に設けられ、前記液体収容部の液体を撹拌するための平板状の撹拌部材と、
前記液体収容部に設けられ、前記撹拌部材を支持するための第1の突起部と、
前記撹拌部材を支持するための第2の突起部であって、前記液体収容部内において前記第1の突起部よりも前記底面部に近い側に設けられた第2の突起部と、を備え、
前記撹拌部材は、
前記第1の突起部と嵌め合う第1の固定部と、
前記第2の突起部と嵌め合う第2の固定部と、
前記第1と第2の固定部から前記第1の側面部及び前記第2の側面部のいずれか一方に向かって延びる回転部であって、前記第1と第2の突起部及び前記第1と第2の固定部により規定される軸を中心に回転可能な回転部と、を有し、
当該液体収容体が前記液体噴射装置に装着された状態において、
前記第1の突起部と前記第2の突起部とは、前記第1の側面部と前記第2の側面部が対向する方向についてずれた位置に設けられ、
前記撹拌部材の外周面のうち前記液体収容部の前記底面部に最も近い側に配置された部材底面が前記底面部と平行となるように、前記第1と第2の突起部は前記撹拌部材を支持している、液体収容容器。
【請求項2】
液体噴射装置に液体を供給するための液体収容容器であって、
液体を収容するための液体収容部であって、当該液体収容容器が前記液体噴射装置に装着された状態において、底面部と、前記底面部から上向きに延びる第1の側面部と、前記底面部から上向きに延びると共に前記第1の側面部と対向する第2の側面部と、を有する液体収容部と、
前記液体収容部に設けられ、前記液体収容部の液体を撹拌するための平板状の撹拌部材と、
前記液体収容部に設けられ、前記撹拌部材を支持するための第1の突起部と、
前記撹拌部材を支持するための第2の突起部であって、前記液体収容部内において前記第1の突起部よりも前記底面部に近い側にある第2の突起部と、を備え、
前記撹拌部材は、
前記第1の突起部と嵌め合う面対称である第1の固定部であって、前記撹拌部材の外周面のうち前記液体収容部の前記底面部に最も近い側に配置された部材底面と直交する第1の対称面について対称な形状を有する第1の固定部と、
前記第2の突起部と嵌め合う面対称である第2の固定部であって、前記第1の固定部と同一の前記第1の対称面について対称な形状を有する第2の固定部と、
前記第1と第2の固定部から前記第1の側面部及び前記第2の側面部のいずれか一方に向かって延びる回転部であって、前記第1と第2の突起部及び前記第1と第2の固定部により規定される軸を中心に回転可能な回転部と、を有し、
前記第1の突起部は第2の突起部よりも、前記回転部が延びる側面部から離れた位置に設けられている、液体収容容器。
【請求項3】
液体噴射装置に液体を供給するための液体収容容器であって、
液体を収容するための液体収容部であって、当該液体収容容器が前記液体噴射装置に装着された状態において、底面部と、前記底面部から上向きに延びる第1の側面部と、前記底面部から上向きに延びると共に前記第1の側面部と対向する第2の側面部と、を有する液体収容部と、
前記液体収容部に設けられ、前記液体収容部の液体を撹拌するための平板状の撹拌部材と、
前記液体収容部に設けられ、前記撹拌部材を支持するための第1の突起部と、
前記撹拌部材を支持するための第2の突起部であって、前記液体収容部内において前記第1の突起部よりも前記底面部に近い側にある第2の突起部と、を備え、
前記撹拌部材は、
前記第1の突起部と嵌め合う第1の固定部と、
前記第2の突起部と嵌め合う第2の固定部であって、前記撹拌部材の外周面のうち前記液体収容部の前記底面部に最も近い側に配置された部材底面に垂直投影した場合に前記第1の固定部と少なくとも一部が重なる位置にある第2の固定部と、
前記第1と第2の固定部から前記第1の側面部及び前記第2の側面部のいずれか一方に向かって延びる回転部であって、前記第1と第2の突起部及び前記第1と第2の固定部により規定される軸を中心に回転可能な回転部と、を有し、
前記第1の突起部は第2の突起部よりも、前記回転部が延びる側面部から離れた位置に設けられている、液体収容容器。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の液体収容容器であって、
当該液体収容体が前記液体噴射装置に装着された状態において、前記部材底面が前記底面部と平行となるように、前記第1と第2の突起部は前記撹拌部材を支持している、液体収容容器。
【請求項5】
請求項1に記載の液体収容容器であって、
当該液体収容容器が前記液体噴射装置に装着された状態において、
前記軸は、鉛直方向と平行である、液体収容容器。
【請求項6】
請求項5に記載の液体収容容器であって、
前記第1の突起部は前記第2の突起部よりも、前記回転部が延びる側面部に近い側に設けられており、
前記第1の固定部は前記第2の固定部よりも、前記回転部が延びる側面部に近い側に設けられている、液体収容容器。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の液体収容容器であって、
前記第1と第2の固定部は、前記撹拌部材の一部に形成された貫通孔、又は、前記撹拌部材の外周の一部に形成された切り欠きである、液体収容容器。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の液体収容容器であって、
前記撹拌部材は、当該液体収容容器が前記液体噴射装置に装着され往復運動することで生じる慣性力を動力として前記液体収容部の液体を撹拌する、液体収容容器。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の液体収容容器であって、
前記第1と第2の固定部はそれぞれ前記第1と第2の突起部に沿って移動可能であり、
前記第1と第2の突起部の一端側には、前記撹拌部材が前記第1と第2の突起部からはずれないようにする抜け止め部が設けられている、液体収容容器。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の液体収容容器を装着した液体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−183726(P2011−183726A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−52883(P2010−52883)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】