説明

液体噴射装置、その制御方法

【課題】液体噴射装置において液体の噴射特性を制御する新規な技術を提供する。
【解決手段】噴射口と、液体を前記噴射口から噴射するポンプと、音を検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された音の特徴を判定する判定手段と、前記音の特徴に応じて液体の噴射特性が変化するように前記噴射口及び前記ポンプのうちの少なくとも一方を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする液体噴射装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体噴射装置及びその制御方法に関し、特に、液体噴射装置において液体の噴射特性を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ユーザによる操作に従って水などの液体を噴射する、液体噴射装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に開示されている水鉄砲は、ユーザが引き金を引く(操作する)と、水を噴射する。また、ユーザはノズルユニットを回転させることにより、噴射される水の直径を大きくしたり小さくしたりすることができる。
【特許文献1】実開昭57−132996号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている水鉄砲は、ユーザの手による操作に従って水を大小の直径で噴射するだけである。即ち、従来の液体噴射装置では、液体を噴射させる機構が比較的単純であるため、液体を噴射させることによりユーザが経験する楽しみは比較的限られていた。
【0005】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、液体噴射装置において液体の噴射特性を制御する新規な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、第1の本発明は、噴射口と、液体を前記噴射口から噴射するポンプと、音を検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された音の特徴を判定する判定手段と、前記音の特徴に応じて液体の噴射特性が変化するように前記噴射口及び前記ポンプのうちの少なくとも一方を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする液体噴射装置を提供する。
【0007】
また、第2の本発明は、噴射口と、液体を前記噴射口から噴射するポンプと、を備える液体噴射装置の制御方法であって、音を検出する検出工程と、前記検出工程において検出された音の特徴を判定する判定工程と、前記音の特徴に応じて液体の噴射特性が変化するように前記噴射口及び前記ポンプのうちの少なくとも一方を制御する制御工程と、を備えることを特徴とする制御方法を提供する。
【0008】
なお、その他の本発明の特徴は、添付図面及び以下の発明を実施するための最良の形態における記載によって更に明らかになるものである。
【発明の効果】
【0009】
以上の構成により、本発明によれば、液体噴射装置において液体の噴射特性を制御する新規な技術を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下で説明される個別の実施形態は、本発明の上位概念から下位概念までの種々の概念を理解するために役立つであろう。
【0011】
なお、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって確定されるのであって、以下の個別の実施形態によって限定されるわけではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせすべてが、本発明に必須とは限らない。
【実施例】
【0012】
図1は、本発明の実施例に係る液体噴射装置100の外観を示す概略図である。液体噴射装置100は、ノズル(噴射口)102と、マイクユニット104と、タンク106と、電源スイッチ108と、安全スイッチ110と、取っ手112と、制御ユニット200とを備える。液体噴射装置100はまた、タンク106から液体(本実施例では、水とする)を汲み上げてノズル102から噴射するポンプ114を備える。
【0013】
ノズル102は、矢印A又は矢印Bで示される方向に回転することにより、ここを通過する水の形状を変化させることができる。例えば、ノズル102は、矢印Aで示される方向に回転された状態では水を直線状に形成し、矢印Bで示される方向に回転された状態では水を霧状に形成するように構成される。また、矢印Aの方向から矢印Bの方向へ向かう中間に位置する場合、ノズル102は、水をシャワー状に形成することができる。
【0014】
本実施例の液体噴射装置100の構成要素の一部として、市販の製品を使用することができる。例えば、松下電器産業のBH−566−Rが備えるノズル、タンク、及びポンプを、液体噴射装置100のノズル102、タンク106、及びポンプ114として使用することができる。
【0015】
なお、安全スイッチ110は取っ手112の背後に位置し、ポンプ114は制御ユニット200の内部に収容されているため、これらは図1には表れない。
【0016】
図2は、制御ユニット200の構成を示す機能ブロック図である。制御ユニット200は、マイコン202と、電源ユニット204と、ポンプ制御ユニット206と、ノズル制御ユニット208とを含む。
【0017】
マイコン202は、マイクユニット104から入力された音(音声信号)に基づき、ポンプ制御ユニット206及びノズル制御ユニット208を制御する。マイコン202は、安全スイッチ110が押下されている場合にのみポンプ制御ユニット206及びノズル制御ユニット208に電力を供給する。従って、意図せずして水が噴射されたりノズル102が回転したりする危険性が低減される。
【0018】
電源ユニット204は、電源スイッチ108がONにセットされている場合に、マイコン202に電力を供給する。
【0019】
ポンプ制御ユニット206は、モータドライバ210とモータ212とを備える。ポンプ制御ユニット206は、マイコン202から供給される電力を用いてモータドライバ210がポンプ114に接続されているモータ212を駆動することにより、ポンプ114を制御する。マイコン202は、PWM変調によりモータドライバ210に電力を供給することができるので、モータ212の回転数を調節することができる。従って、マイコン202は、ポンプ114がタンク106から汲み上げてノズル102から噴射する水の量を変化(増減)させることができる。
【0020】
ノズル制御ユニット208は、モータドライバ214と、モータ216と、検出スイッチ218とを備える。ノズル制御ユニット208はまた、モータ216に接続されるギア(不図示)を備え、このギアは直接、或いは他のギアを介して、ノズル102を回転可能なようにノズル102に接続される。ノズル制御ユニット208は、マイコン202から供給される電力を用いてモータドライバ214がモータ216を駆動することにより、ノズル102を制御する。マイコン202は、モータドライバ214に対して正又は負の電圧を印加することができる。従って、マイコン202はノズル制御ユニット208を用いてノズル102を図1の矢印A及び矢印Bで示すいずれの方向にも回転させることができるため、ノズル102から噴射する水の形状を変化させることができる。
【0021】
検出スイッチ218は、ノズル102の回転位置を検出してマイコン202に通知する。マイコン202は、検出スイッチ218からの通知に基づき、ノズル102が所望の位置まで回転するようにノズル102を制御することができる。
【0022】
図3を参照して、検出スイッチ218の構成例を説明する。図3の例では、ノズル102を回転可能に接続されたギア300の周囲に、3つのライトタッチスイッチ218a、218b、218cが配置される。ギア300には突起部302が設けられており、突起部302がライトタッチスイッチ218a、218b、又は218cに接触することにより、ギア300の回転状態、即ちノズル102の回転状態が検出される。この例では、検出スイッチ218は3つの状態しか検出できないが、ライトタッチスイッチの数を増やせば検出可能な状態の数が増加し、実質的にあらゆる位置を検出することも可能である。
【0023】
制御ユニット200はまた、発光ダイオード(LED)220、222、224、及び226を備える。LED220は、電源スイッチ108がONの場合に点灯するようにマイコン202によって制御される。LED222、224、及び226は、マイクユニット104から入力された音声信号の特徴(例えば、音量)に応じて点灯又は消灯するようにマイコン202によって制御される。例えば、音量が小さい場合は緑色のLED222が点灯し、音量が中程度の場合は黄色のLED224が点灯し、音量が大きい場合は赤色のLED226が点灯する。これにより、ユーザは、マイコン202によって検出された音の特徴を容易に認識することができる。
【0024】
本実施例では、マイコン202は、マイクユニット104から入力された音を検出し、この音の特徴(例えば、音量や周波数など)を判定する。そして、判定された特徴に応じて、水の噴射特性(例えば、噴射量や噴射形状など)が変化するように、ノズル102及びポンプ114の少なくとも一方を制御する。
【0025】
液体噴射装置100に水を噴射させるためには、ユーザは、マイクユニット104に向かって声を発する。すると、液体噴射装置100は、マイコン202の制御により、検出した声(音)の特徴に応じた噴射特性で水を噴射する。
【0026】
以下、図4を参照して、液体噴射装置100による噴射制御処理の一例を示す。
【0027】
ステップS401で、マイコン202は、マイクユニット104から入力された音を検出すると、ステップS402へ進む。
【0028】
ステップS402で、マイコン202は、ステップS401で検出された音の音量を検出する。
【0029】
ステップS403で、マイコン202は、ステップS402で検出された音量に基づき、ノズル制御ユニット208を介してノズル102を制御する。ステップS403における処理の詳細は、図5を参照して後述する。
【0030】
ステップS404で、マイコン202は、ステップS402で検出された音量に基づき、ポンプ制御ユニット206を介してポンプ114を制御し、水を噴射する。このとき、マイコン202は例えば、音量が大きいほど水の噴射量が多くなるようにポンプ114を制御する。次いでステップS401に戻り、同様の処理を繰り返す。
【0031】
ステップS402乃至S404の処理により、液体噴射装置100は、検出した音の音量に応じた噴射量及び噴射形状で、水を噴射する。
【0032】
図5は、図4のステップS403における処理の詳細な流れを示すフローチャートである。
【0033】
ステップS501で、マイコン202は、ステップS402で検出された音量に基づき、ノズル102の目標位置を決定する。例えば、音量が小さい場合、噴射形状を直線状にするために、図3の突起部302がライトタッチスイッチ218aに接触する位置を目標位置とする。また、音量が中程度の場合、噴射形状をシャワー状にするために、図3の突起部302がライトタッチスイッチ218bに接触する位置を目標位置とする。更に、音量が大きい場合、噴射形状を霧状にするために、図3の突起部302がライトタッチスイッチ218cに接触する位置を目標位置とする。
【0034】
ステップS502で、マイコン202は、検出スイッチ218を介して、ノズル102の現在位置を検出する。
【0035】
ステップS503で、マイコン202は、ステップS502で検出した現在位置とステップS501で決定した目標位置とが一致するか否かを判定する。一致する場合、ノズル102を回転させる必要がないので、処理を終了する。一致しない場合、ステップS504に進む。
【0036】
ステップS504で、マイコン202は、検出スイッチ218を介してノズル102の現在位置を検出しつつモータ216を駆動することにより、ノズル102を目標位置まで回転させる。
【0037】
図4を参照して説明した噴射制御処理では、音の特徴として音量のみを使用し、音量に基づいて水の噴射量及び噴射形状を制御した。しかし、使用可能な特徴は音量に限られず、前述の通り、例えば周波数も使用可能である。また、各特徴を別々の噴射特性に対応付けて制御するように、液体噴射装置100を構成してもよい。以下、図6を参照して、液体噴射装置100による噴射制御処理をより一般的に説明する。
【0038】
ステップS601で、マイコン202は、マイクユニット104から入力された音を検出すると、ステップS402へ進む。
【0039】
ステップS602で、マイコン202は、ステップS601で検出された音の特徴、例えば音量や周波数等を検出する。
【0040】
ステップS603で、マイコン202は、ステップS602で検出された特徴に基づいて、水の噴射特性、例えば噴射量及び噴射形状のうちの少なくも一方が変化するように、ノズル102及びポンプ114のうちの少なくとも一方を制御する。なお、もちろん、噴射量を変化させない場合であっても、マイコン202は、所定量の水を噴射するためにモータ212を駆動する必要はある。
【0041】
図7は、音の特徴と噴射特性との関係を示す図である。もちろん、図7に示す以外の関係を採用することも可能である。
【0042】
図7(a)は、図4及び図5を参照して説明した噴射制御処理に対応する。音の特徴として音量が検出される。音量は、小から大までリニアに検出され、噴射量は、音量に応じて少から多までリニアに変化する。また、噴射形状は、音量に応じて、直線状、シャワー状、霧状と3段階に変化する。
【0043】
図7(b)は、各特徴を別々の噴射特性に対応付けて制御する例を示す。この例では、音の特徴として、音量及び周波数が検出され、音量は噴射量に、周波数は噴射形状にそれぞれ対応付けられる。音量は、小から大までリニアに検出され、噴射量は、音量に応じて、少から多までリニアに変化する。また、周波数は、低から高までリニアに検出され、噴射形状は、周波数に応じて、直線状、シャワー状、霧状と3段階に変化する。
【0044】
図7(c)は、噴射量が固定される場合の制御例を示す。この例では、検出スイッチ218はノズル102の位置をリニアに検出可能なように構成されているものとする。音の特徴として音量が検出される。音量は、小から大までリニアに検出され、噴射特性は、直線状から霧状までリニアに変化する。また、噴射量は、音量に関わらず一定である。
【0045】
以上説明したように、本実施例によれば、液体噴射装置100は、マイクユニット104から入力された音(典型的には、ユーザの声)を検出し、音の特徴を検出する。そして、音の特徴に応じて液体の噴射特性が変化するようにノズル102及びポンプ114のうちの少なくとも一方を制御して、液体を噴射する。
【0046】
従って、ユーザは声に応じた噴射特性で液体を噴射させることができるので、従来とは異なる楽しみを経験することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施例に係る液体噴射装置の外観を示す概略図である。
【図2】本発明の実施例に係る液体噴射装置の制御ユニットの構成を示す機能ブロック図である。
【図3】ノズル制御ユニットの検出スイッチの構成例を示す図である。
【図4】本発明の実施例に係る液体噴射装置による噴射制御処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】図4のステップS403における処理の詳細な流れを示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施例に係る液体噴射装置100による噴射制御処理をより一般的に示すフローチャートである。
【図7】音の特徴と噴射特性との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
100 液体噴射装置
102 ノズル
104 マイクユニット
106 タンク
108 電源スイッチ
110 安全スイッチ
112 取っ手
114 ポンプ
200 制御ユニット
218a−c ライトタッチスイッチ
300 ギア
302 突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴射口と、
液体を前記噴射口から噴射するポンプと、
音を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された音の特徴を判定する判定手段と、
前記音の特徴に応じて液体の噴射特性が変化するように前記噴射口及び前記ポンプのうちの少なくとも一方を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記噴射特性として液体の噴射量が変化するように前記ポンプを制御することを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項3】
前記判定手段は前記音の特徴として音量を判定し、
前記制御手段は、前記音量が大きいほど液体の噴射量が多くなるように前記ポンプを制御することを特徴とする請求項2に記載の液体噴射装置。
【請求項4】
前記判定手段は前記音の特徴として周波数を判定し、
前記制御手段は、前記周波数が高いほど液体の噴射量が多くなるように前記ポンプを制御することを特徴とする請求項2に記載の液体噴射装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記噴射特性として液体の噴射形状が変化するように前記噴射口を制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液体噴射装置。
【請求項6】
前記判定手段は前記音の特徴として音量を判定し、
前記制御手段は、前記音量に応じて液体の噴射形状が変化するように前記噴射口を制御
することを特徴とする請求項5に記載の液体噴射装置。
【請求項7】
前記判定手段は前記音の特徴として周波数を判定し、
前記制御手段は、前記周波数に応じて液体の噴射形状が変化するように前記噴射口を制御することを特徴とする請求項5に記載の液体噴射装置。
【請求項8】
前記噴射口は、通過する液体の形状を少なくとも直線状、シャワー状、及び霧状のいずれか1つに形成可能なように構成されることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の液体噴射装置。
【請求項9】
前記判定手段は前記音の特徴として音量及び周波数を判定し、
前記制御手段は、前記音量及び前記周波数のうちの一方に応じて前記噴射特性として液体の噴射量及び噴射形状のうちの一方が変化し、前記音量及び前記周波数のうちの他方に応じて前記噴射特性として液体の噴射量及び噴射形状のうちの他方が変化するように前記噴射口及び前記ポンプを制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項10】
噴射口と、液体を前記噴射口から噴射するポンプと、を備える液体噴射装置の制御方法であって、
音を検出する検出工程と、
前記検出工程において検出された音の特徴を判定する判定工程と、
前記音の特徴に応じて液体の噴射特性が変化するように前記噴射口及び前記ポンプのうちの少なくとも一方を制御する制御工程と、
を備えることを特徴とする制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−189960(P2009−189960A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−33590(P2008−33590)
【出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(000135748)株式会社バンダイ (246)
【出願人】(501300104)学校法人 多摩美術大学 (25)
【Fターム(参考)】