説明

液体噴射ヘッド

【課題】フィルタ室内の気泡の排出効率を向上させることにより、クリーニング動作の実行回数を低減して液体の消費を抑制することが可能な液体噴射ヘッドを提供する。
【解決手段】インク流路の途中に該インク流路における他の部分よりも大径であって、インク流路内のインクを濾過するためのフィルタ19を内部に配設したフィルタ室20を形成し、フィルタ室20は、フィルタ19よりも上流側の内壁に、液体に対する静的接触角がフィルタ19よりも下流側の内壁よりも大きい撥液領域44をフィルタ19の近傍に形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット式記録ヘッド等の液体噴射ヘッドに係り、特に、液体貯留部材に貯留された液体を液体流路を介して圧力室に導入し、この圧力室内に導入した液体をノズル開口から液滴として吐出する液体噴射ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
圧力室内の液体に圧力変動を生じさせることでノズル開口から液滴として吐出させる液体噴射ヘッドとしては、例えば、インクジェット式記録装置(以下、単にプリンタという)等の画像記録装置に用いられるインクジェット式記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドという)、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材噴射ヘッド、バイオチップ(生物化学素子)の製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等がある。
【0003】
例えば、上記の記録ヘッドでは、液体状のインクを封入した液体貯留部材としてのインクカートリッジに、液体導入針の一種であるインク導入針を挿入することで、このインク導入針の先端側に開設された導入孔を通じてインクカートリッジ内のインクを記録ヘッドの圧力室側に導入している。また、プリンタ本体側に配置したインクカートリッジと記録ヘッドのインク導入針とをインクチューブで連結し、ポンプ等によってインクカートリッジ内のインクを記録ヘッド内に送り込む構成のものも提案されている。
【0004】
上記構成の記録ヘッドでは、インク導入針から記録ヘッドのノズル開口までに至るインク流路(液体流路)がインクで満たされている状態が理想的であるが、記録ヘッド内へのインクの充填(初期充填)等でインク流路内に気泡が入りこむことを完全に防止することは困難である。インク流路内に入り込んだ気泡は、時間の経過と共に成長して大きくなってゆき、過度に成長した気泡がインクの流れによってインク流路の途中に配置されたフィルタ室内のフィルタを通過して圧力室側に移動すると、吐出動作時の圧力変動を気泡が吸収することによる圧力損失や、気泡が流路を塞ぐことによるインクの供給不足等の不具合を招く虞がある。
【0005】
このような気泡による不具合を防止するための方法として、インク流路内に気泡がなるべく残留しないように気泡排出効率を高めることが挙げられる。この方法として、インク導入針のフィルタ近傍(フィルタ取付け部材)の内周面に気泡誘導溝を設け、この気泡誘導溝によってインク流路内の気泡を下流側へと積極的に誘導する構成が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0006】
【特許文献1】特開平11−078046号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の構成では、インク導入針の内部(フィルタ室)で気泡が成長して大きくなった場合、インクや気泡を強制的に排出するためのクリーニング動作を行っても、フィルタ室の内壁と気泡との間をインクが容易に通ってしまうために、気泡を十分に排出できず、残った気泡が直ぐに成長して大きくなってしまっていた。そのため、クリーニング動作を頻繁に行う必要があった。その結果、インクが無駄に消費されてしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、フィルタ室内の気泡の排出効率を向上させることにより、クリーニング動作の実行回数を低減して液体の消費を抑制することが可能な液体噴射ヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、液体貯留部材からの液体を液体流路を通じて圧力室に導入し、圧力発生手段の作動によって圧力室内の液体をノズル開口から液滴として吐出可能な液体噴射ヘッドであって、
前記液体流路の途中に該液体流路における他の部分よりも大径であって、液体流路内の液体を濾過するためのフィルタを内部に配設したフィルタ室を形成し、
前記フィルタ室は、前記フィルタよりも上流側の内壁に、液体に対する静的接触角が前記フィルタよりも下流側の内壁よりも大きい撥液領域を前記フィルタの近傍に形成したことを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、フィルタ室が、フィルタよりも上流側の内壁に、液体に対する静的接触角がフィルタよりも下流側の内壁よりも大きい撥液領域をフィルタの近傍に形成したので、液体流路内の液体や気泡を強制的にノズル開口から排出させるクリーニング動作時に、フィルタ室の気泡を撥液領域に付着させることができ、これにより、フィルタ室の内壁と気泡との間を液体が通り難くなって、気泡がフィルタ上面に覆い被さり、一時的に液体流路を閉鎖することができる。この結果、気泡の上流側と下流側とで圧力差ができて、一回のクリーニング動作において、従来よりも多くの気泡を排出することができるだけでなく、消費するインク量を低減することができる。
また、一回のクリーニング動作で従来よりも多くの気泡を排出することができるので、クリーニング動作終了時にフィルタ室に滞留するこの残気泡を、従来に比べて小さくすることができる。即ち、フィルタ室内の残気泡が不具合を発生する虞のある許容気泡量に到達するまでの時間を、従来と比べて大幅に長くすることができる。その結果、クリーニング動作の実行頻度を低減することができる。これにより、クリーニング動作に伴う液体の消費をさらに抑えることができる。
【0011】
上記構成において、前記フィルタ室のフィルタよりも上流側の内壁を、前記フィルタの近傍に形成された撥液領域と、該撥液領域よりも上流側に配置され、液体に対する静的接触角が該撥液領域よりも小さい非撥液領域とに区分することが望ましい。
【0012】
この構成によれば、フィルタ室のフィルタよりも上流側の内壁を、フィルタの近傍に形成された撥液領域と、該撥液領域よりも上流側に配置され、液体に対する静的接触角が該撥液領域よりも小さい非撥液領域とに区分したので、フィルタ近傍にのみ気泡が付着し易くなる一方、フィルタから遠く離れたフィルタ室の内壁に気泡が付着し難くすることができ、フィルタ室内の残気泡の気泡量が増大することを防止することができる。したがって、残気泡の気泡量が許容気泡量に達するまでの時間が短くなることを防止し、クリーニング動作の実行頻度が多くなることを防止することができる。
【0013】
また、上記各構成において、前記フィルタ室は、前記圧力室よりも上流側であって、最も圧力室寄りに形成されたフィルタ室であることが望ましい。
【0014】
また、上記各構成において、液体貯留部材からの液体を液体導入孔から液体流路内に導入する液体導入針を備え、
前記フィルタ室が、前記液体導入針の下流側に隣接した液体流路内に形成されたことが望ましい。
【0015】
上記各構成において、前記フィルタ室が、同一の液体流路内に複数形成されたフィルタ室の中で、最も容積が小さいフィルタ室であることが望ましい。
若しくは、前記フィルタ室が、前記液体流路内に形成された全てのフィルタ室であることが望ましい。
【0016】
上記各構成において、前記フィルタ室のフィルタが、前記液体流路内の液体から、外寸の最大値が5〜16μmの大きさの異物を除去可能としたことが望ましい。
この構成によれば、フィルタの流路抵抗を小さくするだけでなく、フィルタ室内に滞留する気泡の排出効率を高めることができる。
【0017】
上記各構成において、撥液領域は、撥液剤を塗布することにより形成されることが望ましい。
【0018】
上記各構成において、撥液領域は、成膜により形成されることが望ましい。
【0019】
上記各構成において、撥液領域は、蒸着により形成されることが望ましい。
【0020】
上記各構成において、撥液領域は、撥液材料を用いることにより形成されることが望ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、本実施形態では、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッド(以下、記録ヘッド)を例に挙げて説明する。
【0022】
まず、記録ヘッドを搭載するインクジェット式記録装置(液体噴射装置の一種。以下、プリンタという。)の概略構成について、図1を参照して説明する。例示したプリンタ1は、記録紙等の記録媒体(吐出対象物)2の表面へ液体状のインクを吐出して画像等の記録を行う装置である。このプリンタ1は、記録ヘッド3と、この記録ヘッド3が取り付けられるキャリッジ4と、このキャリッジ4を主走査方向に往復移動させるキャリッジ移動機構5と、記録媒体2を副走査方向(主走査方向に直交する方向)に移送する紙送り機構6等を備えている。ここで、上記のインクは、本発明における液体の一種であり、インクカートリッジ7(液体貯留部材の一種)に貯留されている。このインクカートリッジ7は、記録ヘッド3に対して着脱可能に装着される。
【0023】
上記のキャリッジ移動機構5はタイミングベルト8を備えている。そして、このタイミングベルト8はDCモータ等のパルスモータ9により駆動される。従って、パルスモータ9が作動すると、キャリッジ4は、プリンタ1に架設されたガイドロッド10に案内されて、主走査方向(記録紙2の幅方向)に往復移動する。
【0024】
プリンタ1の非記録領域であるホームポジションには、キャッピング機構12が配設されている。キャッピング機構12は、記録ヘッド3のノズル形成面に当接し得るトレイ状のキャップ部材12´を有する。このキャッピング機構12では、キャップ部材12´内の空間が封止空部として機能し、この封止空部内に記録ヘッド3のノズル開口14(図5参照)を臨ませた状態でノズル形成面に密着可能に構成されている。また、このキャッピング機構12には、ポンプユニット13が接続されており、このポンプユニット13の作動によって封止空部内を負圧化することができる。そして、ノズル形成面への密着状態でポンプユニット13を作動し、封止空部(密閉空間)内を負圧化すると、ノズル開口14から記録ヘッド3内のインクや気泡が吸引されてキャップ部材12´の封止空部内に排出されるようになっている。つまり、このキャッピング機構12は、記録ヘッド3内(インク流路内)のインクや気泡を強制的に吸引排出するクリーニング動作を行う構成となっている。このクリーニング動作については、後で詳述する。
【0025】
次に、記録ヘッド3の構成について説明する。ここで、図2は記録ヘッド3の概略斜視図、図3は記録ヘッド3の平面図、図4は記録ヘッド3の断面図、図5は記録ヘッドの要部断面図である。例示した記録ヘッド3は、導入針ユニット15、ヘッドケース16、流路ユニット17、及び、振動子ユニット18等から概略構成されている。
【0026】
導入針ユニット15は、例えば合成樹脂によって作製されており、図3に示すように、その上面には複数のカートリッジ装着部15´が設けられている。各カートリッジ装着部15´には、フィルタ19を内部に配置したフィルタ室20と、該フィルタ室20の上方(上流側)に連続して形成され、先端を上方に突出させたインク導入針21(本発明における液体導入針に相当)で構成された導入針本体22が、それぞれ取り付けられている。また、これらのカートリッジ装着部15´には、各種インクを貯留したインクカートリッジ7が装着される。カートリッジ装着部15´にインクカートリッジ7を装着すると、インク導入針21がインクカートリッジ7の内部に挿入される。これにより、カートリッジ内部のインク貯留空間と記録ヘッド3内部のインク流路とが、インク導入針21の尖端部23に開設されたインク導入孔24(図6参照)を通じて連通し、カートリッジ内部に貯留されているインクがインク導入孔24を通じて記録ヘッド3内に導入される。なお、インクカートリッジ7としては、本実施形態のようにキャリッジ4に装着するタイプには限らず、プリンタ1の筐体側に装着されてインク供給チューブを通じて記録ヘッド3側にインクを供給するタイプを採用することも可能である。
【0027】
上記カートリッジ装着部15´とは反対側となる導入針ユニット15の下面とヘッドケース16の上面との間には、図2に示すように、回路基板25が取り付けられる。この回路基板25は、例えば圧電振動子26(図5参照)へ駆動信号を供給するための回路パターンや、プリンタ1本体側との接続のためのコネクタ等を備えている。そして、この回路基板25は、パッキンとして機能するシート部材27を介して導入針ユニット15に取り付けられる。
【0028】
ヘッドケース16は、圧電振動子26を有する振動子ユニット18を収容するための中空箱体状の部材である。このヘッドケース16の内部には、振動子ユニット18を収容可能な収容空部28(図5参照)が形成されている。そして、振動子ユニット18は、この収容空部28内に収容され、収容空部28の内壁面に接着等によって固定されている。そして、ヘッドケース16の導入針ユニット15の取付面とは反対側の先端面には、流路ユニット17が接着剤等により固定されている。この流路ユニット17は、流路形成基板29を間に挟んでノズルプレート30を流路形成基板29の一方の面側に配置し、振動板31をノズルプレート30とは反対側となる他方の面側に配置して積層した状態で接着剤等で接合して一体化することにより作製されている。
【0029】
ノズルプレート30は、例えばステンレス製の薄板から作製された部材であり、このノズルプレート30には、プリンタ1のドット形成密度に対応したピッチで微細なノズル開口14が列状に形成されている。ヘッドカバー32は、例えば金属製の薄板部材によって作製されており、ノズルプレート30の外側からその周縁部を包囲するようにヘッドケース16の先端部に取り付けられる。このヘッドカバー32は、流路ユニット17やヘッドケース16の先端部を保護すると共に、ノズルプレート30の帯電を防止する機能を有する。
【0030】
ノズルプレート30に接合される流路形成基板29は、共通インク室33となる空部、インク供給口34となる溝部、及び、圧力室35となる空部を隔壁で区画した状態で各ノズル開口14に対応させて複数形成した板状の部材である。この流路形成基板29は、例えば、シリコンウェハーをエッチング処理することによって作製される。上記の圧力室35は、ノズル開口14の列設方向(ノズル列方向)に対して直交する方向に細長い室として形成されている。また、共通インク室33は、ヘッドケース16の高さ方向を貫通して形成されたヘッド流路37(液体流路の一種:ヘッド側インク流路)を介して導入針本体22のインク導入路38(液体流路の一種:導入針本体22側インク流路。図5,6参照)と連通し、インクカートリッジ7に貯留されたインクが導入される室である。そして、この共通インク室33に導入されたインクは、インク供給口34を通じて各圧力室35に供給される。
【0031】
流路形成基板29におけるノズルプレート30とは反対側となる他方の面側に接合される振動板31は、ステンレス鋼等の金属製の支持板上に弾性フィルムをラミネート加工した二重構造の複合板材である。この振動板31の圧力室35に対応する部分には、圧電振動子26の自由端部の先端を接合するための島部40が形成されており、この部分がダイヤフラム部として機能する。また、振動板31は、共通インク室33となる空部の一方の開口面を封止し、コンプライアンス部としても機能する。このコンプライアンス部として機能する部分については弾性フィルムだけにしている。
【0032】
上記の振動子ユニット18は、図5に示すように、圧力発生手段としての圧電振動子群41と、この圧電振動子群41が接合される固定板42と、圧電振動子群41に回路基板25からの駆動信号を供給するためのフレキシブルケーブル(図示せず)等から構成される。本実施形態の圧電振動子群41は、櫛歯状に列設された複数の圧電振動子26を備える。各圧電振動子26は、固定端部が固定板42上に接合され、自由端部が固定板42の先端面よりも外側に突出している。即ち、各圧電振動子26は、所謂片持ち梁の状態で固定板42上に取り付けられている。また、各圧電振動子26を支持する固定板42は、例えば厚さ1mm程度のステンレス鋼によって構成されている。なお、圧力発生手段としては、上記圧電振動子以外にも、静電アクチュエータ、磁歪素子、発熱素子等を用いることができる。
【0033】
この記録ヘッド3は、圧電振動子26を素子長手方向に伸縮させると、島部40が圧力室35に近接する方向或いは離隔する方向に移動する。これにより、圧力室35の容積が変化し、圧力室35内のインクに圧力変動が生じる。この圧力変動によってノズル開口14からインク滴(液滴の一種)が吐出される。
【0034】
次に、導入針本体22の構成について説明する。
図6は、本実施形態における導入針本体22の構成を示す針長手方向の断面図であり、図7はフィルタ室20内の気泡を排出するクリーニング動作を説明する模式図である。この導入針本体22は、内部空間をインク導入路38(液体流路の一種)とした中空針状の部材であり、インク導入針21と該インク導入針21の下端(インク導入路38の下流側)に連続して形成されたフィルタ室20とにより概略構成され、フィルタ室20はインク流路(液体流路)の他の部分よりも大径となっている。
【0035】
インク導入針21は、上記インクカートリッジ7内に挿入される中空円筒状の部材であり、その先端部分には、先細り形状に形成された円錐形状の尖端部23が形成されている。この尖端部23には、インク導入針21の外部とインク導入路38とを連通するインク導入孔24が複数開設されている。即ち、上記したように、インク導入針21をインクカートリッジ7の内部に挿入すると、当該カートリッジ内のインクをインク導入孔24を通じてインク導入路38内に導入することができる。なお、本実施形態においては、インク導入孔24を尖端部23に開設した構成を例示したが、例えば、尖端部23よりも下流側のインク導入針21の側面にインク導入孔24を開設する構成を採用することもできる。
【0036】
上記のフィルタ室20は、図6に示すように、上記インク導入針21の下流側に隣接したインク導入路38の途中に円盤状のフィルタ19を介在して形成され、フィルタ19よりも上流側に位置し、上流(上端開口)側から下流側に向けて次第に拡径する上部フィルタ室20aと、フィルタ19よりも下流側に位置し、上流(上端開口)側から下流(下端開口)側に向けて次第に縮径する下部フィルタ室20bとで構成される。そして、この下部フィルタ室20bは、フィルタ19側の上端開口の内径から次第に縮径した下端最小径部分(下端開口)にヘッド流路37が連続して形成されている。即ち、フィルタ室20は、共通インク室33(圧力室35)に連通するヘッド流路37の上流側であって、インク導入針21側のインク導入路38やヘッド流路37等の他のインク流路(液体流路)よりも大径となっている。そして、上部フィルタ室20aの上端開口の面積は、インク導入針21の下端開口の面積に揃える一方、下端開口の面積はその直下に配置されたフィルタ19の有効濾過面積(フィルタ19においてインクが実際に通過可能な領域の面積)に揃えてある。また、下部フィルタ室20bの上端開口の面積は、その直上に配置されたフィルタ19の有効濾過面積に揃える一方、下端開口の面積はヘッド流路37の上端開口の面積に揃えてある。したがって、このフィルタ室20は、インク導入針21側からのインクや気泡を、フィルタ19を介してヘッド流路38側に向けて円滑に流すことができるように構成されている。なお、本実施形態においては、下流側で共通インク室33や圧力室35に連通するヘッド流路37の途中にフィルタ室を配置していないため、上記の撥液領域44が形成されたフィルタ室20は、ヘッド流路37(圧力室35)の上流側であって、同一のインク流路内に形成されたフィルタ室の中で、最も下流側、即ち圧力室35寄りに形成されたフィルタ室である。また、インクカートリッジ7等の液体貯留部材をプリンタ1の筐体側に設け、このインクカートリッジ7からインク供給チューブを通してインクを記録ヘッド3側に供給するタイプの場合、インクカートリッジ7から記録ヘッド3のノズル開口14に至る一連のインク流路(液体流路)の途中にフィルタ室を複数設けることがある。この様なタイプにおいても、最も圧力室寄りに形成されたフィルタ室の内壁に撥液領域44を形成する。
【0037】
このフィルタ室20の内部に配設したフィルタ19は、インク流路(液体流路)内のインクを濾過する機能を有し、他のインク流路の断面の面積よりも有効濾過積を大きくすることで、インク流路の流路抵抗を小さくしている。また、本実施形態では、フィルタ19の微細通過孔の大きさを、インク流路内のインクから外寸の最大値が5〜16μmの大きさの異物を除去可能とすることで、フィルタ19の流路抵抗を小さくするだけでなく、インク流路(フィルタ室20)内に滞留する気泡の排出効率を高めている。
【0038】
上記導入針本体22は、フィルタ室20の上部フィルタ室20aの下端開口をフィルタ19に対向させる状態で、例えば超音波溶着によって導入針ユニット15に取り付けられる。これにより、上部フィルタ室20aの下端開口と下部フィルタ室20bの上端開口とがフィルタ19を介して液密状態で連通する。即ち、導入針本体22のインク導入路38とヘッドケース16側のヘッド流路37とが液密状態で連通する。このインク導入路38とヘッド流路37は、本発明における液体流路として機能する。
【0039】
ところで、インクカートリッジ7に導入針本体22のインク導入針21を挿抜する際などに、空気がインク導入路38(インク流路)内に入り込むことがある。そして、フィルタ室20内では、細かい気泡同士が結合して次第に大きな気泡A(図7(a)参照)に成長する。本実施形態においては、気泡Aを、その下部がフィルタ19に到達する程度の大きさ、若しくはフィルタ室20を閉鎖しない程度の大きさ(以下、これらの気泡の大きさを許容気泡量という)に達するまでは、通常の記録動作時(インク滴の吐出動作時)のインク流の流速においてフィルタ19を通過して圧力室側に移動させることなく、気泡に作用する浮力によってフィルタ19よりも上方(上流側)に浮かせた状態で、フィルタ室20の上部フィルタ室20a内に収容・保持することができる。また、上記プリンタ1では、定期的にキャッピング機構12を用いてクリーニング動作を行うことで、フィルタ室20内に収容した気泡Aが不具合を発生する大きさ、即ち、許容気泡量になる前に排出するようになっている。以下、記録ヘッド3のインク流路内のインクや気泡を強制的に排出させるためのクリーニング動作について説明する。
【0040】
このクリーニング動作では、図7に示すように、キャップ部材12´をノズル形成面に密着させた状態でポンプユニット13を作動させて通常の記録動作時の数倍の流速のインク流をインク流路(インク導入路38)内に生じさせ、フィルタ室20内の気泡Aをこのインク流に乗せることで、フィルタ19の上面(上流側)に押し付けて通過させて下流側に移動させ、フィルタ19の下流側の一連のインク流路を通ってノズル開口14からヘッド外部に排出する。そして、クリーニング動作が終了すると、クリーニング動作時にフィルタ19を通過せずに残った気泡が、残気泡Bとなってフィルタ室20の上部フィルタ室20aに浮遊することになる(同図(d)参照)。また、このクリーニング動作時のポンプユニット13の吸引条件(吸引力,吸引時間)は、気泡の排出性を考慮した条件に設定される。このクリーニング動作を実行することによって、フィルタ室20内の気泡Aが成長して不具合を起こす大きさになることを阻止する観点から、このクリーニング動作を実行するタイミングは、気泡Aがフィルタ室20の上部フィルタ室20aの内壁に接触する程度の大きさから、フィルタ19に接触する手前の大きさ(即ち、許容気泡量)に成長するまでの間に設定することが望ましい。なお、本実施形態では、クリーニング動作時のインク流により気泡Aがフィルタ19に押し付けられるので、この気泡Aによってインク流路(インク導入路38)が閉塞される。このインク流路の閉塞状態は、クリーニング動作時に、気泡Aを排出し易くするために意図的に生じさせる。この点の詳細については後述する。
【0041】
ここで、本実施形態におけるフィルタ室20は、図6に示すように、フィルタ19よりも上流側の上部フィルタ室20aの内壁に、インク(液体)に対する静的接触角がフィルタ19よりも下流側の下部フィルタ室20bの内壁よりも大きい撥液領域44を、フィルタ19の近傍に環状に形成している。具体的には、この上部フィルタ室20aの内壁は、フィルタ19の近傍、即ち、フィルタ19と上部壁との境界から上流側に一定の幅でフィルタ19を囲むように形成された撥液領域44と、該撥液領域44よりも上流側に配置され、インク(液体)に対する静的接触角が撥液領域44よりも小さい非撥液領域45とに区分されている。即ち、上部フィルタ室20aの内壁における撥液領域44以外の領域を非撥液領域45としている。なお、この「フィルタ19の近傍」とは、フィルタ19と接触する状態、若しくはフィルタ19と僅かに隙間が空いた状態を意味する。また、本実施形態の撥液領域44は、インクの濡れを発生しない状態、即ち、インクを弾き気体(気泡)を付着する状態、例えば、純水に対する静的接触角100〜115°とし、非撥液領域45は、インクの濡れが発生する状態、例えば、純水に対する静的接触角60〜75°としている。さらに、本実施形態の撥液領域44以外のインク流路は、インクに対する静的接触角を非撥液領域45と同等、若しくはそれより低い値にしている。これは、インク流路内のインクの濡れをよくすることで、インク流路内に気泡が付着して不具合を発生することを可及的に防止するためである。
【0042】
このように、フィルタ室20の上部フィルタ室20aの内壁に、インクに対する静的接触角がフィルタ19よりも下流側の下部フィルタ室20bの内壁よりも大きい撥液領域44を形成すると、図7に示すように、クリーニング動作時に、インク流によってフィルタ19の上面(上流側)に押し付けられて広がった気泡Aが、フィルタ19の周囲を囲むように形成された撥液領域44に付着する。これは、撥液領域44のインクに対する静的接触角を他の領域(下部フィルタ室20bの内壁や非撥液領域45)よりも大きくする(濡れ性を低くする)ことで、撥液領域44にインクを退けて気泡等の気体を付着させる付着力を発生させたためである。したがって、フィルタ室20の内壁と気泡Aとの間をインクが通り難くなって、扁平になった気泡Aがフィルタ19の周囲の撥液領域44に付着した状態でフィルタ19上面に覆い被さり、一時的にインク流路を閉鎖することができる(同図(b)参照)。これにより、この気泡A(フィルタ19)を境として上流側と下流側とで圧力差を生じさせることができる。即ち、フィルタ19よりも下流側の圧力を、上流側の圧力よりも一時的に低くすることができる。そして、一定以上の圧力差となったとき、この圧力差を利用して気泡Aを勢いよく下流側に流すことができる(同図(c))。これにより、気泡Aがフィルタ19を通過し易くなるので、従来よりも短時間で効率良く気泡Aを排出することが可能となる。このことから、一回のクリーニング動作において、従来よりも多くの気泡を排出することができるだけでなく、消費するインク量を低減することができる。
【0043】
ここで、このような構成においては、この圧力差を利用して気泡Aをフィルタ19を介して下流側に引き込んで排出しても、気泡Aが全て排出されるわけではなく、残った気泡が残気泡Bとなってフィルタ室20の上部フィルタ室20aに滞留することになる。これは、フィルタ19の上面を覆った気泡Aが排出されて高さ方向の厚みと横方向の幅が次第に減少してゆき、気泡Aの周縁が撥液領域44から離れて隙間を作ってしまい、この隙間によってフィルタ19をほぼ完全に覆う(フィルタ19の有効濾過面積の90〜100%を覆う状態)状態にすることができなくなることで、気泡Aの周縁からインクが下流に流れ込み、フィルタ19の上流側と下流側との圧力差が一定の値以下に低下して、気泡Aを下流側に引き込むことができなくなるからである(図7(c))。しかも、気泡Aが撥液領域44から離れることで気泡Aに働く浮力に対する抗力(撥液領域44に依る付着力)を失うだけでなく、気泡Aの容積が小さくなることで気泡Aに作用するインク流の押さえ力が小さくなるので、気泡Aがフィルタ19の上面に維持されなくなり、浮力によって浮き上がって上部フィルタ室20aに浮遊する残気泡Bとなる(図7(d)参照)。
【0044】
そこで、本実施形態では、上記のように構成することで、一回のクリーニング動作で従来よりも多くの気泡を排出することができるので、クリーニング動作終了時にフィルタ室20に滞留するこの残気泡Bを、従来に比べて小さくすることができる。本実施形態では、例えば、従来の残気泡が約30mmであるのに対し、その1/6となる約5mmまで小さくできることを実験により確認している。この実験結果からフィルタ室20内の残気泡Bが許容気泡量、例えば、40mmまで成長する時間を、従来では40−30=10mm分成長する時間となるのに対し、本実施形態においては、40−5=35mm分成長する時間とすることができる。即ち、フィルタ室20内の残気泡Bが許容気泡量に到達するまでの時間を、従来と比べて約3.5倍長くすることができる。このことから、クリーニング動作を行う間隔を大きく設定することが可能となる。その結果、クリーニング動作の実行頻度を低減することができ、これにより、クリーニング動作に伴うインクの消費をさらに抑えることができる。
【0045】
また、本実施形態における上部フィルタ室20aの内壁は、フィルタ19の近傍に形成された撥液領域44と、該撥液領域44よりも上流側に配置され、インクに対する静的接触角が撥液領域44よりも小さい非撥液領域45とに区分され、この撥液領域44を、例えば、上部フィルタ室20aの下端開口から上端開口までの距離(上部フィルタ室20aの高さ)の1/3からフィルタまでの範囲に設定している。このように範囲を設定して非撥液領域45、即ち、上部フィルタ室20aの上流側(上方)の内壁のインクの濡れ性を高めて、上部フィルタ室20aの上方(上流側)の内壁に小さな気泡が付着し難くするためである。これは、上部フィルタ室20aの上方の内壁に小さな気泡が付着すると、クリーニング動作によりインク流路の流速を高めても、この気泡をフィルタ19側に押し付けることができず、排出できなくなるからである。この場合、上部フィルタ室20a内に付着した気泡と浮遊する残気泡Bとを合わせたものが、実質的な残気泡の気泡量となるので、フィルタ室20内の残気泡の気泡量が多くなってしまう。この結果、クリーニング動作の実行頻度を増やすことになってしまう。即ち、上部フィルタ室20aの内壁を、フィルタ19の近傍に形成された撥液領域44と、その上流側に形成された非撥液領域45とに区分することで、フィルタ19近傍にのみ気泡が付着し易くなる一方、フィルタ19から遠く離れた上部フィルタ室20aの内壁に気泡が付着し難くすることができ、フィルタ室内の残気泡の気泡量が増大することを防止することができる。したがって、残気泡の気泡量が許容気泡量に達するまでの時間が短くなることを防止し、クリーニング動作の実行頻度が多くなることを可及的に防止することができる。なお、上述した撥液領域44の範囲は、実験により定めたものであるが、本発明はこの範囲に限られない。即ち、フィルタ19の流路抵抗、有効濾過面積やフィルタ室20の形状(高さ、上端開口の内径、下端開口の内径)、クリーニング動作時のインク流の流速等の条件により、適宜設定することができる。要は、クリーニング動作時に、フィルタ19に押し付けられた気泡が撥液領域44に付着してインク流路を閉鎖することができ、且つ、このフィルタ19に押し付けられた気泡が付着しない領域まで撥液領域44を上流側に拡大せず、撥液領域44によって余計な残気泡を付着させないように撥液領域44を設定することができればよい。
【0046】
本実施形態における撥液領域44は、上部フィルタ室20aの壁面に、例えば、フッ素シリコン等を主成分とする撥液剤を塗布することで形成することができる。また、例えば、金属アルコキシド等を用いた成膜により撥液領域44を形成してもよい。また、蒸着により撥液領域44を形成してもよい。さらに、撥液領域44を、例えば、フッ素系樹脂、シリコン樹脂等で製作した別部材を、上部フィルタ室20aの内壁に用いることで形成してもよい。要は、撥液領域44が、フィルタ室20の上部フィルタ室20aの内壁に、インクに対する静的接触角がフィルタ19よりも下流側の下部フィルタ室20bの内壁よりも大きくなるように形成することができればよく、上述した方法に限られず、どのような方法を用いて形成してもよい。
【0047】
次に、上記フィルタ室についての他の実施形態について説明する。
上記の実施形態では、導入針本体22におけるインク導入針21の下流側に隣接したインク流路(インク導入路38)内であって、同一のインク流路内に複数形成したフィルタ室の中で最も下流側(圧力室35の近く)に形成されたフィルタ室20の例を示したが、本発明はこれに限られない。例えば、上記記録ヘッド3における同一のインク流路内に複数形成されたフィルタ室の中で、最も容積が小さいフィルタ室に適用してもよい。これは、容積が小さいフィルタ室では、許容気泡量も小さくなるため、上述した要に気泡排出の効率の向上が必要となるためである。そして、上記記録ヘッド3におけるインク流路内に形成された全てのフィルタ室に適用することが望ましい。
【0048】
以上は、液体噴射ヘッドの一種である記録ヘッド3を例に挙げて説明したが、本発明は、液体導入針を有する他の液体噴射ヘッドにも適用することができる。例えば、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材噴射ヘッド、バイオチップ(生物化学素子)の製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等にも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】プリンタの構成を説明する斜視図である。
【図2】記録ヘッドの構成を説明する分解斜視図である。
【図3】記録ヘッドの構成を説明する平面図である。
【図4】記録ヘッドの内部構造を説明する断面図である。
【図5】記録ヘッドの内部構造を説明する部分断面図である。
【図6】導入針本体の構成を説明する断面図。
【図7】(a)〜(d)は、他の実施形態におけるクリーニング動作を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1…プリンタ,2…記録媒体,3…記録ヘッド,4…キャリッジ,5…キャリッジ移動機構,6…紙送り機構,7…インクカートリッジ,8…タイミングベルト,9…パルスモータ,10…ガイドロッド,12…キャッピング機構,12´…キャップ部材,13…ポンプユニット,14…ノズル開口26,15…導入針ユニット,15´…カートリッジ装着部,16…ヘッドケース,17…流路ユニット,18…振動子ユニット,19…フィルタ,20…フィルタ室,20a…上部フィルタ室,20b…下部フィルタ室,21…インク導入針,22…導入針本体,23…尖端部,24…インク導入孔,25…回路基板,26…圧電振動子,27…シート部材,28…収容空部,29…流路形成基板,30…ノズルプレート,31…振動板,32…ヘッドカバー,33…共通インク室,34…インク供給口,35…圧力室,37…ヘッド流路,38…インク導入路,40…島部,41…圧電振動子群,42…固定板,44…撥液領域,45…非撥液領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体貯留部材からの液体を液体流路を通じて圧力室に導入し、圧力発生手段の作動によって圧力室内の液体をノズル開口から液滴として吐出可能な液体噴射ヘッドであって、
前記液体流路の途中に該液体流路における他の部分よりも大径であって、液体流路内の液体を濾過するためのフィルタを内部に配設したフィルタ室を形成し、
前記フィルタ室は、前記フィルタよりも上流側の内壁に、液体に対する静的接触角が前記フィルタよりも下流側の内壁よりも大きい撥液領域を前記フィルタの近傍に形成したことを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項2】
前記フィルタ室のフィルタよりも上流側の内壁は、前記フィルタの近傍に形成された撥液領域と、該撥液領域よりも上流側に配置され、液体に対する静的接触角が該撥液領域よりも小さい非撥液領域とに区分されたことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項3】
前記フィルタ室は、前記圧力室よりも上流側であって、最も圧力室寄りに形成されたフィルタ室であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項4】
前記液体貯留部材からの液体を液体導入孔から液体流路内に導入する液体導入針を備え、
前記フィルタ室は、前記液体導入針の下流側に隣接した液体流路内に形成されたことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の液体噴射ヘッド。
【請求項5】
前記フィルタ室は、同一の液体流路内に複数形成されたフィルタ室の中で、最も容積が小さいフィルタ室であることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の液体噴射ヘッド。
【請求項6】
前記フィルタ室は、前記液体流路内に形成された全てのフィルタ室であることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の液体噴射ヘッド。
【請求項7】
前記フィルタ室のフィルタは、前記液体流路内の液体から、外寸の最大値が5〜16μmの大きさの異物を除去可能としたことを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の液体噴射ヘッド。
【請求項8】
前記撥液領域は、撥液剤を塗布することにより形成されたことを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の液体噴射ヘッド。
【請求項9】
前記撥液領域は、成膜により形成されたことを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の液体噴射ヘッド。
【請求項10】
前記撥液領域は、蒸着により形成されたことを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の液体噴射ヘッド。
【請求項11】
前記撥液領域は、撥液材料を用いることにより形成されたことを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の液体噴射ヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−68463(P2008−68463A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−247662(P2006−247662)
【出願日】平成18年9月13日(2006.9.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】