液体噴射装置および制御方法
【課題】フラッシング動作を簡易且つ確実に実行する。
【解決手段】印刷装置100は、温度を検出する温度センサーS1と、インクをノズルから噴射する記録ヘッド24と、印字動作時に検出された温度を出力する一方、フラッシング動作時に検出した温度から補正温度を減算した修正温度を駆動信号発生部64に出力する制御部60とを備える。駆動信号発生部64は、供給される温度に応じた駆動信号を発生して記録ヘッド24に供給する。
【解決手段】印刷装置100は、温度を検出する温度センサーS1と、インクをノズルから噴射する記録ヘッド24と、印字動作時に検出された温度を出力する一方、フラッシング動作時に検出した温度から補正温度を減算した修正温度を駆動信号発生部64に出力する制御部60とを備える。駆動信号発生部64は、供給される温度に応じた駆動信号を発生して記録ヘッド24に供給する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク等の液体を噴射する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
圧電振動子や発熱素子等の圧力発生素子により圧力室内の圧力を変化させることで圧力室内の液体(例えばインク)をノズルから噴射する液体噴射技術が従来から提案されている。この技術においては、ノズルの目詰まり等を防止するために強制的に各ノズルから液体を噴射するフラッシング動作が採用される。
特許文献1には、フラッシング動作に関連して温度に応じて吐出回数を変更する技術が開示されている。
また、特許文献2には、印字に使う波形を用いてフラッシング動作を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−238780号公報
【特許文献2】特開2002−36594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、温度に応じて吐出回数が変化するのでフラッシング時間が温度によって変化してしまう。また、増粘の程度が大きい場合には、吐出回数を増やしたとしても弱い吐出力では液体を吐出することができないといった問題があった。
また、特許文献2に記載の技術は、ある温度において、印字に使う波形と同じ波形を用いてフラッシングを行うので、フラッシング動作時の吐出力は印字動作と同じである。このため、液体が増粘している場合に確実にフラッシングできるとは限らないといった問題があった。
以上の事情を考慮して、本発明は、より確実にフラッシング動作を行うことなどを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するため、本発明の液体噴射装置は、温度を検出する温度検出部と、液体が充填された圧力室と、前記圧力室に連通するノズルと、前記圧力室内の圧力を変動させる圧力発生部とを含み、前記圧力室内の圧力の変動に応じて前記圧力室内の前記液体を前記ノズルから噴射する噴射部と、印字動作時に検出された温度に応じて印字用信号を生成し、フラッシング動作時に前記印字用信号より吐出力の大きいフラッシング用信号を生成し、前記圧力発生部に供給する信号生成部と、を備える。
この発明によれば、フラッシング用信号は、温度に応じて吐出力が可変する印字用信号よりも吐出力が大きい。したがって、液体が増粘した場合であっても、ノズル近傍の液体をより確実に吐出させることができ、印字の信頼性を向上させることができる。
【0006】
上述した液体噴射装置において、前記信号生成部は、フラッシング動作時に、検出された温度よりも低い温度に対応する前記印字用信号を前記フラッシング用信号として生成することが好ましい。この発明によれば、検出温度よりも低い温度の印字用信号を用いてフラッシングを行うので、印字動作時と比較してフラッシング動作時の吐出力を大きくできる。また、フラッシング用信号を印字用信号と兼用できるので、構成を簡素化できる。
【0007】
上述した液体噴射装置において、前記信号生成部は、フラッシング動作時に、検出された温度から一定の補正温度を減算して得た修正温度に対応する前記印字用信号を前記フラッシング用信号として生成することが好ましい。この発明によれば、一定の補正温度を採用するので、簡易に修正温度を生成することができる。また、単に検出された温度の替わりに修正温度を生成すれば、印字用信号をフラッシング用信号として用いることができるので、構成を簡素化できる。
【0008】
上述した液体噴射装置において、湿度を検出する湿度検出部を備え、前記信号生成部は、フラッシング動作時に、検出された温度と検出された湿度に基づいて、前記印字用信号より吐出力の大きいフラッシング用信号を生成し、前記圧力発生部に供給することが好ましい。ノズル近傍の液体の増粘はメニスカスから液体が蒸発することが一因であるが、蒸発の程度は湿度に依存する。この発明によれば、温度のみならず湿度を考慮してフラッシング用信号を生成するので、より確実に増粘した液体を吐出して、印字の信頼性を向上させることができる。
【0009】
より具体的には、前記信号生成部は、フラッシング動作時に、検出された温度と検出された湿度に基づいて補正温度を生成し、検出された温度から前記補正温度を減算して得た修正温度に対応する前記印字用信号を前記フラッシング用信号として生成することが好ましい。この発明によれば、温度だけでなく湿度を補正温度に反映させるので、温度に応じて印字用信号を生成する場合に、湿度を考慮して簡単に印字用信号をフラッシング用信号に用いることが可能となる。
【0010】
上述した液体噴射装置において、印字動作が可能な下限温度を定められており、前記信号生成部は、フラッシング動作時に、前記修正温度が前記下限温度を下回る場合、前記下限温度に対応する前記印字用信号よりも吐出力の大きいフラッシング用信号を生成することが好ましい。この発明によれば、印字用信号の下限温度が定められている場合でも、より吐出力の大きなフラッシング用信号を生成できるので、特に、温度が低い場合であっても、確実にフラッシングを行うことができる。
【0011】
上述した液体噴射装置において、前記信号生成部は、前記フラッシング動作の開始から所定の吐出回数までは、前記印字用信号より吐出力の大きいフラッシング用信号を生成し、前記所定の吐出回数を経過した後は、検出された温度に応じた前記印字用信号をフラッシング用信号として生成することが好ましい。フラッシング動作を開始した直後は、メニスカス近傍の増粘した液体を吐出する必要があるため、より吐出力の大きな信号で圧力発生部を駆動する必要があるが、増粘した液体が吐出された後は、通常の吐出力でフラッシングを行うことができる。この発明によれば、フラッシング開始時についてだけ、吐出力の大きな信号を用いるので、増粘した液体を確実に吐出でき、しかも、吐出する液体の量を減らすことができる。
【0012】
本発明に係る液体噴射装置の制御方法は、温度を検出する温度検出部と、液体が充填された圧力室と、前記圧力室に連通するノズルと、前記圧力室内の圧力を変動させる圧力発生部とを含み、前記圧力室内の圧力の変動に応じて前記圧力室内の前記液体を前記ノズルから噴射する噴射部とを備えた液体噴射装置を制御する方法であって、印字動作時には検出された温度に応じて印字用信号を生成して前記圧力発生部に供給し、フラッシング動作時には検出された温度よりも低い温度に対応する前記印字用信号を前記フラッシング用信号として生成して前記圧力発生部に供給することを特徴とする。この発明によれば、フラッシング用信号は温度に応じて吐出力が可変する印字用信号よりも吐出力が大きい。したがって、液体が増粘した場合であっても、ノズル近傍の液体をより確実に吐出させることができ、印字の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態に係る印刷装置の部分的な模式図である。
【図2】記録ヘッドの断面図である。
【図3】第1実施形態の印刷装置の電気的な構成のブロック図である。
【図4】駆動信号の波形図である。
【図5】記録ヘッドの電気的な構成のブロック図である。
【図6】温度と噴射パルスとの関係を示す波形図である。
【図7】下限温度を下回る場合におけるフラッシング用の噴射パルスの一例を示す波形図である。
【図8】下限温度を下回る場合におけるフラッシング用の噴射パルスの一例を示す波形図である。
【図9】下限温度を下回る場合におけるフラッシング用の噴射パルスの一例を示す波形図である。
【図10】第2実施形態の印刷装置の電気的な構成のブロック図である。
【図11】テーブルの記憶内容の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<A:第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るインクジェット方式の印刷装置100の部分的な模式図である。印刷装置100は、微細な液滴状のインクを記録紙300に噴射する液体噴射装置であり、キャリッジ12と移動機構14と用紙搬送機構16とキャップ18とを具備する。
【0015】
キャリッジ12には、インクカートリッジ22と記録ヘッド24とが搭載される。インクカートリッジ22は、記録紙300に噴射されるインク(液体)を貯留する容器である。記録ヘッド24は、インクカートリッジ22に貯留されたインクを記録紙300に噴射する液体吐出部として機能する。なお、印刷装置100の筐体(図示略)にインクカートリッジ22を固定して記録ヘッド24にインクを供給する構成も採用され得る。
【0016】
図1の移動機構14は、案内軸122に沿ってキャリッジ12を主走査方向(記録紙300の幅方向)に往復させる。キャリッジ12の位置は、リニアエンコーダー等の検出器(図示略)で検出されて移動機構14の制御に利用される。用紙搬送機構16は、キャリッジ12の往復に並行して記録紙300を副走査方向に移動させる。キャリッジ12の往復時に記録ヘッド24が記録紙300にインクを噴射することで所望の画像が記録紙300に記録(印刷)される。
【0017】
移動機構14は、吐出面が記録紙300に対向する範囲の外側の位置(以下「待避位置」という)まで記録ヘッド24を移動させることが可能である。待避位置にある記録ヘッド24の吐出面に対向するようにキャップ18が配置される。キャップ18は、記録ヘッド24の吐出面を封止する。キャップ18の近傍には吐出面を払拭するワイパー(図示略)が配置される。
【0018】
図2は、記録ヘッド24の断面図(主走査方向に垂直な断面)である。図2に示すように、記録ヘッド24は、振動ユニット42と収容体44と流路ユニット46とを具備する。振動ユニット42は、圧電振動子422とケーブル424と固定板426とを有する。圧電振動子422は、圧電材料と電極とが交互に積層された縦振動型の圧電素子であり、ケーブル424を介して供給される駆動信号に応じて振動する。圧電振動子422を固定した固定板426が収容体44の内壁面に接合された状態で振動ユニット42は収容体44に収容される。
【0019】
流路ユニット46は、相互に対向する基板462と基板464との間隙に流路形成板466を介挿した構造体である。流路形成板466は、圧力室50と供給路52と貯留室54とを含む空間を基板462と基板464との間隙に形成する。圧力室50は、振動ユニット42毎に隔壁で個別に区画されるとともに供給路52を介して貯留室54に連通する。インクカートリッジ22から供給されるインクは貯留室54に貯留される。各ノズル56は、各圧力室50に対応するように基板462に形成される。各ノズル56は、流路ユニット46の外部と圧力室50とを連通させる貫通孔である。以上の説明から理解されるように、貯留室54から供給路52と圧力室50とノズル56とを経由して外部に至るインクの流路が形成される。
【0020】
基板464は、弾性材料で形成された平板材である。基板464のうち圧力室50の反対側の領域には島状の振動板48が形成される。振動板48には圧電振動子422の先端面(自由端)が接合される。したがって、駆動信号の供給により圧電振動子422が振動すると、振動板48を介して基板464が変位することで圧力室50の容積が変化して圧力室50内のインクの圧力が変動する。すなわち、圧電振動子422は、圧力室50内の圧力を変動させる圧力発生素子として機能する。以上に説明した圧力室50内の圧力の変動に応じてノズル56からインクを噴射することが可能である。すなわち、圧電振動子422と圧力室50とノズル56とで構成される要素は、インクを噴射する単位(以下「単位噴射部U」という)として機能する。
【0021】
図3は、印刷装置100の電気的な構成のブロック図である。図3に示すように、印刷装置100は、制御装置102と印刷処理部(プリントエンジン)104とを具備する。制御装置102は、印刷装置100の全体を制御する要素であり、制御部60と記憶部62と駆動信号発生部64と外部I/F(interface)66と内部I/F68とを有する。記録紙300に印刷される画像を示す印刷データDPが外部装置(例えばホストコンピューター)300から外部I/F66に供給され、内部I/F68には印刷処理部104が接続される。印刷処理部104は、制御装置102による制御のもとで記録紙300に画像を記録する要素であり、前述の記録ヘッド24と移動機構14と用紙搬送機構16とを有する。
【0022】
印刷装置100の動作期間は、印刷実行期間と印刷準備期間とを包含する。印刷実行期間は、制御装置102による制御のもとで印刷処理部104が記録紙300に画像を記録する期間(すなわち、実際に印刷が実行される期間)である。他方、印刷準備期間は、印刷実行期間での動作を準備する期間であり、例えば印刷装置100の電源が投入された直後(印刷実行期間の開始前)に設定される。各圧力室50内のインクは、ノズル56内に露出する表面(メニスカス)からの水分の蒸発等に起因して経時的に増粘する。印刷準備期間では、圧力室50内のインクの噴射が増粘等に起因して阻害される状態が、ノズル56からインクが適正に噴射される状態に改善されるように記録ヘッド24(各単位噴射部U)を調整する期間である。具体的には、印刷準備期間では微振動の付与とフラッシング動作とが実行される。なお、印刷準備期間の時期は任意である。例えば、印刷準備期間を定期的に設定した構成も採用される。
【0023】
記憶部62は、制御プログラム等を記憶するROMと、画像の印刷に必要な各種のデータを一時的に記憶するRAMとを有する。制御部60は、記憶部62に記憶された制御プログラムの実行で印刷装置100の各要素(例えば印刷処理部104)を統括的に制御する。例えば、制御部60は、圧力室50内のインクの噴射とインクに対する微振動の付与(すなわち非噴射)との何れかを指示する制御データDCを生成する。微振動とは、圧力室50内のインクがノズル56から噴射されない程度の振動を意味する。
【0024】
温度センサーS1は、環境温度を検出して制御部60に出力する。制御部60は、外部装置400から外部I/F66に供給される印刷データDPに応じてインクの噴射/非噴射(微振動)を指示する制御データDCを印刷実行期間にて生成する。すなわち、記録紙300に対するインクの噴射で印刷データDPに応じた画像を記録紙300に記録する動作を記録ヘッド24に実行させる。また、制御部60は、印刷準備期間にて微振動の付与やフラッシング動作が実行されるように記録ヘッド24を制御する。
さらに、制御部60は、駆動信号発生部64に対して温度信号を出力する。より具体的には、印刷実行期間においては、温度センサーS1で検出された温度を示す温度信号を出力し、印刷準備期間のフラッシング動作時には温度センサーS1で検出された温度よりも低い温度を示す温度信号を出力する。
【0025】
噴射パルスPD1および噴射パルスPD2の各々は、圧電振動子422に供給された場合に所定量のインクがノズル56から噴射するように圧力室50を振動させる駆動パルスである。この例では、第1噴射パルスPD1は第2噴射パルスPD2よりも大きなドットを形成することができる。
【0026】
図5は、記録ヘッド24の電気的な構成の模式図である。図5に示すように、記録ヘッド24は、相異なる単位噴射部Uに対応する複数の駆動回路32を有する。駆動信号発生部64が生成した駆動信号COM1および駆動信号COM2は、内部I/F68を介して複数の駆動回路32に共通に供給される。また、制御部60が生成した制御データDCは内部I/F68を介して各駆動回路32に供給される。
【0027】
各駆動回路32は、制御部60から供給される制御データDCに応じた区間を駆動信号COM1または駆動信号COM2から選択して圧電振動子422に供給する。例えば、制御データDCがインクの噴射を指示する場合、駆動回路32は、駆動信号COM1の噴射パルスPD1と駆動信号COM2の噴射パルスPD2とを選択して圧電振動子422に供給する。したがって、圧力室50内のインクがノズル56から噴射される。
【0028】
ところで、インクの粘度は温度が下がる程、大きくなる。温度の高い状態と比較して温度の低い状態で同じ量のインクを吐出するためには、より吐出力の大きいパルスを圧電振動子422に供給する必要がある。このため、制御部60は、温度信号を駆動信号発生部64に供給している。駆動信号発生部64は、温度信号に応じて吐出力を調整した駆動信号COM1および駆動信号COM2を生成する。
【0029】
具体的には、温度が低くなる程、インクの吐出力が大きくなるようにパルスの波形を調整する。図6に噴射パルスPD1と温度の関係を示す。温度においてT1<T2<T3である場合、噴射パルスPD1の最高電位Vhと最低電位VLとの電位差は、w11>w12>w13となる。このように温度に応じてインクの吐出力を制御することによって、温度に応じてインクの粘度が変化しても安定してインクを噴射することができる。
【0030】
また、制御部60は、記録ヘッド24にフラッシング動作を実行させる手段としても機能する。制御部60は、印刷準備期間において記録ヘッド24にフラッシング動作を実行させる。フラッシング動作は、記録ヘッド24を待避位置(キャップ18上)に移動させた状態で各単位噴射部Uに強制的にインクを噴射させる動作である。制御部60は、インクの噴射を指示する制御データDCを各駆動回路32に供給することで各単位噴射部Uにフラッシング動作(すなわち、噴射パルスPD1および噴射パルスPD2の選択)を実行させる。フラッシング動作で各ノズル56から噴射されたインクは、待避位置のキャップ18に受容される。以上のフラッシング動作により、各ノズル56の目詰まりや圧力室50内への気泡の侵入が解消されるとともにインクの増粘が解消される。フラッシング動作における各単位噴射部Uからのインクの噴射量は、制御部60が各単位噴射部Uに制御データDCを供給してインク噴射回数を設定することにより可変に制御される。
【0031】
ところで、フラッシング動作はノズルのメニスカスから水分が蒸発すること等に起因するメニスカス近傍のインクの増粘を抑制するために実行される。このため、フラッシング動作時に、その時点の温度に対応した印字用の噴射パルスで圧電振動子422を駆動してもインクを噴射できない可能性がある。そこで、本実施形態では、印字用の噴射パルスよりも吐出力の大きい噴射パルスを用いてフラッシング動作を行う。このため、フラッシング動作時には、温度センサーS1で検出された温度よりも低い温度に対応する噴射パルスを生成するように制御部60は駆動信号発生部64を制御する。すなわち、制御部60と駆動信号発生部64とは、印字動作時に検出された温度に応じて印字用の噴射パルス(印字用信号)を生成し、フラッシング動作時に印字用の噴射パルスより吐出力の大きいフラッシング用の噴射パルス(フラッシング用信号)を生成し、圧電振動子422に供給する手段として機能する。
【0032】
具体的には、制御部60は、温度センサーS1で検出された温度をTxとしたとき、温度Txから補正温度Thを減算して修正温度Ts(=Tx−Th)を得る。そして、制御部60は、修正温度Tsを駆動信号発生部64に供給する。駆動信号発生部64は、実際の温度Txより補正温度Thだけ低い修正温度Tsに対応した駆動信号COM1および駆動信号COM2を生成する。なお、制御部60は、フラッシング動作の全ての期間において修正温度Tsを出力してもよいが、本実施形態では、フラッシング期間の開始から所定数のインク吐出に相当する期間だけ修正温度Tsを出力し、その後のフラッシング期間においては検出された温度Txを出力する。これにより、駆動信号生成部64は、フラッシング動作の開始から所定の吐出回数までは、検出された温度Txの印字用の噴射パルスより吐出力の大きいフラッシング用の噴射パルスを生成し、所定の吐出回数を経過した後は、検出された温度Txに応じた印字用の噴射パルスを生成する。フラッシング動作を開始した直後は、メニスカス近傍の増粘したインクを吐出する必要があるため、より吐出力の大きな噴射パルスで圧電振動子422を駆動する必要があるが、増粘したインクが吐出された後は、通常の吐出力でフラッシングを行うことができる。このように、フラッシング開始時についてだけ、吐出力の大きな噴射パルスを用いるので、増粘したインクを確実に吐出でき、しかも、吐出するインク量を減らすことができる。
【0033】
また、補正温度Thは一定であってもよいし、可変にしてもよい。可変にする場合には、検出された温度Txを変数とする演算によって修正温度Tsを算出してもよい。また、温度センサーS1で検出された温度Txと補正温度Thと対応づけて記憶したテーブルを記憶部62に設け、これを参照して補正温度Thを取得すればよい。さらに、検出された温度Txと修正温度Tsと対応づけて記憶したテーブルを記憶部62に設け、これを参照して修正温度Tsを直接取得してもよい。補正温度Thを一定にする場合には、演算やテーブルを不要にできるので構成を簡素化できる。また、補正温度Thを可変にする場合には、インクの温度特性に応じてきめ細かい対応が可能となるので、より確実にフラッシングが可能となる。
【0034】
ところで、印字用の噴射パルスの最高電位と最低電位との電位差は、印刷装置100の使用温度範囲の下限温度Tminにおいて最も大きくなる。駆動信号発生部64の電源電圧は、下限温度Tminに対して最高電位と最低電位との電位差が最も大きい噴射パルスが生成できるように設計され、その以上の電位差の噴射パルスを生成不能な場合がある。修正温度Tsが下限温度Tmin未満の場合、駆動信号発生部64は、フラッシング動作時に下限温度Tminに対応する駆動信号COM1および駆動信号COM2を発生してもよいが、確実にフラッシングができるとは限らない。そこで、修正温度Tsが下限温度Tmin未満であった場合、駆動信号発生部64は、フラッシング用の駆動信号を生成してもよい。
【0035】
この場合、噴射パルスは、図7に示すように基準電位VREFと最低電位VLと差電圧Vcをフラッシング用の噴射パルスの方が小さくなるようにしてもよい。
あるいは、図8に示すように期間p1における噴射パルスの波形を急峻にしてもよい(立ち上がり時間を短く)。
さらに、記録ヘッド24の共振を利用してより強い吐出力を有する噴射パルスを生成してもよい。具体的には、記録ヘッド24の固有振動周期をTcとしたとき、図9に示すように圧力室の膨張開始から収縮開始に至るまでの時間と、固有振動周期Tcの半分の時間との差がより小さくなるように噴射パルスを生成してもよい。この場合には、以下に示す式(1)が成立する。
|T1−Tc/2|>|T2−Tc/2|……式(1)
【0036】
このように本実施形態においては、温度に応じた印字用の噴射パルスを生成するとともに、当該温度よりも低い温度の印字用の噴射パルスをフラッシング用の噴射パルスとして生成する。これにより、増粘したインクを通常の印字よりも吐出力の大きな噴射パルスを用いて噴射することができるので、印字の信頼性を向上させることができる。さらに、フラッシング用の噴射パルスを印字用の噴射パルスと兼用できるので、構成をより簡素化することができる。また、温度に応じて吐出力の異なるフラッシング用の噴射パルスを生成できるので、確実にフラッシングを行うことができる。さらに、温度の高い時には、低い時と比較して最高電位と最低電位との電位差の小さなフラッシング用の噴射パルスを用いるので消費電力を低減できる。
【0037】
<B:第2実施形態>
上述した第1実施形態においては、温度センサーS1で検出した温度よりも低い温度に対応する印字用の噴射パルスをフラッシング用の噴射パルスとして利用した。これに対して図10に示す第2実施形態に係る印刷装置200は、湿度センサーS2および補正テーブルTBLを備える点で相違し、その他は図3に示す第1実施形態の印刷装置100と同様に構成されている。
湿度センサーS2は、環境の湿度Wxを検出して制御部60に出力する。補正テーブルTBLには、検出された温度Txおよび湿度Wxと補正温度Thとが対応付けられて記憶されている。図11に補正テーブルTBLの記憶内容の一例を示す。この例では、同じ温度帯に着目すると、湿度が高くなる程、補正温度Thは小さくなる。すなわち、吐出力の小さな噴射パルスを用いる。これは、湿度が高くなるとメニスカスからインクが蒸発する量が小さくなるため、増粘の度合いが小さくなるからである。
このように、第2実施形態では、温度のみならず湿度を考慮してフラッシングに用いる噴射パルスを生成したので、より確実に増粘したインクを吐出することができ、印字の信頼性を向上させることができる。なお、補正テーブルTBLは、記憶部62に設けてもよい。
【0038】
<C:変形例>
以上の各形態は多様に変形される。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は相互に矛盾しない限り適宜に併合され得る。
(1)変形例1
以上の各形態では、複数系統の駆動信号(COM1,COM2)を記録ヘッド24に供給したが、1系統の駆動信号のみを各圧電振動子422の駆動に使用する構成や3系統以上の駆動信号を各圧電振動子422の駆動に使用する構成も採用され得る。1系統の駆動信号を使用する構成では、例えば、噴射パルスPD1と微振動パルスPS1と微振動パルスPS2とが時系列に配列された駆動信号が記録ヘッド24に供給される。また、駆動信号の各パルス(PD1,PD2,PS1,PS2)の波高や波形は任意である。
【0039】
(2)変形例2
インクの増粘の度合は、インクの種類によって相違する。そこで、インクカートリッジ22にインクの種類を示すデータを記憶したメモリーを設け、制御部60がキャリッジ12に装着されたインクカートリッジ22からインクの種類を示すデータを読み出し、インクの種類に応じて補正温度Thを変更するようにしてもよい。第1実施形態であれば、固定の補正温度Thを切り替えるか、あるいは、検出された温度Txと補正温度Thとを対応づけて記憶したメモリーをインクの種類に応じて用意し、これを切り替えるようにすればよい。第2実施形態では、テーブルTBLをインクの種類に応じて用意し、これを切り替えるようにすればよい。これにより、より確実に増粘したインクを吐出させることができる。
【0040】
(3)変形例3
以上の各形態では縦振動型の圧電振動子422を例示したが、圧力室50内の圧力を変化させる要素(圧力発生素子)の構成は以上の例示に限定されない。例えば、例えば撓み振動型の圧電振動子422や静電アクチュエーター等の振動体を利用することも可能である。また、本発明の圧力発生部は、圧力室50に機械的な振動を付与する要素に限定されない。例えば、圧力室50の加熱で気泡を発生させて圧力室50内の圧力を変化させる発熱素子(ヒーター)を圧力発生部として利用することも可能である。すなわち、本発明の圧力発生部は、圧力室50内の圧力を変化させる要素として包括され、圧力を変化させる方法(ピエゾ方式/サーマル方式)や構成の如何は不問である。
【0041】
(4)変形例4
以上の各形態の印刷装置100は、プロッターやファクシミリ装置,コピー機等の各種の機器に採用され得る。もっとも、本発明の液体噴射装置の用途は画像の印刷に限定されない。例えば、各色材の溶液を噴射する液体噴射装置は、液晶表示装置のカラーフィルターを形成する製造装置として利用される。また、液体状の導電材料を噴射する液体噴射装置は、例えば有機EL(Electroluminescence)表示装置や電界放出表示装置(FED:Field Emission Display)等の表示装置の電極を形成する電極製造装置として利用される。また、生体有機物の溶液を噴射する液体噴射装置は、生物化学素子(バイオチップ、マイクロアレイ)を製造するチップ製造装置として利用される。
【0042】
また、以上の各形態では、記録ヘッド24を搭載したキャリッジ12が主走査方向に移動するシリアル型の印刷装置100を例示したが、記録紙の幅方向の全域にわたって複数のノズルが配列するように主走査方向に長尺状に構成されたライン型の記録ヘッドを利用した印刷装置にも本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0043】
100……印刷装置、12……キャリッジ、14……移動機構、16……用紙搬送機構、18……キャップ、20……噴射検出部、22……インクカートリッジ、24……記録ヘッド、32……駆動回路、42……振動ユニット、422……圧電振動子、60……制御部、62……記憶部、64……駆動信号発生部、66……外部I/F、68……内部I/F、72……着弾部材、76……検出回路、200……記録紙、300……外部装置、S1……温度センサー、S2……湿度センサー、補正TBL……テーブル、PD1,PD2……噴射パルス。
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク等の液体を噴射する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
圧電振動子や発熱素子等の圧力発生素子により圧力室内の圧力を変化させることで圧力室内の液体(例えばインク)をノズルから噴射する液体噴射技術が従来から提案されている。この技術においては、ノズルの目詰まり等を防止するために強制的に各ノズルから液体を噴射するフラッシング動作が採用される。
特許文献1には、フラッシング動作に関連して温度に応じて吐出回数を変更する技術が開示されている。
また、特許文献2には、印字に使う波形を用いてフラッシング動作を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−238780号公報
【特許文献2】特開2002−36594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、温度に応じて吐出回数が変化するのでフラッシング時間が温度によって変化してしまう。また、増粘の程度が大きい場合には、吐出回数を増やしたとしても弱い吐出力では液体を吐出することができないといった問題があった。
また、特許文献2に記載の技術は、ある温度において、印字に使う波形と同じ波形を用いてフラッシングを行うので、フラッシング動作時の吐出力は印字動作と同じである。このため、液体が増粘している場合に確実にフラッシングできるとは限らないといった問題があった。
以上の事情を考慮して、本発明は、より確実にフラッシング動作を行うことなどを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するため、本発明の液体噴射装置は、温度を検出する温度検出部と、液体が充填された圧力室と、前記圧力室に連通するノズルと、前記圧力室内の圧力を変動させる圧力発生部とを含み、前記圧力室内の圧力の変動に応じて前記圧力室内の前記液体を前記ノズルから噴射する噴射部と、印字動作時に検出された温度に応じて印字用信号を生成し、フラッシング動作時に前記印字用信号より吐出力の大きいフラッシング用信号を生成し、前記圧力発生部に供給する信号生成部と、を備える。
この発明によれば、フラッシング用信号は、温度に応じて吐出力が可変する印字用信号よりも吐出力が大きい。したがって、液体が増粘した場合であっても、ノズル近傍の液体をより確実に吐出させることができ、印字の信頼性を向上させることができる。
【0006】
上述した液体噴射装置において、前記信号生成部は、フラッシング動作時に、検出された温度よりも低い温度に対応する前記印字用信号を前記フラッシング用信号として生成することが好ましい。この発明によれば、検出温度よりも低い温度の印字用信号を用いてフラッシングを行うので、印字動作時と比較してフラッシング動作時の吐出力を大きくできる。また、フラッシング用信号を印字用信号と兼用できるので、構成を簡素化できる。
【0007】
上述した液体噴射装置において、前記信号生成部は、フラッシング動作時に、検出された温度から一定の補正温度を減算して得た修正温度に対応する前記印字用信号を前記フラッシング用信号として生成することが好ましい。この発明によれば、一定の補正温度を採用するので、簡易に修正温度を生成することができる。また、単に検出された温度の替わりに修正温度を生成すれば、印字用信号をフラッシング用信号として用いることができるので、構成を簡素化できる。
【0008】
上述した液体噴射装置において、湿度を検出する湿度検出部を備え、前記信号生成部は、フラッシング動作時に、検出された温度と検出された湿度に基づいて、前記印字用信号より吐出力の大きいフラッシング用信号を生成し、前記圧力発生部に供給することが好ましい。ノズル近傍の液体の増粘はメニスカスから液体が蒸発することが一因であるが、蒸発の程度は湿度に依存する。この発明によれば、温度のみならず湿度を考慮してフラッシング用信号を生成するので、より確実に増粘した液体を吐出して、印字の信頼性を向上させることができる。
【0009】
より具体的には、前記信号生成部は、フラッシング動作時に、検出された温度と検出された湿度に基づいて補正温度を生成し、検出された温度から前記補正温度を減算して得た修正温度に対応する前記印字用信号を前記フラッシング用信号として生成することが好ましい。この発明によれば、温度だけでなく湿度を補正温度に反映させるので、温度に応じて印字用信号を生成する場合に、湿度を考慮して簡単に印字用信号をフラッシング用信号に用いることが可能となる。
【0010】
上述した液体噴射装置において、印字動作が可能な下限温度を定められており、前記信号生成部は、フラッシング動作時に、前記修正温度が前記下限温度を下回る場合、前記下限温度に対応する前記印字用信号よりも吐出力の大きいフラッシング用信号を生成することが好ましい。この発明によれば、印字用信号の下限温度が定められている場合でも、より吐出力の大きなフラッシング用信号を生成できるので、特に、温度が低い場合であっても、確実にフラッシングを行うことができる。
【0011】
上述した液体噴射装置において、前記信号生成部は、前記フラッシング動作の開始から所定の吐出回数までは、前記印字用信号より吐出力の大きいフラッシング用信号を生成し、前記所定の吐出回数を経過した後は、検出された温度に応じた前記印字用信号をフラッシング用信号として生成することが好ましい。フラッシング動作を開始した直後は、メニスカス近傍の増粘した液体を吐出する必要があるため、より吐出力の大きな信号で圧力発生部を駆動する必要があるが、増粘した液体が吐出された後は、通常の吐出力でフラッシングを行うことができる。この発明によれば、フラッシング開始時についてだけ、吐出力の大きな信号を用いるので、増粘した液体を確実に吐出でき、しかも、吐出する液体の量を減らすことができる。
【0012】
本発明に係る液体噴射装置の制御方法は、温度を検出する温度検出部と、液体が充填された圧力室と、前記圧力室に連通するノズルと、前記圧力室内の圧力を変動させる圧力発生部とを含み、前記圧力室内の圧力の変動に応じて前記圧力室内の前記液体を前記ノズルから噴射する噴射部とを備えた液体噴射装置を制御する方法であって、印字動作時には検出された温度に応じて印字用信号を生成して前記圧力発生部に供給し、フラッシング動作時には検出された温度よりも低い温度に対応する前記印字用信号を前記フラッシング用信号として生成して前記圧力発生部に供給することを特徴とする。この発明によれば、フラッシング用信号は温度に応じて吐出力が可変する印字用信号よりも吐出力が大きい。したがって、液体が増粘した場合であっても、ノズル近傍の液体をより確実に吐出させることができ、印字の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態に係る印刷装置の部分的な模式図である。
【図2】記録ヘッドの断面図である。
【図3】第1実施形態の印刷装置の電気的な構成のブロック図である。
【図4】駆動信号の波形図である。
【図5】記録ヘッドの電気的な構成のブロック図である。
【図6】温度と噴射パルスとの関係を示す波形図である。
【図7】下限温度を下回る場合におけるフラッシング用の噴射パルスの一例を示す波形図である。
【図8】下限温度を下回る場合におけるフラッシング用の噴射パルスの一例を示す波形図である。
【図9】下限温度を下回る場合におけるフラッシング用の噴射パルスの一例を示す波形図である。
【図10】第2実施形態の印刷装置の電気的な構成のブロック図である。
【図11】テーブルの記憶内容の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<A:第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るインクジェット方式の印刷装置100の部分的な模式図である。印刷装置100は、微細な液滴状のインクを記録紙300に噴射する液体噴射装置であり、キャリッジ12と移動機構14と用紙搬送機構16とキャップ18とを具備する。
【0015】
キャリッジ12には、インクカートリッジ22と記録ヘッド24とが搭載される。インクカートリッジ22は、記録紙300に噴射されるインク(液体)を貯留する容器である。記録ヘッド24は、インクカートリッジ22に貯留されたインクを記録紙300に噴射する液体吐出部として機能する。なお、印刷装置100の筐体(図示略)にインクカートリッジ22を固定して記録ヘッド24にインクを供給する構成も採用され得る。
【0016】
図1の移動機構14は、案内軸122に沿ってキャリッジ12を主走査方向(記録紙300の幅方向)に往復させる。キャリッジ12の位置は、リニアエンコーダー等の検出器(図示略)で検出されて移動機構14の制御に利用される。用紙搬送機構16は、キャリッジ12の往復に並行して記録紙300を副走査方向に移動させる。キャリッジ12の往復時に記録ヘッド24が記録紙300にインクを噴射することで所望の画像が記録紙300に記録(印刷)される。
【0017】
移動機構14は、吐出面が記録紙300に対向する範囲の外側の位置(以下「待避位置」という)まで記録ヘッド24を移動させることが可能である。待避位置にある記録ヘッド24の吐出面に対向するようにキャップ18が配置される。キャップ18は、記録ヘッド24の吐出面を封止する。キャップ18の近傍には吐出面を払拭するワイパー(図示略)が配置される。
【0018】
図2は、記録ヘッド24の断面図(主走査方向に垂直な断面)である。図2に示すように、記録ヘッド24は、振動ユニット42と収容体44と流路ユニット46とを具備する。振動ユニット42は、圧電振動子422とケーブル424と固定板426とを有する。圧電振動子422は、圧電材料と電極とが交互に積層された縦振動型の圧電素子であり、ケーブル424を介して供給される駆動信号に応じて振動する。圧電振動子422を固定した固定板426が収容体44の内壁面に接合された状態で振動ユニット42は収容体44に収容される。
【0019】
流路ユニット46は、相互に対向する基板462と基板464との間隙に流路形成板466を介挿した構造体である。流路形成板466は、圧力室50と供給路52と貯留室54とを含む空間を基板462と基板464との間隙に形成する。圧力室50は、振動ユニット42毎に隔壁で個別に区画されるとともに供給路52を介して貯留室54に連通する。インクカートリッジ22から供給されるインクは貯留室54に貯留される。各ノズル56は、各圧力室50に対応するように基板462に形成される。各ノズル56は、流路ユニット46の外部と圧力室50とを連通させる貫通孔である。以上の説明から理解されるように、貯留室54から供給路52と圧力室50とノズル56とを経由して外部に至るインクの流路が形成される。
【0020】
基板464は、弾性材料で形成された平板材である。基板464のうち圧力室50の反対側の領域には島状の振動板48が形成される。振動板48には圧電振動子422の先端面(自由端)が接合される。したがって、駆動信号の供給により圧電振動子422が振動すると、振動板48を介して基板464が変位することで圧力室50の容積が変化して圧力室50内のインクの圧力が変動する。すなわち、圧電振動子422は、圧力室50内の圧力を変動させる圧力発生素子として機能する。以上に説明した圧力室50内の圧力の変動に応じてノズル56からインクを噴射することが可能である。すなわち、圧電振動子422と圧力室50とノズル56とで構成される要素は、インクを噴射する単位(以下「単位噴射部U」という)として機能する。
【0021】
図3は、印刷装置100の電気的な構成のブロック図である。図3に示すように、印刷装置100は、制御装置102と印刷処理部(プリントエンジン)104とを具備する。制御装置102は、印刷装置100の全体を制御する要素であり、制御部60と記憶部62と駆動信号発生部64と外部I/F(interface)66と内部I/F68とを有する。記録紙300に印刷される画像を示す印刷データDPが外部装置(例えばホストコンピューター)300から外部I/F66に供給され、内部I/F68には印刷処理部104が接続される。印刷処理部104は、制御装置102による制御のもとで記録紙300に画像を記録する要素であり、前述の記録ヘッド24と移動機構14と用紙搬送機構16とを有する。
【0022】
印刷装置100の動作期間は、印刷実行期間と印刷準備期間とを包含する。印刷実行期間は、制御装置102による制御のもとで印刷処理部104が記録紙300に画像を記録する期間(すなわち、実際に印刷が実行される期間)である。他方、印刷準備期間は、印刷実行期間での動作を準備する期間であり、例えば印刷装置100の電源が投入された直後(印刷実行期間の開始前)に設定される。各圧力室50内のインクは、ノズル56内に露出する表面(メニスカス)からの水分の蒸発等に起因して経時的に増粘する。印刷準備期間では、圧力室50内のインクの噴射が増粘等に起因して阻害される状態が、ノズル56からインクが適正に噴射される状態に改善されるように記録ヘッド24(各単位噴射部U)を調整する期間である。具体的には、印刷準備期間では微振動の付与とフラッシング動作とが実行される。なお、印刷準備期間の時期は任意である。例えば、印刷準備期間を定期的に設定した構成も採用される。
【0023】
記憶部62は、制御プログラム等を記憶するROMと、画像の印刷に必要な各種のデータを一時的に記憶するRAMとを有する。制御部60は、記憶部62に記憶された制御プログラムの実行で印刷装置100の各要素(例えば印刷処理部104)を統括的に制御する。例えば、制御部60は、圧力室50内のインクの噴射とインクに対する微振動の付与(すなわち非噴射)との何れかを指示する制御データDCを生成する。微振動とは、圧力室50内のインクがノズル56から噴射されない程度の振動を意味する。
【0024】
温度センサーS1は、環境温度を検出して制御部60に出力する。制御部60は、外部装置400から外部I/F66に供給される印刷データDPに応じてインクの噴射/非噴射(微振動)を指示する制御データDCを印刷実行期間にて生成する。すなわち、記録紙300に対するインクの噴射で印刷データDPに応じた画像を記録紙300に記録する動作を記録ヘッド24に実行させる。また、制御部60は、印刷準備期間にて微振動の付与やフラッシング動作が実行されるように記録ヘッド24を制御する。
さらに、制御部60は、駆動信号発生部64に対して温度信号を出力する。より具体的には、印刷実行期間においては、温度センサーS1で検出された温度を示す温度信号を出力し、印刷準備期間のフラッシング動作時には温度センサーS1で検出された温度よりも低い温度を示す温度信号を出力する。
【0025】
噴射パルスPD1および噴射パルスPD2の各々は、圧電振動子422に供給された場合に所定量のインクがノズル56から噴射するように圧力室50を振動させる駆動パルスである。この例では、第1噴射パルスPD1は第2噴射パルスPD2よりも大きなドットを形成することができる。
【0026】
図5は、記録ヘッド24の電気的な構成の模式図である。図5に示すように、記録ヘッド24は、相異なる単位噴射部Uに対応する複数の駆動回路32を有する。駆動信号発生部64が生成した駆動信号COM1および駆動信号COM2は、内部I/F68を介して複数の駆動回路32に共通に供給される。また、制御部60が生成した制御データDCは内部I/F68を介して各駆動回路32に供給される。
【0027】
各駆動回路32は、制御部60から供給される制御データDCに応じた区間を駆動信号COM1または駆動信号COM2から選択して圧電振動子422に供給する。例えば、制御データDCがインクの噴射を指示する場合、駆動回路32は、駆動信号COM1の噴射パルスPD1と駆動信号COM2の噴射パルスPD2とを選択して圧電振動子422に供給する。したがって、圧力室50内のインクがノズル56から噴射される。
【0028】
ところで、インクの粘度は温度が下がる程、大きくなる。温度の高い状態と比較して温度の低い状態で同じ量のインクを吐出するためには、より吐出力の大きいパルスを圧電振動子422に供給する必要がある。このため、制御部60は、温度信号を駆動信号発生部64に供給している。駆動信号発生部64は、温度信号に応じて吐出力を調整した駆動信号COM1および駆動信号COM2を生成する。
【0029】
具体的には、温度が低くなる程、インクの吐出力が大きくなるようにパルスの波形を調整する。図6に噴射パルスPD1と温度の関係を示す。温度においてT1<T2<T3である場合、噴射パルスPD1の最高電位Vhと最低電位VLとの電位差は、w11>w12>w13となる。このように温度に応じてインクの吐出力を制御することによって、温度に応じてインクの粘度が変化しても安定してインクを噴射することができる。
【0030】
また、制御部60は、記録ヘッド24にフラッシング動作を実行させる手段としても機能する。制御部60は、印刷準備期間において記録ヘッド24にフラッシング動作を実行させる。フラッシング動作は、記録ヘッド24を待避位置(キャップ18上)に移動させた状態で各単位噴射部Uに強制的にインクを噴射させる動作である。制御部60は、インクの噴射を指示する制御データDCを各駆動回路32に供給することで各単位噴射部Uにフラッシング動作(すなわち、噴射パルスPD1および噴射パルスPD2の選択)を実行させる。フラッシング動作で各ノズル56から噴射されたインクは、待避位置のキャップ18に受容される。以上のフラッシング動作により、各ノズル56の目詰まりや圧力室50内への気泡の侵入が解消されるとともにインクの増粘が解消される。フラッシング動作における各単位噴射部Uからのインクの噴射量は、制御部60が各単位噴射部Uに制御データDCを供給してインク噴射回数を設定することにより可変に制御される。
【0031】
ところで、フラッシング動作はノズルのメニスカスから水分が蒸発すること等に起因するメニスカス近傍のインクの増粘を抑制するために実行される。このため、フラッシング動作時に、その時点の温度に対応した印字用の噴射パルスで圧電振動子422を駆動してもインクを噴射できない可能性がある。そこで、本実施形態では、印字用の噴射パルスよりも吐出力の大きい噴射パルスを用いてフラッシング動作を行う。このため、フラッシング動作時には、温度センサーS1で検出された温度よりも低い温度に対応する噴射パルスを生成するように制御部60は駆動信号発生部64を制御する。すなわち、制御部60と駆動信号発生部64とは、印字動作時に検出された温度に応じて印字用の噴射パルス(印字用信号)を生成し、フラッシング動作時に印字用の噴射パルスより吐出力の大きいフラッシング用の噴射パルス(フラッシング用信号)を生成し、圧電振動子422に供給する手段として機能する。
【0032】
具体的には、制御部60は、温度センサーS1で検出された温度をTxとしたとき、温度Txから補正温度Thを減算して修正温度Ts(=Tx−Th)を得る。そして、制御部60は、修正温度Tsを駆動信号発生部64に供給する。駆動信号発生部64は、実際の温度Txより補正温度Thだけ低い修正温度Tsに対応した駆動信号COM1および駆動信号COM2を生成する。なお、制御部60は、フラッシング動作の全ての期間において修正温度Tsを出力してもよいが、本実施形態では、フラッシング期間の開始から所定数のインク吐出に相当する期間だけ修正温度Tsを出力し、その後のフラッシング期間においては検出された温度Txを出力する。これにより、駆動信号生成部64は、フラッシング動作の開始から所定の吐出回数までは、検出された温度Txの印字用の噴射パルスより吐出力の大きいフラッシング用の噴射パルスを生成し、所定の吐出回数を経過した後は、検出された温度Txに応じた印字用の噴射パルスを生成する。フラッシング動作を開始した直後は、メニスカス近傍の増粘したインクを吐出する必要があるため、より吐出力の大きな噴射パルスで圧電振動子422を駆動する必要があるが、増粘したインクが吐出された後は、通常の吐出力でフラッシングを行うことができる。このように、フラッシング開始時についてだけ、吐出力の大きな噴射パルスを用いるので、増粘したインクを確実に吐出でき、しかも、吐出するインク量を減らすことができる。
【0033】
また、補正温度Thは一定であってもよいし、可変にしてもよい。可変にする場合には、検出された温度Txを変数とする演算によって修正温度Tsを算出してもよい。また、温度センサーS1で検出された温度Txと補正温度Thと対応づけて記憶したテーブルを記憶部62に設け、これを参照して補正温度Thを取得すればよい。さらに、検出された温度Txと修正温度Tsと対応づけて記憶したテーブルを記憶部62に設け、これを参照して修正温度Tsを直接取得してもよい。補正温度Thを一定にする場合には、演算やテーブルを不要にできるので構成を簡素化できる。また、補正温度Thを可変にする場合には、インクの温度特性に応じてきめ細かい対応が可能となるので、より確実にフラッシングが可能となる。
【0034】
ところで、印字用の噴射パルスの最高電位と最低電位との電位差は、印刷装置100の使用温度範囲の下限温度Tminにおいて最も大きくなる。駆動信号発生部64の電源電圧は、下限温度Tminに対して最高電位と最低電位との電位差が最も大きい噴射パルスが生成できるように設計され、その以上の電位差の噴射パルスを生成不能な場合がある。修正温度Tsが下限温度Tmin未満の場合、駆動信号発生部64は、フラッシング動作時に下限温度Tminに対応する駆動信号COM1および駆動信号COM2を発生してもよいが、確実にフラッシングができるとは限らない。そこで、修正温度Tsが下限温度Tmin未満であった場合、駆動信号発生部64は、フラッシング用の駆動信号を生成してもよい。
【0035】
この場合、噴射パルスは、図7に示すように基準電位VREFと最低電位VLと差電圧Vcをフラッシング用の噴射パルスの方が小さくなるようにしてもよい。
あるいは、図8に示すように期間p1における噴射パルスの波形を急峻にしてもよい(立ち上がり時間を短く)。
さらに、記録ヘッド24の共振を利用してより強い吐出力を有する噴射パルスを生成してもよい。具体的には、記録ヘッド24の固有振動周期をTcとしたとき、図9に示すように圧力室の膨張開始から収縮開始に至るまでの時間と、固有振動周期Tcの半分の時間との差がより小さくなるように噴射パルスを生成してもよい。この場合には、以下に示す式(1)が成立する。
|T1−Tc/2|>|T2−Tc/2|……式(1)
【0036】
このように本実施形態においては、温度に応じた印字用の噴射パルスを生成するとともに、当該温度よりも低い温度の印字用の噴射パルスをフラッシング用の噴射パルスとして生成する。これにより、増粘したインクを通常の印字よりも吐出力の大きな噴射パルスを用いて噴射することができるので、印字の信頼性を向上させることができる。さらに、フラッシング用の噴射パルスを印字用の噴射パルスと兼用できるので、構成をより簡素化することができる。また、温度に応じて吐出力の異なるフラッシング用の噴射パルスを生成できるので、確実にフラッシングを行うことができる。さらに、温度の高い時には、低い時と比較して最高電位と最低電位との電位差の小さなフラッシング用の噴射パルスを用いるので消費電力を低減できる。
【0037】
<B:第2実施形態>
上述した第1実施形態においては、温度センサーS1で検出した温度よりも低い温度に対応する印字用の噴射パルスをフラッシング用の噴射パルスとして利用した。これに対して図10に示す第2実施形態に係る印刷装置200は、湿度センサーS2および補正テーブルTBLを備える点で相違し、その他は図3に示す第1実施形態の印刷装置100と同様に構成されている。
湿度センサーS2は、環境の湿度Wxを検出して制御部60に出力する。補正テーブルTBLには、検出された温度Txおよび湿度Wxと補正温度Thとが対応付けられて記憶されている。図11に補正テーブルTBLの記憶内容の一例を示す。この例では、同じ温度帯に着目すると、湿度が高くなる程、補正温度Thは小さくなる。すなわち、吐出力の小さな噴射パルスを用いる。これは、湿度が高くなるとメニスカスからインクが蒸発する量が小さくなるため、増粘の度合いが小さくなるからである。
このように、第2実施形態では、温度のみならず湿度を考慮してフラッシングに用いる噴射パルスを生成したので、より確実に増粘したインクを吐出することができ、印字の信頼性を向上させることができる。なお、補正テーブルTBLは、記憶部62に設けてもよい。
【0038】
<C:変形例>
以上の各形態は多様に変形される。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は相互に矛盾しない限り適宜に併合され得る。
(1)変形例1
以上の各形態では、複数系統の駆動信号(COM1,COM2)を記録ヘッド24に供給したが、1系統の駆動信号のみを各圧電振動子422の駆動に使用する構成や3系統以上の駆動信号を各圧電振動子422の駆動に使用する構成も採用され得る。1系統の駆動信号を使用する構成では、例えば、噴射パルスPD1と微振動パルスPS1と微振動パルスPS2とが時系列に配列された駆動信号が記録ヘッド24に供給される。また、駆動信号の各パルス(PD1,PD2,PS1,PS2)の波高や波形は任意である。
【0039】
(2)変形例2
インクの増粘の度合は、インクの種類によって相違する。そこで、インクカートリッジ22にインクの種類を示すデータを記憶したメモリーを設け、制御部60がキャリッジ12に装着されたインクカートリッジ22からインクの種類を示すデータを読み出し、インクの種類に応じて補正温度Thを変更するようにしてもよい。第1実施形態であれば、固定の補正温度Thを切り替えるか、あるいは、検出された温度Txと補正温度Thとを対応づけて記憶したメモリーをインクの種類に応じて用意し、これを切り替えるようにすればよい。第2実施形態では、テーブルTBLをインクの種類に応じて用意し、これを切り替えるようにすればよい。これにより、より確実に増粘したインクを吐出させることができる。
【0040】
(3)変形例3
以上の各形態では縦振動型の圧電振動子422を例示したが、圧力室50内の圧力を変化させる要素(圧力発生素子)の構成は以上の例示に限定されない。例えば、例えば撓み振動型の圧電振動子422や静電アクチュエーター等の振動体を利用することも可能である。また、本発明の圧力発生部は、圧力室50に機械的な振動を付与する要素に限定されない。例えば、圧力室50の加熱で気泡を発生させて圧力室50内の圧力を変化させる発熱素子(ヒーター)を圧力発生部として利用することも可能である。すなわち、本発明の圧力発生部は、圧力室50内の圧力を変化させる要素として包括され、圧力を変化させる方法(ピエゾ方式/サーマル方式)や構成の如何は不問である。
【0041】
(4)変形例4
以上の各形態の印刷装置100は、プロッターやファクシミリ装置,コピー機等の各種の機器に採用され得る。もっとも、本発明の液体噴射装置の用途は画像の印刷に限定されない。例えば、各色材の溶液を噴射する液体噴射装置は、液晶表示装置のカラーフィルターを形成する製造装置として利用される。また、液体状の導電材料を噴射する液体噴射装置は、例えば有機EL(Electroluminescence)表示装置や電界放出表示装置(FED:Field Emission Display)等の表示装置の電極を形成する電極製造装置として利用される。また、生体有機物の溶液を噴射する液体噴射装置は、生物化学素子(バイオチップ、マイクロアレイ)を製造するチップ製造装置として利用される。
【0042】
また、以上の各形態では、記録ヘッド24を搭載したキャリッジ12が主走査方向に移動するシリアル型の印刷装置100を例示したが、記録紙の幅方向の全域にわたって複数のノズルが配列するように主走査方向に長尺状に構成されたライン型の記録ヘッドを利用した印刷装置にも本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0043】
100……印刷装置、12……キャリッジ、14……移動機構、16……用紙搬送機構、18……キャップ、20……噴射検出部、22……インクカートリッジ、24……記録ヘッド、32……駆動回路、42……振動ユニット、422……圧電振動子、60……制御部、62……記憶部、64……駆動信号発生部、66……外部I/F、68……内部I/F、72……着弾部材、76……検出回路、200……記録紙、300……外部装置、S1……温度センサー、S2……湿度センサー、補正TBL……テーブル、PD1,PD2……噴射パルス。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度を検出する温度検出部と、
液体が充填された圧力室と、前記圧力室に連通するノズルと、前記圧力室内の圧力を変動させる圧力発生部とを含み、前記圧力室内の圧力の変動に応じて前記圧力室内の前記液体を前記ノズルから噴射する噴射部と、
印字動作時に検出された温度に応じて印字用信号を生成し、フラッシング動作時に前記印字用信号より吐出力の大きいフラッシング用信号を生成し、前記圧力発生部に供給する信号生成部と、
を備えた液体噴射装置。
【請求項2】
前記信号生成部は、フラッシング動作時に、検出された温度よりも低い温度に対応する前記印字用信号を前記フラッシング用信号として生成することを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項3】
前記信号生成部は、フラッシング動作時に、検出された温度から一定の補正温度を減算して得た修正温度に対応する前記印字用信号を前記フラッシング用信号として生成することを特徴とする請求項2に記載の液体噴射装置。
【請求項4】
湿度を検出する湿度検出部を備え、
前記信号生成部は、フラッシング動作時に、検出された温度と検出された湿度に基づいて、前記印字用信号より吐出力の大きいフラッシング用信号を生成し、前記圧力発生部に供給する、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項5】
前記信号生成部は、フラッシング動作時に、検出された温度と検出された湿度に基づいて補正温度を生成し、検出された温度から前記補正温度を減算して得た修正温度に対応する前記印字用信号を前記フラッシング用信号として生成する、
ことを特徴とする請求項4に記載の液体噴射装置。
【請求項6】
印字動作が可能な下限温度を定められており、
前記信号生成部は、フラッシング動作時に、前記修正温度が前記下限温度を下回る場合、前記下限温度に対応する前記印字用信号よりも吐出力の大きいフラッシング用信号を生成する、
ことを特徴とする請求項3又は5に記載の液体噴射装置。
【請求項7】
前記信号生成部は、前記フラッシング動作の開始から所定の吐出回数までは、前記印字用信号より吐出力の大きいフラッシング用信号を生成し、前記所定の吐出回数を経過した後は、検出された温度に応じた前記印字用信号をフラッシング用信号として生成する、ことを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載の液体噴射装置。
【請求項8】
温度を検出する温度検出部と、液体が充填された圧力室と、前記圧力室に連通するノズルと、前記圧力室内の圧力を変動させる圧力発生部とを含み、前記圧力室内の圧力の変動に応じて前記圧力室内の前記液体を前記ノズルから噴射する噴射部とを備えた液体噴射装置の制御方法であって、
印字動作時には検出された温度に応じて印字用信号を生成して前記圧力発生部に供給し、
フラッシング動作時には検出された温度よりも低い温度に対応する前記印字用信号を前記フラッシング用信号として生成して前記圧力発生部に供給する、
ことを特徴とする液体噴射装置の制御方法。
【請求項1】
温度を検出する温度検出部と、
液体が充填された圧力室と、前記圧力室に連通するノズルと、前記圧力室内の圧力を変動させる圧力発生部とを含み、前記圧力室内の圧力の変動に応じて前記圧力室内の前記液体を前記ノズルから噴射する噴射部と、
印字動作時に検出された温度に応じて印字用信号を生成し、フラッシング動作時に前記印字用信号より吐出力の大きいフラッシング用信号を生成し、前記圧力発生部に供給する信号生成部と、
を備えた液体噴射装置。
【請求項2】
前記信号生成部は、フラッシング動作時に、検出された温度よりも低い温度に対応する前記印字用信号を前記フラッシング用信号として生成することを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項3】
前記信号生成部は、フラッシング動作時に、検出された温度から一定の補正温度を減算して得た修正温度に対応する前記印字用信号を前記フラッシング用信号として生成することを特徴とする請求項2に記載の液体噴射装置。
【請求項4】
湿度を検出する湿度検出部を備え、
前記信号生成部は、フラッシング動作時に、検出された温度と検出された湿度に基づいて、前記印字用信号より吐出力の大きいフラッシング用信号を生成し、前記圧力発生部に供給する、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項5】
前記信号生成部は、フラッシング動作時に、検出された温度と検出された湿度に基づいて補正温度を生成し、検出された温度から前記補正温度を減算して得た修正温度に対応する前記印字用信号を前記フラッシング用信号として生成する、
ことを特徴とする請求項4に記載の液体噴射装置。
【請求項6】
印字動作が可能な下限温度を定められており、
前記信号生成部は、フラッシング動作時に、前記修正温度が前記下限温度を下回る場合、前記下限温度に対応する前記印字用信号よりも吐出力の大きいフラッシング用信号を生成する、
ことを特徴とする請求項3又は5に記載の液体噴射装置。
【請求項7】
前記信号生成部は、前記フラッシング動作の開始から所定の吐出回数までは、前記印字用信号より吐出力の大きいフラッシング用信号を生成し、前記所定の吐出回数を経過した後は、検出された温度に応じた前記印字用信号をフラッシング用信号として生成する、ことを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載の液体噴射装置。
【請求項8】
温度を検出する温度検出部と、液体が充填された圧力室と、前記圧力室に連通するノズルと、前記圧力室内の圧力を変動させる圧力発生部とを含み、前記圧力室内の圧力の変動に応じて前記圧力室内の前記液体を前記ノズルから噴射する噴射部とを備えた液体噴射装置の制御方法であって、
印字動作時には検出された温度に応じて印字用信号を生成して前記圧力発生部に供給し、
フラッシング動作時には検出された温度よりも低い温度に対応する前記印字用信号を前記フラッシング用信号として生成して前記圧力発生部に供給する、
ことを特徴とする液体噴射装置の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−131149(P2012−131149A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285976(P2010−285976)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]