説明

液体吐出装置、及び、これに用いられるカートリッジセット

【課題】液体切れに伴ってカートリッジを交換する際の保湿液の残量を低減させ、且つ、液体が切れる前にカートリッジに貯溜されている保湿液が切れる可能性を低減させる。
【解決手段】ヘッド10Aから第1液体を吐出する第1モード記録のみを行うときには、ヘッド10Bの吐出面と対向する第2吐出空間を封止状態にし、第1カートリッジ17aの第1保湿液貯溜室32に貯溜されている保湿液を用いて、当該第2吐出空間を保湿する。
ヘッド10Aの吐出面と対向する第1吐出空間、及び、第2吐出空間が封止状態となっているときには、第2カートリッジ17bの第2保湿液貯溜室34に貯溜されている保湿液を用いて第1吐出空間を保湿し、且つ、第1カートリッジ17aの第1保湿液貯溜室32に貯溜されている保湿液を用いて第2吐出空間S2を保湿する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を吐出して記録媒体に画像を形成する液体吐出装置、及び、これに用いられるカートリッジセットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体を吐出して記録媒体に画像を形成する液体吐出装置として、ブラックインクを吐出する第1液体吐出ヘッド、ブラック以外のカラーインクを吐出する第2液体吐出ヘッド、カートリッジ装着部にそれぞれ交換可能に装着される、ブラックインクを貯溜するブラック用インクカートリッジとカラーインクを貯溜するカラー用インクカートリッジを備えたものがある。
【0003】
この種の液体吐出装置において、インクカートリッジにインク以外の別の液体が貯溜されるように構成されたものがある。例えば、特許文献1には、インク中の色材を凝集させる記録性向上液がインクカートリッジの一部に貯溜されるように構成されている。これにより、インク切れに伴ってインクカートリッジを交換する際に、記録性向上液も同時に交換されるため、記録性向上液を常に必要十分な量だけ確保することができるようにされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−216391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、液体吐出ヘッドの吐出口から液体が吐出されない状況が長時間続くと、吐出口近傍の液体が蒸発して粘度が増加し、吐出口の目詰まりが生じ得る。この吐出口の目詰まりを抑制するための技術として、吐出面と対向する吐出空間を外部空間から隔離して封止状態にした上で、保湿液を用いて当該吐出空間を保湿するものがある。ここで上記特許文献1の技術思想を利用して、液体吐出ヘッドから吐出される液体に加えて、当該液体吐出ヘッドの吐出面と対向する吐出空間を保湿する保湿液をカートリッジの一部に貯溜させることが考えられる。
【0006】
しかしながら、保湿液は液体吐出ヘッドから液体が吐出されていないときに消費されるものであり、保湿液の消費時期と液体の消費時期が異なるので、単純にカートリッジの一部に保湿液を貯留させて使用すると、液体切れに伴ってカートリッジを交換する際に保湿液が多量に残っており不経済となる場合がある。また、液体が切れる前にカートリッジの一部に貯溜されている保湿液が切れる場合もある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、液体切れに伴ってカートリッジを交換する際の保湿液の残量を低減させることができ、且つ液体が切れる前にカートリッジに貯溜されている保湿液が切れる可能性を低減することができる液体吐出装置、及び、これに用いられるカートリッジセットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の液体吐出装置は、複数の吐出口が開口した第1吐出面を有し、当該複数の吐出口から記録媒体に向けて第1液体を吐出し得る第1液体吐出ヘッドと、複数の吐出口が開口した第2吐出面を有し、当該複数の吐出口から記録媒体に向けて前記第1液体とは異なる第2液体を吐出し得る第2液体吐出ヘッドと、前記第1液体吐出ヘッドに供給する前記第1液体を貯溜する第1液体貯溜室と、保湿液を貯溜する第1保湿液貯溜室とを有する第1カートリッジと、前記第2液体吐出ヘッドに供給する前記第2液体を貯溜する第2液体貯溜室と、保湿液を貯溜する第2保湿液貯溜室とを有する第2カートリッジと、前記第1カートリッジ、及び前記第2カートリッジそれぞれが交換可能に装着されるカートリッジ装着部と、前記第1吐出面と対向する第1吐出空間を外部空間から隔離する封止状態と、前記第1吐出空間を外部空間に開放する開放状態とを取り得る第1キャッピング手段と、前記第2吐出面と対向する第2吐出空間を外部空間から隔離する封止状態と、前記第2吐出空間を外部空間に開放する開放状態とを取り得る第2キャッピング手段と、前記封止状態となっているときの前記第1吐出空間、及び前記封止状態となっているときの前記第2吐出空間を保湿する保湿手段と、前記第1液体吐出ヘッド、前記第2液体吐出ヘッド、前記第1キャッピング手段、前記第2キャッピング手段、及び前記保湿手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記第1液体吐出ヘッドから前記第1液体を吐出する第1モード記録のみを行うときには、前記第2吐出空間が前記封止状態となるように前記第2キャッピング手段を制御し、且つ、前記第1カートリッジの前記第1保湿液貯溜室に貯溜されている前記保湿液を用いて前記第2吐出空間が保湿されるように前記保湿手段を制御し、前記第1吐出空間及び前記第2吐出空間が前記封止状態となっているときには、前記第2カートリッジの前記第2保湿液貯溜室に貯溜されている保湿液を用いて前記第1吐出空間が保湿されるように前記保湿手段を制御し、且つ、前記第1カートリッジの前記第1保湿液貯溜室に貯溜されている保湿液を用いて前記第2吐出空間が保湿されるように前記保湿手段を制御することを特徴とする。
【0009】
上記の構成によれば、第1モード記録のみを行う際には、第1カートリッジに貯溜されている保湿液が第2吐出空間の保湿に用いられるため、第1カートリッジに貯溜されている第1液体と保湿液が同時に消費されることになる。これにより、第1液体の液体切れに伴って第1カートリッジを交換する際の保湿液の残量を低減させることができる。またさらに、第1モード記録のみを行う際には、第2カートリッジに貯溜されている保湿液が消費されることはないので、第2カートリッジに貯溜されている第2液体が切れる前に、第2カートリッジに貯溜されている保湿液が切れる可能性を低減することができる。
【0010】
また、本発明の液体吐出装置において、前記第2液体吐出ヘッドは複数設けられており、前記第1液体はブラックインクであり、前記複数の第2液体吐出ヘッドそれぞれから吐出される前記第2液体は、ブラック以外の互いに異なる色のカラーインクであり、前記第2カートリッジは前記第2液体吐出ヘッドの個数と同数の前記第2液体貯溜室を有しており、各第2液体貯溜室には、対応する前記第2液体吐出ヘッドの第2液体がそれぞれ貯溜されていてもよい。
【0011】
また、本発明の液体吐出装置において、前記カートリッジ装着部に装着する前の前記第1カートリッジの前記第1保湿液貯溜室に貯溜されている保湿液の貯溜量は、前記カートリッジ装着部に装着する前の前記第2カートリッジの前記第2保湿液貯溜室に貯溜されている保湿液の貯溜量よりも多くなるようにされていてもよい。上記の構成によれば、封止状態となる時間・回数が第1吐出空間と比べて多くなる第2吐出空間の保湿に用いられる保湿液は、第1カートリッジにその分多く貯溜されているので、第1カートリッジに貯溜されているインクが切れる前に、第1カートリッジに貯溜されている保湿液が切れる可能性を低減させることができる。
【0012】
また、本発明の液体吐出装置において、前記カートリッジ装着部に装着された前記第1カートリッジの前記第1保湿液貯溜室と連通する第1保湿液タンクと、前記カートリッジ装着部に装着された前記第2カートリッジの前記第2保湿液貯溜室と連通する第2保湿液タンクと、前記第1保湿液貯溜室及び前記第2保湿液貯溜室に貯留されている保湿液の残量を検出する検出手段と、前記第1保湿液貯溜室に貯留されている保湿液を前記第1保湿液タンクへ移送するための第1移送手段と、前記第2保湿液貯溜室に貯留されている保湿液を前記第2保湿液タンクへ移送するための第2移送手段と、を更に備えており、前記制御手段は、前記第1カートリッジを前記カートリッジ装着部から取り外す際、前記検出手段により前記第1保湿液貯溜室に前記保湿液が残存していると検出された場合には、その残存している保湿液を前記第1保湿液タンクに移送するように前記第1移送手段を制御し、前記第2吐出空間が前記封止状態のときに、新たに前記カートリッジ装着部に装着された第1カートリッジの前記第1保湿液貯溜室に貯溜されている保湿液、及び前記第1保湿液タンクに貯溜されている保湿液の少なくとも何れかを用いて前記第2吐出空間が保湿されるように前記保湿手段を制御し、前記第2カートリッジを前記カートリッジ装着部から取り外す際、前記検出手段により前記第2保湿液貯溜室に前記保湿液が残存していると検出された場合には、その残存している保湿液を前記第2保湿液タンクに移送するように前記第2移送手段を制御し、前記第1吐出空間が前記封止状態のときに、新たに前記カートリッジ装着部に装着された第2カートリッジの前記第2保湿液貯溜室に貯溜されている保湿液、及び前記第2保湿液タンクに貯溜されている保湿液の少なくとも何れかを用いて前記第1吐出空間が保湿されるように前記保湿手段を制御してもよい。上記の構成によれば、第1液体や第2液体の液体切れに伴って第1及び第2カートリッジを交換する際に、当該第1及び第2カートリッジに残存している保湿液を有効に活用することができる。
【0013】
また、本発明のカートリッジセットは、複数の吐出口が開口した第1吐出面を有し、当該複数の吐出口から記録媒体に向けて第1液体を吐出し得る第1液体吐出ヘッドと、複数の吐出口が開口した第2吐出面を有し、当該複数の吐出口から記録媒体に向けて前記第1液体とは異なる第2液体を吐出し得る第2液体吐出ヘッドと、前記第1吐出面と対向する第1吐出空間を外部空間から隔離する封止状態と、前記第1吐出空間を外部空間に開放する開放状態とを取り得る第1キャッピング手段と、前記第2吐出面と対向する第2吐出空間を外部空間から隔離する封止状態と、前記第2吐出空間を外部空間に開放する開放状態とを取り得る第2キャッピング手段と、前記封止状態となっているときの前記第1吐出空間、及び前記封止状態となっているときの前記第2吐出空間を保湿する保湿手段と、前記第1液体吐出ヘッド、前記第2液体吐出ヘッド、前記第1キャッピング手段、前記第2キャッピング手段、及び前記保湿手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記第1液体吐出ヘッドから前記第1液体を吐出する第1モード記録のみを行うときには、前記第2吐出空間が前記封止状態となるように前記第2キャッピング手段を制御し、且つ、保湿液を用いて前記第2吐出空間が保湿されるように前記保湿手段を制御し、前記第1吐出空間及び前記第2吐出空間が前記封止状態となっているときには、保湿液を用いて前記第1吐出空間及び前記第2吐出空間が保湿されるように前記保湿手段を制御する液体吐出装置のカートリッジ装着部に交換可能に装着される、第1カートリッジと第2カートリッジとからなるカートリッジセットであって、前記第1カートリッジは、前記第1液体吐出ヘッドに供給する第1液体を貯溜する第1液体貯溜室と、前記第2吐出空間が前記封止状態のときに、当該第2吐出空間の保湿に用いられる保湿液を貯溜する第1保湿液貯溜室とを有し、前記第2カートリッジは、第2液体吐出ヘッドに供給する第2液体を貯溜する第2液体貯溜室と、前記第1吐出空間が前記封止状態のときに、当該第1吐出空間の保湿に用いられる保湿液を貯溜する第2保湿液貯溜室とを有していることを特徴とする。
【0014】
上記の構成によれば、第1モード記録のみを行う際には、第1カートリッジに貯溜されている保湿液が第2吐出空間の保湿に用いられるため、第1カートリッジに貯溜されている第1液体と保湿液が同時に消費されることになる。これにより、第1液体の液体切れに伴って第1カートリッジを交換する際の保湿液の残量を低減させることができる。またさらに、第1モード記録のみを行う際には、第2カートリッジに貯溜されている保湿液が消費されることはないので、第2カートリッジに貯溜されている第2液体が切れる前に、第2カートリッジに貯溜されている保湿液が切れる可能性を低減することができる。
【0015】
また、本発明のカートリッジセットは、複数の吐出口が開口した第1吐出面を有し、当該複数の吐出口から記録媒体に向けて第1液体を吐出し得る第1液体吐出ヘッドと、複数の吐出口が開口した第2吐出面を有し、当該複数の吐出口から記録媒体に向けて前記第1液体とは異なる第2液体を吐出し得る第2液体吐出ヘッドとを備えた液体吐出装置のカートリッジ装着部に交換可能に装着される、第1カートリッジと第2カートリッジとからなるカートリッジセットであって、前記第1カートリッジは、前記第1液体吐出ヘッドに供給する第1液体を貯溜する第1液体貯溜室と、前記第2吐出面の前記複数の吐出口を保湿するための保湿液を貯溜する第1保湿液貯溜室とを有し、前記第2カートリッジは、第2液体吐出ヘッドに供給する第2液体を貯溜する第2液体貯溜室と、前記第1吐出面の前記複数の吐出口を保湿するための保湿液を貯溜する第2保湿液貯溜室とを有していることを特徴とする。
【0016】
上記の構成によれば、第1カートリッジに貯溜されている第1液体と保湿液を同時に消費させることが可能となるので、第1液体の液体切れに伴って第1カートリッジを交換する際の保湿液の残量を低減させることができる。また、第2カートリッジに貯溜されている第2液体が消費されていないときに、当該第2カートリッジに貯溜されている保湿液が消費される機会を減らすことができるので、第2カートリッジに貯溜されている第2液体が切れる前に、第2カートリッジに貯溜されている保湿液が切れる可能性を低減することができる。
【発明の効果】
【0017】
液体切れに伴ってカートリッジを交換する際の保湿液の残量を低減させることができ、且つ液体が切れる前にカートリッジに貯溜されている保湿液が切れる可能性を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の液体吐出装置の一実施形態に係るインクジェットプリンタの内部構造を示す概略側面図である。
【図2】図1に示すインクジェットヘッド、及び板状部材について説明する説明図である。
【図3】図1のプリンタに含まれるインクジェットヘッドと加湿機構との接続形態、及び加湿機構と補給機構との接続形態を示す概略図である。
【図4】図1のプリンタに含まれるインクジェットヘッドの流路ユニット及びアクチュエータユニットを示す平面図である。
【図5】図4の一点鎖線で囲まれた領域IIIを示す拡大図である。
【図6】図5のIV−IV線に沿った部分断面図である。
【図7】図1のプリンタに含まれるヘッドホルダの周辺構造、及び加湿機構を示す概略図である。
【図8】図7の一点鎖線で囲まれた領域VIを示す部分断面図である。
【図9】図1に示す制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図10】図1に示す制御装置の動作フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0020】
先ず、図1を参照し、本発明の液体吐出装置の一実施形態に係るインクジェットプリンタ101の全体構成について説明する。
【0021】
プリンタ101は、直方体形状の筐体101aを有する。筐体101aの天板上部には、排紙部15が設けられている。筐体101aの内部空間は、上から順に空間A,B,Cに区分できる。空間A,Bには、給紙ユニット101bから排紙部15に至る用紙搬送経路が形成されている。空間Aでは、用紙Pへの画像形成と、用紙Pの排紙部15への搬送が行われる。空間Bでは、用紙Pの搬送経路への給紙が行われる。空間Cからは、空間Aのインクジェットヘッド10(10A,10B)に対してインクが供給される。
【0022】
空間Aには、用紙Pを搬送方向(図1中左方から右方に向かう方向)に搬送する搬送機構16、搬送機構16によって搬送された用紙Pに、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のインクの液体をそれぞれ吐出する4つのインクジェットヘッド10(以下、単にヘッド10と称す)、用紙Pをガイドするガイド部、加湿メンテナンスに用いられる加湿機構60,70(図3参照)、加湿機構60,70に対して保湿液を補給する補給機構80,90(図3参照)、ディスプレイ120(図9参照)、及び、制御装置100等が配置されている。
【0023】
搬送機構16は、2つのベルトローラ6,7、両ローラ6,7間に巻回されたエンドレスの搬送ベルト8、搬送ベルト8の外側に配置されたニップローラ4及び剥離プレート5、搬送ベルト8の内側に配置されたプラテン3等を有する。ベルトローラ7は、駆動ローラであって、搬送モータ(図示せず)の駆動により回転し、図1中時計回りに回転する。ベルトローラ7の回転に伴い、搬送ベルト8が図1中の太矢印方向に走行する。ベルトローラ6は、従動ローラであって、搬送ベルト8が走行するのに伴って、図1中時計回りに回転する。ニップローラ4は、ベルトローラ6に対向配置され、搬送方向上流側から供給されてきた用紙Pを搬送ベルト8の外周面である支持面8aに押さえ付ける。その後用紙Pは、搬送ベルト8の走行に伴い、支持面8a上に支持されつつ、ベルトローラ7に向けて搬送される。剥離プレート5は、ベルトローラ7に対向配置され、用紙Pを支持面8aから剥離し、さらに搬送方向下流側へと導く。プラテン3は、4つのヘッド10に対向配置され、搬送ベルト8の上側ループを内側から支える。
【0024】
ガイド部は、搬送方向に関して、搬送機構16を挟んで配置された上流側ガイド部及び下流側ガイド部を有している。上流側ガイド部は、ガイド13a,13bと送りローラ対14を有し、給紙ユニット101bと搬送機構16とを繋ぐ。下流側ガイド部は、ガイド29a,29bと2つの送りローラ対28を有し、搬送機構16と排紙部15とを繋ぐ。
【0025】
4つのヘッド10は、同一構造を有しており、それぞれ主走査方向に沿って延在し、副走査方向には互いに平行かつ等間隔に配置されている。4つのヘッド10のうち、搬送方向に沿って最も上流に配置されたヘッド10A(第1液体吐出ヘッド)は、ヘッドホルダ45を介して筐体101aに支持されており、ブラックインク(第1液体)を吐出する。ヘッド10Aの下面は、ブラックインクの液滴を吐出する複数の吐出口108(図5参照)が開口した第1吐出面11aである。残り3つのヘッド10B(第2液体吐出ヘッド)は、3つのヘッドホルダ55を介して筐体101aにそれぞれ支持されており、ブラック以外の色(すなわち、マゼンタ、シアン、イエロー)のカラーインク(第2液体)を吐出する。各ヘッド10Bの下面はカラーインクの液滴を吐出する複数の吐出口108が開口した第2吐出面11bである。すなわち、インクジェットプリンタ101は、主走査方向にインク滴が吐出される複数の吐出口108が配列されたライン式のカラーインクジェットプリンタである。
【0026】
ここで、副走査方向とは搬送機構16で用紙Pを搬送するときの搬送方向と平行な方向であり、主走査方向とは副走査方向に直交する方向であって水平面に沿った方向である。
【0027】
ヘッドホルダ45は、第1吐出面11aと搬送ベルト8の上側ループの支持面8aとが記録に適した所定距離隔てて対向するように、ヘッド10Aを保持している。ここで、記録に適した所定距離とは、用紙Pの記録面が吐出面と接触せず、且つ、インクを用紙Pの記録面上に正確に着弾させることが可能な距離である。
【0028】
ヘッドホルダ55各々は、第2吐出面11bが搬送ベルト8の上側ループの支持面8aに対向するようにヘッド10Bを保持している。また、ヘッドホルダ55各々は、ヘッド昇降機構56(図9参照)により鉛直方向に沿って昇降可能に構成されている。ヘッド昇降機構56は、図2に示すように制御装置100による制御の下、印刷位置(図2(a)参照)と、退避位置(図2(b)参照)との間において、これらヘッドホルダ55を昇降させる。印刷位置は、第2吐出面11bと搬送ベルト8の上側ループの支持面8aとが記録に適した所定距離隔てて対向する、搬送ベルト8に対するヘッドホルダ55の位置である。一方、退避位置は、第2吐出面11bと支持面8aとの間の距離が、上記記録に適した所定距離よりも離れる、搬送ベルト8に対するヘッドホルダ55の位置である。本実施形態において、制御装置100は、後述のモノクロ記録を行うときはヘッドホルダ55を退避位置に、それ以外のときはヘッドホルダ55を印刷位置に位置するようにヘッド昇降機構56を制御する。
【0029】
また、ヘッド昇降機構56により退避位置に移動したヘッドホルダ55に支持されているヘッド10Bと、支持面8aとの間には、後述の板状部材57を配置することが可能な空間が形成される。これにより、通常、この空間に対して副走査方向にずれて待機している板状部材57を、当該空間に配置してヘッド20Bの第1吐出面11aと対向させることが可能となる。ヘッド10A,10B及びヘッドホルダ45,55の周辺構造のより具体的な構成については後に詳述する。
【0030】
板状部材57は、各ヘッド10Bの図1中左方の位置にそれぞれ配置されており、移動機構58(図8参照)により副走査方向に移動可能に構成されている。板状部材57はいずれも同様な構成を有している。板状部材57の上面は平滑に形成され、かつ、各第2吐出面11bより一回り大きな平面形状を有している。板状部材57は、金属板やガラス板により形成される。また、移動機構58は、制御装置100による制御の下、板状部材57が対応する第2吐出面11bと対向する対向位置(図2(c)参照)と、板状部材57が対応する第2吐出面11bと対向しない待機位置(図2(b)参照)との間において、これら板状部材57を移動させる。
【0031】
空間Bには、給紙ユニット101bが配置されている。給紙ユニット101bは、給紙トレイ23及び給紙ローラ24を有する。このうち、給紙トレイ23が、筐体101aに対して着脱可能である。給紙トレイ23は、上方に開口する箱であり、複数の用紙Pを収納する。給紙ローラ24は、給紙トレイ23内で最も上方にある用紙Pを送り出す。
【0032】
空間Cには、タンクユニット101cが配置されている。タンクユニット101cには、カートリッジセット17の、第1カートリッジ17a及び第2カートリッジ17bが交換可能にそれぞれ装着されるカートリッジ装着部2a,2bを備えている。カートリッジ装着部2aに装着される第1カートリッジ17aは、ブラックインクを貯溜する第1液体貯溜室31と、ヘッド10Bにおける第2吐出面11bの吐出口108を保湿(加湿)する加湿メンテナンスに用いられる保湿液を貯溜する第1保湿液貯溜室32とを有している。カートリッジ装着部2aに第1カートリッジ17aが装着されている状態においては、図3に示すように、第1液体貯溜室31とヘッド10Aの後述のリザーバユニット12とがチューブ180を介して接続され、第1保湿液貯溜室32と後述のバッファータンク93とがチューブ91を介して接続されている。これにより、第1液体貯溜室31に貯溜されているブラックインクがチューブ180を介してリザーバユニット12に、第1保湿液貯溜室32に貯溜されている保湿液がチューブ91を介してバッファータンク93にそれぞれ供給可能となる。本実施形態において、保湿液は少量の防腐剤を含んだ水が該当する。
【0033】
また、カートリッジ装着部2bに装着される第2カートリッジ17bは、シアン、イエロー、マゼンタのカラーインクをそれぞれ貯溜する第2液体貯溜室33a〜33cと、ヘッド10Aにおける第1吐出面11aの吐出口108を保湿する加湿メンテナンスに用いられる保湿液を貯溜する第2保湿液貯溜室34とを有している。カートリッジ装着部2bに第2カートリッジ17bが装着されている状態においては、図3に示すように、第2液体貯溜室33a〜33cとヘッド10Bそれぞれの後述のリザーバユニット12とが3本のチューブ190a〜190cを介して互いに接続され、第2保湿液貯溜室34と後述のバッファータンク83とがチューブ81を介して接続されている。従って、第2液体貯溜室33a〜33cに貯溜されている3色のカラーインクがチューブ190a〜190cを介して対応する各ヘッド10Bのリザーバユニット12に、第2保湿液貯溜室34に貯溜されている保湿液がチューブ81を介してバッファータンク83にそれぞれ供給可能となる。
【0034】
なお、カートリッジ装着部2aに装着される前の第1カートリッジ17aの第1保湿液貯溜室32に貯溜されている保湿液の貯溜量は、カートリッジ装着部2bに装着される前の第2カートリッジ17bの第2保湿液貯溜室34に貯溜されている保湿液の貯溜量よりも多くされている。
【0035】
また、タンクユニット101cには、第1カートリッジ17aの第1液体貯溜室31に貯溜されているブラックインクの貯溜量を検出するカートリッジ内インク貯溜量センサ130、及び第2カートリッジ17bの第2液体貯溜室33a〜33cに貯溜されているカラーインクの貯溜量をそれぞれ検出する3つのカートリッジ内インク貯溜量センサ131a〜131c(図9参照)が設けられている。またさらに、タンクユニット101cには、第1カートリッジ17aの第1保湿液貯溜室32に貯溜されている保湿液の貯溜量を検出するカートリッジ内保湿液貯溜量センサ140、及び第2カートリッジ17bの第2保湿液貯溜室34に貯溜されている保湿液の貯溜量を検出するカートリッジ内保湿液貯溜量センサ141(図9参照)が設けられている。本実施形態においては、カートリッジ内保湿液貯溜量センサ140,141により検出手段が構成されている。
【0036】
次に、制御装置100について説明する。制御装置100は、プリンタ101各部を制御してプリンタ101全体の動作を司る。制御装置100は、外部装置(プリンタ101と接続されたPC等)から受信した画像データ(記録指令)に基づいて、画像記録を司る。具体的には、制御装置100は、記録指令に基づいて、給紙ユニット101b、搬送機構16、各送りローラ対14,28等を制御する。給紙トレイ23から送り出された用紙Pは、上流側ガイド部により搬送機構16に送られる。支持面8a上の用紙Pが、ヘッド10A,10Bのすぐ下方を通過する際に、制御装置100によりヘッド10A,10Bが制御されて、第1及び第2吐出面11a,11bに形成された吐出口108から各色のインクが順に用紙P上に吐出される。
【0037】
画像記録には、外部装置から受信した画像データがモノクロ画像データである場合に行われるモノクロ記録と、カラー画像データである場合に行われるカラー記録とがある。モノクロ記録時には、制御装置100は、ヘッド10Aからブラックインクが吐出され、ヘッド10Bからはカラーインクが吐出されないようにヘッド10A,10Bを制御する。これにより、用紙P上に所望のモノクロ画像が形成される。これに対して、カラー記録時には、制御装置100は、ヘッド10Aからブラックインク、ヘッド10Bからカラーインクがそれぞれ吐出されるようにヘッド10A,10Bを制御する。これにより、用紙P上に所望のカラー画像が形成される。なお、インクの吐出動作は、用紙Pの先端を検出する用紙センサ25からの検出信号に基づいて行われる。そして、画像が形成された用紙Pは、剥離プレート5によって搬送ベルト8から剥離された後、下流側ガイド部によりガイドされて、筐体101a上部の開口22から排紙部15に排出される。
【0038】
また、制御装置100は、ヘッド10A,10Bの吐出特性の回復・維持を行う加湿メンテナンスを司る。加湿メンテナンスについては、後に詳述する。本実施形態においては、制御装置100により制御手段が構成されている。
【0039】
次に、図4〜図6を参照して、ヘッド10について詳細に説明する。なお、ヘッド10Aと,ヘッド10Bとは、同一の構造を有するため、ヘッド10Aについてのみ説明し、ヘッド10Bについては説明を省略する。また、図5では説明の都合上、アクチュエータユニット21の下方にあって破線で描くべき圧力室110、アパーチャ112及び吐出口108を実線で描いている。
【0040】
ヘッド10Aは、リザーバユニット12(図8参照)、流路ユニット9、流路ユニット9の上面9aに固定された8つのアクチュエータユニット21、アクチュエータユニット21に駆動信号を供給するフレキシブルプリント配線基板(Flexible Printed Circuit:FPC)、及びFPCに実装されたドライバICを制御する回路基板等が積層した積層体である。リザーバユニット12には、第1カートリッジ17aの第1液体貯溜室31から供給されたブラックインクを一時的に貯留するリザーバを含むインク流路が形成されている。
【0041】
流路ユニット9は、図6に示すように、ステンレス製の9枚の金属プレート122〜130を積層した積層体である。上面9aには、図4に示すように、リザーバユニット12に連通する計18個のインク供給口105bが開口している。内部には、図4〜図6に示すように、インク供給口105bを一端とするマニホールド流路105、及び、マニホールド流路105から分岐した複数の副マニホールド流路105aが形成されている。さらに、各副マニホールド流路105aの出口から圧力室110を介して第1吐出面11aの吐出口108に至る複数の個別インク流路132が形成されている。下面(第1吐出面11a)には多数の吐出口108が、マトリクス状に配置されており、主走査方向に関して主走査方向解像度である600dpiの間隔で配列されている。
【0042】
また、アクチュエータユニット21は、各圧力室110に対応した複数のユニモルフ型のアクチュエータを含んでおり、圧力室110内のインクに選択的に吐出エネルギーを付与する。
【0043】
流路ユニット9におけるインクの流れについて説明する。図4〜図6に示すように、リザーバユニットからインク供給口105bに供給されたインクは、マニホールド流路105(副マニホールド流路105a)に流入する。副マニホールド流路105a内のインクは、各個別インク流路132に分配され、アパーチャ112及び圧力室110を介して吐出口108に至る。
【0044】
次に、図7、及び図8を参照し、ヘッドホルダ45,55の周辺構造について説明する。
【0045】
ヘッドホルダ45は、金属等からなるフレームであり、ヘッド10Aに設けられた第1キャップ40と一対のジョイント61とが取り付けられている。
【0046】
一対のジョイント61は、図7に示すように、加湿機構60の循環流路の一端及び他端をそれぞれ構成するものであり、ヘッド10Aの長手方向一端及び他端にそれぞれ近接配置されている。加湿メンテナンスにおいて、一対のジョイント61のうち、一方(図7の左側)のジョイント61の下面の開口61aから、第1吐出面11aと対向する第1吐出空間S1内の空気が回収され、他方(図7の右側)のジョイント61の下面の開口61bから加湿空気が第1吐出空間S1へと供給される。
【0047】
ジョイント61は、図8に示すように、略円筒状であり、基端61x、及び、基端61xから延出した先端61yを含む。基端61xから先端61yに亘って、鉛直方向に沿った円柱状の中空空間61zが貫通している。基端61x及び先端61yの外径は異なり、基端61xの方が先端61yより外径が大きいが、中空空間61zは鉛直方向に沿って一定の径を有する。先端61yは、その上端面の外周に切欠を有し、先細り形状となっている。これにより、先端61yへのチューブ65,66一端の接続が容易である。
【0048】
ジョイント61は、先端61yがヘッドホルダ45の貫通孔45aに貫挿された状態で、ヘッドホルダ45に対して固定されている。貫通孔45aは、ヘッドホルダ45におけるジョイント61の配置位置、即ち、ヘッド10の長手方向一端及び他端の近傍にそれぞれ形成されている。先端61yの外径は貫通孔45aの直径より一回り小さく、先端61yの外周面とヘッドホルダ45の貫通孔45aを画定する壁面との間に若干の隙間がある。この隙間は、ジョイント61をヘッドホルダ45に固定する際にシール材等が充填されることにより、封止される。
【0049】
第1キャップ40は、平面視でヘッド10Aの第1吐出面11aの外周を囲む環状に形成されており、ヘッドホルダ45に支持された弾性体41、及び、上下動可能な可動体42を含む。
【0050】
弾性体41は、ゴム等の弾性材料からなり、基部41x、基部41xの下面から下方に突出した断面視逆三角形状の突出部41a、ヘッドホルダ45に固定された断面視T字状の固定部41c、及び、基部41xと固定部41cとを接続する接続部41dを含む。弾性体41は、上記各部を有しつつ、平面視でヘッド10Aの第1吐出面11aの外周を囲む環状に形成されている。固定部41cの上端部分は、接着剤等を介して、ヘッドホルダ45に固定されている。固定部41cはまた、貫通孔45aの近傍において、ヘッドホルダ45と各ジョイント61の基端61xとの間に挟持されている。接続部41dは、固定部41cの下端から湾曲しつつ外側(平面視で第1吐出面11aから離隔する方向)に延び、基部41xの下端に接続している。接続部41dは、可動体42の上下動に伴って変形可能な程度の撓みを有する。基部41xの上面には、可動体42の下端に嵌合する凹部41bが形成されている。
【0051】
可動体42は、剛材料からなり、また、弾性体41と同様、平面視でヘッド10Aの第1吐出面11aの外周を囲む環状に形成されている。可動体42は、弾性体41を介してヘッドホルダ45に支持されつつ、ヘッドホルダ45に対して鉛直方向に移動可能である。具体的には、可動体42は、複数のギア43と接続されており、制御装置100による制御の下、昇降モータ44(図9参照)の駆動に伴いギア43が回転することにより、上下動する。このとき、可動体42の下端に弾性体41の凹部41bが嵌合しているため、基部41xも可動体42と共に上下動する。弾性体41は、可動体42が上下動するとき、固定部41cがヘッドホルダ45に固定された状態で、突出部41aを含む基部41xが可動体42と共に上下動する。これにより、突出部41a(第1キャップ40)のキャップ先端40aの第1吐出面11aに対する鉛直方向の相対位置が変化する。
【0052】
突出部41aは、可動体42の上下動により、キャップ先端40aが搬送ベルト8の支持面8aに当接する当接位置(図7参照)と、キャップ先端40aが搬送ベルト8の支持面8aから離隔した離隔位置(図8参照)とを選択的に取る。図7に示すように、突出部41aが当接位置にあるとき、第1吐出空間S1が外部空間S3から隔離されて封止状態となる。また図8に示すように、突出部41aが離隔位置にあるとき、キャップ先端40aは第1吐出面11aと支持面8aとの間の位置にあり、第1吐出空間S1が外部空間S3に開放される開放状態となる。
【0053】
突出部41aは、平面視で、第1吐出面11a(図4に示すヘッド10Aの下面)の全周に亘って第1吐出面11aから離隔している。本実施形態においては、第1キャップ40により第1キャッピング手段が構成されている。
【0054】
次に、ヘッドホルダ55の周辺構造について説明する。なお、ヘッドホルダ55の周辺構造は、ヘッドホルダ45の周辺構造と略同一構造であるため、ヘッドホルダ55の周辺構造における、ヘッドホルダ45の周辺構造との対応部分は、ヘッドホルダ45の周辺構造の対応部分の符号に10を加算した符号を付して、説明を適宜割愛する。
【0055】
ヘッドホルダ55には、ヘッド10B毎に設けられた3つの第2キャップ50と、ヘッド10B毎に設けられた一対のジョイント71とが取り付けられている。
【0056】
一対のジョイント71は、加湿機構70の循環流路の一端及び他端をそれぞれ構成するものであり、加湿メンテナンスにおいて、一対のジョイント71のうち、一方のジョイント71の下面の開口71aから、第2吐出面11bと対向する第2吐出空間S2内の空気が回収され、他方のジョイント71の下面の開口71bから加湿空気が第2吐出空間S2へ供給される。
【0057】
ジョイント71は、基端71x、及び、基端71xから延出した先端71yを含む。基端71xから先端71yに亘って、鉛直方向に沿った円柱状の中空空間71zが貫通している。先端71yにはチューブ75,76の一端が接続される。ジョイント71は、先端71yがヘッドホルダ55の貫通孔55aに貫挿された状態で、ヘッドホルダ55に対して固定されている。
【0058】
第2キャップ50は、平面視でヘッド10Bの第2吐出面11bの外周を囲む環状に形成されておりヘッドホルダ55に支持された弾性体51、及び、上下動可能な可動体52を含む。
【0059】
弾性体51は、基部51x、突出部51a、固定部51c、及び接続部51dを含む。弾性体41は、上記各部を有しつつ、平面視でヘッド10Bの第2吐出面11bの外周を囲む環状に形成されている。また、基部51xの上面には、可動体52の下端に嵌合する凹部51bが形成されている。
【0060】
可動体52は、平面視でヘッド10Bの第2吐出面11bの外周を囲む環状に形成されている。可動体52は、弾性体51を介してヘッドホルダ55に支持されつつ、ヘッドホルダ55に対して鉛直方向に移動可能である。具体的には、可動体52は、複数のギア53と接続されており、制御装置100による制御の下、昇降モータ54(図9参照)の駆動に伴いギア53が回転することにより、上下動する。可動体52が上下動するとき、突出部51a(第2キャップ50)のキャップ先端50aの第2吐出面11bに対する鉛直方向の相対位置が変化する。
【0061】
突出部51aは、可動体52の上下動により、当接位置と、離隔位置とを選択的に取る。当接位置は、ヘッドホルダ55が印刷位置(図2(a)参照)にあるときにおいては、キャップ先端50aが搬送ベルト8の支持面8aに当接する位置であり、ヘッドホルダ55が退避位置(図2(c)参照)にあるときにおいては、キャップ先端50aが板状部材57に当接する位置である。このように突出部51aが当接位置にあるとき、第2吐出空間S2が外部空間S3から隔離される封止状態となる。一方、離隔位置は、ヘッドホルダ55が印刷位置にあるときにおいては、キャップ先端50aが搬送ベルト8の支持面8aから離隔した位置であり、ヘッドホルダ55が退避位置にあるときにおいては、キャップ先端50aが板状部材57から離隔した位置である。このように突出部51aが離隔位置にあるとき、第2吐出空間S2が外部空間S3に開放される開放状態となる。本実施形態においては、第2キャップ50、板状部材57、及び移動機構58により第2キャッピング手段が構成されている。
【0062】
次に、図3及び図7を参照し、加湿機構60,70及び補給機構80,90の構成について説明する。
【0063】
まず、加湿機構60、及び補給機構80について説明する。加湿機構60は、図7に示すように、ジョイント61、チューブ65,66、加湿ポンプ63、及び加湿タンク64を含む。ジョイント61はヘッド10Aに対して一対設けられている。
【0064】
チューブ65の一端はヘッド10Aに設けられた一方(図7の左側)のジョイント61の先端61yに嵌合し、他端は加湿タンク64に接続されている。即ち、チューブ65は、ヘッド10Aに設けられた一方のジョイント61の中空空間61zと加湿タンク64とを連通可能に接続している。このチューブ65には、加湿ポンプ63が設けられている。また、チューブ66の一端はヘッド10Aに設けられた他方(図7の右側)のジョイント61の先端61yに嵌合し、他端は加湿タンク64に接続されている。即ち、チューブ66は、ヘッド10Aに設けられた他方のジョイント61の中空空間61zと加湿タンク64とを連通可能に接続している。
【0065】
加湿タンク64は、下部空間に水を貯留し、且つ、上部空間に、下部空間の水により加湿された加湿空気を貯蔵している。チューブ65は、加湿タンク64内の水面よりも下方に接続し、即ち加湿タンク64の下部空間と連通している。チューブ66は、加湿タンク64内の水面よりも上方に接続し、即ち加湿タンク64の上部空間と連通している。なお、加湿タンク64内の水が加湿ポンプ63に流れ込まないよう、チューブ65には図示しない逆止弁が取り付けられており、図7の矢印方向にのみ空気が流れるようになっている。
【0066】
この構成において、ヘッド10Aの吐出特性の回復・維持を行う加湿メンテナンスが実行されると、制御装置100による制御の下、昇降モータ44が駆動されて第1キャップ40が当接位置とされ、第1吐出空間S1が外部空間S3から隔離される封止状態となる。さらに、制御装置100による制御の下、加湿ポンプ63が駆動される。これにより、加湿タンク64内の加湿空気が図7中の白抜き矢印に沿って流れる。即ち、加湿タンク64の上部空間の加湿空気は、加湿タンク64から開口61bに向かって流れ、第1吐出空間S1内を充満しつつ横切る。また、このとき、加湿タンク64内には負圧が生じ、第1吐出空間S1内の空気が開口61aから回収されて加湿タンク64に向かって流れる。このように循環方式で加湿メンテナンスを行うことにより、ヘッド10Aの吐出口108が保湿されて、当該吐出口108近傍のブラックインクの増粘が抑制され、ヘッド10Aの吐出特性が回復・維持される。
【0067】
補給機構80は、図3に示すように、チューブ81,82,バッファータンク83(第2保湿液タンク)、バッファーポンプ84、補給ポンプ85、バルブ86,87、及び本体内保湿液貯溜量センサ88,89(図9参照)を含む。チューブ81は、カートリッジ装着部2bに装着されている第2カートリッジ17bの第2保湿液貯溜室34と、バッファータンク83とを連通可能に接続している。このチューブ81には、バッファーポンプ84とバルブ86とが設けられている。チューブ82は、バッファータンク83と加湿タンク64とを連通可能に接続している。このチューブ82には、補給ポンプ85とバルブ87とが設けられている。このようにチューブ81,82により、加湿タンク64と第2保湿液貯溜室34とを結ぶ保湿液流路が形成されている。この構成において、バルブ86,87は保湿液の流通を遮断可能な開閉弁である。
【0068】
バッファータンク83は、加湿タンク64に供給される保湿液を一時的に貯溜する。本体内保湿液貯溜量センサ88は、バッファータンク83に貯溜されている保湿液の残量を検出する。本体内保湿液貯溜量センサ88により検出された保湿液の残量が所定量以下になると、制御装置100の制御の下、バルブ86が開弁され、且つバッファーポンプ84が駆動される。これにより、第2カートリッジ17bの第2保湿液貯溜室34からバッファータンク83へ保湿液が移送される。
【0069】
本体内保湿液貯溜量センサ89は、加湿タンク64内に貯溜されている保湿液の残量を検出する。本体内保湿液貯溜量センサ89により検出された保湿液の残量が加湿可能最低貯溜量未満となった場合、制御装置100の制御の下、バルブ87が開弁され、且つ補給ポンプ85が駆動される。これにより、バッファータンク83から加湿タンク64へ保湿液が移送される。ここで、『加湿可能最低貯溜量』とは、加湿タンク64に貯溜されている保湿液の、加湿メンテナンスを行うことができる最小量である。
【0070】
次に、加湿機構70及び補給機構90について説明する。なお、加湿機構70及び補給機構90は、加湿機構60及び補給機構80と略同一構造であるため、加湿機構70及び補給機構90における、加湿機構60及び補給機構80との対応部分は加湿機構60及び補給機構80の対応部分の符号に10を加算した符号を付して、説明を適宜割愛する。
【0071】
加湿機構70は、図3及び図7に示すように、ジョイント71、チューブ75,76、加湿ポンプ73、及び加湿タンク74を含む。また、チューブ75,76はそれぞれ、3つのヘッド10Bに共通の主部75a,76a、及び、主部75a,76aから分岐してジョイント71まで延在した3つの分岐部75b,76bを含む。加湿ポンプ73は、主部75aに設けられている。また、図3に示すように、ジョイント71はヘッド10Bに対して一対(2つずつ)設けられているが、加湿ポンプ73及び加湿タンク74は、3つのヘッド10Bに対して1つずつ設けられている。
【0072】
この構成において、ヘッド10Bの吐出特性の回復・維持を行う加湿メンテナンスが実行されると、制御装置100による制御の下、昇降モータ54が駆動されて第2キャップ50が当接位置とされ、第2吐出空間S2が外部空間S3から隔離される封止状態となる。さらに、制御装置100による制御の下、加湿ポンプ73が駆動される。これにより、加湿タンク74の上部空間の加湿空気は、加湿タンク74から開口71bに向かって流れ、第2吐出空間S2内を充満しつつ横切る。また、このとき、加湿タンク74内には負圧が生じ、第2吐出空間S2の空気が開口71aから回収されて加湿タンク74に向かって流れる。このように循環方式で加湿メンテナンスを行うことにより、ヘッド10Bの吐出口108が保湿され、当該吐出口108近傍のカラーインクの増粘が抑制され、ヘッド10Bの吐出特性が回復・維持される。
【0073】
補給機構90は、図3に示すように、チューブ91,92,バッファータンク93(第1保湿液タンク)、バッファーポンプ94、補給ポンプ95、バルブ96,97、及び本体内保湿液貯溜量センサ98,99を含む。チューブ91は、カートリッジ装着部2aに装着されている第1カートリッジ17aの第1保湿液貯溜室32と、バッファータンク93とを連通可能に接続している。このチューブ81,82により、加湿タンク74と第1保湿液貯溜室32とを結ぶ保湿液流路が形成されている。本体内保湿液貯溜量センサ98は、バッファータンク83に貯溜されている保湿液の残量を検出する。本体内保湿液貯溜量センサ98により検出された保湿液の残量が所定量以下になると、制御装置100の制御の下、バルブ96が開弁され、且つバッファーポンプ94が駆動される。これにより、第1カートリッジ17aの第1保湿液貯溜室32からバッファータンク93へ保湿液が移送される。
【0074】
本体内保湿液貯溜量センサ99は、加湿タンク74内に貯溜されている保湿液の残量を検出する。本体内保湿液貯溜量センサ99により検出された保湿液の残量が加湿可能最低貯溜量未満になると、制御装置100の制御の下、バルブ97が開弁され、且つ補給ポンプ95が駆動される。これにより、バッファータンク93から加湿タンク74へ保湿液が移送される。
【0075】
本実施形態において、加湿機構60,70により保湿手段が構成されている。また、補給機構80により第2移送手段が、補給機構90により第1移送手段が構成されている
【0076】
次に、図9を参照しつつ、制御装置100について説明する。制御装置100は、CPU(Central Processing Unit)と、CPUが実行するプログラム及びこれらプログラムに使用されるデータを書き替え可能に記憶するROM(Read Only Memory)と、プログラム実行時にデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)とを含んでいる。制御装置100を構成する各機能部は、これらハードウェアとROM内のソフトウェアとが協働して構築されている。図9に示すように、制御装置100は、搬送制御部151と、画像データ記憶部152と、ヘッド制御部153と、液体管理部154と、メンテナンス制御部155とを有している。
【0077】
搬送制御部151は、用紙Pが給紙ユニット101bから排紙部15まで搬送されるように、給紙ユニット101b、各送りローラ対14,28及び搬送機構16を制御する。画像データ記憶部152は、外部装置から受信した記録指令にかかる画像データを記憶する。
【0078】
ヘッド制御部153は、画像データ記憶部152に記憶された画像データに基づいて、ヘッド10A,10Bのアクチュエータユニット21を駆動することによって、所望のタイミングで吐出口108からインクを吐出させる。
【0079】
液体管理部154は、カートリッジ内インク貯溜量センサ130,131a〜131c、カートリッジ内保湿液貯溜量センサ140,141、及び本体内保湿液貯溜量センサ88,89,98,99の検出結果に基づいて、加湿タンク64,74における保湿液の貯溜量の管理や、第1及び第2保湿液貯溜室32,34に貯溜されている保湿液のバッファータンク83,93への移送等を行う。具体的には、例えば、液体管理部154は、加湿メンテナンス時に、加湿タンク64,74に加湿可能最低貯溜量以上の保湿液が貯溜されるように、バッファーポンプ84,94、補給ポンプ85,95、及びバルブ86,87,96,97等の動作を制御する。また、液体管理部154は、第1液体貯溜室31に貯溜されているブラックインクの貯溜量がブラックインク規定量以下となったときに、第1カートリッジ17aの第1保湿液貯溜室32に貯溜されている保湿液がバッファータンク93に移送されるように、バッファーポンプ94及びバルブ96を制御し、且つ、ブラックインクが不足している旨を表す画面、及び第1カートリッジ17aの交換をユーザに促す画面が表示されるようにディスプレイ120を制御する。ここで、『ブラックインク規定量』とは、インク不足により画像記録を行うことができなくなる、第1液体貯溜室31のインクの貯溜量の最大量である。
【0080】
同様に、液体管理部154は、第2液体貯溜室33a〜33cに貯溜されている何れかのカラーインクの貯溜量がカラーインク規定量以下となったときに、第2カートリッジ17bの第2保湿液貯溜室34に貯溜されている保湿液がバッファータンク83に移送されるように、バッファーポンプ84、及びバルブ86を制御し、且つカラーインクが不足している旨を表す画面、及び第2カートリッジ17bの交換をユーザに促す画面が表示されるようにディスプレイ120を制御する。ここで、『カラーインク規定量』とは、インク不足によりカラー記録を行うことができなくなる、第2液体貯溜室33a〜33c各々のインクの貯溜量の最大量である。
【0081】
メンテナンス制御部155は、加湿メンテナンス時において、昇降モータ44,54、ヘッド昇降機構56、移動機構58、及び加湿ポンプ63,73の駆動動作等を行う。なお、メンテナンス制御部155は、加湿メンテナンス時においては、第1吐出空間S1や第2吐出空間S2に間欠的に加湿空気が供給されるように構成されている。即ち、メンテナンス制御部155は、加湿メンテナンス時においては、加湿ポンプ63,73を間欠駆動する。
【0082】
続いて、プリンタ101の動作フローについて、図10を参照しつつ以下に説明する。なお、この図10の動作フローの開始時においては、ヘッド10A,10Bの吐出特性の回復・維持を行う加湿メンテナンスが行われている。即ち、第1キャップ40の突出部41a、及び第2キャップ50の突出部51aは当接位置にあり、第1及び第2吐出空間S1,S2が外部空間S3から隔離された封止状態にある。そして、メンテナンス制御部155により加湿ポンプ63,73が間欠駆動されており、封止状態にされた第1及び第2吐出空間S1,S2内には加湿空気が充満されている。また、上述したように、加湿メンテナンス時においては、加湿タンク64,74に加湿可能最低貯溜量以上の保湿液が貯溜されるように、メンテナンス制御部155によりバッファーポンプ84,94、補給ポンプ85,95、及びバルブ86,87,96,97が駆動されることにより、第1保湿液貯溜室32及びバッファータンク93から加湿タンク74への保湿液の移送、及び、第2保湿液貯溜室34及びバッファータンク83から加湿タンク64への保湿液の移送が行われている。なお、ヘッドホルダ55は印刷位置(図2(a)参照)に配置されており、突出部51aのキャップ先端50aは支持面8aと当接している。
【0083】
まず、図10に示すように、制御装置100は外部装置から記録指令を受信したか否かを判断する(A1)。記録指令を受信したと判断した場合(A1:YES)には、制御装置100は、当該記録指令にかかる画像データを画像データ記憶部152に記憶する(A2)。その後、制御装置100は、画像データ記憶部152に記憶されている画像データがモノクロ画像データであるか否かを判断する(A3)。
【0084】
ステップA3において、画像データがモノクロ画像データにあると判断した場合(A3:YES)には、メンテナンス制御部155は、加湿ポンプ63の駆動(間欠駆動)を停止し、且つ、昇降モータ44を駆動して第1キャップ40のキャップ先端40aを支持面8aから離隔させる(A4)。これにより、第1吐出空間S1が外部空間S3に開放される。また、ステップA3において、メンテナンス制御部155は、加湿ポンプ73の駆動を一時的に停止し、且つ、昇降モータ54を駆動して第2キャップ50のキャップ先端50aを支持面8aから離隔させる。そして、メンテナンス制御部155はヘッド昇降機構56を駆動してヘッドホルダ55を退避位置に移動させた後、移動機構58を駆動して板状部材57を対向位置に位置させる。その後、昇降モータ54を駆動して第2キャップ50のキャップ先端50aを板状部材57に当接させて、第2吐出空間S2を封止状態にする。その後、封止状態にされている第2吐出空間S2内に加湿空気が間欠的に供給されるように、加湿ポンプ73の間欠駆動を再開する。
【0085】
ステップA4の後、メンテナンス制御部155により加湿ポンプ73の間欠駆動がされている状態で、制御装置100はモノクロ記録を行う(A5)。具体的には、搬送制御部151が、用紙Pが給紙ユニット101bから排紙部15まで搬送されるように、給紙ユニット101b、各送りローラ対14,28及び搬送機構16を制御するとともに、ヘッド制御部153が、画像データ記憶部152に記憶されたモノクロ画像データに基づいて、ヘッド10Aのアクチュエータユニット21を駆動することによって、所望の体積のブラックインクの液滴を所望のタイミングで吐出口108から吐出させる。これにより、用紙P上に所望のモノクロ画像が形成される。
【0086】
このようにモノクロ記録が行われている際、メンテナンス制御部155により加湿ポンプ73の間欠駆動されており、第1保湿液貯溜室32から供給された保湿液が貯溜されている加湿タンク74において生成された加湿空気が、第2吐出空間S2に間欠的に供給されている。即ち、モノクロ記録においては、第1カートリッジ17aの第1液体貯溜室31に貯溜されているブラックインクと、第1保湿液貯溜室32に貯溜されている保湿液(第1保湿液貯溜室32から加湿タンク74に供給された保湿液)が同時に消費されている。これにより、ブラックインクの液体切れに伴って第1カートリッジ17aを交換する際の第1保湿液貯溜室32の保湿液の残量を低減させることができる。またさらに、モノクロ記録時において、第2カートリッジ17bの第2保湿液貯溜室34に貯溜されている保湿液が消費されることはないので、第2カートリッジ17bの第2液体貯溜室33a〜33cに貯溜されているカラーインクが切れる前に、第2保湿液貯溜室34に貯溜されている保湿液が切れる可能性を低減させることができる。
【0087】
ステップA5の後、メンテナンス制御部155は昇降モータ44を駆動して、第1キャップ40のキャップ先端40aを支持面8aに当接させる(A6)。これにより、第1吐出空間S1が外部空間S3から隔離される。また、また、ステップA6において、メンテナンス制御部155は、加湿ポンプ73の駆動を一時的に停止し、且つ、昇降モータ54を駆動して第2キャップ50のキャップ先端50aを板状部材57から離隔させる。そして、メンテナンス制御部155は、移動機構58を駆動して板状部材57を待機位置に移動させた後、ヘッド昇降機構56を駆動してヘッドホルダ55を印刷位置に移動させる。その後、昇降モータ54を駆動して第2キャップ50のキャップ先端50aを支持面8aに当接させて、第2吐出空間S2を封止状態にする。このステップA6の処理が終了すると、ステップA10の処理に移る。
【0088】
一方、ステップA3において、画像データがモノクロ画像データではないと制御装置100が判断した場合(A3:NO)には、画像データがカラー画像データであるとして、メンテナンス制御部155は、加湿ポンプ63,73の間欠駆動を停止し、且つ、昇降モータ44を駆動して第1キャップ40のキャップ先端40aを支持面8aから離隔させると共に、昇降モータ54を駆動して第2キャップ50のキャップ先端50aを支持面8aから離隔させる(A7)。これにより、第1及び第2吐出空間S1,S2が外部空間S3に開放される。その後、制御装置100はカラー記録を行う(A8)。具体的には、搬送制御部151が、用紙Pが給紙ユニット101bから排紙部15まで搬送されるように、給紙ユニット101b、各送りローラ対14,28及び搬送機構16を制御するとともに、ヘッド制御部153が、画像データ記憶部152に記憶されたカラー記録に係る画像データに基づいて、ヘッド10A,10Bのアクチュエータユニット21を駆動することによって、所望の体積のブラックインク及びカラーインクの液滴を所望のタイミングで吐出口108から吐出させる。これにより、用紙P上に所望のカラー画像が形成される。
【0089】
ステップA8の後、メンテナンス制御部155が、昇降モータ44を駆動して、第1キャップ40のキャップ先端40aを支持面8aに当接させるとともに、昇降モータ54を駆動して、第2キャップ50のキャップ先端50aを支持面8aに当接させる(A9)。これにより、第1及び第2吐出空間S1,S2が外部空間S3から隔離される。ステップA9の処理が終了すると、ステップA10の処理に移る。
【0090】
ステップA10では、メンテナンス制御部155は、加湿タンク64内の加湿空気が封止状態にされた第1吐出空間S1内に、加湿タンク74内の加湿空気が封止状態にされた第2吐出空間S2内に間欠的に供給されるように、加湿ポンプ63,73を間欠駆動する(A9)。これにより、ヘッド10A,10Bの吐出口108近傍のインクや処理液が乾燥してしまい、吐出口108の目詰まりが生じることを抑制することができる。このステップA10の処理が終了すると、ステップA1の処理に戻る。
【0091】
ステップA1において、制御装置100が、記録指令を受信していないと判断した場合(A1:NO)には、液体管理部154は、カートリッジ内インク貯溜量センサ130により検出された第1液体貯溜室31のブラックインクの残量がブラックインク規定量以下であるか否かを判断する(A11)。ブラックインクの残量がブラックインク規定量以下ではないと判断した場合(A11:NO)には、ステップA15の処理に移る。一方、ブラックインクの残量がブラックインク規定量以下であると判断した場合(A11:YES)には、液体管理部154は、カートリッジ内保湿液貯溜量センサ140により第1保湿液貯溜室32に保湿液が残存していると検出されているか否かを判断する(A12)。第1保湿液貯溜室32に保湿液が残存していると検出されていないと判断した場合(A12:NO)には、ステップA14の処理に移る。
【0092】
一方で、カートリッジ内保湿液貯溜量センサ140により第1保湿液貯溜室32に保湿液が残存していると検出されていると判断した場合(A12:YES)には、第1カートリッジ17aの第1保湿液貯溜室32に貯溜されている保湿液がバッファータンク93に移送されるように、バルブ96を開弁し、且つ、バッファーポンプ94を駆動する(A13)。これにより、ブラックインク切れに伴って第1カートリッジ17aが交換された後においては、第2吐出空間S2の加湿には、新たにカートリッジ装着部2aに装着された第1カートリッジ17aの第1保湿液貯溜室32に貯溜されている保湿液、及びバッファータンク93に貯溜されている保湿液の少なくとも何れかが用いられることになる。従って、第1カートリッジ17aを交換する際において、第1カートリッジ17aの第1保湿液貯溜室32に残存していた保湿液を、加湿メンテナンスに有効に利用することが可能となる。このステップA13の処理が終了するとステップA14の処理に移る。
【0093】
ステップA14では、第1カートリッジ17aに貯溜されているブラックインクが不足している旨を表す画面、及び第1カートリッジ17aの交換をユーザに促す画面をディスプレイ120に表示する。このステップA14の処理が終了するとステップA15の処理に移る。
【0094】
ステップA15では、液体管理部154は、カートリッジ内インク貯溜量センサ131a〜131cにより検出された第2液体貯溜室33a〜33cの何れかのカラーインクの残量がカラーインク規定量以下であるか否かを判断する。第2液体貯溜室33a〜33cのカラーインクの何れの残量もカラーインク規定量以下ではないと判断した場合(A15:NO)には、ステップA19の処理に移る。一方、何れかのカラーインクの残量がカラーインク規定量以下であると判断した場合(A15:YES)には、液体管理部154は、カートリッジ内保湿液貯溜量センサ141により第2保湿液貯溜室34に保湿液が残存していると検出されているか否かを判断する(A16)。第1保湿液貯溜室32に保湿液が残存していると検出されていないと判断した場合(A16:NO)には、ステップA18の処理に移る。
【0095】
一方で、カートリッジ内保湿液貯溜量センサ141により第2保湿液貯溜室34に保湿液が残存していると検出されていると判断した場合(A16:YES)には、液体管理部154は、第2カートリッジ17bの第2保湿液貯溜室34に貯溜されている保湿液がバッファータンク83に移送されるように、バルブ86を開弁し、バッファーポンプ84を駆動する(A17)。これにより、カラーインク切れに伴って第2カートリッジ17bが交換された後においては、第1吐出空間S1の加湿には、新たにカートリッジ装着部2bに装着された第2カートリッジ17bの第2保湿液貯溜室34に貯溜されている保湿液、及びバッファータンク83に貯溜されている保湿液の少なくとも何れかが用いられることになる。従って、第2カートリッジ17bを交換する際において、第2カートリッジ17bの第2保湿液貯溜室34に残存していた保湿液を、加湿メンテナンスに有効に利用することが可能となる。このステップA17の処理が終了するとステップA18の処理に移る。
【0096】
ステップA18では、第2カートリッジ17bに貯溜されているカラーインクが不足している旨を表す画面、及び第2カートリッジ17bの交換をユーザに促す画面をディスプレイ120に表示する。このステップA18の処理が終了するとステップA19の処理に移る。
【0097】
ステップA19の処理では、液体管理部154は、本体内保湿液貯溜量センサ99により検出された加湿タンク74内の保湿液の残量と、本体内保湿液貯溜量センサ98により検出されたバッファータンク93内の保湿液の残量と、カートリッジ内保湿液貯溜量センサ140により検出された第1保湿液貯溜室32内の残量とを合算した合算量が加湿可能最低貯溜量未満であるか否かを判断する。合算量が加湿可能最低貯溜量未満ではないと判断した場合(A19:NO)には、ステップA22の処理に移る。一方、合算量が加湿可能最低貯溜量未満であると判断した場合(A19:YES)には、バッファータンク93に貯溜されている保湿液、及び第1保湿液貯溜室32に貯溜されている保湿液を全て加湿タンク74内へ移送したとしても、ヘッド10Bの吐出特性の回復・維持を行う加湿メンテナンスは行うことができないので、メンテナンス制御部155は、加湿ポンプ73の間欠駆動を停止して、第2吐出空間S2内への加湿空気の供給を停止する(A20)。その後、ヘッド10Bの吐出特性の回復・維持に用いられる保湿液が不足している旨を表す画面、及び第1カートリッジ17aの交換をユーザに促す画面をディスプレイ120に表示し(A21)、ステップA22の処理に移る。
【0098】
ステップA22の処理では、液体管理部154は、本体内保湿液貯溜量センサ89により検出された加湿タンク64内の保湿液の残量と、本体内保湿液貯溜量センサ88により検出されたバッファータンク83内の保湿液の残量と、カートリッジ内保湿液貯溜量センサ141により検出された第2保湿液貯溜室34内の貯溜量とを合算した合算量が加湿可能最低貯溜量未満であるか否かを判断する。合算量が加湿可能最低貯溜量未満ではないと判断した場合(A22:NO)には、ステップA1の処理に戻る。一方、合算量が加湿可能最低貯溜量未満であると判断した場合(A22:YES)には、バッファータンク89に貯溜されている保湿液、及び第2保湿液貯溜室34に貯溜されている保湿液を全て加湿タンク64内へ移送したとしても、ヘッド10Aの吐出特性の回復・維持を行う加湿メンテナンスは行うことができないので、メンテナンス制御部155は、加湿ポンプ63の間欠駆動を停止して、第1吐出空間S1内への加湿空気の供給を停止する(A23)。その後、ヘッド10Aの吐出特性の回復・維持に用いられる保湿液が不足している旨を表す画面、及び第2カートリッジ17bの交換をユーザに促す画面をディスプレイ120に表示し(A24)、ステップA1の処理に戻る。以上、プリンタ101の動作について説明した。
【0099】
以上述べたように、本実施形態のプリンタ101及びカートリッジセット17によると、モノクロ記録を行うときには、メンテナンス制御部155により、第2吐出空間S2を外部空間S3から隔離し、且つ、第1カートリッジ17aの第1保湿液貯溜室32に貯溜されている保湿液を用いて第2吐出空間S2が加湿(保湿)されるように、メンテナンス制御部155により加湿ポンプ73が制御される。また、第1吐出空間S1及び第2吐出空間S2が封止状態となっているときには、第2カートリッジ17bの第2保湿液貯溜室34に貯溜されている保湿液を用いて第1吐出空間S1が保湿されるように加湿ポンプ63が制御され、且つ、第1カートリッジ17aの第1保湿液貯溜室32に貯溜されている保湿液を用いて第2吐出空間S2が保湿されるように加湿ポンプ73が制御される。これにより、モノクロ記録のみを行う際には、第1カートリッジ17aに貯溜されている保湿液が第2吐出空間S2の保湿に用いられるため、第1カートリッジ17aに貯溜されているブラックインクと保湿液が同時に消費されることになる。これにより、ブラックインクの液体切れに伴って第1カートリッジ17aを交換する際の保湿液の残量を低減させることができる。またさらに、モノクロ記録のみを行う際には、第2カートリッジ17bに貯溜されている保湿液が消費されることはないので、第2カートリッジ17bに貯溜されているカラーインクが切れる前に、第2カートリッジ17bに貯溜されている保湿液が切れる可能性を低減することができる。
【0100】
また、本実施形態のプリンタ101によると、カートリッジ装着部2aに装着する前の第1カートリッジ17aの第1保湿液貯溜室32に貯溜されている保湿液の貯溜量は、カートリッジ装着部2bに装着する前の第2カートリッジ17bの第2保湿液貯溜室34に貯溜されている保湿液の貯溜量よりも多くされている。このように封止状態となる時間・回数が第1吐出空間S1と比べて多い第2吐出空間S2の保湿に用いられる保湿液は、第1カートリッジ17aにその分多く貯溜されているので、第1カートリッジ17aに貯溜されているブラックインクが切れる前に、第1カートリッジ17aに貯溜されている保湿液が切れる可能性を低減させることができる。
【0101】
また、本実施形態のプリンタ101によると、第1カートリッジ17aをカートリッジ装着部2aから取り外す際、カートリッジ内保湿液貯溜量センサ140により第1保湿液貯溜室32に保湿液が残存していると検出された場合には、その残存している保湿液をバッファータンク93に移送するように、液体管理部154によりバッファーポンプ94が駆動される。そして、第2吐出空間S2が封止状態のときに、新たにカートリッジ装着部2aに装着された第1カートリッジ17aの第1保湿液貯溜室32に貯溜されている保湿液、及びバッファータンク93に貯溜されている保湿液を用いて第2吐出空間S2が保湿されるように加湿ポンプ73が制御される。同様に、第2カートリッジ17bをカートリッジ装着部2bから取り外す際、カートリッジ内保湿液貯溜量センサ141により第2保湿液貯溜室34に保湿液が残存していると検出された場合には、その残存している保湿液をバッファータンク83に移送するように、液体管理部154によりバッファーポンプ84が駆動される。そして、第1吐出空間S1が封止状態のときに、新たにカートリッジ装着部2bに装着された第2カートリッジ17bの第2保湿液貯溜室34に貯溜されている保湿液、及びバッファータンク83に貯溜されている保湿液を用いて第2吐出空間S2が保湿されるように加湿ポンプ63が制御される。これにより、ブラックインクやカラーインクのインク切れに伴って第1カートリッジ17a及び第2カートリッジ17bを交換する際に残存している保湿液を有効に活用することができる。
【0102】
また、本実施形態のカートリッジセット17によると、第1カートリッジ17aに貯溜されているブラックインクと保湿液を同時に消費させることが可能となるので、ブラックインクの液体切れに伴って第1カートリッジ17aを交換する際の保湿液の残量を低減させることができる。また、第2カートリッジ17bに貯溜されているカラーインクが消費されていないときに、当該第2カートリッジ17bに貯溜されている保湿液が消費される機会を減らすことができるので、第2カートリッジ17bに貯溜されているカラーインクが切れる前に、第2カートリッジ17bに貯溜されている保湿液が切れる可能性を低減することができる。
【0103】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、上述の実施形態においては、搬送機構16が、2つのベルトローラ6、7と、搬送ベルト8と、プラテン3とを有している構成であるが、搬送ベルトを有せず、複数の拍車ローラ等により用紙Pを搬送する構成であってもよい。
【0104】
また、上述した実施形態において、第1液体がブラックインクであり第2液体はカラーインクであるが、第1液体が第1液体中の成分を凝集又は析出させる成分を含有した画質向上液であり第2液体がブラックインクであってもよい。この場合、第2液体吐出ヘッドは1つとなる。
【0105】
また、上述した実施形態においては、加湿メンテナンスにおいて、加湿空気は循環するように構成されていたが、第1及び第2吐出空間S1、S2に供給された後、大気に放出される構成であってもよい。
【0106】
また、上述した実施形態においては、第1及び第2吐出空間S1、S2の保湿は、加湿タンク64,74により生成された加湿空気を第1及び第2吐出空間S1、S2内に供給することで行っていたが、第1吐出空間S1の保湿に第1カートリッジ17aの第1保湿液貯溜室32から供給された保湿液が用いられ、第2吐出空間S2の保湿に第2カートリッジ17bの第2保湿液貯溜室34から供給された保湿液が用いられるのであれば、他の手段により行われてもよい。例えば、封止状態にされた第1及び第2吐出空間S1、S2内に保湿液を貯溜し、当該貯溜された保湿液の気化により第1及び第2吐出空間S1、S2内を保湿してもよい。
【0107】
また、上述した実施形態においては、加湿ポンプ63,73を駆動させることで、加湿空気を生成していたが、他の機構で加湿空気を生成してもよい。例えば、加湿タンク64,74内の水をヒータ等により加湿することで加湿空気を生成してもよい。
【0108】
また、上述した実施形態においては、3つのヘッド10Bに対して1つの第2カートリッジ17bが設けられていたが、ヘッド10B毎に第2カートリッジ17bが設けられていてもよい。この場合、第2カートリッジ17b各々は、対応するヘッド10Bに供給するカラーインクを貯溜する第2液体貯溜室と、保湿液を貯溜する第2保湿液貯溜室とを有しており、第2カートリッジ17b各々の第2保湿液貯溜室が加湿タンク64と連通されていればよい。
【0109】
さらに、突出部41a,51aは、上述の実施形態のように移動可能であることに限定されない。例えば、突出部が移動不能にヘッドホルダに固定され、キャップ先端の吐出面に対する相対位置が一定であってもよい。この場合、ヘッドホルダ又は搬送ベルトの支持面を昇降させることにより、第1及び第2吐出空間S1,S2を封止状態から開放状態へ、又は開放状態から封止状態へと遷移させることができる。
【0110】
また、上述した実施形態では、ヘッド10Bの吐出特性の回復・維持を行う加湿メンテナンスにおいて、制御装置100がモノクロ記録を行うときは第2キャップ50のキャップ先端50aを板状部材57に当接させることで第2吐出空間S2を外部空間S3から隔離し、それ以外のときは第2キャップ50のキャップ先端50aを支持面8aに当接させることで第2吐出空間S2を外部空間S3から隔離する構成にされているが、加湿メンテナンスの際は常に、第2キャップ50のキャップ先端50aを板状部材57に当接させることで第2吐出空間S2を外部空間S3から隔離するように構成されていてもよい。また、ヘッド10Aの第1吐出面11aに対応する板状部材を設けて、ヘッド10Aの吐出特性の回復・維持を行う加湿メンテナンスにおいては、第1キャップ40のキャップ先端40aを当該板状部材に当接させることで、第1吐出空間S1を外部空間から隔離するように構成されていてもよい。
【0111】
また、本発明は、ライン式・シリアル式のいずれにも適用可能であり、また、プリンタに限定されず、ファクシミリやコピー機等にも適用可能である。また、液滴を吐出するため圧電方式のアクチュエータを用いているが、他の方式(例えば、抵抗加熱方式・静電方式等)であってもよい。
【0112】
記録媒体としては、特に用紙Pに限定されず、記録可能な様々な媒体であってよい。
【符号の説明】
【0113】
2a,2b カートリッジ装着部
10A インクジェットヘッド(第1液体吐出ヘッド)
10B インクジェットヘッド(第2液体吐出ヘッド)
17a 第1カートリッジ
17b 第2カートリッジ
31 第1液体貯溜室
32 第1保湿液貯溜室
33a〜33c 第2液体貯溜室
34 第2保湿液貯溜室
40 第1キャップ(第1キャッピング手段)
50 第2キャップ(第2キャッピング手段)
60,70 加湿機構(保湿手段)
100 制御装置(制御手段)
S1 第1吐出空間
S2 第2吐出空間
S3 外部空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の吐出口が開口した第1吐出面を有し、当該複数の吐出口から記録媒体に向けて第1液体を吐出し得る第1液体吐出ヘッドと、
複数の吐出口が開口した第2吐出面を有し、当該複数の吐出口から記録媒体に向けて前記第1液体とは異なる第2液体を吐出し得る第2液体吐出ヘッドと、
前記第1液体吐出ヘッドに供給する前記第1液体を貯溜する第1液体貯溜室と、保湿液を貯溜する第1保湿液貯溜室とを有する第1カートリッジと、
前記第2液体吐出ヘッドに供給する前記第2液体を貯溜する第2液体貯溜室と、保湿液を貯溜する第2保湿液貯溜室とを有する第2カートリッジと、
前記第1カートリッジ、及び前記第2カートリッジそれぞれが交換可能に装着されるカートリッジ装着部と、
前記第1吐出面と対向する第1吐出空間を外部空間から隔離する封止状態と、前記第1吐出空間を外部空間に開放する開放状態とを取り得る第1キャッピング手段と、
前記第2吐出面と対向する第2吐出空間を外部空間から隔離する封止状態と、前記第2吐出空間を外部空間に開放する開放状態とを取り得る第2キャッピング手段と、
前記封止状態となっているときの前記第1吐出空間、及び前記封止状態となっているときの前記第2吐出空間を保湿する保湿手段と、
前記第1液体吐出ヘッド、前記第2液体吐出ヘッド、前記第1キャッピング手段、前記第2キャッピング手段、及び前記保湿手段を制御する制御手段と
を備え、
前記制御手段は、
前記第1液体吐出ヘッドから前記第1液体を吐出する第1モード記録のみを行うときには、前記第2吐出空間が前記封止状態となるように前記第2キャッピング手段を制御し、且つ、前記第1カートリッジの前記第1保湿液貯溜室に貯溜されている前記保湿液を用いて前記第2吐出空間が保湿されるように前記保湿手段を制御し、
前記第1吐出空間及び前記第2吐出空間が前記封止状態となっているときには、前記第2カートリッジの前記第2保湿液貯溜室に貯溜されている保湿液を用いて前記第1吐出空間が保湿されるように前記保湿手段を制御し、且つ、前記第1カートリッジの前記第1保湿液貯溜室に貯溜されている保湿液を用いて前記第2吐出空間が保湿されるように前記保湿手段を制御することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記第2液体吐出ヘッドは複数設けられており、
前記第1液体はブラックインクであり、
前記複数の第2液体吐出ヘッドそれぞれから吐出される前記第2液体は、ブラック以外の互いに異なる色のカラーインクであり、
前記第2カートリッジは前記第2液体吐出ヘッドの個数と同数の前記第2液体貯溜室を有しており、各第2液体貯溜室には、対応する前記第2液体吐出ヘッドの第2液体がそれぞれ貯溜されていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記カートリッジ装着部に装着する前の前記第1カートリッジの前記第1保湿液貯溜室に貯溜されている保湿液の貯溜量は、前記カートリッジ装着部に装着する前の前記第2カートリッジの前記第2保湿液貯溜室に貯溜されている保湿液の貯溜量よりも多いことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記カートリッジ装着部に装着された前記第1カートリッジの前記第1保湿液貯溜室と連通する第1保湿液タンクと、前記カートリッジ装着部に装着された前記第2カートリッジの前記第2保湿液貯溜室と連通する第2保湿液タンクと、前記第1保湿液貯溜室及び前記第2保湿液貯溜室に貯留されている保湿液の残量を検出する検出手段と、前記第1保湿液貯溜室に貯留されている保湿液を前記第1保湿液タンクへ移送するための第1移送手段と、前記第2保湿液貯溜室に貯留されている保湿液を前記第2保湿液タンクへ移送するための第2移送手段と、を更に備えており、
前記制御手段は、
前記第1カートリッジを前記カートリッジ装着部から取り外す際、前記検出手段により前記第1保湿液貯溜室に前記保湿液が残存していると検出された場合には、その残存している保湿液を前記第1保湿液タンクに移送するように前記第1移送手段を制御し、前記第2吐出空間が前記封止状態のときに、新たに前記カートリッジ装着部に装着された第1カートリッジの前記第1保湿液貯溜室に貯溜されている保湿液、及び前記第1保湿液タンクに貯溜されている保湿液の少なくとも何れかを用いて前記第2吐出空間が保湿されるように前記保湿手段を制御し、
前記第2カートリッジを前記カートリッジ装着部から取り外す際、において前記検出手段により前記第2保湿液貯溜室に前記保湿液が残存していると検出された場合には、その残存している保湿液を前記第2保湿液タンクに移送するように前記第2移送手段を制御し、前記第1吐出空間が前記封止状態のときに、新たに前記カートリッジ装着部に装着された第2カートリッジの前記第2保湿液貯溜室に貯溜されている保湿液、及び前記第2保湿液タンクに貯溜されている保湿液の少なくとも何れかを用いて前記第1吐出空間が保湿されるように前記保湿手段を制御することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
複数の吐出口が開口した第1吐出面を有し、当該複数の吐出口から記録媒体に向けて第1液体を吐出し得る第1液体吐出ヘッドと、複数の吐出口が開口した第2吐出面を有し、当該複数の吐出口から記録媒体に向けて前記第1液体とは異なる第2液体を吐出し得る第2液体吐出ヘッドと、前記第1吐出面と対向する第1吐出空間を外部空間から隔離する封止状態と、前記第1吐出空間を外部空間に開放する開放状態とを取り得る第1キャッピング手段と、前記第2吐出面と対向する第2吐出空間を外部空間から隔離する封止状態と、前記第2吐出空間を外部空間に開放する開放状態とを取り得る第2キャッピング手段と、前記封止状態となっているときの前記第1吐出空間、及び前記封止状態となっているときの前記第2吐出空間を保湿する保湿手段と、前記第1液体吐出ヘッド、前記第2液体吐出ヘッド、前記第1キャッピング手段、前記第2キャッピング手段、及び前記保湿手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記第1液体吐出ヘッドから前記第1液体を吐出する第1モード記録のみを行うときには、前記第2吐出空間が前記封止状態となるように前記第2キャッピング手段を制御し、且つ、保湿液を用いて前記第2吐出空間が保湿されるように前記保湿手段を制御し、前記第1吐出空間及び前記第2吐出空間が前記封止状態となっているときには、保湿液を用いて前記第1吐出空間及び前記第2吐出空間が保湿されるように前記保湿手段を制御する液体吐出装置のカートリッジ装着部に交換可能に装着される、第1カートリッジと第2カートリッジとからなるカートリッジセットであって、
前記第1カートリッジは、前記第1液体吐出ヘッドに供給する第1液体を貯溜する第1液体貯溜室と、前記第2吐出空間が前記封止状態のときに、当該第2吐出空間の保湿に用いられる保湿液を貯溜する第1保湿液貯溜室とを有し、
前記第2カートリッジは、第2液体吐出ヘッドに供給する第2液体を貯溜する第2液体貯溜室と、前記第1吐出空間が前記封止状態のときに、当該第1吐出空間の保湿に用いられる保湿液を貯溜する第2保湿液貯溜室とを有していることを特徴とするカートリッジセット。
【請求項6】
複数の吐出口が開口した第1吐出面を有し、当該複数の吐出口から記録媒体に向けて第1液体を吐出し得る第1液体吐出ヘッドと、複数の吐出口が開口した第2吐出面を有し、当該複数の吐出口から記録媒体に向けて前記第1液体とは異なる第2液体を吐出し得る第2液体吐出ヘッドとを備えた液体吐出装置のカートリッジ装着部に交換可能に装着される、第1カートリッジと第2カートリッジとからなるカートリッジセットであって、前記第1カートリッジは、前記第1液体吐出ヘッドに供給する第1液体を貯溜する第1液体貯溜室と、前記第2吐出面の前記複数の吐出口を保湿するための保湿液を貯溜する第1保湿液貯溜室とを有し、前記第2カートリッジは、第2液体吐出ヘッドに供給する第2液体を貯溜する第2液体貯溜室と、前記第1吐出面の前記複数の吐出口を保湿するための保湿液を貯溜する第2保湿液貯溜室とを有していることを特徴とするカートリッジセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−28109(P2013−28109A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166572(P2011−166572)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】