説明

液体噴射装置及び液体噴射方法

【課題】サクションファン機能付きプラテンによる記録媒体の伸縮を補正し、色ずれなどが発生しない液体噴射装置を提供する。
【解決手段】第1搬送ローラー41の回転状況を検出する第1ロータリーエンコーダー61と、第2搬送ローラー42の回転軸に取り付けられ、前記第2搬送ローラー42の回転状況を検出する第2ロータリーエンコーダー62と、前記第1ロータリーエンコーダー61によって検出される前記第1搬送ローラー41の回転状況と、前記第2ロータリーエンコーダー62によって検出される前記第2搬送ローラー42の回転状況とに基づいて、前記ノズルで液体を噴射するタイミングを調整するコントローラーと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被噴射材の液体噴射面に液体を噴射する液体噴射装置及び液体噴射方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体噴射装置の一つとしてインクジェットプリンターが知られている。このインクジェットプリンターは、紙や布、フィルムなどの各種媒体に向けて、ヘッドの複数のノズルから液体としてのインクを噴射して印刷を行うものである。
【0003】
インクジェット式のプリンターの中には、用紙サイズがA2以上の大判のものを用いるタイプがある。かかる大判のインクジェットプリンターにおいては、単票紙以外に、いわゆるロール紙(以下、用紙が巻回されたいわゆるロール紙をロール体とし、ロール体から引き出される部分を用紙とする。)が利用されることが多い。
【0004】
インクジェット式のプリンターにおいては、用紙の伸縮によって色ずれを起こすことがある。そこで、色ずれを補正するための方法が種々提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1(特開2004−268361号公報)には、印字ヘッドによりインクを吐出して画像を形成する画像形成部と用紙に印刷されたインクを乾燥させる乾燥部からなる印刷装置を複数台有し、各印刷装置を直列に配置して印刷・乾燥工程を複数回行うことによって最終的な画像を形成するインクジェット記録装置において、予め用意された用紙の伸縮特性に対応する駆動周期により前記各印字ヘッドを駆動させることを特徴とするインクジェット記録装置が開示されている。
【特許文献1】特開2004−268361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
インクジェット式のプリンターにおける液体噴射領域の下部に配置されるプラテンにおいて記録媒体の姿勢安定のためにサクションを行うと、記録媒体をプラテン上に引き留める方向の抵抗が生じて、記録媒体の搬送方向によって伸縮状況が異なる。この場合、記録媒体の伸縮による色ずれを防止するためには、記録媒体に働く抵抗による伸縮を補正するように液体噴射を行わなければならない。
【0007】
しかしながら、従来のインクジェット記録装置では、用紙の水分変化に伴う伸縮に対応するのみであり、プラテンのサクションに基づく伸縮に対応することができず、色ずれなどが発生しない適正な印刷を行うことができず、問題であった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決するためのもので、本発明に係る液体噴射装置は、長尺状の記録媒体を搬送する搬送部と、前記搬送部によって搬送される前記記録媒体を載置すると共に、前記記録媒体の搬送に対する抵抗を発生する記録媒体支持部と、前記記録媒体支持部の鉛直上方に配置され、前記記録媒体に液体を噴射するノズルを有する液体噴射ヘッドと、前記記録媒体支持部に前記記録媒体が進入する進入部で前記記録媒体に当接し、前記記録媒体の搬送と共に連れ周りする第1搬送ローラーと、前記記録媒体支持部から前記記録媒体が進出する進出部で前記記録媒体に当接し、前記記録媒体の搬送と共に連れ周りする第2搬送ローラーと、前記第1搬送ローラーの回転軸に取り付けられ、前記第1搬送ローラーの回転状況を検出する第1ロータリーエンコーダーと、前記第2搬送ローラーの回転
軸に取り付けられ、前記第2搬送ローラーの回転状況を検出する第2ロータリーエンコーダーと、前記第1ロータリーエンコーダーによって検出される前記第1搬送ローラーの回転状況と、前記第2ロータリーエンコーダーによって検出される前記第2搬送ローラーの回転状況とに基づいて、前記ノズルで液体を噴射するタイミングを調整するコントローラーと、を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る液体噴射装置は、前記コントローラーは、前記第1ロータリーエンコーダーによって検出される前記第1搬送ローラーの回転状況と、前記第2ロータリーエンコーダーによって検出される前記第2搬送ローラーの回転状況とに基づいて、液体を噴射させる前記ノズルの選択を行うことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る液体噴射装置は、前記記録媒体支持部がサクション機能付きのプラテンであることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る液体噴射方法は、長尺状の記録媒体を搬送する搬送部と、前記搬送部によって搬送される前記記録媒体を載置すると共に、前記記録媒体の搬送に対する抵抗を発生する記録媒体支持部と、前記記録媒体支持部の鉛直上方に配置され、前記記録媒体に液体を噴射するノズルを有する液体噴射ヘッドと、前記記録媒体支持部に前記記録媒体が進入する進入部で前記記録媒体に当接し、前記記録媒体の搬送と共に連れ周りする第1搬送ローラーと、前記記録媒体支持部から前記記録媒体が進出する進出部で前記記録媒体に当接し、前記記録媒体の搬送と共に連れ周りする第2搬送ローラーと、前記第1搬送ローラーの回転軸に取り付けられ、前記第1搬送ローラーの回転状況を検出する第1ロータリーエンコーダーと、前記第2搬送ローラーの回転軸に取り付けられ、前記第2搬送ローラーの回転状況を検出する第2ロータリーエンコーダーと、前記第1ロータリーエンコーダーと前記第2ロータリーエンコーダーとからの検出データが入力されると共に、前記液体噴射ヘッドにおける液体の噴射を制御するコントローラーと、を有し、前記コントローラーは、前記第1ロータリーエンコーダーによって検出される前記第1搬送ローラーの回転状況と、前記第2ロータリーエンコーダーによって検出される前記第2搬送ローラーの回転状況とに基づいて、前記ノズルで液体を噴射するタイミングを調整する制御を行うことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る液体噴射方法は、前記コントローラーは、前記第1ロータリーエンコーダーによって検出される前記第1搬送ローラーの回転状況と、前記第2ロータリーエンコーダーによって検出される前記第2搬送ローラーの回転状況とに基づいて、液体を噴射させる前記ノズルの選択を行うことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る液体噴射方法は、前記記録媒体支持部がサクション機能付きのプラテンであることを特徴とする。
【0014】
以上、本発明の液体噴射装置及び液体噴射方法によれば、前記記録媒体支持部の進入部に配される第1搬送ローラーの回転状況を検出する第1ロータリーエンコーダーと、前記記録媒体支持部の進出部に配される第2搬送ローラーの回転状況を検出する第2ロータリーエンコーダーと、によって検出されるそれぞれのローラーの回転状況によって、前記記録媒体支持部の抵抗に基づく記録媒体Sの伸縮を把握し、これによりノズルで液体を噴射するタイミングを調整するので、色ずれなどが発生しない適正な印刷を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る液体噴射装置10の要部を示す図である。
【図2】プリンター10の全体構成のブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る液体噴射装置10における画像形成部周辺の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施形態に係る液体噴射装置10の要部を示す図であり、図2はプリンター10の全体構成のブロック図である。本実施形態においては、ラインヘッドユニット150は、記録用紙の搬送平面に沿って移動することなく記録用紙の搬送経路の途中に記録媒体の搬送方向と直交する方向に用紙幅全体に亘るように配置されたものが用いられている。ラインヘッドユニット150の下面には、記録媒体の搬送方向と直交する方向にわたり、インクを噴射するノズル列(不図示)が設けられており、これによりインクを噴射して記録媒体に画像を形成する。ラインヘッドユニット150は、コントローラー110及び駆動信号生成回路117に接続されている。駆動信号生成回路117からは、インクの噴射を制御するための駆動電圧がラインヘッドユニット150の各ノズルに送られるようになっている。
【0017】
上記のようなラインヘッドユニット150として、本実施形態では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の色インク(液体)を記録媒体Sに噴射する220Y、220M、220C、220Kが搭載されており、記録媒体S上にフルカラーの画像を印刷することができるようになっている。また、以下において、イエローやイエローインクのこと「Y」などと略記し、参照符号にサフィックスとして付加して、ラインヘッドユニット150が噴射する液体の色を示すことがある。なお、本実施形態においては、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のインクを噴射する4つのラインヘッドが設けられる構成について説明しているが、プリンター10で扱い得る色種、色数はこれに限定されるものではない。
【0018】
コンピューター1は、印刷を行う画像に応じた画像データを、プリンタドライバを介してプリンター10に送る。画像データには、媒体の各画素についてインク色毎にインクを噴射するか否かを示す画素データが含まれている。
【0019】
本実施形態で使用する上記の各色インクとしては、例えば、水或いは有機溶剤を溶媒として顔料や染料が分散されてなるインクを適宜用いることができる。また、本発明による液体噴射装置10に用いられる記録媒体Sとしては、普通紙、再生紙、光沢紙等の各種紙、各種布地、各種不織布、樹脂等の材質からなる記録媒体Sが適用可能である。
【0020】
上記のようなラインヘッドユニット150は、コントローラー110に接続されており、ラインヘッドユニット150に対しては、インクの噴射を制御するための信号などが送られる。ラインヘッドユニット150の下方部は、記録媒体Sに記録を行う記録領域とされており、この記録領域には、記録媒体Sを非記録面側から水平に支持するプラテン19が設けられている。このプラテン19は、特許請求の範囲においては「記録媒体支持部」として上位概念的に表現されている。
【0021】
プラテン19には、サクションファン18が設けられており、さらに記録媒体Sを支持する水平面には不図示の細孔が複数設けられている。サクションファン18を回転しプラテン19内を負圧にすることで、前記細孔からは空気を吸引するように気流が発生する。このような気流により、記録媒体Sはプラテン19に吸着され、記録媒体Sの姿勢が安定する。サクションファン18を制御するサクションファンユニット160は、コントローラー110に接続されており、コントローラー110がサクションファンユニット160に対して制御命令を送信し、サクションファン18の回転数を制御することで、プラテン19において記録媒体Sを吸着する力を調節することができるようになっている。
【0022】
上記のようなプラテン19によれば、記録媒体Sをプラテン19上に引き留める方向の抵抗が生じて、記録媒体Sはプラテン19上で搬送方向に応じて伸縮することとなる。このため、後述するように、プラテン19の(記録媒体Sの)進入部と進出部に、記録媒体Sの搬送速度を検出し得る2つのロータリーエンコーダーを設けて、これらロータリーエンコーダーからのデータに基づいて、ノズルで液体を噴射するタイミングを調整したり、液体を噴射させるノズルを選択したりすることで、補正を行うことで、上記のようなプラテン部19における記録媒体Sの伸縮に対応するようにしている。
【0023】
液体噴射装置10には、供給ローラー20、駆動ローラー対30、第1搬送ローラー41、第2搬送ローラー42、テンションローラー対70、巻き取りローラー80等により、記録媒体Sの搬送経路が構成されている。駆動ローラー対30や巻き取りローラー80には、これらのローラー軸に取り付けられたモーター(不図示)と、このモーターを制御する記録媒体搬送制御ユニット130によって、記録媒体Sの搬送速度や巻き取り速度などが制御されるようになっている。また、記録媒体搬送制御ユニット130は、上位装置であるコントローラー110に接続されており、このコントローラー110からの指令に基づいて、記録媒体Sの搬送や巻き取りローラー80における記録媒体Sの巻き取りを制御するようになっている。
【0024】
また、テンションローラー対70には、このローラー軸に取り付けられたモーター(不図示)と、このモーターを制御するテンションローラー制御ユニット170によって、記録媒体Sにかかるテンションを制御することができるようになっている。また、テンションローラー制御ユニット170は、上位装置であるコントローラー110に接続されており、このコントローラー110からの指令に基づいて、記録媒体Sの搬送、テンションローラー対70を制御するようになっている。
【0025】
供給ローラー20は、長尺状の記録媒体Sを搬送経路に送り出すものである。供給ローラー20から送り出された記録媒体Sは、プラテン19部における画像形成部でインクを噴射され、最終的に巻き取りローラー80によって印刷済みの記録媒体Sとして巻き取られることとなる。
【0026】
搬送経路中における第1搬送ローラー41及び第2搬送ローラー42は従動ローラーであり、プラテン19に記録媒体Sが進入する進入部に配された第1搬送ローラー41の回転軸(不図示)には第1ロータリーエンコーダー61が、また、プラテン19から記録媒体Sが進出する進出部に配された第2搬送ローラー42の回転軸(不図示)には第2ロータリーエンコーダー62が取り付けられており、第1搬送ローラー41及び第2搬送ローラー42それぞれの回転状況を第1ロータリーエンコーダー61及び第2ロータリーエンコーダー62によって検出することができるようになっている。これにより、記録媒体Sのプラテン19進入部における搬送速度と、記録媒体Sのプラテン19進出部における搬送速度とを把握することができるような構成となっている。
【0027】
第1ロータリーエンコーダー61によって検出されたデータ、及び、第2ロータリーエンコーダー62によって検出されたデータは、それぞれコントローラー110に送信されて解析されることで記録媒体Sの伸縮状況が把握される。コントローラー110は把握された伸縮量に応じて、ラインヘッドユニット150におけるインク噴射タイミング制御や、噴射ノズル選択制御を行うことで、色ずれ防止の補正を行う。
【0028】
巻き取りローラー80には、記録媒体Sをロール体に巻き込む際に、記録媒体Sをロール体に押しつけることによって、空気などの巻き込みを防止する押圧ローラー45
が設けられている。
【0029】
また、液体噴射装置10の筐体上面(不図示)には、例えばタッチパネルにより構成され、ユーザーが選択可能な記録モードを表示するとともに、表示された記録モードをユーザーが選択して入力する入力操作ユニット120が設けられている。この入力操作ユニット120は、後述のコントローラー110に接続されており、所定操作に基づいて選択された記録モードに係る信号をコントローラー110に対して出力するようになっている。本発明において、このような入力操作ユニット120から、記録媒体Sの種別に係る情報(後述のポアソン比など)を入力して、それに応じて伸縮量の算出を行い得るように構成することができる。
【0030】
図2は、本実施形態における液体噴射装置10を制御するための制御ブロックを示したものであり、この制御ブロックにおけるコントローラー110は、たとえば、CPU111、ROM112、RAM113からなり、ROM112に記録された処理プログラムをRAM113に展開してCPU111によりこの処理プログラムを実行したり、或いは、所定の演算処理を実行したりするようになっている。また、インターフェイス105は、液体噴射装置10のコントローラー110とコンピューター1を接続するために設けられたインターフェイスである。上記のROM112には、記録媒体Sの伸縮量の算出処理、及び、記録媒体Sの伸縮量に応じてノズルからインクを噴射するタイミングをずらす処理、及び記録媒体Sの伸縮量に応じて印刷データを拡大・縮小するために、インクを噴射するノズルを選択する処理を実行するためのプログラムが記憶されている。
【0031】
このコントローラー110は、前述の処理プログラムに従い、記録媒体搬送制御ユニット130、ラインヘッドユニット150、サクションファンユニット160、テンションローラー制御ユニット170等を動作状況等のステータスに基づいて、制御するようになっている。
【0032】
次に、以上のように構成される液体噴射装置10における伸縮量の演算方法について説明する。図3は本発明の実施形態に係る液体噴射装置10における画像形成部周辺の構成を示す図であり、図3(A)は液体噴射装置10における記録媒体Sの搬送方向を側面からみた図であり、図3(B)は図3(A)と対応する装置構成を上面から見た図である。
【0033】
プラテン19はサクションファン18の動作により記録媒体Sを吸着することとなるが、このような吸着力があると、記録媒体Sが搬送方向にテンションをもって引かれる力に対して、記録媒体Sをプラテン19上に引き留める方向の抵抗が生じることとなる。このような抵抗力のために、プラテン19の進入部から進出部にかけて、記録媒体Sは図3(B)に示すように伸縮する。より具体的には、記録媒体Sはプラテン19の搬送方向において伸び、搬送方向と直交する方向においては縮む。
【0034】
上記のようなプラテン19上における記録媒体Sの伸縮を、本発明においては、プラテン19に記録媒体Sが進入する進入部で記録媒体Sに当接し、記録媒体Sの搬送と共に連れ周りする第1搬送ローラー41の回転軸に取り付けられ、第1搬送ローラー41の回転状況を検出する第1ロータリーエンコーダー61と、プラテン19から記録媒体Sが進出する進出部で記録媒体Sに当接し、記録媒体Sの搬送と共に連れ周りする第2搬送ローラー42の回転軸に取り付けられ、第2搬送ローラー42の回転状況を検出する第2ロータリーエンコーダー62と、から得られる検出データによって、求めるようにしている。以下、図3に基づいて、記録媒体Sの伸縮量を求める方法の一例について説明する。
【0035】
表1は第1搬送ローラー41及び第1ロータリーエンコーダー61の規格と、第1ロータリーエンコーダー61による検出データ例を示すものである。また、表2は第2搬送ローラー42及び第2ロータリーエンコーダー62の規格と、第2ロータリーエンコーダー62による検出データ例を示すものである。
【0036】
【表1】

【0037】
【表2】

また、表3はプラテン19の進入部から進出部までの寸法関係を示すものである。なお、プラテン19においては、その上水平面前面において吸着力が作用するものとしている。また、この吸着力はプラテン19上水平面前面で均一であるものとしている。
【0038】
【表3】

YMCKそれぞれのインク噴射位置での噴射タイミングは、所定の時間より、(色位置/プラテン長さ)のロータリーエンコーダーパルス差で補正すればよいので、以下の通りとなる。
●Yインク噴射位置では、j1=(L1/L)×(p2−p1)分の噴射タイミングのパル数を減算する。
●Mインク噴射位置では、j2=(L2/L)×(p2−p1)分の噴射タイミングのパル数を減算する。
●Cインク噴射位置では、j3=(L3/L)×(p2−p1)分の噴射タイミングのパル数を減算する。
●Kインク噴射位置では、j4=(L4/L)×(p2−p1)分の噴射タイミングのパル数を減算する。
【0039】
以上のような液体噴射装置10によれば、プラテン19の進入部に配される第1搬送ローラー41の回転状況を検出する第1ロータリーエンコーダー61と、プラテン19の進出部に配される第2搬送ローラー42の回転状況を検出する第2ロータリーエンコーダー62と、によって検出されるそれぞれのローラーの回転状況によって、プラテン19の抵抗に基づく記録媒体Sの伸縮を把握し、これによりノズルで液体を噴射するタイミングを調整するので、色ずれなどが発生しない適正な印刷を行うことが可能となる。
【0040】
記録媒体Sの搬送方向の伸び量は、それぞれのインク噴射位置で以下の通りとなる。
●Yインク噴射位置では、k1=j1×(D×π)/P
●Mインク噴射位置では、k2=j2×(D×π)/P
●Cインク噴射位置では、k3=j3×(D×π)/P
●Kインク噴射位置では、k4=j4×(D×π)/P
ここで、εmdを記録媒体Sの搬送方向の縦ひずみとし、εcdを記録媒体Sの搬送方向と直交する方向の横ひずみとすると、記録媒体Sのポアソン比はν=εcd/εmdとして定義することができる。
【0041】
先の記録媒体Sの搬送方向の伸び量に基づいて、それぞれのインク噴射位置で縮み量は以下の通りとなる。
●Yインク噴射位置では、Δm1=ν×k1
●Mインク噴射位置では、Δm2=ν×k2
●Cインク噴射位置では、Δm3=ν×k3
●Kインク噴射位置では、Δm4=ν×k4
上記のように、それぞれのインク噴射位置で、記録媒体Sが縮むことを想定して、印刷データを縮小する補正を行うことで、記録媒体Sの搬送方向と直交する方向におけるずれを防止することができる。このような補正は、コントローラー110が、第1ロータリーエンコーダー61によって検出される第1搬送ローラー41の回転状況と、第2ロータリーエンコーダー62によって検出される第2搬送ローラー42の回転状況とに基づいて、液体を噴射させるノズルの選択を行うことに相当している。
【0042】
以上、本発明の液体噴射装置によれば、前記記録媒体支持部の進入部に配される第1搬送ローラー41の回転状況を検出する第1ロータリーエンコーダー61と、前記記録媒体支持部の進出部に配される第2搬送ローラー42の回転状況を検出する第2ロータリーエンコーダー62と、によって検出されるそれぞれのローラーの回転状況によって、前記記録媒体支持部の抵抗に基づく記録媒体Sの伸縮を把握し、これによりノズルで液体を噴射するタイミングを調整するので、色ずれなどが発生しない適正な印刷を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0043】
1・・・コンピューター、10・・・プリンター、18・・・サクションファン、19・・・プラテン、20・・・供給ローラー、30・・・駆動ローラー対、41・・・第1搬送ローラー、42・・・第2搬送ローラー、45・・・押圧ローラー、61・・・第1ロータリーエンコーダー、62・・・第2ロータリーエンコーダー、70・・・テンションローラー対、80・・・巻き取りローラー、105・・・インターフェイス、110・・・コントローラー、111・・・CPU、112・・・ROM、113・・・RAM、117・・・駆動電圧生成回路、120・・・入力操作ユニット、130・・・記録媒体搬送ユニット、130・・・記録媒体搬送制御ユニット、150・・・ラインヘッドユニット、160・・・サクションファンユニット、170・・・テンションローラー制御ユニ
ット、S・・・記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の記録媒体を搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送される前記記録媒体を載置すると共に、前記記録媒体の搬送に対する抵抗を発生する記録媒体支持部と、
前記記録媒体支持部の鉛直上方に配置され、前記記録媒体に液体を噴射するノズルを有する液体噴射ヘッドと、
前記記録媒体支持部に前記記録媒体が進入する進入部で前記記録媒体に当接し、前記記録媒体の搬送と共に連れ周りする第1搬送ローラーと、
前記記録媒体支持部から前記記録媒体が進出する進出部で前記記録媒体に当接し、前記記録媒体の搬送と共に連れ周りする第2搬送ローラーと、
前記第1搬送ローラーの回転軸に取り付けられ、前記第1搬送ローラーの回転状況を検出する第1ロータリーエンコーダーと、
前記第2搬送ローラーの回転軸に取り付けられ、前記第2搬送ローラーの回転状況を検出する第2ロータリーエンコーダーと、
前記第1ロータリーエンコーダーによって検出される前記第1搬送ローラーの回転状況と、前記第2ロータリーエンコーダーによって検出される前記第2搬送ローラーの回転状況とに基づいて、前記ノズルで液体を噴射するタイミングを調整するコントローラーと、
を有することを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
前記コントローラーは、前記第1ロータリーエンコーダーによって検出される前記第1搬送ローラーの回転状況と、前記第2ロータリーエンコーダーによって検出される前記第2搬送ローラーの回転状況とに基づいて、液体を噴射させる前記ノズルの選択を行うことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項3】
前記記録媒体支持部がサクション機能付きのプラテンであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体噴射装置。
【請求項4】
長尺状の記録媒体を搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送される前記記録媒体を載置すると共に、前記記録媒体の搬送に対する抵抗を発生する記録媒体支持部と、
前記記録媒体支持部の鉛直上方に配置され、前記記録媒体に液体を噴射するノズルを有する液体噴射ヘッドと、
前記記録媒体支持部に前記記録媒体が進入する進入部で前記記録媒体に当接し、前記記録媒体の搬送と共に連れ周りする第1搬送ローラーと、
前記記録媒体支持部から前記記録媒体が進出する進出部で前記記録媒体に当接し、前記記録媒体の搬送と共に連れ周りする第2搬送ローラーと、
前記第1搬送ローラーの回転軸に取り付けられ、前記第1搬送ローラーの回転状況を検出する第1ロータリーエンコーダーと、
前記第2搬送ローラーの回転軸に取り付けられ、前記第2搬送ローラーの回転状況を検出する第2ロータリーエンコーダーと、
前記第1ロータリーエンコーダーと前記第2ロータリーエンコーダーとからの検出データが入力されると共に、前記液体噴射ヘッドにおける液体の噴射を制御するコントローラーと、
を有し、
前記コントローラーは、
前記第1ロータリーエンコーダーによって検出される前記第1搬送ローラーの回転状況と、前記第2ロータリーエンコーダーによって検出される前記第2搬送ローラーの回転状況とに基づいて、前記ノズルで液体を噴射するタイミングを調整する制御を行うことを特徴とする液体噴射方法。
【請求項5】
前記コントローラーは、前記第1ロータリーエンコーダーによって検出される前記第1搬送ローラーの回転状況と、前記第2ロータリーエンコーダーによって検出される前記第2搬送ローラーの回転状況とに基づいて、液体を噴射させる前記ノズルの選択を行うことを特徴とする請求項4に記載の液体噴射方法。
【請求項6】
前記記録媒体支持部がサクション機能付きのプラテンであることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の液体噴射方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−196787(P2012−196787A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60828(P2011−60828)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】