説明

液体吐出装置

【課題】記録ヘッドに供給される液体を貯留するタンクが傾くことで液面が誤検知されたとしても、サブタンクに液体が供給されないようにする。
【解決手段】上筐体にはヘッド、ヘッドに供給される液体を貯留するカートリッジ、カートリッジからヘッドに供給される液体を一時的に貯留するサブタンクが固定されている。下筐体には、用紙を支持する支持部が固定されている。上筐体は、下筐体に対して回動自在となっており、ヘッドと支持部とが近接する近接位置と近接位置から離隔する離隔位置とを取り得る。上筐体が近接位置にあるときは(S102:YES)、カートリッジからサブタンクへの液体の供給動作を行うことが可能であり(S105)、上筐体が離隔位置にあるときは(S102:NO)、供給動作が禁止される(S110)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出口から液体を吐出する液体吐出ヘッドを有する液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
用紙にインクを吐出することで用紙に画像を記録する記録ヘッド及び当該記録ヘッドにインクを供給するサブタンクが上側筐体に、用紙の搬送機構が下側筐体にそれぞれ固定されたインクジェットプリンタが知られている(例えば、特許文献1参照)。このインクジェットプリンタは、メンテナンスを容易にするため、前面が上下2つに分かれるように、後方に配置された筐体回動軸を中心に上部筐体が下部筐体に対して回動自在となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−81546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願の発明者等は、特許文献1に記載のインクジェットプリンタにおいて、液面を検知する検知手段を備えることによって、サブタンク内のインク量を把握し、この把握した結果に応じて、サブタンクへのインクの供給制御を行うことを想到した。しかしながら、特許文献1のインクジェットプリンタの場合は、上部筐体が回動するに連れて、サブタンク内に貯留されているインクの液面がサブタンクに対して傾いてしまうことから、検知手段による検知が誤って行われる可能性があることに気づいた。もし、誤った液面の検知に基づいてインクの供給が行われると、十分な量のインクが供給されなかったり、または、インクが過剰に供給されるという問題が生じる。
【0005】
本発明の目的は、記録ヘッドに供給される液体を貯留するタンクが傾くことで液面が誤検知されたとしても、サブタンクに液体が供給されない液体吐出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液体吐出装置は、記録媒体を支持する支持部と、液体を吐出するための吐出口を有していると共に、前記吐出口から液体を吐出することによって前記支持部に支持された記録媒体に画像を記録する記録ヘッドと、前記記録ヘッドに供給される液体を貯留するメインタンクと、前記メインタンクに貯留された液体を、前記記録ヘッドに供給される前に一時的に貯留するサブタンクと、前記サブタンクの液面の位置を検出する第1検知部と、前記メインタンクに貯留された液体を前記サブタンクに供給する供給部と、少なくとも前記支持部を保持する第1筐体と、少なくとも前記サブタンク及び前記記録ヘッドを保持すると共に、前記第1筐体に対して回動可能に連結され、当該回動によって前記記録ヘッドが前記第1筐体に近接する第1位置と、前記第1位置のときよりも前記記録ヘッドが前記第1筐体から離隔する第2位置とを取り得るように構成された第2筐体と、前記第2筐体が前記第1位置及び前記第2位置のいずれかにあるかを検知する第2検知部と、前記供給部を制御する制御部とを備えている。前記制御部は、前記第2検知部により前記第2筐体が前記第1位置にあることが検知されたときは、前記第1検知部の検知結果に応じた前記供給部による供給動作を許容し、前記第2検知部により前記第2筐体が前記第2位置にあることが検知されたときは、前記第1検知部の検知結果に応じた前記供給部による供給動作を禁止する。
【0007】
本発明によると、第2筐体が第2位置にあるときは供給機構による液体供給がなされないため、サブタンクが傾き液体の液面が誤検知されたことに起因する誤った液体の供給制御が回避される。
【0008】
本発明において、前記制御部は、前記第2筐体が前記第2位置から前記第1位置に回動された時から所定時間が経過するまで、前記供給部による供給動作がなされないように前記供給部を制御してもよい。これによると、第2筐体が第1位置に移動した直後にサブタンクの液面が揺れている間は供給動作がなされないため、液面が揺れて誤検知されたことに起因する誤った液体の供給制御が回避される。
【0009】
また、本発明において、前記制御部は、前記第2筐体が前記第2位置にあると前記第2検知手段が判断しているとき、前記供給部による供給動作が行われないように、前記第1検知部の検知結果を強制的に変化させてもよい。これによると、供給部を簡単に制御することができる。
【0010】
さらに、本発明において、前記メインタンクは前記第2筐体又は前記第1筐体に設けられた保持部に対して着脱自在となっており、前記制御部は、前記メインタンクが保持部に装着されていないと判断したときに、前記供給部による供給動作が行われないように、前記供給部を制御することが好ましい。これによると、供給動作を無駄に行わないようにすることができる。
【0011】
加えて、本発明において、前記制御部は、前記第2筐体が前記第2位置に回動されることにより前記供給部による供給動作が中断された場合、その後、前記第2筐体が前記第1位置に回動されたとき、当該供給動作を再開することが好ましい。これによると、供給動作を確実に完了させることができる。
【0012】
また、本発明において、前記制御部は、前記第1検知部の検知結果が所定値以上になったとき、前記供給部による供給動作を停止することが好ましい。これによると、サブタンクから液体が漏れ出すのを防止することができる。
【0013】
さらに、本発明において、前記供給部は、前記メインタンクに貯留された液体を前記サブタンクに供給するポンプを有しており、前記制御部は、前記ポンプを停止することにより前記供給部による供給動作を停止させることが好ましい。加えて、本発明において、前記供給部は、前記メインタンクと前記サブタンクとを互いに連通させる連通流路を開閉するバルブを有しており、前記制御部は、前記バルブを閉じることで前記供給部による供給動作を停止させることが好ましい。これらによると、簡単な構成で供給動作を禁止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、上部筐体が第2位置にあるときは供給機構による液体供給がなされないため、サブタンクが傾き液体の液面が誤検知されたことに起因する誤った液体の供給制御が回避される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態によるインクジェットプリンタを示す外観斜視図である。
【図2】図1に示すプリンタ内部の概略側面図である。
【図3】図2に示す上筐体を回動させたときの状況を示す説明図である。
【図4】図2に示すインクジェットヘッドに対する液体供給機構の概略側面図である。
【図5】図2に示すインクジェットヘッドに対する液体供給機構の概略側面図である。
【図6】図4に示す液体供給機構の動作手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0017】
先ず、図1〜図3を参照し、本発明に係る記録装置の一実施形態としてのインクジェットプリンタ1の全体構成について説明する。
【0018】
プリンタ1は、共に直方体形状で且つ鉛直方向から見た平面視においてサイズが略等しい上筐体(第2筐体)1a及び下筐体(第1筐体)1bを有する。上筐体1aは、骨組みとなるフレーム1a1と、フレーム1a1の外側を覆う化粧カバー1a2とを有している。下筐体1bも、骨組みとなるフレーム1b1と、フレーム1b1の外側を覆う化粧カバー1b2とを有している。上筐体1aが下筐体1b上に重なることで、プリンタ1内部の空間が画定される(図2参照)。上筐体1aの天板上部には、排紙部31が設けられている。上及び下筐体1a,1bにより画定される空間には、後述の給紙ユニット1cから排紙部31に向けて、図2に示す太矢印に沿って、用紙Pが搬送される用紙搬送経路が形成されている。
【0019】
上筐体1aは、図2及び図3に示すように、上筐体1aにおける副走査方向の一端部(図中右端部)の鉛直方向略中央において、主走査方向に延在する軸1hを介して下筐体1bに連結されている。そして、上筐体1aは、当該軸1hを中心として、下筐体1bに対して回動可能となっている。上筐体1aは、回動することで、下筐体1bに近接した近接位置(第1位置に対応。図2に示す位置及び図3中実線で示す位置)と、近接位置のときよりも下筐体1bから離隔した離隔位置(第2位置に対応。図3中二点鎖線で示す位置)とを取り得る。上筐体1aが離隔位置にあるとき、近接位置にある上筐体1a及び下筐体1bによって形成されている用紙搬送経路の一部が外部に露出され、用紙搬送経路上にユーザの作業空間が確保される。上筐体1aが離隔位置に位置することで、作業空間が確保されると、ユーザは、用紙搬送経路においてジャムした用紙Pを除去したり、記録部9や支持部60の保守作業を行ったりすることができる。記録部9や支持部60の保守作業とは、例えば、吐出面10aや、支持面61a、対向面62aに付着した汚れを除去する作業である。軸1hには、上筐体1aを開放する方向に(近接位置から離隔位置に向けて)付勢するバネ(不図示)が設けられている。本実施形態において、上筐体1aは、水平面に対して略35度の傾斜角度まで開くことができる。なお、プリンタ1において、図3中左方側の面が正面となっており、正面の反対側の面が背面となっている。
【0020】
上筐体1aは、2つのヘッド10(図2に太矢印で示す用紙搬送方向上流側から順に、前処理液を吐出するプレコートヘッド10及びブラックインクを吐出するインクジェットヘッド10)、これら2つのヘッド10及び送りローラ対24のうちの上側のローラを支持するフレーム3、フレーム3を鉛直方向に沿って昇降させるヘッド昇降機構(不図示)、ヘッド10に液体を供給する液体供給機構(図4参照:後述)、プリンタ1各部の動作を制御する制御装置1pを収容している。本実施形態においては、2つのヘッド10とフレーム3とによって、用紙Pに画像を記録する記録部9が構成されている。記録部9及び液体供給機構は上筐体1aに保持されている。
【0021】
さらに、上筐体1aは、送りローラ対25,26のうちの上側のローラ、これらローラ対25,26間のガイド29のうちの上側のガイド、送りローラ対27,28及び用紙搬送方向に沿って送りローラ対26,28間の2組のガイド29も収容している。つまり、上筐体1aが近接位置から離隔位置に回動することで、これらの収容部品がすべて上筐体1aとともに移動する。
【0022】
下筐体1bは、支持部60、ワイパユニット、2つの廃液トレイ65及び給紙ユニット1cを収容(保持)している。さらに下筐体1bは、用紙センサ32、送りローラ対22,23及び用紙搬送方向に沿って給紙ユニット1cと送りローラ対23との間の2組のガイド29も収容している。
【0023】
各ヘッド10は、主走査方向に長尺なライン式であり、略直方体の外形形状を有する。2つのヘッド10は、副走査方向に互いに離隔してフレーム3に支持されている。各ヘッド10下面の吐出面10aには、多数の吐出口が開口し、内部には、サブタンク51(図4参照)から供給された液体が吐出口に至るまでの流路が形成されている。
【0024】
給紙ユニット1cは、給紙トレイ20及び給紙ローラ21を有する。このうち給紙トレイ20が下筐体1bに対して副走査方向に着脱可能である。給紙トレイ20は、上方に開口する箱であり、複数種類のサイズの用紙Pを収容可能である。給紙ローラ21は、制御装置1pの制御により回転し、給紙トレイ20の最も上方にある用紙Pを送り出す。給紙ローラ21によって送り出された用紙Pは、ガイド29によりガイドされ且つ送りローラ対22,23によって順次挟持されつつ支持部60へと送られる。
【0025】
支持部60は、記録部9に鉛直方向に対向して配置されている。支持部60は、ヘッド10とそれぞれ対向する2つの回転体63と、回転体63の周面に固定された2つのプラテン61及び2つの対向部材(対向部)62と、2つの回転体63を回転可能に支持するフレーム11とを有している。回転体63は、主走査方向の軸を有し且つ制御装置1pの制御により当該軸を中心として回転する。また、フレーム11は、下側の送りローラ24も回転可能に支持している。
【0026】
プラテン61及び対向部材62は、共に主走査方向及び副走査方向に関して吐出面10aより一回り大きなサイズを有し、且つ、鉛直方向に互いに対向して配置されている。
【0027】
プラテン61の表面は、吐出面10aに対向しつつ用紙Pを支持する支持面61aであり、用紙Pを保持できるように材料や加工に工夫が施されている。例えば支持面61aに、弱粘着性のシリコン層を形成したり、副走査方向に沿ったリブを多数形成したりすることで、支持面61a上に載置された用紙Pの浮き等が防止される。また、プラテン61は、樹脂により構成されている。
【0028】
図4及び図5を参照しつつ、ヘッド10に前処理液及びブラックインクである液体を供給する液体供給機構について説明する。なお、前処理液は、インクの滲みや裏抜けを防止する機能、インクの発色性や速乾性を向上させる機能等を有する液体である。また、図4及び図5には、1つのヘッド10に対する液体供給機構の概略図のみが示されている。図4に示すように、液体供給機構は、サブタンク51、カートリッジ56、液体供給流路55、ポンプ57、バルブ58、上センサ41、下センサ42及び磁性体43を含んでいる。
【0029】
カートリッジ56は、ヘッド10に供給する液体を貯溜するものであり、カートリッジ保持部56aを介し上筐体1aに対して着脱自在に固定されている。カートリッジ保持部56aは、カートリッジ56が装着されているか否かを検知する。検知結果は制御装置1pに出力される。
【0030】
サブタンク51は、カートリッジ56に貯溜された液体を、ヘッド10に供給される前に一時的に貯溜する。サブタンク51は、画像記録時においてヘッド10の吐出口に形成されるメニスカスを安定させるためヘッド10の流路内に負圧が生じるように配置されている。そして、サブタンク51内の液体が図示しないチューブを介して自動的にヘッド10に供給される。
【0031】
カートリッジ56とサブタンク51とは、液体供給流路55を介して接続されている。液体供給流路55には、ポンプ57及びバルブ58が接続されている。ポンプ57及びバルブ58は制御装置1pにより制御される。バルブ58が開いた状態でポンプ57が駆動されると、カートリッジ56に貯留されたインクが液体供給流路55を経由してサブタンク51に供給される。
【0032】
サブタンク51内には、磁性体フロート52が配置されている。磁性体フロート52は、アーム53の一端に固定されている。アーム53の他端は支点Oに揺動自在に固定されている。磁性体フロート52は、自身の浮力によりサブタンク51内に貯溜された液体の液面に追従する。そして、磁性体フロート52が、液面が上昇するに連れて図4中左方の内壁面に近接するように、且つ、液面が下降するに連れて図4中右方の内壁面に近接するようにアーム53が揺動する。
【0033】
サブタンク51の図4中左方の上端近傍には上センサ41が、サブタンク51の図4中右方の下端近傍には下センサ42がそれぞれ配置されている。上センサ41及び下センサ42は、磁性体を検知するセンサであり、磁性体が近接しているときはON信号を、離隔しているときはOFF信号を制御装置1pに出力する。サブタンク51内に貯留されている液体の量が上限値になっているときは、磁性体フロート52が上センサ41に近接し、貯留されている液体の量が下限値になっているときは、磁性体フロート52が下センサ42に近接する。このように、上センサ41及び下センサ42の検知結果から、サブタンク51内に貯留されている液体の量を検知することができる。
【0034】
磁性体43が、上センサ41のさらに図4中左方側に対向配置されるように上筐体1aに固定されている。そして、磁力遮断板44が、上筐体1aが近接位置にあるときに上センサ41と磁性体43との間に配置されてように、且つ、上筐体1aが離隔位置にあるときに上センサ41と磁性体43との間から離隔するように、下筐体1bに固定されている。これにより、上筐体1aが離隔位置にあるときは、上センサ41が磁性体43により強制的にONとなる。
【0035】
制御装置1pは、カートリッジ56がカートリッジ保持部56aに装着されている場合、上センサ41がOFF且つ下センサ42がONとなったときに、バルブ58を開きポンプ57を駆動することでサブタンク51への液体の供給動作を開始する。供給動作開始後、上センサ41がONになったときに、ポンプ57の駆動を停止してバルブ58を閉じることで供給動作を停止する。このとき、制御装置1pは、供給動作が開始されて停止されるまでの経過時間が所定時間より短かった場合は、上筐体1aが離隔位置に移動することによって上センサ41がONになったと判断し、中断フラグをONにする。制御装置1pは、中断フラグがONになっていれば、カートリッジ56がカートリッジ保持部56aに装着されている場合、上センサ41がOFFであれば、下センサ42がOFFであっても供給動作を再開させる。また、制御装置1pは、上センサ41がONからOFFに変化したとき、OFFに変化してから規定時間が経過した後に、供給動作を再開させる。この規定時間は、上筐体1aが離隔位置から近接位置に戻ったとき揺らいだサブタンク51の液面が安定するのに十分な時間となっている。
【0036】
次に、図6を参照しつつ液体供給機構の動作について詳細に説明する。図6に示すように、制御装置1pは、カートリッジ56がカートリッジ保持部56aに装着されているか否かを判断する(S101)。制御装置1pは、カートリッジ56がカートリッジ保持部56aに装着されていないと判断すれば(S101:NO)、ポンプ57の駆動を停止してバルブ58を閉じる供給動作停止処理を行う(S110)。制御装置1pは、カートリッジ56がカートリッジ保持部56aに装着されていると判断すれば(S101:YES)、上センサ41がOFFになっているか否かを判断する(S102)。制御装置1pは、上センサ41がOFFになっていないと判断すれば(S102:NO)、供給動作停止処理を行う(S110)。制御装置1pは、上センサ41がOFFになっていると判断すれば(S102:YES)、下センサ42がONになっているか否かを判断する(S103)。制御装置1pは、下センサ42がONになっていないと判断すれば(S103:NO)、中断フラグがONになっているか否かを判断する(S104)。
【0037】
制御装置1pは、中断フラグがONになっていないと判断すれば(S104:NO)、供給動作停止処理を行う(S110)。制御装置1pは、中断フラグがONになっていると判断すれば(S104:YES)、上センサ41がONからOFFに変化した後に規定時間が経過するまで待機した後に(S105)、バルブ58を開き、ポンプ57を駆動する供給動作処理を再開する(S106)。さらに、中断フラグをOFFに戻す。また、制御装置1pは、下センサ42がONになっていると判断すれば(S103:NO)、上センサ41がONからOFFに変化した後に規定時間が経過するまで待機した後に(S105)、供給動作処理を行う(S106)。
【0038】
そして、制御装置1pは、上センサ41がONになるまで待機し(S107:NO)、上センサ41がONになったと判断したとき(S107:YES)、供給動作が開始されて停止されるまでの経過時間が所定時間より短いか否か、すなわち、上筐体1aが離隔位置に移動されることで供給動作が中断されたか否かを判断する(S108)。制御装置1pは、供給動作が中断されたと判断したときは(S108:YES)、中断フラグをONにした後に、供給動作停止処理を行う(S110)。制御装置1pは、供給動作が中断されていないと判断したときは(S108:NO)、そのまま供給動作停止処理を行う(S110)。供給動作停止処理を行った後は、再び上述の処理を繰り返す。
【0039】
以上に述べたように、本実施形態に係るプリンタ1によると、上筐体1aが離隔位置にあるときは供給動作が行われないため、サブタンク51が傾き液体の液面が誤検知されたことに起因する誤った液体の供給制御が回避される。
【0040】
また、制御装置1pが、上筐体1aが離隔位置から近接位置に移動した時から規定時間が経過するまで供給動作を行わないため、上筐体1aが近接位置に移動した直後にサブタンク51の液面が揺れている間は供給動作がなされず、液面が揺れて誤検知されたことに起因する誤った液体の供給制御が回避される。
【0041】
さらに、上筐体1aが離隔位置にあるとき上センサ41を強制的にONにすることで、制御装置1pが液体供給機構を簡単に制御することができる。
【0042】
さらに、カートリッジ56がカートリッジ保持部56aに装着されていないときは、供給動作が開始されないため、供給動作を無駄に行わないようにすることができる。
【0043】
加えて、制御装置1pは、上筐体1aが離隔位置に移動されることにより供給動作が中断されたとき、その後上筐体1aが近接位置に移動したときに、当該供給動作を再開させるため、供給動作を確実に完了させることができる。
【0044】
また、制御装置1pは、上センサ41がONした後に、供給動作を停止させるため、サブタンク51から液体が漏れ出すのを確実に防止することができる。
【0045】
さらに、制御装置1pは、ポンプ57の駆動を停止してバルブ58を閉じることで、供給動作を停止させるため、簡単な構成で供給動作を禁止することができる。
【0046】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、上述の実施形態においては、上筐体1aが離隔位置から近接位置に移動した時から規定時間が経過するまで供給動作を行わない構成であるが、上筐体1aが離隔位置から近接位置に移動した時から供給動作を行う構成であってもよい。
【0047】
また、上述の実施形態においては、上筐体1aが離隔位置にあるとき上センサ41を強制的にONにする構成であるが、上筐体1aが離隔位置にあるとき上センサ41を強制的にONしない構成であってもよい。この場合、上筐体1aが離隔位置にあることを検知するセンサを別途備えることが好ましい。この構成では、上筐体1a近接位置から離隔位置に移動されたことを即時検知できるので、上述した供給動作の中断を迅速に行うことができる。
【0048】
さらに、上述の実施形態においては、カートリッジ56がカートリッジ保持部56aに装着されていないときは、供給動作が開始されない構成であるが、カートリッジ56がカートリッジ保持部56aに装着されているか否かを判断することなく供給動作を開始する構成であってもよい。
【0049】
加えて、上述の実施形態においては、上筐体1aが離隔位置に移動されることにより供給動作が中断されたとき、その後上筐体1aが近接位置に移動したときに当該供給動作を再開させる構成であるが、このような場合でも供給動作を再開させない構成であってもよい。
【0050】
また、上述の実施形態においては、供給動作が開始された後、上センサ41がONすれば供給動作を停止させる構成であるが、上センサ41の検知結果を参照することなく供給動作を停止させる構成であってもよい。例えば、ポンプ57の駆動時間が所定以上となったときに供給動作を停止させる構成であってもよい。
【0051】
さらに、上述の実施形態においては、ポンプ57の駆動を停止してバルブ58を閉じることで、供給動作を停止させる構成であるが、ポンプ57の駆動を停止させるのみで供給動作を停止させる構成であってもよい。また、カートリッジ56からサブタンク51へのインク供給が水頭圧によって行われるなど、ポンプを用いない場合は、バルブを閉じるのみで供給動作を停止させる構成であってもよい。
【0052】
本発明は、ライン式・シリアル式のいずれにも適用可能であり、また、プリンタに限定されず、ファクシミリやコピー機等にも適用可能であり、さらに、インク以外の液体を吐出させることで記録を行う記録装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 インクジェットプリンタ
1a 上筐体
1b 下筐体
1p 制御装置
1h 軸
10 ヘッド
41 上センサ
42 下センサ
43 磁性体
44 磁力遮断板
51 サブタンク
52 磁性体フロート
53 アーム
55 液体供給流路
56 カートリッジ
56a カートリッジ保持部
57 ポンプ
58 バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を支持する支持部と、
液体を吐出するための吐出口を有していると共に、前記吐出口から液体を吐出することによって前記支持部に支持された記録媒体に画像を記録する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに供給される液体を貯留するメインタンクと、
前記メインタンクに貯留された液体を、前記記録ヘッドに供給される前に一時的に貯留するサブタンクと、
前記サブタンクの液面の位置を検出する第1検知部と、
前記メインタンクに貯留された液体を前記サブタンクに供給する供給部と、
少なくとも前記支持部を保持する第1筐体と、
少なくとも前記サブタンク及び前記記録ヘッドを保持すると共に、前記第1筐体に対して回動可能に連結され、当該回動によって前記記録ヘッドが前記第1筐体に近接する第1位置と、前記第1位置のときよりも前記記録ヘッドが前記第1筐体から離隔する第2位置とを取り得るように構成された第2筐体と、
前記第2筐体が前記第1位置及び前記第2位置のいずれかにあるかを検知する第2検知部と、
前記供給部を制御する制御部とを備えており、
前記制御部は、
前記第2検知部により前記第2筐体が前記第1位置にあることが検知されたときは、前記第1検知部の検知結果に応じた前記供給部による供給動作を許容し、
前記第2検知部により前記第2筐体が前記第2位置にあることが検知されたときは、前記第1検知部の検知結果に応じた前記供給部による供給動作を禁止する、ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2筐体が前記第2位置から前記第1位置に回動された時から所定時間が経過するまで、前記供給部による供給動作がなされないように前記供給部を制御することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2筐体が前記第2位置にあると前記第2検知手段が判断しているとき、前記供給部による供給動作が行われないように、前記第1検知部の検知結果を強制的に変化させることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記メインタンクは前記第2筐体又は前記第1筐体に設けられた保持部に対して着脱自在となっており、
前記制御部は、前記メインタンクが保持部に装着されていないと判断したときに、前記供給部による供給動作が行われないように、前記供給部を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第2筐体が前記第2位置に回動されることにより前記供給部による供給動作が中断された場合、その後、前記第2筐体が前記第1位置に回動されたとき、当該供給動作を再開することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1検知部の検知結果が所定値以上になったとき、前記供給部による供給動作を停止することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記供給部は、前記メインタンクに貯留された液体を前記サブタンクに供給するポンプを有しており、
前記制御部は、前記ポンプを停止することにより前記供給部による供給動作を停止させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記供給部は、前記メインタンクと前記サブタンクとを互いに連通させる連通流路を開閉するバルブを有しており、
前記制御部は、前記バルブを閉じることで前記供給部による供給動作を停止させることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の液体吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−78866(P2013−78866A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218724(P2011−218724)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】