説明

液体吐出装置

【課題】吐出対象物を案内する搬送ガイドが汚れることを回避することができ、液体吐出ヘッドと液体タンクとの相対高さが変化することを回避することができる液体吐出装置を提供する。
【解決手段】液体吐出装置は、(a)第1の駆動ローラ111と第2の駆動ローラ121との間において用紙搬送方向に用紙を案内する第1の搬送ガイド141を備え、(b)第1の搬送ガイド141が、(b1)第1の駆動ローラ111の直近から第2の駆動ローラ121の直近まで延びる薄板に、ライン型インクジェットヘッド150が垂直方向に出入可能な開口部141aが形成されたものであり、(b2)第1のヘッド列151における各ライン型インクジェットヘッド150の真下の位置から各ライン型インクジェットヘッド150のノズル面上方まで移動可能なものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出対象物に液体を吐出する液体吐出装置に関し、特に、吐出対象物を案内する搬送ガイドが汚れることを回避することができ、液体吐出ヘッドと液体タンクとの相対高さが変化することを回避することができる液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、吐出対象物に液体を吐出する装置(以下、液体吐出装置と呼称する。)として、インクジェットプリンタやマイクロディスペンサなどが広く知られている。近年では、これらの技術を応用して、フラットパネルディスプレイに電極材や色材を吐出する装置なども開発されている。液体吐出装置として、多種多様な装置が存在する。
【0003】
例えば、インクジェットプリンタでは、吐出対象物が用紙であり、吐出対象物に吐出される液体がインクである。ここで、インクとしては、主として、オイル成分をほとんど含まない水性インクが使用される。このため、インクが吐出されない状態が長く続くと、インクの水分が自然蒸発して、ノズルの目詰まりが起こる。
【0004】
そこで、インクジェットプリンタでは、インクジェットヘッドの性能を維持・回復するために、印刷の直前や印刷の合間を見計らって、印刷とは関係しない一定量のインクを吐出する動作(以下、フラッシングと呼称する。)、ノズルの先端に付着したインクを払拭する動作(以下、ワイピングと呼称する。)などが行われる。また、印刷が行われていないときは、インクが乾燥しないように、インクジェットヘッドのノズル面をキャップで覆う動作(以下、キャッピングと呼称する。)が行われる。
【0005】
例えば、インクジェットヘッドのメンテナンス(例えば、フラッシング、ワイピング、キャッピングなど。)を行うものとして、下記に示すインクジェットプリンタなどが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
図15(A)に示すように、インクジェットプリンタ10は、ライン型インクジェットヘッド15のメンテナンス時に、第1の昇降装置でキャップ16を上昇させ、第2の昇降装置でインクジェットヘッド15を上昇させる。ライン型インクジェットヘッド15のノズル面とキャップ16とを離間させた状態で、フラッシングを行う。さらに、図15(B)に示すように、第2の昇降装置でライン型インクジェットヘッド15を搬送ベルト14の下方位置まで下降させる。ライン型インクジェットヘッド15のノズル面にキャップ16を密着させた状態で、インク吸引を行う。インク吸引が終了すると、図15(C)に示すように、ライン型インクジェットヘッド15のノズル面からキャップ16を離間させると共に、キャップ16の上方にワイパ17が位置するまで、第1の昇降装置でキャップ16を下降させる。図15(D)に示すように、ワイパ17の上端部をライン型インクジェットヘッド15のノズル面と接触させた状態で、ワイピングを行う。ワイピングが終了すると、図15(E)に示すように、第2の昇降装置でライン型インクジェットヘッド15を上昇させ、第1の昇降装置でキャップ16を上昇させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−313816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記のインクジェットプリンタ10では、フラッシング時に、搬送ガイド14に形成された開口部に目掛けてインクが吐出される。このとき、吐出されたインクの一部が無数の微小な滴(以下、インクミストと呼称する。)になる。このため、インクミストが搬送ガイド14に付着して、インクミストで搬送ガイド14が汚れる。
【0009】
また、上記のインクジェットプリンタ10では、ライン型インクジェットヘッド15のメンテナンス時に、ライン型インクジェットヘッド15が上下に移動する。このため、印刷時におけるライン型インクジェットヘッド15の位置がズレ易く、インクタンク(不図示)とライン型インクジェットヘッド15との相対高さが変化する。
【0010】
もちろん、これらの問題は、インクジェットプリンタ以外の液体吐出装置についても、同様に起こり得ることである。すなわち、液体吐出装置でも、吐出対象物に液体を吐出する液体吐出ヘッドをメンテナンスするときに、吐出対象物を案内する搬送ガイドが汚れる場合がある。さらに、液体吐出ヘッドが昇降して、液体吐出ヘッドと液体タンクとの相対高さが変化する場合がある。
【0011】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みて、吐出対象物を案内する搬送ガイドが汚れることを回避することができ、液体吐出ヘッドと液体タンクとの相対高さが変化することを回避することができる液体吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明に係わる液体吐出装置は、下記に示す特徴を備える。
(CL1)本発明に係わる液体吐出装置は、(a)吐出対象物に液体を吐出する液体吐出装置であって、(b)前記吐出対象物が搬送される方向を第1の方向として、前記吐出対象物の被吐出面において前記第1の方向と直交する方向を第2の方向として、前記第1の方向と前記第2の方向とに直交する方向を第3の方向とした場合において、(c)液体を吐出する複数のノズルが配列された液体吐出ヘッドと、(d)前記液体吐出ヘッドを挟んで、前記第1の方向の一方側に配置された第1の搬送ローラと、前記第1の方向の他方側に配置された第2の搬送ローラと、(e)前記第1の搬送ローラと前記第2の搬送ローラとの間において前記第1の方向に前記吐出対象物を案内する搬送ガイドとを備え、(f)前記搬送ガイドが、(f1)前記第1の搬送ローラの直近から前記第2の搬送ローラの直近まで延びる薄板に、前記液体吐出ヘッドが前記第3の方向に出入可能な開口部が形成されたものであり、(f2)前記液体吐出ヘッドの真下の位置から前記液体吐出ヘッドのノズル面上方まで移動可能なものである。
【0013】
(CL2)上記(CL1)に記載の液体吐出装置は、(a)前記吐出対象物に液体を吐出するときは、前記液体吐出ヘッドの真下に前記搬送ガイドが配置されて、(b)前記液体吐出ヘッドをメンテナンスするときは、前記液体吐出ヘッドのノズル面上方に前記搬送ガイドが退避するまで、前記第3の方向に前記搬送ガイドが移動する。
【0014】
(CL3)上記(CL1)又は(CL2)に記載の液体吐出装置は、(a)前記液体吐出ヘッドの真下に、前記液体吐出ヘッドのノズル面を覆うキャップが配置され、(b)前記搬送ガイドに形成された前記開口部が、前記キャップが出入可能なものである。
【0015】
(CL4)上記(CL3)に記載の液体吐出装置は、前記液体吐出ヘッドのノズル面を前記キャップで覆うときは、前記搬送ガイドが前記液体吐出ヘッドのノズル面上方に退避した状態で、前記液体吐出ヘッドのノズル面が前記キャップで覆われる。
【0016】
(CL5)上記(CL3)に記載の液体吐出装置は、(a)前記キャップに、前記液体吐出ヘッドのノズル面を拭き取るワイパが設置され、(b)前記液体吐出ヘッドのノズル面を拭き取るときは、前記搬送ガイドが前記液体吐出ヘッドのノズル面上方に退避した状態で、前記ワイパが前記液体吐出ヘッドのノズル面と接触する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、吐出対象物に液体を吐出するときは、液体吐出ヘッドのノズル面下方に搬送ガイドが配置される。ここで、搬送可能な最小の吐出対象物における第2の方向寸法よりも開口幅が広い開口部が搬送ガイドに形成されていない。すなわち、第1の搬送ローラと第2の搬送ローラとの間に、吐出対象物の搬送に支障をきたすものが存在しない。このため、吐出対象物を安定姿勢で搬送することができる。
【0018】
また、液体吐出ヘッドをメンテナンスするときは、液体吐出ヘッドのノズル面上方に搬送ガイドが退避する。すなわち、液体吐出ヘッドから吐出された液体に起因して発生するミストやキャップから飛散・漏洩した液体などが付着するものが液体吐出ヘッドのノズル面下方に存在しない。このため、搬送ガイドが汚れることを回避することができる。
【0019】
また、液体吐出ヘッドが第3の方向に移動せず、搬送ガイドだけが第3の方向に移動するので、液体吐出ヘッドと液体タンクとの相対高さが変化しない。
また、搬送ガイドが退避するにあたって、第1の搬送ローラ、第2の搬送ローラなどが移動しない。その代わりに、搬送ガイド(薄板)が第3の方向に移動する。このため、薄板を昇降させる機構のような簡易な構成で、搬送ガイドにおける駆動部を実現することができる。また、退避対象の構成要素が搬送ガイド(薄板)だけであるので、退避動作が迅速になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施の形態における液体吐出装置を示す側面図である。
【図2】実施の形態における印刷機構を示す斜視図である。
【図3】実施の形態における印刷機構を示す平面図である。
【図4】実施の形態における印刷機構をA1−A1線で切断して矢視方向に見た断面図である。
【図5】実施の形態におけるライン型インクジェットヘッドの配置を示す概要図である。
【図6】実施の形態における搬送ガイド部が閉じている状態を示す斜視図である。
【図7】実施の形態における搬送ガイド部が開いている状態を示す斜視図である。
【図8】実施の形態における搬送ガイド部の駆動部を示す側面図である。
【図9】実施の形態における印刷機構の印刷時の動作を示す模式図である。
【図10】実施の形態における印刷機構のフラッシング時の動作を示す模式図である。
【図11】実施の形態における印刷機構のワイピング時の動作を示す模式図である。
【図12】実施の形態における印刷機構のキャッピング時の動作を示す模式図である。
【図13】実施の形態の変形例における印刷機構のフラッシング時の動作を示す模式図である。
【図14】実施の形態の変形例における印刷機構のキャッピング時の動作を示す模式図である。
【図15】(A)−(E)は、従来のインクジェットプリンタにおけるメンテナンス時の内部を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施の形態)
以下、本発明に係わる実施の形態について説明する。
<概要>
本実施の形態における液体吐出装置は、下記(1)−(5)に示す特徴を備える。
【0022】
(1)液体吐出装置は、(a)吐出対象物に液体を吐出する液体吐出装置であって、(b)吐出対象物が搬送される方向を第1の方向として、吐出対象物の被吐出面において第1の方向と直交する方向を第2の方向として、第1の方向と第2の方向とに直交する方向を第3の方向とした場合において、(c)液体を吐出する複数のノズルが配列された液体吐出ヘッドと、(d)液体吐出ヘッドを挟んで、第1の方向の一方側に配置された第1の搬送ローラと、第1の方向の他方側に配置された第2の搬送ローラと、(e)第1の搬送ローラと第2の搬送ローラとの間において第1の方向に吐出対象物を案内する搬送ガイドを備え、(f)搬送ガイドが、(f1)第1の搬送ローラの直近から第2の搬送ローラの直近まで延びる薄板に、搬送可能な最小の吐出対象物における第2の方向の寸法よりも第2の方向の開口寸法が狭く、かつ液体吐出ヘッドが第3の方向に出入可能な開口部が形成されたものであり、(f2)液体吐出ヘッドの真下の位置から液体吐出ヘッドのノズル面上方まで移動可能なものである。
【0023】
(2)液体吐出装置は、(a)吐出対象物に液体を吐出するときは、液体吐出ヘッドの真下に搬送ガイドが配置されて、(b)液体吐出ヘッドをメンテナンスするときは、液体吐出ヘッドのノズル面上方に搬送ガイドが退避するまで、第3の方向に搬送ガイドが移動する。
【0024】
(3)液体吐出装置は、(a)液体吐出ヘッドの真下に、液体吐出ヘッドのノズル面を覆うキャップが配置され、(b)搬送ガイドに形成された開口部が、キャップが出入可能なものである。
【0025】
(4)液体吐出装置は、液体吐出ヘッドのノズル面をキャップで覆うときは、搬送ガイドが液体吐出ヘッドのノズル面上方に退避した状態で、液体吐出ヘッドのノズル面がキャップで覆われる。
【0026】
(5)液体吐出装置は、(a)キャップに、液体吐出ヘッドのノズル面を拭き取るワイパが設置され、(b)液体吐出ヘッドのノズル面を拭き取るときは、搬送ガイドが液体吐出ヘッドのノズル面上方に退避した状態で、ワイパが液体吐出ヘッドのノズル面と接触する。
【0027】
以上の点を踏まえて、インクジェット方式の印刷装置を一例として、本実施の形態における液体吐出装置について説明する。なお、インクジェット方式の印刷装置では、吐出対象物が用紙であり、吐出対象物に吐出される液体がインクである。
【0028】
<構成>
ここでは、一例として、図1に示すように、液体吐出装置100は、インクジェット方式で水性インクを用紙に吐出する印刷装置である。給紙台101に積層されている1枚以上の用紙50を1枚ずつ給紙機構102で印刷機構103に供給する。印刷機構103に供給された用紙50にラスターイメージを印刷する。ラスターイメージが印刷された用紙50を、排紙機構104を介して紙受け台105に排紙する。
【0029】
以下、用紙50の表面を印刷面とする。印刷機構103を排紙側から見た場合において、左側を手前とし、右側を奥とする。
<印刷機構103>
図2−図4に示すように、印刷機構103は、給紙側から順に、第1の搬送ローラ部110、第2の搬送ローラ部120、および第3の搬送ローラ部130が印刷機構103のフレーム106に設置される。搬送ガイド部140の上方に複数のライン型インクジェットヘッド150が設置される。給紙側から排紙側に搬送される用紙に、1つのラスターイメージを、複数のライン型インクジェットヘッド150で分担して印刷する。
【0030】
<第1の搬送ローラ部110>
第1の搬送ローラ部110は、第1の駆動ローラ111と、第1の駆動ローラ111と対をなす第1の従動ローラ112とからなる。第1の駆動ローラ111は、搬送中の用紙の裏面側に配置され、能動的に、用紙搬送方向に用紙を送り出す方向に回転するものである。第1の従動ローラ112は、搬送中の用紙の表面側に配置され、第1の駆動ローラ111の回転に追随して、受動的に、用紙搬送方向に用紙を送り出す方向に回転するものである。
【0031】
<第2の搬送ローラ部120>
第2の搬送ローラ部120は、第2の駆動ローラ121と、第2の駆動ローラ121と対をなす第2の従動ローラ122とからなる。第2の駆動ローラ121は、搬送中の用紙の裏面側に配置され、能動的に、用紙搬送方向に用紙を送り出す方向に回転するものである。第2の従動ローラ122は、搬送中の用紙の表面側に配置され、第2の駆動ローラ121の回転に追随して、受動的に、用紙搬送方向に用紙を送り出す方向に回転するものである。
【0032】
<第3の搬送ローラ部130>
第3の搬送ローラ部130は、第3の駆動ローラ131と、第3の駆動ローラ131と対をなす第3の従動ローラ132とからなる。第3の駆動ローラ131は、搬送中の用紙の裏面側に配置され、能動的に、用紙搬送方向に用紙を送り出す方向に回転するものである。第3の従動ローラ132は、搬送中の用紙の表面側に配置され、第3の駆動ローラ131の回転に追随して、受動的に、用紙搬送方向に用紙を送り出す方向に回転するものである。
【0033】
<搬送ガイド部140>
搬送ガイド部140は、第1の搬送ガイド141と、第1の搬送ガイド141と対をなす第2の搬送ガイド142とからなる。第1の搬送ガイド141は、上流から供給された用紙を第2の搬送ローラ部120まで案内するものである。第2の搬送ガイド142は、第2の搬送ローラ部120から送り出された用紙を下流まで案内するものである。
【0034】
<ライン型インクジェットヘッド150>
また、図2−図4に示すように、印刷機構103は、第1の搬送ローラ部110と第2の搬送ローラ部120との間の部分(以下、前段部分と呼称する。)に3個のライン型インクジェットヘッド150が設置される。第2の搬送ローラ部120と第3の搬送ローラ部130との間の部分(以下、後段部分と呼称する。)に3個のライン型インクジェットヘッド150が設置される。計6個のライン型インクジェットヘッド150で印刷可能最大範囲が分担されて印刷される。
【0035】
ここで、印刷可能最大範囲とは、印刷機構103で印刷可能な最大範囲である。前段部分と後段部分との各々については、長さ(用紙搬送方向寸法)が搬送可能な最小サイズの用紙(以下、搬送可能最小用紙と呼称する。)の長さ(用紙搬送方向寸法)よりも短い。幅(用紙幅方向寸法)が搬送可能な最大サイズの用紙(以下、搬送可能最大用紙と呼称する。)の幅(用紙幅方向寸法)よりも広い。
【0036】
各ライン型インクジェットヘッド150は、1個で複数色を吐出するものである。同色の複数のノズル(不図示)が用紙幅方向に配列されて各色の複数のノズル(不図示)が用紙搬送方向に配列されるように、搬送ガイド部140の上方に配置される。印刷中は、搬送ガイド部140の上方に固定された状態で使用される。ここでは、一例として、排紙側から見て、印刷可能最大範囲が部分印刷領域単位で用紙幅方向に分割されるとする。
【0037】
この場合において、図5に示すように、前段部分に設置される3個のライン型インクジェットヘッド150(以下、第1のヘッド列151と呼称する。)が、奇数領域の上方に個別に配置され、奇数領域の印刷を担当する。後段部分に設置される3個のライン型インクジェットヘッド150(以下、第2のヘッド列152と呼称する。)が、偶数領域の上方に個別に配置され、偶数領域の印刷を担当する。
【0038】
ここで、部分印刷領域とは、印刷面において1個のライン型インクジェットヘッド150で印刷可能な範囲である。奇数領域とは、手前から数えて、印刷可能最大範囲の奇数番目の部分印刷領域(図中における部分印刷領域1、部分印刷領域3、部分印刷領域5など。)である。偶数領域とは、手前から数えて、印刷可能最大範囲の偶数番目の部分印刷領域(図中における部分印刷領域2、部分印刷領域4、部分印刷領域6など。)である。
【0039】
<キャップ160>
また、印刷機構103は、第1の搬送ローラ部110と第2の搬送ローラ部120との間におけるフレーム106の部分に矩形状の開口部(以下、前段開口部106aと呼称する。)が形成されている。第2の搬送ローラ部120と第3の搬送ローラ部130との間におけるフレーム106の部分に矩形状の開口部(以下、後段開口部106bと呼称する。)が形成されている。前段開口部106aに3個のキャップ160が設置される。後段開口部106bに3個のキャップ160が設置される。このとき、前段開口部106aに設置される3個のキャップ160(以下、第1のキャップ列161と呼称する。)が、第1のヘッド列151における各ライン型インクジェットヘッド150の真下に個別に配置される。後段開口部106bに設置される3個のキャップ160(以下、第2のキャップ列162と呼称する。)が、第2のヘッド列152における各ライン型インクジェットヘッド150の真下に個別に配置される。
【0040】
ここで、前段開口部106aについては、長さ(用紙搬送方向寸法)がライン型インクジェットヘッド150の奥行(用紙搬送方向寸法)よりも長い。幅(用紙幅方向寸法)が第1のヘッド列151の全幅(用紙幅方向寸法)よりも広い。後段開口部106bについては、長さ(用紙搬送方向寸法)がライン型インクジェットヘッド150の奥行(用紙搬送方向寸法)よりも長い。幅(用紙幅方向寸法)が第2のヘッド列152の全幅(用紙幅方向寸法)よりも広い。
【0041】
各キャップ160は、保湿機能を果たすものである。印刷時に、各ライン型インクジェットヘッド150に対向するように、搬送ガイド部140の下方に配置される。各ライン型インクジェットヘッド150の下方に配置される。フラッシング時、ワイピング時に、各ライン型インクジェットヘッド150のノズル面付近まで上昇する。キャッピング時に、各ライン型インクジェットヘッド150のノズル面を覆う。
【0042】
<搬送ガイド部140の具体例>
次に、搬送ガイド部140について詳細に説明する。
図6、図7に示すように、搬送ガイド部140は、第1の搬送ガイド141が前段部分に設置されて、第2の搬送ガイド142が後段部分に設置される。
【0043】
なお、図6、図7については、搬送ガイド部140の構造を見易くするために、印刷機構103の一部を除去した状態で表示している。
<第1の搬送ガイド141>
具体的には、第1の搬送ガイド141は、開口部141aが形成された1枚の矩形状薄板の両側に、個別に、短手方向に立ちはだかって下方に真っすぐ延びる壁部141bが付いたものである。矩形状薄板の幅(長手方向寸法)が搬送可能最大用紙の幅(用紙幅方向寸法)よりも広い。矩形状薄板の長さ(短手方向寸法)が第1の駆動ローラ111の下流側直近から第2の駆動ローラ121の上流側直近までの距離と略同じである。短手方向に広がる開口部141aが長手方向に3穴形成されている。
【0044】
ここで、各開口部141aについては、開口形状が矩形である。幅(長手方向寸法)がライン型インクジェットヘッド150の幅(用紙幅方向寸法)よりも広い。長さ(短手方向寸法)がライン型インクジェットヘッド150の奥行(用紙搬送方向寸法)よりも長い。
【0045】
また、各壁部141bについては、長さ(垂直方向寸法)が印刷時における第1の搬送ガイド141の表面とライン型インクジェットヘッド150の下面との間隔よりも長い。幅(長手方向寸法)が矩形状薄板の幅(長手方向寸法)と略同じである。さらに、少なくともいずれかの壁部141bについては、歯切り加工が施されて、垂直方向に沿った歯が形成されている。ここでは、一例として、第1の駆動ローラ111の側に配置される壁部141bの手前の縁部に歯が形成されている。
【0046】
また、第1の搬送ガイド141は、短手方向が用紙搬送方向に合わされて、長手方向が用紙幅方向に合わされて、前段部分に配置される。表面が水平を維持した状態で、印刷機構103のフレーム106に設置される。このとき、各壁部141bが、垂直方向に昇降可能な状態で、第1の搬送ガイド141の裏面側に配置される。すなわち、印刷機構103の手前から見ると、逆U字状に見える第1の搬送ガイド141が垂直方向に昇降可能な状態で印刷機構103のフレーム106に設置される。
【0047】
<第2の搬送ガイド142>
一方、第2の搬送ガイド142は、開口部142aが形成された1枚の矩形状薄板の両側に、個別に、短手方向に立ちはだかって下方に真っすぐ延びる壁部142bが付いたものである。矩形状薄板の幅(長手方向寸法)が搬送可能最大用紙の幅(用紙幅方向寸法)よりも広い。矩形状薄板の長さ(短手方向寸法)が第3の駆動ローラ131の上流側直近から第2の駆動ローラ121の下流側直近までの距離と略同じである。短手方向に広がる開口部142aが長手方向に3穴形成されている。
【0048】
ここで、各開口部142aについては、開口形状が矩形である。幅(長手方向寸法)がライン型インクジェットヘッド150の幅(用紙幅方向寸法)よりも広い。長さ(短手方向寸法)がライン型インクジェットヘッド150の奥行(用紙搬送方向寸法)よりも長い。
【0049】
また、各壁部142bについては、長さ(垂直方向寸法)が印刷時における第2の搬送ガイド142の表面とライン型インクジェットヘッド150の下面との間隔よりも長い。幅(長手方向寸法)が矩形状薄板の幅(長手方向寸法)と略同じである。さらに、少なくともいずれかの壁部142bについては、歯切り加工が施されて、垂直方向に沿った歯が形成されている。ここでは、一例として、第3の駆動ローラ131の側に配置される壁部142bの手前の縁部に歯が形成されている。
【0050】
また、第2の搬送ガイド142は、短手方向が用紙搬送方向に合わされて、長手方向が用紙幅方向に合わされて、後段部分に配置される。表面が水平を維持した状態で、印刷機構103のフレーム106に設置される。このとき、各壁部142bが、垂直方向に昇降可能な状態で、第2の搬送ガイド142の裏面側に配置される。すなわち、印刷機構103の手前から見ると、逆U字状に見える第2の搬送ガイド142が垂直方向に昇降可能な状態で印刷機構103のフレーム106に設置される。
【0051】
<搬送ガイド部140の駆動部>
次に、搬送ガイド部140の駆動部について説明する。
図8に示すように、搬送ガイド部140は、第1の搬送ガイド141の下方で印刷機構103の手前に、第1の駆動部143が設置される。また、第2の搬送ガイド142の下方で印刷機構103の手前に、第2の駆動部144が設置される。
【0052】
<第1の駆動部143>
第1の駆動部143は、印刷機構103に備わる制御部(不図示)で制御されるモータ143aと、モータ143aのシャフト先端に取り付けられた小口径円形歯車143bとを有する。
【0053】
ここで、小口径円形歯車143bについては、第1の搬送ガイド141における壁部141bに形成された歯と噛み合う歯が外周に形成されている。
また、第1の駆動部143は、シャフトの軸方向が用紙幅方向に合わされて、第1の搬送ガイド141の下方で印刷機構103の手前に小口径円形歯車143bが配置される。壁部141bに形成された歯と小口径円形歯車143bが噛み合った状態で、印刷機構103のフレーム106にモータ143aが設置される。モータ143aを駆動することで第1の搬送ガイド141が垂直方向に移動する。
【0054】
<第2の駆動部144>
第2の駆動部144は、印刷機構103に備わる制御部(不図示)で制御されるモータ144aと、モータ144aのシャフト先端に取り付けられた小口径円形歯車144bとを有する。
【0055】
ここで、小口径円形歯車144bについては、第2の搬送ガイド142における壁部142bに形成された歯と噛み合う歯が外周に形成されている。
また、第2の駆動部144は、シャフトの軸方向が用紙幅方向に合わされて、第2の搬送ガイド142の下方で印刷機構103の手前に小口径円形歯車144bが配置される。壁部142bに形成された歯と小口径円形歯車144bが噛み合った状態で、印刷機構103のフレーム106にモータ144aが設置される。モータ144aを駆動することで第2の搬送ガイド142が垂直方向に移動する。
【0056】
<動作>
次に、印刷機構103の動作について説明する。ここでは、印刷時の動作、フラッシング時の動作、ワイピング時の動作、キャッピング時の動作について説明する。
【0057】
なお、第1のヘッド列151における各ノズル面下方の領域外に第1の搬送ガイド141が退避するときは、第1の搬送ガイド141の裏面から下方にライン型インクジェットヘッド150のノズル面が突出するまで、第1の搬送ガイド141が上昇する。さらに、第1のヘッド列151における各ノズル面下方の領域に第1の搬送ガイド141が復帰するときは、第1の搬送ガイド141の表面から上方に所定の距離(例えば、0.8mm程度。)だけ第1の駆動ローラ111の上部が突出するまで、第1の搬送ガイド141が下降する。
【0058】
同様に、第2のヘッド列152における各ノズル面下方の領域外に第2の搬送ガイド142が退避するときは、第2の搬送ガイド142の裏面から下方にライン型インクジェットヘッド150のノズル面が突出するまで、第2の搬送ガイド142が上昇する。さらに、第2のヘッド列152における各ノズル面下方の領域に第2の搬送ガイド142が復帰するときは、第2の搬送ガイド142の表面から上方に所定の距離(例えば、0.8mm程度。)だけ第3の駆動ローラ131の上部が突出するまで、第2の搬送ガイド142が下降する。
【0059】
なお、図9−図12については、印刷機構103の構造を見易くするために、フレーム106を除去した状態で表示している。
<印刷時>
図9に示すように、印刷機構103は、印刷時に、第1の駆動ローラ111の下流側直近から第2の駆動ローラ121の上流側直近まで延びるように、第1のヘッド列151の下方に第1の搬送ガイド141が配置される。第1の駆動ローラ111から送り出された用紙が、第1の搬送ガイド141で、第2の駆動ローラ121に案内される。
【0060】
同様に、第3の駆動ローラ131の上流側直近から第2の駆動ローラ121の下流側直近まで延びるように、第2のヘッド列152の下方に第2の搬送ガイド142が配置される。第2の駆動ローラ121から送り出された用紙が、第2の搬送ガイド142で、第3の駆動ローラ131に案内される。
【0061】
このとき、第1の搬送ガイド141の表面から上方に所定の距離(例えば、0.8mm程度。)だけ第1の駆動ローラ111の上部が突出する。第2の搬送ガイド142の表面から上方に所定の距離(例えば、0.8mm程度。)だけ第3の駆動ローラ131の上部が突出する。
【0062】
<フラッシング時>
図10に示すように、印刷機構103は、フラッシング時に、モータ143aが駆動して、第1の搬送ガイド141の裏面から下方にライン型インクジェットヘッド150のノズル面が突出するまで、第1の搬送ガイド141が上昇する。第1のヘッド列151から第1のキャップ列161に目掛けて、一定量のインクが吐出される。
【0063】
同様に、モータ144aが駆動して、第2の搬送ガイド142の裏面から下方にライン型インクジェットヘッド150のノズル面が突出するまで、第2の搬送ガイド142が上昇する。第2のヘッド列152から第2のキャップ列162に目掛けて、一定量のインクが吐出される。
【0064】
<ワイピング時>
図11に示すように、印刷機構103は、ワイピング時に、モータ143aが駆動して、第1の搬送ガイド141の裏面から下方にライン型インクジェットヘッド150のノズル面が突出するまで、第1の搬送ガイド141が上昇する。第1のキャップ列161における各キャップ160に備わるワイパ160aが第1のヘッド列151における各ノズル面と接触するまで、第1のキャップ列161が上昇する。第1のキャップ列161における各ワイパ160aが、第1のヘッド列151における各ノズル面と接触した状態で、用紙幅方向に移動する。第1のヘッド列151における各ノズル面に付着したインクが第1のキャップ列161における各ワイパ160aで拭き取られる。
【0065】
同様に、モータ144aが駆動して、第2の搬送ガイド142の裏面から下方にライン型インクジェットヘッド150のノズル面が突出するまで、第2の搬送ガイド142が上昇する。第2のキャップ列162における各キャップ160に備わるワイパ160aが第2のヘッド列152における各ノズル面と接触するまで、第2のキャップ列162が上昇する。第2のキャップ列162における各ワイパ160aが、第2のヘッド列152における各ノズル面と接触した状態で、用紙幅方向に移動する。第2のヘッド列152における各ノズル面に付着したインクが第2のキャップ列162における各ワイパ160aで拭き取られる。
【0066】
<キャッピング時>
図12に示すように、印刷機構103は、キャッピング時に、モータ143aが駆動して、第1の搬送ガイド141の裏面から下方にライン型インクジェットヘッド150のノズル面が突出するまで、第1の搬送ガイド141が上昇する。第1のキャップ列161が上昇して、第1のヘッド列151における各ノズル面が第1のキャップ列161における各キャップ160で覆われる。
【0067】
同様に、モータ144aが駆動して、第2の搬送ガイド142の裏面から下方にライン型インクジェットヘッド150のノズル面が突出するまで、第2の搬送ガイド142が上昇する。第2のキャップ列162が上昇して、第2のヘッド列152における各ノズル面が第2のキャップ列162における各キャップ160で覆われる。
【0068】
<まとめ>
以上、本実施の形態によれば、印刷時に、第1のヘッド列151における各ノズル面下方に第1の搬送ガイド141が配置される。ここで、搬送可能最小用紙の幅(用紙幅方向寸法)よりも開口幅が広い開口部が第1の搬送ガイド141に形成されていない。すなわち、第1の搬送ローラ部110と第2の搬送ローラ部120との間に、用紙の搬送に支障をきたすものが存在しない。このため、第1の搬送ローラ部110から第2の搬送ローラ部120まで、用紙の先が躓くことがなく、用紙が安定姿勢で案内される。結果、用紙の姿勢が安定するので、ジャムが発生し難くなる。
【0069】
また、ライン型インクジェットヘッド150のメンテナンス時(例えば、フラッシング時、ワイピング時、キャッピング時など。)に、第1のヘッド列151における各ノズル面上方に第1の搬送ガイド141が退避する。すなわち、インクミストやキャップ160から飛散・漏洩したインクなどが付着するものが第1のヘッド列151における各ノズル面下方に存在しない。このため、第1の搬送ガイド141が汚れることを回避することができる。
【0070】
また、各ライン型インクジェットヘッド150が垂直方向に移動せず、第1の搬送ガイド141だけが垂直方向に移動するので、インクジェットヘッド150とインクタンク(不図示)との相対高さが変化しない。
【0071】
また、第1の搬送ガイド141が退避するにあたって、第1の搬送ローラ部110、第2の搬送ローラ部120などが移動しない。その代わりに、第1の搬送ガイド141(薄板)が垂直方向に移動する。このため、薄板を昇降させる機構のような簡易な構成で、第1の搬送ガイド141における駆動部を実現することができる。また、退避対象の構成要素が第1の搬送ガイド141(薄板)だけであるので、退避動作が迅速になる。
【0072】
また、キャッピング時のように、第1のヘッド列151における各ノズル面が第1のキャップ列161における各キャップ160で覆われるときに、各ノズル面と各キャップ160との間にインクの膜が形成される場合がある。そして、インクの膜が形成された状態で、各ノズル面から各キャップ160が離れると、インクの膜が壊れて飛散する。しかしながら、このような場合においても、第1のヘッド列151における各ノズル面上方に第1の搬送ガイド141を退避させておくことで、第1の搬送ガイド141の表輪側が汚れることを回避することができる。さらに、各ノズル面が各壁部141bで挟まれているので、インクの膜が壊れて飛散しても、第1の搬送ガイド141の裏面側が汚れるだけで済み、第1の搬送ローラ部110や第2の搬送ローラ部120などが汚れることを回避することもできる。
【0073】
なお、これらのことは、第2の搬送ガイド142についても、同様である。
<変形例>
(1)なお、図13に示すように、印刷機構103は、フラッシング時に、各ライン型インクジェットヘッド150の真下に位置する各キャップ160が各ライン型インクジェットヘッド150のノズル面と近接するように、各キャップ160が上昇するとしてもよい。
【0074】
(2)なお、図14に示すように、印刷機構103は、キャッピング時に、第1の駆動ローラ111の下流側直近から第2の駆動ローラ121の上流側直近まで延びるように、第1のヘッド列151の下方に第1の搬送ガイド141が配置される。第1のキャップ列161が上昇して、第1のヘッド列151における各ノズル面が第1のキャップ列161における各キャップ160で覆われるとしてもよい。
【0075】
このとき、第1の搬送ガイド141の表面から上方に所定の距離(例えば、0.8mm程度。)だけ第1の駆動ローラ111の上部が突出する。
これによって、第1の搬送ガイド141を退避させずに、各キャップ160が昇降しても、第1の搬送ガイド141と干渉することを回避することができ、各ライン型インクジェットヘッド150のノズル面を各キャップ160で覆うことができる。
【0076】
また、キャッピング時のように、インクミストが発生しないときまでも、第1の搬送ガイド141を退避することを回避することができ、退避回数を減らすことができる。
なお、これらのことは、第2の搬送ガイド142についても同様である。
【0077】
(3)なお、各ライン型インクジェットヘッド150は、1個のライン型インクジェットヘッド150で単色を吐出し、異なる色を吐出する複数のライン型インクジェットヘッド150を組み合わせることで、複数色を実現するものであるとしてもよい。また、用紙搬送方向に2段以上配列されているとしてもよいし、用紙幅方向に3個以上配列されているとしてもよい。また、千鳥配置で配列されているとしてもよい。
【0078】
(4)なお、第1の搬送ガイド141および第2の搬送ガイド142のいずれかは、低摩擦部材で構成されているとしてもよい。また、低摩擦剤で表面がコーティングされたものでもよい。また、搬送方向に沿った複数のリブが表面に形成されたものでもよい。
【0079】
(5)なお、インクとしては、一般的な水性インク以外に、油性インク、ジェルインク、ホットメルトインクなどの各種液体組成物を包含するものが挙げられる。
(6)なお、液体吐出装置100は、吐出可能な材料であれば、インク以外に、他の液体を吐出するとしてもよい。例えば、他の液体として、物質の状態が液相であればよく、(a)粘性の高いまたは低い液体、(b)液晶、(c)ゾル、(d)ゲル水、(e)無機溶剤、(f)有機溶剤、(g)溶液、(h)液状樹脂、(i)溶融金属などが挙げられる。また、(j)顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料が溶媒に溶解されたもの、(k)顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料が溶媒に分散されたもの、(l)顔料や金属粒子などの固形物からなる二種類以上の機能材料が溶媒に混合されたものなども挙げられる。
【0080】
(7)なお、液体吐出装置100から、滴状、粒状、涙状、または糸状に尾を引くように、液体が吐出されるとしてもよい。
(8)なお、液体吐出装置100は、インクジェット方式の印刷装置以外に、例えば、(a)捺染装置、(b)マイクロディスペンサなどであるとしてもよい。また、(c)液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルタなどの製造に使用される電極材や色材などの材料を分散または溶解させたものを含む液体を吐出する装置であるとしてもよい。また、(d)バイオチップの製造に使用される生体有機物を吐出する装置であるとしてもよい。また、(e)精密ピペットとして使用される試料となる液体を吐出する装置であるとしてもよい。また、(f)時計やカメラなどの精密機械にピンポイントで潤滑油を吐出する装置であるとしてもよい。また、(g)光通信素子などに使用される微小半球状光学レンズなどを形成するために、紫外線硬化樹脂などの透明樹脂液を基板上に吐出する装置であるとしてもよい。また、(h)基板などをエッチングするために、酸またはアルカリなどのエッチング液を吐出する装置であるとしてもよい。
【0081】
(9)なお、吐出対象物としては、用紙以外に、基板、カラーフィルタ、繊維素材、立体物などが挙げられる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、吐出対象物に液体を吐出する液体吐出装置などとして、特に、吐出対象物を案内する搬送ガイドが汚れることを回避することができ、液体吐出ヘッドと液体タンクとの相対高さが変化することを回避することができる液体吐出装置などとして利用することができる。
【符号の説明】
【0083】
10 液体吐出装置
14 搬送ガイド
15 ライン型インクジェットヘッド
16 キャップ
17 ワイパ
50 用紙
100 液体吐出装置
101 給紙台
102 給紙機構
103 印刷機構
104 排紙機構
105 紙受け台
106 フレーム
106a 前段開口部
106b 後段開口部
110 第1の搬送ローラ部
111 第1の駆動ローラ
112 第1の従動ローラ
120 第2の搬送ローラ部
121 第2の駆動ローラ
122 第2の従動ローラ
130 第3の搬送ローラ部
131 第3の駆動ローラ
132 第3の従動ローラ
140 搬送ガイド部
141 第1の搬送ガイド
141a 開口部
141b 壁部
142 第2の搬送ガイド
142a 開口部
142b 壁部
143 第1の駆動部
143a モータ
143b 小口径円形歯車
144 第2の駆動部
144a モータ
144b 小口径円形歯車
150 ライン型インクジェットヘッド
151 第1のヘッド列
152 第2のヘッド列
160 キャップ
160a ワイパ
161 第1のキャップ列
162 第2のキャップ列

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐出対象物に液体を吐出する液体吐出装置であって、
前記吐出対象物が搬送される方向を第1の方向として、前記吐出対象物の被吐出面において前記第1の方向と直交する方向を第2の方向として、前記第1の方向と前記第2の方向とに直交する方向を第3の方向とした場合において、
液体を吐出する複数のノズルが配列された液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドを挟んで、前記第1の方向の一方側に配置された第1の搬送ローラと、前記第1の方向の他方側に配置された第2の搬送ローラと、
前記第1の搬送ローラと前記第2の搬送ローラとの間において前記第1の方向に前記吐出対象物を案内する搬送ガイドとを備え、
前記搬送ガイドが、前記第1の搬送ローラの直近から前記第2の搬送ローラの直近まで延びる薄板に、前記液体吐出ヘッドが前記第3の方向に出入可能な開口部が形成されたものであり、前記液体吐出ヘッドの真下の位置から前記液体吐出ヘッドのノズル面上方まで移動可能なものである
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記吐出対象物に液体を吐出するときは、前記液体吐出ヘッドの真下に前記搬送ガイドが配置されて、
前記液体吐出ヘッドをメンテナンスするときは、前記液体吐出ヘッドのノズル面上方に前記搬送ガイドが退避するまで、前記第3の方向に前記搬送ガイドが移動する
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記液体吐出ヘッドの真下に、前記液体吐出ヘッドのノズル面を覆うキャップが配置され、
前記搬送ガイドに形成された前記開口部が、前記キャップが出入可能なものである
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記液体吐出ヘッドのノズル面を前記キャップで覆うときは、前記搬送ガイドが前記液体吐出ヘッドのノズル面上方に退避した状態で、前記液体吐出ヘッドのノズル面が前記キャップで覆われる
ことを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記キャップに、前記液体吐出ヘッドのノズル面を拭き取るワイパが設置され、
前記液体吐出ヘッドのノズル面を拭き取るときは、前記搬送ガイドが前記液体吐出ヘッドのノズル面上方に退避した状態で、前記ワイパが前記液体吐出ヘッドのノズル面と接触する
ことを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−214593(P2010−214593A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−60363(P2009−60363)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(390002129)デュプロ精工株式会社 (351)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】