説明

液体噴射ヘッドの製造方法、および液体噴射装置の製造方法

【課題】工程の簡略化を図ることができる液体噴射ヘッドの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る液体噴射ヘッド100の製造方法は、第1基板20の一方面21側に圧電素子40を形成する第1工程と、第1基板20の一方面21側に、貫通孔56が形成された第2基板50を接合する第2工程と、第1テープ102により貫通孔56を塞ぐ第3工程と、酸化シリコンからなる絶縁膜110を形成し第1テープ102を覆う第4工程と、第1基板20の他方面22側に、ウェットエッチングにより開口部29を形成する第5工程と、第2テープ104により開口部29を塞ぐ第6工程と、絶縁膜110を除去する第7工程と、第1テープ102及び第2テープ104を剥離する第8工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射ヘッドの製造方法、および液体噴射装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液滴を吐出する液体噴射ヘッドの代表例としては、インク滴を吐出するインクジェット式記録ヘッドが挙げられる。このインクジェット式記録ヘッドとしては、例えば、ノズル孔に連通する圧力発生室と圧力発生室に連通するリザーバーとが形成される流路形成基板と、流路形成基板の一方の面側に形成される圧電素子と、流路形成基板の圧電素子側の面に接合され圧電素子を保護するための保護基板と、を具備したものが知られている。また、保護基板上には、圧電素子を駆動するための駆動回路が実装され、さらに、保護基板には、圧力発生室に供給されるインクの流路となる貫通孔や、圧電素子と駆動回路とを接続する接続配線が挿通される貫通孔が形成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなインクジェット式記録ヘッドの製造方法では、まず、流路形成基板に、上記のような貫通孔が形成された保護基板を接合する。次に、貫通孔を覆うように保護フィルムを保護基板上に設ける。その後、例えば水酸化カリウム溶液(KOH溶液)に対する耐性を有する耐KOHフィルムを保護基板上に設ける。そして、KOH溶液の異方性エッチングによって流路形成基板に圧力発生室を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−148813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようなエッチング液に対する耐性フィルムは、例えば熱硬化性の接着剤を介して、保護基板に接着される。そのため、接着剤の硬化のために熱処理を行う必要が、耐性フィルムが熱収縮することを抑制するために、該熱処理では、昇温速度を小さくしなくてはならない場合がある。したがって、熱処理工程の時間が長くなってしまう場合がある。
【0006】
さらに、流路形成基板のウェットエッチング後に、上記の接着剤を剥離するが、この接着剤の剥離工程は、例えば、レーザーで接着剤を焼き飛ばした後、薬品で残渣を処理することにより行われる。
【0007】
以上のように、耐性フィルムの接着工程等には、多くの工数がかかる場合がある。
【0008】
本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、工程の簡略化を図ることができる液体噴射ヘッドの製造方法を提供することにある。また、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、上記液体噴射ヘッドの製造方法を含む液体噴射装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る液体噴射ヘッドの製造方法は、
第1基板の一方面側に圧電素子を形成する第1工程と、
前記第1基板の一方面側に、貫通孔が形成された第2基板を接合する第2工程と、
第1テープにより前記貫通孔を塞ぐ第3工程と、
酸化シリコンからなる絶縁膜を形成し前記第1テープを覆う第4工程と、
前記第1基板の他方面側に、ウェットエッチングにより開口部を形成する第5工程と、
第2テープにより前記開口部を塞ぐ第6工程と、
前記絶縁膜を除去する第7工程と、
前記第1テープ及び前記第2テープを剥離する第8工程と、を有する。
【0010】
このような液体噴射ヘッドの製造方法によれば、第1基板のエッチング液に対して耐性を有するフィルムを、熱硬化性の接着剤を介して、第2基板に接着する必要がない。したがって、工程の簡略化を図ることができる。
【0011】
本発明に係る液体噴射ヘッドにおいて、
前記第4工程では、前記絶縁膜を2周波プラズマCVD法によって成膜されてもよい。
【0012】
このような液体噴射ヘッドの製造方法によれば、例えば1周波プラズマCVD法に比べて、低温かつ短時間で絶縁膜を成膜することができる。したがって、第1テープが熱によって劣化することを抑制しつつ、工程の簡略化を図ることができる。
【0013】
本発明に係る液体噴射ヘッドにおいて、
前記第1基板はシリコンであってもよい。
【0014】
このような液体噴射ヘッドの製造方法によれば、工程の簡略化を図ることができる。
【0015】
本発明に係る液体噴射ヘッドにおいて、
前記第8工程では、紫外線の照射により前記第1テープおよび前記第2テープを剥離してもよい。
【0016】
このような液体噴射ヘッドの製造方法によれば、簡易に第1テープおよび第2テープを剥離することができる。
【0017】
本発明に係る液体噴射ヘッドにおいて、
前記第8工程では、熱処理により前記第1テープおよび前記第2テープを剥離してもよい。
【0018】
このような液体噴射ヘッドの製造方法によれば、簡易に第1テープおよび第2テープを剥離することができる。
【0019】
本発明に係る液体噴射ヘッドにおいて、
前記第7工程では、フッ酸溶液を用いたウェットエッチングにより前記絶縁膜を除去してもよい。
【0020】
このような液体噴射ヘッドの製造方法によれば、第1基板および第2基板や、第1テープおよび第2テープがエッチングされることを抑制しつつ、簡易に絶縁膜を除去することができる。
【0021】
本発明に係る液体噴射ヘッドにおいて、
前記第5工程では、水酸化カリウム溶液を用いたウェットエッチングにより前記開口部を形成してもよい。
【0022】
このような液体噴射ヘッドの製造方法によれば、工程の簡略化を図ることができる。
【0023】
本発明に係る液体噴射ヘッドにおいて、
前記第5工程では、前記絶縁膜に対するエッチング速度が前記第1基板に対するエッチング速度よりも小さくてもよい。
【0024】
このような液体噴射ヘッドの製造方法によれば、工程の簡略化を図ることができる。
【0025】
本発明に係る液体噴射装置の製造方法は、
本発明に係る液体噴射ヘッドの製造方法により液体噴射ヘッドを製造する工程を有する。
【0026】
このような液体噴射装置の製造方法によれば、簡易な工程で液体噴射装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施形態に係る液体噴射ヘッドを模式的に示す分解斜視図。
【図2】本実施形態に係る液体噴射ヘッドを模式的に示す平面図。
【図3】本実施形態に係る液体噴射ヘッドを模式的に示す断面図。
【図4】本実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造工程を模式的に示す断面図。
【図5】本実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造工程を模式的に示す断面図。
【図6】本実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造工程を模式的に示す断面図。
【図7】本実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造工程を模式的に示す断面図。
【図8】本実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造工程を模式的に示す断面図。
【図9】本実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造工程を模式的に示す断面図。
【図10】本実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造工程を模式的に示す断面図。
【図11】本実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造工程を模式的に示す断面図。
【図12】本実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造工程を模式的に示す断面図。
【図13】本実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造工程を模式的に示す断面図。
【図14】本実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造工程を模式的に示す断面図。
【図15】本実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造工程を模式的に示す断面図。
【図16】本実施形態に係る液体噴射装置を模式的に示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0029】
1. 液体噴射ヘッド
まず、本実施形態に係る液体噴射ヘッドについて、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る液体噴射ヘッド100を模式的に示す分解斜視図である。図2は、本実施形態に係る液体噴射ヘッド100を模式的に示す平面図である。図3は、本実施形態に係る液体噴射ヘッド100を模式的に示す図2のIII−III線断面図である。
【0030】
液体噴射ヘッド100は、図1〜図3に示すように、第1基板20と、圧電素子40と、第2基板50と、を含む。さらに、液体噴射ヘッド100は、ノズルプレート10と、振動板30と、駆動回路60と、コンプライアンス基板70と、を含むことができる。なお、便宜上、図2では、駆動回路60の図示を省略している。
【0031】
ノズルプレート10の形状は、例えば板状である。ノズルプレート10の材質は、例えば、シリコン、ステンレス鋼(SUS)である。ノズルプレート10は、ノズル孔12を有する。ノズル孔12からは、液滴(インク滴)が吐出される。ノズル孔12は、圧力発生室24の数に応じて、複数設けられている。図示の例では、圧力発生室24は、2列に並んで設けられているため、ノズルプレート10は、2列に並んだノズル孔12を有する。
【0032】
第1基板20は、ノズルプレート10上に設けられている。第1基板20は、互いに反対を向く第1面21および第2面22を有する。第1面21は、第1基板20の上面ともいえ、第2面22は、第1基板20の下面ともいる。第1基板20としては、例えば、(110)配向のシリコン単結晶基板を用いることができる。第1基板20がノズルプレート10と振動板30との間の空間を区画することにより、圧力発生室24と、圧力発生室24と連通する供給路26と、供給路26と連通する連通部28と、が設けられている。例えば、第1基板20を、流路形成基板20ということもできる。
【0033】
なお、図示の例では、圧力発生24と、供給路26と、連通部28と、が区別されているが、これらはいずれも液体の流路(マニホールドということもできる)であって、このような流路はどのように設計されても構わない。例えば、供給路26は、図示の例では流路の一部が狭窄された形状を有しているが、設計にしたがって任意に形成することができ、必ずしも必須の構成ではない。
【0034】
圧力発生室24は、例えば、複数設けられている。図示す例では、圧力発生室24は、長手方向と短手方向とを有する形状であり、圧力発生室24は、短手方向(Y軸方向)に沿って2列に並んで設けられている。圧力発生室24は、振動板30の変形により容積が変化する。圧力発生室24はノズル孔12と連通しており、圧力発生室24の容積が変化することによって、ノズル孔12からインク滴が吐出される。
【0035】
連通部28は、複数の圧力発生室24に対して共通の液体貯留部となるリザーバー80の一部を構成することができる。連通部28は、複数の供給路26を介して、複数の圧力発生室24と連通している。
【0036】
供給路26は、圧力発生室24と連通する第1部分26aと、連通部28と連通する第2部分26bと、を有することができる。第1部分26aの幅(Y軸方向の長さ)は、圧力発生室24の幅、および第2部分26bの幅も狭い。これにより、連通部28から圧力発生室24に流入する液体(インク)の流路抵抗を、一定に保持することができる。
【0037】
振動板30は、第1基板20上に形成されている。振動板30の形状は、例えば板状である。振動板30には、貫通孔32が形成されている。貫通孔32は、振動板30を厚み方向(Z軸方向)に貫通している。貫通孔32は、連通部28と連通している。貫通孔32は、液体貯留部となるリザーバー80の一部を構成することができる。
【0038】
図示の例では、振動板30は、酸化シリコン層34と、酸化シリコン層34上に形成された酸化ジルコニウム層36と、から構成されている。振動板30は、可撓性を有し、圧電素子40の動作によって変形(屈曲)することができる。
【0039】
圧電素子40は、振動板30上に形成されている。圧電素子40は、駆動回路60に電気的に接続され、駆動回路60の信号に基づいて動作(振動、変形)することができる。圧電素子40の動作によって、振動板30は、変形し、圧力発生室24の内部圧力を適宜変化させることができる。圧電素子40は、第1電極42と、圧電体層44と、第2電極46と、を有する。
【0040】
第1電極42は、振動板30上に形成されている。第1電極42の形状は、例えば、層状または薄膜状である。第1電極42の厚みは、例えば、50nm以上300nm以下である。第1電極42の材質は、例えば、ニッケル、イリジウム、白金などの各種の金属、それらの導電性酸化物(例えば酸化イリジウムなど)、ストロンチウムとルテニウムとの複合酸化物(SrRuO:SRO)、ランタンとニッケルとの複合酸化物(LaNiO:LNO)である。第1電極42は、上記に例示した材料の単層構造でもよいし、複数の材料を積層した構造であってもよい。
【0041】
第1電極42は、第2電極46と一対になって、圧電体層44に電圧を印加するための一方の電極(例えば、圧電体層44の下方に形成された下部電極)となることができる。
【0042】
なお、振動板30を設けず、第1電極42が振動板としての機能を有していてもよい。また、圧電素子40自体が実質的に振動板を兼ねてもよい。
【0043】
また、図示はしないが、第1電極42と振動板30との間には、例えば、両者の密着性を付与する層や、強度や導電性を付与する層が形成されてもよい。このような層の例としては、例えば、チタン、ニッケル、イリジウム、白金などの各種の金属、それらの酸化物の層が挙げられる。
【0044】
圧電体層44は、第1電極42上に形成されている。圧電体層44は、例えば、複数の圧力発生室24に対応して、複数設けられている。図示の例では、圧力発生室24は、2列に並んで設けられているので、圧電体層44についても同様に、2列に並んで設けられている。
【0045】
圧電体層44の厚みは、例えば、300nm以上3000nm以下である。圧電体層44としては、ペロブスカイト型酸化物の圧電材料を用いることができる。より具体的には、圧電体層44の材質は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O:PZT)、ニオブ酸チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti,Nb)O:PZTN)、チタン酸バリウム(BaTiO)、ニオブ酸カリウムナトリウム((K,Na)NbO)である。
【0046】
圧電体層44は、圧電性を有することができ、第1電極42および第2電極46によって電圧が印加されることで変形することができる。
【0047】
第2電極46は、圧電体層44上に形成されている。第2電極46は、圧電体層44を介して、第1電極42と対向して配置されている。第2電極46の形状は、例えば、層状または薄膜状の形状である。第2電極46の厚みは、例えば、50nm以上300nm以下である。第2電極46の材質としては、例えば、第1電極42の材質として列挙した材料を用いることができる。
【0048】
第2電極46の機能の一つとしては、第1電極42と一対になって、圧電体層44に電圧を印加するための他方の電極(例えば、圧電体層44の上方に形成された上部電極)となることが挙げられる。
【0049】
第2電極46は、複数の圧電体層44に対応して複数設けられてもよい。複数の第2電極46は、互いに電気的に分離していてもよい。一方、第1電極42は、複数の圧電体層44に対して、共通した電極であってもよい。すなわち、複数の圧電体層44に対して、第2電極46は、個別電極であり、第1電極42は、共通電極であってもよい。これにより、複数の圧電体層44の各々を、独立して駆動させることができる。なお、図示はしないが、第1電極42を個別電極とし、第2電極46を共通電極としてもよい。
【0050】
第2電極46上には、リード電極48が形成されている。リード電極48は、圧電素子40のリザーバー80側とは反対側の端部近傍から引き出され、振動板30上にまで延出している。リード電極48の材質は、例えば、金、銅である。
【0051】
第2基板50は、振動板30上に形成されている。より具体的には、第2基板50は、振動板30を介して、第1基板20の第1面21側に接着剤90を用いて接合されている。第2基板50は、ガラス基板やセラミックス基板でもよいが、第1基板20と同様に(110)配向のシリコン単結晶基板であることが好ましい。これにより、第2基板50の熱膨張係数と、第1基板20の熱膨張係数と、を同じにすることができる。
【0052】
第2基板50は、互いに反対を向く第3面51および第4面52を有する。第3面51は、第2基板50の下面ともいえ、第4面52は、第2基板50の上面ともいる。第3面51は、振動板30を介して、第1基板20の第1面21と対向している。第3面51には、例えば、凹部54が形成されている。凹部54によって形成される空間55内は、圧電素子40を収容することができる。図示の例では、空間55は、凹部54を形成する第3面51、振動板30の上面、および接着剤90の側面によって形成されている。空間55は、圧電素子40の動作を阻害しない程度の大きさである。空間55は、密封されていてもよいし、密封されていなくてもよい。第2基板50によって、圧電素子40を保護することができる。例えば、第2基板50を、保護基板50ということもできる。
【0053】
第2基板50には、貫通孔56が形成されている。貫通孔56は、第3面51から第4面52まで貫通している。貫通孔56は、振動板30に設けられた貫通孔32を介して、第1基板20に設けられた連通部28と連通している。連通部28と、貫通孔32と、貫通孔56とは、リザーバー80を構成することができる。リザーバー80は、外部(例えばインクカートリッジ)から、インクを一時貯留することができる。リザーバー80内のインクは、供給路26を介して、圧力発生室24に供給されることができる。
【0054】
なお、図示の例では、複数の圧力発生室24に対して共通の連通部28を設けているが、連通部28を圧力発生室24ごとに複数に分割して、貫通孔32および貫通孔56のみをリザーバーとしてもよい。さらに、例えば、第1基板20に圧力発生室24のみを設け、第1基板20および振動板30に、リザーバーと、各圧力発生室24に連通する供給路と、を設けてもよい。
【0055】
第2基板50には、さらに、貫通孔58が形成されている。貫通孔58は、第3面51から第4面52まで貫通している。第2電極46から引き出されたリード電極48の端部近傍は、貫通孔58内に露出するように設けられている。
【0056】
駆動回路60は、駆動配線62を介して、第2基板50上に設けられている。駆動回路60としては、例えば、回路基板や半導体集積回路(IC)を用いることができる。駆動回路60は、ボンディングワイヤー等の導電性ワイヤーからなる接続配線64を介して、リード電極48に接続されている。これにより、駆動回路60は、圧電素子40に駆動信号を入力することができる。なお、図示はしないが、第2基板50と駆動配線62との間には、酸化シリコン等からなる絶縁層が形成されていてもよい。
【0057】
コンプライアンス基板70は、第2基板50上に形成されている。コンプライアンス基板70は、封止膜72と、固定板74と、を有することができる。封止膜72は、第2基板50上に形成され、リザーバー80の一方の開口(貫通孔56の一方の開口)を封止している。封止膜72としては、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルムを用いることができる。封止膜72は、剛性が小さく可撓性を有することができる。
【0058】
固定板74は、封止膜72上に形成されている。固定板74には、貫通孔76が形成されている。貫通孔76は、固定板74を厚み方向に貫通しており、貫通孔56の上方に配置されている。すなわち、図示の例では、リザーバー80の一方の開口は、封止膜72のみによって封止されている。
【0059】
なお、上記の例では、液体噴射ヘッド100がインクジェット式記録ヘッドである場合について説明した。しかしながら、本実施形態の液体噴射ヘッドは、例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(面発光ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッドなどとして用いられることもできる。
【0060】
2. 液体噴射ヘッドの製造方法
次に、本実施形態に係る液体噴射ヘッド100の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図4〜図14は、本実施形態に係る液体噴射ヘッド100の製造工程を模式的に示す断面図である。
【0061】
図4に示すように、第1基板20の少なくとも第1面21に、酸化シリコン層34を形成する。酸化シリコン層34は、例えば、熱酸化法によって形成される。次に、酸化シリコン層34上に、酸化ジルコニウム層36を形成する。酸化ジルコニウム層36は、例えば、スパッタ法により形成される。以上の工程により、振動板30を形成することができる。
【0062】
図5に示すように、振動板30上に、第1電極42、圧電体層44、および第2電極46を、この順で形成する。第1電極42および第2電極46は、例えば、スパッタ法、めっき法、真空蒸着法により導電層(図示せず)を成膜した後に、該導電層をパターニングすることによって形成される。圧電体層44は、例えば、ゾルゲル法、MOD(Metal Organic Deposition)法、スパッタ法、レーザーアブレーション法により圧電体層(図示せず)を成膜した後に、該圧電体層をパターニングすることによって形成される。パターニングは、例えば、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術によって行われる。なお、圧電体層44を形成するためのパターニングと、第2電極46を形成するためのパターニングとは、一括で行われてもよい。以上の工程により、第1基板20の第1面21側(一方面側)に、圧電素子40を形成することができる(第1工程)。
【0063】
図6に示すように、第2電極46上から振動板30上にわたって、リード電極48を形成する。リード電極48は、例えば、スパッタ法による成膜、およびパターニングによって形成される。
【0064】
図7に示すように、第1面21側に(より具体的には振動板30に)、貫通孔56,58が形成された第2基板50を、第3面51が振動板30を介して第1面21と対向するように、接合する(第2工程)。そして、第3面51によって(凹部54によって)形成される空間55内に、圧電素子40を収容する。第2基板50の接合は、例えば、接着剤90を用いて行われる。第2基板50上には、駆動配線62が形成されている。駆動配線62は、例えば、スパッタ法による成膜、およびパターニングによって形成される。
【0065】
図8に示すように、第1基板20を所定の厚みに薄板化する。第1基板20の薄板化は、例えば、第2面22を研削した後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法で研磨することにより行われる。これにより、第2面22の平坦性を、高くすることができる。
【0066】
図9に示すように、第2基板50の第4面52に第1テープ102を貼り付けて、第1テープ102により貫通孔56,58を塞ぐ(第3工程)。第1テープ102は、紫外線(UV)によって粘着力が低下するUV剥離テープであってもよいし、熱によって粘着力が低下する熱剥離テープ(例えば100℃程度で剥離するテープ)であってもよい。第1テープ102は、後述する絶縁膜110を成膜する工程において、絶縁膜110が貫通孔56,58の内部に侵入することを防止できる。第1テープ102は、後述する絶縁膜110を除去する工程において用いられるエッチング液に対して、耐性を有することができる。
【0067】
図10に示すように、絶縁膜110を形成し、少なくとも第1テープ102を覆う(第4工程)。図示の例では、第1基板20の第2面22を避けて、第1基板20、第2基板50、および第1テープ102を覆うように、絶縁膜110を成膜している。絶縁膜110は、例えば、プラズマソース側とバイアス側との両方にRF(Radio Frequency)を印加する2周波プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって成膜される。具体的な条件としては、プラズマソース側の周波数を27MHz程度、プラズマソース側の電力を300W程度、バイアス側の周波数を380kHz程度、バイアス側の電力を300W程度とすることができる。2周波プラズマCVD法によって、低温(例えば25℃程度)で絶縁膜110を成膜することができる。そのため、第1テープ102が熱によって劣化することを抑制できる。
【0068】
絶縁膜110の成膜は、第2基板50の第4面52に向けて(上方から下方に向けて)行われるが、2周波プラズマCVD法による成膜は回り込みがよいため、第1基板20の側面および第2基板50の側面にも絶縁膜120を成膜することができる。
【0069】
絶縁膜110としては、後述する第1基板20のウェットエッチング工程において、第1基板20に対するエッチング速度よりも、小さいエッチング速度を有する材料を用いることができる。より具体的には、絶縁膜110の材質は、酸化シリコン(SiO)、酸化窒化シリコン(SiON)、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)である。
【0070】
絶縁膜110は、第1基板20のウェットエッチング工程において、第1基板20の第2面22以外がエッチングされることを抑制できる。例えば、第1基板20としてシリコン基板を用い、絶縁膜110として酸化シリコン膜を用い、エッチング液として水酸化カリウム(KOH)溶液を用いた場合、第1基板20に対するエッチング速度は、15μm/時間以上84μm/時間以下であり、絶縁膜110に対するエッチング速度は、0.04μm/時間以上0.08μm/時間以下である。したがって、絶縁膜110により、第1テープ102や第2基板50などをエッチング液から保護することができる。例えば、第1基板20の厚みを、20μm以上100μm以下とし、第1テープ102上の絶縁膜110の厚みを、0.3μm以上2μm以下とすることができる。2周波プラズマCVD法の成膜速度は、1周波プラズマCVD法の成膜速度よりも大きいため、絶縁膜110の成膜時間を短縮することができる。
【0071】
上記のようなアルカリ性のエッチング液を用いて第1基板20をウェットエッチングする際に(特に、KOH溶液によってシリコン基板をエッチングする際に)、水素が発生することがある。そして、発生した水素が貫通孔を通って圧電体層に接触し、還元反応によって圧電素子が劣化する場合がある。しかしながら、本実施形態では、絶縁膜110によって水素が圧電体層44に接触することを抑制できる。すなわち、絶縁膜110は、水素バリア膜としても機能することができる。
【0072】
図11に示すように、第1基板20の第2面22に、所定の形状を有するマスク膜120を形成する。上記のように、CMP法によって第2面22の平坦性を高くすることにより、第2面22とマスク膜120との密着性を向上させることができる。これにより、第2面22とマスク膜120の間にエッチング液がしみ込むことを抑制できる。マスク膜120の材質は、例えば、酸化シリコンである。
【0073】
図12に示すように、マスク膜120をマスクとして、第2面22側(他方面側)から第1基板20をウェットエッチングし、圧力発生室24、供給路26、および連通部28となる開口部29を形成する(第5工程)。ウェットエッチングのエッチング液としては、アルカリ性の溶液を用いることができる。より具体的には、エッチング液としては、水酸化カリウム(KOH)溶液や水酸化ナトリウム(NaOH)溶液などを用いることができる。第1基板20として(110)配向のシリコン基板を用いた場合は、上記のエッチング液によって異方性エッチングを行うことができる。エッチングの際に、酸化シリコン層34は、エッチングストッパーとして機能することができる。
【0074】
図13に示すように、マスク膜120を除去した後、第1基板20の第2面22に第2テープ104を貼り付けて、第2テープ104により開口部29を塞ぐ(第6工程)。第2テープ104は、第1テープ102と同様に、紫外線(UV)によって粘着力が低下するUV剥離テープであってもよいし、熱によって粘着力が低下する熱剥離テープ(例えば100℃程度で剥離するテープ)であってもよい。第2テープ104は、後述する絶縁膜110を除去する工程において用いられるエッチング液に対して、耐性を有することができる。第2テープ104は、絶縁膜110を除去する工程において、エッチング液が開口部29内に進入することを抑制できる。
【0075】
図14に示すように、絶縁膜110を除去する(第7工程)。絶縁膜110は、例えば、希フッ酸溶液をエッチング液としたウェットエッチングによって除去される。希フッ酸溶液は、例えば酸化シリコンからなる絶縁膜120に対するエッチング速度が大きい。そのため、基板20,50やテープ102,104がエッチングされることを抑制しつつ、例えば数十秒で、簡易に絶縁膜110を除去することができる。
【0076】
図15に示すように、第1テープ102および第2テープ104を剥離する(第8工程)。テープ102,104がUV剥離テープである場合は、紫外線を照射することによって、テープ102,104を剥離する。テープ102,104が熱剥離テープである場合は、熱処理をすることによって、テープ102,104を剥離する。
【0077】
次に、振動板30に貫通孔32を形成し、貫通孔56と開口部29を連通させる。
【0078】
図3に示すように、駆動配線62上に、駆動回路60を配置する。そして、駆動回路60とリード電極48とを、接続配線64で接続する。次に、第1基板20の第2面22に、ノズルプレート10を接合する。これにより、圧力発生室24、供給路26、および連通部28(リザーバー80)が形成される。第1基板20とノズルプレート10との接合は、例えば、接着剤や熱溶着フィルムによって行われる。次に、第2基板50上にコンプライアンス基板70を接合する。
【0079】
なお、駆動回路60を配置する工程、ノズルプレート10を接合する工程、およびコンプライアンス基板70を接合する工程は、その先後を問わない。
【0080】
以上の工程によって、本実施形態に係る液体噴射ヘッド100を製造することができる。
【0081】
液体噴射ヘッド100の製造方法によれば、少なくとも第1テープ102を覆うように、絶縁膜110を成膜する。より具体的には、第2面22を避けて、第1基板20、第2基板50、および第1テープ102を覆うように、絶縁膜110を成膜することができる。第1基板20をウェットエッチングする工程において、絶縁膜110に対するエッチング速度は、第1基板20に対するエッチング速度よりも小さい。そのため、絶縁膜110によって、第1基板20のウェットエッチング工程において、第1基板20の第2面22以外がエッチングされることを抑制できる。したがって、液体噴射ヘッド100の製造方法では、上述のように、第1基板のエッチング液に対して耐性を有するフィルムを、熱硬化性の接着剤を介して、第2基板に接着する必要がない。よって、液体噴射ヘッド100の製造方法によれば、工程の簡略化を図ることができる。
【0082】
液体噴射ヘッド100の製造方法によれば、絶縁膜110を、2周波プラズマCVD法によって成膜することができる。2周波プラズマCVD法では、例えば1周波プラズマCVD法に比べて、低温かつ短時間で成膜することができる。したがって、液体噴射ヘッド100の製造方法によれば、第1テープ102が熱によって劣化することを抑制しつつ、工程の簡略化を図ることができる。
【0083】
液体噴射ヘッド100の製造方法によれば、第1基板20の材質をシリコンとし、絶縁膜110の材質を酸化シリコンとすることができる。これにより、第1基板20のウェットエッチング工程において、より確実に、絶縁膜110に対するエッチング速度を、第1基板20に対するエッチング速度よりも小さくすることができる。さらに、例えばポリパラフェニレンテレフタルアミド(PPTA)フィルムを耐性フィルムとして、第1基板をウェットエッチングする場合に比べて、製造コストを低減することができる。
【0084】
液体噴射ヘッド100の製造方法によれば、紫外線を照射することによって、第1テープ102および第2テープ104を剥離することができる。上記のように、第1基板のエッチング液に対して耐性を有するフィルムを、熱硬化性の接着剤を介して第2基板に接着した場合、該接着剤の剥離工程は、例えば、レーザーで接着剤を焼き飛ばした後、薬品で残渣を処理することにより行われる。液体噴射ヘッド100の製造方法では、テープ102,104の接合や絶縁膜110の成膜に熱硬化性の接着剤を用いていないので、上記のようなレーザー照射や薬品処理を行う必要がない。すなわち、簡易にテープ102,104を剥離することができる。さらに、上記のような接着剤を用いると、該接着剤を剥がした面が汚くなる場合があるが、液体噴射ヘッド100の製造方法によれば、このような問題を回避することができる。
【0085】
液体噴射ヘッド100の製造方法によれば、熱処理することによって、第1テープ102および第2テープ104を剥離することができる。したがって、上記と同様に、簡易にテープ102,104を剥離することができる。
【0086】
液体噴射ヘッド100の製造方法によれば、フッ酸溶液を用いたウェットエッチングにより、酸化シリコンからなる絶縁膜110を除去することができる。そのため、基板20,50やテープ102,104がエッチングされることを抑制しつつ、簡易に絶縁膜110を除去することができる。
【0087】
3. 液体噴射装置
次に、本実施形態にかかる液体噴射装置について、図面を参照しながら説明する。図16は、本実施形態にかかる液体噴射装置700を模式的に示す斜視図である。
【0088】
液体噴射装置700は、本発明に係る液体噴射ヘッドの製造方法により製造された液体噴射ヘッドを有する。以下では、本発明に係る液体噴射ヘッドの製造方法により製造された液体噴射ヘッド100を用いた例について説明する。
【0089】
液体噴射装置700は、図16に示すように、ヘッドユニット730と、駆動部710と、制御部760と、を含む。液体噴射装置700は、さらに、液体噴射装置700は、装置本体720と、給紙部750と、記録用紙Pを設置するトレイ721と、記録用紙Pを排出する排出口722と、装置本体720の上面に配置された操作パネル770と、を含むことができる。
【0090】
ヘッドユニット730は、上述した液体噴射ヘッド100から構成されるインクジェット式記録ヘッド(以下単に「ヘッド」ともいう)を有する。ヘッドユニット730は、さらに、ヘッドにインクを供給するインクカートリッジ731と、ヘッドおよびインクカートリッジ731を搭載した運搬部(キャリッジ)732と、を備える。
【0091】
駆動部710は、ヘッドユニット730を往復動させることができる。駆動部710は、ヘッドユニット730の駆動源となるキャリッジモーター741と、キャリッジモーター741の回転を受けて、ヘッドユニット730を往復動させる往復動機構742と、を有する。
【0092】
往復動機構742は、その両端がフレーム(図示せず)に支持されたキャリッジガイド軸744と、キャリッジガイド軸744と平行に延在するタイミングベルト743と、を備える。キャリッジガイド軸744は、キャリッジ732が自在に往復動できるようにしながら、キャリッジ732を支持している。さらに、キャリッジ732は、タイミングベルト743の一部に固定されている。キャリッジモーター741の作動により、タイミングベルト743を走行させると、キャリッジガイド軸744に導かれて、ヘッドユニット730が往復動する。この往復動の際に、ヘッドから適宜インクが吐出され、記録用紙Pへの印刷が行われる。
【0093】
なお、本実施形態では、液体噴射ヘッド100および記録用紙Pがいずれも移動しながら印刷が行われる液体噴射装置の例を示しているが、本発明の液体噴射装置は、液体噴射ヘッド100および記録用紙Pが互いに相対的に位置を変えて記録用紙Pに印刷される機構であればよい。また、本実施形態では、記録用紙Pに印刷が行われる例を示しているが、本発明の液体噴射装置によって印刷を施すことができる記録媒体としては、紙に限定されず、布、フィルム、金属など、広範な媒体を挙げることができ、適宜構成を変更することができる。
【0094】
制御部760は、ヘッドユニット730、駆動部710および給紙部750を制御することができる。
【0095】
給紙部750は、記録用紙Pをトレイ721からヘッドユニット730側へ送り込むことができる。給紙部750は、その駆動源となる給紙モーター751と、給紙モーター751の作動により回転する給紙ローラー752と、を備える。給紙ローラー752は、記録用紙Pの送り経路を挟んで上下に対向する従動ローラー752aおよび駆動ローラー752bを備える。駆動ローラー752bは、給紙モーター751に連結されている。制御部760によって供紙部750が駆動されると、記録用紙Pは、ヘッドユニット730の下方を通過するように送られる。ヘッドユニット730、駆動部710、制御部760および給紙部750は、装置本体720の内部に設けられている。
【0096】
なお、上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【0097】
上記のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できよう。したがって、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0098】
10 ノズルプレート、12 ノズル孔、20 第1基板、21 第1面、
22 第2面、24 圧力発生室、26 供給路、26a 第1部分、
26b 第2部分、28 連通部、29 開口部、30 振動板、32 貫通孔、
34 酸化シリコン層、36 酸化ジルコニウム層、40 圧電素子、42 第1電極、
44 圧電体層、46 第2電極、48 リード電極、50 第2基板、51 第3面、
52 第4面、54 凹部、55 空間、56 貫通孔、58 貫通孔、
60 駆動回路、62 駆動配線、64 接続配線、70 コンプライアンス基板、
72 封止膜、74 固定板、76 貫通孔、80 リザーバー、90 接着剤、
100 液体噴射ヘッド、102 第1テープ、104 第2テープ、110 絶縁膜、
120 マスク膜、700 液体噴射装置、710 駆動部、720 装置本体、
721 トレイ、722 排出口、730 ヘッドユニット、
731 インクカートリッジ、732 キャリッジ、741 キャリッジモーター、
742 往復動機構、743 タイミングベルト、744 キャリッジガイド軸、
750 給紙部、751 給紙モーター、752 給紙ローラー、
752a 従動ローラー、752b 駆動ローラー、760 制御部、
770 操作パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板の一方面側に圧電素子を形成する第1工程と、
前記第1基板の一方面側に、貫通孔が形成された第2基板を接合する第2工程と、
第1テープにより前記貫通孔を塞ぐ第3工程と、
酸化シリコンからなる絶縁膜を形成し前記第1テープを覆う第4工程と、
前記第1基板の他方面側に、ウェットエッチングにより開口部を形成する第5工程と、
第2テープにより前記開口部を塞ぐ第6工程と、
前記絶縁膜を除去する第7工程と、
前記第1テープ及び前記第2テープを剥離する第8工程と、を有することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記第4工程では、前記絶縁膜を2周波プラズマCVD法によって成膜する、液体噴射ヘッドの製造方法。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記第1基板はシリコンである、液体噴射ヘッドの製造方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項において、
前記第8工程では、紫外線の照射により前記第1テープおよび前記第2テープを剥離する、液体噴射ヘッドの製造方法。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項において、
前記第8工程では、熱処理により前記第1テープおよび前記第2テープを剥離する、液体噴射ヘッドの製造方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項において、
前記第7工程では、フッ酸溶液を用いたウェットエッチングにより前記絶縁膜を除去する、液体噴射ヘッドの製造方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項において、
前記第5工程では、水酸化カリウム溶液を用いたウェットエッチングにより前記開口部を形成する、液体噴射ヘッドの製造方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項において、
前記第5工程では、前記絶縁膜に対するエッチング速度が前記第1基板に対するエッチング速度よりも小さい、液体噴射ヘッドの製造方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の液滴噴射ヘッドの製造方法により液体噴射ヘッドを製造する工程を有する、液滴噴射装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−218314(P2012−218314A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87010(P2011−87010)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】