説明

液体噴射ヘッドの評価方法及びアクチュエーター装置の評価方法

【課題】短時間で高精度な評価を行い、信頼性を向上することができる液体噴射ヘッドの
評価方法及びアクチュエーター装置の評価方法を提供する。
【解決手段】ノズル開口に連通する流路となる凹部12が形成された流路形成基板10と
、該凹部12の上方に形成された第1電極60、該第1電極60上に形成された圧電体層
70、及び該圧電体層70の前記第1電極60とは反対側に形成された第2電極80から
なる圧電素子300と、を具備する液体噴射ヘッドの評価方法であって、前記凹部12が
形成される前の前記流路形成基板10に前記圧電素子300を形成する工程と、前記流路
形成基板10に前記凹部12を形成する工程と、前記流路形成基板10に前記圧電素子3
00を形成した後に前記第2電極80を除去する工程と、前記第2電極80を除去した前
記圧電体層70の反り量を測定する工程と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル開口から液体を噴射する液体噴射ヘッドの評価方法及びアクチュエー
ター装置の評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アクチュエーター装置に用いられる圧電素子としては、電気機械変換機能を呈する圧電
材料、例えば、結晶化した誘電材料からなる圧電体層を、下電極と上電極との2つの電極
で挟んで構成されたものがある。このようなアクチュエーター装置は、一般的に、撓み振
動モードのアクチュエーター装置と呼ばれ、例えば、液体噴射ヘッド等に搭載されて使用
されている。なお、液体噴射ヘッドの代表例としては、例えば、インク滴を吐出するノズ
ル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電素子により変形
させて圧力発生室のインクを加圧してノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェッ
ト式記録ヘッド等がある。
【0003】
このようなインクジェット式記録ヘッド等に搭載されるアクチュエーター装置の圧電素
子を評価する評価方法として、圧電素子に通常のインク吐出パルスを与えて耐久試験を行
うと時間がかかることから、圧電素子に通常のインク吐出パルスよりも高い駆動電圧の試
験パルスを与えることや、高温・高圧環境下で駆動するなどの加速試験によって圧電素子
を評価する方法が考えられる。
【0004】
また、圧電体層は、駆動中に分極の回転伸縮を繰り返すことにより、時間の経過と共に
その分極方向が電界印加方向に沿うように一部固定される、いわゆる疲労現象によって変
位量が低下する。
【0005】
そして、圧電素子は初期変位量と、一定量駆動した状態の変位量とで、変位量の変化率
(劣化率)が大きいことから、圧電素子の製造工程において圧電素子を一定期間駆動する
エージング工程を行い、圧電素子の変位量が安定した状態で出荷している(例えば、特許
文献1参照)。
【特許文献1】特許第4025998号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、加速試験では、微少な電圧誤差や周波数の誤差、環境の微小な差異など
によって評価にばらつきが生じてしまうため、圧電素子の高精度な評価を行うことが困難
であるという問題がある。
【0007】
また、加速試験であっても、エージング工程であっても長時間かかってしまうという問
題がある。
【0008】
なお、このような問題はインクジェット式記録ヘッドに代表される液体噴射ヘッドだけ
ではなく、他の装置に搭載されるアクチュエーター装置においても同様に存在する。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑み、短時間で高精度な評価を行い、信頼性を向上すること
ができる液体噴射ヘッドの評価方法及びアクチュエーター装置の評価方法を提供すること
を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する本発明の態様は、ノズル開口に連通する流路となる凹部が形成され
た流路形成基板と、該凹部の上方に形成された第1電極、該第1電極上に形成された圧電
体層、及び該圧電体層の前記第1電極とは反対側に形成された第2電極からなる圧電素子
と、を具備する液体噴射ヘッドの評価方法であって、前記凹部が形成される前の前記流路
形成基板に前記圧電素子を形成する工程と、前記流路形成基板に前記凹部を形成する工程
と、前記流路形成基板に前記圧電素子を形成した後に前記第2電極を除去する工程と、前
記第2電極を除去した前記圧電体層の反り量を測定する工程と、を具備することを特徴と
する液体噴射ヘッドの評価方法にある。
かかる態様では、圧電体層の反り量を測定することによって、反り量から圧電素子の変
位低下率の大小を容易に且つ高精度に評価することができる。
【0011】
ここで、前記第2電極を除去する工程を、前記流路形成基板に前記凹部を形成する工程
の後に行うことが好ましい。これによれば、製品と同じ流路形成基板による拘束力の影響
による圧電体層の反り量を測定することができ、高精度な評価を行うことができる。
【0012】
また、前記圧電体層の反り量を測定する工程の後に、前記圧電素子を駆動するエージン
グ工程をさらに有することが好ましい。これによれば、評価に基づいてエージング工程の
時間を決めることができ、短時間のエージング工程も可能となる。
【0013】
さらに本発明の他の態様は、基板に設けられた凹部と、該凹部の上方に形成された第1
電極、該第1電極上に形成された圧電体層、及び該圧電体層の前記第1電極とは反対側に
形成された第2電極からなる圧電素子と、を具備するアクチュエーター装置の評価方法で
あって、前記凹部が形成される前の前記基板に前記圧電素子を形成する工程と、前記基板
に前記凹部を形成する工程と、前記基板に前記圧電素子を形成した後に前記第2電極を除
去する工程と、前記第2電極を除去した前記圧電体層の反り量を測定する工程と、を具備
することを特徴とするアクチュエーター装置の評価方法にある。
かかる態様では、圧電体層の反り量を測定することによって、反り量から圧電素子の変
位低下率の大小を容易に且つ高精度に評価することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録
ヘッドの概略構成を示す分解斜視図であり、図2は、図1の平面図及びそのA−A′断面
図である。
【0015】
本実施形態の流路形成基板10は、シリコン単結晶基板からなり、その一方の面には酸
化シリコンを主成分とする厚さが0.5〜2μmの弾性膜50が形成されている。
【0016】
流路形成基板10には、複数の圧力発生室12がその幅方向に並設されている。また、
流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向外側の領域には連通部13が形成され、連
通部13と各圧力発生室12とが、各圧力発生室12毎に設けられたインク供給路14及
び連通路15を介して連通されている。連通部13は、後述する保護基板のリザーバー部
31と連通して各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバーの一部を構成する。
インク供給路14は、圧力発生室12よりも狭い幅で形成されており、連通部13から圧
力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。なお、本実施形態では
、流路形成基板10には、圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路1
5からなる液体流路が設けられていることになる。
【0017】
また、流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反
対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が、接着剤や
熱溶着フィルム等によって固着されている。なお、ノズルプレート20は、例えば、ガラ
スセラミックス、シリコン単結晶基板、ステンレス鋼等からなる。
【0018】
一方、このような流路形成基板10の開口面とは反対側には、弾性膜50が形成され、
この弾性膜50上には、酸化ジルコニウムを主成分とする絶縁体膜55が形成されている
。さらに、この絶縁体膜55上には、第1電極60と、圧電体層70と、第2電極80と
、が積層形成されて圧電素子300(本実施形態の圧力発生素子)を構成している。ここ
で、圧電素子300は、第1電極60、圧電体層70及び第2電極80を含む部分をいう
。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電
体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。本実施形態では、第1電極
60を圧電素子300の共通電極とし、第2電極80を圧電素子300の個別電極として
いるが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。また、ここでは、圧電素
子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせてアクチュエ
ーター装置と称する。なお、上述した例では、弾性膜50、絶縁体膜55及び第1電極6
0が振動板として作用するが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、弾性膜50
及び絶縁体膜55を設けずに、第1電極60のみが振動板として作用するようにしてもよ
い。また、圧電体層70の一部が実質的に振動板を兼ねるようにしてもよい。
【0019】
また、本実施形態の第1電極60は、圧電体層70を形成する前に密着層と、密着層上
に白金(Pt)からなる白金層と、白金層上にイリジウムからなるイリジウム層とが順次
積層されて形成され、詳しくは後述する製造方法によって圧電体層70を焼成して結晶化
させて形成した際に第1電極60も同時に加熱処理されたものである。
【0020】
圧電体層70は、第1電極60上に形成される電気機械変換作用を示す圧電材料、特に
圧電材料の中でも一般式ABOで示されるペロブスカイト構造を有する金属酸化物から
なる。圧電体層70としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の強誘電体材
料や、これに酸化ニオブ、酸化ニッケル又は酸化マグネシウム等の金属酸化物を添加した
もの等が好適である。具体的には、チタン酸鉛(PbTiO)、チタン酸ジルコン酸鉛
(Pb(Zr,Ti)O)、ジルコニウム酸鉛(PbZrO)、チタン酸鉛ランタン
((Pb,La),TiO)、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン((Pb,La)(Zr
,Ti)O)又は、マグネシウムニオブ酸ジルコニウムチタン酸鉛(Pb(Zr,Ti
)(Mg,Nb)O)等を用いることができる。
【0021】
圧電体層70の厚さについては、製造工程でクラックが発生しない程度に厚さを抑え、
且つ十分な変位特性を呈する程度に厚く形成する。例えば、本実施形態では、圧電体層7
0を1〜5μm前後の厚さで形成した。
【0022】
圧電素子300の個別電極である各第2電極80には、インク供給路14側の端部近傍
から引き出され、絶縁体膜55上にまで延設される、例えば、金(Au)等からなるリー
ド電極90が接続されている。
【0023】
このような圧電素子300が形成された流路形成基板10上、すなわち、第1電極60
、絶縁体膜55及びリード電極90上には、リザーバー100の少なくとも一部を構成す
るリザーバー部31を有する保護基板30が接着剤35を介して接合されている。このリ
ザーバー部31は、本実施形態では、保護基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12
の幅方向に亘って形成されており、上述のように流路形成基板10の連通部13と連通さ
れて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバー100を構成している。また、
流路形成基板10の連通部13を圧力発生室12毎に複数に分割して、リザーバー部31
のみをリザーバーとしてもよい。さらに、例えば、流路形成基板10に圧力発生室12の
みを設け、流路形成基板10と保護基板30との間に介在する部材(例えば、弾性膜50
、絶縁体膜55等)にリザーバーと各圧力発生室12とを連通するインク供給路14を設
けるようにしてもよい。
【0024】
また、保護基板30の圧電素子300に対向する領域には、圧電素子300の運動を阻
害しない程度の空間を有する圧電素子保持部32が設けられている。圧電素子保持部32
は、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有していればよく、当該空間は密封
されていても、密封されていなくてもよい。
【0025】
このような保護基板30としては、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例え
ば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板
10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
【0026】
また、保護基板30には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられて
いる。そして、各圧電素子300から引き出されたリード電極90の端部近傍は、貫通孔
33内に露出するように設けられている。
【0027】
また、保護基板30上には、並設された圧電素子300を駆動するための駆動回路12
0が固定されている。この駆動回路120としては、例えば、回路基板や半導体集積回路
(IC)等を用いることができる。そして、駆動回路120とリード電極90とは、ボン
ディングワイヤー等の導電性ワイヤーからなる接続配線121を介して電気的に接続され
ている。
【0028】
また、このような保護基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプラ
イアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する
材料からなり、この封止膜41によってリザーバー部31の一方面が封止されている。ま
た、固定板42は、比較的硬質の材料で形成されている。この固定板42のリザーバー1
00に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザ
ーバー100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
【0029】
このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドでは、図示しない外部のインク供
給手段と接続したインク導入口からインクを取り込み、リザーバー100からノズル開口
21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動回路120からの記録信号に従い、圧力
発生室12に対応するそれぞれの第1電極60と第2電極80との間に電圧を印加し、弾
性膜50、絶縁体膜55、第1電極60及び圧電体層70をたわみ変形させることにより
、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
【0030】
以下、このようなインクジェット式記録ヘッドの評価方法について、図3〜図10を参
照して説明する。なお、図3〜図10は、本発明の実施形態に係る液体噴射ヘッドの一例
であるインクジェット式記録ヘッドの評価方法を示す断面図である。図11は、本発明の
実施形態に係る記録ヘッドの評価結果を示すグラフである。
【0031】
まず、図3(a)に示すように、シリコンウェハーであり流路形成基板10が複数一体
的に形成される流路形成基板用ウェハー110の表面に弾性膜50を構成する酸化膜51
を形成する。本実施形態では、流路形成基板用ウェハー110を熱酸化することにより、
二酸化シリコンからなる厚さが約1.0μmの酸化膜51を形成した。
【0032】
次に、図3(b)に示すように、弾性膜50(酸化膜51)上に、酸化ジルコニウムを
主成分とする絶縁体膜55を0.2〜0.6μmの厚さで形成する。本実施形態では、酸
化ジルコニウムからなる厚さが0.4μmの絶縁体膜55を形成した。
【0033】
次いで、図4(a)に示すように、密着層61、白金層62及びイリジウム層63から
なる第1電極60を形成する。具体的には、まず、絶縁体膜55上に、密着層61を形成
する。密着層61としては、例えば、厚さが10〜50nmのチタン(Ti)、クロム(
Cr)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)及びタングステン(W)からなる群か
ら選択される少なくとも一つの元素を主成分とするものが挙げられる。本実施形態では、
密着層61として、厚さ20nmのチタン(Ti)を設けた。このように第1電極60の
最下層に密着層61を設けることによって、絶縁体膜55と第1電極60との密着力を高
めることができる。次いで、密着層61上に白金(Pt)からなり厚さが50〜500n
mの白金層62を形成する。本実施形態では、厚さが130nmの白金層62を形成した
。そして、白金層62上にイリジウム(Ir)からなるイリジウム層63を形成する。こ
れにより、密着層61、白金層62及びイリジウム層63からなる第1電極60が形成さ
れる。なお、イリジウム層63は、後の工程で圧電体層70を焼成して結晶化させて形成
する際に、密着層61の成分が圧電体層70に拡散するのを防止すると共に圧電体層70
の成分が第1電極60に拡散するのを防止するためのものである。このようなイリジウム
層63の厚さは5〜20nmが好ましく、本実施形態では、10nmで形成した。
【0034】
次いで、図4(b)に示すように、第1電極60上にチタン(Ti)からなる結晶種層
64を形成する。この結晶種層64は、3.5〜5.5nmの厚さで形成する。本実施形
態では、結晶種層64を4.0nmの厚さで形成した。なお、本実施形態では、結晶種層
64として、チタン(Ti)を用いるようにしたが、結晶種層64は、後の工程で圧電体
層70を形成する際に、圧電体層70の結晶の核となるものであれば、特に上記材料に限
定されず、例えば、結晶種層64として、酸化チタン(TiO)を用いてもよい。
【0035】
このように第1電極60の上に結晶種層64を設けることにより、後の工程で第1電極
60上に結晶種層64を介して圧電体層70を形成する際に、圧電体層70の優先配向方
位を所望の優先配向に制御することができ、電気機械変換素子として好適な圧電体層70
を得ることができる。なお、結晶種層64は、圧電体層70が結晶化する際に、結晶化を
促進させるシードとして機能し、圧電体層70の焼成後には圧電体層70内に全部又はそ
の一部が拡散するものである。
【0036】
次に、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなる圧電体層70を形成する。ここで、本
実施形態では、有機金属化合物を溶媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲル
化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体層70を得る、いわゆるゾ
ル−ゲル法を用いて圧電体層70を形成している。なお、圧電体層70の製造方法は、ゾ
ル−ゲル法に限定されず、例えば、MOD(Metal-Organic Decomposition)法、スパッ
タリング法又はレーザーアブレーション法等のPVD(Physical Vapor Deposition)法
等を用いてもよい。
【0037】
圧電体層70の具体的な形成手順としては、まず、図4(c)に示すように、第1電極
60上(結晶種層64上)に圧電体前駆体膜71を成膜する。すなわち、第1電極60が
形成された流路形成基板10上に有機金属化合物を含むゾル(溶液)を塗布する(塗布工
程)。次いで、この圧電体前駆体膜71を所定温度に加熱して一定時間乾燥させる(乾燥
工程)。例えば、本実施形態では、圧電体前駆体膜71を170〜180℃で8〜30分
間保持することで乾燥することができる。
【0038】
次に、乾燥した圧電体前駆体膜71を所定温度に加熱して一定時間保持することによっ
て脱脂する(脱脂工程)。例えば、本実施形態では、圧電体前駆体膜71を300〜40
0℃程度の温度に加熱して約10〜30分保持することで脱脂した。なお、ここで言う脱
脂とは、圧電体前駆体膜71に含まれる有機成分を、例えば、NO、CO、HO等
として離脱させることである。
【0039】
次に、図4(d)に示すように、圧電体前駆体膜71を所定温度に加熱して一定時間保
持することによって結晶化させ、圧電体膜72を形成する(焼成工程)。この焼成工程で
は、圧電体前駆体膜71を650〜800℃に加熱するのが好ましく、本実施形態では、
上記温度領域で5〜30分間加熱を行って圧電体前駆体膜71を焼成して圧電体膜72を
形成した。
【0040】
なお、このような乾燥工程、脱脂工程及び焼成工程で用いられる加熱装置としては、例
えば、ホットプレートや、赤外線ランプの照射により加熱するRTP(Rapid Thermal Pr
ocessing)装置などを用いることができる。
【0041】
次に、図5(a)に示すように、第1電極60上に1層目の圧電体膜72を形成した段
階で、第1電極60及び1層目の圧電体膜72をそれらの側面が傾斜するように同時にパ
ターニングする。なお、第1電極60及び1層目の圧電体膜72のパターニングは、例え
ば、イオンミリング等のドライエッチングにより行うことができる。
【0042】
次に、1層目の圧電体膜72と第1電極60とをパターニングした後は、上述した塗布
工程、乾燥工程、脱脂工程及び焼成工程からなる圧電体膜形成工程を複数回繰り返すこと
により、図5(b)に示すように複数層の圧電体膜72が積層された圧電体層70を形成
することができる。そして、圧電体層70の膜厚は約1〜3μm程度とすればよい。
【0043】
また、圧電体膜形成工程を繰り返し行うことで、第1電極60も同時に加熱され、密着
層61、白金層62、イリジウム層63が混合及び拡散して合金化(特に白金層62の再
結晶化)された第1電極60となる。
【0044】
次に、図6(a)に示すように、圧電体層70上に亘って、例えば、イリジウム(Ir
)からなる第2電極80を形成する。本実施形態では、50nmの厚さの第2電極80を
形成した。
【0045】
次に、図6(b)に示すように、第2電極80及び圧電体層70を同時にエッチングす
ることにより各圧力発生室12に対応する領域に圧電素子300を形成する。ここで、第
2電極80及び圧電体層70のエッチングは、例えば、反応性イオンエッチングやイオン
ミリング等のドライエッチングが挙げられる。
【0046】
次に、図6(c)に示すように、流路形成基板用ウェハー110の全面に亘って金(A
u)からなるリード電極90を形成後、各圧電素子300毎にパターニングする。
【0047】
次に、図7(a)に示すように、保護基板用ウェハー130を、流路形成基板用ウェハ
ー110上に接着剤35を介して接着する。ここで、この保護基板用ウェハー130は、
保護基板30が複数一体的に形成されたものであり、保護基板用ウェハー130には、リ
ザーバー部31及び圧電素子保持部32が予め形成されている。保護基板用ウェハー13
0を接合することによって流路形成基板用ウェハー110の剛性は著しく向上することに
なる。
【0048】
次いで、図7(b)に示すように、流路形成基板用ウェハー110を所定の厚みに薄く
する。
【0049】
次いで、図7(c)に示すように、流路形成基板用ウェハー110上にマスク52を新
たに形成し、所定形状にパターニングする。そして、図8に示すように、流路形成基板用
ウェハー110をマスク52を介してKOH等のアルカリ溶液を用いた異方性エッチング
(ウェットエッチング)することにより、圧電素子300に対応する圧力発生室12、連
通部13、インク供給路14及び連通路15等を形成する。
【0050】
本実施形態では、圧力発生室12が特許請求の範囲に記載の凹部となる。すなわち、本
実施形態の凹部は、流路形成基板10(流路形成基板用ウェハー110)を厚さ方向に貫
通した圧力発生室12であるが、凹部は特にこれに限定されず、例えば、ノズル開口21
側に開口する厚さ方向に貫通しないものであってもよく、また、圧電素子300側に開口
する(実際には弾性膜50等で塞がれた)、厚さ方向に貫通しないものであってもよい。
【0051】
次に、図9に示すように、圧電素子300の第2電極80を除去する。第2電極80の
除去方法としては、例えば、王水や、濃塩酸の塩素酸ナトリウム溶液を用いて除去するこ
とができる。ちなみに、ドライエッチングでも第2電極80を除去することもできるが、
圧電体層70の一部も除去されて、第2電極80除去後の圧電体層70の内部応力が変化
する可能性があるため、好ましくない。
【0052】
なお、本実施形態では、流路形成基板用ウェハー110に保護基板用ウェハー130を
接合した後、凹部である圧力発生室12を形成しているため、第2電極80の除去は、保
護基板用ウェハー130を除去した後に行われる。もちろん、保護基板用ウェハー130
を接合することなく、圧電素子300を保護した状態で、圧力発生室12を形成すれば、
保護基板用ウェハー130を除去する必要はない。
【0053】
そして、第2電極80を除去した圧電体層70の反り量を測定する。圧電体層70の反
り量とは、圧電体層70が圧力発生室12側に向かって下に凸となるように反っているか
(ここでは例えばプラス方向)、圧電体層70が圧力発生室12とは反対側に向かった上
に凸、すなわち、圧力発生室12側が凹となるように沿っているか(マイナス方向)のこ
とであり、圧電体層70の第2電極80が設けられていた側の表面を測定する。
【0054】
例えば、図10(a)に示すように、第2電極80が設けられた状態で、圧電素子30
0がマイナス(−)方向に反っている場合、第2電極80を除去した際に、図10(b)
に示すように、圧電体層70が同じマイナス(−)方向に反っていれば、以下に挙げる2
つの理由から低い変位低下率を有する圧電素子300であると評価することができる。
【0055】
1つ目の理由として、第2電極80が設けられていない状態で、第2電極80以外の層
(すなわち、圧電体層70)が本来マイナス方向に反っている場合、第2電極80を設け
ても、同じマイナス方向に反っていることから、圧電体層70等への第2電極80による
拘束力(内部応力)が低いことが挙げられる。このように、圧電体層70等への拘束力(
内部応力)が低ければ、圧電素子300を駆動しているうちに内部に結晶欠陥が増加する
ことがなく、圧電素子300の繰り返し駆動による変位低下率が低く、安定した変位と評
価することができる。
【0056】
これに対して、例えば、図10(c)に示すように、第2電極80が設けられていない
状態で、第2電極80以外の層が本来プラス方向に反っているにも拘わらず、図10(a
)に示すように、第2電極80を設けることで逆のマイナス方向に反っている場合がある
。この場合には、圧電体層70等には第1電極80によって逆向きの大きな拘束力(内部
応力)がかかっていることになる。したがって、圧電体層70等への拘束力(内部応力)
が高ければ、圧電素子300を駆動しているうちに内部に結晶欠陥が増加して、圧電素子
300の繰り返し駆動による変位低下が大きくなり、安定した変位を得ることができない
と評価することができる。
【0057】
なお、この理由は、圧電素子300の初期変位量についても言える。すなわち、第2電
極80が圧電体層70等に大きな拘束力を与えていれば、圧電素子300の初期変位量も
低くなる。これに対して、第2電極80が圧電体層70等に小さな拘束力を与えているの
みであれば、圧電素子300の初期変位量を高くすることができる。
【0058】
また、本実施形態の圧電素子300は、圧力発生室12側に凸、すなわち、プラス方向
に凸となるように駆動するものであるが、例えば、圧電素子300が圧力発生室12とは
反対側に凸(マイナス方向)となるように駆動する場合であっても、同様の理由が言える

【0059】
2つ目の理由として、本実施形態の圧電素子300は、上述のように圧力発生室12側
に凸、すなわち、プラス方向に凸となるように駆動することから、繰り返し駆動を行うと
残留分極の増大によって徐々にプラス方向に凸状に変形したまま戻らなくなることが挙げ
られる。すなわち、図10(b)に示すように、第2電極80を除去した圧電体層70が
初期状態でマイナス方向に凸となるように変形していると、繰り返し駆動によってプラス
方向に凸となるように徐々に変形状態が維持されることになるが(へたり)、マイナス方
向からプラス方向へと圧電素子300がへたるバッファーが大きく、繰り返し駆動による
変位低下率は低い。
【0060】
これに対して、図10(c)に示すように、第2電極80を除去した圧電体層70等が
初期状態でプラス方向に凸となるように変形していると、繰り返し駆動によってさらにプ
ラス方向に変位した状態が維持されることになり(へたり)、圧電素子300のへたるバ
ッファーが少なく、さらにへたりによって拘束力も増大する方向に働くため、繰り返し駆
動による変位低下率が高くなってしまう。
【0061】
ちなみに、2つ目の理由は、本実施形態のように、圧電素子300を圧力発生室12側
に凸となるように変形させる、薄膜型の圧電素子300特有のものである。
【0062】
なお、圧電体層70の反り量の測定は、例えば、接触式、非接触式の測定器で測定する
ことができる。接触式の測定器としては、例えば、触針で圧電体層70の表面(第1電極
60とは反対側の面)をスキャンする触針式表面形状測定器(Dektak6M;株式会
社アルバック社製)やそれと同等の機能を有するものなどを用いることができる。また、
非接触式の測定装置としては、例えば、レーザ光の照射及び反射光を取得して測定するレ
ーザプローブ方式を用いた非接触三次元測定装置(NH−3N〜6N、NH−3SP:三
鷹光器株式会社製)やそれと同等の機能を有するものなどを用いることができる。
【0063】
なお、このようなインクジェット式記録ヘッドIの評価は、例えば、同一の製造条件で
形成した複数のインクジェット式記録ヘッドIで構成されるロットから一つのインクジェ
ット式記録ヘッドIを抜き取って行えばよい。同一ロットでは、複数のインクジェット式
記録ヘッドIが同一の製造条件で製造されることから、抜き取り評価を行うことで、他の
破壊していないインクジェット式記録ヘッドIの圧電特性を把握することができる。
【0064】
ここで、異なる製造条件で形成した複数のロットに対して、各ロットから抜き出したイ
ンクジェット式記録ヘッドIの評価を行った。また、各ロットで評価していない(破壊し
ていない)インクジェット式記録ヘッドIに対して、ポーリング処理(45V、20分)
を行った後、5ピコリットルのパルス駆動を190億回行った後に、圧電素子300の変
位量の低下率を測定した。これらの結果を図11に示す。
【0065】
図11に示すように、圧電体層70がマイナス側に反っていたインクジェット式記録ヘ
ッドIと同じ製造条件で形成したインクジェット式記録ヘッドIは、変位低下率(劣化率
%)が低くなったのに対し、圧電体層70がプラス側に反っていたインクジェット式記録
ヘッドIと同じ製造条件で形成したインクジェット式記録ヘッドIは、変位低下率(劣化
率%)が高い。
【0066】
この結果から、第2電極80を除去した際に、圧電体層70が圧力発生室12とは反対
側に凸(マイナス側)となるように変形していた方が、繰り返し駆動による変位低下率を
低減することができ、繰り返し駆動を行っても安定した変位量を得ることができると評価
することができる。すなわち、上記2つの理由が立証できた。
【0067】
また、圧電素子300を評価することによって、変位量の低下率が低いものを選択する
ことができる。したがって、エージング工程が不要となるか、又はエージング工程が必要
になったとしても、その時間を短縮することができる。もちろん、変位量の低下率が高い
ものに関しては、従来と同様に長時間のエージング工程を行うようにしてもよい。
【0068】
ちなみに、第2電極80を除去した後の圧電体層70等の反りは、圧電素子300や振
動板を構成する膜の製造条件によって変化するものである。それは、製造条件の些細な違
いによって変化するものである。同材料からなる膜であっても、この製造条件の違いによ
って、膜が持つ特性が変化するためであると思われる。したがって、圧電素子300の評
価を行うことにより、圧電素子300や振動板を構成する膜の製造条件にフィードバック
をかけて、所望の圧電素子300を形成することができる。
【0069】
また、圧電体層70等の反りは、流路形成基板10の拘束力によっても影響を受けるも
のである。したがって、本実施形態のように、凹部である圧力発生室12を形成した後に
、圧電体層70の反り量を測定することで、実際の製品と同じ条件(同じ流路形成基板1
0による拘束力)で評価することができ、高精度な評価を行うことができる。
【0070】
また、このような評価を行うことで、加速試験やエージング工程に比べて短時間で評価
することができる。また、加速試験とは異なり、微少な電圧誤差や周波数の誤差、環境の
微小な差異などによって評価にばらつきが生じることがないため、非統計的に評価するこ
とができる。すなわち、本実施形態の評価方法であれば、高精度、短時間、非統計的に評
価することができるため、製造コストの低減、製造時間の短縮、不良品率の低下を実現で
きる。そして、本実施形態で製造した条件の圧電体層70のみに当該評価方法は適用でき
るのではなく、製造条件や膜厚が本実施形態と異なっていても、当該評価方法を適用でき
る。
【0071】
その後、流路形成基板用ウェハー110表面のマスク52を除去し、流路形成基板用ウ
ェハー110及び保護基板用ウェハー130の外周縁部の不要部分を、例えば、ダイシン
グ等により切断することによって除去する。そして、流路形成基板用ウェハー110の保
護基板用ウェハー130とは反対側の面にノズル開口21が穿設されたノズルプレート2
0を接合すると共に、保護基板用ウェハー130にコンプライアンス基板40を接合し、
流路形成基板用ウェハー110等を図1に示すような一つのチップサイズの流路形成基板
10等に分割することによって、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドとする。この
ようなノズルプレート20の接合や、チップサイズへの分割等の工程は、評価を行う前に
行ってもよく、また、評価を行った後にこれらの工程を行う場合には、評価していないイ
ンクジェット式記録ヘッドIにのみ行えばよい。
【0072】
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定
されるものではない。例えば、上述した実施形態1では、インクの吐出に用いる圧電素子
300の第2電極80を除去して反り量を測定するようにしたが、特にこれに限定されず
、例えば、インクの吐出に用いないテスト用の圧電素子を形成し、このテスト用圧電素子
の反り量を測定するようにしてもよい。例えば、テスト用圧電素子を保護基板30の圧電
素子保持部32の外側に設けるようにすれば、インクジェット式記録ヘッドIの完成後で
あってもテスト用圧電素子の第2電極80を除去し、圧電体層70の反り量を測定するこ
とができる。また、テスト用圧電素子を設ける位置に関係なく、テスト用圧電素子の反り
量を測定することによって、インク吐出用の圧電素子を破壊しなくても評価することがで
きるため、評価後にインクジェット式記録ヘッドIとして利用することができる。
【0073】
また、上述した実施形態1では、凹部である圧力発生室12を形成した後に、圧電素子
300の第2電極80を除去して、圧電体層70の反り量を測定するようにしたが、特に
これに限定されず、例えば、凹部である圧力発生室12を形成する前に第2電極80を除
去して圧電体層70の反り量を測定してもよい。
【0074】
さらに、例えば、上述した実施形態1では、流路形成基板10としてシリコン単結晶基
板を例示したが、特にこれに限定されず、例えば、結晶面方位が(100)面、(110
)面等のシリコン単結晶基板を用いるようにしてもよく、また、SOI基板、ガラス等の
材料を用いるようにしてもよい。
【0075】
また、これらのインクジェット式記録ヘッドIは、インクカートリッジ等と連通するイ
ンク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に
搭載される。図12は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。
【0076】
図12に示すインクジェット式記録装置IIにおいて、インクジェット式記録ヘッドI
を有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、インク供給手段を構成するカートリッジ2
A及び2Bが着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャ
リッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられて
いる。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物
及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。
【0077】
そして、駆動モーター6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を
介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキ
ャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5
に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラーなどにより給紙された紙
等の記録媒体である記録シートSがプラテン8に巻き掛けられて搬送されるようになって
いる。
【0078】
また、上述した実施形態1では、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘ
ッドを挙げて説明したが、本発明は広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、イ
ンク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにも勿論適用することができる。その他の液体
噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッ
ド、液晶ディスプレー等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機E
Lディスプレー、FED(電界放出ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴
射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
【0079】
さらに、本発明は、インクジェット式記録ヘッドに代表される液体噴射ヘッドに搭載さ
れるアクチュエーター装置に限られず、他の装置に搭載されるアクチュエーター装置にも
適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】実施形態1に係る記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図である。
【図2】実施形態1に係る記録ヘッドの平面図及び断面図である。
【図3】実施形態1に係る記録ヘッドの評価方法を示す断面図である。
【図4】実施形態1に係る記録ヘッドの評価方法を示す断面図である。
【図5】実施形態1に係る記録ヘッドの評価方法を示す断面図である。
【図6】実施形態1に係る記録ヘッドの評価方法を示す断面図である。
【図7】実施形態1に係る記録ヘッドの評価方法を示す断面図である。
【図8】実施形態1に係る記録ヘッドの評価方法を示す断面図である。
【図9】実施形態1に係る記録ヘッドの評価方法を示す断面図である。
【図10】実施形態1に係る記録ヘッドの評価方法を示す断面図である。
【図11】実施形態1に係る記録ヘッドの評価結果を示すグラフである。
【図12】一実施形態に係る記録装置の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0081】
I インクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、 I1 インクジェット式記録
装置、 I0 流路形成基板(基板)、 12 圧力発生室(凹部)、 13 連通部、
14 インク供給路、 15 連通路、 20 ノズルプレート、 21 ノズル開口
、 30 保護基板、 31 リザーバー部、 40 コンプライアンス基板、 50
弾性膜、 55 絶縁体膜、 60 第1電極、 70 圧電体層、 80 第2電極、
90 リード電極、 100 リザーバー、 120 駆動回路、 300 圧電素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズル開口に連通する流路となる凹部が形成された流路形成基板と、
該凹部の上方に形成された第1電極、該第1電極上に形成された圧電体層、及び該圧電
体層の前記第1電極とは反対側に形成された第2電極からなる圧電素子と、を具備する液
体噴射ヘッドの評価方法であって、
前記凹部が形成される前の前記流路形成基板に前記圧電素子を形成する工程と、
前記流路形成基板に前記凹部を形成する工程と、
前記流路形成基板に前記圧電素子を形成した後に前記第2電極を除去する工程と、
前記第2電極を除去した前記圧電体層の反り量を測定する工程と、を具備することを特
徴とする液体噴射ヘッドの評価方法。
【請求項2】
前記第2電極を除去する工程を、前記流路形成基板に前記凹部を形成する工程の後に行
うことを特徴とする請求項1記載の液体噴射ヘッドの評価方法。
【請求項3】
前記圧電体層の反り量を測定する工程の後に、前記圧電素子を駆動するエージング工程
をさらに有することを特徴とする請求項1又は2記載の液体噴射ヘッド。
【請求項4】
基板に設けられた凹部と、
該凹部の上方に形成された第1電極、該第1電極上に形成された圧電体層、及び該圧電
体層の前記第1電極とは反対側に形成された第2電極からなる圧電素子と、を具備するア
クチュエーター装置の評価方法であって、
前記凹部が形成される前の前記基板に前記圧電素子を形成する工程と、
前記基板に前記凹部を形成する工程と、
前記基板に前記圧電素子を形成した後に前記第2電極を除去する工程と、
前記第2電極を除去した前記圧電体層の反り量を測定する工程と、を具備することを特
徴とするアクチュエータ装置の評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−143169(P2010−143169A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−325111(P2008−325111)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】