説明

液体吐出装置及び画像記録装置

【課題】複数の液体吐出ヘッドを有していても小型化を可能にする。
【解決手段】インクジェットプリンタ1は、副走査方向に沿って2列に並べられ且つ異なる列に属する2つのインク吐出面が主走査方向に沿って重ならないように配列された8つのインクジェットヘッド2と、8つのインクジェットヘッド2とそれぞれ対応する8つのキャップ61,62と、8つのキャップ61,62を移動させる移動機構70とを含んでいる。4つのキャップ61は、1つの列に属するインクジェットヘッド2と主走査方向に沿って重なり且つ別の列に属するインクジェットヘッド2と副走査方向に沿って重なる位置に配置されており、4つのキャップ62は、別の列に属するインクジェットヘッド2と主走査方向に沿って重なり且つ1つの列に属するインクジェットヘッド2と副走査方向に沿って重なる位置に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を吐出する液体吐出ヘッドを有する液体吐出装置及び画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、用紙搬送方向に4つ並べて設けられた長尺なインクジェットヘッドと、4つのインクジェットヘッドのメンテナンスを行うメンテナンスユニットとを含むインクジェットプリンタについて記載されている。このインクジェットプリンタにおいて、メンテナンスユニットは、用紙搬送方向と平行な方向に水平移動可能なフレーム、このフレーム上に設けられたブレード、ワイプローラ、インク吸引部材及び4つのキャップを有している。4つのキャップは、4つのインクジェットヘッドのノズル面を覆うことができるように、長尺に形成されており、且つ、用紙搬送方向に沿って並設されている。そして、メンテナンスユニットがパージ位置にあるときに、各キャップがノズル面を覆い、ノズルからキャップに向かってインクが吐出されるパージ動作が行われる。その後、各キャップがノズル面から離隔しメンテナンスユニットが退避位置に移動しているときに、インク吸引部材、ワイプローラ及びブレードが順にノズル面に対向し、各部材によってインク吸引及び拭き取りが行われる。こうして、4つのインクジェットヘッドのメンテナンスが行われる。
【0003】
【特許文献1】特開2005−132025号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に記載のインクジェットプリンタにおいて、メンテナンスユニットに設けられた4つのキャップは、4つのインクジェットヘッドの位置関係と同じ位置関係でフレーム上に配置されている。従って、例えば、4つのインクジェットヘッドを1つの組として、もう1組を、用紙に対する各組の印字領域が用紙搬送方向と直交する方向に関して途切れないように直交する方向にずれた位置であって、各組の印字領域が重ならないように用紙搬送方向にずれた位置(すなわち、2組が用紙搬送方向に対して斜めの位置関係となる位置)に増設した場合、インクジェットヘッドの位置関係と同じ位置関係で配置された8つのキャップが1つのフレーム上に設けられることになり、インクジェットプリンタが用紙搬送方向に関して大型化してしまう。
【0005】
そこで、本発明の目的は、複数の液体吐出ヘッドを有していても小型化が可能な液体吐出装置及び画像記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液体吐出装置は、液体吐出領域が形成された液体吐出面をそれぞれ有し、それぞれの前記液体吐出面が一方向に沿って2列に並べられ且つ異なる前記列に属する2つの前記液体吐出面が前記液体吐出面の面内方向に関して前記一方向と直交する方向に沿って重ならないように配列された複数の液体吐出ヘッドと、前記液体吐出面と当接することによって当該液体吐出面に形成された前記液体吐出領域を覆うことが可能な複数のキャップと、前記キャップが前記液体吐出面と対向するキャップ位置及び前記液体吐出面と対向しない退避位置との間において前記複数のキャップを移動させる移動機構とを備えている。前記複数のキャップが前記退避位置に配置されているときに、1つの前記列に係る前記液体吐出ヘッドに対応する前記キャップが、前記1つの列に係る前記液体吐出ヘッドと前記直交する方向に沿って重なり且つ別の前記列に係る前記液体吐出ヘッドと前記一方向に沿って重なる位置に配置されており、前記別の列に係る前記液体吐出ヘッドに対応する前記キャップが、前記別の列に係る前記液体吐出ヘッドと前記直交する方向に沿って重なり且つ前記1つの列に係る前記液体吐出ヘッドと前記一方向に沿って重なる位置に配置されている。
【0007】
これによると、複数の液体吐出ヘッドの液体吐出面を一方向に沿って2列に並べ、異なる列に属する2つの液体吐出面が直交する方向に沿って重ならないように配列することで、直交する方向に関して、各液体吐出ヘッドに隣接する領域にそれぞれ空いた空間が形成されても、これら空間には各液体吐出ヘッドに対応する複数のキャップが配置される。このように空いた空間にキャップを配置することで、複数のキャップを配置する別の空間を設ける必要がなくなって、液体吐出装置の小型化を図ることができる。
【0008】
本発明において、前記移動機構が、前記キャップを前記直交する方向に移動させることが好ましい。
【0009】
また、本発明において、前記複数の液体吐出ヘッドが、前記直交する方向に関する位置が同じであって前記液体吐出面が近接した2以上の液体吐出ヘッドからそれぞれなる、異なる前記列に係る2つのヘッド組に分けられていることが好ましい。
これにより、直交する方向に関して、2つのヘッド組に隣接する領域にそれぞれ空いた空間が形成されても、これら空間には各ヘッド組に属する液体吐出ヘッドに対応する複数のキャップが配置される。そのため、装置の小型化を図ることができる。
【0010】
また、このとき、前記1つのヘッド組に属する前記液体吐出ヘッド及び前記別のヘッド組に属する前記液体吐出ヘッドから同じ色のインクが吐出されると共に、前記ヘッド組に属する前記液体吐出ヘッドが互いに異なる色のインクを吐出し、すべての前記液体吐出ヘッドのうち、記録媒体上において最も目立つ色のインクを吐出する前記液体吐出ヘッド同士が、前記一方向に関して最も近接して配置されていてもよい。
これにより、記録媒体上において最も目立つ色のインクを吐出する液体吐出ヘッドが一方向に関して最も近接して配置されているので、記録媒体が一方向に対して傾いて搬送されることで生じる着弾色のずれが目立ちにくくなる。
【0011】
また、このとき、前記最も目立つ色のインクが、すべての前記液体吐出ヘッドから吐出されるインクのうち、最も明度が小さい色のインクであってもよい。これにより、記録媒体が白の用紙であっても、着弾色のずれが目立ちにくくなる。
【0012】
また、このとき、前記すべての液体吐出ヘッドのうち、記録媒体上において最も目立ちにくい色のインクを吐出する前記液体吐出ヘッド同士が、前記一方向に関して最も離れて配置されていてもよい。
これにより、記録媒体上において最も目立ちにくい色のインクを吐出する液体吐出ヘッドが一方向に関して最も離れて配置されているので、記録媒体が一方向に対して傾いて搬送されることで生じる着弾色のずれがより目立ちにくくなる。
【0013】
また、このとき、前記最も目立ちにくい色のインクが、すべての前記液体吐出ヘッドから吐出されるインクのうち、最も明度が大きい色のインクであってもよい。これにより、記録媒体が白の用紙であっても、着弾色のずれがより目立ちにくくなる。
【0014】
また、本発明において、前記複数の液体吐出ヘッドが、前記液体吐出面が前記一方向に関して近接していると共に異なる前記列に係る2つの前記液体吐出ヘッドからそれぞれなる複数のヘッド組に分けられていることが好ましい。
これにより、直交する方向に関して、各ヘッド組に属する液体吐出ヘッドに隣接する領域にそれぞれ空いた空間が形成されても、これら空間には複数のキャップが配置される。そのため、装置の小型化を図ることができる。
【0015】
また、このとき、前記複数の液体吐出ヘッドが、前記ヘッド組毎に異なる色のインクを吐出していてもよい。
これにより、複数の液体吐出ヘッドがヘッド組毎に異なる色のインクを吐出しても、ヘッド組に属する液体吐出ヘッドが同じ色のインクを吐出するので、記録媒体が一方向に対して傾いて搬送されることで生じる着弾色のずれがほとんど目立たなくなる。
【0016】
また、このとき、前記複数の液体吐出ヘッドが前記一方向に関して千鳥状に配置されるように、前記複数のヘッド組が前記一方向に関して並設されていてもよい。
これにより、複数のキャップを液体吐出ヘッドの千鳥状パターンとは逆の千鳥状パターンに配置することができ、液体吐出装置の小型化に寄与する。
【0017】
また、このとき、1つの前記ヘッド組に属する2つの前記液体吐出ヘッドのうち一方に位置する前記液体吐出ヘッドと、当該1つのヘッド組に隣接する別の前記ヘッド組に属する2つの前記液体吐出ヘッドのうち一方に位置する液体吐出ヘッドとが前記直交する方向に関する位置が同じであって前記一方向に関して近接して配置され、前記別のヘッド組に属する2つの前記液体吐出ヘッドのうち他方に位置する前記液体吐出ヘッドと、当該別のヘッド組に隣接し且つ前記1つのヘッド組とで当該別のヘッド組を挟む位置に配置された前記ヘッド組に属する2つの前記液体吐出ヘッドのうち他方に位置する前記液体吐出ヘッドとが前記直交する方向に関する位置が同じであって前記一方向に関して近接して配置されるように、前記複数のヘッド組が前記一方向に関して並設されていてもよい。
これにより、隣接するヘッド組に属し且つ近接する2つの液体吐出ヘッドにそれぞれ対応する2つのキャップを直交する方向に関して同じ位置であって一方向に関して近接して配置することが可能になる。
【0018】
また、このとき、前記移動機構が、隣接する2つの前記ヘッド組において、前記一方向に関して最も外側に位置する2つの前記液体吐出ヘッド間に挟まれた2つの前記液体吐出ヘッドにそれぞれ対応する2つの前記キャップを支持する支持部材と、前記支持部材と連結され、前記直交する方向に沿って走行することによって前記キャップを前記退避位置から前記直交する方向に沿って前記キャップ位置に移動させるベルトとを有していてもよい。
これにより、支持部材が2つの液体吐出ヘッドにそれぞれ対応する2つのキャップを支持しているので、移動機構の構成が簡易になる。
【0019】
また、このとき、前記支持部材に連結された前記ベルトが隣接した2つの前記ヘッド組間に配置されており、当該ベルトの前記直交する方向に延在する部分が鉛直方向に関して対向して配置されていてもよい。
これにより、支持部材に連結されたベルトがヘッド組間に配置されていても、当該ベルトの直交する方向に延在する部分が鉛直方向に関して対向して配置されているので、ヘッド組間の間隙を小さくすることができる。
【0020】
また、本発明において、前記複数の液体吐出ヘッドが、前記液体吐出面が前記一方向に関して近接していると共に異なる前記列に係る2つの前記液体吐出ヘッドからそれぞれなる複数の第1ヘッド組、及び、前記一方向に関して前記複数の第1ヘッド組を挟む2つの液体吐出ヘッドからなる第2ヘッド組に分けられており、1つの前記第1ヘッド組に属する2つの前記液体吐出ヘッドのうち一方に位置する前記液体吐出ヘッドと、当該1つの第1ヘッド組に隣接する別の前記第1ヘッド組に属する2つの前記液体吐出ヘッドのうち一方に位置する前記液体吐出ヘッドとが前記直交する方向に関して同じ位置であって前記一方向に関して近接して配置され、前記別の第1ヘッド組に属する2つの前記液体吐出ヘッドのうち他方に位置する前記液体吐出ヘッドと、当該別の第1ヘッド組に隣接し且つ前記1つの第1ヘッド組とで当該別の第1ヘッド組を挟む位置に配置された第1ヘッド組に属する2つの前記液体吐出ヘッドのうち他方に位置する前記液体吐出ヘッドとが前記直交する方向に関して同じ位置であって前記一方向に関して近接して配置されるように、前記複数の第1ヘッド組が前記一方向に関して並設されていることが好ましい。
これにより、隣接する第1ヘッド組に属し且つ近接する2つの液体吐出ヘッドにそれぞれ対応する2つのキャップを直交する方向に関して同じ位置であって一方向に関して近接して配置することが可能になる。
【0021】
また、このとき、前記複数の第1ヘッド組に係るすべての前記液体吐出ヘッドのうち前記一方向に関して最も外側に配置された前記液体吐出ヘッドと、当該液体吐出ヘッドと隣接する前記第2ヘッド組に属する前記液体吐出ヘッドとが、前記直交する方向に関する位置が同じになるように配置されていてもよい。
これにより、第2ヘッド組に属する液体吐出ヘッド及び当該液体吐出ヘッドと隣接する第1ヘッド組に属する液体吐出ヘッドにそれぞれ対応する2つのキャップを直交する方向に関して同じ位置であって一方向に関してそれぞれ近接して配置することが可能になる。
【0022】
また、このとき、前記移動機構が、隣接する2つの前記第1ヘッド組において、前記一方向に関して最も外側に位置する2つの前記液体吐出ヘッド間に挟まれた2つの前記液体吐出ヘッドにそれぞれ対応する2つの前記キャップを支持する第1支持部材と、前記複数の第1ヘッド組に係るすべての前記液体吐出ヘッドのうち、前記一方向に関して最も外側の一方に位置する前記液体吐出ヘッドに対応する前記キャップ、及び、前記第2ヘッド組に属し前記一方に位置する液体吐出ヘッドに隣接する前記第2ヘッド組に属する前記液体吐出ヘッドに対応する前記キャップを支持する第2支持部材と、前記複数の第1ヘッド組に係るすべての前記液体吐出ヘッドのうち、前記一方向に関して最も外側の他方に位置する前記液体吐出ヘッドに対応する前記キャップ、及び、前記第2ヘッド組に属し前記他方に位置する液体吐出ヘッドに隣接する前記第2ヘッド組に属する前記液体吐出ヘッドに対応する前記キャップを支持する第3支持部材と、前記第1、第2及び第3支持部材とそれぞれ連結され、前記直交する方向に沿って走行することによって前記キャップを前記退避位置から前記キャップ位置に移動させる複数のベルトとを有していてもよい。
これにより、第1〜第3支持部材が、2つの液体吐出ヘッドにそれぞれ対応する2つのキャップを支持しているので、移動機構の構成が簡易になる。
【0023】
また、このとき、前記複数の液体吐出ヘッドが、前記第1及び第2ヘッド組毎に異なる色のインクを吐出し、前記第2ヘッド組に属する前記液体吐出ヘッドが、すべての前記液体吐出ヘッドのうち、記録媒体上において最も目立ちにくい色のインクを吐出していてもよい。
これにより、複数の液体吐出ヘッドが第1及び第2ヘッド組毎に異なる色のインクを吐出しても、一方向に関して最も離隔された第2ヘッド組に属する液体吐出ヘッドから、記録媒体上において最も目立ちにくい色のインクが吐出されるので、記録媒体が一方向に対して傾いて搬送されることで生じる着弾色のずれがより目立ちにくくなる。
【0024】
また、このとき、前記最も目立ちにくい色のインクが、すべての前記液体吐出ヘッドから吐出されるインクのうち、最も明度が大きい色のインクであってもよい。これにより、記録媒体が白の用紙であっても、着弾色のずれがより目立ちにくくなる。
【0025】
本発明の画像記録装置は、インク吐出領域が形成されたインク吐出面をそれぞれ有し、それぞれの前記インク吐出面が一方向に沿って2列に並べられ且つ異なる前記列に属する2つの前記インク吐出面が前記インク吐出面の面内方向に関して前記一方向と直交する方向に沿って重ならないように配列された複数のインクジェットヘッドと、記録媒体を、前記インク吐出面と対向させつつ前記一方向に搬送させる記録媒体搬送機構と、前記インク吐出面と当接することによって当該インク吐出面に形成された前記インク吐出領域を覆うことが可能な複数のキャップと、前記キャップが前記インク吐出面と対向するキャップ位置及び前記インク吐出面と対向しない退避位置との間において前記複数のキャップを移動させる移動機構とを備えている。そして、前記複数のキャップが前記退避位置に配置されているときに、1つの前記列に係る前記インクジェットヘッドに対応する前記キャップが、前記1つの列に係る前記インクジェットヘッドと前記直交する方向に沿って重なり且つ別の前記列に係る前記インクジェットヘッドと前記一方向に沿って重なる位置に配置されており、前記別の列に係る前記インクジェットヘッドに対応する前記キャップが、前記別の列に係る前記インクジェットヘッドと前記直交する方向に沿って重なり且つ前記1つの列に係る前記インクジェットヘッドと前記一方向に沿って重なる位置に配置されている。
【0026】
これによると、複数のインクジェットヘッドのインク吐出面を一方向に沿って2列に並べ、異なる列に属する2つのインク吐出面が直交する方向に沿って重ならないように配列することで、直交する方向に関して、各インクジェットヘッドに隣接する領域にそれぞれ空いた空間が形成されても、これら空間には各インクジェットヘッドに対応する複数のキャップが配置される。このように空いた空間にキャップを配置することで、複数のキャップを配置する別の空間を設ける必要がなくなって、画像記録装置の小型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0028】
図1は、本発明の第1実施形態によるインクジェットプリンタ要部の平面図である。図2は、図1に示すII−II線に沿った断面図である。図3は、図1に示す2つのヘッド組を下方から見たときの図である。
【0029】
インクジェットプリンタ(液体吐出装置、画像記録装置)1は、図1に示すように、4つのインクジェットヘッド(液体吐出ヘッド)2からそれぞれなる2つのヘッド組3a、3bを有するライン式のカラーインクジェットプリンタである。このインクジェットプリンタ1には、図1中上方に給紙部が、図1中下方に排紙部が(ともに図示せず)、それぞれ構成されている。
【0030】
インクジェットプリンタ1の2つのヘッド組3と対向する位置であって給紙部及び排紙部とに挟まれた位置には、記録媒体たる用紙を8つのインクジェットヘッド2のインク吐出面(液体吐出面)4と対向する位置に搬送する用紙搬送機構(記録媒体搬送機構)10が設けられている。用紙搬送機構10は、図1に示すように、上下方向に関して2つのヘッド組3a,3bを挟む位置に配置された一対のベルトローラ6,7と、一対のベルトローラ6,7に架け渡された搬送ベルト8とを有している。このうち、ベルトローラ7には図示しない搬送モータから駆動力が与えられて、所定方向に回転する。このベルトローラ7の所定方向への回転によって、用紙を用紙搬送方向A(図1中上方から下方に向う方向)に搬送するように、搬送ベルト8が走行する。
【0031】
搬送ベルト8はベース基材とウレタンゴムの2層構造で構成されており、その外周面、すなわち、搬送面9が粘着性を有している。そして、給紙部から送りされ出された用紙が、搬送面9の粘着力により保持されながら、搬送方向Aに搬送される。
【0032】
8つのインクジェットヘッド2は、図1及び図2に示すように、それぞれ主走査方向(搬送方向Aと直交する方向)に長尺な直方体形状を有している。また、インクジェットヘッド2はその下端にヘッド本体5を有している。
【0033】
ヘッド本体5の上面には、カバー14によって部分的に覆われた、インクを一時的に貯溜するリザーバユニットが固定されている。リザーバユニットの図1中左方端部には、チューブジョイント11が接続されており、このチューブジョイント11から供給されたインクを貯溜するインク溜まりがリザーバユニットの内部に形成されている。リザーバユニットは、主走査方向(一方向と直交する方向)に関してヘッド本体5よりも長く形成されており、この両側に延出した部分12が昇降フレーム(不図示)への固定部となっている。この昇降フレームには、すべてのインクジェットヘッド2が固定部を介して固定されており、図示しない昇降機構によって上下動可能になっている。
【0034】
通常、8つのインクジェットヘッド2は、インク吐出面4と搬送ベルト8の搬送面9とが平行となり、且つこれらの面間に所定の隙間が形成される印刷位置(図2中に示すインクジェットヘッド2の位置)に配置されている。この構成において、搬送ベルト8によって搬送される用紙が8つのヘッド本体5のすぐ下方側を順に通過する際に、この用紙上に所望画像が形成される。一方、インクジェットヘッド2のメンテナンス時は、昇降フレームが昇降機構によって移動されて、8つのインクジェットヘッド2が印刷位置よりも上方に離れたヘッドメンテナンス位置(図4(a)参照)に配置される。
【0035】
ヘッド本体5の底面、すなわち、インクジェットヘッド2のインク吐出面4には、図3に示すように、インクを吐出する複数の微小径のノズル(液体吐出口)4aと、これらノズル4aが集まって構成されたインク吐出領域(液体吐出領域)4bと、インク吐出領域4bを取り囲む外側領域4cとが形成されている。
【0036】
また、8つのインクジェットヘッド2は、図3に示すように、インク吐出面4が副走査方向に沿って4つずつ2列に並べられ且つ異なる列に属するインク吐出面4同士が主走査方向に沿って重ならないように配列されている。また、8つのインクジェットヘッド2は、隣接するインク吐出面4が主走査方向にずれずに副走査方向(搬送方向Aと平行な方向:一方向)に関して互いに近接した4つのインクジェットヘッド2からなる2つのヘッド組3a,3bに分けられている。
【0037】
2つのヘッド組3a,3bは、副走査方向に位置をずらして千鳥状に配置されている。また、2つのヘッド組3a,3bは、ヘッド組毎のインク吐出面4が副走査方向に沿って互いにオーバーラップしており、各ヘッド組3a,3bの用紙に対する印字領域(すなわち、インク吐出領域4b)が主走査方向に連続している。
【0038】
具体的には、主走査方向に関して1つのインク吐出領域内における隣接するノズル4aのノズル間隔と、主走査方向に関してヘッド組3aに係るインク吐出面4において最も内側(図3中左側)に形成されたノズル4aとヘッド組3bに係るインク吐出面4において最も内側(図3中右側)に形成されたノズル4aとの間隔とが等間隔になるように、インクジェットヘッド2が配列されている。
【0039】
また、各ヘッド組3a,3bに属する4つのインクジェットヘッド2は、互いに異なる4色のインク(マゼンタ、イエロー、シアン、ブラック)を吐出する。具体的には、ヘッド組3aに属する4つのインクジェットヘッド2のうち、図3中最も下方(ヘッド組3bに最も近い)に位置するインクジェットヘッド2からは、最も明度が小さいブラックインクが吐出され、図3中最も上方(ヘッド組3bとは最も離れた)に位置するインクジェットヘッド2からは最も明度が大きいイエローインクが吐出される。そして、これら2つのインクジェットヘッド2に挟まれた2つのインクジェットヘッド2からはマゼンタ、シアンのインクが吐出される。
【0040】
一方、ヘッド組3bに属する4つのインクジェットヘッド2のうち、図3中最も上方(ヘッド組3aに最も近い)に位置するインクジェットヘッド2からは、最も明度が小さいブラックインクが吐出され、図3中最も下方(ヘッド組3aとは最も離れた)に位置するインクジェットヘッド2からは最も明度が大きいイエローインクが吐出される。そして、これら2つのインクジェットヘッド2に挟まれた2つのインクジェットヘッド2からはマゼンタ、シアンのインクが吐出される。
【0041】
このように、ヘッド組3a,3bに属する最も明度が小さいブラックインクを吐出するインクジェットヘッド2同士が副走査方向に関して最も近接して配置されているので、例えば、白のA4サイズの用紙の長辺が搬送方向A(副走査方向)に対して傾いた状態で搬送(斜行)されてきてもこれらヘッドから吐出されたブラックインクの着弾色のずれが目立ちにくくなる。仮に、ブラックインクを吐出する各ヘッド組のインクジェットヘッドが副走査方向に関して最も離れていると、一方のヘッドから吐出されたブラックインク及び他方のヘッドから吐出されたブラックインクの用紙への着弾タイミングの差が大きくなり、これらブラックインクの着弾位置のずれが目立ちやすくなるが、本実施形態のように、ブラックインクを吐出する2つのインクジェットヘッド2同士が近接していることで、用紙への着弾タイミングの差が小さくなって、着弾位置のずれも小さくなり目立ちにくくなる。
【0042】
さらに、ヘッド組3a,3bに属する最も明度が大きいイエローインクを吐出するインクジェットヘッド2同士が副走査方向に関して最も離れて配置されていても、イエローインクは目立ちにくいので、用紙の斜行によってイエローインクの着弾位置に多少ずれが生じても、全体的に着弾色のずれが目立ちにくいものとなる。
【0043】
変形例として、用紙が黒の場合は、上述のブラックインクを吐出するインクジェットヘッド2から白のインクを吐出すればよい。すなわち、副走査方向に関して最も近接して配置された2つのインクジェットヘッド2から、すべてのインクジェットヘッド2から吐出されるインクのうち、用紙上において最も目立つ色のインクを吐出すればよい。これにおいても、黒の用紙上において最も目立つ色(白)のインクを吐出するインクジェットヘッド2が副走査方向に関して最も近接して配置されているので、用紙が搬送方向Aに対して傾いて搬送されても、上述と同様に、白インクの着弾色のずれが目立ちにくくなる。また、上述のイエローインクを吐出するインクジェットヘッド2からグレーインクを吐出すればよい。すなわち、副走査方向に関して最も離れて配置された2つのインクジェットヘッド2から、すべてのインクジェットヘッド2から吐出されるインクのうち、用紙上において最も目立ちにくい色のインクを吐出すればよい。これにおいても、黒の用紙上において最も目立ちにくい色(グレー)のインクを吐出するインクジェットヘッド2が副走査方向に関して最も離れて配置されているので、用紙が搬送方向Aに対して傾いて搬送されても、上述と同様に、グレーインクの着弾色のずれがより目立ちにくくなる。
【0044】
次に、インクジェットヘッド2に対してメンテナンスを行うためのメンテナンスユニット60について説明する。メンテナンスユニット60は、ヘッド組3aに属する4つのインクジェットヘッド2に対応する4つのキャップ61及びワイパー63と、ヘッド組3bに属する4つのインクジェットヘッド2に対応する4つのキャップ62及びワイパー64と、これら4つのキャップ61及びワイパー63、4つのキャップ62及びワイパー64をそれぞれ主走査方向に沿って互いに反対方向に移動させる移動機構70と、これら8つのキャップ61,62及びワイパー63,64、移動機構70を内包するトレイ69とを有している。
【0045】
トレイ69には、各ヘッド組3a,3bとそれぞれ対向する位置に貫通部68a,68bが形成されている。貫通部68a,68bは、矩形平面形状を有しており、各ヘッド組3a,3bに係る4つのインク吐出面4全体が、搬送面9aと対向可能なサイズに形成されている。
【0046】
キャップ61,62は、ともに同じ形状及びサイズを有しており、インク吐出領域4bよりも一回り大きな相似形状を有する基材65と、基材65の周縁部に立設された環状突起66とを有している。この構成により、キャップ61,62は、環状突起66の先端がインク吐出面4の外側領域4cと当接することでインク吐出領域4bを覆うことが可能になっており、ノズル4a内のインクの乾燥を抑制することができる。
【0047】
また、基材65には、鉛直方向上方に向かって開口した凹部65aが主走査方向に並んで2つ形成されている。凹部65aの底部には、貫通孔65bが形成されている。このように貫通孔65bが形成されていることで、パージ動作によってキャップ61,62内にインクが吐出され、凹部65aに溜まったインクを図示しない廃インク溜めに貫通孔65bを通して廃棄することが可能になる。
【0048】
また、キャップ61,62は、図2に示すように、それぞれ3つのバネ67によって下方から支持されている。このように、3つのバネ67によってキャップ61,62がそれぞれ支持されていることで、環状突起66とインク吐出面4とを当接させたときの衝撃を緩和することが可能になって、インク吐出面4が環状突起66によって損傷しにくくなる。
【0049】
また、メンテナンスユニット60は、ワイパー63,64でインク吐出面4を払拭するときに、キャップ61,62のその高さを下方に移動させる図示しないキャップ高さ調整機構を有している。これによって、ワイパー63,64の先端をキャップ61,62よりも高い位置に配置することが可能になって、払拭時に、キャップ61,62がインク吐出面4に接触しなくなる。
【0050】
ワイパー63,64は、図1に示すように、各々、対応するインクジェットヘッド2と、このインクジェットヘッド2に対応するキャップ61,62とに挟まれた位置に配置されており、ゴムなどの弾性材料からなる。また、ワイパー63,64は、キャップ61,62をバネ67を介して支持する後述の支持プレート71,72から立設して設けられている。なお、ワイパー63,64は、その先端が、キャップ61,62がキャップ高さ調整機構によって下方に下げられていない場合はキャップ61,62の基材65とほぼ同じ高さとなるように形成されている。
【0051】
ヘッド組3aに係る4つのワイパー63は、当該ヘッド組3aに係るインク吐出面4の副走査方向に関する幅とほぼ同じ長さに延在しており、副走査方向に関して互いに離隔して配置されている。なお、ヘッド組3bに係る4つのワイパー64も、4つのワイパー63と同様に、当該ヘッド組3bに係るインク吐出面4の幅とほぼ同じ長さに延在しており、副走査方向に関して互いに離隔して配置されている。
【0052】
これにより、ヘッド組3a,3bに属するインクジェットヘッド2が互いに異なる色のインクを吐出しても、各インク吐出面4を払拭したときに、ワイパー63,64で掻き寄せたインクが近接する他のインク吐出面4に移動してインク吐出面4上でインクの混色が生じるのを防ぐことができる。
【0053】
移動機構70は、図1及び図2に示すように、4つのキャップ61,62をそれぞれ支持する2つの支持プレート71,72と、副走査方向に関して各支持プレート71,72の内側端部において連結された1本のベルト73と、主走査方向に関して各ヘッド組3a,3bよりも外側に配置されベルト73が架け渡された一対のベルトローラ74,75とを有している。
【0054】
支持プレート71には、ヘッド組3aに属する4つのインクジェットヘッド2に対応する4つのキャップ61及び4つのワイパー63がそれぞれ主走査方向に関する位置が同じ状態で支持されており、キャップ61及びワイパー63は、平面視において、対応するインクジェットヘッド2と主走査方向に沿って重なっており且つヘッド組3bに属するインクジェットヘッド2と副走査方向に沿って重なる位置に配置されている。
【0055】
支持プレート72には、ヘッド組3bに属する4つのインクジェットヘッド2に対応する4つのキャップ62及び4つのワイパー64がそれぞれ主走査方向に関する位置が同じ状態で支持されており、キャップ62及びワイパー64は、平面視において、対応するインクジェットヘッド2と主走査方向に沿って重なっており且つヘッド組3aに属するインクジェットヘッド2と副走査方向に沿って重なる位置に配置されている。
【0056】
一対のベルトローラ74,75は、トレイ69内において、ベルト73が2つのヘッド組3a,3b間に配置されるように、トレイ69に回転可能に支持されている。また、一対のベルトローラ74,75は、図2に示すように、その径方向が鉛直方向を含むように配置されており、図中時計回り方向及び反時計回り方向に回転可能に支持されている。そして、ベルト73が、ベルト73の主走査方向に延在する部分が鉛直方向に互いに対向するように配置されている。これにより、ベルト73がヘッド組3a,3b間に配置されていても、ヘッド組3a,3b間の間隙を小さくすることができる。加えて、ベルト長を比較的短くすることが可能になって、キャップ61,62の搬送精度を向上させることができる。
【0057】
なお、本実施形態におけるベルト73は、その幅が非常に狭いゴムからなる平ベルトを用いているが、断面が円形などのゴムベルトであってもよいし、金属からなるワイヤであってもよい。要するにベルトの機能を有する部材であればよい。
【0058】
また、支持プレート71は、ベルト73の鉛直方向上方に位置する主走査方向に延在する部分と連結されており、支持プレート72は、ベルト73の鉛直下方に位置する主走査方向に延在する部分と連結されている。図1に示すように、トレイ69には、副走査方向に関して、貫通部68a,68bをそれぞれ挟む、主走査方向に沿って延在した4本のガイドレール68cが形成されている。これら4本のガイドレール68cのうち、図1中上方に位置する2本のガイドレール68cは、支持プレート71の副走査方向の両端部と対向しており、その部位に主走査方向に沿って延在して形成された凹部と摺動可能に嵌合している。残りの図1中下方に位置する2本のガイドレール68cは、支持プレート72の副走査方向の両端部と対向しており、その部位に主走査方向に沿って延在して形成された凹部と摺動可能に嵌合している。
【0059】
以上のようなメンテナンスユニット60の構成により、ベルトローラ74を図示しない駆動モータによって図2中反時計回り方向に回転させると、支持プレート71上に設けられた4つのキャップ61及び4つのワイパー63が対応するインク吐出面4と対向しない退避位置(図1に示す位置)から支持プレート71とともに図1中左方に移動し、支持プレート72上に設けられた4つのキャップ62及び4つのワイパー64が対応するインク吐出面4と対向しない退避位置(図1に示す位置)から支持プレート72とともに図1中右方に移動して、すべてのキャップ61,62及びワイパー63,64をインク吐出面と対向する位置(キャップ位置)に移動させることができる。
【0060】
一方、ベルトローラ74が図2中時計回り方向に回転すると、支持プレート71とともに4つのキャップ61及び4つのワイパー63が対応するインク吐出面4と対向する位置(キャップ位置)から図1中右方に移動し、支持プレート72とともに4つのキャップ62及び4つのワイパー64が対応するインク吐出面4と対向する位置(キャップ位置)から図1中左方に移動し、すべてのキャップ61,62及びワイパー63,64をインク吐出面4と対向しない退避位置に移動させることができる。
【0061】
次に、メンテナンスユニット60のメンテナンス動作について、図4及び図5を参照しつつ以下に説明する。図4は、インクジェットヘッドのパージ動作及びインク吐出面の払拭動作を経時的に示す状況図である。図5は、インク吐出面をキャップで覆うキャップ動作を経時的に示す状況図である。
【0062】
吐出不良などに陥っていたインクジェットヘッド2を回復させるパージ動作を行う場合は、図4(a)に示すように、2つのヘッド組3a,3bに属するすべてのインクジェットヘッド2を印刷位置からヘッドメンテナンス位置に上昇させる。そして、すべてのキャップ61,62を退避位置からキャップ位置に移動するように、ベルトローラ74を図4中反時計回り方向に回転させてベルト73を主走査方向に沿って走行させる。
【0063】
このとき、ヘッド組3aに対応するキャップ61が主走査方向に沿って図1中左方に移動し、ヘッド組3bに対応するキャップ62が主走査方向に沿って図1中右方(図4中右方)に移動する。すなわち、キャップ61と、キャップ62とは主走査方向に関して互いに反対方向に移動する。また、このとき、同じ支持プレート71,72に設けられたワイパー63,64も、各々、キャップ61,62と一緒に移動する。
【0064】
次に、インクジェットヘッド2のノズル4aからキャップ61,62に向かってインクを吐出するパージ動作を行う。キャップ61,62内にインクがパージされた後、すべてのキャップ61,62をキャップ位置から退避位置に移動するように、ベルトローラ74を図4中時計回り方向に回転させてベルト73を主走査方向に沿って走行させる。
【0065】
このとき、ヘッド組3aに対応するキャップ61が主走査方向に沿って図1中右方に移動し、ヘッド組3bに対応するキャップ62が主走査方向に沿って図1中左方(図4中左方)に移動する。そして、図4(b)に示すように、すべてのキャップ61,62をキャップ高さ調整機構(不図示)によって下方に下げる。このとき、ワイパー63,64の先端(上端)が、キャップ61,62の上端よりも上方に位置するように、キャップ61,62を下げる。
【0066】
次に、図4(c)に示すように、インク吐出面4がワイパー63,64の先端よりも僅かに低く且つキャップ61,62の上端よりも上方に位置する位置まで、すべてのインクジェットヘッド2を下降させる。そして、すべてのワイパー63,64を退避位置から、キャップ61,62がキャップ位置に到達する位置まで移動するように、ベルトローラ74を図4中反時計回り方向に回転させてベルト73を主走査方向に沿って走行させる。
【0067】
このとき、ワイパー63,64の先端がインク吐出面4よりも上側にあるので、インク吐出面4と撓みながら接触し、パージによってインク吐出面4に付着したインクを拭き取る。また、このとき、ワイパー63,64は、主走査方向に関して、払拭するインク吐出面4の内側端部(外側領域4cの一端部)から外側端部に向かって移動し、インク吐出面4の外側端部(外側領域4cの他端部)に到達する位置でその払拭を停止する。
【0068】
次に、インク吐出面4からワイパー63,64が離隔するように、すべてのインクジェットヘッド2を上昇させた後、すべてのワイパー63,64を退避位置に移動させる。こうして、インク吐出不良に陥っていたインクジェットヘッド2をパージで回復し、パージによってインク吐出面4に付着したインクを拭き取るメンテナンス動作が終了する。
【0069】
次に、プリンタ1で用紙に対する印刷などが長時間行われない休止時に、インク吐出面4をキャップ61,62で覆うキャップ動作について以下に説明する。この場合においても、上述と同様に、2つのヘッド組3a,3bに属するすべてのインクジェットヘッド2を印刷位置からヘッドメンテナンス位置に上昇させる(図5(a)参照)。そして、図5(b)に示すように、すべてのキャップ61,62を退避位置からキャップ位置に移動するように、ベルトローラ74を図5中反時計回り方向に回転させてベルト73の主走査方向に延在した部分を主走査方向に沿って走行させる。
【0070】
次に、図5(c)に示すように、インク吐出面4がキャップ61,62の上端と当接するように、すべてのインクジェットヘッド2を下降させる。こうして、インク吐出面4とキャップ61,62との間が密閉空間となってノズル4a内のインクの乾燥を防止する。
【0071】
以上のような本実施形態によるインクジェットプリンタ1によると、8つのインクジェットヘッド2のインク吐出面4を、副走査方向に沿って4つずつ2列に並べ且つ異なる列に属するインク吐出面4同士が主走査方向に沿って重ならないように配列し、8つのインクジェットヘッド2を2つのヘッド組3a,3bに分けることで、ヘッド組3a,3b(インクジェットヘッド2)に隣接する領域に空いた空間が形成されても、これら空間にはヘッド組3a,3bに属するインクジェットヘッド2に対応するキャップ61,62が配置される。このように空いた空間にキャップ61,62を配置することで、8つのキャップ61,62を配置する別の空間を設ける必要がなくなって、インクジェットプリンタ(液体吐出装置、画像記録装置)1の小型化を図ることができる。加えて、1つのベルト73を走行させることで、すべてのキャップ61,62を退避位置からキャップ位置、及び、キャップ位置から退避位置に移動させることが可能になるので、移動機構70が簡単な構成となる。
【0072】
また、支持プレート71,72によって8つのキャップ61,62及び8つのワイパー63,64をヘッド組3a,3b毎に4つずつ支持することが可能になって、ベルト73の配置が簡単になる。
【0073】
続いて、本発明の第2実施形態によるインクジェットプリンタ201について、図6を参照しつつ以下に説明する。図6は、本発明の第2実施形態によるインクジェットプリンタ要部の平面図である。
【0074】
本実施形態におけるインクジェットプリンタ(液体吐出装置、画像記録装置)201は、移動機構270の構成が第1実施形態の移動機構70の構成と異なっているだけで、それ以外は第1実施形態と同様である。なお、第1実施形態と同様なものについては、同符号を示し説明を省略する。
【0075】
本実施形態における移動機構270は、2つの支持プレート71,72と、副走査方向に関して各支持プレート71,72の外側端部において連結された1本のベルト273と、ベルト273が架け渡された4つのベルトローラ274〜277とを有している。4つのベルトローラ274〜277は、平面視において、ベルト273がすべてのインクジェットヘッド2、キャップ61,62、及び、ワイパー63,64を取り囲んで配置されるように、トレイ69内において回転可能に支持されている。このようにベルト273が配置されていることで、ヘッド組間の間隙を小さくすることができる。
【0076】
このような移動機構270の構成においても、ベルトローラ274を図示しない駆動モータによって図6中反時計回り方向に回転させると、支持プレート71上に設けられた4つのキャップ61及び4つのワイパー63が対応するインク吐出面4と対向しない退避位置(図6に示す位置)から支持プレート71とともに図6中左方に移動し、支持プレート72上に設けられた4つのキャップ62及び4つのワイパー64が対応するインク吐出面4と対向しない退避位置(図6に示す位置)から支持プレート72とともに図6中右方に移動して、すべてのキャップ61,62及びワイパー63,64をインク吐出面と対向する位置(キャップ位置)に移動させることができる。
【0077】
一方、ベルトローラ274を図6中時計回り方向に回転させると、支持プレート71とともに4つのキャップ61及び4つのワイパー63が対応するインク吐出面4と対向する位置(キャップ位置)から図6中右方に移動し、支持プレート72とともに4つのキャップ62及び4つのワイパー64が対応するインク吐出面4と対向する位置(キャップ位置)から図6中左方に移動し、すべてのキャップ61,62及びワイパー63,64をインク吐出面4と対向しない退避位置に移動させることができる。
【0078】
これにより、1つのベルト273を走行させることで、すべてのキャップ61,62を退避位置からキャップ位置、及び、キャップ位置から退避位置に移動させることが可能になるので、移動機構270が簡単な構成となる。
【0079】
続いて、本発明の第3実施形態によるインクジェットプリンタ301について、図7を参照しつつ以下に説明する。図7は、本発明の第3実施形態によるインクジェットプリンタ要部の平面図である。
【0080】
本実施形態におけるインクジェットプリンタ(液体吐出装置、画像記録装置)301は、8つのインクジェットヘッド(液体吐出ヘッド)302の配列が第1実施形態の8つのインクジェットヘッド2の配列と異なっており、これに伴って、8つのキャップ361,362及び8つのワイパー363,364の配列も第1実施形態の8つのキャップ61,62及び8つのワイパー63,64の配列と異なり、且つ、移動機構370の構成が第1実施形態の移動機構70の構成と異なったメンテナンスユニット360を有している。これら以外は、第1実施形態と同様である。なお、インクジェットヘッド302、キャップ361,362及びワイパー363,364の構成は、第1実施形態と同様であり、配置形態だけが第1実施形態と異なっている。また、第1実施形態と同様なものについては、同符号で示し説明を省略する。
【0081】
本実施形態における8つのインクジェットヘッド302は、図7に示すように、インク吐出面4が副走査方向に沿って4つずつ2列に並べられ且つ異なる列に属するインク吐出面同士が主走査方向に沿って重ならないように配列されている。また、8つのインクジェットヘッド302は、インク吐出面4が副走査方向に関して互いに近接していると共に異なる列に係る2つのインクジェットヘッド302からそれぞれなる4つのヘッド組303a,303b,303c,303dに分けられている。そして、8つのインクジェットヘッド302が副走査方向に関して千鳥状に配置されるように、4つのヘッド組303a,303b,303c,303dが副走査方向に関して並設されている。
【0082】
各ヘッド組303a,303b,303c,303dにそれぞれ属する2つのインクジェットヘッド302は、インク吐出面4が副走査方向に沿って互いにオーバーラップしており、用紙に対する印字領域が主走査方向に連続している。具体的には、1つインクジェットヘッド302のインク吐出領域内において、主走査方向に関して隣接するノズル4aのノズル間隔と、主走査方向に関して、ヘッド組303aに属する図7中右方に位置するインクジェットヘッド302のインク吐出面4において最も内側(図7中左方)に形成されたノズル4aと、図7中左方に位置するインクジェットヘッド302のインク吐出面4において最も内側(図7中右方)に形成されたノズル4aとの間隔とが等間隔になるように、インクジェットヘッド302が配列されている。なお、他のヘッド組303b,303c,303dもヘッド組303aと同様に配置された2つのインクジェットヘッド202からなる。
【0083】
4つのヘッド組303a,303b,303c,303dは、互いに異なる色のインクを吐出する。本実施形態においては、ヘッド組303aに属する2つのインクジェットヘッド302からマゼンタインクが吐出され、ヘッド組303bに属する2つのインクジェットヘッド302からイエローインクが吐出され、ヘッド組303cに属する2つのインクジェットヘッド302からシアンインクが吐出され、ヘッド組303dに属する2つのインクジェットヘッド302からブラックインクが吐出される。
【0084】
このように、ヘッド組毎に異なる色のインクを吐出しても、ヘッド組303a,303b,303c,303dにそれぞれ属する2つのインクジェットヘッド302からは同じ色のインクが吐出されるので、例えば、白のA4サイズの用紙の長辺が搬送方向A(副走査方向)に対して傾いた状態で搬送(斜行)されてきてもこれらヘッドから吐出されたインクの着弾色のずれが目立ちにくくなる。
【0085】
メンテナンスユニット360は、8つのインクジェットヘッド302にそれぞれ対応する8つのキャップ361,362及び8つのワイパー363,364と、これらキャップ361,362及びワイパー363,364をそれぞれ主走査方向に移動させる移動機構370とを有している。
【0086】
移動機構370は、14個のローラ375と、これらローラ375よりも一回り大きい径を有する2つのローラ376と、これら16個のローラ375,376に架け渡されたベルト373と、副走査方向に関する一方(図7中上方)の端部においてベルト373に連結され、1つの列(図7中左方の列)に属するインクジェットヘッド302に対応するキャップ361及びワイパー363をそれぞれ支持する4つの支持プレート371、及び、他方の列(図7中右方の列)に属するインクジェットヘッド302に対応するキャップ362及びワイパー364をそれぞれ支持する4つの支持プレート372とを有している。なお、2つのローラ376は、ローラ375と同径でもよい。
【0087】
4つの支持プレート371は、図7中左方の列に属するインクジェットヘッド302とそれぞれ主走査方向に沿って重なっており、且つ、右方の列に属するインクジェットヘッド302とそれぞれ副走査方向に沿って重なる位置に配置されている。すなわち、支持プレート371に支持されたキャップ361及びワイパー363も同様な配置形態となっている。
【0088】
また、4つの支持プレート372は、図7中右方の列に属するインクジェットヘッド302とそれぞれ主走査方向に沿って重なっており、且つ、左方の列に属するインクジェットヘッド302とそれぞれ副走査方向に沿って重なる位置に配置されている。すなわち、支持プレート372に支持されたキャップ362及びワイパー364も同様な配置形態となっている。
【0089】
換言すると、副走査方向に関して、8つのインクジェットヘッド302の千鳥配列とは逆の千鳥配列で、8つの支持プレート371,372が配列されている。このように、支持プレート371,372、キャップ361,362及びワイパー363,364がインクジェットヘッド302の千鳥配列とは逆の千鳥配列で配置されていることで、インクジェットプリンタ301の小型化に寄与する。
【0090】
14個のローラ375は、図7中最も下方に位置する支持プレート372除く、7つの支持プレート371,372の主走査方向の外側端部の角部に隣接し、且つ、これら14個のローラ375に架け渡されたベルト373の主走査方向に延在する部分が互いに平行な状態で隣接するインクジェットヘッド間に配置されるように、配置されている。2つのローラ376と、副走査方向に関して最も外側に配置された2つのローラ375とに架け渡されたベルト373の主走査方向に延在する部分が互いに平行な状態で、副走査方向に関して、図7中上方に位置するヘッド組303aの外側、及び、最も下方に位置するヘッド組303dに属する2つのインクジェットヘッド間に配置されるように、2つのローラ376が配置されている。
【0091】
このようにローラ375,376及びベルト373が配置されていることで、8つのインクジェットヘッド302が千鳥状パターンに配置されていてもベルト373を走行させるだけで、すべてのキャップ361,362及びワイパー363,364をインク吐出面4と対向しない退避位置からインク吐出面4と対向する位置(キャップ位置)に移動させることができる。
【0092】
以上のようなメンテナンスユニット360の構成により、1つのローラ(図7中左上に位置するローラ)376を図示しない駆動モータによって図7中反時計回り方向に回転させると、各支持プレート371上に設けられたキャップ361及びワイパー363が退避位置(図7に示す位置)から支持プレート371とともに主走査方向に沿って図7中左方に移動し、各支持プレート372上に設けられたキャップ362及びワイパー364が退避位置から支持プレート372とともに主走査方向に沿って図7中右方に移動して、すべてのキャップ361,362及びワイパー363,364をインク吐出面4と対向する位置(キャップ位置)に移動させることができる。
【0093】
一方、1つのローラ376を図7中時計回り方向に回転させると、各支持プレート371とともにキャップ361及びワイパー363がインク吐出面4と対向する位置(キャップ位置)から主走査方向に沿って図7中右方に移動し、各支持プレート372とともにキャップ362及びワイパー364がインク吐出面4と対向する位置(キャップ位置)から主走査方向に沿って図7中左方に移動し、すべてのキャップ361,362及びワイパー363,364をインク吐出面4と対向しない退避位置に移動させることができる。
【0094】
このように本実施形態においては、各ヘッド組303a,303b,303c,303dに属する2つのインクジェットヘッド302にそれぞれ対応するキャップ361,362及びワイパー363,364が主走査方向に関して互いに反対方向に移動可能となっている。これにより、本実施形態のメンテナンスユニット360によって、第1実施形態と同様なメンテナンス動作を行うことが可能となる。
【0095】
以上のような本実施形態によるインクジェットプリンタ301によると、主走査方向に関して、各ヘッド組303a,303b,303c,303dに属するインクジェットヘッド302に隣接する領域にそれぞれ空いた空間が形成されても、これら空間には8つのキャップ361,362及び8つのワイパー363,364が配置される。そのため、インクジェットプリンタ(液体吐出装置、画像記録装置)301の小型化を図ることができる。加えて、1つのベルト373を走行させることで、すべてのキャップ361,362及びワイパー363,364を退避位置からキャップ位置、及び、キャップ位置から退避位置に移動させることが可能になるので、移動機構370が簡単な構成となる。
【0096】
続いて、本発明の第4実施形態によるインクジェットプリンタ401について、図8を参照しつつ以下に説明する。図8は、本発明の第4実施形態によるインクジェットプリンタ要部の平面図である。
【0097】
本実施形態におけるインクジェットプリンタ(液体吐出装置、画像記録装置)401は、副走査方向に隣接するヘッド組403a,403b,403c,403dの向きが互いに反対方向を向いて配置され第3実施形態のヘッド組303a,303b,303c,303dの配列と異なっており、これに伴って8つのキャップ461,462及び8つのワイパー463,464の配列も第3実施形態の8つのキャップ361,362及びワイパー363,364の配列と異なり、且つ、移動機構470の構成が第3実施形態の移動機構370の構成と異なったメンテナンスユニット460を有している。これら以外は、第3実施形態と同様である。なお、インクジェットヘッド(液体吐出ヘッド)402、キャップ461,462及びワイパー463,464の構成は、第3実施形態と同様であり、その配置形態だけが異なっている。また、第3実施形態と同様なものについては、同符号で示しその説明を省略する。
【0098】
本実施形態における8つのインクジェットヘッド402は、図8に示すように、インク吐出面4が副走査方向に沿って4つずつ2列に並べられ且つ異なる列に属するインク吐出面同士が主走査方向に沿って重ならないように配列されている。また、8つのインクジェットヘッド402は、インク吐出面4が副走査方向に関して互いに近接していると共に異なる列に係る2つのインクジェットヘッド402からそれぞれなる4つのヘッド組403a,403b,403c,403dに分けられている。
【0099】
そして、ヘッド組403aに属する2つのインクジェットヘッド402のうち、一方の(図8中左方に位置する)インクジェットヘッド402と、ヘッド組403bに属する2つのインクジェットヘッド402のうち、一方のインクジェットヘッド402とが主走査方向に関する位置が同じであって副走査方向に関して近接して配置され、ヘッド組403bに属する他方の(図8中右方に位置する)インクジェットヘッド402と、ヘッド組403cに属する2つのインクジェットヘッド402のうち、他方のインクジェットヘッド402とが主走査方向に関する位置が同じであって副走査方向に関して近接して配置され、ヘッド組403cに属する一方のインクジェットヘッド402と、ヘッド組403dに属する2つのインクジェットヘッド402のうち、一方のインクジェットヘッド402とが主走査方向に関する位置が同じであって副走査方向に関して近接して配置されるように、4つのヘッド組403a,403b,403c,403dが副走査方向に関して並設されている。
【0100】
これにより、互いに隣接するヘッド組403a,403b,403c,403dに属し且つ近接する2つのインクジェットヘッド402にそれぞれ対応する2つのキャップ461,462及び2つのワイパー463,464を主走査方向に関して同じ位置であって副走査方向に関して近接して配置することが可能になる。
【0101】
各ヘッド組403a,403b,403c,403dにそれぞれ属する2つのインクジェットヘッド402は、インク吐出面4が副走査方向に沿って互いにオーバーラップしており、第3実施形態のヘッド組303a,303b,303c,303dと同様な構成となっている。また、4つのヘッド組403a,403b,403c,403dは、第3実施形態と同様に互いに異なる色のインクを吐出するので、同様な効果を得ることができる。
【0102】
メンテナンスユニット460は、8つのインクジェットヘッドにそれぞれ対応する8つのキャップ461,462及び8つのワイパー463,464と、これらキャップ461,462及びワイパー463,464をそれぞれ主走査方向に移動させる移動機構470とを有している。
【0103】
移動機構470は、副走査方向に延在し且つ軸回り方向に回転可能に支持された4本の軸481〜484と、4本の軸481〜484に設けられた10個のローラ485〜494と、これらローラ485〜494に架け渡された5本のベルト495〜499と、5本のベルト495〜499にそれぞれ連結された5つの支持プレート471〜475とを有している。
【0104】
軸481の一端(図8中上端)には、軸481とともに軸481の軸回り方向に回転可能にギア481aが固定されている。また、軸481及び軸482には、その一端近傍において互いに噛み合って軸481,482とともに軸回り方向に回転可能な2つのギア481b,482aがそれぞれ固定されている。これにより、図示しない駆動モータによってギア481aが所定方向に回転すると、同方向に軸481も回転し、ギア481b,482aを介して軸482が軸481とは逆方向に回転する。
【0105】
10個のローラ485〜494のうち、2つのローラ485,486は軸481とともに軸481の軸回り方向に回転可能に軸481に固定されており、3つのローラ487〜489は軸482とともに軸482の軸回り方向に回転可能に固定されている。そして、残りの5つのローラ490〜494のうち、2つのローラ490,491は各々がローラ485,486と副走査方向に関する位置が同じ状態で軸483に回転可能に支持されており、3つのローラ492〜494は各々がローラ487〜489と副走査方向に関する位置が同じ状態で軸484に回転可能に支持されている。
【0106】
ベルト495は、2つのローラ487,492に架け渡されており、副走査方向に関して、ヘッド組403aの外側に配置されている。ベルト496は、2つのローラ485,496に架け渡されており、2つのヘッド組403a,403b間に配置されている。ベルト497は、2つのローラ488,497に架け渡されており、2つのヘッド組403b、403c間に配置されている。ベルト498は、2つのローラ486,498に架け渡されており、2つのヘッド組403c,403d間に配置されている。ベルト499は、2つのローラ489,494に架け渡されており、副走査方向に関して、ヘッド組403dの外側に配置されている。
【0107】
支持プレート471は、ヘッド組403aに属する他方の(図8中右方の列に属する)インクジェットヘッド402と主走査方向に沿って重なっており、且つ、ヘッド組403aに属する一方の(図8中左方の列に属する)インクジェットヘッド402と副走査方向に沿って重なる位置に配置されている。そして、ヘッド組403aに属する他方のインクジェットヘッド402に対応するキャップ462及びワイパー464を支持しており、ベルト495の主走査方向に延在する部分と連結されている。
【0108】
支持プレート475は、ヘッド組403dに属する他方のインクジェットヘッド402と主走査方向に沿って重なっており、且つ、ヘッド組403dに属する一方のインクジェットヘッド402と副走査方向に沿って重なる位置に配置されている。そして、ヘッド組403dに属する他方のインクジェットヘッド402に対応するキャップ462及びワイパー464を支持しており、ベルト499の主走査方向に延在する部分と連結されている。
【0109】
支持プレート472は、ヘッド組403a,403bの一方のインクジェットヘッド402と主走査方向に沿って重なっており、且つ、ヘッド組403a,403bの他方のインクジェットヘッド402と副走査方向に沿って重なる位置に配置されている。支持プレート473は、ヘッド組403b,403cの他方のインクジェットヘッド402と主走査方向に沿って重なっており、且つ、ヘッド組403b,403cの一方のインクジェットヘッド402と副走査方向に沿って重なる位置に配置されている。支持プレート474は、ヘッド組403c,403dの一方のインクジェットヘッド402と主走査方向に沿って重なっており、且つ、ヘッド組403c,403dの他方のインクジェットヘッド402と副走査方向に沿って重なる位置に配置されている。
【0110】
これら3つの支持プレート(支持部材)472〜474は、副走査方向に関して、隣接する2つのヘッド組において最も外側に位置する2つのインクジェットヘッド402に挟まれた2つのインクジェットヘッド402にそれぞれ対応する2つのキャップ及び2つのワイパーを支持している。具体的には、支持プレート472は、2つのヘッド組403a,403bに属する一方の(図8中左方に位置する)インクジェットヘッド402に対応する2つのキャップ461及び2つのワイパー463を支持しており、ベルト496の主走査方向に延在する部分と連結されている。支持プレート473は、2つのヘッド組403b,403cに属する他方のインクジェットヘッド402に対応する2つのキャップ462及び2つのワイパー464を支持しており、ベルト497の主走査方向に延在する部分と連結されている。支持プレート474は、2つのヘッド組403c,403dに属する一方のインクジェットヘッド402に対応する2つのキャップ461及び2つのワイパー463を支持しており、ベルト498の主走査方向に延在する部分と連結されている。
【0111】
このように、3つの支持プレート472〜474が、2つのインクジェットヘッド402に対応する2つのキャップ461(又は462)及び2つのワイパー463(又は464)を支持しているので、移動機構470の構成が簡易になる。
【0112】
また、5つのベルト495〜499は、ともに主走査方向に延在する部分が互いに対向するように配置されている。そのため、ベルト496〜498が、図8に示すように、ヘッド組間に配置されてもその間隙を小さくすることができる。なお、5つの支持プレート471〜475は、ともにベルト495〜499の主走査方向に延在する部分の下方側に連結されている。
【0113】
以上のようなメンテナンスユニット460の構成により、ギア481aを図示しない駆動モータによって所定方向に回転させると、2つの支持プレート472,474上に設けられた4つのキャップ461及び4つのワイパー463が、退避位置(図8中に示す位置)から支持プレート472,474とともに主走査方向に沿って図8中左方に移動し、3つの支持プレート471,473,475上に設けられた4つのキャップ462及び4つのワイパー464が退避位置から支持プレート471,473,475とともに主走査方向に沿って図8中右方に移動して、すべてのキャップ461,462及びワイパー463,464をインク吐出面4と対向する位置(キャップ位置)に移動させることができる。
【0114】
一方、ギア481aを所定方向とは逆方向に回転させると、2つの支持プレート472,474とともに4つのキャップ461及び4つのワイパー463が、インク吐出面4と対向する位置(キャップ位置)から主走査方向に沿って図8中右方に移動し、3つの支持プレート471,473,475とともに4つのキャップ462及び4つのワイパー464が、インク吐出面4と対向する位置(キャップ位置)から主走査方向に沿って図8中左方に移動し、すべてのキャップ461,462及びワイパー463,464をインク吐出面4と対向しない退避位置に移動させることができる。
【0115】
このように本実施形態においては、各ヘッド組403a,403b,403c,403dに属する2つのインクジェットヘッド402にそれぞれ対応するキャップ461,462及びワイパー463,464が主走査方向に関して互いに反対方向に移動可能となっている。これにより、本実施形態のメンテナンスユニット460によって、第1実施形態と同様なメンテナンス動作を行うことが可能となる。
【0116】
以上のような本実施形態によるインクジェットプリンタ401によると、主走査方向に関して、各ヘッド組403a,403b,403c,403dに属するインクジェットヘッド402に隣接する領域にそれぞれ空いた空間が形成されても、これら空間には8つのキャップ461,462及び8つのワイパー463,464が配置される。そのため、インクジェットプリンタ(液体吐出装置、画像記録装置)401の小型化を図ることができる。
【0117】
続いて、本発明の第5実施形態によるインクジェットプリンタ501について、図9を参照しつつ以下に説明する。図9は、本発明の第5実施形態によるインクジェットプリンタ要部の平面図である。
【0118】
本実施形態におけるインクジェットプリンタ(液体吐出装置、画像記録装置)501は、8つのインクジェットヘッド(液体吐出ヘッド)502の配列が第4実施形態の8つのインクジェットヘッド402の配列と若干異なっており、これに伴って、8つのキャップ561,562及び8つのワイパー563,564の配列も第4実施形態の8つのキャップ461,462及び8つのワイパー463,464の配列と異なり、且つ、移動機構570の構成が第4実施形態の移動機構470の構成と異なったメンテナンスユニット560を有している。これら以外は、第4実施形態と同様である。なお、インクジェットヘッド502、キャップ561,562及びワイパー563,564の構成は、第4実施形態と同様であり、配置形態だけが第4実施形態と異なっている。また、第4実施形態と同様なものについては、同符号で示し説明を省略する。
【0119】
本実施形態における8つのインクジェットヘッド502は、図9に示すように、インク吐出面4が副走査方向に沿って4つずつ2列に並べられ且つ異なる列に属するインク吐出面同士が主走査方向に沿って重ならないように配列されている。また、8つのインクジェットヘッド502は、インク吐出面4が副走査方向に関して互いに近接していると共に異なる列に係る2つのインクジェットヘッド502からそれぞれなる3つのヘッド組503a,503b,503c、及び、副走査方向に関して3つのヘッド組(第1ヘッド組)503a,503b,503cを挟む2つのインクジェットヘッド502からなるヘッド組(第2ヘッド組)503dに分けられている。
【0120】
そして、ヘッド組503aに属する2つのインクジェットヘッド502のうち、一方の(図9中左方の列に属する)インクジェットヘッド502と、ヘッド組503bに属する2つのインクジェットヘッド502のうち、一方のインクジェットヘッド502とが主走査方向に関する位置が同じであって副走査方向に関して近接して配置され、ヘッド組503bに属する他方の(図9中右方の列に属する)インクジェットヘッド502と、ヘッド組503cに属する2つのインクジェットヘッド502のうち、他方のインクジェットヘッド502とが主走査方向に関する位置が同じであって副走査方向に関して近接して配置されるように、3つのヘッド組503a,503b,503cが副走査方向に関して並設されている。
【0121】
これにより、互いに隣接するヘッド組503a,503b,503cに属し且つ近接する2つのインクジェットヘッド502にそれぞれ対応する2つのキャップ561,562及び2つのワイパー563,564を主走査方向に関して同じ位置であって副走査方向に関して近接して配置することが可能になる。
【0122】
また、ヘッド組503a,503b,503cに属するすべてのインクジェットヘッド502のうち、副走査方向に関して最も外側に配置された2つのインクジェットヘッド502と、これらインクジェットヘッド502と隣接する、ヘッド組502dに属する2つのインクジェットヘッド502とが、主走査方向に関する位置が同じになるように配置されている。
【0123】
これにより、ヘッド組503dに属する他方の(図9中右方の列に属する)インクジェットヘッド502及び当該インクジェットヘッド502と隣接するヘッド組503aに属するインクジェットヘッド502にそれぞれ対応する2つのキャップ562及び2つのワイパー564を主走査方向に関して同じ位置であって副走査方向に関してそれぞれ近接して配置することが可能になる。なお、ヘッド組503dに属する一方の(図9中左方の列に属する)インクジェットヘッド502及び当該インクジェットヘッド502と隣接するヘッド組503cに属するインクジェットヘッド502にそれぞれ対応する2つのキャップ561及び2つのワイパー563においても上述と同様である。
【0124】
各ヘッド組503a,503b,503c,503dにそれぞれ属する2つのインクジェットヘッド502は、インク吐出面4が副走査方向に沿って互いにオーバーラップしており、第4実施形態と同様となっている。また、4つのヘッド組503a,503b,503c,503dは、互いに異なる位置のインクを吐出する。本実施形態においては、3つのヘッド組503a,503b,503cからブラックインク、マゼンタインク、シアンインクが吐出され、ヘッド組503dからは最も明度が大きいイエローインクが吐出される。
【0125】
このように、最も明度が大きいイエローインクが副走査方向に関して最も離隔された2つのインクジェットヘッド502からなるヘッド組503dから吐出されるので、例えば、白のA4サイズの用紙の長辺が搬送方向A(副走査方向)に対して傾いた状態で搬送(斜行)されてきてもこれらヘッドから吐出されたインクの着弾色のずれが目立ちにくくなる。
【0126】
変形例として、用紙が黒の場合は、上述のイエローインクを吐出するインクジェットヘッド502からグレーインクを吐出すればよい。すなわち、ヘッド組503dに属する副走査方向に関して最も離れて配置された2つのインクジェットヘッド502から、すべてのインクジェットヘッド502から吐出されるインクのうち、用紙上において最も目立ちにくい色のインクを吐出すればよい。これにおいても、黒の用紙上において最も目立ちにくい色(グレー)のインクを吐出するインクジェットヘッド502が副走査方向に関して最も離れて配置されているので、用紙が搬送方向Aに対して傾いて搬送されても、上述と同様に、グレーインクの着弾色のずれがより目立ちにくくなる。
【0127】
メンテナンスユニット560は、8つのインクジェットヘッド502にそれぞれ対応する8つのキャップ561,562及び8つのワイパー563,564と、これらキャップ561,562及びワイパー563,564をそれぞれ主走査方向に移動させる移動機構570とを有している。
【0128】
移動機構570は、副走査方向に延在し且つ軸回り方向に回転可能に支持された4本の軸581〜584と、4本の軸581〜584に設けられた8個のローラ585〜592と、これらローラ585〜592に架け渡された4本のベルト595〜598と、4本のベルト595〜598にそれぞれ連結された4つの支持プレート571〜574とを有している。
【0129】
軸581の一端(図9中上端)には、軸581とともに軸581の軸回り方向に回転可能にギア581aが固定されている。また、軸581及び軸582には、その一端近傍において互いに噛み合って軸581,582とともに軸回り方向に回転可能な2つのギア581b,582aがそれぞれ固定されている。これにより、図示しない駆動モータによってギア581aが所定方向に回転すると、同方向に軸581も回転し、ギア581b,582aを介して軸582が軸581とは逆方向に回転する。
【0130】
8個のローラ585〜592のうち、2つのローラ585,586は軸581とともに軸581の軸回り方向に回転可能に軸581に固定されており、2つのローラ587,588は軸582とともに軸582の軸回り方向に回転可能に固定されている。そして、残りの4つのローラ589〜592のうち、2つのローラ589,590は各々がローラ585,586と副走査方向に関する位置が同じ状態で軸583に回転可能に支持されており、2つのローラ591,592は各々がローラ587,588と副走査方向に関する位置が同じ状態で軸584に回転可能に支持されている。
【0131】
ベルト595は、2つのローラ587,591に架け渡されており、ヘッド組503dに属する他方のインクジェットヘッド502とヘッド組503aとの間に配置されている。ベルト596は、2つのローラ585,589に架け渡されており、2つのヘッド組503a,503b間に配置されている。ベルト597は、2つのローラ588,592に架け渡されており、2つのヘッド組503b,503c間に配置されている。ベルト598は、2つのローラ586,590に架け渡されており、ヘッド組503dに属する一方のインクジェットヘッド502とヘッド組503cとの間に配置さている。
【0132】
支持プレート(第2支持部材)571は、2つのヘッド組503a,503dに属する他方の(図9中右方の列に属する)2つのインクジェットヘッド502と主走査方向に沿って重なっており、且つ、2つのヘッド組503a,503dに属する一方の(図9中左方の列に属する)2つのインクジェットヘッド502と副走査方向に沿って重なる位置に配置されている。そして、2つのヘッド組503a,503dに属する他方の2つのインクジェットヘッド502にそれぞれ対応するキャップ562及びワイパー564を支持しており、ベルト591の主走査方向に延在する部分と連結されている。
【0133】
支持プレート(第1支持部材)572は、2つのヘッド組503a,503bに属する一方の2つのインクジェットヘッド502と主走査方向に沿って重なっており、且つ、2つのヘッド組503a,503bに属する他方の2つのインクジェットヘッド502と副走査方向に沿って重なる位置に配置されている。そして、2つのヘッド組503a,503bに属する一方の2つのインクジェットヘッド502にそれぞれ対応するキャップ561及びワイパー563を支持しており、ベルト596の主走査方向に延在する部分と連結されている。
【0134】
支持プレート(第1支持部材)573は、2つのヘッド組503b,503cに属する他方の2つのインクジェットヘッド502と主走査方向に沿って重なっており、且つ、2つのヘッド組503b,503cに属する一方の2つのインクジェットヘッド502と副走査方向に沿って重なる位置に配置されている。そして、2つのヘッド組503b,503cに属する他方の2つのインクジェットヘッド502にそれぞれ対応するキャップ562及びワイパー564を支持しており、ベルト597の主走査方向に延在する部分と連結されている。
【0135】
支持プレート(第3支持部材)574は、2つのヘッド組503c,503dに属する一方の2つのインクジェットヘッド502と主走査方向に沿って重なっており、且つ、2つのヘッド組503c,503dに属する他方の2つのインクジェットヘッド502と副走査方向に沿って重なる位置に配置されている。そして、2つのヘッド組503c,503dに属する一方の2つのインクジェットヘッド502にそれぞれ対応するキャップ561及びワイパー563を支持しており、ベルト598の主走査方向に延在する部分と連結されている。
【0136】
このように4つの支持プレート571〜574が、2つのインクジェットヘッド502にそれぞれ対応する2つのキャップ561(又は562)及び2つのワイパー563(又は564)を支持しているので、移動機構570の構成が簡易になる。
【0137】
また、4つのベルト595〜598は、ともに主走査方向に延在する部分が互いに対向するように配置されている。そのため、ベルト595〜598が、図9に示すように、ヘッド組503dに属する他方のインクジェットヘッド502とヘッド組503aとの間、3つのヘッド組503a,503b,503c間、及び、ヘッド組503dに属する一方のインクジェットヘッド502とヘッド組503cとの間に配置されてもその間隙を小さくすることができる。なお、4つの支持プレート571〜574は、ともにベルト595〜598の主走査方向に延在する部分の下方側に連結されている。
【0138】
以上のようなメンテナンスユニット560の構成により、ギア581aを図示しない駆動モータによって所定方向に回転させると、2つの支持プレート572,574上に設けられた4つのキャップ561及び4つのワイパー563が、退避位置(図9中に示す位置)から支持プレート572,574とともに主走査方向に沿って図9中左方に移動し、2つの支持プレート571,573上に設けられた4つのキャップ562及び4つのワイパー564が、退避位置から支持プレート571,573とともに主走査方向に沿って図9中右方に移動して、すべてのキャップ561,562及びワイパー563,564をインク吐出面4と対向する位置(キャップ位置)に移動させることができる。
【0139】
一方、ギア581aを所定方向と逆方向に回転させると、2つの支持プレート572,574とともに4つのキャップ561及び4つのワイパー563が、インク吐出面4と対向する位置(キャップ位置)から主走査方向に沿って図9中右方に移動し、2つの支持プレート571,573とともに4つのキャップ562及び4つのワイパー564が、インク吐出面4と対向する位置(キャップ位置)から主走査方向に沿って図9中左方に移動し、すべてのキャップ561,562及びワイパー563,564をインク吐出面4と対向しない退避位置に移動させることができる。
【0140】
このように本実施形態においては、各ヘッド組503a,503b,503c,503dに属する2つのインクジェットヘッド502にそれぞれ対応するキャップ561,562及びワイパー563,564が主走査方向に関して互いに反対方向に移動可能となっている。これにより、本実施形態のメンテナンスユニット560によって、第1実施形態と同様なメンテナンス動作を行うことが可能となる。
【0141】
以上のような本実施形態によるインクジェットプリンタ501によると、主走査方向に関して、各ヘッド組503a,503b,503c,503dに属するインクジェットヘッド502に隣接する領域にそれぞれ空いた空間が形成されても、これら空間には8つのキャップ561,562及び8つのワイパー563,564が配置される。そのため、インクジェットプリンタ(液体吐出装置、画像記録装置)501の小型化を図ることができる。
【0142】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、上述した各実施形態においては、同じ色のインクを吐出する2つのインクジェットヘッドが、当該2つのインクジェットヘッドからインクを吐出して画像を形成したときに、主走査方向に関して途切れず連続した印刷が可能なように配置されているが、これら2つのインクジェットヘッドが副走査方向に沿って重ならず、画像を形成したときに、主走査方向に関して連続せず途切れた印刷を可能とするように2つのインクジェットヘッドが配置されていてもよい。また、各実施形態における移動機構が、インク吐出面と対向するキャップ位置と、インク吐出面と対向しない退避位置との間において、キャップをインク吐出面の面内方向に関して主走査方向以外の方向に移動させる構成を有していてもよい。また、第3〜5実施形態におけるヘッド組を構成する2つのインクジェットヘッドは、互いに同じ色のインクを吐出しているが、異なるインクを吐出してもよい。また、各実施形態におけるインクジェットプリンタはワイパーを有していなくてもよい。この場合、移動機構はキャップを副走査方向に沿って移動する構成を有していてもよい。また、各実施形態における移動機構は、ワイパー及びキャップをそれぞれ独立して支持する複数の支持部材を有し、ワイパー及びキャップを単独及び/又は一緒に移動させる機構を有していてもよい。また、搬送される用紙が斜行することがほとんどない場合は、同じ色のインクを吐出する2つのインクジェットヘッドのうち、副走査方向に関して、比較的離れたものにブラックインクを吐出させてもよいし、互いに近接したものにイエローインクを吐出させてもよい。
【0143】
また、上述した各実施形態は、ノズルからインクを吐出する複数のインクジェットヘッドを有するインクジェットプリンタに本発明を適用した一例であるが、本発明を適用可能な対象はこのようなインクジェットヘッドに限られない。例えば、導電ペーストを吐出して基板上に微細な配線パターンを形成したり、あるいは、有機発光体を基板に吐出して高精細ディスプレイを形成したり、さらには、光学樹脂を基板に吐出して光導波路等の微小電子デバイスを形成するための、複数の液体吐出ヘッドを有する、種々の液体吐出装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】本発明の第1実施形態によるインクジェットプリンタ要部の平面図である。
【図2】図1に示すII−II線に沿った断面図である。
【図3】図1に示す2つのヘッド組を下方から見たときの図である。
【図4】インクジェットヘッドのパージ動作及びインク吐出面の払拭動作を経時的に示す状況図である。
【図5】インク吐出面をキャップで覆うキャップ動作を経時的に示す状況図である。
【図6】本発明の第2実施形態によるインクジェットプリンタ要部の平面図である。
【図7】本発明の第3実施形態によるインクジェットプリンタ要部の平面図である。
【図8】本発明の第4実施形態によるインクジェットプリンタ要部の平面図である。
【図9】本発明の第5実施形態によるインクジェットプリンタ要部の平面図である。
【符号の説明】
【0145】
1,201,301,401,501 インクジェットプリンタ(液体吐出装置、画像記録装置)
2,302,402,502 インクジェットヘッド(液体吐出ヘッド)
3a,3b,303a〜303d,403a〜403d ヘッド組
4 インク吐出面(液体吐出面)
4b インク吐出領域(液体吐出領域)
10 用紙搬送機構(記録媒体搬送機構)
61,62,361,362,461,462,561,562 キャップ
70,270,370,470,570 移動機構
472〜474 支持プレート(支持部材)
503a〜503c ヘッド組(第1ヘッド組)
503d ヘッド組(第2ヘッド組)
571 支持プレート(第2支持部材)
572,573 支持プレート(第1支持部材)
574 支持プレート(第3支持部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体吐出領域が形成された液体吐出面をそれぞれ有し、それぞれの前記液体吐出面が一方向に沿って2列に並べられ且つ異なる前記列に属する2つの前記液体吐出面が前記液体吐出面の面内方向に関して前記一方向と直交する方向に沿って重ならないように配列された複数の液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出面と当接することによって当該液体吐出面に形成された前記液体吐出領域を覆うことが可能な複数のキャップと、
前記キャップが前記液体吐出面と対向するキャップ位置及び前記液体吐出面と対向しない退避位置との間において前記複数のキャップを移動させる移動機構とを備えており、
前記複数のキャップが前記退避位置に配置されているときに、1つの前記列に係る前記液体吐出ヘッドに対応する前記キャップが、前記1つの列に係る前記液体吐出ヘッドと前記直交する方向に沿って重なり且つ別の前記列に係る前記液体吐出ヘッドと前記一方向に沿って重なる位置に配置されており、前記別の列に係る前記液体吐出ヘッドに対応する前記キャップが、前記別の列に係る前記液体吐出ヘッドと前記直交する方向に沿って重なり且つ前記1つの列に係る前記液体吐出ヘッドと前記一方向に沿って重なる位置に配置されていることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記移動機構が、前記キャップを前記直交する方向に移動させることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記複数の液体吐出ヘッドが、前記直交する方向に関する位置が同じであって前記液体吐出面が近接した2以上の液体吐出ヘッドからそれぞれなる、異なる前記列に係る2つのヘッド組に分けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記1つのヘッド組に属する前記液体吐出ヘッド及び前記別のヘッド組に属する前記液体吐出ヘッドから同じ色のインクが吐出されると共に、前記ヘッド組に属する前記液体吐出ヘッドが互いに異なる色のインクを吐出し、
すべての前記液体吐出ヘッドのうち、記録媒体上において最も目立つ色のインクを吐出する前記液体吐出ヘッド同士が、前記一方向に関して最も近接して配置されていることを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記最も目立つ色のインクが、すべての前記液体吐出ヘッドから吐出されるインクのうち、最も明度が小さい色のインクであることを特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記すべての液体吐出ヘッドのうち、記録媒体上において最も目立ちにくい色のインクを吐出する前記液体吐出ヘッド同士が、前記一方向に関して最も離れて配置されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記最も目立ちにくい色のインクが、すべての前記液体吐出ヘッドから吐出されるインクのうち、最も明度が大きい色のインクであることを特徴とする請求項6に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記複数の液体吐出ヘッドが、前記液体吐出面が前記一方向に関して近接していると共に異なる前記列に係る2つの前記液体吐出ヘッドからそれぞれなる複数のヘッド組に分けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記複数の液体吐出ヘッドが、前記ヘッド組毎に異なる色のインクを吐出することを特徴とする請求項8に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
前記複数の液体吐出ヘッドが前記一方向に関して千鳥状に配置されるように、前記複数のヘッド組が前記一方向に関して並設されていることを特徴とする請求項8又は9に記載の液体吐出装置。
【請求項11】
1つの前記ヘッド組に属する2つの前記液体吐出ヘッドのうち一方に位置する前記液体吐出ヘッドと、当該1つのヘッド組に隣接する別の前記ヘッド組に属する2つの前記液体吐出ヘッドのうち一方に位置する液体吐出ヘッドとが前記直交する方向に関する位置が同じであって前記一方向に関して近接して配置され、前記別のヘッド組に属する2つの前記液体吐出ヘッドのうち他方に位置する前記液体吐出ヘッドと、当該別のヘッド組に隣接し且つ前記1つのヘッド組とで当該別のヘッド組を挟む位置に配置された前記ヘッド組に属する2つの前記液体吐出ヘッドのうち他方に位置する前記液体吐出ヘッドとが前記直交する方向に関する位置が同じであって前記一方向に関して近接して配置されるように、前記複数のヘッド組が前記一方向に関して並設されていることを特徴とする請求項8又は9に記載の液体吐出装置。
【請求項12】
前記移動機構が、
隣接する2つの前記ヘッド組において、前記一方向に関して最も外側に位置する2つの前記液体吐出ヘッド間に挟まれた2つの前記液体吐出ヘッドにそれぞれ対応する2つの前記キャップを支持する支持部材と、
前記支持部材と連結され、前記直交する方向に沿って走行することによって前記キャップを前記退避位置から前記直交する方向に沿って前記キャップ位置に移動させるベルトとを有していることを特徴とする請求項11に記載の液体吐出装置。
【請求項13】
前記支持部材に連結された前記ベルトが隣接した2つの前記ヘッド組間に配置されており、当該ベルトの前記直交する方向に延在する部分が鉛直方向に関して対向して配置されていることを特徴とする請求項12に記載の液体吐出装置。
【請求項14】
前記複数の液体吐出ヘッドが、前記液体吐出面が前記一方向に関して近接していると共に異なる前記列に係る2つの前記液体吐出ヘッドからそれぞれなる複数の第1ヘッド組、及び、前記一方向に関して前記複数の第1ヘッド組を挟む2つの液体吐出ヘッドからなる第2ヘッド組に分けられており、
1つの前記第1ヘッド組に属する2つの前記液体吐出ヘッドのうち一方に位置する前記液体吐出ヘッドと、当該1つの第1ヘッド組に隣接する別の前記第1ヘッド組に属する2つの前記液体吐出ヘッドのうち一方に位置する前記液体吐出ヘッドとが前記直交する方向に関して同じ位置であって前記一方向に関して近接して配置され、前記別の第1ヘッド組に属する2つの前記液体吐出ヘッドのうち他方に位置する前記液体吐出ヘッドと、当該別の第1ヘッド組に隣接し且つ前記1つの第1ヘッド組とで当該別の第1ヘッド組を挟む位置に配置された第1ヘッド組に属する2つの前記液体吐出ヘッドのうち他方に位置する前記液体吐出ヘッドとが前記直交する方向に関して同じ位置であって前記一方向に関して近接して配置されるように、前記複数の第1ヘッド組が前記一方向に関して並設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
【請求項15】
前記複数の第1ヘッド組に係るすべての前記液体吐出ヘッドのうち前記一方向に関して最も外側に配置された前記液体吐出ヘッドと、当該液体吐出ヘッドと隣接する前記第2ヘッド組に属する前記液体吐出ヘッドとが、前記直交する方向に関する位置が同じになるように配置されていることを特徴とする請求項14に記載の液体吐出装置。
【請求項16】
前記移動機構が、
隣接する2つの前記第1ヘッド組において、前記一方向に関して最も外側に位置する2つの前記液体吐出ヘッド間に挟まれた2つの前記液体吐出ヘッドにそれぞれ対応する2つの前記キャップを支持する第1支持部材と、
前記複数の第1ヘッド組に係るすべての前記液体吐出ヘッドのうち、前記一方向に関して最も外側の一方に位置する前記液体吐出ヘッドに対応する前記キャップ、及び、前記第2ヘッド組に属し前記一方に位置する液体吐出ヘッドに隣接する前記第2ヘッド組に属する前記液体吐出ヘッドに対応する前記キャップを支持する第2支持部材と、
前記複数の第1ヘッド組に係るすべての前記液体吐出ヘッドのうち、前記一方向に関して最も外側の他方に位置する前記液体吐出ヘッドに対応する前記キャップ、及び、前記第2ヘッド組に属し前記他方に位置する液体吐出ヘッドに隣接する前記第2ヘッド組に属する前記液体吐出ヘッドに対応する前記キャップを支持する第3支持部材と、
前記第1、第2及び第3支持部材とそれぞれ連結され、前記直交する方向に沿って走行することによって前記キャップを前記退避位置から前記キャップ位置に移動させる複数のベルトとを有していることを特徴とする請求項15に記載の液体吐出装置。
【請求項17】
前記複数の液体吐出ヘッドが、前記第1及び第2ヘッド組毎に異なる色のインクを吐出し、
前記第2ヘッド組に属する前記液体吐出ヘッドが、すべての前記液体吐出ヘッドのうち、記録媒体上において最も目立ちにくい色のインクを吐出することを特徴とする請求項14〜16のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項18】
前記最も目立ちにくい色のインクが、すべての前記液体吐出ヘッドから吐出されるインクのうち、最も明度が大きい色のインクであることを特徴とする請求項17に記載の液体吐出装置。
【請求項19】
インク吐出領域が形成されたインク吐出面をそれぞれ有し、それぞれの前記インク吐出面が一方向に沿って2列に並べられ且つ異なる前記列に属する2つの前記インク吐出面が前記インク吐出面の面内方向に関して前記一方向と直交する方向に沿って重ならないように配列された複数のインクジェットヘッドと、
記録媒体を、前記インク吐出面と対向させつつ前記一方向に搬送させる記録媒体搬送機構と、
前記インク吐出面と当接することによって当該インク吐出面に形成された前記インク吐出領域を覆うことが可能な複数のキャップと、
前記キャップが前記インク吐出面と対向するキャップ位置及び前記インク吐出面と対向しない退避位置との間において前記複数のキャップを移動させる移動機構とを備えており、
前記複数のキャップが前記退避位置に配置されているときに、1つの前記列に係る前記インクジェットヘッドに対応する前記キャップが、前記1つの列に係る前記インクジェットヘッドと前記直交する方向に沿って重なり且つ別の前記列に係る前記インクジェットヘッドと前記一方向に沿って重なる位置に配置されており、前記別の列に係る前記インクジェットヘッドに対応する前記キャップが、前記別の列に係る前記インクジェットヘッドと前記直交する方向に沿って重なり且つ前記1つの列に係る前記インクジェットヘッドと前記一方向に沿って重なる位置に配置されていることを特徴とする画像記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−56324(P2012−56324A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−276879(P2011−276879)
【出願日】平成23年12月19日(2011.12.19)
【分割の表示】特願2007−194037(P2007−194037)の分割
【原出願日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】