説明

液体噴出器

【課題】エアゾール容器体Aに噴出具Bを装着したもので、必要噴出回数がロック機構により感触的に認知でき、その構造も従来のものと相違して、その作動操作に無理がなく耐久性に富み、また、必要回数の噴出後ロック機構が作動した後、このロック機構を解除して新たに最初から必要回数の噴出が行える液体噴出器を提案する。
【解決手段】ノズル3の押し下げ回数を認知する認知システムを備えており、この認知システムは、ノズルの上部外周に装着した筒状の押釦4の押し下げによりノズル周囲の回転部材5を所定角度回転させる回転機構C1と、該回転機構と連繋し、所定回数の押釦の押し下げ時にステムの下降を防止するロック機構C2とから構成した。また、ロック状態を解除するロック解除機構C3を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体噴出器に関し、詳しくは、噴出液の量を認知できる液体噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の噴出器として、例えば医薬品等の所定量の使用が義務付けられている収納液を、所定量の使用が判断できるようにしたものが知られている。(特許文献1)
【0003】
上記噴出器は、上端開口が設けられた容器と、この容器から前記開口を経て投与流体を分配する手段と、この分配手段を容器の開口に締め付けるリングナットと、分配手段を作動させる移動可能な作動部材である鼻とを備え、また、リングナットに対する鼻の移動を回転素子の回転及び軸線方向往復運動に変換する弾性手段を備え、回転素子に連続する数字表示が設けられ、この数字表示が分配投与毎に予定の観察位置である窓に順次位置され得るように構成されている。
【0004】
また、前記弾性手段は円周方向に離間された一連の可撓性の小脚で構成され、これらの小脚が鼻の第1組の一方向の鋸状歯と反作用し得る上部と、リングナットの第2組の一方の鋸状歯と反作用し得る下部と、回転素子に取付られた中間部分とを有し、これにより第1組の鋸状歯が前記鼻の作用によって第2組の鋸状歯に近づく際に、前記小脚の上部が第1の鋸状歯の対応する歯から外れて直ぐ隣接する歯に歯合されて小脚の前記中間部分を回転及び軸線方向に前進運動させ、また、前記第1組の鋸状歯が前記第2組の鋸状歯の対応する歯から外れて直ぐ連設する歯に歯合し、これにより前記小脚の前記中間部分を回転及び軸線方向に後進運動させるように構成している。
【0005】
そして、上記した如く鼻を押し下げることにより窓に投与数の数値が現れ、また、予定の最大分量医薬投与数の終了後、回転素子から突出している半径方向ロケーターが鼻から突出している半径方向ロケーターに当たってストップする如く構成している。
【特許文献1】特許第3211894号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記の如き噴出器は、前記した如く、最大分量医薬投与数が回転素子のストップにより判断できるものであるが、その時点で投与数に係る判断は終了する。確かに、前記噴出器ではストップ後に容器体内の医薬を完全に使用し尽くすために鼻を押し下げることができるものではあるが、あくまで残液処理のためであり、基本的に1回の必要投与数が終了すれば噴出器の使用が終了するという構成としている。
【0007】
本発明は必要噴出回数がロック機構により触覚的に認知でき、その構造も従来のものと相違して、その作動操作に無理がなく耐久性に富んだ液体噴出器を提案するものである。また、必要回数の噴出後ロック機構が作動した後、このロック状態を解除して新たに最初から必要回数の噴出が行える液体噴出器を提案するものである。更に、ロック機構作動後のロック解除の際に音が発して、ロック解除をより明確に認識できる液体噴出器を提案する。また、ロック機構のみならず、表示機構によって目視的にも必要噴出回数が認識できる、液体噴出器を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の手段として、エアゾール容器体A上に固定したカバー筒2と、前記エアゾール容器体上端に上方付勢状態で押し込み可能に突設したステム8に嵌着するとともに、前記カバー筒の頂部より上端部を突設したノズル3と、前記ノズルの上部外周部に回転可能且つ前記ノズルの押し下げを可能に装着した筒状の押釦4と、前記ノズルの押し下げ回数を認知する認知システムとを備え、前記認知システムは、前記ノズル周囲に回転可能且つ上方付勢状態で押し下げ可能に設けた回転部材5を前記押釦の押し下げにより所定角度回転させる回転機構C1と、該回転機構と連繋させるとともに、前記押釦の所定回数の押し下げ時に前記ステムの押し下げを防止するロック機構C2とを備え、前記回転機構は、前記カバー筒内の周縁部に放射状に設け且つ下面にそれぞれ第1傾斜面S1を設けた複数の仕切板20と、前記カバー筒の内周縁下部に環状に配置した複数の第2傾斜面S2と、前記仕切板間に先端部を位置させ且つ前記第1傾斜面S1と摺動する第3傾斜面S3及び前記第2傾斜面と摺動する第4傾斜面S4をそれぞれ上下面に有する回動腕27を突設した前記回転部材とを備え、前記押釦の押し下げによる前記回転部材の下降時に前記第4傾斜面が前記第2傾斜面を摺動し、且つ、前記回転部材の上昇時に前記第3傾斜面が前記第1傾斜面を摺動して前記回動腕が隣接する仕切板20t を乗り越える如く構成し、前記ロック機構は、前記第2傾斜面間の所定位置に係止面aを設けるとともに、前記回動腕27の下面を前記係止面aに当接する被係止面bとして前記回動腕の下降を防止する如く構成した。
【0009】
第2の手段として、前記第1の手段に於いて、前記ロック機構C2のロック状態を解除するロック解除機構C3を設け、該ロック解除機構は、前記係止面aを所定箇所の仕切板20間に設けた幅広部21下方に位置させるとともに、前記カバー筒2を前記各第2傾斜面S2に対して所定回転幅の回転が可能に構成し、前記カバー筒の回転により前記係止面上方の前記回動腕27を隣接する仕切板により回動させる如く構成した。
【0010】
第3の手段として、前記第2の手段に於いて、前記回転部材5が、前記回動腕27とそれぞれ周方向所定角度離間位置に短い補助回動腕27a を複数突設するとともに、前記係止面a上方に前記回動腕が位置した際の前記各補助回動腕と対応する仕切板を前記各補助回動腕が非接触な矮狭仕切板20a として構成した。
【0011】
第4の手段として、前記第2の手段に於いて、前記ロック解除機構C3によるロック解除の際に、前記回転部材5の回転により音を発する音出機構を設けた。
【0012】
第5の手段として、前記第1の手段に於いて、前記認知システムとして、前記回転機構C1及び前記ロック機構C2に加えて、前記回動腕27がロック状態に移行した際に前記カバー筒2の所定位置に設けた窓孔19に表示28を臨ませる表示機構C4を設けた。
【0013】
第6の手段として、前記第2の手段に於いて、前記回動腕27とそれぞれ周方向等間隔に同形態の複数の補助回動腕27a を突設するとともに、前記幅広部21及び係止面aとそれぞれ等間隔に前記補助回動腕と対応する数の同形態の幅広部21及び係止面aを設けた。
【発明の効果】
【0014】
本発明の液体噴出器は、押釦4を押し込むいう簡単な操作により所定の噴出液が噴出し、また、収納液の必要噴出回数に至った際にロック機構C2が作動し、押釦4の押し込みが阻止され、その結果、液の噴出が防止されて噴出液が所定量に到達したことを触覚的に認知できるものである。また、その認知システムを構成する回転機構C1も、前記押釦の押し下げによる前記回転部材の下降時に前記第4傾斜面が前記第2傾斜面を摺動し、且つ、前記回転部材の上昇時に前記第3傾斜面が前記第1傾斜面を摺動して前記回動腕が隣接する仕切板20t を乗り越えるため、無理のない作動で耐久性に富み、その操作も極めて容易である。
【0015】
また、ロック解除機構C3を設けた場合には、必要噴出回数の終了後再び最初から必要噴出回数の噴出が可能であり、エアゾール容器体Aの容量に従って何度でもこの操作を繰り返すことができる。
【0016】
前記回転部材5が、前記回動腕27とそれぞれ周方向所定角度離間位置に短い補助回動腕27a を複数突設するとともに、前記係止面a上方に前記回動腕が位置した際の前記各補助回動腕と対応する所定位置の仕切板を前記各補助回動腕が非接触な矮狭仕切板20a として構成した場合には、回動腕27と補助回動腕27a によりガタツキのない安定した回転部材5の回転を行えるものであり、円滑な液の噴出を行えるものである。
【0017】
ロック解除機構C3によるロック解除の際に、回転部材5の回転により音を発する音出機構を設けたものにあっては、ロック解除を聴覚によってより鮮明に認識できる利点がある。
【0018】
認知システムとして、前記回転機構C1及び前記ロック機構C2に加えて、前記回動腕27がロック状態に移行した際に前記カバー筒2の所定位置に設けた窓孔19に表示28を臨ませる表示機構C4を設けて構成した場合には、感触のみでなく視覚でも液の噴出の終了を認識でき、より確実に予定量を理解できる。
【0019】
前記回動腕27とそれぞれ周方向等間隔に同形態の複数の補助回動腕27a を突設するとともに、前記幅広部21及び係止面aとそれぞれ等間隔に前記補助回動腕と対応する数の同形態の幅広部21及び係止面aを設けた場合には、回転部材5が一周する間に複数回のロック及びロック解除を行うことができ、必要量の少ない内容物の場合に好適であり、この場合もガタツキのない安定した回転部材の回転を行えるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施例の形態を図面を参照して説明する。
【0021】
図1は本発明液体噴出器1の一例を示し、該噴出器1はエアゾール容器体Aと、噴出具Bとを備え、更に噴出具Bは、カバー筒2と、ノズル3と、押釦4と、回転部材5とを備えている。
【0022】
エアゾール容器体Aは、内部に定量バルブを内臓した筒状の胴部7上端より上方付勢状態で押し下げ可能にステム8を立設し、ステム8の押し下げにより定量の液がステム8より噴出する如く構成した公知構成のものである。
【0023】
カバー筒2は、下端部をエアゾール容器体Aの上端外周に嵌着固定し、頂部にノズル3,押釦4等を突出するための窓孔9を設けている。図示例では、周壁10上端縁より、中央部に前記窓孔9を設けた頂壁11を延設したカバー筒本体2aの下端部に別体として形成した取付部材2bを嵌着し、この取付部材2bを介してエアゾール容器体Aに嵌着固定している。
【0024】
取付部材2bは、エアゾール容器体Aの外周上端部に嵌着させた嵌合筒部12を、フランジ状の台板部13の下面より垂設し、また、台板部13の内周縁より回転部材5の上下動を案内する案内筒部14を垂設している。また、台板部13の外周縁にはカバー筒本体2aと嵌合させるための連結筒部15を垂設している。連結筒部15は下端部をフランジを介して大径に形成し、また、このフランジ部分に所定長さの切溝16を設けている。
【0025】
前記取付部材2bの連結筒部15外周にカバー筒本体2aの周壁10の下部を、回転可能に且つ凹凸係合手段による抜け出し防止を図って嵌着している。周壁10は上下方向中央に於いてフランジを介してその上方を縮径し、下面より突設した突起17を前記切溝16に遊嵌させてカバー筒本体2aの取付部材2bに対する所定幅の回転が可能に構成している。周壁10の上部所定位置には窓孔19を穿設している。
【0026】
また、カバー筒2内の周縁部には複数の仕切板20を放射状に設けている。各仕切板20は等間隔に設けられ、その下面はそれぞれ半径と直行する方向を向く第1傾斜面S1として構成している。但し、本例では所定の一箇所に一枚の仕切板を除いた状態の幅広部21を設けている。また、この幅広部21の回動腕導入側の仕切板20には突部22を突設している。この突部22はロック状態の回動腕27をロック解除状態に回動させる際に押圧するもので、必ずしも必要ではない。図示例では、第1傾斜面S1と連続する第5傾斜面S5を下面に有し、所定の突出幅を備えた縦リブ形態をなしている。更に、この幅広部21から所定枚数位置の二枚の仕切板を、その中心側端面を外方に凹ませて径方向の長さを短くした矮狭仕切板20a として構成している。
【0027】
各仕切板20,矮狭仕切板20a はカバー筒2と一体に形成しているが、当然別体に形成して組み付けることも可能であり、その場合、比較的厚みを必要とする場合が多い仕切板20の形成がより容易に行えて、ヒケ等の発生を極力防止できる利点がある。
【0028】
また、カバー筒2の内周縁部の下部に複数の第2傾斜面S2を環状に配置している。各第2傾斜面S2は、原則として前記第1傾斜面S1と同数であり、一対の隣接する第1傾斜面S1間を掛けたわす位置にそれぞれ設けている。図示例では、前記台板部13の上面に縦断面直角三角形状の突部24を等間隔に環状に配置し、各突部24の傾斜面をそれぞれ第2傾斜面S2として構成しており、第2傾斜面S2の一端縁が対応する第1傾斜面S1の周方向中間部に位置し、また、第2傾斜面S2の他端縁が前記第1傾斜面S1に隣接する第1傾斜面S1の周方向中間部に位置する如く構成している。
【0029】
また、第2傾斜面S2間の所定位置に後述するロック機構C2を構成する係止面aを設けている。図示例では係止面aを前記幅広部21の下方で、幅広部21に移行した回動腕27の押し下げを防止する位置に設けており、前記突部24の二個分の幅を持つ係止用突部24a の上面に設けている。この係止用突部24a は第2傾斜面S2を形成するための突部24を一対用いてその空間を埋め、更にその上に横四角柱状部分を突設した形態をなしている。
【0030】
ノズル3はエアゾール容器体Aのステム8に嵌着するとともに、前記カバー筒2の頂部より上方付勢状態で押し込み可能に上端部を突設している。図1の例では、ステム8の外周に下端部を液密に嵌着するとともに、下端縁より外方にコイルスプリング25の下端部を係止するための有底筒状部を突設した円筒状をなしている。従って、このノズル3を押し下げれば、ステム8が押し下げられてエアゾール容器体A内の公知の噴出機構により定量の液が噴出する如く構成している。
【0031】
押釦4は前記ノズルの上部外周部に前記ノズルの押し下げを可能に装着した筒状をなしている。図示例では、回転部材5を介してノズル3の押し込みを可能に構成した有頂の二重筒状をなし、ノズル3の上部外周部に回転部材5の後述する上部筒壁部を介して嵌合させており、その下面を回転部材の後述するフランジ部上面に突起26を介して当接載置している。
【0032】
回転部材5は、前記ノズル3の周囲に回転可能且つ上方付勢状態で押し下げ可能に設けたもので、一対の前記仕切板20間に先端部を位置させ且つ前記第1傾斜面S1と摺動する第3傾斜面S3及び前記第2傾斜面S2と摺動する第4傾斜面S4をそれぞれ上下面に有する回動腕27を突設させている。図示例では、前記ノズル3の上部外周に回転可能且つ上下動可能に嵌合させた上部筒壁部5a下端よりフランジ部5bを介して大径に形成した下部筒壁部5cを前記取付部材2bの案内筒部14内周に上下動可能且つ回転可能に嵌合させている。また、下部筒壁部5cの上端部所定位置より外方へ回動腕27を突設してその先端部を一対の仕切板20間に位置させている。前記第3傾斜面S3は、半径方向と直行する方向に傾斜させており、各仕切板20の第1傾斜面S1と傾斜角度を略同じにして両者が当接した場合に摺動可能に構成している。同様に第4傾斜面S4も半径方向と直行する方向に傾斜させ、第2傾斜面S2と傾斜角度を同じにして両者が当接した場合に摺動可能に構成している。
【0033】
尚、この回動腕27は少なくとも一本存在すれば用は足りるが、より安定したガタツキの少ない回転部材5の回転を図る場合には、回動腕の他に補助回動腕を突設すると良い。補助回動腕は回動腕と同じ長さのものを採用する場合と短いものを採用する場合とがあり、規定噴出量等により適宜選択することができる。回動腕と同じ長さの補助回動腕を採用する場合には、少なくもと回動腕27が360 °回動するうちに複数サイクルの規定量噴出が行われる場合である。
【0034】
図示例の場合、短い二本の補助回動腕27a ,27a を周方向間隔をあけて突設しており、各補助回動腕は所定の突出位置に形成しており、その上面及び下面にはそれぞれ同様の第3傾斜面S3及び第4傾斜面S4を形成している。この様な補助回動腕27a の数は特に限定されないが、2〜3本程度が適当であると思われる。また、この様な短い補助回動腕27a の突設位置は隣接する回動腕或いは補助回動腕とのなす角度がそれぞれ相違する如く突設する。また、その突出幅は前記矮狭仕切板20a に接触せずに他の仕切板20とその傾斜面相互を当接する突出幅とする。
【0035】
また、回動腕27の先端部は前記カバー筒周壁10の窓孔19に臨むレベルに位置させ、先端面には、文字,記号,模様,ベタ塗り等で表現した終了を表す表示28を、印刷,シール材の貼着等の適宜方法により設けている。そして、フランジ部5b下面と前記ノズル3の有底筒状部上面との間に前記コイルスプリング25を介在させて常時上方へ付勢させている。
【0036】
本発明ではノズル3の押し下げ回数を認知し、ひいては噴出液の噴出回数即ち噴出量を認知する認知システムを備えており、該認知システムは回転部材5を押釦4の押し下げにより所定角度回転させる回転機構C1と、該回転機構と連繋させるとともに、所定回数の押釦4の押し下げ時にステム8の上昇を防止するロック機構C2とから構成している。
【0037】
回転機構C1は、前記第1傾斜面S1を有する仕切板20と、前記第2傾斜面S2と、前記第3傾斜面S3及び第4傾斜面S4を有する回転部材5とを備え、前記押釦4の押し下げによる回転部材5の下降時に第4傾斜面S4が第2傾斜面S2を摺動し、且つ、回転部材5の上昇時には第3傾斜面が第1傾斜面S1を摺動して回動腕27が隣接する仕切板20t を乗り越える如く構成している。
【0038】
図4を用いて説明すれば、図4に於いて(a) の状態は回動腕27がロック用の係止用突部24a の隣の仕切板20である隣接した仕切板20t とその更に隣の仕切板20間に位置した状態であり、この状態から押釦4を押し下げることにより回転部材5をコイルスプリング25及びステム8の上方付勢力に抗して押し下げると、フランジ部5bとノズル3の有底筒状部とが当接してノズル3を押し下げ所定量の液を噴出する。また、回動腕27は当初隣接する仕切板20t に案内されて第2傾斜面S2に第4傾斜面S4が当接するまで下降し(図4(b) )、次いで第4傾斜面S4が第2傾斜面S2を摺動して第1傾斜面S1下方に移行し(図4(c) )、次いで押釦4の押圧を解除すると回動腕27は上昇してその第3傾斜面S3が隣接する仕切板20t の第1傾斜面S1と当接し(図4(d) )、更に上方付勢力により第1傾斜面S1及び第5傾斜面S5を摺動して回動腕27は当該仕切板20t を乗り越える(図4(e))。
【0039】
ロック機構C2は、第2傾斜面S2間の所定位置に係止面aを設けるとともに、前記回動腕27の下面を前記係止面aと当接する被係止面bとして前記回動腕27の下降を防止し、ひいてはステム8の押し込みを防止する如く構成している。図1の例では上記した如く係止用突部24の上面を係止面aとして構成している。ロック機構C2を図4を使用して説明すれば、図4(e) の状態から同様に押釦4を押し下げると回動腕27はやや下降して係止面a上に当接係止されてそれ以上の下降が防止されるためステム8の下降は生ぜず、液の噴出が防止される(図4(f))。従って、回動腕27が所定位置まで回動移動した際に押釦4は押し込みが出来ず、その結果、所定噴出量の液を噴出したことを触覚的に認知できる。尚、ロック状態の回動腕27は図示例の如く若干の下降は可能であっても、ステム8の押し込みを防止できるものである。
【0040】
また、本例ではロック機構C2によるロック状態を解除するロック解除機構C3を設けている。このロック解除機構C3は、ロック機構C2により一旦所定の噴出量の噴出が終了した後、新たに始めから所定噴出量の噴出が行える如く構成したもので、前記係止面aを所定箇所の仕切板間に設けた幅広部21下方に位置させるとともに、前記カバー筒2を前記各第2傾斜面S2に対して所定回転幅の回転が可能に構成し、前記カバー筒の回転により前記係止面の上方の前記回動腕27を前記仕切板20が回動させる如く構成している。
【0041】
図5を使用して説明すれば、図5(a) は回動腕27が図4に於ける(e) の状態を示し、この際、カバー筒本体2a下端の突起17は取付部材2bの切溝16の一端縁に位置している。この状態からカバー筒本体2aを取付部材2bに対して回転させると仕切板20の突部22が回動腕27を押して回動させ、突起17は切溝16の他端縁に回動する図5(b) 。次いで、カバー筒本体2aを逆に回転させてもとの状態に戻し、回動腕27の回動が可能な状態とし(図5(c))、新たな所定量の噴出液の噴出が可能な状態とすることができる。
【0042】
また、本例では、前記ロック解除機構C3によるロック解除の際に、前記回転部材5の回転により音を発する音出機構を設けている。図示例では、回動腕27の先端側部に音出し用の振動子30を突設し、該振動子30が、ロック解除のさいカバー筒2の周壁10内面所定位置に設けた突部31を乗り越えて音を出す如く構成している。
【0043】
上記の如く構成した液体噴出器1を、収納液が頭皮用薬剤とした場合を例にとって説明する。例えば押釦4を頭皮等に圧接して押し込み、ノズル3を押し込んで収納液を噴出する、同様の押釦4の押し込みを場所をかえて適宜行えば、回転部材5はその都度所定回転角度回転して所定の回数に到達するとその回動腕27下面の被係止面bが係止面aに当接してそれ以上の押し下げができなくなり、従って、それ以上の噴出を行えなくなる。この際、窓孔19からは、終了の文字等の表示28が見えて、視覚的にも同様に終了を認知することができる。また、次回使用する場合には、カバー筒本体2aを所定幅回転させ、また、逆に回転させることにより、係止面a上の回動腕27がズレて液の噴出が可能となり、再び所定量の液の噴出が行える。
【0044】
尚、上記例では、回動腕27より短い補助回動腕27a を突設した回転部材5を用いた例を説明したが、図7に示す如く、回動腕27と同様形態の二本の補助回動腕27a をそれぞれ等間隔に設け、また、前記幅広部21及び係止面aを等間隔に三箇所設けることにより、回動腕27が一周する間に必要噴出量の終了を三回認識することができる形態とすることができる。この様な回動腕27と同じ長さの補助回動腕27a を備えることにより、より安定したよりガタツキの少ない回転部材5の回転を行えるものである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明液体噴出器の分解斜視図である。(実施例1)
【図2】本発明液体噴出器の縦断面図である。(実施例1)
【図3】本発明液体噴出器の仕切板を説明する説明図である。(実施例1)
【図4】本発明液体噴出器の回動作用を説明する説明図である。(実施例1)
【図5】本発明液体噴出器のロック解除を説明する説明図である。(実施例1)
【図6】本発明液体噴出器の音出し機構部分の要部拡大説明図である。(実施例1)
【図7】本発明液体噴出器の仕切板を説明する説明図である。(実施例2)
【符号の説明】
【0046】
2…カバー筒,3…ノズル,4…押釦,5…回転部材,8…ステム, 19…窓孔、
20…仕切板,20a …矮狭仕切板,20t …隣接する仕切板,21…幅広部,27…回動腕、
27a …補助回動腕,28…表示,A…エアゾール容器体,C1…回転機構,
C2…ロック機構,C3…ロック解除機構,C4…表示機構,S1…第1傾斜面,
S2…第2傾斜面,S3…第3傾斜面,S4…第4傾斜面,a…係止面,b…被係止面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアゾール容器体A上に固定したカバー筒2と、前記エアゾール容器体上端に上方付勢状態で押し込み可能に突設したステム8に嵌着するとともに、前記カバー筒の頂部より上端部を突設したノズル3と、前記ノズルの上部外周部に回転可能且つ前記ノズルの押し下げを可能に装着した筒状の押釦4と、前記ノズルの押し下げ回数を認知する認知システムとを備え、前記認知システムは、前記ノズル周囲に回転可能且つ上方付勢状態で押し下げ可能に設けた回転部材5を前記押釦の押し下げにより所定角度回転させる回転機構C1と、該回転機構と連繋させるとともに、前記押釦の所定回数の押し下げ時に前記ステムの押し下げを防止するロック機構C2とを備え、前記回転機構は、前記カバー筒内の周縁部に放射状に設け且つ下面にそれぞれ第1傾斜面S1を設けた複数の仕切板20と、前記カバー筒の内周縁下部に環状に配置した複数の第2傾斜面S2と、前記仕切板間に先端部を位置させ且つ前記第1傾斜面S1と摺動する第3傾斜面S3及び前記第2傾斜面と摺動する第4傾斜面S4をそれぞれ上下面に有する回動腕27を突設した前記回転部材とを備え、前記押釦の押し下げによる前記回転部材の下降時に前記第4傾斜面が前記第2傾斜面を摺動し、且つ、前記回転部材の上昇時に前記第3傾斜面が前記第1傾斜面を摺動して前記回動腕が隣接する仕切板20t を乗り越える如く構成し、前記ロック機構は、前記第2傾斜面間の所定位置に係止面aを設けるとともに、前記回動腕27の下面を前記係止面aに当接する被係止面bとして前記回動腕の下降を防止する如く構成したことを特徴とする液体噴出器。
【請求項2】
前記ロック機構C2のロック状態を解除するロック解除機構C3を設け、該ロック解除機構は、前記係止面aを所定箇所の仕切板20間に設けた幅広部21下方に位置させるとともに、前記カバー筒2を前記各第2傾斜面S2に対して所定回転幅の回転が可能に構成し、前記カバー筒の回転により前記係止面上方の前記回動腕27を隣接する仕切板により回動させる如く構成してなる請求項1記載の液体噴出器。
【請求項3】
前記回転部材5が、前記回動腕27とそれぞれ周方向所定角度離間位置に短い補助回動腕27a を複数突設するとともに、前記係止面a上方に前記回動腕が位置した際の前記各補助回動腕と対応する仕切板を前記各補助回動腕が非接触な矮狭仕切板20a として構成してなる請求項2記載の液体噴出器。
【請求項4】
前記ロック解除機構C3によるロック解除の際に、前記回転部材5の回転により音を発する音出機構を設けてなる請求項2記載の液体噴出器。
【請求項5】
前記認知システムとして、前記回転機構C1及び前記ロック機構C2に加えて、前記回動腕27がロック状態に移行した際に前記カバー筒2の所定位置に設けた窓孔19に表示28を臨ませる表示機構C4を設けてなる請求項1記載の液体噴出器。
【請求項6】
前記回動腕27とそれぞれ周方向等間隔に同形態の複数の補助回動腕27a を突設するとともに、前記幅広部21及び係止面aとそれぞれ等間隔に前記補助回動腕と対応する数の同形態の幅広部21及び係止面aを設けてなる請求項2記載の液体噴出器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−326443(P2006−326443A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−151520(P2005−151520)
【出願日】平成17年5月24日(2005.5.24)
【出願人】(000002819)大正製薬株式会社 (437)
【出願人】(000222129)東洋エアゾール工業株式会社 (77)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】