説明

液体噴射装置およびメンテナンス方法

【課題】ノズル抜けに対して通常の回復動作では回復しない場合であっても、ノズル抜けを解消することができる液体噴射装置およびメンテナンス方法を提供すること。
【解決手段】ノズル開口33b1からの液体の有無を検出する検出手段70と、メンテナンス動作を行うメンテナンス実行手段64と、検出手段70による検出に基づいてメンテナンス動作を制御するメンテナンス動作制御手段80とを備えると共に、メンテナンス動作制御手段80は、検出手段70によってノズル開口33b1から液体が噴射されない状態を示す計測値が判定閾値に到達したか否かを判定し、到達したと判定される場合、ユーザに湿潤メンテナンス動作を実行させるか否かを入力させる入力手段を作動させ、入力手段により湿潤メンテナンス動作を実行させる旨の入力が為された場合、メンテナンス動作制御手段100は、湿潤メンテナンス動作をメンテナンス実行手段64に実行させる制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射装置およびメンテナンス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、キャップユニット内にセンサ等の水分量を検知する検知手段を設け、この検知手段で検知した結果に基づいてキャップ内に水分を補充したり、インクを用いてキャップ内に水分を補充する供給手段を備える構成が開示されている。それにより、キャップ内の水分量の不適量状態を解消でき、インクの噴射不良等の問題を解消可能としている。また、特許文献2には、インクの品質を保持する処理と、回復処理部による回復処理の少なくとも一方を、ジョブ情報の通知に基づいて実行させるノズル列管理制御部とを備える構成が開示されている。この構成においては、回復処理によりノズル列から噴射されたインクをキャップに受滴させることが可能となっている。
【0003】
また、特許文献3には、キャップがノズル形成面に当接していない状態で吸引を行うことにより、キャップ内に存在するインクの量を調整する技術内容について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−182098号公報
【特許文献2】特開2009−166246号公報
【特許文献3】特開平2−102066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1〜3のメンテナンス動作を実行しても、ノズルからインクが噴射されない、いわゆるノズル抜けが解消されない場合がある。このようなノズル抜けは、たとえば、プリンターの使用頻度が低い場合(たとえば、年賀状印刷時のみ使用する等)に起こりがちとなっている。その場合、ユーザは、メーカのサービスセンタに連絡し、プリンターに対して修理を行ったり、サービスマンがユーザのところまで出張して対応している。
【0006】
本発明は上記の事情にもとづきなされたもので、その目的とするところは、ノズル抜けに対して通常の回復動作では回復しない場合であっても、ノズル抜けを解消することができる液体噴射装置およびメンテナンス方法を提供しよう、とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の液体噴射装置は、ノズル形成面に液体を噴射する複数のノズル開口が設けられている液体噴射ヘッドと、ノズル形成面に当接して密閉空間を形成するためのキャップ部材と、ノズル開口から液体が噴射されたか否かを検出する検出手段と、液体を液体噴射ヘッドからキャップ部材に噴射または排出させるメンテナンス動作を行うためのメンテナンス実行手段と、検出手段によるノズル開口から液体が噴射されるか否かの検出に基づいて、メンテナンス実行手段で実行するメンテナンス動作を制御するメンテナンス動作制御手段と、を備えると共に、メンテナンス動作制御手段は、検出手段によってノズル開口から液体が噴射されない状態を示す計測値が判定閾値に到達したか否かを判定し、当該計測値が判定閾値に到達したと判定される場合には、ユーザに湿潤メンテナンス動作を実行させるか否かを入力させるための入力手段を作動させると共に、この湿潤メンテナンス動作は、他のメンテナンス動作よりも密閉空間における水分が多いまたは湿度が高い状態を生じさせるものであり、入力手段により湿潤メンテナンス動作を実行させる旨の入力が為された場合に、メンテナンス動作制御手段は、湿潤メンテナンス動作をメンテナンス実行手段に実行させる制御を行うものである。
【0008】
このように構成する場合には、メンテナンス動作制御手段は、計測値が判定閾値に到達したと判定される場合には、入力手段を作動させて、ユーザに湿潤メンテナンス動作を実行させるか否かを入力させるようにしている。そして、ユーザから入力手段を介して湿潤メンテナンス動作を実行させる旨の入力が為された場合、メンテナンス動作制御手段は、湿潤メンテナンス動作をメンテナンス実行手段に実行させている。このようにすることで、密閉空間における水分が多い、または密閉空間の湿度が高い状態を実現できるため、その状態で放置しておくと、ノズル開口からノズル内部にも水分が供給されていく。それにより、ノズル内部で固化または増粘している部位にも水分が供給され、ノズルの目詰まりが解消可能となる。
【0009】
このため、通常のメンテナンス動作を実行してもなお、ノズル抜けが解消されないときでも、ノズルの目詰まりが解消可能となる。そのため、たとえば、年賀状印刷時のみプリンターを使用する等のようにプリンターの使用頻度が低い場合に上述の問題が起こりがちとなるノズル抜けを良好に解消可能となる。それにより、ユーザは、メーカのサービスセンタに連絡してプリンターに対する修理を要求したり、ユーザのところまでサービスマンを出張させてプリンター修理に対応させるといったことが不要となり、ユーザの利便性を向上させることが可能となる。
【0010】
また、本発明の他の側面は、上述の発明において、計測値は、検出手段によりノズル開口から液体が噴射されないと判定されてから最初にメンテナンス動作を行った時間情報または検出手段によりノズル開口から液体が噴射されないと判定されたときの時間情報を参照し、その時間情報から最後に検出手段で検出を行ったときまでの計測時間であることが好ましい。
【0011】
このように構成する場合には、上述の計測時間に基づいて、より強力なメンテナンス動作である湿潤メンテナンス動作の実行が判断されることになる。そのため、他のメンテナンス動作を実行しても、ノズル抜けが解消されないか否かの判断を正確に行うことが可能となる。
【0012】
さらに、本発明の他の側面は、上述の発明において、計測値は、検出手段によりノズル開口から液体が噴射されないと判定されてから最後に検出手段で検出を行ったときまでに実行されたメンテナンス動作の回数のカウント値であることが好ましい。
【0013】
このように構成する場合には、上述のようなメンテナンス動作の回数のカウント値に基づいて、より強力なメンテナンス動作である湿潤メンテナンス動作の実行が判断されることになる。そのため、他のメンテナンス動作を実行しても、ノズル抜けが解消されないか否かの判断を正確に行うことが可能となる。
【0014】
また、本発明の他の側面は、上述の各発明において、メンテナンス実行手段は、キャップ部材の内部から液体を吸引する吸引手段を備えると共に、メンテナンス動作制御手段は、湿潤メンテナンス動作を実行する場合に、キャップ部材によってノズル形成面を封止しない状態で吸引手段を作動させる空吸引動作による液体の吸引量を、他のメンテナンス動作における空吸引動作による液体の吸引量と比較して少なくすることが好ましい。
【0015】
このように構成する場合には、湿潤メンテナンス動作を実行する場合の空吸引動作による液体の吸引量は、他のメンテナンス動作における空吸引動作の液体の吸引量と比較して少なくなる。そのため、密閉空間内に残存する液体の量を多くすることが可能となり、密閉空間における水分の量を多くすることが可能となる。
【0016】
さらに、本発明の他の側面は、上述の各発明において、メンテナンス実行手段は、湿潤メンテナンス動作において超音波振動をノズル開口に与える超音波振動付与手段を有することが好ましい。
【0017】
このように構成する場合には、湿潤メンテナンス動作においては、超音波振動付与手段の作動により、ノズル開口に超音波振動が与えられる。それにより、ノズル開口からノズル内部への水分の供給を迅速かつ確実に行うことが可能となり、ノズル内部で固化または増粘している部位を熱と水分とで溶かすことを、より確実に行うことが可能となり、ノズルの目詰まりを一層良好に解消可能となる。
【0018】
また、本発明の他の側面である液体噴射装置は、ノズル形成面に液体を噴射する複数のノズル開口が設けられている液体噴射ヘッドと、ノズル形成面に当接して密閉空間を形成するためのキャップ部材と、ノズル開口から液体が噴射されたか否かを検出する検出手段と、液体を液体噴射ヘッドからキャップ部材に噴射または排出させるメンテナンス動作を行うと共に、超音波振動を前記ノズル開口に与える超音波振動付与手段を有するメンテナンス実行手段と、検出手段によるノズル開口から液体が噴射されるか否かの検出に基づいて、メンテナンス実行手段で実行するメンテナンス動作を制御するメンテナンス動作制御手段と、を備えると共に、メンテナンス動作制御手段は、検出手段によってノズル開口から液体が噴射されない状態を示す計測値が判定閾値に到達したか否かを判定し、当該計測値が判定閾値に到達したと判定される場合には、ユーザに超音波振動付与手段を作動させる超音波メンテナンス動作を実行させるか否かを入力させるための入力手段を作動させると共に、入力手段により超音波メンテナンス動作を実行させる旨の入力が為された場合に、メンテナンス動作制御手段は、密閉空間に液体が残存する状態で超音波メンテナンス動作をメンテナンス実行手段に実行させる制御を行うことが好ましい。
【0019】
このように構成する場合には、メンテナンス動作制御手段は、計測値が判定閾値に到達したと判定される場合には、入力手段を作動させて、ユーザに超音波メンテナンス動作を実行させるか否かを入力させるようにしている。そして、ユーザから入力手段を介して超音波メンテナンス動作を実行させる旨の入力が為された場合、メンテナンス動作制御手段は、密閉空間に液体が残存する状態で超音波メンテナンス動作をメンテナンス実行手段に実行させている。このようにすることで、液体が密閉空間に残存する状態でノズル開口に超音波振動が付与されるため、ノズル開口からノズル内部にも液体が供給されていく。それにより、ノズル内部で固化または増粘している部位を、超音波振動による熱と液体とで溶融させることが可能となり、ノズルの目詰まりが解消可能となる。
【0020】
このため、通常のメンテナンス動作を実行してもなお、ノズル抜けが解消されないときでも、ノズルの目詰まりが解消可能となる。そのため、たとえば、年賀状印刷時のみプリンターを使用する等のようにプリンターの使用頻度が低い場合に上述の問題が起こりがちとなるノズル抜けを良好に解消可能となる。それにより、ユーザは、メーカのサービスセンタに連絡してプリンターに対する修理を要求したり、ユーザのところまでサービスマンを出張させてプリンター修理に対応させるといったことが不要となり、ユーザの利便性を向上させることが可能となる。
【0021】
また、本発明の他の側面であるメンテナンス方法は、ノズル形成面に液体を噴射する複数のノズル開口が設けられている液体噴射ヘッドと、ノズル形成面に当接して密閉空間を形成するためのキャップ部材と、ノズル開口から液体が噴射されたか否かを検出する検出手段と、液体を液体噴射ヘッドからキャップ部材に噴射または排出させるメンテナンス動作を行うためのメンテナンス実行手段と、を備える液体噴射装置におけるメンテナンス方法であって、検出手段によってノズル開口から液体が噴射されない状態を示す計測値が判定閾値に到達したか否かを判定する判定ステップと、判定ステップで計測される計測値が判定閾値に到達したと判定される場合には、他のメンテナンス動作よりも密閉空間における水分が多いまたは湿度が高い状態を生じさせる湿潤メンテナンス動作を実行させるか否かをユーザに入力させるための入力手段を作動させる入力手段作動ステップと、入力手段作動ステップにより湿潤メンテナンス動作を実行させる旨の入力が為された場合に、湿潤メンテナンス動作をメンテナンス実行手段に実行させる湿潤メンテナンス実行ステップとを有することが好ましい。
【0022】
このように構成する場合には、判定ステップにおいて計測値が判定閾値に到達したと判定される場合には、入力手段作動ステップにより入力手段を作動させて、ユーザに湿潤メンテナンス動作を実行させるか否かを入力させるようにしている。そして、ユーザから入力手段を介して湿潤メンテナンス動作を実行させる旨の入力が為された場合、メンテナンス実行ステップで、湿潤メンテナンス動作を実行させている。このようにすることで、密閉空間における水分が多い、または密閉空間の湿度が高い状態を実現できるため、その状態で放置しておくと、ノズル開口からノズル内部にも水分が供給されていく。それにより、ノズル内部で固化または増粘している部位にも水分が供給され、ノズルの目詰まりが解消可能となる。
【0023】
このため、通常のメンテナンス動作を実行してもなお、ノズル抜けが解消されないときでも、ノズルの目詰まりが解消可能となる。そのため、たとえば、年賀状印刷時のみプリンターを使用する等のようにプリンターの使用頻度が低い場合に上述の問題が起こりがちとなるノズル抜けを良好に解消可能となる。それにより、ユーザは、メーカのサービスセンタに連絡してプリンターに対する修理を要求したり、ユーザのところまでサービスマンを出張させてプリンター修理に対応させるといったことが不要となり、ユーザの利便性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施の形態に係るプリンターの構成を示す斜視図である。
【図2】図1のプリンターの構成を示す概略図である。
【図3】図1のプリンターにおけるクリーニング機構の概略構成を示す図である。
【図4】図1のプリンターのノズル抜け検出装置の構成を示す図である。
【図5】ノズル抜け検出装置から出力された検出波形の一例を示す図である。
【図6】図1のプリンターの制御部を中心とした概略構成を示す図である。
【図7】コンピューターの概略構成を示す図である。
【図8】ユーザが入力するためのウィンドウの一例を示す図である。
【図9】ノズル抜けを検出する際の処理フローを示す図である。
【図10】ノズル抜けを検出する際の変形例に係る処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施の形態に係る、印刷装置11について、図1から図9を参照しながら説明する。なお、印刷装置11は、プリンター10とコンピューター100とから構成されるものであり、プリンター10は液体噴射装置の一例に対応する。また、以下の説明においては、下方側とは、プリンター10が設置される側を指し、上方側とは、設置される側から離間する側を指す。また、キャリッジ31が移動する方向を主走査方向、主走査方向に直交する方向であって印刷用紙Pが搬送される方向を副走査方向とする。また、印刷用紙Pが供給される側を給紙側、印刷用紙Pが排出される側を排紙側として説明する。
【0026】
なお、以下の実施の形態においては、プリンター10は、インクカートリッジ51をシャーシ21側に搭載する、いわゆるオフキャリッジタイプのプリンター10について説明している。しかしながら、プリンター10は、オフキャリッジタイプには限られず、インクカートリッジ51をキャリッジ31に搭載する、いわゆるオンキャリッジタイプであっても良い。
【0027】
<プリンターの概略構成>
最初に、プリンター10の構成の概略について説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係るプリンター10の概略構成を示す斜視図であり、紙送りの上流側を手前、紙送りの下流側(排紙側)を奥側に配置している状態を示す図である。また、図2は、プリンター10の構成を示す概略図である。本実施の形態のプリンター10は、シャーシ21と、ハウジング22と、キャリッジ機構30と、紙送り機構40と、インク供給機構50と、クリーニング機構60と、ノズル抜け検出装置70と、制御部80と、を具備している。なお、シャーシ21とハウジング22とは、筐体に対応する。
【0028】
これらのうち、シャーシ21は、その下面側が設置面に接触する部分であると共に、各種ユニットが搭載される部分である。また、このシャーシ21には、図1において二点鎖線で示されるハウジング22が取り付けられる。
【0029】
また、キャリッジ機構30は、図1および図2に示すように、キャリッジ31と、このキャリッジ31が摺動するキャリッジ軸32と、印刷ヘッド33(液体噴射ヘッドの一例、メンテナンス実行手段の一部の一例に対応)と、を具備している。印刷ヘッド33は、印刷用紙P(印刷媒体の一例に対応)に向けて、ノズル33aからインクを噴射するものである。この印刷ヘッド33の下面側には、ノズル基板33bが取り付けられていて、ノズル33aの開口部分は、このノズル基板33bに露出している。このノズル基板33bは、その材質を、たとえばステンレス等の金属としている。そして、このノズル基板33bには、後述する電圧印加部72が電気的に接続されている。
【0030】
また、キャリッジ機構30は、キャリッジモーター(CRモーター)34と、このCRモーター34に取り付けられている歯車プーリー35と、無端のベルト36と、歯車プーリー35との間にこの無端のベルト36を張設する従動プーリー37と、を具備している。これらのうち、印刷ヘッド33からは、後述するインク供給機構50を介して供給されるインク(液体に相当)が、印刷用紙Pに対して噴射される。
【0031】
また、図2に示すように、紙送り機構40は、紙送りモーター(PFモーター)41と、この紙送りモーター41からの駆動力が伝達される給紙ローラー42等を具備している。
【0032】
また、図1に示すように、カートリッジホルダー52はインクカートリッジ51を搭載する部分であり、シャーシ21に対して固定的に取り付けられている。このカートリッジホルダー52は、本実施の形態では、プリンター10の内部であって、キャリッジ31の移動空間域から外れる部位に設けられている。具体的には、カートリッジホルダー52は、キャリッジ31の往復動の領域よりも例えば印刷用紙Pの給紙側に取り付けられている。また、カートリッジホルダー52には、複数のインクカートリッジ51が着脱自在に装着される。
【0033】
また、図1に示すように、板状チューブ54のうち、インクの流れの下流側の端部には、可撓性チューブ55の一端側が連結されている。この可撓性チューブ55は、エラストマ樹脂等のような、可撓性を有する材質から形成されている。それにより、可撓性チューブ55は、柔軟に可撓し、キャリッジ31の主走査方向における往復動を妨げない状態となっている。また、可撓性チューブ55には、その長手方向を貫く、中空のチューブ管路(図示省略)が存在している。そして、インク流路と、チューブ管路とは連通して、インクを良好に流通させることを可能としている
【0034】
また、可撓性チューブ55の他端側には、サブタンク56が接続されている。このサブタンク56は、キャリッジ31の上部に、原則としてインクカートリッジ51と同じ個数だけ設けられている。このサブタンク56には、インク流路およびチューブ管路を流通してきたインクが一時的に蓄えられる。なお、このサブタンク56に蓄えられるインクは、キャリッジ31の下面側に印刷ヘッド33のノズル33a(図3参照)から噴射される。
【0035】
<クリーニング機構について>
また、シャーシ21には、図1および図3に示すようなクリーニング機構60が設けられている。このクリーニング機構60は、キャップ61と、インク排出チューブ62と、廃液タンク63と、吸引ポンプ64とを備えている。なお、クリーニング機構60のうちキャップ61を除く構成は、メンテナンス実行手段の一例に対応する。
【0036】
これらのうち、キャップ61は、キャップ部材の一例に対応する。このキャップ61は、ノズル基板33bの下面側に当接して、1つの封止空間を形成する部分である。そのため、キャップ61は、不図示の昇降機構により、上下に昇降させることを可能としている。また、本実施の形態では、図3および図4に示すように、キャップ61には、インク吸収体61aと電極部材61bとが設けられている。インク吸収体61aは、たとえばフェルト等の不織布から形成されていて、インクを吸収可能となっている。
【0037】
また、電極部材61bは、たとえばステンレス鋼等のような金属の格子状部材から構成されている。なお、この電極部材61bは、後述するノズル抜け検出装置70の構成要素となっている。
【0038】
また、インク排出チューブ62は、その一端側がキャップ61に接続されていると共に、その他端側が廃液タンク63に接続されている。なお、廃液タンク63は、印刷ヘッド33のノズル開口33b1からキャップ61に排出されるインクを蓄える部分である。また、吸引ポンプ64は、インク排出チューブ62の中途部に接続されている。そのため、吸引ポンプ64が作動すると、ノズル33aからインクを廃液タンク63に向けて排出することが可能となる。また、このインクの吸引動作により、板状チューブ54、可撓性チューブ55、または印刷ヘッド33等の流路に混入している気泡を強制的に排出したり、および/またはノズル33aに存在する増粘したインクを強制的に排出する、いわゆるメンテナンス動作を実行可能となっている。
【0039】
また、吸引ポンプ64は、インク排出チューブ62に負圧を発生させることが可能に設けられていて、この吸引ポンプ64が作動すると、インク排出チューブ62等を介して、印刷ヘッド33から噴射された、印刷とは無関係のインクが廃液タンク63に排出される(以下、排出されるインクをインク廃液(廃液に対応)と称する。)。また、このインクの吸引動作により、板状チューブ54、可撓性チューブ55、または印刷ヘッド33等の流路に混入している気泡を、強制的に排出する、いわゆるクリーニング動作を実行可能となっている。
【0040】
<ノズル抜け検出装置の構成>
続いて、ノズル抜け検出装置70の構成について、図4に基づき説明する。ノズル抜け検出装置70は、検出部71と、電圧印加部72と、電圧検出部73とを有している。なお、このノズル抜け検出装置70は、検出手段に対応するが、この検出手段の概念には、処理装置74が含まれるものとしても良く、また、制御部80を処理装置74と共に、或いは処理装置74がなくとも、検出手段の概念に含めるようにしても良い。
【0041】
検出装置70の構成要素のうち、検出部71は、上述の電極部材61bの上面側によって構成されている。また、電圧印加部72は、印刷ヘッド33のノズル基板33bと検出部71との間に所定の電圧を印加するための部分である。なお、電圧印加部72は、上述の所定の電圧を印加するための電気回路を有している。
【0042】
また、本実施の形態では、電圧印加部72は、ノズル基板33bが負極、検出部71が正極となるように、電圧を印加可能となっている。この電圧印加部72は、電極部材61bの電圧信号を積分して出力する積分回路と、当該積分回路から出力される信号を反転増幅させて出力する反転増幅回路と、当該反転増幅回路から出力される信号をA/D変換して出力するA/D変換回路等を有している。
【0043】
このノズル抜け検出装置70は、ノズル基板33bと検出部71との間に電界を形成し、ノズル33aのノズル開口33b1から検出部71に向かってインク滴が飛翔するときに、静電誘導に基づく電圧値の時間的な変化を、検出信号(検出波形WD;図5参照)として、処理装置に出力する。処理装置74は、ノズル抜け検出装置70の出力を演算可能としていて、ノズル抜け検出装置70から出力される検出波形WDに基づいて、インクの噴射および/または非噴射に関する情報を取得する。
【0044】
ノズル抜け検出装置70を用いて、ノズル33aからのインク滴の噴射不能の検出は、以下のようにして行う。ノズル33aのノズル開口33b1からインク滴が噴射されない場合、図5に示すような検出波形WDが得られない。そのため、ノズル抜け検出装置70を用いることにより、ノズル開口33b1からのインク滴の噴射不能の状態を検出可能となっている。なお、ノズル抜け検出装置70におけるインク滴が噴射可能であるか否かの検出は、ノズル列33dの個々のノズル33aからインク滴を噴射して行う。それにより、個々のノズル33aにおけるノズル抜けを検出可能となっている。
【0045】
また、ノズル抜け検出装置70以外の検出手段としては、たとえば、レーザー光等の光を投光する透光部と光を受光する受光部とを有し、その間でインク滴を噴射させ、インク滴が光を遮るか否かによって行うものがある。
【0046】
<制御部の構成>
また、図2および図6に示すように、プリンター10には、制御部80が設けられている。この制御部80は、不図示のCPU、メモリー(ROM、RAM、不揮発性メモリー等)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、バス、タイマー、インターフェース88等を有している。なお、上述の制御部80(主として主制御部81)は、メンテナンス動作制御手段の一例、入力手段の一部の一例、およびメンテナンス実行手段の一部の一例にも対応する。
【0047】
また、この制御部80には、ノズル抜け検出装置70を含む各種センサからの信号が入力されると共に、このセンサからの信号に基づいて、制御部80は、CRモーター34、PFモーター41、吸引ポンプ64、および印刷ヘッド33等の駆動を司る。なお、各種センサには、検出装置70が含まれ、この検出装置70からの検出波形(検出信号)がA/D変換された後に制御部80に入力される。
【0048】
また、上述のメモリーの中のデータ、およびプログラムがCPUで実行され、制御部80の各構成が協働することにより、機能的には、図6のブロック図に示すような構成が実現される。この図6に示すように、制御部80は、主制御部81、メモリー82、ヘッド制御部83、ポンプ制御部84、CLタイマー85、ヘッド駆動回路86、ポンプ駆動回路87を具備している。
【0049】
これらのうち、主制御部81は、プリンター10の全体の制御を司る部分であり、コンピューター100側(図2参照)からの所定の指令、CLタイマー85からの計時出力が入力されると共に、コンピューター100側に所定の指令を出力する。また、主制御部81は、メモリー82に記憶されている不図示のメンテナンステーブルを読み込む。そして、このメンテナンステーブルを参照して、いずれかのメンテナンス動作を選定する。
【0050】
ここで、CLタイマー85とは、前回の吸引を伴うクリーニングからの時間を計測するタイマーである。また、CLタイマー85は、前回のクリーニングが実行されたときを基準として、時間を計測し、その時間計測により気泡の成長を予測するために用いられる。そのため、CLタイマー85は、吸引を伴うクリーニングを行うとリセットされるが、吸引を伴わないフラッシング動作ではリセットされなく、時間の計測が継続される。また、CLタイマー85は、吸引を伴うクリーニングを行うとリセットされるため、フラッシング動作を行ってもリセットされず、時間の計測が継続される。なお、前回のクリーニングが実行されたときを基準として時間を計測する場合、印刷を実行しているときの時間を計測する(印刷を実行しているときの累積時間を算出する)ようにしても良く、印刷を行っていない放置時間を計測する(印刷を実行していないときの累積時間を算出する)ようにしても良く、また、印刷を実行している時間と放置時間の両方を計測して、処理ランクを決定するようにしても良い。
【0051】
また、メモリー82には、所定のレベル別のメンテナンスに関するテーブル(以下、メンテナンステーブルとする。)が記憶されている。このメンテナンステーブルには、所定の経過時間やインク消費量等に基づいて、実行すべきメンテナンス動作とその処理ランクが、マトリクス形式で記述されている。
【0052】
また、このメンテナンステーブルには、後述する図9のフローチャートで示すような、ノズル固化回復モードに対応するものも含まれている。しかしながら、ノズル固化回復モードは、このメンテナンステーブルに含まれるものとはせずに、別途のプログラムおよびデータ等に基づいて実行するようにしても良い。なお、このノズル固化回復モードは、湿潤シーケンスを実行するものであるが、その詳細については後述する。
【0053】
また、メモリー82には、メンテナンス履歴記憶部82aが設けられている。このメンテナンス履歴記憶部82aには、メンテナンス動作を実行したときの日時が記憶させられる。また、メンテナンス履歴記憶部82aには、次にノズル抜け検出装置70でノズル抜けの検出を行った際に、ノズル抜けが解消されたか否かが記憶させられる。なお、メンテナンス動作を実行しても、ノズル抜けが解消されたか否かが分かるのは、次回ノズル抜け検出装置70でノズル抜けの検出を行ってからである。そのため、あるメンテナンス動作を実行したときと、そのメンテナンス動作の後に最初にノズル抜け検出装置70でノズル抜けの検出を行ったときとを対応付けて記憶させるようにしても良い。
【0054】
また、ヘッド制御部83は、主制御部81からの指令に基づいて、ヘッド駆動回路86を介して印刷ヘッド33を駆動させ、インク滴を噴射させる。ここで、ヘッド制御部83が主制御部81から受信する指令には、印刷データに基づく印字動作の指令と、上述のメンテナンステーブルに基づくメンテナンス動作の一種である、フラッシング動作の指令とが存在する。
【0055】
また、ポンプ制御部84は、主制御部81からの指令に基づいて、印刷ヘッド33がキャップ61で封止されている状態において、ポンプ駆動回路87を介して吸引ポンプ64を制御駆動させ、所定のクリーニングを実行する。
【0056】
また、ヘッド駆動回路86は、ヘッド制御部83からの指令に応じて所定の電圧を生成し、その電圧を印刷ヘッド33内のピエゾ素子に印加する。また、ポンプ駆動回路87は、ポンプ制御部84からの指令に応じて所定の電圧を生成し、その電圧を吸引ポンプ64に印加する。
【0057】
なお、この制御部80は、インターフェース88を介して、コンピューター100に接続されていて、印刷データ等の各種のデータを送受信可能としている。また、このコンピューター100が、上述の制御部80と同等の機能を備えるように構成しても良い。
【0058】
<コンピューターの概略構成>
図7に示すように、プリンター10は、インターフェース88を介して、コンピューター100に接続されている。このコンピューター100は、CPU101、ROM102、RAM103、HDD(Hard Disk Drive)104、ビデオ回路105、インターフェース106、表示装置107等を具備している。
【0059】
これらのうち、HDD104は、CPU101からの要求に応じて、記録媒体であるハードディスクに記録されているデータあるいはプログラムを読み出すとともに、CPU101の演算処理の結果として発生したデータを前述したハードディスクに記録する記録装置である。本実施の形態では、HDD104には、ビデオドライバープログラム104a、プリンタードライバープログラム104b等が記憶されている。
【0060】
これらのうち、ビデオドライバープログラム104aは、ビデオ回路105を駆動するためのプログラムであり、例えば、プリンタードライバープログラム104bから供給された所定のウィンドウ表示のための情報に対して所定の調整等を行った後、映像信号を生成して表示装置107に供給する。それにより、図8に示すようなウィンドウ120が表示される。
【0061】
プリンタードライバープログラム104bは、入力手段の一部の一例に対応する。このプリンタードライバープログラム104bは、所定のオペレーティングシステム(OS)の下で動作し、プリンター10側から図8に示すようなウィンドウ120を表示させる旨の情報を受け取ると、当該ウィンドウ120に関する情報をHDD104等から読み出して、ビデオドライバープログラム104a側に受け渡す。
【0062】
なお、図8に示すウィンドウ120には、所定のメッセージと共に、「はい」の文字が記載されている確認ボタン121と、「いいえ」の文字が記載されている確認ボタン122とが表示されている。そして、確認ボタン121または確認ボタン122をユーザがクリック等することにより、プリンタードライバープログラム104aは、確認ボタン121または確認ボタン122に対応する情報を、プリンター10側に出力する。
【0063】
また、ビデオ回路105は、CPU101から供給された描画命令に応じて描画処理を実行し、得られた画像データを映像信号に変換して表示装置107に出力する回路である。インターフェース106は、プリンター10に対して画像データを出力すると共に、外部入力装置108(キーボードやマウス等)および外部記憶装置109(磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリー等)から出力された信号の表現形式を適宜変換して入力させるための回路である。
【0064】
<ノズル抜けを検出する際の動作について>
続いて、上述のような構成を有する印刷装置11において、ノズル抜けを検出する際の動作について、図9の処理フローに基づいて説明する。
【0065】
まず、主制御部81の指令により、ノズル抜けの検出を、ノズル抜け検出装置70を用いて行う(S01)。ここで、ノズル抜けとは、インク滴がノズル33aから噴射されずに、印刷用紙Pにインク滴の付着によるドットが形成されない状態を指す。このノズル抜け検出装置70においては、特定の色のインク滴を噴射するノズル列33dの全てのノズルに対して行うことが可能である。すなわち、個々のノズルに、ノズル抜けが生じているか否かを検出可能となっている。続いて、主制御部81は、上述の検出結果に基づいて、ノズル抜けが存在しているか否かの判定を行う(S02)。
【0066】
上述のS02の判定の結果、ノズル抜けが存在すると判定される場合(Yesの場合)、主制御部81は、ノズル抜け検出装置70でノズル抜けが存在する旨の情報を、メンテナンス履歴記憶部82aに記憶させる(S03)。
【0067】
一方、S02の判定の結果、ノズル抜けが存在しないと判定される場合(Noの場合)、主制御部81は、ノズル抜け検出装置70でノズル抜けが存在しない旨の情報を、メンテナンス履歴記憶部82aに記憶させる(S04)。
【0068】
S03の処理に続いて、主制御部81は、メンテナンス履歴記憶部82aを参照する(S05)。すなわち、メンテナンス履歴記憶部82aを読み込む。
【0069】
次に、このメンテナンス履歴記憶部82aにおける、以前にメンテナンス動作を行った日時の情報を参照して、N時間以上同一のノズル33aについて、ノズル抜けが生じているか否かを判定する(S06)。このとき、メンテナンス履歴記憶部82aにおいて最初にノズル抜けが生じていると記録されている日時から、ノズル抜け検出装置70で最後にノズル抜けの検出を行った時間までの間の時間長さ(この時間長さが計測値に対応)と、上述のN時間(このN時間が判定閾値に対応)とが比較される。
【0070】
上述のS06の判定において、N時間以上同一のノズル33aにつきノズル抜けが生じていると判定される場合(Yesの場合)、主制御部81は、図8に示すようなウィンドウを表示させるための指令を、コンピューター100側に出力する(S07)。すると、コンピューター100のプリンタードライバープログラム104bでは、図8に示すようなウィンドウ120に関する情報をHDD104等から読み出して、ビデオドライバープログラム104a側に受け渡す。すると、図8に示すようなウィンドウ120が、表示装置107に表示される。なお、プリンタードライバープログラム104bは、このウィンドウ120において、ユーザが「はい」に対応する確認ボタン121、または「いいえ」に対応する確認ボタン122をクリックする(入力する)と、その入力に対応する情報が、プリンター10側に出力される。
【0071】
続いて、主制御部81は、図8に示すようなウィンドウ120において、ユーザがノズル固化回復モードを実行する旨の入力を行ったか否かを判定する(S08)。すなわち、図8において、最終的な回復モードを実行するか否かをユーザに問い合わせ、ユーザが「はい」の確認ボタン121をクリックしたか、「いいえ」の確認ボタン122をクリックしたかを判定する。
【0072】
そして、上述のS08の判定において、ユーザがノズル固化回復モードを実行する旨の入力を行ったと判定される場合(Yesの場合)、主制御部81は、キャップ61の内部を湿潤させるための湿潤シーケンスを実行する(S09)。
【0073】
ここで、上述の湿潤シーケンスとは、後述するS10のような通常のメンテナンス動作を実行する場合よりも、キャップ61とノズル形成面33cとの当接によって形成される密閉空間の内部に存在する水分を多い状態を実現し、その状態で所定時間経過させるためのシーケンスである。かかる湿潤シーケンスにおいて、密閉空間内(キャップ61内)に存在する水分を多くするための動作例としては、まず、キャップ61の内部に、フラッシングまたは吸引ポンプ64の作動によって、インクが多く貯留される状態を実現する。そして、インクの供給を停止した後に、空吸引によってインクがキャップ61から排出されるが、そのとき、キャップ61から排出されるインクの量を低減させるようにする。なお、湿潤シーケンスは、請求項でいう湿潤メンテナンス動作に相当する。
【0074】
ここで、空吸引とは、インクは印刷ヘッド33側から供給されないものの、吸引ポンプ64を作動させてインクをキャップ61から排出させる動作をいう。たとえば、キャップ61をノズル形成面33cから離間させた状態で、吸引ポンプ64を作動させると、インクはキャップ61内に供給されないもののキャップ61からインクを排出する動作が為される。
【0075】
また、上述の湿潤シーケンスにおいては、印刷に用いるインク、湿潤のための専用液のどちらを用いるようにしても良い。専用液を用いる場合、ノズル33aからは当該専用液が噴射されるものとなるため、専用液を貯留するカートリッジ51をカートリッジホルダー52に装着する必要がある。しかしながら、ノズル33aにおける目詰まりを回復させる効果が、他のインク(液体)と比較してより大きいものを用いることが好ましい。たとえば、印刷に用いるインクの場合、他の色のインクよりも、グリセリン等の保湿剤の成分が少なく、自由水の成分が多い色のインクを用いることが好ましい。なお、自由水とは、保湿剤等により吸収されない等の束縛されない、蒸発等による移動が自由な状態の水を指す。
【0076】
なお、上述のように、キャップ61の内部に水分が多い状態とすると、キャップ61の内部においては、湿度が非常に高い状態となる。かかる湿度が高い状態においては、ノズル33aの内部にも水分が供給されていく。すなわち、ノズル33aの内部で固化または増粘しているインクに水分が供給される。それにより、上述のような密閉空間内(キャップ61内)が水分の状態で長時間経過させると、ノズル33aの目詰まりが解消されていく場合が多い。
【0077】
また、上述のS08の判定において、ユーザがノズル固化回復モードを実行しない旨の入力を行ったと判定される場合(Noの場合)、主制御部81は、通常のメンテナンス動作を実行する(S10)。すなわち、主制御部81は、メモリー82に記憶されているメンテナンステーブルを読み込む。そして、このメンテナンステーブルを参照して、ノズル固化回復モード以外の、いずれかのメンテナンス動作を選定し、そのメンテナンス動作を実行する指令を与える。そして、印刷ヘッド33のノズル33aからインクが噴射される、いずれかのメンテナンス動作が実行される。
【0078】
このようなメンテナンス動作としては、たとえば、主制御部81は、ポンプ制御部84に吸引ポンプ64を駆動させるための指令を与え、この指令に基づいて、ポンプ制御部84は、印刷ヘッド33のノズル形成面33cがキャップ61で封止されている状態において、ポンプ駆動回路87を介して吸引ポンプ64を制御駆動させ、印刷ヘッド33のノズル33aから強制的にインクを排出させる動作(所定のクリーニング)を実行する。また、他のメンテナンス動作としては、たとえば、主制御部81は、ヘッド制御部83に印刷ヘッド33を駆動させるための指令を与え、この指令に基づいて、ヘッド制御部83は、ヘッド駆動回路86を介して印刷ヘッド33を制御駆動させ、キャップ61にインクを噴射する動作(所定のクリーニング)を実行する。
【0079】
なお、メンテナンステーブルを参照して、ノズル固化回復モード以外の、いずれかのメンテナンス動作を選定した場合であっても、キャップ61の内部に存在する水分は、上述の湿潤シーケンスを実行した場合よりも少ない状態となる。
【0080】
上述のS09の動作の後に、主制御部81は、所定時間が経過して、湿潤シーケンスを終了させるか否かを判定する(S11)。なお、S11における所定時間としては、たとえば12時間、24時間、48時間等のように、十分に長い時間とすることが好ましい。また、ノズル33aの目詰まりの解消の効果が現れることを考えると、所定時間としては、少なくとも3時間以上に設定することが好ましい。
【0081】
そして、上述のS11の判定において、所定時間が経過して、湿潤シーケンスを終了させると判定される場合(Yesの場合)、主制御部81は、図9に示す処理フローを終了させる。一方、所定時間が経過しておらず、湿潤シーケンスを終了させないと判定される場合(Noの場合)、主制御部81は、所定時間が経過するまで、S11の判定処理を繰り返し行う。
【0082】
<効果>
以上のような構成のプリンター10によれば、制御部80は、メンテナンス履歴記憶部82aにおける前回メンテナンス動作を行った日時の情報を参照して、N時間以上同一のノズル33aについて、ノズル抜けが生じているか否かを判定している。そして、N時間以上同一のノズル33aにつき、ノズル抜けが生じていると判定される場合には、主制御部81は、図8に示すようなウィンドウ120を表示させるための指令をコンピューター100側に出力し、その指令に基づいて図8に示すようなウィンドウ120が表示され、ユーザに湿潤メンテナンス動作を実行させるか否かを入力させるようにしている。そして、ユーザからウィンドウ120を介して湿潤メンテナンス動作を実行させる旨の入力が為された場合、主制御部81は、湿潤シーケンスを実行させている。
【0083】
このようにすることで、キャップ61とノズル形成面33cとの当接によって形成される密閉空間の内部に存在する水分を多い、または当該密閉空間の湿度が高い状態を実現できるため、その状態で放置しておくと、ノズル33aからノズル33aの内部にも水分が供給されていく。それにより、ノズル33aの内部で固化または増粘している部位にも水分が供給され、ノズル33aの目詰まりが解消可能となる。
【0084】
このため、通常のメンテナンス動作を実行してもなお、ノズル抜けが解消されないときでも、ノズル33aの目詰まりが解消可能となる。そのため、たとえば、年賀状印刷時のみプリンター10を使用する等のようにプリンター10の使用頻度が低い場合に上述の問題が起こりがちとなるノズル抜けを良好に解消可能となる。それにより、ユーザは、メーカのサービスセンタに連絡してプリンター10に対する修理を要求したり、ユーザのところまでサービスマンを出張させてプリンター10の修理に対応させるといったことが不要となり、ユーザの利便性を向上させることが可能となる。
【0085】
また、本実施の形態では、ノズル抜け検出装置70によりノズル開口33b1からインクが噴射されないと判定されてから最初にメンテナンス動作を行った時間から、最後にノズル抜け検出装置70でノズル抜け検出を行ったときまでの時間を計測し、その時間が判定閾値であるN時間以上となるか否かに基づいて、ノズル固化回復モードを実行している。
【0086】
このため、上述のような計測時間に基づいて、より強力なメンテナンス動作であるノズル固化回復モード(湿潤シーケンス)の実行が判断されることになる。そのため、他の通常のメンテナンス動作を実行しても、ノズル抜けが解消されないか否かの判断を正確に行うことが可能となる。
【0087】
また、本実施の形態では、主制御部81は、ノズル固化回復モード(湿潤シーケンス)を実行する場合の空吸引動作によるインクの吸引量が、他の通常のメンテナンス動作における空吸引動作によるインクの吸引量と比較して少なくなるように設定している。
【0088】
このため、ノズル固化回復モード(湿潤シーケンス)では、密閉空間内に残存するインクの量を多くすることが可能となり、密閉空間における水分の量を多くすることが可能となる。
【0089】
<変形例>
以上、本発明の一実施の形態について述べたが、本発明は、種々変形可能である。以下、それについて述べる。
【0090】
上述の実施の形態においては、図9に示すように、メンテナンス履歴記憶部82aにおける、前回メンテナンス動作を行った日時の情報を参照して、N時間以上同一のノズルについて、ノズル抜けが生じているか否かを判定している。しかしながら、メンテナンス履歴記憶部82aには、ノズル抜け検出装置70によりノズル抜けがあると検出されてから最後にノズル抜け検出装置70でノズル抜けがあると検出されるまでの間において、メンテナンス動作を行う度に、その回数(カウント値)をインクリメントさせつつ記憶させ、そのカウント値がカウント閾値(判定閾値に対応)以上となるか否かに応じて、ノズル固化回復モード(湿潤シーケンス)を実行するか否かを決定するようにしても良い。
【0091】
すなわち、図9におけるS06を変更し、図10に示すように、このメンテナンス履歴記憶部82aにおける、以前にメンテナンス動作を行った回数の情報を参照して、N回以上同一のノズル33aについて、ノズル抜けが生じているか否かを判定する(S61)。なお、上述のN回が、カウント閾値および判定閾値に相当する。
【0092】
このようにすると、ノズル抜けが生じてからのメンテナンス動作の回数のカウント値に基づいて、より強力なメンテナンス動作であるノズル固化回復モード(湿潤シーケンス)の実行が判断されることになる。そのため、他の通常のメンテナンス動作を実行しても、ノズル抜けが解消されないか否かの判断を正確に行うことが可能となる。
【0093】
なお、判定閾値としては、N時間ではなく、N日という日数に基づく値を用いるようにしても良い。
【0094】
また、上述の実施の形態では、キャップ61とノズル形成面33cとの当接によって形成される密閉空間の内部に存在する水分を多い、または当該密閉空間の湿度が高い状態を実現し、その状態で規定の時間放置しておくことにより、ノズル抜けを解消するようにしている。これに対して、メンテナンス実行手段として、超音波振動をノズル開口33b1に与える超音波振動付与手段(この超音波振動付与手段は、メンテナンス実行手段の一部とすることができる)を備える構成を採用しても良い。
【0095】
かかる構成を採用する場合、ノズル固化回復モード(湿潤シーケンス)においては、超音波振動付与手段の作動により、ノズル開口33b1に超音波振動が与えられる。それにより、ノズル開口33b1からノズル33aの内部への水分の供給を迅速かつ確実に行うことが可能となり、ノズル33aの内部で固化または増粘している部位を熱と水分とで溶かすことを、より確実に行うことが可能となる。それにより、ノズル33aの目詰まりを一層良好に解消可能となる。なお、超音波振動付与手段としては、超音波振動子、超音波モーター等を用いることが可能である。
【0096】
また、超音波振動付与手段により密閉空間の内部に超音波振動を与える場合、密閉空間の内部に存在する水分を多い、または当該密閉空間の湿度が高い状態としておくことが好ましい。この場合には、ノズル33aの内部で固化または増粘している部位を熱と水分とで溶かすことを、より確実に行うことが可能となる。しかしながら、密閉空間の内部に、通常のメンテナンス動作を実行した場合と同程度、またはそれよりも少ない程度の水分が残存している状態でも、超音波振動の付与によりノズル33aの内部で固化または増粘している部位を熱と水分とで溶かし、ノズル抜けを解消することは可能である。
【0097】
さらに、上述の実施の形態における湿潤シーケンスでは、ノズル33aから湿潤のためのインクまたは専用液が供給される構成を採用している。しかしながら、ノズル33a以外の他の水分供給手段を用いて、密閉空間内に水分を供給する構成を採用しても良い。このようにしても、上述の図9に示す処理フローを実行可能であり、ノズル抜けを良好に解消可能となる。
【0098】
また、上述の実施の形態では、図9のS06においては、メンテナンス履歴記憶部82aにおいて最初にノズル抜けが生じていると記録されている日時から、ノズル抜け検出装置70で最後にノズル抜けの検出を行った時間までの間の時間長さ(この時間長さが計測値に対応)と、上述のN時間(このN時間が判定閾値に対応)とが比較される。しかしながら、かかる時間長さの始点と終点は、種々変更可能である。
【0099】
たとえば、メンテナンス履歴記憶部82aには、メンテナンス動作を実行したときの日時が記憶させられるが、メンテナンス動作を実行したときの日時ではなく、ノズル抜け検出装置70で検出を行ったときの日時、メンテナンス動作を実行したときの日時に所定の付加時間を加えた日時、ノズル抜け検出装置70で検出を行ったときの日時に所定の付加時間を加えた日時をメンテナンス履歴記憶部82aに記憶させるようにしても良く、その場合には、時間長さの始点はノズル抜け検出装置70で検出を行った日時、メンテナンス動作を実行したときの日時に所定の付加時間を加えた日時、ノズル抜け検出装置70で検出を行ったときの日時に所定の付加時間を加えた日時等となる。また、ノズル抜け検出装置70で最後にノズル抜けの検出を行ったときが、上述の時間長さの終点に対応しているが、時間長さの終点としては、ノズル抜け検出装置70で検出を行ったときの日時に所定の付加時間を加えた日時等を用いるようにしても良い。
【0100】
また、上述の実施の形態では、キャップ61として、ノズル形成面33cに当接して、1つの封止空間を形成するものについて説明している。しかしながら、キャップとしては、当該キャップの内部の空間を細分化する隔壁が設けられている構成を採用しても良い。この場合、それぞれの色のインクを噴射するノズル列33dを、色別に独立して封止可能となる。また、キャップとしては、それぞれの色のインクを噴射するノズル列33dを、色別に独立して設ける構成を採用しても良い。すなわち、複数の色別のキャップを備える構成を採用しても良い。
【0101】
また、上述の実施の形態においては、制御部80は、ソフトウエア的に実現されるものでも良く、また回路的に実現される構成であっても良い。
【0102】
また、上述の実施の形態における液体噴射装置としては、プリンター10とコンピューター100の機能の両方を備えるものとしても良い。すなわち、プリンター10が単独で印刷装置11としての機能を有するものとすることもでき、換言すれば液体噴射装置と印刷装置とが等しい機能を有するもの(同じもの)であると考えることもでき、液体噴射装置は、印刷装置11に相当させることも可能である。液体噴射装置が、プリンター10とコンピューター100の機能の両方を備える場合、プリンター10(液体噴射装置)のみで、図8のウィンドウ120を表示させることができる。そのためには、プリンター10に、ウィンドウ120を表示可能な表示部を設けるようにすることが好ましい。なお、プリンター10が具備する表示部がコンピューター100の表示装置107よりも小さいものである等、表示能力に制約がある場合には、図8のウィンドウ120による表示ではなく、確認ボタン121,122の表示をなくし、プリンター10が備える操作ボタンでの入力に代用させる等、より簡略化した表示となるようにしても良い。
【0103】
また、プリンター10は、インクジェット式のプリンター10に適用される場合には限られず、例えば、ジェルジェット方式のプリンターとしても良い。また、プリンター以外のスキャナー装置、ファックス装置、コピー装置等を備える複合機を、本発明のプリンターとしても良い。
【0104】
また、上述の実施の形態におけるプリンター10の概念には、インク以外の他の液体(液体そのものや、機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体、ゲルのような流動性を有する材質を含む)を噴射したり噴射したりする流体噴射装置を含むようにすることもできる。そのようなものとしては、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材(画素材料)などの材料を分散または溶解のかたちで含む液体を噴射する液状体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する流体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する流体噴射装置等がある。
【0105】
さらに、本発明のプリンター10の概念に含まれるものとしては、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する流体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する流体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する流体噴射装置、ゲル(例えば物理ゲル)などの流状体を噴射する流状体噴射装置等がある。
【符号の説明】
【0106】
10…プリンター、11…印刷装置、30…キャリッジ機構、31…キャリッジ、33…印刷ヘッド(液体噴射ヘッドの一例、メンテナンス実行手段の一部の一例に対応)、50…インク供給機構、51…インクカートリッジ、60…クリーニング機構(メンテナンス実行手段の一例に対応)、61…キャップ(キャップ部材の一例に対応)、64…吸引ポンプ、70…ノズル抜け検出装置(検出手段に対応)、71…検出部、72…電圧印加部、73…電圧検出部、74…処理装置、80…制御部(メンテナンス動作制御手段の一例、入力手段の一部の一例、およびメンテナンス実行手段の一部の一例に対応)、82…メモリー、83…ヘッド制御部、84…ポンプ制御部、85…CLタイマー、100…コンピューター、104b…プリンタードライバープログラム、P…印刷用紙(印刷媒体の一例に対応)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズル形成面に液体を噴射する複数のノズル開口が設けられている液体噴射ヘッドと、
上記ノズル形成面に当接して密閉空間を形成するためのキャップ部材と、
上記ノズル開口から上記液体が噴射されたか否かを検出する検出手段と、
上記液体を上記液体噴射ヘッドから上記キャップ部材に噴射または排出させるメンテナンス動作を行うためのメンテナンス実行手段と、
上記検出手段による上記ノズル開口から上記液体が噴射されるか否かの検出に基づいて、上記メンテナンス実行手段で実行するメンテナンス動作を制御するメンテナンス動作制御手段と、
を備えると共に、
上記メンテナンス動作制御手段は、上記検出手段によって上記ノズル開口から上記液体が噴射されない状態を示す計測値が判定閾値に到達したか否かを判定し、当該計測値が上記判定閾値に到達したと判定される場合には、ユーザに湿潤メンテナンス動作を実行させるか否かを入力させるための入力手段を作動させると共に、この湿潤メンテナンス動作は、他の上記メンテナンス動作よりも上記密閉空間における水分が多いまたは湿度が高い状態を生じさせるものであり、
上記入力手段により上記湿潤メンテナンス動作を実行させる旨の入力が為された場合に、上記メンテナンス動作制御手段は、上記湿潤メンテナンス動作を上記メンテナンス実行手段に実行させる制御を行う、
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
請求項1記載の液体噴射装置であって、
前記計測値は、前記検出手段により前記ノズル開口から前記液体が噴射されないと判定されてから最初にメンテナンス動作を行った時間情報または前記検出手段により前記ノズル開口から前記液体が噴射されないと判定されたときの時間情報を参照し、その時間情報から最後に前記検出手段で検出を行ったときまでの計測時間である、
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項3】
請求項1記載の液体噴射装置であって、
前記計測値は、前記検出手段により前記ノズル開口から前記液体が噴射されないと判定されてから最後に前記検出手段で検出を行ったときまでに実行された前記メンテナンス動作の回数のカウント値である、
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の液体噴射装置であって、
前記メンテナンス実行手段は、前記キャップ部材の内部から前記液体を吸引する吸引手段を備えると共に、
前記メンテナンス動作制御手段は、前記湿潤メンテナンス動作を実行する場合に、前記キャップ部材によって前記ノズル形成面を封止しない状態で上記吸引手段を作動させる空吸引動作による前記液体の吸引量を、他の前記メンテナンス動作における空吸引動作による前記液体の吸引量と比較して少なくする、
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の液体噴射装置であって、
前記メンテナンス実行手段は、前記湿潤メンテナンス動作において超音波振動を前記ノズル開口に与える超音波振動付与手段を有する、
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項6】
ノズル形成面に液体を噴射する複数のノズル開口が設けられている液体噴射ヘッドと、
上記ノズル形成面に当接して密閉空間を形成するためのキャップ部材と、
上記ノズル開口から上記液体が噴射されたか否かを検出する検出手段と、
上記液体を上記液体噴射ヘッドから上記キャップ部材に噴射または排出させるメンテナンス動作を行うと共に、超音波振動を前記ノズル開口に与える超音波振動付与手段を有するメンテナンス実行手段と、
上記検出手段による上記ノズル開口から上記液体が噴射されるか否かの検出に基づいて、上記メンテナンス実行手段で実行するメンテナンス動作を制御するメンテナンス動作制御手段と、
を備えると共に、
上記メンテナンス動作制御手段は、上記検出手段によって上記ノズル開口から上記液体が噴射されない状態を示す計測値が判定閾値に到達したか否かを判定し、当該計測値が上記判定閾値に到達したと判定される場合には、ユーザに超音波振動付与手段を作動させる超音波メンテナンス動作を実行させるか否かを入力させるための入力手段を作動させると共に、
上記入力手段により上記超音波メンテナンス動作を実行させる旨の入力が為された場合に、上記メンテナンス動作制御手段は、上記密閉空間に上記液体が残存する状態で上記超音波メンテナンス動作を上記メンテナンス実行手段に実行させる制御を行う、
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項7】
ノズル形成面に液体を噴射する複数のノズル開口が設けられている液体噴射ヘッドと、上記ノズル形成面に当接して密閉空間を形成するためのキャップ部材と、上記ノズル開口から上記液体が噴射されたか否かを検出する検出手段と、上記液体を上記液体噴射ヘッドから上記キャップ部材に噴射または排出させるメンテナンス動作を行うためのメンテナンス実行手段と、を備える液体噴射装置におけるメンテナンス方法であって、
上記検出手段によって上記ノズル開口から上記液体が噴射されない状態を示す計測値が判定閾値に到達したか否かを判定する判定ステップと、
上記判定ステップで計測される上記計測値が上記判定閾値に到達したと判定される場合には、他の上記メンテナンス動作よりも上記密閉空間における水分が多いまたは湿度が高い状態を生じさせる湿潤メンテナンス動作を実行させるか否かをユーザに入力させるための入力手段を作動させる入力手段作動ステップと、
上記入力手段作動ステップにより上記湿潤メンテナンス動作を実行させる旨の入力が為された場合に、上記湿潤メンテナンス動作を上記メンテナンス実行手段に実行させる湿潤メンテナンス実行ステップと、
を有することを特徴とするメンテナンス方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−126013(P2011−126013A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−283744(P2009−283744)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】