説明

液体噴射ヘッド及び液体噴射装置

【課題】液体噴射ヘッドの液体強制吸引によるメンテナンスにおいて、流路内に存在する気泡の排出を容易にする液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供する。
【解決手段】第2供給路22の端部23が、曲がり部13の端部14に比べ、下流側方向にずれていることによって、曲がり部13付近では、流れによるよどみ部が発生しないため、第1供給路1の天井付近等の流路内にある気泡が流れやすくなり、第1供給路1内の気泡をノズル開口から排出できる。特に、インク強制吸引によるメンテナンスの際に気泡が流れやすくなり、ヘッド100から気泡を好適に排出できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射ヘッド及び液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体噴射ヘッドの代表例として、例えば圧電素子の変位により圧力発生室内のインクに作用する圧力変動を利用してノズル開口からインク滴を吐出するインク噴射ヘッドが知られている。
インク噴射ヘッドでは、圧電素子や発熱素子等の圧力発生手段を駆動させ、圧力発生室内のインクに圧力変動を生じさせることにより、インクが充填されたインクカートリッジ等の液体供給源から供給されるインクをノズル開口から吐出させる。
また、この種のインク噴射ヘッドでは、インクカートリッジ等を交換する際に供給路内に気泡が混入しやすく、インクを吐出できなくなる恐れがある。そのため、この種のインク噴射ヘッドでは、インクをノズル開口側から強制的に吸引するメンテナンスによって、供給路内の気泡を除去している。
【0003】
この種のインク噴射ヘッドには、インクカートリッジ等の液体供給源からインク噴射ヘッド本体への供給路を、第1部材と第2部材とを接合することによって形成するものがある。こうしたインク噴射ヘッドでは、第1部材には、第1部材と第2部材が接合されることによって供給路の一部を構成する、断面が半円筒状の溝が設けられており、第2部材には第1部材の溝を封止して、この溝とともに供給路を形成する封止面である底面部が設けられている。第1部材に形成された溝の接合面側の開口を第2部材の底面部で封止することにより、供給流路を構成する第1供給路が形成される構造になっている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、インク噴射ヘッドの第1部材に、第1部材の溝に沿う流れを第2部材に向かう流れに屈曲させる曲がり部を形成し、第2部材には第1供給路の曲がり部に連通する第2供給路を形成し、第1部材と第2部材とを接合した状態で第1供給路の曲がり部と第2供給路とを連通するように構成したものがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−183230号公報
【特許文献2】特開2004−216914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載された液体噴射ヘッドでは、第1部材と第2部材とが接合する面において、第1部材が有する第1供給路の天井(以下、天井とは、重力方向と反対方向の壁をいう)とつながる曲がり部の端部の壁面より、第1供給路の曲がり部の端部に対応する第2部材が有する第2供給路の壁面が、上流側にせりだすようにずれて配置されている。これにより、第1供給路の曲がり部の端部の壁面と第2供給路の壁面との接合面において、第1供給路から第2供給路に向かって流路断面積が減少する段差が形成される構造となっている。こうした構造の流路において、浮力によって第1供給路の天井付近に集まった気泡が天井に沿って流れていくため、第1供給路の天井からつながる曲がり部の端部付近の流れは、段差によって流れのよどみが発生し、液体を強制的に吸引するメンテナンスにより気泡の除去を困難にする恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、曲がり部の端部における流れのよどみがより生じにくい供給路形状とすることにより、効果的に気泡の除去を行える液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供することを目的とする。
【0008】
[適用例1]
本適用例に係る液体噴射ヘッドは、圧力発生手段によりノズル開口から液体を噴射する液体噴射ヘッド本体と、前記液体噴射ヘッド本体に液体を供給する液体供給路を有する流路部材とを備える液体噴射ヘッドであって、前記流路部材は、第1溝が形成された第1部材と、前記第1溝の開口部分の一部を封止し、前記液体供給路の一部となる第1供給路を形成する第2部材とを有し、前記第1溝の下流側の一端には、前記第1溝に沿う液体の流れを前記第2部材に向かう方向に屈曲させる曲がり部が形成されており、前記第2部材には、前記曲がり部に連通する第2供給路が形成されており、前記第2供給路の前記第1供給路の下流側にある壁面が、前記曲がり部の前記第1供給路の下流側にある壁面より前記第1供給路の下流側にずれていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
ここで、下流側とは、液体供給路に供給された液体の流れが、液体噴射ヘッド本体に向かう方向の側をいう。
【0009】
本適用例によれば、曲がり部の第1供給路の下流側にある壁面より、第2供給路の下流側にある壁面が第1供給路の下流方向にずれているため、第1供給路の流れが、曲がり部に沿って第2供給路へと流れる際に、流れを阻害する段差がない。したがって、流れのよどみを発生させずに液体を流すことができ、液体噴射ヘッドで行われている液体強制吸引によるメンテナンスの際に気泡が流れやすくなり、気泡を好適に排出できる液体噴射ヘッドが得られる。
【0010】
[適用例2]
上記適用例において、前記第1溝の形状は、前記第1部材と前記第2部材との接合面に対して凹形状であり、前記接合面に対して垂直方向の前記第1溝の深さが、前記接合面に対して水平方向の前記第1溝の幅の半分以下である曲面を有していることを特徴とする液体噴射ヘッド。
【0011】
この構成によれば、第1溝の形状は接合面に対して凹形状、すなわち第1供給路の天井が凸形状であることによって、液体中に存在する気泡が浮力によって、天井に集まる。このため、天井付近の流れを曲がり部で上述のように制御するだけで気泡排出性を良くすることができる。また、天井の高さを幅の半分以下にすることによって、第1供給路の天井と接合面との距離が小さくなるため、天井付近の流れの速度を大きくすることができ、液体の強制吸引によるメンテナンスの際に、天井付近の気泡を排出するのに有利である。
【0012】
[適用例3]
上記適用例において、前記第2供給路の下流側にある壁面を、前記曲がり部の下流側にある壁面より前記第1供給路の下流側にずらした量を、前記第1部材、前記第2部材間の取り付け位置のばらつき量より大きくしたことを特徴とする液体噴射ヘッド。
【0013】
この構成によれば、第1部材と第2部材との取り付け位置にばらつきがあっても、曲がり部の第1供給路の下流側にある壁面より、第2供給路の下流側にある壁面が第1供給路の下流方向にずれるため、液体噴射ヘッドから気泡を好適に排出できる。
【0014】
[適用例4]
上記適用例において、前記第1部材の前記第1溝の開口部分の一部は、前記第2部材に形成された第2溝により封止されていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
【0015】
この構成によれば、第2部材に形成された第2溝により第1溝の開口部分を封止するので、第1供給路の断面積がより大きくなり、流路抵抗が低減する。したがって、気泡の排出をより好適に行うことができる。
【0016】
[適用例5]
本適用例に係る液体噴射装置は、圧力発生手段によりノズル開口から液体を噴射する液体噴射ヘッド本体と、前記液体噴射ヘッド本体に液体を供給する液体供給路を有する流路部材とを備える液体噴射装置であって、前記流路部材は、第1溝が形成された第1部材と、前記第1溝の開口部分の一部を封止し、前記液体供給路の一部となる第1供給路を形成する第2部材とを有し、前記第1溝の下流側の一端には、前記第1溝に沿う液体の流れを前記第2部材に向かう方向に屈曲させる曲がり部が形成されており、前記第2部材には、前記曲がり部に連通する第2供給路が形成されており、前記第2供給路の前記第1供給路の下流側にある壁面が、前記曲がり部の前記第1供給路の下流側にある壁面より前記第1供給路の下流側にずれていることを特徴とする液体噴射装置。
【0017】
本適用例によれば、流れのよどみを発生させずに液体を流すことができるので、液体噴射ヘッドから気泡を好適に排出できる液体噴射装置がえられる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態に係るインクジェット式記録装置の概略斜視図。
【図2】(a)はヘッドの概略断面図、(b)は(a)におけるA−A概略断面図。
【図3】ヘッド本体の構成を説明する要部断面図。
【図4】比較例の構造を示す断面図。
【図5】変形例にかかる流路断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、実施形態に係る液体噴射ヘッド及び液体噴射装置について、図面に基づいて詳しく説明する。
図1は、実施形態に係る液体噴射装置としてのインクジェット式記録装置Iの概略斜視図である。重力方向とは逆方向をZ軸として示した。
図1において、インクジェット式記録装置Iは、液体噴射ヘッドとしてのインクジェット式記録ヘッド(以下、ヘッドという)100を有している。ヘッド100は、液体供給源としてのインクカートリッジ102が搭載されるキャリッジ103に固定されている。キャリッジ103は上部に開放する箱型をなし、記録紙Sと対面する面(下面)にヘッド100のノズル面が露呈するよう取り付けられると共に、インクカートリッジ102が収容されるようになっている。そして、このインクカートリッジ102からのインクがヘッド100に供給される。
【0020】
キャリッジ103はタイミングベルト104を介してステッピングモーター105に接続され、記録紙Sの紙幅方向(主走査方向)に往復移動するようになっている。これにより、キャリッジ103を移動させながら記録紙Sの上面にインク滴を吐出させて記録紙Sに画像や文字をドットマトリックスにより印刷するようになっている。
【0021】
なお、図1の例では、キャリッジ103にインクカートリッジ102が収容される例を挙げて説明したが、インクカートリッジ102がキャリッジ103とは別の場所に収容され、供給管を介してインクがヘッド100の流路形成部材に圧送される構成のインクジェット式記録装置であっても本発明を適用することが可能である。
【0022】
図2(a)にヘッド100の概略断面図を、(b)に(a)におけるA−A概略断面図を示した。図3には、ヘッド本体2の構成を説明する要部断面図を示した。
ヘッド100は、図1に示したインクカートリッジ102からインクを導入するための液体供給路としてのインク供給路200が形成された流路部材210と、インク供給路200からのインクが供給されるヘッド本体2とを備える。図2(a)中にインクの流れる方向を白抜き矢印で示した。インクは、インクカートリッジ102を上流とし、ヘッド本体2を下流として、上流から下流に流れる。
【0023】
図2(a)に示すように、インク供給路200は、ヘッド本体2とインクが貯留されたインクカートリッジ102との間に設けられて、インクカートリッジ102からヘッド本体2にインクを供給するインク流路の一部を構成するものである。
【0024】
次に、インク供給路200が形成された流路部材210の構成について説明する。
流路部材210では、インク供給路200の一部である第1供給路1を形成する第1溝11を有する第1部材10と、第1溝11の開口部の一部を封止する平面状の封止面21を有する第2部材20とを有する。第1部材10と第2部材20とが、接着剤等によって接合面211で接合され、第1部材10の第1溝11が第2部材20の封止面21に封止されることによって、インク流路の一部である第1供給路1が形成される。
【0025】
また、第1部材10において、インクカートリッジ102とインク流路によって接続され、インクの流入する端に対して他端側となる第1溝11の端部12には、第1溝11に沿うインクの流れを第2部材20に向かう方向に屈曲させる曲がり部13が形成されている。第2部材20には、曲がり部13に連通する第2供給路22が形成されており、第1部材10と第2部材20とが接着剤等で接合された状態で、第1供給路1の曲がり部13に第2供給路22が連結して、インクカートリッジ102からヘッド本体2に至るインク供給路200が形成される。
【0026】
図2(b)において、第1部材10に設けられた第1溝11の形状は、第2部材20の封止面21及び接合面211に対して凹形状を有し、第1溝11の深さDは、第1溝11の幅Lの半分以下となる曲面を有している。
【0027】
ここで、第1部材10及び第2部材20の接合面211において、第2供給路22のうち第1供給路1の下流側端部に位置する第2供給路の端部23にある壁面220が、第1供給路1の下流側端部に位置する第1供給路1の曲がり部の端部14にある壁面140に比べ、第1供給路1の下流側方向にずれて配置されるように接合されている。そして、第2供給路の端部23を、第1供給路1の曲がり部の端部14より第1供給路1の下流側方向にずらしたときのずらし量mとしては、第1部材10と第2部材20とを接合する際に想定される取り付け位置のばらつきより大きくしている。
【0028】
ヘッド本体2は、ケース30、振動子ユニット31、及び流路ユニット32等を備えている。ケース30の内部には振動子ユニット31を収納するための収納空部33が形成されている。振動子ユニット31は、圧力発生手段の一種として機能する圧電振動子28と、この圧電振動子28が接合される固定板35と、圧電振動子28に駆動信号を供給するためのフレキシブルケーブル36とを備えている。この圧電振動子28は、圧電体層と電極層とを交互に積層した圧電板を櫛歯状に切り分けることで作製された積層型であって、積層方向(電界方向)に直交する方向に伸縮可能(電界横効果型)な縦振動モードの圧電振動子である。
【0029】
流路ユニット32は、流路形成基板37の一方の面にノズルプレート38を、流路形成基板37の他方の面に振動板39をそれぞれ接合して構成されている。この流路ユニット32には、共通液室40(リザーバー又はマニホールドとも言う。)、インク供給路41(供給路の一種)、圧力室42、ノズル連通口43、及びノズル開口44が設けられている。そして、流路形成基板37には、インク供給路41から圧力室42及びノズル連通口43を経てノズル開口44に至る一連のインク流路が、各ノズル開口44に対応して複数形成されている。
【0030】
ノズルプレート38(ノズル形成部材の一種)は、ドット形成密度に対応したピッチ(例えば180dpi)で複数のノズル開口44が列状に開設された板状部材であり、実施形態ではステンレス鋼により作製されている。このノズルプレート38には、ノズル開口44を列設してノズル列(ノズル群)が複数設けられており、1つのノズル列は、例えば180個のノズル開口44によって構成される。
【0031】
振動板39は、支持板45の表面に可撓性を有する弾性体膜46を積層した二重構造である。実施形態では、ステンレス板を支持板45とし、この支持板45の表面に樹脂フィルムが弾性体膜46としてラミネートされた複合板材により振動板39が作製されている。この振動板39には、圧力室42の容積を変化させるダイヤフラム部47が設けられている。また、この振動板39には、共通液室40の一部を封止するコンプライアンス部48が設けられている。
【0032】
ダイヤフラム部47は、エッチング加工等によって支持板45を部分的に除去することで作製される。即ち、このダイヤフラム部47は、圧電振動子28の自由端部の先端面が接合される島部49と、この島部49を囲む薄肉弾性部50とから成る。コンプライアンス部48は、共通液室40の開口面に対向する領域の支持板45がエッチング加工等によって除去されることにより作製される。このコンプライアンス部48は、共通液室40に貯留されたインクの圧力変動を吸収するダンパーとして機能する。
【0033】
そして、島部49には圧電振動子28の先端面が接合されているので、この圧電振動子28の自由端部が伸縮することで圧力室42の容積が変動する。この容積変動に伴って圧力室42内のインクに圧力変動が生じる。そして、ヘッド本体2は、この圧力変動を利用してノズル開口44からインク滴を噴射させる。
【0034】
(比較例)
実施形態の比較例として、図4に第2供給路の端部23にある壁面220が、曲がり部の端部14にある壁面140に比べ、上流側に配置させるように接合された場合の流路構造を示す。これによると、インク強制吸引によるメンテナンスによってインク供給路200に流れが発生した場合には、曲がり部13付近においてよどみ部15が発生してしまう。第1供給路1の天井16付近に集まっている気泡が流れによってよどみ部15に流入すると、停滞してしまい、ノズル開口44から気泡を排出できない。
【0035】
一方、実施形態では第2供給路の端部23が、曲がり部の端部14に比べ、下流側方向にずれていることによって、曲がり部13付近では、流れによるよどみ部15が発生しないため、第1供給路1の天井16付近等の流路内にある気泡が流れやすくなり、第1供給路1内の気泡をノズル開口44から排出できる。特に、インク強制吸引によるメンテナンスの際に気泡が流れやすくなり、ヘッド100から気泡を好適に排出できる。
【0036】
また、上述したように第1部材10に設けられた第1溝11の形状は、第1部材10と第2部材20の接合面211に対して凹形状であり、第1溝11の深さDは、第1溝11の幅Lの半分以下となる曲面を有している。したがって、第1供給路1の天井16と封止面21及び接合面211との距離が小さくなるため、天井16付近の流れの速度を大きくすることができ、インク強制吸引によるメンテナンスの際に、天井16付近の気泡を排出するのに有利である。
【0037】
なお、第2供給路の端部23を、第1供給路1の曲がり部の端部14より第1供給路の下流側方向にずらしたときのずらし量mとしては、第1部材10と第2部材20とを接合する際に想定される取り付け位置のばらつきより大きくした。これにより、第1部材10と第2部材20とを接合する際に、第1部材10、第2部材20間の取り付け位置がばらついたとしても、第2供給路の端部23の壁面220が第1供給路1の曲がり部の端部14の壁面140より、第1供給路の下流側方向にずれて配置された状態となる。したがって、第1部材10、第2部材20間の取り付け位置のばらつきに関わらずに、図4に示したよどみ部15の発生を確実に抑制できる。
【0038】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良などを加えることが可能である。変形例を以下に述べる。
【0039】
(変形例)
実施形態では、図2(b)に示す第1供給路1の断面形状となるように第2部材20の封止面21の形状を平面としているが、封止する部分の形状は平面でなくてもよい。たとえば、第1供給路1の断面形状が図5(a)、図5(b)に示すように、第2部材20に第2溝24,25を設け、第2溝24,25により第1部材10の第1溝11を封止し、第1溝11と第2溝24,25によって第1供給路1を構成するようにしてもよい。
【0040】
この場合、第2溝24,25を有することによって、第1供給路1の断面積を大きくすることができるため、流路抵抗の低減が可能となる。
【0041】
上記実施形態では、圧力発生手段として、所謂縦振動型の圧電振動子28を例示したが、これには限られず、例えば、所謂撓み振動型の圧電振動子を採用することも可能である。
【0042】
そして、本発明は、上記実施形態で例示した記録ヘッド及びこれを搭載したプリンターには限られず、液晶や電極材などの他の液体を噴射する場合にも好適である。共通液室から供給路を通じて圧力室に液体が導入され、圧力発生手段によって圧力室内の液体に圧力変動を生じさせ、この圧力振動を利用してノズル開口から液体を噴射する液体噴射装置であれば、プリンターに限らず、プロッター、ファクシミリ装置、コピー機等、各種のインクジェット式記録装置や、記録装置以外の液体噴射装置、例えば、ディスプレイ製造装置、電極製造装置、チップ製造装置等の他の機器にも適用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1…第1供給路、2…ヘッド本体、10…第1部材、11…第1溝、12…端部、13…曲がり部、14…曲がり部の端部、15…よどみ部、16…天井、20…第2部材、21…封止面、22…第2供給路、23…第2供給路の端部、24,25…第2溝、28…圧電振動子、30…ケース、31…振動子ユニット、32…流路ユニット、33…収納空部、35…固定板、36…フレキシブルケーブル、37…流路形成基板、38…ノズルプレート、39…振動板、40…共通液室、41…インク供給路、42…圧力室、43…ノズル連通口、44…ノズル開口、45…支持板、46…弾性体膜、47…ダイヤフラム部、48…コンプライアンス部、49…島部、50…薄肉弾性部、100…ヘッド、102…インクカートリッジ、103…キャリッジ、104…タイミングベルト、105…ステッピングモーター、140…壁面、200…インク供給路、210…流路部材、211…接合面、220…壁面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力発生手段によりノズル開口から液体を噴射する液体噴射ヘッド本体と、前記液体噴射ヘッド本体に液体を供給する液体供給路を有する流路部材とを備える液体噴射ヘッドであって、
前記流路部材は、
第1溝が形成された第1部材と、
前記第1溝の開口部分の一部を封止し、前記液体供給路の一部となる第1供給路を形成する第2部材とを有し、
前記第1溝の下流側の一端には、前記第1溝に沿う液体の流れを前記第2部材に向かう方向に屈曲させる曲がり部が形成されており、
前記第2部材には、前記曲がり部に連通する第2供給路が形成されており、
前記第2供給路の前記第1供給路の下流側にある壁面が、前記曲がり部の前記第1供給路の下流側にある壁面より前記第1供給路の下流側にずれている
ことを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項2】
請求項1に記載の液体噴射ヘッドにおいて、
前記第1溝の形状は、前記第1部材と前記第2部材との接合面に対して凹形状であり、前記接合面に対して垂直方向の前記第1溝の深さが、前記接合面に対して水平方向の前記第1溝の幅の半分以下である曲面を有している
ことを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の液体噴射ヘッドにおいて、
前記第2供給路の下流側にある壁面を、前記曲がり部の下流側にある壁面より前記第1供給路の下流側にずらした量を、前記第1部材、前記第2部材間の取り付け位置のばらつき量より大きくした
ことを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッドにおいて、
前記第1部材の前記第1溝の開口部分の一部は、前記第2部材に形成された第2溝により封止されている
ことを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項5】
圧力発生手段によりノズル開口から液体を噴射する液体噴射ヘッド本体と、前記液体噴射ヘッド本体に液体を供給する液体供給路を有する流路部材とを備える液体噴射装置であって、
前記流路部材は、第1溝が形成された第1部材と、前記第1溝の開口部分の一部を封止し、前記液体供給路の一部となる第1供給路を形成する第2部材とを有し、
前記第1溝の下流側の一端には、前記第1溝に沿う液体の流れを前記第2部材に向かう方向に屈曲させる曲がり部が形成されており、
前記第2部材には、前記曲がり部に連通する第2供給路が形成されており、
前記第2供給路の前記第1供給路の下流側にある壁面が、前記曲がり部の前記第1供給路の下流側にある壁面より前記第1供給路の下流側にずれている
ことを特徴とする液体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−224052(P2012−224052A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95866(P2011−95866)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】